JP2010053210A - 制振材用エマルション組成物及び制振材配合物 - Google Patents

制振材用エマルション組成物及び制振材配合物 Download PDF

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Abstract

【課題】制振材に要求される基本性能を発揮するとともに、特に従来の技術では塗膜のタレが生じるような高湿度条件下や膜厚が厚い条件下でも格段に優れた耐タレ性を発現することができ、各種構造体の制振材に有用な制振材用エマルション組成物を提供する。
【解決手段】単量体成分を乳化重合してなるエマルションを含有する制振材用エマルション組成物であって、上記制振材用エマルション組成物は、ガラス転移温度が−20〜30℃であり、重量平均分子量が20000〜400000であるエマルション(A)と、該エマルション(A)よりもガラス転移温度が高く、かつ重量平均分子量が低いポリマー(B)とを含んでなり、エマルション(A)100質量%に対して、ポリマー(B)の含有割合が0.5〜10質量%である制振材用エマルション組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、制振材用エマルション組成物及び制振材配合物に関する。より詳しくは、各種構造体における振動や騒音を防止して静寂性を保つために使用される制振材の材料として有用な制振材用エマルション組成物及び制振材配合物に関する。
制振材は、各種構造体における振動や騒音を防止して静寂性を保つためのものであり、例えば、自動車の室内床下等に用いられている他、鉄道車両、船舶、航空機や電気機器、建築構造物、建設機器等にも広く利用されている。このような制振材に用いられる材料としては、従来、振動吸収性能及び吸音性能を有する材料を素材とする板状成形体やシート状成形体等の成形加工品が使用されているが、振動や音響の発生箇所の形状が複雑な場合には、これらの成形加工品を振動発生箇所に適用することが困難であることから、作業性を改善して制振性を充分に発揮させるための手法が種々検討されている。すなわち、例えば、自動車の室内床下等には無機粉体を含んだアスファルトシートが用いられてきたが、熱融着させる必要性があることから、作業性等の改善が望まれており、制振材を形成する種々の制振材用組成物や重合体の検討がなされている。
そこで、このような成形加工品の代替材料として、塗布型制振材(塗料)が開発されており、例えば、該当箇所にスプレーにより吹き付けるか又は任意の方法により塗布することにより形成される塗膜により、振動吸収効果及び吸音効果を得ることが可能な制振塗料が種々提案されるに至っている。具体的には、例えば、アスファルト、ゴム、合成樹脂等の展色剤に合成樹脂粉末を配合して得られる塗膜硬度を改良した水系制振塗料の他、自動車の室内用に適するものとして、樹脂エマルションに充填剤として活性炭を分散させた制振塗料等が開発されている。このような制振性塗料等には、制振性及び機械安定性に優れることが求められるが、これらの従来品をもってしても未だ、制振性能が充分に満足できるレベルにあるとはいえず、優れた機械安定性とともに、更に充分に制振性能を発揮できるようにする技術が求められている。また、多様な環境下において制振性塗膜を被着体上に形成する工程が行われるが、従来の制振材用エマルションは、垂直面に塗布すると、塗料が乾燥する前に塗料が塗布面からずり落ちることがあった。このため、塗膜のずり落ち等による塗膜のタレが生じず、垂直面にも良好な塗膜を形成することができる耐タレ性に優れたものが求められている。
従来の制振材用材料に関し、アルカリ可溶性モノマーユニット及び会合性モノマーユニットを有する重合体からなる水系制振材用増粘剤が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この水系制振材用増粘剤を配合した塗料は、チキソトロピックな粘性を有し、かような性質は、塗料をスプレー塗布する際に、塗料をスプレー塗布する際に非常に有用である。スプレー時には剪断力が強いため粘度が低く、塗布しやすい。一方、塗布後は剪断力が弱いため粘度が高く、液ダレしにくい。
更に、重合体および乳化剤を含む制振材用エマルションであって、乳化剤として、ノニオン性乳化剤を含み、その含有量が重合体を形成するために用いられた単量体の総量に対して3質量%以下である制振材用エマルションが開示されている(例えば、特許文献2参照)。この制振材用エマルションを用いて形成された塗膜は、縦面で塗膜が垂れる現象や塗膜がズレる現象が生じにくいものである。
特開2004−137485号公報(第2、12頁) 特開2005−105106号公報(第2、10頁)
しかしながら、上述した水系制振材用増粘剤や制振材用エマルションにおいては、高湿度条件下や膜厚が厚い条件下においても耐タレ性を充分なものとすることが求められるところであった。エマルションの塗膜においては、湿度が高い条件下では表面乾燥しにくくなり、それによってタレやすくなる。従来の制振材用エマルション組成物では、そのように高湿度条件下で耐タレ性が高いというものではなく、湿度に関する作業環境の影響を受けやすいものであった。また制振材用エマルション組成物は、厚膜にすることによって制振性能が向上することになるが、厚膜になればなるほどタレやすくなり、かつ高湿度条件下ともなれば、エマルション塗膜の乾燥過程における耐タレ性が優れたものでなければ膜厚を厚くすることはできない。これらのことから、制振材用エマルション組成物を用いて工業生産において安定的に膜厚が厚い制振材を得ること、すなわち、湿度に関する作業環境の影響を受けにくく、各種構造体の制振材に用いる材料として好適な制振材用エマルション組成物が望まれていた。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、制振材に要求される基本性能を発揮するとともに、特に従来の技術では塗膜のタレが生じるような高湿度条件下や膜厚が厚い条件下でも格段に優れた耐タレ性を発現することができ、各種構造体の制振材に有用な制振材用エマルション組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者等は、制振材用エマルション組成物について種々検討したところ、制振材用エマルション組成物を必須成分とする制振材配合物を塗布した後に塗膜のタレを充分に防ぐ耐タレ性を発現することが、湿度に関する作業環境の影響を受けにくく、各種構造体の制振材に用いる材料として好適なものとするために重要であることに着目した。そして、制振材用エマルション組成物をガラス転移温度及び重量平均分子量が特定されたエマルション(A)と、該エマルション(A)よりもガラス転移温度が高く、重量平均分子量が低いポリマー(B)とを必須成分とすると、制振材に要求される基本性能を充分なものとしながら、高湿度条件下や膜厚が厚い条件下においても格段に優れた耐タレ性を発現できることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到した。また、上記ポリマー(B)が、エマルション(A)よりもガラス転移温度が少なくとも50℃高いものとしたり、粘着付与剤であるものとすると、耐タレ性を更に優れたものとすることができることを見いだし、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、単量体成分を乳化重合してなるエマルションを含有する制振材用エマルション組成物であって、上記制振材用エマルション組成物は、ガラス転移温度が−20〜30℃であり、重量平均分子量が20000〜400000であるエマルション(A)と、該エマルション(A)よりもガラス転移温度が高く、かつ重量平均分子量が低いポリマー(B)とを含んでなり、エマルション(A)100質量%に対して、ポリマー(B)の含有割合が0.5〜10質量%である制振材用エマルション組成物である。
本発明はまた、上述した制振材用エマルション組成物、顔料、発泡剤及び増粘剤を必須成分とする制振材配合物でもある。
以下に本発明を詳述する。
本発明の制振材用エマルション組成物は、ガラス転移温度が−20〜30℃であり、重量平均分子量が20000〜400000であるエマルション(A)と、該エマルション(A)よりもガラス転移温度が高く、かつ重量平均分子量が低いポリマー(B)とを含んでなり、エマルション(A)100質量%に対して、ポリマー(B)の含有割合が0.5〜10質量%である。
このように本発明の制振材用エマルション組成物がガラス転移温度及び重量平均分子量が特定されたエマルション(A)と該エマルション(A)よりもガラス転移温度が高く、かつ重量平均分子量が低いポリマー(B)とを特定割合で含んでなる形態とすることにより、本発明の制振材用エマルション組成物を必須成分とする制振材配合物(本明細書中、塗料ともいう)が、制振性等の基本的性能を充分なものとしたうえで、塗膜のタレが生じやすい高湿度条件下、高膜厚条件下において、例えば塗料を垂直な面に塗布した後にもタレを充分に防止することができ、種々の用途における作業性・利便性が格段に向上することになる。
このように塗膜のタレが生じやすい高湿度条件下、高膜厚条件下においても塗膜のタレを充分に防止することができる理由としては、例えば(1)制振材配合物中の樹脂(エマルション粒子)の相互作用が強くなり、エマルション粒子間の凝集力が増大すること(通常の粘着付与剤(タッキファイヤー)の添加により増大されるポリマー間の凝集力ではなく、エマルション粒子間の凝集力が増大することにより、乾燥していない塗膜の耐タレ性が格段に向上すると考えられる)、(2)制振材配合物のゼロずり粘度(zero−share viscocity)を高め、粘性を変化(チキソトロピック性を大きくする)こと、(3)基材界面の密着力(粘着力)を増大させること等によって、乾燥していない塗膜においてもタレにくくなっているためであると考えられる。
なお、ポリマー(B)が粘着付与剤として作用して塗膜の粘着力を高めるために耐タレ性を発現するようにも思われる。通常の粘着付与剤の作用機構は、流動性、タックを付与し、粘着力を向上せしめるものであるが、当該作用は通常塗膜が乾燥した後に働くものであり、本発明のように乾燥していない塗膜の耐タレ性を充分に改善し、湿度に関する作業環境の影響を受けにくくするものではなかった。また、通常の粘着付与剤を添加すると、ガラス転移温度が上がって粘度が下がったうえで粘着力が向上するが、本発明の制振材用エマルション組成物においてはポリマー(B)の添加により粘度が上がるものであるため、通常の粘着付与剤の添加による粘度の変化が本発明の制振材用エマルション組成物における粘着力、耐タレ性の向上に直接的に効いているわけではないと考えられる。更に、粘着付与剤として作用して粘着力を高めるためには、粘着付与剤がエマルション100質量%に対して通常10〜30質量%程度添加されるものであり、本発明の制振材用エマルション組成物におけるポリマー(B)とは量が異なるものであった。
したがって、本発明の効果は、ポリマー(B)が通常の粘着付与剤とは異なる作用をすることによって発揮されるものであることが明らかである。
また、ポリマー(B)を含有することにより、エマルション(A)の制振性が向上する結果が得られた。言い換えれば、後述するように、ポリマー(B)をエマルション(A)中に組み込むことにより、本発明の効果を更に優れたものとすることができる。
本明細書中、エマルション(A)のガラス転移温度(Tg)としては、既に得られている知見に基づいて決定されてもよいし、単量体成分の種類や使用割合によって制御されてもよいが、理論上は、以下の計算式より算出され得るものであり、これによってTgを決めることが好ましい。
Figure 2010053210
式中、Tg′は、エマルションのTg(絶対温度)である。W′、W′、・・・W′は、全単量体成分に対する各単量体の質量分率である。T、T、・・・Tは、各単量体成分からなるホモポリマー(単独重合体)のガラス転移温度(絶対温度)である。
また、ポリマー(B)のガラス転移温度とは、ポリマー分子がミクロブラウン運動を始める温度であり、各種の測定方法があるが、本発明においては、示差走査熱熱量計 (DSC)によって、ASTM−D−3418に従って、中点法で求めた温度と定義する。ガラス転移温度が複数観測される場合があるが、本発明では、より吸熱量の大きい、主転移温度を採用するものとする。
本明細書中、重量平均分子量は、例えば、以下の測定条件下で、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定により求めることができる。
測定機器:HLC−8120GPC(商品名、東ソー社製)
分子量カラム:TSK−GEL GMHXL−Lと、TSK−GELG5000HXL(いずれも東ソー社製)とを直列に接続して使用
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
検量線用標準物質:ポリスチレン(東ソー社製)
測定方法:測定対象物を固形分が約0.2質量%となるようにTHFに溶解し、フィルターにてろ過した物を測定サンプルとして分子量を測定する。
本発明におけるエマルション(A)のガラス転位温度は、下限が−10℃であることが好ましい。上限は、20℃が好ましい。
−10℃未満であったり、20℃を超えると、幅広い温度領域下でより高い制振性等の基本性能を発現させることができなくなるおそれがある。
上記エマルション(A)は、重量平均分子量が、下限としては、50000が好ましい。より好ましくは、100000である。
上限としては、300000が好ましい。より好ましくは、200000である。
重量平均分子量が50000未満であったり、300000を超えると、制振性等の基本的性能が充分でなくなるおそれがある。
上記エマルション(A)は、本発明の制振材用エマルション組成物において単独で使用するものであってもよく、2種以上を使用するものであってもよい。このような共重合体としては、通常、媒体中に分散された形態で存在する。すなわち、上記制振材用エマルション組成物は、媒体と、媒体中に分散されたエマルションとを有するものであることが適当である。媒体としては、水性媒体であることが好ましく、例えば、水や、水と混じりあう溶媒と水との混合溶媒等が挙げられる。中でも、本発明の制振材用エマルション組成物を含む塗料を塗布する際の安全性や環境への影響を考慮すると、水が好適である。
本発明におけるエマルション(A)は、単独の共重合体であってもよく、共重合体が混合された混合物であってもよく、コア・シェル構造を有するものであってもよいが、中でもコア・シェル構造を有するものであることが好ましい。すなわち、上記エマルション(A)は、コア部とシェル部とを有するエマルション粒子であることが好ましい。エマルションがこのようなものである場合、コア部とシェル部とが完全に相溶し、これらを区別できない均質構造のものであってもよく、これらが完全には相溶せずに不均質に形成されるコア・シェル複合構造やミクロドメイン構造であってもよい。
これらの構造の中でも、エマルションの特性を充分に引き出し、安定なエマルションを作製するためには、コア・シェル複合構造であることが好ましい。
コア部とシェル部とを有するエマルションは、実用温度範囲内の幅広い範囲における制振性に優れる。特に高温域においても、他の形態の制振材配合物と比較して優れた制振性を発揮し、その結果、実用温度範囲内において、常温から高温域まで幅広い範囲に渡って制振性能を発揮することができる。
なお、上記コア・シェル複合構造においては、コア部の表面がシェル部によって被覆された形態であることが好ましい。この場合、コア部の表面は、シェル部によって完全に被覆されていることが好適であるが、完全に被覆されていなくてもよく、例えば、網目状に被覆されている形態や、所々においてコア部が露出している形態であってもよい。
上記コア部とシェル部とを有するエマルション粒子において、コア部を形成する共重合体と、シェル部を形成する共重合体とは、例えば、重量平均分子量やガラス転移温度、SP値(溶解度係数)、使用される単量体の種類、単量体の使用割合等の各種物性のうちいずれかにおいて異なるものであればよい。中でも、重量平均分子量、ガラス転移温度の少なくとも1つで差を有するものであることが好適である。
上記エマルションの粒子がコア部とシェル部とを有するエマルション粒子である場合、コア部を形成する単量体成分とシェル部を形成する単量体成分とのガラス転位温度(Tg)の差が10〜60℃であることが好ましい。Tgの差が10℃未満である場合や、60℃より大きい場合には、幅広い温度領域(20℃〜60℃)にわたっての制振性が得られないおそれがある。より好ましくはTgの差が15〜55℃であることであり、更に好ましくは、20〜50℃である。また、コア部を形成する単量体成分のTgは、シェル部を形成する単量体成分のTgよりも高いほうが好ましい。すなわち、コア部とシェル部とを有するエマルションを製造する場合、コア部のエマルションを形成した後、シェル部のエマルションを形成する多段重合により製造されることになるが、前段工程で使用される単量体成分のTgは、後段工程で使用される単量体成分のTgよりも高いほうが好ましい。エマルションが3段階以上の工程で製造される場合も同様に、後の工程で使用される単量体成分のTgは、その直前の工程で使用される単量体成分のTgよりも低いものであることが好ましい。
また上記コア部とシェル部とを有するエマルション粒子においては、コア部を形成する単量体成分とシェル部を形成する単量体成分との質量比が20/80〜70/30であることが好ましい。コア部を形成する単量体成分の質量比が20/80よりも小さい場合や、70/30よりも大きい場合には、幅広い温度領域での制振性が得られなくなるおそれがある。
上記エマルション(A)は、水を連続相とし、乳化剤の存在下で単量体成分を重合してなる重合体が分散している水系のものである。通常ではこのようなエマルションを必須とする制振材用エマルション組成物と、必要に応じて他の添加剤や溶剤等とを含んでなる制振材配合物を塗布することにより制振材を形成することになる。
上記コア部とシェル部とを有するエマルション粒子は、後述する乳化重合法(多段重合)を用いて得ることができる。
本発明の制振材用エマルション組成物が含むエマルション(A)は、エマルション粒子の平均粒子径が100〜450nmであるものであることが好ましい。
平均粒子径がこの範囲にあるエマルション粒子を用いることにより、制振材に要求される基本性能を充分なものとしたうえで、制振性をより優れたものとすることができる。
上記上限は、400nmであることがより好ましい。更に好ましくは、350nmである。エマルション粒子の平均粒子径がこのような範囲であると、本発明の制振材用エマルション組成物の作用効果がより効果的に発揮されることになる。
平均粒子径(体積平均粒子径)は、例えば、エマルション(A)を蒸留水で希釈し充分に攪拌混合した後、ガラスセルに約10ml採取し、これを動的光散法による粒度分布測定器(Particle Sizing Systems社製「NICOMP Model 380」)で測定することにより求めることができる。
本発明の制振材用エマルション組成物において、上記平均粒子径を有するエマルション粒子は、標準偏差をその体積平均粒子径で割った値(標準偏差/体積平均粒子径×100)で定義される粒度分布が40%以下であることが好ましい。より好ましくは、30%以下である。粒度分布が40%を超えると、エマルション粒子の粒子径分布の幅が非常に広いものとなり、一部に粗大粒子を含むものとなるために、そのような粗大粒子の影響で制振材用エマルション組成物が充分な加熱乾燥性を発揮することができないおそれがある。
上記エマルション(A)のpHとしては、例えば、2〜10であることが好ましく、より好ましくは、5〜10である。更に好ましくは、7〜10である。エマルションのpHは、エマルションに、アンモニア水、水溶性アミン類、水酸化アルカリ水溶液等を添加することによって調整することができる。
本明細書中、pHは、pHメーターにより測定することができる。例えば、pHメーター(堀場製作所社製「F−23」)を用いて25℃での値を測定することが好ましい。
上記エマルション(A)の粘度としては、例えば、1〜10000mPa・sであることが好ましく、より好ましくは、5〜2000mPa・sである。
なお、粘度は、B型回転粘度計を用いて、25℃、20rpmの条件下で測定することができる。
上記エマルション(A)の原料となる単量体成分、製造方法の好ましい形態については、後述するとおりである。
上記ポリマー(B)は、ガラス転移温度が50〜120℃であることが好ましい。
これにより、制振材として要求される基本的性能を充分なものとしながら耐タレ性を格段に高める本発明の効果をより充分に発揮することができる。
下限は、より好ましくは、60℃である。更に好ましくは、65℃である。上限は、より好ましくは、110℃である。更に好ましくは、100℃である。
本発明の制振材用エマルション組成物におけるポリマー(B)は、エマルション(A)よりもガラス転移温度が少なくとも50℃高いことが好ましい。
これにより、制振材として要求される基本的性能を充分なものとしながら耐タレ性を格段に高める本発明の効果をより充分に発揮することができる。
より好ましくは、少なくとも60℃である。更に好ましくは、少なくとも80℃である。
上記ポリマー(B)は、重量平均分子量が100〜10000であることが好ましい。
上記ポリマー(B)の重量平均分子量が100未満であったり、10000を超えると、耐タレ性を格段に向上する本発明の効果が充分に発揮されなくなるおそれがある。下限は、500がより好ましい。
なお、重量平均分子量は、上述した方法により測定することができる。
上記ポリマー(B)は、熱軟化温度が90〜250℃であることが好ましい。これにより、制振材に要求される基本性能を充分なものとしながら耐タレ性を格段に優れたものとすることができる本発明の効果をより充分に発揮することができる。
また、90℃未満であると、制振材としての基本性能が充分なものでなくなるおそれがある。
下限は、より好ましくは、100℃であり、更に好ましくは、120℃である。上限は、より好ましくは、220℃であり、更に好ましくは、200℃である。
本発明の制振材用エマルション組成物におけるポリマー(B)は、粘着付与剤であることが好ましい。
これにより、制振材として要求される基本的性能を充分なものとしながら耐タレ性を格段に高める本発明の効果をより顕著に発揮することができる。
上記粘着付与剤は、本発明の技術分野において、分子量が数百〜数千の無定形オリゴマーであり、凝集力を高めることができると認められるものであればよく(例えば、日本粘着テープ工業会 粘着ハンドブック編集委員会編、「粘着ハンドブック」、第3版、日本粘着テープ工業会、2005年10月1日発行、p.54−55を参照)、水分散体に対して使用することができるものである。上記粘着付与剤は、天然樹脂系、合成樹脂系の粘着付与剤等が挙げられ、中でも天然樹脂系粘着付与剤が好ましい。これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記天然樹脂系粘着付与剤としては、ロジン系、テルペン系の粘着付与剤が挙げられ、合成樹脂系粘着付与剤としては、脂肪族石油樹脂、芳香族石油樹脂、水添系石油樹脂等の粘着付与剤が挙げられる。
上記ロジン系粘着付与剤としては、ロジン、水素化ロジン、不均化ロジン、重合ロジン,エステル化ロジン等のロジン誘導体等があり、例えば、スーパーエステルE−720、スーパーエステルE−788、スーパーエステルNS−100H(商品名、荒川化学工業社製)、ハリエスタ−SK−90D−55、ハリエスタ−SK−508H、ハリエスタ−SK−822E(商品名、ハリマ化成社製)等が挙げられる。
上記テルペン系粘着付与剤としては、α,β−ピネン等のテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水素化テルペン樹脂等があり、例えば、タマノルE−100(商品名、荒川化学工業社製)、YSポリスター−T−115(商品名、ヤスハラケミカル社製)等が挙げられる。
上記合成樹脂系粘着付与剤としては、例えば、エマルションAM−1002(商品名、荒川化学工業社製)、アイマーブP−125、アイマーブP−140(商品名、出光興産社製)等が挙げられる。
その他の合成樹脂系の粘着付与剤としては、例えばアルキルフェノール樹脂、キシレン樹脂、クマロンインデン樹脂等が挙げられる。
本発明におけるポリマー(B)の含有割合は、下限が1質量%であることが好ましい。
上限は、8質量%が好ましい。より好ましくは、5質量%であり、更に好ましくは、3質量%である。なお、エマルション(A)100質量%を基準とする。
1質量%未満であると、耐タレ性が充分に発揮することができないおそれがある。8質量%を超えると、実用温度範囲における制振性が充分でなくなるおそれがある。
本発明の制振材用エマルション組成物において、ポリマー(B)は、エマルション(A)に添加しても良いし、エマルション(A)をポリマー(B)に添加しても良いが、ポリマー(B)をエマルション(A)の製造(乳化重合)中に混入することで、エマルションポリマー中に組み込んでも良い。
例えば、ポリマー(B)がエマルション(A)中に組み込まれた形態が、本発明の制振材用エマルション組成物における好ましい形態である。これにより、制振性を更に向上したうえで、耐タレ性も際立って優れたものとすることができる。
制振性が向上する理由は、ポリマー(B)がエマルション(A)中に組み込まれることにより、エマルション(A)と密接に関連して、エマルション(A)に対するポリマー(B)の作用効果がより効果的に発揮されるものと考えられる。
上記組み込まれた形態とは、エマルション(A)を単量体から形成するに際し、その重合初期又は途中でポリマー(B)を、エマルション(A)を形成する反応溶液中に添加することによって得られた形態を意味する。当該形態は、エマルション(A)が形成された後に単にポリマー(B)を添加することによって両者が混じり合っているという状態ではなく、上述したようにエマルション(A)のモノマー段階からポリマー(B)を存在させることによって、より分子鎖レベルで絡み合っている等の状態となっている。
本発明の制振材用エマルション組成物のpHとしては特に限定されないが、例えば、2〜10であることが好ましく、より好ましくは、3〜9である。更に好ましくは、7〜8である。エマルションのpHは、エマルションに、アンモニア水、水溶性アミン類、水酸化アルカリ水溶液等を添加することによって調整することができる。
本明細書中、pHの測定方法は、エマルション(A)において上述した通りである。
本発明の制振材用エマルション組成物の粘度としては特に限定されないが、例えば、1〜10000mPa・sであることが好ましく、より好ましくは、5〜500mPa・sである。
なお、粘度の測定方法は、エマルション(A)において上述した通りである。
本発明における制振材用エマルション組成物を構成するエマルション(A)の原料となる単量体成分としては、本発明の作用効果を発揮することができればよいが、不飽和カルボン酸単量体を含んでなるものであることが好ましい。より好ましくは、不飽和カルボン酸単量体及び不飽和カルボン酸単量体と共重合可能な他の単量体とを含んでなるものである。不飽和カルボン酸単量体としては、分子中に不飽和結合とカルボキシル基とを有する化合物であれば特に限定されるものではないが、エチレン系不飽和カルボン酸単量体を含むことが好ましい。すなわちエチレン系不飽和カルボン酸単量体を必須とする単量体成分を重合してなるエマルション(A)を含んでなる制振材用エマルション組成物は、本発明の好ましい形態の1つである。
なお、本発明におけるエマルションの粒子が、コア部とシェル部とを有するエマルション粒子である場合、不飽和カルボン酸単量体及び不飽和カルボン酸単量体と共重合可能な他の単量体は、エマルションのコア部を形成する単量体成分、シェル部を形成する単量体成分のいずれに含まれていてもよく、これらの両方に用いられるものであってもよい。
上記エチレン系不飽和カルボン酸単量体としては特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、モノメチルフマレート、モノエチルフマレート、モノメチルマイエート、モノエチルマイエート等の不飽和カルボン酸類又はその誘導体等の1種又は2種以上が挙げられる。
これらの中でも、(メタ)アクリル系単量体が好ましい。
(メタ)アクリル系単量体とは、(メタ)アクリル酸、及び、(メタ)アクリル酸の塩や(メタ)アクリル酸エステル等の(メタ)アクリル酸誘導体を意味する。
すなわち、本発明の制振材用エマルション組成物を構成するエマルションは、アクリル共重合であることが好ましい。
本発明において、「アクリル共重合体」とは、少なくとも2種以上の単量体成分を用いて得られる共重合体であって、該単量体成分の少なくとも1種が、(メタ)アクリル系単量体である共重合体を意味する。これらの中でも、(メタ)アクリル酸系単量体を含む単量体成分を用いて得られるものであることが好ましい。(メタ)アクリル酸系単量体とは、(メタ)アクリル酸及びその塩を意味する。すなわち、本発明のアクリル共重合体は、単量体成分の少なくとも1種が、C(R )=CH−COOR、又は、C(R )=C(CH)−COOR(R、R、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子、金属原子、アンモニウム基、有機アミン基を表す。)で表される単量体である単量体成分を用いて得られるものであることが好ましい。
上記アクリル共重合体の原料となる単量体成分は、全単量体成分100質量%に対して(メタ)アクリル酸系単量体を0.1〜20質量%、その他の共重合可能なエチレン系不飽和単量体を99.9〜80質量%含んでなることが好ましい。(メタ)アクリル酸系単量体を含むことにより、本発明の制振材用エマルション組成物を必須とする制振材配合物において、無機粉体等の充填剤の分散性が向上し、制振性がより向上することになる。また、その他の共重合可能なエチレン系不飽和単量体を含むことにより、エマルションの酸価、Tgや物性等を調整しやすくなる。上記単量体成分において、(メタ)アクリル酸系単量体が0.1質量%未満であっても、20質量%を超えても、いずれも、エマルションが安定に共重合できないおそれがある。本発明におけるエマルションでは、これらの単量体から形成される単量体単位の相乗効果により、水系制振材において優れた制振性をより充分に発揮することが可能となる。
より好ましくは、全単量体成分100質量%に対して(メタ)アクリル酸系単量体を0.5〜3質量%、その他の共重合可能なエチレン系不飽和単量体を99.5〜97質量%含んでなることである。
その他の共重合可能なエチレン系不飽和単量体には、後述する(メタ)アクリル酸系単量体以外の(メタ)アクリル系単量体、窒素原子を有する不飽和単量体、芳香環を有する不飽和化合物、(メタ)アクリル酸系単量体と共重合可能なその他の単量体が含まれる。
上記アクリル共重合体の原料となる単量体成分において、(メタ)アクリル酸系単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、シトラコン酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等の1種又は2種以上を使用することが好適である。
また、(メタ)アクリル酸系単量体以外の(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、ペンチルアクリレート、ペンチルメタクリレート、イソアミルアクリレート、イソアミルメタクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、オクチルアクリレート、オクチルメタクリレート、イソオクチルアクリレート、イソオクチルメタクリレート、ノニルアクリレート、ノニルメタクリレート、イソノニルアクリレート、イソノニルメタクリレート、デシルアクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルアクリレート、ドデシルメタクリレート、トリデシルアクリレート、トリデシルメタクリレート、ヘキサデシルアクリレート、ヘキサデシルメタクリレート、オクタデシルアクリレート、オクタデシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタアクリレート等の他、これらの塩やエステル化物等の1種又は2種以上を使用することが好適である。
上記塩としては、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等であることが好ましい。金属塩を形成する金属原子としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子等の1価の金属原子;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属原子等の2価の金属原子;アルミニウム、鉄等の3価の金属原子が好適であり、また、有機アミン塩としては、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩や、トリエチルアミン塩が好適である。
上記単量体成分としてはまた、上記(メタ)アクリル酸(塩)系単量体と共重合可能なその他の単量体を含んでいてもよい。その他の単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン等の芳香環を有する不飽和化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−i−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等の窒素原子を有する不飽和化合物等が挙げられる。中でも、窒素原子を有する不飽和化合物が好ましい。特に好ましくは、アクリロニトリルである。
上記アクリル共重合体の原料となる単量体成分としては、(メタ)アクリル系単量体を全単量体成分100質量%に対して、20質量%以上含有するものであることが好ましい。より好ましくは、30質量%以上である。
また、上記他の共重合可能なエチレン系不飽和単量体のうち、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−i−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等の窒素原子を有する不飽和化合物の単量体成分中における含有割合は、全単量体成分100質量%に対して、40質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、20質量%以下である。
下限としては、1質量%が好ましい。より好ましくは、3質量%である。
本発明の制振材用エマルション組成物において、アクリル共重合体を形成する単量体成分は、ホモポリマーのガラス転位温度が0℃以下である重合性単量体を1種以上含むものであることが好ましい。より好ましくは2種以上含むことであり、最も好ましくは、多段重合の各工程において使用される単量体成分が、それぞれホモポリマーのガラス転位温度が0℃以下である重合性単量体を1種含むことである。ホモポリマーのガラス転位温度が0℃以下である重合性単量体としては、ブチルアクリレートや2−エチルヘキシルアクリレートが好ましい。
すなわち、本発明の制振材用エマルション組成物が含むエマルションの粒子を形成する単量体成分は、ブチルアクリレート及び/又は2−エチルヘキシルアクリレートを含んでなるものであることが好ましい。単量体成分がブチルアクリレート及び/又は2−エチルヘキシルアクリレートを含んでなるものであると、幅広い温度領域での制振性が向上する。
より好ましくは、単量体成分がブチルアクリレート及び2−エチルヘキシルアクリレートを含むことである。
上記アクリル共重合体を形成する単量体成分がブチルアクリレートを含むものである場合、ブチルアクリレートの含有量は、アクリル共重合体を形成する単量体成分100質量%に対して、10〜60質量%であることが好ましい。より好ましくは、20〜50質量%である。
上記単量体成分が2−エチルヘキシルアクリレートを含むものである場合、2−エチルヘキシルアクリレートの含有量は、アクリル共重合体を形成する単量体成分100質量%に対して、5〜55質量%であることが好ましい。より好ましくは、10〜50質量%である。
また、ブチルアクリレート及び2−エチルヘキシルアクリレートの両方を含むものである場合、ブチルアクリレート及び2−エチルヘキシルアクリレート合計の含有量は、アクリル共重合体を形成する単量体成分100質量%に対して、20〜70質量%であることが好ましい。より好ましくは、30〜60質量%である。
上記アクリル共重合体を形成する単量体成分は、更に、全単量体成分に対して官能基を有する不飽和単量体を10質量%未満含有するものであることが好ましい。官能基を有する不飽和単量体における官能基は、エマルションを重合により得る際に架橋することができる官能基であればよい。このような官能基の作用により、エマルションの成膜性や加熱乾燥性を向上することができることになる。より好ましくは、0.1〜3.0質量%である。
なお上記質量割合は、全単量体成分100質量%に対する質量割合である。
上記官能基を有する不飽和単量体が有する官能基としては、例えば、エポキシ基、オキサゾリン基、カルボジイミド基、アジリジニル基、イソシアネート基、メチロール基、ビニルエーテル基、シクロカーボネート基、アルコキシシラン基等が挙げられる。これらの官能基は、不飽和単量体の1分子中に1種あってもよく、2種以上あってもよい。
上記官能基を有する不飽和単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−i−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の多官能性不飽和単量体類;グリシジル(メタ)アクリレート、アクリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有不飽和単量体類等が挙げられる。これらの中でも、官能基を2個以上有する不飽和単量体(多官能性不飽和単量体)を用いることが好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記アクリル共重合体として2種以上のアクリル共重合体を用いる場合には、ガラス転移温度(Tg)が異なるものを用いることが好適である。このようにTgに差を設けることにより、幅広い温度領域下でより高い制振性を発現させることが可能となり、特に実用的範囲である20〜60℃域での制振性が格段に向上されることとなる。なお、3種以上のアクリル共重合体を用いる場合には、このうちの少なくとも2種のアクリル共重合体がTgの異なるものであればよく、残りの1種以上については、当該2種のアクリル共重合体のいずれかとTgが同じものであってもよい。
上記Tgの異なるアクリル共重合体として、Tgの高いものを「アクリル共重合体(1)」、低いものを「アクリル共重合体(2)」とすると、これらのTg差は10〜60℃であることが好ましい。
差が10℃未満であったり、温度差が大き過ぎると、実用的範囲での制振性がより充分なものとはならないおそれがある。
また、より好ましくは15〜55℃であり、更に好ましくは20〜50℃である。
上記アクリル共重合体(1)のガラス転移温度(Tg1)としては、Tg1が−10℃以上、また、30℃以下のものが好適である。より好ましくは、Tg1が−5℃以上、また、20℃以下である。更に好ましくは、Tg1が0℃以上、また、15℃以下である。これにより、本発明の制振材用エマルション組成物を含む塗料を用いて形成された制振材塗膜の乾燥性が良好となり、塗膜表面の膨張やクラックが充分に抑制されることになる。すなわち、格段に優れた制振性を有する制振材が形成されることとなる。より好ましくは10℃以下である。
また、上記アクリル共重合体(2)のガラス転移温度(Tg2)としては、−50℃以上、10℃以下が好ましい。より好ましくは、−30℃以上、−10℃以下である。
本発明の制振材用エマルション組成物が上述したアクリル共重合体のエマルションを含むものである場合、アクリル共重合体のエマルションのみを含むものであってもよく、その他のエマルション樹脂と混合したものであってもよい。
その他のエマルション樹脂としては、ウレタン樹脂、SBR樹脂、エポキシ樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−エチレン系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン系樹脂等のエマルション樹脂が挙げられ、これらの1種又は2種以上を含むものであってもよい。
この場合、アクリル共重合体のエマルションと他のエマルション樹脂との質量比(アクリル共重合体のエマルション/他のエマルション樹脂)が、100〜50/0〜50となるように設定することが好ましい。
本発明の制振材用エマルション組成物を構成するエマルション(A)の製造方法としては、乳化剤の存在下で乳化重合法により単量体成分を重合することになるが、乳化重合を行う形態としては特に限定されず、例えば、水性媒体中に単量体成分、重合開始剤及び乳化剤を適宜加えて重合することにより行うことができる。また、分子量調節のために重合連鎖移動剤等を用いることが好ましい。
乳化剤としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性の各種界面活性剤、及び、高分子界面活性剤の1種又は2種以上を用いることができる。
本発明の制振材用エマルション組成物を構成するエマルション(A)がコア部とシェル部とを有するエマルションである場合、通常の乳化重合法を用いて得ることが好ましい。具体的には、乳化剤及び/又は保護コロイドの存在下、水性媒体中で単量体成分を乳化重合させてコア部を形成した後、該コア部を含むエマルションに更に単量体成分を乳化重合させてシェル部を形成する多段重合により得ることが好ましい。このように、本発明の制振材用エマルション組成物を構成するエマルション(A)がコア部とシェル部とを有するエマルションであって、該エマルションがコア部を形成した後、シェル部を形成する多段重合により得られるものである形態もまた、本発明の好適な形態の1つである。
上記水性媒体としては特に限定されず、例えば、水、水と混じり合うことができる溶媒の1種又は2種以上の混合溶媒、このような溶媒に水が主成分となるように混合した混合溶媒等が挙げられる。これらの中でも、水を用いることが好ましい。
上記アニオン性界面活性剤としては特に限定されず、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンオレイルエーテル硫酸ナトリウム塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ポリオキシアルキレン(モノ、ジ、トリ)スチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレン(モノ、ジ、トリ)ベンジルフェニルエーテル硫酸エステル塩、アルケニルコハク酸ジ塩;及び、ナトリウムドデシルサルフェート、カリウムドデシルサルフェート、アンモニウムアルキルサルフェート等のアルキルサルフェート塩;ナトリウムドデシルポリグリコールエーテルサルフェート;ナトリウムスルホリシノエート;スルホン化パラフィン塩等のアルキルスルホネート;ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、アルカリフェノールヒドロキシエチレンのアルカリ金属サルフェート等のアルキルスルホネート;高アルキルナフタレンスルホン酸塩;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;ナトリウムラウレート、トリエタノールアミンオレエート、トリエタノールアミンアビエテート等の脂肪酸塩;ポリオキシアルキルエーテル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンカルボン酸エステル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンフェニルエーテル硫酸エステル塩;コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸塩;ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩等の1種又は2種以上を用いることができる。
上記アニオン性界面活性剤として特に好適な化合物としては、例えば、ラテムルWX、ラテムル118B、ペレックスSS−H、エマルゲン1118S、エマルゲンA−60、B−66(花王社製)、ニューコール707SF、ニューコール707SN、ニューコール714SF、ニューコール714SN、AB−26S、ABEX−2010、2020、2030、DSB(ローディア日華社製)等を挙げることができる。
また、これらのノニオンタイプに相当する界面活性剤も使用することができる。
上記アニオン性界面活性剤としてはまた、反応性乳化剤として、反応性アニオン系界面活性剤、スルホコハク酸塩型反応性アニオン系界面活性剤、アルケニルコハク酸塩型反応性アニオン系界面活性剤等の1種又は2種以上を用いることができる。
スルホコハク酸塩型反応性アニオン系界面活性剤の市販品としては、ラテムルS−120、S−120A、S−180及びS−180A(いずれも商品名、花王社製)、エレミノールJS−2(商品名、三洋化成社製)、アデカリアソープSR−10、SR−20、SR−30(ADEKA社製)等が挙げられる。
アルケニルコハク酸塩型反応性アニオン系界面活性剤の市販品としては、ラテムルASK(商品名、花王社製)等が挙げられる。
更に、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンスルフォネート塩(例えば、三洋化成工業社製「エレミノールRS−30」、日本乳化剤社製「アントックスMS−60」等)、アリルオキシメチルアルキルオキシポリオキシエチレンのスルフォネー卜塩(例えば、第一工業製薬社製「アクアロンKH−10」等)等のアリル基を有する硫酸エステル(塩)、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム(例えば、花王社製「ラテムルPD−104」等)等も用いることができる。
上記ノニオン性界面活性剤としては特に限定されず、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル;ソルビタン脂肪族エステル;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪族エステル;グリセロールのモノラウレート等の脂肪族モノグリセライド;ポリオキシエチレンオキシプロピレン共重合体;エチレンオキサイドと脂肪族アミン、アミド又は酸との縮合生成物等が挙げられる。また、アリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン(例えば、ADEKA社製「アデカリアソープER−20」等)、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル(例えば、花王社製「ラテムルPD−420」、「ラテムルPD−430」等)等の反応性を有するノニオン性界面活性剤も用いることができる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記カチオン性界面活性剤としては特に限定されず、例えば、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、エステル型ジアルキルアンモニウム塩、アミド型ジアルキルアンモニウム塩、ジアルキルイミダゾリニウム塩等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記両性界面活性剤としては特に限定されず、例えば、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジメチルアミンオキサイド、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記高分子界面活性剤としては特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール及びその変性物;(メタ)アクリル系水溶性高分子;ヒドロキシエチル(メタ)アクリル系水溶性高分子;ヒドロキシプロピル(メタ)アクリル系水溶性高分子;ポリビニルピロリドン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記界面活性剤の中でも、環境面からは、非ノニルフェニル型の界面活性剤を用いることが好適である。
上記乳化剤の使用量としては、用いる界面活性剤の種類や単量体成分の種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、エマルションを形成するのに用いられる単量体成分(本明細書中、全重合性不飽和結合基を含有する化合物ともいう)の総量100重量部に対して、0.1〜10重量部であることが好ましい。より好ましくは、0.5〜5重量部であり、更に好ましくは、1〜3重量部である。
上記保護コロイドとしては、例えば、部分ケン化ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩等のセルロース誘導体;グアーガム等の天然多糖類等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。なお、保護コロイドは単独で使用されてもよいし、界面活性剤と併用されてもよい。
上記保護コロイドの使用量としては、使用条件等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、アクリル共重合体を形成するのに用いられる単量体成分の総量100重量部に対して、5重量部以下であることが好ましく、より好ましくは3重量部以下である。
上記重合開始剤としては、熱によって分解し、ラジカル分子を発生させる物質であれば特に限定されないが、水溶性開始剤が好適に使用される。例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩類;2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)等の水溶性アゾ化合物;過酸化水素等の熱分解系開始剤;過酸化水素とアスコルビン酸、t−ブチルヒドロパーオキサイドとロンガリット、過硫酸カリウムと金属塩、過硫酸アンモニウムと亜硫酸水素ナトリウム等のレドックス系重合開始剤等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記重合開始剤の使用量としては特に限定されず、重合開始剤の種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、アクリル共重合体を形成するのに用いられる単量体成分の総量100重量部に対して、0.1〜2重量部であることが好ましく、より好ましくは、0.2〜1重量部である。
上記重合開始剤にはまた、乳化重合を促進させるため、必要に応じて還元剤を併用することができる。還元剤としては、例えば、アスコルビン酸、酒石酸、クエン酸、ブドウ糖等の還元性有機化合物;例えば、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム等の還元性無機化合物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記還元剤の使用量としては特に限定されず、例えば、アクリル共重合体を形成するのに用いられる単量体成分の総量100重量部に対して、0.05〜1重量部であることが好ましい。
上記重合連鎖移動剤としては特に限定されず、例えば、ヘキシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類;四塩化炭素、四臭化炭素、臭化エチレン等のハロゲン化炭化水素;メルカプト酢酸2−エチルヘキシルエステル、メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシルエステル、メルカプトピロピオン酸トリデシルエステル等のメルカプトカルボン酸アルキルエステル;メルカプト酢酸メトキシブチルエステル、メルカプトプロピオン酸メトキシブチルエステル等のメルカプトカルボン酸アルコキシアルキルエステル;オクタン酸2−メルカプトエチルエステル等のカルボン酸メルカプトアルキルエステルや、α−メチルスチレンダイマー、ターピノーレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、ジペンテン、アニソール、アリルアルコール等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ヘキシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類を用いることが好ましい。重合連鎖移動剤の使用量としては、例えば、全単量体成分100重量部に対して、通常2.0重量部以下、好ましくは1.0重量部以下である。
上記乳化重合においては、必要に応じて、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム等のキレート剤、ポリアクリル酸ナトリウム等の分散剤や無機塩等の存在下で行ってもよい。また、単量体成分や重合開始剤等の添加方法としては、例えば、一括添加法、連続添加法、多段添加法等の方法を適用することができる。また、これらの添加方法を適宜組み合わせてもよい。
上記製造方法における乳化重合条件に関し、重合温度としては特に限定されず、例えば、0〜100℃であることが好ましく、より好ましくは、40〜95℃である。また、重合時間も特に限定されず、例えば、1〜15時間とすることが好適で、より好ましくは、5〜10時間である。
また単量体成分や重合開始剤等の添加方法としては特に限定されず、例えば、一括添加法、連続添加法、多段添加法等の方法を適用することができる。また、これらの添加方法を適宜組み合わせてもよい。
本発明の制振材用エマルション組成物を構成するエマルションの製造方法においては、乳化重合によりエマルションを製造した後、中和剤によりエマルションを中和することが好ましい。これにより、エマルションが安定化されることになる。中和剤としては特に限定されず、例えば、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリン等の三級アミン;アンモニア水;水酸化ナトリウム等を用いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、制振材用エマルション組成物を必須とする制振材配合物から形成される塗膜の耐水性等が向上することから、塗膜の加熱時に揮散する揮発性塩基を用いることが好ましい。より好ましくは、加熱乾燥性が良好となり、制振性が向上することから、沸点が80〜360℃のアミンを用いることが好ましい。このような中和剤としては、例えば、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリン等の三級アミンが好適である。より好ましくは、沸点が130〜280℃のアミンを用いることである。
なお、上記沸点は、常圧での沸点である。
本発明はまた、上述した制振材用エマルション組成物、顔料、発泡剤及び増粘剤を必須成分とする制振材配合物でもある。
本発明の制振材配合物は、本発明の制振材用エマルション組成物において上述したように、制振材に要求される制振性等の基本性能を充分なものとしながら耐タレ性を格段に優れたものとすることができる。
上記制振材配合物としては、例えば、制振材配合物の総量100質量%に対し、固形分を50〜90質量%含有してなることが好ましい。より好ましくは、60〜90質量%であり、更に好ましくは、70〜90質量%である。また、制振材配合物のpHは、7〜11とすることが好ましい。より好ましくは、7〜9である。
上記制振材配合物における制振材用エマルション組成物の配合量としては、例えば、制振材配合物の固形分100質量%に対し、制振材用エマルション組成物の固形分が10〜60質量%となるように設定することが好ましい。より好ましくは、15〜55質量%である。
上記顔料としては、例えば着色剤又は防錆顔料が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。着色剤としては、例えば、炭酸カルシウム、酸化チタン、カーボンブラック、弁柄、ハンザイエロー、ベンジンイエロー、フタロシアニンブルー、キナクリドンレッド等の有機又は無機の着色剤が挙げられる。防錆顔料としては、例えば、リン酸金属塩、モリブデン酸金属塩、硼酸金属塩等が挙げられる。
中でも、無機顔料を含んでなることが好適である。上記無機顔料としては、例えば、上述した無機の着色剤や無機の防錆顔料等を使用することができる。これにより、上述した制振性等の基本性能をより充分に発揮することができる。
上記無機顔料の配合量としては、制振材用エマルション組成物100重量部に対し、50〜700重量部とすることが好ましい。より好ましくは、100〜550重量部である。
上記発泡剤としては、例えば、低沸点炭化水素内包の加熱膨張カプセル、有機発泡剤、無機発泡剤等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。加熱膨張カプセルとしては、例えば、マツモトマイクロスフィアーF−30、F−50(松本油脂社製);エクスパンセルWU642、WU551、WU461、DU551、DU401(日本エクスパンセル社製)等が挙げられ、有機発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、N,N−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p−トルエンスルホニルヒドラジン、p−オキシビス(ベンゼンスルホヒドラジド)等が挙げられ、無機発泡剤としては、例えば、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、シリコンハイドライド等が挙げられる。
本発明の制振材配合物は、加熱乾燥して制振材塗膜を形成するものであってもよい。上記制振材用エマルション組成物に発泡剤を混合することにより、制振材の均一な発泡構造の形成と厚膜化等の効果が発揮され、それに起因して充分な加熱乾燥性や高制振性が発現することとなる。
上記発泡剤の配合量としては、制振材用エマルション組成物100重量部に対し、0.5〜5重量部とすることが好ましい。より好ましくは、1〜3重量部である。
上記増粘剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース系誘導体、ポリカルボン酸系樹脂等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。増粘剤の配合量としては、制振材用エマルション組成物の固形分100重量部に対し、固形分で0.01〜2重量部とすることが好ましい。より好ましくは、0.05〜1.5重量部、更に好ましくは、0.1〜1重量部である。
本発明の制振材用エマルション組成物は、更に必要に応じて他成分を含むものであってもよい。
上記他成分としては、例えば、溶媒;可塑剤;安定剤;湿潤剤;防腐剤;発泡防止剤;充填剤;分散剤;消泡剤;老化防止剤;防黴剤;紫外線吸収剤;帯電防止剤等の1種又は2種以上を使用することができる。中でも、充填剤を含むことが好ましい。
なお、上記他の成分は、例えば、バタフライミキサー、プラネタリーミキサー、スパイラルミキサー、ニーダー、ディゾルバー等を用いて、上記制振材用エマルション組成物等と混合され得る。
上記溶媒としては、例えば、エチレングリコール、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート等が挙げられる。溶剤の配合量としては、制振材配合物中の制振材用エマルション組成物の固形分濃度が上述した範囲となるように適宜設定すればよい。
上記充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、カオリン、シリカ、タルク、硫酸バリウム、アルミナ、酸化鉄、酸化チタン、ガラストーク、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、タルク、珪藻土、クレー等の無機質の充填剤;ガラスフレーク、マイカ等の鱗片状無機質充填剤;金属酸化物ウィスカー、ガラス繊維等の繊維状無機質充填剤等が挙げられる。無機質充填剤の配合量としては、制振材用エマルション組成物の固形分100重量部に対し、50〜700重量部とすることが好ましい。より好ましくは、100〜550重量部である。
上記分散剤としては、例えば、ヘキサメタリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム等の無機質分散剤及びポリカルボン酸系分散剤等の有機質分散剤が挙げられる。
上記消泡剤としては、例えば、シリコン系消泡剤等が挙げられる。
上記他成分としては更に、多価金属化合物を用いてもよい。この場合、多価金属化合物により、制振材配合物の安定性、分散性、加熱乾燥性や、制振材配合物から形成される制振材の制振性が向上することとなる。多価金属化合物としては特に限定されず、例えば、酸化亜鉛、塩化亜鉛、硫酸亜鉛等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記多価金属化合物の形態は特に限定されず、例えば、粉体、水分散体や乳化分散体等であってよい。中でも、制振材配合物中への分散性が向上することから、水分散体又は乳化分散体の形態で使用することが好ましく、より好ましくは乳化分散体の形態で使用することである。また、多価金属化合物の使用量は、制振材配合物中の固形分100重量部に対して、0.05〜5.0重量部とすることが好ましい。より好ましくは0.05〜3.5重量部である。
上記制振材配合物の制振性は、制振材配合物から形成される被膜の損失係数を測定することにより評価することができる。損失係数は、通常ηで表され、制振性能を表す場合に用いられる最も一般的な指標であり、本発明においても、制振性能を評価するために好適に用いることができる。上記損失係数は、数値が高いほど制振性能に優れていることを示している。また、温度による影響を受け、実用温度範囲内において高い制振性能を発揮することが好ましい。本発明においては、例えば、制振材配合物から形成される被膜の実用温度範囲が通常では20〜60℃であるので、20℃、40℃及び60℃における損失係数を合計した値で制振性能を評価することが適当である。すなわち、20℃、40℃及び60℃における損失係数を合計した値が高いほど実用的な制振性能に優れ、制振性を判断する一つの指標として有用である。20℃、40℃及び60℃における損失係数を合計した値の好ましい範囲としては、0.200以上であり、本発明によってこの値を充分に達成することが可能である。本発明における一つの有利な効果は、上述したように制振性等の基本的性能に優れるとともに、耐タレ性に格段に優れたものとすることができること、すなわち、これらの性能をすべて優れたものとすることができるところにある。
上記20℃、40℃及び60℃における損失係数を合計した値としては、本発明によって更に0.220以上を達成することができる。より好ましい範囲としては、0.240以上、更に好ましくは、0.260以上である。
上記損失係数の測定方法としては、共周波数付近で測定する共振法が一般的であり、半値幅法、減衰率法、機械インピーダンス法がある。本発明の制振材配合物においては、制振材配合物から形成される被膜の損失係数として、次のように測定することが好適である。すなわち、制振材配合物を冷間圧延鋼板(SPCC・幅15mm×長さ250mm×厚み1.5mm)上に面密度4.0kg/mの被膜で形成し、片持ち梁法(株式会社小野測機製損失係数測定システム)を用いた共振法(3dB法)により測定することができる。
上記制振材配合物は、例えば、基材に塗布して乾燥することにより制振材となる塗膜を形成することになる。基材としては特に限定されるものではない。また、制振材配合物を基材に塗布する方法としては、例えば、刷毛、へら、エアスプレー、エアレススプレー、モルタルガン、リシンガン等を用いて塗布することができる。
上記制振材配合物の塗布量は、用途や所望する性能等により適宜設定すればよいが、乾燥時の塗膜の膜厚が、0.5〜8.0mmとなるようにすることが好ましい。より好ましくは、3.0〜6.0mmである。
また、乾燥時(後)の塗膜の面密度が1.0〜7.0kg/mとなるように塗布することも好ましい。より好ましくは、2.0〜6.0kg/mである。なお、本発明の制振材配合物を使用することにより、乾燥時に膨張やクラックが生じにくく、しかも傾斜面の塗料のずり落ちも発生しにくい塗膜を得ることが可能となる。
このように、乾燥時の塗膜の膜厚が、0.5〜8.0mmとなるように塗工し、乾燥する制振材配合物の塗工方法や、乾燥後の塗膜の面密度が2.0〜6.0kg/mとなるように塗工し、乾燥する制振材配合物の塗工方法もまた、本発明の好ましい実施形態のひとつである。また、上記制振材配合物の塗工方法によって得られた制振材もまた、本発明の好ましい実施形態のひとつである。
上記制振材配合物を塗布した後、乾燥して塗膜を形成させる条件としては、加熱乾燥してもよく、常温乾燥してもよいが、本発明における制振材配合物は、加熱乾燥性に優れることから、効率性の点で加熱乾燥することが好ましい。加熱乾燥の温度としては、80〜210とすることが好ましい。より好ましくは、110〜180℃、更に好ましくは、120〜170℃である。
本発明の制振材用エマルション組成物は、上述の構成よりなり、制振材に要求される制振性等の基本性能に優れるうえ、高湿度条件下や膜厚が厚い条件下においても優れた耐タレ性を発揮することができ、自動車の室内床下の他、鉄道車両、船舶、航空機、電気機器、建築構造物、建設機器等の各種用途に好適に用いることができる制振材用エマルション組成物である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
なお、以下の実施例において、各種物性等は以下のように評価した。
<エマルション(A)のガラス転移温度(Tg)>
各段で用いた単量体組成から、上述したFoxの式を用いて算出した。なお、全ての段で用いた単量体組成から算出したTgを「トータルTg」として記載した。
Foxの式により重合性単量体成分のガラス転移温度(Tg)を算出するのに使用したそれぞれのホモポリマーのTg値を下記に示した。
スチレン(St):100℃
メチルメタクリレート(MMA):105℃
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA):−70℃
アクリル酸(AA):95℃
メタクリル酸(MAA):130℃
n−ブチルメタクリレート(n−BMA):20℃
ブチルアクリレート(BA):−56℃
<ポリマー(B)のガラス転移温度(Tg)>
ポリマー(B)の熱分析は、試料約10mg、昇温速度10℃/min、窒素フロー50cc/minの条件で、DSC((株)リガク社製、装置名:DSC−8230)を用いて行った。ガラス転移温度(Tg)は、ASTM−D−3418に従い、中点法で求めた。
<重量平均分子量>
以下の測定条件下で、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した。
測定機器:HLC−8120GPC(商品名、東ソー社製)
分子量カラム:TSK−GEL GMHXL−Lと、TSK−GELG5000HXL(いずれも東ソー社製)とを直列に接続して使用
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
検量線用標準物質:ポリスチレン(東ソー社製)
測定方法:測定対象物を固形分が約0.2質量%となるようにTHFに溶解し、フィルターにてろ過した物を測定サンプルとして分子量を測定した。
<耐タレ性試験>
関西ペイント社製カチオン電着塗料エレクロン「KG−400」を用いて電着塗装した0.8*70*150の鋼板(ED鋼板)に、上記により得られた塗料配合物をwet膜厚10mmになるように塗布後、常温、相対湿度80%下で鋼板を垂直に立てて、15分間放置した。得られた塗膜を目視により観察して、耐タレ性の評価を行った。
なお、本明細書中、乾いていない膜厚をwet(ウェット)膜厚ともいう。
評価基準
塗布面上端から塗料が崩壊した長さ(mm)
◎:0mm以上、3mm未満
○:3mm以上、5mm未満
△:5mm以上、10mm未満
×:10mm以上
<制振性試験>
制振材配合物を冷間圧延鋼板(SPCC・幅15mm×長さ250mm×厚み1.5mm)上に3mmの厚みで塗布して150℃で30分間乾燥し、冷間圧延鋼板上に面密度4.0kg/mの制振材被膜を形成した。制振性の測定は、片持ち梁法(株式会社小野測機製損失係数測定システム)をもちいて、それぞれの温度(20、40、60℃)における損失係数を共振法(3db法)により測定した。
エマルション(A)製造例
製造例1
攪拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に脱イオン水300部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で攪拌しながら内温を75℃まで昇温した。一方、上記滴下ロートにスチレン200部、メチルメタクリレート105部、2−エチルへキシルアクリレート190部、アクリル酸5部、t−ドデシルメルカプタン0.4部、予め20%水溶液に調整したニューコール707SF(商品名、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸アンモニウム塩:日本乳化剤社製)90.0部及び脱イオン水97部からなる第1段目の単量体乳化物を仕込んだ。次に、重合器の内温を80℃に維持しながら、上記単量体乳化物のうちの8部、5%過硫酸カリウム水溶液5部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液10部を添加し、初期重合を開始した。20分後、反応系内を80℃に維持したまま、残りの単量体乳化物を120分にわたって均一に滴下した。同時に5%過硫酸カリウム水溶液50部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液50部を120分かけて均一に滴下し、滴下終了後60分同温度を維持した。次に、滴下ロートにスチレン105部、メチルメタクリレート100部、ブチルアクリレート290部、アクリル酸5部、t−ドデシルメルカプタン0.4部、予め20%水溶液に調整したニューコール707SF(商品名、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸アンモニウム塩:日本乳化剤社製)90.0部及び脱イオン水97部からなる第2段目の単量体乳化物を仕込み、120分にわたって均一に滴下した。同時に5%過硫酸カリウム水溶液50部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液50部を120分かけて均一に滴下し、滴下終了後90分同温度を維持し、重合を終了した。得られた反応液を室温まで冷却後、2−ジメチルエタノールアミン10部を添加し、不揮発分55%、pH8.0、粘度420mPa・s、粒子径230nm、粒度分布22%、重量平均分子量170000、1段目のTg10℃、2段目のTg−10℃、トータルTg0℃のエマルション(A−1)を得た。
製造例2
製造例1の1段目の単量体乳化物中のt−ドデシルメルカプタンを4部に、2段目の単量体乳化物中のt−ドデシルメルカプタンを4部に変更すること以外は、製造例1と同様の操作を繰り返して、不揮発分56%、pH7.9、粘度380mPa・s、粒子径220nm、粒度分布24%、重量平均分子量24000、1段目のTg10℃、2段目のTg−10℃、トータルTg0℃のエマルション(A−2)を得た。
製造例3
製造例1の1段目の単量体乳化物中のt−ドデシルメルカプタンを0.1部に、2段目の単量体乳化物中のt−ドデシルメルカプタンを0.1部に変更すること以外は、製造例1と同様の操作を繰り返して、不揮発分57%、pH7.9、粘度360mPa・s、粒子径220nm、粒度分布23%、重量平均分子量360000、1段目のTg10℃、2段目のTg−10℃、トータルTg0℃のエマルション(A−3)を得た。
製造例4
製造例1の1段目の単量体乳化物中のスチレン200部、メチルメタクリレート105部、2−エチルへキシルアクリレート190部、アクリル酸5部を、スチレン185部、メチルメタクリレート90部、2−エチルへキシルアクリレート220部、アクリル酸5部に、2段目の単量体乳化物中のスチレン105部、メチルメタクリレート100部、ブチルアクリレート290部、アクリル酸5部を、スチレン85部、メチルメタクリレート80部、ブチルアクリレート330部、アクリル酸5部にすること以外は、製造例1と同様の操作を繰り返して、不揮発分55%、pH8.0、粘度340mPa・s、粒子径215nm、粒度分布21%、重量平均分子量170000、1段目のTg0℃、2段目のTg−20℃、トータルTg−10℃のエマルション(A−4)を得た。
製造例5
製造例1の1段目の単量体乳化物中のスチレン200部、メチルメタクリレート105部、2−エチルへキシルアクリレート190部、アクリル酸5部を、スチレン210部、メチルメタクリレート120部、2−エチルへキシルアクリレート165部、アクリル酸5部に、2段目の単量体乳化物中のスチレン105部、メチルメタクリレート100部、ブチルアクリレート290部、アクリル酸5部をスチレン120部、メチルメタクリレート120部、ブチルアクリレート255部、アクリル酸5部にすること以外は、製造例1と同様の操作を繰り返して、不揮発分55%、pH8.0、粘度310mPa・s、粒子径235nm、粒度分布21%、重量平均分子量170000、1段目のTg20℃、2段目のTg0℃、トータルTg10℃のエマルション(A−5)を得た。
製造例6
製造例1の1段目の単量体乳化物中のスチレン200部、メチルメタクリレート105部、2−エチルへキシルアクリレート190部、アクリル酸5部を、スチレン170部、メチルメタクリレート75部、2−エチルヘキシルアクリレート250部、アクリル酸5部に、2段目の単量体乳化物中のスチレン105部、メチルメタクリレート100部、ブチルアクリレート290部、アクリル酸5部を、スチレン65部、メチルメタクリレート60部、ブチルアクリレート370部、アクリル酸5部にすること以外は、製造例1と同様の操作を繰り返して、不揮発分55%、pH8.0、粘度330mPa・s、粒子径230nm、粒度分布22%、重量平均分子量170000、1段目のTg−10℃、2段目のTg−30℃、トータルTg−20℃のエマルション(A−6)を得た。
製造例7
製造例1の1段目の単量体乳化物中のスチレン200部、メチルメタクリレート105部、2−エチルへキシルアクリレート190部、アクリル酸5部を、スチレン220部、メチルメタクリレート135部、2−エチルヘキシルアクリレート140部、アクリル酸5部に、2段目の単量体乳化物中のスチレン105部、メチルメタクリレート100部、ブチルアクリレート290部、アクリル酸5部を、スチレン133部、メチルメタクリレート140部、ブチルアクリレート222部、アクリル酸5部にすること以外は、製造例1と同様の操作を繰り返して、不揮発分55%、pH8.0、粘度310mPa・s、粒子径230nm、粒度分布23%、重量平均分子量170000、1段目のTg30℃、2段目のTg10℃、トータルTg20℃のエマルション(A−7)を得た。
製造例8
製造例1の1段目の単量体乳化物中のt−ドデシルメルカプタンを8部に、2段目の単量体乳化物中のt−ドデシルメルカプタンを8部に変更すること以外は、製造例1と同様の操作を繰り返して、不揮発分57%、pH7.8、粘度330mPa・s、粒子経220nm、粒度分布21%、重量平均分子量18000、1段目のTg10℃、2段目のTg−10℃、トータルTg0℃のエマルション(A−8)を得た。
ポリマー(B)製造例
製造例9
攪拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に脱イオン水300部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で攪拌しながら内温を85℃まで昇温した。一方、上記滴下ロートに、メチルメタクリレート900部、2−エチルへキシルアクリレート40部、ブチルアクリレート50部、アクリル酸1部、t−ドデシルメルカプタン8部、予め20%水溶液に調整したニューコール707SF(商品名、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸アンモニウム塩:日本乳化剤社製)180.0部及び脱イオン水194部からなる第1段目の単量体乳化物を仕込んだ。次に、重合器の内温を80℃に維持しながら、上記単量体乳化物のうちの8部、5%過硫酸カリウム水溶液5部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液10部を添加し、初期重合を開始した。20分後、反応系内を80℃に維持したまま、残りの単量体乳化物を120分にわたって均一に滴下した。同時に5%過硫酸カリウム水溶液100部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液100部を120分かけて均一に滴下し、滴下終了後60分同温度を維持し重合を終了した。得られた反応液を室温まで冷却後、2−ジメチルエタノールアミン1部を添加し、不揮発分55%、pH7.2、粘度120mPa・s、粒子径190nm、粒度分布20%、重量平均分子量17000、Tg80℃のポリマー(B−1)を得た。
ポリマー(A+B)製造例
製造例10
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に脱イオン水300部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を75℃まで昇温した。一方、上記滴下ロートにスチレン200部、メチルメタクリレート105部、2−エチルヘキシルアクリレート190部、アクリル酸5部、t−ドデシルメルカプタン0.4部、ペンセルD−160(商品名、ロジン系樹脂、Tg87℃、重量平均分子量2400、荒川化学工業社製)20部、予め20%水溶液に調整したニューコール707SF(商品名、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸アンモニウム塩:日本乳化剤社製)90.0部及び脱イオン水97部からなる第1段目の単量体乳化物を仕込んだ。次に、重合器の内温を80℃に維持しながら、上記単量体乳化物のうちの8部、5%過硫酸カリウム水溶液5部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液10部を添加し、初期重合を開始した。20分後、反応系内を80℃に維持したまま、残りの単量体乳化物を120分にわたって均一に滴下した。同時に5%過硫酸カリウム水溶液50部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液50部を120分かけて均一に滴下し、滴下終了後60分同温度を維持した。
次に、滴下ロートにスチレン105部、メチルメタクリレート100部、ブチルアクリレート290部、アクリル酸5部、t−ドデシルメルカプタン0.4部、ペンセルD−160 20部、予め20%水溶液に調整したニューコール707SF(商品名、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸アンモニウム塩:日本乳化剤社製)90.0部及び脱イオン水97部からなる第2段目の単量体乳化物を仕込み、120分にわたって均一に滴下した。同時に5%過硫酸カリウム水溶液50部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液50部を120分かけて均一に滴下し、滴下終了後90分同温度を維持し、重合を終了した。得られた反応液を室温まで冷却後、2−ジメチルエタノールアミン10部を添加し、不揮発分57%、pH8.1、粘度620mPa・s、粒子径220nm、粒度分布20%、重量平均分子量180000、1段目のTg10℃、2段目のTg−10℃、トータルTg0℃のエマルション(AB−1)を得た。
製造例11
製造例10の1段目の単量体乳化物中のスチレン200部、メチルメタクリレート105部、2−エチルへキシルアクリレート190部、アクリル酸5部、t−ドデシルメルカプタン0.4部、ペンセルD−160 20部を、スチレン200部、メチルメタクリレート105部、2−エチルヘキシルアクリレート190部、アクリル酸5部、t−ドデシルメルカプタン0.4部、ペンセルD−160 40部に、2段目の単量体乳化物中のスチレン105部、メチルメタクリレート100部、ブチルアクリレート290部、アクリル酸5部、t−ドデシルメルカプタン0.4部、ペンセルD−160 20部を、スチレン105部、メチルメタクリレート100部、ブチルアクリレート290部、アクリル酸5部、t−ドデシルメルカプタン0.4部、ペンセルD−160 40部にすること以外は、製造例10と同様の操作を繰り返して、不揮発分59%、pH8.0、粘度680mPa・s、粒子径240nm、粒度分布21%、重量平均分子量190000、1段目のTg10℃、2段目のTg−10℃、トータルTg0℃のエマルション(AB−2)を得た。
製造例10及び製造例11において、ペンセルD−160がポリマー(B)に該当し、上記単量体によって2段重合で形成された重合体がエマルション(A)に該当することになる。
制振材配合物の配合
実施例1
上記製造例で得られたベースエマルション(A)(2段重合アクリルエマルション、Tg:0℃、重量平均分子量〔Mw〕:170000)を下記の通り配合し、制振材配合物として耐タレ性、制振性の評価を行った。結果を表1に示す。
エマルション(A) 359部
ポリマー(B) ハリエスタ−SK−822E*1 1.8部
炭酸カルシウム NN#200*2 620部
分散剤 アクアリックDL−40S*3 6部
増粘剤 アクリセットWR−650*4 4部
消泡剤 ノプコ8034L*5 1部
発泡剤 F−30*6 6部
*1:ハリマ化成社製 粘着付与剤(Tg:90℃、重量平均分子量:4900)
*2:日東粉化工業株式会社製 顔料
*3:株式会社日本触媒社製 特殊ポリカルボン酸型分散剤(有効成分44%)
*4:株式会社日本触媒社製 アルカリ可溶性のアクリル系増粘剤(有効成分30%)
*5:サンノプコ株式会社製 消泡剤(主成分:疎水性シリコーン+鉱物油)
*6:松本油脂社製 発泡剤
実施例2〜14
エマルション(A)、ポリマー(B)の種類、配合量を表1に示したように変更した以外は実施例1と同様にして制振材配合物を配合し、耐タレ性、制振性の評価を行った。なお、炭酸カルシウム、分散剤、増粘剤、消泡剤、発泡剤については、そのエマルション(A)に対する配合量が、それぞれ実施例1と同様となるようにした。結果を表1に示す。
実施例15、16
エマルション(A)、ポリマー(B)の代わりにポリマー(A+B)を用い、その種類、配合量を表1に示したようにした以外は実施例1と同様にして制振材配合物を配合し、耐タレ性、制振性の評価を行った。なお、炭酸カルシウム、分散剤、増粘剤、消泡剤、発泡剤については、ポリマー(A+B)に対する配合量が、それぞれ実施例1におけるエマルション(A)及びポリマー(B)の合計量に対する配合量と同様となるようにした。結果を表1に示す。
なお、表中、SK−822Eは、上述した「ハリエスタ−SK−822E」である。E−720は、ロジン系粘着付与剤「スーパーエステルE−720」(商品名、荒川化学工業社製、Tg:65℃、重量平均分子量:700)である。E−788は、ロジン系粘着付与剤「スーパーエステルE−788」(商品名、荒川化学工業社製、Tg:87℃、重量平均分子量:2400)である。E−100は、テルペン系粘着付与剤「タマノルE−100」(商品名、荒川化学工業社製、Tg:85℃、重量平均分子量:900)である。
Figure 2010053210
比較例1、2
エマルション(A)、ポリマー(B)の種類、配合量を表2に示したように変更した以外は実施例1と同様にして制振材配合物を配合し、耐タレ性、制振性の評価を行った。なお、炭酸カルシウム、分散剤、増粘剤、消泡剤、発泡剤については、そのエマルション(A)に対する配合量が、それぞれ実施例1と同様となるようにした。結果を表2に示す。
Figure 2010053210
上述した実施例及び比較例から、本発明の数値範囲の臨界的意義については、次のようにいえることがわかった。すなわち、該制振材用エマルション組成物は、ガラス転移温度が−20〜30℃であり、重量平均分子量が20000〜400000であるエマルション(A)と、該エマルション(A)よりもガラス転移温度が高く、かつ重量平均分子量が低いポリマー(B)とを含んでなり、エマルション(A)100質量%に対して、ポリマー(B)の含有割合が0.5〜10質量%であることにより、制振性及び耐タレ性において有利な効果を発揮し、それが顕著であることがわかった。
エマルション(A)の重量平均分子量の数値範囲の下限の技術的意義については、実施例9と、下限値を下回る比較例2とを比較すると明らかである。実施例9では、耐タレ性試験の評価が○であり、制振性評価における総損失係数が0.298であるが、それに対して、比較例2では、耐タレ性試験の評価が×であり、制振性評価における総損失係数が0.274である。実施例9では、制振材用エマルション組成物、制振材配合物の製品として、比較例2の場合と比べてその性能が顕著に優れていると認められるものである。このような効果、つまり制振材として使用するための制振材用エマルション組成物、制振材配合物の製品において性能を顕著に優れたものとすることができるという効果は、際立ったものであるということはいうまでもない。実施例9及び実施例10以外の実施例では、上記重量平均分子量を170000としているが、これらの実施例においては、更に本発明の効果が顕著に現れることになる。
その他の数値範囲の上限、下限の技術的意義についても、実施例において当該範囲内で優れた耐タレ性及び制振性が優れたものとなることが明らかである。このような効果、つまり制振材用エマルション組成物及び制振材配合物の製品としてその性能を顕著に優れたものとすることができるという効果は、際立ったものである。
なお、上述した実施例及び比較例では、(メタ)アクリル系単量体を含む単量体成分を重合してエマルションを調製しているが、エマルションである限り、塗布することにより制振材を形成することができるようなものであれば、乾燥していない状態でのタレが生じるといった問題を生じさせる機構は同様である。したがって、エマルション(A)に対して、0.5〜10質量%のポリマー(B)を含有させれば、本発明の有利な効果を発現することは確実であるといえる。少なくとも、(メタ)アクリル系単量体を必須とする単量体成分を重合して得られたアクリルエマルションを用いる場合においては、上述した実施例及び比較例で充分に本発明の有利な効果が立証され、本発明の技術的意義が裏付けられている。

Claims (4)

  1. 単量体成分を乳化重合してなるエマルションを含有する制振材用エマルション組成物であって、
    該制振材用エマルション組成物は、ガラス転移温度が−20〜30℃であり、重量平均分子量が20000〜400000であるエマルション(A)と、
    該エマルション(A)よりもガラス転移温度が高く、かつ重量平均分子量が低いポリマー(B)とを含んでなり、エマルション(A)100質量%に対して、ポリマー(B)の含有割合が0.5〜10質量%である
    ことを特徴とする制振材用エマルション組成物。
  2. 前記ポリマー(B)は、エマルション(A)よりもガラス転移温度が少なくとも50℃高いことを特徴とする請求項1に記載の制振材用エマルション組成物。
  3. 前記ポリマー(B)は、粘着付与剤であることを特徴とする請求項1又は2に記載の制振材用エマルション組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の制振材用エマルション組成物、顔料、発泡剤及び増粘剤を必須成分とすることを特徴とする制振材配合物。
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