JPWO2008146420A1 - 内燃機関の液化ガス燃料供給装置及び液化ガス燃料の回収方法並びに内燃機関の強制停止方法 - Google Patents
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Abstract
パージタンクにかかる負担を小さくし、小型のパージタンクを利用できるともにパージに要する時間を短くできる内燃機関の液化ガス燃料供給装置を提供する。フィードポンプと高圧ポンプとは燃料供給通路で接続されるとともに、燃料供給通路には第1の開閉手段が備えられ、燃料タンクの気相部分とコモンレールとは気相導入通路で接続されるとともに、気相導入通路には第2の開閉手段が備えられ、第1の開閉手段よりも高圧ポンプ側の燃料供給通路とコモンレールとはパージ用通路で接続されるとともに、パージ用通路には第3の開閉手段が備えられ、かつ、気相導入通路から液化ガス燃料の気体成分を導入させながら液化ガス燃料を燃料タンク内に回収するための液パージ手段と、液パージ手段の動作後に、残留する液化ガス燃料を気化させて回収するための気化パージ手段とを備える。
Description
本発明は、内燃機関の液化ガス燃料供給装置及び内燃機関の液化ガス燃料の回収方法並びに内燃機関の強制停止方法に関し、特に、コモンレールシステムを採用した内燃機関の液化ガス燃料供給装置、及びそのような液化ガス燃料供給装置からの液化ガス燃料の回収方法、並びに内燃機関の強制停止方法に関する。
近年、ディーゼルエンジンによる大気汚染対策として、軽油の代わりに排気がクリーンなDME(ジメチルエーテル)を代替燃料として用いることが注目されている。このDME燃料は、従来の燃料である軽油と異なり、液化ガス燃料である。すなわち、軽油と比較して沸点が低く、大気圧下で軽油が常温で液体であるのに対して、DMEは常温で気体となる性質を有している。
そのため、DME燃料を用いたディーゼルエンジンでは、エンジン停止後に噴射系内にDME燃料が残留していると、DME燃料がインジェクタの噴孔からエンジンのシリンダ内に漏れて気化し、シリンダ内に充満することによって、次にエンジンを始動する際にノッキング等の異常燃焼が生じてエンジンの始動が正常に行えず大きな振動や騒音が発生するおそれがある。そこで、DME燃料を用いたディーゼルエンジンでは、エンジン停止後に噴射系内に残留しているDME燃料を抜き去るためのパージ処理が行われている。
ここで、エンジンが停止する度にコモンレール内の燃料を全てパージタンクへ回収するようになっている場合には、パージタンクによって圧力を低下させて気化した燃料を再液化するコンプレッサの仕事量が増えるために、システム全体のエネルギーロスが増大するおそれがある。
そこで、パージタンクに回収した燃料を再液化するコンプレッサの仕事量を必要最小限に抑制してシステム全体のエネルギーロスの大幅な低減化を図り得るようにしたDMEエンジンの燃料供給装置が提案されている。より具体的には図9に示すように、燃料タンク201から導いた燃料を高圧ポンプ204により昇圧して、コモンレール205に蓄圧させるフィードライン203と、コモンレール205からインジェクタ207に燃料を導いて燃焼室208内に噴射させる噴射ライン206と、コモンレール205からパージ制御弁209を介してパージタンク210に燃料を抜き出すパージライン211と、パージタンク210の燃料をコンプレッサ212により再液化して燃料タンク201に戻す連絡ライン213とを備えたDMEエンジンの燃料供給装置において、パージライン211のパージ制御弁209より下流側から燃料を抜き出して燃料タンク201へ直接導くバイパスライン214と、該バイパスライン214の途中に装備されて燃料タンク201側からパージライン211側へ遡る燃料の流れを阻止する逆止弁215と、パージライン211におけるバイパスライン214の接続箇所より下流側に装備されてパージタンク210へ向けた燃料の流れを適宜に遮断する常時閉の開閉弁216と、エンジン停止時にパージ制御弁209に向けて開弁指令を出力し且つパージライン211及び燃料タンク201の相互が略均圧化した時に開閉弁216に向け開弁指令を出力する制御装置217とを備えたことを特徴とするDMEエンジンの燃料供給装置が開示されている(特許文献1参照)。
特開2003−56409号公報 (特許請求の範囲、図1)
しかしながら、特許文献1に記載されたDMEエンジンの燃料供給装置では、コモンレール内のDME燃料が高圧の状態であれば逆止弁が開かれ、DME燃料を燃料タンクに回収することはできるものの、コモンレール内のDME燃料が回収されコモンレール内の圧力が低下した場合には逆止弁が閉じられてしまう。この状態においてはコモンレール内の圧力は少なくとも蒸気圧以下となっており、コモンレール内に未だ比較的多くのDME燃料が残留する場合がある。残留したDME燃料はパージタンクへ回収されることになるため、パージタンクには比較的大きな容量が求められるとともに、気化パージに要する時間が長くなるおそれがある。
そこで、本発明の発明者らは鋭意努力し、燃料タンクの気相部分から通じる気相導入通路をコモンレールに接続するとともに、コモンレールと高圧ポンプとの間をパージ用通路で接続することによって、このような問題を解決できることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明は、高圧ポンプ、コモンレール及び燃料噴射部内の液化ガス燃料の大部分を回収した後、気化パージを行えるようにして、パージタンクにかかる負担を小さくし、小型のパージタンクを利用できるとともに液化ガス燃料の回収に要する時間を短くできる内燃機関の液化ガス燃料供給装置を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、高圧ポンプ、コモンレール及び燃料噴射部内の液化ガス燃料の大部分を回収した後、気化パージを行えるようにして、パージタンクにかかる負担を小さくし、小型のパージタンクを利用できるとともに液化ガス燃料の回収に要する時間を短くできる内燃機関の液化ガス燃料供給装置を提供することを目的とする。
本発明によれば、燃料タンク内の液化ガス燃料をフィードポンプによって高圧ポンプへ送り、当該高圧ポンプで液化ガス燃料を高圧化して内燃機関の燃料噴射部が接続されたコモンレールに圧送し、燃料噴射部から内燃機関に液化ガス燃料を供給する液化ガス燃料供給装置であって、フィードポンプと高圧ポンプとは燃料供給通路で接続されるとともに、燃料供給通路には第1の開閉手段が備えられ、燃料タンクの気相部分とコモンレールとは気相導入通路で接続されるとともに、気相導入通路には第2の開閉手段が備えられ、第1の開閉手段よりも高圧ポンプ側の燃料供給通路とコモンレールとはパージ用通路で接続されるとともに、パージ用通路には第3の開閉手段が備えられ、かつ、気相導入通路から液化ガス燃料の気体成分を導入させながら、高圧ポンプ、コモンレール及び燃料噴射部内の液化ガス燃料を燃料タンク内に回収するための液パージ手段と、液パージ手段の動作後に、高圧ポンプ、コモンレール及び燃料噴射部内に残留する液化ガス燃料を気化させて回収するための気化パージ手段と、を備えることを特徴とする内燃機関の液化ガス燃料供給装置が提供され、上述した問題を解決することができる。
また、本発明の内燃機関の液化ガス燃料供給装置を構成するにあたり、液パージ手段は、高圧ポンプ、コモンレール及び燃料噴射部内の液化ガス燃料を吸引するための吸引手段を含み、吸引手段によって液化ガス燃料を吸引するとともに、気相導入通路から導入される気体成分と置換させながら、液化ガス燃料が燃料タンク内に回収されるように構成されることが好ましい。
また、本発明の内燃機関の液化ガス燃料供給装置を構成するにあたり、燃料供給通路の途中から分岐して燃料タンクに接続された燃料循環通路を備えるとともに、燃料循環通路には吸引手段としてのアスピレータが配設され、高圧ポンプとアスピレータとは液パージ用通路で接続されており、フィードポンプによって送られた液化ガス燃料を、アスピレータを介してそのまま燃料タンクへ環流させることにより、高圧ポンプ、コモンレール及び燃料噴射部内の液化ガス燃料が吸引されて燃料タンクに回収されるように構成されることが好ましい。
また、本発明の内燃機関の液化ガス燃料供給装置を構成するにあたり、気化パージ手段は低圧タンクを含み、液パージ手段の動作後に、高圧ポンプと低圧タンクとを気化パージ用通路を介して連通させることによって、残留する液化ガス燃料が回収されるように構成されることが好ましい。
また、本発明の内燃機関の液化ガス燃料供給装置を構成するにあたり、第3の開閉手段は、液パージ手段及び気化パージ手段を動作させる際に開かれるとともに、内燃機関の始動前の液化ガス燃料充填時にも開かれることが好ましい。
また、本発明の内燃機関の液化ガス燃料供給装置を構成するにあたり、第2の開閉手段は、液パージ手段を動作させる際には開かれる一方、気化パージ手段を動作させる際には閉じられることが好ましい。
また、本発明の内燃機関の液化ガス燃料供給装置を構成するにあたり、気相導入通路の第2の開閉手段とコモンレールとの間に、第2の開閉手段側への液化ガス燃料の流れを止める逆止弁を備えることが好ましい。
また、本発明の別の態様は、燃料タンク内の液化ガス燃料をフィードポンプによって高圧ポンプへ送り、当該高圧ポンプで液化ガス燃料を高圧化して内燃機関の燃料噴射部が接続されたコモンレールに圧送し、燃料噴射部から内燃機関に液化ガス燃料を供給する液化ガス燃料供給装置におけるエンジン停止時の液化ガス燃料の回収方法であって、フィードポンプと高圧ポンプとは燃料供給通路で接続されるとともに、燃料供給通路には第1の開閉手段が備えられ、燃料タンクの気相部分とコモンレールとは気相導入通路で接続されるとともに、気相導入通路には第2の開閉手段が備えられ、第1の開閉手段よりも高圧ポンプ側の燃料供給通路とコモンレールとはパージ用通路で接続されるとともに、パージ用通路には第3の開閉手段が備えられ、第1の開閉手段を閉じる一方、第2の開閉手段及び第3の開閉手段を開き、気相導入通路から液化ガス燃料の気体成分を導入させながら、高圧ポンプ、コモンレール及び燃料噴射部内の液化ガス燃料を燃料タンク内に回収する液パージを行った後、第2の開閉手段をさらに閉じ、高圧ポンプ、コモンレール及び燃料噴射部内に残留する液化ガス燃料を気化させて回収する気化パージを行うことを特徴とする液化ガス燃料の回収方法である。
また、本発明のさらに別の態様は、燃料タンク内の液化ガス燃料をフィードポンプによって高圧ポンプへ送り、当該高圧ポンプで液化ガス燃料を高圧化して内燃機関の燃料噴射部が接続されたコモンレールに圧送し、燃料噴射部から内燃機関に液化ガス燃料を供給する液化ガス燃料供給装置を備えた内燃機関の強制停止方法であって、フィードポンプと高圧ポンプとは燃料供給通路で接続されるとともに、燃料供給通路には第1の開閉手段が備えられ、燃料タンクの気相部分とコモンレールとは気相導入通路で接続されるとともに、気相導入通路には第2の開閉手段が備えられ、第1の開閉手段よりも高圧ポンプ側の燃料供給通路とコモンレールとはパージ用通路で接続されるとともに、パージ用通路には第3の開閉手段が備えられており、内燃機関の異常時に、内燃機関のイグニッションスイッチ操作によっても内燃機関が停止されない場合に、第1の開閉手段及び第2の開閉手段を閉じる一方、第3の開閉手段を開き、高圧ポンプ、コモンレール及び燃料噴射部内に残留する液化ガス燃料を気化させて回収する気化パージを行うことを特徴とする内燃機関の強制停止方法である。
本発明の内燃機関の液化ガス燃料供給装置及び液化ガスの回収方法によれば、燃料タンクと高圧ポンプとを接続する燃料供給通路に第1の開閉手段を備え、第1の開閉手段よりも高圧ポンプ側の燃料供給通路とコモンレールとをパージ用通路で接続し、さらに、燃料タンクの気相部分とコモンレールとを気相導入通路で接続することにより、液パージ時に、高圧ポンプ、コモンレール及び燃料噴射部内の大部分の液化ガス燃料を燃料タンク内に戻すことができる。したがって、高圧ポンプ、コモンレール及び燃料噴射部内に残留する液化ガス燃料が極力減らされた状態で気化パージが行われるため、気化された燃料を回収するパージタンク(低圧タンク)の負担を抑えることができる。その結果、パージタンクの容量を小さくすることができるとともに、気化パージに要する時間を短縮させることができ、内燃機関の運転終了後の液化ガス燃料の回収が速やかに行われるようになる。
また、第1の開閉手段よりも高圧ポンプ側の燃料供給通路とコモンレールとの間に配設されたパージ用通路は、エンジン始動時にはコモンレールへ液化ガス燃料を充填する燃料供給通路として用いることができる。したがって、高圧ポンプと同時にコモンレール内へ液化ガス燃料を充填することができるため、速やかにエンジンを始動させることができる。
また、本発明の内燃機関の強制停止方法によれば、内燃機関の異常時に、イグニッションスイッチ操作によっても内燃機関を停止させられない場合には、気化パージを行ってコモンレールや高圧ポンプ内の液化ガス燃料を回収することにより、内燃機関への液化ガス燃料の供給を停止させ、内燃機関を強制的に停止させることができる。したがって、内燃機関を強制停止させるための特殊な手段を備えることなく、燃料噴射系システムに異常が発生した場合など、内燃機関を停止させられないような場合において、内燃機関を強制的に停止させることができる。
以下、図面を参照して、本発明の内燃機関の液化ガス燃料供給装置及び液化ガス燃料の回収方法、並びに内燃機関の強制停止方法に関する実施の形態について具体的に説明する。ただし、かかる実施の形態は本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の範囲内で任意に変更することが可能である。
なお、それぞれの図中、同じ符号を付してあるものは同一の部材を示しており、適宜説明が省略されている。
なお、それぞれの図中、同じ符号を付してあるものは同一の部材を示しており、適宜説明が省略されている。
[第1の実施の形態]
本発明にかかる第1の実施の形態は、内燃機関の液化ガス燃料供給装置及びそれを用いた液化ガス燃料の回収方法である。
液化ガス燃料は、代表的なものとしてはジメチルエーテル(DME)が挙げられるが、これ以外にも、内燃機関の燃料として用いることができる液化ガス燃料であれば、本発明を適用することは可能である。
本発明にかかる第1の実施の形態は、内燃機関の液化ガス燃料供給装置及びそれを用いた液化ガス燃料の回収方法である。
液化ガス燃料は、代表的なものとしてはジメチルエーテル(DME)が挙げられるが、これ以外にも、内燃機関の燃料として用いることができる液化ガス燃料であれば、本発明を適用することは可能である。
1.液化ガス燃料供給装置
(1)全体構成
図1は、本実施形態のディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置の概略構成を示している。
この図1に示すディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置100は、燃料タンク1と、インタンクフィードポンプ2と、高圧ポンプ5と、コモンレール10と、インジェクタ13と、パージタンク9等を主要な構成要素として備えている。それぞれの構成要素は、燃料通路やパージ用通路で接続されている。
(1)全体構成
図1は、本実施形態のディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置の概略構成を示している。
この図1に示すディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置100は、燃料タンク1と、インタンクフィードポンプ2と、高圧ポンプ5と、コモンレール10と、インジェクタ13と、パージタンク9等を主要な構成要素として備えている。それぞれの構成要素は、燃料通路やパージ用通路で接続されている。
燃料タンク1には、液化ガス燃料が貯蔵されている。液化ガス燃料は、例えばDME燃料であり、燃料タンク1は液化ガス燃料を貯蔵しておくことができるものであれば特に制限されるものではない。
また、燃料タンク1内にはインタンクフィードポンプ2が配設され、このインタンクフィードポンプ2は、燃料供給通路18を介して燃料タンク1内の燃料を高圧ポンプ5に対して供給するようになっている。インタンクフィードポンプ2は、例えば電動ポンプが用いられ、パルス電圧を供給することにより所定の流量の液化ガス燃料が圧送されるようになっている。また、インタンクフィードポンプ2の燃料吸い込み口にはプレフィルタ3を介在させてあり、燃料タンク1内の液化ガス燃料に異物が混入している場合に、それらの異物が吸い込まれないように捕集されるようになっている。
また、燃料タンク1内にはインタンクフィードポンプ2が配設され、このインタンクフィードポンプ2は、燃料供給通路18を介して燃料タンク1内の燃料を高圧ポンプ5に対して供給するようになっている。インタンクフィードポンプ2は、例えば電動ポンプが用いられ、パルス電圧を供給することにより所定の流量の液化ガス燃料が圧送されるようになっている。また、インタンクフィードポンプ2の燃料吸い込み口にはプレフィルタ3を介在させてあり、燃料タンク1内の液化ガス燃料に異物が混入している場合に、それらの異物が吸い込まれないように捕集されるようになっている。
また、燃料タンク1と高圧ポンプ5とを接続する燃料供給通路18には、フィルタ4と第1の開閉手段19とが備えられている。燃料供給通路18に備えられたフィルタ4によって液化ガス燃料中の浮遊物が捕集され、高圧ポンプ5に流入しないようになっている。また、第1の開閉手段19は例えば電磁制御されるON−OFF弁であり、燃料供給通路18の開放、遮断が行われるようになっている。
また、高圧ポンプ5には流量制御弁8が備えられ、燃料供給通路18を介して供給されてくる燃料の流量を、要求されるコモンレール圧に応じて制御して、燃料加圧室に送るようになっている。この流量制御弁8は、例えば電磁比例式の流量制御弁を用いることができる。また、流量制御弁8よりも上流側には燃料タンク1に通じる燃料戻し通路30a、30bが接続されている。この燃料戻し通路30bには、流量制御弁8と並列的に配置されたオーバーフローバルブ14が備えられており、流量制御弁8に送られる燃料流量が過大なときに開弁され、余剰の燃料が燃料タンク1に戻されるようになっている。
また、燃料戻し通路30aの途中には流量センサ15及び燃料クーラー16が備えられている。このうち、燃料クーラー16は、燃料タンク1内に戻される液化ガス燃料を冷却し、液化ガス燃料の温度が所定温度以下に維持されるようになっており、燃料タンク1内の圧力を常に一定の蒸気圧以下の圧力値に維持することによって、液化状態で保持できるようになっている。また、流量センサ15は、燃料戻し通路30a内を通過する液化ガス燃料の流量を検出し、エンジンの始動タイミングを計るために用いられる。
また、高圧ポンプ5は、燃料加圧室に導入された液化ガス燃料をプランジャ(図示せず)によって加圧し、燃料吐出弁(図示せず)及び高圧燃料通路37a、37bを介してコモンレール10に圧送するようになっている。この高圧ポンプ5における、プランジャを往復動させるためのカムが収容されたカム室(図示せず)は、ディーゼルエンジンの潤滑系と分離された専用潤滑系となっている。
図2は、高圧ポンプ5の構成の一例を示している。この高圧ポンプ5は、ポンプハウジング111と、ポンプハウジング111の円柱空間111b内に装着されたプランジャバレル112と、プランジャバレル112の内部空間112aに摺動保持されたプランジャ113と、両端をプランジャバレル112及びスプリングシート119に係止され、プランジャ113を下方側に付勢するためのスプリング115と、プランジャ113及びカム121の間に介在し、カム121の回転に伴いプランジャ113を芯出ししつつ押し上げるためのタペット構造体118とを備えている。また、プランジャバレル112の内部空間112aの上方開口部にはIOバルブ120が配置されている。
かかる高圧ポンプ5において、プランジャバレル112の内部空間112aの一部は、プランジャバレル112の内周面とプランジャ113とIOバルブ120とによって閉塞され、燃料加圧室114として構成されている。そして、インレットバルブ120aを介して燃料加圧室114に流入した液化ガス燃料は、当該燃料加圧室114内で、カム121の回転運動に伴って押し上げられるプランジャ113によって加圧され、アウトレットバルブ120bが押し開かれることにより、高圧化された液化ガス燃料が下流側のコモンレール(図示せず)に圧送されるようになっている。
この高圧ポンプ5では、プランジャ113の往復動による焼付きを防止するために、プランジャバレル112の内部空間112aの内周面と、プランジャ113の外周面との間には、燃料加圧室114に流入した液化ガス燃料の一部がリークし、潤滑油として機能するようになっている。ここまでの高圧ポンプ5の基本的な構成は、従来の軽油を燃料とするディーゼルエンジンの燃料供給装置に用いられる高圧ポンプと基本的には同様の構成となっている。
一方、本実施形態で用いられる高圧ポンプ5では、ポンプハウジング111の円柱空間111bに面するプランジャバレル112の外周面に二つのOリング溝141a、141bが設けられ、それぞれOリング143a、143bが配置されている。また、当該二つのOリング溝143a、143bの間にはリーク回収室145が設けられている。したがって、リーク回収室145は、上方のインレットバルブ120aを介して燃料加圧室114に流入する液化ガス燃料の通路147及び下方のスプリング室161と隔離されるようになっている。
また、プランジャバレル112には、リーク回収室145とプランジャ113の外周面に面する内周面との間を連通するようにリーク回収通路149が設けられている。このリーク回収通路149の内周面側の一端はプランジャ113の下死点よりも下方側の位置に臨むようになっている。
また、プランジャバレル112には、リーク回収室145とプランジャ113の外周面に面する内周面との間を連通するようにリーク回収通路149が設けられている。このリーク回収通路149の内周面側の一端はプランジャ113の下死点よりも下方側の位置に臨むようになっている。
また、高圧ポンプ5にはリーク回収室145内の圧力を調整する圧力調整手段151が備えられており、リーク回収室145内の圧力はカム室111a内の圧力よりも僅かに低くなるように設定されている。圧力調整手段151は例えばリリーフ弁を用いることができ、カム室111a内の圧力は、通常、大気圧と同等であるため、リリーフ弁の開弁圧が大気圧より僅かに低くなるように設定される。
したがって、スプリング室161を介してカム室111a内の潤滑油が吸い上げられることがない一方、プランジャ113の外周面にリークした液化ガス燃料がカム室111a内にリークすることなく、リーク回収通路149を介してリーク回収室145内に回収されるようになっている。そのため、液化ガス燃料が軽油と比較して相対的に粘度が低いものであるにもかかわらず、カム室111a側にリークすることがなく、カム室111a内の潤滑オイルに混合されることがないようにされている。
したがって、スプリング室161を介してカム室111a内の潤滑油が吸い上げられることがない一方、プランジャ113の外周面にリークした液化ガス燃料がカム室111a内にリークすることなく、リーク回収通路149を介してリーク回収室145内に回収されるようになっている。そのため、液化ガス燃料が軽油と比較して相対的に粘度が低いものであるにもかかわらず、カム室111a側にリークすることがなく、カム室111a内の潤滑オイルに混合されることがないようにされている。
このリーク回収室145内に回収された液化ガス燃料は、再液化コンプレッサ6によって減圧気化された上で、圧縮、再液化されて燃料タンク(図示せず)に回収されることになる。リーク回収室145内の液化ガス燃料を気化させて回収することにより、カム室111a内の潤滑油が誤って混じっている場合であっても、潤滑オイルが燃料タンク内に戻されるおそれがなく、液化ガス燃料に潤滑油が混合されて内燃機関に供給されることがないようにされている。なお、この再液化コンプレッサ6は、高圧ポンプ5を駆動させるカムを利用して駆動されるようになっている。
また、図1に示すコモンレール10は、高圧ポンプ5から圧送されてくる高圧燃料を蓄積し、高圧燃料通路39を介して複数のインジェクタ13に対して均等な圧力で供給するようになっている。このコモンレール10にはレール圧センサ11及び圧力制御弁12が取り付けられている。圧力制御弁12は、例えば電磁比例制御弁であり、レール圧センサ11で検出される値が制御手段(ECU)(図示せず)に送られ、この値をもとに圧力調整弁(図示せず)の開度が制御される。そして、高圧ポンプ5から圧送されてきた燃料の一部が燃料戻し通路30cに排出されることにより、コモンレール10内の圧力が所望の値に調節されるようになっている。
また、コモンレール10に接続された燃料噴射部としてのインジェクタ13では、コモンレール10から供給される高圧燃料の噴射制御が行われ、内燃機関の気筒内に燃料が供給されるようになっている。インジェクタ13の形態は特に制限されるものでは無いが、例えば、公知の電磁制御式の燃料噴射弁を用いることができる。このインジェクタ13の背圧制御に用いられ、排出された燃料は、逆止弁31を介して燃料戻し通路30eに流され、燃料タンク1に戻されるようになっている。
(2)液パージ手段
また、本実施形態のディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置には、液パージ手段が備えられている。この液パージ手段は、気相導入通路20と、第1のパージ用通路24と、燃料戻し通路30bから分岐した第2のパージ用通路(液パージ用通路)22と、燃料循環通路28と、アスピレータ17とを備えている。
このうち、気相導入通路20は燃料タンク1の気相部分とコモンレール10との間に配設され、途中に第2の開閉手段21が配置されている。また、この気相導入通路20におけるコモンレール10と第2の開閉手段21との間には逆止弁41が配置され、コモンレール10内に高圧燃料が蓄圧された場合等においても、第2の開閉手段21側への液化ガス燃料の流れが止められるようになっている。そのため、第2の開閉手段21を小型、かつ、低耐圧型のものとすることができる。
また、本実施形態のディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置には、液パージ手段が備えられている。この液パージ手段は、気相導入通路20と、第1のパージ用通路24と、燃料戻し通路30bから分岐した第2のパージ用通路(液パージ用通路)22と、燃料循環通路28と、アスピレータ17とを備えている。
このうち、気相導入通路20は燃料タンク1の気相部分とコモンレール10との間に配設され、途中に第2の開閉手段21が配置されている。また、この気相導入通路20におけるコモンレール10と第2の開閉手段21との間には逆止弁41が配置され、コモンレール10内に高圧燃料が蓄圧された場合等においても、第2の開閉手段21側への液化ガス燃料の流れが止められるようになっている。そのため、第2の開閉手段21を小型、かつ、低耐圧型のものとすることができる。
また、第1のパージ用通路24は第1の開閉手段19よりも高圧ポンプ5側の燃料供給通路18とコモンレール10との間に配設され、途中に第3の開閉手段25が配置されている。また、燃料循環通路28は燃料供給通路18から分岐し再び燃料タンク1に戻される循環通路として構成され、途中に第5の開閉手段29とアスピレータ17とが配置されている。さらに、第2のパージ用通路22は高圧ポンプ5とアスピレータ17との間に配設されるように構成され、途中に第4の開閉手段23が配置されている。
アスピレータ17は、コモンレール10やインジェクタ13、高圧ポンプ5の内部の液化ガス燃料を燃料タンク1に回収するための吸引手段として用いられるものである。このアスピレータ17は、図1に示すように、入口7aと出口7bと吸入口7cとを有しており、入口7aと出口7bは真っ直ぐに連通しており、吸入口7cは、入口7aと出口7bとの間の連通路から略垂直方向に分岐し、第2のパージ用通路22が接続されている。
また、それぞれの通路に配置された開閉手段は、例えば電磁制御式のON−OFF弁を用いることができる。
また、それぞれの通路に配置された開閉手段は、例えば電磁制御式のON−OFF弁を用いることができる。
この例に示される液パージ手段では、気相導入通路20に配置された第2の開閉手段21、第1のパージ用通路24に配置された第3の開閉手段25、及び第2のパージ用通路22に配置された第4の開閉手段23がそれぞれ開かれた状態では、インジェクタ13、コモンレール10、及び高圧ポンプ5が第2のパージ用通路22に連通するようになっている。また、燃料供給通路18に配置された第1の開閉手段19を閉じる一方、第5の開閉手段29を開いた状態でインタンクフィードポンプ2を駆動させると、圧送される燃料は燃料循環通路28側を流れてアスピレータ17を通過した後、燃料タンク1に戻される状態となる。このとき、アスピレータ17内を燃料が通過する際に発生する吸入差圧によって、第2のパージ用通路22内の液化ガス燃料が吸引されるようになっている。そうすると、インジェクタ13、コモンレール10、及び高圧ポンプ5の内部の液化ガス燃料が、気相導入通路20を介してコモンレール10側から導入される気相部分で置換されながら、燃料タンク1に回収されるようになる。
なお、本実施形態の例では、液化ガス燃料を吸引する手段としてアスピレータ17を用いているが、その他の吸引手段を用いて構成することもできる。アスピレータ以外の吸引手段を用いる場合には、例えば燃料循環通路が省略される場合もある。
(3)気化パージ手段
また、本実施形態のディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置には、気化パージ手段が備えられている。この気化パージ手段は、上述の第1のパージ用通路24と、第2のパージ用通路22から分岐した第3のパージ用通路(気化パージ用通路)26と、パージタンク(低圧タンク)9とを備えている。
第3のパージ用通路26は高圧ポンプ5とパージタンク9との間に配設されるように構成され、途中に第6の開閉手段27が備えられている。この第6の開閉手段27についても、例えば電磁制御式のON−OFF弁を用いることができる。
また、本実施形態のディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置には、気化パージ手段が備えられている。この気化パージ手段は、上述の第1のパージ用通路24と、第2のパージ用通路22から分岐した第3のパージ用通路(気化パージ用通路)26と、パージタンク(低圧タンク)9とを備えている。
第3のパージ用通路26は高圧ポンプ5とパージタンク9との間に配設されるように構成され、途中に第6の開閉手段27が備えられている。この第6の開閉手段27についても、例えば電磁制御式のON−OFF弁を用いることができる。
また、パージタンク9は、第3のパージ用通路26に連通するコモンレール10及び高圧ポンプ5、インジェクタ13内に残留する液化ガス燃料を気化させて回収するようになっている。このパージタンク9は公知のものを使用することができるが、本発明の液化ガス燃料供給装置では、大部分の燃料が液パージ手段によって回収された後に気化パージが行われるため、比較的容量の小さいパージタンクであっても利用することができるようになっている。
この例に示される気化パージ手段では、燃料供給通路18に配置された第1の開閉手段19、気相導入通路20に配置された第2の開閉手段21、及び第2のパージ用通路22に配置された第4の開閉手段23を閉じる一方、第1のパージ用通路24に配置された第3の開閉手段25及び第3のパージ用通路26に配置された第6の開閉手段27が開かれた状態では、インジェクタ13、コモンレール10、及び高圧ポンプ5が第3のパージ用通路26に連通するようになる。その結果、減圧されたパージタンク9と連通する状態と成り、インジェクタ13、コモンレール10、及び高圧ポンプ5内に残留する液化ガス燃料が気化されて、パージタンク9に回収されるようになっている。
気化パージによって回収された燃料は、次回のエンジンの運転状態において、逆止弁33を介して再液化コンプレッサ6に送られ、再液化された後、燃料タンク1に戻される。
気化パージによって回収された燃料は、次回のエンジンの運転状態において、逆止弁33を介して再液化コンプレッサ6に送られ、再液化された後、燃料タンク1に戻される。
2.液化ガス燃料供給装置の動作
次に、これまで説明した本実施形態のディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置100の動作について、図3〜図7を参照して説明する。
次に、これまで説明した本実施形態のディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置100の動作について、図3〜図7を参照して説明する。
まず、エンジン停止時の状態を図3に示す。エンジン停止時には、第1〜第6の開閉手段19、21、23、25、27、29すべてが閉じられた状態となっている。この状態では、基本的にインジェクタ13、コモンレール10、及び高圧ポンプ5内には液化ガス燃料が存在しないようになっている。
次に、エンジン始動前の燃料充填時の状態を図4に示す。燃料充填時には、燃料タンク1とコモンレール10との間に配設された気相導入通路20に備えられた第2の開閉手段21と、高圧ポンプ5とアスピレータ17との間に配設された第2のパージ用通路22に備えられた第4の開閉手段23と、第2のパージ用通路22から分岐する第3のパージ用通路26に備えられた第6の開閉手段27と、燃料循環通路28に備えられた第5の開閉手段29は閉じられている。一方、燃料タンク1と高圧ポンプ5との間に配設された燃料供給通路18に備えられた第1の開閉手段19と、第1の開閉手段19よりも高圧ポンプ5側の燃料供給通路18とコモンレール10との間に配設された第1のパージ用通路24に備えられた第3の開閉手段25とが開かれている。
この状態で、インタンクフィードポンプ2を駆動させると、燃料タンク1内の液化ガス燃料がプレフィルタ3及びフィルタ4を介して、高圧ポンプ5側に送られる。燃料供給通路18は途中で分岐しており、液化ガス燃料は高圧ポンプ5側に流入するとともに、第1のパージ用通路24を介してコモンレール10側にも流入する。コモンレール10側に流入する液化ガス燃料は、さらに高圧燃料通路39を介してコモンレール10に接続されたインジェクタ13にも流入するようになっている。そして、インジェクタ13、コモンレール10、及び高圧ポンプ5内のすべてに液化ガス燃料が満たされると、内部の圧力が次第に上昇し、所定の圧力値を超えたときにオーバーフローバルブ14が開かれ、逆止弁35を介して燃料戻し通路30aに送られ、燃料タンク1に戻されるようになる。
その後、燃料戻し通路30aに備えられた流量センサ15の検出値が所定のしきい値を超えたときには、インジェクタ13、コモンレール10、及び高圧ポンプ5内に確実に液化ガス燃料が充填されたと判断され、エンジンが始動される。
次に、エンジン運転時の状態を図5に示す。エンジンの運転時には、第1の開閉手段19が引き続き開かれ、第2の開閉手段21、及び第4〜第6の開閉手段23、27、29が引き続き閉じられている。一方、燃料充填時には開かれていた第3の開閉手段25が閉じられる。また、インタンクフィードポンプ2も引き続き駆動されている。
この状態で、燃料タンク1内の液化ガス燃料は、流量制御弁8によって流量を制御された上で高圧ポンプ5の燃料加圧室に流入し、プランジャによって加圧されて、燃料吐出弁及び高圧燃料通路37a、37bを介してコモンレール10に圧送される。コモンレール10に圧送される燃料は、コモンレール10に接続された複数のインジェクタ13に対して高圧燃料通路39を介して均一な圧力で供給され、インジェクタ13の噴射制御によって、エンジンのシリンダ内に供給される。このとき、コモンレール10と第2の開閉手段21との間には逆止弁41が備えられているため、高圧燃料が気相導入通路20の第2の開閉手段21側へ流れることがないようになっている。
また、高圧ポンプ5からオーバーフローする燃料や、コモンレール10の圧力制御弁12から排出される燃料、インジェクタ13の背圧制御に用いられ、逆止弁31を介して排出される燃料については、燃料戻し通路30a、30b、30c、30eを介して燃料タンクに戻される。
また、高圧ポンプ5からオーバーフローする燃料や、コモンレール10の圧力制御弁12から排出される燃料、インジェクタ13の背圧制御に用いられ、逆止弁31を介して排出される燃料については、燃料戻し通路30a、30b、30c、30eを介して燃料タンクに戻される。
また、エンジンが始動され、ポンプの駆動が開始されると、再液化コンプレッサ6も作動するため、パージタンク9内に回収されていた気化された燃料ガスは逆止弁33を介して再液化コンプレッサ6に送られ、再液化されて燃料タンク1に戻される。
次に、エンジンが停止され、液パージが行われる状態を図6に示す。液パージ時には、エンジン運転時に閉じられていた第6の開閉手段27は引き続き閉じられている。一方、エンジン運転時に開かれていた第1の開閉手段19が閉じられ、エンジン運転時に閉じられていた第2〜第5の開閉手段21、23、25、29が開かれる。また、インタンクフィードポンプ2については、引き続き駆動されている。
この状態でインタンクフィードポンプ2によって液化ガス燃料が圧送されると、液化ガス燃料は燃料循環通路28を流れ、アスピレータ17に流入する。アスピレータ17内を液化ガス燃料が通過すると、発生する吸入差圧によって第2のパージ用通路22内の液化ガス燃料が吸引される。第2のパージ用通路22は、高圧ポンプ5、コモンレール10、及びインジェクタ13に連通しているとともに、コモンレール10に接続された気相導入通路20に配置された第2の開閉手段21が開かれているため、高圧ポンプ5、コモンレール10、及びインジェクタ13内の液化ガス燃料が気相によって置換されながら、燃料タンク1内に回収される。
この液パージの終了時には、高圧ポンプ5、コモンレール10、及びインジェクタ13内の大部分の液化ガス燃料が回収された状態となっている。
この液パージの終了時には、高圧ポンプ5、コモンレール10、及びインジェクタ13内の大部分の液化ガス燃料が回収された状態となっている。
次に、気化パージが行われる状態を図7に示す。気化パージ時には、液パージ時に閉じられていた第1の開閉手段19は引き続き閉じられ、液パージ時に開かれていた第3の開閉手段25は引き続き開かれている。一方、液パージ時に開かれていた第2の開閉手段21、及び第4、第5の開閉手段23、29が閉じられ、液パージ時に閉じられていた第6の開閉手段27が開かれる。また、インタンクフィードポンプ2の駆動は停止される。
この状態では、高圧ポンプ5、コモンレール10、及びインジェクタ13は減圧されたパージタンク9と連通した状態となるため、内部に残留していた微量の液化ガス燃料が気化されて、第3のパージ用通路26を介して、パージタンク9内に回収される。
本実施形態の例では、上述の液パージ時において大部分の液化ガス燃料が回収されているために、気化パージ時にパージタンク9にかかる負担が最小限に抑えられるようになっている。したがって、小型のパージタンク9を用いた場合であっても、気化パージに要する時間が短縮されるようになる。
本実施形態の例では、上述の液パージ時において大部分の液化ガス燃料が回収されているために、気化パージ時にパージタンク9にかかる負担が最小限に抑えられるようになっている。したがって、小型のパージタンク9を用いた場合であっても、気化パージに要する時間が短縮されるようになる。
気化パージの終了時には、高圧ポンプ5、コモンレール10、及びインジェクタ13の内部からほぼすべての液化ガス燃料がパージされた状態となっている。したがって、次回のエンジン始動時までに、燃料タンク1やパージタンク9以外のシステム内に残留していた液化ガス燃料が漏出することが防止され、次回のエンジン始動時の異常燃焼や燃料の利用効率の低下が防止される。
[第2の実施の形態]
本発明にかかる第2の実施の形態は、第1の実施の形態で説明した内燃機関の液化ガス燃料供給装置を用いて行われる内燃機関の強制停止方法である。
高速道路等、複数の車両が高速で走行しているような状態でエンジンの異常が発生した場合、即エンジンを停止すると追突等の大事故につながるおそれがあるため、通常、運転者はブレーキングで制動しながら車両を安全な場所に移動し、エンジンを停止させる動作を行う。このとき、エンジンあるいはその制御系の異常でエンジンを停止させられない場合に、何らかの強制停止手段が必要となる場合がある。本実施形態は、そのような場合に行われる内燃機関の強制停止方法である。
本発明にかかる第2の実施の形態は、第1の実施の形態で説明した内燃機関の液化ガス燃料供給装置を用いて行われる内燃機関の強制停止方法である。
高速道路等、複数の車両が高速で走行しているような状態でエンジンの異常が発生した場合、即エンジンを停止すると追突等の大事故につながるおそれがあるため、通常、運転者はブレーキングで制動しながら車両を安全な場所に移動し、エンジンを停止させる動作を行う。このとき、エンジンあるいはその制御系の異常でエンジンを停止させられない場合に、何らかの強制停止手段が必要となる場合がある。本実施形態は、そのような場合に行われる内燃機関の強制停止方法である。
図8は、本実施形態の内燃機関の強制停止方法のフローを示している。
まず、ステップS1で、運転者によってエンジンの異常が検知される。このステップS1では、運転者自身がエンジンの異常を感じた場合だけでなく、車両に備えられたエンジンの異常を示す警告灯や警告音によって知らされる場合もある。エンジンの異常を感知するとステップS2において運転者はブレーキングにより制動しながら車両を安全な場所に退避させる。
まず、ステップS1で、運転者によってエンジンの異常が検知される。このステップS1では、運転者自身がエンジンの異常を感じた場合だけでなく、車両に備えられたエンジンの異常を示す警告灯や警告音によって知らされる場合もある。エンジンの異常を感知するとステップS2において運転者はブレーキングにより制動しながら車両を安全な場所に退避させる。
次いで、ステップS3でイグニッションスイッチをオフにし、ステップS4でエンジンが停止したか否かの判別を行う。エンジンが停止した場合には停止動作を終了させる一方、エンジンが停止しなかった場合にはステップS5に進み、エンジンの強制終了動作を実行する。具体的には、第1の実施の形態の図5で示す通常の運転状態から、図7で示すように、燃料タンク2から高圧ポンプ5に通じる燃料供給通路18に備えられた第1の開閉手段19及び燃料タンク2の気相部分とコモンレール10との間に接続された気相導入通路20に備えられた第2の開閉手段21を閉じる一方、第1の開閉手段19よりも高圧ポンプ5側の燃料供給通路18とコモンレール10との間に接続された第2のパージ用通路22に備えられた第3の開閉手段25及び第3のパージ用通路26に備えられた第6の開閉手段27を開き、気化パージを行う。
その結果、しばらくすると、高圧ポンプ5及びコモンレール10、燃料噴射部13内から液化ガス燃料が回収されるために、内燃機関に液化ガス燃料が供給されなくなり、内燃機関が強制的に停止させられ(ステップS6)、エンジンの強制停止動作が終了する。
その結果、しばらくすると、高圧ポンプ5及びコモンレール10、燃料噴射部13内から液化ガス燃料が回収されるために、内燃機関に液化ガス燃料が供給されなくなり、内燃機関が強制的に停止させられ(ステップS6)、エンジンの強制停止動作が終了する。
ステップS5において気化パージを行うタイミングは、運転者の状況判断に拠るところが大きく、手動でのスイッチ制御とすることが好ましいが、強制停止を行う時期をあらかじめ定義し、そのような条件を満たすときに自動で行われるようにするように構成してもよい。
Claims (9)
- 燃料タンク内の液化ガス燃料をフィードポンプによって高圧ポンプへ送り、当該高圧ポンプで前記液化ガス燃料を高圧化して内燃機関の燃料噴射部が接続されたコモンレールに圧送し、前記燃料噴射部から前記内燃機関に前記液化ガス燃料を供給する液化ガス燃料供給装置において、
前記フィードポンプと前記高圧ポンプとは燃料供給通路で接続されるとともに、前記燃料供給通路には第1の開閉手段が備えられ、
前記燃料タンクの気相部分と前記コモンレールとは気相導入通路で接続されるとともに、前記気相導入通路には第2の開閉手段が備えられ、
前記第1の開閉手段よりも前記高圧ポンプ側の燃料供給通路と前記コモンレールとはパージ用通路で接続されるとともに、前記パージ用通路には第3の開閉手段が備えられ、かつ、
前記気相導入通路から前記液化ガス燃料の気体成分を導入させながら、前記高圧ポンプ、前記コモンレール及び前記燃料噴射部内の前記液化ガス燃料を前記燃料タンク内に回収するための液パージ手段と、
前記液パージ手段の動作後に、前記高圧ポンプ、前記コモンレール及び前記燃料噴射部内に残留する液化ガス燃料を気化させて回収するための気化パージ手段と、
を備えることを特徴とする内燃機関の液化ガス燃料供給装置。 - 前記液パージ手段は、前記高圧ポンプ、前記コモンレール及び前記燃料噴射部内の液化ガス燃料を吸引するための吸引手段を含み、前記吸引手段によって前記液化ガス燃料を吸引するとともに、前記気相導入通路から導入される気体成分と置換させながら、前記液化ガス燃料が前記燃料タンク内に回収されるように構成されることを特徴とする請求の範囲の第1項に記載の内燃機関の液化ガス燃料供給装置。
- 前記燃料供給通路の途中から分岐して前記燃料タンクに接続された燃料循環通路を備えるとともに、前記燃料循環通路には前記吸引手段としてのアスピレータが配設され、
前記高圧ポンプと前記アスピレータとは液パージ用通路で接続されており、
前記フィードポンプによって送られた前記液化ガス燃料を、前記アスピレータを介してそのまま前記燃料タンクへ環流させることにより、前記高圧ポンプ、前記コモンレール及び前記燃料噴射部内の前記液化ガス燃料が吸引されて前記燃料タンクに回収されるように構成されることを特徴とする請求の範囲の第2項に記載の内燃機関の液化ガス燃料供給装置。 - 前記気化パージ手段は低圧タンクを含み、前記液パージ手段の動作後に、前記高圧ポンプと前記低圧タンクとを気化パージ用通路を介して連通させることによって、前記残留する液化ガス燃料が回収されるように構成されることを特徴とする請求の範囲の第1項〜第3項のいずれか一項に記載の内燃機関の液化ガス燃料供給装置。
- 前記第3の開閉手段は、前記液パージ手段及び前記気化パージ手段を動作させる際に開かれるとともに、前記内燃機関の始動前の前記液化ガス燃料充填時にも開かれることを特徴とする請求の範囲の第1項〜第4項のいずれか一項に記載の内燃機関の液化ガス燃料供給装置。
- 前記第2の開閉手段は、前記液パージ手段を動作させる際には開かれる一方、前記気化パージ手段を動作させる際には閉じられることを特徴とする請求の範囲の第1項〜第6項のいずれか一項に記載の内燃機関の液化ガス燃料供給装置。
- 前記気相導入通路の前記第2の開閉手段と前記コモンレールとの間に、前記第2の開閉手段側への前記液化ガス燃料の流れを止める逆止弁を備えることを特徴とする請求の範囲の第1項〜第6項のいずれか一項に記載の内燃機関の液化ガス燃料供給装置。
- 燃料タンク内の液化ガス燃料をフィードポンプによって高圧ポンプへ送り、当該高圧ポンプで前記液化ガス燃料を高圧化して内燃機関の燃料噴射部が接続されたコモンレールに圧送し、前記燃料噴射部から前記内燃機関に前記液化ガス燃料を供給する液化ガス燃料供給装置におけるエンジン停止時の液化ガス燃料の回収方法において、
前記フィードポンプと前記高圧ポンプとは燃料供給通路で接続されるとともに、前記燃料供給通路には第1の開閉手段が備えられ、
前記燃料タンクの気相部分と前記コモンレールとは気相導入通路で接続されるとともに、前記気相導入通路には第2の開閉手段が備えられ、
前記第1の開閉手段よりも前記高圧ポンプ側の燃料供給通路と前記コモンレールとはパージ用通路で接続されるとともに、前記パージ用通路には第3の開閉手段が備えられ、
前記第1の開閉手段を閉じる一方、前記第2の開閉手段及び前記第3の開閉手段を開き、前記気相導入通路から前記液化ガス燃料の気体成分を導入させながら、前記高圧ポンプ、前記コモンレール及び前記燃料噴射部内の前記液化ガス燃料を前記燃料タンク内に回収する液パージを行った後、
前記第2の開閉手段をさらに閉じ、前記高圧ポンプ、前記コモンレール及び前記燃料噴射部内に残留する液化ガス燃料を気化させて回収する気化パージを行うことを特徴とする液化ガス燃料の回収方法。 - 燃料タンク内の液化ガス燃料をフィードポンプによって高圧ポンプへ送り、当該高圧ポンプで前記液化ガス燃料を高圧化して内燃機関の燃料噴射部が接続されたコモンレールに圧送し、前記燃料噴射部から前記内燃機関に前記液化ガス燃料を供給する液化ガス燃料供給装置を備えた内燃機関の強制停止方法において、
前記フィードポンプと前記高圧ポンプとは燃料供給通路で接続されるとともに、前記燃料供給通路には第1の開閉手段が備えられ、
前記燃料タンクの気相部分と前記コモンレールとは気相導入通路で接続されるとともに、前記気相導入通路には第2の開閉手段が備えられ、
前記第1の開閉手段よりも前記高圧ポンプ側の燃料供給通路と前記コモンレールとはパージ用通路で接続されるとともに、前記パージ用通路には第3の開閉手段が備えられており、
前記内燃機関の異常時に、前記内燃機関のイグニッションスイッチ操作によっても前記内燃機関が停止されない場合に、前記第1の開閉手段及び前記第2の開閉手段を閉じる一方、前記第3の開閉手段を開き、前記高圧ポンプ、前記コモンレール及び前記燃料噴射部内に残留する液化ガス燃料を気化させて回収する気化パージを行うことを特徴とする内燃機関の強制停止方法。
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