JP2010070395A - 超高強度コンクリート用水硬性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】遠心成形後の硬化体の仕上がり性と硬化強度を向上できる超高強度コンクリート用水硬性組成物を提供する。
【解決手段】セメント、無機粉末、細骨材、粗骨材、特定の分散剤組成物、及び水を含有し、W/Pが10〜14.5重量%、S/aが20〜33体積%、初期スランプ値が0〜5cmである、超高強度コンクリート用水硬性組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、超高強度コンクリート用水硬性組成物、遠心成形超高強度コンクリート硬化体の製造方法及び遠心成形超高強度コンクリート硬化体に関する。
コンクリート製品や土木、建築構造物には、コンクリートを型枠に注入しながら内部又は外部振動機で締め固めるものや、パイル、ポール、ヒューム管のように遠心締め固めにより得られる製品がある。このうち、遠心成形製品、例えば、パイルに代表される中空遠心成形製品の製造では、筒状の型枠にコンクリートを打ち込んだ後、遠心成形機で型枠を回転させ、遠心力を利用してコンクリートを締め固めることで製造される。
遠心成形によるコンクリートの製品の製造は、コンクリート中の余分な水分が絞り出され、水/水硬性粉体比が小さく、高強度の製品を製造する方法としては適しているとされているが、今日では、建造物の高耐久化、高層化及び工期短縮化の観点から、地盤整備に使用されるパイル等の遠心成形製品の高強度化がよりいっそう求められている。そのため、型枠に投入するフレッシュ状態でのコンクリートも、水/水硬性粉体比をより小さくすることが望まれるが、水/水硬性粉体比を小さくすると、スランプ値、粘性等の作業性に影響する物性を適切に保つことが困難となる。また、一般に、遠心成形用のコンクリートのスランプ値に関しては、遠心成形体の内壁面を平滑に仕上げるために必要な遠心締固性の観点からは、スランプ値をあまり大きく設定できず、また、ジャンカ発生等の充填性低下を抑制する観点からは、スランプ値をあまり小さくすることができないとされている。
特許文献1には、1日蒸気養生強度試験値が100N/mm2以上(要件1)、水硬性組成物の初期スランプ値が0〜2cm(要件2)、水/粉体重量比が10〜22%(要件3)、粉体の重量が450〜1000kg/m3(要件4)を満たす水硬性組成物が、超高強度の遠心成形硬化体を製造するのに好適であることが記載されている。
一方、従来、セメント分散剤として、不飽和ポリアルキレングリコールエステル系単量体を用いた共重合体を用いることも知られている。特許文献2には、特定の不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体とアクリル酸とを用いた共重合体が記載されている。また、特許文献3には、特定のアルケニルエーテルとマレイン酸との共重合体と、他の共重合体とを併用したコンクリート混和剤が記載されている。
特開2006−36629号公報 特開2002−121056号公報 特開2001−172068号公報
遠心成形コンクリートでは、一般的に、水/水硬性粉体比が低い場合にはスランプ値が大きいほど充填性が向上すると考えられている。単にスランプ値を大きくする目的であれば、例えば、セメント系分散剤添加量の増加などにより達成できる。しかしながら、従来知られている手法で水/水硬性粉体比が低い系のスランプ値を大きく調整しても、遠心成形によるコンクリート製品の仕上がり性や硬化強度を満足することは困難であった。つまり、コンクリート製品として満足できる仕上がり性や硬化強度を提供できるスランプ値の領域は、水/水硬性粉体比が低い遠心成形コンクリートでは、狭い範囲に限定されるのが実情であった。特許文献1では、ゼロスランプ域のフレッシュ状態を有する水硬性組成物を遠心成形の初期を比較的小さな遠心力で成形することで、充填性の高い遠心成形硬化体を製造するものであるが、フレッシュコンクリートを型枠に充填する際の作業性向上の観点からは、フレッシュ状態でのスランプ値は大きくできることが望ましい。一方、引用文献2では、上述したような遠心成形用の水硬性組成物の問題について全く言及されていない。
本発明の課題は、超高強度コンクリートから特に遠心成形によりコンクリート硬化体を製造するにあたり、遠心成形後脱型時の硬化体(コンクリート製品)の仕上がり性と硬化強度を向上できる超高強度コンクリート用水硬性組成物、該組成物を遠心成形する超高強度コンクリート硬化体の製造方法及び遠心成形超高強度コンクリート硬化体を提供することである。
本発明は、セメント、無機粉末、細骨材、粗骨材、分散剤組成物、及び水を含有し、W/Pが10〜14.5重量%、S/aが20〜33体積%、初期スランプ値が0〜5cmである、超高強度コンクリート用水硬性組成物であって、
前記分散剤組成物が、下記(A)成分と、下記(B)〜(D)成分から選ばれる1種以上の成分とを、(A)/〔(B)+(C)+(D)〕=20/80〜80/20の重量比で含有する分散剤組成物である、超高強度コンクリート用水硬性組成物に関する。
<(A)成分>
下記一般式(1)で示されるアルケニルエーテル(A1)とアクリル酸(A2)との共重合体又はその塩であって、該共重合体又はその塩における構成単位のモル比(A2)/(A1)が95/5〜50/50である共重合体又はその塩
1a‐O(AO)n1‐R2a (1)
〔式中、R1aは炭素数2〜4のアルケニル基、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、平均付加モル数n1は20〜120の数、R2aは炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子を示す。〕
<(B)成分>
下記一般式(B1)で示される単量体1と、下記一般式(B2)で示される単量体2と、下記一般式(B3)で示される単量体3とを、pH7以下で共重合して得られるリン酸エステル系共重合体又はその塩
Figure 2010070395
〔式中、R1b及びR2bは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基、R3bは水素原子又は−(CO)pO(A2O)n2X、A2Oは炭素数2〜4のオキシアルキレン基又はオキシスチレン基、pは0又は1の数、n2はA2Oの平均付加モル数であり、3〜200の数、Xは水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基を表す。〕
Figure 2010070395
〔式中、R4bは水素原子又はメチル基、R5bは炭素数2〜12のアルキレン基、m1は1〜30の数、Mは水素原子、アルカリ金属又はアルカリ土類金属(1/2原子)を表す。〕
Figure 2010070395
〔式中、R6b及びR8bは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基、R7b及びR9bは、それぞれ独立に炭素数2〜12のアルキレン基、m2及びm3は、それぞれ独立に1〜30の数、Mは水素原子、アルカリ金属又はアルカリ土類金属(1/2原子)を表す。〕
<(C)成分>
下記一般式(C1−1)で示される単量体(c1)と、下記一般式(C1−2)で示される単量体及び下記一般式(C1−3)で示される単量体から選ばれる単量体(c2)とを構成単位として含む共重合体又はその塩
Figure 2010070395
〔式中、
R1c、R2c:水素原子又は−CH3
R3c:水素原子又は−COO(A3O)n3X1
A3:炭素数2〜4のアルキレン基
X1:水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基
m4:0〜2の数
n3:2〜300の数
を示す。〕
Figure 2010070395
〔式中、
R4c、R5c、R6c:同一でも異なっていてもよく、水素原子、−CH3又は(CH2)rCOOM2であり、(CH2)rCOOM2はCOOM1又は他の(CH2)rCOOM2と無水物を形成していてもよく、その場合、それらの基のM1、M2は存在しない。
M1、M2:水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基又は置換アルキルアンモニウム基
r:0〜2の数
を示す。〕
Figure 2010070395
〔式中、
R7c:水素原子又は−CH3
Z1:水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基又は置換アルキルアンモニウム基
を示す。〕
<(D)成分>
下記一般式(D1)で示されるアルケニルエーテルとマレイン酸及び/又はマレイン酸無水物との共重合体又はその塩
1d‐O(A4O)n4‐R2d (D1)
〔式中、R1dは炭素数2〜4のアルケニル基、A4Oは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、平均付加モル数n4は5〜200の数、R2dは炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子を示す。〕
また、本発明は、上記本発明の超高強度コンクリート用水硬性組成物を遠心成形して超高強度コンクリート硬化体を製造する、遠心成形超高強度コンクリート硬化体の製造方法に関する。
また、本発明は、上記本発明の製造方法により得られる圧縮強度(24時間後)が140N/mm2以上の遠心成形超高強度コンクリート硬化体に関する。
本発明によれば、遠心成形後の超高強度コンクリート硬化体の仕上がり性と硬化強度を向上できる超高強度コンクリート用水硬性組成物、該組成物を遠心成形する超高強度コンクリート硬化体の製造方法及び遠心成形超高強度コンクリート硬化体が提供される。
本発明は、セメント、無機粉末、細骨材、粗骨材、特定の分散剤組成物、及び水を含有し、W/Pが10〜14.5重量%、S/aが20〜33体積%、初期スランプ値が0〜5cmである、超高強度コンクリート用水硬性組成物に関する。
本発明において、W/Pは、いわゆる水/水硬性粉体比であり、超高強度コンクリート中の水(W)と水硬性粉体(P)の重量百分率(重量%)、すなわち、(W/P)×100で算出されるものである。なお、超高強度コンクリート用水硬性組成物の調製に用いた無機粉末のうち、水硬性粉末に該当する粉末、例えば、シリカフューム、高炉スラグ、フライアッシュ、石灰石微粉末等の混和材料は、それらの重量もPの重量に算入するものとする。ここで、水硬性粉体とは、水と反応して硬化する性質をもつ粉体、及び単一物質では硬化性を有しないが、2種以上を組み合わせると水を介して相互作用により水和物を形成し硬化する粉体のことである。
また、本発明において、S/aは、超高強度コンクリート用組成物に用いた骨材中の細骨材(S)の体積百分率(体積%)、すなわち、粗骨材(G)との合計に対する細骨材(S)比率であり、〔S/(S+G)〕×100で算出されるものである。
〔セメント〕
本発明に用いられるセメントとしては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、エコセメント(例えばJIS R5214等)が挙げられる。
〔無機粉末〕
本発明において、無機粉末とは、セメント以外の水硬性粉体と非水硬性粉体を意味する。本発明に用いられる無機粉末としては、高炉スラグ、フライアッシュ、シリカフューム等のセメント以外の水硬性粉体や、石灰石微粉末等の非水硬性粉体が挙げられる。なかでも、シリカフュームが好ましい。なお、これら無機粉末がセメントと混合されたシリカフュームセメントや高炉セメントを、セメントと無機粉末として使用してもよい。
〔細骨材及び粗骨材〕
本発明に用いられる細骨材としては、山砂、陸砂、川砂、砕砂が好ましく、粗骨材としては、山砂利、陸砂利、川砂利、砕石が好ましい。用途によっては、軽量骨材を使用してもよい。なお、細骨材、粗骨材、軽量骨材の用語は、「コンクリート総覧」(1998年6月10日、技術書院発行)による。
〔分散剤組成物〕
本発明に用いられる分散剤組成物は、上記(A)成分と、上記(B)〜(D)成分から選ばれる1種以上の成分とを、(A)/〔(B)+(C)+(D)〕=20/80〜80/20の重量比で含有する。以下、(A)〜(D)成分について説明する。
なお、以下、(A)〜(D)成分について、共重合体という表記には、塩を含む場合もある。
<(A)成分>
本発明の(A)成分を構成するアルケニルエーテルの一般式(1)に於いて、R1aで示される炭素数2〜4のアルケニル基として好ましくは、ビニル基、アリル基、メタリル基等であるが、中でもアリル基が反応性の点で好ましい。なお、一般式(1)中のR1aが炭素数2〜4のものは、本発明の効果が十分得られる上に、起泡連行性も適切となる。R2aは炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル、エチル、プロピル基等が挙げられる。特にメチル基が好ましい。
アルキレンオキシドの平均付加モル数n1は、20〜120の範囲であり、30〜120が好ましく、アルキレンオキシドはエチレンオキシドが好ましい。この範囲内で水硬性組成物が物理的な攪拌力や温度による影響を受けにくく、安定した流動性を得ることができる。
本発明の(A)成分は、これら一般式(1)で表される単量体(A1)とアクリル酸(A2)との共重合体又はその塩であり、これらのモル比、すなわち該共重合体又はその塩における構成単位のモル比は、(A2)/(A1)=95/5〜50/50であり、好ましくは90/10〜70/30である。かかる(A)成分の製造方法としては、特開2002−121056号等記載の方法が挙げられる。塩はアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩などが挙げられる。
また、(A)成分の好ましい重量平均分子量は、水硬性組成物の減水性の点から、10000〜100000、更には20000〜70000である。この重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定されたものである。
(A)成分は2種以上を併用することができ、その場合、それぞれの製造に用いた一般式(1)のアルケニルエーテルのn1が10以上相違するものを併用することが好ましい。このようなn1が10以上相違するアルケニルエーテルを用いた共重合体を2種併用する場合の重量比は、20/80〜80/20の範囲が好ましい。なお、3種以上の共重合体を併用することもでき、その場合は全てのアルケニルエーテルのn1が互いに10以上相違することが好ましい。
<(B)成分>
(B)成分は、上記単量体1と、上記単量体2及び上記単量体3を含む混合単量体とを、pH7以下で共重合して得られるリン酸エステル系重合体又はその塩である。(B)成分は特開2006−52381号公報に記載の公知の化合物である。(A)成分との併用において、(B)成分は、作業性(成形可能なスランプ値の管理範囲、及び型枠への充填性)の観点から好ましい共重合体である。
i)単量体1
単量体1について、一般式(B1)中のR1bは水素原子が好ましく、A2Oは炭素数2〜4のオキシアルキレン基が好ましく、オキシエチレン基(以下、EO基という)を含むことがより好ましく、EO基が70モル%以上、更に80モル%以上、更に90モル%以上、より更に全A2OがEO基であることが好ましい。また、Xは水素原子又は炭素数1〜18、更に1〜12、更に1〜4、更に1又は2のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。具体的には、ω−メトキシポリオキシアルキレンメタクリル酸エステル、ω−メトキシポリオキシアルキレンアクリル酸エステル等を挙げることができ、ω−メトキシポリオキシアルキレンメタクリル酸エステルがより好ましい。ここで、一般式(B1)中のn2は、重合体の水硬性組成物に対する分散性と低粘性付与効果の点で、3〜200であり、好ましくは4〜120である。また、平均n2個の繰り返し単位中にA2Oが異なるもので、ランダム付加又はブロック付加又はこれらの混在を含むものであっても良い。A2Oは、EO基以外にもオキシプロピレン基等を含むことができる。
ii)単量体2
単量体2としては、リン酸モノ(2−ヒドロキシエチル)メタクリル酸エステル、リン酸モノ(2−ヒドロキシエチル)アクリル酸エステル、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートアシッドリン酸エステル等が挙げられる。中でも、製造の容易さ及び製造物の品質安定性の観点から、リン酸モノ(2−ヒドロキシエチル)メタクリル酸エステルが好ましい。
iii)単量体3
単量体3としては、リン酸ジ−〔(2−ヒドロキシエチル)メタクリル酸〕エステル、リン酸ジ−〔(2−ヒドロキシエチル)アクリル酸〕エステル等が挙げられる。中でも、製造の容易さ及び製造物の品質安定性の観点から、リン酸ジ−〔(2−ヒドロキシエチル)メタクリル酸〕エステルが好ましい。
単量体2及び単量体3の何れも、これらの化合物のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩などであっても良い。
単量体2のm1並びに単量体3のm2及びm3は、水硬性組成物の分散性の観点から、それぞれ1〜20が好ましく、1〜10が更に好ましく、1〜5がより好ましい。
単量体2及び単量体3として、これらを含む混合単量体を用いることができる。すなわち、モノエステル体とジエステル体とを含む市販品を使用することができ、例えば、ホスマーM、ホスマーPE、ホスマーP(ユニケミカル)、JAMP514、JAMP514P、JMP100(何れも城北化学)、ライトエステルP−1M、ライトアクリレートP−1A(いずれも共栄社化学)、MR200(大八化学)、カヤマー(日本化薬)、Ethyleneglycol methacrylate phosphate(アルドリッチ試薬)などとして入手できる。
本発明の(B)成分であるリン酸エステル系重合体は、重量平均分子量(Mw)が10,000〜150,000であることが好ましい。また、Mw/Mnが1.0〜2.6であることが好ましい。ここでMnは数平均分子量である。水硬性組成物の分散効果の発現や粘性低減効果の観点から、Mwが10,000以上が好ましく、より好ましくは12,000以上、更に好ましくは13,000以上、更に好ましくは14,000以上、より更に好ましくは15,000以上で、架橋による高分子量化やゲル化の抑制、及び水硬性組成物の分散効果や粘性低減効果の観点から、150,000以下が好ましく、より好ましくは130,000以下、更に好ましくは120,000以下、更に好ましくは110,000以下、より更に好ましくは100,000以下であり、従って、前記両者の観点から、好ましくは12,000〜130,000、より好ましくは13,000〜120,000、更に好ましくは14,000〜110,000、より更に好ましくは15,000〜100,000である。この範囲のMwを有し、かつMw/Mnが1.0〜2.6であることが好ましい。ここに、Mw/Mnの値は分子量分布の分散度を示し、1に近いほど分子量分布が単分散に近づき、1から離れる(大きくなる)ほど分子量分布が広くなることを意味する。
上記のようなMw/Mn値を持つ本発明に係るリン酸エステル系重合体は、ジエステル構造に基づく分岐構造を有する重合体でありながら、分子量分布が非常に狭いという大きな特徴がある。このような本発明のリン酸エステル系重合体は後述する製造方法により好適に製造できる。
上記のような本発明に係るリン酸エステル系重合体のMw/Mnは、実用的な水硬性組成物の製造容易性、分散性、粘性低減効果、及び材料、温度に対する汎用性を確保する観点から、1.0以上であり、水硬性組成物の分散性及び粘性低減効果を両立する観点から、2.6以下であり、好ましくは2.4以下、より好ましくは2.2以下、更に好ましくは2.0以下、より更に好ましくは1.8以下であり、前記2点を総合した観点から、好ましくは1.0〜2.4、より好ましくは1.0〜2.2、更に好ましくは1.0〜2.0、より更に好ましくは1.0〜1.8である。
本発明に係るリン酸エステル系重合体のMw及びMnは、特開2006−52381号公報記載のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定されたものである。なお、本発明におけるリン酸エステル系重合体のMw/Mnは、該重合体のピークに基づいて算出されたものとする。
上記のようなMw/Mnを満たすリン酸エステル系重合体は、ジエステル体である単量体3による架橋を抑制することにより適度な分岐構造となり、分子内に密に吸着基が存在する構造を形成するものと考えられる。また分散度Mw/Mnを所定範囲に抑制することで同一サイズの分子が単分散した系に近づくため、吸着対象物質(例えばセメント粒子)に対する吸着量も多くすることが可能と考えられる。この両者を満足することで、セメント粒子等の吸着対象物質に密にパッキングすることが可能となり、水硬性組成物の分散性と粘性低減効果の両立に有効であると推定している。
また、上記条件でのGPC法で得られる分子量分布を示すチャートのパターンにおいて、分子量10万以上の面積が当該チャート全体の面積の5%以下であることが、水硬性組成物の分散性(必要添加量低減)や粘性低減効果の点でより好ましい。
なお、本発明に係るリン酸エステル系重合体は、下記条件の1H−NMRにより、単量体由来の二重結合が消失していることから、単量体1、2及び3にそれぞれ由来する構成単位を有すると推定される。
iv)1H−NMR条件
水に溶解した重合体を減圧乾燥したものを3〜4重量%の濃度で重メタノールに溶解し、1H−NMRを測定する。二重結合の残存率は、5.5〜6.2ppmの積分値により求めることができる。なお、1H−NMRの測定は、Varian社製「Mercury 400 NMR」を用い、データポイント数42052、測定範囲6410.3Hz、パルス幅4.5μs、パルス待ち時間10s、測定温度25.0℃の条件で行った。
すなわち、上記のようなMw/Mn値を持つリン酸エステル系重合体は、その構成単位として、単量体1由来の構成単位、単量体2由来の構成単位及び単量体3由来の構成単位を含む。これらの構成単位は、単量体1、2、及び3のエチレン性不飽和結合が開裂して付加重合することにより重合体中に取り込まれた各単量体由来の構成単位である。重合体中のこれら構成単位の比率は、仕込み比率に依存し、共重合に用いる単量体が単量体1〜3のみの場合、各構成単位のモル比は、単量体の仕込みモル比とほぼ一致すると考えられる。
v)リン酸エステル系重合体の製造方法
(B)成分は、公知の方法で製造することができる、例えば、特開2006−52381号公報に記載の方法が挙げられる。
本発明では(B)成分は、2種以上、更に3種以上を用いることができる。(B)成分を複数選択する基準は、水硬性組成物の組成、構成材料、性能等によるが、例えば、一般式(B1)で表される単量体1の割合が単量体の総量中1〜55モル%の共重合体(B1a)と、単量体1の割合が単量体の総量中55モル%超の共重合体(B1b)とを含む組み合わせが望ましい。更に、(B1a)、(B1b)に加えて第3の共重合体を選択する場合、つまり全部で3種の共重合体を用いる場合は、(B1b)が2種となるようにすることが好ましく、更に(B1b)の1つ(第2の共重合体)が、単量体1の割合が単量体の総量中55モル%超65モル%以下の共重合体であり、(B1b)のもう1つ(第3の共重合体)が、単量体1の割合が単量体の総量中65モル%超の共重合体であることが好ましい。
<(C)成分>
(C)成分は、上記一般式(C1−1)で示される単量体(c1)と、上記一般式(C1−2)で示される単量体及び上記一般式(C1−3)で示される単量体から選ばれる単量体(c2)とを構成単位として含む共重合体又はその塩である。(A)成分との併用において、(C)成分は、作業性(成形可能なスランプ値の範囲)の観点から好ましい共重合体である。(C)成分は、(C)成分を含む混和剤、例えば水硬性組成物用分散剤として入手できるものを使用できる。
式(C1−1)中のn3個のアルキレングリコールA3Oは、同一でも異なっていてもよく、異なる場合はランダム付加でも、ブロック付加でも良い。
ポリアルキレングリコールの重合効率及びセメント分散性の観点から、その付加モル数n3は2〜300であることが必要で、2〜150が好ましく、2〜130がより好ましい。
単量体(c1)の具体例として、メトキシポリエチレングリコール、メトキシポリプロピレングリコール、エトキシポリエチレンポリプロピレングリコール等の片末端低級アルキル基封鎖ポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸、マレイン酸との(ハーフ)エステル化物や、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、(メタ)アリルアルコールへのエチレンオキシド、プロピレンオキシド付加物が好ましく用いられ、一般式(C1−1)中のR3cは水素原子が好ましく、m4は0が好ましい。アルキレンオキシド(式(C1−1)中のA3O基)はオキシエチレン基が好ましい。より好ましくはアルコキシ、更に好ましくはメトキシポリエチレングリコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物である。一般式(C1−1)中のX1はメチル基が好ましい。
式(C1−2)で表される単量体として、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等の不飽和モノカルボン酸系単量体、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸系単量体、又はこれらの塩、例えばアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等が挙げられ、好ましくは、(メタ)アクリル酸又はこれらのアルカリ金属塩である。
式(C1−3)で表される単量体として、(メタ)アリルスルホン酸又はこれらの塩、例えばアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等が挙げられる。
単量体(c2)は、共重合体の分子量制御の観点より、実質的に式(C1−2)で表される単量体のみを使用することが更に好ましい。
(C)成分を構成する単量体混合物中の単量体(c1)と単量体(c2)の合計量は50重量%以上、更には80重量%以上、更には実質的に100重量%が好ましい。単量体(c1)と単量体(c2)以外の共重合可能な単量体として、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリルアミド、スチレンスルホン酸等が挙げられる。
また、(C)成分は、単量体(c1)と単量体(c2)のモル比が、(c1)/(c2)=5/95〜50/50、更に10/90〜40/60であることが好ましい。
(C)成分は、公知の方法で製造することができる。例えば、特開平11−157897号公報の溶液重合法が挙げられ、水や炭素数1〜4の低級アルコール中、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等の重合開始剤存在下、要すれば、亜硫酸ナトリウムやメルカプトエタノール等を添加し、50〜100℃で0.5〜10時間反応させればよい。
(C)成分は、重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法/標準物質ポリスチレンスルホン酸ナトリウム換算/水系)が10000〜100000、更に10000〜80000の範囲が好ましい。
なお、(C)成分を含む水硬性組成物用分散剤を用いる場合は、該分散剤は、(C)成分を、好ましくは1〜50重量%、更に好ましくは10〜40重量%、より好ましくは20〜30重量%含有する。また、(C)成分が、本発明に係る分散剤組成物中、好ましくは10〜45重量%、更に好ましくは10〜40重量%、より好ましくは20〜30重量%の含有量となるように前記分散剤を用いることが好ましい。一般に、該分散剤の残部は、水、消泡剤、その他成分である。
<(D)成分>
(D)成分は、上記一般式(D1)で示されるアルケニルエーテルとマレイン酸及び/又はマレイン酸無水物との共重合体又はその塩である。(A)成分との併用において、(D)成分は、作業性(成形可能なスランプ値の範囲、および型枠への充填性)の観点から好ましい共重合体である。
(D)成分を構成するアルケニルエーテルの一般式(D1)に於いて、R1dで示される炭素数2〜4のアルケニル基として好ましくは、ビニル基、アリル基、メタリル基等であるが、中でもアリル基が反応性の点で好ましい。なお、一般式(D1)中のR1dが炭素数2〜4、更に炭素数2のものは、(A)成分との併用において好ましい。A4Oは、炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、EO基又はオキシプロピレン基が好ましく、EO基がより好ましい。A4O基を形成するためのアルキレンオキシドのうち、エチレンオキシド(以下EOという)及び/又はプロピレンオキシド(以下POという)の付加形態は単独、ランダム、ブロック又は交互のいずれでもよい。好ましくはEO単独付加である。R2dは炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル、エチル、プロピル基等が挙げられる。特にメチル基が好ましい。
アルキレンオキシドの平均付加モル数n4は、5〜200の範囲であり、2〜90が好ましく、10〜60が更に好ましく、20〜50がより好ましい。この範囲内で水硬性組成物が物理的な攪拌力や温度による影響を受けにくく、安定した流動性を得ることができる。
本発明の(D)成分では、一般式(D1)で表される単量体(D1)と、マレイン酸及び/又はマレイン酸無水物(D2)とのモル比は、(D1)/(D2)=30/70〜70/30、更に30/70〜50/50が好ましい。
(D)成分の製造方法としては、特開平2−163108号、特開平5−345647号記載の方法が挙げられる。塩はアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩などが挙げられる。
また、(D)成分の好ましい重量平均分子量は流動性付与の点から、3000〜30万、更には5000〜10万である。この重量平均分子量の測定方法は(A)成分と同様である。
(D)成分の市販品の一例として、マリアリムEKM、マリアリムAKM(日本油脂社製)やスーパー200(電気化学社製)が挙げられる。
(D)成分は2種以上を併用することができ、その場合、それぞれの製造に用いた一般式(D1)のアルケニルエーテルのn4が10以上相違するものを併用することが好ましい。このようなn4が10以上相違するアルケニルエーテルを用いた共重合体を2種併用する場合の重量比は、20/80〜80/20の範囲が好ましい。なお、3種以上の共重合体を併用することもでき、その場合は全てのアルケニルエーテルのn4が互いに10以上相違することが好ましい。
〔分散剤組成物の組成等〕
本発明に用いられる分散剤組成物は、(A)成分を20〜80重量%、更に20〜60重量%、より更に30〜60重量%含有することが好ましい。
また、本発明に用いられる分散剤組成物が(B)成分を含有する場合、その含有量は、5〜80重量%、更に10〜60重量%、より更に20〜60重量%が好ましい。
また、本発明に用いられる分散剤組成物が(C)成分を含有する場合、その含有量は、5〜80重量%、更に10〜60重量%、より更に20〜60重量%が好ましい。
また、本発明に用いられる分散剤組成物が(D)成分を含有する場合、その含有量は、5〜80重量%、更に10〜60重量%、より更に20〜60重量%が好ましい。
また、本発明に用いられる分散剤組成物は、(B)成分、(C)成分及び(D)成分を合計で、20〜80重量%、更に20〜60重量%、より更に30〜60重量%含有することが好ましい。
また、本発明に用いられる分散剤組成物では、(A)成分と(B)〜(D)成分の合計との重量比は、減水性と作業性の両立の観点から、(A)/〔(B)+(C)+(D)〕=20/80〜80/20であり、好ましくは60/40〜40/60、より好ましくは50/50〜40/60である。
また、本発明に用いられる分散剤組成物では、(A)成分と(B)〜(D)成分との合計が、有効分中の80〜100重量%、更に90〜100重量%、より更に95〜100重量%であることが好ましい。なお、(B)〜(D)成分のなかでは、(B)成分、(D)成分が好ましく、(B)成分がより好ましい。また、(B)〜(D)成分のうち、少なくとも(B)成分を含むことが好ましい。
本発明に用いられる分散剤組成物は、その他の添加剤(材)を含有することもできる。例えば、樹脂石鹸、飽和もしくは不飽和脂肪酸、ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、ラウリルサルフェート、アルキルベンゼンスルホン酸(塩)、アルカンスルホネート、ポリオキシアルキレンアルキル(フェニル)エーテル、ポリオキシアルキレンアルキル(フェニル)エーテル硫酸エステル(塩)、ポリオキシアルキレンアルキル(フェニル)エーテルリン酸エステル(塩)、蛋白質材料、アルケニルコハク酸、α−オレフィンスルホネート等のAE剤;グルコン酸、グルコヘプトン酸、アラボン酸、リンゴ酸、クエン酸等のオキシカルボン酸系、デキストリン、単糖類、オリゴ糖類、多糖類等の糖系、糖アルコール系等の遅延剤;起泡剤;増粘剤;珪砂;AE減水剤;塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、臭化カルシウム、沃化カルシウム等の可溶性カルシウム塩、塩化鉄、塩化マグネシウム等の塩化物等、硫酸塩、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸塩、チオ硫酸塩、蟻酸(塩)、アルカノールアミン等の早強剤又は促進剤;発泡剤;樹脂酸(塩)、脂肪酸エステル、油脂、シリコーン、パラフィン、アスファルト、ワックス等の防水剤;流動化剤;ジメチルポリシロキサン系、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル系、鉱油系、油脂系、オキシアルキレン系、アルコール系、アミド系等の消泡剤;防泡剤;メラミンスルホン酸ホルマリン縮合物系、アミノスルホン酸系等の高性能減水剤;亜硝酸塩、燐酸塩、酸化亜鉛等の防錆剤;メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系、β−1,3−グルカン、キサンタンガム等の天然物系、ポリアクリル酸アミド、ポリエチレングリコール、オレイルアルコールのEO付加物もしくはこれとビニルシクロヘキセンジエポキシドとの反応物等の合成系等の水溶性高分子;(メタ)アクリル酸アルキル等の高分子エマルジョンが挙げられる。これらの成分は、(C)成分を配合する場合の水硬性組成物用分散剤に配合されていてもよい。また、本発明の水硬性組成物がこれらその他の添加剤(材)を含有することもできる。
〔超高強度コンクリート用水硬性組成物〕
本発明の超高強度コンクリート用水硬性組成物は、硬化することで超高強度コンクリートとなる水硬性組成物(フレッシュ状態の水硬性組成物)である。本発明のの超高強度コンクリート用水硬性組成物は、W/Pが10〜14.5重量%であり、11.0〜14.5重量%、更に12.0〜14.5重量%であることが好ましい。
また、本発明の超高強度コンクリート用水硬性組成物は、S/aが20〜33体積%であり、25〜33体積%であることが好ましい。S/aはコンクリート硬化体の表面性に関与し、本発明の超高強度コンクリート用水硬性組成物においては、S/aが前記範囲内にあれば、内面平滑性と端面状態が良好となり、また、圧縮強度も維持される。
本発明では、特定の分散剤組成物を特定条件で用いることで、W/Pが低い超高強度コンクリート用水硬性組成物に対して、フレッシュ状態での流動性を向上させると同時に、遠心成形後の硬化体の仕上がり性と硬化強度を向上できる。
W/Pを低くした遠心成形用水硬性組成物は、成形体の硬化硬度の向上が見込めるが、従来は、高いスランプ値を付与すると成形後の仕上がり性が損なわれ、作業性の良いものを用いることが困難であった。しかし、本発明では、特定の分散剤組成物を特定条件で用い、且つ水硬性組成物のS/aを特定範囲とすることにより、W/Pが低い遠心成形用水硬性組成物のフレッシュ状態でのスランプ値を高くしても遠心成形後の硬化体の仕上がり性は良好となるため、W/Pが低い遠心成形用水硬性組成物が本来持つ硬化強度の向上効果が十分に発現できる。なお、スランプ値を数センチメートルでも高くできることは、W/Pを低減した遠心成形用水硬性組成物においては、極めて意義のあることである。
また、本発明の超高強度コンクリート用水硬性組成物において、(A)成分は、水硬性粉体100重量部に対して0.05〜5.0重量部、更に0.1〜2.0重量部、より更に0.2〜1.0重量部の割合で用いられることが好ましい。
また、本発明の超高強度コンクリート用水硬性組成物において、(B)〜(D)成分は、それぞれ、水硬性粉体100重量部に対して0.05〜5.0重量部、更に0.1〜2.0重量部、より更に0.2〜1.0重量部の割合で用いられることが好ましい。
また、本発明の超高強度コンクリート用水硬性組成物において、(B)〜(D)成分は、合計で、水硬性粉体100重量部に対して0.05〜5.0重量部、更に0.1〜2.0重量部、より更に0.1〜1.0重量部の割合で用いられることが好ましい。
また、本発明の超高強度コンクリート用水硬性組成物において、細骨材は、水硬性粉体100重量部に対して30〜150重量部、更に30〜100重量部の割合で用いられることが好ましい。
また、本発明の超高強度コンクリート用水硬性組成物において、粗骨材は、水硬性粉体100重量部に対して100〜200重量部、更に100〜150重量部の割合で用いられることが好ましい。
本発明の超高強度コンクリート用水硬性組成物は、遠心力による締固め容易性の観点から、初期スランプ値が0〜5cmであり、とりわけ水硬性組成物の遠心成形の条件として遠心締固め開始直後に0.1〜1.5Gの加速度で1〜5分間遠心成形するような条件を採用する場合は、0〜3cmが好ましく、0〜2cmが更に好ましい。初期スランプ値は、混練後のフレッシュ状態におけるスランプ値であり、(A)成分、更には(B)〜(D)成分の種類と添加量を調節することにより調整できる。
〔遠心成形超高強度コンクリート硬化体の製造方法及び遠心成形超高強度コンクリート硬化体〕
本発明は、上記本発明の超高強度コンクリート用水硬性組成物を遠心成形して超高強度コンクリート硬化体を製造する、遠心成形超高強度コンクリート硬化体の製造方法に関するものである。その際の遠心成形の条件として、遠心締固め開始直後から、0.1〜1.5Gの加速度で1〜5分間遠心成形する工程(第1段階)を有することが好ましい。なお、通常、遠心締め固めは、混練した超高強度コンクリート用水硬性組成物を型枠に充填した後、直ちに行なわれる。また、遠心成形の間は加速度に変動があってもよいが、一定の加速度に保持されることが好ましい。
本発明の超高強度コンクリート用水硬性組成物を遠心成形して遠心成形超高強度コンクリート硬化体を得るにあたっては、遠心締固め開始後の一定時間内は、低加速度で遠心成形することが好ましい。具体的には、本発明の遠心成形超高強度コンクリート硬化体の製造方法は、該水硬性組成物の遠心成形の条件として遠心締固め開始後1〜5分間の加速度(以下、初期加速度ともいう)が0.1〜1.5Gであること、すなわち、遠心成形を、遠心締固め開始直後から0.1〜1.5Gの加速度で1〜5分間行い、好ましくは一定の加速度に保持する条件で行うことが好ましい。初期加速度は0.2〜1.0Gが好ましく、0.3〜0.8Gがより好ましく、0.4〜0.7Gが更に好ましい。遠心締固め装置によって異なるが、0Gから設定した加速度までに達する時間は通常15秒以内である。本発明では加速度を保持する時間には0G(開始)から設定した加速度に到達するまでの時間を含める。
初期加速度が前記範囲にあると、型枠内での遠心締固め性が良好で、特に、パイル等の中空の遠心管を成形する場合、水硬性組成物が円管壁に沿いより均一となり、内壁面が平滑に成形できる。
かかる低加速度で、好ましくは一定の加速度に保持して、遠心処理を行う時間は、例えば、0.5Gの場合では、4〜8分間が好ましく、5〜7分間がより好ましく、1Gの場合では、2〜7分間が好ましく、4〜6分間がより好ましい。
さらに、遠心締固め性の観点から、遠心成形時の加速は多段階で行うことが好ましく、例えば、第1段階の初期加速度による遠心後は、第2段階として、好ましくは2〜10Gで第1段階後から2〜6分間、より好ましくは3〜8Gで2〜6分間、更に好ましくは4〜6Gで3〜5分間、第3段階として、好ましくは10〜20Gで第2段階後から1〜5分間、より好ましくは12〜18Gで1〜4分間、更に好ましくは13〜17Gで2〜3分間、第4段階として、好ましくは20〜35Gで第3段階後から1〜6分間、より好ましくは22〜30Gで1〜5分間、更に好ましくは23〜28Gで1〜4分間行う4段階の工程を有することが好ましい。
本発明の超高強度コンクリート用水硬性組成物を、前述の条件で遠心成形すると、特にパイルのような中空遠心管については内壁面の厚みの変動が少なく平滑な遠心コンクリート硬化体を得ることができる。さらに、本発明の製造方法では、遠心成形後、蒸気養生することが好ましく、強度の高い、例えばコンクリートの圧縮強度(24時間後)が100N/mm2以上、更に140N/mm2以上の超高強度の遠心成形コンクリート硬化体を得るための好ましい蒸気養生条件は、以下の(I)〜(III)である。
(I)前置き:20℃、1〜4時間
(II)昇温:10〜30℃/時間
(III)保持:60〜90℃、4〜12時間
これら(I)〜(III)の後、更に以下の(IV)を行うことが好ましい。
(IV)降温:40℃以下まで、10〜20℃/時間
より好ましい蒸気養生条件は、以下の(I’)〜(IV’)である。
(I’)前置き:20℃、2〜4時間
(II’)昇温:15〜25℃/時間
(III’)保持:60〜90℃、6〜10時間
(IV’)降温:40℃以下まで、10〜20℃/時間
また、14日以降の強度を高めたい場合は、以下の蒸気養生条件(I'')〜(IV'')が好ましい。
(I'')前置き:20℃、3〜4時間
(II'')昇温:10〜20℃/時間
(III'')保持:60〜70℃、4〜6時間
(IV'')降温:40℃以下まで、10〜20℃/時間
本発明の遠心成形超高強度コンクリート硬化体は、圧縮強度(24時間)が100N/mm2以上、更に140N/mm2以上の強度を得ることができ、パイルその他の高強度を必要とする遠心成形品として好適である。また、内壁面も平滑であり品質にも優れる。なお、この圧縮強度は、セメント等の水硬性粉体に水が接触してから24時間後(接水24時間後)の強度である。また、内壁面が平滑であるとは、パイル等、管状製品では、ドーナツ状の肉厚(長手方向と直交する断面での厚み)の振れ幅(肉厚の差)が少ないことを意味する。好ましい振れ幅(肉厚の差)は、10mm以下で、より好ましくは5mm以下である。
《コンクリート材料》
下記のコンクリート材料を用いて表1の配合によりコンクリートを製造した。
W:水道水
HC:早強ポルトランドセメント〔太平洋セメント(株)〕、密度=3.14(g/cm3
SF:シリカヒューム〔花王(株)〕、密度=2.25(g/cm3)、比表面積=20000(cm2/g)
S:細骨材、中国福建省ミン江産川砂、表乾密度=2.65(g/cm3)、FM=2.90
G:粗骨材、兵庫県措赤穂産砕石、表乾密度=2.63(g/cm3)、吸水率=0.65
W/P:[W/(HC+SF)]×100(%、重量比)
S/a:[S/(S+G)]×100(%、体積比)
Figure 2010070395
《分散剤組成物》
分散剤組成物に用いた共重合体〔(A)成分及び他の共重合体〕を以下に示す。これらの共重合体を含有する分散剤組成物を使用して、以下の方法でコンクリートを製造し、各配合と遠心成形条件における初期スランプ値、内壁面の平滑性、端面状態、圧縮強度を評価した。結果を表3〜5に示す。なお、分散剤組成物は、水溶液状の組成物を水道水に溶解して投入して使用するため、表1のWは分散剤組成物の水溶液由来の水と水道水の合計を意味する。
〔(A)成分〕
・A−1:下記合成例A1により製造された共重合体
(合成例A1)
攪拌機付きガラス製反応容器(四つ口フラスコ)に、ポリオキシエチレン(EOの平均付加モル数100)アリルエーテルの65%水溶液を406g仕込み、65℃まで昇温した。そこに2%過酸化水素水溶液20.1gを滴下した。滴下後、アクリル酸38.4gを3.0時間かけて滴下し、それと同時に3−メルカプトプロピオン酸(シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社、試薬)1.26g、L−アスコルビン酸0.52g、イオン交換水33.8gを溶解した単量体混合溶液を3.5時間かけて滴下した。滴下終了後、65℃を1時間維持し反応を終了した。その後、20%水酸化ナトリウム水溶液で中和し、重量平均分子量60000の共重合体の水溶液を得た。その後、イオン交換水を用いて固形分20重量%に調整した。
〔(B)成分〕
・B−1:下記合成例B1により製造された共重合体
(合成例B1)
攪拌機付きガラス製反応容器(四つ口フラスコ)に水395gを仕込み、撹拌しながら窒素置換をし、窒素雰囲気中で80℃まで昇温した。ω−メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(EOの付加モル数23:新中村化学製NKエステルM230G)261g、ホスマーM〔2−ヒドロキシエチルメタクリレートモノリン酸エステルと2−ヒドロキシエチルメタクリレートジリン酸エステルとの混合物、ユニケミカル(株)〕67.3g、及びメルカプトプロピオン酸4.3gを水141gに溶解した混合溶液と、過硫酸アンモニウム8.0gを水45gに溶解した溶液の2者を、それぞれ別の滴下口から1.5時間かけて上記反応容器中に滴下した。その後、1時間熟成し、更に過硫酸アンモニウム1.8gを水10gに溶解した溶液を30分かけて滴下し、引き続き1.5時間熟成した。この一連の間の反応系の温度は80℃に保った。熟成終了後に40℃以下に冷却した後、30%水酸化ナトリウム水溶液66gで中和し、重量平均分子量37000の共重合体の水溶液を得た。その後、イオン交換水を用いて固形分濃度20重量%に調整した。
〔(C)成分〕
・C−1:下記合成例C1により製造された共重合体
(合成例C1)
攪拌機付きガラス製反応容器(四つ口フラスコ)に水333gを仕込み、撹拌しながら窒素置換をし、窒素雰囲気中で80℃まで昇温した。ω−メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(EOの平均付加モル数23:新中村化学製NKエステルM230G)300g、メタクリル酸(試薬:和光純薬工業(株))69.7g、及びメルカプトプロピオン酸6.3gを水200gに溶解した混合溶液と、過硫酸アンモニウム12.3gを水45gに溶解した溶液の2者を、それぞれ別の滴下口から1.5時間かけて上記反応容器中に滴下した。その後、1時間熟成し、更に過硫酸アンモニウム4.9gを水15gに溶解した溶液を30分かけて滴下し、引き続き1.5時間熟成した。この一連の間の反応系の温度は80℃に保った。熟成終了後に40℃以下に冷却した後、48%水酸化ナトリウム水溶液50.2gで中和し、重量平均分子量43000の共重合体の水溶液を得た。その後、イオン交換水を用いて固形分濃度20重量%に調整した。
〔(D)成分〕
・D−1:下記合成例D1により製造された共重合体
(合成例D1)
攪拌機付きガラス製反応容器(四つ口フラスコ)に水225g、及びポリオキシエチレン(EOの平均付加モル数25)アリルエーテル300gを仕込み、撹拌しながら窒素置換をし、窒素雰囲気中で80℃まで昇温した。マレイン酸(試薬:和光純薬工業(株)純度:99%)92.1g、及びメルカプトプロピオン酸5.6gを水266gに溶解した混合溶液と、過硫酸アンモニウム12.0gを水90gに溶解した溶液の2者を、それぞれ別の滴下口から2.5時間かけて上記反応容器中に滴下した。その後、2時間熟成し、更に過硫酸アンモニウム4.8gを水45gに溶解した溶液を60分かけて滴下し、引き続き2時間熟成した。この一連の間の反応系の温度は80℃に保った。熟成終了後に40℃以下に冷却した後、48%水酸化ナトリウム水溶液51.6gで中和し、重量平均分子量28000の共重合体の水溶液を得た。その後、イオン交換水を用いて固形分濃度20重量%に調整した。
・D−2:下記合成例D2により製造された共重合体
(合成例D2)
攪拌機付きガラス製反応容器(四つ口フラスコ)に水225g、及びポリオキシエチレン(EOの平均付加モル数30)アリルエーテル300gを仕込み、撹拌しながら窒素置換をし、窒素雰囲気中で80℃まで昇温した。マレイン酸(試薬:和光純薬工業(株)純度:99%)47.4g、及びメルカプトプロピオン酸3.7gを水137gに溶解した混合溶液と、過硫酸アンモニウム7.1gを水90gに溶解した溶液の2者を、それぞれ別の滴下口から2.5時間かけて上記反応容器中に滴下した。その後、2時間熟成し、更に過硫酸アンモニウム2.8gを水45gに溶解した溶液を60分かけて滴下し、引き続き2時間熟成した。この一連の間の反応系の温度は80℃に保った。熟成終了後に40℃以下に冷却した後、48%水酸化ナトリウム水溶液26.6gで中和し、重量平均分子量31000の共重合体の水溶液を得た。その後、イオン交換水を用いて固形分濃度20重量%に調整した。
《フレッシュコンクリートの製造条件》
混練量は、40リットルとし、以下のように製造した。
分散剤組成物と混練水以外のコンクリート材料全てを60リットル強制2軸ミキサーに投入し、30秒間混練後、分散剤組成物と混練水の混合溶液を投入し、任意の時間混練した後、排出する。混練時間については、目視判断によりコンクリートが十分に練りあがった事を確認して決定した。
《遠心成形条件》
フレッシュコンクリート15kgを、パイル製造のための筒状の遠心成形型枠(φ20cm×高さ30cm)に入れて、下記表2の条件で遠心成形を行った。すなわち、初速(第1段階)、2速(第2段階)、3速(第3段階)、4速(第4段階)の4段階に分けて加速度をかけた。
Figure 2010070395
《蒸気養生条件》
蒸気養生条件は、以下の通りとした(養生条件1とする)。
(I)前置き:20℃、3時間
(II)昇温:20℃/時間
(III)保持:80℃、8時間
(IV)降温:20℃まで、10℃/時間
《スランプ値の測定》
フレッシュコンクリート(混練直後)の初期スランプ値をJIS A 1101に従って測定した。
《内壁面の平滑性》
セメント等の水硬性粉体に水が接触してから(接水開始から)24時間後のコンクリート硬化体の上部と下部の厚み(mm)を、直交する2対角、各4個所測定し、計8箇所の厚みの変動を数値(mm)で示した。数値(mm)が小さいほど、内壁面の平滑性がよいことを意味する。
《端面状態》
セメント等の水硬性粉体に水が接触してから(接水開始から)24時間後のコンクリート硬化体の両端の露出面の状態を目視観察し、以下の基準で評価した。
合格:ジャンカが発生せず、両端面ともに平滑で均一な面を呈している
不合格:ジャンカが発生している
《圧縮強度の測定》
セメント等の水硬性粉体に水が接触してから(接水開始から)24時間後のコンクリートコンクリート硬化体の圧縮強度を、油圧式圧縮試験機(東京衡機製造(株)製:CME II−500,TK−15)により測定した。
《ペースト評価》
分散剤組成物の性能を確認するために、セメントペーストに対する分散剤組成物の評価を行った。ペースト評価は、「JIS R5201 セメントの物理試験方法」に準じて調製したセメントペーストのフロー試験により行った。その際、ペースト配合は練り水/早強ポルトランドセメント=160g/800gとし、練り混ぜ機の混練速度は低速(140rpm)とした。表3、4には、このペースト評価の結果も併せて示した。
上記ペースト評価は、各種分散剤を用いた場合のペーストの基本特性を示す指標であり、コンクリート評価と関連付けられた評価ではない。ただし、基本特性としては変化しないため、本実施例において、初期フローとタッピングフローの差(延び率)が大きいもの程、成形性が良好であると言える。
具体的な装置等の概略は以下の通りである。
・練り混ぜ機
本体 パドルに自転及びそれと逆方向の公転運動を与える電動式、自転:140±5rpm、公転:62±5rpm、
練り鉢 ステンレス製 5リットル
・フロー試験に用いた器具
フローテーブル テーブル直径:300±1mm、テーブル落差:10.0±0.5mm
コーン上部内径:70.0±0.5mm
コーン下部内径:100.0±0.5mm
コーンの高さ:60.0±0.5mm
・フロー値測定
練り混ぜ機で作製したセメントペーストをコーンの1/2の深さまで入れ突き棒で全面にわたって15回突き、不足分を補い表面をならす。直ちにコーンを正しく上方に取り去りペーストが最も広がった方向と直交する2点を測定し平均値をmmで表す(初期フロー)。測定後直ちに15秒間に15回の落下運動(タッピング)を与え上記同様に広がりを測定する(タッピングフロー)。初期フロー値とタッピングフロー値の差を「延び(mm)」とし、「延び(mm)」の初期フロー値に対する百分率〔(タッピングフロー値−初期フロー値)/初期フロー値×100〕を「延び(%)」とした。なお、練り混ぜ時間は初期フローが150±5mmとなるように調整した。
Figure 2010070395
Figure 2010070395
実施例2−1及び2−2は初速の加速度が0.7Gであり、実施例2−3の2.5Gに比べると初期加速度が低い遠心条件を採用しているものである。実施例2−1及び2−2では、内壁面平滑性が実施例2−3よりも良好となっているが、これは、実施例2−1及び2−2の遠心成形条件1、2では、初期加速度が低いことから、端面への充填性を確保しつつ、比重差によりペースト分が内壁面の肉厚方向で偏在することを抑制できるためであると考えられる。従って、本発明の超高強度コンクリート用水硬性組成物を遠心成形して超高強度コンクリート硬化体を製造する場合には、前記のような所定の初期加速度を採用すること、更にはこれを含んで多段階で加速度を負荷することが望ましいことがわかる。

Claims (6)

  1. セメント、無機粉末、細骨材、粗骨材、分散剤組成物、及び水を含有し、W/Pが10〜14.5重量%、S/aが20〜33体積%、初期スランプ値が0〜5cmである、超高強度コンクリート用水硬性組成物であって、
    前記分散剤組成物が、下記(A)成分と、下記(B)〜(D)成分から選ばれる1種以上の成分とを、(A)/〔(B)+(C)+(D)〕=20/80〜80/20の重量比で含有する分散剤組成物である、超高強度コンクリート用水硬性組成物。
    <(A)成分>
    下記一般式(1)で示されるアルケニルエーテル(A1)とアクリル酸(A2)との共重合体又はその塩であって、該共重合体又はその塩における構成単位のモル比(A2)/(A1)が95/5〜50/50である共重合体又はその塩
    1a‐O(AO)n1‐R2a (1)
    〔式中、R1aは炭素数2〜4のアルケニル基、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、平均付加モル数n1は20〜120の数、R2aは炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子を示す。〕
    <(B)成分>
    下記一般式(B1)で示される単量体1と、下記一般式(B2)で示される単量体2と、下記一般式(B3)で示される単量体3とを、pH7以下で共重合して得られるリン酸エステル系共重合体又はその塩
    Figure 2010070395

    〔式中、R1b及びR2bは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基、R3bは水素原子又は−(CO)pO(A2O)n2X、A2Oは炭素数2〜4のオキシアルキレン基又はオキシスチレン基、pは0又は1の数、n2はA2Oの平均付加モル数であり、3〜200の数、Xは水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基を表す。〕
    Figure 2010070395

    〔式中、R4bは水素原子又はメチル基、R5bは炭素数2〜12のアルキレン基、m1は1〜30の数、Mは水素原子、アルカリ金属又はアルカリ土類金属(1/2原子)を表す。〕
    Figure 2010070395

    〔式中、R6b及びR8bは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基、R7b及びR9bは、それぞれ独立に炭素数2〜12のアルキレン基、m2及びm3は、それぞれ独立に1〜30の数、Mは水素原子、アルカリ金属又はアルカリ土類金属(1/2原子)を表す。〕
    <(C)成分>
    下記一般式(C1−1)で示される単量体(c1)と、下記一般式(C1−2)で示される単量体及び下記一般式(C1−3)で示される単量体から選ばれる単量体(c2)とを構成単位として含む共重合体又はその塩
    Figure 2010070395

    〔式中、
    R1c、R2c:水素原子又は−CH3
    R3c:水素原子又は−COO(A3O)n3X1
    A3:炭素数2〜4のアルキレン基
    X1:水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基
    m4:0〜2の数
    n3:2〜300の数
    を示す。〕
    Figure 2010070395

    〔式中、
    R4c、R5c、R6c:同一でも異なっていてもよく、水素原子、−CH3又は(CH2)rCOOM2であり、(CH2)rCOOM2はCOOM1又は他の(CH2)rCOOM2と無水物を形成していてもよく、その場合、それらの基のM1、M2は存在しない。
    M1、M2:水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基又は置換アルキルアンモニウム基
    r:0〜2の数
    を示す。〕
    Figure 2010070395

    〔式中、
    R7c:水素原子又は−CH3
    Z1:水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基又は置換アルキルアンモニウム基
    を示す。〕
    <(D)成分>
    下記一般式(D1)で示されるアルケニルエーテルとマレイン酸及び/又はマレイン酸無水物との共重合体又はその塩
    1d‐O(A4O)n4‐R2d (D1)
    〔式中、R1dは炭素数2〜4のアルケニル基、A4Oは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、平均付加モル数n4は5〜200の数、R2dは炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子を示す。〕
  2. 請求項1記載の超高強度コンクリート用水硬性組成物を遠心成形して超高強度コンクリート硬化体を製造する、遠心成形超高強度コンクリート硬化体の製造方法。
  3. 前記遠心成形が、遠心締固め開始直後から、0.1〜1.5Gの加速度で1〜5分間遠心成形する工程(第1段階)を有する、請求項2記載の遠心成形超高強度コンクリート硬化体の製造方法。
  4. 前記遠心成形が、更に、前記第1段階後から2〜10Gの加速度で2〜6分間遠心成形する工程(第2段階)、第2段階後から10〜20Gの加速度で1〜5分間遠心成形する工程(第3段階)、及び第3段階後から20〜35Gの加速度で1〜6分間遠心成形する工程(第2段階)の4段階の工程を有し、得られる遠心成形超高強度コンクリート硬化体の内壁面の厚みの変動が少なく平滑である、請求項3記載の遠心成形超高強度コンクリート硬化体の製造方法。
  5. 請求項2〜4の何れか1項記載の製造方法により得られる圧縮強度(24時間後)が140N/mm2以上の遠心成形超高強度コンクリート硬化体。
  6. 内壁面の厚みの変動が少なく平滑である、請求項5記載の遠心成形超高強度コンクリート硬化体。
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