JP2010074911A - ケーブル防護材装着方法、ケーブル防護材及びケーブル防護材装着冶具 - Google Patents

ケーブル防護材装着方法、ケーブル防護材及びケーブル防護材装着冶具 Download PDF

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Abstract

【課題】ケーブル収容管路の品質を管理するシステムにおいて、既設ケーブルに影響を及ぼすことなく管路内のケーブルにケーブル防護材を装着する技法を提供する。
【解決手段】本発明による、内部にケーブル(4)が収容されている管路(2)におけるケーブル防護材装着方法は、ケーブル防護材(20)を、防護すべきケーブル(4)にわたって管路(2)の開口部から挿入するステップと、ケーブル防護材(20)でケーブル(4)を包み込むステップとを含み、ケーブル防護材(20)でケーブル(4)を包み込むステップは、ケーブル防護材(20)に設けられた互いに嵌合する嵌合部(10d)と被嵌合部(10c)とを嵌合させる嵌合手段(24)を有するケーブル防護材装着冶具(22)を防護すべきケーブル(4)に沿って管路(2)内で牽引することにより、ケーブル(4)を包み込むステップを含むことを特徴とする。
【選択図】図11

Description

本発明は、ケーブル防護材装着方法、ケーブル防護材及びケーブル防護材装着冶具に関し、特に、内部にケーブルが収容されている管路をライニング材で補修する際等、ケーブル収容管路の品質管理を行う際に、既設ケーブルに影響を及ぼすことなく該既設ケーブルを防護するケーブル防護材装着方法、ケーブル防護材及びケーブル防護材装着冶具に関する。
従来、地中に埋設され、内部にケーブルが収容されている通信管、電力管等の管路を、ケーブルが収容されたままの状態で、ライニング材を用いて補修する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この技術により、老朽化や、錆・腐食等による劣化が進んだ管路(不良管路)の内部に収容されているケーブルを保護することができる。また、近年ケーブルの細径化が進んでいるため、1つの管路内に複数のケーブルを布設すること(多条布設)が可能となっているが、上述の技術を用いて補修することによって、既にケーブルを収容している不良管路にも多条布設を行うことができる。
ここで、特許文献1による従来技術を、図を用いて簡単に説明する。図12〜15は、従来技術によるケーブル布設済み保護管の補修方法を説明する図である。図内の符号は、特許文献1に則る。図12は、地中に埋設してある保護管の挿入口となる一方の開口部側からライニングシート(ライニング材)を挿入する工程を示す断面図、図13及び14は、それぞれ、保護管内でケーブルを包みながらライニングシートの両側辺を連結してライニングシート管を形成する工程を示す横断面図及び斜視図である。
図12に示すように、地面1の地中に、光ファイバケーブル等のケーブル4が布設された保護管(管路)2が埋設されており、この保護管2は、所定間隔で垂直に立設するマンホール3で区切られている。このようなケーブル布設済み保護管2を補修するに際し、図12に示すように、保護管2の内径に応じた寸法の幅を有する帯状に形成されたライニングシート6を、保護管2内に通した牽引用ロープ14を用いて、挿入口12から引き出し口13まで通す。ライニングシート6は、回転自在にロールスタンド5に支持されるシートロール7に巻回されている。また、ライニングシート6は、例えば不浸透性内側フィルム層と硬化性樹脂を含浸した樹脂吸着性内層と不浸透性外側フィルム層の3層構造である。
ライニングシート6は、互いに噛み合う又は嵌合する連結子10a,10bがその幅方向の両側辺に設けられており、さらに、連結子10a,10bを銜え移動することによりライニングシート6の両側辺を引き寄せて連結子10a,10bを連結するスライド連結操作体8を有する連結手段9を備えている。従って、図13及び14に示すように、保護管2の開口部(挿入口12又は引き出し口13)で連結子10a,10bを銜えさせたスライド連結操作体8を、牽引用紐11を用いて保護管2内を移動させることによって、保護管2の一方の開口部から他方の開口部に亘ってケーブル4を内包した状態のライニングシート管15を形成する。
次に、ライニングシート管15内にチューブ19を引き込んでその内部に空気を送り込み、チューブ19を膨らませてライニングシート管15を保護管2の内面に密着させる。図15は、ライニングシート管15内に引き込まれたチューブが膨らんだ状態の保護管2の断面図である。かかる状態で、ライニングシート6に含浸或いは塗布されている硬化性樹脂の種類に応じて、チューブ19内に熱風、高温の温水又は蒸気を送り込むか、紫外線を照射するか、一定時間放置することによって、ライニングシート管15の未硬化の硬化性樹脂を硬化させて保護管2の内面に固定する。ライニングシート管15が保護管2の内面に固定されたら、ライニングシート管15内からチューブ19を取り除く。上述の方法により、内部にケーブルが布設された管路の補修をライニング材で行うことができる。
なお、ケーブルが収容されている管路をライニング材で補修する際には、ライニング材の管路内への引き込み、ライニング材硬化時の熱風、温水等によるケーブルへの損傷を防ぐために、ケーブルを保護する必要がある。この、ケーブルを保護・防護するためのケーブル防護材を管路内に布設する方法として、従来技術に、ケーブルを包むように筒状にしたケーブル防護材を、牽引用冶具やグリップ等を用いて管路内に引き込むものが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2006−15704号公報 特開2002−354622号公報
しかしながら、従来技術では次のような欠点がある。まず、ケーブル防護材は、ケーブルを包んだ筒状の状態で管路内に引き込まれるため、ケーブルの自重を受けることになる。従って、ケーブルを包み込んだ距離が長くなるにつれて、ケーブル防護材を管路内へ引き込む際の張力が増大し、ケーブルの損傷を与えるおそれがある。すなわち、引き込み張力に制限があるケーブルに対しては従来技術を適用することはできない。
本発明の目的は、上述のような諸問題を解決し、ケーブル収容管路において、既設ケーブルに影響を及ぼすことなく管路内のケーブルにケーブル防護材を装着する技法(ケーブル防護材、ケーブル防護材装着冶具及びケーブル防護材装着方法)を提供することにある。
上述した課題を解決すべく、本発明による、内部にケーブルが収容されている管路において、前記ケーブルを防護するケーブル防護材を前記ケーブルに装着するケーブル防護材装着方法は、前記ケーブル防護材を、防護すべきケーブルにわたって前記管路の開口部から挿入するステップと、前記ケーブル防護材で前記ケーブルを包み込むステップとを含み、当該ケーブル防護材で前記ケーブルを包み込むステップは、前記ケーブル防護材に設けられた嵌合部と被嵌合部とを嵌合させる嵌合手段を有するケーブル防護材装着冶具を前記防護すべきケーブルに沿って前記管路内で牽引することにより、前記ケーブルを包み込むステップを含むことを特徴とする。
また、本発明によるケーブル防護材は、当該ケーブル防護材の幅方向の両側辺に、互いに嵌合する前記嵌合部及び前記被嵌合部をそれぞれ備え、さらに、前記嵌合部及び前記被嵌合部に沿って案内棒が設けられていることを特徴とする。
また、本発明によるケーブル防護材は、可撓性を有するシート状に形成可能な材料から成り、前記案内棒は、弾性材料から成ることを特徴とする。
すなわち、ケーブル防護材は、材料自体が高強度で、引張りに耐え、牽引ロープの接触による抵抗を抑制し、繰り返しの耐磨耗特性が優れているという特徴を有する、ポリエチレン、ポリエステル、ナイロン等を単体で又は少なくとも2つを複合させたような、汎用プラスチック(繊維状材料)から成ることを特徴とする。又は、可撓性を有する材料であれば、金属材料としてもよい。従って、ケーブル防護材について、可撓性を有するシート状に形成可能な材料であれば、上述の材料に限られるものではない。また、案内棒は、繊維強化プラスチック又は金属のワイヤーロープ等から成ることを特徴とする。
また、本発明によるケーブル防護材装着冶具は、軸方向に連続するスリットを備えた中空管状に形成され、前記ケーブル防護材に設けられた前記案内棒をそれぞれ挿通させる2本の案内管を備え、前記2本の案内管が、前記2本の案内管にそれぞれ前記案内棒を挿通した際に前記嵌合部と前記被嵌合部とを嵌合することができる距離で、かつそれぞれの軸方向が交差しないように結合され、さらに、前記嵌合手段が、前記案内管に取り付けられていることを特徴とする。
なお、ケーブル防護材装着冶具は、管路内の牽引に耐え、破壊、変形等が発生せず、牽引時の負荷を低減させるために、耐摩耗性、高剛性、低摩擦性に優れる、例えば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等のプラスチック又はステンレス、アルミ等の金属で形成することが望ましい。
本発明によれば、ケーブル収容管路において、既設ケーブルに影響を及ぼすことなく、管路内のケーブルにケーブル防護材を装着することが可能となる。
以下、諸図面を参照しながら、本発明の実施例について詳細に説明する。まず、本発明の実施例の説明に先立ち、本発明による技法(ケーブル防護材、ケーブル防護材装着冶具及びケーブル防護材装着方法)が用いられるケーブル収容管路の品質管理システムの一例として、ケーブル収容管補修システムについて説明する。なお、説明を分かり易くするため、図面は必ずしも実際の寸法比を示していないことに留意されたい。
図1は、ケーブル収容管路補修システムの概要を説明する簡略図である。図1(a)は、管路2が埋設されている地中の断面図、同図(b)は、管路2の断面図である。図1(a)に示すように、ケーブル収容管路補修システムでは、まず、地面1の地中に埋設されケーブル4を収容している管路2に、マンホール3aからライニング材6を引き込む。ライニング材6はシート状であり、管路2内には、ライニング材6によってケーブル4を包み込むライニング管を形成した上で引き込む。また、ライニング材6には、熱硬化性樹脂が塗布又は含浸されている。図1(b)に示すように、ライニング材6の幅方向の両側辺(長手方向の側辺)には、特許文献1による従来技術における連結子に相当する連結子10a,10bが設けられており、これらを嵌合することによってライニング管を形成する。ライニング管の引き込み後に、管路2内に圧力(水圧、空気圧等)をかけてライニング材6を管路2の内壁に密着させた状態で、ライニング材6を硬化させる。
次に、図2〜7を用いて、ケーブル収容管路補修システムにおけるケーブル収容管補修方法の手順について簡単に説明する。これらの図には、管路の長手方向(側面)の断面図及び管路の径方向の断面図が示してある。なお、これ以降の説明では、図におけるマンホール3aから3bまでの管路2を補修するために、ライニング材やケーブル防護材を、マンホール3aの開口部からマンホール3bの開口部に向かって、管路2内のケーブルに布設するものとする。
まず、図2は、補修前の管路2を示す図である。通常、ケーブルの多条布設が予定されている、既にケーブルを収容する管路の点検・診断を行い、錆・腐食等による不良管路であると判断された管路についてライニング材による補修を行う。なおこの場合、補修に先立ち管路内の錆やゴミ等を取り除き、管路2の内表面を平坦にするのが好適である(手順1)。検査技法については、本願発明の主題ではないため詳説しないが、管路内にカメラを走査させて検査することができる。尚、本願発明は、必ずしも管路内検査を要するものではない。次に、図3のように、防護すべきケーブルのスパン全長(例えば150m)に亘ってケーブル防護材20でケーブルを覆う(手順2)。このとき、ケーブルを包んだ状態でケーブル防護材20を引き込む従来技術と異なり、本発明によれば、シート状のケーブル防護材20を管路2内に単に引き込むだけである。なお、ケーブル防護材20の装着方法については後述する。
ケーブル防護材20の装着後、図4のように、ライニング材6及び加圧チューブ31を管路2内に引き込む(手順3)。上述のように、ライニング材6は、管路2の開口部にて引込ガイド30を用いて連結子10a,10bを嵌合させ、ケーブル4を包み込む筒を形成する。そして、筒状に形成したライニング材6を牽引冶具45によって管路2内へ引き込む。この際、ケーブル防護材20によって包まれたケーブル4、加圧チューブ31、ライニング材6の位置関係は、図4の管路断面図のようになる。なお、牽引冶具45は、回転自在のローラーガイド34a,34bを介して牽引ロープ32で牽引器33に接続されている。ライニング材6は、ライニング材格納箱5aに格納されている。ライニング材6に含浸させた熱硬化性樹脂等が施工前に硬化しないように、ライニング材格納箱5aは、熱硬化性樹脂が硬化しない温度に保たれる。
ライニング材6及び加圧チューブ31を防護すべきケーブルのスパン全長に亘って引き込んだ後、図5のように、ライニング材6を硬化させる(手順4)。まず、加圧チューブ31にホース37を装着し、ボイラー35から、加圧チューブ31内に加圧した温水を通水する。その際、調整弁36によって温水の排出量を調整して、ライニング材6が図5の管路断面図のように管路2の内壁に圧着するようにする。このようにして、ライニング材6に含浸されている熱硬化性樹脂を硬化させる。熱硬化性樹脂の種類に依存するが、温水の温度を高くするほど硬化するまでの時間は短くなる。しかしながら、温水の温度は、ケーブル4の耐熱性を考慮して決定するのが好適である。
ライニング材6が硬化すると、図6のように、加圧チューブを管路2から撤去する(手順5)。そして、図7のように、ケーブル防護材20を管路2から撤去し(手順6)、管路の補修が完了する。図7のように、補修後の管路2内には、硬化したライニング材6によるライニング管が形成されている。補修完了後の管路2内には、不良管路でない通常の管路と同様に、管路内の余裕空間にインナーパイプ等を布設した上で2条目のケーブルを布設することが可能となる。また、硬化したライニング材6は自立管としての性能を有するため、既設の管路2の腐食が進んだとしても、管路としての機能を維持することができる。
以上が、ケーブル収容管補修システムの概要である。次に、上述したケーブル収容管補修システムにおいて用いられる、本発明によるケーブル防護材、ケーブル防護材装着冶具及びケーブル防護材装着方法の実施例について詳細に説明する。
図8は、ケーブル防護材20の概略図である。図8(a)はケーブルへの装着前のシート状のケーブル防護材20、同図(b)はケーブル(図示せず)を包む筒状のケーブル防護材20の一部を示す。ケーブル防護材20の幅方向の寸法は、ケーブル4の内径に応じ、ケーブル4を包むのに十分な大きさとする。
図8(a)のように、ケーブル防護材20は、幅方向の両側辺に被嵌合部10c及び嵌合部10dが設けられている。被嵌合部10c及び嵌合部10dには、後述するケーブル防護材装着冶具の嵌合手段24を装着することができ、この嵌合手段24によって、図8(b)のように、被嵌合部10cと嵌合部10dとを嵌合させる(噛み合わせる)ことができる。すなわち、ケーブル防護材20の端部で被嵌合部10cと嵌合部10dとを嵌合させた嵌合手段24をケーブル防護材20の長手方向にスライド(移動)させることによって、ケーブル防護材20を筒状に形成することができる。なお、嵌合手段24、被嵌合部10c及び嵌合部10dは、例えばファスナーで実現することができる。すなわち、嵌合手段24をスライダー、被嵌合部10c及び嵌合部10dをエレメントとすることができる。しかしながらこれに限られるものではなく、嵌合手段24を移動させることにより被嵌合部10cと嵌合部10dとを嵌合可能なものであれば特に限定されない。
さらに、ケーブル防護材20は、それぞれ被嵌合部10c及び嵌合部10dに沿って、案内棒21が設けられている。この案内棒21は、ケーブル防護材20の全長にわたって設けられ、例えば、図8(b)のように、二重構造のケーブル防護材20に挟み込んで固定されている。詳細は後述するが、案内棒21により、ケーブル防護材装着冶具で被嵌合部10cと嵌合部10dとをスムーズに嵌合することが可能となる。
なお、ケーブル防護材20は、ライニング材を牽引する際や硬化させる際にケーブルへ損傷を与えないためのものである。従って、その材料としては、材料自体が高強度で、引張りに耐え、牽引ロープの接触よる抵抗を抑制し、繰り返しの耐磨耗特性が優れているという特徴を有する汎用プラスチック、又は金属の繊維状材料を用いるのが好ましい。よって、ケーブル防護材20は、例えば、ポリエチレン(例えば、100〜1500dtexの高強度ポリエチレン繊維)、ポリエステル(例えば、100〜500μのポリエステルモノフィラメント)、ナイロン等のプラスチック材料又はステンレス系材料で形成する。なお、ケーブル防護材20は、案内棒21が設けられた状態でマンホール3a,3bから挿入しなければならず、さらに、その長さが長いため巻回して持ち運べなければならない。従って、案内棒21は、弾性がある例えば繊維強化プラスチック又は金属のワイヤーロープで作成するのが好ましい。
次に、ケーブル防護材20をケーブルに装着するためのケーブル防護材装着冶具について説明する。図9は、ケーブル防護材装着冶具22の概略図であり、同図(a)は斜視図、同図(b)は断面図である。図に示すように、ケーブル防護材装着冶具22は、2本の案内管22a,22b、牽引ロープ23及び嵌合手段24を備える。図のように、2本の案内管22a,22bは、軸方向に連続するスリットを備えた中空管状に形成されている。なお、2本の案内管22a,22bは、前述したケーブル防護材20に設けられた案内棒21を挿通できる太さとする。例えば、案内棒21の径を9mmとした場合、案内管22a,22bの径は、9mm+1mm程度とする。なお、ケーブル防護材装着冶具22は、ポリ塩化ビニル等の強度の高い合成樹脂材料又はステンレス、アルミ等の軽量の金属で形成し、その厚みを3mm程度とするのが好適である。
また、案内管22a,22bは、それぞれに案内棒21を挿通した際に、嵌合部10dと被嵌合部10cとを嵌合することができる距離で、案内管22a,22bそれぞれの軸方向が交差しないように結合されている。さらに、案内管22a,22bの端部には、嵌合手段24(スライダー)が、金属性のリング、天然又は合成繊維から成る紐等を介して取り付けられている。案内管22a,22bの長さは、例えば、150〜200mmとするが、これに限られるものではない。
なお、案内管22a,22bに設けられたスリットの幅は、案内管21を内部に挿通可能であり、かつ、内部に挿通された案内管21が容易に外れない幅とする。すなわち、ケーブル防護材装着冶具22はポリ塩化ビニル等のプラスチック樹脂のような可撓性の材料で形成し、スリットの幅は案内管21の径よりも狭くして、案内棒21をスリットからはめ込んで挿通させるようにするのが好適である。
次に、ケーブル防護材装着冶具によって、ケーブル防護材20をケーブルに装着する方法を説明する。図10は、ケーブルとケーブル防護材とを備えつけたケーブル防護材装着冶具を示す図である。図10(a)及び(b)は、それぞれ、斜視図及び断面図である。ケーブル防護材20をケーブルに装着する際には、図10(a)のように、ケーブル防護材20でケーブル4を包み込んだ上でケーブル防護材装着冶具22の案内管22a,22bの内部に案内棒21を通す。その際、図10(b)のように、ケーブル防護材20は、その幅方向の両側面に設けた嵌合部10d及び被嵌合部10cによって支持部材23を挟み込んで筒を形成するようにする。また、嵌合手段24は、マンホール3aの開口部、すなわちケーブル防護材20の端部にて、嵌合部10d及び被嵌合部10cとを噛み合わせるように(嵌合させるように)装着する。牽引ロープ25によって、ケーブル防護材装着冶具が図10(a)に示す矢印の方向に進行すると、案内棒21がケーブル防護材装着冶具22のガイドとなってケーブル防護材20を引き込み、ケーブル防護材20が筒状となる。従って、嵌合手段24による嵌合部10dと被嵌合部10cとの嵌合が非常にスムーズとなる。ケーブル防護材装着冶具が進行した後には、ケーブル防護材によってケーブル4が包まれた状態となる。
次に、図11を用いて、管路2内でケーブル防護材装着冶具によってケーブル防護材20がケーブルに装着されていく様子を説明する。図11(a)は、シート状のままケーブル防護材20を管路2内に引き込んだ後の状態を示す図である。従って、本発明によれば、ケーブルを包んだ状態で管路内に引き込まれる従来技術と異なり、引き込む際にケーブルの自重を受けることがない。なお、図では分かり易くするために、ケーブル4が管路2内に浮いている状態を示しているが、実際は、ケーブル4は管路2の底面に接していることに留意されたい。
ケーブル防護材20を管路2内に引き込むと、開口部、すなわちケーブル防護材20の端部にてケーブル防護材装着冶具22の案内管22a,22bに案内棒21をそれぞれを貫挿させ、図10を用いて説明したようにケーブル防護材20を備えつける。そして、図11(b)のように、牽引ロープを用いて、ケーブル防護材装着冶具22を矢印の方向へ牽引する。なお、図では、分かり易くするために牽引ロープ23を省略している。牽引ロープ23の牽引は、例えば、図4のライニング材及び加圧チューブの引込にて説明した方法と同様に、牽引器を用いて行う。ケーブル防護材装着冶具が管路2内を進んだ後には、図11(c)のように、ケーブル4がケーブル防護材20によって包まれた状態となり、ケーブル防護材装着冶具22をマンホール3bの開口部へと移動させることによって、ケーブル防護材20を防護すべきケーブルに亘って装着することができる。
なお、本発明によれば、ケーブル4の自重を受けるのがケーブル防護材装着冶具の部分のみであることに留意されたい。従って、従来技術と異なり、ケーブル4を包み込む距離が長くなっても、ケーブル防護材20を管路2内へ引き込む際の張力が増大しない。すなわち、ケーブル4に損傷を与えることがない。よって、本発明によるケーブル防護材装着方法によれば、引き込み張力に制限があり、これまでケーブル防護材を装着することが不可能であったケーブルに対しても、引っ張り張力による損傷をケーブルに与えることなく、ケーブル防護材を装着することが可能となる。
さらに、上述したように、筒状のケーブル防護材を管路に引き込む従来技術の場合は、引き込んだ分だけケーブルの自重を受けて管路内へ引き込む際の張力が増大する。ケーブルには引き込み張力に制限があるため、引き込む距離が長くなるにつれて引き込む速度は遅くせざるを得ない。しかしながら、本発明によれば、ケーブルの自重を受けるのはケーブル防護材装着冶具の部分のみであるため、ケーブル防護材によってケーブルを包み込む距離が長くなっても、ケーブル防護材装着冶具を移動させる速度を落とす必要がない。その結果、従来技術と比べ、ケーブル防護材の装着にかかる時間を大幅に短縮することが可能となる。
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。なお、上述の実施例では、管路内をライニング材で補修する際にケーブルにケーブル防護材を装着する場合を示したが、本発明はこれに限られるものではないことに留意されたい。例えば、内部にケーブルが収容されている管路の内壁への腐食・錆止め材の塗布、管路内の塗装替え又は管路内の洗浄等の、管路の品質を管理・保持する処理を行う場合や、その他管路内のケーブルを防護する必要がある場合全てに、本発明を適用することが可能である。
ケーブル収容管路補修システムの概要を説明する簡略図である。 補修前の管路2を示す図である。 防護すべきケーブルのスパン全長に亘って、ケーブル防護材20でケーブルを覆う手順を説明する図である。 ライニング材6及び加圧チューブ31を、管路2内に引き込む手順を説明する図である。 ライニング材6を硬化させる手順を説明するである。 加圧チューブを管路2から撤去する手順を説明する図である。 ケーブル防護材20を管路2から撤去する手順を説明する図である。 ケーブル防護材20の概略図である。 ケーブル防護材装着冶具22の概略図である。 ケーブルとケーブル防護材とを備えつけたケーブル防護材装着冶具を示す図である。 管路2内で、ケーブル防護材装着冶具22によってケーブル防護材20がケーブルに装着されていく様子を説明する図である。 従来技術によるケーブル布設済み保護管の補修方法を説明する図である。 従来技術によるケーブル布設済み保護管の補修方法を説明する図である。 従来技術によるケーブル布設済み保護管の補修方法を説明する図である。 従来技術によるケーブル布設済み保護管の補修方法を説明する図である。
符号の説明
1 地面
2 管路(保護管)
3a,3b マンホール
4 ケーブル
5 ロールスタンド
6 ライニング材(ライニングシート)
7 シートロール
8 スライド連結操作体
9 連結手段
10a,10b 連結子
10c 被嵌合部
10d 嵌合部
11 牽引用紐
12 挿入口
13 引き出し口
14 牽引用ロープ
15 ライニングシート管
19 チューブ
20 ケーブル防護材
21 案内棒
22 ケーブル防護材装着冶具
22a,22b 案内管
23 牽引ロープ
24 嵌合手段
30 引込ガイド
31 加圧チューブ
32 牽引ロープ
33 牽引器
34a,34b ローラーガイド
35 ボイラー
45 牽引冶具

Claims (4)

  1. 内部にケーブルが収容されている管路において、前記ケーブルを防護するケーブル防護材を前記ケーブルに装着するケーブル防護材装着方法であって、
    前記ケーブル防護材を、防護すべきケーブルにわたって前記管路の開口部から挿入するステップと、
    前記ケーブル防護材で前記ケーブルを包み込むステップとを含み、
    当該ケーブル防護材で前記ケーブルを包み込むステップは、
    前記ケーブル防護材に設けられた互いに嵌合する嵌合部と被嵌合部とを嵌合させる嵌合手段を有するケーブル防護材装着冶具を前記防護すべきケーブルに沿って前記管路内で牽引することにより、前記ケーブルを包み込むステップを含む、
    ことを特徴とするケーブル防護材装着方法。
  2. 請求項1に記載のケーブル防護材装着方法で用いられるケーブル防護材であって、
    当該ケーブル防護材の幅方向の両側辺に、互いに嵌合する前記嵌合部及び前記被嵌合部をそれぞれ備え、さらに、
    前記嵌合部及び前記被嵌合部に沿って案内棒が設けられている、
    ることを特徴とするケーブル防護材。
  3. 請求項2に記載のケーブル防護材において、
    該ケーブル防護材は、可撓性を有するシート状に成形可能な材料から成り、
    前記案内棒は、弾性材料から成る、
    ことを特徴とするケーブル防護材。
  4. 請求項1に記載のケーブル防護材装着方法で用いられるケーブル防護材装着冶具であって、
    軸方向に連続するスリットを備えた中空管状に形成され、前記ケーブル防護材に設けられた前記案内棒をそれぞれ挿通させる2本の案内管を備え、
    前記2本の案内管が、前記2本の案内管にそれぞれ前記案内棒を挿通した際に前記嵌合部と前記被嵌合部とを嵌合することができる距離で、かつそれぞれの軸方向が交差しないように結合され、さらに、
    前記嵌合手段が、前記案内管に取り付けられている、
    ことを特徴とするケーブル防護材装着冶具。
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