JP2010071219A - 内燃機関の液化ガス燃料供給装置及び高圧ポンプ - Google Patents
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Abstract
【課題】潤滑油に混入している液化ガス燃料を効率的に分離して回収することができる内燃機関の液化ガス燃料供給装置及び高圧ポンプを提供する。
【解決手段】液化ガス燃料を高圧ポンプで加圧するとともに内燃機関の燃料噴射部が接続されたコモンレールに圧送し、燃料噴射部から内燃機関に液化ガス燃料を供給する内燃機関の液化ガス燃料供給装置において、高圧ポンプに収容された潤滑油が保持される潤滑油保持空間に気液分離部が接続されるとともに、気液分離部の気相部分を吸引する吸引手段が設けられ、気液分離部は、少なくとも一部が潤滑油保持空間内の潤滑油の液面よりも低い位置に設けられた連通路を介して、潤滑油保持空間と連通する。
【選択図】図2
【解決手段】液化ガス燃料を高圧ポンプで加圧するとともに内燃機関の燃料噴射部が接続されたコモンレールに圧送し、燃料噴射部から内燃機関に液化ガス燃料を供給する内燃機関の液化ガス燃料供給装置において、高圧ポンプに収容された潤滑油が保持される潤滑油保持空間に気液分離部が接続されるとともに、気液分離部の気相部分を吸引する吸引手段が設けられ、気液分離部は、少なくとも一部が潤滑油保持空間内の潤滑油の液面よりも低い位置に設けられた連通路を介して、潤滑油保持空間と連通する。
【選択図】図2
Description
本発明は、内燃機関の液化ガス燃料供給装置及び高圧ポンプに関する。特に、カム室内の潤滑油に混入した液化ガス燃料を分離して回収する気液分離部を備えた内燃機関の液化ガス燃料供給装置及び高圧ポンプに関する。
近年、ディーゼルエンジンによる大気汚染対策として、軽油の代わりに、排気がクリーンなDME(ジメチルエーテル)を代替燃料として用いることが注目されている。このDME燃料は、従来の燃料である軽油と異なり液化ガス燃料である。すなわち、DME燃料は軽油と比較して沸点が低く、大気圧下において、軽油が常温で液体であるのに対して、DMEは常温で気体となる性質を有している。このDME燃料を従来のディーゼルエンジンに用いる場合、高圧ポンプへの供給圧力が低いとDME燃料が気化してしまう。そのため、液体のDME燃料を高圧ポンプへ供給するためには、軽油を用いる場合よりも、供給圧力を高くする必要がある。
従来のディーゼルエンジンにDME燃料を用いる場合、DME燃料の粘度が軽油の粘度と比べて低いため、高圧ポンプへの高い供給圧力によって、プランジャバレルとプランジャとの隙間を介して加圧室からカム室へ漏れ出す燃料リーク量が、軽油を用いる場合と比べて大幅に増加するという問題がある。このカム室へ漏れ出したリーク燃料がカム室内の潤滑油に混入してしまうと、DME燃料が潤滑油中に溶け込むことによって潤滑油の粘性が低下し、高圧ポンプの動作に不具合が生じるおそれがある。また、DME燃料を用いた燃料噴射システムの場合、システム全体が密閉構造とされているため、カム室内にDME燃料がリークすると、DMEの気化によって高圧ポンプの内部圧力が増加してシール部の耐圧を越えてしまい、燃料や潤滑油が漏れ出すおそれがある。
そこで、高圧ポンプのカム室内に漏れ出たDME燃料を回収するように構成されたDME燃料供給装置が提案されている。具体的には、図8に示すように、燃料タンク304からフィードパイプ305を経由して供給されたDME燃料を、所定のタイミングで所定の量だけディーゼルエンジンの燃料噴射ノズル309に連通しているインジェクションパイプ303へ送出するインジェクションポンプ301と、当該インジェクションポンプ301のカム室312内に混入したDME燃料とカム室312内の潤滑油とを分離可能なオイルセパレータ313と、当該オイルセパレータ313にて分離したDME燃料を燃料タンク304へ回収するための連通路308と、当該連通路308に配設され、オイルセパレータ313を介してカム室312内の気相部を吸引する吸引手段316と、当該連通路308の吸引手段316とオイルセパレータ313との間に配設され、カム室312内の圧力を一定の圧力以上に維持するカム室内圧力制御手段314と、当該カム室内圧力制御手段314をバイパスして、カム室312と吸引手段316とを直接連通させるバイパス通路361と、当該バイパス通路361を開閉するバイパス通路開閉手段362とを備えたディーゼルエンジンのDME燃料供給装置300が開示されている(特許文献1参照)。
特開2004−68674号公報 (特許請求の範囲、図1)
特許文献1に記載されたDME燃料供給装置は、カム室内の気相部分を直接吸引することにより、気化したDME燃料を回収しようとするものであり、リーク燃料の取出口がカム室上方の気相部分に設けられている。しかしながら、カム室内では、ポンプのプランジャを駆動するカムが固定されたカムシャフトが回転しており、潤滑油が攪拌された状態となっている。そのため、カム室内の気相部分には、気化したDME燃料のみならずミスト状の潤滑油が浮遊しており、カム室内の気相部分を直接吸引した場合にはDME燃料のみならずミスト状の潤滑油まで吸引されてしまい、DME燃料のみを吸引して取り出すことが困難であった。
そこで、本発明の発明者は鋭意努力し、気相部分の吸引手段が設けられた気液分離部を、少なくとも一部が潤滑油保持空間内の潤滑油の液面よりも低い位置に設けられた連通路を介してカム室等の潤滑油保持空間と連通し、静的な状態の気液分離部内の気相部分を吸引して液化ガス燃料を分離回収することによりこのような問題を解決できることを見出し、本発明を完成させたものである。すなわち、本発明は、カム室内におけるカム等の回転による潤滑油の攪拌状態の影響を受けない空間を形成し、当該空間内で、潤滑油に混入している液化ガス燃料を効率的に分離して回収することができる内燃機関の液化ガス燃料供給装置及び高圧ポンプを提供することを目的とする。
本発明によれば、液化ガス燃料を高圧ポンプで加圧するとともに内燃機関の燃料噴射部が接続されたコモンレールに圧送し、燃料噴射部から内燃機関に液化ガス燃料を供給する内燃機関の液化ガス燃料供給装置において、高圧ポンプに収容された潤滑油が保持される潤滑油保持空間に気液分離部が接続されるとともに、気液分離部の気相部分を吸引する吸引手段が設けられ、気液分離部は、少なくとも一部が潤滑油保持空間内の潤滑油の液面よりも低い位置に設けられた連通路を介して、潤滑油保持空間と連通することを特徴とする内燃機関の液化ガス燃料供給装置が提供され、上述した問題を解決することができる。
また、本発明の内燃機関の液化ガス燃料供給装置を構成するにあたり、連通路が潤滑油保持空間と気液分離部との間の壁部に設けられた孔からなることが好ましい。
また、本発明の内燃機関の液化ガス燃料供給装置を構成するにあたり、連通路が、互いに高さを異ならせて設けられた複数の流通孔からなることが好ましい。
また、本発明の内燃機関の液化ガス燃料供給装置を構成するにあたり、複数の流通孔のうちの相対的に低い位置に設けられた流通孔の通路面積を、相対的に高い位置に設けられた流通孔の通路面積よりも大きくすることが好ましい。
また、本発明の内燃機関の液化ガス燃料供給装置を構成するにあたり、複数の流通孔のうちの相対的に高い位置に設けられた流通孔を、潤滑油保持空間内の潤滑油の液面よりも高い位置に設けることが好ましい。
また、本発明の内燃機関の液化ガス燃料供給装置を構成するにあたり、相対的に高い位置に設けられた流通孔の通路面積を、相対的に低い位置に設けられた流通孔の通路面積よりも大きくすることが好ましい。
また、本発明の内燃機関の液化ガス燃料供給装置を構成するにあたり、連通路が、少なくとも一部において潤滑油保持空間内の気相部分と気液分離部内の気相部分とを連通可能に構成された長孔であることが好ましい。
また、本発明の内燃機関の液化ガス燃料供給装置を構成するにあたり、潤滑油保持空間の一部に開口部を設け、開口部を連通路としての孔が設けられた隔壁板によって閉鎖するとともに、隔壁板を挟んで気液分離部が接続されることが好ましい。
また、本発明の別の態様は、カムの回転によって駆動され、液化ガス燃料を昇圧して圧送する高圧ポンプにおいて、内部に収容された潤滑油が流通可能な潤滑油保持空間に気液分離部が接続されるとともに、気液分離部の気相部分を吸引する吸引手段が設けられ、気液分離部は、少なくとも一部が潤滑油保持空間内の潤滑油の液面よりも低い位置に設けられた連通路を介して、潤滑油保持空間と連通することを特徴とする高圧ポンプである。
本発明の内燃機関の液化ガス燃料供給装置によれば、少なくとも一部が潤滑油保持空間内の潤滑油の液面よりも低い位置に設けられた連通路を介して潤滑油保持空間と気液分離部とが連通しているため、液化ガス燃料が混入した潤滑油空間内の潤滑油又は気相部分が気液分離部内に容易に導かれる。また、気液分離部内は、カム室等の潤滑油保持空間内における、カム等の回転による潤滑油の攪拌状態の影響を受けにくく、ミスト状の潤滑油が存在しにくい状態になっているため、気液分離部内の気相部分を吸引することにより、気化した液化ガス燃料が効率的に回収される。したがって、潤滑油から液化ガス燃料を効率的に分離して回収することができる。
なお、本明細書において「潤滑油保持空間」とは、代表的にはカム室を意味するがこれに限られるものではなく、カム室と連通しておりカム室内の潤滑油が自由に流通可能な空間をも含む概念である。
また、本発明の内燃機関の液化ガス燃料供給装置において、連通路が所定の孔からなることにより、潤滑油保持空間内の潤滑油や気相部分を気液分離部に導くための特別な配管や送油手段を備える必要がなく、部品点数が軽減されるとともに、気液分離部が高圧ポンプに一体化され、省スペース化が図られる。
また、本発明の内燃機関の液化ガス燃料供給装置において、潤滑油保持空間と気液分離部とが互いに高さの異なる複数の流通孔によって接続されていることにより、一部の流通孔が潤滑油保持空間側から気液分離部側への通路となり、他方の流通孔が気液分離部側から潤滑油保持空間側への通路となって、潤滑油保持空間内の潤滑油又は気相部分が気液分離部内に容易に導かれる。
また、本発明の内燃機関の液化ガス燃料供給装置を構成するにあたり、相対的に低い位置の流通孔の通路面積が相対的に高い位置の流通孔の通路面積よりも大きいことにより、液化ガス燃料が分離された気液分離部内の潤滑油が、効率的に潤滑油保持空間内に戻される。
また、本発明の内燃機関の液化ガス燃料供給装置を構成するにあたり、相対的に高い位置の流通孔が、潤滑油保持空間内の潤滑油の液面よりも高い位置に設けられることにより、潤滑油保持空間内の気相部分と気液分離部内の気相部分とが連通し、吸引手段によって吸引されたときに気相部分が容易に気液分離部内に導かれる。そして、静的な状態の気液分離部内では潤滑油が下方に落下することから、吸引手段によって液化ガス燃料が効率的に回収される。
また、本発明の内燃機関の液化ガス燃料供給装置を構成するにあたり、相対的に高い位置の流通孔の通路面積が相対的に低い位置の流通孔の通路面積よりも大きいことにより、気液分離部内に導かれる気相部分の流速が過度に速められることがなく、気液分離部内が静的に保たれる。
また、本発明の内燃機関の液化ガス燃料供給装置を構成するにあたり、連通路が、所定の長孔からなることにより、気液分離部内が静的な状態に保たれたまま、潤滑油保持空間内の潤滑油及び気相部分が気液分離部内に容易に導かれ、潤滑油から液化ガス燃料を効率的に分離して回収することができる。
また、本発明の内燃機関の液化ガス燃料供給装置を構成するにあたり、潤滑油保持空間の開口部に配置された所定の隔壁板を介して気液分離部が接続されることにより、連通孔が容易に設けられるとともに、気液分離部が一体化され、コンパクト化された液化ガス燃料供給装置が提供される。
また、本発明の高圧ポンプによれば、所定の連通路によって潤滑油保持空間と連通する気液分離部を備えているため、液化ガス燃料が混入した潤滑油保持空間内の潤滑油又は気相部分が気液分離部内に容易に導かれる。また、気液分離部内は、カム室等の潤滑油保持空間内における、カム等の回転による潤滑油の攪拌状態の影響を受けにくく、ミスト状の潤滑油が存在しにくい状態になっているため、気液分離部内の気相部分を吸引することにより、気化した液化ガス燃料が効率的に回収される。したがって、潤滑油から液化ガス燃料を効率的に分離して回収することができる。
以下、図面を参照して、本発明の内燃機関の液化ガス燃料供給装置及び高圧ポンプに関する実施の形態について具体的に説明する。ただし、かかる実施の形態は本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の範囲内で任意に変更することが可能である。なお、それぞれの図中、同じ符号を付してあるものは同一の部材を示しており、適宜説明が省略されている。
1.液化ガス燃料供給装置
図1は、本実施形態のディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置100の概略構成を示している。
図1に示すディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置100は、燃料タンク1と、インタンクフィードポンプ2と、高圧ポンプ5と、コモンレール10と、インジェクタ13と、パージタンク9等を主要な構成要素として備えている。それぞれの構成要素は、燃料通路やパージ用通路で接続されている。
図1は、本実施形態のディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置100の概略構成を示している。
図1に示すディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置100は、燃料タンク1と、インタンクフィードポンプ2と、高圧ポンプ5と、コモンレール10と、インジェクタ13と、パージタンク9等を主要な構成要素として備えている。それぞれの構成要素は、燃料通路やパージ用通路で接続されている。
燃料タンク1には、液化ガス燃料が貯蔵されている。液化ガス燃料は、代表的なものとしてはジメチルエーテル(DME)が挙げられるが、内燃機関の燃料として用いることができる液化ガス燃料であれば、DME以外であっても構わない。また、燃料タンク1は液化ガス燃料を貯蔵しておくことができるものであれば特に制限されるものではない。
また、燃料タンク1内にはインタンクフィードポンプ2が配設され、このインタンクフィードポンプ2によって、燃料タンク1内の燃料が燃料供給通路18を介して高圧ポンプ5に対して供給される。インタンクフィードポンプ2は、例えば電動ポンプが用いられ、電流を供給することにより所定の流量の液化ガス燃料が圧送される。また、インタンクフィードポンプ2の燃料吸い込み口にはプレフィルタ3を介在させてあり、燃料タンク1内の液化ガス燃料に異物が混入している場合に、それらの異物が吸い込まれないように捕集される。
なお、高圧ポンプ5に燃料を供給するフィードポンプはインタンク式のフィードポンプでなくてもよく、燃料タンク1とは別に外付けされたフィードポンプであっても構わない。
なお、高圧ポンプ5に燃料を供給するフィードポンプはインタンク式のフィードポンプでなくてもよく、燃料タンク1とは別に外付けされたフィードポンプであっても構わない。
また、燃料タンク1と高圧ポンプ5とを接続する燃料供給通路18には、フィルタ4と第1の開閉手段19とが備えられている。燃料供給通路18に備えられたフィルタ4によって液化ガス燃料中の浮遊物が捕集され、高圧ポンプ5に流入しないようになっている。また、第1の開閉手段19は例えば電磁制御されるON−OFF弁であり、燃料供給通路18の開放、遮断が行われる。
また、高圧ポンプ5には流量制御弁8が備えられ、燃料供給通路18を介して供給されてくる燃料は、要求されるコモンレール圧に応じて流量が制御されて、加圧室に送られる。この流量制御弁8は、例えば電磁比例式の流量制御弁が用いられる。また、流量制御弁8よりも上流側には燃料タンク1に通じる燃料戻し通路30a、30bが接続されている。この燃料戻し通路30bには、流量制御弁8と並列的に配置されたオーバーフローバルブ14が備えられており、流量制御弁8に送られる燃料流量が過大なときに開弁され、逆止弁35を経由して余剰の燃料が燃料タンク1に戻される。
また、燃料戻し通路30aの途中には燃料クーラー16が備えられている。この燃料クーラー16は、燃料タンク1内に戻される液化ガス燃料を冷却し、液化ガス燃料の温度を所定温度以下に維持する。したがって、燃料特性が温度に大きく影響される液化ガス燃料が、内燃機関に対して安定的に供給される。
また、高圧ポンプ5は、加圧室に導入された液化ガス燃料をプランジャ(図示せず)によって加圧し、燃料吐出弁(図示せず)及び高圧燃料通路37a、37bを介してコモンレール10に圧送する。この高圧ポンプ5における、プランジャを往復動させるためのカムが収容されたカム室(図示せず)は、ディーゼルエンジンの潤滑系と分離された専用潤滑系となっている。この高圧ポンプ5の構成については後述する。
また、コモンレール10は、高圧ポンプ5から圧送されてくる高圧の液化ガス燃料を蓄積し、高圧燃料通路39を介して複数のインジェクタ13に対して均等な圧力で液化ガス燃料を供給する。このコモンレール10にはレール圧センサ11及び圧力制御弁12が取り付けられている。圧力制御弁12は、例えば電磁比例制御弁であり、レール圧センサ11で検出される値が図示しない制御装置(ECU:Electronic Control Unit)に送られ、この値をもとに圧力制御弁12の開度が制御される。そして、高圧ポンプ5から圧送されてきた燃料の一部が燃料戻し通路30cに排出されることにより、コモンレール10内の圧力が所望の値に調節される。
また、コモンレール10に接続された燃料噴射部としてのインジェクタ13では、コモンレール10から供給される高圧燃料の噴射制御が行われ、内燃機関の気筒内に燃料が供給される。インジェクタ13の形態は特に制限されるものでは無いが、例えば、公知の電磁制御式の燃料噴射弁が用いられる。このインジェクタ13の背圧制御に用いられ、排出された燃料は、逆止弁31を介して燃料戻し通路30eに流され、燃料タンク1に戻される。
このインジェクタ13をはじめ、液化ガス燃料供給装置100に備えられている制御部分は制御装置(ECU)によって制御される。
このインジェクタ13をはじめ、液化ガス燃料供給装置100に備えられている制御部分は制御装置(ECU)によって制御される。
また、本実施形態のディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置100には、液パージ手段が備えられている。この液パージ手段は、気相導入通路20と、第1のパージ用通路24と、燃料戻し通路30bから分岐した第2のパージ用通路(液パージ用通路)22と、燃料循環通路28と、アスピレータ17とを備えている。
このうち、気相導入通路20は燃料タンク1の気相部分とコモンレール10との間に配設され、途中に第2の開閉手段21が配置されている。また、この気相導入通路20におけるコモンレール10と第2の開閉手段21との間には逆止弁(図示せず。)が配置され、コモンレール10内に高圧燃料が蓄圧された場合等においても、第2の開閉手段21側への液化ガス燃料の流れが止められる。そのため、第2の開閉手段21を小型、かつ、低耐圧型のものとすることができる。
このうち、気相導入通路20は燃料タンク1の気相部分とコモンレール10との間に配設され、途中に第2の開閉手段21が配置されている。また、この気相導入通路20におけるコモンレール10と第2の開閉手段21との間には逆止弁(図示せず。)が配置され、コモンレール10内に高圧燃料が蓄圧された場合等においても、第2の開閉手段21側への液化ガス燃料の流れが止められる。そのため、第2の開閉手段21を小型、かつ、低耐圧型のものとすることができる。
また、第1のパージ用通路24は第1の開閉手段19よりも高圧ポンプ5側の燃料供給通路18とコモンレール10との間に配設され、途中に第3の開閉手段25が配置されている。また、燃料循環通路28は燃料供給通路18から分岐し再び燃料タンク1に戻される循環通路として構成され、途中に第5の開閉手段29とアスピレータ17とが配置されている。さらに、第2のパージ用通路22は高圧ポンプ5とアスピレータ17との間に配設され、途中に第4の開閉手段23が配置されている。
アスピレータ17は、コモンレール10やインジェクタ13、高圧ポンプ5の内部の液化ガス燃料を燃料タンク1に回収するための吸引手段として用いられる。また、それぞれの通路に配置された開閉手段は、例えば電磁制御式のON−OFF弁が用いられる。
また、本実施形態のディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置100には、気化パージ手段が備えられている。この気化パージ手段は、上述の第1のパージ用通路24と、第2のパージ用通路22から分岐した第3のパージ用通路(気化パージ用通路)26と、パージタンク(低圧タンク)9とを備えている。
第3のパージ用通路26は高圧ポンプ5とパージタンク9との間に配設され、途中に第6の開閉手段27が備えられている。この第6の開閉手段27についても、例えば電磁制御式のON−OFF弁が用いられる。
第3のパージ用通路26は高圧ポンプ5とパージタンク9との間に配設され、途中に第6の開閉手段27が備えられている。この第6の開閉手段27についても、例えば電磁制御式のON−OFF弁が用いられる。
また、パージタンク9は、第3のパージ用通路26に連通するコモンレール10及び高圧ポンプ5、インジェクタ13内に残留する液化ガス燃料を気化させて回収する。このパージタンク9は公知のものを使用することができるが、本実施形態の液化ガス燃料供給装置では、大部分の燃料が液パージ手段によって回収された後に気化パージが行われるため、比較的容量の小さいパージタンクであっても利用することができる。
気化パージされて回収された燃料は、次回のエンジンの運転状態において、逆止弁33を介して再液化コンプレッサ6に送られ、再液化された後、燃料戻し通路30d、30aを経由して燃料タンク1に戻される。
気化パージされて回収された燃料は、次回のエンジンの運転状態において、逆止弁33を介して再液化コンプレッサ6に送られ、再液化された後、燃料戻し通路30d、30aを経由して燃料タンク1に戻される。
2.高圧ポンプ
(1)基本的構成
図2及び図3は、高圧ポンプ5の構成の一例を示しており、図2は高圧ポンプ5の一部を断面で表した側面図であり、図3は図2の高圧ポンプ5のXX断面を矢印方向に見た断面図である。
図3に示すように、この高圧ポンプ5は、ポンプハウジング111と、ポンプハウジング111の円柱空間111b内に装着されたプランジャバレル112と、プランジャバレル112の内部空間112aに摺動保持されたプランジャ113と、両端をプランジャバレル112及びスプリングシート119に係止され、プランジャ113を下方側に付勢するためのスプリング115と、プランジャ113及びカム121の間に介在し、カム121の回転に伴いプランジャ113を押し上げるためのタペット構造体118とを備えている。また、プランジャバレル112の内部空間112aの上方開口部にはインレットアウトレットバルブ120が配置されている。
(1)基本的構成
図2及び図3は、高圧ポンプ5の構成の一例を示しており、図2は高圧ポンプ5の一部を断面で表した側面図であり、図3は図2の高圧ポンプ5のXX断面を矢印方向に見た断面図である。
図3に示すように、この高圧ポンプ5は、ポンプハウジング111と、ポンプハウジング111の円柱空間111b内に装着されたプランジャバレル112と、プランジャバレル112の内部空間112aに摺動保持されたプランジャ113と、両端をプランジャバレル112及びスプリングシート119に係止され、プランジャ113を下方側に付勢するためのスプリング115と、プランジャ113及びカム121の間に介在し、カム121の回転に伴いプランジャ113を押し上げるためのタペット構造体118とを備えている。また、プランジャバレル112の内部空間112aの上方開口部にはインレットアウトレットバルブ120が配置されている。
かかる高圧ポンプ5において、プランジャバレル112の内部空間112aの一部は、プランジャバレル112の内周面とプランジャ113とインレットアウトレットバルブ120とによって閉塞され、燃料加圧室114として構成されている。そして、インレットバルブ120aを介して燃料加圧室114に流入した液化ガス燃料は、当該燃料加圧室114内で、カム121の回転運動に伴って押し上げられるプランジャ113によって加圧され、アウトレットバルブ120bが押し開かれることにより、高圧化された液化ガス燃料が下流側のコモンレール(図示せず)に圧送される。
この高圧ポンプ5では、プランジャ113の往復動による焼付きを防止するために、プランジャバレル112の内部空間112aの内周面と、プランジャ113の外周面との間には、燃料加圧室114に流入した液化ガス燃料の一部がリークし、潤滑油として機能する。ここまで説明した高圧ポンプ5の基本的な構成は、従来の軽油を燃料とするディーゼルエンジンの燃料供給装置に用いられる高圧ポンプと基本的に同様の構成となっている。
本実施形態の高圧ポンプ5では、ポンプハウジング111の円柱空間111bに面するプランジャバレル112の外周面に二つのOリング溝141a、141bが設けられ、それぞれOリング143a、143bが配置されている。また、当該二つのOリング溝141a、141bの間にはリーク回収室145が設けられている。このリーク回収室145は、上方のインレットバルブ120aを介して燃料加圧室114に流入する液化ガス燃料の通路147及び下方のスプリング室161と隔離される。
また、プランジャバレル112には、リーク回収室145とプランジャ113の外周面に面する位置との間を連通するリーク回収通路149が設けられている。
また、プランジャバレル112には、リーク回収室145とプランジャ113の外周面に面する位置との間を連通するリーク回収通路149が設けられている。
(2)潤滑油保持空間(カム室及びカムチャンバ)
また、図2及び図3に示すように、高圧ポンプ5のポンプハウジング111に形成されたカム室111a内には、内燃機関のドライブシャフトに連結されたカムシャフト123が配置されており、このカムシャフト123にはプランジャ113を押し上げるためのカム121が固定されている。また、カム室111aは、カムシャフト123とドライブシャフトとが連結される側(図2の右側)とは反対側(図2の左側)の端部が開口し、当該開口部111aaには、再液化コンプレッサ(図示せず。)が取付けられたカムチャンバ40がボルト43によって固定されている。これらのカム室111a及びカムチャンバ40は、連通孔により互いに連通され、潤滑油が流通可能になっており、潤滑油保持空間として構成される。すなわち、高圧ポンプ5の駆動機構の潤滑性を確保するための潤滑油によって、再液化コンプレッサの駆動機構の潤滑性も確保される。
また、図2及び図3に示すように、高圧ポンプ5のポンプハウジング111に形成されたカム室111a内には、内燃機関のドライブシャフトに連結されたカムシャフト123が配置されており、このカムシャフト123にはプランジャ113を押し上げるためのカム121が固定されている。また、カム室111aは、カムシャフト123とドライブシャフトとが連結される側(図2の右側)とは反対側(図2の左側)の端部が開口し、当該開口部111aaには、再液化コンプレッサ(図示せず。)が取付けられたカムチャンバ40がボルト43によって固定されている。これらのカム室111a及びカムチャンバ40は、連通孔により互いに連通され、潤滑油が流通可能になっており、潤滑油保持空間として構成される。すなわち、高圧ポンプ5の駆動機構の潤滑性を確保するための潤滑油によって、再液化コンプレッサの駆動機構の潤滑性も確保される。
また、カムチャンバ40内には、再液化コンプレッサを駆動するためのカム45が固定された駆動シャフト(図示せず。)が配置され、当該駆動シャフトは、高圧ポンプ5のカムシャフト123の端部に接続されている。そのため、本実施形態の液化ガス燃料供給装置100では、再液化コンプレッサは、高圧ポンプ5の駆動力を利用して駆動される。
図4(a)〜(b)は、本実施形態の高圧ポンプに取付けられたカムチャンバ40を示しており、図4(a)がカムチャンバ40を駆動シャフトの軸方向に交差する方向から見た側面図であり、図4(b)が図4(a)のカムチャンバ40を矢印Aの方向から見た図である。
このカムチャンバ40は両端(図4(a)の左右両側)が開口しており、一端側にフランジ部41が設けられポンプハウジングに当接されて固定されるとともに、他端側の開口部47が、後述する隔壁板60によって閉塞されている。また、カムチャンバ40のフランジ部41が設けられた端部側にはポンプハウジングの開口に挿入される挿入部51が設けられ、当該挿入部51には溝部53が設けられ、潤滑油の漏れを防ぐシールリング55が配置されている。
このカムチャンバ40は両端(図4(a)の左右両側)が開口しており、一端側にフランジ部41が設けられポンプハウジングに当接されて固定されるとともに、他端側の開口部47が、後述する隔壁板60によって閉塞されている。また、カムチャンバ40のフランジ部41が設けられた端部側にはポンプハウジングの開口に挿入される挿入部51が設けられ、当該挿入部51には溝部53が設けられ、潤滑油の漏れを防ぐシールリング55が配置されている。
また、図4(b)に示すように、隔壁板60には、潤滑油保持空間としてのカムチャンバ40と気液分離部としての気液分離器70とを連通する連通路として、上方の気相流通孔61及び下方の潤滑油流通孔63が設けられている。このうち、気相流通孔61はカムチャンバ40内の潤滑油の液面よりも上方に設けられ、潤滑油流通孔63はカムチャンバ40内の潤滑油の液面よりも下方に設けられている。また、気相流通孔61の通路面積は、潤滑油流通孔63の通路面積よりも大きくされている。気相流通孔61及び潤滑油流通孔63の数は特に制限されるものではなく、いずれか一方あるいは両方を複数設けるようにしても構わない。
また、隔壁板60のうち、後述する気液分離器が当接される外面60Aにも溝部65が設けられ、潤滑油の漏れを防ぐシールリング67が配置されている。
また、隔壁板60のうち、後述する気液分離器が当接される外面60Aにも溝部65が設けられ、潤滑油の漏れを防ぐシールリング67が配置されている。
(3)気液分離部
ここで、図2及び図3に戻り、上述したように、高圧ポンプ5の燃料加圧室114からプランジャ113の外周面を介してリークする液化ガス燃料はリーク回収通路149及びリーク回収室145を介して回収されるようになってはいるものの、一部の液化ガス燃料がカム室111a内に漏れ出してしまう場合がある。また、カム室111a内に漏れ出した液化ガス燃料が混入した潤滑油は、さらに、カムチャンバ40にも流入する。あるいは、カム室111a内で気化した液化ガス燃料がカムチャンバ40内に移動することもあり得る。
ここで、図2及び図3に戻り、上述したように、高圧ポンプ5の燃料加圧室114からプランジャ113の外周面を介してリークする液化ガス燃料はリーク回収通路149及びリーク回収室145を介して回収されるようになってはいるものの、一部の液化ガス燃料がカム室111a内に漏れ出してしまう場合がある。また、カム室111a内に漏れ出した液化ガス燃料が混入した潤滑油は、さらに、カムチャンバ40にも流入する。あるいは、カム室111a内で気化した液化ガス燃料がカムチャンバ40内に移動することもあり得る。
ここで、カム室111a及びカムチャンバ40内ではそれぞれカム121、45が固定されたカムシャフト123及び駆動シャフトが回転駆動させられており、潤滑油が攪拌された状態となっている。そのため、カム室111aやカムチャンバ40の気相部分には液化ガス燃料だけでなくミスト状の潤滑油も浮遊しており、カム室111aやカムチャンバ40内の気相部分を吸引しても、気化した液化ガス燃料のみを回収することは容易ではない。
そこで、本実施形態の高圧ポンプ5には、気液分離部としての気液分離器70が、カムチャンバ40に対して、隔壁板60を挟んだ状態でボルト71によって固定されている。
そこで、本実施形態の高圧ポンプ5には、気液分離部としての気液分離器70が、カムチャンバ40に対して、隔壁板60を挟んだ状態でボルト71によって固定されている。
図5(a)〜(b)は、本実施形態の高圧ポンプ5に取付けられた気液分離器70を示しており、図5(a)が気液分離器70の側面図であり、図5(b)が図5(a)の気液分離器70を矢印Bの方向から見た側面図である。
この気液分離器70は、カムチャンバ40に取り付けられた隔壁板60に当接する部分に開口(図示せず。)が設けられた分離器本体73と、この開口を閉塞するように固定された取付フランジ75と、分離器本体73の上部に設けられ、気化した液化ガス燃料を分離器本体73内から取出す気相導出部77とを備えている。気相導出部77には、気液分離器70内の気相部分を吸引する吸引手段としての再液化コンプレッサ(図示せず。)に通じる気相導出通路(図示せず。)が接続されている。分離器本体73の上部は、高圧ポンプ5及びカムチャンバ40内の潤滑油の液面よりも上方に位置しているため、気相導出部77は分離器本体73内の潤滑油の液面よりも上方に位置し、潤滑油が導出されないようになっている。
この気液分離器70は、カムチャンバ40に取り付けられた隔壁板60に当接する部分に開口(図示せず。)が設けられた分離器本体73と、この開口を閉塞するように固定された取付フランジ75と、分離器本体73の上部に設けられ、気化した液化ガス燃料を分離器本体73内から取出す気相導出部77とを備えている。気相導出部77には、気液分離器70内の気相部分を吸引する吸引手段としての再液化コンプレッサ(図示せず。)に通じる気相導出通路(図示せず。)が接続されている。分離器本体73の上部は、高圧ポンプ5及びカムチャンバ40内の潤滑油の液面よりも上方に位置しているため、気相導出部77は分離器本体73内の潤滑油の液面よりも上方に位置し、潤滑油が導出されないようになっている。
また、図5(a)〜(b)に示す気液分離器70において、分離器本体73は、カムチャンバ40に当接する部分である下部73Cと、気相導出部77が設けられた上部73Aとの間の中間部73Bが屈曲させられている。分離器本体73がこのように屈曲していることによって、気相導出部77までの距離が確保され、ミスト状の潤滑油が存在する場合であっても、当該ミスト状の潤滑油が排出されることが防止される。ただし、分離器本体73の形状は特に制限されるものではない。
また、気液分離器70に備えられた取付フランジ75には上部開口79a及び下部開口79bが設けられている。この上部開口79a及び下部開口79bは、図4(b)に示す、カムチャンバ40に備えられた隔壁板60の上方の気相流通孔61及び下方の潤滑油流通孔63にそれぞれ連通している。
また、気液分離器70に備えられた取付フランジ75には上部開口79a及び下部開口79bが設けられている。この上部開口79a及び下部開口79bは、図4(b)に示す、カムチャンバ40に備えられた隔壁板60の上方の気相流通孔61及び下方の潤滑油流通孔63にそれぞれ連通している。
したがって、図2に示すように、気液分離器70とカムチャンバ40とは、気相流通孔61及び上部開口79aを含む上方側の気相流通系90と、潤滑油流通孔63及び下部開口79bを含む下方側の液相流通系91とによって互いに連通しており、カムチャンバ40内の気相部分及び潤滑油が気液分離器70内に流通可能になっている。
このように、気液分離器70とカムチャンバ40とが、隔壁板60に設けられた比較的小径の気相流通孔61及び潤滑油流通孔63を介して連通し、気相流通孔61及び潤滑油流通孔63以外の部分は遮られていることから、カムチャンバ40内の潤滑油がカム45の回転によって攪拌されていようとも、気液分離器70内の潤滑油は静的な状態に保たれている。特に、本実施形態の高圧ポンプ5の例では、図4(b)に示すように、隔壁板60に設けられた気相流通孔61の通路面積が、潤滑油流通孔63の通路面積に較べて大きくなっており、再液化コンプレッサによって気液分離器70内の気相部分が吸引され、カムチャンバ40内の気相部分が気液分離器70内に流入する際に、気相部分の流速が過度に速められることがない。したがって、気液分離器70内において、潤滑油がミスト状になりにくく、気化した液化ガス燃料と潤滑油との分離が適切に行われやすくなる。
ただし、隔壁板60に設けられた気相流通孔61の通路面積と潤滑油流通孔63の通路面積の大きさの違いについては、潤滑油流通孔63の通路面積が、気相流通孔61の通路面積に較べて大きくなっていてもよい。潤滑油流通孔63の通路面積が比較的大きくされている場合には、カムチャンバ40と気液分離器70との間を潤滑油が流通しやすくなり、潤滑油に溶け込んでいる液化ガス燃料が気液分離器70内に導かれやすくなる。
本実施形態の高圧ポンプ5では、再液化コンプレッサによって気液分離器70内の気相部分が吸引されることに伴い、カムチャンバ40と気液分離器70の気相部分を連通する上方側の気相流通系90を介して、気化した液化ガス燃料及びミスト状の潤滑油を含むカムチャンバ40内の気相部分が気液分離器70に導入される。そして、気液分離器70内に導入されたミスト状の潤滑油は下方に落下して滞留する一方、気化した液化ガス燃料は上部に設けられた気相導出部77から導出されるとともに再液化コンプレッサによって液化されて燃料タンクに戻される。さらに、気液分離器70内で下方に滞留する潤滑油は、カムチャンバ40と気液分離器70の液相部分を連通する下方側の液相流通系91を介してカムチャンバ40内に還流可能になっている。
このように、本実施形態の高圧ポンプ5は、カムチャンバ40内での潤滑油の攪拌状態の影響が気液分離器70内の潤滑油に伝達されないように気液分離器70が接続されていることによって、気液分離器70内が静的な状態に形成され、カム室111a内の潤滑油に混入した液化ガス燃料を分離して回収しやすく構成されている。したがって、高圧ポンプ5の燃料加圧室114に供給される液化ガス燃料に潤滑油が混合されることが防止されるため、燃料供給装置の損傷や、内燃機関の燃焼効率の不良を低減することができる。
3.連通路の別の構成例
これまで説明した本実施形態の高圧ポンプ5の構成例では、潤滑油保持空間としてのカムチャンバ40と気液分離器70とを連通する連通路として、潤滑油の液面よりも下方に設けられた潤滑油流通孔63と、潤滑油の液面よりも上方に設けられた気相流通孔61とが備えられているが、連通路の構成はこれ以外にも種々変更することができる。
これまで説明した本実施形態の高圧ポンプ5の構成例では、潤滑油保持空間としてのカムチャンバ40と気液分離器70とを連通する連通路として、潤滑油の液面よりも下方に設けられた潤滑油流通孔63と、潤滑油の液面よりも上方に設けられた気相流通孔61とが備えられているが、連通路の構成はこれ以外にも種々変更することができる。
例えば、図6(a)に示すように、一部が潤滑油の液面より下方に位置する一つの流通孔81からなる連通路としたり、図6(b)に示すように、一部が潤滑油の液面より下方に位置する一つの長孔82からなる連通路としたりすることができる。このように、一つの流通孔81あるいは長孔82であっても、流通孔81あるいは長孔82が潤滑油の液面の上下にまたがって設けられていれば、カムチャンバ40内の気相部分及び潤滑油が気液分離器70に容易に導かれ、これまで説明した気相流通孔及び潤滑油流通孔と同様の機能が果たされる。
なお、図6(a)及び(b)は、図4(b)に対応する図である。
なお、図6(a)及び(b)は、図4(b)に対応する図である。
また、図7(a)〜(b)に示すように、すべての部分が潤滑油の液面より下方に設けられた一つの流通孔83あるいは複数の流通孔84a、84bからなる連通路とすることもできる。このように、連通路がすべて潤滑油の液面より下方に設けられている場合であっても、再液化コンプレッサによって気液分離器70内の気相部分が吸引されることによって、潤滑油に溶け込んでいる気化しやすい液化ガス燃料が、気液分離器70内に移動し、気液分離器70内で気化して気相導出部を介して回収される。
なお、図7(a)及び(b)は、図4(b)に対応する図である。
なお、図7(a)及び(b)は、図4(b)に対応する図である。
また、これまで説明した連通路の構成例では、カムチャンバ40と気液分離器70とを連通する連通路が、隔壁板60に設けられた孔によって構成されているが、管状の部材を用いて連通路を構成することもできる。ただし、本実施形態のように隔壁板60を用いて構成することにより、高圧ポンプ5に気液分離器70が一体化され、気液分離器70を備えた高圧ポンプ5のコンパクト化が図られるため、好適な態様である。
また、連通路が、隔壁板60に設けられた孔によって構成されていることによって、潤滑油をカムチャンバ40と気液分離器70との間で互いに行き来させる移送手段がなくても、気相部分又は潤滑油が容易に気液分離器70内に導かれるため、部品点数も軽減され、コストの上昇が防止されるとともに、高圧ポンプ5のコンパクト化が図られる。
さらに、これまで説明した本実施形態の高圧ポンプ5の構成では、気液分離器70は、カム室111aに接続されたカムチャンバ40に対して接続されているが、カムチャンバ40を介さずにカム室111aに直接接続される構成であっても本発明を適用することができる。再液化コンプレッサとして電動コンプレッサを採用し、再液化コンプレッサが高圧ポンプと別体にされる場合等において、所定の連通路を介してカム室に連通するように気液分離器を接続した場合であっても、カム室内の潤滑油の攪拌状態の影響が気液分離器内に伝達されることが低減され、気液分離器内で潤滑油がミスト状に浮遊することなく、液化ガス燃料を適確に分離して回収することができる。
なお、再液化された液化ガス燃料の還流先は燃料タンクに限られず、高圧ポンプへの燃料供給経路内に合流させることもできる。
なお、再液化された液化ガス燃料の還流先は燃料タンクに限られず、高圧ポンプへの燃料供給経路内に合流させることもできる。
100:液化ガス燃料供給装置、1:燃料タンク、2:インタンクフィードポンプ、3:プレフィルタ、4:フィルタ、5:高圧ポンプ、6:再液化コンプレッサ、8:流量制御弁、9:パージタンク、10:コモンレール、11:レール圧センサ、12:圧力制御弁、13:燃料噴射部(インジェクタ)、14:オーバーフローバルブ、16:燃料クーラー、17:アスピレータ、18:燃料供給通路、19:第1の開閉手段、30a・30b・30c・30e:燃料戻し通路、37a・37b・39:高圧燃料通路、40:カムチャンバ、41:フランジ部、43:ボルト、45:カム、47:開口部、51:挿入部、53:溝部、55:シールリング、60:隔壁板、61:気相流通孔、63:潤滑油流通孔、65:溝部、67:シールリング、70:気液分離器、71:ボルト、73:分離器本体、73A:上部、73B:中間部、73C:下部、75:取付フランジ、77:気相導出部、79a:上部開口、79b:下部開口、81:流通孔、82:長孔、83:流通孔、84a・84b:流通孔、90:気相流通系、91:液相流通系、111:ポンプハウジング、111a:カム室、113:プランジャ、114:燃料加圧室、121:カム、123:カムシャフト、145:リーク回収室、149:リーク回収通路
Claims (9)
- 液化ガス燃料を高圧ポンプで加圧するとともに内燃機関の燃料噴射部が接続されたコモンレールに圧送し、前記燃料噴射部から前記内燃機関に前記液化ガス燃料を供給する内燃機関の液化ガス燃料供給装置において、
前記高圧ポンプに収容された潤滑油が保持される潤滑油保持空間に気液分離部が接続されるとともに、前記気液分離部の気相部分を吸引する吸引手段が設けられ、
前記気液分離部は、少なくとも一部が前記潤滑油保持空間内の潤滑油の液面よりも低い位置に設けられた連通路を介して、前記潤滑油保持空間と連通することを特徴とする内燃機関の液化ガス燃料供給装置。 - 前記連通路が前記潤滑油保持空間と前記気液分離部との間の壁部に設けられた孔からなることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の液化ガス燃料供給装置。
- 前記連通路が、互いに高さを異ならせて設けられた複数の流通孔からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の液化ガス燃料供給装置。
- 前記複数の流通孔のうちの相対的に低い位置に設けられた流通孔の通路面積を、相対的に高い位置に設けられた流通孔の通路面積よりも大きくすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関の液化ガス燃料供給装置。
- 前記複数の流通孔のうちの相対的に高い位置に設けられた流通孔を、前記潤滑油保持空間内の潤滑油の液面よりも高い位置に設けることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関の液化ガス燃料供給装置。
- 前記相対的に高い位置に設けられた流通孔の通路面積を、相対的に低い位置に設けられた流通孔の通路面積よりも大きくすることを特徴とする請求項5に記載の内燃機関の液化ガス燃料供給装置。
- 前記連通路が、少なくとも一部において前記潤滑油保持空間内の気相部分と前記気液分離部内の気相部分とを連通可能に構成された長孔であることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の液化ガス燃料供給装置。
- 前記潤滑油保持空間の一部に開口部を設け、前記開口部を前記連通路としての孔が設けられた隔壁板によって閉鎖するとともに、前記隔壁板を挟んで前記気液分離部が接続されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の内燃機関の液化ガス燃料供給装置。
- カムの回転によって駆動され、液化ガス燃料を昇圧して圧送する高圧ポンプにおいて、
内部に収容された潤滑油が流通可能な潤滑油保持空間に気液分離部が接続されるとともに、前記気液分離部の気相部分を吸引する吸引手段が設けられ、前記気液分離部は、少なくとも一部が前記潤滑油保持空間内の潤滑油の液面よりも低い位置に設けられた連通路を介して、前記潤滑油保持空間と連通することを特徴とする高圧ポンプ。
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2008
- 2008-09-19 JP JP2008240674A patent/JP2010071219A/ja active Pending
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