以下、本発明の一実施形態について説明する。
<実施形態>
本発明の実施形態に係るオーディオシステム1は、図1に示すように、スピーカ装置10および通信装置20を有する。図1は、オーディオシステム1の構成を示す説明図である。通信装置20は、携帯オーディオ装置21と通信モジュール25とが接続されたものであり、通信装置20の通信モジュール25とスピーカ装置10の通信部150との間で無線通信が行われる。以下、スピーカ装置10、通信装置20のそれぞれの構成について、図2、図3を用いて順に説明する。図2は、スピーカ装置10の構成を示すブロック図である。図3は、通信装置20の構成を示すブロック図である。
スピーカ装置10は、図2に示すように、オーディオ信号処理装置100および放音部120を有する。オーディオ信号処理装置100は、制御部101、電力供給部102、増幅部103、操作部110、記憶部111および通信部150を有する。通信部150は、電力の供給を受けて動作する無線通信部151および通信制御部152を有する。
無線通信部151は、出力する電波の強度に応じた通信範囲内に存在する通信装置20を検索して無線通信を物理レベルで確立(以下、無線通信の確立とは、物理レベルでの確立をいう)し、無線通信を確立した通信装置20と、通信制御部152の制御より通信行う。また、後述のように通信制御部152によって通信装置20と接続するように制御されると、接続状態である期間においては、その通信装置20から送信されるエンコードされたオーディオ信号Sinを受信してデコード処理することにより取得したオーディオ信号Sin(この例においては、ステレオ2チャンネル)を出力する。
同様に、スピーカ装置10と通信装置20とが接続状態である期間においては、無線通信部151は、信号処理のパラメータ(この例においては、ボリューム値(0、1、2、・・・、255))を示す設定情報が含まれる制御信号Scについても、通信装置20から受信して取得し、取得した制御信号Scを出力する。すなわち、スピーカ装置10と通信装置20とが接続された状態とは、通信装置20から送信されるオーディオ信号Sin、制御信号Scがスピーカ装置10において受信して取得することができる状態である。このとき、制御信号Scが通信されるチャンネルと、オーディオ信号Sinが通信されるチャンネルとは同一チャンネル(別周波数)としている。オーディオ信号Sinと違い、使用頻度の低い制御信号Scのために別のチャンネルを占有するとそのチャンネルの使用効率が悪くなるから、好ましくない。したがって、オーディオ信号Sinのために確保しているチャンネルの中に混ぜ込み、通信されるオーディオ信号Sinの隙を見つけて制御信号Scを通信した方が、制御信号Scのために別チャンネルを設けるより効率が良い。この例においては、オーディオ信号Sinは所定の間隔で通信され、オーディオ信号Sinが通信されていない期間に制御信号Scが通信されるようになっている。
また、無線通信部151は、制御部101から出力されるフィードバック信号Sfを通信装置20に対して送信する。フィードバック信号Sfには、後述するように、スピーカ装置10が操作されたことにより変化したボリューム値を示す設定情報が含まれている。フィードバック信号Sfが通信されるチャンネルについては、制御信号Scが通信されるチャンネルと同じチャンネルであってもよい。
通信制御部152は、無線通信部151の通信を制御する。この制御は、例えば、制御内容を示す信号を通信制御部152から無線通信部151に出力することによって行われる。通信制御部152は、無線通信部151によって物理レベルで無線通信が確立された通信装置20と信号の送受信を行うように制御し、その結果、予め設定された接続条件を満たすと、その通信装置20との接続を開始させるように無線通信部151を制御する。また、通信制御部152は、通信装置20との接続状態であるときに、予め設定された切断条件を満たすと、その接続を切断して接続を終了させる。接続条件および切断条件については、後述する。
また、通信制御部152は、制御部101に対して、通信装置20との接続状況を示す接続情報を出力する。これにより制御部101は、スピーカ装置10と通信装置20とが無線通信により接続されているか否かを認識することができる。なお、通信制御部152は、図示しない操作手段の操作などに応じて、無線通信部151から出力される電波の強度を変更して、通信範囲を変更できるようにしてもよい。
電力供給部102は、増幅部103に対して電力を供給する電源であって、制御部101によって、電力供給の開始、停止が制御される。なお、電力の供給先は増幅部103に限らず、図示しない処理回路(例えば、オーディオ信号に対して音響処理を施す回路など)も含まれていてもよいが、通信部150および制御部101のうち電力供給部102を制御する部分については、電力供給部102の増幅部103に対する電力供給の開始、停止にかかわらず、電力が供給される。なお、供給する電力は、装置内部に電池などを有することにより装置内部で生成したものであってもよいし、装置外部からコンセントなどを用いて取り入れたものであってもよい。例えば、コンセントが装置外部の電源タップに接続され、電力が供給されている状態であれば、通信部150および制御部101のうち電力供給部102を制御する部分については、常に電力が供給されるようにしてもよい。また、通信部150への電力の供給は、電力供給部102からの供給に限らず、これとは別に設けられた電力供給部から供給されるようにしてもよい。
増幅部103は、電力供給部102から電力の供給を受けると、起動、初期化処理が行われ、入力されるオーディオ信号、すなわち無線通信部151から出力されるオーディオ信号Sinについて制御部101に設定された増幅率で増幅して、オーディオ信号Soutとして出力する。なお、制御部101の制御により、電力供給部102から電力の供給を受けた直後から、予め設定された時間かけて、第1の増幅率から、さらに大きい第2の増幅率(後述するボリューム値に応じた増幅率)に徐々に変化するようにして、増幅部103の増幅率が設定されてもよい。
操作部110は、図1に示すように、操作子110A、110Bを有し、操作子110A、110Bが操作されると、操作された操作子を示す操作信号を制御部101に出力する。この例においては、操作子110Aは、ボリューム値について「1」減少させる変更を指示する操作子であり、操作子110Bは、ボリューム値について「1」増加させる変更を指示する操作子である。なお、操作子は、このような操作子に限らず、ロータリエンコーダ、数値入力可能なキーボードなどであってもよい。
記憶部111は、例えば不揮発性メモリなどの記憶手段であって、ボリューム値を示す設定情報を記憶する。
制御部101は、通信制御部152からの接続情報により、通信装置20との接続状態を認識し、スピーカ装置10と通信装置20との無線通信による接続が開始されると、電力供給部102から増幅部103に電力の供給を開始するように制御する。一方、制御部101は、スピーカ装置10と通信装置20との接続が切断されると、電力供給部102から増幅部103への電力の供給を停止するように制御する。すなわち、この例においては、通信装置20との接続開始から切断までの期間は、電力供給部102から増幅部103に電力が供給され、それ以外の期間は電力の供給が停止している。これらの制御は、例えば、制御内容を示す信号を制御部101から電力供給部102に出力することによって行われる。
ここで、制御部101によって制御される、電力供給部102から増幅部103に電力の供給を開始するタイミングは、スピーカ装置10と通信装置20との無線通信による接続が開始されたタイミングと同じであってもよいし、接続が開始されたタイミングから、予め設定された時間の経過後に電力の供給を開始するようにしてもよい。一方、電力の供給を停止するタイミングについても、スピーカ装置10と通信装置20との無線通信による接続が切断されたタイミングと同じであってもよいし、接続が切断されたタイミングから、予め設定された時間の経過後に電力の供給を停止するようにしてもよい。
さらに、制御部101は、無線通信部151から制御信号Scを取得すると、制御信号Scに含まれる設定情報が示すボリューム値になるように、記憶部111に記憶されている設定情報のボリューム値を更新する。
また、制御部101は、操作部110から操作信号を取得すると、記憶部111に記憶されている設定情報のボリューム値を、操作信号に応じて更新する。すなわち、制御部101は、取得した操作信号が操作子110Aを示すものであれば、記憶部111に記憶されている設定情報のボリューム値を「1」減少させ、取得した操作信号が操作子110Bを示すものであれば、記憶部111に記憶されている設定情報のボリューム値を「1」増加させるようにして、更新する。このとき、記憶部111に記憶されている設定情報のボリューム値に応じて、増減量を変化させてもよい。例えば、ボリューム値が「0」から「122」のときは、「1」ずつ増減させ、「123」〜「255」のときには、「5」ずつ増減させるようにしてもよい。
そして、制御部101は、記憶部111に記憶されている設定情報が示すボリューム値に応じた増幅率を増幅部103に対して設定する。また、制御部101は、記憶部111に記憶されている設定情報を含むフィードバック信号Sfを、無線通信部151に出力する。ここで、フィードバック信号Sfの出力は、後述するように、通信装置20からの状態変化の問い合わせに応じて行われる。
放音部120は、Lチャンネル用、Rチャンネル用のスピーカを有し、増幅部103から出力されたオーディオ信号Soutの各チャンネルの信号をそれぞれのチャンネル用のスピーカから放音する。以上がスピーカ装置10の構成についての説明である。
次に、通信装置20の構成について説明する。通信装置20は、図3に示すように、携帯オーディオ装置21および通信モジュール25を有する。携帯オーディオ装置21は、制御部211、記憶部212、操作部213、表示部214、音声出力部215およびインターフェイス216を有し、それぞれがバス210を介して接続され、図示しない電源部(例えば、電池など)から電力の供給を受けている。また、通信モジュール25は、インターフェイス251、無線通信部252および通信制御部253を有する。
この携帯オーディオ装置21と通信モジュール25とは、インターフェイス251、216により接続されている。この例においては、通信モジュール25は、携帯オーディオ装置21との接続により、携帯オーディオ装置21の電源部(不図示)から、インターフェイス251、216を介して電力の供給を受けている。したがって、通信モジュール25を携帯オーディオ装置21から取り外して接続を解除すると通信モジュール25の各部の機能は停止する。なお、通信モジュール25は、各部に電力を供給する電池を通信モジュール25の内部に有していてもよい。
制御部211は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を有している。CPUは、ROMから制御プログラムをRAMに読み出して実行することにより、携帯オーディオ装置21の各部について、バス210を介して制御する。制御部211における制御内容については後述する。
記憶部212は、例えばハードディスク、不揮発性メモリなどの大容量記憶手段であって、オーディオ信号、映像信号を示すデータなどを記憶する。また、ボリューム値を示す設定情報を記憶する。
操作部213は、利用者が操作を行うための操作子を有する。利用者が操作部15を操作するとその操作内容を表す操作信号が制御部211へ出力される。この例においては、操作子には、回転操作ができる操作子があり、後述するように表示部214に設定情報に応じた表示がなされているときにおける、この操作子の時計回りの回転は、ボリューム値を増加させる変更を指示するものであり、反時計回りの回転は、ボリューム値を減少させる変更を指示するものである。
表示部214は、映像を表示する液晶ディスプレイなどの表示デバイスであって、制御部211の制御によって入力される映像信号、画像信号に応じた表示を行う。
音声出力部215は、ヘッドホンなどの放音手段を接続する接続端子を有し、制御部211の制御によって入力されるオーディオ信号を、接続される放音手段に供給する。
インターフェイス216は、外部機器と接続し、様々なデータの入出力をするための接続端子である。この例においては、インターフェイス216には通信モジュール25が接続され、制御部211の制御によってオーディオ信号Sin、制御信号Scを、接続された通信モジュール25に出力する。また、インターフェイス216は、接続された通信モジュール25からはフィードバック信号Sfが入力され、制御部211に出力する。
制御部211は、例えば、操作部213の利用者による選択、再生操作に応じて、記憶部212に記憶されたオーディオ信号を示すデータを読み出して再生し、例えば16ビット48kHzサンプリング×2chのオーディオ信号Sinとして音声出力部215およびインターフェイス216に出力する。また、制御部211は、設定情報が更新されると、すなわち利用者による操作部213の操作が行われると、記憶部212に記憶されている設定情報を含む制御信号Scをインターフェイス216に出力する。さらに、制御部211は、通信装置20とスピーカ装置10とが接続されたときにも、記憶部212に記憶されている設定情報を含む制御信号Scを出力するようにしてもよい。
このとき、制御部211は、スピーカ装置10と通信装置20とが接続状態か否かを示す情報を通信制御部253から取得し、接続状態のときは音声出力部215へのオーディオ信号Sinの出力を停止するようにしてもよいし、接続状態でないときはインターフェイス216へのオーディオ信号Sin、制御信号Scの出力を停止するようにしてもよい。また、オーディオ信号Sinを音声出力部215に出力するときには、制御部211は、記憶部212に記憶されている設定情報が示すボリューム値に応じて、オーディオ信号Sinの出力レベルを調整してもよいが、インターフェイス216に出力するオーディオ信号Sinについての出力レベルは調整しない。これは、スピーカ装置10への送信前にオーディオ信号Sinの出力レベルを調整しないことにより、SN比を高く保つなど音質劣化を少なくすることができるためである。
また、制御部211は、記憶部212に記憶されている設定情報が示すボリューム値に応じた画像を示す画像信号を生成し、表示部214に出力することにより、表示部214に設定情報に応じた表示をさせる。この表示は、例えば、図1に示すように設定情報が示すボリューム値、また、そのボリューム値を棒グラフで表して行われる。
さらに、制御部211は、インターフェイス216からフィードバック信号Sfを取得すると、フィードバック信号Sfに含まれる設定情報に応じて、記憶部212に記憶されている設定情報のボリューム値を更新する。
また、制御部211は、表示部214に設定情報に応じた表示がなされているときに、操作部213から取得した操作信号に応じて、記憶部212に記憶されている設定情報が示すボリューム値を増減させるようにして、更新する。すなわち、制御部211は、取得した操作信号が時計回りの回転を示すものであれば、記憶部212に記憶されている設定情報のボリューム値を増加させ、取得した操作信号が反時計回りの回転を示すものであれば、記憶部111に記憶されている設定情報のボリューム値を減少させるようにして、更新する。ここで、ボリューム値の増加量、減少量については、操作子の回転量に応じたものとすればよく、予め設定された回転角ごとにボリューム値が「1」ずつ変化するようにすればよい。そして、ボリューム値が変化するたびに制御信号Scが出力されるようにすればよい。
このように記憶部212に記憶されている設定情報が示すボリューム値が更新されると、その更新にあわせて表示部214の表示が変化していく。例えば、表示部214に表示されたボリューム値が135であるときに、ボリューム値が「1」減少するように更新されると、記憶部212に記憶されている設定情報が示すボリューム値は「135」から「134」へ更新されるから、表示部214に表示されるボリューム値も「134」に変化する。
インターフェイス251は、外部機器と接続し、様々なデータの入出力をするための接続端子である。この例においては、インターフェイス251には携帯オーディオ装置21が接続され、携帯オーディオ装置21のインターフェイス216から出力されるオーディオ信号Sin、制御信号Scを無線通信部252に出力する。また、インターフェイス251は、無線通信部252から出力されるフィードバック信号Sfを携帯オーディオ装置21のインターフェイス216に出力する。
無線通信部252は、出力する電波の強度に応じた通信範囲内に存在するスピーカ装置10を検索して無線通信を物理レベルで確立し、無線通信を確立したスピーカ装置10と、通信制御部253の制御より通信行う。無線通信部252は、上述したようにスピーカ装置10の無線通信部151との無線通信により、スピーカ装置10と通信装置20との接続が開始されると、その接続が切断されるまでの期間において、インターフェイス251から出力されるオーディオ信号Sinをエンコードしてスピーカ装置10に送信する。
ここで、オーディオ信号Sinの送信は、スピーカ装置10と通信装置20とが接続状態にあるときのみ行われるようにしてもよいし、接続状態に関わらずオーディオ信号Sinの送信が行われ、接続状態でないときにはスピーカ装置10においてオーディオ信号Sinが取得されないようにしてもよい。
同様に、スピーカ装置10と通信装置20とが接続状態である期間においては、無線通信部252は、インターフェイス251から出力される制御信号Scについてもスピーカ装置10に送信する。また、無線通信部252は、スピーカ装置10からフィードバック信号Sfを受信し、インターフェイス251に出力する。
通信制御部253は、無線通信部252の通信を制御する。この制御は、例えば、制御内容を示す信号を通信制御部253から無線通信部252に出力することによって行われる。通信制御部253は、無線通信部252によって物理レベルで無線通信が確立されたスピーカ装置10と信号の送受信を行うように制御し、その結果、スピーカ装置10の通信制御部152と同様に、予め設定された接続条件を満たすと、そのスピーカ装置10との接続を開始させるように無線通信部252を制御する。また、通信制御部253は、スピーカ装置10との接続状態であるときに、予め設定された切断条件を満たすと、その接続を切断して接続を終了させる。なお、通信制御部253は、図示しない操作手段の操作などに応じて、無線通信部252から出力される電波の強度を変更して、通信範囲を変更できるようにしてもよい。以上が、通信装置20の構成についての説明である。
次に、オーディオシステム1におけるスピーカ装置10および通信装置20の動作について、図4、図5を用いて説明する。図4は、スピーカ装置10と通信装置20との無線通信についての説明図である。図5は、スピーカ装置10と通信装置20とが無線通信により接続されているときのスピーカ装置10と通信装置20との動作についての説明図である。
ここでは、スピーカ装置10が予め設置され、通信装置20を利用者が携帯した状態であって、この利用者が、スピーカ装置10の通信範囲外から通信範囲内に入った後、操作部213を操作してボリューム値を変更する指示を行い、通信範囲外に離れていく場合を想定する。また、通信装置20の携帯オーディオ装置21においては、利用者の操作によりオーディオ信号が再生されているものとする。この場合におけるスピーカ装置10と通信装置20との間で行われる無線通信について説明する。
図4に示すように、まず、スピーカ装置10および通信装置20が互いに通信範囲外にいる状態においては、互いに無線通信を確立できる通信相手を検索している。この時点においては、スピーカ装置10の増幅部103には、電力が供給されていない。そして、利用者が移動して、通信装置20がスピーカ装置10の通信範囲内に入ると、スピーカ装置10と通信装置20とは通信相手を検出し、スピーカ装置10の無線通信部151および通信装置20の無線通信部252によって、互いの無線通信が物理レベルで確立される。
無線通信が確立されると、スピーカ装置10の通信制御部152の制御により、無線通信部151は、通信装置20との接続を要求する情報と自装置を識別する識別情報(例えば、装置ID、グループID、製品情報、メーカー情報など)とを含む接続要求信号を、通信装置20に対して送信する。スピーカ装置10は、接続要求信号を送信し、接続条件を満たすかどうかの判定を待つ。この例においては、接続条件とは、接続要求信号に応答して、通信装置20から送信される接続許可を示す接続応答信号をスピーカ装置10において受信することである。
通信装置20は、無線通信部252によって、スピーカ装置10から送信された接続要求信号を受信すると、通信制御部253は、識別情報を評価してスピーカ装置10と接続するか否かを判定する。この識別情報の評価による判定は、例えば以下のようにすればよい。スピーカ装置10における識別情報をグループID(例えば、グループ1、2、3)として規定し、このグループIDは、ディップスイッチなどの操作手段(不図示)によって設定できるようにする。一方、通信装置20の通信モジュール25においても、同様に、ディップスイッチなどの操作手段(不図示)によって、通信モジュール25のグループIDを設定できるようにする。
このようなスピーカ装置10、通信装置20の構成において、スピーカ装置10から送信されるグループIDを示す識別情報を含む接続要求信号を、通信装置20の無線通信部252において受信すると、通信制御部253は、その識別情報が示すグループIDと、通信モジュール25に設定されたグループIDとが一致するかどうかを判定すればよい。このようにすれば、接続可能なスピーカ装置10と通信装置20とのペアを容易に設定することができるから、複数のスピーカ装置10が設置されている場合に、各スピーカ装置10のグループIDを設定しておくことで、通信装置20と無線通信により接続されるスピーカ装置10を容易に設定することができる。
そして、通信装置20は、スピーカ装置10と接続すると判定したときには、接続許可を示す接続応答信号を、スピーカ装置10に対して送信する。また、スピーカ装置10と接続しないと判定したときには、接続応答信号を送信しないようにしてもよいし、接続不許可を示す接続応答信号を送信するようにしてもよい。
スピーカ装置10の通信制御部152は、無線通信部151により接続許可を示す接続応答信号を受信すると、上述した接続条件を満たしたと判定し、スピーカ装置10と通信装置20とを無線通信による接続を開始して、接続状態とする。これにより、オーディオ信号Sin、制御信号Scおよびフィードバック信号Sfについてスピーカ装置10と通信装置20との間で送受信が可能な状態となる。また、制御部101は、電力供給部102から増幅部103に電力を供給させる。
ここで、スピーカ装置10の通信制御部152は、一定期間は接続条件についての判定を続けるが、その期間内に無線通信部151により接続許可を示す接続応答信号を受信しなかった場合には、この通信装置20との接続を行わずに、無線通信が確立された状態が維持され、別の通信装置20が通信範囲内に存在しないかどうかの検索をして、無線通信が確立できる通信装置20が存在する場合には、上記のようにその通信装置20との接続を試みる。別の通信装置20が通信範囲内に存在しないかどうかの検索を開始する。
次に、スピーカ装置10と通信装置20との無線通信による接続が開始された後のスピーカ装置10と通信装置20との動作について、図5を用いて説明する。スピーカ装置10の制御部101は、電力供給部102から増幅部103に電力を供給させると、記憶部111に記憶されている設定情報が示すボリューム値に応じた増幅率を増幅部103に設定する。増幅部103は、増幅率の設定がされた後に、入力されるオーディオ信号Sinの増幅処理および放音部120への出力を開始する。ここで、記憶部111に記憶されている設定情報は、通信装置20から送信される最初の制御信号Scに含まれる設定情報に応じて、更新されたものである。最初の制御信号Scとは、図示のように、接続開始後に通信装置20から送信される制御信号Scによるものであってもよいし、通信装置20の操作部213が操作されることにより送信される制御信号Scであってもよい。これにより、携帯オーディオ装置21において再生されたオーディオ信号Sinが、設定情報が示すボリューム値に応じた音量でスピーカ装置10の放音部120から放音されることになる。
その後、通信装置20は、所定の間隔でスピーカ装置10に係る設定情報をポーリングする問い合わせを行うことで、フィードバック信号Sfの受信を試みる。具体的には、以下のように行われる。まず、通信装置20は、通信制御部253の制御によって、無線通信部252から、操作部110の操作によって設定情報が前回の問い合わせから更新されているかを示す問合信号をスピーカ装置10に送信する。スピーカ装置10において問合信号を受信すると、スピーカ装置10の制御部101は、前回の問合信号の受信から今回の問合信号までの間において、操作部110の操作により記憶部111に記憶されている設定情報が更新されたかどうかを判定し、更新されている場合には、その旨を示す返答信号を無線通信部151に出力して通信装置20に対して送信させる。
通信装置20において返答信号を受信すると、通信制御部253の制御によって、無線通信部252から、スピーカ装置10に係る設定情報の送信の要求を示す送信要求信号をスピーカ装置10に送信する。そして、スピーカ装置10において送信要求信号を受信すると、スピーカ装置10の制御部101は、記憶部111に記憶されている設定情報を読み出して、その設定情報が含まれるフィードバック信号Sfを無線通信部151に出力して通信装置20に対して送信させる。このように、スピーカ装置10の操作部110が操作されていると、通信装置20は、所定の間隔で行うポーリングする問い合わせに応じて、フィードバック信号Sfを受信することになる。なお、これは一例を示すものであって、問合信号に応答して、操作部110の操作の有無にかかわらず、フィードバック信号Sfが出力されるようにしてもよい。
図5における説明に戻る。オーディオ信号Sinがスピーカ装置10の放音部120から放音された後に、利用者は、スピーカ装置10の操作部110を操作して、ボリューム値の変更を指示すると、制御部101は、記憶部111に記憶されている設定情報が示すボリューム値を、指示に応じたボリューム値になるように更新する。また、制御部101は、更新されたボリューム値に応じた増幅率を増幅部103に設定する。これにより、放音部120から放音されるオーディオ信号Sinの音量が変化する。また、制御部101は、更新したボリューム値を示す設定情報を含むフィードバック信号Sfを通信装置20からのポーリングする問い合わせに応じて無線通信部151に出力し、通信装置20に送信させる。
通信装置20がフィードバック信号Sfを受信すると、制御部211は、通信装置20の記憶部212に記憶されている設定情報が示すボリューム値を、フィードバック信号Sfに含まれる設定情報が示すボリューム値になるように更新する。これにより、制御部211の制御によって、更新された設定情報が示すボリューム値に応じた表示が表示部214にされ、利用者は、スピーカ装置10の操作部110が操作され記憶部111に記憶されている設定情報が示すボリューム値、すなわちスピーカ装置10における現在のボリューム値が変化しても、変更後のボリューム値を通信装置20の表示部214の表示により認識することができる。
次に、利用者は、通信装置20の操作部213を操作して、ボリューム値の変更を指示すると、制御部211は、記憶部212に記憶されている設定情報が示すボリューム値を、指示に応じたボリューム値になるように更新する。また、制御部211は、更新したボリューム値を示す設定情報を含む制御信号Scを通信モジュール25に出力して、スピーカ装置10に送信させる。このとき、利用者は、操作部213の操作に応じて表示部214のボリューム値の表示が変化していくことを確認しながら、操作部213を操作することができるから、指示すべきボリューム値を正確に指定することができる。
スピーカ装置10は、制御信号Scを受信すると、制御部101は、スピーカ装置10の記憶部111に記憶されている設定情報が示すボリューム値を、制御信号Scに含まれる設定情報が示すボリューム値になるように更新する。また、制御部101は、更新したボリューム値に応じた増幅率を増幅部103に設定する。これにより、放音部120から放音されるオーディオ信号Sinの音量が変化する。
このように、携帯オーディオ装置21において再生されたオーディオ信号Sinが、設定情報が示すボリューム値に応じた音量でスピーカ装置10の放音部120から放音される。そして、このボリューム値の変更は、通信装置20の操作部213の操作、スピーカ装置10の操作部110の操作により行うことができ、どちらの操作においても、通信装置20の表示部214に、変更後の現在のボリューム値に応じた表示をさせることができる。すなわち、スピーカ装置10において増幅部103に設定すべき増幅率を指定するボリューム値と、通信装置20において表示部214の表示内容を指定するボリューム値とが一致するように同期を取ることができる。
また、スピーカ装置10は、通信装置20と接続を開始すると、切断条件を満たすかどうかの判定を続ける。この例においては、切断条件とは、通信範囲外に通信装置20が移動したり、通信モジュール25が携帯オーディオ装置21から取り外されたりして、無線通信が確立できなくなることである。
通信装置20を携帯する利用者がさらに移動し、スピーカ装置10の通信範囲外に移動すると、スピーカ装置10と通信装置20とは無線通信が確立できなくなり、スピーカ装置10の通信制御部152、通信装置20の通信制御部253は、上述した切断条件を満たしたと判定し、スピーカ装置10と通信装置20との接続を切断する。そして、スピーカ装置10の制御部101は、電力供給部102から増幅部103への電力の供給を停止させ、また、無線通信部252におけるオーディオ信号Sinの取得も行われなくなるから、スピーカ装置10の放音部120からの放音が停止する。
このように、本発明の実施形態に係るオーディオシステム1において、通信装置20を携帯する利用者がスピーカ装置10の通信範囲内に移動することにより、スピーカ装置10と通信装置20とが無線通信により接続され、スピーカ装置10の放音部120から、通信装置20の携帯オーディオ装置21において再生しているオーディオ信号Sinが放音される。このとき、利用者は、通信装置20の操作部213の操作、スピーカ装置10の操作部110の操作により、ボリューム値を変更することによって、放音されるオーディオ信号Sinの音量を変更することができ、どちらの操作によっても、通信装置20の表示部214に、変更後の現在のボリューム値に応じた表示がされるから、手元の通信装置20において容易に現在のボリューム値を認識することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は以下のように、さまざまな態様で実施可能である。
<変形例1>
上述した実施形態においては、スピーカ装置10の記憶部111に記憶される設定情報が示すボリューム値と、通信装置20の記憶部212に記憶される設定情報が示すボリューム値とは同じであり、双方とも「0」から「255」の値をとるものであったが、異なるものであってもよい。例えば、通信装置20においては、「0」から「255」の256ステップでボリューム値が指定され、スピーカ装置10においては、「0」から「51」の52ステップでボリューム値が指定されるものとしてもよい。
この場合には、スピーカ装置10の制御部101は、図6に示すような受信パラメータと変換パラメータとの関係を示す変換テーブルを記憶しておく。そして、制御部101は、通信装置20から受信した制御信号Scを取得すると、変換テーブルを参照して、制御信号Scに含まれる設定情報が示すボリューム値を受信パラメータとして扱い、対応する変換パラメータが示すボリューム値になるように、記憶部111に記憶されている設定情報が示すボリューム値を更新する。
一方、操作部110の操作により制御部101が操作信号を取得すると、実施形態と同様に、操作信号に応じて記憶部111に記憶されている設定情報が示すボリューム値を更新する。そして、制御部101は、記憶部111に記憶された設定情報が示すボリューム値を変換パラメータとして扱い、対応する受信パラメータが示すボリューム値をフィードバック信号Sfの設定値が示すボリューム値として認識する。
ここで、変換パラメータが「2」である場合には、対応する受信パラメータが示すボリューム値は、「6」から「10」となる場合などのように、対応する受信パラメータが示すボリューム値が複数である場合には、その中のいずれかの値が選択されるように予め設定され、この例においては、「6」から「10」の中央値「8」が選択されるようになっている。なお、この選択は、更新の態様によって変更されるように設定されていてもよい。すなわち、制御部101が操作信号に応じて記憶部111に記憶されている設定情報が示すボリューム値を増加させるように更新した場合には、例えば最低値(上述の例においては「6」)が選択され、ボリューム値を減少させるように更新した場合には、例えば最大値(上述の例においては「10」)が選択されるようにしてもよい。
このようにすれば、通信装置20の操作部213におけるボリューム値の変更を指示できる範囲、ステップと、スピーカ装置10の操作部110におけるボリューム値の変更を指示できる範囲、ステップとが異なる場合においても、利用者は、操作によるボリューム値の変更指示を違和感無く行うことができる。
<変形例2>
上述した実施形態においては、通信装置20からスピーカ装置10へオーディオ信号Sinが送信され、スピーカ装置10の無線通信部151によってオーディオ信号Sinを受信することによって取得していたが、オーディオ信号Sinの取得は、別の方法により行なってもよい。この場合には、図7に示すように、オーディオ信号を取得して増幅部103に入力する入力部105を有するオーディオ信号処理装置100Aを具備するスピーカ装置10Aとすればよい。そして、この入力部105は、オーディオ信号Sinが入力される入力端子を有するようにし、入力端子から入力されたオーディオ信号Sinを取得してもよいし、オーディオ信号Sinを生成する楽音発生手段(不図示)を有するようにした場合には、この楽音発生手段からオーディオ信号Sinを取得するようにすればよい。
このようにすると、通信装置20の携帯オーディオ装置21は、オーディオ信号Sinを出力しなくてもよく、通信装置20を携帯する利用者がスピーカ装置10の通信範囲内に移動してきた場合には、スピーカ装置10の入力部105によって取得されたオーディオ信号Sinが放音部120から放音されるようになる。この場合には、利用者は、通信装置20について、放音される音量を変更することができるリモコンのように使用することができる。
<変形例3>
上述した実施形態においては、オーディオ信号Sinを放音するスピーカ装置10としていたが、図8に示すように、表示部130をさらに有するテレビなどの映像表示装置10Bとしてもよい。以下、映像表示装置10Bの構成について説明する。
表示部130は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの表示画面を有し、電力供給部102から電力の供給を受けると、入力された映像信号に応じた表示を表示画面に行う。制御部101は、電力供給部102を制御して、増幅部103に電力の供給の開始、停止を行う場合には、同様にして、表示部130への電力の供給の開始、停止を行う。すなわち、映像表示装置10Bと通信装置20とが接続された状態であるときに、表示部130へ電力が供給されることになる。また、制御部101は、記憶部111に記憶されている設定情報が示すボリューム値に応じた映像(例えば、ボリューム値を示す数値で表示する映像)を示す映像信号Gfを表示部130に出力する。映像信号Gfを出力する期間は、例えば、記憶部111に記憶されている設定情報が示すボリューム値が更新されてから一定期間とすればよい。
そして、無線通信部151からは、オーディオ信号Sinとともに、映像信号Ginを通信装置20から受信することによって取得し、映像信号Ginについては、表示部130に出力する。表示部130は、映像信号Ginと映像信号Gfを取得すると、これらに応じた表示を行う。例えば、映像信号Ginに応じた映像に対して、映像信号Gfに応じた映像をスーパーインポーズした表示を行う。
また、通信装置20の記憶部212は、映像信号を示すデータについてもオーディオ信号を示すデータとともに記憶している。通信装置20の制御部211は、オーディオ信号を示すデータを読み出すときに、映像信号を示すデータも読み出して再生し、映像信号Ginとして表示部214およびインターフェイス216に出力する。これにより、映像信号Ginは、オーディオ信号Sinとともに無線通信部252から送信される。このとき、制御部211は、映像表示装置10Bと通信装置20とが接続状態か否かを示す情報を通信制御部253から取得し、接続状態のときは表示部214への映像信号Ginの出力を停止してもよいし、接続状態でないときはインターフェイス216への映像信号Ginの出力を停止してもよい。その他の構成については、実施形態における構成と同様であるから、説明を省略する。
このように、本発明は、スピーカ装置10のように放音させる音響機器だけでなく、映像表示装置10Bのように映像を表示する表示機器について適用することもできる。
<変形例4>
上述した実施形態においては、スピーカ装置10は、オーディオ信号処理装置100を有し、オーディオ信号処理装置100の増幅部103において、設定情報が示すボリューム値に応じた増幅率でオーディオ信号Sinを増幅していたが、増幅部103に限られず、電力供給を受けると、オーディオ信号Sinに対して、設定情報が示すパラメータに応じた信号処理(例えば、イコライジング処理、残響処理など)を施す信号処理部であってもよい。例えば、信号処理としてイコライジング処理を行う場合には、設定情報が示すパラメータは、周波数特性を示すものとすればよいし、残響処理を行う場合には、設定情報が示すパラメータは、残響時間などであればよい。
<変形例5>
上述した実施形態においては、スピーカ装置10と通信装置20との無線通信による接続が開始されると、最初に通信装置20から送信される制御信号Scに含まれる設定情報が示すボリューム値を基準とし、このボリューム値になるように、スピーカ装置10の記憶部111に記憶されている設定情報が示すボリューム値を更新していたが、スピーカ装置10の記憶部111に記憶されている設定情報が示すボリューム値(無線通信による接続時のボリューム値)を基準として、問合信号の受信が無くてもスピーカ装置10からフィードバック信号Sfを送信することにより、通信装置20の記憶部212に記憶されている設定情報が示すボリューム値を更新するようにしてもよい。すなわち、スピーカ装置10において増幅部103に設定すべき増幅率を指定するボリューム値と、通信装置20において表示部214の表示内容を指定するボリューム値とが一致するなどの対応関係が同期を取ればよい。
<変形例6>
上述した実施形態において、スピーカ装置10と通信装置20との無線通信による接続が切断されると、スピーカ装置10の記憶部111に記憶されている設定情報が示すボリューム値が、予め設定されたボリューム値に更新されるようにしてもよい。また、通信装置20の記憶部212に記憶されている設定情報が示すボリューム値についても同様に、予め設定されたボリューム値に更新されるようにしてもよい。
ここで、スピーカ装置10と通信装置20との無線通信による接続が開始された後であって、通信装置20の記憶部212に記憶されている設定情報が示すボリューム値が最初に更新される前のボリューム値を、記憶部212に初期設定情報として記憶しておき、スピーカ装置10と通信装置20との無線通信による接続が切断されると、記憶部212に記憶されている設定情報が示すボリューム値を、初期設定情報が示すボリューム値に更新されるようにしてもよい。このようにすれば、スピーカ装置10と通信装置20との無線通信による接続が切断された後に、開始される前のボリューム値に容易に戻すことができる。
<変形例7>
上述した実施形態においては、通信装置20の操作部213の操作により、ボリューム値の変更指示が行われると、制御信号Scが送受信され、通信装置20によるポーリングする問い合わせにより、フィードバック信号Sfが送信されることにより、スピーカ装置10において増幅部103に設定すべき増幅率を指定するボリューム値と、通信装置20において表示部214の表示内容を指定するボリューム値との対応関係がずれると、制御信号Sc、フィードバック信号Sfの送受信が行われていたが、送受信のタイミングはこれに限られない。例えば、スピーカ装置10と通信装置20とが無線通信により接続されている間は、予め設定された間隔で制御信号Sc、フィードバック信号Sfが送受信されてもよい。
<変形例8>
上述した実施形態において、スピーカ装置10の無線通信部151に通信装置20からの通信電波の強度を検出する検出部を設け、制御部101は、この検出結果を取得し、検出した通信電波の強度に応じて、増幅部103に設定された増幅率を変化させてもよい。例えば、検出した通信電波の強度が小さくなるほど、スピーカ装置10と通信装置20との距離が離れていることになるから、増幅部103に設定された増幅率を大きくするように変化させ、距離が離れても通信装置20を携帯する利用者が聴取する音量が小さくならないようにしてもよい。このように、制御部101は、増幅部103に対して、記憶部111に記憶されている設定情報が示すボリューム値と、検出部によって検出された通信電波の強度とに応じて増幅率を設定するようにしてもよい。
なお、通信制御部152は、検出部によって検出された通信電波の強度に応じた条件を接続条件、切断条件として接続をするか否かを判定してもよい。例えば、無線通信を確立した通信装置20からの通信電波の強度が、予め設定されたしきい値以上になることを接続条件とすればよく、予め設定されたしきい値未満になることを切断条件とすればよい。
このようにすれば、無線通信電波の強度を変更しなくても、図示しない操作手段の操作などに応じて、通信制御部152は、設定されたしきい値を増減させることで、スピーカ装置10と通信装置20とが無線通信により接続される範囲であって、スピーカ装置10からの範囲を調整することができる。また、この制御信号Scの送受信がスピーカ装置10と通信装置20とが無線通信による接続が開始する前であっても可能な状態としておけば、制御信号Scに応じてしきい値が増減されるようにしてもよい。例えば、制御信号Scに含まれる設定情報が示すボリューム値が大きくなるほどしきい値を減少させて、スピーカ装置10と通信装置20とが無線通信により接続可能な距離を長くするようにしてもよい。
<変形例9>
上述した実施形態においては、スピーカ装置10の操作部110は操作に応じた操作信号を制御部101に出力することによって、ボリューム値の変更を指示していたが、外部装置と接続する接続端子を設け、その接続端子に接続された外部装置からボリューム値の変更を指示する信号を制御部101に出力することによって、ボリューム値の変更を指示するようにしてもよい。また、変形例2に示すようなスピーカ装置10の構成である場合には、入力部105が取得するオーディオ信号Sinを出力する外部装置と、このボリューム値の変更を指示する信号を出力する外部装置とは同じ装置であってもよい。
<変形例10>
上述した実施形態においては、スピーカ装置10と通信装置20との無線通信による接続を開始するための接続条件は、スピーカ装置10から送信された接続要求信号に応答して、通信装置20から送信される接続許可を示す接続応答信号をスピーカ装置10において受信することであったが、他の条件であってもよい。例えば、接続要求信号、接続応答信号の送受信を行うことなく、スピーカ装置10と通信装置20との間で無線通信が確立されることを接続条件としてもよい。
また、別の例として、接続要求信号、接続応答信号の送受信の関係を逆であるものとし、接続要求信号を通信装置20が送信しスピーカ装置10において受信し、スピーカ装置10は、それに応答して接続応答信号を送信して通信装置20に受信させるようにしてもよい。そして、通信装置20が、接続許可を示す接続応答信号を受信することを接続条件としてもよい。この場合、接続条件を満たすかどうかにより接続するか否かを判定するのは通信装置20の通信制御部253であってもよい。
一方、切断条件についても、無線通信が確立できなくなることだけでなく、他の条件としてもよい。例えば、無線通信により接続されている通信装置20からのオーディオ信号Sinの受信が、予め設定された時間、例えば10分間無いことを切断条件としてもよい。また、通信装置20から送信される制御信号Scに、予め設定された情報(例えば、携帯オーディオ装置21のバッテリ残量が所定量以下である、スリープモードになったなど、携帯オーディオ装置21の状態を示す情報)が含まれることを制御部101が検出したことを切断条件としてもよい。
<変形例11>
上述した実施形態においては、スピーカ装置10と通信装置20とが、無線通信により接続されると、スピーカ装置10の制御部101は、電力供給部102から増幅部103に電力の供給を開始していたが、スピーカ装置10と通信装置20とが、無線通信により接続された後に、さらに通信装置20から予め設定された内容の情報を含む制御信号Scを受信した場合に、制御部101は、電力供給部102から増幅部103に電力の供給を開始するようにしてもよい。
ここで、予め設定された内容の情報は、例えば、実施形態における設定情報のようにボリューム値を示すものであってもよいし、携帯オーディオ装置21においてオーディオ信号を再生する操作により生成される再生操作を示す情報であってもよい。このようにすれば、スピーカ装置10と通信装置20とが接続状態になっても、利用者が携帯オーディオ装置21の操作部213に対して、予め設定された操作をするまでは、スピーカ装置10の放音部120からの放音をさせないようにすることもできるから、通信装置20を携帯する利用者がスピーカ装置10の近くを通過するだけである場合に、不要に放音されないようにすることもできる。
<変形例12>
上述した実施形態においては、通信装置20の通信制御部253における識別情報の評価による判定は、予め設定されたグループIDと、スピーカ装置10から受信した接続要求信号に含まれる識別情報が示すグループIDとを比較することにより行っていたが、別の方法であってもよい。例えば、以下に示すようなものとすればよい。
例えば、通信制御部253は、予め接続可能な識別情報を示すリストを記憶しておき、このリストと接続要求信号に含まれる識別情報とを比較し、一致する識別情報がある場合には、接続すると判定、一致する識別情報が無い場合には、接続しないと判定すればよい。
また、この判定は、利用者が操作部213を操作して、接続するか否かを決定することにより行なわれてもよい。この場合は、接続要求信号に含まれる識別情報を、インターフェイス251、216を介して携帯オーディオ装置21に出力し、出力された識別情報に応じた表示、例えば無線通信が確立され、接続候補であるスピーカ装置10を特定する表示、例えば装置IDなどの表示を表示部214に行う。そして、利用者がこの表示を確認し、操作部213を操作して接続候補であるスピーカ装置10と接続するか否かを決定する。この決定を示す情報がインターフェイス216、251を介して、通信モジュール25に出力されることにより、通信制御部253は、スピーカ装置10と接続すべきか否かを判定すればよい。
<変形例13>
上述した実施形態においては、通信装置20の携帯オーディオ装置21と通信モジュール25とは接続されている状態での動作を説明したが、携帯オーディオ装置21と通信モジュール25とが接続されていない場合には、通信モジュール25は動作せず、通信装置20がスピーカ装置10の通信範囲内に入っても、無線通信は確立されない。
そして、スピーカ装置10の通信範囲内で、携帯オーディオ装置21と通信モジュール25とを接続すると、携帯オーディオ装置21内の図示しない電源部から電力の供給を受け、通信モジュール25内の無線通信部252、通信制御部253が動作を開始し、通信可能な相手の検出を行い、スピーカ装置10と通信装置20との間で無線通信が確立され、その後は実施形態と同様にして、スピーカ装置10の増幅部103への電力の供給が開始され、スピーカ装置10から携帯オーディオ装置21で再生されたオーディオ信号Sinが放音されることになる。
その後、携帯オーディオ装置21から通信モジュール25が取り外され、互いの接続が解除されると、再び通信モジュール25は動作しなくなる。したがって、無線通信の確立ができなくなり、切断条件が満たされてスピーカ装置10の増幅部103への電力の供給が停止され、スピーカ装置10からの放音が停止する。このように、携帯オーディオ装置21に対して、通信モジュール25の接続、取り外しにより、他に何等操作の必要もなく、感覚的な操作のみでもスピーカ装置10の電源操作を可能とすることができる。
1…オーディオシステム、10,10A…スピーカ装置、10B…映像表示装置、20…通信装置、21…携帯オーディオ装置、25…通信モジュール、100,100A…オーディオ信号処理装置、101…制御部、102…電力供給部、103…増幅部、105…入力部、110…操作部、110A,110B…操作子、111…記憶部、120…放音部、130…表示部、150…通信部、151…無線通信部、152…通信制御部、210…バス、211…制御部、212…記憶部、213…操作部、214…表示部、215…音声出力部、216…インターフェイス、251…インターフェイス、252…無線通信部、253…通信制御部