JP2010051160A - スリップ率推定装置及びその方法と、スリップ率制御装置及びその方法 - Google Patents

スリップ率推定装置及びその方法と、スリップ率制御装置及びその方法 Download PDF

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Abstract

【課題】モータにより駆動する自動車において、加速度情報を用いた簡単なアルゴリズムによって制動時のスリップ率を制御するスリップ率制御装置およびその方法を提供すること。
【解決手段】スリップ率制御装置は、惰性走行中に、前記加速度測定手段において路面に対して水平方向の車体加速度として測定された車体加速度aを積分して車体速度Vを算出し、その算出された車体速V及びスリップ率指令値λから前記モータのモータ回転速指令値ωを算出する。このようにして求めたモータ回転速度指令値ωに基づいてモータの制御を行う。
【選択図】図6

Description

本発明は、スリップ率推定装置及びその方法と、スリップ率制御装置及びその方法に関し、より詳細には、加速度情報を用いることにより簡易な構成で制動時のスリップ率の制御を可能とするスリップ率推定装置及びその方法と、スリップ率制御装置及びその方法に関する。
現在、モータを駆動力として利用した電気自動車に注目が集まっている。これは、燃費・環境問題の他にも、モータを駆動力とすることにより得られる利点がある。その利点として以下の3つが挙げられる。
・モータがエンジンに比べて小さいため、各車輪に分散配置が可能
・モータがエンジンに対して、トルク応答が数百倍速い
・発生トルクを正確に把握できる
電気自動車は環境問題の点から大きな注目を集めているが、以上のようなモータの有する特性により車両制御の点からも、内燃機関を動力源とする自動車よりも非常に有利であるといえる。そのため、上記の優位点を利用したトラクションコントロールの研究がなされている(非特許文献1〜3参照)。
H. Sado, S. Sakai, T. Uchida, Y. Hori, "Traction Control for Electric Vehicle based on Road Condition Estimation and Slip Ratio Control", SIASC '98, 1998, No. 3, pp. 321-324 S. Sakai, H. Sado, Y. Hori, "Novel Wheel Skid Detection Method without Chassis Velocity for Electric Vehicle", T. IEEJapan, 2000, Vol. 120-D, No. 2, pp. 281-287 K. Fujii, H. Fujimoto, "Study on Traction Control based on Slip Ratio Estimation without Vehicle Speed Detection for Electric Vehicle", Master Thesis, Yokohama National University, 2007 T. Suzuki, H. Fujimoto, "Proposal of Slip Ratio Estimation Method without Detection of Vehicle Speed for Electric Vehicle on Deceleration", IEE of Japan Technical Meeting Record, 2007, VT-07-24, pp. 77-82 H. Fujimoto, A. Tsumasaka, T. Noguchi, "Traction and Yaw-Moment Control of Small Electric Vehicle on Snowy Condition", JSAE Annual Congress, 2005, pp. 19-24 小竹元基、永井正夫、「操安性向上を目指した超小型電気自動車の車輪駆動トルク制御」、自動車技術会論文集、2003年、Vol.34、No.4、pp.169−174 H. B. Pacejka, E. Bakker, "The Magic Formula Tyre Model", Tyre models for vehicle dynamic analysis: proceedings of the 1st International Colloquium on Tyre Models for Vehicle Dynamics Analysis, held in Delft, The Netherlands, 1991, Oct 21-22 安部正人、「自動車の運動と制御」、山海堂、2003年
スリップ率制御を行う際、車輪速と車体速によって定義されるスリップ率は非常に重要な値である。しかしながら、一般の自動車において車体速を正確に測定するのは困難である。通常は非駆動輪の車輪速、加速度センサの積分、光学センサ等から測定する。しかし、機械ブレーキを使って減速した場合、制動力が四輪全てに働くため、非駆動輪が存在せず測定ができない。また四輪駆動車であればもともと非駆動輪が存在しない。そこでこれらを解消するために、非駆動の第五輪を取付けるのという方法もあるが、一般車では現実的でない。加速度センサで計測した加速度の積分から車体速を求めることも出来るが、加速度センサの値にオフセットがあると、オフセットを積分し続けるので積分値が発散してしまう。また、光学センサは信頼できるが、高価であり実用向きでない。
従って、検出困難な車体速を用いることなく正確なスリップ率を得るスリップ率推定法は極めて実用的であるといえる。
従来は、スリップ率を制御しトラクションコントロールを行っているが、検出困難な車体速が必要であったり(非特許文献1参照)、車体速情報を用いないが、空転検出を行うのみでスリップ率の過渡的変化は考慮していなかった(非特許文献2参照)。また、加速時における車体速検出不要なスリップ率推定法と制御法が提案されているが、加速時と減速時ではスリップ率の定義が異なるため、減速時には直接利用することはできない(非特許文献3参照)。そして、減速時におけるスリップ率推定法も提案されているが、加速・減速時におけるスリップ率推定法は複雑なアルゴリズムを必要とする(非特許文献4参照)。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、モータにより駆動する自動車において、加速度情報を用いた簡単なアルゴリズムによって制動時のスリップ率を制御するスリップ率推定装置及びその方法と、スリップ率制御装置及びその方法を提供することにある。
制御開始前に数百ミリ秒の惰性走行があるものと仮定し、短時間加速度積分を用いた簡単なアルゴリズムによって高精度なスリップ率制御が可能になる。
これまで、加速度を積分することによって車体速を得る場合、前述したように積分値が発散して十分な精度で車体速を算出することが出来なかった。しかし勾配による走行抵抗が支配的でなく、制御開始前に数百ミリ秒の惰性走行があるものと仮定し、かつ、加速度情報の積分を短期間に限定すれば、スリップ率を制御するのに十分な車体速を得ることができる。
また、勾配抵抗が無視できない場合でも、加速度センサによる測定値を、駆動力を用いて補正することで高精度な車体速を得ることができる。
このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、モータのトルクで駆動輪を駆動する自動車のスリップ率を推定するスリップ率推定装置であって、当該自動車の車体加速度aを測定する加速度測定手段を有するスリップ率推定装置において、前記自動車の駆動力Fの推定値を算出する駆動力演算手段と、前記駆動力演算手段で算出された駆動力Fを用いて、前記加速度測定手段で測定された路面に対して水平方向の車体加速度a中の重力加速度gの成分を補償し、前記駆動力Fと勾配抵抗のみに基づく路面に対して水平方向の車体加速度a′を算出する車体加速度演算手段と、前記車体加速度a′に基づきスリップ率λを算出するスリップ率演算手段とを備えたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のスリップ率推定装置において、前記車体速演算手段は、前記車体加速度a′を式(A)に基づいて算出することを特徴とする。
Figure 2010051160
(r:駆動輪のタイヤ半径、M:車両重量)
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のスリップ率推定装置において、前記駆動力演算手段は、前記駆動力Fを駆動力オブザーバによって求めることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載のスリップ率推定装置において、前記スリップ率演算手段は、前記自動車の惰性走行中に車体初期速度Vを算出した上で、減速中に前記車体加速度a′を積分して車体速度Vを算出し、当該車体速度Vと前記駆動輪の車輪速度ωからスリップ率λを算出することを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載のスリップ率推定装置において、前記スリップ率演算手段は、モータのトルクを測定するモータトルク測定手段と、駆動輪の回転速度ω及び回転加速度
Figure 2010051160
(ωdot)を算出する車両モデル演算手段と、前記車体加速度a′と前記駆動力Fから勾配抵抗を算出する勾配抵抗演算手段とをさらに備え、前記スリップ率演算手段は、前記モータトルク測定手段が測定したトルクTと、前記車両モデル演算手段が算出した回転速度ω及び回転加速度ωdotと、前記勾配抵抗を用いて、スリップ率に関する常微分方程式(B)を計算することによりスリップ率λを算出することを特徴とする。
Figure 2010051160
(r:駆動輪のタイヤ半径、M:車両重量、Jω:駆動輪回転部慣性モーメント)
請求項6に記載の発明は、モータのトルクで駆動輪を駆動する自動車のスリップ率を制御するスリップ率制御装置であって、当該自動車の車体加速度aを測定する加速度測定手段を有するスリップ率制御装置において、スリップ率指令値λから前記駆動輪の回転速指令値ωを算出する請求項1乃至5のいずれかに記載のスリップ率推定装置と、前記回転速度指令値ωと所与の制御ゲインからモータトルク指令値Tを算出するモータトルク演算手段と、前記モータトルク指令値Tに基づいて前記モータを制御するモータ制御手段とを備えたことを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のスリップ率制御装置において、前記モータトルク演算手段は、前記制御ゲインを前記スリップ率推定装置によって求めたスリップ率λに応じて変動する慣性モーメントを考慮した式(D)に基づき可変ゲインモータ角速度制御器を用いてモータトルク指令値Tを算出することを特徴とする。
Figure 2010051160
(Jω:車輪回転部慣性モーメント、r:駆動輪のタイヤ半径、M:車体重量)
請求項8に記載の発明は、モータのトルクで駆動輪を駆動する自動車のスリップ率を推定するスリップ率推定方法であって、当該自動車の車体加速度aを測定する加速度測定手段を有するスリップ率推定方法において、前記自動車の駆動力Fの推定値を算出する駆動力演算ステップと、前記駆動力演算ステップで算出された駆動力Fを用いて、前記加速度測定手段で測定された路面に対して水平方向の車体加速度a中の重力加速度gの成分を補償し、前記駆動力Fと勾配抵抗のみに基づく路面に対して水平方向の車体加速度a′を算出する車体加速度演算ステップと、前記車体加速度a′に基づきスリップ率λを算出するスリップ率演算ステップとを有することを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、モータのトルクで駆動輪を駆動する自動車のスリップ率を制御するスリップ率制御方法であって、当該自動車の車体加速度aを測定する加速度測定手段を有するスリップ率制御方法において、スリップ率指令値λから前記駆動輪の回転速度指令値ωを算出する請求項1乃至5のいずれかに記載のスリップ率推定方法と、前記回転速度指令値ωと所与の制御ゲインからモータトルク指令値Tを算出するモータトルク演算ステップと、前記モータトルク指令値Tに基づいて前記モータを制御するモータ制御ステップとを有することを特徴とする。
本発明によれば、加速度積分を用いて簡単なアルゴリズムによるスリップ率制御が可能になる。また、駆動力を用いて加速度を補正することにより、勾配抵抗を考慮したスリップ率制御が可能になる。
その結果、より簡易な構成で、又は、平地だけでなく坂道においても車輪が路面に粘着するので、ヨーモーメント制御(非特許文献6参照)の駆動力が確実に路面に伝わるため、2次元方向の運動が安定化されることにより、車両のスピンする危険性を低減することが可能になる。
電気自動車は、駆動輪に接続されたモータの駆動力が駆動輪に伝達されて走行する。電源から出力された電流を、インバータを介してモータに供給する。モータは、制御手段としての電子制御ユニット(以下「ECU」と称す)にインバータを介して電気的に接続されており、モータの出力を、ECUからの指令に基づいてインバータによって制御する。ECUは、CPU、ROM、RAM、入出力ポート、及び記憶装置等を含むものである。またECUには、モータの発生トルクを測定するトルク測定器、モータに装備された位置センサ、車体に生じる加速度を測定する加速度センサを、インバータを介して電気的にそれぞれ接続している。
制御系としては車輪速度を状態変数とする速度制御により設計する。
本明細書では、制御なしの場合とアンチスリップ制御(非特許文献5参照)を減速時に適用した場合と本発明の手法を比較する。以下、図面を参照しながら詳細に説明する。
1.車両モデル
モータの時定数が非常に小さいと仮定するとき、後輪二輪駆動の場合、車両に働く力は図1に示すような力が作用するので、車両の運動方程式は以下の式で表現できる。
Figure 2010051160
Figure 2010051160
Figure 2010051160
それぞれJωi:車輪回転部慣性モーメント、ω:モータの回転速度、T:モータトルク、r:タイヤ半径、F:駆動力、Fdr:走行抵抗、M:車体重量、V:車体速、Vωi:車輪速度である。ただし、i=r、lであり、左右のそれぞれのモータの状態を表す。
本明細書では機械ブレーキは使用せず、モータの逆トルクのみで減速することを考える。そのため式(1)には機械ブレーキによるトルクの影響が含まれていない。もしブレーキトルクが検出あるいは推定できれば、本明細書で提案するスリップ率の推定法は、機械ブレーキを用いたものに容易に拡張できる。
ここでスリップ率λは次式で表される。
Figure 2010051160
上式の分母はVω、Vの大小関係により変わる。駆動時にはVω>Vなのでmax(Vω、V、ε)=Vωであり、制動時にはVω<Vなのでmax(Vω、V、ε)=Vである。またε(<<1)はVωとVが共に零の場合の零割を防ぐための小さな定数である。
図2に、タイヤと路面間の摩擦係数μとスリップ率λ両者の関係を表すμ−λ曲線を示す。この曲線は路面状況によって大きく異なるが、殆どの場合、駆動時(制動時)ではあるスリップ率において摩擦係数μが最大値(最小値)をとり、スリップ率λがそれより大きく(小さく)なると減少(増加)する。この曲線を表す方法として、今回は実験により得られたデータに近い曲線を描くように選ばれた方程式であるMagic Formulaを用いる(非特許文献7参照)。
Figure 2010051160
この式はシミュレーションにおける車両モデルブロックにのみ用い、制御等には用いない。
路面とタイヤ間の摩擦力Fは摩擦係数μに垂直抗力Nをかけて得られる。
Figure 2010051160
図3に、式(1)〜(6)に基づく左右それぞれの車輪を考慮した左右二輪車両モデルブロック図を示す。
2.スリップ率制御
タイヤの接地面には粘着領域とすべり領域が存在する(非特許文献8参照)。図4に、スリップ率の変換とタイヤと接地面との粘着状態の変化の関係を示す。タイヤには前後方向のスリップ率の絶対値が大きくなると粘着領域が減少し、すべり領域が増加するため横方向に対する摩擦が小さくなる特性がある。そのため少しでもヨーモーメントが発生するとスピンしてしまう恐れがある。
よってスリップ率を制御することは大きな利点となる。
〈2・1〉アンチスリップ制御
従来のスリップ率制御方法である、アンチスリップ制御について述べる。外乱オブザーバを用いたシンプルな制御法で、車体速を用いない。これは、車輪空転を抑圧する制御法であり、スリップ率を直接制御するわけではない。さらに、無駄時間などの影響で性能を100%引き出すことができない。
スリップ率λの時間変動
Figure 2010051160
(λdot)が十分小さいと仮定したとき(λdot≒0)、式(1)〜(4)より以下の式を得る。
Figure 2010051160
ここで車体全体の慣性モーメントJ(λ)を車輪慣性モーメントJωと車体の慣性モーメント
Figure 2010051160
を足し合わせた以下の式にする。
Figure 2010051160
スリップ率λが下がり、−1に近づくと慣性モーメントJ(λ)が大きくなる。このようにスリップ率λが減少することによって慣性モーメントJ(λ)が大きくなることを外乱とみなし、外乱オブザーバを用いてアンチスリップ制御を行う。慣性モーメントのノミナル値Jを以下の式のような粘着状態のスリップ率λにおける車両全体の慣性モーメントとする。
Figure 2010051160
プラントの乗法的変動をΔとすると以下のような式が得られる。
Figure 2010051160
プラントの変動である右辺第二項を外乱とみなす。
図5に、従来のアンチスリップ制御ブロック図を示す。この方法では、レゾルバによる角速度検出時やトルク指令を与えてから実際に駆動力が発生するまでEVにも数ミリ秒のむだ時間が生じる。よって、不確かな値Δにむだ時間を考慮するためにオブザーバゲインKを調節する必要があり、性能を100%引き出すことができない。
〈2・2〉加速度積分を用いた車輪速制御方法(実施形態1)
本発明の一実施形態に係るスリップ率制御装置は、惰性走行中に、前記加速度測定手段において路面に対して水平方向の車体加速度として測定された車体加速度aを積分して車体速度Vを算出し、その算出された車体速V及びスリップ率指令値λから前記モータのモータ回転速指令値ωを算出する。このようにして求めたモータ回転速度指令値ωに基づいてモータの制御を行う。
すなわち、車体速Vは加速度センサの積分値から求めるものとし、求めた車体速Vと車輪速Vωにより目標とするスリップ率λとなるように車輪速Vωを制御する。ここで、減速開始前に数百ミリ秒の惰性走行があるものと仮定する。また、惰性走行中に積分を開始するものとし、積分開始の時間をtと定義する。加速度センサの値は積分するとオフセットが生じるため、オフセットが支配的とならない短時間に限定し、減速時のみ加速度積分を行う。
積分開始の時間tにおける車体速Vの初期値は以下の式のようにtにおける後輪車輪速を初期値として与える。
Figure 2010051160
一定速度で走行中であっても車体速Vと車輪速Vωには誤差がある。しかしこのときスリップ率λは0.01程度であり十分に無視できる誤差である。
スリップ率指令λ、車体速Vを式(4)の制動時の式に代入することにより、式(12)に示す車輪速制御における車輪速指令ωが求まる。
Figure 2010051160
図6に、車輪速制御ブロック図を示す。このようにして加速度情報から求めた車体速を用いてスリップ率の制御を行うことができる。
〈2・3〉加速度情報を使わないスリップ率推定法
前節の提案法は走行抵抗があるものとして加速度の積分値を用いるが、走行抵抗が十分に小さい場合は他の手法が存在する(非特許文献3参照)。走行抵抗が小さいと式(2)は以下のように書き換わる。
Figure 2010051160
これにより2つの方法でスリップ率λを求めることができる。次にその走行抵抗が小さい場合の2つのスリップ率推定方法について述べる。
〈2・3・1〉駆動力の積分値から求める方法
式(13)より駆動力を積分すれば車体速を求めることができる。駆動力は駆動力オブザーバ(Driving Force Observer:DFO)によって求める(非特許文献1〜3参照)。モータにとって駆動力Fは外乱とみなすことができるので、図7に示す駆動力オブザーバのブロック図に基づいて駆動力Fを求めることができる。
このようにして求まった車体速Vを式(4)に代入することによってスリップ率λを求めることができる。この手法ではオブザーバにローパスフィルタが存在するため、ローパスフィルタの時定数に従って駆動力が真値に収束する。その結果、路面変化によって駆動力が激しく変化する場合は駆動力の収束が遅れて誤差が生じるが、構成がシンプルであり、路面変化が緩慢な場合には十分な精度が期待できる。
〈2・3・2〉スリップ率の微分値から求める方法
上記の2つの方法とは異なり、車体速Vを求めずに直接スリップ率λを求める方法について説明する。式(4)を時間微分し、式(1)〜(3)を代入し、λdotについて解くと以下のような式を得る(非特許文献4参照)。
Figure 2010051160
この式(14)に基づきスリップ率λを求める手法は第〈3・3・1〉節とは異なり、ローパスフィルタを用いる必要がない。そのためωdotの精度にも依るが、路面変化が激しい場合でも時定数によらず真値に収束する。この手法をSRE(Slip Ratio Estimator)と呼ぶ。
図8に、路面を0.2秒毎に低μ路と高μ路とに切り替えたシミュレーション結果を示す。DFOによるスリップ率λの推定法は時定数により車体速Vに誤差が生じ、スリップ率λにも誤差が生じている。しかしSREは誤差が生じることなく真値に収束していることが確認できる。
〈2・4〉勾配抵抗・空気抵抗を考慮したスリップ率制御
第3節で示した方法は、走行抵抗を無視した推定方法であったが、走行抵抗として勾配抵抗、空気抵抗を考慮したスリップ率推定方法について以下で説明する。
〈2・4・1〉勾配抵抗が無視できる場合
空気抵抗を考慮した場合、式(9)を修正すると以下のようになる。
Figure 2010051160
勾配抵抗がない場合加速度センサの値をaとすると以下の式を用いることにより、走行抵抗推定を用いて空気抵抗を推定することができる(非特許文献3参照)。これを用いたスリップ率推定法を空気抵抗スリップ率推定(AR−SRE:Air Resistance SRE)とする。空気抵抗を考慮すると運動方程式は次式のようになる。
Figure 2010051160
ブロック図を図9に示す。しかし推定した空気抵抗を式(14)に代入して整理すると以下のようになる。
Figure 2010051160
これは加速度センサの積分値から車体速を求めた場合と等価である。
またEVに働く水平方向の加速度aと重力加速度gを比較すると重力加速度gのほうが数倍大きいため少しでも傾斜すると推定結果に大きな誤差となってあらわれてしまう。実用上空気抵抗よりも勾配抵抗のほうが支配的である。
〈2・4・2〉空気抵抗が無視できる場合(実施形態2)
本発明の一実施形態に係る勾配抵抗を考慮したスリップ率推定装置について説明する。勾配抵抗を繰り込むために、自動車の駆動力Fの推定値を算出するし、その駆動力Fを用いて、加速度センサで測定された路面に対して水平方向の車体加速度a中の重力加速度gの成分を補償する。すなわち、駆動力Fと勾配抵抗のみに基づいた、路面に対して水平方向の車体加速度a′を算出する。そして、車体加速度a′に基づきスリップ率λを算出する。
また、本発明の一実施形態に係る勾配抵抗を考慮したスリップ率制御装置は、このようにして求めたスリップ率λと車輪速ωやモータトルクTとの関係に基づいてモータの制御を行う。以下で詳しく説明する。
第〈2・2〉節、第〈2・3〉節の手法は、いずれの方法においても勾配抵抗の影響を大きく受けてしまう。加速度センサは進行方向の加速度と鉛直方向の重力加速度を足し合わせたものを検出するため、登り斜面の場合、加速度センサが検出する加速度を積分すると、本来の車体速Vより小さくなり大きな誤差が生じる。また駆動力の積分は勾配抵抗を考慮していないため、登り斜面の場合、積分すると本来の車体速よりも大きくなりこの手法も誤差が生じる。そのため勾配抵抗の推定が必要となる。
Figure 2010051160
空気抵抗が無視できるとすると、斜面における加速度センサの検出加速度、車両の運動方程式は以下のようになる。図10にその関係を図示する。
Figure 2010051160
Figure 2010051160
ここでa:加速度センサの斜面方向の測定値、a:水平方向の実加速度、g:重力加速度、θ:斜面の勾配である。簡単化のためF=F=Fとすると、加速度センサの値と第〈2・3・1〉節の駆動力オブザーバから水平方向加速度の斜面方向成分と斜面の勾配θは以下のようになる。
Figure 2010051160
Figure 2010051160
第〈2・2〉の方法については、加速度センサで測定された加速度aを式(20)に代入し、acosθを積分すれば斜面方向の車体速を求めることができる。また、加速度aを用いて式(21)より斜面の勾配、勾配抵抗を求めることもできる。
よって、第〈2・2〉節の方法では、式(18)に基づき加速度の補正を行い、第〈2・3・2〉節の方法では、式(15)のFairを式(19)、(20)に基づいて求めた勾配抵抗Fslope(=Mgsinθ)に置き換えて整理すると次式のようになる。
Figure 2010051160
上式により、勾配抵抗に依らず高精度なスリップ率推定が可能になる。これを勾配抵抗スリップ率推定(SR−SRE:Slope Resistance SRE)とする。
〈2・4・2〉勾配抵抗・空気抵抗が存在する場合
走行抵抗Fdrを勾配抵抗Fslopeと空気抵抗Fairとして考慮した場合、Fdr=Fslope+Fairを式(2)に代入した次式
Figure 2010051160
と、式(18)より両抵抗を求める。ここで、を表す。しかし式(18)より、加速度センサでは空気抵抗を測定できない。よって空気抵抗は検出してそれを用いることによって勾配抵抗を求めることになる。すなわち勾配抵抗と空気抵抗を一括で補償することはできない。
そこで車両に働く外乱のうちより支配的な勾配抵抗を推定し、空気抵抗は近似を用いて補償する。空気抵抗は、通常車体速の二乗に比例することが知られている。またその比例係数は車両の前面投影面積と前面の傾斜角から求めることができる。しかしある程度の高速域にならなければ空気抵抗は大きくないので、勾配抵抗の補償のほうが効果的である。
4.シミュレーション
〈4・1〉第〈2・2〉節、第〈2・3)節に関するシミュレーション
本明細書では簡単化のため減速時のみ制御を行い、加速時のトラクションコントロールは行わない。シミュレーションは左右の車輪速Vω、トルク指令T、スリップ率λが等しいものとして左右の区別なく求めている。プラントのパラメータは実機より得られた値であるJω=1.26[kgm2]、M=710[kg]、r=0.302[m]とする。トルク指令値Tは−150[Nm]を与える。路面状態は常に低μ路(μmax=0.2)とする。車体速V、車輪速Vωの初期値は共に4.00[sec]から開始する。シミュレーションでは車体速Vが加速度積分から得られる理想状態としている。
アンチスリップ制御をかけてもアンチスリップ制御だけでは車輪の空転を完全に抑えることはできない。そして車輪速Vωが零になった後も制御がかかり続けて車輪速Vωが負となることがある。そこで車輪速Vωが零になったら車輪速制御によってそのまま車輪速Vωを零にするように指令を与えている。またアンチスリップ制御はK=0.5、ωlpf=50[rad/sec]とした。スリップ率制御はスリップ率が−0.2となるように制御を行っている。
図11に制御無し、図12にアンチスリップ制御、図13にスリップ率制御のシミュレーション結果を示す。それぞれ(a)には車体速Vと車輪速Vωを示し、(b)にはスリップ率λを示している。図11の制御なしでは車輪が直ちにロックしてしまうが、図12のアンチスリップ制御では、車輪がロックしてしまうのを遅らせる働きをしながら車体を減速させている。しかし、アンチスリップ制御は最適スリップ率に制御しているわけではないため、スリップ率λが徐々に落ちていく。図13のスリップ率制御では、スリップ率λを直接制御し、スリップ率λを最適スリップ率に保つことができている。スリップ率λの絶対値が大きくなると発生する横力が小さくなり、スピンしてしまう恐れがある。よってスリップ率を制御することはスピン防止の点でも大きな利点となる。
〈4・2〉第〈2・4〉節、第〈2・5〉節に関するシミュレーション
第〈4・1〉節と同様に、簡単化のため減速時のみ制御を行い、加速時のトラクションコントロールは行わない。本来、推定値を用いてスリップ率を制御しなければならないが推定手法の比較のため真値を用いてスリップ率制御を行い、そのときスリップ率推定法によってスリップ率が推定できているか確認した。
シミュレーションは左右の車輪速Vω、トルク指令T、スリップ率λが等しいものとして左右の区別なく求めている。プラントのパラメータは実機より得られた値であるJω=1.26[kgm2]、M=710[kg]、r=0.302[m]とする。路面状態は常に低μ路(μmax=0.2)とする。車体速V、車輪速Vωの初期値は共に4.00[sec]から開始する。
空気抵抗がある場合として10[N]、勾配がある場合として5[deg](Mgsinθ=624[N])を与え、それぞれシミュレーションを行った。
スリップ率制御は可変ゲインの車輪速制御を減速の場合に適応したものを用いる(非特許文献3参照)。図14に、可変ゲインによる車輪速制御のブロック図を示す。制御ゲインをスリップ率推定装置によって求めたスリップ率λに応じて変動する慣性モーメントを考慮する。すなわち、スリップ率指令値λと車体速Vから求めた車輪速指令値ωから、式(24)に基づく可変ゲインモータ角速度制御器を用いてモータトルク指令値Tを算出する。
Figure 2010051160
極は−10[rad/sec]に極配置し、スリップ率指令λは−0.2とした。
図15に空気抵抗スリップ率推定、図16に勾配抵抗スリップ率推定のシミュレーション結果を示す。図15、16より両推定法とも、空気抵抗、勾配抵抗を考慮していない推定法よりも高い精度でスリップ率の推定が行えている。勾配抵抗は5[deg]の傾きだけで大きな外乱となるため、坂道であってもスリップ率が推定できることは大きな利点となる。
5.実験
第〈2・2〉節、第〈2・3)節に関する装置については実験を行ったため、以下で結果を示しながら説明する。
低μ路はアクリル板を地面に敷き、そこに洗剤と水をまくことによって実現を図っている。モータが搭載されている後輪がアルミの板に乗るまで加速をし、その後制御なし、アンチスリップ制御、車輪速制御をそれぞれ行った。シミュレーションでは左右の車輪速、トルク、スリップ率が等しいとしたが実際には左右に差があるため、左右それぞれ制御する。
制御なしは機械ブレーキにより車輪をロックさせている。制御ありの場合と公正な比較をするために前輪のブレーキはオイルラインを遮断することにより後輪のみで減速している。
シミュレーション同様、減速時のみを考え、加速時の制御は行わない。シミュレーションではスリップ率制御のスリップ率指令値λを−0.2のみにしたが、実験ではスリップ率指令値λを−0.2と−0.1の2通りで行った。
図17に制御無し、図18にアンチスリップ制御、図19にスリップ率制御(λ=−0.2)、図20にスリップ率制御(λ=−0.1)での実験結果を示す。それぞれ(a)は車体速Vと車輪速Vω、(b)はスリップ率λ、(c)は車両の軌道を示す。ここで図19(b)、20(b)中のλosは光学式センサによる車体速Vを使用したスリップ率λであり、λasは加速度積分によって得られた車体速Vを使用したスリップ率λである。
シミュレーション同様、図17の制御なしは直ちに車輪がロックしてしまうが、図18のアンチスリップ制御は車輪がロックするのを遅らせながら車体を減速させている。しかしアンチスリップ制御は最適スリップ率に制御しているわけではないため、スリップ率が徐々に落ちていき、いずれ車輪がロックしてしまう。図19、20は高μ路に突入しVω≒Vとなると積分によって発生したオフセットによってスリップ率λに誤差が生じているが、低μ路上ではスリップ率λを直接制御しスリップ率λを最適スリップ率付近に保つことができている。
第〈3・1〉〜〈3・3〉節でも述べたように、図17は、スリップ率λが小さくなり、横方向の摩擦が小さくなって車両がスピンしてしまっていることを示している。図18、19ではわずかに車両が回転するが安全に止まることができている。図20では最後までタイヤの接地面に粘着領域が存在するため横方向に摩擦が働き、車両が回転することなく停止することができている。
このように、アンチスリップ制御とスリップ率制御では車両が低μ路上でスピンすることなく停止することができるが、アンチスリップ制御はスリップ率制御に比べ横方向の摩擦力が小さいため、旋回などによって大きな遠心力が発生した場合に摩擦力が飽和しスピンする危険性がある。だが、スリップ率制御では横方向の摩擦を損なわないようにすれば、摩擦円の条件を満たす範囲内で旋回が可能である。
車両に作用する力を説明するための車両モデルを示す図である。 タイヤと路面間の摩擦係数μとスリップ率λ両者の関係を表すμ−λ曲線を示す図である。 左右それぞれの車輪を考慮した左右二輪車両モデルブロック図である。 スリップ率の変換とタイヤと接地面との粘着状態の変化の関係を示す図である。 従来のアンチスリップ制御ブロック図である。 車輪速制御ブロック図である。 駆動力オブザーバのブロック図である。 (a)路面を0.2秒毎に低μ路と高μ路とに切り替えたシミュレーション結果の全体を示す図であり、(b)は(a)の一部を拡大した図である。 空気抵抗推定のブロック図である。 (a)は坂道における進行方向の加速度、重力加速度と斜面方向の加速度との関係を示す図であり、(b)は斜面において車両の運動方程式を説明する図である。 スリップを抑える制御を行わなかった場合のシミュレーション結果であって、(a)は車体速Vと車輪速Vωを示す図であり、(b)はスリップ率λを示す図である。 アンチスリップ制御を行った場合のシミュレーション結果であって、(a)は車体速Vと車輪速Vωを示す図であり、(b)はスリップ率λを示す図である。 スリップ率制御を行った場合のシミュレーション結果であって、(a)は車体速Vと車輪速Vωを示す図であり、(b)はスリップ率λを示す図である。 可変ゲインによる車輪速制御のブロック図である。 空気抵抗スリップ率推定のシミュレーション結果を示す図である。 勾配抵抗スリップ率推定のシミュレーション結果を示す図である。 スリップを抑える制御を行わなかった場合の実験結果であって、(a)は車体速Vと車輪速Vωを示す図であり、(b)はスリップをスリップ率λを示す図であり、(c)は車両の軌道を示す図である。 アンチスリップ制御を行った場合の実験結果であって、(a)は車体速Vと車輪速Vωを示す図であり、(b)はスリップをスリップ率λを示す図であり、(c)は車両の軌道を示す図である。 λ=−0.2としてスリップ率制御を行った場合の実験結果であって、(a)は車体速Vと車輪速Vωを示す図であり、(b)はスリップをスリップ率λを示す図であり、(c)は車両の軌道を示す図である。 λ=−0.1としてスリップ率制御を行った場合の実験結果であって、(a)は車体速Vと車輪速Vωを示す図であり、(b)はスリップをスリップ率λを示す図であり、(c)は車両の軌道を示す図である。

Claims (9)

  1. モータのトルクで駆動輪を駆動する自動車のスリップ率を推定するスリップ率推定装置であって、当該自動車の車体加速度aを測定する加速度測定手段を有するスリップ率推定装置において、
    前記自動車の駆動力Fの推定値を算出する駆動力演算手段と、
    前記駆動力演算手段で算出された駆動力Fを用いて、前記加速度測定手段で測定された路面に対して水平方向の車体加速度a中の重力加速度gの成分を補償し、前記駆動力Fと勾配抵抗のみに基づく路面に対して水平方向の車体加速度a′を算出する車体加速度演算手段と、
    前記車体加速度a′に基づきスリップ率λを算出するスリップ率演算手段と
    を備えたことを特徴とするスリップ率推定装置。
  2. 前記車体速演算手段は、前記車体加速度a′を式(A)に基づいて算出することを特徴とする請求項1に記載のスリップ率推定装置。
    Figure 2010051160
    (r:駆動輪のタイヤ半径、M:車両重量)
  3. 前記駆動力演算手段は、前記駆動力Fを駆動力オブザーバによって求めることを特徴とする請求項1又は2に記載のスリップ率推定装置。
  4. 前記スリップ率演算手段は、前記自動車の惰性走行中に車体初期速度Vを算出した上で、減速中に前記車体加速度a′を積分して車体速度Vを算出し、当該車体速度Vと前記駆動輪の車輪速度ωからスリップ率λを算出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のスリップ率推定装置。
  5. 前記スリップ率演算手段は、
    モータのトルクを測定するモータトルク測定手段と、
    駆動輪の回転速度ω及び回転加速度
    Figure 2010051160
    (ωdot)を算出する車両モデル演算手段と、
    前記車体加速度a′と前記駆動力Fから勾配抵抗を算出する勾配抵抗演算手段と
    をさらに備え、
    前記スリップ率演算手段は、前記モータトルク測定手段が測定したトルクTと、前記車両モデル演算手段が算出した回転速度ω及び回転加速度ωdotと、前記勾配抵抗を用いて、スリップ率に関する常微分方程式(B)を計算することによりスリップ率λを算出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のスリップ率推定装置。
    Figure 2010051160
    (r:駆動輪のタイヤ半径、M:車両重量、Jω:駆動輪回転部慣性モーメント)
  6. モータのトルクで駆動輪を駆動する自動車のスリップ率を制御するスリップ率制御装置であって、当該自動車の車体加速度aを測定する加速度測定手段を有するスリップ率制御装置において、
    スリップ率指令値λから前記駆動輪の回転速指令値ωを算出する請求項1乃至5のいずれかに記載のスリップ率推定装置と、
    前記回転速度指令値ωと所与の制御ゲインからモータトルク指令値Tを算出するモータトルク演算手段と、
    前記モータトルク指令値Tに基づいて前記モータを制御するモータ制御手段と
    を備えたことを特徴とするスリップ率制御装置。
  7. 前記モータトルク演算手段は、前記制御ゲインを前記スリップ率推定装置によって求めたスリップ率λに応じて変動する慣性モーメントを考慮した式(D)に基づき可変ゲインモータ角速度制御器を用いてモータトルク指令値Tを算出することを特徴とする請求項6に記載のスリップ率制御装置。
    Figure 2010051160
    (Jω:車輪回転部慣性モーメント、r:駆動輪のタイヤ半径、M:車体重量)
  8. モータのトルクで駆動輪を駆動する自動車のスリップ率を推定するスリップ率推定方法であって、当該自動車の車体加速度aを測定する加速度測定手段を有するスリップ率推定方法において、
    前記自動車の駆動力Fの推定値を算出する駆動力演算ステップと、
    前記駆動力演算ステップで算出された駆動力Fを用いて、前記加速度測定手段で測定された路面に対して水平方向の車体加速度a中の重力加速度gの成分を補償し、前記駆動力Fと勾配抵抗のみに基づく路面に対して水平方向の車体加速度a′を算出する車体加速度演算ステップと、
    前記車体加速度a′に基づきスリップ率λを算出するスリップ率演算ステップと
    を有することを特徴とするスリップ率推定方法。
  9. モータのトルクで駆動輪を駆動する自動車のスリップ率を制御するスリップ率制御方法であって、当該自動車の車体加速度aを測定する加速度測定手段を有するスリップ率制御方法において、
    スリップ率指令値λから前記駆動輪の回転速度指令値ωを算出する請求項1乃至5のいずれかに記載のスリップ率推定方法と、
    前記回転速度指令値ωと所与の制御ゲインからモータトルク指令値Tを算出するモータトルク演算ステップと、
    前記モータトルク指令値Tに基づいて前記モータを制御するモータ制御ステップと
    を有することを特徴とするスリップ率制御方法。
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