以下、この発明の実施の形態について説明する。
〔発明の実施の形態1〕
図1乃至図9は、この発明の実施の形態1を示す。
まず、構成を簡単に説明すると、図1乃至図3に示す、この実施の形態1の折畳み式帽子10は子供用の折り畳み式帽子であり、「本体部」としての折畳み式帽子本体部10Aは園児、学童等の子供が頭に被るのに適した大きさに形成されている。但し、折畳み式帽子10は子供用のみに限定されることはなく、折畳み式帽子本体部10Aが平均的な大人が頭に被るのに適した大きさに形成されていてもよい。
図1乃至図3に示す折畳み式帽子本体部10Aは、ポリプロピレン等、剛性が高く、かつ折り曲げに対する強度が高い樹脂により一体成形されている。折畳み式帽子本体部10Aは、有色不透明、有色透明、無色透明にすることができる。有色透明、無色透明であれば、避難時に前方及び側方に視野が広がるので、有効である。
この折畳み式帽子本体部10Aは、前辺に連続して庇部11を有する一枚板状の前頭被覆用の「平板」としての前側平板12と、一枚の板状の後頭被覆用の「平板」としての後側平板13とを有している。前側平板12と後側平板13とは、平板状体で平板状態で形状が安定するように形成されている。
前側平板12は、正面視略台形に形成された「平板本体部」としての前側平板本体部12ax、正面視略三角形に形成された「平板本体部」としての左側平板本体部12ay及び右側平板本体部12azを備えている。また、前側平板本体部12axと左側平板本体部12ayとの間には長手方向(図1における上下方向)に沿って帯状の「ヒンジ部」としての第一ヒンジ部12bxが、前側平板本体部12axと右側平板本体部12azとの間には長手方向に沿って略帯状の「ヒンジ部」としての第二ヒンジ部12byをそれぞれ備えている。
同様に、後側平板13は、正面視略台形に形成された「平板本体部」としての後側平板本体部13ax、正面視略三角形に形成された「平板本体部」としての左側平板本体部13ay及び右側平板本体部13azを備えている。また、後側平板本体部13axと左側平板本体部13ayとの間には長手方向に沿って帯状の「ヒンジ部」としての第三ヒンジ部13bxが、後側平板本体部13axと右側平板本体部13azとの間には長手方向に沿って略帯状の「ヒンジ部」としての第四ヒンジ部13byをそれぞれ備えている。
図1及び図3に示す通り、折畳み式帽子本体部10Aを展開した状態で頭部に被れる形状である帽子状態(以下単に「帽子状態」と称する。)としたときに、前側平板12の各平板本体部12ax,12ay,12azのそれぞれは平板の状態で頭部の前頭部略全域と両頭側部略全域とを覆い、また後側平板13の各平板本体部13ax,13ay,13azのそれぞれは平板の状態で頭部の後頭部略全域と両頭側部略全域とを覆い、第一〜第四ヒンジ部12bx,12by,13bx,13byは各平板本体部12ax,12ay,12az,13ax,13ay,13azの境界部分における帽子状態を形成する際に折り曲げなければならない最小限の箇所に配設された状態となっている。これにより、帽子状態の形成を支障なく行いつつ、頭部の略全域を剛性の高い各平板本体部12ax,12ay,12az,13ax,13ay,13azで覆うことで落下物等の衝撃から頭部を確実に保護できる。
図3の(b)に示す通り、前側平板12の前側平板本体部12ax、左側平板本体部12ay、右側平板本体部12azは板厚が厚く(例えば2.5mm程度)、折り曲げによる弾性変形は生じにくくなるように形成されている。一方、第一ヒンジ部12bx、第二ヒンジ部12byは前記各平板本体部12ax,12ay,12azよりも板厚が薄く(例えば0.8mm程度)、折り曲げにより容易に弾性変形するように形成されている。同様に、後側平板13の後側平板本体部13ax,左側平板本体部13ay、右側平板本体部12azは折り曲げによる弾性変形が生じにくくなるように板厚が厚く形成され、一方、第三ヒンジ部13bx、第四ヒンジ部13byは折り曲げにより容易に弾性変形するように前記各平板本体部13ax,13ay,13azよりも板厚が薄く形成されている。
図2に示す通り、前記前側平板12の後辺12cは、正面視の状態で水平状の「周縁部」としての中央縁12cxと該中央縁12cxの左右両側に連設された外側端下がりの「周縁部」としての傾斜縁12cy,12czとを有する張り出し形状にされている。又、同様に、図1に示す後側平板13の前辺13cは、正面視(図示せず)の状態で、水平状の「周縁部」としての中央縁13cxと、該中央縁13cxの左右両側に連設された外側端下がりの「周縁部」としての傾斜縁13cy,13czとを有する張り出し形状にされている。そして、前記前側平板12の後辺12cと前記後側平板13の前辺13cとは、後述する連結部15に連結されている。なお、前記中央縁12cx及び中央縁13cxは、水平状にされているが、緩やかなカーブ状にすることができるし、同様に、前側平板12の前記傾斜縁12cy,12cz及び後側平板13の傾斜縁13cy,13czを緩やかなカーブ状にすることができる。要するに、前側平板12の後辺12c及び後側平板13の前辺13cは、その中央部分が張り出し、該中央部分に連続する両端側部分が傾斜した形状を呈するようにされていれば足りる。
連結部15は、長手方向の略中央部分において幅方向(図3の(a)に示す左右方向)に連続する平面視略帯状に形成されている。連結部15の両縁側部分にはそれぞれ前側止着片部17a、後側止着片部17bを有する。そして、連結部15の両止着片部17a,17bは、前側平板12の水平状中央縁12cx近傍及び外側端下がりの傾斜縁12cy,12cz近傍と後側平板13の水平状中央縁近傍及び外側端下がりの傾斜縁近傍に連結された状態で止着されている。したがって、連結部15は、前方又は後方から見た場合、前側平板12の張り出し形状後辺12c及び後側平板13の張り出し形状前辺13cに略沿った形状になる。
つまり、前記連結部15には、図1及び図3に示すように、折曲げ水平部15aと、該折曲げ水平部15aの両端から連続する「側片部」としての左右の折曲げ傾斜部15b,15cとが形成される。
なお、図示しないが、連結部15は、折曲げ水平部15aに対する左右の折曲げ傾斜部15b,15cの湾曲形状を容易に形成できるように、前側平板12の各平板本体部12ax,12ay,12azや後側平板13の各平板本体部13ax,13ay,13azよりも板厚が薄く形成されている。
また、図4及び図8に示すように、連結部15の表面には、幅方向に沿って連続する複数(この実施の形態1においては4つ)の突起状部30が外方に向けて突出形成されている。この突起状部30は、外部からの衝撃によって変形し衝撃を吸収できる形状に形成されている。
一方、図3の(c)及び(d)に示すように、両止着片部17a,17bは、前側平板12の後辺12cよりもやや前側寄り、及び後側平板13の前辺13cよりもやや後側寄りにおいてそれぞれ前側平板12及び後側平板13に連結されている。そして、図3の(c)に示す通り、折畳み式帽子本体部10Aを展開した状態において、止着片部17a(又は17b)から前側平板12の後辺12c(又は後側平板の前辺13c)までの高さT1よりもよりも突起状部30の高さT2の高さの方が高くなるように形成されている。
図3の(a)に示すように、折曲げ水平部15aの略中央部、即ち折畳み式帽子本体部10Aの頂部には、幅方向に長い平面視略矩形の貫通孔部18が貫通形成されている。この貫通孔部18には繋留止部19の固定片20(後述)が挿通されて止着される。
また、折曲げ傾斜部15b,15cの外側(正面側)には、それぞれ「展開状態保持手段」としての係止部21と、この係止部21に係脱自在に設けられた「展開状態保持手段」としての被係止部22とを有している。係止されていない状態において、被係止部22は係止部21の略垂直下方に配設されている。この係止部21及び被係止部22は、係止部21を被係止部22に係止させることで、折畳み式帽子本体部の展開状態(後述)を保持する機能を奏するものである。係止部21及び被係止部22は、剛性が高く加工が容易な材料例えばポリプロピレン等の樹脂によって形成されている。
図9に示す通り、係止部21は、略円環状に形成されている。そして、係止部21の一方側には繋留紐23(後述)の一端部が連結されており、他方側には顎紐24(後述)の端部がそれぞれ連結されている。被係止部22は、図5及び図6に示す、折曲げ傾斜部15b,15cに貫通形成された被係止部嵌合孔部29,29に嵌合されて固着され、折曲げ傾斜部15b,15cの正面側に突設されている。被係止部22は、略突起状であって先端部に拡径部25が形成されている。これにより、係止部21の内部に挿入されて係止可能となるように形成されている。
一方、図7に示す通り、折畳み式帽子本体部10Aの内側(即ち、被った際に頭部に対向する側)には、繋留止部19と、「繋留体」としての一対の繋留紐23,23と、ハンモック26とが配設されている。
繋留止部19は剛性が高く加工が容易な材料、例えばポリプロピレンのような樹脂にて形成されている。図5及び図6に示す通り、繋留止部19は繋留本体部27と固定片20とを有している。
繋留本体部27は一方向に長い板状に形成されると共に、長手方向両端部に紐通し孔部28,28が開口形成されている。固定片20は繋留本体部27の長手方向中央部において上側に突出形成された軸部の上側に、繋留本体部27の幅方向に長い略矩形に形成されている。この固定片20の形状は、折曲げ水平部15aの貫通孔部18の形状と略等しい。即ち、図1に示す通り、繋留止部19は、固定片20を貫通孔部18に貫通させたのちに約90°回転させることで折曲げ水平部15aに固着させる。
繋留紐23は、剛性が高く柔軟な樹脂繊維によって帯状に形成されている。繋留紐23の一端部側は左右の折曲げ傾斜部15b,15cの外側に配設されて、繋留紐23の一端部は係止部21に連結されている。一方、図4及び図8に示す通り、繋留紐23は左右の折曲げ傾斜部15b,15cにそれぞれ貫通形成された繋留紐挿通孔部15dを貫通して、図6に示す通り、繋留紐23の他端部側は折畳み式帽子本体部10Aの内側まで延長され、繋留紐23の他端部は、繋留本体部27の紐通し孔部28に挿通されて繋留部27に繋留されている。
これにより、それぞれ繋留紐23,23の他端部が、折畳み式帽子本体部10Aの内部で繋留止部19によって互いに連結された状態となり、また、それぞれの繋留紐23,23は折畳み式帽子本体部10Aの頂部に固定される。また、図6に示す通り、係止部21を被係止部22に係止させたとき、それぞれの繋留紐23,23は折畳み式帽子本体部10Aの内部で緊張した状態となり、図5に示す通り、係止部21が被係止部22に係止されていないときにはそれぞれの繋留紐23,23は折畳み式帽子本体部10aの内部で弛んだ状態になるように形成されている。
また、図9に示す通り、繋留紐23,23の他端部側にはそれぞれ留め具41,41が設けられている。この留め具41はホック、スナップボタン等、係脱可能な一対の部材により形成され、図5及び図6に示すように、この一対の部材同士が係合して繋留紐23の他端部側が繋留部27に繋留された状態を保持できるようになっている。また、留め具41は繋留紐23に極めて強い衝撃や極めて引っ張り力が加わったときに上記一対の部材同士の係合が解除されて、この衝撃や引っ張り力によって繋留紐23や折畳み式帽子本体部10Aの破損を防止できるように構成されている。
図7に示す通り、ハンモック26は、頭頂部を抑える頭頂抑え部31aと、この頭頂抑え部31aから複数延長された計4本の略帯状の延長片部31bとを有し、この各延長片部31bの先端部に設けられた取付部31cが前側平板12及び後側平板13に取付リベット31dにより回動自在に取り付けられている。
それら取付部31cは、合成樹脂で形成されて所定の剛性を有し、他の部分が繊維により帯状に成形されて柔軟性を有している。
また、頭頂抑え部31aは、柔軟性を有する合成樹脂(ビニールレザー)から形成されている。
一方、ヘッドバンド32は、頭部前側を押さえる合成樹脂製の所定の剛性を有する前側バンド部33と、頭部後側を押さえる合成樹脂製の所定の剛性を有する後側バンド部34とが、連結部15に対応した位置に設けられた柔軟性を有する連結部35を介して折り畳み可能に設けられている。
また、その前側バンド部33及び後側バンド部34がそれぞれ延長片部31bの取付部31cに連結リベット36を介して回動自在に設けられている。
図7に示す通り、前側バンド部33と後側バンド部34とは、頭部の両側部を押さえる位置にそれぞれ配設されたアジャスタ42,42によって連結されている。このアジャスタ42は柔軟性のある帯状の部材によって形成され、両端部には例えば面ファスナのような係止部材(図示せず)が設けられている。図7に示す通り、アジャスタ42を前側バンド部33と後側バンド部34とにそれぞれ設けられた挿通孔部に挿通されると共に、アジャスタ42の係止部材同士を係止させることで前側バンド部33と後側バンド部34とを連結される。更に、アジャスタ42の係止部材同士の係止位置をアジャスタ42の長手方向に調節することで、前側バンド部33と後側バンド部34とを使用者の頭部の大きさにフィットするように調節することができる。アジャスタ42を頭部の両側部を押さえる位置にそれぞれ配設したことにより、折畳み式帽子本体部10Aを頭部に被った後も使用者自身が簡単にアジャスタ42を調節してハンモック26を頭部にフィットさせることができる。
更に、図9に示す通り、顎紐24は両端部がそれぞれ係止部21,21に連結されている。また、顎紐24の長手方向略中央部には、顎紐24の締結部分の長さを調節して折畳み式帽子本体部10Aを頭部に固定させるためのするコードストッパ38が設けられている。
なお、この実施の形態1の係止部21、被係止部22、繋留止部19、ハンモック26、顎紐24は、折畳み式帽子本体部10Aに対して着脱自在に形成されている。これにより、折畳み式帽子本体部10A、係止部21、被係止部22、繋留止部19、ハンモック26、顎紐24をそれぞれ別工程で製造することができて、製造の容易化と製造コストの低減化とを図ることができる。
次に、この実施の形態1の折畳み式帽子10の作用について説明する。
この実施の形態1の折畳み式帽子10は、図2及び図5に示すように前側平板12と後側平板13とがそれぞれ平板状態となった状態において、左の折曲げ傾斜部15bの下端部と右の折曲げ傾斜部15cの下端部とを互いに近づく方向に同時に押す。すると、前側平板12の第一ヒンジ部12bx及び第二ヒンジ部12by、後側平板13の第三ヒンジ部13bx及び第四ヒンジ部13byがそれぞれ弾性変形する。これにより前側平板12及び後側平板13を弾性力に抗して変形させることで展開状態とする。このとき、折畳み式帽子本体部10Aは帽子状態となっている。
この状態で折畳み式帽子本体部10Aを頭部に被らせて、折畳み式帽子10の使用者は自ら顎紐24を把持して、この顎紐24を下方に引き下ろす。すると、前側平板12の第一ヒンジ部12bx及び第二ヒンジ部12by、後側平板13の第三ヒンジ部13bx及び第四ヒンジ部13byは更に弾性変形し、その結果一対の繋留紐23,23の一端部側が折畳み式帽子本体部10Aの内部から外側に引き出される。そして、顎紐24の両端部に連結された係止部21,21の内部にそれぞれ被係止部22,22が挿通された状態となる。この状態で、折畳み式帽子10の使用者が顎紐24を離すと、第一ヒンジ部12bx、第二ヒンジ部12by、第三ヒンジ部13bx、第四ヒンジ部13byの弾性力によって繋留紐23,23が繋留止部19側に引っ張られ、繋留紐23,23の緊張により係止部21が被係止部22に係止された状態となり、折畳み式帽子本体部10Aの展開状態が保持される。
顎紐24を下方に引っ張るときには、折畳み式帽子10の使用者がさほど大きな力を加えていなくても第一ヒンジ部12bx、第二ヒンジ部12by、第三ヒンジ部13bx、第四ヒンジ部13byを容易に弾性変形させることができる。即ち、折畳み式帽子10の使用者は、大きな力を要することなく簡単な操作で係止部21を被係止部22に係止させて展開状態を維持させることができる。
折畳み式帽子本体部10Aの展開状態が保持された状態となったとき、前側平板本体部12ax、左側平板本体部12ay、右側平板本体部12az、後側平板本体部13ax、左側平板本体部13ay、右側平板本体部13azは頭部の大半の部分を覆っているので、落下物等の衝撃から頭部を確実に守ることができる。
更に、両止着片部17a,17bは、前側平板12の後辺12cよりもやや前側寄り、及び後側平板13の前辺13cよりもやや後側寄りにおいてそれぞれ前側平板12及び後側平板13に連結されている。そのため、図3の(c)に示す通り、係止部21を被係止部22に係止させたとき、連結部15は前側平板12の後辺12c及び後側平板13の前辺13cよりも内側に引っ込んだ状態となっており、板厚の薄い連結部15に落下物等が直撃し連結部15が破損する事態を防止できる。これにより、頭頂部付近等、連結部15が形成されている箇所に落下物等があったときにおいても、落下物等の衝撃から頭部を確実に保護できる。
更にまた、連結部15には突起状部30が外方に向けて突出形成されており、この突起状部30は外部からの衝撃に対して容易に変形して衝撃を吸収する。これにより、頭頂部付近等、連結部15が形成されている箇所にの落下物等があったときにこの落下物等の衝撃から頭部を確実に保護できる。
なお、折畳み式帽子本体部10Aを帽子状態から扁平状態に変形させたいときは、折畳み式帽子10の使用者は、折畳み式帽子本体部10Aを頭部に被った状態のままで、顎紐24を下方に引っ張る。これにより、係止部21は被係止部22への係止状態を解除させて係止部21と被係止部22とを離脱させる。このときも、折畳み式帽子10の使用者がさほど大きな力を加えていなくても第一ヒンジ部12bx、第二ヒンジ部12by、第三ヒンジ部13bx、第四ヒンジ部13byを容易に弾性変形させることができる。これにより、折畳み式帽子10の使用者は、大きな力を要することなく簡単な操作で係止部21と被係止部22との係止状態を解除させて、容易に折畳み式帽子本体部10Aを扁平状態とすることができる。
以上、この実施の形態1においては、平板状態で形状が安定する部材で成形された前頭被覆用の前側平板12と、平板状態で形状が安定する部材で成形された後頭被覆用の後側平板13と、前側平板12の中央縁12cx、傾斜縁12cy,12czのそれぞれ近傍、及び後側平板13中央縁12cx、傾斜縁12cy,12czのそれぞれ近傍を連結させる連結部15とを備え、前側平板12及び後側平板13の周縁部側の一部が連結部15でそれぞれ連結され、折畳んだ状態で前側平板12及び後側平板13が扁平状態となり、展開した状態で頭部に被れる形状である帽子状態となる折畳み式帽子本体部10Aを有する折畳み式帽子10であって、連結部15における、頭部の側頭面に対面する左右の折曲げ傾斜部15b,15cを互いに接近させることにより、前側平板12と後側平板13とを平板状態から第一〜第四ヒンジ部12bx,12by,13bx,13byに抗して変形させることで展開状態とし、展開状態を保持する展開状態保持手段を備えたことにより、展開状態保持手段の保持機能により展開状態に保持され、保持機能が解除されたときには平板状態で形状が安定する部材の特性により自然に二つ折りの扁平な形にされる折畳み式の、危険を避けるのに向いている帽子を容易に提供できる。
また、この実施の形態1においては、展開状態保持手段は、側辺部の外側に設けられた係止部21と、係止部21に係脱自在に設けられた被係止部22とを有し、一端部が係止部21に連結されると共に、左右の折曲げ傾斜部15b,15cを貫通して内部まで延長された繋留紐23を備え、折畳み式帽子本体部10Aを頭部に固定させる顎紐24の端部が係止部21に連結されて、顎紐24を引くことで係止部21が被係止部22に係止されて、展開状態が保持されるように構成されたことにより、使用者が頭部に折畳み式帽子本体部10Aを被った状態で顎紐24の長さを調節するための操作と同様の操作を自ら行うことで簡単に係止部21を被係止部22に係止させることが可能になる。また、折畳み式帽子本体部10Aを被った状態で使用者が自ら顎紐24を引き下ろせば、小さな力で前側平板12及び後側平板13を弾性変形させることができ、よって顎紐24に連結された係止部21を小さな力で被係止部22に係止されることができる。これにより、簡易な操作と小さい力とで確実に展開状態保持手段を機能させることができる。
更に、この実施の形態1においては、折畳み式帽子本体部10Aを頭部に被った後に係止部21と被係止部22とを連結させるため、使用者はまず折畳み式帽子本体部10Aを自らの頭部にかぶり、次いで係止部21を被係止部22に係止させることになる。そのため、地震等の緊急災害時には、使用者は展開状態の保持を完成させる前に取り急ぎ折畳み式帽子本体部10Aを頭部にかぶり、落下物等から頭部を保護することができる。これにより、緊急災害時においても迅速に頭部を保護することができる。
この実施の形態1においては、繋留紐23の他端部が、繋留止部19によって折畳み式帽子本体部10Aの内部の頂部に固定されていることにより、折畳み式帽子本体部10Aを被ったときに繋留紐23が頭部に接触することのない位置に繋留紐23を配設することができる。これにより、折畳み式帽子本体部10Aを被ったときの装着感を良好にすると共に、落下物の接触等による衝撃で繋留紐23が頭部にぶつかって使用者が負傷するような事態を防止できる。
この実施の形態1においては、繋留紐23,23の他端部は折畳み式帽子本体部10Aの内部で互いに連結されていることにより、顎紐24を引きおろしたときの前側平板12及び後側平板13の弾性変形の度合いを左右均等にすることができる。これにより、左右の係止部21,21を同じタイミングで被係止部22,22に係止させることができて、左右の係止部21,21と被係止部22,22との係止タイミングのずれによる係止の不具合を防止することができる。
この実施の形態1においては、前側平板12と後側平板13とは、前側平板本体部12ax、左側平板本体部12ay、右側平板本体部12az、後側平板本体部13ax、左側平板本体部13ay、右側平板本体部13azと、これら平板本体部12ax,12ay,12az,13ax,13ay,13azよりも板厚の薄い第一〜第四ヒンジ部12bx,12by,13bx,13byとを備え、折畳み式帽子本体部10Aは、前側平板12の第一、第二ヒンジ部12bx,12byと後側平板13の第三、第四ヒンジ部13bx,13byとがそれぞれ折り曲げられることで変形させられて前記展開状態に形成されることにより、頭部の大部分を板厚が厚くて剛性の高い平板本体部12ax,12ay,12az,13ax,13ay,13azにて形成しつつ、弾性変形の容易な第一〜第四ヒンジ部12bx,12by,13bx,13byを折り曲げることで帽子形状を容易に形成できる。これにより、帽子形状の形成が容易でしかも落下物等の衝撃から頭部を確実に保護できる折畳み式帽子10を提供することができる。
この実施の形態1においては、折畳み式帽子本体部10Aは樹脂により一体形成されたことにより、ラインによる大量生産に適した折畳み式帽子本体部10Aを提供し、折畳み式帽子10の製造時における歩留まりの向上とコストダウンを図ることができる。
この実施の形態1においては、係止部21は略円環状に形成されると共に、被係止部22は係止部21の内部に挿入されて係止可能な略突起状に形成されていることにより、係止部21を被係止部22と略同一面上に配設し、係止部21を当該面方向に沿って被係止部22側に移動させることで、係止部21と被係止部22とを簡易且つ確実に係止させることができ、また、係止部21を被係止部22の突出方向に沿って移動させることで簡易且つ確実に係止状態を解除できる。これにより、係止部21と被係止部22との係脱を簡易且つ確実にし、折畳み式帽子10の扁平状態と展開状態とを自在に変化させることが可能になる。
なお、この実施の形態1においては、繋留体を帯状の繋留紐23としたが、これに限定されず、係止部21を折畳み式帽子本体部10Aの一部に繋留して前側平板12と後側平板13との変形状態により係止部21と被係止部22との係脱状態を変えられるものであればどのようなものでもよい。例えば、繋留紐23を金属製ワイヤーのようなもので形成してもよいし、更に、紐状の細長い形状でなくてもよい。
この実施の形態1においては、折畳み式帽子本体部10Aは樹脂により一体成形されるものとしたが、これに限定されず、例えば前側平板12、後側平板13、連結部15をそれぞれ別体として製造し、それらを接合して折畳み式帽子本体部10Aを形成してもよい。
この実施の形態1においては、係止部21を顎紐24に連結させたが、これに限定されず、例えば顎紐24と別に設けられた係止用紐を係止部に連結し、この係止用紐を引き下ろすことで係止部21を被係止部22に連結されるものとしてもよい。また、紐以外の手段、例えばホックやレバー等をにより係止部21を被係止部22に係止させる構成としてもよい。
この実施の形態1においては、繋留紐23を折畳み式帽子本体部10Aの内部にて繋留止部19に固定されているものとしたが、これに限定されず、繋留紐23が折畳み式帽子本体部10Aの外部において繋留止部19に固定されていてもよい。また、一対の繋留紐23,23の他端部同士は、繋留止部19を介さずに、直接連結されていてもよい。
この実施の形態1においては、前側平板12と後側平板13とは、前側平板本体部12ax、左側平板本体部12ay、右側平板本体部12az、後側平板本体部13ax、左側平板本体部13ay、右側平板本体部13azと、これら平板本体部12ax,12ay,12az,13ax,13ay,13azよりも板厚の薄い第一〜第四ヒンジ部12bx,12by,13bx,13byとを備え、折畳み式帽子本体部10Aは、前側平板12の第一、第二ヒンジ部12bx,12byと後側平板13の第三、第四ヒンジ部13bx,13byとがそれぞれ折り曲げられることで変形させられて展開状態に形成されるものとしたが、これに限定されず、前側平板12と後側平板13の全体が折り曲げることで変形させられて展開状態が形成される構成としてもよい。このように構成することで、折畳み式帽子本体部10Aを全て同じ厚さで製造すればよくなって、製造をより簡易化させることができる。
〔発明の実施の形態2〕
図10乃至図20はこの発明の実施の形態2を示す。
この実施の形態2の折畳み式帽子50の折畳み式帽子本体部50Aにおいては、実施の形態1の折畳み式帽子10の折畳み式帽子本体部10Aにおける係止部21及び被係止部22に代えて、「展開状態保持手段」としての展開状態保持機構51が設けられている点が実施の形態1と相違する。
図10乃至図14に示す通り、この展開状態保持機構51は、レバー部材52と、折曲げ傾斜部15b,15cの一部に設けられた保持部材53とを備えている。
レバー部材52は、剛性が高く、かつ折り曲げに対する強度が高い材料、例えば折畳み式帽子本体部50Aと同じポリプロピレン等により形成されている。レバー部材52は、長手方向先端部側から長手方向略中央部側を形成する略板状のレバー部材本体部54と、レバー部材本体部54よりも長手方向基端部側に突設された一対の脚部55,55とを有する。
レバー部材本体部54の長手方向先端部側には、幅方向に細長い顎紐挿通孔56が貫通形成されている。図15に示す通り、この顎紐挿通孔56には顎紐24が挿通され、これにより、顎紐24の端部がレバー部材52の長手方向先端部に連結されている。
図15に示す通り、それぞれの脚部55,55の先端部(即ちレバー部材51の長手方向基端部)には、それぞれ略円筒形のピン57が側方に向けて突設されている。これら一対のピン57,57は一対のピン挿通孔61,61(後述)にそれぞれ挿通されて、レバー部材52はこれら一対のピン57,57を中心に上下方向に回動する。
また、それぞれの脚部55,55の基端部側(即ちレバー部材52の長手方向略中央部側)には、繋留紐23に繋留される連結棒58が、それぞれの脚部55,55に掛け渡されて配設されている。連結棒58とレバー部材本体部54との間には幅方向に細長い繋留紐挿通孔59が貫通形成されている。図15に示す通り、連結棒58には繋留紐挿通孔59に挿通された繋留紐23の一端部が連結されている。
保持部材53は、板状の保持部材本体部60,60を一対有する。図11に示す通り、それぞれの保持部材本体部60,60は、折曲げ傾斜部15b,15cの長手方向両側部に沿ってそれぞれ離間対向した状態で折曲げ傾斜部15b,15cの外方に向けて突設されている。それぞれの保持部材本体部60にはレバー部材52のピン57を挿通するためのピン挿通孔61が貫通形成されている。それ以外の構成は実施の形態1と同じである。
一方、図10、図11に示す通り、折畳み式帽子本体部50Aの左側平板本体部12ay、右側平板本体部12az、左側平板本体部13ay、右側平板本体部13azにはそれぞれ実施の形態1の取付リベット31d,31d,31d,31dに代えて取付リベット62a,62b,62c,62d(但し係止手段62dは図示せず)が設けられている。この取付リベット62a,62b,62c,62dは軸方向両端部が拡径すると共に軸方向略中央部が縮径した形状に形成されている。取付リベット62a,62b,62c,62dの各基端部側は折畳み式帽子本体部50Aの内側に配設されて、実施の形態1の取付リベット31d,31d,31d,31dと同様にハンモック26の取付部31c,31c,31c,31cを取り付けられるようになっており、各先端部側は折畳み式帽子本体部50Aの外側に配設されて、図15乃至図19に示すカバー部材70に開孔形成された係止孔部71a,71b,71c,71d(但し係止孔部71dは図示せず)が係止されるようになっている。
カバー部材70は布地の表面にアルミニウムが蒸着された部材等、折り畳み自在であって難燃性の部材によって形成されている。図16,図17に示す通り、カバー部材70は、前側被覆部材72と、連結部被覆部材73と、後側被覆部材74とが縫製されて、折畳み式帽子本体部50Aの外側を覆うことのできる形状に形成されている。前側被覆部材72は折畳み式帽子本体部50Aの前側平板12に略等しい形状に形成され、連結部被覆部材73は折畳み式帽子本体部50Aの連結部15の形状に略等しい形状に形成されている。図17に示す通り、後側被覆部材74は、上側は折畳み式帽子本体部50Aの後側平板13に略等しい形状に形成され、下側は前側被覆部材72よりも両側方向及び下方に伸長された形状に形成されている。
なお、図10乃至図19には図示しないが、折畳み式帽子本体部50Aの表面側において、取付リベット62a及び62b、又は、取付リベット62c及び62dには、バンド75a,75bが係止されている。このバンド75a,75bはいずれも柔軟性のある樹脂にて形成され、両端部には取付リベット62,62,62c,62dのうち何れか一つに係止可能な係止孔部がそれぞれ一つ設けられている。
上述の構成以外の構成は、実施の形態1と同じである。
次に、この実施の形態2の折畳み式帽子50の作用について説明する。
この実施の形態2の折畳み式帽子50は、図11に示すように前側平板12と後側平板13とがそれぞれ平板状態となった状態において、左右のレバー部材52,52のレバー部材本体部54,54を上方から下方に向けて押し下げる。すると、レバー部材52,52はピン57,57を軸に下方に向けて回動し、レバー部材52,52の動作に伴って繋留紐23,23が折畳み式帽子本体部50Aの外側に向けて引っ張られる。ここで、使用者がレバー部材52,52を押し下げる際には、レバー部材52,52の長手方向基端部側に回動時の支点となるピン57,57が存在し、かつ、長手方向略中央部に作用点となる繋留紐23,23が連結された連結棒58,58が存在し、更に長手方向先端部側に力点となる使用者の把持部分が存在する。そのため、てこの原理により、繋留紐23,23の張力が強くても、使用者は小さい力でレバー部材52,52を回動させ繋留体23,23を引張ることができる。
一方、レバー部材52,52が押し下げられると、繋留紐23,23の張力によってレバー部材52,52が左右の折曲げ傾斜部15b,15cを内側に押圧して、この押圧力により前側平板12の第一ヒンジ部12bx及び第二ヒンジ部12by、後側平板13の第三ヒンジ部13bx及び第四ヒンジ部13byがそれぞれ弾性変形する。これにより前側平板12及び後側平板13を弾性力に抗して変形させることで折畳み式帽子本体部10Aが展開した状態で頭に被れる形状である帽子状態となる。
そして、レバー部材52を押し下げることで、図13に示す、繋留紐挿通孔部15dの下端部とピン57の外周部外側を結ぶ仮想線L1よりも外側位置P1から同仮想線L1の内側位置P2に、レバー部材の連結棒58の軸心部が移行すると、連結棒58における繋留紐23の張力F1は、傾斜縁12cy(及び傾斜縁12cz)の面に垂直方向の分力F2を発生させる。この分力F2がレバー部材52を一層内側位置P2方向に回転させる力として作用するため、レバー部材52,52は、レバー部材本体部54,54が傾斜縁12cy,12czに接触する状態に押し下げられて固定される。これにより、折畳み式帽子本体部50Aの展開状態が保持される。
なお、使用者は、レバー部材本体部54を把持して押し下げる代わりに、顎紐24を把持して下方に引き下ろすことでレバー部材52を下方に向けて回動させ、折畳み式帽子本体部50Aを帽子状態にして展開状態を保持させることもできる。
そして、図17及び図18に示すように、折畳み式帽子本体部50Aの表面にカバー部材70を被せ、係止孔部71a,71b,71c,71dを係止部材62a,62b,62c,62dに係止すると、折畳み式帽子本体部50Aの表面にカバー部材70が装着される。この状態で、折畳み式帽子本体部50Aの表面略全域がカバー部材70で覆われた状態となる。この折畳み式帽子本体部50Aを使用者が頭部に被ると、折畳み式帽子本体部50Aによって落下物等の衝撃から頭部を確実に守ることができると共に、カバー部材70によって熱や炎から使用者の頭部を守ることができる。更に、使用者が折畳み式帽子本体部50Aを頭部に被ったとき、カバー部材70の後側被覆部材74は使用者の首周りから肩にかけて覆うことになるため、熱や炎から使用者の首周りから肩にかけて守ることができる。
一方、展開状態の折畳み式帽子50の使用が終了し、折畳み式帽子本体部50Aを帽子状態から扁平状態にしたい場合には、使用者は折畳み式帽子本体部50Aを頭部から離脱させ、レバー部材52,52のレバー部材本体部54,54を上方に引きあげる。そして、レバー部材52の連結棒58の軸心部が仮想線Lよりも内側位置P2から外側位置P1に移行して、折畳み式帽子本体部50Aの形状が図13に示す状態から図12に示す状態に移行すると、分力F2によりレバー部材52が押し下げられて固定された状態が解除され、そして繋留紐23,23の緊張が緩み、レバー部材52,52が左右の折曲げ傾斜部15b,15cを内側に押圧する押圧力が弱まる。これにより前側平板12、後側平板13は平板状態になって、折畳み式帽子本体部50Aは扁平状態となる。
そして、扁平状態となった折畳み式帽子本体部50Aにカバー部材70が装着されている場合には、後側被覆部材74を折畳み、図19に示すように、カバー部材70の表面側から取付リベット62a,62b,62c,62dに一対のバンド75a,75bを装着し、後側被覆部材74を折り畳んだ状態でバンド75a,75bで束ねる。これにより、折畳み式帽子本体部50Aにカバー部材70を装着した状態のままで、コンパクトに保管・収容することが可能になる。
以上、この実施の形態2によれば、折畳み式帽子本体部50Aの展開状態保持機構51は、側辺部の外側に長手方向基端部側が上下方向に回動自在に設けられたレバー部材52を有し、一端部がレバー部材52の長手方向中間部に連結されると共に、側辺部を貫通して内部まで延長された繋留体23を備え、レバー部材52を下方に向けて回動させることによって繋留体23が引張られて、展開状態が保持されるように構成されたことにより、レバー部材52の先端部側を把持して引き下ろすとレバー部材52は長手方向基端部のピン57を支点に回動し、てこの原理により繋留体23を小さい力で引張ることができると共に折畳み式帽子本体部50Aの展開状態を保持することができる。これにより、簡易な操作と小さい力とで確実に展開状態保持機構51を機能させることができる。
この実施の形態2によれば、折畳み式帽子本体部50Aを頭部に固定させる顎紐24の端部がレバー部材52の長手方向先端部側に連結されていることにより、顎紐24を引きおろすことでレバー部材を下方に向けて回動させることができる。これにより、一層簡易な操作で確実に展開状態保持機構51を機能させることができる。
なお、上記各実施の形態においては、実施の形態2の折畳み式帽子本体部50Aのみにカバー部材70を装着できる構成としたが、実施の形態1の折畳み式帽子本体部10Aにカバー部材70を装着できる構成としてもよい。
上記各実施の形態は本発明の例示であり、本発明が上記各実施の形態のみに限定されることを意味するものではないことは、いうまでもない。