JP2010053942A - 等速自在継手用作動角センサ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 内輪3と外輪2間の作動角の変化による磁気抵抗変化を、凹球面円環部13の内径側の空間に収められた半導体磁気センサ15の出力で検出することにより上記作動角を求める。
【選択図】 図1
Description
動作中の等速自在継手の作動角を常にモニタすることを考えた。この作動角が常に検出できれば、作動角が許容上限値に至る前に装置を停止させるなどして、内輪軸と外輪の接触、ボールの脱落、破損による事故を未然に防ぐことができる。
しかし、等速自在継手はその全体が回転し、内輪と外輪とが作動角を生じるため、動作中に作動角を検出することが難しく、このような動作中に作動角を検出可能なセンサは、従来に例がない。
前記内輪軸の端面に設けられこの内輪軸の外輪に対する回動中心と同心の凸球面部と、前記外輪の内面に環状に突出して設けられ先端面が前記凸球面部に隙間を介して沿う凹球面とされた凹球面円環部と、この凹球面円環部の内径側の空間にそれぞれ収められた励磁用の永久磁石およびこの永久磁石の磁界の変化を検出する半導体磁気センサとを備え、内輪と外輪間の作動角の変化による磁気抵抗変化を前記半導体磁気センサの出力で検出することにより上記作動角を求めることを特徴とする。
永久磁石より発生する磁界は、半導体磁気センサ、凸球面部、凹球面円環部を経由する閉じた磁界となる。凹球面円環部の凹球面と凸球面部との対向面積は、作動角に応じて変化する。すなわち、凹球面円環部の凹球面と凸球面部とは、作動角が零度のとき対向面積が最大となり、作動角が増加するにつれて対向面積が減少することから、作動角の変化が磁気抵抗の変化、つまり磁気強度変化となって半導体磁気センサにより検出される。その結果、等速自在継手側に励磁回路を設けることなく、少ない消費電力で動作中の等速自在継手の作動角を検出することができる。
このように、この等速自在継手用作動角センサによると、動作中の等速自在継手の作動角を常にモニターできるので、駆動力や稼働時間と共に作動角を監視することにより、等速自在継手の寿命を類推することが可能となり、破損による事故を未然に防ぐことができる。また、検出した作動角が許容上限値に至る前に警報を発し、等速自在継手を使用した装置を停止することにより、内輪軸と外輪の接触やボールの脱落を未然に防ぐことができる。
作動角センサの感度は、磁気回路を構成する隙間と磁性体部分(凸球面部,凹球面円環部など)の透磁率の比によって大きく変化するため、前記内輪軸および外輪における、前記永久磁石および半導体磁気センサの磁気回路を構成する部分(凸球面部、凹球面円環部など)を、内輪軸および外輪の他の箇所とは異なる高透磁率軟磁性材(フェライト、PBパーマロイなど)とすると、センサ感度を向上させることができる。
前記外輪の内面に設けられた前記凹球面円環部の外径を、前記内輪軸の外径よりも大径としても良い。この場合、内輪と外輪間の作動角の許容上限値を高くすることができる。つまり、動作中の等速自在継手の作動角をモニターできる範囲を大きくし、等速自在継手の寿命をより正確に類推することができる。
この構成の場合、外部から回転体である等速自在継手側への電力供給と、等速自在継手に搭載された半導体磁気センサのセンサ信号の外部への送信とを容易に行うことができる。
を備え、内輪と外輪間の作動角の変化による磁気抵抗変化を前記半導体磁気センサの出力で検出することにより上記作動角を求める。
このため、等速自在継手側に励磁回路を設けることなく、少ない消費電力で動作中の等速自在継手の作動角を検出することができる。
外輪2は、カップ部2aとステム部2bとを有する。外輪2のカップ部2aの内面は、開口側部分内面部分および底面側内面部分に分けたうち、開口側内面部分が球形とされている。その球形内面2aaに、6つ(または8つ)のトラック溝7が軸方向に沿って形成されている。内輪3の外面は球形とされ、その球形外面にも6つ(または8つ)のトラック溝8が、軸方向に沿って形成されている。これら各外輪トラック溝7と内輪トラック溝8とは互いに対向し、その対向する各外輪トラック溝7,8間にボール5が1個ずつ組み込まれる。ケージ6は、各ボール5を同一平面内に保持する部材であり、周方向の複数箇所に設けられたポケット6a内にボール5が保持される。
内輪3は内周にセレーションまたはスプライン等の凹凸部を有する中央孔9を備え、この中央孔9に内輪軸4の一端部がトルク伝達可能に嵌合している。なお、内輪軸4は内輪3と一体に形成されたものであっても良い。
外輪2、内輪3、および内輪軸4は、いずれも鋼材などからなり、従って強磁性体とされている。
前記凸球面部12と凹球面円環部13とは、図1(A)に示す作動角が零の状態で、凹球面13aの全てが凸球面部12に対向し合い、図2に示すように作動角が発生した状態では凹球面13aの一部に凸球面部12と対向し合わない部分が生じるように設けられる。具体的には、凹球面円環部13は、その円環軸心が外輪2の軸心O1に一致する位置に設けられる。
ここでは、凸球面部12および凹球面円環部13が、鋼材からなる内輪軸4および外輪2と一体に形成されているが、前記永久磁石14および半導体磁気センサ15の磁気回路を構成する前記凸球面部12や凹球面円環部13などの部分を、内輪軸4や外輪2と別体に形成して、内輪軸4や外輪2に螺着や締付けにより一体に固定しても良い。その場合には、これらの磁気回路構成部材の素材として、内輪軸4や外輪2の他の箇所とは異なる高透磁率軟磁性材(例えばフェライト、PBパーマロイなど)を用いるのがセンサ感度向上の観点から好ましい。
静止側電子回路16と回転側電子回路17との間の中継は、外輪2の軸心O1と同心に外輪カップ部2aの外径部に巻回されたリング状の回転側コイル18aと、このコイル18aと同心にこのコイル18aの外周に設置された静止側コイル18bとでなる非接触電磁カップリング18により行われる。前記静止側電子回路16は前記静止側コイル18bに接続され、静止側コイル18bを交流励磁して電磁結合作用で回転側コイル18aを経て回転側電子回路17に電力を供給し、かつ静止側コイル18bに誘導されたセンサ信号を復調する。前記回転側電子回路17は前記回転側コイル18aに接続され、前記静止側コイル18bから供給された電力で半導体磁気センサ15を駆動し、かつ前記電力供給に用いる周波数とは異なる周波数の搬送波を前記半導体磁気センサ15のセンサ信号によって変調して、この変調信号により前記回転側コイル18aを励磁する。
回転側電子回路17では、電力供給に用いる周波数とは異なる周波数の搬送波を半導体磁気センサ15のセンサ信号によって変調し、この変調信号により回転側コイル18aを励磁し、電磁結合作用で静止側コイル18bに誘導する。静止側電子回路16では、静止側コイル18bに誘導されたセンサ信号を復調して、そのセンサ信号つまり検出された磁気強度の変化から等速自在継手1の作動角を検出する。
以下の説明においては、各形態で先行する形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する場合がある。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している形態と同様とする。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
この実施形態では、外輪2の内面に設けられた凹球面円環部13の外径Daを、内輪軸4の外径Dbよりも大径としている。この場合、凸球面部12と凹球面円環部13とは、同図に示す作動角が零の状態で、凹球面13aの外周縁部13aaが露出する。つまり、凹球面13aのうちこの外周縁部13aaを除く残余の部分と凸球面部12の外周縁部12aが対向し合う。また、最大の作動角をとった状態で、凸球面部12と凹球面円環部13とは、少なくとも一部が対面する。なお、図示しないが、作動角の許容上限値において、凹球面円環部13とケージ6とが干渉しないように、凹球面円環部13の外径Daが定められる。その他、図3の実施形態と同様の構成となっている。
この実施形態では、内輪軸4の一端部に、この内輪軸4よりも大径の拡径軸頭部KJを設けている。この拡径軸頭部KJの端面に凸球面部KJaを設け、この凸球面部KJaは、内輪軸4の外輪2に対する回動中心Oと同心に形成されている。
また、外輪2の外輪カップ部2aの内面において、凹球面円環部13の外径Daを、前記凸球面部KJaの外径Dcと同一径としている。凹球面円環部13の内径面に嵌合可能な内筒部材13nを介して、永久磁石14および半導体磁気センサ15が軸方向に並べて収められて固着されている。前記内筒部材13nは有底円筒形状であり、この内筒部材13nの底部に、永久磁石14および半導体磁気センサ15を円環軸心位置に位置決めする嵌合孔13naが形成されている。また、内筒部材13nを凹球面円環部13の内径面に嵌合した状態において、凹球面円環部13の先端面および内筒部材13nの先端面は連なりかつ、前記凸球面部KJaに隙間を介して沿う凹球面13aとされている。
この実施形態では、ケージ6の一端部に、内輪軸4よりも大径の拡径軸頭部材KBを設け、この拡径軸頭部材KBの一表面を、このケージ6の外輪2に対する回動中心と略同心の凸球面12KBに形成している。この拡径軸頭部材KBは、凸球面12KBを成す球面本体12Aと、球面本体12Aの外周縁部に付設された係合部12Bとを有する。この係合部12Bは、ケージ6の半径方向外方に向かって所定小距離突出し、同ケージ6の一端部の内周に形成された環状の段部6bに形成されている。
本実施形態では、球面本体12Aの外周部12Abに、複数の貫通孔12Ahが形成されているが、各貫通孔の代わりに非磁性材料から成る部位を外周部12Abに設けても良い。この場合、拡径軸頭部材KBの剛性を高めることが可能となる。
この実施形態では、ケージ6の一端部に凸球面部12を設けている。この凸球面部12は、外輪カップ部2aに対する回動中心Oと同心の凸球面となる球面本体12A、この球面本体12Aの外周縁部に連なり内輪軸軸方向に所定小距離突出する突出部12B、この突出部12Bの先端部分から半径方向外方に凸球面状に拡径する拡径部12C、およびこの拡径部12Cの外周縁部に付設された係合部12Dとを有する。
2…外輪
3…内輪
4…内輪軸
5…ボール
6…ケージ
7,8…トラック溝
11…作動角センサ
12…凸球面部
13…凹球面円環部
13a…凹球面
14…永久磁石
15…半導体磁気センサ
16…静止側電子回路
17…回転側電子回路
18…非接触電磁カップリング
18a…回転側コイル
18b…静止側コイル
JT…軸頭部
KB…拡径軸頭部材
Claims (8)
- 外輪の球形内面と内輪の球形外面とにそれぞれトラック溝を形成し、外輪トラック溝と内輪トラック溝との間にボールを組み込み、上記ボールを保持するケージを設け、上記内輪が外周に取付けられまたは上記内輪と一体に形成された内輪軸を有する等速自在継手に装備される作動角センサであって、
前記内輪軸の端面に設けられこの内輪軸の外輪に対する回動中心と同心の凸球面部と、前記外輪の内面に環状に突出して設けられ先端面が前記凸球面部に隙間を介して沿う凹球面とされた凹球面円環部と、この凹球面円環部の内径側の空間にそれぞれ収められた励磁用の永久磁石およびこの永久磁石の磁界の変化を検出する半導体磁気センサとを備え、内輪と外輪間の作動角の変化による磁気抵抗変化を前記半導体磁気センサの出力で検出することにより上記作動角を求めることを特徴とする等速自在継手用作動角センサ。 - 請求項1において、前記内輪軸および外輪における、前記永久磁石および半導体磁気センサの磁気回路を構成する部分は、前記内輪軸および外輪の他の箇所とは異なる高透磁率軟磁性材で構成した等速自在継手用作動角センサ。
- 請求項1または請求項2において、前記外輪と前記内輪とが最大の作動角をとった状態で、前記凸球面部と前記凹球面円環部は、少なくとも一部が対面する等速自在継手用作動角センサ。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記内輪軸の端部に軸頭部を設け、この軸頭部に、前記内輪軸の前記凸球面部を設けた等速自在継手用作動角センサ。
- 請求項4において、前記軸頭部は、前記内輪軸よりも大径の拡径軸頭部である等速自在継手用作動角センサ。
- 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、前記外輪の内面に設けられた前記凹球面円環部の外径を、前記内輪軸の外径よりも大径とした等速自在継手用作動角センサ。
- 外輪の球形内面と内輪の球形外面とにそれぞれトラック溝を形成し、外輪トラック溝と内輪トラック溝との間にボールを組み込み、上記ボールを保持するケージを設け、上記内輪が外周に取付けられまたは上記内輪と一体に形成された内輪軸を有する等速自在継手に装備される作動角センサであって、
前記ケージの端部に設けられこのケージの外輪に対する回動中心と同心の凸球面部と、
前記外輪の内面に環状に突出して設けられ先端面が前記凸球面部に隙間を介して沿う凹球面とされた凹球面円環部と、
この凹球面円環部の内径側の空間にそれぞれ収められた励磁用の永久磁石およびこの永久磁石の磁界の変化を検出する半導体磁気センサと、
を備え、
内輪と外輪間の作動角の変化による磁気抵抗変化を前記半導体磁気センサの出力で検出することにより上記作動角を求めることを特徴とする等速自在継手用作動角センサ。 - 請求項1ないし請求項7のいずれか1項において、前記外輪の外径部に設けられたリング状の回転側コイル、およびこの回転側コイルと同心のリング状に設けられた静止側コイルからなる非接触電磁カップリングを設け、前記回転側コイルおよび静止側コイルにそれぞれ接続された回転側電子回路および静止側電子回路を設け、前記静止側電子回路は、前記静止側コイルを交流励磁して電磁結合作用で回転側へ電力を供給し、かつ前記静止側コイルに誘導されたセンサ信号を復調するものであり、前記回転側電子回路は前記静止側コイルから供給された電力で前記半導体磁気センサを駆動し、かつ前記電力供給に用いる周波数とは異なる周波数の搬送波を前記半導体磁気センサのセンサ信号によって変調してこの変調信号により前記回転側コイルを励磁するものである等速自在継手用作動角センサ。
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