JP2010059327A - ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】アミン系老化防止剤による耐オゾン性の改良効果を悪化させることなく、ゴム表面の変色を抑制して外観性を向上する。
【解決手段】ジエン系ゴムからなるゴム成分100重量部に対し、アミン系老化防止剤0.5〜8重量部と、ポリフェノール系化合物0.5〜8重量部を配合してなるゴム組成物である。ポリフェノール系化合物としては、リグニン、フラボノイド、フェノール酸、タンニン、及びクルクミノイドなどの天然物由来のポリフェノール系化合物が好ましく用いられる。
【選択図】なし
【解決手段】ジエン系ゴムからなるゴム成分100重量部に対し、アミン系老化防止剤0.5〜8重量部と、ポリフェノール系化合物0.5〜8重量部を配合してなるゴム組成物である。ポリフェノール系化合物としては、リグニン、フラボノイド、フェノール酸、タンニン、及びクルクミノイドなどの天然物由来のポリフェノール系化合物が好ましく用いられる。
【選択図】なし
Description
本発明は、ゴム組成物、及び、それを用いた空気入りタイヤに関するものである。
空気入りタイヤは、長期間使用中に大気中の酸素やオゾンにより劣化されることで、サイドウォール部やトレッド部の溝底に亀裂が生じ、これが耐久性を悪化させる原因となる。そのため、耐酸化劣化や耐オゾン性を改良するために、タイヤ用ゴム組成物には、各種の老化防止剤が配合されている。その中でも、アミン系老化防止剤は、タイヤのサイドウォールゴムなどの酸化劣化やオゾン劣化を有効に防止する効果を有している。しかしながら、アミン系老化防止剤は、タイヤを茶色あるいは茶褐色に変色させていくため、その外観が悪くなり、タイヤの商品価値が低下するという問題がある。
一方、フェノール系老化防止剤は、耐酸化劣化性の効果はあるものの、アミン系老化防止剤ほどの効果はなく、また耐オゾン性の効果もないため、一般的には白色ゴム配合に用いられているのが現状である。
従来、アミン系老化防止剤による変色を防止するために、紫外線吸収剤や樹脂、界面活性剤などをアミン系老化防止剤と併用することが提案されている。例えば、下記特許文献1,2には、ジエン系ゴムに、ジアミン系老化防止剤とともに、ベンゾフェノン系化合物や、サリチレート系化合物、アクリレート系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾエート系化合物、トリアジン系化合物などの紫外線吸収剤を配合することが開示されている。また、下記特許文献3には、老化防止剤と熱可塑性樹脂とを混合してなる粒状物を配合してなるゴム組成物が開示されている。下記特許文献4には、アミン系老化防止剤とともに、ポリオキシエチレンのエーテル型非イオン界面活性剤を配合してなるゴム組成物が開示されている。
一方、下記特許文献5には、環同士直接結合してなるとともに各環に置換基を有するビフェノール誘導体を、アミン系老化防止剤とともに、ゴム成分に配合することにより、ゴムの老化、特にゴムの繰り返し屈曲伸長疲労による老化を防止する点が開示されている。
このように特許文献1〜4には、アミン系老化防止剤による老化防止効果を損なうことなく着色を防止するために、アミン系老化防止剤と紫外線吸収剤などの添加剤とを併用することが開示され、また、特許文献5には、老化防止効果を高めるために、アミン系老化防止剤とビフェノール誘導体を併用することが開示されている。しかしながら、これら文献には、アミン系老化防止剤にポリフェノール系化合物を併用することについては開示されていない。
なお、下記特許文献6には、一般にアミン系老化防止剤として用いられている芳香環含有2級アミンと、ビスフェノール誘導体やモノフェノール誘導体などのフェノール誘導体とを併用することが開示されている。しかしながら、この文献は、タイヤのグリップ性能と操縦安定性を向上させることを意図したものであって、アミン系老化防止剤の変色を抑制することを目的としたものではなく、また、アミン系老化防止剤にポリフェノール系化合物を併用することについても開示されていない。
特開平6−145422号公報
特開2006−143889号公報
特開2001−348463号公報
特開平5−194790号公報
特開平6−25471号公報
特開2007−56069号公報
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、アミン系老化防止剤による耐オゾン性の改良効果を悪化させることなく、ゴム表面の変色を抑制して外観性を向上することができるゴム組成物を提供することを目的とする。
本発明に係るゴム組成物は、ジエン系ゴムからなるゴム成分100重量部に対し、アミン系老化防止剤0.5重量部と、ポリフェノール系化合物0.5〜8重量部を配合してなるものである。
本発明によれば、アミン系老化防止剤をポリフェノール系化合物とともに配合することにより、耐オゾン性を悪化させることなく、アミン系老化防止剤によるゴム表面の変色を抑制することができ、外観性を向上することができる。
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
本発明に係るゴム組成物は、ジエン系ゴムからなるゴム成分と、アミン系老化防止剤と、ポリフェノール系化合物とを含有するものである。
上記ジエン系ゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、ブタジエン−イソプレン共重合体等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。好ましくは、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、又はこれらの2種以上のブレンドである。
上記アミン系老化防止剤としては、芳香族第2級アミンが好ましく用いられる。具体的には、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、p−(p−トルエンスルホニルアミド)ジフェニルアミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、N−フェニル−1−ナフチルアミン等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
アミン系老化防止剤の配合量は、上記ゴム成分100重量部に対して0.5〜8重量部であり、より好ましくは1〜5重量部である。アミン系老化防止剤の配合量が少なすぎると、ゴム組成物の耐オゾン性を確保することが難しくなる。逆に、アミン系老化防止剤の配合量が多すぎると、ポリフェノール系化合物を併用した場合でもゴム表面の変色を抑制することが難しくなる。
上記ポリフェノール系化合物は、アミン系老化防止剤とともに配合することで、耐オゾン性を悪化させることなく、アミン系老化防止剤によるゴム表面の変色を抑制することができる。アミン系老化防止剤は、酸化などによって着色性の強い物質に変化しやすいが、ビスフェノール系化合物を併用することでアミン系老化防止剤の酸化を防ぎ、これにより、変色を抑制することができるものと考えられる。また、ポリフェノール系化合物を配合することにより、アミン系老化防止剤がゴムマトリックス中からブルームしにくくなり、これによって変色を抑制することができることも考えられる。
ポリフェノール系化合物としては、環境への負荷を配慮して、天然由来のものが好ましく用いられ、特には植物由来の各種ポリフェノールが好ましく用いられる。このようなポリフェノール系化合物としては、分子内に複数のフェノール性ヒドロキシル基を持つ植物成分であれば特に限定されるものではないが、例えば、リグニン、フラボノイド、フェノール酸、タンニン、クルクミノイドなどが好ましいものとして例示される。これらはいずれか1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
上記リグニンは、植物の維管束細胞壁成分として存在する高分子物質であって、フェニルプロパン系の構成単位が複雑に縮合したものであり、分子内に複数のフェノール性ヒドロキシル基を有することからポリフェノール系化合物に含まれる。
上記フラボノイドとしては、例えば、カテキン(例えば、(+)−カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートなど);アントシアニン(例えば、ペラルゴジン、シアニジン、デルフィニジンなど);フラボン(例えば、アピゲニン、ルテオリンなど);フラボノール(例えば、クエルセチン、ルチン、ミリセチン、ミリシトリンなど)が挙げられる。
上記フェノール酸としては、クロロゲン酸が好ましいものとして挙げられる。
上記タンニンとしては、フラバノール骨格を持つ化合物が重合した縮合型タンニンであもよく、あるいはまた、没食子酸とグルコースなどの糖がエステル結合を形成した可溶性タンニンでもよい。
上記クルクミノイドとしては、クルクミン、デメトキシクルクミン、ビスメトキシクルクミンが挙げられる。
ポリフェノール系化合物の配合量は、上記ゴム成分100重量部に対して0.5〜8重量部であり、より好ましくは0.5〜5重量部である。ポリフェノール系化合物の配合量が少なすぎると、アミン系老化防止剤による変色を抑制する効果が不十分となる。
アミン系老化防止剤とポリフェノール系化合物は、ゴム成分100重量部に対するアミン系老化防止剤の配合量をX(重量部)、ポリフェノール系化合物の配合量をY(重量部)として、次の関係を満たすようにゴム成分に配合することが好ましい。
0.25 ≦ Y/X ≦ 2
Y/Xが0.25未満であると、アミン系老化防止剤に対するポリフェノール系化合物の量が相対的に少なくなって、外観性を改良することが難しくなる。また、Y/Xが2を超えると、アミン系老化防止剤の配合量が少なくなって、耐オゾン性を確保することが難しくなる。Y/Xは、0.5〜1.5であることがより好ましい。
Y/Xが0.25未満であると、アミン系老化防止剤に対するポリフェノール系化合物の量が相対的に少なくなって、外観性を改良することが難しくなる。また、Y/Xが2を超えると、アミン系老化防止剤の配合量が少なくなって、耐オゾン性を確保することが難しくなる。Y/Xは、0.5〜1.5であることがより好ましい。
本発明に係るゴム組成物には、カーボンブラック、シリカ、クレー、炭酸カルシウムなどの各種の充填剤を配合することができる。充填剤としては、カーボンブラック、シリカ、又は、カーボンブラックとシリカの併用が好ましい。充填剤の配合量は、特に限定されないが、ゴム成分100重量部に対して10〜150重量部であることが好ましい。
本発明に係るゴム組成物には、上記した成分の他に、亜鉛華、ステアリン酸、軟化剤、硫黄、加硫促進剤など、ゴム工業において一般に使用される各種添加剤を必要に応じて配合することができる。該ゴム組成物は、通常に用いられるバンバリーミキサーやニーダー等の混合機を用いて混練し作成することができる。
該ゴム組成物の用途は、特に限定されないが、トレッドやサイドウォール等のタイヤ、コンベアベルト、防振ゴムなどの各種ゴム組成物に用いることができる。該ゴム組成物をタイヤに用いる場合、常法に従い、例えば140〜180℃で加硫成形することにより、各種空気入りタイヤのゴム部分(トレッドゴムやサイドウォールゴムなど)を構成することができる。特には、空気入りタイヤのサイドウォール部に用いられることが好ましい。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例におけるゴム組成物の共通配合は、天然ゴム(RSS#3)50重量部、ブタジエンゴム(宇部興産株式会社製「BR150」)50重量部、HAF級カーボンブラック(東海カーボン株式会社製「シースト3」)60重量部、亜鉛華(三井金属鉱業株式会社製「1号亜鉛華」)3重量部、ステアリン酸(花王株式会社製「工業用ステアリン酸」)2重量部、硫黄(鶴見化学工業株式会社製「5%油処理粉末硫黄」)2重量部、及び、加硫促進剤NS(大内新興化学工業株式会社製「ノクセラーNS−P」)1重量部とした。
アミン系老化防止剤とポリフェノール系化合物は、上記天然ゴム及びブタジエンゴムからなるゴム成分100重量部に対し、下記表1に示す通り配合した。ゴム組成物の調製は、バンバリーミキサーを用いて、常法に従い、ゴム成分に上記各成分を添加し混練することにより行った。表1中の各成分の詳細は以下の通りである。
・アミン系老化防止剤:N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、6PPD、大内新興化学工業株式会社製「ノクラック6C」、
・ポリフェノール系化合物1:リグニン、ナカライテスク株式会社製、
・ポリフェノール系化合物2:カテキン、太陽化学株式会社製「サンカトール」、
・ポリフェノール系化合物3:クロロゲン酸、ナカライテスク株式会社製、
・ポリフェノール系化合物4:タンニン、川村通商株式会社製「タンニン剤ミモザ」、
・ポリフェノール系化合物5:クルクミン、ナカライテスク株式会社製。
・ポリフェノール系化合物1:リグニン、ナカライテスク株式会社製、
・ポリフェノール系化合物2:カテキン、太陽化学株式会社製「サンカトール」、
・ポリフェノール系化合物3:クロロゲン酸、ナカライテスク株式会社製、
・ポリフェノール系化合物4:タンニン、川村通商株式会社製「タンニン剤ミモザ」、
・ポリフェノール系化合物5:クルクミン、ナカライテスク株式会社製。
このようにして得られた各ゴム組成物について、160℃×30分で加硫して厚さ2mmの試験片を作製し、得られた試験片を用いて、外観性と耐オゾン性を評価した。評価方法は以下の通りである。
・外観性:上記試験片を屋外で日光に照射させ、照射前(屋外曝露0日)、20日後(屋外曝露20日)、及び40日後(屋外曝露40日)における試験片の表面を目視により観察して、下記の基準で外観性を評価した。
◎:表面が黒く、ほとんど変色なし、
○:わずかに茶色または白色に変色している、
△:やや茶色または白色に変色している、
×:茶褐色または白色に変色している。
○:わずかに茶色または白色に変色している、
△:やや茶色または白色に変色している、
×:茶褐色または白色に変色している。
・耐オゾン性:上記試験片を25%伸長した条件下でオゾンウェザーメーター装置中に設置し、オゾン濃度100pphm、温度50℃の環境下で24時間放置し、その後、クラックの発生状態を目視により観察し、下記の基準で耐オゾン性を評価した。
表1に示すように、アミン系老化防止剤の単独使用の比較例1,3では、耐オゾン性には優れるものの、外観性に劣っていた。また、ポリフェノール系化合物の単独使用の比較例2は、外観性には優れるものの、耐オゾン性に劣っていた。これに対し、本発明に係る実施例1〜7であると、アミン系老化防止剤のよる耐オゾン性の効果を損なうことなく、外観性を大幅に向上することができ、ポリフェノール系化合物を併用することによるアミン系老化防止剤の変色抑制効果に優れていた。
Claims (5)
- ジエン系ゴムからなるゴム成分100重量部に対し、アミン系老化防止剤0.5重量部と、ポリフェノール系化合物0.5〜8重量部を配合してなるゴム組成物。
- 前記ポリフェノール系化合物が、天然由来のポリフェノール系化合物であることを特徴とする請求項1記載のゴム組成物。
- 前記ポリフェノール系化合物が、リグニン、フラボノイド、フェノール酸、タンニン、及びクルクミノイドからなる群より選択される少なくとも1種の化合物である請求項2記載のゴム組成物。
- 前記ゴム成分100重量部に対する前記アミン系老化防止剤の配合量をX、前記ポリフェノール系化合物の配合量をYとして、Y/Xが0.25以上2以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴム組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴム組成物を用いた空気入りタイヤ。
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2008
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