JP2010061887A - 燃料電池用の電極触媒の性能評価方法および評価装置 - Google Patents

燃料電池用の電極触媒の性能評価方法および評価装置 Download PDF

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伸浩 友定
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篤史 木村
Tomomi Akutsu
智美 阿久津
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紗綾 佐藤
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Abstract

【課題】電気化学反応に有効に使用されている触媒の表面積をより正確に算出できる固体高分子型燃料電池用の電極触媒の性能評価方法および評価装置を実現すること。
【解決手段】電解質膜に触媒と電解質を含む触媒層を積層して膜−電極接合体を構成し、前記電解質膜の両面にアノード電極およびカソード電極が配置された燃料電池用の電極触媒の性能評価方法であって、前記膜−電極接合体に印加し所定の電圧幅で階段状に変化する各電位で得られる電流値に基づいて水素発生反応と水素吸着反応との遷移過程である遷移電位範囲を把握し、この遷移電位範囲における水素吸着反応の寄与率を算出し、この寄与率およびサイクリックボルタモグラムに基づき還元電流の電気量を求めて触媒利用率を算出することを特徴とするもの。
【選択図】 図1

Description

本発明は、燃料電池の触媒の性能評価方法および評価装置に関し、詳しくは燃料電池に用いられる電解質膜に担持された白金電極触媒の電気科学的有効(電極)面積(以下、表面積という)をより正確に算出する技術に関する。
従来から、固体高分子型燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell; PEFC)は、たとえば、電気自動車、定置コジェネレーションシステム、携帯機器などの電源として研究開発が進められている。この固体高分子型燃料電池は、固体高分子型燃料電池セルが複数枚積層(電気的に直列接続)されて構成されるものであり、触媒を介した酸化還元反応を利用して発電する。
このような固体高分子型燃料電池では、たとえば電極触媒として白金担持カーボン触媒電極(Pt/C触媒電極)が用いられる。白金担持カーボン触媒電極は、カーボンブラックなどの導電体微粒子からなる担体に白金を主体とする活性金属などの触媒微粒子を担持させた構造である。
たとえば、白金担持カーボン触媒電極は、反応ガスである水素や酸素などのガス相と、電子が移動する触媒電極相と、イオンが移動するイオノマー相の3種類の異相により構成され、電気化学反応はこれら異相が接触する三相界面で進行する。
具体的には、触媒担体であるカーボンブラック表面に担持された白金などの触媒微粒子は、触媒電極層に含まれる高分子電解質と接触することにより、三相界面が形成され、電極反応が進行する。
ところで、燃料電池の電池性能は様々な因子によって決まるが、触媒利用率は電極活性を決める主要な因子である。なお触媒利用率は、電極に加えた触媒(白金(Pt))のうち電極反応に有効に利用されている触媒の割合を示すものである。
従来、固体高分子型燃料電池における触媒利用率は30%前後とあまり高くはなく、触媒の多くが利用されずに無駄になっているのが現状である。具体的に触媒が利用されない例として次のものがある。
(例1)白金などの触媒微粒子が、カーボンの微細孔中に担持され電解質と接触していないと、三相界面を形成できないので、触媒が反応に利用されない。
(例2)触媒層中で触媒を担持するカーボンブラックなどの導電体微粒子が、高分子電解質によって周りを完全に覆われていると、外部回路と電子的導通が取れず電子が供給されないので、触媒が反応に利用されない。
このような反応に利用されない触媒が多くなると電極活性が低くなり、電池性能が低くなる。そこで、低コスト高性能の燃料電池を実現するため、利用されない触媒を減らして触媒利用率を高めることが求められている。
このような触媒利用率を調べる技術に関連する先行技術文献としては、次のようなものがある。
特開2004−210786号公報 特開2007−317437号公報
触媒利用率を求める方法のひとつに、電極電位を掃引して応答電流を測定するサイクリックボルタンメトリー(Cyclic Voltammetry)法がある。
この方法は、電圧を掃引変化させて電流を測定することにより電圧−電流曲線(ボルタモグラム)を作成して電解電位で目的物質の同定を行い、その時の電流値で定量を行うものであって、電気二重層よりも卑側に現れる水素の還元電流または酸化電流の電気量を求め、電気化学反応に有効に使用されている白金などの触媒の表面積、すなわち電気化学的有効電極面積を算出する。
図9は、白金(Pt)触媒のサイクリックボルタモグラムの説明図である。従来では、水素の還元に伴う水素吸着に用いられる電気量を求め、電極触媒上に担持された白金比表面積を算出していた。
具体的には、図9のボルタモグラム曲線の内、たとえば電位a〜b(0.4〜0.15V)付近の斜線部分に見られる水素吸着ピークについて、図9中のa、bを両端として積分し還元電流の電気量を求める。
水素吸着ピークに対応する電気量は電流と時間の積で求められるが、図9の横軸はあらかじめ電位の掃引速度がわかっているため、電位幅から経過時間を換算し、縦軸の電流量の絶対値との積により算出できる。
この電気量から電極二重層の充電のための電気量を差し引き、あらかじめ把握している係数(Pt表面積1cmあたり210μC(210μC/cm))の値で除することにより、電気化学反応に有効に使用されているPtの表面積(電気化学的有効電極面積)を算出する。
そして、この電気化学的有効電極面積とCO吸着法や平均粒径から算出したPtの比表面積(単位重量当りの表面積)から触媒利用率を求めることができる。これにより、固体高分子型燃料電池における触媒利用率を把握でき、今後いかなる金属、合金が燃料電池用電極触媒として有効であるかを事前に評価し、触媒開発に貢献していた。
しかしながら、従来から行われているサイクリックボルタモグラムを用いて触媒利用率を調べる方法は、以下に説明するように、ある条件下では電気量を多くあるいは少なく見積もってしまうという問題点があった。
図10は、サイクリックボルタモグラムに基づき電気量を算出する際の問題点を説明図であり、(A)はサイクリックボルタモグラム、(B)は電気量の見積もりが正確に求めることができる場合の(A)の電位a付近の拡大図を示し、(C)は正確に求めることができない場合の(A)の電位a付近の拡大図を示している。
サイクリックボルタモグラムにおける電流値の変動は、水素イオンの吸着、水素イオンの脱着(水素の発生)など各イオンの挙動を示しており、化学反応の遷移過程で各挙動が重なり合ってサイクリックボルタモグラム上に同時に現れることがある。
たとえば「水素の発生」と「水素の吸着」というそれぞれの化学反応により得られる電流値のピークが重なり合って同時に現れると、電位aの付近で各反応における電流値のピークが重なってしまい、本来求めるべき電気量全てを正確に定められない場合がある。
(B)に示すように、電位aの付近で隣り合う「水素の発生」と「水素の吸着」における電流値のピーク形状が似ている場合には、各々のピークトップの中間で区切っても両者の電気量は相殺されるので、電気量を求めることが可能である。
これに対し、(C)に示すように、電位aの付近で隣り合う「水素の発生」と「水素の吸着」における電流値のピーク形状が異なる場合には、ある電位以上の範囲を積分する方法では電気量を多くあるいは少なく見積もってしまうことになる。
ところで、他の表面積算出方法として、コットレルの式(以下の式(1))に基づくクロノアンペロメトリー法も従来から用いられている。具体的には、電流値iと経過時間tとを把握して横軸をi、縦軸をt−1/2としたコットレルプロットを作成し、このプロットから傾きα(=nFAC(D/π)1/2)を求め、傾きαを式(1)に適用することにより表面積Aを求める。
i=nFAC(D/πt)1/2 ・・・・・(1)
A:表面積[cm2]
i:電流[A]
F:ファラデー定数[96490C/mol]
n:反応電子数
D:拡散係数[cm/s]
C:濃度[mol/cm]
t:時間[sec]
しかしながら、コットレルの式には複数のパラメータが存在し、表面積以外のパラメータの値が既知でないと面積の算出ができないという問題点があった。
本発明はこれらの問題点を解決するものであり、その目的は、電気化学反応に有効に使用されている触媒の表面積をより正確に算出できる燃料電池用の電極触媒の性能評価方法および評価装置を実現することにある。
このような課題を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、
電解質膜に触媒と電解質を含む触媒層が積層されて膜−電極接合体が構成され、前記電解質膜の両面にアノード電極およびカソード電極が配置された燃料電池用の電極触媒の性能評価方法であって、
前記膜−電極接合体に所定の電圧幅で階段状に変化する電圧を印加することにより各電位で得られる電流値に基づいて水素発生反応と水素吸着反応との遷移過程である遷移電位範囲を把握し、この遷移電位範囲における水素吸着反応の寄与率を算出し、この寄与率およびサイクリックボルタモグラムに基づき還元電流の電気量を求めて前記触媒の利用率を算出することを特徴とする燃料電池用の電極触媒の性能評価方法である。
請求項2記載の発明は、
前記電圧が所定の時間間隔ごとに所定の電圧幅で階段状に変化するように前記膜−電極接合体に流れる電流を制御して印加する第1のステップと、
前記各電位におけるコットレルプロットの傾きαの値に基づき前記各反応が生じる電位範囲および前記遷移電位範囲を把握する第2のステップと、
前記寄与率を算出する第3のステップと、
前記サイクリックボルタモグラムを作成し、前記遷移範囲で得られる電流値に前記寄与率を乗算して還元電流の電気量を算出する第4のステップと
前記電気量に基づき前記触媒の電気化学的有効電極面積を算出する第5のステップと、
この電気化学的有効電極面積に基づき前記触媒の利用率を算出する第6のステップとから成ることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、
請求項2記載の燃料電池用の電極触媒の性能評価方法であって、
前記第2のステップは、
前記各電位におけるコットレルプロットをそれぞれ作成して前記傾きαを算出し、前記傾きαの値が一定であれば同一の反応が安定的に生じていて、一定でなければ別の反応への遷移過程にあるものとして判定することにより、前記各反応が生じる電位範囲および前記遷移電位範囲を把握し、
前記第4のステップは、
前記寄与率と前記遷移範囲で得られる電流値とを乗算して得られる電流値を積算して前記遷移範囲の前記電気量を算出し、
この遷移範囲の前記電気量に、前記水素吸着反応が生じる電位範囲で得られる電流値を積算した電気量を加えて前記還元電流の電気量を算出し、
前記第5のステップは、
前記電気量から電極二重層の充電のための電気量を差し引き、この電気量からあらかじめ把握している触媒の表面積1cm2あたりの電気量を示す係数を除して電気化学的有効電極面積を算出し、
前記第6のステップは、
前記触媒の単位重量当りの表面積中における前記電気化学的有効電極面積が占める割合を算出して触媒利用率とすることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、
電解質膜に触媒と電解質を含む触媒層が積層されて膜−電極接合体が構成され、前記電解質膜の両面にアノード電極およびカソード電極が配置された燃料電池用の電極触媒の性能評価装置であって、
前記膜−電極接合体に所定の電圧幅で階段状に変化する電圧を印加することにより各電位で得られる電流値に基づいて水素発生反応と水素吸着反応との遷移過程である遷移電位範囲を把握する手段と、
この遷移電位範囲における水素吸着反応の寄与率を算出する手段と、
この寄与率およびサイクリックボルタモグラムに基づき還元電流の電気量を求めて前記触媒の利用率を算出する手段、
とで構成されたことを特徴とする。
請求項5記載の発明は、
請求項4記載の燃料電池用の電極触媒の性能評価装置において、
前記電解質膜は、アノード電極側に配置される参照極および対極と、カソード電極側に配置される作用極とで挟持され、
前記作用極と前記参照極の間の電圧が所定の時間間隔ごとに所定の電圧幅で階段状に変化するように前記膜−電極接合体に流れる電流を制御して印加する電位制御部と、
前記各電位におけるコットレルプロットの傾きαの値に基づき水素吸着反応および水素発生反応が生じる電位範囲および水素発生反応と水素吸着反応との遷移過程である遷移電位範囲を把握し、この遷移電位範囲における水素吸着反応の寄与率を算出して、サイクリックボルタモグラムに基づき前記遷移範囲で得られる電流値に前記寄与率を乗算して還元電流の電気量を算出する制御用コンピュータとを備えたことを特徴とする。
請求項6記載の発明は、
請求項5記載の燃料電池用の電極触媒の性能評価装置において、
前記制御用コンピュータは、
前記各電位におけるコットレルプロットを作成して前記傾きαを算出し、前記傾きαの値が一定であれば同一の反応が安定的に生じている、一定でなければ別の反応への遷移過程にあるものとして判定することにより、前記各反応の前記電位範囲および前記遷移電位範囲を把握する電位範囲把握機能部と、
この遷移電位範囲における水素吸着反応の寄与率を算出する寄与率算定機能部と、
サイクリックボルタモグラムに基づき前記寄与率と前記遷移範囲で得られる電流値とを乗算して得られる電流値を積算して前記遷移範囲の前記電気量を算出し、この遷移範囲の前記電気量に、前記水素吸着反応が生じる電位範囲で得られる電流値を積算した電気量を加えて前記還元電流の電気量を算出する電気量算定機能部と、
前記電気量から電極二重層の充電のための電気量を差し引き、この電気量からあらかじめ把握している触媒の表面積1cmあたりの電気量を示す係数を除して電気化学的有効電極面積を算出し、前記触媒の単位重量当りの表面積中における前記電気量に基づいて触媒利用率を算出する触媒利用率算定機能部と、
を備え各機能部を制御する演算制御部と、
前記各電位の変化状況、前記各電位における電流−時間応答特性、前記各電位におけるコットレルプロット、前記各電位におけるコットレルの式の傾きαをプロットしたグラフのうち少なくともいずれかひとつを表示する表示部とを備えたことを特徴とする。
本発明に係る燃料電池用の電極触媒の性能評価方法および評価装置によれば、電気化学反応に有効に使用されている触媒の表面積をより正確に算出できる。
図1は本発明に係る燃料電池の評価装置を用いた測定システムの一実施例を示す構成ブロック図であり、固体高分子型燃料電池セル100と評価装置200とから構成されている。
固体高分子型燃料電池セル100は、固体高分子電解質膜110の両面に、図示しない白金などの触媒を含むカソード電極側触媒層とアノード電極側触媒層とが接合された膜電極接合体が使用される。なお触媒は白金以外のものであってもよい。
カソード電極側ガス拡散層はカソード電極側触媒層を介して固体高分子電解膜110と対向するように配置され、アノード電極側触媒層はアノード電極側ガス拡散層を介して固体高分子電解膜110と対向するように配置される。
アノード電極側触媒層とアノード電極側ガス拡散層はアノード電極120を構成し、カソード電極側触媒層とカソード電極側ガス拡散層はカソード電極130を構成する。
アノード電極側ガス拡散層およびカソード電極側ガス拡散層には両面に複数の溝が形成された第1、第2のセパレータが接合されるが、図示しない。これらセパレータの溝の開口部分がアノード電極側ガス拡散層またはカソード電極側ガス拡散層で覆われることにより、図示しない反応ガス流通用の第1と第2のガス流路が構成される。
第1のガス流路にはたとえば水素が燃料ガスとして供給され、第2のガス流路にはたとえば酸素、空気などの酸化ガスが供給される。
これらアノード電極側ガス拡散層およびカソード電極側ガス拡散層は、一般的に、それぞれ水素などの燃料ガスおよび酸化ガスなどを通過させて、電流を外部に伝える働きをする。
また本発明では、燃料電池用の電極触媒の性能評価を目的とするため、カソード電極側ガス拡散層に窒素などの不活性ガスなどを通過させて半電池反応を生じさせる。
アノード電極120側には、参照電極140および対極150が設けられている。参照電極140は電圧の基準となる電極であり、燃料電池のアノード電極120とは絶縁され、かつ固体高分子電解質膜110に接触するように保持される。つまり参照電極140と固体高分子電解質膜110との接触部分が基準電極となる。参照電極140は第1のセパレータにより形成されるガス流路を介して燃料ガスである水素ガスにも触れている。
対極150は特性を調査するための電極であって、アノード電極120側の固体高分子電解質膜110に接触するように保持され、かつ第1のセパレータにより形成されるガス流路を介して燃料ガスである水素ガスにも触れている。
カソード電極130側には、電子の授受を行い電流が流れる作用極160が設けられている。作用極160は、カソード電極130側の固体高分子電解質膜110に接触するように保持され、かつ第2のセパレータにより形成されるガス流路を介して窒素(N)などの不活性ガスにも触れている。
評価装置200は、これらアノード電極120およびカソード電極130に印加する電圧をリード線などを介して制御する、いいかえれば、参照電極140を基準として測定される作用極160の電位が所定の値となるように対極150から作用極160へ印加する電流を動的に制御するポテンシオスタットなどの電位制御部210と、電位E〜Eの各電位下において発生した電流値を記憶するレコーダ220と、これらを制御しデータ取得を行う制御用コンピュータ230などを備えている。
図2は図1の制御用コンピュータ230の構成例を示す機能ブロック図であり、演算制御部231と、記憶部232と、表示部233と、通信部234などで構成される。
演算制御部231は、電位範囲把握機能部231a、寄与率算定機能部231b、電気量算定機能部231c、触媒利用率算定機能部231dから構成される。
演算制御部231はたとえばCPUが用いられ、各部の動作を制御し、各電位におけるコットレルプロットを作成して傾きαを算出し、傾きαに基づき水素発生反応と水素吸着反応の電位範囲および遷移電位範囲を把握する機能、遷移電位範囲における水素吸着反応の寄与率を算出する機能、サイクリックボルタモグラムに基づき寄与率を加味した還元電流の電気量を算出する機能、算出された電気量に基づいて触媒利用率を算出する機能などの各機能を実行する。
記憶部232はRAMやROMなどで構成され、OSや制御用コンピュータ230として動作するためのプログラムやアプリケーション、これらプログラムなどの実行時に使用されるデータなどが格納されている。
表示部233は、たとえばLCD(Liquid Crystal Display)などであり、コットレルプロット、ボルタモグラム、電流・電圧状況などの各種データを表示する。
通信部234は、バスを介し演算制御部231、記憶部232などと接続され、リード線またはネットワークなどを介して電位制御部210およびレコーダ220との間でデータ通信を行う。
また、演算制御部231は、レコーダ220に記憶されている各電位における電流値に基づいて各電位におけるコットレルプロットを作成して傾きαを算出し、傾きαに基づいて水素発生反応と水素吸着反応の電位範囲および遷移電位範囲を把握する電位範囲把握機能部231aと、遷移電位範囲における水素吸着反応の寄与率を算出する寄与率算定機能部231bと、サイクリックボルタモグラムに基づき寄与率と遷移範囲で得られる電流値とを乗算して得られる電流値を積算して遷移範囲の電気量を算出し、この遷移範囲の電気量に、水素吸着反応が生じる電位範囲で得られる電流値を積算した電気量を加えて還元電流の電気量を算出する電気量算定機能部231cと、電気量から電極二重層の充電のための電気量を差し引き、この電気量からあらかじめ把握している触媒の表面積1cmあたりの電気量を示す係数を除して電気化学的有効電極面積を算出し、触媒の単位重量当りの表面積中における電気量に基づいて触媒利用率を算出する触媒利用率算定機能部231dとを有する。
なお、制御用コンピュータ230の演算制御部231は、記憶部232に格納されているOSなどを起動して、このOS上で格納されたプログラムを読み出して実行することにより制御用コンピュータ230全体を制御し、水素吸着反応に用いられる還元電流の電気量を算出しより正確な触媒利用率を把握するための固有の動作を行うものでもよい。
このとき記憶部232は、演算制御部231によって実行されるプログラムやアプリケーションをプログラム格納エリアに展開し、入力されたデータや、プログラムやアプリケーションの実行時に生じる処理結果などのデータをワークエリアに一時的に記憶するものでもよい。
本発明に係る燃料電池の評価装置の動作について説明する。燃料ガスは図示しない供給口を介して第1のガス流路に供給され、不活性ガス(窒素など)は図示しない供給口を介して第2のガス流路に供給される。
電位制御部210は、参照電極140を基準として測定される作用極160の電位を測定し、その測定電位が所定の値(たとえばE(i=0〜n))となるように対極150から作用極160へ印加する電流を制御する。
電位制御部210は、カソード電極130の初期電位をEに設定し、所定の電位幅(たとえば20mVなどの細かい電位幅)および所定の時間間隔で電位E(i=1〜n)まで電位をステップ状に変化させる。
図3は、電位制御部210により制御されステップ状に変化する電位の一例である。電位制御部210は、ステップ状に変化した各電位E〜E下において発生した電流をレコーダ220に記録する。
制御用コンピュータ230は、このような電位の変化状況をレコーダ220から取得して表示用のデータに変換し、表示部233に表示させる。また、制御用コンピュータ230は、各電位下において発生した電流値の変化状況を表示部233に表示させてもよい。
制御用コンピュータ230の電位範囲把握機能部231aは、レコーダ220に記憶された各電位E〜E下で発生した電流値に基づき電流−時間応答特性を求め、記憶部232に記憶する。制御用コンピュータ230は、各電位Eのときに得られる電流−時間応答特性を、経過時間tを横軸、電流値iを縦軸として表す。
図4は、各電位Eのときに得られる電流−時間応答特性図の一例である。たとえば電位Eのときに測定される電流値は、電位を印加した直後に急激に立ち上がり最高値まで達した後、時間の経過とともに緩やかに減衰する。
図5は、各電位E〜Eにおける電流−時間応答特性を示すグラフの一例である。各電位で測定される電流値は、たとえば図5のように、時間の経過に伴い電位が高くなることにより、各電位において測定される電流値の最高値もまた高くなる。制御用コンピュータ230は、この図5のような各電位E〜Eにおける電流−時間応答特性を表示用のデータに変換して表示部233に表示させる。
本発明に係る評価装置では、制御用コンピュータ230が図5のグラフを作成することにより、以下のA)〜D)について把握できる。
A)反応の開始時は電位の変化と共に電流の値も変わる。
B)ある反応が支配的に生じている場合には電位のステップに対して電流−時間応答特性(以下、i−tプロット)は変化しなくなる。
C)次いで他の反応が生じている場合は、その反応が支配的になるまでi−tプロットは変化し続ける。
D)さらに、ある特定の電位以降ではi−tプロットの形は変わらなくなる。
制御用コンピュータ230の電位範囲把握機能部231aは、記憶部232に記憶されている各電位E〜E下で発生した電流に基づき、各電位における電流値iの変化を経時時間tの平方根の逆数(1/√t)を横軸、電流値iを縦軸としてプロットしたグラフ(コットレルプロット)を作成し、記憶部232に記憶する。
図6はコットレルプロットの一例である。制御用コンピュータ230は、たとえば電位Eのときのコットレルプロットを作成する。コットレルプロットは直線状に表され、この直線の傾きαは、上述のコットレルの式(1)で示したnFAC(D/π)1/2に相当する。いいかえれば傾きα=nFAC(D/π)1/2である。
さらに制御用コンピュータ230の電位範囲把握機能部231aは、各電位E〜E下でのコットレルプロットに基づき各電位における傾きα(=nFAC(D/π)1/2)をそれぞれ求めて記憶部232に記憶する。
このコットレルプロットの傾きαは、反応によって変化し、特定の反応が支配的であれば一定、反応と反応の遷移域においては2つの反応の寄与率によって変化する。
また、制御用コンピュータ230は、各電位E〜Eにおけるコットレルプロットを表示用のデータに変換し、図6のようなグラフとして表示部233に表示させる。
次に、制御用コンピュータ230の電位範囲把握機能部231aは、各電位E(i=1〜n)でのプロットの傾きαの変化を、電位Eを横軸、傾きαを縦軸としてプロットしたグラフとし、記憶部232に記憶する。
図7は各電位E(i=1〜n)での傾きαの変化の説明図であり、(A)は各電位E(i=1〜n)での傾きαのプロット例、(B)は(A)における遷移過程の傾きαについて補間したグラフ例、(C)は遷移過程における各反応の寄与割合の説明図である。
制御用コンピュータ230は、このような各電位E(i=1〜n)におけるコットレルの式の傾きαをプロットした図7(A)のようなグラフを表示用のデータに変換して表示部233に表示させる。
制御用コンピュータ230の電位範囲把握機能部231aは、特定の反応が支配的に生じている電位では電流−時間応答特性は変化しなくなり、その電位領域においてはコットレルプロットの傾きαは一定となるという性質を利用し、傾きαの値がほぼ一定である場合にはその電位範囲では同一の反応が生じているものとして判定し、その電位範囲を記憶部232に記憶する。
制御コンピュータ230は、図7(A)の場合、電位E〜Eにおけるコットレルの式の傾きαはαで一定であることにより同一の反応Aが生じているものとして把握し、電位E〜Eでは反応B、電位E〜E11では反応C、電位E13〜E15では反応Dが生じているものとして把握する。
これにより、本発明に係る評価装置は、制御用コンピュータ230が、傾きαの値がほぼ一定である場合にはその電位範囲では同一の反応が生じているものとして判定し、その電位範囲を記憶部232に記憶することにより、各反応が生じる電位範囲を把握することができる。また第1の反応(遷移前の反応)を終えて第2の反応(遷移後の反応)へ遷移中の電位範囲を把握することもできる。
また、制御用コンピュータ230は、反応が図7のA−B、B−C、C−D間のように遷移過程にある時の傾きαを前後の反応の傾き(たとえばA−B間であれば反応Aと反応Bの傾き)で補間する。遷移過程の傾きαについて補間したグラフは、図7(B)のように階段状に表される。
制御用コンピュータ230は、このような遷移過程の傾きαについて補間した図7(B)のようなグラフを表示用のデータに変換して表示部233に表示させる。
補間された反応Aと反応Bとの遷移過程における傾きαは、反応AとBの2つの反応の寄与率によって変化している。
制御用コンピュータ230の寄与率算定機能部231bは、記憶部232に記憶されている各反応が支配的に生じている電位範囲に基づいて、2つの反応の遷移域(たとえば、図7のA−B、B−C、C−D間)における傾きαの値はどちらの反応にどれだけ寄与しているものであるか、その割合を求めて記憶部232に記憶する。
具体的には制御用コンピュータ230の寄与率算定機能部231bは、電位E〜Eにおいて遷移前の第1の反応を終えて遷移後の第2の反応へ遷移する場合、「遷移前の反応」の寄与率は以下の式(2)で求め、「遷移後の反応」は以下の式(3)で求める。
(1―(E―E)/(E−E))×100=遷移前の反応の寄与率・・・(2)
100−遷移前の反応の寄与率=遷移後の反応の寄与率・・・(3)
:寄与率を求めたい電位
:遷移開始時の電位
:遷移終了時の電位
たとえば、遷移前の反応Aと遷移後の反応Bの遷移過程(電位E3〜E5)における寄与率を求める場合、制御用コンピュータ230は、式(2)(3)に基づいて、電位E3における反応Aの寄与率を100%(反応Bの寄与率は0%)、電位E5における反応Aの寄与率を0%(反応Bの寄与率100%)として、各反応の寄与の割合を求め記憶部232に記憶する。また電位E4では反応Aは50%、反応Bは50%の寄与率となる。この場合の各反応の寄与率を説明するグラフを図7(C)に示す。
また電位0.4〜0.6Vにおいて遷移前の第1の反応を終えて遷移後の第2の反応へ遷移する場合、制御用コンピュータ230は、式(2)(3)に基づいて電位0.4Vにおける第1の反応の寄与率は100%(第2の反応の寄与率は0%)、電位0.6Vにおける第1の反応の寄与率は0%(第2の反応の寄与率は100%)として、各反応の寄与の割合を求め記憶部232に記憶する。またこの場合、電位0.45Vでは第1の反応の寄与率は75%、第2の反応の寄与率は25%となる。
一方、制御用コンピュータ230の電気量算定機能部231cは、サイクリックボルタンメトリー法により、電圧を変化させながら電流を測定し、電圧−電流曲線(ボルタモグラム)を作成して記憶部232に記憶する。図8は電圧−電流曲線(ボルタモグラム)の一例である。
制御用コンピュータ230の電気量算定機能部231cは、記憶部232に記憶されている各遷移過程における各反応の寄与率データに基づいて、サイクリックボルタモグラムにおける「水素発生」と「水素吸着」による電流値のピークが重なり合って同時に現れる電位範囲における「水素吸着分」に相当する電流値を求める。
たとえば、電位0.15〜0.2Vにおいて水素発生を終えて水素吸着へ遷移する場合、制御用コンピュータ230は、記憶部232に記憶されている式(2)(3)に基づいて求められた電位0.15〜0.2Vにおける各反応の寄与率、具体的には、水素吸着の寄与率(または水素発生の寄与率)を抽出する。
そして制御用コンピュータ230の電気量算定機能部231cは、「水素発生」と「水素吸着」による電流値のピークが重なり合って同時に現れる図8の電位E〜電位Eの電流値に、記憶部232により抽出された各電位ごとの水素吸着の寄与率(0%≦寄与率≦100%)を乗算し、これらを積算して電気量を算出し、記憶部232に記憶する。
すなわち制御用コンピュータ230の電気量算定機能部231cは、次の式(4)に基づき水素吸着の寄与率を加味した電気量を算出する。
Figure 2010061887
制御用コンピュータ230の触媒利用率機能部231dは、求められた水素吸着の寄与率を加味した電気量に基づいて、あらかじめ把握している係数(たとえば白金(Pt)表面積1cmあたり210μC(210μC/cm))で除することにより、電気化学的有効電極面積を求める。いいかえれば白金表面積に換算する。なおこの係数は触媒の表面積1cmあたりの電気量を示すものであればどのような種類の触媒の係数でもよい。
そして、この電気化学的有効電極面積とCO吸着法や平均粒径から算出したPtの比表面積(単位重量当りの表面積)から触媒利用率を求める。
このように、本発明に係る評価装置は、あらかじめ各反応が生じる電位範囲および各反応の遷移過程である電位範囲を把握するとともに各電位の各反応の寄与率を算出し、サイクリックボルタモグラムにおける水素発生と水素吸着の電流値のピークが重なり合う電位範囲において水素吸着の寄与率を加味して電気量を算出することにより、図8のような2つの非対称の水素発生および水素吸着の電流ピークがある場合であっても重なり部分での各々の寄与度が分かるため、正確な表面積計算が可能となる。
また本発明に係る評価装置は、制御用コンピュータ230が、傾きαの値がほぼ一定である場合にはその電位範囲では同一の反応が生じているものとして判定し、その電位範囲を記憶部232に記憶することにより、各反応が生じる電位範囲を把握できる。また遷移前の第1の反応を終えて遷移後の第2の反応へ遷移中の電位範囲も把握できる。
以上説明したように、本発明に係る燃料電池用の電極触媒の性能評価方法および評価装置によれば、電気化学反応に有効に使用されている触媒の表面積をより正確に算出でき、今後いかなる金属、合金が燃料電池用電極触媒として有効であるか否かの事前評価や触媒開発への貢献が期待できる。
本発明に係る固体高分子型燃料電池の評価装置の構成ブロック図である。 図1の制御用コンピュータ230の構成ブロック図である。 電位制御部210により制御されステップ状に変化する電位の一例である。 各電位E1のときに得られる電流−時間応答特性図の一例である。 各電位E1〜Enにおける電流−時間応答特性を示すグラフの一例である。 コットレルプロットの一例である。 各電位Ei(i=1〜n)での傾きαの変化の説明図である。 電圧−電流曲線(ボルタモグラム)の一例である。 Pt触媒のサイクリックボルタモグラムの説明図である。 サイクリックボルタモグラムに基づき電気量を算出する際の問題点の説明図である。
符号の説明
100 燃料電池セル
110 電解質膜
120 アノード電極
130 カソード電極
140 参照電極
150 対極
160 作用極
200 評価装置
210 電位制御部
220 レコーダ
230 制御用コンピュータ
231 演算制御部
231a 電位範囲把握部
231b 寄与率算定部
231c 電気量算定部
231d 触媒利用率算定部
232 記憶部
233 表示部
234 通信部

Claims (6)

  1. 電解質膜に触媒と電解質を含む触媒層が積層されて膜−電極接合体が構成され、前記電解質膜の両面にアノード電極およびカソード電極が配置された燃料電池用の電極触媒の性能評価方法であって、
    前記膜−電極接合体に所定の電圧幅で階段状に変化する電圧を印加することにより各電位で得られる電流値に基づいて水素発生反応と水素吸着反応との遷移過程である遷移電位範囲を把握し、この遷移電位範囲における水素吸着反応の寄与率を算出し、この寄与率およびサイクリックボルタモグラムに基づき還元電流の電気量を求めて前記触媒の利用率を算出することを特徴とする燃料電池用の電極触媒の性能評価方法。
  2. 前記電圧が所定の時間間隔ごとに所定の電圧幅で階段状に変化するように前記膜−電極接合体に流れる電流を制御して印加する第1のステップと、
    前記各電位におけるコットレルプロットの傾きαの値に基づき前記各反応が生じる電位範囲および前記遷移電位範囲を把握する第2のステップと、
    前記寄与率を算出する第3のステップと、
    前記サイクリックボルタモグラムを作成し、前記遷移範囲で得られる電流値に前記寄与率を乗算して還元電流の電気量を算出する第4のステップと
    前記電気量に基づき前記触媒の電気化学的有効電極面積を算出する第5のステップと、
    この電気化学的有効電極面積に基づき前記触媒の利用率を算出する第6のステップとから成ることを特徴とする
    請求項1記載の燃料電池用の電極触媒の性能評価方法。
  3. 前記第2のステップは、
    前記各電位におけるコットレルプロットをそれぞれ作成して前記傾きαを算出し、前記傾きαの値が一定であれば同一の反応が安定的に生じていて、一定でなければ別の反応への遷移過程にあるものとして判定することにより、前記各反応が生じる電位範囲および前記遷移電位範囲を把握し、
    前記第4のステップは、
    前記寄与率と前記遷移範囲で得られる電流値とを乗算して得られる電流値を積算して前記遷移範囲の前記電気量を算出し、
    この遷移範囲の前記電気量に、前記水素吸着反応が生じる電位範囲で得られる電流値を積算した電気量を加えて前記還元電流の電気量を算出し、
    前記第5のステップは、
    前記電気量から電極二重層の充電のための電気量を差し引き、この電気量からあらかじめ把握している触媒の表面積1cmあたりの電気量を示す係数を除して電気化学的有効電極面積を算出し、
    前記第6のステップは、
    前記触媒の単位重量当りの表面積中における前記電気化学的有効電極面積が占める割合を算出して触媒利用率とすることを特徴とする
    請求項2記載の燃料電池用の電極触媒の性能評価方法。
  4. 電解質膜に触媒と電解質を含む触媒層が積層されて膜−電極接合体が構成され、前記電解質膜の両面にアノード電極およびカソード電極が配置された燃料電池用の電極触媒の性能評価装置であって、
    前記膜−電極接合体に所定の電圧幅で階段状に変化する電圧を印加することにより各電位で得られる電流値に基づいて水素発生反応と水素吸着反応との遷移過程である遷移電位範囲を把握する手段と、
    この遷移電位範囲における水素吸着反応の寄与率を算出する手段と、
    この寄与率およびサイクリックボルタモグラムに基づき還元電流の電気量を求めて前記触媒の利用率を算出する手段、
    とで構成されたことを特徴とする燃料電池用の電極触媒の性能評価装置。
  5. 前記電解質膜は、アノード電極側に配置される参照極および対極と、カソード電極側に配置される作用極とで挟持され、
    前記作用極と前記参照極の間の電圧が所定の時間間隔ごとに所定の電圧幅で階段状に変化するように前記膜−電極接合体に流れる電流を制御して印加する電位制御部と、
    前記各電位におけるコットレルプロットの傾きαの値に基づき水素吸着反応および水素発生反応が生じる電位範囲および水素発生反応と水素吸着反応との遷移過程である遷移電位範囲を把握し、この遷移電位範囲における水素吸着反応の寄与率を算出して、サイクリックボルタモグラムに基づき前記遷移範囲で得られる電流値に前記寄与率を乗算して還元電流の電気量を算出する制御用コンピュータとを備えたことを特徴とする
    請求項4記載の燃料電池用の電極触媒の性能評価装置。
  6. 前記制御用コンピュータは、
    前記各電位におけるコットレルプロットを作成して前記傾きαを算出し、前記傾きαの値が一定であれば同一の反応が安定的に生じている、一定でなければ別の反応への遷移過程にあるものとして判定することにより、前記各反応の前記電位範囲および前記遷移電位範囲を把握する電位範囲把握機能部と、
    この遷移電位範囲における水素吸着反応の寄与率を算出する寄与率算定機能部と、
    サイクリックボルタモグラムに基づき前記寄与率と前記遷移範囲で得られる電流値とを乗算して得られる電流値を積算して前記遷移範囲の前記電気量を算出し、この遷移範囲の前記電気量に、前記水素吸着反応が生じる電位範囲で得られる電流値を積算した電気量を加えて前記還元電流の電気量を算出する電気量算定機能部と、
    前記電気量から電極二重層の充電のための電気量を差し引き、この電気量からあらかじめ把握している触媒の表面積1cmあたりの電気量を示す係数を除して電気化学的有効電極面積を算出し、前記触媒の単位重量当りの表面積中における前記電気量に基づいて触媒利用率を算出する触媒利用率算定機能部と、
    を備え各機能部を制御する演算制御部と、
    前記各電位の変化状況、前記各電位における電流−時間応答特性、前記各電位におけるコットレルプロット、前記各電位におけるコットレルの式の傾きαをプロットしたグラフのうち少なくともいずれかひとつを表示する表示部とを備えたことを特徴とする
    請求項4または請求項5記載の燃料電池用の電極触媒の性能評価装置。
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