JP2010078402A - マイクロチップ - Google Patents

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Abstract

【課題】試薬などの流体を収容するための流体保持槽を内部に備えるマイクロチップにおいて、マイクロチップが外的な衝撃を受けた場合や流体保持槽の内圧が上昇した場合などであっても、試薬が流体保持槽から流出することを効果的に防止することができる、比較的簡易な構造を有する流体保持槽を備えるマイクロチップを提供する。
【解決手段】流体を流出させるための流体流出口と、流体保持槽を、流体が導入される側の領域である第1の領域と、該流体流出口を有する側の領域である第2の領域とに二分する隔壁とを有する流体保持槽を備えるマイクロチップが提供される。該隔壁は、第1の領域と第2の領域とを連通させる連通口を備えており、マイクロチップ表面側からみたとき、湾曲した形状を有する壁からなる湾曲部を少なくとも一部に備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、DNA、タンパク質、細胞、免疫および血液等の生化学検査、化学合成ならびに、環境分析などに好適に使用されるμ−TAS(Micro Total Analysis System)などとして有用なマイクロチップに関し、より詳しくは、検査・分析等の対象となる検体と混合または反応させるための試薬などの流体を収容するための流体保持槽を内部に備えるマイクロチップに関する。
近年、医療や健康、食品、創薬などの分野で、DNA(Deoxyribo Nucleic Acid)や酵素、抗原、抗体、タンパク質、ウィルスおよび細胞などの生体物質、ならびに化学物質を検知、検出あるいは定量する重要性が増してきており、それらを簡便に測定できる様々なバイオチップおよびマイクロ化学チップ(以下、これらを総称してマイクロチップと称する。)が提案されている。マイクロチップは、実験室で行なっている一連の実験・分析操作を、数cm角で厚さ数mm〜1cm程度のチップ内で行なえることから、検体および試薬が微量で済み、コストが安く、反応速度が速く、ハイスループットな検査ができ、検体を採取した現場で直ちに検査結果を得ることができるなど多くの利点を有している。このようなマイクロチップは、たとえば血液検査等の生化学検査用として好適に用いられている。
マイクロチップは、通常、その内部に、流体に対して特定の処理を行なう部位(室)とこれら部位を適切に接続する微細な流路とから構成される流路網である「流体回路」を備えている。このような内部に流体回路を備えるマイクロチップを用いた検体(たとえば、血液検査の場合にあっては、血液または血液中に含まれる特定成分等が挙げられる。)の検査・分析においては、当該流体回路を利用して、流体回路内に導入された検体やこれと混合される試薬の計量、検体と試薬との混合などの種々の流体処理が行なわれる。かかる種々の流体処理は、マイクロチップに対して、適切な方向の遠心力を印加することにより行なうことが可能である。
ここで、検体または検体中の特定成分と混合あるいは反応させるための試薬があらかじめ流体回路内に内蔵、保持された、いわゆる試薬内蔵型マイクロチップが従来知られている(たとえば、特許文献1および2参照)。試薬内蔵型マイクロチップは、通常、その流体回路の一部として、試薬を保持するための1または複数の試薬保持槽を備えており、マイクロチップ製造時に試薬を当該試薬保持槽に充填、封止し、かかる状態で出荷されて使用に供される。
このような試薬内蔵型マイクロチップにおいては、検体の検査・分析を精度よく行なうことができるよう、マイクロチップ製造時(試薬充填時)からマイクロチップ使用時までの間、たとえばマイクロチップ搬送・運搬中におけるマイクロチップへの衝撃や試薬保持槽の内圧上昇などによる試薬保持槽からの試薬の流出が十分に抑制または防止されている必要がある。試薬保持槽からの試薬の流出が生じていると、検体(または検体中に含まれる特定成分)と混合されるべき試薬が検査・分析時にマイクロチップ内に存在しない、または試薬と検体(または検体中に含まれる特定成分)とが適切な割合で混合されないことなどに起因して、正確かつ信頼性の高い検査・分析結果が得られない恐れがあるためである。
たとえば特許文献1には、マイクロチップ使用時までの間、内蔵された試薬が密封されており、試薬の意図しない流出を防止し得る試薬内蔵型マイクロチップが開示されている。図5は、特許文献1に記載の試薬内蔵型マイクロチップの一例を示す平面図である。図5に示されるマイクロチップにおいて、試薬を保持するチャンバー96および98は、基板に対してスライド可能な、密封された容器であり、それぞれ開口可能な部分10を有している。また、チャンバー96および98に対向する位置には、スパイクまたは針状の開口手段12が設けられている。かかる構造により、マイクロチップ使用時までは、試薬をチャンバー96および98内に密封することができるとともに、マイクロチップ使用時には、マイクロチップに対して、図5におけるF0方向の遠心力を印加することにより、開口手段12によって開口可能な部分10に穴を開け、試薬を流出させることを可能にしている。
しかし、上記手段の場合、試薬の意図しない流出を防止する効果は高いものの、開口手段12によって形成された穴から、全量の試薬が流出しない可能性がある。チャンバー96または98内に試薬が残存していると、その後の流体処理における遠心力の印加によって、残存していた試薬が再び流出し、検体との混合、反応に悪影響を及ぼしたり、検体と試薬との混合液の検査・分析結果に悪影響を及ぼし得る。
また、特許文献1に記載のマイクロチップは、試薬保持槽(チャンバー)の構造が非常に複雑であり、作製が容易でないという問題を有している。すなわち、試薬を封止する容器には、窓部を設けた上、当該窓部に、開口可能な部分10として、針などで穴を形成することができるフィルムなどを貼り付けなければならないし、また、当該容器を、マイクロチップを構成する基板にスライド可能に設置しなければならない。さらに、特許文献1に記載のマイクロチップは、稼動部(スライド可能な容器)を有していることから、当該稼動部の動作不良により試薬が流出しないなど、動作上の安定性に欠ける。
特許文献2には、試薬、検体などの液体を所望の位置にて確実に停止させ、停止させた位置から確実に再始動させることができるマイクロリアクタとして、上流側の流路の断面積よりも小さな断面積を有する上流側接続口と、下流側の流路の断面積よりも小さな断面積を有する下流側接続口と、上流側接続口と下流側接続口とを連通し、断面積が連続的に変化する接続口連通部とからなる撥水バルブを、試薬や検体を貯蔵する貯蔵部の両端に備えるマイクロリアクタが開示されている(特に特許文献2の図3および図5参照)。
しかし、このような構造の撥水バルブによっても、たとえばマイクロチップ搬送・運搬中における衝撃や内圧の上昇などにより、液体が所定の位置から移動したり、流出する場合があり、試薬などの流体の保持能力(流体の流出または漏れ防止能力)には改善の余地があった。
米国特許第4,883,763号明細書 特開2007−229631号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、試薬などの流体を収容するための流体保持槽を内部に備えるマイクロチップにおいて、マイクロチップが外的な衝撃を受けた場合や流体保持槽の内圧が上昇した場合などであっても、試薬が流体保持槽から流出することを効果的に防止することができる、比較的簡易な構造を有する流体保持槽を備えるマイクロチップを提供することである。
本発明は、第2の基板と、該第2の基板上に積層された表面に溝を備える第1の基板とを含み、第1の基板が有する溝と第2の基板における第1の基板側表面とから構成される空洞部からなる流体回路を有するマイクロチップに関するものである。本発明のマイクロチップにおいて、流体回路は、流体を保持するための流体保持槽を含んでいる。該流体保持槽は、流体を流体保持槽から流出させるための流体流出口と、流体保持槽を、流体が導入される側の領域である第1の領域と、該流体流出口を有する側の領域である第2の領域とに二分する隔壁とを有している。そして、該隔壁は、第1の領域と第2の領域とを連通させる連通口を備えており、上記マイクロチップ表面側からみたとき、湾曲した形状を有する壁からなる湾曲部を少なくとも一部に備える。
本発明のマイクロチップにおいて、該隔壁が備える湾曲部は、第2の領域側に凸となるような円弧形状を有する壁からなることが好ましい。該円弧の曲率半径は、2〜5mmであることが好ましい。
また、隔壁における第1の領域側の側面は、マイクロチップ厚み方向に対して傾斜した傾斜面を備えることが好ましい。
本発明の1つの好ましい実施形態において、該隔壁は、第1の基板または第2の基板表面に設けられた突起部から構成され、該連通口は、該突起部と、対向する第2の基板または第1の基板表面との間に形成される空間からなる。この場合において、該突起部における該連通口を形成する面は、対向する第2の基板または第1の基板表面と平行または略平行であることが好ましい。また、該突起部が設けられる第1の基板または第2の基板における第1の領域を構成する基板表面と、該突起部における第1の領域側の側面とがなす角度は鈍角であることが好ましい。
また、本発明の別の好ましい実施形態において、該隔壁は、第1の基板および第2の基板表面に設けられた突起部から構成され、該連通口は、第1の基板表面に設けられた突起部と、第2の基板表面に設けられた突起部との間に形成される空間からなる。この場合において、第1の基板表面に設けられた突起部における該連通口を形成する面は、第2の基板表面に設けられた突起部における該連通口を形成する面と平行または略平行であることが好ましい。また、第1の基板における第1の領域を構成する基板表面と、第1の基板表面に設けられた突起部における第1の領域側の側面とがなす角度は鈍角であり、第2の基板における第1の領域を構成する基板表面と、第2の基板表面に設けられた突起部における第1の領域側の側面とがなす角度は鈍角であることが好ましい。
本発明のマイクロチップによれば、外的な衝撃が加えられた場合や、たとえば環境温度の変動等により流体保持槽の内圧が上昇した場合であっても、収容された流体が流体保持槽から流出することを効果的に防止することができる。また、流体保持槽は、比較的簡易な構造を有しているため、製造が容易であり、動作不良などの問題も生じにくい。
本発明のマイクロチップは、各種化学合成、検査・分析等を、それが有する流体回路を用いて行なうことができるチップであり、本発明の1つの好ましい形態において、マイクロチップは、第2の基板と、該第2の基板上に積層、貼合された第1の基板とからなる。より具体的には、第2の基板上に、表面に溝を備える第1の基板を、第1の基板の溝形成側表面が第2の基板に対向するように貼り合わせてなる。したがって、かかる2枚の基板からなるマイクロチップは、その内部に、第1の基板表面に設けられた溝と第2の基板における第1の基板に対向する側の表面とから構成される空洞部からなる流体回路を備える。第1の基板表面に形成される溝の形状およびパターンは、特に制限されるものではないが、当該溝および第2の基板表面によって構成される空洞部の構造が、所望される適切な流体回路構造となるように決定される。第2の基板における第1の基板側表面にも、流体回路を形成し得る溝が形成されてもよい。
また、本発明の別の好ましい形態において、マイクロチップは、基板の両表面に設けられた溝を備える第1の基板と、該第1の基板を狭むようにして積層、貼合された第2の基板および第3の基板とからなる。かかる3枚の基板からなるマイクロチップは、第2の基板における第1の基板に対向する側の表面および第1の基板における第2の基板に対向する側の表面に設けられた溝から構成される空洞部からなる第1の流体回路と、第3の基板における第1の基板に対向する側の表面および第1の基板における第3の基板に対向する側の表面に設けられた溝から構成される空洞部からなる第2の流体回路と、の2層の流体回路を備える。ここで、「2層」とは、マイクロチップの厚み方向に関して異なる2つの位置に流体回路が設けられていることを意味する。第1の流体回路と第2の流体回路とは、第1の基板に形成された厚み方向に貫通する1または2以上の貫通穴によって連結されていてもよい。また、第2の基板および/または第3の基板における第1の基板側表面にも、流体回路を形成し得る溝が形成されてもよい。
基板同士を貼り合わせる方法としては、特に限定されるものではなく、たとえば貼り合わせる基板のうち、少なくとも一方の基板の貼り合わせ面を融解させて溶着させる方法(溶着法)、接着剤を用いて接着させる方法などを挙げることができる。溶着法としては、基板を加熱して溶着させる方法;レーザ等の光を照射して、光吸収時に発生する熱により溶着する方法;超音波を用いて溶着する方法などを挙げることができる。
本発明のマイクロチップの大きさは、特に限定されず、たとえば縦横数cm程度、厚さ数mm〜1cm程度とすることができる。
本発明のマイクロチップを構成する上記各基板の材質は、特に制限されず、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアリレート樹脂(PAR)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS)、塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリメチルペンテン樹脂(PMP)、ポリブタジエン樹脂(PBD)、生分解性ポリマー(BP)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)などの有機材料;シリコン、ガラス、石英などの無機材料等を用いることができる。
マイクロチップを第1および第2の基板の2枚から構成する場合において、第2の基板上に積層される、表面に溝を備える第1の基板は、特に制限されないが、たとえば透明基板とすることができる。これにより、流体回路の一部として、透明な第1の基板の溝と、第2の基板表面とから構成される検出部を形成することができ、該検出部に測定対象物(たとえば、検査・分析の対象となる検体と試薬との混合液)を導入し、該検出部に対して光を照射し、透過した光の強度(透過率)を検出するなどの光学測定を行なうことが可能となる。第2の基板は、透明基板であってもよいし、基板を樹脂から構成し、該樹脂中にカーボンブラック等を添加することにより黒色基板とするなど着色基板としてもよいが、着色基板とすることが好ましく、黒色基板とすることがより好ましい。第2の基板を着色基板とすることにより、レーザなどの光を用いた溶着法を用いることができる。また、レーザ溶着法により基板の貼り合わせを行なう場合、着色基板の貼り合わせ表面が主に融解されて貼合されることとなるため、第1の基板である透明基板に形成された溝の変形を最小限に抑えることができる。
また、マイクロチップを第1の基板、第2の基板および第3の基板の3枚から構成する場合、両表面に溝を備える第1の基板を挟持する第2の基板および第3の基板は、特に制限されないが、たとえば透明基板とすることができる。これにより、流体回路の一部として、たとえば、第1の基板をその厚み方向に貫通する貫通穴と、透明な第2および第3の基板表面から構成される検出部を形成することができ、該検出部に測定対象物(たとえば、検査・分析の対象となる検体と試薬との混合液)を導入し、該検出部に対してマイクロチップ表面と垂直な方向の光を、マイクロチップ上面(または下面)側から照射し、その反対側から透過した光の強度(透過率)を検出するなどの光学測定を行なうことが可能となる。第2の基板と第3の基板との間に位置する第1の基板は、着色基板とすることが好ましく、黒色基板とすることがより好ましい。
第1の基板表面に、流体回路を構成する溝(流路パターン)を形成する方法としては、特に制限されず、転写構造を有する金型を用いた射出成形法、インプリント法などを挙げることができる。無機材料を用いて基板を形成する場合には、エッチング法などを用いることができる。
本発明のマイクロチップにおいて、流体回路(2層の流体回路を備える場合には、第1の流体回路および第2の流体回路)は、流体回路内の流体に対して適切な様々な処理を行なうことができるよう、流体回路内の適切な位置に配置された種々の部位を備えており、これらの部位は、微細な流路を介して適切に接続されている。
本発明のマイクロチップにおいて、その流体回路は、これを構成する部位の1つとして、流体を保持するための流体保持槽を備える。流体回路内に設けられる流体保持槽は、1つのみであってもよいし、2以上あってもよい。流体保持槽としては、特に制限されないが、たとえば、検査・分析の対象となる検体と混合または反応させるための試薬(液体状の試薬など)を保持しておくための試薬保持槽を挙げることができる。ここで、「検体」とは、流体回路内に導入される検査・分析の対象となる物質(たとえば血液)自体、または、該物質中の特定成分(たとえば血漿成分)を意味する。なお、試薬は、1つのマイクロチップ内に1種のみ内蔵されていてもよいし、2種以上内蔵されていてもよい。
マイクロチップが2枚の基板(第1の基板および第2の基板)からなる場合において、流体保持槽には、マイクロチップの上側表面(すなわち第1の基板表面)から内部の流体保持槽まで貫通する(第1の基板をその厚み方向に貫通する)貫通口である、流体(たとえば試薬)を流体保持槽に注入するための流体注入口が設けられる。このようなマイクロチップは、通常、流体注入口から流体が注入された後、マイクロチップ表面(第1の基板表面)に当該流体注入口を封止するためのラベルまたはシールが貼着されて、使用に供される。また、マイクロチップが3枚の基板(第2の基板/第1の基板/第3の基板)からなる場合においては、流体注入口は、マイクロチップの上側表面(第2の基板または第3の基板の表面)から内部の流体保持槽まで貫通する(第2の基板または第3の基板をその厚み方向に貫通する)貫通口として設けることができる。
本発明のマイクロチップにおいて流体回路は、試薬保持槽等の流体保持槽以外の部位を備えていてもよく、かかる部位としては、たとえば流体回路内に導入された検体から特定成分を取り出すための分離部;検体(検体中の特定成分を含む。以下同じ。)を計量するための検体計量部;流体(たとえば試薬)を計量するための流体計量部;検体と流体とを混合するための混合部;得られた混合液についての検査・分析(たとえば、混合液中の特定成分の検出または定量)を行なうための検出部(光学測定を行なうためのキュベット)などを挙げることができる。本発明のマイクロチップは、これら例示された部位のすべてを有していてもよく、いずれか1以上を有していなくてもよい。また、これら例示された部位以外の部位を有していてもよい。これらの部位は、所望する流体処理を行なうことができるよう、流体回路内の適切な位置に配置され、かつ微細な流路を介して接続されている。
検体と流体(たとえば試薬)とを混合させることによって最終的に得られた混合液は、特に限定されないが、たとえば、該混合液が収容された部位(たとえば検出部)に光を照射して透過する光の強度(透過率)を検出する方法等の光学測定などに供され、検査・分析が行なわれる。
検体からの特定成分の抽出(不要成分の分離)、検体および/または流体の計量、検体と流体との混合、得られた混合液の検出部への導入などのような流体回路内における種々の流体処理は、マイクロチップに対して、適切な方向の遠心力を順次印加することにより行なうことができる。マイクロチップへの遠心力の印加は、マイクロチップを、遠心力を印加可能な装置(遠心装置)に載置して行なうことができる。遠心装置は、回転自在なローター(回転子)と、該ローター上に配置された回転自在なステージとを備えている。該ステージ上にマイクロチップを載置し、該ステージを回転させてローターに対するマイクロチップの角度を任意に設定することにより、マイクロチップに対して任意の方向の遠心力を印加することができる。
以下、実施の形態を示して、本発明のマイクロチップについて詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第2の基板200(図1において図示せず)上に、表面に溝を備える第1の基板100を積層、貼合してなる本発明のマイクロチップの好ましい実施形態の1つを示す上面図であり、マイクロチップが有する流体回路の構造を示すものである。図1に示されるマイクロチップにおいて、第1の基板100は、図示しない第2の基板200上に、その溝形成側表面が第2の基板200に対向するように貼り合わされている。したがって、図1は、第1の基板100の、溝形成側表面とは反対側の表面を示したものであるが、説明の便宜上、溝パターンを実線で示している。本実施形態のマイクロチップにおいて第2の基板200は、第1の基板100と同じか、または同様の輪郭形状を有している。第1の基板100および第2の基板200はそれぞれ、たとえばプラスチック製の透明基板、黒色基板である。なお、図1における斜線部分は、該領域がテーパ形状である(すなわち、隣接する領域の溝底面に対して、該領域の溝底面が傾斜している)ことを意味する。後述の図2についても同様である。
図1を参照して、本実施形態のマイクロチップの流体回路は、被験者から採取された全血を含むキャピラリー等のサンプル管を組み込むためのサンプル管載置部101、サンプル管より導出された全血を、血球成分と血漿成分とに分離するための分離部102、分離された血球成分を計量するための血球計量部103、液体状の試薬(以下、液体試薬と称する)を保持するための3つの試薬保持槽104、105および106、試薬保持槽105および106にそれぞれ隣接して設けられた、一時的に液体試薬を収容するための試薬収容部107および108、液体試薬を計量するための3つの試薬計量部109、110および111、血球成分と液体試薬とを混合するための第1の混合部112、血球成分と液体試薬との混合液を計量するための混合液計量部113、血球成分と液体試薬との混合液と、他の液体試薬との混合を行なうための第2の混合部114、ならびに、最終的に得られた混合液についての検査・分析が行なわれる検出部115から主に構成される。3つの試薬保持槽104、105および106は、液体試薬を当該試薬保持槽内に注入するための試薬注入口116、117および118をそれぞれ有している。試薬注入口116、117および118は、第1の基板100を厚み方向に貫通する貫通口である。なお、以下では、試薬注入口を介して試薬保持槽104、105および106内に注入、保持される液体試薬を、それぞれ液体試薬R0、R1、R2と称することとする。
以上のように、本実施形態のマイクロチップが有する流体回路は、全血から分離された血球成分に対して、液体試薬R0、R1およびR2をこの順で混合させ、得られた混合液について光学測定等の検査・分析を行なうのに適した構成となっている。以下、本発明の特徴部分である流体保持槽としての試薬保持槽について、試薬保持槽105を例に挙げてさらに詳細に説明する。
図2は、図1に示されるマイクロチップの試薬保持槽105を拡大して示す図であり、図2(a)はその上面図、図2(b)は図2(a)に示されるIIB−IIB線における概略断面図である。図2(b)においては、第1の基板100に貼り合わされている第2の基板200も併せて示している。
図2に示されるように、本実施形態のマイクロチップにおける試薬保持槽105は、マイクロチップ表面(第1の基板100の表面)から流体保持槽105まで貫通する貫通口からなる試薬注入口117と、液体試薬R1を試薬保持槽105から流出させるための試薬流出口120とを備えている。また、試薬保持槽105は、その内部に、試薬保持槽105を、試薬注入口117を構成する貫通口を有する側の領域であって、試薬が導入され、収容される領域である第1の領域Aと、試薬流出口120を有する側の領域である第2の領域Bとに二分する隔壁130を有している。
隔壁130は、図2(b)に示されるように、第1の基板100における第2の基板200側表面に設けられた突起部131、および、突起部131先端部の平坦面と対向する第2の基板200表面(第1の基板100側表面)との間に形成される空間からなる、第1の領域Aと第2の領域Bとを連通させる連通口132から構成される。
上記構成を有する試薬保持槽105に、試薬注入口117から液体試薬R1を注入した場合、液体試薬R1は、第1の領域A内に収容されることとなる。このような第1の領域A内に液体試薬R1が内蔵されたマイクロチップは、外的な衝撃が加えられた場合や、たとえば環境温度の変動等により流体保持槽105の第1の領域Aの内圧が上昇した場合であっても、液体試薬R1が第2の領域B側へ流出しにくい構造となっており、第1の領域A内に収容された液体試薬R1が試薬保持槽105から流出することを効果的に防止することができる。すなわち、本実施形態のマイクロチップにおける試薬保持槽は、衝撃および試薬保持槽の内圧上昇に対する試薬保持機能に優れており、比較的簡易な構造であるにもかかわらず、衝撃および試薬保持槽の内圧上昇による意図しない試薬保持槽からの液体試薬の流出を効果的に防止することが可能となっている。連通口132を備える隔壁130は、「バルブ」としての機能を備えており、所望しない場合には、液体試薬R1を第1の領域Aから流出させない一方、所望する場合には、所定の強さの遠心力の印加により、液体試薬R1を第1の領域Aから流出させることができる。
なお、本実施形態においては、試薬流出口120もバルブとしての機能を有しており、したがって、試薬保持槽105は、2段階のバルブを有していることとなる。試薬流出口120にバルブ機能を付与することにより、衝撃によって、万一、連通口132から液体試薬R1が第2の領域B側へ流出した場合であっても、液体試薬R1が試薬保持槽105から流出してしまう可能性を極めて低くすることができる。
また、隔壁130の設置により、試薬保持槽105への液体試薬R1の注入時に、液体試薬R1が試薬流出口120の内側開口(第1の領域A寄りの開口)を塞いでしまうのを抑制、防止することができ、また、上記のように、衝撃により液体試薬R1が移動し、試薬流出口120の内側開口を塞いでしまうのを抑制、防止することができるため、環境温度の上昇などによる試薬保持槽内の内圧上昇により、当該内側開口を塞いでいた液体試薬R1が試薬保持槽から流出することを抑制、防止することができる。
ここで、隔壁130は、図2(a)に示されるように、マイクロチップ表面(たとえば、第1の基板100の基板表面)側からみたとき(すなわち、マイクロチップをその上面側からマイクロチップ厚み方向に見下ろしたとき)、湾曲した形状を有する壁からなる湾曲部133を一部に備えている。すなわち、隔壁130を構成する突起部131は、その中央部において円弧状に形成された湾曲部133と、湾曲部133の両端に形成された直線状の壁を含む。このように、隔壁が湾曲部を有していると、たとえば、第1の領域A内の液体試薬が、ある圧力下(たとえば、マイクロチップに対する衝撃や第1の領域A内の内圧上昇)、隔壁に接したとき、液体試薬によって受ける圧力を分散することができるとともに、液体試薬が円状のバルク形状を有している場合には、隔壁と液体試薬との接触面積を増加させることができるため、液体試薬を保持する機能をより向上させることができる。このような液体試薬の保持機能をさらに向上させるために、湾曲部を有する隔壁は、図2(a)に示されるように、第2の領域B側に凸となっていることが好ましい。
湾曲部の形状は、特に制限されるものではないが、圧力をより効率的に分散できること、および、試薬保持槽に収容される液体試薬は水系の試薬であり、第1の領域内においておよそ円形状のバルク溶液を形成することから、円弧形状であることが好ましい。湾曲部の形状を円弧形状にすることにより、液体試薬からの圧力をより効率的に分散できるとともに、隔壁と液体試薬との接触面積を増加させることができるため、液体試薬を保持する機能をより向上させることができる。
湾曲部の形状を円弧形状とする場合において、その円弧の曲率半径は、特に制限されるものではなく、たとえば2〜5mm程度とすることができるが、試薬保持槽に収容される液体試薬の液量等に応じて調整されることが好ましい。具体的には、円弧の曲率半径は、液体試薬が第1の領域A内において示す円形状バルク溶液の半径と同等とするか、あるいは略同等とすることが好ましい。
図2(b)を参照して、連通口132の高さNは、0.1〜0.2mm程度とすることが好ましい。高さNが0.1mmより小さいと、マイクロチップ作製時において、連通口形成領域における第1の基板と第2の基板とが溶着してしまうおそれがあり、また、遠心力の印加によっても、第1の領域Aから液体試薬が流出しない可能性がある。また、高さNが0.2mmを超えると、隔壁130に適切なバルブ機能を付与することができず、衝撃や内圧上昇により、液体試薬が第1の領域Aから流出してしまう可能性がある。連通口132の長さMは、隔壁130に適切なバルブ機能を付与できる限り特に制限されるものではないが、たとえば、0.2〜2mm程度とすることができ、好ましくは0.5〜1.0mm程度である。なお、遠心力印加時に液残りを生じさせることなく、液体試薬を排出できるよう、突起部131先端部の平坦面と、対向する第2の基板200表面(第1の基板100側表面)とは、平行または略平行であることが好ましい。
また、隔壁の第1の領域A側の側面は、マイクロチップ厚み方向に対して傾斜した傾斜面を備えていることが好ましい。具体的には、本実施形態のマイクロチップにおいて、隔壁130を構成する突起部131は、図2(a)および(b)に示されるように、その第1の領域A側の側面は傾斜面Xからなる。このような傾斜面Xを備えることにより、液体試薬を第1の領域Aから流出させるために所定の遠心力を印加したとき、液体試薬の全量をスムーズに流出させることができ、液体試薬の残存を防止することができる。傾斜面Xの傾斜角度、すなわち、第1の基板100における第1の領域Aを構成する基板表面と傾斜面Xとがなす角度(図2(b)における角度α)は、鈍角であることが好ましく、95度以上であることがより好ましい。一方、第1の基板100における第2の領域Bを構成する基板表面と突起部131における第2の領域B側の側面とがなす角度(図2(b)における角度β)は、特に制限されず、90度程度であってもよいし、鋭角とすることもできる。傾斜面Xが形成されている領域における突起部131の幅L(図2(a)参照)は、液体試薬が突起部に接する際の接触面積が増加すると、液体試薬の保持機能がより向上することから、長めに設定することが好ましく、たとえば1〜3mm程度とすることができる。
隔壁130の試薬保持槽105内における位置は、試薬注入口117と試薬流出口120との間に配置される限り、特に制限されるものではない。
なお、詳述しないが、試薬保持槽104および106にも同様の隔壁が設けられている(図1参照)。試薬保持槽106に設けられた隔壁は、マイクロチップ表面側からみたとき、直線状の形状を有する突起部から構成されている。
本実施形態においては、図1に示されるように、液体試薬R1を保持する試薬保持槽105に隣接して、液体試薬R1を一時的に収容するための試薬収容部107が設けられている。具体的には、試薬収容部107は、試薬保持部105の試薬流出口120の他端に接続されており、試薬保持槽105から流出した液体試薬R1が、一旦、この試薬収容部107に収容されるように配置されている。同様に、試薬保持槽106に隣接して、試薬収容部108が設けられている。
試薬収容部107は、試薬流出口120との接続部分とは別に開口を有しており、該開口Xには、試薬計量部110に接続されている。したがって、適切な方向の遠心力の印加(たとえば、図2における左向きの遠心力)により、試薬収容部107から液体試薬R1が排出されると、当該液体試薬R1は、同遠心力により試薬計量部110に導入され、計量されることとなる。
試薬保持槽105から流出した液体試薬R1を一旦収容可能な、試薬収容部107を設けることにより、マイクロチップへの衝撃や試薬保持槽105の内圧上昇により、万一、液体試薬R1が試薬保持槽105から流出した場合などであっても、液体試薬R1が試薬計量部110へ流出することを防止することができる。また、マイクロチップが複数種類の液体試薬を使用する場合においては、このような試薬収容部を設けると、当該試薬収容部が、液体試薬を一旦待機させる機能を果たし、これらの液体試薬をそれぞれ適宜のタイミングで計量部に導入し、適宜のタイミングで検体と混合させることが可能となる。したがって、かかる試薬収容部を備えるマイクロチップは、検体に対して、複数種類の液体試薬を適切な順序で順次混合させることが必要な場合に特に有用である。
図1に示されるマイクロチップの動作方法は、概略以下のとおりである。なお、以下に説明する動作方法は一例を示したものであり、この方法に限定されるものではない。まず、全血サンプルを採取したサンプル管をサンプル管載置部101に挿入する。次に、マイクロチップに対して、図1における左向き方向(以下、単に左向きという。他の方向についても以下同様。)に遠心力を印加し、サンプル管内の全血サンプルを取り出した後、下向きの遠心力により、全血サンプルを分離部102に導入して遠心分離を行ない、血漿成分と血球成分とに分離する。次に、左向きの遠心力を印加し、上層の血漿成分を除去する。この際、除去された血漿成分は、領域aに収容される。ついで、下向きの遠心力を印加することにより、分離部102内の血球成分液面を整えるとともに、除去した血漿成分を領域bに移動させる。次に、右向きの遠心力を印加し、試薬保持槽104内の液体試薬R0を試薬計量部109に導入し、計量を行なう。この遠心力により、試薬保持槽105内の液体試薬R1および試薬保持槽106内の液体試薬R2は、それぞれ試薬収容部107、108に移動する。また、この遠心力により、分離部102内の血球成分は、血球計量部103に導入され計量される。
次に、下向きの遠心力を印加して、計量された血球成分と液体試薬R0とを第1の混合部112にて混合し混合液を得る。この遠心力により、試薬収容部108内の液体試薬R2は、試薬計量部111にて計量される。ついで、右向き、下向き、左向き、下向きの遠心力を順次印加して、上記混合液の混合を十分に行なう。なお、上記左向きの遠心力の印加により、試薬収容部107内の液体試薬R1は、試薬計量部110にて計量される。また、最後の下向きの遠心力により、計量された液体試薬R1は、第2の混合部114に移動する。
次に、左向きの遠心力を印加した後、左上向きついで左向きの遠心力を印加して、第1の混合部112内の混合液の上澄み部分を混合液計量部113に導入し、計量を行なう。次に、下向きの遠心力を印加することにより、計量された混合液と液体試薬R1とを第2の混合部114にて混合する。ついで、左向き、下向きの遠心力を順次印加して、当該混合液の混合を十分に行なう。この下向きの遠心力を印加した状態において、計量された液体試薬R2は、領域cに位置している。次に、右向きの遠心力を印加して、該混合液と液体試薬R2とを検出部115にて混合し、さらに下向きの遠心力を印加して混合を十分に行なう。最後に、右向きの遠心力を印加して、混合液を検出部115に収容させ、該検出部115に光を照射し、その透過光の強度を測定するなどの光学測定を行なう。
(第2の実施形態)
図3は、本発明のマイクロチップが有する試薬保持槽の別の一例を示す概略断面図である。本実施形態のマイクロチップにおける試薬保持槽は、上記第1の実施形態と同様に、その内部に、試薬保持槽を、試薬注入口を構成する貫通口を有する側の領域である第1の領域Aと、試薬流出口を有する側の領域である第2の領域Bとに二分する隔壁330を有している。隔壁330は、第2の基板400における第1の基板300側表面に設けられた突起部331、および、突起部331先端部の平坦面と対向する第1の基板300表面(第2の基板400側表面)との間に形成される空間からなる、第1の領域Aと第2の領域Bとを連通させる連通口332から構成される。このように、隔壁を構成する突起部は、第2の基板に設けられてもよい。
上記第1の実施形態と同様に、突起部331先端部の平坦面と対向する第1の基板300表面(第2の基板400側表面)とは、平行または略平行であることが好ましい。
(第3の実施形態)
図4は、本発明のマイクロチップが有する試薬保持槽のさらに別の一例を示す概略断面図である。本実施形態のマイクロチップにおける試薬保持槽は、上記第1の実施形態と同様に、その内部に、試薬保持槽を、試薬注入口を構成する貫通口を有する側の領域である第1の領域Aと、試薬流出口を有する側の領域である第2の領域Bとに二分する隔壁430を有している。隔壁430は、第1の基板500に設けられた突起部431、第2の基板600に設けられた突起部432、および、突起部431先端部の平坦面と突起部432先端部の平坦面との間に形成される空間からなる、第1の領域Aと第2の領域Bとを連通させる連通口433から構成される。このように、第1の基板および第2の基板の双方に隔壁を構成する突起部を設け、連通口を、試薬保持槽の天井面または底面に配置するのではなく、中央部(またはその近傍)に配置するようにしてもよい。
上記第1の実施形態と同様に、突起部431先端部の平坦面と突起部432先端部の平坦面とは、平行または略平行であることが好ましい。また、第1の基板500における第1の領域Aを構成する基板表面と、第1の基板500表面に設けられた突起部431における第1の領域A側の側面とがなす角度は鈍角であることが好ましく、95度以上であることがより好ましい。同様に、第2の基板600における第1の領域Aを構成する基板表面と、第2の基板600表面に設けられた突起部432における第1の領域A側の側面とがなす角度は鈍角であることが好ましく、95度以上であることがより好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
図1および図2に示される構造を有する、透明プラスチック基板からなる第1の基板と、黒色基板である第2の基板とをレーザ溶着により貼り合わせ、マイクロチップを作製した。ここで、連通口132の高さは0.15mmとし、連通口132の長さMは0.6mmとした。また、試薬保持槽の深さ(試薬保持槽における第1の基板100と第2の基板200との距離、図2(b)における距離R)は2.8mmとした。隔壁130の湾曲部133は円弧形状であり、その曲率半径は、3.45mmとした。第1の基板100における第1の領域Aを構成する基板表面と傾斜面Xとがなす角度(図2(b)における角度α)は、110度とし、第1の基板100における第2の領域Bを構成する基板表面と突起部131における第2の領域B側の側面とがなす角度(図2(b)における角度β)は、90度とした。このマイクロチップの試薬保持槽105に、精製水を40μL注入した後、マイクロチップ表面に封止用ラベルを貼合し、試薬注入口117を封止し、下記評価試験を行なった。
(1)流体動作の評価
図1における下向き方向の遠心力(3000rpm、10秒、以下同様)を印加した後、右向きの遠心力を印加して、試薬保持槽105内の精製水を試薬収容部107に導入した。この際、試薬保持槽105内に液残りはなかった。
(2)落下試験
マイクロチップを、2mの高さから落下させる操作を20回行なったところ、精製水の第2の領域Bへの流出は認められなかった。
(3)圧力試験
温度4℃の環境下、試薬保持槽105内の精製水を隔壁130に接するように意図的に移動させた後、マイクロチップを37℃の環境下で20分間放置した。温度上昇に伴う、第1の領域Aの内圧上昇によっても、精製水の第2の領域Bへの流出は生じなかった。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
第2の基板上に、表面に溝を備える第1の基板を積層、貼合してなる本発明のマイクロチップの好ましい実施形態の1つを示す上面図である。 図1に示されるマイクロチップの試薬保持槽を拡大して示す図である。 本発明のマイクロチップが有する試薬保持槽の別の一例を示す概略断面図である。 本発明のマイクロチップが有する試薬保持槽のさらに別の一例を示す概略断面図である。 特許文献1に記載の試薬内蔵型マイクロチップの一例を示す平面図である。
符号の説明
100,300,500 第1の基板、101 サンプル管載置部、102 分離部、103 血球計量部、104,105,106 試薬保持槽、107,108 試薬収容部、109,110,111 試薬計量部、112 第1の混合部、113 混合液計量部、114 第2の混合部、115 検出部、116,117,118 試薬注入口、120 試薬流出口、130,330,430 隔壁、131,331,431,432 突起部、132,332,433 連通口、133 湾曲部、200,400,600 第2の基板。

Claims (10)

  1. 第2の基板と、前記第2の基板上に積層された表面に溝を備える第1の基板とを含み、
    前記溝と前記第2の基板における前記第1の基板側表面とから構成される空洞部からなる流体回路を有するマイクロチップであって、
    前記流体回路は、流体を保持するための流体保持槽を含み、
    前記流体保持槽は、
    前記流体を前記流体保持槽から流出させるための流体流出口と、
    前記流体保持槽を、前記流体が導入される側の領域である第1の領域と、前記流体流出口を有する側の領域である第2の領域とに二分する隔壁と、を有し、
    前記隔壁は、前記第1の領域と前記第2の領域とを連通させる連通口を備えており、
    前記隔壁は、前記マイクロチップ表面側からみたとき、湾曲した形状を有する壁からなる湾曲部を少なくとも一部に備えるマイクロチップ。
  2. 前記湾曲部は、前記第2の領域側に凸となるような円弧形状を有する壁からなる請求項1に記載のマイクロチップ。
  3. 前記円弧の曲率半径は、2〜5mmである請求項2に記載のマイクロチップ。
  4. 前記隔壁における前記第1の領域側の側面は、マイクロチップ厚み方向に対して傾斜した傾斜面を備える請求項1〜3のいずれかに記載のマイクロチップ。
  5. 前記隔壁は、前記第1の基板または前記第2の基板表面に設けられた突起部から構成され、
    前記連通口は、前記突起部と、対向する前記第2の基板または前記第1の基板表面との間に形成される空間からなる請求項1〜4のいずれかに記載のマイクロチップ。
  6. 前記突起部における前記連通口を形成する面は、前記対向する第2の基板または第1の基板表面と平行または略平行である請求項5に記載のマイクロチップ。
  7. 前記突起部が設けられる第1の基板または第2の基板における前記第1の領域を構成する基板表面と、前記突起部における前記第1の領域側の側面とがなす角度は鈍角である請求項5または6に記載のマイクロチップ。
  8. 前記隔壁は、前記第1の基板および前記第2の基板表面に設けられた突起部から構成され、
    前記連通口は、前記第1の基板表面に設けられた突起部と、前記第2の基板表面に設けられた突起部との間に形成される空間からなる請求項1〜4のいずれかに記載のマイクロチップ。
  9. 前記第1の基板表面に設けられた突起部における前記連通口を形成する面は、前記第2の基板表面に設けられた突起部における前記連通口を形成する面と平行または略平行である請求項8に記載のマイクロチップ。
  10. 前記第1の基板における前記第1の領域を構成する基板表面と、前記第1の基板表面に設けられた突起部における前記第1の領域側の側面とがなす角度は鈍角であり、
    前記第2の基板における前記第1の領域を構成する基板表面と、前記第2の基板表面に設けられた突起部における前記第1の領域側の側面とがなす角度は鈍角である請求項8または9に記載のマイクロチップ。
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