JP2010051911A - フィルタープレスの異常検知方法及びフィルタープレス - Google Patents

Abstract

【課題】 スラリー打ち込みポンプとしてエア駆動複式ダイアフラムポンプを備えるフィルタープレスにおいて、当該フィルタープレスの異常であるポンプの吸入弁の閉弁異常、吐出弁の開弁異常をいち早く検知する方法を提供する。
【解決手段】 スラリー打ち込みポンプとしてエア駆動複式ダイアフラムポンプを備えるフィルタープレスの異常検知方法であって、スラリーの込み時に１回の打ち込みに要する時間を逐次計測し、今回の打ち込み時間Ｔ１と直前の打ち込み時間Ｔ２との比Ｔ１／Ｔ２の自乗(Ｔ１／Ｔ２)^２が１未満の第１所定値以下であれば、ポンプの吸入弁が閉弁不良を起こしており、(Ｔ１／Ｔ２)^２が１を超える第２所定値以上であれば、ポンプの吐出弁が開弁不良を起こしていると判断する。
【選択図】 図１

Description

本発明は、フィルタープレスの異常検知方法に関するものである。

特許文献１等に開示されたフィルタープレスが、汚泥処理に広く使用されている。
特公平２−６２２８５号公報

スラリー打ち込みポンプの吸入弁や吐出弁に不具合が生ずると、所期量のスラリーを濾室に打ち込むことでできず、フィルタープレスの機能を十分に発揮することができない。
本発明は、スラリー打ち込みポンプとしてエア駆動複式ダイアフラムポンプを備えるフィルタープレスにおいて、当該フィルタープレスの異常であるポンプの吸入弁の閉弁異常、吐出弁の開弁異常をいち早く検知する方法並びにポンプの吸入弁の閉弁異常、吐出弁の開弁異常をいち早く検知することができるフィルタープレスを提供することを目的とする。

上記課題を解決するために、本発明においては、スラリー打ち込みポンプとしてエア駆動複式ダイアフラムポンプを備えるフィルタープレスの異常検知方法であって、スラリーの打ち込み時に１回の打ち込みに要する時間を逐次計測し、今回の打ち込み時間Ｔ１と直前の打ち込み時間Ｔ２との比Ｔ１／Ｔ２の自乗(Ｔ１／Ｔ２)^２が１未満の第１所定値以下であれば、ポンプの吸入弁が閉弁不良を起こしており、(Ｔ１／Ｔ２)^２が１を超える第２所定値以上であれば、ポンプの吐出弁が開弁不良を起こしていると判断することを特徴とする異常検知方法を提供する。

エア駆動複式ダイアフラムポンプは、例えば特許第３０２３８７２号公報や特開２００７−１２０４４６号公報等に開示されているように、ケーシングの一部と一対のダイアフラムとで形成された対峙する一対の圧力室と、ケーシングの残余部と前記一対のダイアフラムとで形成され前記一対の圧力室に隣接する一対のポンプ室と、エア供給源から供給された加圧エアを前記一対の圧力室に交互に供給排気するパイロット弁機構と、ケーシングの前記一部を貫通して前記一対の圧力室に進入し前記一対のダイアフラムを連結するロッドと、各ポンプ室に配設された吸入弁と吐出弁とを備えている。パイロット弁機構は、一方の圧力室の容積が最小となり他方の圧力室の容積が最大となる位置まで一対のダイアフラムが変位し、ひいてはロッドが変位すると、前記一方の圧力室を給気路に接続すると共に前記他方の圧力室を排気路に接続し、前記一方の圧力室の容積が最大となり前記他方の圧力室の容積が最小となる位置まで一対のダイアフラムが変位し、ひいてはロッドが変位すると、前記一方の圧力室を排気路に接続すると共に前記他方の圧力室を給気路に接続する。エア駆動複式ダイアフラムポンプ４をエア供給源に接続すれば、パイロット弁機構の作動により、エア駆動複式ダイアフラムポンプ４は、一対のポンプ室に交互に流体を吸引し一対のポンプ室から交互に流体を吐出する動作を自動的に繰り返す。
パイロット弁に代えて電磁弁を用いて圧力室と給気路、排気路との接続を切り替えるように構成したエア駆動複式ダイアフラムポンプも使用されている。この場合、近接センサー等の位置センサーの検知信号に基づいて一対のダイアフラムを連結するロッドの位置を検知し、ロッドが一方の側へ最大変位した時に当該側の圧力室を排気路に接続し他方側の圧力室を給気路に接続し、ロッドが他方の側へ最大変位した時に当該側の圧力室を排気路に接続し他方側の圧力室を給気路に接続するように、電磁弁機構の作動を制御する。エア駆動複式ダイアフラムポンプ４をエア供給源に接続すれば、電磁弁機構の作動により、エア駆動複式ダイアフラムポンプ４は、一対のポンプ室に交互に流体を吸引し一対のポンプ室から交互に流体を吐出する動作を繰り返す。

ポンプに供給される加圧エアの圧力が一定であれば、パイロット弁機構又は電磁弁機構の作動により、一定のピッチで一対のダイアフラムが変位し、一定のピッチで一対のポンプ室へのスラリー吸引と一対のポンプ室からのスラリー吐出とが行われ、一定のピッチでフィルタープレスの濾室へのスラリー打ち込みが行われる。
ポンプ室の吸入弁が閉弁不良を起こすと、吐出工程において吸入弁を介する吐出も引き起こされるので、吐出工程にあるポンプ室の流路抵抗が減少し、当該ポンプ室からのスラリーの吐出に要する時間が減少し、結局当該ポンプ室からのスラリー打ち込みに要する時間が減少する。他方、ポンプ室の吐出弁が開弁不良を起こすと、吐出工程にあるポンプ室の流路抵抗が増加し、当該ポンプ室からのスラリーの吐出に要する時間が増加し、結局当該ポンプ室からのスラリー打ち込みに要する時間が増加する。
従って、一対のダイアフラムを相互に連結するロッドの往復動又は圧力室の内圧変動を検知することにより、スラリーの打ち込み時に１回の打ち込みに要する時間を逐次計測して、今回の打ち込み時間Ｔ１と直前の打ち込み時間Ｔ２との比Ｔ１／Ｔ２を常時監視すれば、吸入弁が閉鎖不良を起こし、或いは吐出弁が開弁不良を起こした場合に、直ちに前記不良を検知することができる。ここで、不良を早期に検知するためには、不良の程度が小さい段階で当該不良を検知する必要があるが、不良の程度が小さい段階ではＴ１／Ｔ２の１からの偏差は微小なので、検知が難しい。 (Ｔ１／Ｔ２)^２の１からの偏差はＴ１／Ｔ２の１からの偏差よりも拡大されるので、(Ｔ１／Ｔ２)^２の１からの偏差を検知すれば、不良の程度が小さい段階で、吸入弁や吐出弁の不良を検知することができる。

本発明においては、スラリー打ち込みポンプとしてのエア駆動複式ダイアフラムポンプと、エア駆動複式ダイアフラムポンプの作動を制御する制御装置とを備え、制御装置は、スラリーの打ち込み時に１回の打ち込みに要する時間を逐次計測し、今回の打ち込み時間Ｔ１と直前の打ち込み時間Ｔ２との比Ｔ１／Ｔ２の自乗(Ｔ１／Ｔ２)^２が１未満の第１所定値以下であれば、ポンプの吸入弁が閉弁不良を起こしており、(Ｔ１／Ｔ２)^２が１を超える第２所定値以上であれば、ポンプの吐出弁が開弁不良を起こしていると判断して警報を発することを特徴とするフィルタープレスを提供する。
本発明に係るフィルタープレスにおいては、ポンプの吸入弁や吐出弁に異常が発生すると当該異常がいち早く検知され警報が発せられるので、ポンプの修理や取り替えを迅速に行うことができ、高い処理効率を実現できる。

本発明により、スラリー打ち込みポンプとしてエア駆動複式ダイアフラムポンプを備えるフィルタープレスにおいて、当該フィルタープレスの異常であるポンプの吸入弁の閉弁異常、吐出弁の開弁異常をいち早く検知する方法が提供される。

本発明の実施例に係るフィルタープレスの異常検知方法を説明する。
図１（ａ）に示すように、全自動フィルタープレス１は、凹部２ａが形成された面を対向させて上下に延在し水平移動可能な一対の濾板２と、前記一対の濾板２の間に配設されて上下に延在しスラリー吐出口３ａが形成された中央板３と、スラリー吐出口３ａに接続されたスラリー打ち込み用のエア駆動複式ダイアフラムポンプ４と、各濾板２と中央板３との間に配設されて上下に延在する濾布５とを備えている。全自動フィルタープレス１は更に、中央板３に摺接する一対のブレード６ａを有し上下移動可能なケーキ掻き落とし部材６を備えている。濾布５の上端はケーキ掻き落とし部材６に固定されており、濾布５の下端に固定された錘７が、濾布５に上下方向の張力を印加している。濾板２の下端角部２ｂと濾板２の直下に配設されたピアノ線８とが濾布５に係合し、濾布５を乙状に屈曲させている。

エア駆動複式ダイアフラムポンプ４は、例えば特許第３０２３８７２号公報や特開２００７−１２０４４６号公報等に開示されているように、ケーシングの一部と一対のダイアフラムとで形成された対峙する一対の圧力室と、ケーシングの残余部と前記一対のダイアフラムとで形成され前記一対の圧力室に隣接する一対のポンプ室と、エア供給源から供給された加圧エアを前記一対の圧力室に交互に供給排気するパイロット弁機構と、ケーシングの前記一部を貫通して前記一対の圧力室に進入し前記一対のダイアフラムを連結するロッドと、各ポンプ室に配設された吸入弁と吐出弁とを備えている。パイロット弁機構は、一方の圧力室の容積が最小となり他方の圧力室の容積が最大となる位置まで一対のダイアフラムが変位し、ひいてはロッドが変位すると、前記一方の圧力室を給気路に接続すると共に前記他方の圧力室を排気路に接続し、前記一方の圧力室の容積が最大となり前記他方の圧力室の容積が最小となる位置まで一対のダイアフラムが変位し、ひいてはロッドが変位すると、前記一方の圧力室を排気路に接続すると共に前記他方の圧力室を給気路に接続する。エア駆動複式ダイアフラムポンプ４をエア供給源に接続すれば、パイロット弁機構の作動により、エア駆動複式ダイアフラムポンプ４は、一対のポンプ室に交互に流体を吸引し一対のポンプ室から交互に流体を吐出する動作を自動的に繰り返す。

全自動フィルタープレス１は制御装置９を備えている。制御装置９は、エア駆動複式ダイアフラムポンプ４に供給される加圧エアの圧力を可変制御すると共に、エア駆動複式ダイアフラムポンプ４の一対のダイアフラムを連結するロッドの位置を検知する近接センサー等の位置センサーの検知信号と内蔵するタイマーとに基づいてスラリーの打ち込み回数や１回のスラリーの打ち込みに要する時間を計測してポンプ４の作動を制御する

全自動フィルタープレス１の作動を説明する。
図１（ａ）に示すように、ケーキ掻き落とし部材６が中央板３の上方へ移動し、中央板３と濾板２とが濾布５を間に挟んで当接し、凹部２ａが密閉された状態で、ポンプ４が始動し、密閉された凹部２ａが形成する濾室に、中央板３のスラリー吐出口３ａを介してスラリーを打ち込む。スラリー中の固形物を濾布５で濾し取ると共に、濾布５を通過したスラリー中の水分を濾板２に形成した図示しない排出穴を介して全自動フィルタープレス１外へ排出する。

制御装置９は、濾布５の目詰まりを抑制するために、スラリーの打ち込み開始後所定時間に亙ってポンプ４に定低圧の加圧エアを供給し、定低圧のスラリーを凹部２ａが形成する濾室に打ち込む。
定低圧打ち込みを所定時間継続したのち、制御装置９は、ポンプ４に供給する定低圧の加圧エアを定高圧の加圧エアに切り替え、定高圧のスラリーを凹部２ａが形成する濾室に打ち込む。

制御装置９は、１回のスラリー打ち込みに要する時間を逐次計測し、当該時間を記憶している。
エア駆動複式ダイアフラムポンプ４においては、上流側に配設される流路の流路抵抗と下流側に配設される流路の流路抵抗とが一定であれば、一定圧力の加圧エアを供給すると、パイロット弁機構の作動により、一定のピッチで一対のダイアフラムが膨張収縮し、一定のピッチで一対のポンプ室への流体の吸引と一対のポンプ室からの流体の吐出とが行われる。従って、凹部２ａが形成する濾室がスラリーで満たされ、濾過状態が安定した高圧打ち込み時には、濾布５の流路抵抗が略一定に維持される短い時間スパンで見ると、１回のスラリー打ち込みに要する時間は略一定である。ポンプ室の吸入弁が閉弁不良を起こすと、吐出工程において吸入弁を介する吐出も引き起こされるので、吐出工程にあるポンプ室の流路抵抗が減少し、当該ポンプ室からのスラリーの吐出に要する時間が減少し、結局該ポンプ室からのスラリー打ち込みに要する時間が減少する。他方、ポンプ室の吐出弁が開弁不良を起こすと、吐出工程にあるポンプ室の流路抵抗が増加し、当該ポンプ室からのスラリーの吐出に要する時間が増加し、結局該ポンプ室からのスラリー打ち込みに要する時間が増加する。
従って、スラリーの高圧打ち込み時に１回の打ち込みに要する時間を逐次計測して、今回の打ち込み時間Ｔ１と直前の打ち込み時間Ｔ２との比Ｔ１／Ｔ２を常時監視すれば、吸入弁が閉鎖不良を起こし、或いは吐出弁が開弁不良を起こした場合に、直ちに前記不良を検知することができる。ここで、不良を早期に検知するためには、不良の程度が小さい段階で当該不良を検知する必要があるが、不良の程度が小さい段階ではＴ１／Ｔ２の１からの偏差は微小なので、検知が難しい。 (Ｔ１／Ｔ２)^２の１からの偏差はＴ１／Ｔ２の１からの偏差よりも拡大されるので、(Ｔ１／Ｔ２)^２の１からの偏差を検知すれば、不良の程度が小さい段階で、吸入弁や吐出弁の不良を検知することができる。

制御装置９は、今回の打ち込み時間Ｔ１と直前の打ち込み時間Ｔ２との比Ｔ１／Ｔ２の自乗(Ｔ１／Ｔ２)^２が１未満の第１所定値以下、例えば０．９以下であれば、ポンプ４の吸入弁が閉弁不良を起こしており、(Ｔ１／Ｔ２)^２が１を超える第２所定値以上、例えば１．１以上であれば、ポンプ４の吐出弁が開弁不良を起こしていると判断して警報を発し、ポンプ４を停止させる。
これにより、ポンプ４の作動に異常が生じると、直ちに当該異常が発見され、保守要員による迅速な修理や交換が行われ、ポンプ４の作動異常により濾過の実効性が失われる事態の発生が防止される。

(Ｔ１／Ｔ２)^２が第１所定値を超え、且つ第２所定値未満である場合には、制御装置９はポンプ４の作動を継続させる。
スラリーの高圧打ち込み回数が所定値に達すると、制御装置９は濾室内のケーキ密度が所定値まで上昇したと判断して、ポンプ４の作動を停止させる。

図１（ｂ）に示すように、濾板２が水平移動して中央板３から離れ、凹部２ａからケーキが脱落する。ケーキ掻き落とし部材６が下方へ移動し、ブレード６ａが中央板３に摺接しつつ下方へ移動して、中央板３からケーキを掻き落とす。上下方向の張力を印加された濾布５が、ケーキ掻き落とし部材６に従動して下方へ移動する。濾布５が濾板２の下端角部２ｂと係合して屈曲する際に、濾布５に付着したケーキが濾布５から剥離除去され、濾布５がピアノ線８と係合して屈曲する際に、濾布５上に残存するケーキが濾布５から掻き落とされる。濾布５からケーキが除去されると、ケーキ掻き落とし部材６が中央板３の上方へ移動し、濾板２が水平移動し濾布５を間に挟んで中央板３に当接し、凹部２ａが密閉されて、スラリーの濾過が再開される。
スラリーの濾過と、濾過停止後のケーキ除去とが自動的に繰り返されて、スラリーの濾過が全自動で遂行される。

一対のダイアフラムを連結するロッドの位置を検知するのに代えて、給排気に伴う圧力室の内圧変動を検知してスラリーの打ち込み回数や１回のスラリー打ち込みに要する時間を計測しても良い。
エア駆動複式ダイアフラムポンプ４において、パイロット弁に代えて電磁弁を用いて圧力室と給気路、排気路との接続を切り替えても良い。この場合、近接センサー等の位置センサーの検知信号に基づいて一対のダイアフラムを連結するロッドの位置を検知し、ロッドが一方の側へ最大変位した時に当該側の圧力室を排気路に接続し他方側の圧力室を給気路に接続し、ロッドが他方の側へ最大変位した時に当該側の圧力室を排気路に接続し他方側の圧力室を給気路に接続するように、電磁弁機構の作動を制御する。エア駆動複式ダイアフラムポンプ４をエア供給源に接続すれば、電磁弁機構の作動により、エア駆動複式ダイアフラムポンプ４は、一対のポンプ室に交互に流体を吸引し一対のポンプ室から交互に流体を吐出する動作を繰り返す。

本発明は、フィルタープレスに広く利用可能である。

本発明の実施例に係る異常検知方法が実施される全自動フィルタープレスの構造図である。

符号の説明

１ 全自動フィルタープレス
２ 濾板
２ａ 凹部
２ｂ 下端角部
３ 中央板
３ａ スラリー吐出口
３ｂ 凹部
４ エア駆動複式ダイアフラムポンプ
５、１０ 濾布
６ ケーキ掻き落とし部材
６ａ ブレード
７ 錘
８ ピアノ線
９ 制御装置

Claims (2)

1. スラリー打ち込みポンプとしてエア駆動複式ダイアフラムポンプを備えるフィルタープレスの異常検知方法であって、スラリーの打ち込み時に１回の打ち込みに要する時間を逐次計測し、今回の打ち込み時間Ｔ１と直前の打ち込み時間Ｔ２との比Ｔ１／Ｔ２の自乗(Ｔ１／Ｔ２)^２が１未満の第１所定値以下であれば、ポンプの吸入弁が閉弁不良を起こしており、(Ｔ１／Ｔ２)^２が１を超える第２所定値以上であれば、ポンプの吐出弁が開弁不良を起こしていると判断することを特徴とする異常検知方法。
2. スラリー打ち込みポンプとしてのエア駆動複式ダイアフラムポンプと、エア駆動複式ダイアフラムポンプの作動を制御する制御装置とを備え、制御装置は、スラリーの打ち込み時に１回の打ち込みに要する時間を逐次計測し、今回の打ち込み時間Ｔ１と直前の打ち込み時間Ｔ２との比Ｔ１／Ｔ２の自乗(Ｔ１／Ｔ２)^２が１未満の第１所定値以下であれば、ポンプの吸入弁が閉弁不良を起こしており、(Ｔ１／Ｔ２)^２が１を超える第２所定値以上であれば、ポンプの吐出弁が開弁不良を起こしていると判断して警報を発することを特徴とするフィルタープレス。

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