JP2010078891A - 平版印刷版原版の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】親水性支持体上に、(A)増感色素、(B)重合開始剤、(C)重合性化合物、及び、(D)バインダーポリマーを含有する感光層を塗布乾燥する工程と、(E)ポリビニルアルコール、及び、(F)シリカ化合物を含有する保護層を塗布乾燥する工程とをこの順で有し、該(F)シリカ化合物の最大粒径の、1.0倍以上4.0倍以下の公称濾過精度を有するフィルターを1つ以上使用して、調液後から塗布の間に保護層塗布液を濾過する工程を有することを特徴とする平版印刷版原版の製造方法。
【選択図】図2
Description
一方、塗布液中の異物及び凝集性粒子を除去し安定性製造する方法として、特許文献2にはフィルターを経由して塗布装置に塗布液を送液する方法が提案されている。
<1> 親水性支持体上に、(A)増感色素、(B)重合開始剤、(C)重合性化合物、及び、(D)バインダーポリマーを含有する感光層を塗布乾燥する工程と、(E)ポリビニルアルコール、及び、(F)シリカ化合物を含有する保護層を塗布乾燥する工程とをこの順で有し、該(F)シリカ化合物の最大粒径の、1.0倍以上4.0倍以下の公称濾過精度を有するフィルターを1つ以上使用して、調液後から塗布の間に保護層塗布液を濾過する工程を有することを特徴とする平版印刷版原版の製造方法、
<2> 前記保護層塗布液を濾過する工程が、保護層塗布液をリザーバーから塗布装置に送液する工程で行われる、<1>に記載の平版印刷版原版の製造方法、
<3> 前記(F)シリカ化合物量が保護層全固形分に対し、1重量%以上20重量%以下である、<1>又は<2>に記載の平版印刷版原版の製造方法、
<4> 前記(E)ポリビニリアルコール量が保護層全固形分に対し、75重量%以上97重量%以下である、<1>〜<3>いずれか1つに記載の平版印刷版原版の製造方法、
<5> 塗布乾燥後の保護層塗布量が、1.0g/m2以上2.5g/m2以下である、<1>〜<4>いずれか1つに記載の平版印刷版原版の製造方法、
<6> 前記(F)シリカ化合物が雲母化合物である、<1>〜<5>いずれか1つに記載の平版印刷版原版の製造方法、
<7> 前記雲母化合物の最大粒径が0.4μm以上20μm以下である、<6>に記載の平版印刷版原版の製造方法。
本発明の平版印刷版原版の製造方法は、親水性支持体上に、(A)増感色素、(B)重合開始剤、(C)重合性化合物、及び、(D)バインダーポリマーを含有する感光層を塗布乾燥する工程と、(E)ポリビニルアルコール、及び、(F)シリカ化合物を含有する保護層を塗布乾燥する工程とをこの順で有し、該(F)シリカ化合物の最大粒径の、1.0倍以上4.0倍以下の公称濾過精度を有するフィルターを1つ以上使用して、調液後から塗布の間に保護層塗布液を濾過する工程を有することを特徴とする。
また、前記保護層塗布液を濾過する工程が、保護層塗布液を調液タンクから塗布装置に送液するいずれかの工程で行われることが好ましく、保護層塗布液をリザーバーから塗布装置に送液する工程で行われることがより好ましい。
また、特許文献2に記載の発明では、単にフィルターを使用することが記載されているのみであり、塗布液中に添加する特定の分散物は捕捉させずに、塗布液中で生成する微細な不要物を効率よく捕捉する手段については何ら開示されていない。
平版印刷版原版は、親水性支持体とこの上に塗設された感光層(画像形成層)及び保護層をこの順として有し、親水性支持体と感光層の中間に中間層を設けてもよく、親水性支持体に関して感光層とは反対側にバックコート層を設けることもできる。
図1は、平版印刷版原版の製造方法の全体を示す概略図である。なお、図1において、矢印Aは支持体(以下、ウェブWとも示す。)の進行方向を示す。
図1において、平版印刷版原版の製造ライン10は、主に、ウェブWを送り出す送り出し装置12と、ウェブWの塗布表面を処理する表面処理部14と、感光層塗布液Lを調製・供給する感光層塗布液調製部20と、ウェブWに感光層塗布液を塗布する感光層塗布部30と、塗布した感光層を乾燥させる感光層乾燥部32と、保護層塗布液を調製・供給する保護層塗布液調製部50と、感光層の上に保護層を塗布する保護層塗布部(保護層塗布装置)40と、保護層を乾燥する保護層乾燥部42と、ウェブWを巻き取る巻き取り装置44とを備えている。なお、図1に示す平版印刷版原版の製造装置は一例であり、例えば、感光層塗布液を塗布する前に下塗り塗布液を塗布する塗布部を設けてもよく、あるいは、保護層の乾燥部の後に、保護層の水分を調整する調湿装置を設けてもよい。
まず、表面処理部14では、例えば、ウェブWと感光層との密着性を良好にし、かつ、非画像部に保水性を与えるため、脱脂処理、ウェブWの表面を粗面化する粗面化処理(砂目立て処理等)、ウェブWの耐摩耗性、耐薬品性、保水性を向上させるために表面に酸化被膜を形成させる陽極酸化処理、陽極酸化被膜の被膜強度、親水性、感光層との密着性を向上させるシリケート処理等の、ウェブWに必要な前処理が施される。
塗布部30は、塗布液調製部20で調製した感光層塗布液をウェブW表面に塗布する装置である。塗布方法としては、例えば、スライドビード塗布方法、カーテン塗布方法、バー塗布方法、回転塗布方法、スプレー塗布方法、ディップ塗布方法、エアーナイフ塗布方法、ブレード塗布方法、ロール塗布方法等が使用され、特に限定されないが、中でも、スライドビード塗布方法、カーテン塗布方法、バー塗布方法等が好ましく使用される。なお、図1ではバー塗布として図示してある。
乾燥部32は、ウェブWに形成された感光層を乾燥させる装置である。これにより、ウェブWに形成された感光層が、公知の乾燥方法により乾燥される。
以下、図2を参照して、詳細に説明する。ここで、図2は、本発明における保護層塗布液の調液から塗布までの工程の一例を説明するための概略図である。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
図2に示されるように、保護層塗布液調製部50は、調液タンク51、ストックタンク52、及び、リザーバー54を含んで構成されている。
調液タンク51は、(E)ポリビニルアルコール、及び、(F)シリカ化合物の必須成分と、必要に応じて用いられた任意成分と、を溶剤に溶解及び/又は分散することで調液された保護層塗布液を貯留する。調液タンク51は、パイプ(不図示)を介して各種原料タンク(不図示)に連通されており、該原料タンクからパイプを介して所望の量の原料が調液タンク51に供給可能に構成されている。また、調液タンク51には、固体原料や、投入量の少ない原料を手投入するための開閉可能な投入口が設けられていてもよい。
また、調液タンク51には、調液タンク51内に貯留された保護層塗布液を撹拌するためのプロペラ状等の撹拌部材80が設けられており、支持軸81を介してモータ82に支持されている。
また、この調液タンク51には、図示を省略するヒーターや冷却装置等の温度調整部材が設けられていることも好ましい。この温度調整部材は、制御部に信号授受可能に接続されており、制御部の制御によって、調液タンク51に貯留された塗布液の温度を所定温度となるように調整可能に設けられていることが好ましい。
なお、本発明において、循環管62及び循環ポンプ63を省略することもできる。なお、循環管62及び循環ポンプ63は、経時沈降する成分を有する保護層塗布液について使用するものであり、液を静置しないことが重要である。従って、調液タンク51と同様に、撹拌部材を備えるものとすることもできる。
開閉弁66及び送液ポンプ65は、制御部に接続されており、制御部の制御によってストックタンク52からリザーバー54への送液が制御される。
リザーバー54に貯留された塗布液は、制御部の制御によって、送液管67を介して保護層塗布部(保護層塗布装置)40へと供給され、支持体への保護層塗布液の塗布が開始される。
図2において、調液タンク51からストックタンク52へ送液する間にフィルター90で濾過する工程を有していてもよく、また、ストックタンク52の循環管62にフィルター91を配置し、濾過してもよい。さらに、ストックタンク52からリザーバー54への送液の間にフィルター92で濾過してもよく、また、リザーバー54から保護層塗布部(保護層塗布装置)40へ送液する間にフィルター93で濾過してもよい。
本発明において、調液タンク51から保護層塗布部(保護層塗布装置)40に送液する間に保護層塗布液が含有するシリカ化合物の最大粒径の1.0倍以上4.0倍以下の公称濾過精度を有するフィルターを使用して保護層塗布液を濾過する工程を少なくとも1つ以上有していればよく、いずれの位置で濾過してもよい。
これらの中でも、最も下流である、リザーバー54から保護層塗布部(保護層塗布装置)40へ送液する間にフィルター93で濾過することが好ましい。
本発明の平版印刷版原版の製造方法は、保護層塗布液が含有するシリカ化合物の最大粒径の1.0倍以上4.0倍以下の公称濾過精度を有するフィルターを1つ以上使用して保護層塗布液を濾過する工程を有する。
ここで、公称濾過精度とは、JIS−B 8356の方法によりフィルターメディアを透過する捕集効率99.98%のコンタミナント粒径を意味する。
前記フィルターの公称濾過精度は、シリカ化合物の最大粒径の1.5倍以上3.0倍以下であることが好ましく、より好ましくは1.5倍以上2.0倍以下である。
本発明に好適に使用できるフィルターの例としては、サーフェスタイプについては日本ポール(株)製エポセル、ポールセル、リジメッシュ、ウルチプリーツ;(株)ロキテクノ製ミクロピュア、サスピュア;東洋濾紙(株)製TCP、TCPE、TCなどが挙げられる。また、デプスタイプについては日本ポール(株)製プロファイル、プロファイルII;(株)ロキテクノ製マイクロシリア、スロープピュア、ダイア、ダイアII(P)、ダイアII(C)、ピュアロン、シリアクリーン、SL、SLN、グラスロン;東洋濾紙(株)製TCPD、TCW−PP、TCW−CS、TCW−EP、日本フィルター(株)製エレクリーンなどが挙げられるがこれらに限定されない。
本発明において、平版印刷版原版の製造方法は、保護層を塗布乾燥する工程を有する。該保護層は、(E)ポリビニルアルコール及び(F)シリカ化合物を含有し、保護層塗布液は、これに溶剤、界面活性剤等を添加したものである。
前記保護層は、25℃、1気圧下における酸素透過性Aが1.0≦A≦30(mL/m2・day)であることが好ましい。酸素透過性Aが1.0(mL/m2・day)以上であると、製造時・生保存時における不要な重合反応を抑制でき、また画像露光時に、不要なカブリ、画線の太りが生じたりという問題を生じることを抑制できる。また、酸素透過性Aが30(mL/m2・day)以下であると、感度に優れる。酸素透過性Aは、1.5≦A≦25(mL/m2・day)であることがより好ましく、2.0≦A≦20(mL/m2・day)であることがさらに好ましい。
また、保護層に望まれる特性としては、上記酸素透過性以外に、さらに、露光に用いる光の透過は実質阻害せず、感光層との密着性に優れ、かつ、露光後の現像工程で容易に除去できることが好ましい。このような保護層に関する工夫が従来なされており、米国特許第3,458,311号明細書、特公昭55−49729号公報に詳しく記載されている。
保護層に使用するポリビニルアルコールは、必要な酸素遮断性と水溶性を有するための、未置換ビニルアルコール単位を含有する限り、一部がエステル、エーテル、及び、アセタールで置換されていてもよい。また、同様に一部が他の共重合成分を有していてもよい。
ポリビニルアルコールの具体例としては、ポリ酢酸ビニルの71〜100モル%加水分解され、重合繰り返し単位が300から2,400の範囲のものを挙げることができる。
具体的には、(株)クラレ製のPVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117H、PVA−120、PVA−124、PVA−124H、PVA−CS、PVA−CST、PVA−HC、PVA−203、PVA−204、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−217EE、PVA−217E、PVA−220E、PVA−224E、PVA−405、PVA−420、PVA−613、L−8等が挙げられる。これらは単独又は混合して使用できる。
ポリビニルアルコールの含有率(固形分中)が99重量%以下であると、シリカ化合物の含有量を好適は範囲とすることができ、耐傷性が向上するので好ましい。また、ポリビニルアルコールの含有率(固形分中)が70重量%以上であると、酸素遮断性が良好であり、感光層の感度が良好であるので好ましい。
前記ポリビニルアルコール(PVA)等の(共)重合体の分子量は、2,000〜1,000万の範囲のものが好ましく使用でき、2万〜300万の範囲のものがより好ましく使用できる。
平版印刷版原版における保護層は、酸素遮断性や感光層表面保護性を向上させる目的で、シリカ化合物を含有する。シリカ化合物としては、シリカを含有する無機質の層状化合物、及び、シリカを含有する有機樹脂粒子が例示できる。
前記シリカを含有する無機質の層状化合物は、薄い平板状の形状を有する粒子であることが好ましく、例えば、下記式
A(B,C)2-5D4O10(OH,F,O)2
(式中、AはK、Na、Caのいずれかを表し、B及びCはFe(II)、Fe(III)、Mn、Al、Mg、Vのいずれかを表し、DはSi及び任意にAlを表す。)
で表される天然雲母、合成雲母等の雲母群、3MgO・4SiO・H2Oで表されるタルク、テニオライト、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、などが挙げられる。
本発明においては、前記層状のシリカ化合物の中でも、合成の無機質の層状化合物であるフッ素系の膨潤性合成雲母が特に有用である。
また、本発明において、シリカ化合物として、シリカを含有する有機樹脂粒子を使用することもできる。有機樹脂粒子は、平版印刷版原版の保護層表面と隣接する平版印刷版原版の支持体裏面との接着及び、保護層表面と支持体裏面との間で生じるこすりキズを抑制する。このような、マット剤として働く粒子に望まれる基本的特性は、露光に用いる光の透過は実質阻害せず、空気中の湿分や、温度によって、軟化したり、ベトついたりすることがない樹脂であって、最外部の保護層に添加することで、その表面に適当な凹凸を付与し、接着表面積を減少させるものが好ましい。
なお、シリカを含有する有機樹脂粒子をシリカ化合物として使用する場合には、シリカ化合物の最大粒径とは、シリカを含有する有機樹脂粒子全体の最大粒径を意味し、有機樹脂粒子内に含まれるシリカの最大粒径を意味するものではない。
これらの中でも、好ましい親水性ポリマーであるポリビニルアルコールとの親和性の観点から、ポリアクリル酸系樹脂、ポリウレタン系樹脂、及びメラミン樹脂などが好ましい。
シリカ粒子の形状は特に限定されないが、球形若しくは鱗片形であることが好ましく、シリカ粒子の平均一次粒子径は、1〜500nmであることが好ましく、2〜300nmであることがより好ましく、5〜100nmであることがさらに好ましい。シリカ粒子の粒子径が上記範囲内であると、有機樹脂粒子の表面近傍に偏在化することから好ましい。
また、シリカ含有有機樹脂粒子の構成としては、有機樹脂粒子表面にシリカ粒子が固体成分として付着しているものであっても、アルコキシシロキサン系化合物を縮合反応させて有機樹脂粒子表面にシロキサン系化合物層を形成したものであってもよい。
有機樹脂粒子の表面の少なくとも一部にシリカが存在することで、有機樹脂粒子表面における親水性ポリマー(好ましくはポリビニルアルコール)との親和性向上が達成され、外部応力を受けた場合でも粒子の脱落が抑制され、優れた耐傷性、耐接着性を維持することができるので好ましい。このため、本発明において、有機樹脂粒子の表面の少なくとも一部にシリカが存在する状態が好ましい。
シリカの表面被覆状態は、走査型電子顕微鏡(TEM)等による形態観察により確認することができ、また、シリカの被覆量は、蛍光X線分析などの元素分析によりSi原子を検知し、そこに存在するシリカの量を算出することで確認することができる。
また、本発明において、シリカ含有有機樹脂粒子をそのままの状態で走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し、又は、スライス片の状態で透過型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分析(TEM−EDX)にて観察することで、シリカ(例えば、コロイダルシリカ)がシリカ含有有機樹脂粒子表面付近に偏在していることを確認することもできる。
表面被覆率は、(1−開口率)で与えられ、開口率は、例えば、特開2004−307837号公報の段落0080〜0083に記載の方法により測定できる。
好ましい平均粒子径は1〜30μmφであり、よりに好ましくは、1.5〜20μmφであり、さらに好ましくは、2〜15μmφであり、特に好ましくは3〜10μmである。この範囲において十分なスペーサー機能、マット性能を発現することができ、保護層表面への固定化が容易で、外部からの接触応力に対しても優れた保持機能を有する。シリカ含有有機樹脂粒子の平均粒子径は、保護層の塗布厚よりも大きいことが好ましい。
これらの中でも、シリカ化合物は、シリカを含有する無機質の層状化合物であることが好ましく、雲母化合物であることが特に好ましい。
シリカ化合物の含有量が1重量%以上であると、耐傷性向上効果を発揮するので好ましい。また、シリカ化合物の含有量が15重量%以下であると、シリカ化合物間の相互作用が低く、酸素透過性の変化が少なく、感材の感度変動が少ないので好ましい。
保護層の乾燥後の塗布量が1.0g/m2以上であると、良好な耐傷性を得ることができるので好ましい。また、2.5g/m2以下であると、現像処理液への保護層溶出量が少なく、現像処理液の処理能力が良好であるので好ましい。
前記保護層塗布する方法としては、種々の方法を用いることができる。例えば、バー塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布、スライドビード塗布等が挙げられる。
図1における保護層塗布部(保護層塗布装置)40は、コーティングロッドを用いるバー塗布でもよく、また、スライドビート塗布でもよく、特に限定されない。
ロッド塗布方式(あるいはバー塗布方式という。)について説明する。
コーティングロッドを用いる塗布方法は、図3に示すように、塗布液を貯留しているコータ142内でコーティングロッド144を回転可能に配設し、走行するウェブ112に該コーティングロッド144を接触させ、所定の塗布量を得る方法である。
図4は、塗布装置の一例であるスライドビード型塗布装置につき、構成の概略を示したものである。
図4に示すように、スライドビード型塗布装置200は、平版印刷原版のウェブであるウェブWが側面に巻き掛けられるとともに、図4における時計回りに回転してウェブWを搬送するバックアップローラ202と、バックアップローラ202に巻き掛けられて搬送されるウェブWに、保護層塗布液を塗布するスライドビードコータ204と、スライドビードコータ204の下方においてスライドビードコータ204に隣接する減圧チャンバ206と、を備える。ウェブW及び保護層塗布液は、それぞれ本発明における被塗布物及び塗布液の一例である。
本発明に好適に使用される塗布装置の別の例であるエクストルージョン型塗布装置の一例につき、構成の概略を図5に示す。
図5に示すように、エクストルージョン型塗布装置300はスライドビード型塗布装置200と同様に図4における時計回りに回転してウェブWを搬送するバックアップローラ302と、バックアップローラ302の下方に位置し、バックアップローラ302によって搬送されるウェブWに向かって保護層塗布液を吐出するエクストルージョン型注液器314と、エクストルージョン型注液器314のウェブWの搬送方向aに対して上流側において、エクストルージョン型注液器314に隣接して設けられた減圧チャンバ306とを備える。
まず、上記スライドビード型塗布装置200と同様にしてウェブWをバックアップローラ302に巻き掛け、バックアップローラ302を図5における時計回り方向に回転させてウェブWの搬送を開始する。
そして、エクストルージョン型注液器314の吐出スリット314Aから保護層塗布液を吐出させつつ、注射器308から水を噴出させてウェブWに付着させる。ウェブWに付着させる水の量は、上記スライドビード型塗布装置200と同様である。また、水に代えて保護層塗布液そのもの、又は前記保護層塗布液を水で希釈した希釈液を用いてもよい。また、前記保護層塗布液に界面活性剤が配合されている場合には、前記界面活性剤の水溶液も使用できる点も、上記スライドビード型塗布装置200と同様である。
次に乾燥工程について記載する。乾燥方法としては、図示はしないが、乾燥装置内にパスロールを配置し、パスロールにアルミニウム板をラップさせて搬送しながら乾燥風吹出しスリットから吹付けられる熱風によってアルミニウム板を乾燥させる方法、アルミニウム板の上下面からノズルによりエアーを供給しアルミニウム板を浮上させながら乾燥させる方法、ロール内部に熱媒体を導通し加熱しそのロールとアルミニウム板の接触による熱伝導によりアルミニウム板を乾燥させる方法等がある。
本発明の平版印刷版原版の製造方法は、感光層を塗布乾燥する工程を有する。感光層は、(A)増感色素、(B)重合開始剤、(C)重合性化合物、及び(D)バインダーポリマーを含有する。
以下に感光層に使用される各種の成分について詳述する。
感光層には、増感色素を含有させる。例えば、300〜450nmに極大吸収を有する増感色素や、500〜600nmに極大吸収を有する増感色素、750〜1,400nmに極大吸収を有する赤外線吸収剤を添加することで、各々、当業界で通常用いられている405nmのバイオレットレーザー、532nmのグリーンレーザー、803nmのIRレーザーに対応した高感度な平版印刷版を提供することができる。
まず、350〜450nmの波長域に極大吸収を有する増感色素について説明する。
このような増感色素としては、例えば、メロシアニン色素類、ベンゾピラン類、クマリン類、芳香族ケトン類、アントラセン類等を挙げることができる。
式(IX)におけるR1、R2及びR3はそれぞれ独立に、一価の非金属原子団であり、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の芳香族複素環残基、置換若しくは非置換のアルコキシ基、置換若しくは非置換のアルキルチオ基、ヒドロキシル基、又は、ハロゲン原子であることが好ましい。
Aは置換基を有してもよい芳香族環基又はヘテロ環基を表し、置換基を有してもよい芳香族環又はヘテロ環の具体例としては、式(IX)中のR1、R2及びR3で記載したものと同様のものが挙げられる。
式(VI)中、R15〜R32はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基又はハロゲン原子を表す。ただし、R15〜R24の少なくとも一つは炭素数2以上のアルコキシ基を表す。
増感色素の好ましい添加量は、感光層の全固形分100重量部に対し、0.05〜30重量部であることが好ましく、0.1〜20重量部であることがより好ましく、0.2〜10重量部であることがさらに好ましい。
ここに使用される増感色素は、赤外線レーザーの照射(露光)に対し高感度で電子励起状態となり、かかる電子励起状態に係る電子移動、エネルギー移動、発熱(光熱変換機能)などが、感光層中に併存する重合開始剤に作用して、前記重合開始剤に化学変化を生起させてラジカルや酸、塩基等の活性種を生成させるものと推定されている。いずれせよ、750〜1,400nmに極大吸収を有する増感色素を添加することは、750nm〜1,400nmの波長を有する赤外線レーザー光での直接描画される製版に特に好適であり、従来の平版印刷版原版に比べ、高い画像形成性を発現することができる。
これらの染料のうち、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体、インドレニンシアニン色素が好ましく挙げられ、シアニン色素やインドレニンシアニン色素がより好ましく挙げられ、下記式(a)で表されるシアニン色素が特に好ましく挙げられる。
Xa -は、後述するZa -と同様に定義され、Raは、水素原子、アルキル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、及び、ハロゲン原子よりなる群から選択される置換基を表す。
Y1及びY2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、硫黄原子又は炭素原子数12個以下のジアルキルメチレン基を表す。
R3、R4は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を表す。好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。
R5、R6、R7及びR8は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子又は炭素原子数12個以下の炭化水素基を表す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。
また、Za-は、対アニオンを表す。ただし、式(a)で表されるシアニン色素が、その構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合にはZa-は必要ない。好ましいZa-は、感光層塗布液の保存安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、又は、スルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、又は、アリールスルホン酸イオンである。なお、対イオンとして、ハロゲンイオンを含有してないものが特に好ましい。
感光層には、重合開始剤(以下、「開始剤化合物」ともいう。)を含有する。
開始剤化合物は、増感色素の電子励起状態に起因する電子移動、エネルギー移動、発熱などの作用をうけて、化学変化を生じ、ラジカル、酸及び塩基から選択される少なくとも1種を生成する化合物である。以下、このようにして生じたラジカル、酸、塩基を単に活性種と呼ぶ。開始剤化合物が存在しない場合や、開始剤化合物のみを単独で用いた場合には、実用上十分な感度が得られない。増感色素と開始剤化合物を併用する一つの態様として、これらを、適切な化学的方法(増感色素と開始剤化合物との化学結合による連結等)によって単一の化合物として利用することも可能である。
また、前記重合開始剤は、2種以上を適宜併用することもできる。
ヘキサアリールビイミダゾール系化合物は、300〜450nmに極大吸収を有する増感色素と併用して用いられることが特に好ましい。
式(RI−I)中、Z11 -は1価の陰イオンを表し、具体的には、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオンが挙げられる。中でも安定性の面から、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン及びスルフィン酸イオンが好ましい。
式(RI−II)中、Z21 -は1価の陰イオンを表す。具体的には、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオンが挙げられる。中でも、安定性、反応性の面から過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、カルボン酸イオンが好ましい。
置換基としては、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルケニル基、炭素数1〜12のアルキニル基、炭素数1〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数1〜12のジアルキルアミノ基、炭素数1〜12のアルキルアミド基又はアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数1〜12のチオアルキル基、炭素数1〜12のチオアリール基が挙げられる。
式(RI−III)中、Z31 -は1価の陰イオンを表す。具体例としては、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオンが挙げられる。中でも安定性、反応性の面から、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、カルボン酸イオンが好ましい。また、特開2002−148790号公報、又は、特開2001−343742号公報記載のカルボン酸イオンがより好ましく挙げられ、特開2002−148790号公報記載のカルボン酸イオンが特に好ましく挙げられる。
オニウム塩は、750〜1400nmに極大吸収を有する赤外線吸収剤と併用して用いられることが特に好ましい。
本発明における感光層中の重合開始剤の使用量は、感光層全固形分の総重量に対し、0.01〜20重量%であることが好ましく、0.1〜15重量%であることがより好ましく、1.0〜10重量%であることがさらに好ましい。
本発明における感光層に用いる重合性化合物は、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においては、これらを特に限定なく用いることができる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、それらの共重合体、又は、それらの混合物などの化学的形態をもつ。モノマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又はアミド類と単官能若しくは多官能イソシアネート類又はエポキシ類との付加反応物、及び、求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又はアミド類と単官能又は多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、さらにハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又はアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類又はチオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等が挙げられる。
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等が挙げられる。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等が挙げられる。
さらに、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
(ただし、R4及びR5は、H又はCH3を表す。)
感度の点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、画像部すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、さらに、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感度と強度の両方を調節する方法も有効である。
また、感光層中の他の成分(例えばバインダーポリマー、重合開始剤、着色剤等)との相溶性、分散性に対しても、重合性化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させ得ることがある。また、支持体や後述の保護層等との密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。そのほか、重合性化合物の使用法は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、かぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観点から適切な構造、配合、添加量を任意に選択でき、さらに場合によっては下塗り、上塗りといった層構成・塗布方法も考慮され得る。
平版印刷版用原版の感光層は、前述の重合開始剤及び重合性化合物のほかに、さらにバインダーポリマーを使用することが好ましい。
前記バインダーポリマーは、感光層の被膜形成剤として機能するポリマーであり、線状有機高分子重合体を含有させることが好ましい。このような「線状有機高分子重合体」としては、公知のものを使用することができる。
このようなバインダーポリマーの例としては、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、メタクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル樹脂よりなる群から選ばれた高分子であることが好ましい。中でも、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂がより好ましい。ここで「アクリル樹脂」とは、アクリル酸誘導体を(共)重合成分として有するアクリル系ポリマーのことをいう。「ポリウレタン樹脂」とは、イソシアネート基を2つ有する化合物とヒドロキシル基を2つ以上有する化合物の縮合反応により生成されるポリマーのことをいう。
バインダーポリマーに架橋性を持たせるためには、エチレン性不飽和結合等の架橋性官能基を高分子の主鎖中又は側鎖中に導入すればよい。架橋性官能基は、共重合により導入してもよいし、高分子反応によって導入してもよい。
R1として好ましくは、水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、中でも、水素原子又はメチル基が、ラジカル反応性が高いことからより好ましい。
また、R2及びR3はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が、ラジカル反応性が高いことから好ましい。
R4〜R8は、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基がより好ましい。
導入し得る置換基としては、式(1’)と同様のものが例示される。
R9として好ましくは、水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、中でも、水素原子又はメチル基が、ラジカル反応性が高いことからより好ましい。
R10及びR11はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が、ラジカル反応性が高いことから好ましい。
ここで、導入し得る置換基としては、式(1’)と同様のものが例示される。
R13としては、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、中でも、メチル基、エチル基、イソプロピル基がラジカル反応性が高いことから好ましい。
また、平版印刷版原版の製版工程において感光層の非画像部が良好に除去されるよう、用いられるバインダーポリマーは現像処理の態様に対応して適宜選択される。下記に詳細を記す。
現像処理がアルカリ現像液を用いて行われる態様においては、バインダーポリマーはアルカリ現像液に溶解する必要があるため、アルカリ水に可溶性である有機高分子重合体が好ましく使用される。
アルカリ水に可溶性であるために、アルカリ可溶性基を有することが好ましい。アルカリ可溶性は酸基であることが好ましく、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、水酸基などが挙げられる。これらのうち、被膜性・対刷性・現像性の両立という観点から、カルボキシル基を有するバインダーポリマーが特に好ましい。
さらに、アルカリ可溶性バインダーポリマーは、画像部の被膜強度を向上するために、上記のように架橋性をもたせることができる。バインダーポリマーに架橋性を持たせるためには、エチレン性不飽和結合等の架橋性官能基を高分子の主鎖中又は側鎖中に導入すればよい。架橋性官能基は、共重合により導入してもよいし、高分子反応によって導入してもよい。
アルカリ可溶性バインダーポリマーは、重量平均分子量が5,000以上であることが好ましく、1万〜30万であることがより好ましく、また、数平均分子量が1,000以上であることが好ましく、2,000〜25万であることがより好ましい。多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、1.1〜10であることが好ましい。
アルカリ可溶性バインダーポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等のいずれでもよいが、ランダムポリマーであることが好ましい。
アルカリ可溶性バインダーポリマーは、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
アルカリ可溶性バインダーポリマーの含有量は、感光層の全固形分に対して、5〜90重量%であることが好ましく、10〜70重量%であることがより好ましく、10〜60重量%であることがさらに好ましい。上記範囲であると、良好な画像部の強度と画像形成性が得られる。
前記感光層に使用可能なバインダーポリマーとしては、現像液に対する現像性を向上させるために、親水性基を有するバインダーポリマー(親水性基含有バインダーポリマー)を用いてもよい。特に酸性〜弱アルカリ性の現像液を用いる場合には、この親水性基を有するバインダーポリマーが好ましく用いられる。
親水基含有バインダーポリマー中の架橋性基の含有量(ヨウ素滴定によるラジカル重合可能な不飽和二重結合の含有量)は、親水基含有バインダーポリマー1g当たり、0.01〜10.0mmolであることが好ましく、0.05〜5.0mmolであることがより好ましく、0.1〜2.0mmolであることがさらに好ましい。
親水基含有バインダーポリマーは、前記親水性基を有するユニット、架橋性基を有するユニット、親水性基及び架橋性基を有するユニットの他に、(メタ)アクリル酸アルキル又はアラルキルエステルのユニットを有することが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基は、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基であり、メチル基がより好ましい。(メタ)アクリル酸アラルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられる。
親水基含有バインダーポリマーは、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
親水基含有バインダーポリマーの含有量は、良好な画像部の強度と画像形成性の観点から、感光層の全固形分に対して、5〜75重量%が好ましく、10〜70重量%がより好ましく、10〜60重量%がさらに好ましい。
<マイクロカプセル>
本発明においては、上記の感光層構成成分及び後述のその他の構成成分を感光層に含有させる方法として、例えば、特開2001−277740号公報、特開2001−277742号公報に記載のごとく、該構成成分の一部をマイクロカプセルに内包させて感光層に添加することができる。その場合、各構成成分はマイクロカプセル内、及び、外に、任意の比率で含有させることが可能である。
例えば、マイクロカプセルの製造方法としては、米国特許第2800457号、同第2800458号明細書に記載されたコアセルベーションを利用した方法、米国特許第3287154号の各明細書、特公昭38−19574号、同42−446号の各公報に記載された界面重合法による方法、米国特許第3418250号、同第3660304号明細書に記載されたポリマーの析出による方法、米国特許第3796669号明細書に記載されたイソシアナートポリオール壁材料を用いる方法、米国特許第3914511号明細書に見られるイソシアナート壁材料を用いる方法、米国特許第4001140号、同第4087376号、同第4089802号の各明細書に記載された尿素−ホルムアルデヒド系又は尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許第4025445号明細書に記載されたメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシセルロース等の壁材を用いる方法、特公昭36−9163号、同51−9079号の各公報に記載されたモノマー重合によるin situ法、英国特許第930422号、米国特許第3111407号明細書に記載されたスプレードライング法、英国特許第952807号、同第967074号の各明細書に記載された電解分散冷却法などがあるが、これらに限定されるものではない。
感光層には、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用することができる。具体的には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)等、及び、特開昭62−293247号公報に記載されている染料を挙げることができる。
顔料としては、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタン等の顔料が好適に用いることができ、フタロシアニン系顔料が最も好ましく用いられる。
前記感光層には、さらに、必要に応じて種々の添加剤を含有させることができる。添加剤としては、現像性の促進及び塗布面状を向上させるための界面活性剤、現像性の向上やマイクロカプセルの分散安定性向上などのための親水性ポリマー、画像部と非画像部を視認するための着色剤や焼き出し剤、感光層の製造中又は保存中のラジカル重合性化合物の不要な熱重合を防止するための重合禁止剤、酸素による重合阻害を防止するための高級脂肪誘導体、画像部の硬化被膜強度向上のための無機粒子、現像性向上のための親水性低分子化合物、感度向上のための共増感剤や連鎖移動剤、可塑性向上のための可塑剤等を添加することができる。これらの化合物はいずれも公知のものを使用でき、例えば、特開2007−171406号公報、特開2007−206216号公報、特開2007−206217号公報、特開2007−225701号公報、特開2007−225702号公報、特開2007−316582号公報、特開2007−328243号公報に記載の化合物を使用することができる。
前記感光層は、必要な前記各成分を溶剤に分散又は溶解して塗布液を調製し、塗布して形成される。
ここで使用する溶剤としては、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエン、水等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
これらの溶剤は、単独又は混合して使用される。
塗布液の固形分濃度は、1〜50重量%であることが好ましい。
前記感光層は、同一又は異なる上記各成分を、同一又は異なる溶剤に、分散又は溶かした塗布液を複数調製し、複数回の塗布、乾燥を繰り返して形成することも可能である。
塗布する方法としては、種々の方法を用いることができる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げられる。
本発明において、平版印刷版原版に用いられる支持体は、特に限定されず、寸度的に安定な板状な親水性支持体であればよい。例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、アルミニウム、亜鉛、銅等の金属がラミネートされ若しくは蒸着された紙又はプラスチックフィルム等が挙げられる。好ましい支持体としては、ポリエステルフィルム及びアルミニウム板が挙げられる。中でも、寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板が好ましい。
機械的粗面化処理の方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等の公知の方法を用いることができる。
電気化学的粗面化処理の方法としては、例えば、塩酸、硝酸等の酸を含有する電解液中で交流又は直流により行う方法が挙げられる。また、特開昭54−63902号公報に記載されているような混合酸を用いる方法も挙げられる。
陽極酸化処理の条件は、用いられる電解質により種々変わるので一概に特定することはできないが、電解質濃度1〜80重量%溶液、液温度5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分であることが好ましい。形成される陽極酸化被膜の量は、1.0〜5.0g/m2であることが好ましく、1.5〜4.0g/m2であることがより好ましい。上記範囲であると、良好な耐刷性と平版印刷版の非画像部の良好な耐傷性が得られる。
中でも、無機フッ素化合物を含有する水溶液による封孔処理、水蒸気による封孔処理及び熱水による封孔処理が好ましい。
親水層としては、特開2001−199175号公報に記載の、ベリリウム、マグネシウム、アルミニウム、珪素、チタン、硼素、ゲルマニウム、スズ、ジルコニウム、鉄、バナジウム、アンチモン及び遷移金属よりなる群から選択された少なくとも1つの元素の酸化物又は水酸化物のコロイドを含有する塗布液を塗布してなる親水層や、特開2002−79772号公報に記載の、有機親水性ポリマーを架橋あるいは疑似架橋することにより得られる有機親水性マトリックスを有する親水層や、ポリアルコキシシラン、チタネート、ジルコネート又はアルミネートの加水分解、縮合反応からなるゾル−ゲル変換により得られる無機親水性マトリックスを有する親水層、あるいは、金属酸化物を含有する表面を有する無機薄膜からなる親水層が好ましい。中でも、珪素の酸化物又は水酸化物のコロイドを含有する塗布液を塗布してなる親水層が好ましい。
また、支持体の色濃度としては、反射濃度値として0.15〜0.65であることが好ましい。上記範囲であると、画像露光時のハレーション防止による良好な画像形成性と現像後の良好な検版性が得られる。
前記平版印刷版原版においては、支持体上に重合性基を含有する化合物の下塗り層を設けることが好ましい。下塗り層が用いられるときは、感光層は下塗り層の上に設けられる。下塗り層は、露光部においては支持体と感光層との密着性を強化し、また、未露光部においては、感光層の支持体からの剥離を生じやすくさせるため、現像性が向上する。
下塗り層としては、具体的には、特開平10−282679号公報に記載されている付加重合可能なエチレン性二重結合反応基を有しているシランカップリング剤、特開平2−304441号公報記載のエチレン性二重結合反応基を有しているリン化合物などが好適に挙げられる。特に好ましい化合物として、メタクリル基、アリル基などの重合性基とスルホン酸基、リン酸基、リン酸エステルなどの支持体吸着性基を有する化合物が挙げられる。重合性基と支持体吸着性基に加えてエチレンオキシド基などの親水性付与基を有する化合物も好適な化合物として挙げることができる。
下塗り層の塗布量(固形分)は、0.1〜100mg/m2であることが好ましく、1〜30mg/m2であることがより好ましい。
支持体に表面処理を施した後又は下塗り層を形成させた後、必要に応じて、支持体の裏面にバックコート層を設けることができる。
バックコート層としては、例えば、特開平5−45885号公報に記載されている有機高分子化合物、特開平6−35174号公報に記載されている有機金属化合物又は無機金属化合物を加水分解及び重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好適に挙げられる。中でも、Si(OCH3)4、Si(OC2H5)4、Si(OC3H7)4、Si(OC4H9)4等のケイ素のアルコキシ化合物を用いることが、原料が安価で入手しやすい点で好ましい。
次に本発明における平版印刷版の製造方法、すなわち製版プロセス、について説明する。
本発明における平版印刷版の製造方法は、画像形成層(感光層)を親水性支持体上に有する平版印刷版原版、好ましくは感光層上にさらに保護層を有する平版印刷版原版を、画像露光する工程、並びに、引き続いて、炭酸イオン、炭酸水素イオン及び水溶性高分子化合物を含有する処理液で処理する処理工程、を含むことを特徴とする。
本発明で製造された平版印刷版原版を画像露光した後、上記の水溶液で処理することにより、感光層の現像処理とガム引きを1浴で同時に行うことができる。
また保護層が設けらた平版印刷版原版の場合には、この保護層の除去、感光層の現像処理、及び、得られた画像へのガム引きを1浴で同時に行うことができる。
ここで、感光層の現像処理とは、上記の処理液により、感光層の非露光部を除去して、露光部に対応する画像を形成することをいう。
平版印刷版原版を画像様に露光する画像露光工程は、2つに大別できる。その一つは、線画像、網点画像等を有する透明原画を通して行う画像露光であり、他の一つは、デジタルデータに基づきレーザー光源を走査して行う画像露光である。
走査露光方式の平版印刷版原版露光装置としては、露光機構として内面ドラム方式、外面ドラム方式、フラットベッド方式があり、光源としては上記光源の中で連続発振可能なものが好ましく利用することができる。現実的には平版印刷版原版(以下「原版」ともいう。)の感度と製版時間の関係で、以下の露光装置が特に好ましい。
・内面ドラム方式で総出力20mW以上の半導体レーザーとなるように、ガスレーザーあるいは固体レーザー光源を1個以上使用するシングルビーム〜トリプルビームの露光装置。
・フラットベッド方式で総出力20mW以上となるように、半導体レーザー、ガスレーザーあるいは固体レーザーを1個以上使用したマルチビーム(1〜10本)の露光装置。
・外面ドラム方式で総出力20mW以上となるように、半導体レーザー、ガスレーザーあるいは固体レーザーを1個以上使用したマルチビーム(1〜9本)の露光装置。
・外面ドラム方式で総出力20mW以上となるように、半導体レーザーあるいは固体レーザーを1個以上使用したマルチビーム(10本以上)の露光装置。
X・S=n・q・t (eq 1)
レーザー回転数f(ラジアン/s)、原版の副走査長Lx(cm)、解像度Z(ドット/cm)、全露光時間t(s)の間には一般的に式(eq 2)が成立する。
f・Z・t=Lx (eq 2)
ドラム回転数F(ラジアン/s)、原版の副走査長Lx(cm)、解像度Z(ドット/cm)、全露光時間t(s)、ビーム数(n)の間には一般的に式(eq 3)が成立する。
F・Z・n・t=Lx (eq 3)
ポリゴンミラーの回転数H(ラジアン/s)、原版の副走査長Lx(cm)、解像度Z(ドット/cm)、全露光時間t(s)、ビーム数(n)の間には一般的に式(eq 4)が成立する。
H・Z・n・t=Lx (eq 4)
本発明において、平版印刷版の製版プロセスに使用される処理液は、炭酸イオン、炭酸水素イオン及び水溶性高分子化合物を含有する水溶液である。炭酸イオン及び炭酸水素イオンが存在することでpH緩衝作用を発揮し、現像液を長期間使用してもpHの変動を抑制でき、pHの変動による現像性低下、現像カス発生等を抑制できる。炭酸イオン、炭酸水素イオンとしては、炭酸塩と炭酸水素塩を現像液に加えてもよいが、炭酸塩又は炭酸水素塩を加えた後にpHを調整することで、炭酸イオンと炭酸水素イオンを発生させてもよい。炭酸塩や炭酸水素塩を使用する場合、特に限定されないが、アルカリ金属塩であることが好ましい。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムが挙げられ、ナトリウムが特に好ましい。これらは単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
pHとしては、緩衝作用を生じるpHであれば特に限定されないが、pH8.5〜10.8の範囲であることが好ましく、pH9.0〜10.5であることがより好ましく、pH9.5〜10.3であることが特に好ましい。このpH範囲内であると、非画像部の現像性が低下せず、また、空気中の炭酸ガスの影響により処理能力が変動しないので好ましい。
本発明に用いられるアニオン系界面活性剤としては、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホコハク酸塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム類、N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩類、石油スルホン酸塩類、硫酸化ヒマシ油、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸エステル塩類、スチレン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、オレフィン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類等が挙げられる。これらの中でもジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類及びアルキルナフタレンスルホン酸塩類が特に好ましく用いられる。
これら界面活性剤は単独、若しくは組み合わせて使用することができる。また、これら界面活性剤の現像液中における含有量は有効成分換算で0.1〜20重量%の範囲が好適に使用される。
防腐剤の添加量は、細菌、カビ、酵母等に対して、安定に効力を発揮する量であって、細菌、カビ、酵母の種類によっても異なるが、使用時の処理液に対して0.01〜4重量%の範囲が好ましく、また種々のカビ、殺菌に対して効力のあるように2種以上の防腐剤を併用することが好ましい。
これらキレート剤は処理液組成中に安定に存在し、印刷性を阻害しないものが選ばれる。添加量としては使用時の処理液に対して0.001〜1.0重量%が好適である。
消泡剤の含有量は、使用時の処理液に対して0.001〜1.0重量%の範囲が好適である。
通常の現像工程においては、前水洗工程により保護層を除去し、次いでアルカリ性現像液により現像を行い、後水洗工程でアルカリを除去し、ガム引き工程でガム処理を行い、乾燥工程で乾燥する。
本発明においては、処理液中に水溶性高分子化合物を含有しているために、現像及びガム引きを1液で同時に行うことができる。よって後水洗工程は特に必要とせず、一液で現像とガム引きを行ったのち、乾燥工程を行うことが好ましい。
さらに、前水洗工程も行うことなく、保護層の除去、現像及びガム引きを1液で同時に行うことが好ましい。また、現像及びガム引きの後に、スクイズローラーを用いて余剰の現像液を除去した後、乾燥を行うことが好ましい。
本発明における平版印刷版原版の現像処理は、常法に従って、0〜60℃、好ましくは約15〜約40℃の温度で、例えば、露光処理した平版印刷版原版を現像液に浸漬してブラシで擦る等により行うことができる。また、自動現像機を用いて現像処理を行う場合、処理量の増大により現像液が疲労してくるので、補充液又は新鮮な現像液を用いて処理能力を回復させることが好ましい。
ここで、「現像処置」とは、感光層の現像の他に、保護層の除去、ガム引き及び乾燥よりなる群から選ばれた1以上の処理をも含む複合処理を意味するものとする。
使用した処理液は、実施例に例示する。現像処理装置は、回転ブラシロール711を2本有する自動処理機である。回転ブラシロール711としては、1本目の回転ブラシロール711に、ポリブチレンテレフタレート製の繊維(毛の直径200μm、毛の長さ17mm)を植え込んだ外径90mmのブラシロールを用い、搬送方向と同一方向に毎分200回転(ブラシの先端の周速0.94m/sec)させた。また、2本目の回転ブラシロール711には、ポリブチレンテレフタレート製の繊維(毛の直径200μm、毛の長さ17mm)を植え込んだ外径60mmのブラシロールを用い、搬送方向と反対方向に毎分200回転(ブラシの先端の周速0.63m/sec)させた。露光済みの平版印刷版原版730の搬送は、回転ブラシロール711とこれと対向する受けロール712の間に平版印刷版原版730が通過するように、三対の搬送ロール713の間を図示した搬送方向に、給版台718から排版台719まで、途中に設けられた搬送ガイド板714の上を搬送速度100cm/minで行った。
4カ所のスプレーパイプ715には、管路716によりフィルター717を通して、処理液タンク720に貯留された処理液を、循環ポンプ721により供給して、各スプレーパイプ715から版面にシャワーリングして供給した。なお、処理液タンク720の容量は、10リットルであり、処理液は循環使用した。
現像処理機から排出された平版印刷版は、水洗することなく乾燥機722により乾燥した。
本発明に用いる回転ブラシロールの回転方向は、平版印刷版原版の搬送方向に対し、同一方向であっても、逆方向であってもよいが、図6に例示した現像処理機のように、2本以上の回転ブラシロールを使用する場合は、これらが逆方向に回転することが好ましい。これにより、非画像部の感光層の除去が、さらに確実となる。さらに、回転ブラシロールを、ブラシロールの回転軸方向に揺動させることも現像に効果的である。
<支持体の作製>
厚さ0.3mmのアルミニウム板(材質JIS A1050)を10重量%水酸化ナトリウム水溶液に60℃で25秒間浸漬してエッチングし、流水で水洗後、20重量%硝酸水溶液で中和洗浄し、次いで水洗した。これを正弦波の交番波形電流を用いて1重量%硝酸水溶液中で300クーロン/dm2の陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。引き続いて1重量%水酸化ナトリウム水溶液中に40℃で5秒間浸漬後30重量%の硫酸水溶液中に浸漬し、60℃で40秒間デスマット処理した後、20重量%硫酸水溶液中、電流密度2A/dm2の条件で陽極酸化被膜の厚さが2.7g/m2になるように、2分間陽極酸化処理した。さらに1%ポリビニルホスホン酸水溶液を用いて75℃で親水化処理を行って支持体を作製した。このようにして得た支持体の中心線平均粗さ(Ra)を直径2μmの針を用いて測定したところ、0.25μm(JIS B0601によるRa表示)であった。
上記の支持体上に、下記組成の感光層塗布液(1)をバー塗布した後、100℃、44秒で乾燥し、乾燥塗布量1.4g/m2の感光層を形成し、この上に下記組成の保護層塗布液(1)を表1に示す内容でフィルター濾過した送液系にてスライドビート塗布した。その後125℃、70秒乾燥し、乾燥塗布量1.80g/m2の保護層を形成し実施例1〜9、比較例1〜4の平版印刷版原版を作製した。
なお、このとき、図7に示すように、(1)保護層塗布液の調液タンクからリザーバーへ送液する途中にフィルターAを設けた平版印刷版原版の製造装置、(2)リザーバーから塗布装置へ送液する途中にフィルターBを設けた平版印刷版原版の製造装置、又は、(3)フィルターA及びフィルターBの両方を設けた平版印刷版原版の製造装置を使用した。
なお、塗布での余剰の塗布液をリザーバーへ送液する、リターンパイプが設けられている。
フィルターを配置した位置及び使用したフィルターを以下の表1に示す。
重合性化合物(化合物A) 4.0重量部
バインダーポリマー(バインダーA) 2.0重量部
下記増感色素(C−1) 0.32重量部
下記重合開始剤(D−1) 0.61重量部
下記連鎖移動剤(E−1) 0.57重量部
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩 0.020重量部
ε−フタロシアニン顔料分散物 0.71重量部
(顔料:15重量部、分散剤 下記ポリマー(1):10重量部、
溶剤:シクロヘキサノン/メトキシプロピルアセテート/1−メトキシ−2−プロパノール=15重量部/20重量部/40重量部)
フッ素系ノニオン界面活性剤メガファックF780 0.016重量部
(大日本インキ化学工業(株)製)
メチルエチルケトン 47重量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 45重量部
・ゴーセランCKS50 2.2重量部
日本合成化学(株)製(酸変性PVA、ケン化度:99モル%、平均重合度:300、変性度:約0.4モル%)
・雲母分散液 4.2重量部
合成雲母の3.2%水分散液(ソマシフMEB−3L、コープケミカル社製)
(最少粒径1.0μm/最大粒径10μm/平均粒径3.6μm)
・界面活性剤 0.2重量部
(エマレックス710、日本エマルジョン(株)製)
・水 44.0重量部
上記実施例1〜9、比較例1〜4と同様に支持体作製及び感光層塗布液を塗布した後、下記組成の保護層塗布液(2)を表1に示す内容でフィルター濾過した送液系にてスライドビート塗布した。その後125℃、70秒乾燥し、乾燥塗布量1.80g/m2の保護層を形成し実施例10〜14、比較例5〜6の平版印刷版原版を作製した
・ゴーセランCKS50 2.2重量部
日本合成化学(株)製(酸変性PVA、ケン化度:99モル%、平均重合度:300、変性度:約0.4モル%)
・スノーテックスMP−4540M 0.34重量部
日産化学工業(株)製(球状のシリカゾル)
(最大粒径0.45μm)
・界面活性剤 0.2重量部
(エマレックス710、日本エマルジョン(株)製)
・水 47.9重量部
以下の項目について、平版印刷版原版の評価を行った。
<保護層の塗布欠陥評価>
調液した保護層塗布液を、上記送液系を使用し、フィルターを交換しながら、塗布量37ml/m2、塗布巾1m、ラインスピード60m/minでスライドビード塗布を行い、乾燥温度150℃にて1分間乾燥させたのちに常温まで冷却し、評価用サンプルを作製した。
ハジキ状欠陥の評価は、100m2の目視検査により、欠陥の数を数えた。また、シリカ化合物との相互作用により生じた不溶物起因のハジキ状欠陥であるかをEPMAによる元素分析にて確認した。確認の方法として、欠陥の内部に繊維状の異物がついていないこと、保護層が含有するシリカ化合物由来のNa、Mg、Siの強度が非常に強い核が存在し、その核を起点として、扇状に保護層が薄くなっている(C、Na、Mg、Si強度が弱くなってる)か否かにより判断した。
EPMAによる元素分析条件は、EPMA装置(日本電子(株)製:JXA8800M)を用い、加速電圧:20kV、照射電流:5×10−7A、プローブ径:30μm、ステージスキャンD well:50ms、Pixelサイズ:30×30μm、Pixel数:250×300の条件で、C,Na、Mg、Si元素について、マッピング分析を行った。
なお、評価基準は以下の通りである。
○:0〜1個
△:2〜9個
×:10個以上
半径4.0mmφのサファイア針を持つ引掻き試験機にて200gの荷重をかけて引掻きを行った。その後、FUJIFILM Electronic Imaging Ltd. 製Violet半導体レーザープレートセッターVx9600(InGaN系半導体レーザー 405nm±10nm発光/出力30mWを搭載)により、版面露光量0.09mJ/cm2でベタ画像露光した。次いで、100℃、30秒間のプレヒートを行った後、下記組成の現像液を用い、図6に示す構造の自動現像処理機にて現像処理を実施した。自動現像処理機は、回転ブラシロールを2本有し1本目のブラシロールには、ポリブチレンテレフタレート製の繊維(毛の直径200μm、毛の長さ17mm)を植え込んだ外径50mmのブラシロールを用い、搬送方向と同一方向に毎分200回転(ブラシの先端の周速0.52m/sec)させ、2本目のブラシロールには、ポリブチレンテレフタレート製の繊維(毛の直径200μm、毛の長さ17mm)を植え込んだ外径50mmのブラシロールを用い、搬送方向と反対方向に毎分200回転(ブラシの先端の周速0.52m/sec)させた。平版印刷版原版の搬送は、搬送速度100cm/minで行った。
現像液は、循環ポンプによりスプレーパイプからシャワーリングして版面に供給した。現像液のタンク容量は、10リットルであった。
保護層の強度が不足している場合には、保護層に傷が生じ、酸素遮断性が不十分となったり、保護層と共に感光層が削り取られ、引っ掻いた部分で画像形成性が不良となる。画像形成が正常の場合に○、許容レベルの場合△、不良な場合を×と評価した。
評価の結果を表1に示す。
純水 791重量部
炭酸ナトリウム1水塩 12重量部
重炭酸ナトリウム 5重量部
ヒドロキシプロピル化澱粉(日澱化学(株)製 ペノンJE66) 54重量部
クエン酸3ナトリウム塩 1重量部
アルキル(ドデシル)ジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム 104重量部
(三洋化成(株)製 エレミノールMON2)
アルキル(ドデシル)ベンゼンスルホン酸ナトリウム 24重量部
(竹本油脂(株)製 pioninA41S)
エチレンジアミンジサクシニックアシッド 7重量部
(INNOSPEC LIMITED(株)製 オクタクエストE30)
2−メチル−2H−イソチアゾール−3−オン、5−クロロ−2−メチル−2H−イソチアゾール−3−オン、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール(3種混合) 0.5重量部
(ケイアイ化成(株)製 バイオホープ)
Si系消泡剤 1.5重量部
(東芝シリコ−ン(株)製 TSA739)
版サイズ550×650mmの試料をFUJIFILM Electronic Imaging Ltd. 製Violet半導体レーザープレートセッターVx9600(InGaN系半導体レーザー 405nm±10nm発光/出力30mWを搭載)により画像露光した。画像は、解像度2438dpiで、富士フイルム(株)製FMスクリーン(TAFFETA 20)を用い、2%の平網を版面露光量0.09mJ/cm2で描画した。次いで、上記耐傷性評価と同様の現像処理を実施した。
不溶物起因のハジキ状欠陥があると2%網点が再現できずに抜けとなる。2%網点の再現性が正常の場合に○、許容レベルの場合△、不良な場合を×と評価した。
結果を以下の表1に示す。
〔保護層塗布液の圧力上昇評価〕
図8の送液テスト装置を使用してフィルター圧力上昇確認テストを行った。調液した保護層塗布液を調液タンクに貯留し、送液量は塗布量37ml/m2、塗布巾1m、ラインスピード60m/minから算出し、2.22L/minとした。評価はP2とP1の差圧により、フィルターの圧力上昇を確認した。フィルターは、表2に記載のフィルターを使用した。
24h連続送液後の差圧により評価した。
評価基準は以下の通りである。
○:0.3MPa以下
△:0.3MPaより大きく0.5MPa以下
×:0.5MPaより大きい
結果を以下の表2に示す。
12 送り出し装置
14 表面処理部
20 感光層塗布液調製部
30 感光層塗布部
32 感光層乾燥部
40 保護層塗布部
42 保護層乾燥部
44 巻き取り装置
46 ガイドローラ
50 保護層塗布液調製部
51 調液タンク
52 ストックタンク
54 リザーバー
57 開閉弁
58 送液管
59 送液ポンプ
61 開閉弁
62 循環管
63 循環ポンプ
64 送液管
65 送液ポンプ
66 開閉弁
67 送液管
68 送液ポンプ
69 開閉弁
80 撹拌部材
81 支持軸
82 モータ
90、91、92、93 フィルター
112 ウェブ
142 コータ
144 コーティングロッド
200 スライドビード型塗布装置
202 バックアップローラ
204 スライドビードコータ
204A 吐出スリット
204B スライド面
204C 塗布液供給孔
204D 先端部
206 減圧チャンバ
206A 減圧管
206B 排液管
210 排液貯留槽
210A 減圧管
300 エクストルージョン型塗布装置
302 バックアップローラ
306 減圧チャンバ
308 注射器
308A 注射針
314 エクストルージョン型注液器
314A 吐出スリット
314B 塗布液流路
314C 塗布液供給孔
711 回転ブラシロール
712 受けロール
713 搬送ロール
714 搬送ガイド板
715 スプレーパイプ
716 管路
717 フィルター
718 給版台
719 排版台
720 処理液タンク
721 循環ポンプ
722 乾燥機
730 平版印刷版原版
W ウェブ
Oc 塗布層
Claims (7)
- 親水性支持体上に、(A)増感色素、(B)重合開始剤、(C)重合性化合物、及び、(D)バインダーポリマーを含有する感光層を塗布乾燥する工程と、
(E)ポリビニルアルコール、及び、(F)シリカ化合物を含有する保護層を塗布乾燥する工程とをこの順で有し、
該(F)シリカ化合物の最大粒径の、1.0倍以上4.0倍以下の公称濾過精度を有するフィルターを1つ以上使用して、調液後から塗布の間に保護層塗布液を濾過する工程を有することを特徴とする
平版印刷版原版の製造方法。 - 前記保護層塗布液を濾過する工程が、保護層塗布液をリザーバーから塗布装置に送液する工程で行われる、請求項1に記載の平版印刷版原版の製造方法。
- 前記(F)シリカ化合物量が保護層全固形分に対し、1重量%以上20重量%以下である、請求項1又は2に記載の平版印刷版原版の製造方法。
- 前記(E)ポリビニリアルコール量が保護層全固形分に対し、75重量%以上97重量%以下である、請求項1〜3いずれか1つに記載の平版印刷版原版の製造方法。
- 塗布乾燥後の保護層塗布量が、1.0g/m2以上2.5g/m2以下である、請求項1〜4いずれか1つに記載の平版印刷版原版の製造方法。
- 前記(F)シリカ化合物が雲母化合物である、請求項1〜5いずれか1つに記載の平版印刷版原版の製造方法。
- 前記雲母化合物の最大粒径が0.4μm以上20μm以下である、請求項6に記載の平版印刷版原版の製造方法。
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