JP2010083352A - サスペンション制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポットホール判断部16が自動車2の走行時の路面がポットホールであると判断した場合、ショックアブソーバ4の伸び側の減衰力をハードにする。このため、ポットホール通過に際して、ポットホールへの追従を回避してポットホール通過後の路面にスムーズに移行でき、この分、乗り心地を向上できる。さらに、伸び変位が抑制され、ポットホール通過後半のインパクトを小さくでき、ショックアブソーバ4にかかる衝撃を抑制できる。
【選択図】図2
Description
図1は、本発明の第1実施形態に係るサスペンション制御装置が採用された自動車1を模式的に示す図である。図2は、図1のコントローラの構成を示すブロック図である。
図3は、車体の上下振動を2自由度でモデル化した1/4車体モデルを示す図である。図4は、図1の自動車の加減速中に車体にかかる力の関係を模式的に示す図である。図5は、図1の自動車の旋回中に車体にかかる力の関係を模式的に示す図である。図6は、図1の自動車の前車軸位置における車体にかかる力の関係を模式的に示す図である。図7は、ポットホールを含む路面走行の際に得られると推定される輪荷重を、対応するシミュレーションで得られる実値と対比して示す図である。図8は、図2の前後輪遅れ時間算出部
の機能を説明するためのブロック図である。図9は、図2のポットホール判断部の処理内容を示すフローチャートである。図10は、図2の制御指令演算部の処理内容を示すブロックである。図11は、第1実施形態の制御効果をシミュレーションにより検証した結果を示す図である。図12は、図11のシミュレーションで模擬されたポットホールを示す図である。
ショックアブソーバ4の外周にはスプリング5が取付けられている。これらショックアブソーバ4及びスプリング5は、車体6と各車輪3の間に介在され、各車輪3の上下動を減衰させる働きを持つ。
前輪輪荷重推定部15では、ばね上加速度センサ7FL,7FR,7RRからのばね上加速度、ばね下加速度センサ12FL,12FRからのばね下加速度、前後加速度センサ8a,8bからの前後加速度、横加速度センサ9からの横加速度を用いて前輪輪荷重を推定する。ポットホール判断部16では、推定された輪荷重の値からポットホールか否かの判断を行い、その判断結果を制御指令演算部20に出力する。前後輪遅れ時間算出部17では、車速(v)とホイールベース(L)を用いて前後輪遅れ時間を算出する。制御指令演算部20では、ポットホール判断部16と前後輪遅れ時間算出部17で算出した前後輪遅れ時間を入力し、減衰力調整式ショックアブソーバ4に出力する指令値算出のための演算処理を行って当該指令値を求める。
前輪輪荷重推定部15は、上述したように輪荷重の推定を行うが、その輪荷重の推定原理について、まず説明する。
車体6の上下振動を2自由度でモデル化すると図3に示すようになる。ここで、1輪当たりの車体6の質量をmb、タイヤの質量をmt、車体6の絶対上下変位をZb、タイヤの絶対上下変位をZt、路面の絶対上下変位をZ0、サスペンションのばね定数をks、減衰係数をcs、タイヤのばね定数をkt、車体6に働く外力をfとしている。
これより、この系の運動方程式は以下のようになる。
ΔFz=−kt(Zt−Z0) (3)
となる。よって、 (1)、(2)式より、次式(4)の
ΔFzx=−msaxhg/(2L) (5)
ただし、ms:車体6質量
となる。ここでhgは重心点(車体6の重心点を指す。当該重心を以下、重心6Cという。)の高さ、Lはホイールベースを示す。これより加速時(ax>0)のとき前輪(3FL,3FR)の輪荷重は減少し、反対に後輪は増加するので、前輪(3FL,3FR)の荷重移動分(前後方向の加速度から得られる輪荷重移動量)をΔFzxf、後輪(3RL,3RR)の荷重移動分(前後方向の加速度から得られる輪荷重移動量)をΔFzxrとすると、これらは夫々、次の式(6)、(7)に示すようになる。
ΔFzxf=−msaxhg/(2L) (6)
ΔFzxr=−msaxhg/(2L) (7)
前輪:
[Gf/(Gf+Gr)]msayhc−(Lr/L)msayhf+ΔFzyfLwf=0 (8)
後輪も同様に次式が成り立つ。
後輪:
[Gr/(Gf+Gr)]msayhc−(Lf/L)msayhr+ΔFzyrLwr=0 (9)
ここでΔFzyf、ΔFzyrは、それぞれ前後輪での左右荷重移動量である。この式(8)、(9)より、
ΔFzyf=(msay/Lwf)〔[Gf/(Gf+Gr)]hc+(Lr/L)hf〕=0
(10)
ΔFzyr=(msay/Lwr)〔[Gr/(Gf+Gr)]hc+(Lr/L)hr〕=0
(11)
となる。ここで右旋回時(ay>0)には、右側の輪荷重が減少し、左側の輪荷重が増加する。
ことにしている。また、絶対値〔輪荷重絶対値〕の判断には荷重移動を考慮した輪荷重推定値を用い、変化率〔輪荷重変動の変化率〕の判断には輪荷重の変動のみを用い荷重移動などの変化で、誤判断しないようにもしている。
なお、ポットホール判定の解除には時間管理を用いたが、ばね下やばね上、輪荷重推定値などから判断してもよい。
制御指令演算部20では、ポットホール判断部16での判断結果に基づいて制御指令値(制御量)を算出する。
制御指令演算部20は、ポットホール判断部16での判断結果(ポットホールフラグが1又は0)に応じて制御指令値を算出する。ポットホールフラグが1である場合、及び0である場合には、夫々、制御指令値として、該当輪(前輪が対象)の減衰力特性をハード特性、ソフト特性とする制御指令値(前輪制御指令値)xを算出する。
また、後輪側については、ポットホール判断部16での判断結果から得た前輪制御指令値xに対して、所定遅れ時間τを考慮して、後輪制御指令値y(スカラー値)を算出する。
すなわち、制御指令演算部20は、後輪側のショックアブソーバ4については、ポットホールと判断してから、前後輪遅れ時間(前後輪遅れ時間算出部17で算出された値)からシステムの遅れ時間を減算した時間、すなわち「前後輪遅れ時間−システムの遅れ時間」が経過した後に、減衰力特性をハード特性とする制御指令値(後輪制御指令値)y(スカラー値)を算出する。ここで、システムの遅れ時間とは、演算時間、アクチュエータ応答時間などが相当する。
制御指令演算部20は、前輪、後輪制御指令値x、y(スカラー値)を同時にベクトルとして処理して制御指令値(ベクトル)を求める。
上述したように、後輪側のショックアブソーバ4については、ポットホールに到達する前にハードとすることができるので制御効果を最大限発揮できる。後輪側のショックアブソーバ4をハード特性に切り替えるタイミングはポットホールに到達する直前にしたほうが、ハードにする時間が短くできるので、ポットホール以外の影響による乗心地の悪化を防止できる。
御力ソフト(SS)又は制御力ソフト従来技術という。〕、減衰力調整機能を有しない従来技術〔適宜、コンベ技術又は単にコンベという。〕を対象にして、前輪、後輪側に対する指令電流、推定輪荷重、前輪、後輪側のばね下加速度、ばね上加速度についてのシミュレーションを行った。シミュレーションは、図12に示すように、自動車2が車速60km/hで走行し、深さが100mmで長さが762mmのポットホールを模擬した路面を通過するように実施した。上記シミュレーションにより、図11に示す結果を得た。
前輪側のばね下加速度、ばね上加速度について、減衰性が、コンベ技術と同等以上であり、PP値が、コンベ技術と同等で、かつ制御力ソフト従来技術に比して小さくて向上する結果、すなわち、ポットホールにてインパクト入力の低減やばね下、ばね上の振動を低減できることを確認することができた。
また、上述したようにして輪荷重推定値を用いてポットホールの判定を行うことで、ばね下が振動する前から制御することが可能となり、インパクト入力の低減やばね下暴れの抑制により乗心地を向上できる。
また、ばね下加速度センサ12FL,12FRを前輪側にのみ設けて輪荷重の推定を行うので、後輪側にもばね下加速度センサを備える場合に比して、ばね下加速度センサの個数を少なくでき、その分、コストを低減できる。
本発明の第2実施形態に係るサスペンション制御装置1Aは、前記第1実施形態に係るサスペンション制御装置1に比して、図1、図2、図13〜図15に示すように、加速度センサ7,8,9,12に代えて、前2輪(3FL,3FR)に荷重センサ(輪荷重測定器)22FL,22FRを設けて前2輪(3FL,3FR)の輪荷重を検出すること、並びに前後加速度センサ8a,8b、横加速度センサ9を廃止したこと、ステップS1,2に代わるステップS1A,2Aを実行することが主に異なっている。
図14に第2実施形態に係るサスペンション制御装置1Aのコントローラ13A内で演算する処理の概要を示す。荷重センサ22FL,22FRでは、前輪2輪(3FL,3FR)の輪荷重を検出し、その値をポットホール判断部16Aへ出力する。ポットホール判断部16Aでは、検出された輪荷重の値から、自動車2の走行時の路面がポットホールか否かの判断を行い、その判断結果を制御指令演算部20に出力する。以下、実施例1と同様にして制御量を演算し、減衰力調整式ショックアブソーバ4に出力する。
この後の処理は、第1実施形態の場合と同じく、制御指令演算部20にて制御量を算出し、演算した制御指令値を減衰力可変ショックアブソーバ4に出力する。
Claims (11)
- 車両に用いられる減衰力調整式ショックアブソーバの減衰力を調整するサスペンション制御装置であって、
車輪に作用する輪荷重を求める輪荷重算出手段と、
該輪荷重算出手段が得た算出輪荷重を用いて前記車両の走行時の路面がポットホールであるか否かを判断するポットホール判断手段と、を備え、
該ポットホール判断手段が前記車両の走行時の路面がポットホールであると判断した場合、前記減衰力調整式ショックアブソーバの伸び側の減衰力をハードにすることを特徴にするサスペンション制御装置。 - 請求項1に記載のサスペンション制御装置において、前記ポットホール判断手段は、前記算出輪荷重と予め定めた輪荷重しきい値との比較結果に基づいて前記判断処理を行うことを特徴にするサスペンション制御装置。
- 請求項1に記載のサスペンション制御装置において、前記ポットホール判断手段は、前記算出輪荷重の減少率に相当する算出輪荷重減少率と予め定めた輪荷重減少率しきい値との比較結果に基づいて前記判断処理を行うことを特徴にするサスペンション制御装置。
- 請求項1に記載のサスペンション制御装置において、前記ポットホール判断手段は、前記算出輪荷重と予め定めた輪荷重しきい値との比較結果、並びに前記算出輪荷重の減少率に相当する算出輪荷重減少率と予め定めた輪荷重減少率しきい値との比較結果に基づいて前記判断処理を行うことを特徴にするサスペンション制御装置。
- 請求項1から4のいずれかに記載のサスペンション制御装置において、前記輪荷重算出手段は、前輪側のばね上の上下加速度を検出する前輪側ばね上加速度センサと、前輪のばね下の上下加速度を検出する前輪側ばね下加速度センサと、からなり、前記前輪側ばね上、前輪側ばね下加速度センサが夫々検出する前輪側ばね上、前輪側ばね下加速度から前2輪の輪荷重を算出することを特徴とするサスペンション制御装置。
- 請求項1から4のいずれかに記載のサスペンション制御装置において、前記輪荷重算出手段は、前輪側のばね上の上下加速度を検出する前輪側ばね上加速度センサと、前輪のばね下の上下加速度を検出する前輪側ばね下加速度センサと、車体に作用する前後方向の加速度を検出する前後加速度センサと、前記車体に作用する横方向の加速度を検出する横加速度センサと、からなり、前記前輪側ばね上、前輪側ばね下、前後、横加速度センサが夫々検出する前輪側ばね上、前輪側ばね下、前後、横加速度から前2輪の輪荷重を算出することを特徴とするサスペンション制御装置。
- 車両に用いられる減衰力調整式ショックアブソーバの減衰力を調整するサスペンション制御装置であって、
前記車両のばね上、ばね下の上下加速度から得られる輪荷重変動量、及び車体に作用する前後方向、横方向の加速度から得られる荷重移動量を合成することにより、車輪に作用する輪荷重を、算出輪荷重として求める輪荷重合成部を有する輪荷重算出手段と、
前記算出輪荷重に基づいて前記車両の走行時の路面がポットホールであるか否かを判断するポットホール判断手段と、を備え、
前記ポットホール判断手段は、前記算出輪荷重と予め定めた輪荷重しきい値との比較結果、並びに前記算出輪荷重の減少率に相当する算出輪荷重減少率と予め定めた輪荷重減少率しきい値との比較結果に基づいて前記判断処理を行うように構成され、
前記ポットホール判断手段は、前記輪荷重減少率に係る比較処理には前記輪荷重変動量を用いるように構成され、
前記ポットホール判断手段が前記車両の走行時の路面がポットホールであると判断した場合、前記減衰力調整式ショックアブソーバの伸び側の減衰力をハードにすることを特徴にするサスペンション制御装置。 - 請求項5又は6に記載のサスペンション制御装置において、前輪側ばね下加速度センサは、前輪2輪に取り付けられていることを特徴とするサスペンション制御装置。
- 請求項1から4のいずれかに記載のサスペンション制御装置において、前記輪荷重算出手段は、輪荷重を測定する輪荷重測定器であることを特徴とするサスペンション制御装置。
- 請求項9に記載のサスペンション制御装置において、前記輪荷重測定器は、前2輪に取付けられることを特徴とするサスペンション制御装置。
- 請求項1から10のいずれかに記載のサスペンション制御装置において、後輪側の減衰力調整式ショックアブソーバについては、前輪側の減衰力調整式ショックアブソーバの減衰力をハードにしてから、車速とホイールベースによって演算される遅れ時間からシステムの遅れ時間を考慮した時間後にハードにすることを特徴とするサスペンション制御装置。
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