JP2010059659A - 人工芝生 - Google Patents

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Abstract

【課題】スポーツなどの競技を行う上で必要な衝撃吸収性を備え、かつ芝糸間に充填した粒状体が容易に移動しない人工芝生を提供する。
【解決手段】人工芝生の植設された芝糸間に、熱可塑性エラストマーに炭酸カルシウム及び酸化チタンを配合し、かつ真比重が1以上であって日射反射率が60%以上である弾性粒状体を充填して粒状体層を設ける。
熱可塑性エラストマーに炭酸カルシウムと酸化チタンを配合して前記弾性粒状体を形成するので、弾性粒状体の柔軟性を損なわず容易にその真比重を1以上にして水に容易に浮上させないとともに、その日射反射率を容易に60%以上にして日光を受けることによる温度上昇を抑制できる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、合成樹脂製繊維からなる芝糸の間に粒状体を充填した人工芝生に関するものである。
従来、基布に合成樹脂製繊維を芝糸としてタフティングマシンを用いて多本数植設し、この植設された芝糸間に砂等の粒状体を充填して粒状体層を設けた粒状体入り人工芝生は、各種スポーツ用競技場の表面材として広く使用されている。この人工芝に充填する粒状体の構成については、人工芝に衝撃吸収性を与える等の目的のために種々の発明が開示されている。
例えば特許文献1には、人工芝のパイル間に弾性充填材を含む充填材が充填された人工芝構造体において、
上記充填材は、色および/または比重の異なる複数種類の粒状物を含み、これら粒状物により少なくとも2以上の層が形成され、その最上層には、下部側充填材よりも真比重が小さく、かつ、熱吸収率が低い特定の充填材が多く含まれていることを特徴とする人工芝構造体が開示されている。
特開2003−034906号公報
しかしながら、特許文献1の如き人工芝構造体は、最上層の充填材の比重が小さいので、人工芝の上で運動などを行うと、充填材が飛散などして移動しやすく充填材の層の上面が容易に変形するという問題があった。また、降雨などによって人工芝の上面に水流や水たまりなどが生じたときに、充填材が水に浮いてしまうという問題があった。
そこで本発明は、スポーツなどの競技を行う上で必要な衝撃吸収性を備え、かつ芝糸間に充填した粒状体が容易に移動しない人工芝生を提供するものである。
上記目的を達成するため、本発明は以下のような構成としている。
すなわち本発明に係る人工芝生は、芝糸を基布に植設し、前記植設された芝糸間に弾性粒状体を充填して粒状体層を設けた人工芝生であって、前記弾性粒状体が熱可塑性エラストマーに炭酸カルシウム及び酸化チタンが配合され、かつ真比重が1以上であって日射反射率が60%以上であることを特徴としている。
本発明に係る人工芝生によれば、芝糸間に弾性粒状体を充填するので、弾性粒状体が人工芝生の上面から与えられる衝撃を吸収し、スポーツなどを安全に行うことができる。また、前記の弾性粒状体の真比重を1以上にするので、弾性粒状体は水に浮かばず、水たまりなどの水面に浮上するなどして容易に移動することがないため、その衝撃吸収性を安定して持続できる。また、前記の弾性粒状体を熱可塑性エラストマーで形成するので、押出成形などによって容易に弾性を有する粒状体を形成することができる。また、熱可塑性エラストマーに炭酸カルシウムを配合して前記弾性粒状体を形成するので、弾性粒状体の柔軟性を損なわずその衝撃吸収性を保つとともに、容易にその真比重を1以上にすることができる。また、熱可塑性エラストマーに酸化チタンを配合して前記弾性粒状体を形成するので、その日射反射率を容易に向上させることができる。そして前記弾性粒状体の日射反射率を60%以上とするので、日光を受けることによる温度上昇を抑制し、人工芝生の上でスポーツなどを行う際に競技者や観客などが人工芝生からの温度によって不快になることがない。また、前記弾性粒状体の真比重を1以上で、かつ日射反射率を60%以上とすることで、人工芝生の表面温度の温度上昇を抑制する弾性粒状体が、充填された人工芝生において容易に移動しないので、温度上昇抑制効果を安定して持続させることができる。
本発明に係る人工芝生によれば、芝糸間に充填した弾性粒状体が容易に移動しないので、人工芝生の衝撃吸収性と温度抑制効果を安定して持続できる。
本発明の実施の形態を図面に基づき具体的に説明する。
図1は本発明に係る人工芝生の実施の一形態を示す断面図である。
本実施形態の人工芝生は、ポリプロピレン製の平織りの織布を用いた基布2にポリエチレン製の芝糸3をカットパイル状に植設して芝葉を形成し、基布2の裏面からウレタン樹脂等のバッキング材5を塗布して芝糸3を固定している。これを、基礎層4に敷設した後、その上方から散布機によって粒状体を散布し、植設された各芝糸3の間に充填して粒状体層1を形成している。
粒状体層1は、人工芝生の表面に配置された上層11と、上層11の下の下層12の二層構造となされている。上層11は、熱可塑性エラストマーの粒からなる上層弾性粒状体で構成されている。また下層12は、SBRの粒からなる下層弾性粒状体に硅砂を配合して構成しており、前記下層弾性粒状体100重量部に珪砂100重量部を配合させている。
二層構造の粒状体層1の形成方法について説明すると、基礎層4に敷設された基布2の上方から最初に前記の下層弾性粒状体を散布する。この上から珪砂を散布し、ブラシ体によるブラッシングを行うことで粒状体層中の下層弾性粒状体と珪砂をかき混ぜ、下層弾性粒状体と珪砂の混合物から構成される下層12を形成させる。下層12形成のための下層弾性粒状体と珪砂の散布とブラッシングは1回のみ行っても良いが、複数回にわけて行ってもよい。下層12を形成した後、その上から上層弾性粒状体を散布し、その上から表面のみを均すようにブラッシングを行うことで、上層弾性粒状体のみで構成される上層11を形成する。また、ブラッシングに用いるブラシ体は、作業を効率よく行うために回転ブラシを好適に用いることができるが、これに限るものではなく振動ブラシやデッキブラシなどを用いて水平方向に往復させるようにブラッシングを行ってもよい。
前記の下層12に用いる下層弾性粒状体の粒径は4.0mmの目開きのふるいを90%以上通過し、0.5mmの目開きのふるいを通過する粒が10%以下となるように調整している。また、下層12に配合する珪砂の粒径は、1.68mmの目開きのふるいを90%以上通過し、0.21mmの目開きのふるいを通過する粒が10%以下となるように調整している。
基礎層4は、地面上に透水性のアスファルトコンクリートを打設して好適に形成可能だが、これに限るものではなく、地面そのものであってもよく、地面上に非透水性のアスファルトコンクリートを打設するなどして形成してもよい。また、本実施形態では基布2にポリプロピレン製の平織りの織布を用いているが、これに限るものではなく織物、編物、不織布等、芝葉が植設されるものであれば何でもよい。また、本実施形態では芝糸3にポリエチレンを用いているが、ポリプロピレンやポリエステル、ポリアミド、などの合成樹脂も好適に用いることができる。
また、本実施形態では、下層12に利用する下層弾性粒状体としてSBRの粒を用いているが、これに限るものではなく、SBR、EPDMなどの合成ゴムや天然ゴムの粒を単体または組み合わせて用いてもよく、廃タイヤの粉砕物などのリサイクル品や、エラストマーなどを選定または組み合わせて用いてもよい。また、本実施形態では下層弾性粒状体と硅砂とを配合して下層12を形成しているが、これに限るものではなく、下層弾性粒状体と硅砂とをそれぞれ単体で用いてもよく、下層弾性粒状体と硅砂以外の小石や陶器の粒、樹脂ペレットなどの粒状体を選定または組み合わせて用いてもよい。
上層11を構成する上層弾性粒状体は、熱可塑性のスチレン系樹脂エラストマーを押出成形して形成している。詳しくは、押し出し成形機によって直径2mm程度の円柱形状に押し出し、約2〜5mm程度の長さに切断した円柱形状に形成している。
上層弾性粒状体の材料の構成は、スチレン系樹脂エラストマーをベース材として、配合剤として炭酸カルシウムと酸化チタンを配合し、その他の添加剤として紫外線吸収剤や調色用の顔料などを配合している。図2はベース材に種々の配合剤をその含有率を変更して作成した上層弾性粒状体の日射反射率を測定した結果を示したグラフである。日射反射率は、弾性粒状体と同一組成の原料によってシート状サンプルを作成し、(株)島津製作所製の紫外・可視・近赤外 分光光度計 UV-3150を用い、JIS A 5759に基づく方法で測定した。
図2(イ)は配合剤として酸化チタンを配合したものであり、酸化チタンは1重量%含有させたサンプルで60%以上の日射反射率を得ることができた。酸化チタンはその含有率をさらに大きくすれば上層弾性粒状体の日射反射率をより大きくすることが確認できる。
(ロ)は配合剤として炭酸カルシウムを配合したものであり、炭酸カルシウムも酸化チタンと同様にその含有率を大きくすることで上層弾性粒状体の日射反射率をより大きくする性質を持つことが確認できる。しかし、その含有率を0%から35%に増大させても、日射反射率は52%程度に留まるため、日射反射率を高める性質は酸化チタンよりも小さなものであると判断できる。
(ハ)は配合剤としてタルクを配合したものであり、タルクは酸化チタンや炭酸カルシウムと異なり、その含有率を大きくすることで日射反射率をより小さくすることが確認できる。
このように、上層弾性粒状体の日射反射率を高めるためには酸化チタンと炭酸カルシウムを配合することが有効であることが確認できる。
図3は、ベース材と配合剤の含有率を変更して作成した上層弾性粒状体のサンプルの比重とその柔軟性と日射反射率と表面温度を評価した結果を示す表である。柔軟性の評価は、作成したサンプルを指先で押しつぶし、その手触り感で良好な柔軟性を有しているかどうかを判断した。比重は、作成したサンプルをメトラトレド社製の比重計XS204によって計測した。表面温度の評価は、作成したサンプルを10×10×3cmの木製容器に入れ、快晴の日に上面を上に向けて曝露し、その表面を手で触って熱く感じるかどうかで判断した。日射反射率は、弾性粒状体と同一組成の原料によってシート状サンプルを作成し、(株)島津製作所製の紫外・可視・近赤外 分光光度計 UV-3150を用い、JIS A 5759に基づく方法で測定した。
図3に示すように、比較例2〜4は良好な柔軟性を有しているが真比重1以下となっており、高比重な炭酸カルシウムの含有率が不足している。
また、比較例10〜11は、真比重は1以上となっているが柔軟性が不良であり、全体に占める炭酸カルシウムの比率が高くなることでベース材の柔軟性が損なっている。
比較例5〜9は真比重と柔軟性は良好であるが、前記の比較例2〜4および比較例10〜11とともに日射反射率が低く、表面温度の評価も良好ではなかった。
また、比較例12〜16は高い日射反射率を示しているが、真比重が1より小さくなっている。
実施例1〜4は1以上の真比重を有し、良好な柔軟性を示すとともに、高い日射反射率を示している。
本実施形態では上層弾性粒状体の材料の構成は、スチレン系樹脂エラストマーをベース材としているが、これに限らず熱可塑性エラストマーであればなんでもよく、オレフィン系樹脂エラストマーやウレタン系樹脂エラストマーや、合成ゴムや天然ゴムなどを単体または組み合わせて用いてもよい。
本発明に係る人工芝生の実施の一形態を示す断面図である。 ベース材に種々の配合剤を配合した弾性粒状体の日射反射率を測定した結果を示した表である。 弾性粒状体のサンプルの比重と柔軟性と日射反射率と表面温度を評価した結果を表す表である。
符号の説明
1 粒状体層
11 上層
12 下層
2 基布
3 芝糸
4 基礎層

Claims (1)

  1. 芝糸を基布に植設し、前記植設された芝糸間に弾性粒状体を充填して粒状体層を設けた人工芝生であって、前記弾性粒状体が熱可塑性エラストマーに炭酸カルシウム及び酸化チタンが配合され、かつ真比重が1以上であって日射反射率が60%以上であることを特徴とする人工芝生。


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