JP2010084169A - 真空排気方法、真空排気プログラム、および真空処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】焼きだし時の真空容器の内部の温度のばらつきを抑えることができ、より短時間で所望の真空度に到達可能な真空排気方法を提供する。
【解決手段】真空容器1内に防着シールド4を備え、真空排気下でプラズマを発生させて基板9上に薄膜を形成する真空処理装置の真空排気方法であって、不活性ガスを導入する手順と、不活性ガスの圧力下において、ランプヒータにより防着シールド4を加熱する加熱手順と、排気手段2、3により真空容器1を排気する排気手順と、を有する。
【選択図】図1
【解決手段】真空容器1内に防着シールド4を備え、真空排気下でプラズマを発生させて基板9上に薄膜を形成する真空処理装置の真空排気方法であって、不活性ガスを導入する手順と、不活性ガスの圧力下において、ランプヒータにより防着シールド4を加熱する加熱手順と、排気手段2、3により真空容器1を排気する排気手順と、を有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、防着シールドを備える真空容器内を真空排気する真空排気方法、真空排気プログラム、および真空処理装置に関する。
真空処理装置の一例であるスパッタ装置では、ターゲット交換やシールド交換などのメンテナンス作業時に、真空容器(チャンバ)を大気暴露する必要がある。その際、真空容器の内部に不純物ガスが付着し、その主成分はH2Oである。大気暴露によって不純物ガスが付着すると、真空容器を再度成膜可能な真空度(例えば、マグネトロンスパッタ装置では10-5Pa以上)まで到達させることが困難となる。
そこで、従来、真空容器内を真空引きした後、真空容器の内部の焼きだしを行っている。焼きだし方法は、真空容器内に設置されたランプヒータによる熱輻射で、主にスパッタ装置の周囲に配された防着シールドを加熱して行っている。この焼きだしが十分でない真空容器内でスパッタリングされた薄膜の膜内には残留不純物ガスが取り込まれ、薄膜の抵抗率を悪化させるなど膜特性に影響を与える。
これに関連する技術として、チャンバ内に設置したランプヒータでターゲット表面を加熱して、ターゲットに付着した水分を除去する技術が提案されている(特許文献1参照)。
ところで、従来の焼きだし方法による不純物ガスの除去では、ランプヒータの光の陰となる部分の温度は十分に上昇せず、焼き出しが不十分となってしまう。そのため、複数のランプを設置しているが、構造の制約上、真空容器の内部の全てに亘って輻射加熱しうるようにランプヒータを設置することは困難である。
さらに、輻射熱による不純物ガスの加熱除去では、加熱対象物の温度上昇が遅く、成膜可能な真空度に到達させるのに数時間を要する。
本発明は、上記事情に鑑み、焼きだし時の真空容器の内部の温度のばらつきを抑えることができ、より短時間で所望の真空度に到達可能な真空排気方法、真空排気プログラム、および真空処理装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成すべく成された本発明の構成は以下の通りである。
即ち、大気暴露状態からの真空処理装置の真空排気方法であって、大気暴露状態から第1の圧力まで真空処理室内を排気する第1排気手順と、前記真空処理室内に不活性ガスを導入する手順と、前記不活性ガスの存在下において、真空処理室内壁又は真空処理室内の構造物に光源を臨ませて配されたランプヒータにより真空処理室内を加熱する加熱手順と、真空処理室内を前記第1の圧力よりも低い第2の圧力まで排気する第2排気手順と、を有することを特徴とする真空排気方法である。
本発明によれば、不活性ガスを導入し、この不活性ガスの圧力下において、ランプヒータにより加熱する。これにより、熱伝導媒体になる不活性ガスは、熱源が熱照射しきれない部分にも回り込み、真空容器内をばらつきなく加熱することができ、より短時間で所望の真空度に到達可能である。
したがって、真空容器内に付着した不純物ガスの除去が十分行われるため、薄膜内への不純物ガスの取り込みが少なくなり、良好な膜質が得られる。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明するが、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明を適用したマグネトロンスパッタ装置の一例を示す模式図である。
図1に示すように、本実施形態では、真空処理装置の一例として、マグネトロンスパッタ装置を例示している。本実施形態のマグネトロンスパッタ装置は、真空排気可能な真空容器1を備えている。この真空容器1には、排気手段として、ゲートバルブ3を介してターボ分子ポンプなどの主排気ポンプ2が接続され、粗引き口12を介してドライポンプなどの粗引きポンプ(不図示)が接続されている。この真空容器1には、不活性ガスの導入手段として、マスフローコントローラなどの自動流量制御器(不図示)を介して、ガスボンベ(不図示)が接続され、ガス導入管62のガス導入口61から不活性ガスが所定の流量で導入される。本実施形態では、不活性ガスとして、例えばアルゴン(Ar)ガスを使用する。
また、マグネトロンスパッタ装置は、基板9を載置可能な基板ホルダ10と、基板9の載置面に対向配置されるカソード7と、カソード7の表面側に配置されたターゲット14と、カソード7の裏面側に配置され、カソード7の表面に平行な磁束を形成する磁石機構8と、を備えている。磁石機構8はモータ11に接続され、カソード7の面内方向に回転可能と成っている。Arガスの導入下において、モータ11によって磁石機構8を回転させながらカソード7に放電用電力を投入することで、基板ホルダ10との間でマグネトロン放電(プラズマの発生)が行われ、ターゲット14がスパッタされる。
本実施形態のマグネトロンスパッタ装置では、基板ホルダ10とカソード7との間の空間を取り囲むように、略筒体状の防着シールド4が配されている。この防着シールド4の下部は基板ホルダ10の周囲に接続されて、上方へと起立しており、基板ホルダ10とカソード7との間の空間を覆って、スパッタされたスパッタ粒子が真空容器1の側壁に飛着するのを防止している。防着シールド4は三分割に形成され、基板ホルダ10の周囲に固定された上向き凹リング状の下シールド4aと、この下シールド4aに下方から支持される筒体状の中間シールド4bと、カソード7の周囲に固定された下向き凹リング状の上シールド4cと、からなっている。基板ホルダ10は、防着シールド4の一部(下シールド4a)と共に上下に昇降可能に構成されている。基板ホルダ10を防着シールド4と共に、基板9の処理位置から下降させることで、基板ホルダ10上に基板9が導入可能となっている。
さらに、本実施形態のマグネトロンスパッタ装置には、防着シールド4の下方の外周側に等間隔で4基のランプヒータ5が配置されている。各ランプヒータ5は、防着シールド4に光源を向けて斜め上方へ臨んでおり、赤外線等の放射により防着シールド4を直接加熱するように成っている。ランプヒータ5としては、例えば、ハロゲンランプ、白熱ランプが挙げられる。
なお、さらに、別に防着シールド4を加熱可能な熱源を備えていてもよい。例えば、発熱体としての炭素繊維をセラミックや石英などで覆ったカーボンヒータや、発熱体として炭素繊維の代わりにニクロム線を用いたニクロム線ヒータなどを用いることができる。
ランプヒータ5の配置は、4箇所に限定されず、1箇所以上に配置されていれば何箇所でもよく、上側から下向きに防着シールド4を照らすものであっても構わない。また、ランプヒータ5の形状は、防着シールド4の全周を取り巻くようにリング状に形成されていてもよい。
また、本実施形態のマグネトロンスパッタ装置には、上記したランプヒータ5や主排気ポンプ2、モータ11、カソード7、基板ホルダ10などの各構成要素の動作を制御する真空排気制御装置(コントローラ)13が備えられている。コントローラ13は、不図示のガイスラー管やB−A(Bayarad−Alpert)ゲージなどの圧力センサなどに接続され、各センサの検出信号に基づいて、制御指令を出力する。
なお、コントローラ13は、CPUやROM、RAM等の記憶部などからなるコンピュータを備えて構成されている。CPUは、プログラムにしたがって上記各部の制御や各種の演算処理等を行う。記憶部は、予め各種プログラムやパラメータを格納しておくROM、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶するRAM等からなる。
次に、本発明に係る真空排気方法について説明する。
本発明の方法は、大気暴露状態からの真空処理装置の真空排気方法であって、大気暴露状態から第1の圧力まで真空処理室内を排気する第1排気手順と、前記真空処理室内に不活性ガスを導入する手順と、前記不活性ガスの存在下において、真空処理室内壁又は真空処理室内の構造物に光源を臨ませて配されたランプヒータにより真空処理室内を加熱する加熱手順と、真空処理室内を前記第1の圧力よりも低い第2の圧力まで排気する第2排気手順と、を有する。
図2は、本発明に係る真空排気方法の手順を示すフローチャートである。なお、図2のフローチャートにより示されるアルゴリズムは、コントラーラ13の記憶部に真空排気プログラムとして記憶されており、動作開始の際にCPUにより読み出されて実行される。
図2に示すように、本発明に係る真空排気方法は、真空容器1を大気暴露から成膜可能な真空度に到達させるために、まず、粗引き口12より真空容器1を粗引きする(ステップ101;以下、「S101」のように表示する。)。次に、真空容器1が30Paの圧力に達すると、ゲートバルブ3を開き、主排気ポンプ2による排気が開始される(図示せず)。
そして、真空容器1内の真空度が1.3×10-4Pa(第1の圧力)に到達すると、主排気ポンプ2と真空容器1との間のゲートバルブ3を閉め(ステップS101)、真空容器1内のガス導入口6よりArガスを所定流量(例えば、200sccm)で導入する(S102)。このとき、基板ホルダ10を下げておき、防着シールド4に囲まれた空間を開放して、Arガスが導入されるようにしておくと、熱伝達効率をより高めることができるので、好ましい。また、Arガスの導入時に必ずしもゲートバルブを閉めておく必要はないが、閉めておけばArガスをより早く高圧にできるので好ましい。なお、Arガスの導入を容易にするため、粗引き口12は開放しておき、排気を行う。
次に、真空容器1内に設置されたランプヒータ5の電源をオン(ON)にし、焼きだしを開始する(S103)。
Arガスを15分間導入し(S104)、真空容器1内が266Pa以上に加圧されたら(S105:Yes)、5分経過後にArガスの導入を終了する(S107)。なお、Arガス15分以上Arガスを導入しても266Pa以上にならないときは(S105:No)、アラームを出力する(S106)。
ここで、266Pa以上に設定するのは、図3に示すように、高い熱伝達効果を得ることができる最小の圧力だからである。図3は、図1に示すスパッタリング装置において、30分間、ランプヒータ5を稼動させて所定圧力下においたときの真空容器1内の温度を計測した結果である。図3に示すように、266Pa(2Torr)付近で温度が飽和している。なお、266Pa以上であっても、同等の熱伝達効果を得ることができるが、あまりに不活性ガスの圧力が高いとかえって排気に時間を要してしまうため、加熱効率の向上による時間短縮分を超えない範囲に設定することが好ましい。より効率的な熱伝達を行うためには、Arガスの導入圧力を266Pa〜500Paの圧力範囲とするとすることが好ましい。
その後、Arガスが266Pa以上導入された状態で、ランプヒータ5による照射を続け、焼きだし開始から30分が経過したら(S108:Yes)、ランプヒータ5の電源をオフ(OFF)し、焼きだしを終了する(S109)。焼きだし時間や焼きだし時の到達温度は特に限定されないが、少なくとも防着シールド4の温度が水の沸点以上になるように設定する必要があり、例えば100℃〜400℃の範囲に維持すると、水分が容易に蒸発するので好ましい。
その後、粗引き口12より真空容器1内の粗引きを開始し(S110)、ガイスラー管等により真空度を確認(例えば30Pa)した後に(S111)、ゲートバルブ3を開き(S112)、主排気ポンプ2により所望の到達真空度(第1の圧力より低い第2の圧力)まで排気する(図示せず)。
以上説明したように、本実施形態のマグネトロンスパッタ装置を用いた真空排気方法によれば、所定の圧力以上のArガスの導入下において、基板ホルダ10とカソード7との間を覆う防着シールド4をランプヒータ5で加熱する。これにより、加熱された防着シールド4の熱がArガスの熱伝導により、真空容器1の側壁や基板ホルダ10に伝達される。すなわち、ランプヒータ5からの熱放射のみにより加熱する場合に比べて、真空容器1内を迅速に加熱することができる。
また、ランプヒータ5の熱放射によりArガス自体も加熱され、同様にして熱伝導が行われる。熱伝導媒体になるArガスは、ランプヒータ5が照射しきれない部分にも回り込むため、真空容器1内をばらつきなく加熱することができ、脱ガスをムラなく行うことができる。
したがって、所望の真空度に短時間で到達することができ、真空容器内に飛着した不純物ガスの除去が十分行われるため、薄膜内への不純物ガスの取り込みが少なくなり、良好な膜質が得られる。
本発明に係る真空排気方法は、上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、熱伝導媒体用のガスは、Arガスに限定されず、Krガス、Xeガスなどの他の不活性ガスを含むガス、2種以上の不活性ガスを含むガス等を用いることができ、スパッタ処理の際放電に用いるガスを使用すると好ましい。また、本実施形態では、特に加熱することなく高純度のArガスをそのまま導入しているが、予め加熱した状態で真空容器1内に導入するようにしてもよい。
なお、図4に示すように、スパッタリング時には放電用ガスの導入手段となる不活性ガスの導入経路に加熱機構を設け、加熱された不活性ガスを導入するようにしてもよい。符号62’は、シーズヒータを内蔵するガス導入管であり、不活性ガスの導入時には、コントローラ13からの信号に基づいてシーズヒータがONされて、不活性ガスを加熱する。
本発明に係る真空排気方法は、スパッタ装置のみならず、ドライエッチング装置、プラズマアッシャ装置、CVD装置および液晶ディスプレイ製造装置等の真空容器を備えた処理装置の真空排気方法として適用可能である。
1 真空容器
4 防着シールド
5 ランプヒータ
6 ガス導入口
9 基板
13 コントローラ
4 防着シールド
5 ランプヒータ
6 ガス導入口
9 基板
13 コントローラ
Claims (6)
- 大気暴露状態からの真空処理装置の真空排気方法であって、
大気暴露状態から第1の圧力まで真空処理室内を排気する第1排気手順と、
前記真空処理室内に不活性ガスを導入する手順と、
前記不活性ガスの存在下において、真空処理室内壁又は真空処理室内の構造物に光源を臨ませて配されたランプヒータにより真空処理室内を加熱する加熱手順と、
真空処理室内を前記第1の圧力よりも低い第2の圧力まで排気する第2排気手順と、
を有することを特徴とする真空排気方法。 - 前記不活性ガスを導入する手順は、真空容器内の圧力が266Pa以上になるまで不活性ガスを導入することを特徴とする請求項1に記載の真空排気方法。
- 前記真空処理装置は、真空処理室内壁へのスパッタ粒子の飛着を防ぐための防着シールドを備えたスパッタリング装置であり、
前記ランプヒータは、前記防着シールドに光源を臨ませて配されていることを特徴とする請求項1または2に記載の真空排気方法。 - 前記スパッタリング装置は、放電用ガスの導入経路にガスを加熱するための加熱機構を有し、
前記不活性ガスを導入する手順では、前記導入経路を介し前記加熱機構により加熱した不活性ガスを導入することを特徴とする請求項3に記載の真空排気方法。 - 真空処理装置を制御する制御装置に読み込まれて実行される真空排気プログラムであって、
排気手段により、大気暴露状態から第1の圧力まで真空処理室内を排気する第1排気手順と、
ガス導入手段により、前記真空処理室内に不活性ガスを導入する手順と、
前記不活性ガスの存在下において、真空処理室内壁又は真空処理室内の構造物に光源を臨ませて配されたランプヒータにより真空処理室内を加熱する加熱手順と、
排気手段により、真空処理室内を前記第1の圧力よりも低い第2の圧力まで排気する第2排気手順と、
を備えることを特徴とする真空排気プログラム。 - 真空処理室内へ不活性ガスを導入するガス導入手段と、
真空処理室内壁又は真空処理室内の構造物に光源を臨ませて配されたランプヒータと、
真空処理室内を排気する排気手段と、
請求項5に記載の真空排気プログラムを記憶し、当該真空排気プログラムに基づいて、前記ガス導入手段、前記ランプヒータ及び前記排気手段を制御する制御装置と、
を備えることを特徴とする真空処理装置。
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JP2008252309A JP2010084169A (ja) | 2008-09-30 | 2008-09-30 | 真空排気方法、真空排気プログラム、および真空処理装置 |
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