JP2010078190A - 受液器及びそれを備えた熱交換装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】冷媒貯留性能の高い受液器を提供する。
【解決手段】凝縮部110で凝縮した液相冷媒を貯留するとともに、貯留している液相冷媒を過冷却部130に供給する受液器であって、外管121と当該外管121の内側に設けられた内管122とを備えた二重管構造を有し、凝縮部110で凝縮した液相冷媒を内管122の内側に形成された内側空間125に貯留し、内側空間125に貯留されている液相冷媒に対する外部からの伝熱を抑制する伝熱抑制流体を、内管122の外側であって外管121の内側に形成された外側空間126に流通させるようにする。
【選択図】図1
【解決手段】凝縮部110で凝縮した液相冷媒を貯留するとともに、貯留している液相冷媒を過冷却部130に供給する受液器であって、外管121と当該外管121の内側に設けられた内管122とを備えた二重管構造を有し、凝縮部110で凝縮した液相冷媒を内管122の内側に形成された内側空間125に貯留し、内側空間125に貯留されている液相冷媒に対する外部からの伝熱を抑制する伝熱抑制流体を、内管122の外側であって外管121の内側に形成された外側空間126に流通させるようにする。
【選択図】図1
Description
本発明は、冷凍サイクルに用いられ、凝縮した液相冷媒を貯留する受液器及びそれを備えた熱交換装置に関する。
特許文献1には、従来の熱交換装置が開示されている。この熱交換装置は、冷媒を凝縮させる凝縮部と、凝縮部で凝縮した液相冷媒を熱負荷に応じて一時的に貯留する受液器と、受液器に貯留されている液相冷媒を過冷却する過冷却部とを一体化した構成を有している。
特開2005−114353号公報
上記のような熱交換装置を車両に搭載する際には、エンジンやオイルクーラ等の発熱体が配置されるエンジンルーム内に設置される。このため、受液器内に貯留されている液相冷媒は、発熱体からの伝熱によって、高圧飽和温度以上に加熱されて気化してしまう。したがって、受液器内の容積に占める液相冷媒比率が減少するため、受液器の冷媒貯留性能が低下してしまうという問題があった。
本発明の目的は、冷媒貯留性能の高い受液器及びそれを備えた熱交換装置を提供することにある。
本発明は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。
請求項1に記載の発明は、冷媒を圧縮する圧縮機(20)と、圧縮機(20)で圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮部(110)と、凝縮部(110)で凝縮した液相冷媒を過冷却する過冷却部(130)と、過冷却部(130)で過冷却された液相冷媒を減圧膨張させる減圧手段(30)と、減圧手段(30)で減圧膨張した冷媒を蒸発させて圧縮機(20)に戻す蒸発器(40)とを有する冷凍サイクル(10)に用いられ、凝縮部(110)で凝縮した液相冷媒を貯留するとともに、貯留している液相冷媒を過冷却部(130)に供給する受液器であって、外管(121)と当該外管(121)の内側に設けられた内管(122)とを備えた二重管構造を有し、凝縮部(110)で凝縮した液相冷媒を内管(122)の内側に形成された内側空間(125)に貯留し、内側空間(125)に貯留されている液相冷媒に対する外部からの伝熱を抑制する伝熱抑制流体を、内管(122)の外側であって外管(121)の内側に形成された外側空間(126)に流通させることを特徴とする受液器である。
二重管構造の受液器の外側空間(126)に伝熱抑制流体を流通させることによって、内側空間(125)に貯留されている液相冷媒に対する外部からの伝熱が抑制されるため、液相冷媒が受液器内で加熱されて気化してしまうのを防止できる。したがって、受液器の内側空間(125)内の容積に占める液相冷媒比率を増加させることができるため、冷媒貯留性能の高い受液器が得られる。
請求項2に記載の発明は、外側空間(126)は、蒸発器(40)よりも下流側で圧縮機(20)よりも上流側の冷媒流路の少なくとも一部を構成し、伝熱抑制流体として、蒸発器(40)で蒸発した低圧冷媒が用いられることを特徴としている。
冷凍サイクル内の低圧冷媒は比較的低温であるため、高い伝熱抑制効果が得られるとともに、内側空間(125)に貯留されている液相冷媒の過冷却度を増大させる効果も得られる。
請求項3に記載の発明は、外側空間(126)は、蒸発器(40)表面で凝縮した凝縮水が流通する凝縮水流路の少なくとも一部を構成し、伝熱抑制流体として、凝縮水が用いられることを特徴としている。
蒸発器(40)で凝縮した凝縮水は比較的低温であるため、高い伝熱抑制効果が得られるとともに、内側空間(125)に貯留されている液相冷媒の過冷却度を増大させる効果も得られる。
請求項4に記載の発明は、蒸発器(40)は、空調装置の空気通路に配置されて空調空気を冷却する冷却用熱交換器であり、伝熱抑制流体として、蒸発器(40)で冷却された空調空気の一部が用いられることを特徴としている。
蒸発器(40)で冷却された空調空気は比較的低温であるため、高い伝熱抑制効果が得られるとともに、内側空間(125)に貯留されている液相冷媒の過冷却度を増大させる効果も得られる。
請求項5に記載の発明は、上記発明の受液器と、凝縮部(110)及び過冷却部(130)とが一体化された構造を有することを特徴とする熱交換装置である。
これにより、上記発明と同様の効果が得られるとともに、熱交換装置を設置する工程を簡略化できる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係の一例を示している。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について図1乃至図4を用いて説明する。本実施形態の熱交換装置を含む冷凍サイクルは、例えば車両に搭載される車両用空調装置を構成している。図1は、本実施形態における熱交換装置100を含む冷凍サイクル10の構成を示す模式図である。図1に示すように、冷凍サイクル10は、圧縮機20、熱交換装置100、膨張弁(減圧手段)30及び蒸発器40が冷媒配管を介して順次環状に接続された構成を有している。冷凍サイクル10内を循環する冷媒として、例えばフロン系冷媒が用いられている。
本発明の第1実施形態について図1乃至図4を用いて説明する。本実施形態の熱交換装置を含む冷凍サイクルは、例えば車両に搭載される車両用空調装置を構成している。図1は、本実施形態における熱交換装置100を含む冷凍サイクル10の構成を示す模式図である。図1に示すように、冷凍サイクル10は、圧縮機20、熱交換装置100、膨張弁(減圧手段)30及び蒸発器40が冷媒配管を介して順次環状に接続された構成を有している。冷凍サイクル10内を循環する冷媒として、例えばフロン系冷媒が用いられている。
圧縮機20は、冷凍サイクル10内の冷媒を高温高圧に圧縮して吐出する流体機器である。圧縮機20は、例えばエンジンの駆動力によって駆動されるようになっている。エンジンの駆動力は、駆動ベルトを介して、圧縮機20の駆動軸に設けられたプーリ21に伝達される。圧縮機20の駆動軸とプーリ21との間は、電磁クラッチ(図示せず)により断続されるようになっている。
熱交換装置100は、凝縮器101と受液器(モジュレータ)120とが一体化された受液器一体型凝縮器である。凝縮器101は、圧縮機20で圧縮された冷媒を空気との熱交換により凝縮させる凝縮部110と、凝縮した液相冷媒を空気との熱交換により過冷却する過冷却部130とを有している。受液器120は、凝縮部110で凝縮した液相冷媒を熱負荷に応じて一時的に貯留するとともに、貯留している液相冷媒を過冷却部130に供給するようになっている。熱交換装置100は、車両のエンジンルーム内のうち走行風を受け易い場所に設置されている。凝縮部110、受液器120及び過冷却部130は例えば全てアルミニウム合金製であり、ろう接により一体的に結合されている。
凝縮器101は、冷媒と空気との熱交換を行う略矩形状のコア102を有している。コア102は、概ね水平な一方向に延伸して冷媒を流通させる複数の扁平チューブと、扁平チューブに熱的に接続され、空気に対する伝熱面積を増大させて熱交換を促進させる複数のコルゲートフィンとが、概ね鉛直方向に交互に積層された構造を有している。
コア102のチューブ延伸方向一端部(図中左側)には、概ね鉛直方向に延伸し、複数の扁平チューブの一端部同士を連通させるヘッダタンク103が設けられている。ヘッダタンク103の内部には、上部連通室103aと中間部連通室103bとを区画するセパレータ104と、中間部連通室103bと下部連通室103cとを区画するセパレータ105とが設けられている。上部連通室103aには、圧縮機20側からの冷媒を流入させる流入部106が設けられている。
コア102のチューブ延伸方向他端部(図中右側)には、概ね鉛直方向に延伸し、複数の扁平チューブの他端部同士を連通させるヘッダタンク107が設けられている。ヘッダタンク107の内部には、上部連通室107aと下部連通室107bとを区画するセパレータ108が、セパレータ105と同じ高さに設けられている。下部連通室107bには、冷媒を膨張弁30側に流出させる流出部109が設けられている。
凝縮部110は、ヘッダタンク103の上部連通室103a及び中間部連通室103bと、ヘッダタンク107の上部連通室107aと、上部連通室103a又は中間部連通室103bに接続された扁平チューブとにより構成されている。すなわち、ヘッダタンク103の上部連通室103aに流入した冷媒は、上部連通室103aに接続された扁平チューブ内を図中右向きに流れ、ヘッダタンク107の上部連通室107aに流入してUターンし、中間部連通室103bに接続された扁平チューブ内を図中左向きに流れ、中間部連通室103bに流入するようになっている。
過冷却部130は、ヘッダタンク103の下部連通室103cと、ヘッダタンク107の下部連通室107bと、下部連通室103cに接続された扁平チューブとにより構成されている。
受液器120は、概ね鉛直方向に延伸し、ヘッダタンク103に隣接して設けられている。受液器120の鉛直方向の高さは、例えば150mm程度である。
図2は、受液器120をほぼ水平な平面で切断した断面を示す模式図である。図2に示すように、受液器120は、外管121と、外管121の内側に配置された内管122とを備えた二重管構造を有している。外管121及び内管122は、互いにほぼ同軸に概ね鉛直方向に延伸するように配置されている。受液器120の寸法の一例を挙げると、外管121の外径は44mm以上であり、板厚は1mm以上である。内管122の外径は外管121の内径よりも小さい35mm程度であり、板厚は1mm以上である。外管121の内周面と内管122の外周面との間には、全周に亘って幅2mm以上の隙間が形成されている。ここで、受液器120を構成する二重管は、内管122及び外管121を別工程で形成した後に内管122を外管121内に挿通させて作製してもよいし、押出し成形等により内管122及び外管121を一括して作製してもよい。
内管122の内側には、断面円形状の内側空間125が形成されている。内管122よりも外側であって外管121よりも内側には、断面円環状の外側空間126が形成されている。外側空間126には、全周に亘って所定幅の隙間を維持するとともに外管121及び内管122を相互に固定する、アルミニウム合金製の複数の位置決め部材129が設けられている。本例では、8つの位置決め部材129が周方向において等間隔に設けられている。各位置決め部材129は、帯状の形状を有しており、外管121及び内管122の管軸に沿って延伸している。また各位置決め部材129の図2に示す断面の長手方向は、外管121及び内管122の径方向に延伸している。位置決め部材129は、外側空間126を流通する流体に対する伝熱面積を増大させる機能も有している。なお、位置決め部材129の形状、位置、個数等は任意に変更可能である。
図1に戻り、内管122の延伸方向両端部は、閉塞部材123、124により閉塞されている。内側空間125は、例えば内管122及び外管121の管壁を貫通して形成された連通部127を介して、ヘッダタンク103の中間部連通室103bに連通している。これにより、内側空間125には、凝縮部110で凝縮した液相冷媒が流入し、一時的に貯留されるようになっている。
また内側空間125は、例えば内管122及び外管121の管壁を貫通して連通部127よりも下方に形成された連通部128を介して、ヘッダタンク103の下部連通室103cに連通している。これにより、内側空間125に貯留されている液相冷媒は、過冷却部130に供給されるようになっている。
外側空間126は、冷凍サイクル10の低圧冷媒流路の一部を構成しており、内部に低圧冷媒(伝熱抑制流体)が流通するようになっている。外側空間126には、外部から低圧冷媒を流入させる流入部141と、流入部141から流入した低圧冷媒を外部に流出させる流出部142とが形成されている。例えば流入部141は流出部142よりも下方に設けられ、外側空間126内では低圧冷媒が上向きに流れるようになっている。
過冷却部130の下流側に設けられた膨張弁30は、過冷却部130から流出した液相冷媒を等エンタルピー的に減圧膨張させる弁である。膨張弁30は、例えば蒸発器40に隣接して設けられている。膨張弁30としては、例えば、蒸発器40から流出する冷媒の過熱度が所定値となるように絞り開度を制御する温度式膨張弁が用いられる。
蒸発器40は、膨張弁30で減圧膨張した冷媒を外部流体との熱交換により蒸発させる熱交換器である。蒸発器40は、例えば車両用空調装置の空気通路内に配置され、空調空気を冷却する冷却用熱交換器として用いられる。蒸発器40の冷媒流出口は、外側空間126の流入部141に接続されている。また外側空間126の流出部142は、圧縮機20の冷媒吸入口に接続されている。これにより、蒸発器40で蒸発した低圧冷媒は、流入部141から流入して外側空間126内を流通し、流出部142から流出して圧縮機20に吸入されるようになっている。
次に、本実施形態の作動について説明する。乗員からの空調要求、例えば冷房要求があると、圧縮機20の電磁クラッチが接続される。これにより、圧縮機20はエンジンによって駆動され、蒸発器40側から冷媒を吸入して圧縮し、高温の高圧冷媒として凝縮器101側に吐出する。高圧冷媒は、凝縮器101の凝縮部110で空気との熱交換により冷却されて凝縮液化し、受液器120の内側空間125に貯留される。受液器120に貯留されている液相冷媒は、凝縮器101の過冷却部130に供給されて、空気との熱交換により過冷却される。
過冷却部130で過冷却された液相冷媒は、膨張弁30で減圧膨張し、蒸発器40で蒸発する。蒸発器40では冷媒の蒸発に伴って空調空気が冷却される。蒸発器40で蒸発した低圧冷媒は、受液器120の外側空間126を通って圧縮機20に戻る。
本実施形態では、二重管構造の受液器120において、内側空間125には液相冷媒が貯留され、外側空間126には蒸発器40で蒸発した低圧冷媒が流通するようになっている。このため、外側空間126を流通する低圧冷媒によって、内側空間125内に貯留されている液相冷媒への外部からの直接的な伝熱が抑制される。したがって、エンジンやオイルクーラ等の発熱体が配置されるエンジンルーム内に受液器120が設置されていても、内側空間125内の液相冷媒が温度上昇して気化するのを抑制できる。したがって、受液器120の容積に占める液相冷媒比率を増加させることができるため、受液器120の冷媒貯留性能を高めることができる。これにより、受液器120の容積を大型化することなく、受液器120に貯留される冷媒量を増加させることができる。
また本実施形態において、外側空間126を流通する低圧冷媒の温度は例えば15℃程度であり、内側空間125内の液相冷媒よりも低温になっている。これにより、外側空間126内の低圧冷媒と内側空間125内の液相冷媒との間で熱交換が行われるため、内側空間125内の液相冷媒は、温度が維持されるだけでなく低温化が促進される。したがって、単に受液器を外部から断熱した構成と比較しても高い昇温抑制効果が得られるとともに、液相冷媒の過冷却度を高める効果も得られる。
図3は、本実施形態の受液器120と従来の一般的な受液器220とを比較して示す模式図である。図3(a)は本実施形態の受液器120を示し、図3(b)は従来構造の受液器220(容量は受液器120と同等)を示している。図3(b)に示すように、従来の受液器220では、発熱体からの伝熱により液相冷媒が気化して液面レベルL2が低下し、受液器220内の容積に占める液相冷媒比率が低くなっている。したがって、気液の密度差によって、受液器220内に貯留される冷媒の質量が減少するため、受液器220の冷媒貯留性能が低下していた。
これに対し、図3(a)に示すように、本実施形態の受液器120では、外側空間126を流通する低圧冷媒によって外部から内側空間125内の液相冷媒への伝熱が抑制されるため、液相冷媒が気化し難く、液面レベルL1は従来の液面レベルL2よりも上方に位置する。したがって、内側空間125内の容積に占める液相冷媒比率を高めることができるため、受液器120の冷媒貯留性能を向上できる。
ここで、本実施形態では、外側空間126を流通した低圧冷媒は、内側空間125内の液相冷媒との熱交換により温度が上昇することが考えられる。この場合、圧縮機20の吸入冷媒温度が上昇し、吐出冷媒温度も上昇するため、冷凍サイクル10の各機能部品への悪影響が大きくなる。したがって、膨張弁30の作動圧力を比較的低く調整することにより、この影響を緩和することが望ましい。
以下、本実施形態によって得られる、より具体的な効果の一例を説明する。図4は、冷凍サイクル10内への冷媒封入量と、冷凍サイクル10作動時の高圧圧力及びサブクール温度との関係を示すグラフである。図4(a)は、本実施形態の受液器120を用いた場合における上記関係を示し、図4(b)は、従来の受液器220を用いた場合における上記関係を示している。図4(a)、(b)の横軸は冷媒封入量を表し、縦軸は高圧圧力及びサブクール温度を表している。曲線C1、C3は高圧圧力を示し、曲線C2、C4はサブクール温度を示している。
図4(b)の曲線C3に示すように、冷凍サイクル10作動時の高圧圧力は冷凍サイクル内への冷媒封入量の増加に伴って上昇するが、受液器220で液相冷媒が貯留されることにより、ある範囲(冷媒安定域)では高圧圧力が一定となる。冷媒封入量が冷媒安定域からさらに増加すると、受液器220で貯留しきれない液相冷媒が凝縮部側に流れてしまい、凝縮部の熱交換性能が低下するため、高圧圧力が再び上昇する。一般に、冷媒安定域から高圧圧力が上昇開始する点P1はオーバーチャージ点として設定され、オーバーチャージ点P1よりも高圧圧力が上昇すると、圧縮機20の電磁クラッチが切断されるいわゆる異常高圧カットが行われるようになっている。したがって、異常高圧カットが頻繁に行われることにより冷凍能力が低下するのを防ぐために、冷媒封入量はオーバーチャージ点P1以下に設定される。
また、図4(b)の曲線C4に示すように、サブクール温度は、冷媒封入量の変化に対して高圧圧力と同様に変化する。サブクール温度が低下すると、液相冷媒に気泡が生じ、過冷却部130で得られる過冷却度が減少してしまう。したがって、過冷却度の減少により冷凍能力が低下するのを防ぐために、冷媒封入量は、気泡の生じない下限の冷媒封入量(泡消え点P2)以上となるように設定される。
すなわち、冷媒封入量は、泡消え点P2以上オーバーチャージ点P1以下の冷媒安定域の範囲内で決定される。また、冷媒封入量を決定する際には、冷媒封入工程における冷媒封入量のライン公差や、冷凍サイクル10の構成部品からの経年の冷媒漏れを考慮する必要がある。
ところが、冷媒安定域の広さは主に受液器220での冷媒貯留量に依存して変化するため、受液器220での液相冷媒比率が低下して冷媒貯留量が減少すると、冷媒安定域の範囲が狭くなる。したがって、冷媒安定域の範囲内で冷媒封入量を決定する際に、冷媒封入量のライン公差や経年の冷媒漏れ量分を確保するのが困難になっていた。
例えば、ライン公差を考慮した冷媒封入量の上限がオーバーチャージ点P1となるように冷媒封入量を決定したとしても、製造から所定年数が経過すると、経年の冷媒漏れにより冷媒封入量が泡消え点P2を下回ってしまう場合がある(図4(b)のA部)。したがって、車両用空調装置の空調性能を長期に亘って維持できず、性能保証期間の設定が困難になっていた。
一方、泡消え点P2を基準とし、所定年数での冷媒漏れ量を考慮して冷媒封入量を決定したとすると、冷媒封入量がオーバーチャージ点P1を超える製品が所定割合で製造されてしまう場合がある(図4(b)のB部)。これらの製品では、異常高圧カットが頻繁に行われることにより冷凍能力が低下するため、空調性能が低下してしまう。
これに対し、本実施形態では受液器120の冷媒貯留性能が向上するため、図4(a)の曲線C1、C2に示すように冷媒安定域の範囲が拡大する。したがって本実施形態によれば、冷媒封入量のライン公差や経年の冷媒漏れを考慮して冷媒封入量を決定するのが容易になり、車両用空調装置の空調性能を長期に亘って維持できるようになる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図5及び図6を用いて説明する。本実施形態の熱交換装置を含む冷凍サイクルは、車両前席側の空調装置と車両後席側の空調装置とが独立して設けられたデュアルエアコンシステムに用いられる。図5は、本実施形態における熱交換装置100を含む冷凍サイクル15の構成を示す模式図である。
次に、本発明の第2実施形態について図5及び図6を用いて説明する。本実施形態の熱交換装置を含む冷凍サイクルは、車両前席側の空調装置と車両後席側の空調装置とが独立して設けられたデュアルエアコンシステムに用いられる。図5は、本実施形態における熱交換装置100を含む冷凍サイクル15の構成を示す模式図である。
図5に示すように、本実施形態の冷凍サイクル15は、過冷却部130と圧縮機20との間で互いに分岐して再び合流する主流路15a及び副流路15bを有している。主流路15aには、膨張弁31及び蒸発器41が設けられている。副流路15bには、膨張弁32及び蒸発器42が膨張弁31及び蒸発器41に対し並列に設けられている。また副流路15bには、膨張弁32及び蒸発器42への冷媒の流入を遮断可能な電磁弁50が設けられている。蒸発器41は車両前席側の空調装置の冷却用熱交換器として用いられ、蒸発器42は車両後席側の空調装置の冷却用熱交換器として用いられる。本実施形態では、車両前席側の空調装置のみを運転するシングル運転と、車両前席側及び後席側の双方の空調装置を運転するデュアル運転とが可能になっている。熱交換装置100の構成は、第1実施形態の熱交換装置100と同様である。
図6は、冷凍サイクル15内への冷媒封入量と、冷凍サイクル15作動時の高圧圧力及びサブクール温度との関係を示すグラフである。図6(a)は、本実施形態の受液器120を用いた場合における上記関係を示し、図6(b)は、従来の受液器220を用いた場合における上記関係を示している。曲線C5、C9はシングル運転時の高圧圧力を示し、C6、C10はシングル運転時のサブクール温度を示している。曲線C7、C11はデュアル運転時の高圧圧力を示し、曲線C8、C12はデュアル運転時のサブクール温度を示している。
図6(b)に示すように、デュアルエアコンシステムの場合、デュアル運転時の高圧圧力及びサブクール温度の特性は、シングル運転時の特性に対してグラフ中の右上方にずれる。デュアルエアコンシステムでは、シングル運転時における高圧圧力とデュアル運転時における安定域での高圧圧力とが等しくなる点がオーバーチャージ点P3として設定される。したがって、デュアルエアコンシステムの冷媒封入量は、泡消え点P4以上オーバーチャージ点P3以下の冷媒安定域で決定される。
デュアルエアコンシステムの場合、第1実施形態のように1つの蒸発器40を備えたシングルエアコンシステムと比較して、冷媒安定域が狭くなる傾向にある。したがって、冷媒封入量を決定する際に、冷媒封入量のライン公差や経年の冷媒漏れ量を確保するのがさらに困難であった。
これに対し、図6(a)に示すように、本実施形態では第1実施形態と同様に冷媒安定域の範囲を拡大できるため、冷媒封入量を決定する際にライン公差や経年の冷媒漏れ量を確保するのが容易になり、空調装置の空調性能を長期に亘って維持できるようになる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図7を用いて説明する。図7は、本実施形態における熱交換装置150を含む冷凍サイクル16の構成を示す模式図である。図7に示すように、本実施形態では、空調装置の蒸発器40表面で凝縮した凝縮水が流通する凝縮水流路の一部を外側空間126が構成しており、外側空間126を流通する伝熱抑制流体として凝縮水が用いられている。
次に、本発明の第3実施形態について図7を用いて説明する。図7は、本実施形態における熱交換装置150を含む冷凍サイクル16の構成を示す模式図である。図7に示すように、本実施形態では、空調装置の蒸発器40表面で凝縮した凝縮水が流通する凝縮水流路の一部を外側空間126が構成しており、外側空間126を流通する伝熱抑制流体として凝縮水が用いられている。
蒸発器40の下方には、蒸発器40表面で凝縮して滴下した凝縮水を空調ケース外部に排水する排水口160が設けられている。排水口160には、凝縮水を流下させるドレインホース161の一端部が接続されている。ドレインホース161の他端部は、排水口160よりも下方に位置する外側空間126の流入部162に接続されている。流入部162は、外管121の管壁の上方部に形成されている。外側空間126において流入部162よりも下方(例えば外側空間126底部)には、流入した凝縮水を受液器120の外部に流出させて排水する流出部163が形成されている。これにより、蒸発器40表面で凝縮した凝縮水は、排水口160、ドレインホース161及び流入部162を介して外側空間126に流入し、外側空間126内を下向きに流れて流出部163から外部に排出されるようになっている。
本実施形態において、外側空間126に流入する凝縮水の温度は例えば5℃程度であり、内側空間125内の液相冷媒よりも低温になっている。したがって、本実施形態によっても第1及び第2実施形態と同様の効果が得られる。
ここで本実施形態では、外側空間126に凝縮水を流通させているため、受液器120の内部腐食が生じ易くなってしまうおそれがある。このため、孔食による冷媒漏れを防ぐために、例えば外管121の内周面や内管122の外周面に犠牲腐食層を設けるか、あるいは、少なくとも一方の表面に犠牲腐食層が形成されたアルミニウム合金製のフィンを外側空間126に設けるようにしてもよい。
本実施形態の構成では、蒸発器40での熱交換により冷却された空調空気の一部は、排水口160、ドレインホース161及び流入部162を介して凝縮水と共に外側空間126に流入し、不図示の排気口から外部に流出するようになっている。この空気の温度は例えば10℃程度であり、内側空間125内の液相冷媒よりも低温であるため、受液器120の冷媒貯留性能を高める効果が得られる。また、ドレインホース161の途中において、凝縮水を別の箇所に流出させる孔部をドレインホース161側面に形成し、冷風のみを外側空間126に流入させるようにしても、第1及び第2実施形態と同様の効果が得られる。ここで、外側空間126に冷風を流すことにより笛吹き音等の異音が発生し易くなる場合があるが、排気口の位置や形状を調整することによって異音発生を抑制できる。
(その他の実施形態)
上記実施形態では、凝縮部110、受液器120及び過冷却部130が一体化された熱交換装置100、150を例に挙げたが、受液器120は、冷凍サイクル10、15、16において凝縮部110よりも下流側でかつ過冷却部130よりも上流側に配置されていれば、凝縮部110や過冷却部130から独立して設けられていてもよい。
上記実施形態では、凝縮部110、受液器120及び過冷却部130が一体化された熱交換装置100、150を例に挙げたが、受液器120は、冷凍サイクル10、15、16において凝縮部110よりも下流側でかつ過冷却部130よりも上流側に配置されていれば、凝縮部110や過冷却部130から独立して設けられていてもよい。
また上記第1及び第2実施形態では、外側空間126において流入部141が流出部142よりも下方に設けられ、外側空間126内の低圧冷媒は上向きに流れるようになっているが、流入部141を流出部142よりも上方に設け、外側空間126内の低圧冷媒を下向きに流すようにしてもよい。
さらに上記第3実施形態では、外側空間126において流入部162が流出部163よりも上方に設けられ、外側空間126内の凝縮水は下向きに流れるようになっているが、流入部162を流出部163よりも下方に設け、外側空間126内の凝縮水を上向きに流すようにしてもよい。
また上記実施形態では、車両用の冷凍サイクルを例に挙げたが、車両用以外の冷凍サイクルにも適用できる。
10、15、16 冷凍サイクル
20 圧縮機
30、31、32 膨張弁(減圧手段)
40、41、42 蒸発器
100、150 熱交換装置
101 凝縮器
110 凝縮部
120 受液器
121 外管
122 内管
125 内側空間
126 外側空間
130 過冷却部
20 圧縮機
30、31、32 膨張弁(減圧手段)
40、41、42 蒸発器
100、150 熱交換装置
101 凝縮器
110 凝縮部
120 受液器
121 外管
122 内管
125 内側空間
126 外側空間
130 過冷却部
Claims (5)
- 冷媒を圧縮する圧縮機(20)と、
前記圧縮機(20)で圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮部(110)と、
前記凝縮部(110)で凝縮した液相冷媒を過冷却する過冷却部(130)と、
前記過冷却部(130)で過冷却された液相冷媒を減圧膨張させる減圧手段(30)と、
前記減圧手段(30)で減圧膨張した冷媒を蒸発させて前記圧縮機(20)に戻す蒸発器(40)とを有する冷凍サイクル(10)に用いられ、前記凝縮部(110)で凝縮した液相冷媒を貯留するとともに、貯留している液相冷媒を前記過冷却部(130)に供給する受液器であって、
外管(121)と当該外管(121)の内側に設けられた内管(122)とを備えた二重管構造を有し、
前記凝縮部(110)で凝縮した液相冷媒を前記内管(122)の内側に形成された内側空間(125)に貯留し、
前記内側空間(125)に貯留されている液相冷媒に対する外部からの伝熱を抑制する伝熱抑制流体を、前記内管(122)の外側であって前記外管(121)の内側に形成された外側空間(126)に流通させることを特徴とする受液器。 - 前記外側空間(126)は、前記蒸発器(40)よりも下流側で前記圧縮機(20)よりも上流側の冷媒流路の少なくとも一部を構成し、
前記伝熱抑制流体として、前記蒸発器(40)で蒸発した低圧冷媒が用いられることを特徴とする請求項1に記載の受液器。 - 前記外側空間(126)は、前記蒸発器(40)表面で凝縮した凝縮水が流通する凝縮水流路の少なくとも一部を構成し、
前記伝熱抑制流体として、前記凝縮水が用いられることを特徴とする請求項1に記載の受液器。 - 前記蒸発器(40)は、空調装置の空気通路に配置されて空調空気を冷却する冷却用熱交換器であり、
前記伝熱抑制流体として、前記蒸発器(40)で冷却された空調空気の一部が用いられることを特徴とする請求項1又は3に記載の受液器。 - 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の受液器と、前記凝縮部(110)及び前記過冷却部(130)とが一体化された構造を有することを特徴とする熱交換装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008244844A JP2010078190A (ja) | 2008-09-24 | 2008-09-24 | 受液器及びそれを備えた熱交換装置 |
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JP2010078190A true JP2010078190A (ja) | 2010-04-08 |
Family
ID=42208852
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JP2008244844A Pending JP2010078190A (ja) | 2008-09-24 | 2008-09-24 | 受液器及びそれを備えた熱交換装置 |
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JP (1) | JP2010078190A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017520466A (ja) * | 2014-07-16 | 2017-07-27 | ヴァレオ システム テルミク | 空調回路、より具体的には自動車の空調回路における使用に適したコンデンサシリンダ |
-
2008
- 2008-09-24 JP JP2008244844A patent/JP2010078190A/ja active Pending
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