JP2010052575A - タイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】排水性を確保しつつ、気柱管共鳴音に起因するノイズを更に抑制できるタイヤを提供すること。
【解決手段】本発明に係るタイヤは、タイヤ周方向に沿って延びる周方向溝18bが形成されるとともに、周方向溝18bに充填体100bが充填されたタイヤであって、充填体100bは、タイヤが路面を転動することに伴って周方向溝18bに入り込んだ液体の圧力によって、周方向溝18bの溝底17c側に圧縮可能であり、トレッド幅方向WTR及びタイヤ径方向に沿ったタイヤの断面視において、周方向溝18を形成する一方の側壁17aから突出する突起部20bを備え、トレッド幅方向に沿った突起部20bの先端20btから他方の側壁17bまでの長さL0cは、トレッド幅方向に沿った充填体100の幅W100b)りも短い。
【選択図】図7
【解決手段】本発明に係るタイヤは、タイヤ周方向に沿って延びる周方向溝18bが形成されるとともに、周方向溝18bに充填体100bが充填されたタイヤであって、充填体100bは、タイヤが路面を転動することに伴って周方向溝18bに入り込んだ液体の圧力によって、周方向溝18bの溝底17c側に圧縮可能であり、トレッド幅方向WTR及びタイヤ径方向に沿ったタイヤの断面視において、周方向溝18を形成する一方の側壁17aから突出する突起部20bを備え、トレッド幅方向に沿った突起部20bの先端20btから他方の側壁17bまでの長さL0cは、トレッド幅方向に沿った充填体100の幅W100b)りも短い。
【選択図】図7
Description
本発明は、タイヤ周方向に沿って延びる周方向溝が形成されるとともに、周方向溝に充填体が充填されたタイヤに関する。
自動車などの車両に装着されたタイヤは、トレッドが路面に接地した際に周方向溝と路面とによって形成される気柱管から発生する共鳴音、いわゆる気柱管共鳴音に起因するノイズを発生する。
そこで、気柱管共鳴音を抑制する様々な方法が提案されている。例えば、周方向溝に時間の経過に連れて徐々に分解するポリマー(充填体)を充填する方法が知られている(例えば、特許文献1)。
このようなポリマーが周方向溝に充填されたタイヤでは、周方向溝の容積が減少するため、気柱管共鳴音が抑制される。また、ポリマーは、時間の経過に連れて徐々に分解するため、トレッドの摩耗が進行しても、周方向溝の深さを略一定にすることができる。
特開2005−28946号公報(第4−5頁、第3図)
しかしながら、上述した従来のタイヤには、次のような問題があった。すなわち、周方向溝に充填されたポリマーによって周方向溝の容積が減少するため、排水性が損なわれる。つまり、気柱管共鳴音は抑制できるものの、周方向溝にポリマーが充填されないタイヤと比較すると、排水性が低下する。
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、排水性を確保しつつ、気柱管共鳴音に起因するノイズを抑制できるタイヤの提供を目的とする。
上述した課題を解決するため、本発明は、次のような特徴を有している。まず、本発明の第1の特徴は、タイヤ周方向(タイヤ周方向R)に沿って延びる周方向溝(周方向溝18)が形成されるとともに、周方向溝に充填体(例えば、充填体100)が充填されたタイヤ(空気入りタイヤ1)であって、充填体は、タイヤが路面(路面G)を転動することに伴って周方向溝に入り込んだ液体(液体WT)の圧力によって、周方向溝の溝底(溝底17c)側に圧縮可能であり、トレッド幅方向及びタイヤ径方向に沿ったタイヤの断面視において、周方向溝を形成する一方の側壁(例えば、側壁17a)から突出する突起部(例えば、突起部20b)を備え、トレッド幅方向に沿った突起部の先端(先端20bt)から他方の側壁(例えば、側壁17b)までの長さ(例えば、L0c)は、トレッド幅方向に沿った充填体の幅(例えば、W100b)よりも短いことを要旨とする。
本発明の第1の特徴によれば、充填体を周方向溝の溝底側に配置することにより、充填体は、水などの液体の圧力によって、周方向溝の溝底側に圧縮するため、周方向溝の容量は増大する。このため、液体が存在する路面を走行する場合、タイヤは、周方向溝の排水性を確保できる。
本発明の第1の特徴によれば、充填体を周方向溝に配置することにより、充填体は、気柱管共鳴音を吸収できる。
このような充填体を周方向溝に配置する場合、タイヤの転動に伴い発生する遠心力に抗するために、充填体は、周方向溝に強固に固定される必要がある。例えば、接着剤を用いて充填体を周方向溝に接着する方法が適用できるが、充填体及び周方向溝の接着に適した材料の選定、高い接着力など、多くの条件が求められる。
本発明の第1の特徴によれば、突起部の先端から他方の側壁までの長さは、トレッド幅方向に沿った充填体の幅よりも短いため、突起部は、充填体が周方向溝から抜け落ちることを容易に防止できる。
従って、本発明の第1の特徴によれば、タイヤは、排水性を確保しつつ、気柱管共鳴音によるノイズを抑制できる。
本発明の第2の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、断面視において、他方の側壁から突出し、突起部(例えば、突起部22)に対向する第2突起部(例えば、突起部24)を備え、トレッド幅方向に沿った突起部(突起部22)の先端(先端22t)から第2突起部の先端(先端24t)までの長さ(例えば、L0)は、トレッド幅方向に沿った充填体の幅(例えば、W100)よりも短いことを要旨とする。
本発明の第3の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、断面視において、トレッド幅方向に沿った突起部の突出長さをL1とし、トレッド幅方向に沿った周方向溝の最大幅をWMAXとし、トレッド幅方向に沿った充填体の幅をW1とし、トレッド幅方向に対する充填体の傾きをθとした場合に、L1≧WMAX−W1×cosθの関係を満たすことを要旨とする。
本発明の第4の特徴は、本発明の第1乃至3の何れか一つの特徴に係り、断面視において、突起部は、タイヤ周方向に沿った周方向溝の溝深さ(周方向溝深さD)に対して、溝底から溝深さの全長の50%以下の領域に設けられることを要旨とする。
本発明の第5の特徴は、本発明の第1乃至4の何れか一つの特徴に係り、充填体は、周方向溝と路面とによって形成される気柱管から発生する気柱管共鳴音を吸音する部材によって構成されることを要旨とする。
本発明の第6の特徴は、本発明の第5の特徴に係り、充填体は、不織布によって構成されることを要旨とする。
本発明の第7の特徴は、本発明の第1乃至6の何れか一つの特徴に係り、断面視において、トレッド幅方向に沿った突起部の突出長さは、トレッド幅方向に沿った周方向溝の最大幅の50%以下であることを要旨とする。
本発明の特徴によれば、排水性を確保しつつ、気柱管共鳴音に起因するノイズを更に抑制できるタイヤを提供できる。
次に、本発明に係る実施形態及びその他の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
[実施形態]
本実施形態においては、(1)タイヤの構成、(2)周方向溝の詳細構成、(3)充填体の説明、(4)変形例、(5)比較評価、(6)作用・効果について説明する。
本実施形態においては、(1)タイヤの構成、(2)周方向溝の詳細構成、(3)充填体の説明、(4)変形例、(5)比較評価、(6)作用・効果について説明する。
(1)タイヤの構成
図1は、本発明の実施形態に係る空気入りタイヤ1の一部を分解して示す斜視図である。図2は、空気入りタイヤ1のトレッド幅方向WTRの断面図である。
図1は、本発明の実施形態に係る空気入りタイヤ1の一部を分解して示す斜視図である。図2は、空気入りタイヤ1のトレッド幅方向WTRの断面図である。
図1、図2に示すように、空気入りタイヤ1は、空気入りタイヤ1の骨格となるカーカス層12を有する。カーカス層12のタイヤ径方向内側には、チューブに相当する気密性の高いゴム層であるインナーライナー13が設けられる。カーカス層12の両端は、一対のビード部14によって支持される。
カーカス層12のタイヤ径方向外側には、ベルト層15が配置されている。ベルト層15は、スチールコードをゴム引きした第1ベルト層15aと第2ベルト層15bとを有する。第1ベルト層15aと第2ベルト層15bとを構成するスチールコードは、タイヤ赤道線CLに対して所定の角度(例えば、±25度)を有して配置されている。
ベルト層15(第1ベルト層15a及び第2ベルト層15b)のタイヤ径方向外側には、路面に接地するトレッド面16aを有するトレッド部16が形成される。
トレッド部16には、ゴムブロック17と、タイヤ周方向に沿って延びる周方向溝18とが形成される。周方向溝18には、充填体100が充填される。充填体100は、周方向溝18と路面との間に形成される気柱管から発生する気柱管共鳴音を吸音する機能を有する。充填体100については、後述する。
(2)周方向溝の詳細構成
次に、本実施形態における周方向溝の詳細構成について説明する。具体的には、(2.1)周方向溝、(2.2)突起部の詳細構成について図3を参照しながら説明する。
次に、本実施形態における周方向溝の詳細構成について説明する。具体的には、(2.1)周方向溝、(2.2)突起部の詳細構成について図3を参照しながら説明する。
図3は、図2に示す空気入りタイヤ1のトレッド幅方向WTRに沿った断面図において、周方向溝18を拡大した拡大図である。
(2.1)周方向溝
図3に示すように、トレッド幅方向WTR及びタイヤ径方向に沿った断面視において、周方向溝18は、隣接するゴムブロック17の間に形成される。
図3に示すように、トレッド幅方向WTR及びタイヤ径方向に沿った断面視において、周方向溝18は、隣接するゴムブロック17の間に形成される。
周方向溝18は、側壁17aと、側壁17bと、溝底17cとにより形成される。溝底17cは、一方のゴムブロック17の側壁17aと、他方のゴムブロック17の側壁17bとの間に位置する。溝底17cは、側壁17aと側壁17bとに連なる。周方向溝18のタイヤ径方向の長さを周方向溝深さDとする。具体的には、周方向溝深さDは、トレッド面16aから溝底17cまでの長さを示す。
(2.2)突起部
突起部20は、周方向溝18を形成する一方の側壁から突出する。本実施形態においては、突起部20は、突起部22と、突起部24とにより構成される。
突起部20は、周方向溝18を形成する一方の側壁から突出する。本実施形態においては、突起部20は、突起部22と、突起部24とにより構成される。
突起部22は、周方向溝18を形成する一方の側壁17aから突出する。具体的には、突起部22は、側壁17aからトレッド幅方向WTRに沿って突出する。突起部22のトレッド幅方向WTRの長さを突出長さL22とする。突出長さL22とは、側壁17aから突起部22の先端22tまでの長さを示す。
突起部24は、周方向溝18を形成する他方の側壁17bから突起部22に対向し、突出する。突起部24のトレッド幅方向WTRの長さを突出長さL24とする。突出長さL24とは、側壁17bから突起部24の先端24tまでの長さを示す。
突起部22及び突起部24の形状は、四角柱又は三角柱などである。
トレッド幅方向WTRに沿った突起部22の先端22tから突起部24の先端24tまでの長さL0は、トレッド幅方向WTRに沿った充填体100の幅W100よりも短い。
突起部22及び突起部24は、周方向溝18の周方向溝深さDに対して、溝底17cか周方向溝深さDの全長の50%以下の領域に設けられる。
トレッド幅方向WTRに沿った突起部20の突出長さは、トレッド幅方向WTRに沿った周方向溝18の最大幅Wの20%以上且つ50%以下である。具体的には、突起部20の突出長さとは、突起部22の突出長さL22と、突起部24の突出長さL24との総和である。
(3)充填体の説明
次に、本実施形態における充填体の詳細構成について説明する。具体的には、(3.1)充填体の構成、(3.2)充填体が圧縮される際の説明の詳細構成について図3及び図4を参照しながら説明する。
次に、本実施形態における充填体の詳細構成について説明する。具体的には、(3.1)充填体の構成、(3.2)充填体が圧縮される際の説明の詳細構成について図3及び図4を参照しながら説明する。
(3.1)充填体の構成
図3に示すように、充填体100は、周方向溝18の溝底17c側に充填される。具体的には、充填体100は、周方向溝18の突起部22及び突起部24よりも溝底17c側に充填される。
図3に示すように、充填体100は、周方向溝18の溝底17c側に充填される。具体的には、充填体100は、周方向溝18の突起部22及び突起部24よりも溝底17c側に充填される。
充填体100のタイヤ径方向の表面fの一部は、突起部22及び突起部24に接している。充填体100は、周方向溝18の側壁17a、側壁17b、突起部22、突起部24の一部、及び溝底17cに接している。
充填体100は、周方向溝18と路面とによって形成される気柱管から発生する気柱管共鳴音を吸音する部材によって構成される。充填体100は、周方向溝18に入り込んだ水等の液体によって、溝底17c側に圧縮可能な材料によって形成する。充填体100は、気柱管共鳴音を吸音するために、トレッド幅方向WTR外側の周方向溝18に充填されることが有用である。部材充填体100に最適な材料としては、具体的に、不織布、天然スポンジ、ポリウレタン等の合成スポンジ、発泡ゴム等を挙げることができる。
充填体100は、周方向溝18の側壁17a及び側壁17bの一部、及び溝底17cの少なくとも一部に接着層(図3には不図示)を介して接着される。具体的には、充填体100は、接着剤や、接着層で形成されたテープ等を用いて接着される。
(3.2)充填体が圧縮される際の説明
図4及び図5は、空気入りタイヤ1が路面Gに接地する際のゴムブロック17及び周方向溝18の周辺部分の様子を説明する概略図である。図4は、空気入りタイヤ1が乾いた路面Gに接地するときの様子を示しており、図5は、液体WTが存在する路面Gに接地する際の様子を示す。
図4及び図5は、空気入りタイヤ1が路面Gに接地する際のゴムブロック17及び周方向溝18の周辺部分の様子を説明する概略図である。図4は、空気入りタイヤ1が乾いた路面Gに接地するときの様子を示しており、図5は、液体WTが存在する路面Gに接地する際の様子を示す。
乾燥した路面Gを走行する場合における、溝底17cから充填体100の表面f1までの平均長をT1とする。
液体WTが存在する路面Gでは、充填体100は、空気入りタイヤ1が路面Gを転動することに伴って、周方向溝18に入り込んだ液体WTの圧力によって、周方向溝18の溝底17c側に圧縮される。このとき、溝底17cから充填体100の表面f2までの平均長は、T2になる。ここで、T1>T2である。
(4)変形例
突起部は、トレッド幅方向WTRに沿った空気入りタイヤ1の断面視において、突起部の先端から他方の側壁(又は他方の側壁に備えられた突起部の先端)までの長さが、トレッド幅方向WTRに沿った充填体の幅よりも短いという条件を満たす範囲で種々の変形が可能である。以下、突起部の変形例について説明する。ただし、以下の変形例では、実施形態と異なる点を説明し、重複する説明を省略する。
突起部は、トレッド幅方向WTRに沿った空気入りタイヤ1の断面視において、突起部の先端から他方の側壁(又は他方の側壁に備えられた突起部の先端)までの長さが、トレッド幅方向WTRに沿った充填体の幅よりも短いという条件を満たす範囲で種々の変形が可能である。以下、突起部の変形例について説明する。ただし、以下の変形例では、実施形態と異なる点を説明し、重複する説明を省略する。
(4.1)変形例1
図6に示す突起部20aは、四角柱状の突起部ではなく、トレッド幅方向WTRに沿った空気入りタイヤ1の断面視において、三角柱状の突起部22a及び突起部24aにより構成される。
図6に示す突起部20aは、四角柱状の突起部ではなく、トレッド幅方向WTRに沿った空気入りタイヤ1の断面視において、三角柱状の突起部22a及び突起部24aにより構成される。
充填体100aは、周方向溝18aの溝底17cから突起部22a及び突起部24aの先端までの領域に充填される。
(4.2)変形例2
図7に示す突起部20bは、側壁17a及び側壁17bの両方に突起部を備えるのではなく、側壁17aのみに備えられている。
図7に示す突起部20bは、側壁17a及び側壁17bの両方に突起部を備えるのではなく、側壁17aのみに備えられている。
トレッド幅方向WTRに沿った突起部20bの先端20btから側壁17bまでの長さL0Cは、トレッド幅方向WTRに沿った充填体100bの幅W100bよりも短い。
充填体100bは、周方向溝18bの溝底17cから突起部20bまでの領域に充填される。
(4.3)変形例3
図8に示す突起部20cは、四角柱状の突起部ではなく、トレッド幅方向WTRに沿った空気入りタイヤ1の断面視において、三角柱状の突起部22c及び突起部24cにより構成される。
図8に示す突起部20cは、四角柱状の突起部ではなく、トレッド幅方向WTRに沿った空気入りタイヤ1の断面視において、三角柱状の突起部22c及び突起部24cにより構成される。
突起部22c及び突起部24cは、先端からタイヤ径方向外側の形状が、タイヤ径方向内側の形状と比べて、トレッド幅方向WTRに対する角度が大きくなるように形成されている。
充填体100cは、周方向溝18cの溝底17cから突起部22c及び突起部24cの先端までの領域に充填される。
トレッド幅方向WTRに沿った充填体100cの最大幅W182cは、トレッド幅方向WTRに沿った周方向溝18cの最大幅W181よりも、長い。
(5)比較評価
次に、本発明の効果を更に明確にするために、以下の比較例及び実施例に係る空気入りタイヤを用いて行った比較評価について説明する。具体的には、(5.1)評価方法、(5.2)評価結果について説明する。なお、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
次に、本発明の効果を更に明確にするために、以下の比較例及び実施例に係る空気入りタイヤを用いて行った比較評価について説明する。具体的には、(5.1)評価方法、(5.2)評価結果について説明する。なお、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
(5.1)評価方法
表1に示すように、突起部の形状が異なる5種類の空気入りタイヤを用いて、ウェット性能と音圧レベルの低減量とを測定した。ウェット性能は、空気入りタイヤを実車に装着し、水深5mmの路面を走行したとき、ハイドロプレーニング性をドライバーのフィーリングにより評価した。評価には、10点法を用いた。音圧レベルの低減量は、ECE規格に準拠した方法にて、測定した。
表1に示すように、突起部の形状が異なる5種類の空気入りタイヤを用いて、ウェット性能と音圧レベルの低減量とを測定した。ウェット性能は、空気入りタイヤを実車に装着し、水深5mmの路面を走行したとき、ハイドロプレーニング性をドライバーのフィーリングにより評価した。評価には、10点法を用いた。音圧レベルの低減量は、ECE規格に準拠した方法にて、測定した。
空気入りタイヤに関するデータは、以下に示す条件において測定された。
測定結果によれば、充填体を備えた実施例1乃至4の空気入りタイヤは、ウェット性能を確保しつつ、吸音効果を有することが判った。なお、ウェット性能の数値に差があるが、比較をすると判るレベルの差である。4〜6という範囲は、一般的に評価される場合は、同等のレベルと考えてよい。特に、タイヤ径方向に沿った充填体の幅が、周方向溝の幅よりも10%長い実施例4において、より良好な吸音効果を発揮することが判った。
(6)作用・効果
以上説明したように、本実施形態によれば、充填体100を周方向溝18の溝底17c側に配置することにより、充填体100は、水などの液体WTの圧力によって、周方向溝18の溝底17c側に圧縮するため、周方向溝18の容量が、増大する。このため、液体WTが存在する路面Gを走行する場合、空気入りタイヤ1は、周方向溝18の排水性を確保できる。
以上説明したように、本実施形態によれば、充填体100を周方向溝18の溝底17c側に配置することにより、充填体100は、水などの液体WTの圧力によって、周方向溝18の溝底17c側に圧縮するため、周方向溝18の容量が、増大する。このため、液体WTが存在する路面Gを走行する場合、空気入りタイヤ1は、周方向溝18の排水性を確保できる。
本実施形態では、充填体100を周方向溝18に配置することにより、充填体100は、気柱管共鳴音を吸収できる。
このような充填体100を周方向溝18に配置する場合、空気入りタイヤ1の転動に伴い発生する遠心力に抗するために、充填体100は、周方向溝18に強固に固定される必要がある。例えば、接着剤を用いて充填体100を周方向溝18に接着する方法が適用できるが、充填体100及び周方向溝18の接着に適した材料の選定、高い接着力など、多くの条件が求められる。
本実施形態では、空気入りタイヤ1は、突起部22と、突起部22に対向する突起部24とを備え、トレッド幅方向WTRに沿った突起部22の先端22tから突起部24の先端24tまでの長さL0は、トレッド幅方向WTRに沿った充填体100の幅W100よりも短いため、突起部22は、充填体100が周方向溝18から抜け落ちることを容易に防止できる。
従って、空気入りタイヤ1は、排水性を確保しつつ、気柱管共鳴音によるノイズを抑制できる。
本実施形態の変形例では、突起部20bの先端20btから他方の側壁17bまでの長さL0cは、トレッド幅方向WTRに沿った充填体100bの幅W100bよりも短いため、突起部22bは、充填体100bが周方向溝18から抜け落ちることを容易に防止できる。
本実施形態では、突起部20は、タイヤ周方向に沿った周方向溝18の周方向溝深さDに対して、溝底17cから周方向溝深さDの全長の50%以下の領域に設けられるため、充填体100は、周方向溝深さDに対して、溝底17cから周方向溝深さDの全長の50%よりも長い領域である周方向溝18のタイヤ径方向外側に備えられることはない。このため、空気入りタイヤ1は、周方向溝18のタイヤ径方向外側で排水性を充分に確保することができる。
本実施形態では、トレッド幅方向WTRに沿った突起部20の突出長さは、トレッド幅方向WTRに沿った周方向溝18の最大幅Wの50%以下であるため、突起部20により、周方向溝18の排水性を充分に確保することができる。
本実施形態では、充填体100は、周方向溝18の側壁17a及び側壁17bの一部、及び溝底17cの少なくとも一部に接着層を介して接着されるため、空気入りタイヤ1の遠心力が大きくなる場合(例えば、高速走行時)であっても、充填体100を周方向溝18の溝底17c側に備えることができるため、空気入りタイヤ1は、排水性を確保しつつ、気柱管共鳴音によるノイズを抑制できる。
本実施形態では、突起部22c及び突起部24cは、突起部の先端からタイヤ径方向外側の形状が、タイヤ径方向内側の形状と比べて、トレッド幅方向WTRに対する角度が大きくなるように形成されているため、突起部を成型加工する際に容易に加工することができる。具体的には、成型加工により突起部22c及び突起部24cのような突起部を成型する場合、突起部は、アンダーカットになる。そこで、突起部の傾斜を緩やかにすることで、成型が複雑になることを抑制できる。
(7)その他の実施形態
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
例えば、本発明の実施形態は、次のように変更することができる。
上述した実施形態では、空気入りタイヤ1は、突起部22と、突起部22に対向する突起部24とを備え、トレッド幅方向WTRに沿った突起部22の先端22tから突起部24の先端24tまでの長さL0は、トレッド幅方向WTRに沿った充填体100の幅W100よりも短く設定されているが、これに限られず、図9に示すように、トレッド幅方向WTRに沿った突起部の突出長さをL1とし、トレッド幅方向WTRに沿った周方向溝の最大幅をWMAXとし、トレッド幅方向WTRに沿った充填体の幅をW1とし、トレッド幅方向WTRに対する充填体の傾きをθとした場合に、L1≧WMAX−W1×cosθの関係を満たすように突起部の突出長さL1を設定してもよい。
図9によれば、傾いた充填体100dのトレッド幅方向WTRの幅(図9のX1)は、W1×cosθで算出される。突起部20dの先端20dtから側壁17bまでの長さであるL2と、WMAXとの関係式は、WMAX≧L1+L2であるため、上記関係式によれば、L2≦X1の関係式が導かれる。
つまり、図9に示すように、溝底17cから、突起部20dまでの距離よりも、タイヤ径方向の充填体100dの厚みが薄い場合に、突起部20dと、充填体100dとの間に生じる隙間により、充填体100dがトレッド幅方向WTRに対して傾きθで傾いた場合においても、先端20dtから側壁17bまでの長さであるL2は、X1よりも短いため、突起部20dは、充填体100dが周方向溝18から抜け落ちることを容易に防止できる。
上述した実施形態において、トレッド幅方向WTR及びタイヤ径方向に沿った断面視における突起部20について、記載しているが、タイヤ周方向Rを考慮すると、これに限られず、例えば、図10に示すように、突起部20eは、タイヤ周方向Rに沿って、連続して形成されていなくてもよい。これによれば、充填体100eは、タイヤ周方向Rに沿って連続して形成されるため、突起部20eは、タイヤ周方向Rに沿って、一部で充填体100eが、タイヤ径方向外側に抜け落ちることを防止することで、充填体100eが周方向溝18eから抜け落ちることを容易に防止できる。
上述した実施形態において、充填体100は、不織布、天然スポンジ、ポリウレタン等の合成スポンジ、発泡ゴムに限定されない。例えば、発泡ポリスチレン等の合成樹脂であってもよい。
上述した実施形態において、突起部の形状は、実施形態及び変形例に限定されず、例えば、突起部の形状は、円形、角形等や、タイヤ径方向に沿って、孔を備える中空形状等であってもよい。
上述した実施形態において、充填体100は、溝底17cと、突起部20との間に備えられているが、これに限られず、例えば、充填体100は、液体の圧力によって溝底17c側に圧縮可能であれば、溝底17cから突起部20よりもタイヤ径方向外側までに充填されていてもよい。
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
1…空気入りタイヤ、 12…カーカス層、 13…インナーライナー 14…ビード部
15…ベルト層、 15a…第1ベルト層、 15b…第2ベルト層、 16、16a…トレッド面
17…ゴムブロック 17a、17b…側壁 17c…溝底
18、18a、18b、18c、18e…周方向溝
20、20a、20b、20c、20d、20e、22、22a、22b、22c、24、24a、24c…突起部
20bt、20dt、22t、24t…先端
100、100a、100b、100c、100d、100e…充填体
15…ベルト層、 15a…第1ベルト層、 15b…第2ベルト層、 16、16a…トレッド面
17…ゴムブロック 17a、17b…側壁 17c…溝底
18、18a、18b、18c、18e…周方向溝
20、20a、20b、20c、20d、20e、22、22a、22b、22c、24、24a、24c…突起部
20bt、20dt、22t、24t…先端
100、100a、100b、100c、100d、100e…充填体
Claims (7)
- タイヤ周方向に沿って延びる周方向溝が形成されるとともに、前記周方向溝の溝底側に充填体が充填されたタイヤであって、
前記充填体は、前記タイヤが路面を転動することに伴って前記周方向溝に入り込んだ液体の圧力によって、前記周方向溝の溝底側に圧縮可能であり、
トレッド幅方向及びタイヤ径方向に沿った前記タイヤの断面視において、前記周方向溝を形成する一方の側壁から突出する突起部を備え、
トレッド幅方向に沿った前記突起部の先端から他方の前記側壁までの長さは、トレッド幅方向に沿った前記充填体の幅よりも短いタイヤ。 - 前記断面視において、他方の前記側壁から突出し、前記突起部に対向する第2突起部を備え、
トレッド幅方向に沿った前記突起部の先端から前記第2突起部の先端までの長さは、トレッド幅方向に沿った前記充填体の幅よりも短い請求項1に記載のタイヤ。 - 前記断面視において、トレッド幅方向に沿った前記突起部の突出長さをL1とし、トレッド幅方向に沿った前記周方向溝の最大幅をWMAXとし、トレッド幅方向に沿った前記充填体の幅をW1とし、トレッド幅方向に対する前記充填体の傾きをθとした場合に、
L1≧WMAX−W1×cosθの関係を満たす請求項1に記載のタイヤ。 - 前記断面視において、前記突起部は、タイヤ周方向に沿った前記周方向溝の溝深さに対して、前記溝底から前記溝深さの全長の50%以下の領域に設けられる請求項1乃至3の何れか一項に記載のタイヤ。
- 前記充填体は、前記周方向溝と前記路面とによって形成される気柱管から発生する気柱管共鳴音を吸音する部材によって構成される請求項1乃至4の何れか一項に記載のタイヤ。
- 前記充填体は、不織布によって構成される請求項5に記載のタイヤ。
- 前記断面視において、トレッド幅方向に沿った前記突起部の突出長さは、トレッド幅方向に沿った前記周方向溝の最大幅の50%以下である請求項1乃至6の何れか一項に記載のタイヤ。
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-
2008
- 2008-08-28 JP JP2008219457A patent/JP2010052575A/ja active Pending
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