JP2010055911A - メタルハライドランプ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 メタルハライドランプの照度の急激な低下が生じる前に確実にこれを検知し、その交換作業を行うことができるメタルハライドランプ装置の提供。
【解決手段】 メタルハライドランプ装置は、石英ガラス製の発光管の内部に、発光物質として鉄が封入されると共に、タリウムが封入されたメタルハライドランプを備えたメタルハライドランプ装置において、前記タリウムの発光強度を検出する光強度検出手段を備えることを特徴とする。メタルハライドランプ装置においては、光強度検出手段により検出された発光強度を記憶する記憶手段と、当該光強度検出手段により検出された発光強度と、前記記憶手段に記憶されたランプ点灯初期の発光強度に基づいて設定される設定値とを比較する演算手段とを備え、前記光強度検出手段により検出された発光強度が前記設定値以下となったときに、その旨を表示する表示手段を備えることが好ましい。
【選択図】 図2

Description

本発明は、接着剤の硬化、光化学反応、または、塗料およびインキの硬化などのための紫外線光源として用いられるメタルハライドランプ装置に関する。
光化学反応を生起させたり、塗料やインキなどを硬化させるために、紫外線が利用されており、これらの目的のためには、波長280〜400nm程度の紫外線を用いることが有効である。
紫外線の発生源としては、例えば、両端に一対の放電電極が対向配置された長尺管形の発光管の内部に、アーク放電の維持に十分な量の水銀および希ガスが封入された高圧水銀灯に、ハロゲン化金属を発光物質として封入し、有効波長域の発光量を増加させたメタルハライドランプが挙げられる。特に、発光物質の金属として鉄が封入されたメタルハライドランプは、波長350〜400nmの連続的な光が得られるために、光化学反応の生起や塗料の硬化などに好適に用いられている。
このようなメタルハライドランプを用いた紫外線の照射装置は、具体的には、例えば、液晶パネル用の2枚の透光性基板間に液晶を注入した後、これらの透光性基板を貼り合わせる、液晶パネルの製造工程中の液晶パネル貼り合わせ工程において、接着剤を硬化させる目的で利用されている。
液晶画面を構成する液晶パネルは、通常、カラーフィルタ基板およびTFT基板よりなる2枚の透光性基板の間に液晶層が形成されて構成されている。この液晶パネルは、まず、例えば図5に示されるように、一方の透光性基板81上に、紫外線硬化樹脂よりなるシール剤による枠82を形成させ、これらにより区画される液晶用空間Rに液晶を滴下した後、真空中において他方の透光性基板83を載せて液晶を拡散処理し、積層体を得る。そして、この積層体に、メタルハライドランプ装置80からの紫外線を照射し、シール剤による枠82を硬化させることにより、2枚の透光性基板81,83を貼り合わせて製造される。
この液晶パネルの貼り合わせ工程においては、紫外線の照度が不足して未硬化のシール剤が残った場合、液晶とシール剤とが反応して液晶が動作しなくなり、液晶画面の不良品が発生してしまう。従って、メタルハライドランプ装置としては、被処理物である積層体に対して均一に適当な照度の紫外線を照射することのできるものが要求される。
なお、図5において、84は棒状のメタルハライドランプ、85は樋状の反射ミラーである。
然るに、鉄が封入されたメタルハライドランプにおいては、上記の用途において好適なスペクトルの紫外線の照射を得ることができる一方、経時的に発光物質である鉄が発光管に付着してその内壁に黒色膜が形成されるために紫外線の照度が低下してしまうことが知られている。この黒色膜は、鉄と発光管の構成材料である石英ガラスとが反応することにより、鉄が発光管の内壁に付着して形成される。
このような反応を防止するために、従来、鉄が封入されたメタルハライドランプにおいては、鉄と石英ガラスとの反応を抑制するための反応抑制物質を封入させることが行われている。例えば、特許文献1および特許文献2には、反応抑制物質としてタリウムなどを封入させて黒色膜の形成を防止する技術が開示されている。
特開平03−250549号公報 特開平05−135740号公報
しかしながら、このようなメタルハライドランプにおいては、得られる紫外線の照度が急激に低下する現象が生じることがある。しかも、この現象が生じる時期はランプ間でバラツキがあり、予測することができなかった。
このため、例えばこのメタルハライドランプを液晶パネルの貼り合わせ工程において用いる場合、紫外線の照度の低下が急激に生じるために、製造ラインを停止させ終える前に、ワークである液晶パネルがこの工程を通ってしまう場合がある。この結果、紫外線の照度の不足による未硬化のシール剤が残ったものが得られ、結局、液晶画面の不良品を発生させてしまう、という問題がある。
このような問題を防止するために、照射される紫外線の強度をモニタして、照度の低下を検知することが行われているが、照度の低下は予兆無しに突如として発生し、その時期にもバラツキがあるため、不良品の発生を防止することは極めて難しかった。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、メタルハライドランプの照度の急激な低下が生じる前に確実にこれを検知し、その交換作業を行うことができるメタルハライドランプ装置を提供することにある。
上記のような課題を解決するために、本発明者らが検討を重ねた結果、以下のような知見を得た。
すなわち、まず、鉄と同時に封入されたタリウムは、鉄イオンによって形成されるプラズマの周りにタリウムイオンのプラズマを形成して鉄イオンが発光管を構成する石英ガラスの表面に直接触れる確率を低減させる働きがあると考えられる。この働きによって、鉄イオンと石英ガラスとが反応して化合物が生成されることが防止され、結果的に、石英ガラスに薄膜(黒色膜)が形成されることが防止される。
一方、タリウムは沃化タリウムなどのハロゲン化タリウムとして発光管内に封入されるところ、この沃化タリウムの蒸気圧は鉄に比べて高く、鉄に比べて最冷点に移動しやすいという性質を有している。そのため、例えばメタルハライドランプの接着剤部(図1参照)近傍を冷やす目的のために封止部を空冷すると、沃化タリウムが放電空間における封止部の近傍に移動し、その分布が片寄ってしまう。
そして、放電空間における沃化タリウムの分布が片寄ると、鉄イオンと石英ガラスとの反応の抑制に寄与できるタリウムイオンの濃度が低くなる結果、鉄イオンと石英ガラスとの反応が進行して黒色膜が形成されると共に発光に寄与する鉄の量が減少する。
このような現象においては、必ず、タリウムの発光の減少が先行して起こり、それに追随して鉄の発光が減少して紫外線の照度の著しい低下が生じる。
本発明は、この知見に基づいて完成されたものである。
本発明のメタルハライドランプ装置は、石英ガラス製の発光管の内部に、発光物質として鉄が封入されると共に、タリウムが封入されたメタルハライドランプを備えたメタルハライドランプ装置において、
前記タリウムの発光強度を検出する光強度検出手段を備えることを特徴とする。
本発明のメタルハライドランプ装置において、前記光強度検出手段は、波長535nmの可視光の強度を検出するものであることが好ましい。
また、本発明のメタルハライドランプ装置においては、石英ガラス製の発光管の内部に、発光物質として鉄が封入されると共に、タリウムとマグネシウムを封入させ、
さらにマグネシウムの発光強度を検出する光強度検出手段を備える構成とすることができる。
さらに、本発明のメタルハライドランプ装置においては、光強度検出手段により検出された発光強度を記憶する記憶手段と、
当該光強度検出手段により検出された発光強度と、前記記憶手段に記憶されたランプ点灯初期の発光強度に基づいて設定される設定値とを比較する演算手段とを備え、
前記光強度検出手段により検出された発光強度が前記設定値以下となったときに、その旨を表示する表示手段を備えることが好ましい。
本発明のメタルハライドランプ装置によれば、タリウムの発光強度を検出することにより、鉄の発光よりも先にタリウムの発光が低下するので確実にその後に生じる紫外線の照度の低下(以下、「UV照度低下」という。)を予測することができる。このため、メタルハライドランプの急激なUV照度低下が生じるランプ寿命を迎える前に確実にこれを検知し、その交換作業を行うことができる。従って、このメタルハライドランプ装置を液晶パネルの貼り合わせ工程において用いる場合にも、ワークである液晶パネルについてシール剤が確実に硬化される結果、液晶画面の不良品の発生を防止することができる。
また、タリウムの発光強度の検出が、波長535nmの可視光の強度の検出によるものであるメタルハライドランプ装置によれば、波長300〜400nmの範囲に現れる鉄の発光と確実に分離して検出することができるので、精度よくタリウムの発光強度を検出することができる。
さらに、タリウムやマグネシウムの発光強度がランプ点灯初期の発光強度に基づいて設定される設定値以下となったときにその旨を表示するメタルハライドランプ装置によれば、メタルハライドランプの急激なUV照度低下が生じるランプ寿命の前にその旨の情報が報知される。従って、ランプ寿命を迎える前に確実にメタルハライドランプの交換作業を行うことができる。
<第1の実施の形態>
本発明のメタルハライドランプ装置は、石英ガラス製の発光管の内部に、発光物質として鉄が封入されると共に、タリウムが封入されたメタルハライドランプを備え、タリウムの発光強度を検出する光強度検出手段を備えるものである。
図1は、本発明のメタルハライドランプ装置に用いられるメタルハライドランプの一例における構成の概略を示す説明用模式図である。
本発明のメタルハライドランプ装置に用いられるメタルハライドランプ10は、例えば、長尺な円筒管状の石英ガラス製の発光管11の内部空間による放電空間Sに、希ガスよりなるバッファガスと共に、発光物質である水銀(Hg)、鉄(Fe)、およびタリウム(Tl)が封入されたものである。タリウムは、鉄と石英ガラスとの反応を抑制する反応抑制物質として作用するものである。
タリウムは、その封入量が例えば鉄に対してモル比で0.005〜0.5の割合であり、通常は沃化タリウムなどのハロゲン化物の状態で封入される。
発光管11の放電空間Sにおいては、この発光管11の両端部にそれぞれ形成された封止部13a,13bをそれぞれ気密に貫通して当該発光管11の管軸方向に沿って伸びる、例えばタングステン製の一対の棒状の電極12a,12bが、所定の距離離間して互いに対向するよう配置されている。
各電極12a,12bの後端部は、封止部13a,13bに埋設された、モリブデンよりなる金属箔14a,14bに接続されている。そして、この金属箔14a,14bは、外部リード棒15a,15bを介して給電線16a,16bに電気的に接続されている。
なお、図1において、11Aはチップ部、18はベース、19はベースを固定するための接着剤部である。
本発明のメタルハライドランプ装置においては、図2に示されるように、メタルハライドランプ10に対してタリウムの発光強度を検出するタリウム光強度検出手段25が、その受光部が被照射物W側からメタルハライドランプ10を臨む状態に備えられている。メタルハライドランプ10は、被照射物Wに対して、当該被照射物Wの上方のランプ配置空間内に中空に保持された状態となるよう、封止部13a,13bを保持するベース18が、ランプ保持部材(図示せず)によって、保持されている。
また、このメタルハライドランプ装置には、波長300〜400nmの紫外線の強度(以下、「UV強度」ともいう。)を検出するUV強度検出手段23が備えられている。このUV強度検出手段23を用いることにより、例えば、メタルハライドランプ10からのUV強度が一定となるように、供給される電力を制御する、定照度点灯を行うことができる。
なお、図2において、20は樋状の反射ミラーであり、Pは被照射物Wを載置するための保持プレートである。
タリウム光強度検出手段25としては、波長500〜540nmの可視光(緑色の光)の強度を検知するものが好ましく、特に、波長535nmの可視光の強度を検出するものが好ましい。タリウムの発光は、メタルハライドランプ10より放射される光のスペクトルにおいてそのピークが波長535nm前後に現れるからである。
具体的には、例えば、可視光領域に感度を有する汎用型の光センサ「S1337−1010BQ(感度波長190〜1100nm)」(浜松ホトニクス社製)と、これと適当なフィルターとを組み合わせることにより、波長520〜540nmの感度を高めると共に、波長500nm未満、および波長540nm超の光をカットした状態としたものを使用することができる。
なお、メタルハライドランプ10より放射される光のスペクトルにおいて、タリウムの発光に係る波長535nmの近傍に、水銀の発光に係る波長545nmおよび波長577nmの輝線が存在する。そのため、タリウム光強度検出手段25としては、ノイズとしてこれらの水銀に係る輝線を検出しないよう検出波長が設計されたものであることが必要である。
メタルハライドランプ10より放射される光のスペクトルにおいて、鉄の発光は波長300〜400nmの範囲に連続的に現れる。このため、タリウム光強度検出手段25として波長535nmの可視光の強度を検出するものを使用する場合は、タリウムの発光を鉄の発光と確実に分離して検出することができるので、精度よくタリウムの発光強度を検出することができる。
このメタルハライドランプ装置においては、例えば、ランプ電力などを制御する主制御部21と、この主制御部21からの出力に基づいてメタルハライドランプ10に電力を供給する電源部22とが備えられている。そして、タリウム光強度検出手段25により検出されたタリウムの発光強度(以下、「Tl強度」ともいう。)を受信して記憶する記憶手段26と、記憶手段26に記憶されたランプ点灯初期のTl強度に基づいてランプ停止用の設定値を演算し、新たに検出されたTl強度とこの設定値とを比較する演算手段24と、Tl強度がランプ停止用の設定値以下になったときにその旨を表示する表示手段27とが備えられている。
記憶手段26は、少なくともランプ点灯初期のTl強度を記憶できるものであればよい。
演算手段24においてランプ点灯初期のTl強度に基づいて演算されて設定されるランプ停止用の設定値は、例えば、ランプ点灯初期のTl強度を100%としたときの例えば70%の値とすることができる。
表示手段27は、Tl強度がランプ停止用の設定値以下となったときに、その旨を表示できればよく、例えば、アラームとして音により報知するものとして構成することができる。
以下に、このようなメタルハライドランプ装置を液晶パネルの貼り合わせ工程に用いる場合の、Tl強度をモニタしてメタルハライドランプ10の交換時期を予測する動作の一例を、図2および図3を参照して説明する。
(1)メタルハライドランプ10を取り付ける。
(2)主制御部21より電源部22のスイッチを投入することによりメタルハライドランプ装置に対して電力が供給される。
(3)タリウム光強度検出手段25およびUV強度検出手段23がON状態となり、メタルハライドランプ10からのTl強度がランプ点灯初期のTl強度として一時的に記憶手段26に記憶される。
(4)タリウム光強度検出手段25からのTl強度が定期的、例えば20〜100時間毎に演算手段24に送信される。タリウム光強度検出手段25から送信されたTl強度は、演算手段24により、記憶手段26に保存されたランプ点灯初期のTl強度と比較、演算され、ランプ点灯初期のTl強度に対して70%の設定値より大きいことが確認されたら、主制御部21に対して、ランプ点灯を継続させる信号が送信される。
(5)上記(4)と並行して、UV強度検出手段23からのUV強度が定期的、例えば20〜100時間毎に演算手段24に送信される。そして、UV強度が予め設定された設定値より大きければ、主制御部21を介して搬送機構制御部28に対してワークである未硬化の液晶パネル(被照射物W)の処理を行う信号が送信され、搬送機構29によってワークの搬送が開始される。
(6)そして、タリウム光強度検出手段25からのTl強度が、ランプ点灯初期のTl強度に対して70%以下になると、演算手段24がその旨の信号を主制御部21に対して送信する。主制御部21はランプ寿命の時期が近付いたと判断し、ランプ点灯の停止およびランプ交換を促すため、表示手段27にアラームを発生するよう信号を送信する。
このアラームを発生させる時点においては、UV強度検出手段23からのUV強度は通常設定値以上であるが、UV強度検出手段23からのUV強度の大きさに関わらず、アラームが発生される。
なお、以上のメタルハライドランプ10を点灯し続けると、鉄と石英ガラスの反応を抑制するために封入した反応抑制物質であるタリウムの発光によるTl強度が低下した後、所定時間経過後、UV照度低下が突如として発生する。具体的には、例えば、Tl強度がランプ点灯初期のTl強度に対して70%まで低下した後、数十〜百時間後に急激なUV照度低下が発生する。
Tl強度がランプ点灯初期のTl強度に対して70%まで低下しても、タリウムによる鉄と石英ガラスとの反応抑制効力は持続し、UV照度低下は生じない。しかしながら、それが70%を切ると、タリウムの反応抑制効力が薄れ始め、急激に発光に寄与する鉄の消失が生じてUV照度低下が始まる。
以上のようなメタルハライドランプ装置によれば、Tl強度を検出することにより、鉄の発光よりも先にタリウムの発光が低下するので確実にその後に生じるUV照度低下を予測することができる。このため、メタルハライドランプ10の急激なUV照度低下が生じるランプ寿命を迎える前に確実にこれを検知し、その交換作業を行うことができる。従って、このメタルハライドランプ装置を液晶パネルの貼り合わせ工程において用いる場合にも、ワークである液晶パネルについてシール剤が確実に硬化される結果、液晶画面の不良品の発生を防止することができる。
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態に係るメタルハライドランプ装置は、石英ガラス製の発光管の内部に、発光物質として鉄が封入されると共に、反応抑制物質としてタリウムとマグネシウム(Mg)が封入されたメタルハライドランプを備え、タリウムの発光強度を検出するタリウム光強度検出手段を備えると共にマグネシウムの発光強度を検出するマグネシウム光強度検出手段を備えるものである。
このメタルハライドランプ装置に用いられるメタルハライドランプは、反応抑制物質としてタリウムと共にマグネシウムが封入されていることの他は、第1の実施の形態におけるメタルハライドランプ10と同様の構成を有するものである。
タリウムは、その封入量が例えば鉄に対してモル比で0.005〜0.5の割合であり、通常は沃化タリウムなどのハロゲン化物の状態で封入される。
マグネシウムは、その封入量が例えば鉄に対して質量比で0.01〜0.1の割合であり、金属マグネシウムの状態で封入される。
この例のメタルハライドランプ装置において備えられるタリウム光強度検出手段は、第1の実施の形態におけるタリウム光強度検出手段25と同様のものとすることができる。
マグネシウム光強度検出手段としては、波長500〜540nmの可視光(緑色の光)の強度を検知するものが好ましく、特に、波長519nmの可視光の強度を検出するものが好ましい。マグネシウムの発光は、メタルハライドランプ10より放射される光のスペクトルにおいてそのピークが波長519nm前後に現れるからである。
具体的には、例えば、可視光領域に感度を有する汎用型の光センサ「S1337−1010BQ(感度波長190〜1100nm)」(浜松ホトニクス社製)と、これと適当なフィルターとを組み合わせることにより、波長520〜540nmの感度を高めると共に、波長500nm未満、および波長540nm超の光をカットした状態としたものを使用することができる。
メタルハライドランプより放射される光のスペクトルにおいて、鉄の発光は波長300〜400nmの範囲に連続的に現れる。このため、マグネシウム光強度検出手段として波長519nmの可視光の強度を検出するものを使用する場合は、マグネシウムの発光を鉄の発光と確実に分離して検出することができるので、精度よくマグネシウムの発光強度を検出することができる。
この例のメタルハライドランプ装置は、第1の実施の形態において、タリウム光強度検出手段25と共に上記のマグネシウム光強度検出手段が用いられていることの他は同様に構成されている。すなわち、タリウム光強度検出手段およびマグネシウム光強度検出手段が、その受光部が被照射物側からメタルハライドランプを臨む状態に備えられると共に、UV強度検出手段、制御部および電源部が備えられている。そして、Tl強度およびマグネシウム光強度検出手段により検出されたマグネシウムの発光強度(以下、「Mg強度」ともいう。)を受信して記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶されたランプ点灯初期のTl強度およびMg強度に基づいてランプ停止用の設定値を演算し、新たに検出されたMg強度とこの設定値とを比較する演算手段と、Mg強度がランプ停止用の設定値以下になったときにその旨を表示する表示手段とが備えられている。
記憶手段は、少なくともランプ点灯初期のTl強度およびMg強度を記憶できるものであればよい。
また、演算手段においてランプ点灯初期のMg強度に基づいて演算されて設定されるランプ停止用の設定値は、例えば、ランプ点灯初期のMg強度を100%としたときの例えば70%の値とすることができる。
この例のメタルハライドランプ装置は、Tl強度またはMg強度の少なくとも一方がそれぞれのランプ停止用の設定値以下となったときにアラームにより交換時期が報知されることの他は、上記の第1の実施の形態に係るメタルハライドランプ装置と同様に動作される。
なお、この例のメタルハライドランプを点灯し続けると、鉄と石英ガラスの反応を抑制するために封入した反応抑制物質であるタリウムまたはマグネシウムの発光強度が低下した後、所定時間経過後、UV照度低下が突如として発生する。具体的には、例えば、Mg強度がランプ点灯初期のMg強度に対して70%まで低下した後、約100時間後に急激なUV照度低下が発生する。
この例のメタルハライドランプ装置においても、第1の実施の形態に係るものと同様の効果を得ることができる。
以上、本発明のメタルハライドランプ装置の実施形態について説明したが、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
例えば、液晶パネルの貼り合わせ工程においてはワークの搬送停止を直ちに行うことが難しいことから、タリウム光強度検出手段またはマグネシウム光強度検出手段による発光強度の低下に係る設定値は70%とすることが好ましいが、その他の目的に使用される場合は、例えば設定値はもっと低くてもよい。
以下、本発明のメタルハライドランプ装置の具体的な実施例について説明する。
<実施例1>
図1の構成に従い、下記の仕様によるメタルハライドランプ〔1〕を作製した。
・発光管:石英ガラス製;外径26mm;内径22.5mm;肉厚1.75mm
・電極:タングステン製;電極間距離1100mm
・封入物;金属水銀0.16mg/cc;沃化水銀0.04mg/cc;鉄0.01mg/cc;沃化タリウム0.003mg/cc;金属マグネシウム0.001mg/cc;
・封入ガス;キセノンガス1.3×104 Pa(静圧)
このメタルハライドランプ〔1〕においては、タリウムが鉄に対してモル比で0.05の割合で封入されている。また、マグネシウムが鉄に対して質量比で0.1の割合で封入されている。
図2の構成に従い、このメタルハライドランプ〔1〕と、波長535nmの可視光の発光強度を検出するタリウム光強度検出手段と、波長365nmの紫外線の発光強度を検出するUV強度検出手段とを設置し、これにさらに、波長519nmの可視光の発光強度を検出するマグネシウム光強度検出手段を設置することにより、メタルハライドランプ装置(以下、単に「ランプ装置」という。)〔1〕を作製した。
<実施例2>
実施例1において、封入物の沃化タリウムの量を0.005mg/cc(鉄に対してモル比で0.08の割合で封入)としたことの他は同様にして、メタルハライドランプ〔2〕を作製した。
そして、実施例1において、メタルハライドランプ〔1〕の代わりにメタルハライドランプ〔2〕を用いたことの他は同様にして、ランプ装置〔2〕を作製した。
このランプ装置〔1〕,〔2〕について、メタルハライドランプからの紫外線の照度が一定となるように紫外線の発光強度を検出して電力を制御するフィードバック制御を行いながらメタルハライドランプを連続して定照度点灯させ、50時間毎に、タリウム、マグネシウムおよび紫外線の発光強度を調べた。結果を図4に示す。
なお、図4において、曲線a1,b1,c1は、それぞれ、ランプ装置〔1〕のタリウムの発光強度(Tl強度)、マグネシウムの発光強度(Mg強度)、紫外線の発光強度(UV強度)の変化を示す曲線である。また、曲線a2,b2,c2は、それぞれ、ランプ装置〔2〕のTl強度、Mg強度、UV強度の変化を示す曲線である。また、それぞれ、「●」はランプ装置〔1〕のUV強度、「▲」はランプ装置〔1〕のTl強度、「×」はランプ装置〔1〕のMg強度に係るプロットである。また、それぞれ、「○」はランプ装置〔2〕のUV強度、「△」はランプ装置〔2〕のTl強度、「*」はランプ装置〔2〕のMg強度に係るプロットである。さらに、横軸は点灯時間であり、縦軸はランプ点灯初期の発光強度を100としたときの相対値である。
図4の結果から、Tl強度およびMg強度がランプ点灯初期の値の70%以下まで低下した後、UV強度の低下が生じ始め、ランプ寿命に至ることが確認された。なお、その後はいくら電力を増大させてもUV強度の低下は止まらなかった。
図4において、曲線a1,b1,a2,b2において、ランプ点灯後しばらくはその値がランプ点灯初期よりも高い理由は、定照度点灯により、不可避的なUV照度低下に伴って電力を増大させていくこととなるためである。
本発明のメタルハライドランプ装置に用いられるメタルハライドランプの一例における構成の概略を示す説明用模式図である。 本発明のメタルハライドランプ装置によるメタルハライドランプの交換時期の予測方法を示す説明用ブロック図である。 本発明のメタルハライドランプ装置によるメタルハライドランプの交換時期の予測方法を示すフローチャートである。 実施例1および実施例2の結果を示すグラフである。 メタルハライドランプ装置を用いた液晶パネルの貼り合わせ工程を説明する模式図である。
符号の説明
10 メタルハライドランプ
11 発光管
11A チップ部
12a,12b 電極
13a,13b 封止部
14a,14b 金属箔
15a,15b 外部リード棒
16a,16b 給電線
18 ベース
19 接着剤部
S 放電空間
20 反射ミラー
21 主制御部
22 電源部
23 UV強度検出手段
24 演算手段
25 タリウム光強度検出手段
26 記憶手段
27 表示手段
28 搬送機構制御部
29 搬送機構
W 被照射物
P 保持プレート
80 メタルハライドランプ装置
81,83 透光性基板
82 枠
84 メタルハライドランプ
85 反射ミラー
R 液晶用空間

Claims (4)

  1. 石英ガラス製の発光管の内部に、発光物質として鉄が封入されると共に、タリウムが封入されたメタルハライドランプを備えたメタルハライドランプ装置において、
    前記タリウムの発光強度を検出する光強度検出手段を備えることを特徴とするメタルハライドランプ装置。
  2. 前記光強度検出手段は、波長535nmの可視光の強度を検出するものであることを特徴とする請求項1に記載のメタルハライドランプ装置。
  3. 石英ガラス製の発光管の内部に、発光物質として鉄が封入されると共に、タリウムとマグネシウムが封入されており、
    マグネシウムの発光強度を検出する光強度検出手段を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のメタルハライドランプ装置。
  4. 光強度検出手段により検出された発光強度を記憶する記憶手段と、
    当該光強度検出手段により検出された発光強度と、前記記憶手段に記憶されたランプ点灯初期の発光強度に基づいて設定される設定値とを比較する演算手段とを備え、
    前記光強度検出手段により検出された発光強度が前記設定値以下となったときに、その旨を表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のメタルハライドランプ装置。
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