JP2010053962A - 流体伝達装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】振動低減性能を向上することができる流体伝達装置を提供する。
【解決手段】駆動源からフロントカバー10に伝達された駆動力を作動流体を介して出力軸50に伝達可能な流体伝達手段20と、フロントカバー10に伝達された駆動力を係合部材32を介して出力軸50に伝達可能なロックアップ手段30と、フロントカバー10と一体回転可能に設けられる複数の軸方向壁部42b、43bと、係合部材32が一体回転可能に設けられると共に軸方向に対する両側で軸方向壁部42b、43bに挟まれて複数の弾性体41を保持する保持部材44とを有し、弾性体41を介してフロントカバー10と係合部材32とを相対回転可能に連結するダンパー手段40とを備えることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、流体伝達装置に関し、特にロックアップ手段とダンパー手段とを備える流体伝達装置に関するものである。
ロックアップ手段としてのロックアップクラッチを備える従来の流体伝達装置として、例えば、特許文献1に記載されたロックアップクラッチ付き流体伝動装置は、駆動源であるエンジンの駆動力が伝達されるフロントカバーとロックアップクラッチとの間にダンパー手段としてのダンパー機構を構成する弾性体であるダンパースプリングが配置されている。この従来の流体伝達装置は、ダンパースプリングを保持するセンタプレートと、このセンタプレートの軸方向両側に設けられる主部材、カバー部材とを含んで構成される。そして、この従来の流体伝達装置は、ロックアップクラッチON時には、エンジンからフロントカバーに伝達された駆動力がダンパー機構をなすセンタプレートを経てダンパースプリングに伝達され、このダンパースプリングから主部材、カバー部材を介してロックアップクラッチのロックアップピストンに伝達され作動油を介さずに出力軸に直接伝達される。つまり、ロックアップクラッチON時には、エンジンからの駆動力がダンパー機構を介してロックアップクラッチに伝達されるため、このダンパー機構によって駆動力伝達時における振動を低減することができる。なお、このロックアップクラッチ付き流体伝動装置では、主部材、カバー部材は、フロントカバーに一体回転可能に連結されたセンタプレートに対して、このセンタプレートの軸方向両側にリベット等によって相対回転可能に連結されている。
特開平5−187518号公報
ところで、上述のような特許文献1に記載されているロックアップクラッチ付き流体伝動装置では、例えば、さらなる振動低減が望まれていた。
そこで本発明は、振動低減性能を向上することができる流体伝達装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明による流体伝達装置は、駆動源からフロントカバーに伝達された駆動力を作動流体を介して出力軸に伝達可能な流体伝達手段と、前記フロントカバーに伝達された駆動力を係合部材を介して前記出力軸に伝達可能なロックアップ手段と、前記フロントカバーと一体回転可能に設けられる複数の軸方向壁部と、前記係合部材が一体回転可能に設けられると共に前記出力軸の軸方向に対する両側で前記軸方向壁部に挟まれて複数の弾性体を保持する保持部材とを有し、前記弾性体を介して前記フロントカバーと前記係合部材とを相対回転可能に連結するダンパー手段とを備えることを特徴とする。
請求項2に係る発明による流体伝達装置では、前記軸方向に対して前記係合部材と前記保持部材との間に設けられると共に前記フロントカバーに一体回転可能に連結され前記軸方向に対して前記保持部材と対向する面に前記軸方向壁部が設けられる前記係合部材側のサイド部材と、前記軸方向に対して前記保持部材と前記フロントカバーとの間に設けられると共に前記フロントカバーに一体回転可能に連結され前記軸方向に対して前記保持部材と対向する面に前記軸方向壁部が設けられる前記フロントカバー側のサイド部材とを備えることを特徴とする。
請求項3に係る発明による流体伝達装置では、前記軸方向に対して前記係合部材と前記保持部材との間に設けられると共に前記フロントカバーに一体回転可能に連結され前記軸方向に対して前記保持部材と対向する面に前記軸方向壁部が設けられる前記係合部材側のサイド部材を備え、前記フロントカバーは、前記軸方向に対して前記保持部材と対向する面に前記軸方向壁部が設けられることを特徴とする。
請求項4に係る発明による流体伝達装置では、前記サイド部材の径方向外側端部に形成された連結突起部と、前記フロントカバーにおいて径方向に対して前記連結突起部と対向する部分に形成された連結溝部とを有し、前記連結突起部と前記連結溝部とが係合して前記フロントカバーと前記サイド部材とを一体回転可能に連結する第1連結手段を備えることを特徴とする。
請求項5に係る発明による流体伝達装置では、前記保持部材の径方向内側端部に前記係合部材をスプライン嵌合によって一体回転可能かつ前記軸方向に移動可能に連結する第2連結手段を備えることを特徴とする。
請求項6に係る発明による流体伝達装置では、前記係合部材側の前記サイド部材の径方向内側端部を前記フロントカバーに一体回転可能かつ前記軸方向に相対移動不能に連結する第3連結手段と、前記第3連結手段より径方向外側において、前記保持部材又は前記係合部材の一方に前記軸方向に延在して固定されるピン部材と、前記保持部材又は前記係合部材の他方に凹部状に設けられるピン挿入部と、前記係合部材側の前記サイド部材に貫通して設けられ前記フロントカバーと前記係合部材との相対回転に伴った前記ピン部材の移動を許容する貫通孔とを有し、前記ピン部材が前記貫通孔を介して前記ピン挿入部に前記軸方向に相対移動可能に挿入されることで前記保持部材に前記係合部材を一体回転可能かつ前記軸方向に移動可能に連結する第4連結手段とを備えることを特徴とする。
請求項7に係る発明による流体伝達装置では、前記軸方向壁部は、少なくとも前記弾性体の一部が収容される弾性体収容部を有し、前記弾性体は、前記フロントカバーに伝達された駆動力を前記係合部材に伝達する際に、周方向における両端部のうち一方の端部が前記弾性体収容部と接触し、他方の端部が前記保持部材と接触することを特徴とする。
本発明に係る流体伝達装置によれば、フロントカバーと一体回転可能に設けられる複数の軸方向壁部と、係合部材が一体回転可能に設けられると共に出力軸の軸方向に対する両側で軸方向壁部に挟まれて複数の弾性体を保持する保持部材とを有し、弾性体を介してフロントカバーと係合部材とを相対回転可能に連結するダンパー手段を備えるので、ダンパー手段において弾性体を設けることができる領域を広く確保することができることから、振動低減性能を向上することができる。
以下に、本発明に係る流体伝達装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。また、下記の実施形態では、流体伝達装置に伝達される駆動力を発生する駆動源として、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPGエンジンなどのエンジンを用いるが、これに限定されるものではなく、モータなどの電動機を駆動源として、あるいはモータなどの電動機と併用して用いても良い。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るトルクコンバータの要部断面図である。以下の説明では、この流体伝達装置としてのトルクコンバータは、図1に示す出力軸の回転軸線Xを中心軸線としてほぼ対称になるように構成されることから、この図1には、回転軸線Xを中心軸線として一方側のみを図示し、特に断りのない限り、回転軸線Xを中心軸線として一方側のみを説明し、他方側の説明はできるだけ省略する。また、以下の説明では、特に断りのない限り、回転軸線Xに沿った方向を軸方向といい、回転軸線Xに直交する方向、すなわち、軸方向に直交する方向を径方向といい、回転軸線X周りの方向を周方向という。
図1に示すように、実施形態1にかかる流体伝達装置としてのトルクコンバータ1は、フロントカバー10と、流体伝達手段としての流体伝達機構20と、ロックアップ手段としてのロックアップクラッチ機構30と、ダンパー手段としてのダンパー機構40と、出力軸50とを備える。
フロントカバー10は、図1に示すように、駆動源である図示しないエンジンの駆動力が伝達されるものである。フロントカバー10は、本体部11と、フランジ部12と、セットブロック13とを有する。
本体部11は、出力軸50の中心軸線である回転軸線Xと同軸の円板形状に形成される。フランジ部12は、本体部11の径方向外側端部から出力軸側に突出して形成されている。フランジ部12は、回転軸線Xと同軸の円筒形状に形成される。
セットブロック13は、エンジンからの駆動力の入力部材であるドライブプレート100と連結されるものである。セットブロック13は、本体部11のエンジン側の面の外周端部近傍に周方向に複数形成されている。セットブロック13は、本実施形態では、本体部11に対して周方向に等間隔に複数個形成されている。各セットブロック13には、ボルト穴13aが形成されている。各セットブロック13は、ボルト穴13aにドライブプレート100の貫通孔100aに挿入されたボルト14をそれぞれ螺合することで、ドライブプレート100と締結される。
ここで、ドライブプレート100は、回転軸線Xと同軸の円板形状に形成され、連結部材120(例えば、ボルト)によりエンジン(不図示)のエンジン出力軸110と締結されている。したがって、エンジンの駆動力は、ドライブプレート100に伝達され、ドライブプレート100に伝達された駆動力がフロントカバー10に伝達される。すなわち、エンジンの駆動力は、フロントカバー10のセットブロック13を介して本体部11に伝達される。
また、フロントカバー10には、連結溝部12aが形成されている。連結溝部12aは、第1連結手段としての第1連結部60の一部を構成するものであり、フロントカバー10のうち後述するサイド部材としてのフロントサイドプレート42及びリヤサイドプレート43の径方向外側端部と径方向において対向する部分、すなわちフランジ部12に形成されている。
連結溝部12aは、径方向における断面形状がフランジ部12の内周面から径方向外側に向かって窪んだ形状であり、フランジ部12の出力軸側の端部からフランジ部12の軸方向中央部まで軸方向に沿って形成されている。連結溝部12aは、フロントカバー10に対して周方向に等間隔に複数個形成されている。
流体伝達機構20は、流体伝達手段であり、フロントカバー10に伝達された駆動力を作動流体(作動油)を介して出力軸50に伝達するものである。流体伝達機構20は、図1に示すように、ポンプインペラ21と、タービンライナ22と、ステータ23と、ワンウェイクラッチ24と、ポンプインペラ21とタービンライナ22との間に介在する作動流体である作動油とにより構成されている。
ポンプインペラ21は、フロントカバー10に伝達されたエンジンからの駆動力が伝達されるものであり、作動油を介して伝達された駆動力をタービンライナ22に伝達するものである。ポンプインペラ21は、複数のポンプブレード21aと、ポンプシェル21bと、インナーコア21cとを有する。各ポンプブレード21aは、翼であり、トルクコンバータ1の周方向に等間隔に設けられている。各ポンプブレード21aは、内周にインナーコア21cが取り付けられている。ポンプシェル21bは、回転軸線Xと同軸のリング形状で出力軸側に凹んでおり、凹むことで形成されたポンプシェル21bの内面に各ポンプブレード21aが取り付けられている。ポンプシェル21bは、径方向外側端部21dがフロントカバー10のフランジ部12の出力軸側端部に、固定手段、例えば溶接Sなどにより固定されることで、フロントカバー10に固定されている。つまり、ポンプインペラ21は、フロントカバー10と一体回転し、フロントカバー10に伝達されたエンジンからの駆動力がポンプシェル21bを介して各ポンプブレード21aに伝達される。また、ポンプシェル21bは、径方向内側端部21eがスリーブ51に固定手段、例えば溶接Sなどにより固定されている。なお、スリーブ51は、回転運動により作動する装置、例えばオイルポンプ(不図示)などに連結されている。
タービンライナ22は、ポンプインペラ21から作動油を介して伝達されたエンジンからの駆動力を出力軸50に伝達するものである。ここで、出力軸50は、例えば出力軸側に配置された変速機(不図示)のインプットシャフトなどである。タービンライナ22は、タービンブレード22aと、タービンシェル22bと、インナーコア22cと、タービンハブ22dとを有する。各タービンブレード22aは、翼であり、トルクコンバータ1の周方向に等間隔に設けられている。各タービンブレード22aは、内周にインナーコア22cが取り付けられている。タービンシェル22bは、回転軸線Xと同軸のリング形状でエンジン側に湾曲しており、湾曲したタービンシェル22bの内面に各タービンブレード22aが取り付けられている。ここで、タービンライナ22は、ポンプインペラ21に対向するように配置されている。タービンハブ22dは、タービンライナ22の基部であり、径方向内側に配置されている。タービンハブ22dは、径方向外側端部22eがタービンシェル22bの径方向内側端部22fに、固定手段、例えばリベット22gなどにより固定されることで、タービンシェル22bに固定されている。また、タービンハブ22dは、固定手段、例えばタービンハブ22dの内周面において軸方向に形成されたスプライン22hと、出力軸50の外周面において軸方向に形成されたスプライン50aとがスプライン嵌合することにより、出力軸50に固定されている。つまり、タービンシェル22bは、タービンハブ22dを介して出力軸50と一体回転することとなり、タービンライナ22が出力軸50と一体回転することで、流体伝達機構20を構成するポンプインペラ21、作動油およびタービンライナ22を介して伝達されたエンジンからの駆動力が出力軸50に伝達される。
ステータ23は、周方向に形成された複数のステータブレード23aを有し、ポンプインペラ21とタービンライナ22との間に配置されるものである。ステータ23は、ポンプインペラ21とタービンライナ22との間を循環する作動油の流れを変化させ、エンジンから伝達される駆動力に基づいて所定のトルク特性を得るためのものである。
ワンウェイクラッチ24は、ステータ23を一方向のみに回転可能に支持するものである。ワンウェイクラッチ24は、アウターレース24aと、インナーレース24bと、ワンウェイクラッチ機構24cとを有する。アウターレース24aは、固定手段、例えばアウターレース24aの外周面において軸方向に形成されたスプライン24dと、ステータ23の内周面において軸方向に形成されたスプライン23bとがスプライン嵌合することにより、ステータ23が固定されている。インナーレース24bは、径方向においてアウターレース24aと対向するものであり、固定手段、例えばインナーレース24bの内周面において軸方向に形成されたスプライン24eと、トルクコンバータ1を収納するハウジング52の一部の外周面において軸方向に形成されたスプライン52aとがスプライン嵌合することにより、ハウジング52に固定されている。ワンウェイクラッチ機構24cは、アウターレース24aとインナーレース24bとの間に配置され、インナーレース24bに対してアウターレース24aを一方向にだけ回転可能にするものである。また、ワンウェイクラッチ24は、ポンプシェル21bに固定されたスリーブ51との間、タービンハブ22dとの間に、軸受25,26がそれぞれ設けられている。つまり、ステータ23は、スリーブ51およびタービンハブ22dに対して回転自在に支持されており、ハウジング52に対して一方向のみに回転可能である。
ロックアップクラッチ機構30は、ロックアップ手段であり、フロントカバー10に伝達された駆動力を係合部材としてのロックアップピストン32を介して出力軸50に伝達するものである。すなわち、ロックアップクラッチ機構30は、フロントカバー10に伝達されたエンジンからの駆動力を流体伝達機構20の作動流体を介さずに直接出力軸50に伝達するものである。ロックアップクラッチ機構30は、ロックアッププレート31と、ロックアップピストン32と、摩擦材33と、ピストン油圧室34とを有する。本実施形態では、ロックアッププレート31と摩擦材33とがロックアップクラッチ機構30における摩擦係合面を構成する。
このトルクコンバータ1では、軸方向に対してエンジン側から出力軸側に向かって、フロントカバー10、ダンパー機構40、ロックアップクラッチ機構30、流体伝達機構20の順番で配置されている。さらに言えば、ロックアップクラッチ機構30は、軸方向に対してエンジン側から出力軸側に向かって、ロックアップピストン32、摩擦材33、ロックアッププレート31の順番で配置されている。
ロックアッププレート31は、回転軸線Xと同軸の円環板状に形成され、軸方向に対してタービンライナ22と後述するダンパー機構40との間に配置されている。ロックアッププレート31は、径方向内側端部(すなわち、内周面側の端部)31aがタービンシェル22bの径方向内側端部22fとともにタービンハブ22dの径方向外側端部22eに固定手段、例えばリベット22gなどにより固定される。また、ロックアッププレート31は、径方向外側端部(すなわち、外周面側の端部)31bがタービンシェル22b側に、すなわち、出力軸側に向かって折れ曲がるように形成され、径方向外側端部31bの先端部が固定手段、例えば溶接Sなどによりタービンシェル22bの径方向外側端部22iに固定されている。つまり、ロックアッププレート31の径方向外側端部31bは、ポンプシェル21b近傍まで延在し、タービンシェル22bの径方向外側端部22iに向かって折り曲げられており、この径方向外側端部22iに固定されている。したがって、ロックアッププレート31は、タービンライナ22、タービンハブ22dを介して出力軸50に固定され、タービンライナ22、タービンハブ22d及び出力軸50と共に一体回転可能である。
ロックアップピストン32は、係合部材であり、回転軸線Xと同軸の円環板状に形成され、軸方向に対してロックアッププレート31と後述するダンパー機構40との間に配置されている。ロックアップピストン32は、軸方向においてロックアッププレート31と対向する。ロックアップピストン32は、後述するダンパー機構40の保持部材としての保持プレート44に対して軸方向に相対的に移動可能かつ保持プレート44と一体回転可能に支持されている。なお、このロックアップピストン32は、後述で詳細に説明する。
摩擦材33は、回転軸線Xと同軸の円環板状に形成され、ロックアッププレート31に対向して設けられている。さらに言えば、摩擦材33は、ロックアップピストン32の径方向外側端部32a近傍の出力軸側の面に設けられている。
ピストン油圧室34は、ロックアップピストン32を軸方向に移動させるための油圧押圧力を発生させるためのものである。ここでは、トルクコンバータ1の内部にてダンパー機構40が位置する後述のダンパー機構空間部Cがピストン油圧室34として機能する。このピストン油圧室34として機能するダンパー機構空間部Cは、ロックアップピストン32とフロントカバー10との間に形成されている。
ここで、このロックアップクラッチ機構30は、ピストン油圧室34として機能するダンパー機構空間部Cに供給される作動流体(作動油)の液圧(油圧)により、ロックアップピストン32が軸方向に沿ってロックアッププレート31側に移動して、ロックアップクラッチ機構30の摩擦係合面を構成する摩擦材33とロックアッププレート31とが接触し摩擦係合することで、ロックアップクラッチ機構30がONとなる。ロックアップクラッチ機構30がONとなると、ロックアッププレート31とロックアップピストン32とが一体回転することとなるので、このロックアップクラッチ機構30は、フロントカバー10に伝達されたエンジンからの駆動力をダンパー機構40、ロックアップピストン32、摩擦材33、ロックアッププレート31を介して直接タービンハブ22dに伝達し、出力軸50に伝達することとなる。
ダンパー機構40は、ダンパー手段であり、複数の弾性体としての複数のダンパースプリング41を介してフロントカバー10とロックアップクラッチ機構30のロックアップピストン32とを相対回転可能に連結するものである。ダンパー機構40は、フロントカバー10の内部に収納されており、複数のダンパースプリング41と、サイド部材としてのフロントサイドプレート42と、サイド部材としてのリヤサイドプレート43と、保持部材としての保持プレート44とを有する。
ダンパー機構40は、軸方向に対してエンジン側から出力軸側に向かって、フロントサイドプレート42、保持プレート44及び複数のダンパースプリング41、リヤサイドプレート43の順番で配置されている。
フロントサイドプレート42及びリヤサイドプレート43は、回転軸線Xと同軸の円環板状に形成され、軸方向に対してフロントカバー10とロックアップピストン32との間に配置されている。ここでは、フロントサイドプレート42とリヤサイドプレート43とは、フロントサイドプレート42がフロントカバー10側、リヤサイドプレート43がロックアップピストン32側に配置されている。そして、保持プレート44は、回転軸線Xと同軸の円環板状に形成され、保持プレート44及びこの保持プレート44により保持される複数のダンパースプリング41は、軸方向に対してフロントサイドプレート42とリヤサイドプレート43との間に挟み込まれるようにして配置されている。
具体的には、複数のダンパースプリング41は、例えば、複数のコイルスプリングであり、保持プレート44により保持されて、フロントカバー10とロックアップクラッチ機構30との間に配置されるものである。ダンパースプリング41は、フロントカバー10からフロントサイドプレート42、リヤサイドプレート43に伝達されたエンジンの駆動力を保持プレート44に伝達するものである。ここでは、複数のダンパースプリング41は、径方向外側に配置される複数の外側ダンパースプリング41aと、径方向中央部に配置される複数の中央ダンパースプリング41bと、径方向内側に配置される複数の内側ダンパースプリング41cとを含んでいる。
フロントサイドプレート42及びリヤサイドプレート43は、エンジンからフロントカバー10に伝達された駆動力が伝達されるものであると共に、軸方向に対してフロントサイドプレート42とリヤサイドプレート43との間の空間部分に保持プレート44及び複数のダンパースプリング41を挟み込みこれらを保持するものである。
フロントサイドプレート42は、連結突起部42aと、軸方向壁部としてのフロント側軸方向壁部42bと、弾性体収容部としてのフロント外側収容部42c、フロント中央収容部42d、フロント内側収容部42eとを有する。一方、リヤサイドプレート43は、連結突起部43aと、軸方向壁部としてのリヤ側軸方向壁部43bと、弾性体収容部としてのリヤ外側収容部43c、リヤ中央収容部43d、リヤ内側収容部43eとを有する。
連結突起部42aは、フロントサイドプレート42の径方向外側端部(すなわち、外周面側の端部)に形成されており、連結突起部43aは、リヤサイドプレート43の径方向外側端部(すなわち、外周面側の端部)に形成されている。この連結突起部42a、連結突起部43aは、上述したフロントカバー10の連結溝部12aと共に第1連結手段としての第1連結部60を構成するものである。連結突起部42a、連結突起部43aは、フロントサイドプレート42、リヤサイドプレート43に対して周方向に等間隔にそれぞれ複数個形成されている。
連結突起部42a、連結突起部43aは、フロントサイドプレート42、リヤサイドプレート43がフロントカバー10に挿入された際に、フロントカバー10の連結溝部12aと径方向において対向するように、フロントサイドプレート42、リヤサイドプレート43の径方向外側端部から径方向外側に突出して形成されている。連結突起部42a、連結突起部43aは、フロントサイドプレート42、リヤサイドプレート43がフロントカバー10の内部に挿入された際に、連結溝部12aに挿入されるように突出量が設定されている。したがって、フロントカバー10にフロントサイドプレート42、リヤサイドプレート43が挿入されると、第1連結部60をなす連結突起部42a、連結突起部43aがそれぞれ連結溝部12aに挿入され係合することで、フロントサイドプレート42、リヤサイドプレート43がフロントカバー10に対して相対回転することが規制される。つまり、フロントサイドプレート42、リヤサイドプレート43は連結突起部42a、連結突起部43aと連結溝部12aとにより構成される第1連結部60により、フロントカバー10と一体回転可能に連結され、フロントカバー10から駆動力が伝達可能に連結される。
また、この第1連結部60には、さらにスペーサ60aが設けられている。スペーサ60aは、軸方向に対してフロントサイドプレート42とリヤサイドプレート43との間に設けられており、これにより、フロントサイドプレート42とリヤサイドプレート43との間に保持プレート44及び複数のダンパースプリング41を設けるための空間部分を確保することができると共にフロントカバー10に対するフロントサイドプレート42、リヤサイドプレート43の軸方向への相対移動を規制することができる。これにより、後述のように複数のダンパースプリング41を介してフロントサイドプレート42、リヤサイドプレート43と保持プレート44とが相対的に回転する際には、フロントサイドプレート42とリヤサイドプレート43との間にスペーサ60aが介在され、フロントサイドプレート42、リヤサイドプレート43と保持プレート44との間に適正なクリアランスが確保されることで、この相対回転が滑らかに行われる。なお、連結溝部12aの出力軸側の開口端部は、ポンプシェル21bの径方向外側端部21dがフロントカバー10のフランジ部12に固定されることで閉鎖される。
フロント側軸方向壁部42bは、軸方向に対する保持プレート44の両側を挟み込む軸方向壁部のうちの一方の軸方向壁部であり、フロントサイドプレート42の出力軸側の面、すなわち、リヤサイドプレート43側の面、さらに言えば、保持プレート44と対向する面に設けられる。リヤ側軸方向壁部43bは、軸方向に対する保持プレート44の両側を挟み込む軸方向壁部のうちの他方の軸方向壁部であり、リヤサイドプレート43のエンジン側の面、すなわち、フロントサイドプレート42側の面、さらに言えば、保持プレート44と対向する面に設けられる。つまり、フロントサイドプレート42のフロント側軸方向壁部42bとリヤサイドプレート43のリヤ側軸方向壁部43bとは、軸方向に対して保持プレート44を挟んで対向している。このフロント側軸方向壁部42b、リヤ側軸方向壁部43bは、フロントサイドプレート42、リヤサイドプレート43が第1連結部60によりフロントカバー10と一体回転可能に連結されることから、フロントカバー10と一体回転可能である。
そして、フロントサイドプレート42は、このフロント側軸方向壁部42bにフロント外側収容部42c、フロント中央収容部42d及びフロント内側収容部42eが形成される一方、リヤサイドプレート43は、このリヤ側軸方向壁部43bにリヤ外側収容部43c、リヤ中央収容部43d及びリヤ内側収容部43eが形成される。
フロント外側収容部42c、フロント中央収容部42d、フロント内側収容部42e、リヤ外側収容部43c、リヤ中央収容部43d及びリヤ内側収容部43eは、それぞれ、少なくとも保持プレート44により保持される各ダンパースプリング41の一部分を収容するものである。
フロント外側収容部42cは、フロント側軸方向壁部42bの径方向外側端部近傍がエンジン側に窪むことで形成される。フロント内側収容部42eは、フロント側軸方向壁部42bの径方向内側端部近傍がエンジン側に窪むことで形成される。フロント中央収容部42dは、フロント側軸方向壁部42bのフロント外側収容部42cより径方向内側、フロント内側収容部42eより径方向外側の中央部近傍がエンジン側に窪むことで形成される。フロント外側収容部42c、フロント中央収容部42d及びフロント内側収容部42eは、フロントサイドプレート42の周方向に沿って円弧状に形成される。フロント外側収容部42c、フロント中央収容部42d及びフロント内側収容部42eは、それぞれフロントサイドプレート42に対して周方向に等間隔に複数個形成されている。
リヤ外側収容部43cは、リヤ側軸方向壁部43bの径方向外側端部近傍が出力軸側に窪むことで形成される。リヤ内側収容部43eは、リヤ側軸方向壁部43bの径方向内側端部近傍が出力軸側に窪むことで形成される。リヤ中央収容部43dは、リヤ側軸方向壁部43bのリヤ外側収容部43cより径方向内側、リヤ内側収容部43eより径方向外側の中央部近傍が出力軸側に窪むことで形成される。リヤ外側収容部43c、リヤ中央収容部43d及びリヤ内側収容部43eは、リヤサイドプレート43の周方向に沿って円弧状に形成される。リヤ外側収容部43c、リヤ中央収容部43d及びリヤ内側収容部43eは、それぞれリヤサイドプレート43に対して周方向に等間隔に複数個形成されている。
そして、フロント外側収容部42cとリヤ外側収容部43cとが軸方向に対向し、フロント中央収容部42dとリヤ中央収容部43dとが軸方向に対向し、フロント内側収容部42eとリヤ内側収容部43eとが軸方向に対向する。
保持プレート44は、複数のダンパースプリング41を保持し、フロントカバー10からフロントサイドプレート42、リヤサイドプレート43に伝達されたエンジンからの駆動力が複数のダンパースプリング41を介して伝達されるものである。また、保持プレート44は、上述のようにロックアップピストン32が一体回転可能かつ軸方向に移動可能に設けられ、このロックアップピストン32にフロントサイドプレート42、リヤサイドプレート43から複数のダンパースプリング41を介して伝達されたエンジンからの駆動力を伝達するものである。
つまり、保持プレート44は、ロックアップクラッチ機構30のON時における駆動力の伝達方向に対して、ダンパースプリング41の下流側に位置し、被駆動側の部材であるロックアップピストン32に連結される。そして、保持プレート44は、駆動力の伝達方向に対して、ダンパースプリング41の上流側に位置し、駆動側の部材であるフロントカバー10に連結されるフロントサイドプレート42、リヤサイドプレート43によって挟み込まれることで、ダンパースプリング41と共にトルクコンバータ1の内部に保持される。
具体的には、保持プレート44は、上述のように回転軸線Xと同軸の円環板状に形成され、軸方向に対してフロントサイドプレート42とリヤサイドプレート43との間に挟み込まれるようにして配置されている。保持プレート44は、外側保持部44aと、中央保持部44bと、内側保持部44cと、スプライン44dとを有する。
外側保持部44a、中央保持部44b及び内側保持部44cは、ダンパースプリング41が挿入され、ダンパースプリング41を保持するものである。
外側保持部44aは、保持プレート44の径方向外側端部(すなわち、外周面側の端部)44eの近傍に円弧状に形成されたスリットである。内側保持部44cは、保持プレート44の径方向内側端部(すなわち、内周面側の端部)44fの近傍に円弧状に形成されたスリットである。中央保持部44bは、保持プレート44の外側保持部44aより径方向内側、内側保持部44cより径方向外側の中央部近傍に円弧状に形成されたスリットである。外側保持部44a、中央保持部44b及び内側保持部44cは、それぞれ保持プレート44に対して周方向に等間隔に複数個形成されている。
そして、外側保持部44a、中央保持部44b及び内側保持部44cは、外側保持部44aがフロント外側収容部42c、リヤ外側収容部43cと軸方向に対向し、中央保持部44bがフロント中央収容部42d、リヤ中央収容部43dと軸方向に対向し、内側保持部44cがフロント内側収容部42e、リヤ内側収容部43eと軸方向に対向する。
外側保持部44aは、径方向外側に配置される各外側ダンパースプリング41aが挿入されこれを保持し、フロントサイドプレート42のフロント外側収容部42cが保持プレート44の外側保持部44aに保持された各外側ダンパースプリング41aのうち保持プレート44よりエンジン側の部分を収容する一方、リヤサイドプレート43のリヤ外側収容部43cが保持プレート44より出力軸側の部分を収容する。中央保持部44bは、径方向中央部に配置される各中央ダンパースプリング41bが挿入されこれを保持し、フロントサイドプレート42のフロント中央収容部42dが保持プレート44の中央保持部44bに保持された各中央ダンパースプリング41bのうち保持プレート44よりエンジン側の部分を収容する一方、リヤサイドプレート43のリヤ中央収容部43dが保持プレート44より出力軸側の部分を収容する。内側保持部44cは、径方向内側に配置される各内側ダンパースプリング41cが挿入されこれを保持し、フロントサイドプレート42のフロント内側収容部42eが保持プレート44の内側保持部44cに保持された各内側ダンパースプリング41cのうち保持プレート44よりエンジン側の部分を収容する一方、リヤサイドプレート43のリヤ内側収容部43eが保持プレート44より出力軸側の部分を収容する。
ここで、各外側保持部44aは、その周方向の長さが各外側ダンパースプリング41aを付勢した状態で保持できる長さに設定されている。したがって、外側保持部44aに外側ダンパースプリング41aが保持されると、外側保持部44aの周方向における両端部が外側ダンパースプリング41aの両端部にそれぞれ接触することとなる。つまり、外側ダンパースプリング41aは、各外側保持部44aの周方向における両端部に接触し、両端部の間に付勢された状態で保持される。同様に、各中央保持部44bは、その周方向の長さが各中央ダンパースプリング41bを付勢した状態で保持できる長さに設定されている。したがって、中央保持部44bに中央ダンパースプリング41bが保持されると、中央保持部44bの周方向における両端部が中央ダンパースプリング41bの両端部にそれぞれ接触することとなる。つまり、中央ダンパースプリング41bは、各中央保持部44bの周方向における両端部に接触し、両端部の間に付勢された状態で保持される。各内側保持部44cは、その周方向の長さが各内側ダンパースプリング41cを付勢した状態で保持できる長さに設定されている。したがって、内側保持部44cに内側ダンパースプリング41cが保持されると、内側保持部44cの周方向における両端部が内側ダンパースプリング41cの両端部にそれぞれ接触することとなる。つまり、内側ダンパースプリング41cは、各内側保持部44cの周方向における両端部に接触し、両端部の間に付勢された状態で保持される。
そして、各フロント外側収容部42c、リヤ外側収容部43c、フロント中央収容部42d、リヤ中央収容部43d、フロント内側収容部42e、リヤ内側収容部43eの周方向における両端部は、各外側保持部44a、中央保持部44b、内側保持部44cに外側ダンパースプリング41a、中央ダンパースプリング41b、内側ダンパースプリング41cが保持されると、それぞれ外側ダンパースプリング41a、中央ダンパースプリング41b、内側ダンパースプリング41cの両端部に周方向において対向し、接触可能となる。
これにより、フロントカバー10に伝達されたエンジンからの駆動力の一部は、フロントカバー10からフロントサイドプレート42、リヤサイドプレート43に伝達され、各フロント外側収容部42c、リヤ外側収容部43c、フロント中央収容部42d、リヤ中央収容部43d、フロント内側収容部42e、リヤ内側収容部43eの周方向端部から各外側ダンパースプリング41a、中央ダンパースプリング41b、内側ダンパースプリング41cの一方の端部を介して各外側ダンパースプリング41a、中央ダンパースプリング41b、内側ダンパースプリング41cに伝達される。そして、各外側ダンパースプリング41a、中央ダンパースプリング41b、内側ダンパースプリング41cに伝達された駆動力は、各外側ダンパースプリング41a、中央ダンパースプリング41b、内側ダンパースプリング41cの他方の端部から各外側保持部44a、中央保持部44b、内側保持部44cの周方向端部を介して、保持プレート44に伝達される。
このように、各外側ダンパースプリング41a、中央ダンパースプリング41b、内側ダンパースプリング41cは、フロントカバー10からフロントサイドプレート42、リヤサイドプレート43に伝達されたエンジンからの駆動力を、保持プレート44を介してロックアップクラッチ機構30のロックアップピストン32に伝達する際に、両端部のうち一方の端部が各フロント外側収容部42c、リヤ外側収容部43c、フロント中央収容部42d、リヤ中央収容部43d、フロント内側収容部42e、リヤ内側収容部43eの端部にてフロントサイドプレート42、リヤサイドプレート43と接触し、他方の端部が各外側保持部44a、中央保持部44b、内側保持部44cの端部にて保持プレート44と接触することとなる。つまり、各外側ダンパースプリング41a、中央ダンパースプリング41b、内側ダンパースプリング41cは、フロントカバー10に伝達されたエンジンからの駆動力をフロントサイドプレート42、リヤサイドプレート43から保持プレート44に伝達する際に、フロントサイドプレート42、リヤサイドプレート43と保持プレート44とに接触し駆動力に応じて弾性変形しつつ、これらによって保持される。したがって、保持プレート44には、フロントサイドプレート42、リヤサイドプレート43に伝達されたエンジンからの駆動力が各外側ダンパースプリング41a、中央ダンパースプリング41b、内側ダンパースプリング41cを介して伝達され、フロントカバー10と同一方向に回転する。
保持プレート44は、上記のようにして複数のダンパースプリング41を外側保持部44a、中央保持部44b及び内側保持部44c内に保持すると共に、フロントカバー10に連結されるフロントサイドプレート42のフロント側軸方向壁部42b、リヤサイドプレート43のリヤ側軸方向壁部43bによって軸方向に挟み込まれることで、このフロントサイドプレート42とリヤサイドプレート43との間に複数のダンパースプリング41を保持した状態でフロントサイドプレート42、リヤサイドプレート43に対して相対回転可能に保持される。
これにより、保持プレート44と、フロントサイドプレート42、リヤサイドプレート43とを、例えば、リベットなどの部材により相対回転可能に連結する必要がないことから、このダンパー機構40を構成する部品点数を削減することができ、低コスト化を図ることができる。また、保持プレート44と、フロントサイドプレート42、リヤサイドプレート43とを相対回転可能に連結する部材としてリベットなどを設ける必要がないことから、このトルクコンバータ1を小型化することができる。
また、保持プレート44と、フロントサイドプレート42、リヤサイドプレート43とを、例えば、リベットなどの部材により相対回転可能に連結する必要がないことから、保持プレート44、フロントサイドプレート42、リヤサイドプレート43にリベットで締め付けるための平坦部分を確保する必要もないので、保持プレート44においてダンパースプリング41を保持するための領域(すなわち、外側保持部44a、中央保持部44b及び内側保持部44cの領域)、フロントサイドプレート42のフロント側軸方向壁部42b、リヤサイドプレート43のリヤ側軸方向壁部43bにおいてダンパースプリング41を収容するための領域(すなわち、フロント外側収容部42c、フロント中央収容部42d、フロント内側収容部42e、リヤ外側収容部43c、リヤ中央収容部43d及びリヤ内側収容部43eの領域)を広く確保することができる。この結果、ダンパー機構40にダンパースプリング41を比較的多く設けることができることから、各ダンパースプリング41のバネ定数を小さくし低バネ化して蓄積可能なエネルギーを多くすることができ、よって、ダンパー機構40における振動減衰特性、すなわち、ダンパー性能を向上することができるので、ロックアップクラッチ機構30のON時における振動低減性能を向上することができる。
スプライン44dは、第2連結手段としての第2連結部61を構成するものである。スプライン44dは、ロックアップピストン32の環状突起部32bに設けられたスプライン32cと共に第2連結部61をなす。保持プレート44は、径方向内側端部44fの内周面において軸方向に形成されたスプライン44dと、ロックアップピストン32の環状突起部32bの外周面において軸方向に形成されたスプライン32cとがスプライン嵌合することで、ロックアップピストン32を軸方向に移動可能で、かつ、この保持プレート44と一体回転可能に支持する。つまり、スプライン44dとスプライン32cとからなる第2連結部61は、保持プレート44の径方向内側端部44fにロックアップピストン32をスプライン嵌合によって一体回転可能かつ軸方向に移動可能に連結する。したがって、ロックアップピストン32は、スプライン44dとスプライン32cとにより構成される第2連結部61により、保持プレート44に一体回転可能かつ軸方向に移動可能に連結され、保持プレート44に伝達された駆動力が第2連結部61を介して伝達可能に連結される。
ここで、ロックアップピストン32は、上述したように径方向外側端部32aに摩擦材33が設けられる。さらに、ロックアップピストン32は、保持プレート44の径方向内側端部44fに設けられたスプライン44dより内側の位置に上述の環状突起部32bがエンジン側に突出するようにして形成されている。環状突起部32bは、回転軸線Xと同軸の円筒状に形成され、外周面に第2連結部61の一部をなすスプライン32cが形成されている。
また、ロックアップピストン32は、径方向内側端部に突出部32dが形成されている。突出部32dは、エンジン側に突出するようにして回転軸線Xと同軸の円筒状に形成されている。突出部32dは、フロントカバー10の本体部11の径方向内側に形成された段差部11aの内周面に対して軸方向に摺動自在に支持されている。つまり、ロックアップピストン32は、上述のように保持プレート44に対して軸方向に相対的に移動することでフロントカバー10に対して軸方向に摺動することができるので、摩擦材33のロックアッププレート31に対する相対距離を変化させることができる。そして、このロックアップピストン32の軸方向の摺動により、摩擦材33をロックアッププレート31に接触させることができ、またロックアッププレート31と非接触とすることができる。
ロックアップピストン32は、上記のようにしてダンパー機構40を構成するフロントサイドプレート42、リヤサイドプレート43、保持プレート44とは別体に形成されると共に、保持プレート44に対して軸方向に相対移動可能かつ一体回転可能に設けられる。例えば、ダンパースプリングを保持する部材にロックアップクラッチ機構における摩擦係合面の一方の面を設けたような従来のトルクコンバータでは、この摩擦係合面がダンパースプリングを設ける位置やダンパースプリングを保持する部材の形状などの影響をうけるおそれがあった。特に、低コスト化のためにダンパースプリングを保持する部材をプレス加工により製造するような場合、プレス加工により成形された部材において摩擦係合面を設けられない曲面部分が増加するおそれがあり、摩擦係合面を広く確保することがより困難となるおそれがあった。
しかしながら本実施形態のトルクコンバータ1では、フロントサイドプレート42、リヤサイドプレート43、保持プレート44とは別体に形成されるロックアップピストン32が保持プレート44に対して軸方向に相対移動可能かつ一体回転可能に設けられることから、ダンパースプリング41を設ける位置やフロントサイドプレート42、リヤサイドプレート43、保持プレート44の形状などにかかわらず、ロックアップピストン32に摩擦材33を設ける平坦な領域を広く確保することができるので、ロックアップクラッチ機構30における摩擦係合面を広く確保することができる。つまり、ロックアップピストン32によってダンパースプリング41を保持する必要がないので、ロックアップクラッチ機構30における摩擦係合面を広く確保することができる。
なお、ロックアップピストン32の突出部32dと段差部11aとの間には、段差部11aを摺動する突出部32dと段差部11aとの間からの作動油の漏れを抑制するシール部材Pが配置されている。また、ロックアップピストン32の径方向外側端部32aは、フロントカバー10の内周面近傍まで延在して形成されている。したがって、トルクコンバータ1の内部は、ロックアッププレート31、タービンハブ22d及びロックアップピストン32により、流体伝達機構20が位置する流体伝達機構空間部Aと、ロックアップクラッチ機構30の摩擦材33が位置するクラッチ空間部Bと、ダンパー機構40が位置するダンパー機構空間部Cとに区画される。クラッチ空間部Bは、ロックアッププレート31、タービンハブ22dとロックアップピストン32との間の空間、流体伝達機構空間部Aは、ロックアッププレート31、タービンハブ22dを挟んで出力軸側の空間、ダンパー機構空間部Cは、ロックアップピストン32を挟んでエンジン側の空間である。そして、このダンパー機構空間部Cは、上述したように、ロックアップピストン32を軸方向に沿って移動させるための油圧押圧力を発生させるピストン油圧室34として機能する。
トルクコンバータ1は、ロックアッププレート31とポンプシェル21bとの間に形成される流体伝達機構空間部A、ロックアッププレート31、タービンハブ22dとロックアップピストン32との間に形成されるクラッチ空間部B、ロックアップピストン32とフロントカバー10との間に形成されピストン油圧室34として機能するダンパー機構空間部Cのうちの少なくとも1つに図示しない油圧制御手段から作動油が供給される。ここで、油圧制御手段は、クラッチ空間部Bの油圧と、流体伝達機構空間部A、ピストン油圧室34として機能するダンパー機構空間部Cの油圧との圧力差、すなわち、ロックアップクラッチ機構30のロックアッププレート31の出力軸側の面、ロックアップピストン32のエンジン側の面に軸方向に作用する押圧力を制御することができる。油圧制御手段は、ロックアップクラッチ機構30のON制御時に、例えば、流体伝達機構空間部Aに作動油を供給し、クラッチ空間部Bからトルクコンバータ1の外部に排出することで、クラッチ空間部Bの油圧を低下させ、ピストン油圧室34として機能するダンパー機構空間部Cの油圧をクラッチ空間部Bの油圧よりも大きくし、ロックアップピストン32をロックアッププレート31に接近する側(出力軸側)に移動させ、摩擦材33をロックアッププレート31と接触させ、摩擦係合させて、ロックアップピストン32とロックアッププレート31とを一体回転させる。また、油圧制御手段は、ロックアップクラッチ機構30のOFF制御時に、例えば、クラッチ空間部Bに作動油を供給し、流体伝達機構空間部Aからトルクコンバータ1の外部に作動油を排出することで、クラッチ空間部Bの油圧をピストン油圧室34として機能するダンパー機構空間部Cの油圧よりも大きく、あるいは同等とし、ロックアップピストン32をロックアッププレート31から離間する側(エンジン側)に移動させ、ロックアッププレート31と摩擦係合していた摩擦材33をロックアッププレート31から離間させ、摩擦係合を解除し、ロックアップピストン32とロックアッププレート31との一体回転を解除する。
次に、本実施形態に係るトルクコンバータ1の動作について説明する。エンジンが駆動力を発生し、エンジン出力軸110が回転すると、エンジンからの駆動力がドライブプレート100を介してフロントカバー10に伝達される。フロントカバー10に伝達されたエンジンからの駆動力は、フロントカバー10に連結されているポンプインペラ21のポンプシェル21bに伝達され、ポンプインペラ21が回転する。流体伝達機構空間部Aの作動油は、ポンプインペラ21が回転すると、ポンプブレード21aとタービンブレード22aとステータ23のステータブレード23aの間を循環し、流体継手として作用する。これにより、フロントカバー10に伝達されたエンジンからの駆動力が、ポンプインペラ21及び作動油を介してタービンライナ22に伝達され、タービンライナ22がフロントカバー10と同一方向に回転する。このとき、ステータ23は、ステータブレード23aを介してポンプブレード21aとタービンブレード22aとの間を循環する作動油の流れを変化させ、これにより、このトルクコンバータ1は、所定のトルク特性を得ることができる。
また、フロントカバー10に伝達されたエンジンからの駆動力は、上述のように、第1連結部60を介してフロントサイドプレート42、リヤサイドプレート43に伝達され、フロントサイドプレート42、リヤサイドプレート43からダンパースプリング41を介して保持プレート44に伝達される。さらに、保持プレート44に伝達された駆動力は、第2連結部61を介して摩擦材33が設けられたロックアップピストン32に伝達される。つまり、フロントカバー10に伝達されたエンジンからの駆動力の一部は、ダンパー機構40を介してロックアップクラッチ機構30のロックアップピストン32に伝達され、このロックアップピストン32がフロントカバー10と同一方向に回転する。
そして、ロックアップクラッチ機構30のOFF時は、ロックアッププレート31とロックアップピストン32に設けられた摩擦材33との摩擦係合が解除されている。したがって、上記のように作動油を介してタービンライナ22に伝達されたエンジンからの駆動力は、タービンハブ22dを介して出力軸50が伝達される。つまり、ロックアップクラッチ機構30のOFF時は、フロントカバー10に伝達されたエンジンからの駆動力が流体伝達機構20を介して出力軸50に伝達される。
一方、ロックアップクラッチ機構30のON時は、ロックアッププレート31とロックアップピストン32に設けられた摩擦材33とが摩擦係合することで、ロックアッププレート31とロックアップピストン32とが一体回転する。したがって、ダンパー機構40を介してロックアップクラッチ機構30のロックアップピストン32に伝達されたエンジンからの駆動力は、ロックアッププレート31、タービンハブ22dを介して出力軸50に伝達される。つまり、ロックアップクラッチ機構30のON時は、フロントカバー10に伝達されたエンジンからの駆動力がダンパー機構40及びロックアップクラッチ機構30を介して出力軸50に伝達される。
このとき、ロックアップクラッチ機構30がOFF時からON時、あるいはON時からOFF時に切り替わる場合や、エンジンからの駆動力が変動した場合、出力軸50に伝達される路面からの抵抗力が変動した場合などでは、こもり音が発生するおそれがある。ここで、各外側ダンパースプリング41a、中央ダンパースプリング41b、内側ダンパースプリング41cは、上述のように周方向の両端部のうち一方の端部がフロント外側収容部42c、フロント中央収容部42d、フロント内側収容部42e、リヤ外側収容部43c、リヤ中央収容部43d、リヤ内側収容部43eを介してフロントサイドプレート42、リヤサイドプレート43と接触し、他方の端部が外側保持部44a、中央保持部44b、内側保持部44cを介して保持プレート44と接触している。つまり、各外側ダンパースプリング41a、中央ダンパースプリング41b、内側ダンパースプリング41cは、ロックアップクラッチ機構30のON時に、フロントカバー10に伝達されたエンジンからの駆動力をロックアップクラッチ機構30に伝達する際に、周方向の両端部のうち一方の端部がフロントサイドプレート42、リヤサイドプレート43と接触し、他方の端部が保持プレート44と接触することとなる。そして、保持プレート44に保持された各外側ダンパースプリング41a、中央ダンパースプリング41b、内側ダンパースプリング41cは、フロントサイドプレート42、リヤサイドプレート43と保持プレート44との間で伝達される力の変化に応じて、フロントサイドプレート42、リヤサイドプレート43と保持プレート44との間で弾性変形する。これにより、ロックアップクラッチ機構30のON時は、ダンパー機構40により複数のダンパースプリング41を介してフロントカバー10とロックアップピストン32とが相対回転可能に連結されることからこもり音を低減することができる。
以上で説明した本発明の実施形態に係るトルクコンバータ1によれば、エンジンからフロントカバー10に伝達された駆動力を作動流体としての作動油を介して出力軸50に伝達可能な流体伝達機構20と、フロントカバー10に伝達された駆動力をロックアップピストン32を介して出力軸50に伝達可能なロックアップクラッチ機構30と、フロントカバー10と一体回転可能に設けられるフロント側軸方向壁部42b、リヤ側軸方向壁部43bと、ロックアップピストン32が一体回転可能に設けられると共に軸方向に対する両側でフロント側軸方向壁部42b、リヤ側軸方向壁部43bに挟まれて複数のダンパースプリング41を保持する保持プレート44とを有し、ダンパースプリング41を介してフロントカバー10とロックアップピストン32とを相対回転可能に連結するダンパー機構40とを備える。
したがって、複数のダンパースプリング41を保持する保持プレート44をフロントカバー10に連結されるフロントサイドプレート42のフロント側軸方向壁部42bとリヤサイドプレート43のリヤ側軸方向壁部43bとの間に挟んで相対回転可能に保持することから、ダンパー機構40にダンパースプリング41を設けるための領域を広く確保することができ、ダンパースプリング41を比較的多く設けることができるので、振動低減性能を向上することができる。この結果、こもり音などの発生を抑制することができ、ロックアップクラッチ機構30をONにすることができる回転数領域を拡大することができ、比較的に低回転数の領域でロックアップクラッチ機構30をONにすることができることから燃費を向上できる。また、保持プレート44と、フロントサイドプレート42、リヤサイドプレート43とを相対回転可能に連結する部材として、例えば、リベットなどを設ける必要がないことから、このダンパー機構40を構成する部品点数を削減することができ、低コスト化を図ることができると共に小型化することができる。
また、フロントサイドプレート42、リヤサイドプレート43、保持プレート44とは別体に形成されるロックアップピストン32が保持プレート44に対して一体回転可能に設けられることから、ダンパースプリング41を設ける位置やフロントサイドプレート42、リヤサイドプレート43、保持プレート44の形状などにかかわらず、ロックアップピストン32に摩擦材33を設ける平坦な領域を広く確保することができるので、ロックアップクラッチ機構30における摩擦係合面を広く確保することができる。この結果、ロックアップクラッチ機構30の摩擦係合性能の安定性を向上することができ、耐久性を向上することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るトルクコンバータ1によれば、軸方向に対して保持プレート44とフロントカバー10との間に設けられると共にフロントカバー10に一体回転可能に連結され軸方向に対して保持プレート44と対向する面にフロント側軸方向壁部42bが設けられるフロントカバー10側のフロントサイドプレート42と、軸方向に対してロックアップピストン32と保持プレート44との間に設けられると共にフロントカバー10に一体回転可能に連結され軸方向に対して保持プレート44と対向する面にリヤ側軸方向壁部43bが設けられるロックアップピストン32側のリヤサイドプレート43とを備える。したがって、フロントカバー10に一体回転可能に連結されるフロントサイドプレート42、リヤサイドプレート43の保持プレート44と対向する面にフロント側軸方向壁部42b、リヤ側軸方向壁部43bを設けることから、フロント側軸方向壁部42b、リヤ側軸方向壁部43bをフロントカバー10と一体回転可能に設けることができると共に、フロント側軸方向壁部42b、リヤ側軸方向壁部43bにより適正に保持プレート44を軸方向に挟んで保持することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るトルクコンバータ1によれば、フロントサイドプレート42、リヤサイドプレート43の径方向外側端部に形成された連結突起部42a、連結突起部43aと、フロントカバー10において径方向に対して連結突起部42a、連結突起部43aと対向する部分に形成された連結溝部12aとを有し、連結突起部42a、連結突起部43aと連結溝部12aとが係合してフロントカバー10とフロントサイドプレート42、リヤサイドプレート43とを一体回転可能に連結する第1連結部60を備える。したがって、フロントサイドプレート42、リヤサイドプレート43は、連結突起部42a、連結突起部43aと連結溝部12aとにより構成される第1連結部60により、確実にフロントカバー10と一体回転可能に連結され、フロントカバー10とフロントサイドプレート42、リヤサイドプレート43とを第1連結部60を介して駆動力を伝達可能に連結することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るトルクコンバータ1によれば、保持プレート44の径方向内側端部44fにロックアップピストン32をスプライン嵌合によって一体回転可能かつ軸方向に移動可能に連結する第2連結部61を備える。したがって、スプライン44dとスプライン32cとにより構成される第2連結部61により、ロックアップピストン32を保持プレート44に一体回転可能かつ軸方向に移動可能に連結することができ、保持プレート44とロックアップピストン32とを第2連結部61を介して駆動力を伝達可能に連結することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るトルクコンバータ1によれば、フロント側軸方向壁部42b、リヤ側軸方向壁部43bは、少なくともダンパースプリング41の一部分が収容されるフロント外側収容部42c、フロント中央収容部42d、フロント内側収容部42e又はリヤ外側収容部43c、リヤ中央収容部43d、リヤ内側収容部43eを有し、ダンパースプリング41は、フロントカバー10に伝達された駆動力をロックアップピストン32に伝達する際に、周方向における両端部のうち一方の端部がフロント外側収容部42c、フロント中央収容部42d、フロント内側収容部42e、リヤ外側収容部43c、リヤ中央収容部43d、リヤ内側収容部43eのいずれかの端部と接触し、他方の端部が保持プレート44と接触する。したがって、フロントカバー10からフロント側軸方向壁部42b、リヤ側軸方向壁部43bが設けられたフロントサイドプレート42、リヤサイドプレート43に伝達された駆動力をフロント外側収容部42c、フロント中央収容部42d、フロント内側収容部42e、リヤ外側収容部43c、リヤ中央収容部43d、リヤ内側収容部43eの端部を介してダンパースプリング41に伝達し、さらにダンパースプリング41から保持プレート44に伝達して適正にロックアップピストン32に伝達することができる。
(実施形態2)
図2は、本発明の実施形態2に係るトルクコンバータの要部断面図、図3は、本発明の実施形態2に係るトルクコンバータが備えるフロントカバーの出力軸側の正面図、図4は、本発明の実施形態2に係るトルクコンバータが備えるフロントカバーの部分断面図(図3に示すD−D断面図)である。実施形態2に係る流体伝達装置は、実施形態1に係る流体伝達装置と略同様の構成であるがフロントカバー側のサイド部材を備えていない点で実施形態1に係る流体伝達装置とは異なる。その他、上述した実施形態と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略するとともに、同一の符号を付す。
実施形態2に係る流体伝達装置としてのトルクコンバータ201は、図2に示すように、ダンパー手段としてのダンパー機構240を備える。ダンパー機構240は、複数の弾性体としての複数のダンパースプリング241と、サイド部材としてのリヤサイドプレート243と、保持部材としての保持プレート244とを有する。つまり、本実施形態のダンパー機構240は、実施形態1で説明したフロントカバー10(図1参照)側のサイド部材としてのフロントサイドプレート42(図1参照)を備えておらず、かわりに、エンジンの駆動力が伝達されるフロントカバー210がこのフロントサイドプレート42に相当する部材として兼用される。
本実施形態のダンパー機構240は、軸方向に対してエンジン側から出力軸側に向かって、フロントカバー210、保持プレート244及び複数のダンパースプリング241、リヤサイドプレート243の順番で配置されている。すなわち、本実施形態では、保持プレート244及びこの保持プレート244により保持される複数のダンパースプリング241は、軸方向に対してフロントカバー210とリヤサイドプレート243との間に挟み込まれるようにして配置されている。つまり、フロントカバー210及びリヤサイドプレート243は、軸方向に対してフロントカバー210とリヤサイドプレート243との間の空間部分に保持プレート244及び複数のダンパースプリング241を挟み込みこれらを保持するものである。
複数のダンパースプリング241は、本実施形態では、径方向外側に配置される複数の外側ダンパースプリング241aと、径方向内側に配置される複数の内側ダンパースプリング241bとを含んでいる。
ここで、本実施形態のフロントカバー210は、本体部211に軸方向壁部としてのフロント側軸方向壁部211b及び弾性体収容部としてのフロント収容部211cが設けられている。
フロント側軸方向壁部211bは、軸方向に対する保持プレート244の両側を挟み込む軸方向壁部のうちの一方の軸方向壁部であり、フロントカバー210の本体部211の出力軸側の面、すなわち、リヤサイドプレート243側の面、さらに言えば、保持プレート244と対向する面に設けられる。したがって、このフロント側軸方向壁部211bは、フロントカバー210と一体回転可能である。
そして、フロントカバー210は、このフロント側軸方向壁部211bにフロント収容部211cが形成される。フロント収容部211cは、少なくとも保持プレート244により保持される各ダンパースプリング241の一部分を収容するものである。
フロント収容部211cは、図2、図3、図4に示すように、本体部211のフロント側軸方向壁部211bにおいてこのフロント側軸方向壁部211bの背面側にセットブロック13が設けられていない領域に設けられる。フロント収容部211cは、フロント側軸方向壁部211bの背面、すなわち、本体部211のエンジン側の面に周方向に複数形成されているセットブロック13の間の領域において、フロント側軸方向壁部211bがエンジン側に窪むことで空間部として形成される。各フロント収容部211cは、フロントカバー210の周方向に沿って円弧状に形成される。つまり、フロントカバー210は、周方向に対する各セットブロック13の間のブロック間空間部に各フロント収容部211cがエンジン側に突出するように形成されている。
この各フロント収容部211cの周方向の両端面211d、211eは、保持プレート244にダンパースプリング241が保持されると、ダンパースプリング241の両端部にそれぞれ周方向において対向し接触可能となる。
リヤサイドプレート243は、連結突起部243aと、軸方向壁部としてのリヤ側軸方向壁部243bと、弾性体収容部としてのリヤ外側収容部243c、リヤ内側収容部243dとを有する。
連結突起部243aは、フロントカバー210の連結溝部12aと共に第1連結手段としての第1連結部260を構成する。したがって、フロントカバー210にリヤサイドプレート243が挿入されると、第1連結部260をなす連結突起部243aがそれぞれ連結溝部12aに挿入され係合することで、リヤサイドプレート243がフロントカバー210に対して相対回転することが規制される。つまり、リヤサイドプレート243は、連結突起部243aと連結溝部12aとにより構成される第1連結部260により、フロントカバー210と一体回転可能に連結され、フロントカバー210から駆動力が伝達可能に連結される。
なお、本実施形態の第1連結部260は、リヤサイドプレート243のみをフロントカバー210と一体回転可能に連結するものである。したがって、本実施形態の第1連結部260は、実施形態1の第1連結部60(図1参照)のように、フロントサイドプレート42(図1参照)とリヤサイドプレート43(図1参照)との間に保持プレート44(図1参照)及び複数のダンパースプリング41(図1参照)を設けるための空間部分を確保するためのスペーサ60a(図1参照)を設ける必要がない。この結果、このダンパー機構240を構成する部品点数を削減することができ、低コスト化を図ることができると共に軽量化を図ることができる。
リヤ側軸方向壁部243bは、軸方向に対する保持プレート244の両側を挟み込む軸方向壁部のうちの他方の軸方向壁部であり、リヤサイドプレート243のエンジン側の面、すなわち、フロントカバー210側の面、さらに言えば、保持プレート244と対向する面に設けられる。したがって、リヤ側軸方向壁部243bは、リヤサイドプレート243が第1連結部260によりフロントカバー210と一体回転可能に連結されることから、フロントカバー210と一体回転可能である。
そして、リヤサイドプレート243は、このリヤ側軸方向壁部243bにリヤ外側収容部243c、リヤ内側収容部243dが形成される。リヤ外側収容部243c、リヤ内側収容部243dは、少なくとも保持プレート244により保持される各ダンパースプリング241の一部分を収容するものである。リヤ外側収容部243cは、リヤ側軸方向壁部243bの径方向外側端部近傍が出力軸側に窪むことで形成される。リヤ内側収容部243dは、リヤ側軸方向壁部243bの径方向内側端部近傍が出力軸側に窪むことで形成される。リヤ外側収容部243c、リヤ内側収容部243dは、リヤサイドプレート243の周方向に沿って円弧状に形成される。リヤ外側収容部243c、リヤ内側収容部243dは、それぞれリヤサイドプレート243に対して周方向に等間隔に複数個形成されている。
このリヤ外側収容部243c、リヤ内側収容部243dは、ともにフロント収容部
211cと軸方向に対向する。
保持プレート244は、軸方向に対してフロントカバー210とリヤサイドプレート243との間に挟み込まれるようにして配置されている。保持プレート244は、外側保持部244aと、内側保持部244bと、スプライン244dとを有する。
外側保持部244aは、保持プレート244の径方向外側端部244eの近傍に円弧状に形成されたスリットである。内側保持部244bは、保持プレート244の径方向内側端部244fの近傍に円弧状に形成されたスリットである。外側保持部244a、内側保持部244bは、それぞれ保持プレート244に対して周方向に等間隔に複数個形成されている。
そして、外側保持部244a、内側保持部244bは、外側保持部244aがフロント収容部211c、リヤ外側収容部243cと軸方向に対向し、内側保持部244bがフロント収容部211c、リヤ内側収容部243dと軸方向に対向する。
外側保持部244aは、径方向外側に配置される各外側ダンパースプリング241aが挿入されこれを保持し、フロントカバー210のフロント収容部211cが保持プレート244の外側保持部244aに保持された各外側ダンパースプリング241aのうち保持プレート244よりエンジン側の部分を収容する一方、リヤサイドプレート243のリヤ外側収容部243cが保持プレート244より出力軸側の部分を収容する。内側保持部244bは、径方向内側に配置される各内側ダンパースプリング241bが挿入されこれを保持し、フロントカバー210のフロント収容部211cが保持プレート244の内側保持部244bに保持された各内側ダンパースプリング241bのうち保持プレート244よりエンジン側の部分を収容する一方、リヤサイドプレート243のリヤ内側収容部243dが保持プレート244より出力軸側の部分を収容する。
各外側保持部244aは、その周方向の長さが各外側ダンパースプリング241aを付勢した状態で保持できる長さに設定されている。したがって、外側保持部244aに外側ダンパースプリング241aが保持されると、外側保持部244aの周方向における両端部が外側ダンパースプリング241aの両端部にそれぞれ接触することとなる。つまり、外側ダンパースプリング241aは、各外側保持部244aの周方向における両端部に接触し、両端部の間に付勢された状態で保持される。各内側保持部244bは、その周方向の長さが各内側ダンパースプリング241bを付勢した状態で保持できる長さに設定されている。したがって、内側保持部244bに内側ダンパースプリング241bが保持されると、内側保持部244bの周方向における両端部が内側ダンパースプリング241bの両端部にそれぞれ接触することとなる。つまり、内側ダンパースプリング241bは、各内側保持部244bの周方向における両端部に接触し、両端部の間に付勢された状態で保持される。
そして、各フロント収容部211c、リヤ外側収容部243c、リヤ内側収容部243dの周方向における両端部は、各外側保持部244a、内側保持部244bに外側ダンパースプリング241a、内側ダンパースプリング241bが保持されると、それぞれ外側ダンパースプリング241a、内側ダンパースプリング241bの両端部に周方向において対向し、接触可能となる。
これにより、フロントカバー210に伝達されたエンジンからの駆動力の一部は、フロントカバー210からリヤサイドプレート243に伝達され、フロントカバー210の各フロント収容部211c及びリヤサイドプレート243の各リヤ外側収容部243c、リヤ内側収容部243dの周方向端部から各外側ダンパースプリング241a、内側ダンパースプリング241bの一方の端部を介して各外側ダンパースプリング241a、内側ダンパースプリング241bに伝達される。そして、各外側ダンパースプリング241a、内側ダンパースプリング241bに伝達された駆動力は、各外側ダンパースプリング241a、内側ダンパースプリング241bの他方の端部から各外側保持部244a、内側保持部244bの周方向端部を介して、保持プレート244に伝達される。
このように、各外側ダンパースプリング241a、内側ダンパースプリング241bは、フロントカバー210に伝達されたエンジンからの駆動力及びフロントカバー210からリヤサイドプレート243に伝達されたエンジンからの駆動力を、保持プレート244を介してロックアップクラッチ機構(ロックアップ手段)230のロックアップピストン(係合部材)232に伝達する際に、両端部のうち一方の端部がフロント収容部211c、リヤ外側収容部243c、リヤ内側収容部243dの端部にてフロントカバー210、リヤサイドプレート243と接触し、他方の端部が各外側保持部244a、内側保持部244bの端部にて保持プレート244と接触することとなる。つまり、各外側ダンパースプリング241a、内側ダンパースプリング241bは、フロントカバー210に伝達されたエンジンからの駆動力をフロントカバー210及びリヤサイドプレート243から保持プレート244に伝達する際に、フロントカバー210、リヤサイドプレート243と保持プレート244とに接触し駆動力に応じて弾性変形しつつ、これらによって保持される。したがって、保持プレート244には、フロントカバー210、リヤサイドプレート243に伝達されたエンジンからの駆動力が各外側ダンパースプリング241a、内側ダンパースプリング241bを介して伝達され、フロントカバー210と同一方向に回転する。
保持プレート244は、上記のようにして複数のダンパースプリング241を外側保持部244a、内側保持部244b内に保持すると共に、フロントカバー210の出力軸側の面に形成されるフロント側軸方向壁部211bとフロントカバー210に連結されるリヤサイドプレート243のリヤ側軸方向壁部243bによって軸方向に挟み込まれることで、このフロントカバー210とリヤサイドプレート243との間に複数のダンパースプリング241を保持した状態でフロントカバー210、リヤサイドプレート243に対して相対回転可能に保持される。
これにより、保持プレート244と、フロントカバー210、リヤサイドプレート243とを、例えば、リベットなどの部材により相対回転可能に連結する必要がないことから、このダンパー機構240を構成する部品点数を削減することができ、このトルクコンバータ201を小型化することができる。また、保持プレート244においてダンパースプリング241を保持するための領域(すなわち、外側保持部244a、内側保持部244bの領域)、フロントカバー210のフロント側軸方向壁部211b、リヤサイドプレート243のリヤ側軸方向壁部243bにおいてダンパースプリング241を収容するための領域(すなわち、フロント収容部211c、リヤ外側収容部243c、リヤ内側収容部243dの領域)を広く確保することができる。この結果、ダンパー機構240にダンパースプリング241を比較的多く設けることができることから、各ダンパースプリング241のバネ定数を小さくし低バネ化して蓄積可能なエネルギーを多くすることができ、よって、ダンパー機構240における振動減衰特性、すなわち、ダンパー性能を向上することができるので、ロックアップクラッチ機構230のON時における振動低減性能を向上することができる。
そしてさらに、本実施形態のトルクコンバータ201では、フロントカバー側のサイド部材として、エンジンの駆動力が伝達されるフロントカバー210を兼用することから、ダンパー機構240を構成する部品点数をさらに削減することができ、さらなる低コスト化を図ることができると共に軽量化を図ることができる。このトルクコンバータ201では、フロントカバー210の内側のフロント側軸方向壁部211bにおいて、このフロント側軸方向壁部211bの背面側にセットブロック13が設けられていない領域にフロント収容部211cを形成し、形成されたフロント収容部211cに各ダンパースプリング241の一部分を収容するので、ドライブプレート100とフロントカバー210との間に形成されていたスペースを、各ダンパースプリング241を収容する空間部に用いることができる。つまり、軸方向の長さを短縮することができさらなる小型化を図ることができ、よって、搭載性を向上することができる。そして、ダンパー機構240のさらなる軽量化により、ダンパー機構240のダンパー性能をさらに向上することができ、さらなる振動の低減、燃費の向上を図ることができる。また、ロックアップクラッチ機構230とフロントカバー210との間の各ダンパースプリング241を収容する空間部は、フロントカバー210を軸方向に延長することなく、軸方向に拡大することができるので、ダンパー機構240の各ダンパースプリング241として外径の大きいコイルスプリングを用いることができる。これにより、各ダンパースプリング241のさらなる低バネ化を図ることができ、トルクコンバータ201の大型化を抑制しつつ、さらなる振動低減を図ることができる。
スプライン244dは、第2連結手段としての第2連結部261を構成するものである。スプライン244dは、ロックアップピストン232の環状突起部232bに設けられたスプライン232cと共に第2連結部261をなす。保持プレート244は、径方向内側端部244fの内周面において軸方向に形成されたスプライン244dと、ロックアップピストン232の環状突起部232bの外周面において軸方向に形成されたスプライン232cとがスプライン嵌合することで、ロックアップピストン232を軸方向に移動可能で、かつ、この保持プレート244と一体回転可能に支持する。つまり、スプライン244dとスプライン232cとからなる第2連結部261は、保持プレート244の径方向内側端部244fにロックアップピストン232をスプライン嵌合によって一体回転可能かつ軸方向に移動可能に連結する。したがって、ロックアップピストン232は、スプライン244d とスプライン232cとにより構成される第2連結部261により、保持プレート244に一体回転可能かつ軸方向に移動可能に連結され、保持プレート244に伝達された駆動力が第2連結部261を介して伝達可能に連結される。
なお、本実施形態では、ロックアップクラッチ機構230は、ロックアッププレート231と、上述のロックアップピストン232と、摩擦材233と、ピストン油圧室34とを有しており、ここでは、ロックアッププレート231側に摩擦材233が設けられている。すなわち、本実施形態では、ロックアップピストン232と摩擦材233とがロックアップクラッチ機構230における摩擦係合面を構成する。
この摩擦材233が設けられるロックアッププレート231は、径方向外側端部(すなわち、外周面側の端部)231bがタービンシェル22b側に、すなわち、出力軸側に向かって折れ曲がるように形成され、径方向外側端部231bの先端部がタービンシェル22bの径方向外側端部22iと間隔をあけた所定の位置まで延設されている。そして、摩擦材233は、ロックアッププレート231においてロックアップピストン232の径方向外側端部232a近傍と軸方向に対向するエンジン側の面に設けられている。なお、ロックアップピストン232は、保持プレート244の径方向内側端部244fに設けられたスプライン244dより内側の位置に上述の環状突起部232bがエンジン側に突出するようにして形成されている。
以上で説明した本発明の実施形態に係るトルクコンバータ201によれば、複数のダンパースプリング241を保持する保持プレート244をフロントカバー210のフロント側軸方向壁部211bと、フロントカバー210に連結されるリヤサイドプレート243のリヤ側軸方向壁部243bとの間に挟んで相対回転可能に保持することから、ダンパー機構240にダンパースプリング241を設けるための領域を広く確保することができ、ダンパースプリング241を比較的多く設けることができるので、振動低減性能を向上することができる。この結果、こもり音などの発生を抑制することができ、ロックアップクラッチ機構230をONにすることができる回転数領域を拡大することができ、比較的に低回転数の領域でロックアップクラッチ機構230をONにすることができることから燃費を向上できる。また、保持プレート244と、リヤサイドプレート243とを相対回転可能に連結する部材として、例えば、リベットなどを設ける必要がないことから、このダンパー機構240を構成する部品点数を削減することができ、低コスト化を図ることができると共に小型化することができる。また、リヤサイドプレート243、保持プレート244とは別体に形成されるロックアップピストン232が保持プレート244に対して軸方向に相対移動可能かつ一体回転可能に設けられることから、ダンパースプリング241を設ける位置やリヤサイドプレート243、保持プレート244の形状などにかかわらず、ロックアップピストン232に摩擦材233が接触可能な平坦な領域を広く確保することができるので、ロックアップクラッチ機構230における摩擦係合面を広く確保することができる。この結果、ロックアップクラッチ機構230の摩擦係合性能の安定性を向上することができ、耐久性を向上することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るトルクコンバータ201によれば、軸方向に対してロックアップピストン232と保持プレート244との間に設けられると共にフロントカバー210に一体回転可能に連結され軸方向に対して保持プレート244と対向する面にリヤ側軸方向壁部243bが設けられるリヤサイドプレート243を備え、フロントカバー210は、軸方向に対して保持プレート244と対向する面にフロント側軸方向壁部211bが設けられる。したがって、フロント側軸方向壁部211b、リヤ側軸方向壁部243bをフロントカバー210と一体回転可能に設けることができると共に、フロント側軸方向壁部211b、リヤ側軸方向壁部243bにより適正に保持プレート244を軸方向に挟んで保持することができる。そして、保持プレート244の軸方向フロントカバー側のサイド部材として、フロントカバー210を兼用することから、ダンパー機構240を構成する部品点数をさらに削減することができ、さらなる低コスト化を図ることができると共に軽量化を図ることができる。また、トルクコンバータ201の軸方向の長さを短縮することができさらなる小型化を図ることができ、搭載性を向上することができる。そして、ダンパー機構240のさらなる軽量化、小型化により、ダンパー機構240のダンパー性能をさらに向上することができ、さらなる振動の低減、燃費の向上を図ることができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るトルクコンバータ201によれば、フロント側軸方向壁部211bが設けられたフロントカバー210に伝達された駆動力、フロントカバー210からリヤ側軸方向壁部243bが設けられたリヤサイドプレート243に伝達された駆動力をフロント収容部211c、リヤ外側収容部243c、リヤ内側収容部243dの端部を介してダンパースプリング241に伝達し、さらにダンパースプリング241から保持プレート244に伝達して適正にロックアップピストン232に伝達することができる。
(実施形態3)
図5は、本発明の実施形態3に係るトルクコンバータの要部断面図である。実施形態3に係る流体伝達装置は、実施形態1に係る流体伝達装置と略同様の構成であるが第2連結手段にかえて第3連結手段及び第4連結手段を備える点で実施形態1に係る流体伝達装置とは異なる。その他、上述した実施形態と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略するとともに、同一の符号を付す。
実施形態3に係る流体伝達装置としてのトルクコンバータ301は、図5に示すように、ダンパー手段としてのダンパー機構340を備える。ダンパー機構340は、複数の弾性体としての複数のダンパースプリング341と、サイド部材としてのフロントサイドプレート342及びリヤサイドプレート343と、保持部材としての保持プレート344とを有する。
ダンパー機構340は、軸方向に対してエンジン側から出力軸側に向かって、フロントサイドプレート342、保持プレート344及び複数のダンパースプリング341、リヤサイドプレート343の順番で配置されている。
複数のダンパースプリング341は、径方向外側に配置される複数の外側ダンパースプリング341aと、径方向中央部に配置される複数の中央ダンパースプリング341bと、径方向内側に配置される複数の内側ダンパースプリング341cと、内側ダンパースプリング341cよりもさらに径方向内側に配置される複数の最内ダンパースプリング341dとを含んでいる。
フロントサイドプレート342は、連結突起部42aと、軸方向壁部としてのフロント側軸方向壁部342bと、弾性体収容部としてのフロント外側収容部342c、フロント中央収容部342d、フロント内側収容部342e、フロント最内収容部342fとを有する。一方、リヤサイドプレート343は、連結突起部43aと、軸方向壁部としてのリヤ側軸方向壁部343bと、弾性体収容部としてのリヤ外側収容部343c、リヤ中央収容部343d、リヤ内側収容部343e、リヤ最内収容部343fとを有する。
フロントサイドプレート342の連結突起部42a、リヤサイドプレート343の連結突起部43aは、フロントカバー10の連結溝部12aと共に第1連結手段としての第1連結部60を構成する。
フロント側軸方向壁部342bは、フロントサイドプレート342の保持プレート344と対向する面に設けられる。リヤ側軸方向壁部343bは、リヤサイドプレート343の保持プレート344と対向する面に設けられる。つまり、フロントサイドプレート342のフロント側軸方向壁部342bとリヤサイドプレート343のリヤ側軸方向壁部343bとは、軸方向に対して保持プレート344を挟んで対向している。
そして、フロントサイドプレート342は、このフロント側軸方向壁部342bに径方向外側から径方向内側に向かって順にフロント外側収容部342c、フロント中央収容部342d、フロント内側収容部342e及びフロント最内収容部342fが形成される。一方、リヤサイドプレート343は、このリヤ側軸方向壁部343bに径方向外側から径方向内側に向かって順にリヤ外側収容部343c、リヤ中央収容部343d、リヤ内側収容部343e及びリヤ最内収容部343fが形成される。
フロント外側収容部342c、フロント中央収容部342d、フロント内側収容部342e及びフロント最内収容部342fは、フロント側軸方向壁部342bがエンジン側に窪むことで形成される。フロント外側収容部342c、フロント中央収容部342d、フロント内側収容部342e及びフロント最内収容部342fは、それぞれフロントサイドプレート342に対して周方向に等間隔に複数個形成されている。リヤ外側収容部343c、リヤ中央収容部343d、リヤ内側収容部343e及びリヤ最内収容部343fは、リヤ側軸方向壁部343bが出力軸側に窪むことで形成される。リヤ外側収容部343c、リヤ中央収容部343d、リヤ内側収容部343e及びリヤ最内収容部343fは、それぞれリヤサイドプレート343に対して周方向に等間隔に複数個形成されている。
そして、フロント外側収容部342cとリヤ外側収容部343cとが軸方向に対向し、フロント中央収容部342dとリヤ中央収容部343dとが軸方向に対向し、フロント内側収容部342eとリヤ内側収容部343eとが軸方向に対向し、フロント最内収容部342fとリヤ最内収容部343fとが軸方向に対向する。
保持プレート344は、外側保持部344aと、中央保持部344bと、内側保持部344cと、最内保持部344gと、ピン挿入部344hとを有する。
外側保持部344a、中央保持部344b、内側保持部344c及び最内保持部344gは、保持プレート344に円弧状に形成されたスリットである。保持プレート344は、径方向外側(径方向外側端部344e側)から径方向内側に向かって順に、外側保持部344a、中央保持部344b、内側保持部344c、最内保持部344gが形成される。外側保持部344a、中央保持部344b、内側保持部344c及び最内保持部344gは、それぞれ保持プレート344に対して周方向に等間隔に複数個形成されている。
そして、外側保持部344a、中央保持部344b、内側保持部344c及び最内保持部344gは、外側保持部344aがフロント外側収容部342c、リヤ外側収容部343cと軸方向に対向し、中央保持部344bがフロント中央収容部342d、リヤ中央収容部343dと軸方向に対向し、内側保持部344cがフロント内側収容部342e、リヤ内側収容部343eと軸方向に対向し、最内保持部344gがフロント最内収容部342f、リヤ最内収容部343fと軸方向に対向する。
外側保持部344aは、径方向外側に配置される各外側ダンパースプリング341aが挿入されこれを保持し、フロントサイドプレート342のフロント外側収容部342cが保持プレート344の外側保持部344aに保持された各外側ダンパースプリング341aのうち保持プレート344よりエンジン側の部分を収容する一方、リヤサイドプレート343のリヤ外側収容部343cが保持プレート344より出力軸側の部分を収容する。中央保持部344bは、径方向中央部に配置される各中央ダンパースプリング341bが挿入されこれを保持し、フロントサイドプレート342のフロント中央収容部342dが保持プレート344の中央保持部344bに保持された各中央ダンパースプリング341bのうち保持プレート344よりエンジン側の部分を収容する一方、リヤサイドプレート343のリヤ中央収容部343dが保持プレート344より出力軸側の部分を収容する。内側保持部344cは、径方向内側に配置される各内側ダンパースプリング341cが挿入されこれを保持し、フロントサイドプレート342のフロント内側収容部342eが保持プレート344の内側保持部344cに保持された各内側ダンパースプリング341cのうち保持プレート344よりエンジン側の部分を収容する一方、リヤサイドプレート343のリヤ内側収容部343eが保持プレート344より出力軸側の部分を収容する。最内保持部344gは、径方向最内に配置される各最内ダンパースプリング341dが挿入されこれを保持し、フロントサイドプレート342のフロント最内収容部342fが保持プレート344の最内保持部344gに保持された各最内ダンパースプリング341dのうち保持プレート344よりエンジン側の部分を収容する一方、リヤサイドプレート343のリヤ最内収容部343fが保持プレート344より出力軸側の部分を収容する。
各外側保持部344aは、その周方向の長さが各外側ダンパースプリング341aを付勢した状態で保持できる長さに設定されている。したがって、外側保持部344aに外側ダンパースプリング341aが保持されると、外側保持部344aの周方向における両端部が外側ダンパースプリング341aの両端部にそれぞれ接触することとなる。つまり、外側ダンパースプリング341aは、各外側保持部344aの周方向における両端部に接触し、両端部の間に付勢された状態で保持される。各中央保持部344bは、その周方向の長さが各中央ダンパースプリング341bを付勢した状態で保持できる長さに設定されている。したがって中央保持部344bに中央ダンパースプリング341bが保持されると、中央保持部344bの周方向における両端部が中央ダンパースプリング341bの両端部にそれぞれ接触することとなる。つまり、中央ダンパースプリング341bは、各中央保持部344bの周方向における両端部に接触し、両端部の間に付勢された状態で保持される。各内側保持部344cは、その周方向の長さが各内側ダンパースプリング341cを付勢した状態で保持できる長さに設定されている。したがって内側保持部344cに内側ダンパースプリング341cが保持されると、内側保持部344cの周方向における両端部が内側ダンパースプリング341cの両端部にそれぞれ接触することとなる。つまり、内側ダンパースプリング341cは、各内側保持部344cの周方向における両端部に接触し、両端部の間に付勢された状態で保持される。各最内保持部344gは、その周方向の長さが各最内ダンパースプリング341dを付勢した状態で保持できる長さに設定されている。したがって最内保持部344gに最内ダンパースプリング341dが保持されると、最内保持部344gの周方向における両端部が最内ダンパースプリング341dの両端部にそれぞれ接触することとなる。つまり、最内ダンパースプリング341dは、各最内保持部344gの周方向における両端部に接触し、両端部の間に付勢された状態で保持される。
そして、各フロント外側収容部342c、フロント中央収容部342d、フロント内側収容部342e、フロント最内収容部342f、リヤ外側収容部343c、リヤ中央収容部343d、リヤ内側収容部343e、リヤ最内収容部343fの周方向における両端部は、各外側保持部344a、中央保持部344b、内側保持部344c、最内保持部344gに外側ダンパースプリング341a、中央ダンパースプリング341b、内側ダンパースプリング341c、最内ダンパースプリング341dが保持されると、それぞれ外側ダンパースプリング341a、中央ダンパースプリング341b、内側ダンパースプリング341c、最内ダンパースプリング341dの両端部に周方向において対向し、接触可能となる。
これにより、フロントカバー10に伝達されたエンジンからの駆動力の一部は、フロントカバー10からフロントサイドプレート342、リヤサイドプレート343に伝達され、各フロント外側収容部342c、フロント中央収容部342d、フロント内側収容部342e、フロント最内収容部342f、リヤ外側収容部343c、リヤ中央収容部343d、リヤ内側収容部343e、リヤ最内収容部343fの周方向端部から各外側ダンパースプリング341a、中央ダンパースプリング341b、内側ダンパースプリング341c、最内ダンパースプリング341dの一方の端部を介して各外側ダンパースプリング341a、中央ダンパースプリング341b、内側ダンパースプリング341c、最内ダンパースプリング341dに伝達される。そして、各外側ダンパースプリング341a、中央ダンパースプリング341b、内側ダンパースプリング341c、最内ダンパースプリング341dに伝達された駆動力は、各外側ダンパースプリング341a、中央ダンパースプリング341b、内側ダンパースプリング341c、最内ダンパースプリング341dの他方の端部から各外側保持部344a、中央保持部344b、内側保持部344c、最内保持部344gの周方向端部を介して、保持プレート244に伝達される。
このように、各外側ダンパースプリング341a、中央ダンパースプリング341b、内側ダンパースプリング341c、最内ダンパースプリング341dは、フロントカバー10からフロントサイドプレート342、リヤサイドプレート343に伝達されたエンジンからの駆動力を、保持プレート344を介してロックアップクラッチ機構(ロックアップ手段)330のロックアップピストン(係合部材)332に伝達する際に、両端部のうち一方の端部がフロント外側収容部342c、リヤ外側収容部343c、フロント中央収容部342d、リヤ中央収容部343d、フロント内側収容部342e、リヤ内側収容部343e、フロント最内収容部342f、リヤ最内収容部343fの端部にてフロントサイドプレート342、リヤサイドプレート343と接触し、他方の端部が外側保持部344a、中央保持部344b、内側保持部344c、最内保持部344gの端部にて保持プレート344と接触することとなる。つまり、各外側ダンパースプリング341a、中央ダンパースプリング341b、内側ダンパースプリング341c、最内ダンパースプリング341dは、フロントカバー10に伝達されたエンジンからの駆動力をフロントサイドプレート342、リヤサイドプレート343から保持プレート344に伝達する際に、フロントサイドプレート342、リヤサイドプレート343と保持プレート344とに接触し駆動力に応じて弾性変形しつつ、これらによって保持される。したがって、保持プレート344には、フロントサイドプレート342、リヤサイドプレート343に伝達されたエンジンからの駆動力が各外側ダンパースプリング341a、中央ダンパースプリング341b、内側ダンパースプリング341c、最内ダンパースプリング341dを介して伝達され、フロントカバー210と同一方向に回転する。
保持プレート344は、上記のようにして複数のダンパースプリング341を外側保持部344a、中央保持部344b、内側保持部344c及び最内保持部344g内に保持すると共に、フロントカバー10に連結されるフロントサイドプレート342のフロント側軸方向壁部342b、リヤサイドプレート343のリヤ側軸方向壁部343bによって軸方向に挟み込まれることで、このフロントサイドプレート342とリヤサイドプレート343との間に複数のダンパースプリング341を保持した状態でフロントサイドプレート342、リヤサイドプレート343に対して相対回転可能に保持される。
そして、本実施形態のトルクコンバータ301は、実施形態1で説明した第2連結部61にかえて、第3連結手段としての第3連結部362と、第4連結手段としての第4連結部363とを備えている。
第3連結部362は、サイド部材、ここでは、リヤサイドプレート343の径方向内側端部343gをフロントカバー10に一体回転可能かつ軸方向に相対移動不能に連結するものである。この第3連結部362は、段差部311fと、リヤサイドプレート343の径方向内側端部343gと、スナップリング362aとによって構成される。
段差部311fは、フロントカバー10の本体部11において段差部11aより径方向外側に形成されている。段差部311fは、フロントカバー10にリヤサイドプレート343が収納された際に、リヤサイドプレート343の径方向内側端部343gと径方向において対向する位置に形成されている。ここでは、段差部311fは、連結部材120の径方向外側端部近傍と軸方向において対向する位置に形成されている。
そして、リヤサイドプレート343は、フロントカバー10に設けられる際には、径方向内側端部343gのエンジン側の面がこの段差部311fの出力軸側の面と当接するように配置され、その背面側、すなわち、径方向内側端部343gの出力軸側の面にスナップリング362aが当接するように設けられる。したがって、第3連結部362は、リヤサイドプレート343の径方向内側端部343gとフロントカバー10とを一体回転可能かつ軸方向に相対移動不能に連結することができる。そして、このダンパー機構340のフロントサイドプレート342、保持プレート344は、このリヤサイドプレート343の径方向内側端部343gとフロントカバー10の本体部11とによって軸方向に相対移動不能に位置決めされる。
第4連結部363は、保持プレート344にロックアップピストン332を一体回転可能かつ軸方向に移動可能に連結するものである。この第4連結部363は、ロックアップピストン332に設けられるピン部材332eと、保持プレート344に設けられるピン挿入部344hと、リヤサイドプレート343に設けられる貫通孔としてのピンスライド部343hとによって構成される。
ピン部材332eは、円柱ピン状に形成され、ロックアップピストン332に軸方向に延在して固定される。ピン部材332eは、ロックアップピストン332のエンジン側の面、すなわち、保持プレート344側の面にこの保持プレート344に向かって突出するように形成される。
ピン挿入部344hは、保持プレート344に円筒形の凹部状に形成され、ここでは、保持プレート344を軸方向に貫通する円筒形の孔として設けられる。このピン挿入部344hは、径方向に対してピン部材332eと対向する位置、すなわち、ピン部材332eを内部に挿入可能な位置に設けられている。
ピンスライド部343hは、軸方向に対して保持プレート344とロックアップピストン332との間に設けられるリヤサイドプレート343に設けられている。ピンスライド部343hは、リヤサイドプレート343においてピン部材332eに対応する部分に円弧状のスリットとしてリヤサイドプレート343を貫通して形成される。ピンスライド部343hは、軸方向に対してピン部材332e及びピン挿入部344hと対向する位置、すなわち、ピン部材332eを内部に挿入可能な位置に円弧状に設けられている。つまり、このピンスライド部343hは、フロントカバー10とロックアップピストン332との相対回転に伴ったピン部材332eの移動をフロントカバー10とロックアップピストン332とが所定の捩れ角となるまで許容する。つまり、ピンスライド部343hは、ピン部材332eをリヤサイドプレート343に対して周方向に摺動可能とするものである。なお、フロントカバー10とロックアップピストン332との捩れ角、言い換えれば、
フロントサイドプレート342、リヤサイドプレート343と保持プレート344との捩れ角は、フロントカバー10(フロントサイドプレート342、リヤサイドプレート343)とロックアップピストン332(保持プレート344)との相対回転角であり、フロントサイドプレート342、リヤサイドプレート343又は保持プレート344に駆動力等が何も伝達されていない状態のときに0度となる。
第4連結部363をなすピン部材332e、ピン挿入部344h及びピンスライド部343hは、第3連結部362より径方向外側に設けられており、ここでは、ピン挿入部344hの径方向に対する位置が保持プレート344の外側保持部344aと中央保持部344bとの間に位置するように設定されている。ピン部材332e、ピン挿入部344h及びピンスライド部343hは、それぞれロックアップピストン332、保持プレート344、リヤサイドプレート343に対して周方向に等間隔に複数個設けられている。
そして、ロックアップピストン332は、ピン部材332eがピンスライド部343hを介して保持プレート344のピン挿入部344hに相対移動可能に挿入されることで、保持プレート344と連結される。したがって、ロックアップピストン332は、第4連結部363をなすピン部材332eとピン挿入部344hとにより、保持プレート344に一体回転可能かつ軸方向に移動可能に連結され、保持プレート344に伝達された駆動力が第4連結部363を介して伝達可能に連結される。このとき、この第4連結部363は、ピン部材332eがリヤサイドプレート343に形成されたピンスライド部343hを介してピン挿入部344hに挿入されることから、このピンスライド部343hによりフロントカバー10、フロントサイドプレート342、リヤサイドプレート343とロックアップピストン332、保持プレート344との相対回転及びロックアップピストン332の軸方向移動が許容されるので、リヤサイドプレート343によってこの相対回転及びロックアップピストン332の軸方向移動が阻害されることを防止することができる。
これにより、保持プレート344からロックアップピストン332への駆動力の伝達部分を比較的に径方向外側に設定することができるので、大きなトルクを比較的小さなピン部材332eによって伝達することができる。この結果、例えば、実施形態1で説明したように径方向内側にて第1連結部60(図1参照)により保持プレート44(図1参照)からロックアップピストン32(図1参照)に駆動力を伝達するような場合と比較して、保持プレート344においてダンパースプリング341を保持するための領域(すなわち、外側保持部344a、中央保持部344b、内側保持部344c及び最内保持部344gの領域)、フロントサイドプレート342のフロント側軸方向壁部342b、リヤサイドプレート343のリヤ側軸方向壁部343bにおいてダンパースプリング341を収容するための領域(すなわち、フロント外側収容部342c、フロント中央収容部342d、フロント内側収容部342e、フロント最内収容部342f、リヤ外側収容部343c、リヤ中央収容部343d、リヤ内側収容部343e及びリヤ最内収容部343fの領域)をさらに広く確保することができる。
以上で説明した本発明の実施形態に係るトルクコンバータ301によれば、複数のダンパースプリング341を保持する保持プレート344をフロントカバー10に連結されるフロントサイドプレート342のフロント側軸方向壁部342bとリヤサイドプレート343のリヤ側軸方向壁部343bとの間に挟んで相対回転可能に保持することから、ダンパー機構340にダンパースプリング341を設けるための領域を広く確保することができ、ダンパースプリング341を比較的多く設けることができるので、振動低減性能を向上することができる。この結果、こもり音などの発生を抑制することができ、ロックアップクラッチ機構330をONにすることができる回転数領域を拡大することができ、比較的に低回転数の領域でロックアップクラッチ機構330をONにすることができことから燃費を向上できる。また、保持プレート344と、フロントサイドプレート342、リヤサイドプレート343とを相対回転可能に連結する部材として、例えば、リベットなどを設ける必要がないことから、このダンパー機構340を構成する部品点数を削減することができ、低コスト化を図ることができると共に小型化することができる。また、フロントサイドプレート342、リヤサイドプレート343、保持プレート344とは別体に形成されるロックアップピストン332が保持プレート344に対して軸方向に相対移動可能かつ一体回転可能に設けられることから、ダンパースプリング341を設ける位置やフロントサイドプレート342、リヤサイドプレート343、保持プレート344の形状などにかかわらず、ロックアップピストン332に摩擦材33を設ける平坦な領域を広く確保することができるので、ロックアップクラッチ機構330における摩擦係合面を広く確保することができる。この結果、ロックアップクラッチ機構330の摩擦係合性能の安定性を向上することができ、耐久性を向上することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るトルクコンバータ301によれば、ロックアップピストン332側のリヤサイドプレート343の径方向内側端部343gをフロントカバー10に一体回転可能かつ軸方向に相対移動不能に連結する第3連結部362と、第3連結部362より径方向外側において、ロックアップピストン332に軸方向に延在して固定されるピン部材332eと、保持プレート344に凹部状に設けられるピン挿入部344hと、ロックアップピストン332側のリヤサイドプレート343に貫通して設けられフロントカバー10とロックアップピストン332との相対回転に伴ったピン部材332eの移動を許容するピンスライド部343hとを有し、ピン部材332eがピンスライド部343hを介してピン挿入部344hに軸方向に相対移動可能に挿入されることで保持プレート344にロックアップピストン332を一体回転可能かつ軸方向に移動可能に連結する第4連結部363とを備える。
したがって、第4連結部363のピン部材332eがピン挿入部344hに挿入されることによりロックアップピストン332を保持プレート344に一体回転可能かつ軸方向に移動可能に連結することができ、保持プレート344とロックアップピストン332とを第4連結部363を介して駆動力を伝達可能に連結することができると共に、ピンスライド部343hによりフロントカバー10、フロントサイドプレート342、リヤサイドプレート343とロックアップピストン332、保持プレート344との相対回転及びロックアップピストン332の軸方向移動を許容することができる。この結果、第4連結部363により保持プレート344からロックアップピストン332の駆動力の伝達部分を比較的に径方向外側に設定することができるので、大きなトルクを比較的小さなピン部材332eによって伝達することができる。
この結果、保持プレート344においてダンパースプリング341を保持するための領域、フロントサイドプレート342のフロント側軸方向壁部342b、リヤサイドプレート343のリヤ側軸方向壁部343bにおいてダンパースプリング341を収納するための領域をさらに広く確保することができる。よって、ダンパー機構340にダンパースプリング341をさらに多く設けることができることから、各ダンパースプリング341のバネ定数を小さくし低バネ化して蓄積可能なエネルギーを多くすることができ、よって、ダンパー機構340における振動減衰特性、すなわち、ダンパー性能をさらに向上することができるので、ロックアップクラッチ機構330のON時における振動低減性能をさらに向上することができ、さらに燃費を向上できる。
また、リヤサイドプレート343の径方向内側端部343gが第3連結部362によりフロントカバー10に一体回転可能かつ軸方向に相対移動不能に連結されることから、リヤサイドプレート343に大きなトルクが入力されてもリヤサイドプレート343が変形することを防止することができ、言い換えれば、このリヤサイドプレート343を薄肉化することができ、この結果、さらなる低コスト化及び小型化、軽量化を図ることができる。
また、本実施形態のトルクコンバータ301は、第2連結部61(図1参照)を備えないことから、ロックアップピストン332においてピストン油圧室34として機能するダンパー機構空間部Cの作動油の油圧が作用する面、すなわち、エンジン側の面に環状突起部32b(図1参照)のような突起部分を設けなくともよいので、ロックアップピストン332のエンジン側の面にほぼ均等に油圧を作用させることができるので、ロックアップクラッチ機構330のON制御時のロックアップピストン332の動作の応答性や確実性を向上することができる。
なお、上述した本発明の実施形態に係る流体伝達装置は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
以上の説明では、フロントカバーとサイド部材とは、連結突起部と連結溝部とからなる第1連結手段によって一体回転可能に連結されるものとして説明したが、これに限らず、例えば、溶接など種々の公知の構成により連結するようにしてもよい。
以上の説明では、第4連結手段をなすピン部材が係合部材に設けられ、第4連結手段をなすピン挿入部が保持部材に設けられるものとして説明したが、第4連結手段をなすピン挿入部が係合部材に設けられ、第4連結手段をなすピン部材が保持部材に設けられていてもよい。
以上の説明では、保持部材と係合部材とは第2連結手段又は第4連結手段により一体回転可能かつ軸方向に移動可能に連結するものとして説明したが、これに限らず、種々の公知の構成により連結するようにしてもよい。
以上の説明では、ロックアップ手段は、係合部材としてのロックアップピストン32、232、332が保持部材としての保持プレート44、244、344と一体回転可能かつ軸方向に相対移動可能に設けられ、ロックアッププレート31、231がタービンハブ22d、出力軸50と一体回転可能かつ軸方向に相対移動不能に設けられるものとして説明したが、これに限らず、例えば、ロックアップピストン32、232、332が保持プレート44、244、344と一体回転可能かつ軸方向に相対移動不能に設けられ、ロックアッププレート31、231がタービンハブ22d、出力軸50と一体回転可能かつ軸方向に相対移動可能に設けられていてもよい。この場合は、流体伝達機構空間部Aがピストン油圧室として機能することとなる。
以上のように、本発明に係る流体伝達装置は、振動低減性能を向上することができるものであり、ロックアップ手段とダンパー手段とを備える種々の流体伝達装置に適用して好適である。
本発明の実施形態1に係るトルクコンバータの要部断面図である。 本発明の実施形態2に係るトルクコンバータの要部断面図である。 本発明の実施形態2に係るトルクコンバータが備えるフロントカバーの出力軸側の正面図である。 本発明の実施形態2に係るトルクコンバータが備えるフロントカバーの部分断面図である。 本発明の実施形態3に係るトルクコンバータの要部断面図である。
符号の説明
1、201、301 トルクコンバータ(流体伝達装置)
10、210 フロントカバー
11、211 本体部
12 フランジ部
12a 連結溝部
13 セットブロック
14 ボルト
20 流体伝達機構(流体伝達手段)
21 ポンプインペラ
22 タービンライナ
22d タービンハブ
23 ステータ
24 ワンウェイクラッチ
30、230、330 ロックアップクラッチ機構(ロックアップ手段)
31、231 ロックアッププレート
32、232、332 ロックアップピストン(係合部材)
32c、232c スプライン
33、233 摩擦材
34 ピストン油圧室
40、240、340 ダンパー機構(ダンパー手段)
41、241、341 ダンパースプリング(弾性体)
41a、241a、341a 外側ダンパースプリング(弾性体)
41b、341b 中央ダンパースプリング(弾性体)
41c、241b、341c 内側ダンパースプリング(弾性体)
42、342 フロントサイドプレート(フロントカバー側のサイド部材)
42a 連結突起部
42b、342b フロント側軸方向壁部(軸方向壁部)
42c、342c フロント外側収容部(弾性体収容部)
42d、342d フロント中央収容部(弾性体収容部)
42e、342e フロント内側収容部(弾性体収容部)
43、243、343 リヤサイドプレート(係合部材側のサイド部材)
43a、243a 連結突起部
43b、243b、343b リヤ側軸方向壁部(軸方向壁部)
43c、243c、343c リヤ外側収容部(弾性体収容部)
43d、343d リヤ中央収容部(弾性体収容部)
43e、243d、343e リヤ内側収容部(弾性体収容部)
44、244、344 保持プレート(保持部材)
44a、244a、344a 外側保持部
44b、344b 中央保持部
44c、244b、344c 内側保持部
44d、244d スプライン
50 出力軸
60、260 第1連結部(第1連結手段)
60a スペーサ
61、261 第2連結部(第2連結手段)
100 ドライブプレート
211b フロント側軸方向壁部(軸方向壁部)
211c フロント収容部(弾性体収容部)
311f 段差部
332e ピン部材
341d 最内ダンパースプリング
342f フロント最内収容部
343f リヤ最内収容部
343g 径方向内側端部
343h ピンスライド部
344g 最内保持部
344h ピン挿入部
362 第3連結部(第3連結手段)
362a スナップリング
363 第4連結部(第4連結手段)
A 流体伝達機構空間部
B クラッチ空間部
C ダンパー機構空間部
X 回転軸線

Claims (7)

  1. 駆動源からフロントカバーに伝達された駆動力を作動流体を介して出力軸に伝達可能な流体伝達手段と、
    前記フロントカバーに伝達された駆動力を係合部材を介して前記出力軸に伝達可能なロックアップ手段と、
    前記フロントカバーと一体回転可能に設けられる複数の軸方向壁部と、前記係合部材が一体回転可能に設けられると共に前記出力軸の軸方向に対する両側で前記軸方向壁部に挟まれて複数の弾性体を保持する保持部材とを有し、前記弾性体を介して前記フロントカバーと前記係合部材とを相対回転可能に連結するダンパー手段とを備えることを特徴とする、
    流体伝達装置。
  2. 前記軸方向に対して前記係合部材と前記保持部材との間に設けられると共に前記フロントカバーに一体回転可能に連結され前記軸方向に対して前記保持部材と対向する面に前記軸方向壁部が設けられる前記係合部材側のサイド部材と、
    前記軸方向に対して前記保持部材と前記フロントカバーとの間に設けられると共に前記フロントカバーに一体回転可能に連結され前記軸方向に対して前記保持部材と対向する面に前記軸方向壁部が設けられる前記フロントカバー側のサイド部材とを備えることを特徴とする、
    請求項1に記載の流体伝達装置。
  3. 前記軸方向に対して前記係合部材と前記保持部材との間に設けられると共に前記フロントカバーに一体回転可能に連結され前記軸方向に対して前記保持部材と対向する面に前記軸方向壁部が設けられる前記係合部材側のサイド部材を備え、
    前記フロントカバーは、前記軸方向に対して前記保持部材と対向する面に前記軸方向壁部が設けられることを特徴とする、
    請求項1に記載の流体伝達装置。
  4. 前記サイド部材の径方向外側端部に形成された連結突起部と、前記フロントカバーにおいて径方向に対して前記連結突起部と対向する部分に形成された連結溝部とを有し、前記連結突起部と前記連結溝部とが係合して前記フロントカバーと前記サイド部材とを一体回転可能に連結する第1連結手段を備えることを特徴とする、
    請求項2又は請求項3に記載の流体伝達装置。
  5. 前記保持部材の径方向内側端部に前記係合部材をスプライン嵌合によって一体回転可能かつ前記軸方向に移動可能に連結する第2連結手段を備えることを特徴とする、
    請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の流体伝達装置。
  6. 前記係合部材側の前記サイド部材の径方向内側端部を前記フロントカバーに一体回転可能かつ前記軸方向に相対移動不能に連結する第3連結手段と、
    前記第3連結手段より径方向外側において、前記保持部材又は前記係合部材の一方に前記軸方向に延在して固定されるピン部材と、前記保持部材又は前記係合部材の他方に凹部状に設けられるピン挿入部と、前記係合部材側の前記サイド部材に貫通して設けられ前記フロントカバーと前記係合部材との相対回転に伴った前記ピン部材の移動を許容する貫通孔とを有し、前記ピン部材が前記貫通孔を介して前記ピン挿入部に前記軸方向に相対移動可能に挿入されることで前記保持部材に前記係合部材を一体回転可能かつ前記軸方向に移動可能に連結する第4連結手段とを備えることを特徴とする、
    請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の流体伝達装置。
  7. 前記軸方向壁部は、少なくとも前記弾性体の一部が収容される弾性体収容部を有し、
    前記弾性体は、前記フロントカバーに伝達された駆動力を前記係合部材に伝達する際に、周方向における両端部のうち一方の端部が前記弾性体収容部と接触し、他方の端部が前記保持部材と接触することを特徴とする、
    請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の流体伝達装置。
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