JP2010066723A - 表示装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】Al系薄膜と導電膜が直接接続する構造を備えたものであって、該Al系薄膜と導電膜の接触抵抗の安定的低減が可能な表示装置の製造方法を提供する。
【解決手段】基板上にて、純AlまたはAl合金からなる薄膜(以下「Al系薄膜」という)と導電膜が直接接続する構造を有する表示装置の製造方法であって、前記Al系薄膜を形成する工程、該Al系薄膜上に絶縁膜を形成する工程、該絶縁膜にコンタクトホールを形成する工程、および前記導電膜を形成する工程を含み、前記コンタクトホールを形成する工程の後であって前記導電膜を形成する工程の前に、または、前記導電膜を形成する工程において、前記Al系薄膜の急速加熱および/または急冷を行って該Al系薄膜上の自然酸化膜に亀裂を生じさせる工程を含むようにする。
【選択図】なし
【解決手段】基板上にて、純AlまたはAl合金からなる薄膜(以下「Al系薄膜」という)と導電膜が直接接続する構造を有する表示装置の製造方法であって、前記Al系薄膜を形成する工程、該Al系薄膜上に絶縁膜を形成する工程、該絶縁膜にコンタクトホールを形成する工程、および前記導電膜を形成する工程を含み、前記コンタクトホールを形成する工程の後であって前記導電膜を形成する工程の前に、または、前記導電膜を形成する工程において、前記Al系薄膜の急速加熱および/または急冷を行って該Al系薄膜上の自然酸化膜に亀裂を生じさせる工程を含むようにする。
【選択図】なし
Description
本発明は、表示装置の製造方法に関するものであり、例えば、駆動方式がアクティブマトリックス型やパッシブマトリックス型である液晶ディスプレイや、無機または有機ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ(表示装置)の製造方法であって、詳細には、基板上にて、Al系薄膜と導電膜が直接接続する構造を備えた表示装置の製造方法に関するものである。
尚、以下では、表示装置のうち、液晶駆動方式がアクティブマトリックス型の液晶ディスプレイを例に説明するが、これに限定する意図ではない。
小型の携帯電話から、30インチを超す大型のテレビに至るまで様々な分野に用いられるアクティブマトリックス型の液晶表示装置は、薄膜トランジスタ(Thin Film Transitor、以下「TFT」と呼ぶ。)をスイッチング素子とし、透明導電膜と、ゲート電極・配線およびソース−ドレイン電極・配線等の電極・配線部と、アモルファスシリコン(a−Si)や多結晶シリコン(p−Si)などの半導体層を備えたTFT基板と、該TFT基板に対して所定の間隔をおいて対向配置される、共通電極を備えた対向基板と、これらTFT基板と対向基板との間に充填された液晶層から構成されている。
TFT基板において、ゲート電極・配線やソース−ドレイン電極・配線などの電極・配線材料には、電気抵抗が小さく、微細加工が容易であるなどの理由により、純AlまたはAl−NdなどのAl合金が汎用されている(この様に純AlまたはAl合金からなる電極・配線を、以下「Al系配線」という)。
また、上記透明導電膜として、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化アルミニウム亜鉛(AZO)、酸化亜鉛チタン(ZTO)などの酸化物が用いられる場合が多い。その他の透明導電膜として、開発段階であるが、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、窒化インジウムガリウム、窒化インジウムアルミニウム、窒化ホウ素などの窒素化物、またはダイヤモンド、炭化シリコンなどのいわゆる「ワイドバンドギャップ半導体」に、ドナーやアクセプターとなる不純物を高濃度にドーピングして導電性を付与した薄膜が、光透過性導電膜として用いられる可能性がある。
上記Al系配線と透明導電膜との接触抵抗は低いほどよく、この様に接触抵抗が低ければ、駆動電圧を下げたり、画素の表示速度を上げて表示品質を上げることができる。しかし、上記Al系配線と透明導電膜を直接接続させると、接続抵抗(コンタクト抵抗)が上昇し、画面の表示品位が低下するといった問題がある。
これは、電極・配線を構成する純AlまたはAl合金が非常に酸化され易く、大気中、水中をはじめ、酸素が存在する環境ではたとえ室温であっても、酸化膜がAl系配線の表面に自然に形成され(以下、この様に自然に形成される酸化膜を「自然酸化膜」という)、かつ、この自然酸化膜がAl2O3を主成分とするものであって、その性質が、非常に硬く緻密で高絶縁性だからである。特に、酸化物からなる透明導電膜をスパッタで成膜する場合には、Al系配線の表面が高エネルギーの酸素原子を含むプラズマにさらされるため、上記自然酸化膜が形成されやすい。
そこで従来より、上記Al系配線と透明導電膜の間に、Mo、Cr、Ti、W等の高融点金属からなるバリアメタル層が設けられている。バリアメタル層を構成する上記高融点金属は、自然酸化膜を形成し難いか、形成しても絶縁性の低い自然酸化膜である、といった特性を有する。したがって、自然酸化膜が形成される前に、Al系配線の表面をバリアメタル層で被覆すれば、接触抵抗を高める自然酸化膜が存在しないため、透明導電膜との低接触抵抗を確保できる。
しかし、バリアメタル層を形成するには、その成膜工程が必要であり、ゲート電極やソース電極、更にはドレイン電極の形成に必要な成膜用スパッタ装置に加え、バリアメタル層形成用の成膜チャンバーを余分に装備しなければならない。液晶ディスプレイの大量生産に伴い低コスト化が進むにつれて、バリアメタル層の形成に伴う製造コストの上昇や生産性の低下は軽視できなくなっている。そこで、バリアメタル層の形成を省略して、Al系配線と透明導電膜を直接接続するための様々な技術が提案されている。
例えば特許文献1には、酸化インジウムに酸化亜鉛を10質量%程度含有させたIZO膜からなる透明導電膜を使用すれば、信号線との直接コンタクトが可能になることが提案されている。しかし、特許文献1において、Al系配線の表面には自然酸化膜が形成されていると考えられるため、上記IZO膜を透明導電膜に用いるだけでは接触抵抗の低減が十分ではないと思われる。
また特許文献2には、第1電極(ゲート、ソース、ドレイン)の上層にN、O、Si、C等の不純物を添加した第2層と、該不純物を添加しない第1層を積層させた積層膜を形成すれば、バリアメタル層を省略しても透明導電膜とのコンタクト抵抗を低く維持できることが開示されている。この様な積層膜とすることで、コンタクト抵抗値を最小値で約350Ω/50μm□(特許文献2の段落0040)とできたことが示され、また同段落0041にはコンタクト抵抗値が約800Ωである旨示されている。これらの値は従来より低い値であるが、十分低いとは言い難い。
更に特許文献3には、アルミニウム合金膜と透明導電膜の界面に形成されたアルミニウム合金の酸化皮膜について、膜厚を1〜10nmとし、かつ酸素含有量を44原子%以下に制御することで、該酸化皮膜(酸化アルミニウム層)の電気抵抗率を低減できた旨開示されている。この方法を実現するにあたっては、Al合金の成分を選択すればよい旨開示されている。また製造工程において、透明導電膜の形成初期は、非酸化性ガス雰囲気で成膜し、透明導電膜の形成後半期は、酸素含有雰囲気で成膜すればよいことが開示されている。これらにより、アルミニウム合金膜と透明導電膜の直接コンタクトを安定して制御することができ、バリアメタル層の省略を可能にすると共に長期信頼性の高い安価でかつ高性能の表示デバイスを提供できると記載されている。
しかし、上記の通り非酸化性ガス雰囲気で形成すると、透明導電膜の光透過率が低下しやすくなる、といった問題がある。
尚、Al系配線を構成するAl系薄膜上の絶縁膜(主に窒化シリコン)にコンタクトホールを形成する工程は、およそ(i)レジスト現像、(ii)混合ガス(例えば、SF6+O2+Ar)のプラズマによるドライエッチング、(iii)酸素ラジカルを用いるアッシング、(iv)剥離液を用いたレジスト剥離、(v)剥離液除去のための水洗、の順である。このとき、上記絶縁膜がエッチングされた後もしばらく続けてエッチングすることにより、Al系薄膜上の自然酸化膜を一時的に除去することも可能である。しかし、そもそも窒化シリコンエッチング用のガスでは、自然酸化膜(Al2O3膜)のエッチング速度が非常に遅いため、自然酸化膜の除去不足が生じやすい。仮に完全に除去できたとしても、上記(iii)アッシング工程で、自然酸化膜が再度形成されてしまう。また、上記(iii)アッシング工程を省略することも可能であるが、省略した場合には、上記(v)剥離液除去のための水洗工程で、Al系薄膜の表面がアルカリ水溶液に曝されることになり、Al系薄膜が腐食されてしまう、といった問題がある。
ところで、Al系薄膜と導電膜の電気的接触は、透明導電膜を画素電極として用いる以外にもあり、たとえば、ゲート電極配線への入力端子、TAB接続電極についても、Al系薄膜の上に(透明)導電膜が積層された構造になっていることが多い。これは、ゲート入力端子表面の変質を防止し、駆動用ICとの接触抵抗を安定化させるなどの目的による。この場合、上述した様な導電性を有するITO等の酸化物からなる透明導電膜以外に、金属、半導体、または導電性ポリマー等からなる導電膜(以下、これらを総称して「導電膜」ということがある)が形成される場合があるが、該導電膜と上記Al系薄膜を直接接続させた場合にも、Al系薄膜と画素電極を構成する透明導電膜を直接接続させた場合と同様の問題がある。
特開平11−337976号公報
特開平11−284195号公報
特開2006−23388号公報
上述の通り、Al系薄膜上に直接、導電性酸化物、金属、半導体、または導電性ポリマー等からなる導電膜を形成して、Al系薄膜と該導電膜の間で通電させる構造とした場合に、Al系薄膜の表面に生じた自然酸化膜により、該Al系薄膜と導電膜の接触抵抗が増大したり、接触抵抗を低減できたとしても再現性が低いといった問題がある。
本発明はこの様な事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、Al系薄膜と導電膜が直接接続する構造を備えたものであって、該Al系薄膜と導電膜の接触抵抗の安定的低減が可能な表示装置の製造方法を提供することにある。
本発明に係る表示装置の製造方法とは、基板上にて、純AlまたはAl合金からなる薄膜(Al系薄膜)と導電膜が直接接続する構造を有する表示装置の製造方法であって、
前記Al系薄膜を形成する工程、該Al系薄膜上に絶縁膜を形成する工程、該絶縁膜にコンタクトホールを形成する工程、および前記導電膜を形成する工程を含み、
前記コンタクトホールを形成する工程の後であって前記導電膜を形成する工程の前に、または、前記導電膜を形成する工程において、
前記Al系薄膜の急速加熱および/または急冷を行って該Al系薄膜上の自然酸化膜に亀裂を生じさせる工程を含むところに特徴を有する。
前記Al系薄膜を形成する工程、該Al系薄膜上に絶縁膜を形成する工程、該絶縁膜にコンタクトホールを形成する工程、および前記導電膜を形成する工程を含み、
前記コンタクトホールを形成する工程の後であって前記導電膜を形成する工程の前に、または、前記導電膜を形成する工程において、
前記Al系薄膜の急速加熱および/または急冷を行って該Al系薄膜上の自然酸化膜に亀裂を生じさせる工程を含むところに特徴を有する。
前記導電膜を形成する工程での前記Al系薄膜の急速加熱は、
・前記導電膜の成膜初期のガス圧を、成膜中期以降のガス圧の1.5〜10倍とする;
および/または、
・前記導電膜の成膜初期の入力パワーを、成膜中期以降の入力パワーの1.5〜5倍とする;
ことにより実施することが挙げられる。
・前記導電膜の成膜初期のガス圧を、成膜中期以降のガス圧の1.5〜10倍とする;
および/または、
・前記導電膜の成膜初期の入力パワーを、成膜中期以降の入力パワーの1.5〜5倍とする;
ことにより実施することが挙げられる。
前記Al系薄膜の急速加熱は、酸素分圧:1×10−4〜3×10−4Paの雰囲気で行うことが好ましい。
また、前記Al系薄膜の急冷は、前記Al系薄膜表面に冷水、冷液もしくは冷却ガスを直接接触させるか、または前記Al系薄膜の急速加熱後に熱源を急遮断することにより実施することが挙げられる。
前記Al系薄膜として、Ni、Ge、Bi、Co、Fe、Pd、Sb、Pt、Ti、V、Ir、Rh、Ta、Zr、Cr、Os、W、およびMoよりなる群から選択される少なくとも1種の元素Xを合計で0.1〜6原子%含むAl合金からなる薄膜を形成することが好ましい。
特には、前記Al合金(即ち、Ni、Ge、Bi、Co、Fe、Pd、Sb、Pt、Ti、V、Ir、Rh、Ta、Zr、Cr、Os、W、およびMoよりなる群から選択される少なくとも1種の元素Xを合計で0.1〜6原子%含むAl合金)からなる薄膜であって、該元素Xを含む析出物が表面に析出したAl系薄膜に、前記急速加熱および/または急冷を施すと、自然酸化膜に亀裂が生じやすくなるので好ましい。
前記元素Xを含む析出物が表面に析出したAl系薄膜は、前記Al系薄膜を形成する工程において、前記元素Xを合計で0.1〜6原子%含むAl合金からなる薄膜を形成した後、該薄膜を250℃以上の温度で10分間以上加熱して、前記元素Xを含む析出物を薄膜の表面に析出させることによって形成することができる。
本発明によれば、バリアメタル層を介在させずに、Al系薄膜と導電膜を直接接続させた場合の接触抵抗を安定的に低減できる高性能な表示装置を実現することができる。また、上記バリアメタル層を省略することができるため、上記高性能の表示装置を生産性よく、安価に製造することができる。
本発明者らは、Al系薄膜とその直上に形成される導電膜との接触抵抗が安定的に低減された表示装置を得るべく、該表示装置の製造方法について鋭意研究を行った。
表示装置における配線・電極として形成されるAl系薄膜の表面には、上述した通り自然酸化膜が生じ、この自然酸化膜が上記接触抵抗増大の原因となるが、本発明者らは、この自然酸化膜に微細な亀裂を生じさせ、自然酸化膜の厚さを局所的に薄くすることで、Al系薄膜とその後に形成される導電膜との接触抵抗を安定的に低減できることを見出し、本発明を完成した(尚、本発明では、この様な亀裂発生後の自然酸化膜を、特に「亀裂発生酸化膜」ということがある)。
前記自然酸化膜に亀裂を生じさせた場合に、Al系薄膜と導電膜の接触抵抗を低減できる機構については以下の様に考えられる。即ち、自然酸化膜に亀裂が生じると、その直後には下地のAl合金が露出するが、その後の大気曝露時に、または大気曝露せずとも後工程の導電膜成膜時に再酸化される。しかしながら亀裂箇所は、非常に狭い隙間であり、その幅は既に形成されている自然酸化膜の厚さと同等かそれ以下であるため、酸素原子がAl系薄膜に到達し拡散する速度が遅く、それ故、再酸化により形成される自然酸化膜(再酸化膜)の膜厚は非常に薄くなると考えられる。
例えば、自然酸化膜の厚さが5〜10nm程度である場合、亀裂の大きさ(幅)は1〜10nm程度であり、この亀裂で露出したAl合金部分が再酸化されて形成された再酸化膜は、その膜厚が、厚くとも5nmを超えず、生じる再酸化膜のほとんどにおいておそらく2nm以下、即ち、自然酸化膜の数分の1であると思われる。1nm以下の極薄の酸化膜は、そもそも量子力学でいう「トンネリング効果」が発現し格段に低抵抗となる。
また、この様に自然酸化膜に亀裂を生じさせる最大の効果として、亀裂発生酸化膜の膜厚が不均一となり凹凸形状となるため、この亀裂発生酸化膜に電圧が印加された場合に、該酸化膜中の電界が不均一となる。その結果、局所的に電界集中する箇所では、印加した電圧が比較的小さい場合でも絶縁破壊し、Alまたは合金元素の金属イオンが移動して永続的な導電パスが形成され、その結果、Al系薄膜と導電膜の間の接触抵抗を安定的に低減できると考えられる。
本発明者らは、上記の様な思想に基づき、Al系薄膜と導電膜が直接接続する構造を有する表示装置の製造方法において、上記作用効果を実現させることを目的に、Al系薄膜上の自然酸化膜に亀裂を生じさせるための具体的手段について種々検討を行った。その結果、形成されたAl系薄膜に対し、特に、急速加熱および/または急冷を施してAl系薄膜上の自然酸化膜に亀裂を生じさせることが大変有効であることを見出した。
自然酸化膜に生じる亀裂は、その幅が10nm以上だと、再び自然酸化されるか、または導電膜形成時の雰囲気中の酸素により酸化され、元の自然酸化膜並みとなり易いので好ましくないが、上述の通り、Al系薄膜に対して急速加熱および/または急冷を施すことによって、Al系薄膜にミクロで不均一な熱膨張または収縮を与えることができ、結果として、微細な亀裂を生じさせることができる。
具体的に本発明では、Al系薄膜と導電膜が直接接続する構造を有する表示装置の製造方法において、Al系薄膜を形成する工程、該Al系薄膜上に絶縁膜を形成する工程、該絶縁膜にコンタクトホールを形成する工程、および前記導電膜を形成する工程を含み、
上記Al系薄膜を急速加熱および/または急冷を、
(I)前記コンタクトホールを形成する工程の後であって前記導電膜を形成する工程の前に行うか、または、
(II)前記導電膜を形成する工程において行えばよいことを見出した。
上記Al系薄膜を急速加熱および/または急冷を、
(I)前記コンタクトホールを形成する工程の後であって前記導電膜を形成する工程の前に行うか、または、
(II)前記導電膜を形成する工程において行えばよいことを見出した。
上記(I)の場合には、例えば下記の工程を採用することができる。
Al系薄膜の形成→絶縁膜の形成→絶縁膜にAl系薄膜まで貫通するコンタクトホールを形成→Al系薄膜の急速加熱および/または急冷→導電膜の形成
Al系薄膜の形成→絶縁膜の形成→絶縁膜にAl系薄膜まで貫通するコンタクトホールを形成→Al系薄膜の急速加熱および/または急冷→導電膜の形成
また、上記Al系薄膜の急速加熱および/または急冷は、上記(II)に示す通り、導電膜の形成工程で、導電膜の形成と共に行うこともでき、この場合、上記Al系薄膜の形成から導電膜の形成までの工程として、例えば下記の工程を採用することができる。
Al系薄膜の形成→絶縁膜の形成→絶縁膜にAl系薄膜まで貫通するコンタクトホールを形成→導電膜の形成時の最初にAl系薄膜の急速加熱および/または急冷
Al系薄膜の形成→絶縁膜の形成→絶縁膜にAl系薄膜まで貫通するコンタクトホールを形成→導電膜の形成時の最初にAl系薄膜の急速加熱および/または急冷
この様に、導電膜の形成時にAl系薄膜の急速加熱および/または急冷を行う場合には、絶縁膜にコンタクトホールを形成後、少なくともコンタクトホールにおいて露出しているAl系薄膜の表面を急速加熱および/または急冷することが挙げられる。
以下では、上記急速加熱・急冷の各処理条件について詳細に述べる。
〈加熱手段〉
前記コンタクトホールを形成する工程の後であって前記導電膜を形成する工程の前に、Al系薄膜の急速加熱を行う場合には、例えば、熱源を用いてAl系薄膜を急速加熱することが挙げられる。具体的には、基板裏側への接触型のヒータを用いることができる。但し、基板裏側への接触型ヒータでは、基板であるガラスを通して加熱することになるため、その熱容量分、昇温速度が遅くなる。よって昇温速度を上げるべく、赤外線ヒータ、赤外線ランプ、レーザなどの光を用いることができる。赤外線等の光を用いればAl系薄膜の表面から直接加熱することができる。しかしそれでも、対象となるAl系薄膜はそもそも光の反射率が高いため、加熱効率が低いという欠点がある。
前記コンタクトホールを形成する工程の後であって前記導電膜を形成する工程の前に、Al系薄膜の急速加熱を行う場合には、例えば、熱源を用いてAl系薄膜を急速加熱することが挙げられる。具体的には、基板裏側への接触型のヒータを用いることができる。但し、基板裏側への接触型ヒータでは、基板であるガラスを通して加熱することになるため、その熱容量分、昇温速度が遅くなる。よって昇温速度を上げるべく、赤外線ヒータ、赤外線ランプ、レーザなどの光を用いることができる。赤外線等の光を用いればAl系薄膜の表面から直接加熱することができる。しかしそれでも、対象となるAl系薄膜はそもそも光の反射率が高いため、加熱効率が低いという欠点がある。
好ましくは、プラズマなどの高温気体を用いた急速加熱である。この方法では、Al系薄膜の表面に高温の粒子が接触するため、最も加熱速度が高い。プラズマによる加熱を急速にかつ短時間で終えるためには、プラズマ温度を上げるか、気圧を上げるとよい。プラズマには、RFプラズマ、大気圧プラズマ、プラズマジェット、マイクロ波プラズマなどを用いることができる。尚、必要以上の高エネルギーのイオンが存在すると、下層や処理すべき箇所以外へダメージを与える可能性がある。よって、スループット、処理能力、処理容器の簡便性、必要な表面以外への高速粒子による損傷を考慮すれば、リモート式(プラズマ発生部からプラズマを吹き出させて照射する方式)大気圧プラズマが最も適していると考えられる。
また、導電膜の形成工程でAl系薄膜を急速加熱する場合には、例えば、導電膜の成膜初期の成膜条件を制御することが挙げられる。即ち、導電膜の成膜は、例えばスパッタリング法で行われ、通常は、成膜終了までガス圧や入力パワー等の条件を一定にするが、この成膜工程における成膜初期に、ガス圧を高くする、および/または、入力パワーを大きく設定すること等により、成膜初期に、Al系薄膜の表面に与えるエネルギーを増大させて、該Al系薄膜の昇温速度を急とし、自然酸化膜に亀裂を生じさせることができる。
具体的には、
・前記導電膜の成膜初期のガス圧を、該導電膜の成膜中期以降のガス圧の1.5〜10倍とする;
および/または、
・前記導電膜の成膜初期の入力パワーを、該導電膜の成膜中期以降の入力パワーの1.5〜5倍とする;
ことによりAl系薄膜を急速に加熱することが挙げられる。上記加熱手段により、100℃/秒以上の昇温が可能である。
・前記導電膜の成膜初期のガス圧を、該導電膜の成膜中期以降のガス圧の1.5〜10倍とする;
および/または、
・前記導電膜の成膜初期の入力パワーを、該導電膜の成膜中期以降の入力パワーの1.5〜5倍とする;
ことによりAl系薄膜を急速に加熱することが挙げられる。上記加熱手段により、100℃/秒以上の昇温が可能である。
尚、この様に導電膜の形成と自然酸化膜の亀裂発生を同時に行う場合、上記Al系薄膜の昇温速度を高めた後、導電膜の成膜温度に上昇した頃を見計らって、ガス圧を下げる、および/または、入力パワーを小さくして、定常状態での成膜に移行すればよい。この手順により、成膜初期の急激な温度上昇による亀裂発生の促進と、導電膜を急速に成膜することによる亀裂の速やかな被覆保護がなされ、接触抵抗の安定的な低減が可能となる。
〈加熱雰囲気〉
急速加熱する場合の雰囲気は、完全非酸化雰囲気ではなく、酸素分圧:1×10−4〜3×10−4Paの微量の酸素が含まれることが望ましい。
急速加熱する場合の雰囲気は、完全非酸化雰囲気ではなく、酸素分圧:1×10−4〜3×10−4Paの微量の酸素が含まれることが望ましい。
加熱処理中、自然酸化膜よりも熱膨張率が高いAl系薄膜が膨張することで、自然酸化膜に亀裂が発生するが、降温させると亀裂は再び閉じてしまう。それでも完全に元に戻るわけではないため効果はあるが、加熱雰囲気中に上記微量の酸素を存在させることで、以下の様な効果を図ることができる。即ち、加熱雰囲気中に上記微量の酸素が存在すると、亀裂で露出したAl系薄膜の表面に再酸化膜がわずかに成長する。そしてその後の冷却(降温)時に、上記膜厚の薄い再酸化膜は、横方向のAl系薄膜に押されて破れ、凸状に盛り上がる。そのため、亀裂は残り、かつ効果的に凸部が形成されて、上述した様な亀裂発生酸化膜の膜厚の不均一化を図ることができる。
〈冷却手段〉
上記急冷を実施するための具体的方法として、Al系薄膜の表面に冷水、冷液または冷却ガスを直接接触させることが挙げられる。具体的に、冷水または冷液(例えばエチレングリコール、フロリナート、IPA等のアルコール類)を用いる場合は、Al系薄膜の表面に冷水または冷液を直接流すことが挙げられ、冷却ガスを用いる場合は、例えば冷却された不活性ガスをAl系薄膜の表面に吹き付けることが挙げられる。また、基板の裏面(Al系薄膜形成面とは反対側の面)の熱拡散構造を十分確保していれば、加熱後に熱源を急遮断し、熱拡散を促進させることにより急冷することが可能である。前記プラズマによる加熱によれば、プラズマの点灯・遮断は瞬時に起こるため、加熱後の熱拡散による急冷が可能である。上記冷却手段により、100℃/秒以上の速度で冷却することが可能である。
上記急冷を実施するための具体的方法として、Al系薄膜の表面に冷水、冷液または冷却ガスを直接接触させることが挙げられる。具体的に、冷水または冷液(例えばエチレングリコール、フロリナート、IPA等のアルコール類)を用いる場合は、Al系薄膜の表面に冷水または冷液を直接流すことが挙げられ、冷却ガスを用いる場合は、例えば冷却された不活性ガスをAl系薄膜の表面に吹き付けることが挙げられる。また、基板の裏面(Al系薄膜形成面とは反対側の面)の熱拡散構造を十分確保していれば、加熱後に熱源を急遮断し、熱拡散を促進させることにより急冷することが可能である。前記プラズマによる加熱によれば、プラズマの点灯・遮断は瞬時に起こるため、加熱後の熱拡散による急冷が可能である。上記冷却手段により、100℃/秒以上の速度で冷却することが可能である。
上記急冷後の常温までの復温は、可能な限り速くすることが望ましい。常温までの復温が緩やかだと、亀裂箇所の再酸化が進行する可能性があるからである。常温までの復温を速める具体的方法として、例えば、上記急冷後に温水、温液をAl系薄膜表面に流したり、温ガス(N2等)を吹き付けること等が挙げられる。
〈急速加熱・急冷の実施回数〉
上記急速加熱や急冷は、1回でもよいが2回以上行うことが望ましい。2回以上の処理を行うことにより新たな亀裂を容易に発生させることができ、上述した導電パスを多く形成して接触抵抗をより低減できるからである。尚、2回目以上の酸化では、亀裂で露出した箇所が再酸化される場合があるが、その様な場合でも、その膜厚は自然酸化膜の膜厚より薄いので問題ない。
上記急速加熱や急冷は、1回でもよいが2回以上行うことが望ましい。2回以上の処理を行うことにより新たな亀裂を容易に発生させることができ、上述した導電パスを多く形成して接触抵抗をより低減できるからである。尚、2回目以上の酸化では、亀裂で露出した箇所が再酸化される場合があるが、その様な場合でも、その膜厚は自然酸化膜の膜厚より薄いので問題ない。
〈自然酸化膜の膜厚〉
自然酸化膜に微細な亀裂を生じさせてAl系薄膜と導電膜の接触抵抗を安定的に低減させるには、自然酸化膜の膜厚が2nm以上10nm以下であることが好ましい。さらに好ましくは2nm以上5nm以下の範囲内である。
自然酸化膜に微細な亀裂を生じさせてAl系薄膜と導電膜の接触抵抗を安定的に低減させるには、自然酸化膜の膜厚が2nm以上10nm以下であることが好ましい。さらに好ましくは2nm以上5nm以下の範囲内である。
自然酸化膜の膜厚が1nmを下回る場合、トンネリング効果により実効的には絶縁性は非常に低いため、そもそも本発明で規定する亀裂発生処理が不要である。一方、自然酸化膜の膜厚が2nmを下回る場合には、発生した亀裂から酸素が侵入する経路が短いため、容易に再酸化され、場合によっては元の酸化膜厚より厚くなってしまい、亀裂発生酸化膜の絶縁性が亀裂発生前より高くなってしまうおそれがある。
また、自然酸化膜の膜厚が10nmを超えると、亀裂発生が困難となるため好ましくない。この様な場合、亀裂が発生しても亀裂深さが深いため、亀裂部のAl系薄膜表面の再酸化膜の厚さは薄くなるが、Al系薄膜表面とその上面に形成される導電膜との距離が遠くなるため、接触抵抗が増大する。自然酸化膜の膜厚は好ましくは5nm以下である。
尚、自然酸化膜の膜厚は、意図的に強酸化条件下に曝さなければ10nm以下に抑えることができる。また、長時間放置しなければ5nm以下に抑えることができる。一方、コンタクトホール形成工程のドライエッチングにより自然酸化膜を適度にエッチング後、または、コンタクトホール形成後に濃度の薄いアルカリ水溶液で自然酸化膜を適度に溶解後であって、いずれも短時間の間(約10分間以内)には、膜厚が2nmを下回る自然酸化膜が形成されていると思われるが、その後、自然酸化膜が成長するため、上記の様な場合を除けば、自然酸化膜の膜厚は2nm以上であると思われる。
〈Al系薄膜の成分組成等〉
本発明では、電極・配線を構成する薄膜として、純AlまたはAl合金からなる薄膜を形成する。好ましくは、Ni、Ge、Bi、Co、Fe、Pd、Sb、Pt、Ti、V、Ir、Rh、Ta、Zr、Cr、Os、W、およびMoよりなる群から選択される少なくとも1種(元素X)を合計で0.1〜6原子%含むAl合金からなる薄膜(Al合金膜)を形成することが好ましい。上記の通り元素Xを合金元素として含むAl合金膜とすることで、例えばITO膜等の透明導電膜と直接接続させた場合に、接続抵抗をより低減させることができる。特には、Niを0.5〜2原子%含むAl合金膜を形成することが好ましい。
本発明では、電極・配線を構成する薄膜として、純AlまたはAl合金からなる薄膜を形成する。好ましくは、Ni、Ge、Bi、Co、Fe、Pd、Sb、Pt、Ti、V、Ir、Rh、Ta、Zr、Cr、Os、W、およびMoよりなる群から選択される少なくとも1種(元素X)を合計で0.1〜6原子%含むAl合金からなる薄膜(Al合金膜)を形成することが好ましい。上記の通り元素Xを合金元素として含むAl合金膜とすることで、例えばITO膜等の透明導電膜と直接接続させた場合に、接続抵抗をより低減させることができる。特には、Niを0.5〜2原子%含むAl合金膜を形成することが好ましい。
また、上記元素Xを含み、かつ該元素Xを含む析出物(以下、単に「析出物」という場合がある)が表面に析出されたAl合金膜に、前記急速加熱および/または急冷を施すと、自然酸化膜に亀裂が生じやすいので好ましい。
その機構として、Al合金膜の表面に、元素Xを含む析出物の様にAl合金地金とは熱膨張率の異なる部分が存在すると、自然酸化膜における、Al合金地金と上記析出物(Al合金地金とは熱膨張率の異なる部分)の境界線付近の位置で亀裂が発生し易いことが考えられる。
上記機構による効果を十分発揮させるには、前記元素Xを含む析出物を、Al合金膜表面に占める面積割合で0.1〜500ppmとなるよう存在させることが好ましい。この様に規定した理由を以下に述べる。
Al合金膜と導電膜が、例えば絶縁膜に形成されたコンタクトホールで直接接続している場合、Al合金膜と導電膜の接触抵抗を安定的に低減させるには、該コンタクトホール1個において、少なくとも1箇所以上の導電パスが形成されなければならない。そこで、下記(1)〜(3)の様な仮定のもと、必要な亀裂部分の面積を計算すると、コンタクトホール1個(100μm2)につき2.5nm2以上となる。
(1)亀裂発生酸化膜における亀裂部分は、全て導電パスとして作用する部分である(金属的な導電性を示す部分である)と仮定し、その体積抵抗率をおよそ5μΩcmとする。
(2)典型的なコンタクトホールの大きさを10μm角=100μm2とし、実用上必要な接触抵抗を100Ω以下とする。
(3)自然酸化膜の厚さを5nmとする。
(1)亀裂発生酸化膜における亀裂部分は、全て導電パスとして作用する部分である(金属的な導電性を示す部分である)と仮定し、その体積抵抗率をおよそ5μΩcmとする。
(2)典型的なコンタクトホールの大きさを10μm角=100μm2とし、実用上必要な接触抵抗を100Ω以下とする。
(3)自然酸化膜の厚さを5nmとする。
また、析出物の存在する箇所で亀裂が発生する確率は、個々の析出物の大きさ等析出形態にもよると考えられるが、亀裂は、析出物の面積のおよそ1/10〜1/100で生じると推察される。
言い換えれば、必要面積の亀裂部分を発生させるには、その10〜100倍の面積の析出物を析出させる必要があると考えられる。つまり、必要な析出物の面積は、およそ25〜250nm2と見積もられ、コンタクトホール1個分のAl合金膜の面積(100μm2)における面積割合に換算すると0.25〜2.5ppmとなる。
尚、上記計算では、自然酸化膜の厚さを5nmと仮定したが、本発明で好ましいとする自然酸化膜の厚さは、2〜10nmである。また、上記仮定では、自然酸化膜に形成された亀裂部分の体積抵抗率をおよそ5μΩcmと仮定したが、実際には、金属原子が断続的になる等により、この体積抵抗率が例えば100倍程度まで高くなる可能性もある。従ってこれらの点も考慮すると、上記コンタクトホールにおけるAl合金膜表面の析出物の面積割合の範囲は拡張され、0.1〜500ppmと計算できる。
上記元素Xを含む析出物が表面に析出したAl合金膜は、Al系薄膜を形成する工程において、前記元素Xを規定量含むAl合金膜を形成後、該Al合金膜を好ましくは250℃以上(より好ましくは280℃以上、好ましくは350℃以下)の温度で好ましくは10分間以上(好ましくは30分間以下)加熱して形成することができる。
上記加熱は、前記Al系薄膜を形成する工程で前記Al合金膜を形成後、上記元素Xを含む析出物を析出させる目的で加熱(熱処理)工程を設けてもよいし、Al合金膜形成後の工程の熱履歴が、上記温度・時間を満たすものであってもよい。Al合金膜形成後の工程の熱履歴が上記温度・時間を満たす例として、上記合金元素のうち特にNiを含むAl−Ni合金膜を形成し、その後、絶縁膜(保護膜)である窒化シリコン膜(SiN)の成膜時に、例えば260℃以上に約10分間保持される熱履歴を経ることでNiを含む析出物が形成される場合が、好ましい例として挙げられる。
また、上記加熱後、更にエッチング(薬液処理、または気相処理)を行って析出物を露出させ、表面あるいは表面のごく近傍に上記析出物をより多く析出させることもできる。
〈表示装置の製造方法の好ましい実施形態〉
以下、本発明に係る表示装置の製造方法の好ましい実施形態を説明する。なお、ここでは、アモルファスシリコンTFT基板(またはポリシリコンTFT基板)を備えた液晶表示デバイスにおいて、Al系薄膜と、画素電極を構成する透明導電膜(ITO膜)を直接接続する場合を代表例に挙げて説明しているが、本発明はこれに限定されず、上述した通り、例えば、ゲート電極配線への入力端子、TAB接続電極において、Al系薄膜の上に導電膜が積層された構造においても適用することができる。また、酸化物からなる導電膜以外に、上述の通り、金属、半導体、または導電性ポリマー等の導電膜をAl系薄膜と直接接続させる場合も本発明の技術的範囲に包含される。更に、下記では急速加熱・急冷処理の一例を示しているがこれに限定されず、上述した様な様々な手段で急速加熱・急冷を行うことができる。
以下、本発明に係る表示装置の製造方法の好ましい実施形態を説明する。なお、ここでは、アモルファスシリコンTFT基板(またはポリシリコンTFT基板)を備えた液晶表示デバイスにおいて、Al系薄膜と、画素電極を構成する透明導電膜(ITO膜)を直接接続する場合を代表例に挙げて説明しているが、本発明はこれに限定されず、上述した通り、例えば、ゲート電極配線への入力端子、TAB接続電極において、Al系薄膜の上に導電膜が積層された構造においても適用することができる。また、酸化物からなる導電膜以外に、上述の通り、金属、半導体、または導電性ポリマー等の導電膜をAl系薄膜と直接接続させる場合も本発明の技術的範囲に包含される。更に、下記では急速加熱・急冷処理の一例を示しているがこれに限定されず、上述した様な様々な手段で急速加熱・急冷を行うことができる。
以下では、図8に示すTFT基板の製造方法の概略を、図1〜7に沿って順に説明する。
まずガラス基板1aに、スパッタリング等の手法で例えば膜厚200nm程度のAl系薄膜を形成し、該Al系薄膜をパターニングすることにより、ゲート電極26と走査線25を形成する(図1)。このとき、後記する図2において、ゲート絶縁膜27のカバレッジが良くなるように、上記Al系薄膜の側面を傾斜角約30°〜60°のテーパー状にエッチングしておくのがよい。
次いで図2に示す如く、例えばプラズマCVD法などの手法で、例えば膜厚が約300nm程度の酸化シリコン膜(SiOx)でゲート絶縁膜27を形成する。続いてゲート絶縁膜27の上に、例えば膜厚50nm程度の水素化アモルファスシリコン膜(a−Si:H)および膜厚300nm程度の窒化シリコン膜(SiNx)を成膜する。
そして、ゲート電極26をマスクとする裏面露光により、図3に示すように窒化シリコン膜(SiNx)をパターニングし、チャネル保護膜を形成する。更にその上に、図4に示すように、リンをドーピングした例えば膜厚50nm程度のn+型水素化アモルファスシリコン膜(n+a−Si:H)を成膜し、次いで、水素化アモルファスシリコン膜(a−Si:H)とn+型水素化アモルファスシリコン膜(n+a−Si:H)をパターニングする。
(導電膜と直接接続するAl系薄膜の形成工程)
そして図5に示す様に、スパッタリング法を用いて、厚さ300nm程度のAl系薄膜(例えばNiを合金元素として含むAl−Ni合金膜)を成膜してからパターニングすることにより、信号線と一体のソース電極28と、画素電極(透明導電膜)5に直接接続されるドレイン電極29を形成する。更に、ソース電極28とドレイン電極29をマスクとして、チャネル保護膜(SiNx)上のn+型水素化アモルファスシリコン膜(n+a−Si:H)を除去する。
そして図5に示す様に、スパッタリング法を用いて、厚さ300nm程度のAl系薄膜(例えばNiを合金元素として含むAl−Ni合金膜)を成膜してからパターニングすることにより、信号線と一体のソース電極28と、画素電極(透明導電膜)5に直接接続されるドレイン電極29を形成する。更に、ソース電極28とドレイン電極29をマスクとして、チャネル保護膜(SiNx)上のn+型水素化アモルファスシリコン膜(n+a−Si:H)を除去する。
(絶縁膜(窒化シリコン膜)の形成工程)
次に、図6に示す如く、例えばプラズマCVD装置などを用いて、窒化シリコン膜30を例えば膜厚300nm程度成膜することにより保護膜を形成する。このときの成膜は例えば260℃程度で行なわれる。Al系薄膜として、上記の通り例えばAl−Ni合金膜を形成した場合には、この絶縁膜の形成時に、Ni含有析出物をAl−Ni合金膜の表面に析出させることができる。
次に、図6に示す如く、例えばプラズマCVD装置などを用いて、窒化シリコン膜30を例えば膜厚300nm程度成膜することにより保護膜を形成する。このときの成膜は例えば260℃程度で行なわれる。Al系薄膜として、上記の通り例えばAl−Ni合金膜を形成した場合には、この絶縁膜の形成時に、Ni含有析出物をAl−Ni合金膜の表面に析出させることができる。
次いで、てこの窒化シリコン膜30上にフォトレジスト層31を形成する。
(コンタクトホールの形成工程)
続いて、フォトレジスト層31を現像処理することにより、図6に示すようにフォトレジスト層31に開口部を設ける。この開口部をマスクとしたドライエッチングにより、絶縁膜(窒化シリコン膜)30にコンタクトホール32を形成する。また図示していないが、同時にパネル端部のゲート電極上のTABとの接続に当たる部分にコンタクトホールを形成する。
続いて、フォトレジスト層31を現像処理することにより、図6に示すようにフォトレジスト層31に開口部を設ける。この開口部をマスクとしたドライエッチングにより、絶縁膜(窒化シリコン膜)30にコンタクトホール32を形成する。また図示していないが、同時にパネル端部のゲート電極上のTABとの接続に当たる部分にコンタクトホールを形成する。
(急速加熱・急冷処理工程)
コンタクトホール32を形成後、例えば下記(a)または(b)の方法で急速加熱および急冷を実施する。
(a)ハロゲンランプまたは赤外線を、少なくともコンタクトホール部分に照射する方法
窒素(N2)に分圧1×10−4〜3×10−4Paの酸素を含む雰囲気において、たとえば高速熱アニール(RTA)用1kWハロゲンランプを1秒ずつ一斉照射するか、または、赤外線レーザとして出力1kWのCO2レーザを用い、コンタクトホール1個あたり10μ秒の割合で照射する。そして、照射直後に−100℃程度に冷却されたN2ガスを吹き付けて室温まで急冷する。
(b)プラズマ加熱する方法
プラズマ源として、例えばリモート式や回転電極式の大気圧プラズマ装置を用い、ライン状のプラズマを、対象のコンタクトホールに対して1秒照射する割合で基板を移動させる。そして加熱直後に、照射した部分に−100℃程度に冷却されたN2ガスを吹き付けて室温まで急冷する。プラズマ加熱時の雰囲気は、N2にHeまたはArを数%含有し、かつ分圧1×10−4〜3×10−4Paの酸素を含有するものとすればよい。
コンタクトホール32を形成後、例えば下記(a)または(b)の方法で急速加熱および急冷を実施する。
(a)ハロゲンランプまたは赤外線を、少なくともコンタクトホール部分に照射する方法
窒素(N2)に分圧1×10−4〜3×10−4Paの酸素を含む雰囲気において、たとえば高速熱アニール(RTA)用1kWハロゲンランプを1秒ずつ一斉照射するか、または、赤外線レーザとして出力1kWのCO2レーザを用い、コンタクトホール1個あたり10μ秒の割合で照射する。そして、照射直後に−100℃程度に冷却されたN2ガスを吹き付けて室温まで急冷する。
(b)プラズマ加熱する方法
プラズマ源として、例えばリモート式や回転電極式の大気圧プラズマ装置を用い、ライン状のプラズマを、対象のコンタクトホールに対して1秒照射する割合で基板を移動させる。そして加熱直後に、照射した部分に−100℃程度に冷却されたN2ガスを吹き付けて室温まで急冷する。プラズマ加熱時の雰囲気は、N2にHeまたはArを数%含有し、かつ分圧1×10−4〜3×10−4Paの酸素を含有するものとすればよい。
(透明導電膜の形成工程)
次に、例えば酸素プラズマによるアッシング工程を経た後、例えばアミン系等の剥離液を用いてフォトレジスト層31の剥離処理を行い(図7)、そして最後に、図8に示すように、例えば厚さ40nm程度のITO膜を成膜し、ウェットエッチングによるパターニングを行うことによって画素電極(透明導電膜)5を形成する。同時に、パネル端部のゲート電極26におけるTABとの接続部分に、TABとのボンディングのためITO膜をパターニングすると、TFT基板が完成する。
次に、例えば酸素プラズマによるアッシング工程を経た後、例えばアミン系等の剥離液を用いてフォトレジスト層31の剥離処理を行い(図7)、そして最後に、図8に示すように、例えば厚さ40nm程度のITO膜を成膜し、ウェットエッチングによるパターニングを行うことによって画素電極(透明導電膜)5を形成する。同時に、パネル端部のゲート電極26におけるTABとの接続部分に、TABとのボンディングのためITO膜をパターニングすると、TFT基板が完成する。
尚、本発明で規定する急速加熱・急冷処理をこの透明導電膜の形成工程で行う場合には、次の様にして行うことができる。即ち、透明導電膜の成膜初期に、入力パワーとガス圧を高める方法が挙げられる。具体的には、透明導電膜の成膜開始から例えば5秒間は、通常成膜時のパワーの約2倍とし、ガス圧は10mTorrとすることが挙げられる。また反応ガスとして、ArにO2を混合させたものを使用することが好ましい。そして、透明導電膜の成膜開始から5秒後に通常パワーに戻し、成膜チャンバーに導入するガスをAr:O2=4:1(分圧比=流量比)とし、ガス圧は2mTorrとして透明導電膜を成膜することが挙げられる。
このようにして作製されたTFT基板は、ドレイン電極29と画素電極(透明導電膜)5とが直接コンタクトされている。また、ゲート電極26にAl系薄膜を単層で用い、バリアメタル層を省略した場合には、ゲート電極26とTAB接続用のITO膜も直接コンタクトされているが、上記したコンタクトホールにおけるAl系薄膜の急速加熱および/または急冷を実施することで、該ゲート電極26とITO膜との接触抵抗も低減することができる。
尚、上記では、画素電極(透明導電膜)5として、ITO膜を用いたが、IZO膜(InOx−ZnOx系導電性酸化膜)を用いてもよい。また、活性半導体層として、アモルファスシリコンの代わりにポリシリコンを用いてもよい。
このようにして得られるTFT基板を用いて、通常行なわれている方法で、例えば液晶ディスプレイ(表示装置)を作製することができる。
以下、実施例を挙げて本発明の作用効果を具体的に説明するが、本発明はもとより、下記実施例によって制限を受けるものではない。本発明の趣旨に適合する範囲で下記実施例に適当に変更を加えて実施することも可能であり、これらは全て本発明の技術的範囲に含まれる。
[実施例1]
Al系薄膜に高速熱アニール(RTA)用ハロゲンランプを照射させて、Al系薄膜上の自然酸化膜に亀裂を生じさせ、その効果を確認する実験を行った。
Al系薄膜に高速熱アニール(RTA)用ハロゲンランプを照射させて、Al系薄膜上の自然酸化膜に亀裂を生じさせ、その効果を確認する実験を行った。
(実験用デバイスの作製)
接触抵抗の測定は、図9(a)に示す様なケルビンパターンを下記の通り作製して行った。即ち、図9(b)は、図9(a)のX−X断面図であるが、この図9(b)に示す様に、Al系薄膜として、Al−0.5原子%Ni合金膜42をスパッタリング法によってガラス基板41上に200nm程度成膜し、パターニングした。その後、CVD法によって厚さ300nmの絶縁膜(SiNx)43を成膜した。尚、絶縁膜(SiNx)43の成膜時に、上記Al系薄膜(Al合金膜)42が260℃以上の温度で約10分間保持されるため、この間に、絶縁膜(SiNx)の形成と同時にNi含有析出物を析出させることができる。
接触抵抗の測定は、図9(a)に示す様なケルビンパターンを下記の通り作製して行った。即ち、図9(b)は、図9(a)のX−X断面図であるが、この図9(b)に示す様に、Al系薄膜として、Al−0.5原子%Ni合金膜42をスパッタリング法によってガラス基板41上に200nm程度成膜し、パターニングした。その後、CVD法によって厚さ300nmの絶縁膜(SiNx)43を成膜した。尚、絶縁膜(SiNx)43の成膜時に、上記Al系薄膜(Al合金膜)42が260℃以上の温度で約10分間保持されるため、この間に、絶縁膜(SiNx)の形成と同時にNi含有析出物を析出させることができる。
尚、この直後に一部の試料をとり分け、上記Al系薄膜の表面に析出した析出物をTEM(透過型電子顕微鏡)などにより分析した。その結果、上記Al系薄膜の表面に析出した析出物は、ほぼAl3Niからなり、平均直径は4nm〜50nmであった。即ち、平均面積は12〜2000nm2であり、10μm角のコンタクトホールに対する面積割合は0.12〜20ppmに相当することを確認した。
上記絶縁膜(SiNx)43の形成後、該絶縁膜の表面に、エッチング用マスクとして、フォトレジストをコーティングし、通常のフォトリソグラフィープロセスを用いて、1辺が10μmの正方形状のコンタクトホールをパターニングし、エッチングすることによってコンタクトホール44を形成した。尚、図9では、コンタクトホール1個のみを示しているが、1回の工程(バッチ)でコンタクトホール10個を形成した。その後、酸素プラズマアッシング、剥離液によるレジスト剥離を行った。なお剥離液としては、東京応化社製の「剥離液TOK106」を使用し、70℃で10分間洗浄した。
それから、上記Al系薄膜に急速加熱および急冷を施して、該Al系薄膜上に発生した自然酸化膜に亀裂を生じさせた。具体的には、N2に分圧1×10−4〜3×10−4Paの酸素を含む雰囲気で、急速加熱および急冷を行った。急速加熱は、Al系薄膜と透明導電膜の直接接続部分46に該当する、コンタクトホール内のAl系薄膜部分に対し、高速熱アニール(RTA)用1kWハロゲンランプ(列)を1秒ずつ一斉照射して行った。そしてその直後に、−100℃程度に冷却されたN2ガスを吹き付けて室温まで急冷した。
これを2回行った後、DCマグネトロン・スパッタ法により膜厚約200nmの透明導電膜(ITO膜)45を成膜した。ITO膜の形成は、具体的には、Ar/O2=30/0.2sccm、ガス圧:2mTorr、スパッタパワーDC(入力パワー):2W/cm2の条件で行った。
尚、上記フォトレジストの剥離処理の後、基板を切り出し、コンタクトホールにおけるAl系薄膜上の自然酸化膜の膜厚をTEMで観察したところ、約5nmであった。
また、この実施例1(透明導電膜はITO膜)の方法で作製した試料について、Al系薄膜(Al−0.5原子%Ni合金膜、Al−Ni合金膜)とITO膜との界面付近をTEMで観察した。そのTEM観察写真(上記Al−Ni合金膜とITO膜の積層皮膜の膜厚方向断面写真)を図10に示す。図10には、上記界面付近における各部位の説明を部分的に示している。図10において、Al原子が存在する箇所は白っぽく示されており、ITO膜側(図10の上方)に向かうに従いAl原子が少量となるため、図10の上方は黒く示されている。この図10から、Al系薄膜(Al−Ni合金膜)とITO膜の界面の亀裂発生酸化膜(図10では、「Al酸化膜」と表示)のほとんどの部分は膜厚5nmであるが、図10に白矢印で示す通り、亀裂による変形が生じている。具体的に亀裂部分は、上記Al酸化膜が上方に盛り上がり、凸状になっていることがわかる。また、各部位の組成分析をEDX法で行った結果、図10に白矢印および白破線で示す通り、亀裂の間からAl原子が上方(ITO膜側)へ拡散していることが確認された。
尚、上記現象は、後述する実施例2〜4のいずれにおいても同様に確認された。
(接触抵抗の測定)
次に接触抵抗の測定には、四端子のマニュアルプローバーと半導体パラメータアナライザー「HP4156A」(ヒューレットパッカード社製)を用いた。この測定では、Al系薄膜42の1端子(図9(a)のI1)とITO膜45の1端子(図9(a)のI2)の間で電流を流し、他端子間の電圧(図9(a)のV3、V4)を測定した。そして、電圧を測定した2端子間の電位差ΔV=(V3−V4)を求め、R(接触抵抗)=ΔV/I2から、接触抵抗を求めた。
次に接触抵抗の測定には、四端子のマニュアルプローバーと半導体パラメータアナライザー「HP4156A」(ヒューレットパッカード社製)を用いた。この測定では、Al系薄膜42の1端子(図9(a)のI1)とITO膜45の1端子(図9(a)のI2)の間で電流を流し、他端子間の電圧(図9(a)のV3、V4)を測定した。そして、電圧を測定した2端子間の電位差ΔV=(V3−V4)を求め、R(接触抵抗)=ΔV/I2から、接触抵抗を求めた。
上記方法により、コンタクトホール10個の個々の接触抵抗を測定した。その結果、コンタクトホール10個の接触抵抗は、30〜100Ωと低接触抵抗の範囲内に収まった。またコンタクトホール10個の接触抵抗の平均値は、バッチ間において50〜80Ωの範囲内であり、バッチ間のバラツキも小さく、接触抵抗を安定して低減することができた。
[実施例2]
上記ハロゲンランプによる加熱のかわりに、下記の通り赤外線レーザを用いて急速加熱する以外は実施例1と同様にして実験用のデバイス構造を作製し、Al系薄膜に赤外線レーザを照射してAl系薄膜上の自然酸化膜に亀裂を生じさせた場合の効果を確認した。
上記ハロゲンランプによる加熱のかわりに、下記の通り赤外線レーザを用いて急速加熱する以外は実施例1と同様にして実験用のデバイス構造を作製し、Al系薄膜に赤外線レーザを照射してAl系薄膜上の自然酸化膜に亀裂を生じさせた場合の効果を確認した。
赤外線レーザを用いた急速加熱は、赤外線レーザとして出力1kWのCO2レーザを用い、Al系薄膜と透明導電膜の直接接続部分46に該当する、コンタクトホール内のAl系薄膜部分1個あたりに10μ秒の割合で照射して行った。そして、その直後に−100℃程度に冷却されたN2ガスを吹き付けて室温まで急冷した。この赤外線レーザによる加熱および急冷を繰り返し2回行った後、実施例1と同様にしてケルビンパターンを形成し、接触抵抗を測定した。
その結果、実施例2においても、コンタクトホール10個の接触抵抗は、30〜100Ωと低接触抵抗の範囲内に収まった。またコンタクトホール10個の接触抵抗の平均値は、バッチ間において40〜70Ωの範囲内であり、バッチ間のバラツキも小さく、接触抵抗を安定して低減することができた。
[実施例3]
上記ハロゲンランプによる加熱のかわりに、下記の通りプラズマにより急速加熱する以外は実施例1と同様にして実験用のデバイス構造を作製し、Al系薄膜をプラズマ加熱してAl系薄膜上の自然酸化膜に亀裂を生じさせた場合の効果を確認した。
上記ハロゲンランプによる加熱のかわりに、下記の通りプラズマにより急速加熱する以外は実施例1と同様にして実験用のデバイス構造を作製し、Al系薄膜をプラズマ加熱してAl系薄膜上の自然酸化膜に亀裂を生じさせた場合の効果を確認した。
プラズマによる急速加熱は、プラズマ源として、リモート式の大気圧プラズマ装置を用い、ライン状のプラズマを、対象のコンタクトホールに対して1秒照射する割合で基板を移動させて行った。そして加熱直後に、照射した部分に−100℃程度に冷却されたN2ガスを吹き付けて室温まで急冷した。プラズマ加熱時の雰囲気は、N2にHeまたはArを数%含有し、かつ分圧1×10−4〜3×10−4Paの酸素を含有するものとした。このプラズマ加熱および急冷を繰り返し2回行った後、実施例1と同様にしてケルビンパターンを形成し、接触抵抗を測定した。
その結果、コンタクトホール10個の接触抵抗は、30〜70Ωと低接触抵抗の範囲内に収まった。またコンタクトホール10個の接触抵抗の平均値は、バッチ間において40〜60Ωの範囲内であり、バッチ間のバラツキも小さく、接触抵抗を安定して低減することができた。
[実施例4]
透明導電膜(ITO膜)の形成工程でAl系薄膜を急速加熱して自然酸化膜に亀裂を生じさせた場合の効果を確認すべく、透明導電膜の形成工程でAl系薄膜の急速加熱を行って自然酸化膜に亀裂を生じさせる以外は、実施例1と同様にして実験用のデバイス構造を作製した。
透明導電膜(ITO膜)の形成工程でAl系薄膜を急速加熱して自然酸化膜に亀裂を生じさせた場合の効果を確認すべく、透明導電膜の形成工程でAl系薄膜の急速加熱を行って自然酸化膜に亀裂を生じさせる以外は、実施例1と同様にして実験用のデバイス構造を作製した。
具体的には、ITO膜の成膜は、実施例1に示す通りスパッタリング法で行うが、その成膜開始から5秒間は、スパッタパワーDC(入力パワー)を4W/cm2と、通常成膜時のパワーの2倍とし、また、反応ガスはArに分圧1×10−4〜3×10−4PaのO2を混合させ、Ar/O2=30/0.2sccm、ガス圧を10mTorrと通常の5倍とした。そして成膜開示時から5秒後に、スパッタパワーDC(入力パワー)を通常成膜時の2W/cm2に戻し、かつ成膜チャンバーに導入するガスをAr:O2=4:1とし、ガス圧は2mTorrとして膜厚約200nmのITO膜を成膜した。この様にして得られたデバイス構造について、実施例1と同様に接触抵抗を測定した。
その結果、コンタクトホール10個の接触抵抗は、80〜120Ωと低接触抵抗の範囲内に収まった。またコンタクトホール10個の接触抵抗の平均値は、バッチ間において90〜100Ωの範囲内であり、バッチ間のバラツキも小さく、接触抵抗を安定して低減することができた。
[比較例]
上記Al系薄膜の急速加熱・急冷を行わない(即ち、自然酸化膜に亀裂を生じさせない)以外は、実施例1と同様にして、実験用のデバイス構造を作製し実施例1と同様に接触抵抗を測定した。その結果、コンタクトホール10個の接触抵抗は70〜650Ωと範囲が広くバラツキがあり、またコンタクトホール10個の接触抵抗の平均値も、バッチ間において90〜450Ωと、バッチ間のバラツキが非常に大きくなり、接触抵抗を安定して低減することができなかった。
上記Al系薄膜の急速加熱・急冷を行わない(即ち、自然酸化膜に亀裂を生じさせない)以外は、実施例1と同様にして、実験用のデバイス構造を作製し実施例1と同様に接触抵抗を測定した。その結果、コンタクトホール10個の接触抵抗は70〜650Ωと範囲が広くバラツキがあり、またコンタクトホール10個の接触抵抗の平均値も、バッチ間において90〜450Ωと、バッチ間のバラツキが非常に大きくなり、接触抵抗を安定して低減することができなかった。
1a、41 ガラス基板
5、45 画素電極(透明導電膜)
25 走査線
26 ゲート電極
27 ゲート絶縁膜
28 ソース電極
29 ドレイン電極
30、43 絶縁膜(保護膜、シリコン窒化膜)
31 フォトレジスト
32、44 コンタクトホール
34 信号線(ソース−ドレイン配線)
42 Al系薄膜
46 Al系薄膜と透明導電膜の直接接続部分
5、45 画素電極(透明導電膜)
25 走査線
26 ゲート電極
27 ゲート絶縁膜
28 ソース電極
29 ドレイン電極
30、43 絶縁膜(保護膜、シリコン窒化膜)
31 フォトレジスト
32、44 コンタクトホール
34 信号線(ソース−ドレイン配線)
42 Al系薄膜
46 Al系薄膜と透明導電膜の直接接続部分
Claims (7)
- 基板上にて、純AlまたはAl合金からなる薄膜(以下「Al系薄膜」という)と導電膜が直接接続する構造を有する表示装置の製造方法であって、
前記Al系薄膜を形成する工程、該Al系薄膜上に絶縁膜を形成する工程、該絶縁膜にコンタクトホールを形成する工程、および前記導電膜を形成する工程を含み、
前記コンタクトホールを形成する工程の後であって前記導電膜を形成する工程の前に、または、前記導電膜を形成する工程において、
前記Al系薄膜の急速加熱および/または急冷を行って該Al系薄膜上の自然酸化膜に亀裂を生じさせる工程を含むことを特徴とする表示装置の製造方法。 - 前記導電膜を形成する工程での前記Al系薄膜の急速加熱は、
前記導電膜の成膜初期のガス圧を成膜中期以降のガス圧の1.5〜10倍とする、
および/または、
前記導電膜の成膜初期の入力パワーを成膜中期以降の入力パワーの1.5〜5倍とする
ことにより実施する請求項1に記載の製造方法。 - 前記Al系薄膜の急速加熱は、酸素分圧:1×10−4〜3×10−4Paの雰囲気で行う請求項1または2に記載の製造方法。
- 前記Al系薄膜の急冷は、前記Al系薄膜表面に冷水、冷液もしくは冷却ガスを直接接触させるか、または前記Al系薄膜の急速加熱後に熱源を急遮断することにより実施する請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
- 前記Al系薄膜を形成する工程において、前記Al系薄膜として、Ni、Ge、Bi、Co、Fe、Pd、Sb、Pt、Ti、V、Ir、Rh、Ta、Zr、Cr、Os、W、およびMoよりなる群から選択される少なくとも1種の元素Xを合計で0.1〜6原子%含むAl合金からなる薄膜を形成する請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
- 前記Al系薄膜を形成する工程において、前記Al系薄膜として、前記元素Xを合計で0.1〜6原子%含むAl合金からなる薄膜を形成した後、
該薄膜を250℃以上の温度で10分間以上加熱して、前記元素Xを含む析出物が表面に析出したAl系薄膜を形成する請求項5に記載の製造方法。 - 前記元素Xを含む析出物が表面に析出したAl系薄膜に、前記急速加熱および/または急冷を施す請求項6に記載の製造方法。
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JP2008235443A JP2010066723A (ja) | 2008-09-12 | 2008-09-12 | 表示装置の製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2008
- 2008-09-12 JP JP2008235443A patent/JP2010066723A/ja not_active Withdrawn
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