以下、本発明のカメラ支持具を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明するが、本発明は以下の形態に限定されるものではない。
1.第1の実施形態
[全体構成例]
図1は本発明のカメラ支持具の第1の実施の形態を示す三脚の支持脚を最も伸長させた状態の斜視図、図2は同じく支持脚を収縮させた状態の斜視図である。
図1及び図2に示すように、本発明のカメラ支持具の一実施形態を示す三脚1は、撮像装置(図示せず)が固定されるカメラ固定部材2と、このカメラ固定部材2を支持する3本の支持脚3等から構成されている。
カメラ固定部材2は、カメラ固定台12と、カメラ固定台12を垂直方向Y(チルト方向)に回動可能に支持する第1の軸部13と、第1の軸部13を水平方向X(パン方向)に回動可能に支持する第2の軸部14等を備えている。
カメラ固定台12は、撮像装置が取り付けられる固定部16と、この固定部16の一側に連続して下方に突出する軸受部17からなっている。カメラ固定台12の固定部16には、撮像装置の底面に設けられた三脚用ねじ孔(図示せず)に螺合される固定ねじ18が設けられている。また、軸受部17には、カメラ固定台12を回動操作するためのハンドル19が取り付けられている。
第1の軸部13は、略直方体に形成されている。この第1の軸部13の一側面には、略垂直に突出する嵌合軸(図示せず)が設けられており、この嵌合軸にカメラ固定台12の軸受部17が回動可能に嵌合されている。つまり、第1の軸部13は、嵌合軸によってカメラ固定台12を垂直方向Yに回動可能に支持している。また、第1の軸部13の底面には、第2の軸部14の後述する嵌合軸22に回動可能に嵌合される軸受穴(図示せず)が設けられている。
第2の軸部14は、軸ベース21と、この軸ベース21の上面から略垂直に突出する嵌合軸22を備えている。上述したように、第2の軸部14の嵌合軸22には、第1の軸部13の軸受穴(図示せず)が回動可能に嵌合されている。つまり、第2の軸部14は、嵌合軸22によって第1の軸部13を水平方向Xに回動可能に支持している。これにより、カメラ固定台12は、第1の軸部13を介して水平方向Xに回動可能となっている。
軸ベース21の底部には、同一の構成を有する3本の支持脚3が取り付けられている。この支持脚3は、円筒体からなる第1のパイプ部材31と、第1のパイプ部材31よりも直径の小さい円筒体からなる第2のパイプ部材32と、第2のパイプ部材32よりも直径の小さい円筒体からなる第3のパイプ部材33を備えている。
第1のパイプ部材31は、最外部となる始段のパイプ部材であり、第2の軸部14の軸ベース21に回動可能に取り付けられている。この第1のパイプ部材31には、第2のパイプ部材32が入れ子状に収納可能となっている。第2のパイプ部材32には、第3のパイプ部材33が入れ子状に収納可能となっている。この第3のパイプ部材33は、最内部となる終段のパイプ部材である。
第3のパイプ部材33の先端部には、載置面に当接するキャップ35が取り付けられている。キャップ35は、第3のパイプ部材33に嵌合される嵌合部35aと、この嵌合部35aに連続して第3のパイプ部材33から突出する載置部35bからなっている。載置部35bの外面には、周方向に延びる係合溝36が設けられている。この係合溝36には、後述する係止部材24の係止部24bが係合される。
軸ベース21には、係止部材24が取り付けられている。この係止部材24は、支持脚3を収縮させた状態において、終段のパイプ部材である第3のパイプ部材33の引き出し方向の移動を係止する。
係止部材24は、軸ベース21に取り付けられる棒状の取付部24aと、この取付部24aの先端部に設けられた円板状の係止部24bからなっている。取付部24aは、3本の支持脚3の中心に配置されており、第1のパイプ部材31と略同じ長さに設定されている。本実施の形態では、取付部24aを棒状に形成したが、本発明に係る取付部としては、例えば、パイプ状に形成してもよい。支持脚3を収縮させた状態において、係止部24bは、3本の第3のパイプ部材33に取り付けた各キャップ35の係合溝36に係合される。
次に、支持脚3の第1〜第3のパイプ部材31〜33について図3及び図4を参照して説明する。図3は支持脚3を最も伸長させた伸長状態を示す断面図、図4は支持脚3の収縮状態を示す断面図である。
図3及び図4に示すように、支持脚3の第1のパイプ部材31には、第2のパイプ部材32の引き出しを制限する制限受部31aが設けられている。この制限受部31aは、第1のパイプ部材31のカメラ固定部材2と反対側(以下、「下側」という)の先端を、その他の筒体部分よりも小さな直径にすることにより形成されている。図3に示すように、支持脚3の伸長状態において、第1のパイプ部材31の制限受部31aには、第2のパイプ部材32の後述する係止突部32bが係合される。
第2のパイプ部材32には、第3のパイプ部材33の引き出しを制限する制限受部32aと、第1のパイプ部材31の制限受部31aに係合される係止突部32bと、補助突部32cが設けられている。制限受部32aは、第1のパイプ部材31の制限受部31aと同様に、第2のパイプ部材32の下側の先端を、その他の筒体部分よりも小さな直径にすることにより形成されている。図3に示すように、支持脚3の伸長状態において、第2のパイプ部材32の制限受部32aには、第3のパイプ部材33の後述する係止突部33bが係合される。
係止突部32b及び補助突部32cは、第2のパイプ部材32のカメラ固定部材2側(以下、「上側」という)の端部に設けられている。これら係止突部32b及び補助突部32cは、それぞれ第2のパイプ部材32の周方向に連続して半径方向の外側に突出された突部として同一形状に形成されている。補助突部32cは、第2のパイプ部材32の上側の先端に配置され、係止突部32bは、補助突部32cと軸方向に適当な間隔をあけて配置されている。補助突部32cを設けることにより、第1のパイプ部材31に対する第2のパイプ部材32のガタツキを防止或いは軽減することができる。
第3のパイプ部材33の上側の端部には、第2のパイプ部材32の制限受部32aに係合される係止突部33bと、補助突部33cが設けられている。これら係止突部33b及び補助突部33cは、第2のパイプ部材32の係止突部32b及び補助突部32cと同様に、それぞれ第3のパイプ部材33の周方向に連続して半径方向の外側に突出された突部として同一形状に形成されている。補助突部33cを設けることにより、第2のパイプ部材32に対する第3のパイプ部材33のガタツキを防止或いは軽減することができる。
支持脚3には、第1のパイプ部材31に対して第2のパイプ部材32を固定するための第1の固定機構41と、第2のパイプ部材32に対して第3のパイプ部材33を固定するための第2の固定機構42が設けられている。
第1の固定機構41は、第2のパイプ部材32の上側の筒穴に嵌合される第1の固定子44と、第1の固定子44の後述する中段間隙形成面44bに係合される第1の接触子45から構成されている。また、第2の固定機構42は、第3のパイプ部材33の上側の筒穴に嵌合される第2の固定子47と、第2の固定子47の後述する終段間隙形成面47b,47cに係合される第2の接触子48A,48Bから構成されている。つまり、第1及び第2の固定子44,47は、第1のパイプ部材31(始段のパイプ部材)を除くパイプ部材である第2及び第3のパイプ部材32,33の上側の筒穴にそれぞれ嵌合されている。
次に、第1の固定機構41について図5を参照して説明する。図5は、第2のパイプ部材32から第1の固定機構41を取り外した状態の斜視図である。
図5に示すように、第1の固定機構41の第1の固定子44は、第2のパイプ部材32の筒穴に見合った円柱体からなっている。この第1の固定子44には、下面の中央部から突出する円柱状の突出部44aと、第1のパイプ部材31の内面との間に中段間隙部51(図3及び図4を参照)を形成する中段間隙形成面44bと、中段間隙部51に連通する気孔44cが設けられている。
第1の固定子44は、第2のパイプ部材32の内部に配置された状態で嵌合され、接着剤、固定ねじ、かしめ固定等の固定方法により固定される。そのため、第2のパイプ部材32には、中段間隙部51を形成するために第1の固定子44の中段間隙形成面44bを露出させる窓部32dが設けられている。
第1の固定子44の中段間隙形成面44bは、第1の固定子44に円弧状の溝を設けることにより形成されている。この中段間隙形成面44bは、軸方向の中間部から突出部44aの先端まで延びており、中段間隙部51が下側に至るにつれて狭くなるように傾斜されている。そして、中段間隙部51の下側は、第2のパイプ部材32の内部に連通されている(図3及び図4を参照)。
気孔44cは、中段間隙形成面44bを設けることにより第1の固定子44の上部に形成された庇部44dを貫通する。この気孔44cは、第2の固定子47に設けられた後述する気孔47gと共に各パイプ部材31〜33内の気圧を一定にするための通気口である。
第1の固定機構41の第1の接触子45は、第1の固定子44に設けた中段間隙形成面44bの曲率半径と略同一の半径に設定された球体からなり、中段間隙部51に移動可能に介在される。この第1の接触子45は、重力によって下側に移動するとき、第1の固定子44の中段間隙形成面44bに沿って移動し、その中段間隙形成面44bによって第1のパイプ部材31の内面に押し付けられる。
第1の接触子45が第1のパイプ部材31の内面に押し付けられると、第1の接触子45と中段間隙形成面44bとの間に摩擦抵抗が生じると共に、第1の接触子45と第1のパイプ部材31の内面との間に摩擦抵抗が生じる(図3を参照)。また、第2のパイプ部材32の係止突部32b及び補助突部32cと第1のパイプ部材31の内面との間に摩擦抵抗が生じる。その結果、第2のパイプ部材32が第1のパイプ部材31に固定される。
[第2の固定機構]
次に、第2の固定機構42について図6を参照して説明する。図6は、第3のパイプ部材33から第2の固定機構42を取り外した状態の斜視図である。
図6に示すように、第2の固定機構42の第2の固定子47は、第3のパイプ部材33の筒穴に見合った円柱体からなっている。この第2の固定子47には、突出部47aと、第1の終段間隙形成面47bと、第2の終段間隙形成面47c(図4を参照)と、第1の凹部47dと、第2の凹部47e(図4を参照)と、固定子側押圧部47fと、気孔47g(図4を参照)が設けられている。
突出部47aは、第1の固定子44の突出部44aと同様に、第2の固定子47の下面の中央部から突出する円柱状に形成されている。第1の終段間隙形成面47b及び第2の終段間隙形成面47cは、それぞれ第2の固定子47に円弧状の溝を設けることにより形成されており、第2のパイプ部材32の内面との間に第1の終段間隙部52A及び第2の終段間隙部52Bを形成する。
第2の固定子47は、第3のパイプ部材33の内部に配置された状態で嵌合され、接着剤や固定ねじ、かしめ固定等の固定方法により固定される。そのため、第3のパイプ部材33には、2つの終段間隙部52A,52Bを形成するために第2の固定子47の2つの終段間隙形成面47b,47cを露出させる窓部33d,33eが設けられている。
2つの終段間隙形成面47b,47cは、第2の固定子47の軸方向の中間部から突出部47aの先端まで延びており、終段間隙部52A,52Bが下側に至るにつれて狭くなるように傾斜されている。そして、終段間隙部52A,52Bの下側は、第3のパイプ部材33の内部に連通されている(図3及び図4を参照)。
また、終段間隙形成面47b,47cは、第2の固定子47の軸心を挟んで対向している。そのため、終段間隙形成面47b,47cと第2のパイプ部材32の内面によって形成される終段間隙部52A,52Bは、第2の固定子47(第3のパイプ部材33)の軸心を境に対向する。
第2の固定子47の第1の凹部47dは、第1の終段間隙形成面47bに連続しており、第3のパイプ部材33の内面との間に第1の収容部53Aを形成する。(図3及び図4を参照)。また、第2の凹部47eは、第2の終段間隙形成面47cに連続しており、第3のパイプ部材33の内面との間に第2の収容部53Bを形成する。これら収容部53A,53Bには、後述する可動子49によって押圧された第2の接触子48A,48Bがそれぞれ収容される。
固定子側押圧部47fは、第2の固定子47の上面から突出するリング状の突出部として形成されている。第3のパイプ部材33を第2のパイプ部材32に収納する場合、固定子側押圧部47fの内面を形成する円形凹部47hには、第1の固定子44の突出部44aが挿入される。その際、固定子側押圧部47fは、第1の固定子44の中段間隙形成面44bによって第1のパイプ部材31の内面に押し付けられた第1の接触子45を上側に押圧する(図4を参照)。これにより、第1の接触子45が上側に移動し、第1のパイプ部材31に対する第2のパイプ部材32の固定が解除される。
本実施の形態では、固定子側押圧部47fをリング状に形成したため、第3のパイプ部材33が第2のパイプ部材32に対して軸周りに回転しても、固定子側押圧部47fで第1の接触子45を必ず押圧することができる。
気孔47gは、円形凹部47hの底面に設けられており、この円形凹部47hと第1の凹部47dを連通させる(図4を参照)。この気孔47gと第1の固定子44の気孔44cは、各パイプ部材31〜33内の気圧が一定値になるような大きさに設定されている。なお、本例では、第1の固定子44及び第2の固定子47にそれぞれ気孔44c及び気孔47gを設ける構成としたが、複数のパイプ部材の気圧が一定値になるようにするには、一部の固定子に気孔を設けないようにしてもよい。
各パイプ部材31〜33内の気圧を一定値にすることにより、支持脚3を下方に向けるだけで、第2のパイプ部材32及び第3のパイプ部材33が同時に1つ外側のパイプ部材から抜け出し、同じ長さだけ引き出されるようにすることができる。そして、第2及び第3のパイプ部材32,33がロック可能な状態になり、支持脚3を任意の長さで確実に固定することができる。
第2の固定機構42の第2の接触子48A,48Bは、終段間隙形成面47b,47cの曲率半径と略同一の半径に設定された球体からなり、それぞれ終段間隙部52A,52Bに移動可能に介在される。これら第2の接触子48A,48Bは、重力によって下側に移動するとき、それぞれ終段間隙形成面47b,47cに沿って移動し、その終段間隙形成面47b,47cによって第2のパイプ部材32の内面に押し付けられる。
第2の接触子48Aが第2のパイプ部材32の内面に押し付けられると、第2の接触子48Aと第1の終段間隙形成面47bとの間に摩擦抵抗が生じると共に、第2の接触子48Aと第2のパイプ部材32の内面との間に摩擦抵抗が生じる(図3を参照)。また、第2の接触子48Bが第2のパイプ部材32の内面に押し付けられると、第2の接触子48Bと第2の終段間隙形成面47cとの間に摩擦抵抗が生じると共に、第2の接触子48Bと第2のパイプ部材32の内面との間に摩擦抵抗が生じる。その結果、第3のパイプ部材33が第2のパイプ部材32に固定される。
[可動子の説明]
終段のパイプ部材である第3のパイプ部材33の内部には、可動子49が収納されている(図3及び図4を参照)。この可動子49は、第3のパイプ部材33の筒穴に見合った直径の円筒体からなり、第3のパイプ部材33の軸方向に移動可能となっている。可動子49の筒孔は、第2の固定子47の突出部47aを挿入可能な大きさに設定されている。そして、可動子49の上側(第2の固定子47と対向する側)の端部は、可動子側押圧部49aとなっている。
支持脚3を伸長させた状態において、その支持脚3を上方に向けると、可動子49が重力によって落下し、可動子49の筒孔に第2の固定子47の突出部47aが挿入される。そして、可動子側押圧部49aが、第2の固定子47の第1の終段間隙形成面47bによって第2のパイプ部材32の内面に押し付けられた第2の接触子48Aを上側に押圧する(図4を参照)。これと同時に、可動子側押圧部49aが、第2の終段間隙形成面47cによって第2のパイプ部材32の内面に押し付けられた第2の接触子48Bを上側に押圧する。これにより、第2の接触子48A,48Bが上側に移動し、第2のパイプ部材32に対する第3のパイプ部材33の固定が解除される。
本実施の形態では、可動子側押圧部49aをリング状(筒状)に形成したため、第3のパイプ部材33の内部で可動子49が軸周りに回転しても、可動子側押圧部49aで第2の接触子48A,48Bを必ず押圧することができる。
[支持脚の伸長動作の説明]
次に、支持脚3の伸長動作について、図4及び図7A〜図7Cを参照して説明する。図7Aは、支持脚3の第2及び第3のパイプ部材32,33が第1のパイプ部材31から引き出されている途中の状態を示す説明図である。また、図7Bは第2のパイプ部材32を第1のパイプ部材31に固定した状態の説明図、図7Cは第3のパイプ部材33を第2のパイプ部材32に固定した状態の説明図である。
支持脚3の長さを伸長させるには、まず、収縮させた状態の3本の支持脚3を上方に向ける。このとき、第1の接触子45が第2の固定子47の固定子側押圧部47fによって上側に押圧されているため、第1のパイプ部材31に対する第2のパイプ部材32の固定は解除されている。また、第2の接触子48A,48Bは、可動子49の可動子側押圧部49aによって上側に押圧され、収容部53A,53Bにそれぞれ収容されるため、第2のパイプ部材32に対する第3のパイプ部材33の固定は解除されている。
次に、3本の支持脚3を開くように回動させる。これにより、3本の第3のパイプ部材33と係止部材24との係合を外す。次に、支持脚3を下方に向ける。これにより、第2のパイプ部材32及び第3のパイプ部材33が、重力によって同時に1つ外側のパイプ部材から引き出される。
図7Aに示すように、第2のパイプ部材32が第1のパイプ部材31から引き出されるとき、第1の接触子45は、第2のパイプ部材32に固定された第1の固定子44と一緒に移動する。そのため、第1の接触子45が第1のパイプ部材31の内面に押し付けられることはなく、第2のパイプ部材32は、第1のパイプ部材31から円滑に引き出される。
また、第3のパイプ部材33が第2のパイプ部材32から引き出されるとき、第2の接触子48A,48Bは、第3のパイプ部材33に固定された第2の固定子47と一緒に移動する。そのため、第2の接触子48A,48Bが第2のパイプ部材32の内面に押し付けられることはなく、第3のパイプ部材33は、第2のパイプ部材32から円滑に引き出される。
第3のパイプ部材33の引き出し動作は、キャップ35が載置面に当接した場合と、係止突部33bが第2のパイプ部材32の制限受部32aに係合した場合に停止される(図4を参照)。図7Bでは、キャップ35が載置面に当接して第3のパイプ部材33の引き出し動作が停止された状態を示している。
図7Bに示すように、第3のパイプ部材33の引き出し動作が停止されると、第2の接触子48A,48Bは、それぞれ重力によって落下し、終段間隙部52A,52B内を第2の固定子47の終段間隙形成面47b,47cに沿って移動する。つまり、第2の接触子48A,48Bは、重力によって第2及び第3のパイプ部材32,33の引き出し方向に移動する。そして、第2の接触子48A,48Bは、終段間隙形成面47b,47cによって第2のパイプ部材32の内面に押し付けられる。これにより、第2の接触子48A,48Bと第2の固定子47との間に摩擦抵抗が生じると共に、第2の接触子48A,48Bと第2のパイプ部材32の内面との間に摩擦抵抗が生じる。その結果、第3のパイプ部材33が第2のパイプ部材32に固定される。
第3のパイプ部材33の引き出し動作が停止されると、第2のパイプ部材32の引き出し動作も停止される。第2のパイプ部材32の引き出し動作が停止されると、第1の接触子45は、重力によって落下し、中段間隙部51内を第1の固定子44の中段間隙形成面44bに沿って移動する。つまり、第1の接触子45は、重力によって第2及び第3のパイプ部材32,33の引き出し方向に移動する。
そして、第1の接触子45は、中段間隙形成面44bによって第1のパイプ部材31の内面に押し付けられる。これにより、第1の接触子45と第1の固定子44との間に摩擦抵抗が生じると共に、第1の接触子45と第1のパイプ部材31の内面との間に摩擦抵抗が生じる。更に、第2のパイプ部材32の係止突部32b及び補助突部32cと第1のパイプ部材31の内面との間に摩擦抵抗が生じる。その結果、第2のパイプ部材32が第1のパイプ部材31に固定され、支持脚3の伸長作業が終了する。これにより、三脚1の支持脚3を任意の長さに伸長させることができる。
上述したように、支持脚3を下方に向けると、第2のパイプ部材32及び第3のパイプ部材33が、重力によって同時に1つ外側のパイプ部材から引き出される。そのため、支持脚3を下方に向けると、第2の固定子47の固定子側押圧部47fによる第1の接触子45への押圧が解除される。これにより、第1の接触子45が下降し、確実に第1の接触子45を第1のパイプ部材31の内部に押し付けることが可能な状態(第2のパイプ部材32がロック可能な状態)にすることができる。その結果、支持脚3を下方に向けると同時に第2のパイプ部材32を固定することができるようになり、支持脚3の伸長を任意の長さに調整することができる。
例えば、支持脚3の伸長作業において、第3のパイプ部材33の係止突部33bが第2のパイプ部材32の制限受部32aに係合する前に、第3のパイプ部材33を第2のパイプ部材32に固定したとする。その場合、三脚1が設置面に設置されると、固定部16(図1を参照)に取り付けた撮像装置(図示せず)と三脚1自体の重力が支持脚3に付加される。
そのため、第2のパイプ部材32が第2の接触子48A,48Bによって直径方向に押し広げられ、第3のパイプ部材33が第2のパイプ部材32内に少し入り込む。これにより、第2の接触子48A,48Bと第2のパイプ部材32の内面及び終段間隙形成面47b,47cとの摩擦抵抗が増加し、第3のパイプ部材33が第2のパイプ部材32に確実に固定される。
次に、支持脚3の伸長動作のその他の例について説明する。支持脚3の伸長動作のその他の例では、収縮された状態の支持脚3(図4を参照)を水平方向と略平行にして、手で第2のパイプ部材32及び第3のパイプ部材33を任意の長さまで引き出す。
このとき、第1の接触子45は第1の固定子44と一緒に移動し、第2の接触子48A,48Bは第2の固定子47と一緒に移動する。そのため、第1の接触子45が第1のパイプ部材31の内面に押し付けられたり、第2の接触子48A,48Bが第2のパイプ部材32の内面に押し付けられたりすることはない。したがって、第2及び第3のパイプ部材32,33を円滑に引き出すことができる。
次に、第3のパイプ部材33を把持し、その第3のパイプ部材33が下方に位置するように三脚1を略90度回転させる。三脚1を略90度回転させると、第1の接触子45及び第2の接触子48A,48Bが重力によって落下し、中段間隙部51内及び終段間隙部52A,52B内をそれぞれ移動する。これにより、第1の接触子45は、中段間隙形成面44bによって第1のパイプ部材31の内面に押し付けられ、第2の接触子48A,48Bが、終段間隙形成面47b,47cによって第2のパイプ部材32の内面に押し付けられる。これにより、第2のパイプ部材32が第1のパイプ部材31に固定されると共に、第3のパイプ部材33が第2のパイプ部材32に固定される。その結果、支持脚3を任意の長さに伸長させることができる。
[支持脚の収縮動作の説明]
次に、支持脚3の収縮動作について、図8A〜図8Cを参照して説明する。図8Aは、可動子49の可動子側押圧部49aで第2の接触子48A,48Bを押圧した状態を示す説明図である。図8Bは、第3のパイプ部材33が第2のパイプ部材32内に収納されている途中の状態を示す説明図である。図8Cは、第2の固定子47の固定子側押圧部47fで第1の接触子45を押圧した状態を示す説明図である。
支持脚3を伸長状態から収縮状態にするには、支持脚3の第3のパイプ部材33を上方に向ける。これにより、第3のパイプ部材33の内部に収納された可動子49が重力によって落下する。
図8Aに示すように、可動子49が落下すると、第2の固定子47の終段間隙形成面47b,47cにより第2のパイプ部材32の内面に押し付けられた第2の接触子48A,48Bが可動子側押圧部49aによって押圧される。これにより、第2の接触子48A,48Bがカメラ固定部材2に接近する方向に移動し、第2のパイプ部材32に対する第3のパイプ部材33の固定が解除される。
支持脚3の第3のパイプ部材33を上方に向けることにより、固定部16(図1を参照)に取り付けた撮像装置(図示せず)と三脚1自体の重力が支持脚3に付加されなくなる。そのため、第2の接触子48A,48Bによって直径方向に押し広げられていた第2のパイプ部材32の内径が元の長さに戻り、第3のパイプ部材33がカメラ固定部材2に接近する方向と反対方向に少し移動する。
第3のパイプ部材33がカメラ固定部材2に接近する方向と反対方向に少し移動することにより、第2の接触子48A,48Bと第2のパイプ部材32の内面及び終段間隙形成面47b,47cとの接触位置がカメラ固定部材2に接近する方向に少し変位する。したがって、第2の接触子48A,48Bと第2のパイプ部材32の内面及び終段間隙形成面47b,47cとの摩擦抵抗が小さくなる。
そのため、落下する可動子49によって第2の接触子48A,48Bを容易に移動させることができる。また、第2の接触子48A,48Bを移動させるだけの押圧力を確保しながら可動子49の軽量化を図ることができる。さらに、可動子49の移動量を短くしても第2の接触子48A,48Bを移動させるだけの押圧力を確保することができるため、第3のパイプ部材33の短縮化を図ることができる。
図8Bに示すように、第3のパイプ部材33の固定が解除されると、第3のパイプ部材33は、重力によって第2のパイプ部材32内を移動する。このとき、カメラ固定部材2側に移動した第2の接触子48A,48Bは、収容部53A,53Bにそれぞれ収容されるため、第2の接触子48A,48Bが第2のパイプ部材32の内面に接触することがない。その結果、第3のパイプ部材33は、第2のパイプ部材32内を円滑に移動することができる。
第3のパイプ部材33が第2のパイプ部材32内を移動すると、図8Cに示すように、中段間隙形成面44bにより第1のパイプ部材31の内面に押し付けられた第1の接触子45が第2の固定子47の固定子側押圧部47fによって押圧される。これにより、第1の接触子45がカメラ固定部材2側に移動し、第1のパイプ部材31に対する第2のパイプ部材32の固定が解除される。
このとき、第1の接触子45に加わる押圧力は、第3のパイプ部材33の重さと、可動子49の重さと、第2の固定子47及び第2の接触子48A,48Bの重さなどを加算した値に比例する。そのため、第1のパイプ部材31の内面の3箇所に生じる摩擦抵抗を解除するだけの押圧力を第1の接触子45に加えることができ、第1のパイプ部材31に対する第2のパイプ部材32の固定を確実に解除することができる。
第2のパイプ部材32の固定が解除されると、第3のパイプ部材33を収納した第2のパイプ部材32が、重力によって第1のパイプ部材31内を移動し、その第1のパイプ部材31に収納される。これにより、支持脚3が収縮状態となる。つまり、本実施の形態の三脚1によれば、支持脚3の第3のパイプ部材33を上方に向けるだけで支持脚3を簡単に収縮状態にすることができる。
[接触圧力の説明]
ここで、第2のパイプ部材32に加わる第3のパイプ部材33の接触圧力について図9A及び図9Bを参照して説明する。
図9Aは、図3に示すM−M線部分の断面図である。
図9Aに示すように、終段間隙形成面47b,47cが第3のパイプ部材33の軸心Q(第2の固定子47の軸心)を挟んで対向する場合、第2の接触子48A,48Bは、第3のパイプ部材33の軸心Qを中心として180°ずれた位置に配置される(θ1=180°)。この場合、第3のパイプ部材33は、第2の固定子47及び第2の接触子48A,48Bを介して第2のパイプ部材32に押し付けられる。したがって、第2のパイプ部材32と第3のパイプ部材33との間に生じる接触圧力が0となり、第3のパイプ部材33の固定が解除され易くなる。
図9Bは、終段間隙形成面47b,47cが第3のパイプ部材33の軸心Q(第2の固定子47の軸心)を挟んで対向しない場合に、第2のパイプ部材32に加わる第3のパイプ部材33の接触圧力を説明する断面図である。
図9Bに示すように、終段間隙形成面47b,47cが第3のパイプ部材33の軸心Qを挟んで対向しない場合、第2の接触子48A,48Bは、第3のパイプ部材33の軸心Qを中心として角度θ2ずれた位置に配置される(θ2>180°)。この場合、第2のパイプ部材32と第3のパイプ部材33との間に接触圧力Pが発生する。つまり、第3のパイプ部材33は、角度θ2を2等分する線が交わる第2のパイプ部材32の接触部Tに接触圧力Pで押し付けられる。
角度θ2を小さくすると、接触部Tに加わる接触圧力Pは大きくなり、第2のパイプ部材32に対する第3のパイプ部材33の固定が強力になる。したがって、角度θ2を変えることにより、第3のパイプ部材33の固定の強さと、第3のパイプ部材33の固定の解除し易さを調節することができる。
[第1の実施の形態の変形例]
本実施の形態では、2つの終段間隙形成面47b,47cを設け、第2の接触子48A,48Bを用いる構成としたが、本発明に係る終段間隙形成面及び第2の接触子の数は、3つ以上としてもよい。その場合、複数の終段間隙形成面を第3のパイプ部材33の軸心を中心として等角度ずれるように配置すると、第2のパイプ部材32に対する第3のパイプ部材33の接触圧力を0にすることができる。その結果、終段間隙形成面及び第2の接触子の数を3つ以上としても第2のパイプ部材32の固定を解除し易くすることができる。
本実施の形態では、支持脚を3本のパイプ部材31〜33によって構成したが、本発明に係る支持脚としては、2本のパイプ部材によって構成してもよく、また、4本以上のパイプ部材によって構成してもよい。2本のパイプ部材によって支持脚を構成し、始段のパイプ部材を第1のパイプ部材とした場合、終段のパイプ部材である第2のパイプ部材の内部に可動子を配置する。そして、第2のパイプ部材の上側には、固定子側押圧部47fを削除した第2の固定子47を嵌合する。このように構成することにより、第2のパイプ部材を上方に向けるだけで、支持脚を収縮状態にすることができる。
例えば、4本のパイプ部材によって支持脚を構成し、始段のパイプ部材を第1のパイプ部材とした場合には、第2のパイプ部材に第1の固定子44を嵌合させ、第4のパイプ部材に第2の固定子47を嵌合させる。そして、第3のパイプ部材には、第2の固定子47を嵌合させてもよく、固定子側押圧部47fのような固定子側押圧部を設けた第1の固定子44を嵌合させてもよい。
つまり、始段のパイプ部材の1つ内側のパイプ部材である第2のパイプ部材を除くパイプ部材には、固定側押圧部を有する固定子を固定する。その場合、少なくとも終段のパイプ部材に第2の固定子47を嵌合させることにより、パイプ部材の固定を解除し易くすることができる。
また、本実施の形態では、第1〜第3のパイプ部材31〜33を円筒体としたが、本発明に係るパイプ部材としては、角筒体としてもよい。この場合、第2及び第3のパイプ部材32,33が軸を中心として回転することがないため、第2の固定子47に設けた固定子側押圧部47fは、第1の固定子44の中段間隙形成面44bに対応した位置に設ければよい。
また、本実施の形態のでは、第1及び第2の固定子44,47を第2及び第3のパイプ部材32,33の内部にそれぞれ配置させる構成としたが、本発明に係る固定子は、その上部がパイプ部材の筒穴から突出する構成としてもよい。その場合、固定子が固定されるパイプ部材には、固定子に設けられた間隙形成面に対応する切り欠きを設ける。
また、本実施の形態では、第1の固定子44の中段間隙形成面44b及び第2の固定子47の終段間隙形成面47b,47cを円弧状に形成したが、本発明に係る間隙形成面としては、平面上に形成してもよい。なお、本発明に係る接触子は、球体に限定されるものではなく、樽型や断面形状を楕円に形成したものであってもよい。
また、本実施の形態では、第2の固定子47と第3のパイプ部材33の内面との間に第2の接触子48A,48Bをそれぞれ収容する収容部53A,53Bをそれぞれ形成する構成としたが、収容部53A,53Bを連通させる構成としてもよい。また、本発明に係るカメラ支持具としては、収容部53A,53Bを設けなくてもよい。その場合は、窓部33d,33eを大きくして、終段間隙部52A,52Bのみを設ける構成となる。
2.第2の実施形態
[構成例]
次に、本発明のカメラ支持具の第2の実施の形態について図10を参照して説明する。図10は、本発明のカメラ支持具の第2の実施の形態に係る第2の固定子と、可動子を示す断面図である。
カメラ支持具の第2の実施の形態は、第1の実施の形態の三脚1と同様の構成を有しており、異なるところは、第2の固定子61と、可動子62のみである。そのため、ここでは、第2の固定子61及び可動子62について説明し、第1の実施の形態の三脚1と共通する部分には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
第2の固定子61は、三脚1の第2の固定子47と同様の構成を有しており、異なるところは、底板部を有し、突出部(第2の固定子47の突出部47a)が設けられていないところである。つまり、第2の固定子61には、底板部61aと、第1の終段間隙形成面61bと、第2の終段間隙形成面61cと、第1の凹部61dと、第2の凹部61eと、固定子側押圧部61fと、気孔61gが設けられている。
2つの終段間隙形成面61b,61c、2つの凹部61d,61e、固定子側押圧部61f、気孔61gは、第1の実施の形態の2つの終段間隙形成面47b,47c、2つの凹部47d,47e、固定子側押圧部47f、気孔47gと同様の構成である。そのため、これらの説明を省略する。
底板部61aは、第2の固定子61の軸方向の中間部に2つの終段間隙形成面61b,61cを設けることにより形成されている。この底板部61aは、終段間隙部52A,52Bの下側と第3のパイプ部材33の内部を仕切る仕切り部として役割を有している。底板部61aには、可動子62の後述する押圧部材65,66が貫通する貫通孔63a,63bが設けられている。
可動子62は、第3のパイプ部材33の内部に収納された可動子本体64と、第2の固定子61の底板部61aに設けた貫通孔63a,63bを貫通する押圧部材65,66からなっている。可動子本体64は、第3のパイプ部材33の筒穴に見合った直径の円筒体からなり、第3のパイプ部材33の軸方向に移動可能となっている。
押圧部材65,66は、可動子側押圧部の一具体例を示すものであり、可動子本体64とは別体に構成されている。押圧部材65は、底板部61aの貫通孔63aを摺動可能に貫通する軸65aと、この軸65aの一端に設けられ、終段間隙部52Aに位置する押圧片65bからなっている。また、押圧部材66は、底板部61aの貫通孔63bを摺動可能に貫通する軸66aと、この軸66aの一端に設けられ、終段間隙部52Bに位置する押圧片66bからなっている。
押圧片65b,66bは、押圧部材65,66が貫通孔63a,63bから抜け落ちないように、それぞれ貫通孔63a,63bの直径よりも大きく形成されている。また、軸65a,66aは、押圧部材65,66が終段間隙部52A,52B側へ最も移動しても、貫通孔63a,63bから抜けないような長さに設定されている。
[可動子の動作説明]
次に、可動子62の動作について説明する。
支持脚3の第3のパイプ部材33を上方に向けると、第3のパイプ部材33の内部に収納された可動子本体64が重力によって落下し、押圧部材65,66の軸65a,66aを押圧する。これにより、押圧部材65,66が貫通孔63a,63bに沿って終段間隙部52A,52B側へ移動する。
押圧部材65が終段間隙部52A側に移動すると、第2の固定子61の第1の終段間隙形成面61bにより第2のパイプ部材32の内面に押し付けられた第2の接触子48Aが、押圧片65bによって押圧される。また、押圧部材66が終段間隙部52B側に移動すると、第2の固定子61の第2の終段間隙形成面61cにより第2のパイプ部材32の内面に押し付けられた第2の接触子48Bが、押圧片66bによって押圧される。
その結果、第2の接触子48Aが第1の収容部53A側に移動し、第2の接触子48Bが第2の収容部53B側に移動する。これにより、第2のパイプ部材32に対する第3のパイプ部材33の固定が解除される。支持脚3の第3のパイプ部材33を上方に向けること、第1の実施の形態と同様に、第2の接触子48A,48Bと第2のパイプ部材32の内面及び終段間隙形成面47b,47cとの摩擦抵抗が小さくなる。そのため、落下する押圧片65b,66bによって第2の接触子48A,48Bを容易に移動させることができる。
第1の実施の形態のように、第2の固定子47に突出部47aを設ける場合(図3を参照)、突出部47aは、終段間隙形成面61b,61cを形成することにより大部分が切り欠かれる。これは、始段のパイプ部材から終段のパイプ部材に至るにつれてその直径が小さくなり、嵌合する固定子の直径が小さくなるためである。そして、突出部47aの大部分が切り欠かれると、第2の固定子47の強度が弱くなる心配がある。
一方、第2の実施の形態の可動子62を適用すると、第1の実施の形態の第2の固定子47に設けた突出部47aに相当する突出部を第2の固定子61に設ける必要がない。したがって、第2の固定子61の強度が弱くなる心配が無く、第2の固定子61の耐衝撃性を向上させることができる。
なお、第2の実施の形態では、2つの終段間隙形成面61b,61c及び2つの接触子48A,48Bを設ける構成としたが、本発明に係る終段間隙形成面及び接触子は、3つ以上にすることもできる。その場合、可動子の押圧部材を終段間隙形成面及び接触子と同数だけ設けることにより、第2のパイプ部材32に対する第3のパイプ部材33の固定を容易に解除することができる。
3.第3の実施形態
[構成例]
次に、本発明のカメラ支持具の第3の実施の形態について図11を参照して説明する。図11は、本発明のカメラ支持具の第3の実施の形態に係る第2の固定機構を示す断面図である。
カメラ支持具の第3の実施の形態は、第1の実施の形態の三脚1と同様の構成を有しており、異なるところは、第2の固定機構71のみである。そのため、ここでは、第2の固定機構71について説明し、第1の実施の形態の三脚1と共通する部分には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
第2の固定機構71は、第3のパイプ部材33の上側の筒穴に嵌合される第2の固定子72と、この第2の固定子72に設けられた後述する終段間隙形成面72b及び終段間隙用凹部72cにそれぞれ係合される第2の接触子73A,73Bから構成されている。
第2の固定子72は、第3のパイプ部材33の筒穴に見合った円柱体からなっている。この第2の固定子72には、突出部72aと、終段間隙形成面72bと、終段間隙用凹部72cと、固定子側押圧部72dと、気孔72eが設けられている。突出部72aは、第2の固定子72の下面の中央部から突出する円柱状に形成されている。
終段間隙形成面72bは、第2の固定子72の軸方向と直交する方向(横方向)の断面が円弧状である溝を第2の固定子72に設けることで形成されている。この終段間隙形成面72bと第2のパイプ部材32の内面との間には、第1の終段間隙部80Aが形成される。終段間隙形成面72bは、第2の固定子72の軸方向の中間部から突出部72aの先端まで延びており、第1の終段間隙部80Aが下側に至るにつれて狭くなるように傾斜されている。そして、第1の終段間隙部80Aの下側は、第3のパイプ部材33の内部に連通されている。
終段間隙用凹部72cは、第2の固定子72の軸方向の中間部に、その軸方向に延びる溝を設けることにより形成されている。この終段間隙用凹部72cは、第2の固定子72の軸方向と直交する方向(横方向)の断面が円弧状となっている。終段間隙用凹部72cを設けることにより、第2の固定子72と第2のパイプ部材32の内面との間には、第2の終段間隙部80Bが形成される。
本実施の形態において、第2の固定子72は、第3のパイプ部材33の内部に配置された状態で嵌合され、接着剤や固定ねじ、かしめ固定等の固定方法により固定される。そのため、第3のパイプ部材33には、2つの終段間隙部80A,80Bを形成するために終段間隙形成面72b及び終段間隙用凹部72cを露出させる窓部33f,33gが設けられている。
終段間隙形成面72b及び終段間隙用凹部72cは、第3のパイプ部材33の軸心(第2の固定子72の軸心)を挟んで対向している。そのため、終段間隙部80A,80Bは、第3のパイプ部材33の軸心を挟んで対向する。
固定子側押圧部72d及び気孔72eは、第1の実施の形態の固定子側押圧部47f及び気孔47g(図3及び図4を参照)と同様の構成であるため、説明を省略する。
第2の接触子73Aは、終段間隙形成面72bの曲率半径と略同一の半径に設定された球体からなり、終段間隙部80Aに移動可能に介在される。第2の接触子73Aは、重力によって下側に移動するとき、終段間隙形成面72bに沿って移動し、その終段間隙形成面72bによって第2のパイプ部材32の内面に押し付けられる。
また、第2の接触子73Bは、終段間隙用凹部72cの曲率半径と略同一の半径に設定された球体からなり、第2の終段間隙部80Bに移動可能に介在される。第2の接触子73Aが第2のパイプ部材32の内面に押し付けられると、第2の接触子73Bが、対向する第2のパイプ部材32の内面に押し付けられる。
第2の接触子73Aが第2のパイプ部材32の内面に押し付けられると、第2の接触子73Aと終段間隙形成面72bとの間に摩擦抵抗が生じると共に、第2の接触子73Aと第2のパイプ部材32の内面との間に摩擦抵抗が生じる。また、第2の接触子73Bが第2のパイプ部材32の内面に押し付けられると、第2の接触子73Bと終段間隙用凹部72cの内面との間に摩擦抵抗が生じると共に、第2の接触子73Bと第2のパイプ部材32の内面との間に摩擦抵抗が生じる。その結果、第3のパイプ部材33が第2のパイプ部材32に固定される。
上述した構成を有する第2の固定機構71によれば、第3のパイプ部材33は、第2の固定子72及び第2の接触子73A,73Bを介して第2のパイプ部材32に押し付けられる。そして、第2の接触子73A,73Bが第2の固定子72(第3のパイプ部材33)の軸心を挟んで対向するため、第2のパイプ部材32に対する第3のパイプ部材33の圧力が0となり、第2のパイプ部材32の固定を解除し易くすることができる。
第3の実施の形態では、終段間隙形成面72bと終段間隙用凹部72cをそれぞれ1つ設ける構成としたが、終段間隙形成面72bと終段間隙用凹部をそれぞれ2つ以上設ける構成としてもよい。
その場合、各終段間隙部80Aには、第2の接触子73Aを介在させ、各終段間隙部80Bには、第2の接触子73Bを介在させる。そして、終段間隙形成面72bと終段間隙用凹部72cとを、それぞれ第2の固定子72(第3のパイプ部材33)の軸心を挟んで対向させる。これにより、終段間隙形成面72bと終段間隙用凹部を2つ以上設けても、第2のパイプ部材32に対する第3のパイプ部材33の接触圧力を0にすることができ、第2のパイプ部材32の固定を解除し易くすることができる。
4.第4の実施形態
[構成例]
次に、本発明のカメラ支持具の第4の実施の形態について図12を参照して説明する。図12Aは、本発明のカメラ支持具の第4の実施の形態に係る第2の固定機構を示す断面図である。図12Bは、カメラ支持具の第4の実施の形態の支持脚を図12Aに示すN−N線で切断した断面図である。
カメラ支持具の第4の実施の形態は、第1の実施の形態の三脚1と同様の構成を有しており、異なるところは、第2の固定機構81のみである。そのため、ここでは、第2の固定機構81について説明し、第1の実施の形態の三脚1と共通する部分には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
第2の固定機構81は、第3のパイプ部材33の上側の筒穴に嵌合される第2の固定子82と、この第2の固定子82に設けられた後述する終段間隙形成面82b,82cにそれぞれ係合される第2の接触子83,84から構成されている。
第2の固定子82は、第3のパイプ部材33の筒穴に見合った円柱体からなっている。この第2の固定子82には、突出部82aと、終段間隙形成面82b,82cと、固定子側押圧部82dと、気孔82eが設けられている。突出部82aは、第2の固定子82の下面の中央部から突出する円柱状に形成されている。
終段間隙形成面82b,82cは、それぞれ第2の固定子82の軸方向の中間部に設けられており、第2の固定子82の軸心を挟んで対向している。この終段間隙形成面82b,82cは、第2の固定子82の軸方向(縦方向)の断面が略円弧状に形成されており、それぞれ第2のパイプ部材32の内面との間に第1の終段間隙部90A及び第2の終段間隙部90Bを形成する。この終段間隙形成面82b,82cによって形成される終段間隙部90A,90Bの下側は、第3のパイプ部材33の内部に連通されている。
本実施の形態において、第2の固定子82は、第3のパイプ部材33の内部に配置された状態で嵌合され、接着剤や固定ねじ、かしめ固定等の固定方法により固定される。そのため、第3のパイプ部材33には、2つの終段間隙部90A,90Bを形成するために終段間隙形成面82b,82cを露出させる窓部33f,33gが設けられている。
固定子側押圧部82d及び気孔82eは、第1の実施の形態の固定子側押圧部47f及び気孔47g(図3及び図4を参照)と同様の構成であるため、説明を省略する。
第2の接触子83は、略三角柱の部材からなり、第2の固定子82の終段間隙形成面82bに係合する第1係合面83aと、第2のパイプ部材32の内面に係合する第2係合面83bを有している。第1係合面83aは、第2の接触子83の3つの角部のうちの1つの角部を円弧状にすることにより形成されている。また、第2係合面83bは、第1係合面83aに対向する面を円弧状の面にすることにより形成されている。
第2の接触子83は、終段間隙部90Aに回動可能に介在される。つまり、第2の接触子83は、重力により第2の固定子82の終段間隙形成面82bに沿って回動する。そして、第2の接触子83が下側に変位するように回動すると、第2係合面83bが第2のパイプ部材32の内面に押し付けられる。
また、第2の接触子84は、第2の接触子83と同じ形状に形成されており、終段間隙形成面82cに係合する第1係合面84aと、第2のパイプ部材32の内面に係合する第2係合面84bを有している。第2の接触子84は、終段間隙部90Bに回動可能に介在される。つまり、第2の接触子84は、重力により第2の固定子82の終段間隙形成面82cに沿って回動する。そして、第2の接触子84が下側に変位するように回動すると、第2係合面84bが第2のパイプ部材32の内面に押し付けられる。なお、第2の接触子83,84は、第2の固定子82の突出部82aと係合するため、第2の接触子83,84が第3のパイプ部材33の内部に落ちてしまうことはない。
第2の接触子83,84が第2のパイプ部材32の内面に押し付けられると、第2の接触子83,84と第2の固定子82との間に摩擦抵抗が生じると共に、第2の接触子83,84と第2のパイプ部材32の内面との間に摩擦抵抗が生じる。その結果、第3のパイプ部材33が第2のパイプ部材32に固定される。
上述した構成を有する第2の固定機構81によれば、第3のパイプ部材33は、第2の固定子82及び第2の接触子83,84を介して第2のパイプ部材32に押し付けられる。そして、第2の接触子83,84が第2の固定子82(第3のパイプ部材33)の軸心を挟んで対向するため、第2のパイプ部材32に対する第3のパイプ部材33の圧力が0となり、第2のパイプ部材32の固定を解除し易くすることができる。
5.第5の実施形態
[構成例]
次に、本発明のカメラ支持具の第5の実施の形態について図13を参照して説明する。図13は、本発明のカメラ支持具の第5の実施の形態に係る第2の固定機構を示す断面図である。
カメラ支持具の第5の実施の形態は、第1の実施の形態の三脚1と同様の構成を有しており、異なるところは、第2の固定機構91のみである。そのため、ここでは、第2の固定機構121について説明し、第1の実施の形態の三脚1と共通する部分には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
第2の固定機構91は、第3のパイプ部材33の上側の筒穴に嵌合される第2の固定子92と、この第2の固定子92に設けられた後述する終段間隙形成面92b及び終段間隙用凹部92cにそれぞれ係合される第2の接触子93,94から構成されている。
第2の固定子92は、第3のパイプ部材33の筒穴に見合った円柱体からなっている。この第2の固定子92には、突出部92aと、終段間隙形成面92bと、終段間隙用凹部92cと、固定子側押圧部92dと、気孔92eが設けられている。突出部92aは、第2の固定子92の下面の中央部から突出する円柱状に形成されている。
終段間隙形成面92bは、第2の固定子92の軸方向の中間部に設けられている。この終段間隙形成面92bは、第2の固定子92の軸方向(縦方向)の断面が略円弧状に形成されており、第2のパイプ部材32の内面との間に第1の終段間隙部100Aを形成する。この終段間隙形成面92bによって形成される第1の終段間隙部100Aの下側は、第3のパイプ部材33の内部に連通されている。
終段間隙用凹部92cは、第2の固定子92の軸方向の中間部に、その軸方向に延びる溝を設けることにより形成されている。この終段間隙用凹部92cは、第3の実施の形態に係る終段間隙用凹部72cと同様に、第2の固定子92の軸方向と直交する方向(横方向)の断面が円弧状となっている。終段間隙用凹部92cを設けることにより、第2の固定子92と第2のパイプ部材32の内面との間には、第2の終段間隙部100Bが形成される。終段間隙形成面92b及び終段間隙用凹部92cは、第3のパイプ部材33の軸心(第2の固定子72の軸心)を挟んで対向している。そのため、終段間隙部100A,100Bは、第3のパイプ部材33の軸心を挟んで対向する。
本実施の形態において、第2の固定子92は、第3のパイプ部材33の内部に配置された状態で嵌合され、接着剤や固定ねじ、かしめ固定等の固定方法により固定される。そのため、第3のパイプ部材33には、2つの終段間隙部100A,100Bを形成するために終段間隙形成面92b及び終段間隙用凹部92cを露出させる窓部33f,33gが設けられている。
固定子側押圧部92d及び気孔92eは、第1の実施の形態の固定子側押圧部47f及び気孔47g(図3及び図4を参照)と同様の構成であるため、説明を省略する。
第2の接触子93は、第4の実施の形態に係る第2の接触子83(図12を参照)と同一のものであり、第2の固定子92の終段間隙形成面92bに係合する第1係合面93aと、第2のパイプ部材32の内面に係合する第2係合面93bを有している。第2の接触子93は、終段間隙部100A内に介在され、重力により第2の固定子92の終段間隙形成面92bに沿って回動する。そして、第2の接触子93が下側に変位するように回動すると、第2係合面93bが第2のパイプ部材32の内面に押し付けられる。なお、第2の接触子93は、第2の固定子92の突出部92aと係合するため、第2の接触子93が第3のパイプ部材33の内部に落ちてしまうことはない。
また、第2の接触子94は、第3の実施の形態に係る第2の接触子73B(図11を参照))と同一の球体からなり、第2の終段間隙部100Bに移動可能に介在される。この第2の接触子94は、第2の接触子93が第2のパイプ部材32の内面に押し付けられると、対向する第2のパイプ部材32の内面に押し付けられる。
第2の接触子93が下側に変位するように回動すると、第2係合面93bが第2のパイプ部材32の内面に押し付けられる。これにより、第2の接触子93と終段間隙形成面92bとの間に摩擦抵抗が生じると共に、第2の接触子93と第2のパイプ部材32の内面との間に摩擦抵抗が生じる。また、第2の接触子94が第2のパイプ部材32の内面に押し付けられると、第2の接触子94と終段間隙用凹部92cの内面との間に摩擦抵抗が生じると共に、第2の接触子94と第2のパイプ部材32の内面との間に摩擦抵抗が生じる。その結果、第3のパイプ部材33が第2のパイプ部材32に固定される。
上述した構成を有する第2の固定機構91によれば、第3のパイプ部材33が、第2の固定子92及び第2の接触子93,94を介して第2のパイプ部材32に押し付けられる。そして、第2の接触子93,94が第2の固定子92(第3のパイプ部材33)の軸心を挟んで対向するため、第2のパイプ部材32に対する第3のパイプ部材33の圧力が0となり、第2のパイプ部材32の固定を解除し易くすることができる。
6.第6の実施形態
[構成例]
次に、本発明のカメラ支持具の第6の実施の形態について図14を参照して説明する。図14は、本発明のカメラ支持具の第6の実施の形態を示す断面図である。
カメラ支持具の第6の実施の形態は、第1の実施の形態の三脚1と同様の構成を有しており、異なるところは、第1の固定子に付勢部材を取り付けたことである。そのため、ここでは、第1の固定子101及び付勢部材102について説明し、第1の実施の形態の三脚1と共通する部分には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
カメラ支持具の第6の実施の形態に係る第1の固定子101は、第1の実施の形態に係る第1の固定子44と同様な構成を有しており、第2のパイプ部材32の筒穴に見合った円柱体からなっている。この第1の固定子101には、下面の中央部から突出する円柱状の突出部101aと、第1のパイプ部材31の内面との間に中段間隙部51を形成する中段間隙形成面101bが設けられている。
突出部101aの中央には、付勢部材102を取り付けるための取付け凹部103が形成されている。付勢部材102は、圧縮コイルばねであり、第2の固定子47を下側に付勢する。そのため、支持脚3を下方に向けると、第3のパイプ部材33が第2のパイプ部材32から確実に引き出され、第2の固定子47の固定子側押圧部47fによる第1の接触子45への押圧が解除される。
これにより、第1の接触子45が下降し、確実に第1の接触子45を第1のパイプ部材31の内部に押し付けることが可能な状態(第2のパイプ部材32がロック可能な状態)にすることができる。したがって、支持脚3を下方に向けると同時に、第2のパイプ部材32を固定することができるようになり、支持脚3の伸長を任意の長さに調整することができる。
本実施の形態では、付勢部材として圧縮コイルばねを適用したが、本発明に係る付勢部材としては、板ばね等のその他のばねを適用してもよく、また、ゴムやスポンジ等のその他の弾性部材を適用してもよい。
また、付勢部材は、支持脚を3つ以上のパイプ部材から構成する場合は、終段のパイプ部材以外のパイプ部材に固定される固定子に設けるようにする。このように構成すると、支持脚を下方に向けたときに、第1のパイプ部材以外の各パイプ部材が同時に1つ外側のパイプ部材から引き出され、各固定子の固定子側押圧部による接触子への押圧が解除される。その結果、支持脚を下方に向けると同時に、第1のパイプ部材以外の各パイプ部材を固定することができるようになり、支持脚を任意の長さに調整することができる。
7.第7の実施形態
[構成例]
次に、本発明のカメラ支持具の第7の実施の形態について図15を参照して説明する。図15は、本発明のカメラ支持具の第7の実施の形態を示す説明図である。
カメラ支持具の第7の実施の形態は、第1の実施の形態の三脚1と同様の構成を有しており、異なるところは、第1のパイプ部材111のみである。そのため、ここでは、第1のパイプ部材111について説明し、第1の実施の形態の三脚1と共通する部分には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
カメラ支持具の第6の実施の形態に係る第1のパイプ部材111には、制限受部111aと、係合突起111bと、開口窓111cが設けられている。制限受部111aは、第1のパイプ部材111の一部をその他の筒体部分よりも小さな直径にすることにより形成されており、第2のパイプ部材32の引き出しを制限する。つまり、制限受部111aには、第2のパイプ部材32の係止突部32b(図3を参照)が係合される。
係合突起111bは、第1のパイプ部材111の外周面から突出しており、第1のパイプ部材111の軸方向と直交する方向に延びている。この係合突起111bは、残りの2つの第1のパイプ部材111のうちの一方の第1のパイプ部材111に固定されたキャップ35の係合溝36に係合される。
開口窓111cは、キャップ35の係合溝36の一部を露出させる。つまり、係合突起111bは、残りの2つの第1のパイプ部材111のうちの一方の第1のパイプ部材111に設けられた開口窓111cを貫通してキャップ35の係合溝36に係合される。
例えば、3つの第1のパイプ部材111を、第1のパイプ部材111Aと、第1のパイプ部材111Bと、第1のパイプ部材111C(図示せず)とする。その場合、第1のパイプ部材111Aの係合突起111bは、第1のパイプ部材111Bの開口窓111cを貫通し、第1のパイプ部材111Bに固定されたキャップ35の係合溝36に係合される。
一方、第1のパイプ部材111Bの係合突起111b(図示せず)は、第1のパイプ部材111Cの開口窓111cを貫通し、第1のパイプ部材111Cに固定されたキャップ35の係合溝36に係合される。そして、第1のパイプ部材111Cの係合突起111bは、第1のパイプ部材111Aの開口窓111c(図示せず)を貫通し、第1のパイプ部材111Aに固定されたキャップ35の係合溝36に係合される。
このように、3つの第1のパイプ部材111の各係合突起111bをキャップ35の係合溝36にそれぞれ係合させることにより、第2及び第3のパイプ部材32,33の引き出し方向への移動が係止される。そのため、第1の実施の形態の三脚1のように、第2及び第3のパイプ部材32,33の引き出し方向への移動を係止する係止部材24が不要となる。その結果、第1の実施の形態の三脚1よりも部品点数を削減することができると共に、第2及び第3のパイプ部材32,33の引き出し方向への移動を簡単な構造で止めることができる。
以上説明したように、本発明のカメラ支持具は、重力により支持脚の伸長方向に移動した接触子を、固定子の間隙形成面によってその間隙形成面に対向するパイプ部材の内面に押し付ける。これにより、間隙形成面と接触子との間と、固定子が取り付けられたパイプ部材の1つ外側のパイプ部材の内面と接触子との間と、固定子が取り付けられたパイプ部材の外面とその1つ外側のパイプ部材の内面との間に摩擦抵抗が生じる。その結果、固定子が取り付けられたパイプ部材をその1つ外側のパイプ部材に固定することができる。したがって、収縮した状態の支持脚を下方に向けてパイプ部材を自動的に引き出し、そのパイプ部材の引き出し動作を停止させるだけで、パイプ部材の固定を行うことができ、支持脚を伸長させる作業を極めて簡単に行うことができる。
また、本発明のカメラ支持具は、可動子側押圧部が設けられた可動子を、終段のパイプ部材の内部に移動可能に収納する構成とした。そのため、可動子が終段のパイプ部材内を上側に移動すると、その可動子の可動子側押圧部が、終段のパイプ部材に固定した固定子の間隙形成面によって終段のパイプ部材の1つ外側のパイプ部材の内面に押し付けられた接触子を上側に押圧する。これにより、可動子側押圧部に押圧された接触子が上側に移動し、終段のパイプ部材の固定が解除される。したがって、2本のパイプ部材によって支持脚を構成した場合には、終段のパイプ部材を上方に向けるだけで支持脚を簡単に収縮状態にすることができる。
さらに、本発明のカメラ支持具は、始段のパイプ部材の1つ内側のパイプ部材に固定された固定子を除く固定子に固定子側押圧部を設ける構成とした。例えば、終段のパイプ部材がその1つ外側のパイプ部材に収納されたとする。この場合、終段のパイプ部材に固定した固定子の固定子側押圧部は、終段のパイプ部材の1つ外側のパイプ部材に固定した固定子の間隙形成面によって終段のパイプ部材の2つ外側のパイプ部材の内面に押し付けられた接触子を上側に押圧する。これにより、固定子側押圧部に押圧された接触子が上側に移動し、終段のパイプ部材の1つ外側のパイプ部材の固定が解除される。したがって、3本以上のパイプ部材によって支持脚を構成した場合においても、終段のパイプ部材を上方に向けるだけで、始段のパイプ部材を除くパイプ部材の固定を順々に解除させることができ、支持脚を簡単に収縮状態にすることができる。
また、本発明のカメラ支持具によれば、終段のパイプ部材に固定した第2の固定子の2つの間隙形成面が、対向するパイプ部材の内面にそれぞれ接触子を押し付ける。そして、終段のパイプ部材を上方に向けると、カメラ支持具によって支持する撮像装置とカメラ支持具自体の重力が支持脚に付加されなくなるため、終段のパイプ部材がカメラ固定部材に接近する方向と反対方向に少し移動する。これにより、2つの接触子と第2の固定子の2つの間隙形成面及び対向するパイプ部材の内面との摩擦抵抗が小さくなり、可動子によって接触子を容易に移動させることができる。
しかも、第2の固定子の2つの間隙形成面を、終段のパイプ部材の軸心を挟んで対向するように配置したため、終段のパイプ部材とその1つ外側のパイプ部材との間の接触圧力を0にすることができ、終段のパイプ部材の固定を解除し易くすることができる。したがって、可動子49の軽量化や終段のパイプ部材の短縮化を図ることができる。
また、本発明のカメラ支持具によれば、第2の固定子の2つの凹部を設けることにより、第2の固定子と終段のパイプ部材の内面との間に2つの収容部を形成する構成とした。この2つの収容部には、パイプ部材の引き出し方向と反対の方向に押圧された2つの接触子がそれぞれ収容される。これにより、終段のパイプ部材が1つ外側のパイプ部材に収納されるときに、2つの接触子が1つ外側のパイプ部材の内面に接触することがなく、終段のパイプ部材を円滑に移動させることができる。
また、本発明のカメラ支持具によれば、始段のパイプ部材を除くパイプ部材の内部であってカメラ固定部材側(上側)の端部に各固定子をそれぞれ配置したため、始段のパイプ部材を除く各パイプ部材の全長に対する引き出し可能な長さを長くとることができる。
また、本発明のカメラ支持具は、カメラ固定部材に係止部材を取り付ける構成とした。係止部材は、支持脚を収縮させた状態において、終段のパイプ部材の移動を係止する。そのため、支持脚の終段のパイプ部材を下方に向けた状態で三脚を持ち運ぶことができる。
本発明は、前述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。前記実施の形態では、カメラ支持具として三脚を例に挙げて説明したが、本発明のカメラ支持具は、例えば、伸縮可能な1本の支持脚を備えた一脚でもよく、2本又は4本以上の支持脚を備えたその他のカメラ支持具としてもよい。
また、上述した実施の形態では、終段のパイプ部材に2つの間隙形成面を有する第2の固定子を固定する構成とした。しかしながら、本発明のカメラ支持具は、始段のパイプ部材を除くパイプ部材に第2の固定子を固定する構成としてもよい。
また、第2の固定子を固定するパイプ部材を任意に選択することもできる。その場合、上述した実施の形態と同様に、少なくとも終段のパイプ部材には、第2の固定子を固定する。終段のパイプ部材の固定は、終段のパイプ部材の内部に移動可能に収納された可動子によって解除される。そのため、終段のパイプ部材の固定を解除するための押圧力は、その他のパイプ部材の固定を解除するための押圧力よりも小さくなる。したがって、終段のパイプ部材の固定は、固定が解除されやすい第2の固定子を用いる。
1…三脚(カメラ支持具)、 2…カメラ固定部材、 3…支持脚、 24…係止部材、 31…第1のパイプ部材(始段のパイプ部材)、 32…第2のパイプ部材、 33…第3のパイプ部材(終段のパイプ部材)、 35…キャップ、 41…第1の固定機構、 42…第2の固定機構、 44…第1の固定子、 44a,47a…突出部、 44b…中段間隙形成面、 44c,47g…気孔、 45…第1の接触子、 47…第2の固定子、 47b…第1の終段間隙形成面、 47c…第2の終段間隙形成面、 47d…第1の凹部、 47e…第2の凹部、 47f…固定子側押圧部、 48A,48B…第2の接触子、 49…可動子、 49a…可動子側押圧部、 51…中段間隙部、 52A…第1の終段間隙部、 52B…第2の終段間隙部、 53A…第1の収容部、 53B…第2の収容部