JP2010053669A - 水回り用部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】水垢の除去性が高いと共に排水性・乾燥性を損なうことがない水回り用部材を提供する。
【解決手段】水回り用部材1は、ベース体2と機能層3とが金型成形により積層一体化して構成される。前記機能層3が、ラジカル重合性のアクリロイル基を有するフルオロオレフィンを含有するアクリルフッ素樹脂共重合系樹脂と、硬化開始剤である有機過酸化物とを含有する樹脂組成物4の硬化物で形成されている。機能層3がアクリルフッ素樹脂共重合系樹脂と有機過酸化物とを含有する樹脂組成物4で形成されることで、機能層3の表面での水垢除去性が非常に高くなると共に、機能層3が金型成形されることでこの機能層3に微細な凹凸13を容易に形成することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、浴室用床材等の、水回りに設置される水回り用部材に関する。
浴室用床材等の水回り用部材は、不飽和ポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂等の硬化物で形成され、また前記硬化物から形成されるベース体と機能層とが積層一体化して構成される水回り用部材も提供されている。機能層は例えばポリエステル不織布に不飽和ポリエステル樹脂、DAP樹脂(ジアリルフタレート樹脂)、アクリル樹脂等を含浸させて得られるシート材を硬化させて形成される。
しかし、従来の水回り用部材では、表面に水垢が固着しやすく、水垢の除去が困難であるという問題がある。そこで水垢の固着防止のために水回り用部材の表面にコーティングを施すことも行われている。
しかし、水回り用部材の表面には排水性及び乾燥性の向上のための微細な凹凸が形成される場合があり、この水回り用部材にコーティングが施されると、前記凹凸が埋まってしまう。そうすると、水回り用部材の排水性及び乾燥性が低下し、水回り用部材の表面に大きな水滴が付着しやすくなって、水垢発生の原因となってしまう。また、コーティング層による表面は、機能層を樹脂一体成形により形成した表面に比べると、下地と表装との界面強度が低く、摩耗耐久性に劣るという問題もある。
また、水回り部材の表面に親水性官能基と疎水性官能基の双方が露出するようにして、防汚性の向上を図ることも試みられているが(特許文献1参照)、充分とはいえない。
特開平9−056625号公報
本発明は上記の点に鑑みて為されたものであり、水垢の除去性が高いと共に排水性・乾燥性を損なうことがない水回り用部材を提供することを目的とする。
本発明に係る水回り用部材1は、下地を構成するベース体2と表層を構成する機能層3とが成形されて積層一体化した構成を有し、前記機能層3が、ラジカル重合性の(メタ)アクリロイル基を有するアクリルフッ素樹脂共重合系樹脂と、硬化開始剤である有機過酸化物とを含有する樹脂組成物4の硬化物で形成されていることを特徴とする。
このため、機能層3が上記のようなアクリルフッ素樹脂共重合系樹脂と有機過酸化物とを含有する樹脂組成物4で形成されることで、機能層3の表面での水垢除去性が非常に高くなると共に、機能層3が金型成形されることでこの機能層3に微細な凹凸13を容易に形成することができ、この微細な凹凸13により排水性及び乾燥性を発揮しつつ、機能層3の高い耐久性を確保することが可能となる。
また、本発明において、上記アクリルフッ素樹脂共重合系樹脂のフッ素原子含有量が2〜60重量%の範囲であり、且つ(メタ)アクリロイル基の当量が150〜700g/eqの範囲であることが好ましい。この場合、機能層3が充分に高い水垢除去性を有すると共に、機能層3が充分な硬度を有し、且つ機能層3の形成時のクラックが発生が抑制され、更に機能層3の形成時の樹脂組成物4の硬化時間が長くなることが抑制されるようになる。
また、本発明において、上記樹脂組成物4は、アクリルフッ素樹脂共重合系樹脂以外の樹脂を含有しても良い。この場合、他の樹脂によって機能層の機械的強度の向上や製品コストの削減を図ることができるものである。
また、本発明において、上記ベース体2と機能層3とが、プレス成形法、注型成形法、ハンドレイアップ成形法から選択される成形法により積層一体化されていることが好ましい。この場合、金型成形によりベース体2と機能層3とを積層一体化することができる。
また、本発明において、上記機能層3が、樹脂組成物4を金型6に塗布した後に硬化する方法、樹脂組成物4を金型6内で注型成形する方法、樹脂組成物4で形成されたシート材5を金型6内に配置した後に硬化する方法から選択される方法で形成されていることが好ましい。この場合、機能層3を金型成形にて形成すると共にこの金型成形によりベース体2と機能層3とを積層一体化することができる。
本発明によれば、水垢の除去性が高いと共に排水性・乾燥性を損なうことがない水回り用部材1を得ることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
水回り用部材1は、図1に示すように下地を構成するベース体2と表層を構成する機能層3とで構成される。ベース体2は不飽和ポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂等の適宜の樹脂の硬化物で形成される。
機能層3は、ラジカル重合性の(メタ)アクリロイル基を有するアクリルフッ素樹脂共重合系樹脂と、硬化開始剤である有機過酸化物とを含有する樹脂組成物4の硬化物で形成される。(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基とメタアクリロイル基とを総称したものである。
アクリルフッ素樹脂共重合系樹脂におけるラジカル重合性のその他の官能基としてはエチルアクリレート基、ブチルアクリレート基、2−エチルへキシルアクリレート基、エチルメタクリレート基、ブチルメタクリレート基、ビニル基、アリル基等があるが、これらでは充分な硬度が得られない場合や、硬化速度が遅くなる場合がある。アクリルフッ素樹脂共重合系樹脂の官能基は、特に樹脂組成物4を熱硬化させる場合の硬化温度が80℃以上の場合にはメタアクリロイル基又はアクリロイル基が好ましく、前記温度が80℃以下の場合はメタアクリロイル基が好ましい。
また、アクリルフッ素樹脂共重合系樹脂のフッ素原子含有量は2〜60重量%の範囲であることが好ましい。この場合、機能層3が充分に高い水垢除去性を有すると共に、機能層3が充分な硬度を有し、更に機能層3の形成時の樹脂組成物4の硬化時間が長くなることが抑制されるようになる。一方、前記フッ素原子含有量が2重量%に満たないと機能層3の水垢除去性が充分ではなくなるおそれがあり、またこのフッ素原子含有量が60重量%を超えると機能層3の硬度が不足したり、樹脂組成物4の硬化時間が長くなって製造効率が低下したりするおそれがある。
また、このアクリルフッ素樹脂共重合系樹脂の官能基当量((メタ)アクリロイル基の当量)は、150〜700g/eqの範囲であることが好ましい。この場合、樹脂組成物4から機能層3を形成する際に機能層3にクラックが発生することが抑制され、更に機能層3が充分に高い水垢除去性を有するようになる。一方、前記官能基当量が150g/eqに満たないと機能層3の形成時に機能層3にクラックが発生するおそれがある。また、この官能基当量が700g/eqを超えると機能層3の硬度が不足したり、機能層3の水垢除去性が充分に高くならなくなるおそれがある。
このようなアクリルフッ素樹脂共重合系樹脂の具体例としては、下記[化1]に列挙したような構造を有するフルオロオレフィンとアクリル系化合物との共重合体に、(メタ)アクリロイル基を導入したものが挙げられる。
Figure 2010053669
上記各式中のR1は水素又はメチル基を示し、R2は水素又はメチル基等のアルキル基を示す。
このアクリルフッ素樹脂共重合系樹脂の重量平均分子量は特に制限されないが、5万〜30万の範囲であることが好ましい。この重量平均分子量が小さいと機能層3の機械的強度が不足するおそれがあり、またこの重量平均分子量が大きいと機能層3を形成する際の成形性が低下するおそれがある。
また、樹脂組成物4は上記アクリルフッ素樹脂共重合系樹脂以外の他の樹脂を含有しても良い。このような他の樹脂は、機能層の機械的強度の向上や製品コストの削減を図るために使用することができる。他の樹脂としては、アクリルフッ素樹脂共重合系樹脂とラジカル重合により共重合可能な適宜の樹脂が挙げられる。このような他の樹脂の例として、アクリル樹脂等が挙げられる。樹脂組成物4中の他の樹脂の含有量は適宜調整されるが、アクリルフッ素樹脂共重合系樹脂と他の樹脂との合計量に対するフッ素原子含有量が2重量%以上になる範囲で前記他の樹脂が配合されることが好ましい。他の樹脂の好適な配合量の具体的範囲は、アクリルフッ素樹脂共重合系樹脂中のフッ素原子含有量に応じて異なるが、例えばアクリルフッ素樹脂共重合系樹脂中のフッ素原子含有量が高い場合に、他の樹脂をアクリルフッ素樹脂共重合系樹脂と他の樹脂の合計量に対して95重量%まで配合することも可能である。
硬化開始剤である有機過酸化物としては、ラジカル重合の硬化開始剤として使用可能な適宜の有機過酸化物が使用される。このような有機過酸化物としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカルボネート等が例示される。樹脂組成物4中の有機過酸化物の含有量は適宜調整されるが、樹脂組成物4中のラジカル重合性の樹脂の合計量に対する有機過酸化物の割合が0.5〜8重量%の範囲であることが好ましい。
また、樹脂組成物4は上記成分のほか、適宜の溶剤や添加剤を含有しても良い。
ベース体2と機能層3とは、金型成形等により成形されることにより積層一体化されることで、水回り用部材1を構成する。金型成形法としては、プレス成形法、注型成形法、ハンドレイ成形法等が挙げられる。またこのような金型成形法において、機能層3は、例えば樹脂組成物4を金型6に塗布した後に硬化する方法(ゲルコート法)、樹脂組成物4を金型6内で注型成形する方法(IMC(インモールドコーティング)法)、樹脂組成物4で形成されたシート材5を金型6内に配置した後に硬化する方法(シートモールディング法)等により形成される。
水回り用部材1を形成するための具体的な金型成形法の例を以下に挙げる。
金型成形にあたり、機能層3を形成するための材料としては、液状の樹脂組成物4がそのまま用いられ、或いはこの樹脂組成物4で形成されたシート材5が用いられる。シート材5は例えば不織布シート12に樹脂組成物4を保持させることにより作製される。不織布シート12を構成する繊維としては、ポリエステル繊維、アラミド繊維、ポリアミド系繊維(ナイロン繊維)、ビニロン繊維、ポリオレフィン繊維等の熱可塑性樹脂繊維や、ガラス繊維等が挙げられる。この不織布シート12には柄模様が印刷されていても良く、この場合、機能層3に柄模様が形成される。この不織布シート12の坪量は、10〜400g/m2の範囲であることが好ましい。この坪量が10g/m2に満たないと不織布に充分な量の樹脂組成物4が保持されないおそれがあり、またこの坪量が400g/m2を超えると金型6の形状に対する追随性が低下して成形性が悪化したり、機能層3とベース体2との間に層間剥離が発生したりするおそれがある。このような不織布シート12を図2(a)に示すように樹脂組成物4の浴中に浸漬することで、不織布シート12に樹脂組成物4を含浸させ、この不織布シート12に含浸している樹脂組成物4を必要に応じて加熱乾燥することで、シート材5が作製される。また、図2(b)に示すように不織布シート12を搬送しながらこの不織布シート12に樹脂組成物4を散布するなどして塗布し、更に不織布シート12に塗布された節組成物を必要に応じて加熱乾燥することによりシート材5を作製しても良い。その他、適宜の手法によりシート材5を作製することができる。
また、ベース体2を形成するための材料としては、液状の不飽和ポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂等の液状樹脂11が使用され、或いはこの不飽和ポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂等から構成されるSMC(シートモールディングコンパウンド)8やBMC(バルクモールディングコンパウンド)等の成形材料が使用される。
図3に示す例では、プレス成形法により水回り用部材1を作製している。この成形法で使用される金型6は図3(a)に示すように下型6aと上型6bで構成され、下型6a側に機能層3が、上型6b側にベース体2が形成される。この金型6を型締めすると、上型6bと下型6aとの間に水回り用部材1の形状に合致する中空部7が形成される。この中空部7に臨む下型6aの表面には、図示はされていないが、機能層3の表面に形成される凹凸形状に合致する転写用凹凸が形成されている。
この金型6を開いた状態で、図3(b)に示すように下型6aの上に機能層3を形成するための材料としてシート材5を配置し、更にこのシート材5に重ねて、図3(c)に示すようにベース体2を形成するための材料としてSMC8を配置する(シートモールディング法)。尚、SMC8に代えて、或いはSMC8と共に、BMCが使用されても良い。
次に、図3(d)に示すように金型6を型締めすると共に金型6を加熱することで、プレス成形を実施する。このプレス成形により、金型6の中空部7内でシート材5が成形硬化して機能層3が形成されると共に、SMC8が成形硬化してベース体2が形成され、このベース体2と機能層3とが積層一体化する。これにより、ベース体2と機能層3で構成される水回り用部材1が形成される。その後、図3(e)に示すように金型6を開いて金型6から水回り用部材1を取り外す。
図4に示す例では、注型成形法により水回り用部材1を作製している。この成形法で使用される金型6は、図4(a)に示すように下型6aと上型6bで構成され、下型6a側に機能層3が、上型6b側にベース体2が形成される。この金型6を型締めすると、上型6bと下型6aとの間に水回り用部材1の形状に合致する中空部7が形成される。この中空部7に臨む下型6aの表面には、図示はされていないが、機能層3の表面に形成される凹凸形状に合致する転写用凹凸が形成されている。また上型6bには金型6外部と中空部7内とを連通する注入孔9が形成されている。
この金型6を開いた状態で、図4(b)に示すように下型6aの上に機能層3を形成するための材料としてシート材5を配置する(シートモールディング法)。尚、機能層3を形成するための材料として液状の樹脂組成物4を使用し、この樹脂組成物4を下型6aの上に吹き付けるなどして塗布し、必要に応じて乾燥することで樹脂層10を形成しても良い(ゲルコート法)。
次に、図4(c)に示すように金型6を型締めする。この金型6内の中空部7には下型6a側に上記シート材5又は樹脂層10が配置され、このシート材5又は樹脂層10と上型6bとの間には空間15が形成される。この金型6の注入孔9から、図4(d)に示すようにベース体2を形成するための材料として液状樹脂11を前記空間に注入して充填すると共に金型6を加熱して注型成形を実施する。この注型成形により、金型6の中空部7内でシート材5又は樹脂層10が成形硬化して機能層3が形成されると共に、液状樹脂11が成形硬化してベース体2が形成され、このベース体2と機能層3とが積層一体化する。これにより、ベース体2と機能層3で構成される水回り用部材1が形成される。その後、図4(e)に示すように金型6を開いて金型6から水回り用部材1を取り外す。
図5に示す例では、ハンドレイアップ成形法により水回り用部材1を作製している。この成形法で使用される図5(a)に示す金型6の表面には、図示はされていないが、機能層3の表面に形成される凹凸形状に合致する転写用凹凸が形成されている。
この金型6の上に、図5(b)に示すように機能層3を形成するための材料として液状の樹脂組成物4を吹き付け等により塗布し、必要に応じて乾燥することで樹脂層10を形成する(ゲルコート法)。この樹脂層10に重ねて、図5(c)に示すようにベース体2を形成するための材料17を積層する。この材料17としては、例えば必要に応じてガラス繊維等の補強繊維を配合した不飽和ポリエステル樹脂組成物など、従来、浴室床部材などの水回り部材の成形に用いられている材料を用いることができる。尚、このベース体2には必要に応じてその裏面側に金属材等の補強材や、バック層を設けても良い。
次に、この金型6を硬化炉等に配置して、樹脂層10と、ベース体2を形成するための材料17を加熱する。これにより樹脂層10が成形硬化して機能層3が形成されると共に、ベース体2を形成するための材料17によりベース体2が形成され、このベース体2と機能層3とが積層一体化する。これにより、ベース体2と機能層3で構成される水回り用部材1が形成される。その後、図5(d)に示すように金型6から水回り用部材1を取り外す。
図6に示す例では、プレス成形法又は注型成形法により水回り用部材1を作製するにあたり、機能層3をIMC法で形成する方法を示す。この方法で使用される金型6は、下型6aに金型6の外部と中空部7とを連通する注入孔16が形成されている以外は、上記プレス成形法又は注型成形法で使用される金型6と同一の構成を有する。
この方法では、まず、機能層3を形成するための材料を使用せず、ベース体2を形成するための材料のみを用いて、上記の場合と同様にプレス成形又は注型成形を実施し、図6(a)に示すように金型6内にベース体2のみを形成する。ベース体2の形成後、図6(b)に示すように金型6を僅かに開くと共にこの金型6の注入孔16から、機能層3を形成するための材料として液状の樹脂組成物4を金型6に注入した後、金型6を加熱して、金型6内で樹脂組成物4を成形硬化する。これにより、金型6内でベース体2と機能層3とが積層一体化し、このベース体2と機能層3で構成される水回り用部材1が形成される。その後、図6(c)に示すように金型6を開いて金型6から水回り用部材1を取り外す。
これらの金型成形における成形時の加熱条件や加圧条件等の成形条件は特に制限はされず、ベース体2や機能層3を形成するための材料の組成や形態等に応じて適宜設定される。
以上のような金型成形によりベース体2と機能層3とを積層一体化すると、機能層3の表面には、金型6の転写用凹凸の形状が転写されることで、凹凸形状が形成される。このため機能層3の表面に凹凸形状を形成することが容易となる。
図1に機能層3に形成される凹凸形状の一例を示す。この機能層3には、意匠模様等を構成するための目地溝14が形成されており、また水回り用部材1の排水性及び乾燥性の向上のための微細な凹凸13も形成されている。この微細な凹凸13が形成されることによって、機能層3により発揮される水垢除去性を充分に維持しつつ、この機能層3の表面に擬似的な親水性が付与されて、水回り部材1が優れた排水性及び乾燥性を発揮するようになる。この微細な凹凸13は前記機能が発揮されるように適宜調整されるが、例えば微細な凹凸13における凹凸間の高低差が数μm〜数十μmの範囲となるように形成される。
以上のような水回り用部材1では、機能層3がラジカル重合性のアクリロイル基を有するフルオロオレフィンを含有するアクリルフッ素樹脂共重合系樹脂と、硬化開始剤である有機過酸化物とを含有する樹脂組成物4の硬化物で形成されることから、この機能層3の表面での水垢除去性が非常に高くなる。また、機能層3が金型成形されることで、この機能層3に微細な凹凸13を容易に形成することができ、この微細な凹凸13により排水性及び乾燥性を発揮しつつ、機能層3の高い耐久性を確保することが可能となる。
以下、本発明の実施例を示すことにより本発明を更に詳述する。
[実施例1〜11]
表1に示すアクリルフッ素樹脂共重合系樹脂(関東電化工業株式会社製)、アクリル樹脂(株式会社菱晃製、アクリルシラップ XD−038)、硬化剤(日油株式会社製 パーブチルI−75)を、アクリルフッ素樹脂共重合系樹脂のブレンド固形分比率(ラジカル重合性の樹脂全量に対するアクリルフッ素樹脂共重合体の固形分重量比率)が表1に示す値になると共に、硬化剤の含有量がラジカル重合性の樹脂全量に対して5重量%となるように混合して、樹脂組成物4を調製した。この樹脂組成物4を、加飾用不織布シート12(東洋紡製 エクレール3701A)に含浸し、乾燥することで、シート材5を得た。尚、表1に示すアクリルフッ素樹脂共重合系樹脂のフッ素含有量は燃焼法により測定されたものであり、重量平均分子量はGPCにより測定されたものであり、官能基当量は(メタ)アクリロイル基の当量の計算値である。
このシート材5を機能層3を形成するための材料として用い、不飽和ポリエステル樹脂かんらなる市販のSMC8をベース体2を形成するための材料として用いて、図3に示すプレス成形法(成形温度145〜148℃、成形時間10分)により、厚み5mmのベース体2と厚み0.5mmの機能層3とが積層一体化した水回り用部材1を作製した。この水回り用部材1の機能層3の表面には、プレス成形時に下型6aからの転写用凹凸の形状を転写して、高低差が2〜10μmの範囲の微細な凹凸13を形成した。
[比較例1]
機能層3を形成するための材料を使用せず、それ以外は実施例1〜11と同様にして、ベース体2のみからなる水回り用部材1を作製した。このベース体2の一面には、上記実施例1〜11における機能層3と同様に、プレス成形時に下型6aからの転写用凹凸の形状を転写して微細な凹凸13を形成した。
[比較例2]
シート材5を作製するにあたり、実施例1〜11における樹脂組成物4に代えて、不飽和ポリエステル樹脂(昭和高分子株式会社製 リゴラック M−411)を使用した。それ以外は実施例1〜11と同様にして、ベース体2と機能層3とが積層一体化した水回り用部材1を作製した。
[比較例3]
シート材5を作製するにあたり、実施例1〜11における樹脂組成物4に代えて、アクリル樹脂(株式会社菱晃製、アクリルシラップ XD−038)を使用した。それ以外は実施例1〜11と同様にして、ベース体2と機能層3とが積層一体化した水回り用部材1を作製した。
[水垢除去性評価試験]
実施例1〜11並びに比較例1〜3で得られた水回り用部材1の微細な凹凸13が形成された面(実施例1〜11、比較例2,3では機能層3の表面)を水平に配置し、この面にシャワーによる3分間の散水と、70℃での30分間の乾燥処理とを交互に80回ずつ繰り返し、水回り用部材1に水垢を付着させた。
この水垢を水スポンジで拭き取ることを試みた場合の水垢除去性を、下記判断基準により評価した。その結果を表1に示す。
◎ 水垢が容易に除去される
○ 水垢が除去される
△ 水垢が僅かに残る
× 水垢が除去されない
Figure 2010053669
表1に示される通り、実施例1〜11のようにアクリルフッ素樹脂共重合系樹脂から形成された機能層3を有する水回り用部材1では水垢除去性が向上することが確認された。
[撥水性評価試験]
実施例5で得られた水回り用部材1、比較例1で得られた水回り用部材1、並びに比較例1で得られた水回り用部材1の表面に撥水コーティング材(関東電化工業株式会社製 KD270R)を塗布成膜して厚み5μmのコーティング層を形成したものについて、これらの水回り用部材1の微細な凹凸13が形成された面(実施例1では機能層3の表面)を水平に配置し、この面にシャワーで10分間均一に散水した後、室温20℃で8時間放置した。
そして、各水回り用部材1の微細な凹凸13が形成された面における、長径30mm以上の水滴の残存の有無を確認したところ、実施例5並びに撥水コーティングが施されてない比較例1では、水滴の残存は確認されなかった。一方、撥水コーティングが施された比較例1では、水滴が残存した。これは、撥水コーティングにより水回り用部材1の表面の微細な凹凸13が埋まってしまったためと考えられる。
これにより、実施例5では水垢除去性が維持されつつ、表面の微細な凹凸13が埋められることがないため排水性及び乾燥性が高く、残水により汚染されにくいことが確認された。
[実施例12〜16]
表2に示すアクリルフッ素樹脂共重合系樹脂(関東電化工業株式会社製)100重量部に対して、硬化剤(化薬アクゾ株式会社製 パーカドックス 16)を2重量部、促進剤(フェロセン)を1重量部の割合で配合して、樹脂組成物4を調製した。尚、表2に示すアクリルフッ素樹脂共重合系樹脂のフッ素含有量は燃焼法により測定されたものであり、重量平均分子量はGPCにより測定されたものであり、官能基当量は(メタ)アクリロイル基の当量の計算値である。
この樹脂組成物4を機能層3を形成するための材料として用い、ガラス補強繊維を含有する不飽和ポリエステル樹脂組成物をベース体2を形成するための材料17として用いて、図5に示すハンドレイアップ成形法(乾燥・加熱温度60℃、成形時間60分)により、厚み5mmのベース体2と厚み0.05mmの機能層3とが積層一体化した水回り用部材1を作製した。この水回り用部材1の機能層3の表面には、ハンドレイアップ成形時に金型6からの転写用凹凸の形状を転写して、高低差2〜10μmの微細な凹凸13を形成した。
[比較例4]
機能層3を形成するための材料として、不飽和ポリエステル樹脂(ジャパンコンポジット株式会社製 ポリホープ 6315)を用いた以外は、実施例16〜21と同様にして、水回り用部材1を作製した。
[比較例5]
機能層3を形成するための材料として、アクリル樹脂(菱晃株式会社製 アクリルシラップ DRXD−038)を用いた以外は、実施例16〜21と同様にして水回り用部材1を作製した。
[評価試験]
実施例12〜16並びに比較例4,5で得られた水回り用部材1に対し、上述の水垢除去性評価試験及び撥水性評価試験を行った。
また、これらの水回り用部材1の外観を目視で観察することで、成形性を評価した。
その結果を表2に示す。
Figure 2010053669
表2に示される通り、実施例12〜16のようにアクリルフッ素樹脂共重合系樹脂から形成された機能層3を有する水回り用部材1では水垢除去性及び残水性が向上することが確認された。
本発明の実施の形態の一例を示す概略の断面図である。 (a)及び(b)はシート材の作製方法の例を示す概略図である。 (a)乃至(e)は、同上の実施の形態における、金型成形法の一例を示す断面図である。 (a)乃至(e)は、同上の実施の形態における、金型成形法の他例を示す断面図である。 (a)乃至(d)は、同上の実施の形態における、金型成形法の更に他例を示す断面図である。 (a)乃至(c)は、同上の実施の形態における、金型成形法の更に他例を示す断面図である。
符号の説明
1 水回り部材
2 ベース体
3 機能層
4 樹脂組成物
5 シート材
6 金型

Claims (5)

  1. 下地を構成するベース体と表層を構成する機能層とが成形されて積層一体化した構成を有し、前記機能層が、ラジカル重合性の(メタ)アクリロイル基を有するアクリルフッ素樹脂共重合系樹脂と、硬化開始剤である有機過酸化物とを含有する樹脂組成物の硬化物で形成されていることを特徴とする水回り用部材
  2. 上記アクリルフッ素樹脂共重合系樹脂のフッ素原子含有量が2〜60重量%の範囲であり、且つ(メタ)アクリロイル基の当量が150〜700g/eqの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の水回り用部材。
  3. 上記樹脂組成物が、アクリルフッ素樹脂共重合系樹脂以外の樹脂を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の水回り用部材。
  4. 上記ベース体と機能層とが、プレス成形法、注型成形法、ハンドレイアップ成形法から選択される成形法により積層一体化されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の水回り用部材。
  5. 上記機能層が、樹脂組成物を金型に塗布した後に硬化する方法、樹脂組成物を金型内で注型成形する方法、樹脂組成物で形成されたシート材を金型内に配置した後に硬化する方法から選択される方法で形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の水回り用部材。
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