JP2010062195A - プラズマ処理装置及び試料載置電極 - Google Patents

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Abstract

【課題】ヒータを用いた温度制御電極において機械的信頼性を確保しつつ運用レンジの拡大と高速応答性、および周方向の均一性を改善した電極を提供する。
【解決手段】プラズマエッチング装置の試料載置電極の電極基材を2層構造とし、冷媒部を持つ第1層は純Ti材またはAl材としとし、第2層はTi合金(Ti−6Al−4V)で構成してヒータで加熱した場合に温度ムラが少なく、電極に載置したウエハの加工寸法精度が低下を少なくする。
【選択図】図1

Description

本発明はプラズマエッチング装置等のプラズマ処理装置に関わり、特に、被エッチング試料が多層膜で構成されている場合に一貫でエッチング処理を図るのに好適な試料載置電極に関するものである。
ヒータ内蔵電極の従来技術の一例は、図3に示すように従来電極と同様、冷媒流路を有する純チタン(以下、「Ti」と記載する。)基材の上部に溶射法によってヒータ層、吸着層で構成する多層膜を積層して構成した構造が提案されている。基材に純Tiを用いるのはAlを主成分とする上層溶射膜との線膨張係数がほぼ等しく、電極温度の変化によって生じる熱応力を軽減することが主な目的である。
特開2007−88411号公報
しかしながら、純Tiの熱伝導率は17W/m/K(ワットパーメートルケルビン)程度であるため、例えば300mmウエハを対象とした場合、冷媒温度20℃設定で70℃に保持しようとした場合、定常ヒータ電力として約3kW必要で、エッチング対象の膜が次の膜になって高い温度を必要とする場合に昇温時のエッチング開始待ち時間が長く、単位時間当たりのエッチング処理枚数が少ないという課題があった。
また、ヒータで加熱した場合に生じる大きな熱フラックスに対して、冷媒溝での熱交換レートのわずかな違いがウエハでの温度ムラとして現れ、加工寸法精度が低下してしまうという問題があった。
本発明の目的はヒータを用いた温度制御電極において機械的信頼性を確保しつつ運用レンジの拡大と高速応答性および周方向の均一性を改善した電極を提供することにある。
本発明のプラズマ処理装置は、内部が減圧排気される処理室と、前記処理室に設けられ被処理基板が載置される試料載置電極と前記処理室内にプラズマを発生させるための電磁波発生装置と、前記処理室内に処理ガスを供給する供給系と前記処理室内を排気する為の真空排気系とを有するプラズマ処理装置において、前記試料載置電極は冷媒溝を有する基材層とヒータ加熱層ならびに静電吸着層を有し、該基材層は冷媒溝を有する純チタン基材層の上部にチタン合金層を有することを特徴とする。
また、本発明の試料載置電極は、内部が減圧排気される処理室と、前記処理室に設けられ被処理基板が載置される試料載置電極と前記処理室内にプラズマを発生させるための電磁波発生装置と、前記処理室内に処理ガスを供給する供給系と前記処理室内を排気する為の真空排気系とを有するプラズマ処理装置用の試料載置電極であって、冷媒溝を有する基材層とヒータ加熱層ならびに静電吸着層を有し、該基材層は冷媒溝を有する純チタン基材層の上部にチタン合金層を有することを特徴とする。
本発明では、上記課題を解決するための手段として、例えば、電極基材を2層構造とし、冷媒部を持つ第1層は純Ti材とし、第2層はTi合金(Ti−6Al−4V)で構成することができる。(「Al」はアルミニウム、「V」はバナジウムを示す。)
さらに他の手段として、電極基材を2層構造とし、冷媒部を持つ第1層はAl材とし、第2層はTi合金(Ti−6Al−4V)で構成することができる。
本発明のプラズマエッチング装置の試料載置電極によれば、ヒータで加熱した場合に温度ムラが少なく、電極に載置したウエハの加工寸法精度の低下が少なくなる。
半導体集積回路の集積度が高くなるにつれて素子構造の微細化が進み、従来は単層膜で構成されていた素子が、特性向上の要求に対応するため複数の膜種で積層化されることが多くなった。例えば過去、配線工程ではそれまでアルミニウム単層で構成されていた配線材料が、デバイスとしての信頼性向上と加工時の露光解像度の要求を満たすため上層膜と下層膜を例えば窒化チタンとし積層することが広く行われている。さらに最近ではトランジスタの高速化、低消費電力化の要求でゲート電極に対しても積層構造が採用されるようになっている。さらにリソグラフィーの解像度を高めるため積層レジストを用いることも一般化してきている。
これら積層構造をエッチングで一貫加工する場合には、処理ウエハ温度が同じでは各材料がエッチングガスと反応して作られる反応生成物の蒸気圧が異なり側壁保護膜の付着量が異なって寸法加工精度の低下をきたすため、各層のエッチング時にウエハ温度を変更することが行われるようになった。さらに反応生成物分布の径方向の不均一分布によって生じる加工寸法の径方向偏差を、ウエハ温度を径方向に変化させることで補正し加工寸法精度を向上させることが行われるようになった。特にゲート長がトランジスタの電気特性に直接影響を与えるゲート電極加工では、高い精度の温度制御が求められるようになった。
加えてこれら各層のエッチング毎にウエハ温度を変更するにあたっては、生産性を高める上で温度の変更を高速で行い、待ち時間を出来るだけ少なくすることが望まれる。
本発明は特にこの工業的な要求に対応することを目的としてなされたものであり、その構成、使用方法、効果を以下、実施例によって説明する。
図1は本発明を実施したエッチング装置を示すものである。マイクロ波源101により出力されたマイクロ波は導波管104により伝送される。処理室111には図示していない真空排気系とガス導入系が接続され、プラズマ処理に適した雰囲気、圧力に保持することが出来る。投入されたマイクロ波により、処理室111内のガスがプラズマ化され被処理試料(以下「ウエハ」と呼ぶ)112に所定のプラズマ処理を行うことが出来る。なお、プラズマの生成手段はマイクロ波ではなく、高周波を用いた誘導結合または高周波を用いた静電結合によるプラズマ生成手段でも良い。
ウエハ112は試料載置電極113上に設置され、自動整合器114を介してバイアス電源115によるバイアス電位を加えることが出来る。これによりプラズマ中のイオンを被処理基板に引き込み、プラズマエッチングを実行する。 試料載置電極113の上部には後述するTi合金層223が設けられている。
電極には試料と電極表面の熱伝導を確実にするHe(ヘリウム)導入系116、静電チャックのための直流電源117、ヒータ温度制御のためのヒータ電源118、電極本体基材を冷却するために冷媒を温調循環させる温調器119が接続されている。また、電極には電極中の複数個所の温度をモニタし、ヒータ電源への出力指令値を決めるウエハ温度制御部120が接続される。
電極113内部の詳細構造を図2を用いて説明する。電極本体は純Ti等の金属で構成される基材部221があり、その中には基材冷却のための冷媒が流れる冷媒溝222がある。この冷媒溝は電極上部での温度均一性を出来るだけ確保するためにほぼ等間隔に配置されている。冷媒溝を流れる冷媒はフロン系の冷媒で、冷凍能力5kWの温調器によって毎分10Lの流量で循環する。
基材部221の上部にはTi合金からなるTi合金層223が設けられている。本実施例では第1、第2の実施例ともにTi合金としてTi−6Al−4V合金を用いた。Ti合金層は厚さ4mm〜8mmの範囲が好適であり、本実施例では6mmとした。
Ti合金層の上面にはプラズマ溶射法によってウエハ吸着機能、ヒータ機能を有する多層薄膜0124を形成した。上層はウエハ吸着機能層で内部にタングステンよりなる双極の電極を有する。下層のヒータ機能層は試料台の中央部、ミドル部、エッジ部の3領域に分かれており、それぞれに対して1.5kWの電源が接続されヒータの発熱量を独立に制御することで径方向のウエハ温度分布を制御することが出来る。
なお、比較のために本発明で取り上げた従来技術におけるヒータ電極の構造を図3に示す。純Tiで構成される基材部とその上部に図2と同様の構成のヒータ機能とウエハ吸着機能を有する多層薄膜がある。
以下、上記に述べた本発明の電極の効果について定量的に説明する。説明は以下に述べる数値計算によって確認した。数値計算は電極基材、ウエハ、電極基材上部の多層誘電体溶射薄膜と該薄膜内に埋め込まれたタングステンヒータ層、ウエハと電極表面との間に存在するHe層の各層を半径方向84メッシュ、高さ方向14メッシュに分割し、軸対称二次元の熱伝導方程式を数値計算するものである。
なお、この数値計算手法は別途実験データとベンチマークされており計算は一定の信頼度を有する。He圧力は断らない限り1.5kPa一定とした。静電吸着によるウエハの電極への押し付け力は約10kPaとした。また冷媒の温度は断らない限り20℃とした。
図4の上図は従来例である基材を純Ti材で構成した場合での、30℃⇔70℃での中央部、ミドル部及びエッジ部におけるウエハ温度上昇/下降応答性を示したものであり、下図は、中央部、ミドル部及びエッジ部におけるヒータパワーの供給状況を示したものである。中央部での応答性を大きい点線で示し、ミドル部での応答性を細線で示し、エッジ部での応答性を小さい点線で示している。従来例でのウエハ温度上昇/下降応答性は比較的緩やかで、上昇速度は1.75℃/S、下降速度は1.27℃/Sであった。
図5の上図は、本発明の実施例1の第1の電極の中央部、ミドル部及びエッジ部におけるウエハ温度上昇/下降応答性を示したものであり、下図は、中央部、ミドル部及びエッジ部におけるヒータパワーの供給状況を示したものである。本発明の実施例1の第1の電極での温度上昇速度は2.85℃/S、同じく下降速度は1.58℃/Sで、図4の従来技術での結果に比較して大きく改善されていることがわかる。また、ウエハの最高到達温度(1500W印加)についても、従来例での計算では94.5℃であったものが120.4℃まで増加し、同出力の電源で運用レンジを広くすることが可能となった。
以上のように、純Ti基材の上部にTi合金層を設置することにより、Ti合金層の下地が純Ti基材であり、純Ti基材内に冷媒溝が均一にほぼ等間隔で配置される場合には、ウエハ温度上昇/下降応答性を向上させることが可能となった。
Figure 2010062195
なお、例えば、電極には図6に示すようにヒータへの給電シャフト、静電吸着膜への給電シャフト、ウエハ搬送のためのプッシャピン用のシャフトなど縦シャフトが必要であり、冷媒溝層での干渉を避けるため冷媒溝の間隔を不等間隔に配置せざるを得ない場合があり、この場合には、ヒータ発熱密度が均一であっても冷却レートの差でウエハ温度が不均一になる場合がある。
この例を、図7に示す。図7は図6において、冷媒溝が均等に並んでいるA−A断面と、冷媒溝が不均等に並んでいるB−B断面でそれぞれ温度分布を計算したものである。図7(A)は、図6におけるA−A断面での温度分布(冷媒溝均等配置の場合)を示し、図7(B)は、図6におけるB−B断面での温度分布(冷媒溝不均等配置の場合)を示している。図7(A)の冷媒溝が均等に分布した部分では電極表面(ウエハ表面)温度は均一であるが、図7(B)の冷媒溝が偏っているB−B断面部分では温度差が1.2℃と不均一が生じている。
したがって、本発明の第1の電極の場合は冷媒溝の不均等配置をできるだけ避けるように設計することも必要である。なお、従来技術の場合(図8)も図8(B)の冷媒溝が不均等に配置された場合には同様の状況となり温度差が1.4℃の不均一が生じる。従ってこの場合ウエハ温度を均一化させるためには冷媒溝のレイアウトを変更したり、ヒータ発熱密度に分布を持たせて補正するなどの方策を必要とした。
図9は、本発明の第2の実施例の電極の断面構造を示す図である。冷媒溝922を配置する層921はAl(アルミニウム)で構成し、その上にTi合金層923が設けられている。なお、Ti合金層923の上部には多層薄膜が形成されている
図10は、本発明の第2の実施例の解析結果(応答性)を示す図である。昇温速度は2.28℃/S、降温速度は1.21℃/Sと、図5に示した第1の発明より低下する。これはAlの熱伝導率が140W/m/Kと大きいことによってTi合金の熱伝導率の効果を相殺する方向に働くことによる。
本計算ではTi合金層の厚さを図5と同じ6mmとして計算したがこれを8mmにすることで昇温速度が向上することを確認している。
図11は、本発明の第2の実施例の電極において図7と同様に冷媒溝の配置に不均一がある場合のウエハの温度分布を示す。ウエハ表面での温度不均一は±0.5℃となり、縦シャフトの干渉による冷媒溝の配置に不均一があっても、ウエハ温度均一化のためのその他の対策を必要としない程度の性能を実現することができた。
なお、純TiとAlでは線膨張係数が異なり、これらの部材をブレージングなどの方法により強固に融着する場合において、広い温度範囲で使用する場合には、繰り返し熱応力によりAl部の応力集中部に疲労破壊が生じる場合がある。そのような使用条件の場合には、両層間を応力緩和が可能なブレージング材あるいは金属含有接着剤で接合し、応力を緩和することによって疲労破壊の発生を抑制する。
図1は、本発明の実施例として用いたプラズマエッチング装置の模式断面図である。 図2は、本発明の第1の実施例の電極の構成を示す図である。 図3は、従来技術の電極の構成を示す図である。 図4は、従来技術の電極を用いた場合のウエハ温度の過渡応答を示す図である。 図5は、本発明の第1の実施例によるウエハ温度の過渡応答を示す図である。 図6は、電極の冷媒溝の配置を示す図である。 図7は、本発明の第1の実施例で冷媒溝が不均一となった場合のウエハ温度分布である。 図8は、従来技術の電極で冷媒溝が不均一となった場合のウエハ温度分布である。 図9は、本発明の第2の実施例の電極の構成を示す図である。 図10は、本発明の第2の実施例によるウエハ温度の過渡応答を示す図である。 図11は、本発明の第2の実施例で冷媒溝が不均一となった場合のウエハ温度分布である。
符号の説明
101 マイクロ波源
104 導波管
111 処理室
112 被処理基板(ウエハ)
113 試料載置電極
114 自動整合器
115 バイアス電源
116 He供給系
117 直流電源
118 ヒータ電源
119 温調器
120 制御器
221 純Ti基材部
222 冷媒溝
223 Ti合金層
224 多層薄膜
921 Al基材部
922 冷媒溝
923 Ti合金層
924 多層薄膜

Claims (10)

  1. 内部が減圧排気される処理室と、前記処理室に設けられ被処理基板が載置される試料載置電極と前記処理室内にプラズマを発生させるための電磁波発生装置と、前記処理室内に処理ガスを供給する供給系と前記処理室内を排気する為の真空排気系とを有するプラズマ処理装置において、前記試料載置電極は冷媒溝を有する基材層とヒータ加熱層ならびに静電吸着層を有し、該基材層は冷媒溝を有する純チタン基材層の上部にチタン合金層を有することを特徴とするプラズマ処理装置。
  2. 内部が減圧排気される処理室と、前記処理室に設けられ被処理基板が載置される試料載置電極と前記処理室内にプラズマを発生させるための電磁波発生装置と、前記処理室内に処理ガスを供給する供給系と前記処理室内を排気する為の真空排気系とを有するプラズマ処理装置において、前記試料載置電極は冷媒溝を有する基材層とヒータ加熱層ならびに静電吸着層を有し、該基材層は冷媒溝を有するアルミニウム基材層の上部にチタン合金層を有することを特徴とするプラズマ処理装置。
  3. 請求項1または2に記載のプラズマ処理装置において、前記試料載置電極の冷媒溝は、前記アルミニウム基材層に不均一に配置されていることを特徴とするプラズマ処理装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のプラズマ処理装置において、前記試料載置電極のチタン合金層は下地の基材層とブレージングもしくは金属含有接着剤で接合されていることを特徴とするプラズマ処理装置。
  5. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のプラズマ処理装置において、前記試料載置電極のチタン合金層は少なくともアルミニウムとバナジウムを含むチタン合金により形成されていることを特徴とするプラズマ処理装置。
  6. 内部が減圧排気される処理室と、前記処理室に設けられ被処理基板が載置される試料載置電極と前記処理室内にプラズマを発生させるための電磁波発生装置と、前記処理室内に処理ガスを供給する供給系と前記処理室内を排気する為の真空排気系とを有するプラズマ処理装置用の試料載置電極において、冷媒溝を有する基材層とヒータ加熱層ならびに静電吸着層を有し、該基材層は冷媒溝を有する純チタン基材層の上部にチタン合金層を有することを特徴とする試料載置電極。
  7. 内部が減圧排気される処理室と、前記処理室に設けられ被処理基板が載置される試料載置電極と前記処理室内にプラズマを発生させるための電磁波発生装置と、前記処理室内に処理ガスを供給する供給系と前記処理室内を排気する為の真空排気系とを有するプラズマ処理装置用の試料載置電極において、冷媒溝を有する基材層とヒータ加熱層ならびに静電吸着層を有し、該基材層は冷媒溝を有するアルミニウム基材層の上部にチタン合金層を有することを特徴とする試料載置電極。
  8. 請求項7に記載の試料載置電極において、前記冷媒溝は、前記アルミニウム基材層に不均一に配置されていることを特徴とする試料載置電極。
  9. 請求項6ないし請求項8のいずれかに記載の試料載置電極において、前記チタン合金層は下地の基材層とブレージングもしくは金属含有接着剤で接合されていることを特徴とする試料載置電極。
  10. 請求項6ないし請求項8のいずれかに記載の試料載置電極において、前記チタン合金層は少なくともアルミニウムとバナジウムを含むチタン合金により形成されていることを特徴とする試料載置電極。
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