JP2010067580A - 双極型二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】厚み方向の導電性が面方向の導電性よりも高い集電体を用いた場合に、高い充放電効率、寿命が得られる双極型二次電池を提供する
【解決手段】集電体の一方の面に正極活物質層が形成され、他方の面に負極活物質層が形成された双極型電極を、電解質層を挟んで複数直列に積層した双極型二次電池であって、前記集電体の厚み方向の抵抗値の合計が、全体の内部抵抗に対して1/1000000〜1/100であり、前記正極活物質層または負極活物質層の少なくとも一方が導電物質を含み、前記導電物質の凝集体のサイズが一次粒子径の600倍以下であり、前記凝集体が、1000μm以上の凝集体間距離で前記正極活物質層または前記負極活物質層中に分散する、双極型二次電池である。
【選択図】なし

Description

本発明は、双極型二次電池に関する。
近年、環境や燃費の観点から、ハイブリッド自動車や電気自動車、さらには燃料電池自動車が製造・販売され、新たな開発が続けられている。これらのいわゆる電動車両においては、放電・充電ができる電源装置の活用が不可欠である。この電源装置としては、リチウムイオン電池やニッケル水素電池等の二次電池や、電気二重層キャパシタ等が利用される。特に、リチウムイオン二次電池はそのエネルギー密度の高さや繰り返し充放電に対する耐久性の高さから、電動車両に好適と考えられ、各種の開発が鋭意進められている。ただし、上記したような各種自動車のモータ駆動用電源に適用するためには、大出力を確保するために、複数の二次電池を直列に接続して用いる必要がある。
しかしながら、接続部を介して電池を接続した場合、接続部の電気抵抗によって出力が低下してしまう。また、接続部を有する電池は空間的にも不利益を有する。即ち、接続部によって、電池の出力密度やエネルギー密度の低下がもたらされる。
この問題を解決するものとして、双極型リチウムイオン二次電池(双極型電池)が開発されている(例えば、特許文献1を参照)。双極型電池は、片面に正極活物質層が形成され、他方の面に負極活物質層が形成された双極型電極が、電解質層を介して複数積層された構成を有する。集電体としては通常金属箔などが用いられ、正極活物質層または負極活物質層は、一般に、正極活物質または負極活物質と、導電物質と、バインダとを含む。
上述の特許文献1に記載されるような双極型電池は、電池内で積層方向に直列に接続されているため、電池を高電圧化、低抵抗化することができる。さらに、直列時の接続部がないことにより、電池をコンパクト化することができ、これによって高出力密度化が可能になる。
特開平11−204136号公報
しかしながら、集電体の材料として金属箔に換えて導電性を有する樹脂層からなる集電体のように略厚み方向にのみ電流を流すように作製された材料を用いた場合、上記特許文献1と同様の活物質層を作製すると、電極に電析が生じ、充放電効率が低下する場合があることが明らかになった。
そこで本発明は、導電性を有する樹脂層からなる集電体のように厚み方向の導電性が面方向の導電性よりも高い集電体を用いた場合にも、高い充放電効率の双極型二次電池を得ることを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため、鋭意検討を行った。そしてその際に、電極の活物質層中に存在する導電物質の分布の検討を試みた。その結果、電極の活物質層における
導電物質の分布が面方向に一様になっていない場合、活物質層において導電経路にむらができて電極の面方向に電位のばらつきが生じ、これが電析の原因となって充放電効率の低下につながることを見出した。
すなわち本発明は、厚み方向の導電性が面方向の導電性よりも高い集電体を用いた双極型二次電池であって、活物質層中の導電物質の凝集体が、一次粒子径の600倍以下のサイズであり、1000μm以上の凝集体間距離で分散する、双極型二次電池である。
本発明の双極型二次電池は、活物質層における導電物質の分布が面方向で均一であるため、活物質層における導電経路が面方向で均一となり、電極の面方向における電位のばらつきが小さくなり、電析が抑制され電池の充放電効率が上昇しうる。
以下、本発明の実施の形態を説明するが、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきであり、下記の形態のみに制限されることはない。
図1は、本発明の代表的な実施形態である双極型リチウムイオン二次電池(双極型二次電池)の全体構造を模式的に表した概略断面図である。
本発明の双極型電池30は、1枚または2枚以上で構成される双極型電極34で電解質層35を挟み、隣合う双極型電極34の正極(正極活物質層)32と負極(負極活物質層)33とが対向するようになっている。ここで、双極型電極34は、集電体31の片面に正極(正極活物質層)32を設け、もう一方の面に負極(負極活物質層)33を設けた構造を有している。すなわち、双極型二次電池30では、集電体31の片方の面上に正極32を有し、他方の面上に負極33を有する双極型電極34を、電解質層35を介して複数枚積層した構造を具備してなるものである。
隣接する正極(正極活物質層)32、電解質層35および負極(負極活物質層)33は、一つの単電池層36を構成する。従って、双極型二次電池30は、単電池層36が積層されてなる構成を有するともいえる。なお、単電池層の積層数には特に制限はなく、好ましくは5〜40層、より好ましくは10〜30層である。また、電解質層35からの電解液の漏れによる液絡を防止するために電解質層35の周辺部には絶縁材料37が成形配置されている。該絶縁材料37を設けることで隣接する集電体31間を絶縁し、隣接する電極(正極32及び負極33)間の接触による短絡を防止することもできる。
図1に示すように、本実施形態の双極型リチウムイオン二次電池30は、実際に充放電反応が進行する略矩形の積層体(電池要素)37が、電池外装材42の内部に封止された構造を有する。積層体37は、双極型電極34で電解質層35を挟み、隣合う双極型電極34の正極32と負極33とが対向するようになっている。隣接する正極32、電解質層35および負極33は、一つの単電池層36を構成する。単電池層36の周辺部には絶縁材料43が配置されている。
なお、積層体37の最外層に位置する正極側電極34a及び負極側電極34bは、集電体31a、31b(または端子板)に必要な片面のみの正極(正極活物質層)32または負極(負極活物質層)33を配置した構造としてもよい。積層体37の最外層に位置する正極側の最外層集電体31aには、片面のみに正極(正極活物質層)32が形成されているようにしてもよい。同様に、積層体37の最外層に位置する負極側の最外層集電体31bには、片面のみに負極(負極活物質層)33が形成されているようにしてもよい。また、双極型リチウムイオン二次電池30では、上下両端の正極側最外層集電体31a及び負極側最外層集電体31bにそれぞれ正極タブ38および負極タブ39が、必要に応じて正極端子リード40及び負極端子リード41を介して接合されている。但し、正極側最外層集電体31aが延長されて正極タブ38とされ、電池外装材42であるラミネートシートから導出されていてもよい。同様に、負極側最外層集電体31bが延長されて負極タブ39とされ、同様に電池外装材42であるラミネートシートから導出される構造としてもよい。
また、使用する際の外部からの衝撃、環境劣化を防止するために、積層体37部分を電池外装材(外装パッケージ)42に減圧封入し、正極タブ38及び負極タブ39を電池外装材42の外部に取り出した構造とするのがよい。この双極型リチウムイオン二次電池30の基本構成は、複数積層した単電池層(単セル)36が直列に接続された構成ともいえるものである。
以下、本発明の双極型二次電池30を構成する部材について説明する。
[集電体]
本発明の双極型二次電池は、集電体31として、厚み方向の抵抗値の合計が、全体の内部抵抗に対して1/1000000〜1/100であるものを用いる。ここで、双極型二次電池の内部抵抗の値は、放電を行う際に測定できる。この場合、放電深度50%程度の充電量から1C程度で放電を行い、5秒程度後の電圧降下分から電池の抵抗を求める。集電体の厚み方向の抵抗値の合計は、集電体の厚み方向の体積抵抗値、厚さ、および積層数から算出できる。集電体の厚み方向の抵抗値の合計が上述のような値であれば、集電体の抵抗が双極型二次電池30の高出力を阻害しない。好ましくは、集電体31の厚み方向の抵抗値の合計が、全体の内部抵抗に対して1/100000〜1/100であり、より好ましくは1/1000〜1/100である。
このような集電体として、例えば、厚み方向に導電性が高く、面方向に導電性の低い集電体を使用する。双極型電池においては、負極側で発生した電荷は集電体の反対側の正極に直接供給されるため、電流は積層方向に流れるが面方向の流れは必要としない。このため、必ずしも金属箔などの材料を用いる必要がなく、例えば高分子材料を含む集電体を用いて電池の軽量化を図ることができる。上記の電池の内部抵抗との関係を満たすために、好ましくは、前記集電体の厚み方向の体積抵抗率は、1×10−7〜1×10Ω・cmであり、より好ましくは1×10−4〜1×10Ω・cmである。一方、前記集電体の面方向の体積抵抗率は、1×10−4〜1×10Ω・cmであり、より好ましくは1×10−2〜1×10Ω・cmであり、さらに好ましくは1×10−1〜1×10Ω・cmである。
集電体31の材質としては、好ましくは、非導電性の高分子材料と導電性の導電性粒子(導電性フィラーともいう)とで構成されるものが用いられる。
高分子材料は、例えば、ポリプロピレンまたはポリエチレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エポキシ樹脂、および合成ゴム材料、またはその混合物である。
導電性粒子は、導電性を有する材料から選択される。また、導電性粒子は、印加される正極電位および負極電位に耐えうる材料から選択される。具体的には、アルミニウム粒子、SUS粒子、カーボン粒子、銀粒子、金粒子、銅粒子、チタン粒子などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。合金粒子が用いられてもよい。導電性粒子は、前述の形態に限られず、カーボンナノチューブなどを用いることもでき、いわゆるフィラー系導電性樹脂組成物として実用化されているものを用いることができる。
集電体における導電性粒子の分布は、均一ではなくてもよく、集電体内部で粒子の分布が変化していてもよい。複数の導電性粒子が用いられ、集電体内部で導電性粒子の分布が変化してもよく、例えば、正極に接する部分と負極に接する部分とで、好ましい導電性粒子を使い分けてもよい。正極側に用いる導電性粒子としては、アルミニウム粒子、SUS粒子、およびカーボン粒子が好ましく、カーボン粒子が特に好ましい。負極に用いる導電性粒子としては、銀粒子、金粒子、銅粒子、チタン粒子、SUS粒子、およびカーボン粒子が好ましく、カーボン粒子が特に好ましい。カーボンブラックやグラファイトなどのカーボン粒子は電位窓が非常に広く、正極電位および負極電位の双方に対して幅広い範囲で安定であり、さらに導電性に優れている。また、カーボン粒子は非常に軽量なため、質量の増加が最小限になる。さらに、カーボン粒子は、電極の導電物質として用いられることが多いため、これらの導電物質と接触しても、同材料であるがゆえに接触抵抗が非常に低くなる。
集電体における導電性粒子と高分子材料との比率は特に限定されないが、好ましくは、導電性粒子および高分子材料の合計量に対して2〜20質量%の導電性粒子が存在する。
集電体の厚さは特に限定されないが、薄いことが、電池の出力密度を高める観点からは好ましい。具体的には、10〜100μmであることが好ましい。
[活物質層]
集電体上には、活物質層が形成される。活物質層は、充放電反応の中心を担う活物質を含む層である。正極活物質層は正極活物質を含み、負極活物質層は負極活物質を含む。さらに、バインダ、導電物質、支持塩(リチウム塩)、イオン伝導性ポリマーなどが含まれうる。イオン伝導性ポリマーが含まれる場合には、前記ポリマーを重合させるための重合開始剤が含まれてもよい。
正極活物質は、好ましくは、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムコバルト複合酸化物、リチウム含有鉄酸化物、リチウム−マンガン−ニッケル−コバルト複合酸化物からなる群から選択される少なくとも1種の酸化物を含有する。例えば、LiMnなどのリチウムマンガン系複合酸化物やLiNiOなどのリチウムニッケル系複合酸化物が挙げられる。または、黒鉛などの炭素材料が用いられうる。場合によっては、2種以上の正極活物質が併用されてもよい。
負極活物質としては、容量、出力特性に優れた電池を作製できることから、LiMn、LiNiOなどのリチウム−遷移金属複合酸化物のようなリチウム遷移金属−複合材料や、炭素材料が好ましい。炭素材料としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛等の黒鉛系炭素材料(黒鉛)、カーボンブラック、活性炭、カーボンファイバー、コークス、ソフトカーボン、ハードカーボン等が挙げられる。好ましくは、天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛などの黒鉛である。また、リチウムとSi、Sn、Al、Sbなどとの合金も用いられうる。場合によっては、2種以上の負極活物質が併用されてもよい。
活物質の平均粒子径は特に制限されないが、好ましくは0.1〜20μmであり、より好ましくは0.1〜15μmであり、特に好ましくは0.1〜10μmである。ただし、これらの範囲を外れる形態もまた、採用されうる。なお、本願において活物質の平均粒子径は、レーザ回折式粒度分布測定(レーザ回折散乱法)により測定された値を採用するものとする。
導電物質は、活物質層の導電性を向上させるために配合される。導電物質は、正極活物質層または負極活物質層のいずれか含まれればよいが、好ましくは正極活物質層に含まれる。
該導電物質は、好ましくは、黒鉛、無定形炭素、繊維状炭素からなる群から選択される少なくとも1つの炭素材料を含有する。例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛等の黒鉛系炭素材料、アセチレンブラック、カーボンブラック、活性炭、カーボンファイバー、コークス、ソフトカーボン、ハードカーボン、気相成長炭素繊維等の種々の炭素繊維、カーボンナノチューブ等が挙げられる。具体的には、アセチレンブラックであるHS100(登録商標、デンカブラック社製)、FX35(登録商標、デンカブラック社製)、VGCF(登録商標、昭和電工株式会社製)、グラファイトであるKS6(登録商標、TIMCAL社製)、Super−P(登録商標、TIMCAL社製)、SP450、SP−5030、ケッチェンブラックであるEC300J、EC600JD、ECP(登録商標、ケッチェン・ブラック・インターナショナル社製)などが挙げられる。なお、導電物質は、ここに挙げられたものに限らず使用することが可能である。
上述のような面方向の体積抵抗率が低い集電体においては、活物質層における導電経路の面方向でのわずかな不均一性が、電極に電流集中を生じさせる。そのため、電極の面方向における電位のばらつきの原因となる。面方向の低効率が高い集電体においては、活物質層において導電経路の不均一が生じても、集電体で電流経路が確保される為、電極に電流集中が生じにくい。
導電経路を均一にするためには、活物質層における導電物質の凝集体のサイズをできるだけ小さくすることが重要である。そのため、本発明においては、正極活物質層または負極活物質層の少なくとも一方に含まれる活物質層における導電物質の凝集体のサイズが、前記導電物質の一次粒子径の600倍以下となるようにする。より好ましくは、前記導電物質の一次粒子径の400倍以下であり、さらに好ましくは300倍以下である。凝集体のサイズの下限は特に限定されないが、実質的に、一次粒子径の10倍であり、好ましくは100倍である。
さらに、前記導電物質は、正極活物質層または負極活物質層中で均一に分散して存在する必要がある。導電物質が均一に分散していることによって、導電経路の均一性が向上されうる。具体的には、前記正極活物質層または前記負極活物質層中で、導電物質の凝集体間距離が、1000μm以上であり、好ましくは1300μm以上である。
上記の凝集体のサイズ、および凝集体間距離の条件は、正極活物質層または負極活物質層の少なくとも一方で満たされていればよいが、特に正極活物質層で効果が高い。
本発明の電池において、導電物質の一次粒子径は、好ましくは1μm以下であり、より好ましくは100nm以下である。また、導電物質の一次粒子径は、製造の観点から、好ましくは10nm以上である。また、導電物質の凝集体のサイズは、導電物質の一次粒子径の500倍以下であれば特に制限はないが、好ましくは30μm以下であり、より好ましくは20μm以下である。導電物質の凝集体のサイズは、一次粒子径と取り扱いの観点から、好ましくは50nm以上、より好ましくは0.3μm以上である。ここで、凝集体のサイズは、特性を維持して存在しうる最小単位を意味する。なお、本願において導電物質の一次粒子径および凝集体のサイズは、SEMまたはTEM観察により確認されうる。測定方法によって一次粒子径および凝集体のサイズの値に差がみられた場合、SEM観察の方法による値を採用する。また、例えば、燐片状、棒状などの形状の導電物質の場合、一次粒子径は、最端部を結ぶ最長距離の大きさを採用する。凝集体のサイズに関しても、凝集体が球形以外の形状である場合、同様に最端部を結ぶ最長距離の大きさを採用する。また、凝集体間距離は、SEMまたはTEM観察によって観察される凝集体の重心間距離である。測定方法によって値に差がみられた場合、SEM観察の方法による値を採用する。
活物質層において、前記導電物質は、活物質100質量部に対して、好ましくは、1〜25質量部、より好ましくは、3〜10質量部用いられる。上記範囲であれば、導電性が確保される。また、バインダの接着性が維持され、集電体との十分な接着性が得られうる。
活物質層における導電物質の膜厚方向の分布は、一様であってもよいが、活物質層の表面または中央部から集電体との界面に向かって、段階的にまたは連続的に増加または減少させてもよい。好ましくは、導電物質の濃度を、活物質層の表面または中央部から集電体との界面に向かって段階的にまたは連続的に増加させる。例えば、活物質層の表面から集電体との界面に向かって、2〜5段階で導電物質の密度を増加させる。集電体との界面付近での導電物質の濃度を、膜厚方向での中間部よりも高くすることによって、界面付近における導電性を高めることができ、面方向の電位差をより小さくすることができる。
活物質層における導電物質の濃度を、膜厚方向で変化させる場合は、例えば、(膜厚方向における中間部の導電物質の濃度(質量%)):(集電体との界面付近の導電物質の濃度(質量%))の比を、49:51〜25:75とする。
特に、VGCFなどの炭素繊維は、集電体と活物質層との界面近傍の領域に存在するとより効果的である。これは、炭素繊維がバインダに絡まることで導電経路をより均一にできるためと考えられる。VGCFを用いると、少量の添加で導電経路を均一にする効果が得られるため、相対的に活物質量を増加させることができる。VGCFの添加量は、例えば、活物質100質量部に対して、1〜10質量部である。VGCFなどの炭素繊維は、正極活物質層または負極活物質層のいずれかと集電体との界面近傍の領域に存在すればよいが、好ましくは正極活物質層と集電体との界面近傍の領域に存在する。
本発明において用いられうるバインダの具体的な種類は特に制限されず、従来公知の知
見が適宜参照される。好ましくは、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリイミド、フッ素ゴムなどが用いられうる。特に、SBR、アクリル系樹脂、フッ素ゴムが好ましい。活物質層においては、導電物質はバインダの近傍に存在する確率が高い。そのため、導電物質の凝集を抑えて活物質層中で均一に分散させるためには、上記のような点結着型で接合するバインダを用いることが有効である。点結着型で結合するバインダを使用することでバインダの量が低減でき、活物質量を増加させることができるため、電池のエネルギー密度が向上する。
バインダの質量は、例えば、活物質の量100質量部に対して1〜15質量部である。
支持塩(リチウム塩)としては、Li(CSON(LiBETI)、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiCFSO等が挙げられる。
イオン伝導性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)系およびポリプロピレンオキシド(PPO)系のポリマーが挙げられる。ここで、前記ポリマーは、本発明の正極が採用される電池の電解質層において用いられるイオン伝導性ポリマーと同じであってもよく、異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
重合開始剤は、イオン伝導性ポリマーの架橋性基に作用して、架橋反応を進行させるために配合される。開始剤として作用させるための外的要因に応じて、光重合開始剤、熱重合開始剤などに分類される。重合開始剤としては、例えば、熱重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)や、光重合開始剤であるベンジルジメチルケタール(BDK)等が挙げられる。
活物質層の厚さは特に限定されないが、好ましくは2〜100μm程度である。
活物質層に含まれる成分の配合比は、特に限定されない。配合比は、リチウムイオン二次電池についての公知の知見を適宜参照することにより、調整されうる。
[電解質層]
電解質層35を構成する電解質としては、液体電解質またはポリマー電解質が用いられうる。
液体電解質は、可塑剤である有機溶媒に支持塩であるリチウム塩が溶解した形態を有する。可塑剤として用いられうる有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)やプロピレンカーボネート(PC)等のカーボネート類が例示される。また、支持塩(リチウム塩)としては、LiBETI等の電極の活物質層に添加されうる化合物が同様に採用されうる。
一方、ポリマー電解質は、電解液を含むゲル電解質と、電解液を含まない真性ポリマー電解質に分類される。
ゲル電解質は、イオン伝導性ポリマーからなるマトリックスポリマーに、上記の液体電解質が注入されてなる構成を有する。マトリックスポリマーとして用いられるイオン伝導性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(PVdF−HEP)、ポリ(メチルメタクリレート(PMMA)およびこれらの共重合体等が挙げられる。かようなポリアルキレンオキシド系高分子には、リチウム塩などの電解質塩がよく溶解しうる。
イオン伝導性を有する高分子としては、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、これらの共重合体のようなポリアルキレンオキシド系高分子が挙げられる。
リチウムイオン伝導性の低い高分子としては、例えば、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)が挙げられる。
なお、電解質層35が液体電解質やゲル電解質から構成される場合には、電解質層37にセパレータを用いてもよい。セパレータの具体的な形態としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンからなる微多孔膜、またはガラスフィルターが挙げられる。
真性ポリマー電解質は、上記のマトリックスポリマーに支持塩(リチウム塩)が溶解してなる構成を有し、可塑剤である有機溶媒を含まない。従って、電解質層35が真性ポリマー電解質から構成される場合には電池からの液漏れの心配がなく、電池の信頼性が向上しうる。本願発明の電極は、特に、ポリエチレンオキシド(PEO)などのポリマー電解質を用いて電池を作製すると、出力、容量の向上の効果が顕著である。
ゲル電解質や真性ポリマー電解質のマトリックスポリマーは、架橋構造を形成することによって、優れた機械的強度を発現しうる。架橋構造を形成させるには、適当な重合開始剤を用いて、高分子電解質形成用の重合性ポリマー(例えば、PEOやPPO)に対して熱重合、紫外線重合、放射線重合、電子線重合等の重合処理を施せばよい。
[絶縁層]
シール部(絶縁層)43としては、絶縁性、固体電解質の脱落に対するシール性や外部からの水分の透湿に対するシール性(密封性)、電池動作温度下での耐熱性などを有するものであればよく、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリイミド樹脂、ゴムなどが用いられうる。なかでも、耐蝕性、耐薬品性、作り易さ(製膜性)、経済性などの観点から、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂が好ましい。
[タブ]
タブ(正極タブ38および負極タブ39)の材質は、特に制限されず、バイポーラ電池用のタブとして従来用いられている公知の材質が用いられうる。例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金等が例示される。なお、正極タブ38と負極タブ39とでは、同一の材質が用いられてもよいし、異なる材質が用いられてもよい。なお、本実施形態のように、最外層集電体(31a、31b)を延長することによりタブ(38、39)としてもよいし、別途準備したタブを最外層集電体に接続してもよい。
[リチウムイオン二次電池の外観構成]
本発明の二次電池の構造としては、特に限定されず、積層型(扁平型)電池、巻回型(円筒型)電池など、従来公知のいずれの形態・構造にも適用し得るものである。本発明では、積層型(扁平型)電池構造を採用することで簡単な熱圧着などのシール技術により長期信頼性を確保でき、コスト面や作業性の点では有利である。
図2は、双極型のリチウムイオン二次電池の外観を表した斜視図である。
図2に示すように、扁平なリチウムイオン二次電池50では、長方形状の扁平な形状を有しており、その両側部からは電力を取り出すための正極タブ58、負極タブ59が引き出されている。積層体(電池要素)57は、リチウムイオン二次電池50の電池外装材52によって包まれ、その周囲は熱融着されており、積層体57は、正極タブ58及び負極タブ59を外部に引き出した状態で密封されている。ここで、積層体57は、先に説明した図1のリチウムイオン二次電池30の積層体37に相当するものである。
なお、本発明のリチウムイオン電池は、図1に示すような扁平な形状のものに制限されるものではなく、円筒型形状のものであってもよいし、こうした円筒型形状のものを変形させて、長方形状の扁平な形状にしたようなものであってもよい。上記円筒型の形状のものでは、その外装材に、ラミネートフィルムを用いてもよいし、従来の円筒缶(金属缶)を用いてもよいなど、特に制限されるものではない。
また、図2に示すタブ58、59の取り出しに関しても、特に制限されるものではなく、正極タブ58と負極タブ59とを同じ辺から引き出すようにしてもよいし、正極タブ58と負極タブ59をそれぞれ複数に分けて、各辺から取り出しようにしてもよい。また、巻回型のリチウムイオン電池では、タブに変えて、例えば、円筒缶(金属缶)を利用して端子を形成すればよい。
[組電池]
本実施形態の電池は、複数個を電気的に接続して組電池としてもよい。
本実施形態の電池を複数個直列または並列に接続することで容量および電圧を自由に調節することが可能になる。
図3は、本実施形態の電池から構成される組電池の代表的な実施形態の外観図であって、図3Aは組電池の平面図であり、図3Bは組電池の正面図であり、図3Cは組電池の側面図である。
図3に示すように、組電池300は、本実施形態のリチウムイオン二次電池が複数、直列に又は並列に接続して装脱着可能な小型の組電池250を形成し、この装脱着可能な小型の組電池250をさらに複数、直列に又は並列に接続して形成することができる。これにより、高体積エネルギー密度、高体積出力密度が求められる車両駆動用電源や補助電源に適した大容量、大出力を持つ組電池300を形成することができる。図3Aは、組電池の平面図、図3Bは正面図、図3Cは側面図を示しているが、作成した装脱着可能な小型の組電池250は、バスバーのような電気的な接続手段を用いて相互に接続し、この組電池250は接続治具310を用いて複数段積層される。何個の双極型のリチウムイオン二次電池を接続して組電池250を作製するか、また、何段の組電池250を積層して組電池300を作製するかは、搭載される車両(電気自動車)の電池容量や出力に応じて決めればよい。
[車両]
本実施形態の車両は、例えば上述した組電池の形態で、車両に搭載されうる。車両に搭載された電池は、例えば、車両のモータを駆動する電源として用いられうる。
図4は、図3に示す組電池を搭載した車両の概念図である。
図4に示したように、組電池300を電気自動車400のような車両に搭載するには、電気自動車400の車体中央部の座席下に搭載する。座席下に搭載すれば、車内空間およびトランクルームを広く取ることができるからである。なお、組電池300を搭載する場所は、座席下に限らず、後部トランクルームの下部でもよいし、車両前方のエンジンルームでも良い。以上のような組電池300を用いた電気自動車400は高い耐久性を有し、長期間使用しても十分な出力を提供しうる。さらに、燃費、走行性能に優れた電気自動車、ハイブリッド自動車を提供できる。本発明の組電池を搭載した車両としては、図4に示すような電気自動車のほか、ハイブリッド自動車、燃料電池自動車などに幅広く適用できるものである。
[製造方法]
本発明の双極型二次電池の製造方法は特に制限されず、双極型二次電池の製造分野において従来公知の知見を適宜参照することにより製造されうる。
はじめに、双極型電極を作製する。所望の正極活物質、バインダ、導電物質、および必要に応じて他の成分を、溶媒中で混合して正極活物質スラリーを調製する。正極活物質スラリー中に配合される各成分の具体的な形態については、上記で説明した通りであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
溶媒の種類や混合手段は特に制限されず、従来公知の知見が適宜参照されうる。溶媒の一例を挙げると、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルホルムアミドなどが用いられうる。水などの水性溶媒を用いる場合は、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)などを添加するとよい。
同様に、所望の負極活物質、バインダ、および必要に応じて他の成分を、溶媒中で混合して、負極活物質スラリーを調製する。負極活物質スラリー中に配合される各成分の具体的な形態については、上記の本発明の双極型二次電池の構成の欄において説明した通りであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
続いて、適当な集電体を準備する。本工程において準備する集電体の具体的な形態については、上記の本発明の電極の構成の欄において説明した通りであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
次いで、上述の正極活物質スラリーを集電体の一方の表面に塗布して正極を形成する。正極活物質スラリーを塗布するための塗布手段は特に限定されない。好ましくは、自走型コータなどの一般的に用いられている手段で集電体の表面に塗布してもよいが、好ましくは、はじめに金属箔の表面に塗布し、これを120〜160℃で集電体に転写する。
塗膜を乾燥させるための乾燥手段も特に制限されず、電極製造について従来公知の知見が適宜参照されうる。例えば、加熱処理が例示される。乾燥条件(乾燥時間、乾燥温度など)は、正極活物質スラリーの塗布量やスラリーの溶媒の揮発速度に応じて適宜設定されうる。
その後、上記で準備した塗膜をプレスする。プレス手段については、特に限定されず、従来公知の手段が適宜採用されうる。プレス手段の一例を挙げると、カレンダーロール、平板プレスなどが挙げられる。
2層以上の層からなる活物質層を作製する場合は、複数の活物質スラリーを調製し、上記工程を順に繰り返し行うとよい。
塗膜を乾燥させた後、前記集電体の他方の表面に、上記で調製した負極活物質スラリーを塗布して塗膜を形成し同様に負極を作製する。これを乾燥させて双極型電極を完成させる。
次いで、作製した双極型電極の正極側または負極側の周囲の塗膜の形成されていない部分に絶縁材料を配置し、双極型電極の上に電解質層を形成する。セパレータを、上述の双極型電極の上面に設置し、さらに、電解液、ゲル電解質用原料スラリー(プレゲル溶液)、または固体電解質用原料スラリーを塗布、含浸などして物理架橋したり、さらに重合して化学架橋する。これによって電解質を保持させた部分を形成し、電解質層とする。なお、電解質層にセパレータを用いない場合、正極または負極に直接電解液、ゲル電解質用原料スラリー、または固体電解質用原料スラリーを塗布、含浸させて電解質層を形成することができる。
次に、上述の電解質層を積層した双極型電極を、真空(減圧)密封しつつ、正極(活物質層)と負極(活物質層)が電解質層を挟んで対向するように、それぞれ交互に順次積層する。次いで、熱プレス機により熱プレスして電池要素を得る。
得られた電池要素の両電池最外部の単電池層の集電体に正極タブ及び負極タブを電気的に接続する。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本願の技術的範囲が以下の実施例に示す形態のみに制限されるわけではない。
<実施例1>
<電極の作製>
集電体として、導電性微粒子であるカーボン微粒子(一次粒子径40nm;10質量%)を分散させたポリエチレンフィルム(厚み70μm)を準備した。面方向の体積抵抗率は、5×10Ω・cmであり、厚み方向の体積抵抗率は5×10Ω・cmであった。
活物質であるグラファイト(平均一次粒子径3μm)(94質量%)、導電物質であるSuper−P(平均一次粒子径40nm)(3質量%)、バインダであるスチレンブタジエンゴム(SBR)(1.5質量%)、および増粘剤であるカルボキシメチルセルロース(CMC)(1.5質量%)を混合した。次いで水を適量添加して、活物質スラリーを調製した。
この活物質スラリーを、はじめにAl箔に目付け4mg/cmで塗布し、これを160℃のホットプレート上で上記で準備した集電体上に転写し、プレスした。プレス後の活物質層の厚さは30μmであった。
活物質層の表面を走査電子顕微鏡(SEM)で観察し、導電物質の凝集体のサイズおよび凝集体間距離を求めた。凝集体のサイズは4μmであり、(凝集体のサイズ/一次粒子径)の比は100であった。凝集体間距離は、1300μmであった。
<対極および参照極の作製>
対極として厚さ500μmのリチウム金属箔を準備した。
<電解液の調製>
エチレンカーボネート(EC)およびジエチルカーボネート(DEC)を体積比2:3で混合し、電解液用の溶媒とした。次いで、この電解液用の溶媒に、リチウム塩であるLiPFを1Mの濃度になるように添加して、電解液を調製した。
<セパレータの準備>
セパレータとして厚さ500μmのガラスフィルターを準備した。
<試験用電池の作製>
上記で作製した電極と、セパレータを挟んで対極とを設置し、電解液を注いで試験用電池を作製した。
<実施例2>
活物質スラリーの混練時間を短縮して導電物質の凝集体のサイズを20μm、凝集体間距離を1150μmとしたことを除いては、実施例1と同様に試験用電池を作製した。導電物質の一次粒子径は40nmであり、(凝集体のサイズ/一次粒子径)の比は500であった。
<実施例3>
導電物質の凝集体のサイズを13.2μm、凝集体間距離を1000μmとしたことを除いては、実施例1と同様に試験用電池を作製した。導電物質の一次粒子径は40nmであり、(凝集体のサイズ/一次粒子径)の比は330であった。
<比較例1>
導電物質の凝集体のサイズを26μm、凝集体間距離を950μmとしたことを除いては、実施例1と同様に試験用電池を作製した。(凝集体のサイズ/一次粒子径)の比は600であった。
<実施例4>
活物質であるグラファイト(平均一次粒子径3μm)(87質量%)、導電物質であるSuper−P(平均一次粒子径40nm)(3質量%)、バインダであるポリフッ化微リデン(PVdF)(10質量%)を混合し、次いでN−メチルピロリドン(NMP)を適量添加して、活物質スラリーを調製した。その他の条件は実施例1と同様にして試験用電池を作製した。電極活物質層における導電物質の導電物質の凝集体のサイズは4μmであり、(凝集体のサイズ/一次粒子径)の比は100であった。凝集体間距離は1100μmであった。
<参考例1>
集電体として厚さ10μmの銅箔(体積抵抗率:1×10−6Ω・cm)を準備し、活物質スラリーを集電体の表面に目付け4mg/cmで塗布してプレスしたことを除いては、実施例1と同様の手順で試験用電池を作製した。電極活物質層における導電物質の凝集体のサイズは4μmであり、(凝集体のサイズ/一次粒子径)の比は100であった。凝集体間距離は1300μmであった。
<参考例2>
集電体として厚さ10μmの銅箔(体積抵抗率:1×10−6Ω・cm)を準備し、活物質スラリーを集電体の表面に目付け4mg/cmで塗布してプレスしたことを除いては、実施例4と同様の手順で試験用電池を作製した。電極活物質層における導電物質の凝集体のサイズは24μmであり、(凝集体のサイズ/一次粒子径)の比は600であった。凝集体間距離は1100μmであった。
<充放電評価>
上記で作製した各実施例、比較例および参考例の試験用電池の充放電評価を行った。対極はリチウム金属箔を使用した。1Cで0Vまで定電流充電を行い、その後定電圧充電を行い、充電容量を算出した。別セルで、1Cで1.2Vまで定電流放電を行い、放電容量を算出した。クーロン効率は(放電容量÷充電容量)として算出した。
初回充電容量、初回放電容量、クーロン効率およびエネルギー密度を下記の表1に示す。エネルギー密度(Ah/g)は電池容量(Ah)を試験用電池の重量(g)で割り算出した値を、比較例1を1としたときの値として表した。フィルムの体積抵抗値が5Ωcm、厚さ100μmより厚さ方向の抵抗:5Ω・cm×100μm=5×10−2Ω・cmであり、電池の内部抵抗が20〜30Ω・cm、であることから、(集電体の厚み方向の抵抗値の合計)/(電池の全体の内部抵抗)の比は、0.0025〜0.0016となり、1/1000000〜1/100の範囲に入っていることが確認できた。
Figure 2010067580
各実施例と比較例との比較から、電極活物質層における導電物質の凝集体のサイズが一次粒子径の600倍よりも小さい実施例1〜4においては、比較例1に比べて電池の性能が高くなることがわかった。特に実施例1のように凝集体のサイズがより小さいものは、性能もより高くなる。また、バインダにSBRを用いた実施例1は、PVdFを用いた十実施例4に比べて、バインダ量を減少させ活物質量を増加させることができるため、より効果が高い。さらに、実施例1、4と参考例1、2との比較から、本発明の電池は、金属箔を集電体に用いた電池と同等の性能が得られることがわかった。
<実施例5−1>
集電体として、導電性微粒子であるカーボン微粒子(一次粒子径40nm;10質量%)を分散させたポリエチレンフィルム(厚み70μm)を準備した。面方向の体積抵抗率は、5×10Ω・cmであり、厚み方向の体積抵抗率は5×10Ω・cmであった。
活物質であるグラファイト(平均一次粒子径3μm)(94質量%)、導電物質であるHS100(平均一次粒子径50nm)(3質量%)、バインダであるスチレンブタジエンゴム(SBR)(1.5質量%)、および増粘剤であるカルボキシメチルセルロース(CMC)(1.5質量%)を混合した。次いで水を適量添加して、1層目の活物質スラリーを調製した。
この1層目の活物質スラリーを、はじめにAl箔に目付け4mg/cmで塗布し、これを160℃のホットプレート上で上記で準備した集電体上に転写し、プレスした。プレス後の1層目の活物質層の厚さは17μmであった。
続いて、グラファイト(平均一次粒子径3μm)(96質量%)、HS100(平均一次粒子径50nm)(1質量%)、スチレンブタジエンゴム(SBR)(1.5質量%)、およびカルボキシメチルセルロース(CMC)(1.5質量%)を混合した。次いで水を適量添加して、2層目の活物質スラリーを調製した。
2層目の活物質スラリーをAl箔に目付け4mg/cmで塗布し、これを160℃のホットプレート上で、1層目の活物質層を塗布した集電体上に転写し、プレスして電極を完成させた。プレス後の活物質層の厚さは30μmであった。
他の条件は実施例1と同様にして電池を作製した。
<実施例5−2>
1層目の活物質スラリーおよび2層目の活物質スラリーとして、グラファイト(平均一次粒子径3μm)(95質量%)、HS100(平均一次粒子径50nm)(2質量%)、SBR(1.5質量%)、およびCMC(1.5質量%)を混合し、次いで水を適量添加したものを用いた。その他の条件は上記実施例5−1と同様にして電池を作製した。
<実施例5−3>
1層目の活物質スラリーとして、グラファイト(平均一次粒子径3μm)(87質量%)、HS100(平均一次粒子径50nm)(3質量%)、PVdF(10質量%)を混合し、次いでNMPを適量添加したものを用いた。また、2層目の活物質スラリーとして、グラファイト(平均一次粒子径3μm)(89質量%)、HS100(平均一次粒子径50nm)(1質量%)、PVdF(10質量%)を混合し、次いでNMPを適量添加したものを用いた。その他の条件は上記実施例5と同様にして電池を作製した。
これらの結果を表2にまとめる。表2において、エネルギー密度は、上記の比較例1の電池を1としたときの値である。
Figure 2010067580
上記表2の結果から、2層からなる活物質層を有し、集電体側の層でより導電物質の密度が高い電極を用いると、得られる電池の性能がさらに高まることがわかる。
<実施例6−1>
1層目の活物質スラリーとして、グラファイト(平均一次粒子径3μm)(94質量%)、VGCF(平均一次粒子径(繊維長)15μm)(3質量%)、SBR(1.5質量%)、およびCMC(1.5質量%)を混合し、次いで水を適量添加したものを用いた。2層目の活物質スラリーとして、グラファイト(平均一次粒子径3μm)(96質量%)、VGCF(平均一次粒子径(繊維長)15μm)(1質量%)、SBR(1.5質量%)、およびCMC(1.5質量%)を混合し、次いで水を適量添加したものを用いた。他の条件は上記実施例5−1と同様にして電池を作製した。
<実施例6−2>
上記実施例5−1と同様にして電池を作製した。
これらの結果を表3にまとめる。表3において、エネルギー密度は、上記の比較例1の電池を1としたときの値である。
Figure 2010067580
上記表3の結果から、導電物質としてVGCFを用いると、得られる電池の性能がさらに高まることがわかる。
本発明のリチウムイオン電池の代表的な他の一実施形態である積層型の扁平な双極型リチウムイオン二次電池の概要を模式的に表した断面概略図である。 本発明に係るリチウムイオン電池の代表的な実施形態である積層型の扁平な双極型リチウムイオン二次電池の外観を模式的に表した斜視図である。 本発明に係る組電池の代表的な実施形態を模式的に表した外観図であって、図4Aは組電池の平面図であり、図4Bは組電池の正面図であり、図4Cは組電池の側面図である。 本発明の組電池を搭載した車両の概念図である。
符号の説明
30 双極型リチウムイオン二次電池、
31 集電体、
31a 正極側の最外層集電体、
31b 負極側の最外層集電体、
32 正極(正極活物質層)、
34 双極型電極、
34a、34b 最外層に位置する電極、
35 電解質層、
33 負極(負極活物質層)、
36 単電池層(=電池単位ないし単セル)、
37、57 発電要素(電池要素;積層体)、
38、58 正極タブ、
39、59 負極タブ、
40 正極端子リード、
41 負極端子リード、
42、52 電池外装材(たとえばラミネートフィルム)、
43 シール部(絶縁層)、
50 リチウムイオン二次電池、
250 小型の組電池、
300 組電池、
310 接続治具、
400 電気自動車。

Claims (7)

  1. 集電体の一方の面に正極活物質層が形成され、他方の面に負極活物質層が形成された双極型電極を、電解質層を挟んで複数直列に積層した双極型二次電池であって、
    前記集電体の厚み方向の抵抗値の合計が、全体の内部抵抗に対して1/1000000〜1/100であり、
    前記正極活物質層または負極活物質層の少なくとも一方が導電物質を含み、前記導電物質の凝集体のサイズが一次粒子径の600倍以下であり、前記凝集体が、1000μm以上の凝集体間距離で前記正極活物質層または前記負極活物質層中に分散する、双極型二次電池。
  2. 前記集電体の面方向の体積抵抗率が1×10−4〜1×10Ω・cmである、請求項1に記載の双極型二次電池。
  3. 前記正極活物質層または前記負極活物質層の少なくとも一方はバインダを含み、前記バインダは、スチレンブタジエンゴム、アクリル系樹脂、フッ素ゴムからなる群から選択される1種以上である、請求項1または2に記載の双極型二次電池。
  4. 前記正極活物質層または前記負極活物質層における導電物質の濃度は、前記集電体との界面近傍において、膜厚方向での中間部における濃度よりも高い、請求項1〜3のいずれかに記載の双極型二次電池。
  5. 前記正極活物質層または前記負極活物質層の、前記集電体との界面近傍の領域にVGCF(登録商標)が含まれる、請求項1〜4のいずれかに記載の双極型二次電池。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の双極型二次電池を複数個接続してなる組電池。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の双極型二次電池または請求項6に記載の組電池を搭載してなる車両。
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