JP2010069505A - 鋳片の精整方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】連続鋳造機10で製造した鋳片11の表面をスカーフィングすることにより発生する鋳片11の表面の色むらを抑制する鋳片の精整方法であって、鋳片11は炭素濃度が0.07質量%以下の低炭素鋼であり、鋳片11の温度を400℃以上1000℃以下の範囲内にした後に、鋳片11の表面をスカーフィングする。
【選択図】図2
Description
この光学式疵検査装置は、図4(A)、(B)に示すように、撮像カメラ90と照明91を有するものであり、この撮像カメラ90及び照明91をスラブ92に対して相対移動させる装置である。なお、ここでは、スラブ92を複数の載置台93上に載置し、このスラブ92を上方から、ガイドレール94に沿って移動する撮像カメラ90及び照明91により撮像している。
これにより、図5(A)、(B)に示すように、スラブ92の表面の疵95の凹凸によって生じる輝度差(陰影)を読み取り、疵95を検出できる。
また、このようなスラブ表面の色むらの発生現象は、特に低炭素鋼(炭素濃度:0.07質量%以下)や極低炭素鋼(炭素濃度:50ppm以下)をスカーフィングした場合に発生し易かった。
例えば、特許文献1には、鋼を連続鋳造後、直ちに鋳片の表面を溶削手入れする際に、鋳片の表面温度を、Ar3−50℃以下かつ400℃以上に冷却した後にスカーフィングする方法が開示されている。
また、特許文献2には、溶削手入れ終了後、直ちに手入れした鋳片表面を急冷する方法が開示されている。
そして、特許文献3には、スラブを溶削する直前のスラブ表面温度Tsが、スラブの成分組成から算出される[Ceq]との関係で、規定した関係式を満たすように、溶削手入れする方法が開示されている。
前記鋳片は炭素濃度が0.07質量%以下の低炭素鋼であり、該鋳片の温度を400℃以上1000℃以下の範囲内にした後に、該鋳片の表面をスカーフィングする。
本発明に係る鋳片の精整方法において、前記鋳片は炭素濃度が50ppm以下の極低炭素鋼であることが好ましい。
本発明に係る鋳片の精整方法において、スカーフィングする前の前記鋳片の温度は、前記連続鋳造機の出側からスカーフィングするまでの時間で調整することが好ましい。
これにより、スカーフィング後に鋳片表面に残存する疵を、色むらにより邪魔されることなく精度良く検出できるので、これを除去することで製品品質の向上が図れる。
そして、スカーフィングする前の鋳片の温度を、連続鋳造機の出側からスカーフィングするまでの時間によって調整する場合、例えば、鋳片の再加熱等を行う必要がないので、再加熱に要する時間や熱エネルギーが不要となり、製造時間の短縮や製造コストの低減が図れる。
ここで、図1は本発明の一実施の形態に係る鋳片の精整方法のフロー図、図2(A)〜(C)はそれぞれ同鋳片の精整方法に使用するマシンスカーフ設備の平面図、背面図、側面図である。
本願発明者らは、種々の試験を行った結果、スカーフィング後のスラブの表面の色むらの発生が、スラブの炭素濃度と、スカーフィングする際のスラブの温度に大きく影響することを知見し、本発明に至った。以下、詳しく説明する。
このスラブ11は、炭素濃度(炭素含有量)が0.07質量%(700ppm)以下の低炭素鋼である。このように、スラブの炭素濃度を0.07質量%以下に規定したのは、炭素濃度が低くなるに伴って、スカーフィング後に鋳片の表面に色むらが発生し易くなり、しかもスカーフィングする際の温度変化により、色むらの発生が顕著となるからである。従って、色むら発生の抑制効果を更に顕著にするには、スラブを、炭素濃度が50ppm以下の極低炭素鋼とすることが好ましい。
上記したように、スラブは、炭素濃度が低くなるに伴って、その表面に色むらが発生し易くなるため、炭素濃度の下限値については規定していないが、現状の製品では、5ppm、更には10ppm程度である。
色むらは、スカーフィングした後に、スラブの表面に形成されるスケールの厚みや組成が不均一であるために発生する。これに対し、スラブの炭素濃度が高い場合(0.07質量%超)、あるいは炭素濃度が低くてもスカーフ温度が高い場合(0.07質量%以下かつ400℃以上)には、スカーフィングした後に、スラブの表面にスケールが均一に生成するため、色むらが発生しない。
一方、連続鋳造機10で製造したスラブ11は、連続鋳造機10の出側での温度が約1000℃であるため、この温度を超える温度でスカーフィングするには、スラブの加熱が必要となり、また設備への熱負荷も大きくなり、加熱設備等の過大な設備費用が必要となる。
従って、スラブの表面温度を、400℃以上1000℃以下の範囲内としたが、好ましくは、下限を500℃、更には600℃、上限を900℃、更には800℃とする。特に、スラブの炭素濃度を50ppm以下とした場合には、スラブの表面温度を500℃以上とするのがよく、更には550℃以上とするのが好ましい。
このマシンスカーフ設備13は、その上下方向の両側に、バーナ15と、バーナ15からの火炎をスラブ11の表面に対して斜めに吹き付ける複数の開口部16とが設けられたものである。なお、複数の開口部16は、スラブ11の幅方向に渡って設けられている。
このように、スカーフィングが終了したスラブ11の表面に対して、更に高圧水や高圧気体を吹き付け、スラブ11の表面に残存する溶削ノロやスケールを除去する。
この光学式疵検査装置には、スラブ11の表面に上方より照明光を当てて反射光をCCDカメラ等で撮像し、疵の凹凸によって生じる輝度差(陰影)を読み取ることで疵を検知する方法を用いた装置を使用できる(図4(A)、(B)、図5(A)、(B)参照)。これにより、撮像した画像から読み取った残留疵の位置や大きさ、研削量等の情報が得られる。
そして、これら情報を、グラインダーや研削機等の疵除去装置に伝送し、検出したスラブ11の疵を除去する。
以上に示したスカーフィング、疵の検出、及び疵の除去が、スラブ精整工程を構成する。
このようにして、疵を除去したスラブ11を熱間工程等の後工程で圧延処理することにより、欠陥の無い製品品質の優れた鋼板を製造できる。
まず、炭素濃度が、50ppm以下、50ppm超0.07質量%以下、及び0.07質量%超の各スラブ(厚み:250mm、幅:1000〜1300mm)を、連続鋳造機でそれぞれ鋳造し、このスラブをスカーフィングして色むら発生の有無を調査した。この結果を表1に示す。なお、表1には、スラブの炭素濃度ごとに、スカーフィングを行う直前のスラブの表面温度と、スカーフィング後のスラブ表面の色むら発生の有無との関係を示している。
(光学式疵検査装置で視認した疵の個数)/(スラブを冷却した後に目視で確認した疵の個数)×100(%)
つまり、この値が低くなるほど、色むらによる疵の検出精度が悪化することを示している。
以上のことから、本願発明の鋳片の精整方法を使用することで、スカーフィングすることにより発生する鋳片表面の色むらを抑制できるので、鋳片表面に残存する疵を精度良く検出して、これを除去し、製品品質の向上が図れることを確認できた。
また、前記実施の形態においては、鋳片の一例であるスラブについて説明したが、他の鋳片、例えば、ビレットやブルームでもよく、鋳片の形状が限定されるものではない。
そして、前記実施の形態においては、連続鋳造機で鋳造されたスラブを、ローラでマシンスカーフ設備まで搬送した場合について説明したが、他の搬送機、例えば、クレーン等で搬送してもよい。
Claims (4)
- 連続鋳造機で製造した鋳片の表面をスカーフィングすることにより発生する該鋳片の表面の色むらを抑制する鋳片の精整方法であって、
前記鋳片は炭素濃度が0.07質量%以下の低炭素鋼であり、該鋳片の温度を400℃以上1000℃以下の範囲内にした後に、該鋳片の表面をスカーフィングすることを特徴とする鋳片の精整方法。 - 請求項1記載の鋳片の精整方法において、スカーフィングした前記鋳片の表面を光学式疵検査装置により検査した後、検出した該鋳片の疵を疵除去装置により除去することを特徴とする鋳片の精整方法。
- 請求項1及び2のいずれか1項に記載の鋳片の精整方法において、前記鋳片は炭素濃度が50ppm以下の極低炭素鋼であることを特徴とする鋳片の精整方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋳片の精整方法において、スカーフィングする前の前記鋳片の温度は、前記連続鋳造機の出側からスカーフィングするまでの時間で調整することを特徴とする鋳片の精整方法。
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