JP2010080474A - プリント配線板作製用フィルム、プリント配線板作製方法、及びプリント配線板 - Google Patents

プリント配線板作製用フィルム、プリント配線板作製方法、及びプリント配線板 Download PDF

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Abstract

【課題】プリント配線基板に求められる高品質な金属細線を簡易なプロセスで作製するための、特に回路基板の導線の厚さを増やす一方で導線の幅の細線化を図り、高密度かつ低抵抗の回路基板の作製するためのプリント配線板作製用フィルム、それを用いるプリント配線板作製方法、及びそれらを用いて作製されるプリント配線板を提供する。
【解決手段】金属イオンの還元反応により金属細線を形成するプリント配線板作製用フィルムであって、基板上に露光・加熱後に除去し得る金属供給源と当該金属細線の形成に必要な触媒ないし触媒前駆体とを含有する機能性層を有することを特徴とするプリント配線板作製用フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、プリント配線板作製用フィルム、プリント配線板作製方法、及びそれらを用いて作製されたプリント配線板に関する。
従来、プリント配線基板上の導体回路作製は、サブトラクティブ法又はアディティブ法と呼ばれる手法で行われてきた。
サブトラクティブ法では、基板全面に金属箔を貼合ないしメッキで作製後、表面にフォトレジスト層を作製し、現像後エッチングにより不要な金属部を除去する方法である。広く普及した方法であり安価に大量の基板を作製できる利点があるが、エッチング時にレジスト下のアンダーカットが発生することよりその細線形状が劣化し、最近の細線化の要望に対しては必ずしも十分に対応できていない。特に、金属箔の厚さを増やす一方で回路導線幅の細線化を図り、高密度かつ低抵抗の回路基板の作製を試みた場合にはこの手法を用いることが困難になってきている。
一方、アディティブ法、特にセミアディティブといわれる手法では、レジストで作製した樹脂枠内にメッキプロセス、特に無電解銅メッキで導体を厚さ方向に垂直な方向に設ける事ができるため、先述したアンダーカットの問題が起きず、より細線化に適した手法と考えられている。しかし、垂直方向に無電解メッキを行う場合、数μm程度であれば細線の形成速度やメッキ膜質上の問題が少ないが、10μmを超えるような厚膜を得るためには長時間が必要になり、膜質の劣化も起き易くなるという問題がある。
上記のように、プリント配線基板作製に必要な導体回路作製技術は、最近の細線化に要望には必ずしもこたえられていない。
一方、電磁波シールドフィルム用の導体細線作製には上記方法とは異なる手法が用いられることがある。例えば、ハロゲン化銀粒子や有機銀を用いた写真感光材料は、露光・現像することにより解像度の高い画像を得られることが知られており、ハロゲン化銀粒子や有機銀を含む層を有する感光材料を細線状の画像様に露光して現像処理すれば、銀粒子が細線状に集合した導電性金属銀部が形成される。上記の方法によって形成された前記導電性金属部に対し、必要に応じてメッキ処理をして導電性を向上させる方法が記載されている(例えば特許文献1及び2参照)。
しかし、これらの手法をプリント配線板配線に用いるには、得られる細線が部品接続可能な状態に露出していること、ハンダリフローによる電子部品のプリント基板上への実装時に不要物の悪影響が無いよう除去されていることなどが必要であるが、それらに対する解決手段に関する記載は上記特許文献にはない。また、上記の課題を解決すると同時に、基板に対する導体配線の密着性を高める必要があるがそれに関する記載もない。
また、基板へ露光像様のメッキを行う手法として、光分解性の触媒前駆体を基板上にあらかじめ塗布し、露光後に無電解メッキ等で基板上に細線を形成する方法が知れられている(特許文献3及び4参照)。しかし、無電解メッキによる細線作製では、基板表面からの等方的な金属析出により断面形状が決定されるため、得られる細線の断面が半円状、すなわち導電性の向上と細線化への要望がトレードオフの関係になり、サブトラクティブ法で得られる細線に対して利点のある形状とはなり得なかった。
特開2004−221564号公報 特開2007−088335号公報 特許公報2956179号公報 特開2000−147762号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みなされたものであり、その解決課題は、プリント配線基板に求められる高品質な金属細線を簡易なプロセスで作製するための、特に回路基板の導線の厚さを増やす一方で導線の幅の細線化を図り、高密度かつ低抵抗の回路基板の作製するためのプリント配線板作製用フィルム、それを用いるプリント配線板作製方法、及びそれらを用いて作製されるプリント配線板を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、金属細線を作製するための金属供給源、触媒等について鋭意検討を行った結果、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.金属イオンの還元反応により金属細線を形成するプリント配線板作製用フィルムであって、基板上に露光・加熱後に除去し得る金属供給源と当該金属細線の形成に必要な触媒ないし触媒前駆体とを含有する機能性層を有することを特徴とするプリント配線板作製用フィルム。
2.前記機能性層が、感光性樹脂を含有することを特徴とする前記1に記載のプリント配線板作製用フィルム。
3.前記触媒ないし触媒前駆体を含有する機能性層を2層以上有することを特徴とする前記1又は2に記載のプリント配線板作製用フィルム。
4.前記1〜3のいずれか一項に記載のプリント配線板作製用フィルムを用いるプリント配線板作製方法であって、基板上に金属供給源と金属細線の形成に必要な触媒ないし触媒の前駆体とを含有する機能性層を設けた後、露光・加熱することで当該金属細線を形成し、その後に当該金属供給源を除去することを特徴とするプリント配線板作製方法。
5.前記1〜3のいずれか一項に記載のプリント配線板作製用フィルムを用いて作製されたことを特徴とするプリント配線板。
本発明の上記手段により、プリント配線基板に求められる高品質な金属細線を簡易なプロセスで作製するための、特に回路基板の導線の厚さを増やす一方で導線の幅の細線化を図り、高密度かつ低抵抗の回路基板の作製するためのプリント配線板作製用フィルム、それを用いるプリント配線板作製方法、及びそれらを用いて作製されるプリント配線板を提供することができる。
本発明のプリント配線板作製用フィルムは、金属イオンの還元反応により金属細線を形成するプリント配線板作製用フィルムであって、基板上に露光・加熱後に除去し得る金属供給源と当該金属細線の形成に必要な触媒ないし触媒前駆体とを含有する機能性層を有することを特徴とする。この特徴は、請求項1〜5に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、前記機能性層が、感光性樹脂を含有する態様であることが好ましい。また、前記触媒ないし触媒前駆体を含有する機能性層を2層以上有する態様であることが好ましい。
本発明のプリント配線板作製用フィルムを用いるプリント配線板作製方法としては、基板上に金属供給源と金属細線の形成に必要な触媒ないし触媒の前駆体とを含有する機能性層を設けた後、露光・加熱することで当該金属細線を形成し、その後に当該金属供給源を除去する態様の基板作製方法であることが好ましい。すなわち、予め作製されている(既製の)本発明のプリント配線板作製用フィルムを利用して、又は、当該フィルムの作製工程を経て、当該フィルムを露光及び加熱することで当該金属細線を形成し、その後に当該金属供給源を除去する態様の基板作製方法であることが好ましい。
本発明により、高品質な金属細線を有するプリント配線基板を簡易なプロセスで作製することができる。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための最良の形態・態様等について詳細な説明をする。
(金属供給源)
本発明に係る金属供給源は、有機金属化合物、無機金属塩、金属錯体などで、還元剤や触媒の存在下での加熱等により所望の金属を発生する材料である。なお、本願において、「有機金属化合物」とは、有機酸金属塩及び有機金属錯体を含めた広義の金属含有・有機化合物をいうものとする。
所望の金属としては、金、銀、銅のほか、ずず、鉛、ニッケル、ロジウム、パラジウム、アルミ等が挙げられる。更に好ましくは、金、銀、銅、ニッケル、アルミであり最も好ましくは銀又は銅である。
有機金属化合物としては、脂肪酸金属塩、有機燐酸金属塩、有機スルホン酸金属塩、金属アルコキシド等が挙げられる。これらのうち、脂肪酸金属塩、金属アルコキシドを用いることは特に好ましい。
本発明において好適に用いられる有機酸金属塩としては、脂肪族カルボン酸の金属塩である。特に、炭素数が3〜30、好ましくは15〜28の長鎖ないし分岐脂肪酸が好ましく、分子量としては、200〜500が好ましく、250〜400がより好ましい。
脂肪族カルボン酸の好ましい例としては、ベヘン酸、アラキジン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、カプロン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、及びこれらの混合物などを含む。金属としては、Ag、Cu、Niがより好ましい。
有機金属化合物の調製方法としては、例えば、脂肪族カルボン酸の金属塩は、水溶性金属化合物と当該金属イオンと錯形成する化合物を混合することにより得られるが、正混合法、逆混合法、同時混合法、特開平9−127643号公報に記載されている様なコントロールド・ダブルジェット法等が好ましく用いられる。
例えば、脂肪族カルボン酸にアルカリ金属塩(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)を加えて脂肪族カルボン酸アルカリ金属塩(例えば、ベヘン酸ナトリウム、アラキジン酸ナトリウムなど)の溶液もしくは懸濁液を作製した後に、コントロールド・ダブルジェット法により、硝酸銀などと混合して脂肪族カルボン酸銀塩の結晶を作製する。その際に、脂肪族カルボン酸銀塩の種結晶粒子を混在させてもよい。
使用できるアルカリ金属塩の種類の例としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等がある。これらの内の1種類のアルカリ金属塩、例えば水酸化カリウムを用いることが好ましいが、水酸化ナトリウムと水酸化カリウムを併用することも好ましい。
本発明においては、1種類の脂肪族カルボン酸の金属塩だけを用いることもできるが、金属供給速度等の性能を制御する手段の一つとして、炭素数の異なる脂肪族カルボン酸金属塩の混合組成比率を調整する手段を採ることができる。
例えば、ベヘン酸、アラキジン酸、ステアリン酸等の脂肪族カルボン酸の金属塩の混合比率を調整し、性能を制御することができる。
金属アルコキシドとしては、メトキシド、エトキシド、イソプロポキシドなど低分子量のアルコールのアルコキシドが使用可能であるほか、炭素数が4〜18のアルコールコキシドも使用可能である。
無機金属塩としては、フッ化化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物等のハロゲン化物、硫化物、セレン化物、テルル化物などのカルコゲン化合物、また、ケイ化物、炭化物、窒化物、ホウ化物などのうち、金属を供給できるものが適用可能である。これらのうち、特にハロゲン化物、硫化物の使用が好ましい。ハロゲン化金属としては特に銀塩が好ましく、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀あるいはこれらの混合物、複合塩が好ましい。
金属錯体としては、下記の配位子数、種類を有するものが適用可能である。
(a)単座配位子−ピリジン、トリフェニルホスフィン、硝酸イオン、ハロゲン化物イオン、アンモニア、一酸化炭素、シアン、チオシアンなど
(b)二座配位子−エチレンジアミン(en)、ビピリジン(bpy)、フェナントロリン(phen)、2,2′−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1′−ビナフチル(BINAP)、カテコール、ジアセチル、アセチルアセトン、2,5−ヘキサンジオンなど
(c)三座以上の多座配位子-ターピリジン(tpy)、エチレンジアミン四酢酸(edta)、ポルフィリン、サイクラム、クラウンエーテル類
上記のうち、ピリジン・アンモニア・エチレンジアミン・ビピリジン・ターピリジン・エチレンジアミン四酢酸・サイクラムなどのアミン類、カテコール・ジアセチル・アセチルアセトン・2,5−ヘキサンジオン・エチレンジアミン四酢酸などのケトン類の使用が好ましい。
(金属イオン還元剤)
本発明に係る機能層内には、金属供給源から供給される金属イオンを還元するために、金属イオンを還元し得る還元剤(「金属イオン還元剤」)も含有していることが好ましい。
当該還元剤としては、所定の温度に加熱したときに、有機金属化合物から供給される金属イオンに対して強い還元作用を発揮する化合物であれば良いが、加熱温度100〜180℃の範囲内で、還元作用を発揮する化合物であることが好ましい。
本発明においては、例えば、フェノール性ヒドロキシル基含有化合物が好ましく、更に好ましくはオルト位に置換基を有するいわゆるヒンダードフェノール系還元剤あるいはビスフェノール系還元剤が好ましい。特に好ましくは、欧州特許第1,278,101号明細書に記載の一般式(S)、一般式(T)を満足する化合物であり、具体的にはP21〜28に記載の(1−24)、(1−28)〜(1−54)、(1−56)〜(1−75)の化合物、特開平11−65021号公報の段落番号0043〜0045や、欧州特許公開第0803764A1号明細書の第7ページ第34行〜第18ページ第12行に記載されている化合物等があげられる。
(金属供給促進剤)
本発明に係る機能層内には、前記金属供給源から供給される金属イオンの移動を促進する機能を有する金属供給促進剤を含有させることも好ましい。
本発明に用いられる好適な金属供給促進剤の例としては、イミド類(スクシンイミド、フタルイミド、ナフタールイミド、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタールイミド等);メルカプタン類(3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール等);フタラジノン誘導体又はこれらの誘導体の金属塩(フタラジノン、4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメチルオキシフタラジノン、及び2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン);フタラジンとフタル酸類(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸及びテトラクロロフタル酸)の組合せ;フタラジンとマレイン酸無水物、及びフタル酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸又はo−フェニレン酸誘導体及びその無水物(フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸及びテトラクロロフタル酸無水物等)から選択される少なくとも一つの化合物との組合せ等が挙げられる。特に好ましい金属供給促進剤としては、フタラジノン又はフタラジンとフタル酸類、フタル酸無水物類の組合せである。
(触媒、触媒前駆体)
上記金属供給源から供給される金属イオンを還元して金属を生成させる触媒としては、均一系触媒、不均一系触媒、生物触媒などが使用可能である。それらのうち、金属系の均一触媒ないし不均一触媒の使用が好ましい。
金属系の触媒としては、白金、パラジウム、金、銀、ロジウム、イリジウムなどが好ましい。これらを微粒子とした、不均一系触媒を用いることが更に好ましい。
触媒前駆体としては、加熱分解等によりこれらの触媒を生成する化合物が使用可能である。塩化白金酸、塩化パラジウム、塩臭化銀のような金属ハロゲン化物、ポリビニルアルコールのパラジウムキレートのような有機金属化合物が適用可能である。また、金属ハロゲン化物のうち、ハロゲン化銀化合物は、いわゆる分光増感を利用して、各種波長の光に対してハロゲン化銀化合物を分解反応させ銀核を生成することで、触媒活性を発現させることが可能でありその使用が好ましい。
触媒としては、上記前駆体から得られる触媒を含め2種類以上を併用することが好ましい。特に、機能性層を2層以上設ける場合には、金属供給源と、当該金属供給源からの金属生成に必要な触媒ないし触媒の前駆体を含有する第1の機能性層と、基板との界面にそれぞれ適当な触媒ないし触媒前駆体を含有する第2の機能性層を設けるというように、1つの機能性層に1種類以上の金属生成に必要な触媒ないし触媒前駆体を含有させていることが好ましい。例えば、基板作製フィルム表面側に近い(基板から離れた)機能性層内に含有される触媒は、当該機能性層内部からの金属発生により細線形成を促進させるような触媒を含有させることが好ましい。
一方、基板との界面に近い機能性層には、金属細線形成に寄与する一方で、細線の基板への密着力向上にも寄与するような触媒を含有させることが好ましい。すなわち界面に近い機能性層をプリベーク等で基板へ強力に付着させておくことで、それを基点に発生する金属の基板への密着力も向上する。基板作製フィルム表面側に近い機能層内部から生成する金属と基板との界面に近い機能性層内部から生成する金属がフィラメント状(繊条)に絡まることで、金属細線全体の基板への密着力が向上する。この効果を上げるには、フィラメント状に成長する金属に、メッキ処理を施し、フィラメント全体が一体化するような処理を施すことがより好ましい。
結果として、得られる細線の断面形状は、ほぼ露光された機能層自体の断面形状(即ち、本発明の基板作製用フィルムに対し垂直に光を当てると、作製される細線の断面もほぼ短形となる。)となり、かつ基板表面への密着力に優れたものとなる。このため、細線化においても形状の劣化(サブトラクティブ法におけるアンダーカットやアディティブ法における断面の半円化)がおき難く、部品の接着性に優れ、低抵抗の細線が得られ、高密度かつ低抵抗の回路基板の作製を行うことができる。
メッキとしては、銅メッキ、ニッケルメッキ、金メッキなどを施すことが可能である。例えば、上記細線が、有機銀の還元により得られる銀フィラメントの集合体の場合、単独では必要な導電性が得られないことがある。しかし、フィラメント集合体の形状が略細線同等で、触媒活性の基点となりうるフィラメントが最初から存在していると考えられるため、数μm程度の厚さの無電解メッキを施すことでフィラメントが十分に太くなり、短時間で高い導電性を得ることができる。この点も、セミアディティブ法のように、長時間をかけ10μ以上の膜厚になるよう無電解メッキを施す必要のある手法と比較して優れており、本発明とメッキとの組み合わせはそのメリットが大きい。
(基板)
本発明において、プリント配線板は、次のような従来公知の材料が使用可能である。
紙フェノール基板:紙にフェノール樹脂を含浸させたもの。別名ベークライト基板(ベーク基板)。
紙エポキシ基板:紙にエポキシ樹脂を含浸させたもの。紙フェノールとガラスエポキシの中間的な特徴を持つ。
ガラスコンポジット基板:切り揃えたガラス繊維を重ねて、エポキシ樹脂を含浸させたもの。
ガラスエポキシ基板:ガラス繊維製の布(クロス)を重ねたものに、エポキシ樹脂を含浸させたもの。
ガラスエポキシ基板テフロン(登録商標)基板:絶縁材にテフロン(登録商標)を用いたもの。
アルミナ基板:グリーンシートと呼ばれるアルミナ(酸化アルミニウム)にタングステンなどでパターンを形成/積層したものを焼成して製造するファインセラミックスの一種。
コンポジット基板:ガラスエポキシ基板を中心として両面には紙エポキシ基板を形成したもの。
これらを単独で用いることも可能であるが、片面基板、両面基板、多層基板、ビルトアップ基板などとして用いることも可能である。
(機能性層作製法)
本発明に係る機能性層は、金属供給源、金属供給源からの金属生成に必要な触媒ないし触媒前駆体、加熱により金属イオンを還元するための還元剤、基板への接着性、塗布性などを高める各種添加剤などを含有し、それらが必要なバインダー、溶剤と共に基板上に塗布され、必要に応じて乾燥することで得られる。
また、機能性層は複数設けても良く、それぞれの機能性層が前記金属供給源、金属供給源からの金属生成に必要な触媒ないし触媒前駆体、加熱により金属を還元するための還元剤、基板への接着性、塗布性などを高める各種添加剤などを含有している必要はなく、少なくとも機能性層を構成する材料(機能性層が複数ある場合にはすべての機能性層を構成する材料)の中に金属供給源及び金属供給源からの金属生成に必要な触媒ないし触媒前駆体があれば良い。
機能性層に用いられる金属供給源や触媒などを担持するための結合剤(以下「バインダー」ともいう。)は現像後に除去できるものであることが好ましい。前記バインダーはいかなるポリマーを使用してもよく、好適なバインダーは透明又は半透明で、一般に無色であり、天然樹脂やポリマー及びコポリマー、合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば、ゼラチン類、ゴム類、ポリビニルアルコール類、ヒドロキシエチルセルロース類、セルロースアセテート類、セルロースアセテートブチレート類、ポリビニルピロリドン類、カゼイン、デンプン、ポリアクリル酸類、ポリメチルメタクリル酸類、ポリ塩化ビニル類、ポリメタクリル酸類、スチレン−無水マレイン酸共重合体類、スチレン−アクリロニトリル共重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体類、ポリビニルアセタール類(例えば、ポリビニルホルマール及びポリビニルブチラール)、ポリエステル類、ポリウレタン類、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニリデン類、ポリエポキシド類、ポリカーボネート類、ポリ酢酸ビニル類、ポリオレフィン類、セルロースエステル類、ポリアミド類がある。バインダーは水又は有機溶媒又はエマルションから被覆形成してもよい。
金属細線の固定化の観点からは、バインダーとして光硬化性樹脂を用いることも好ましい。いわゆるドライレジストフィルムと同様に、光により硬化し、未露光部が硬化しない樹脂を用いることで、露光部の細線を光硬化性樹脂で保護すると同時に未露光部に残る不要な金属供給源などを容易に除去できる。
バインダーと金属供給源の比率は質量で100:1〜1:100が好ましく、より好ましくは10:1〜1:10の範囲である。
機能性層の厚さは、用途に応じて選択可能であるが、0.1μm以上500μm以下が好ましい。機能性層が薄すぎると得られる細線が非常に薄くなり十分な導電性を有する細線が得られない。500μmより厚い場合、細線の高さが高すぎると同時に、現像時の細線の広がりが大きくなりすぎるため好ましくない。機能性層はより好ましくは1μm以上100μm以下、更には5μm以上50μm以下が好ましい。
機能性層は複数の層からなることが好ましい。例えば、基板から遠い第1の機能性層には内部で金属供給源からの金属生成に必要な触媒機能を発現する触媒を含有させ、基板近傍には第2の機能性層を設け、基板との密着性を向上させるための触媒ないし触媒前駆体を含有する層を設けることができる。その他、基板から最も遠い層には保護層、保護フィルムなどを設けることが好ましい。これらの層は順次塗布することで作製可能であるが、重層同時塗布により作製することも可能である。塗布には、各種の溶媒の使用が可能である。例えば、水、有機極性溶媒、有機非極性溶媒などが挙げられる。環境負荷を低くするためには、有機溶媒使用量が少なくすることが好ましく、塗布液1リットル中の有機溶剤量は30体積%以下が好ましい。
本発明に係る機能性層塗布液はいかなる方法で塗布されても良い。具体的には、エクストルージョンコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング、浸漬コーティング、ナイフコーティング、フローコーティング、または米国特許第2,681,294号明細書に記載の種類のホッパーを用いる押出コーティングを含む種々のコーティング操作が用いられ、Stephen F.Kistler、Petert M.Schweizer著「LIQUID FILM COATING」(CHAPMAN&HALL社刊、1997年)、399頁から536頁記載のエクストルージョンコーティング、またはスライドコーティングが好ましく用いられ、特に好ましくはスライドコーティングが用いられる。スライドコーティングに使用されるスライドコーターの形状の例は同書427頁のFigure 11Rにある。また、所望により同書399頁から536頁記載の方法、米国特許第2,761,791号および英国特許第837,095号各明細書に記載の方法により2層またはそれ以上の層を同時に被覆することができる。本発明において特に好ましい塗布方法は特開2001−194748号、同2002−153808号、同2002−153803号、同2002−182333号各公報に記載された方法である。
本発明に係る塗布液は、いわゆるチキソトロピー流体であることが好ましい。この技術については特開平11−52509号公報を参考にすることができる。塗布液は剪断速度0.1S−1における粘度は400mPa・s以上100,000mPa・s以下が好ましく、さらに好ましくは500mPa・s以上20,000mPa・s以下である。また、剪断速度1000S−1においては1mPa・s以上200mPa・s以下が好ましく、さらに好ましくは5mPa・s以上80mPa・s以下である。
細線の形状の説明において述べたように、基板とは異なるフィルム上に上記と逆順に塗布したものを基板上に貼り付けて機能層を作製することも可能である。あらかじめポリエチレンフィルムで保護したこのようなフィルムを、ポリエチレンフィルムをはがしながら基板にラミネートすることで、適当な基板を、迅速にプリント配線板作製用フィルムとして使用することができる。
基板に一番近い部分に、基板への細線密着力を高めるための触媒、ないし触媒前駆体を設ける場合、基板への触媒の密着力を向上させるには、あらかじめ触媒ないし触媒前駆体含有層を基板に塗布後プリベークするなどして密着力を高めることも好ましい。
機能性層内には、各種の添加剤を含有することが好ましい。例えば、加熱時に未露光部分での金属生成を防止する添加剤(いわゆるカブリ防止剤)、可塑剤、潤滑剤、界面活性剤、熱溶剤などである。
(露光)
本発明における露光では、マスク露光のほか、レーザー露光、EB線照射による直接描画露光などが適用可能である。特に、マスク露光、レーザー露光が好ましい。使用可能な波長領域は、紫外光から赤外光まで特に制限は無いが、2種以上の感光性触媒前駆体を用いる場合、各触媒の生成を制御するため、複数波長の露光を用いることも好ましい。
例えば、有機銀中にハロゲン化銀を触媒の前駆体として含有する第1の機能性層にあらかじめ赤外線吸収染料を添加し、いわゆる分光増感を施した系とし、基板との界面に設けた第2の機能性層にはUV感光性ポリビニルアルコールキレート化Pdで処理しておく。ここで、第1の機能層側から走査露光をUV(365nm)の単独露光で行えば第1の機能性層と第2の機能性層に同時露光が可能であり、その後の加熱により同時に前駆体の還元、触媒化を行うことができる。ここで更に加熱し有機銀由来の銀イオンが還元されると同時に第2の機能性層のPd触媒からも銀の還元反応が進み、一度の露光、現像により十分な厚さのある細線を作製することが可能である。
また、最初にUVにより一方の機能性層への露光を行い、その後赤外光で他の機能性層への露光を行うことも可能である。赤外光の露光幅をUV光による露光より少し幅広にすれば、UVによる露光を行った層に対して少し幅広い線幅で現像銀フィラメントによる細線を形成することが可能となる。UV露光では、機能層の厚さによっては層中での散乱が大きくなり、実質露光線幅が太くなることがある。長波光である赤外光は散乱の影響が少なく露光線幅の増加分が小さいので、このような露光方式により、より矩形(長方形)に近い断面形状を有する細線の作製が可能になる。
露光量に特に制限は無く、素材の光感度に合わせて露光量を調整することが好ましい。レーザー走査露光の場合は、そのスループットを上げる観点から好ましくは光量が1mW/mm以上の高照度の光による短時間露光であることが好ましい。
(加熱)
露光後の加熱は、還元による金属細線生成(いわゆる現像)速度に合わせて調節することが好ましい。すなわち、金属供給源から金属が解離し供給されるために必要なエネルギー及び金属イオンの還元反応を進めるために必要なエネルギーを考慮して、適切な範囲の加熱をすることが好ましい。
加熱温度が低い場合、現像速度が遅くなり、スループットが低下する。一方、加熱温度が高すぎると現像の制御が利かず、不要な現像開始点が増え、細線の品質が劣化する。また、基板の熱劣化により基板と細線の密着力が低下したり、細線寸断の原因にもなる。
加熱する温度は金属供給源の種類によって異なるが、金属供給源の融点(正確には機能性層内他の物質と混合した時の融点)の±50℃以内であることが好ましい。特に好ましくは供給源となる金属の融点±20℃以内である。なお、金属イオンを還元するための還元剤としては、このような温度範囲内で反応する化合物を選択することが好ましい。
(金属供給源の除去)
本発明においては、露光、加熱後に不要になった金属供給源は、バインダーと共に除去されることが特徴である。例えば、カルボン酸を含有するポリマーの中に、NaCO、水溶液で未露光部のみ溶解し、NaOH水溶液ですべてのポリマーが除去(ストリップ)できるタイプのものが知られているが、このようなポリマーは除去時に水中でミセル化する。このようなポリマーはミセル化により界面活性剤的な作用を有するため、機能性層に含まれる金属供給源が脂肪酸金属塩のように水不溶性な場合でもミセル中に取り込むことでその除去が水中でも行えるようになる。現像後の未露光部に残る可能性があるその他の水に不溶性を示す物質も、このような機構で除去される。
現像後の金属細線近傍に残るバインダーも上記のカルボン酸含有ポリマーであればNaOHにより大部分が除去でき、更に必要であればUVオゾン洗浄のような手法で完全に除去することも可能である。このような特性を有するポリマーをバインダーとして用いることは好ましい。
その他、バインダーが溶剤可溶性であれば、加熱現像後に有機溶剤に浸漬することで除去することができる。金属生成部のバインダーは金属に付着した状態で除去されにくいが、金属供給源として残っている部分のバインダーは、除去され易い状態で残ることがあるので、その除去され易さを利用してバインダーと金属供給源と一緒に溶剤で除去可能である。
機能性層をあらかじめ平滑なフィルム上に塗布しておき基板に張り合わせた後、露光、現像後、フィルムを剥離し基板に転写すること金属細線を得る場合、剥離時に未反応の金属供給源を剥離するフィルム側に付着させて除去することも可能である。例えば、バインダーとして硬化性樹脂を用いる場合、未硬化の部分は、硬化部分に比して融点ないしガラス転移温度(Tg)が低い。硬化部のTg以下で未硬化部のTgないし融点以上の温度で加熱したまま、硬化樹脂に濡れ性の高いフィルムを剥離すると、剥離と同時に未硬化部のバインダーが付着して除去されそこに含有される金属供給源も除去される。
(金属細線の性状)
金属細線(以下単に「細線」という。)の断面は、細線同士の基板付近での接触防止、電子部品との接触面積、接着力等の観点から、台形ないし矩形であることが好ましい。
本発明によって提供される細線の断面としては台形もしくは矩形であれば良いが、台形の上幅と下幅に差がありすぎると、高密度の回路の作製を試みた場合に隣の細線に干渉したり、基板もしくは電子部品との接触面積が低下する恐れがある。上幅と下幅の比は1:3〜3:1の範囲内が好ましく、より好ましくは1:2〜2:1の範囲内がより好ましく、最も好ましくは2:3〜3:2の範囲内である。
矩形であれば、金属細線と電子部品、および基板との密着力の両方を確保できると共に、細線同士の接触による不良がおきにくいため最も好ましい形状である。先に述べたように、本発明では、各層中の触媒量、種類と共に、露光、現像の最適化により、この断面形状の制御をすることが可能である。
機能性層をあらかじめ平滑なフィルム上に塗布しておき基板に張り合わせた後、露光、現像後、フィルムを剥離し基板に転写することで得られる細線は、フィルムを剥離するときに細線の露出上部が平坦な形状になるため部品の接着の観点からは好ましい形状である。
細線が単なる金属フィラメントの集合体の形状であるときは、先に述べたように無電解銅メッキなどにより緻密な金属細線とすることができる。メッキの厚さが少なくても良好な電気伝導性を有する金属細線となるため、元のフィラメントの集合体であった時点での断面形状がほぼ維持できる。そのため、メッキ前の細線形状も矩形であることが好ましい。
細線の幅は、実用上、好ましくは1μm以上200μm以下であり、更に好ましくは10μm以上100μm以下である。また、細線の高さ/幅の比(いわゆるアスペクト比)は、0.05以上10以下であることが好ましく、更に好ましくは0.1以上5以下である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
(実施例1)
厚さ200μmのガラスエポキシ基板の両面に、8W・分/mのコロナ放電処理を施した基板に、下引加工を行った。即ち、この基板の一方の面に下引塗布液a−1を乾燥膜厚が0.2μmになるように22℃、100m/分で塗設し、140℃で乾燥して機能性層側下引層を形成し、下引下層A−1層とした。また、反対側の面にバッキング層下引層として下記下引塗布液b−1を乾燥膜厚が0.12μmになるように22℃、100m/分で塗設し、140℃で乾燥させてバッキング層側に帯電防止機能を持つ下引導電層を設け、下引下層B−1とした。
下引下層A−1と下引下層B−1の表面に、8W・分/mのコロナ放電を施し、下引下層A−1の上には下記下引塗布液a−2を乾燥膜厚 0.03μmになるように33℃、100m/分で塗設し、140℃で乾燥させて下引上層A−2とし、下引下層B−1の上には下記下引塗布液b−2を乾燥膜厚0.2μmになるように33℃、100m/分で塗設し、140℃で乾燥させて下引上層B−2とし、更に123℃で2分間支持体を熱処理し25℃、50%RHの条件下で巻き取り、下引済み試料を作製した。
次に後述する方法により調製したバックコート層塗布液、バックコート層保護層塗布液を、乾燥膜厚がそれぞれ3.5μmになるように、下引上層B−2上に押出し(エクストルージョン)コーターにて塗布速度50m/minにて塗布を行った。尚、乾燥は乾燥温度100℃、露点温度10℃の乾燥風を用いて5分間かけて行った。
続いて第1の機能性層塗布液と機能性層保護層塗布液を押出しコーターにより塗布速度50m/minにて、下引上層A−2上に同時重層塗布した。塗布は、塗布銀量が1.5g/m、機能性層保護層(表面保護層)は乾燥膜厚で1.0μm、乾燥温度75℃、露点温度10℃の乾燥風を用いて10分間乾燥を行い、基板作製用フィルムを作製した。
以下に下引塗布液a−1、下引塗布液a−2、下引塗布液b−1、下引塗布液b−2、バックコート層塗布液、バックコート層保護層塗布液、第1の機能性層塗布液、機能性層保護層塗布液の調製方法をそれぞれ示す。
[下引塗布液a−1の調製]
アクリル系ポリマーラテックスC−1(固形分30%) 70.0g
エトキシ化アルコールとエチレンホモポリマーの水分散物(固形分10%) 5.0g
界面活性剤 0.1g
以上に蒸留水を加えて1000mlとし、塗布液a−1とした。
[下引塗布液a−2の調製]
変性水性ポリエステルD−1(18質量%) 30.0g
界面活性剤 0.1g
真球状シリカマット剤(日本触媒(株)製 シーホスターKE−P50) 0.04g
以上に蒸留水を加えて1000mlとし、塗布液a−2とした。
[下引塗布液b−1の調製]
アクリル系ポリマーラテックスC−2(固形分30%) 30.0g
アクリル系ポリマーラテックスC−3(固形分30%) 7.6g
SnOゾル 180g
界面活性剤 0.5g
PVA−613(クラレ(株)製 PVA)5質量%水溶液 0.4g
以上に蒸留水を加えて1000mlとし、塗布液b−1とした。
[下引塗布液b−2の調製]
変性水性ポリエステルD−2(18質量%) 145.0g
真球状シリカマット剤(日本触媒(株)製 シーホスターKE−P50) 0.2g
界面活性剤 0.1g
以上に蒸留水を加えて1000mlとし、塗布液b−2とした。
アクリル系ポリマーラテックスC−1〜C−3の調製は表1の処方に従って乳化重合法により調製した。また固形分濃度は全て30質量%とした。
Figure 2010080474
変性水性ポリエステルD−1及びD−2の調製は以下の処方によって調製した。
まず、テレフタル酸ジメチル35.4質量部、イソフタル酸ジメチル33.63質量部、5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩17.92質量部、エチレングリコール62質量部、酢酸カルシウム・一水塩0.065質量部、酢酸マンガン四水塩0.022質量部を、窒素気流下において、170〜220℃でメタノールを留去しながらエステル交換反応を行った後、リン酸トリメチル0.04質量部、重縮合触媒とし三酸化アンチモン0.04質量部及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸6.8質量部を加え、220〜235℃の反応温度で、ほぼ理論量の水を留去しエステル化を行った。
その後、更に反応系内を約1時間かけて減圧、昇温し最終的に280℃、133Pa以下で約1時間重縮合を行い、水性ポリエステルを合成した。得られた水性ポリエステルの固有粘度は0.33、平均粒径は40nm、Mw=80000〜100000であった。
次いで、撹拌翼、環流冷却管、温度計を付した2Lの3つ口フラスコに、純水850mlを入れ、撹拌翼を回転させながら、先ほど調製した水性ポリエステル150gを徐々に添加した。室温でこのまま30分間撹拌した後、1.5時間かけて内温が98℃になるように加熱し、この温度で3時間加熱溶解した。加熱終了後、1時間かけて室温まで冷却し、一夜放置して、15質量%の水性ポリエステル溶液を調製した。
次に撹拌翼、環流冷却管、温度計、滴下ロートを付した3Lの4つ口フラスコに、前記15質量%の水性ポリエステル溶液1900mlを入れ、撹拌翼を回転させながら、内温度を80℃まで加熱する。この中に、過酸化アンモニウムの24質量%水溶液を6.52ml加え、モノマー混合液(スチレン39.5g、グリシジルメタクリレート40g、アセトアセトキシエチルメタクリレート20g、n−ブチルアクリレート0.5g)を30分間かけて滴下し、更に3時間反応を続ける。その後、30℃以下まで冷却、濾過して、固形分濃度が18質量%の変性水性ポリエステルD−1溶液(ビニル系成分変性比率36質量%)を調製した。
次にビニル変性比率を20質量%にし、変性成分をメタクリル酸グリシジル28.5g、アクリル酸エチル21.4g、メタクリル酸メチル21.4gにした以外は同様にして、固形分濃度が18質量%の変性水性ポリエステルD−2溶液(ビニル系成分変性比率20質量%)を調製した。
また、SnOゾルは特公昭35−6616号公報の実施例1に記載の方法で合成した。SnOゾルを固形分濃度が10質量%になるように加熱濃縮した後、アンモニア水でpH=10(25℃において)に調整したものを使用した。
界面活性剤は以下に示す化合物を使用した。
Figure 2010080474
[バックコート層塗布液の調製]
メチルエチルケトン(MEK)830gを撹拌しながら、セルロースアセテートプロピオネート(EastmanChemical社製:CAP482−20)84.2g及びポリエステル樹脂(Bostic社:VitelPE2200B)4.5gを添加し溶解した。次に、溶解した液に0.30gの下記赤外染料を添加し、更にメタノール43.2gに溶解したフッ素系界面活性剤(旭硝子社製:サーフロンKH40)4.5gとフッ素系界面活性剤(大日本インキ社製:メガファックF120K)2.3gを添加して、溶解するまで十分に攪拌を行った。次にオレイルオレート2.5gを添加、撹拌しバックコート層塗布液を調製した。
Figure 2010080474
[バックコート層保護層塗布液の調製]
バックコート層保護層についても下記の組成比率でバックコート層塗布液と同様にして調製した。シリカについてはMEKに1%の濃度でディゾルバ型ホモジナイザにて分散を行い、最後に添加した。
セルロースアセテートプロピオネート(10%MEK溶液) 15g
(Eastman Chemical社製:CAP482−20)
単分散度15%の単分散シリカ(平均粒径:10μm) 0.03g
(シリカ全質量の1%のアルミニウムで表面処理)
17(CHCHO)1217 0.075g
フッ素系界面活性剤(SF−1) 0.01g
フッ素系ポリマー(FM−1) 0.05g
ステアリン酸 0.10g
ステアリン酸ブチル 0.10g
α−アルミナ(モース硬度9) 0.10g
Figure 2010080474
[第1の機能性層塗布液の調製]
不活性気体雰囲気下(窒素97%)において、下記の方法により調製した感光性乳剤分散液36.2g及びMEK15.11gを撹拌しながら21℃に保温し、化学増感剤S−5(0.5%メタノール溶液)1000μlを加え、2分後にカブリ防止剤1(10%メタノール溶液)390μlを加えて1時間撹拌した。更に臭化カルシウム(10%メタノール溶液)494μlを添加して10分撹拌した後に上記の有機化学増感剤の1/20モル相当の金増感剤Au−5を添加し、更に20分撹拌した。続いて、下記の方法により調製した安定剤液167μlを添加して10分間撹拌した後、1.32gの下記の方法により調製した赤外増感色素液を添加して1時間撹拌した。その後、温度を13℃まで降温して更に30分撹拌した。13℃に保温したまま、0.5gの(添加液E−1)、0.5gの(添加液E−2)、0.5gの(添加液E−3)、ポリビニルブチラール(積水化学BL−S)を13.31gを添加して30分撹拌した後、テトラクロロフタル酸(9.4%MEK溶液)1.084gを添加して15分間撹拌した。更に撹拌を続けながら、12.43gの(添加液E−4)、1.6mlのDesmodurN3300/モーベイ社製の脂肪族イソシアネート(10%MEK溶液)、4.27gの(添加液E−5)、4.0gの(添加液E−6)を順次添加し撹拌することにより第1の機能性層塗布液を得た。
[安定剤液の調製]
1.0gの安定剤1、0.31gの酢酸カリウムをメタノール4.97gに溶解し安定剤液を調製した。
[赤外増感色素液の調製]
9.6mgの赤外増感色素1、9.6mgの赤外増感色素2、1.488gの2−クロロ安息香酸、2.779gの安定剤2及び365mgの5−メチル−2−メルカプトベンズイミダゾールを31.3mlのMEKに暗所にて溶解し赤外増感色素液を調製した。
なお、第1の機能性層塗布液の調製に用いた添加液E−1〜添加液E−6は下記の方法により調製した。
[添加液E−1の調製]
0.1gの強色増感剤1をMEK9.9gに溶解し、添加液E−1とした。
[添加液E−2の調製]
0.5gのp−トルエンチオスルホン酸カリウム、0.5gのカブリ防止剤6をMEK9.0gに溶解し、添加液E−2とした。
[添加液E−3の調製]
1.0gのビニルスルホン〔(CH=CH−SOCHCHOH〕を含有するカブリ防止剤をMEK9.0gに溶解し、添加液E−6とした。
[添加液E−4の調製]
還元剤RD−1の4.20g、RD−2の23.78g、1.54gの4−メチルフタル酸、0.48gの前記赤外染料1をMEK110.0gに溶解し、添加液E−4とした。
[添加液E−5の調製]
1.56gのカブリ防止剤2、0.5gのカブリ防止剤3、0.5gのカブリ防止剤4、0.5gのカブリ防止剤5、3.43gのフタラジンをMEK40.9gに溶解し添加液E−5とした。
[添加液E−6の調製]
省銀化剤(SE1−1)0.05g、をMEK39.95gに溶解し添加液E−6とした。
[感光性乳剤分散液の調製]
感光性層(画像形成層)のバインダーとして、前記光重合性組成物14.57gをMEK1457gに溶解し、VMA−GETZMANN社製ディゾルバDISPERMAT CA−40M型にて撹拌しながら、下記の方法により調製した粉末有機銀塩500gを徐々に添加して十分に混合することにより予備分散液を調製した。
上記の方法で調製した予備分散液に対し、ミル内滞留時間が1.5分間となるように、0.5mm径のジルコニアビーズ(東レ社製:トレセラム)を内容積の80%充填したメディア型分散機DISPERMATSL−C12EX型(VMA−GETZMANN社製)に供給し、ミル周速8m/sにて分散を行うことにより感光性乳剤分散液を調製した。
[粉末有機銀塩の調製]
4720mlの純水にベヘン酸130.8g、アラキジン酸67.7g、ステアリン酸43.6g、パルミチン酸2.3gを80℃で溶解した。次に1.5モル/Lの水酸化カリウム水溶液540.2mlを添加し濃硝酸6.9mlを加えた後、55℃に冷却して脂肪酸カリウム溶液を得た。上記の脂肪酸カリウム溶液の温度を55℃に保ったまま、下記の方法により調製した感光性ハロゲン化銀粒子乳剤45.3gと純水450mlを添加し5分間撹拌した。次に1モル/Lの硝酸銀溶液468.4mlを2分間かけて添加し、10分間撹拌し有機銀塩分散物を得た。
その後、得られた有機銀塩分散物を水洗容器に移し、脱イオン水を加えて撹拌後、静置させて有機銀塩分散物を浮上分離させ、下方の水溶性塩類を除去した。その後、排水の電導度が2μS/cmになるまで脱イオン水による水洗、排水を繰り返し、遠心脱水を実施した後、得られたケーキ状の有機銀塩を、気流式乾燥機フラッシュジェットドライヤー(セイシン企業社製)を用いて、窒素ガス雰囲気及び乾燥機熱風温度の運転条件(入口65℃、出口40℃)により含水率が0.1%になるまで乾燥して乾燥済みの粉末有機銀塩を得た。尚、有機銀塩組成物の含水率測定には赤外線水分計を使用した。
[感光性ハロゲン化銀粒子乳剤の調製]
特公昭58−58288号公報に示される混合撹拌機を用いて(溶液G−1)に(溶液G−2)の1/4量及び(溶液G−3)全量を20℃、pAg8.09に制御しながら、同時混合法により4分45秒を要して添加し核形成を行った。1分後に(溶液G−4)の全量を添加した後に、下記の化合物(TPPS)の0.1%エタノール溶液を4ml添加した。この間、pAgの調整を0.4モル/L臭化カリウム水溶液を用いて適宜行った。6分間経過後、(溶液G−2)の3/4量及び(溶液G−5)の全量を、20℃、pAg8.09に制御しながら、14分15秒かけて同時混合法により添加した。5分間撹拌した後、40℃に降温し、56%酢酸水溶液18.0mlを添加し、ハロゲン化銀乳剤を沈降させた。沈降部分2000mlを残して上澄み液を取り除き、水を10L加え、撹拌後、再度ハロゲン化銀乳剤を沈降させた。沈降部分1500mlを残し、上澄み液を取り除き、更に水を10L加え、撹拌後、ハロゲン化銀粒子乳剤を沈降させた。沈降部分1500mlを残し、上澄み液を取り除いた後、(溶液G−6)を加え、60℃に昇温し、更に120分撹拌した。最後にpHが5.8になるように調整し、銀量1モル当たり1161gになるように水を添加し、感光性ハロゲン化銀粒子乳剤を得た。
この乳剤は、平均粒径25nm、粒径の変動係数12%、〔100〕面比率92%の単分散立方体沃臭化銀粒子であった(AgIの含有率は3.5モル%)。
なお、感光性ハロゲン化銀粒子乳剤の調製に用いた溶液G−1〜G−6溶液は下記の方法により調製した。
[溶液G−1の調製]
フェニルカルバモイル化ゼラチン88.3g、HO(CHCHO)n〔CH(CH)CHO〕17(CHCHO)mH(m+n=5〜7)の10%メタノール水溶液10ml、臭化カリウム0.32gを水5429mlで溶解させ溶液G−1とした。
[溶液G−2の調製]
0.67モル/L硝酸銀水溶液2635mlを調製し溶液G−2とした。
[溶液G−3の調製]
臭化カリウム50.69g、沃化カリウム2.66gを水660mlで溶解させ溶液G−3とした。
[溶液G−4の調製]
水酸化カリウム0.71gを水20mlで溶解させ溶液G−4とした。
[溶液G−5の調製]
臭化カリウム151.6g、沃化カリウム7.67g、ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウム:K(IrCl)(1%水溶液)0.93ml、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム0.004g、ヘキサクロロオスミウム(IV)酸カリウム0.004gを水1982mlで溶解させ溶液G−5とした。
[溶液G−6の調製]
無水炭酸ナトリウム1.72gを水151mlで溶解させ溶液G−6とした。
Figure 2010080474
Figure 2010080474
Figure 2010080474
[機能性層保護層]
得られた機能性層の上に、28μmのポリエチレンフィムを張り合わせ、ホットロールラミネーターにより75℃でラミネートし保護層とした。
〈露光及び現像処理〉
上記のように作製した基板作製用フィルムの機能性層塗設面側から、高周波重畳にて波長800〜820nmの縦マルチモード化された半導体レーザを露光源とした露光機により、レーザ走査により格子状にパターン露光(ライン/スペース=10μm/190μm)を与えた。
その後、ヒートドラムを有する自動現像機を用いて、試料の表面保護層とドラム表面が接触するようにして、123℃で15秒間熱現像処理した。その際、露光及び現像は23℃、50%RHに調湿した部屋で行った。
最後にポリエチレンフィルムをはがし40℃のMEK浴に10分間浸漬し、その後イソプロピルアルコールで十分に洗浄・乾燥させサンプル1を作製した。
細線断面形状の観察:レーザーで基板ごと切断し、断面を走査電子顕微鏡(SEM)観察した。フィラメント成長部はポリマーと絡まり脱落せず残った。細線断面形状は、底幅5μm、上幅10μm、高さ15μmほぼ逆台形を有していた。
(実施例2)
実施例1にて作製したサンプル1に対しメッキ処理を下記の方法により行い、サンプル2とした。サンプル2の細線断面形状は、底幅7μm、上幅10μm、高さ16μmほぼ逆台形を有していた。
[メッキ処理]
硫酸銅0.06mol/L、ホルマリン0.22mol/L、トリエタノールアミン0.12mol/L、ポリエチレングリコール100ppm、黄血塩50ppm、α,α′ビピリジン20ppmを含有するpH=12.5(25℃における)の無電解Cuメッキ液を調製し、前記Cuメッキ液を用い、45℃にて無電解銅メッキ処理を行ったのち、10ppmのFe(III)イオンを含有する水溶液で酸化処理を行った。
(実施例3)
実施例1の基板を東レ・デュポン製「カプトン100H」に変更し、下引上層A−2と第1の機能性層の間に下記処方に基づいて調製した第2の機能性層塗布液を押出しコーターにより塗布速度50m/minにて塗布し乾燥させることにより触媒層を設けた以外は実施例1と同様の方法にて基板作製用フィルムを作製した。
以下に第2の機能性層塗布液の調製法を示す。
[第2の機能性層塗布液の調製]
2gの硝酸パラジウムが溶解した硝酸パラジウム水溶液100gに、0.39gの無水シュウ酸が溶解したシュウ酸水溶液20gを添加し、室温下で30分間攪拌して、シュウ酸パラジウムキレート化合物を形成させた後、さらに0.924gのポリビニルアルコール(クラレ社製、PVA205、重合度500、ケン化度88)が溶解したポリビニルアルコール水溶液40gを添加し、温度70℃の下で2時間攪拌して、パラジウム、シュウ酸、ポリビニルアルコールから構成された感光性パラジウム高分子キレート化合物を製造した。
また、感光性パラジウム高分子キレート化合物水溶液に、2−プロパノールをその含有量が30質量%となるように添加して、無電解メッキ用塗布液を製造した。この第2の機能性層塗布液は感光性パラジウム高分子キレート化合物を0.25質量%(金属パラジウム換算)含有するものであった。
スピンコータ法(回転数500rpm)により、透明導電膜付きガラス板上に前記第2の機能性層塗布液を塗布し、温度60℃の乾燥機中にて10分間プレベークして、第2の機能性層を形成した。
〈露光及び現像処理〉
上記のように作製した基板作製用フィルムの機能性層塗設面側から、高周波重畳にて波長800〜820nmの縦マルチモード化された半導体レーザー及び紫外線ライト(375nm、1J/cm)を露光源とした露光機により、テストパターンフォトマスクを用いて格子状にパターン露光(ライン/スペース=10μm/190μm)を与えた。
その後、ヒートドラムを有する自動現像機を用いて、試料の表面保護層とドラム表面が接触するようにして、123℃で15秒間熱現像処理した。その際、露光及び現像は23℃、50%RHに調湿した部屋で行った。
最後にポリエチレンフィルムをはがし、続いて40℃の1%NaCO水溶液に10分間浸漬後、純水でリンス後乾燥させた。
最後に実施例2の方法に従ってメッキ処理を行いサンプル3を作製した。
細線断面形状の観察:レーザーで基板ごと切断し、断面をSEM観察した。フィラメント成長部はポリマーと絡まり脱落せず残った。細線断面形状は、底幅15μm、上幅10μm、高さ15μmのほぼ台形を有していた。
(実施例4)
実施例3において紫外線ライトによるパターン露光(ライン/スペース=5μm/195μm)を行った後、ラインの中心が重なるようにして半導体レーザによるパターン露光(ライン/スペース=10μm/190μm)を行った以外は実施例3と同様の条件でサンプル4を作製した。出来上がったサンプル4の断面形状は幅15μm、高さ10μmの矩形であった。
(実施例5)
実施例3においてポリビニルブチラールを下記の処方に従って作製した光重合性組成液F−1に変更したこと以外は同一の条件でサンプル5を作製した。出来上がったサンプル5の断面形状は幅15μm、高さ10μmの矩形であった。なお、F−1は、めっき中に完全に溶解除去され、得られた細線中にはほとんど存在していなかった。
以下に光重合性組成液F−1の調製方法を示す。
[光重合性組成液F−1の調製]
MMA/BA/スチレン/MAA=30/25/20/25質量比の組成を有し、重量平均分子量が70000の共重合体の35%メチルエチルケトン溶液 142質量部
トリメチロールプロパントリメタクリレート(大日本インキ(株)製) 20質量部
ポリエチレングリコール#400ジアクリレート(日本油脂(株)製) 15質量部
N−フェニルグリシン(東京化成(株)製) 0.15質量部
(実施例6)
厚さ175μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)の両面に、8W・分/mのコロナ放電処理を施した基板を用意し、実施例1の方法に従って前記フィルム一方のフィルムには実施例1の方法に従って前記フィルム一方の面に下引下層A−1及び下引上層A−2をこの順に押し出しコーターを使って塗布、成膜し、前記フィルムの下引下層A−1及び下引上層A−2とは反対側の面に下引下層B−1及び下引上層B−2をこの順に塗布、成膜した。前記フィルムの下引上層B−2上に実施例1の方法に従ってバックコート層及びバックコート層保護層をこの順に押し出しコート法により設けた。さらに実施例1に記載の第1の機能性層塗布液、機能性保護層塗布液及び実施例3に記載の第2の機能性層塗布液を用い、押し出しコート法によりフィルム面から機能性保護層、第2の機能性層、第1の機能性層の順に層形成、プレベークをして基板フィルムH−1とした。
基板フィルムH−1に対し実施例3に記載の方法に従って露光、123℃で15秒間熱現像処理し、その後イソプロピルアルコールで十分に洗浄した。続いて40℃のNaCO水溶液に10分間浸漬後、純水でリンス後乾燥させ回路パターンを得た。
別に用意した、ポリアミドフィルム(東レ・デュポン製 カプトン100H)に、8W・分/mのコロナ放電処理を施した。上記で得られた回路パターンを有する基板フィルムH−1と張り合わせ、カプトン基板側から130℃で30秒間熱処理したのち、基板フィルムH−1のPETフィルムのみをはがし、回路パターンを有するポリアミドフィルムを得た。
最後に実施例2の方法に従ってメッキ処理を行い、サンプル6を作製した。
細線断面形状の観察:レーザーで基板ごと切断し、断面をSEM観察した。細線断面形状は、底幅10μm、上幅15μm、高さ15μmのほぼ台形を有していた。
(実施例7)
実施例6で作製した基板フィルムH−1と実施例6のコロナ放電処理を施したポリアミドフィルムを張り合わせ、基板フィルムH−1側から紫外線ライトによるパターン露光(ライン/スペース=5μm/190μm)を行った後、半導体レーザーによるパターン露光(ライン/スペース=10μm/190μm)を行った。
その後基板フィルムH−1のポリエチレンテレフタレートフィルムのみをはがし、40℃のMEK浴に10分間浸漬し、その後イソプロピルアルコールで十分に洗浄した。続いて40℃のNaCO水溶液に10分間浸漬後、純水でリンス後乾燥させた。更に実施例2の方法に従ってメッキ処理を行いサンプル7を作製した。
細線断面形状の観察:レーザーで基板ごと切断し、断面をSEM観察した。細線断面形状は、幅、高さ15μmのほぼ矩形を有していた。なお、F−1は、めっき中に完全に溶解除去され、得られた細線中にはほとんど存在していなかった。
(比較例1)
実施例3で、金属供給源である第1の機能性層を塗布しなかった以外は実施例3と同様の方法に従ってサンプル8を作製した。メッキ処理は断面積が実施例3の断面積と同等になるまで行った。サンプル6の断面の形状は幅20μm高さ8μmの蒲鉾状のであった。サンプル8はメッキ処理までに長時間を要した上、得られた細線の断面形状がかまぼこ状で、電子部品接着性の信頼性が乏しく、好ましいものではなかった。
(比較例2)
実施例3のサンプル作製法において最後の基板洗浄を行わないまま、実施例2に記載の方法に従ってメッキ処理を行いサンプル9とした。サンプル9の断面積は幅10μm、高さ15μmのほぼ矩形を有していた。しかし、不要な有機物が基板上に大量に残存しているため、半田リフロー(270℃、10分)による部品実装後に容易に部品が脱落してしまった。実施例1〜7で得られたプリント配線板へ電子部品を実装した場合、そのような部品の脱落は見られなかった。特に、5〜7で得られたプリント配線基板では、部品の脱落が少なかった。
(実施例8)
比較例2で得られたサンプルを実施例3の方法に従って洗浄・乾燥しサンプル10とした。サンプル10は実施例1〜7で得られたプリント配線板同様、電子部品を実装した場合に部品の脱落は見られなかった。
以上より、本発明のプリント配線板作製用フィルム及びプリント配線板作製方法及びによればプリント配線基板に求められる高品質な細線を簡易なプロセスで作製することができることが分かる。特に、回路基板の導線の厚さを増やす一方で導線の幅の細線化を図り、高密度かつ低抵抗の回路基板の作製を容易に行うことができることが分かる。

Claims (5)

  1. 金属イオンの還元反応により金属細線を形成するプリント配線板作製用フィルムであって、基板上に露光・加熱後に除去し得る金属供給源と当該金属細線の形成に必要な触媒ないし触媒前駆体とを含有する機能性層を有することを特徴とするプリント配線板作製用フィルム。
  2. 前記機能性層が、感光性樹脂を含有することを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板作製用フィルム。
  3. 前記触媒ないし触媒前駆体を含有する機能性層を2層以上有することを特徴とする請求項1又は2に記載のプリント配線板作製用フィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のプリント配線板作製用フィルムを用いるプリント配線板作製方法であって、基板上に金属供給源と金属細線の形成に必要な触媒ないし触媒の前駆体とを含有する機能性層を設けた後、露光・加熱することで当該金属細線を形成し、その後に当該金属供給源を除去することを特徴とするプリント配線板作製方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のプリント配線板作製用フィルムを用いて作製されたことを特徴とするプリント配線板。
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