JP2010073541A - 封口装置及び密閉容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】ガス抜きに伴って電解液が気液分離膜を通って漏れることを抑制できる封口装置を提供する。
【解決手段】封口装置11は、封口板12、弁座体13、弁体15、弾性部材17、及び気液分離膜14を具備する。封口板12に開孔12cを有した弁受け凹部12aを形成し、この凹部12aに弁座体13を配置する。弁座体は、開孔12cに挿入される挿入部13b、挿入部の先端面13bfに入り口が開放されたガス抜き孔13d、及びこの孔13dの出口を囲んだ弁座部13eを有する。弁体15は、弾性部材17の付勢力で弁座部13eに押付けられ、ガス抜き孔13dの内圧が所定圧力以上となったときに弁座部13eから離れる。気液分離膜14を弁座体13と弁受け凹部12aとで挟持する。この気液分離膜14が、挿入部13bの先端面13bfを覆う孔塞ぎ部24bを有し、孔塞ぎ部24bのガス流入側の面14bfを弁受け凹部12aの裏側に配設したことを特徴としている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、密閉された外郭内部のガス圧を逃がす機能を有した封口装置、及びこの封口装置を備えた外郭内に電解液が入れられたリチウムイオン電池やニッケル水素二次電池のような密閉型電池、電気二重層キャパシタ、及び電解コンデンサ等の密閉容器に関する。
従来、電解液が入れられて密閉された外郭内部のガス圧が過大となった場合に、外郭内部のガス圧を外部に放出するガス抜き手段を備えたキャパシタやコンデンサなどが知られている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
特許文献1のコンデンサは、金属ケース(外郭本体)の開口を塞ぐ端子板(封口板)に、電解液注入孔に連続する筒状部をケースの外側に突出させて設け、この筒状部に圧力調整弁(ガス抜き弁)を設けている。圧力調整弁は、リング状の弾性部材と、この上面に接合されたガス透過性シート(気液分離膜)と、この上に配設されたゴム製の弁体と、これらを収容して弁体を圧縮状態に保持するキャップとからなり、弾性部材を筒状部に圧入して形成されている。この圧力調整弁では、コンデンサ内部でのガス発生による圧力上昇に伴いケース内に連通した電解液注入孔及び筒状部内のガス圧が過大になったときに、ガスを、ガス透過性シートに透過させて、このシートと弁体との界面に通して外部に放出するとともに、その際の電解液の漏出はガス透過性シートで抑制している。
特許文献2の電気二重キャパシタは、電解液が入れられた容器(外郭本体)に筒状部材を取付け、この部材に圧力開放手段(ガス抜き弁)と気液分離膜を取付けている。圧力開放手段はボールとばねからなる逆止弁であり、この弁は筒状部材に収容されたガス抜き通路部材に組み込まれている。そして、この逆止弁の上流側に位置する気液分離膜がガス抜き通路部材の途中に配設されている。このキャパシタのガス圧は気液分離膜を通ってボールに作用するので、ガス圧が異常に高まってばね圧を超えた場合に、ガス抜き通路部材内の逆止弁が開いて圧力を逃がすことができ、その際の電解液の漏出は気液分離膜で抑制している。
特許文献3のコンデンサは、電解液が入れられた外装ケース(外郭本体)にこのケースの内外を連通する開口部を有した口栓部材を取付け、この口栓部材の開口部の中間部に、中央に孔部を有したシリコンゴムで挟まれた選択性ガス透過フィルム(気液分離膜)を内蔵している。このコンデンサでは、ケース内で発生した異常なガス圧を、口栓部材の開口部内に配設されたシリコンゴムの孔部及びガス透過フィルムに通してケース外に放出できるとともに、その際の電解液の漏出は気液分離膜で抑制している。
特開2007−35813号公報 特開2006−179547号公報 特開2003−37028号公報
特許文献1〜3の技術では、いずれもガスが逃げるための通路(特許文献1では電解液注入孔およびこれに連続する筒状部、特許文献2ではガス抜き通路部材が有した通路、特許文献3では口栓部材の開口部)の途中に、この通路を仕切って気液分離膜が配設されている。言い換えれば、気液分離膜は、ケースの内部に対する凹みの内側に配設されている。そのため、気液分離膜に対するガス流入側(上流側)に前記通路の入り口部(便宜上通路入り口凹部と称する。)が連続していて、この通路入り口凹部を介して密閉された外郭の内部とガス抜き手段とが連通された構成となっている。
ところで、この種ガス抜き手段に使用される気液分離膜は、例えばPTFE等のフッ素系樹脂で作られた網目板を複数枚積層して所定の気液分離性能を有するように形成されている。この気液分離膜は撥水性を有しているが、その気液分離性能が完全なものは現時点では提供されていない。
このように100%の完全分離が期待できない気液分離膜を使用せざるを得ない現状において、その上流側に既述のように通路入り口凹部が設けられている従来の構成では、ガス抜き時に電解液の一部が少なからず漏れることが多々ある。これは以下の理由による。電解液の一部が、ガス抜き通路の通路入り口凹部に浸入すると、そこに滞留したままの状態が表面張力で保持される。したがって、この状態で外郭内のガス圧が高まると、通路入り口凹部内に滞留している電解液が外郭内に逃げることなく気液分離膜に押しつけられる結果、この電解液がガスとともに気液分離膜を通過して外郭外に漏れることがある。
本発明の目的は、ガス抜きに伴って電解液が気液分離膜を通って漏れることを抑制できる封口装置及び密閉容器を提供することにある。
請求項1の発明の封口装置は、開孔を有する弁受け凹部が形成された封口板と、前記開孔に挿入される挿入部、ガス抜き孔、及びこのガス抜き孔の出口を囲んだ弁座部を有して前記弁受け凹部に配置され、前記ガス抜き孔の入り口が前記挿入部の先端面に開放された弁座体と、前記挿入部の先端面を覆う孔塞ぎ部を有して前記弁座体と前記弁受け凹部とに挟持され、前記孔塞ぎ部のガス流入側の面が、前記弁受け凹部の裏側に配設されるか若しくは前記弁受け凹部の裏面と面一に連続するように配設された気液分離膜と、前記弁座部に弾性部材の付勢力で押付けられていて前記ガス抜き孔の内圧が所定圧力以上となったときに前記弁座部から離れる弁体と、前記封口板の表側に取付けられて前記弾性部材を支持するカバーと、を具備したことを特徴としている。
この封口装置において、請求項2の発明のように前記弁座体が前記弁受け凹部に圧入されていて、前記気液分離膜の周部が、前記挿入部に連続した前記弁座体の肩部と前記弁受け凹部の底壁とで挟持されていることが好ましい。
請求項3の発明の密閉容器は、開口部を有する容器本体及び前記開口部を塞いで設けられた請求項1又は2に記載の封口装置により形成され、内部に電解液が入れられた外郭を備えることを特徴としている。
請求項1から3の発明で封口板とは、容器本体の開口部を塞いで、この容器本体を密閉してこの容器本体とともに外郭を形成する部材を指している。請求項1から3の発明で挿入部の先端面とは、容器本体の内部側に位置する面を指しているとともに、弁受け凹部の裏側とは容器本体の内部側を指している。更に、請求項1から3の発明で孔塞ぎ部のガス流入側の面及び弁受け凹部の裏面とは、いずれも容器本体の内部に臨む面を指している。請求項1から3の発明で弁体は、弾性部材とは別に形成された部材であっても、部品点数を削減するために弾性部材の一部をなしてこれに一体に形成されたものであってもよい。
請求項3の密閉容器としては、電気二重層キャパシタ、電解コンデンサ、及び電解液が入れられた密閉型電池等を挙げることができる。電気二重層キャパシタは、例えば、密閉された金属製の外郭(容器)内に、活性炭からなる正極及び負極とこれら両極間に介在されるセパレータを収容するとともに、電解液を収容した構成を有している。電解コンデンサは、例えば、密閉された金属製の外郭内に、金属箔からなる集電体と、この集電体上に配設されて分極性電極層を形成した正負一対の電極と、これら両極間に介在されるセパレータを収容するとともに、電解液を収容した構成を有している。密閉型電池例えばリチウムイオン電池は、密閉された金属製の外郭内に、充放電でリチウムイオンを放出及び吸蔵できる正極と、充放電でリチウムイオンを吸蔵及び放出できる負極と、これら両極間に介在されるセパレータを収容するとともに、電解液を収容した構成を有している。密閉型電池例えばニッケル水素二次電池は、密閉された金属製の外郭内に、水酸化ニッケル及びYb化合物を含む正極板と、水素吸蔵合金を含む負極板と、これら両極間に介在されるセパレータを収容するとともに、電解液を収容した構成を有している。請求項1,2の封口装置は、電解液が収容された前記各密閉容器の外郭の一部をなして、この外郭内の異常ガス圧を外部に逃がすための弁装置として使用される。
請求項1から3の封口装置及びこれを備えた密閉容器では、弁座体と封口板の弁受け凹部とに挟持された気液分離膜の孔塞ぎ部が、弁受け凹部の開孔に挿入された弁座体の挿入部の先端面を覆っているとともに、この孔塞ぎ部のガス流入側の面が、弁受け凹部の裏側に配設されるか若しくは弁受け凹部の裏面と面一に連続するように配設されている。この構成によれば、弁座体のガス抜き孔の入り口を覆った気液分離膜の孔塞ぎ部に対するガス流入側に、孔塞ぎ部を底とする凹みが形成されることがない。言い換えれば、孔塞ぎ部のガス流入側の面に電解液が留まらせるとともに、孔塞ぎ部のガス流入側の面に付着した電解液が孔塞ぎ部の周囲に移動することを妨げる壁のような構造がない。
したがって、この封口装置を備えた密閉容器は、その内部でガス圧が異常に高くなった場合、気液分離膜の孔塞ぎ部を透過して弁体に作用するガス圧で、弁体が弾性部材の付勢力に抗して弁座体の弁座部から離れるように動かされるに伴い、ガスをガス抜き孔に通して密閉容器外に放出できる。このガス抜きにおいては、前記構成により、気液分離膜の孔塞ぎ部のガス流入側の面に電解液が表面張力で留まってガス圧で押し付けられる状態が形成され難いので、ガス抜きに伴って電解液が気液分離膜を通って外部に漏れることを抑制できる。
本発明の封口装置及び密閉容器によれば、ガス抜きに伴って電解液が気液分離膜を通って漏れることを抑制できる。
図1及び図2を参照して本発明の第1実施形態を説明する。
電解液が封入された密閉容器例えば密閉型電池1は、密閉された外郭2内を備え、この外郭2に図示しないが電池として必要な正負の電極やセパレータ等とともに電解液が収容されている。外郭2は、図1に示すように容器本体3と封口装置11を備えている。
容器本体3は、金属製であって、その一端に開口部3aを有し、図示しない他端は閉じられている。封口装置11は開口部3aを塞いで容器本体3の一端に連結されている。この連結は、容器本体3の開口部3aの外周縁と封口装置11の外周縁とをレーザ溶接等により溶接することでなされている。この溶接により容器本体3と封口装置11間がシールされて外郭2の気密が確保されている。
封口装置11は、図1及び図2に示すように金属例えばアルミニウム合金製の封口板12と、弁座体13と、気液分離膜14と、弁体15と、カバー16と、弾性部材17とを備えている。
封口板12は、容器本体3の開口部3aを塞ぐ大きさで、この開口部3aに溶接されている。封口板12の例えば中央部に、この封口板12の裏側、つまり容器本体3の内部側に向けて凹む例えば円形の弁受け凹部12aが一体に形成されている。弁受け凹部12aの底壁12bはその中央部に例えば円形の開孔12cを有している。開孔12cは、外郭2内に電解液を収容する際に、この電解液の注入口として使用される。底壁12bの裏面12eは例えば封口板12の表面12dと平行であるが、そうでなくてもよい。図1に示すように開孔12cの弁受け凹部12a内部側の環状縁は、この縁による気液分離膜14の傷付きを防止するために直角な角を作らないように加工され例えばR面に面取りされている。
金属例えばアルミニウム合金又は合成樹脂製の弁座体13は段付き筒状に形成されている。すなわち、弁座体13は、大径円筒部13aと、小径円筒部からなる挿入部13bと、これら両者を一体につないだ肩部13cとで形成されている。肩部13cは、大径円筒部13aに直角に連続しているとともに、挿入部13bにも直角に連続している。
大径円筒部13aは弁受け凹部12aに圧入される部位であって、その外径は弁受け凹部12aの内周壁に圧入して密接される径に定められている。大径円筒部13aは弁受け凹部12aの深さより長い。
挿入部13bは前記開孔12cに挿入される部位であって、その外径は弁受け凹部12aの開孔12cの径より小さい。この挿入部13bの外径は、好ましい例として後述する組立てによって気液分離膜14を開孔12cの内周面との間に圧縮して挟持できる径に設定されている。開孔12cに対する挿入部13bの挿入深さは、図1に例示するように挿入部13bの先端面13bfが、底壁12bの裏面12eと同じ高さ位置に達するように設定されているが、これには制約されない。図1に示すように挿入部13bの外周面と先端面13bfとで挟まれた環状の角は、この角による気液分離膜14の傷付きを防止するために直角な角を作らないように加工さて例えばR面に面取りされている。
挿入部13bの内部空間はガス抜き孔13dとなっている。そのため、ガス抜き孔13dの入口は挿入部13bの先端面13bfに開放され、ガス抜き孔13dの出口は大径円筒部13aの内部に開放されている。挿入部13bの内周面と肩部13cの内面とで挟まれた環状の開口縁により、ガス抜き孔13dの出口を囲んだ弁座部13eが形成されている。
気液分離膜14は、例えばPTFE等のフッ素系樹脂で作られた網目板を複数枚積層してなり、それが単品の状態では図2に示すように円板状をなしている。気液分離膜14の外径は弁受け凹部12aの内径に略等しい。この気液分離膜14は、以下の組み立てによって所定の状態に配置される。
すなわち、まず、気液分離膜14を弁受け凹部12aの底壁12b上に重なるように弁受け凹部12a内に配置する。次に、弁座体13を、その挿入部13bを先頭にして弁受け凹部12aに圧入し弁受け凹部12aに固定する。
この組立てにより、図1に示すように気液分離膜14の周部14aが、弁座体13の肩部13cと弁受け凹部12aの底壁12bとで挟持されて圧縮される。これとともに、気液分離膜14の中央部が、弁受け凹部12aの開孔12cに挿入される挿入部13bによって、弁受け凹部12aの裏側に押し出されて配設される。言い換えれば、気液分離膜14は挿入部13bの先端面13bf及び外周面に沿って変形してこれらの面に密接される。
挿入部13bの先端面13bfを覆ってガス抜き孔13dの入口を閉じた気液分離膜14の部位を孔塞ぎ部14bと称する。この孔塞ぎ部14bの厚みは単品の状態での気液分離膜14の厚みに略等しい。孔塞ぎ部14bは、底壁12bの裏面12eから容器本体3の内部側に突出されていて、周部14aと平行に設けられている。この孔塞ぎ部14bの突出長さは開孔12cに対する挿入部13bの挿入深さに対応しており、本実施形態では孔塞ぎ部14b全体が容器本体3の内部に配置される突出長さとなっている。そのため、図1に示すように孔塞ぎ部14bのガス流入側の面14bfは、弁受け凹部12aの底壁12bの裏面12eより裏側に配設されていて、外郭2の内部に臨んでいる。すなわち、弁座体13のガス抜き孔13dの入り口を覆った気液分離膜14の孔塞ぎ部14bに対するガス流入側に、孔塞ぎ部14bを底とする凹みが形成されることがない構成となっている。
気液分離膜14の周部14aと孔塞ぎ部14bとの間をつないで挿入部13bの外周面に沿った中間部位14cは、挿入部13bの外周面と開孔12cの内周面とで挟持されて圧縮されている。以上のように弁受け凹部12aと弁座体13との間に挟持された気液分離膜14の周部14a及び中間部位14cは、圧縮状態にあることにより孔塞ぎ部14bよりもはるかに高い耐通液性能を発揮するシール材として機能する。
そのため、弁受け凹部12aと弁座体13との間のシール性を、格別なシール部品を要することなく、気液分離膜14を利用して確保できる。それにより、外郭2内のガス圧が異常に高まった際に、弁受け凹部12aと弁座体13との間を通って外郭2内の電解液が漏れ難くできる。なお、周部14aが少なくとも圧縮状態にあれば、中間部位14cは必ずしも圧縮状態にする必要はない。しかし、中間部位14cを圧縮状態とすることは、シール領域をより長く確保できるに伴い、電解液をより漏れ難くできる点で好ましい。
金属又は合成樹脂等からなる弁体15は、円錐台状の弁部15aと、この弁部15aの突出方向とは反対側に弾性部材受け例えば環状のばね受け溝15bを有している。弁体15はその外周面を大径円筒部13aの内周面に摺動させて弁受け凹部12aの軸方向に沿って移動可能に収容されている。こうした摺動を伴う弁体15の移動は安定してなされかつ円滑である。この弁体15の移動により、弁部15aの円錐面が弁座部13eに接離される。弁体15はガス抜き通路を有している。ガス抜き通路は、例えば図2に示すように弁体15の外周面に形成された複数のガス抜き溝15cからなり、これらガス抜き溝15cは弁体15の厚み方向に延びて設けられている。なお、ガス抜き通路は弁体15を厚み方向に貫通する通孔であっても良い。
金属例えばアルミニウム合金製のカバー16は封口板12の表面12dに溶接止めされている。図1に示すようにカバー16は弁座体13及び弁体15を覆っている。このカバー16の内面と弁座体13及び弁体15との間には隙間が形成されている。
弾性部材17は、例えば金属製のコイルばねからなるとともに、カバー16と弁体15との間に挟まれている。すなわち、弾性部材17の殆どの部位はばね受け溝15bに収容されていて、この弾性部材17の一端がばね受け溝15bの溝底に弾性的に当たって支持されているとともに、弾性部材17の他端がカバー16の内面に弾性的に当たって支持されている。従って、弾性部材17は圧縮状態となっている。そのため、この弾性部材17のばね力(付勢力)により、弁体15は弁座部13eに押付けられている。
カバー16は例えば小さな孔からなるガス放出部16aを例えば中央部に有している。ガス放出部16aは、カバー16の周壁に設けてもよく、或いは溝にて形成してカバー16の封口板12の表面12dに接する面に設けてもよい。カバー16は合成樹脂であってもよい。
前記弁座体13、弁体15、カバー16、及び弾性部材17は、ガス抜き弁を形成している。そのため、この弁の上流側に配置された気液分離膜14の少なくとも周部14aにより、封口板12に対するガス抜き弁の取付け部がシールされている。
前記密閉型電池1の構成によれば、弁座体13のガス抜き孔13dの入り口を覆った気液分離膜14の孔塞ぎ部14bに対するガス流入側に、孔塞ぎ部14bを底とする凹みが形成されないので、孔塞ぎ部14bのガス流入側の面14bfに電解液が留まらせるとともに、ガス流入側の面14bfに付着した電解液が孔塞ぎ部14bの周囲に移動することを妨げる壁のような構造がない。
これにより、気液分離膜14の孔塞ぎ部14bのガス流入側の面14bfに電解液が付着した際に、電解液が、容易に弾かれてガス流入側の面14bfに留まらないようにできる。したがって、ガス抜きにおいて、気液分離膜14の孔塞ぎ部14bのガス流入側の面14bfに電解液が表面張力で留まってガス圧で押し付けられた状態が形成され難いので、ガス抜き時に電解液がガス抜き弁を通って外部に漏れることを抑制できる。
すなわち、外郭2内のガス圧が、弾性部材17のばね力に勝るほど異常に高くなった場合、気液分離膜14の孔塞ぎ部14bを透過して弁体15に作用するガス抜き孔13d内のガス圧で、弁体は弾性部材17のばね力に抗して弁座体13の弁座部13eから離れるように動かされる。それにより、ガス抜き弁が開放された状態となって、ガス抜き孔13dとガス抜き溝15cとが連通されるので、気液分離膜14を透過したガスは、ガス抜き孔13d、ガス抜き溝15c、及びガス放出部16aを、この記載順に通って、外郭2の外部に放出される。こうしたガス抜きにおいて、既述のようにガス流入側の面14bfに電解液が留まってガス圧で押し付けられた状態が形成され難いので、電解液が気液分離膜14を通って漏れることが抑制される。したがって、外郭2の内部で発生したガスのみを外部に放出できる。
又、ガス抜き弁が閉じている状態では、ガス放出部16aを通って外部の水蒸気などの気体がカバー16の内側に波及する。しかし、弁座部13eへの着座状態(ガス抜き弁が閉じた状態)、すなわち、弁体15によりガス抜き孔13dが閉じられた状態は、弾性部材17で保持されているので、ガス抜き孔13dを通って外部の気体が外郭2内に侵入することは防止される。これとともに、封口板12に対するガス抜き弁の取付け部は、気液分離膜14の周部14a及び中間部位14cでシールされているので、この取付け部を通って外部の気体が外郭2内に侵入することも防止される。
以上のように前記構成の密閉型電池1によれば、ガス抜きに伴って電解液が気液分離膜14を通って漏れることを抑制してガスのみを放出できるとともに、気液分離膜14を利用してガス抜き弁の取付け部の気水密性を向上したので、この取付け部を通る電解液の外部への漏れ及び外部からの気体の侵入を防止できる。
図3は本発明の第2実施形態を示している。この第2実施形態は以下説明する事項以外は第1実施形態と同じであるので、同じ構成については第1実施形態の該当構成と同一符号を付してその説明を省略する。
第2実施形態では、弁体として球体を用いるとともに、それに応じて円錐台状のコイルばねからなる弾性部材17を用いている。この点以外の構成は第1実施形態と同じである。従って、この第2実施形態でも、第1実施形態で既に説明した理由によって本発明の課題を解決できる。
図4は本発明の第3実施形態を示している。この第3実施形態は以下説明する事項以外は第1実施形態と同じであるので、同じ構成については第1実施形態の該当構成と同一符号を付してその説明を省略する。
第3実施形態では、弁座体13に弾性部材受けとしてばね受け凸部13fを一体に形成されているとともに、弾性部材17に弁体及びガス抜き通路が一体に形成されている。
ばね受け凸部13fは、挿入部13bと反対側に突出しているとともに、環状をなしている。弾性部材17は、ばね受け凸部13fの内周面に嵌合される嵌合部17aから外側に折れ曲がった周部17bを有し、この周部17bをばね受け凸部13fとカバー16の内面とで挟持して設けられている。弾性部材17の嵌合部17aから内側に折れ曲がった部位の中央部に弁体17cが一体に形成されているとともに、ガス抜き通路部をなすガス抜き通路孔17dが弁体17cの周囲に複数設けられている。弁体17cは、半球状に曲げて形成されていて、弁座部13eに接離可能である。この弁体17cは、嵌合部17aから内側に折れ曲がった前記部位のばね力によって弁座部13eに押し付けられていて、所定のガス圧によって弁座部13eから離されるようになっている。嵌合部17aから内側に折れ曲がった前記部位の内で弁体17cを除いた部分は、弁座体13とは非接触であり、これら両者間に確保された隙間を通して開弁時にガス抜き孔13dとガス抜き通路孔17dが連通可能となっている。
以上説明した点以外の構成は第1実施形態と同じである。従って、この第3実施形態でも、第1実施形態で既に説明した理由によって本発明の課題を解決できる。しかも、弾性部材17が弁体17cを兼ねているために、部品点数を削減できる点で好ましい。
本発明は前記各実施形態には制約されない。例えば、気液分離膜14のガス流入側の面14bfは、弁受け凹部12aの裏側に配設さすることに代えて、弁受け凹部12aの裏面と面一に連続するように配設しても良い。このようにしても孔塞ぎ部14bに対するガス流入側に、孔塞ぎ部14bを底とする凹みが形成されないので、本発明の課題を解決することが可能である。
本発明の第1実施形態に係る密閉型電池の一部を示す断面図。 図1の密閉型電池が備える封口装置を分解して示す斜視図。 本発明の第2実施形態に係る密閉型電池の一部を示す断面図。 本発明の第3実施形態に係る密閉型電池の一部を示す断面図。
符号の説明
1…密閉型電池(密閉容器)、2…外郭、3…容器本体、3a…開口部、11…封口装置、12…封口板、12a…弁受け凹部、12b…底壁、12c…開孔、12d…表面、12e…裏面、13…弁座体、13b…挿入部、13bf…挿入部の先端面、13c…肩部、13d…ガス抜き孔、13e…弁座部、14…気液分離膜、14a…周部、14b…孔塞ぎ部、14bf…ガス流入側の面、15…弁体、16…カバー、17…弾性部材

Claims (3)

  1. 開孔を有する弁受け凹部が形成された封口板と、
    前記開孔に挿入される挿入部、ガス抜き孔、及びこのガス抜き孔の出口を囲んだ弁座部を有して前記弁受け凹部に配置され、前記ガス抜き孔の入り口が前記挿入部の先端面に開放された弁座体と、
    前記挿入部の先端面を覆う孔塞ぎ部を有して前記弁座体と前記弁受け凹部とに挟持され、前記孔塞ぎ部のガス流入側の面が、前記弁受け凹部の裏側に配設されるか若しくは前記弁受け凹部の裏面と面一に連続するように配設された気液分離膜と、
    前記弁座部に弾性部材の付勢力で押付けられていて前記ガス抜き孔の内圧が所定圧力以上となったときに前記弁座部から離れる弁体と、
    前記封口板の表側に取付けられて前記弾性部材を支持するカバーと、
    を具備したことを特徴とする封口装置。
  2. 前記弁座体が前記弁受け凹部に圧入されていて、前記気液分離膜の周部が、前記挿入部に連続した前記弁座体の肩部と前記弁受け凹部の底壁とで挟持されていることを特徴とする請求項1に記載の封口装置。
  3. 開口部を有する容器本体及び前記開口部を塞いで設けられた請求項1又は2に記載の封口装置により形成され、内部に電解液が入れられた外郭を備えることを特徴とする密閉容器。
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