JP2010038194A - 路面摩擦係数推定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】差動制限機構付きの差動装置を備えた車両において、左右夫々の駆動輪がスリップしていると否とに拘わらず路面摩擦係数を推定すること。
【解決手段】差動制限機構付き差動装置20を備えた車両の路面摩擦係数推定装置(電子制御装置)であって、差動制限機構付き差動装置20への入力トルクを推定する差動装置入力トルク推定手段と、差動制限機構付き差動装置20への入力トルク及び同一車軸上の左右夫々の駆動輪(後輪WRL,WRR)の角速度に応じた当該各駆動輪への入力トルクを推定する駆動輪入力トルク推定手段と、駆動輪への入力トルク及び当該駆動輪の慣性トルクに基づいて当該駆動輪の車輪駆動力を推定する車輪駆動力推定手段と、駆動輪の車輪駆動力及び当該駆動輪の車輪接地荷重に基づいて当該駆動輪が接地している路面の路面摩擦係数を推定する路面摩擦係数推定手段と、を備えること。
【選択図】 図1

Description

本発明は、走行中の路面の路面摩擦係数の推定を行う路面摩擦係数推定装置に関する。
近年、自動車には、制動時に車輪のロックを防ぐべく制動トルクの調整を行うアンチロック・ブレーキ・システム、発進時や加速時に車輪のスリップを防ぐべく制駆動トルクの調整を行うトラクション・コントロール・システムなどが搭載されている。これらの各システムにおいては、車輪速などから車輪のスリップ率を判断し、そのスリップ率に応じて車輪の制動トルクや駆動トルクの制御を行う。車輪は、走行中の路面の路面摩擦係数が小さいほどロックやスリップが起こりやすくなる。従って、これらの各システムにおいては、その路面摩擦係数が明確になれば、制御性を向上させることができる。
ここで、従来、走行中の路面の路面摩擦係数を車両側で推定する路面摩擦係数推定装置と言われるものが知られている。例えば、その路面摩擦係数推定装置としては、下記の特許文献1に開示されている。この特許文献1に記載の路面摩擦係数推定装置は、差動制限機構を持たない差動装置(所謂オープンデフ)を備えた車両に適用されるものであり、少なくとも2つの車輪の車輪速と車輪荷重と車輪制駆動力とに基づいて路面摩擦係数の推定を行うものである。
尚、下記の特許文献2には、一方の左右輪に駆動源としてのモータを個別に備えた車両において、そのモータの回転情報(モータトルク、回転角加速度、回転角速度や回転角度)と車輪の回転情報(回転角加速度、回転角速度や回転角度)とに基づいて、その車輪に加わる路面からの反力を推定する技術について開示されている。
特開平10−35443号公報 特開平6−98418号公報
ところで、路面摩擦係数を推定する為には、左右夫々の駆動輪に伝達されている車輪駆動力を知らなければならない。上述したオープンデフは入力されてきたトルクを均等に左右夫々の駆動輪へと伝えるので、このオープンデフを備えた車両においては、その入力トルクさえ明らかになれば、左右夫々の駆動輪に伝達されている車輪駆動力を導き出すことができる。一方、差動制限機構付きの差動装置を備えた車両においては、片方の駆動輪のスリップによって左右夫々の駆動輪間の回転数に差がつくと、その差動制限機構によって駆動輪間で車輪駆動力の移動が起こり、その夫々の駆動輪へ伝達される車輪駆動力に差が生じる。その際、この車両においては、差動制限機構のバイアス比に基づいて駆動輪間で移動した車輪駆動力を導き出すことができるので、夫々の駆動輪に伝達されている車輪駆動力を求めることができる。
しかしながら、差動制限機構付きの差動装置を備えた車両においては、左右夫々の駆動輪が何れもスリップしていない場合、バイアス比から夫々の駆動輪の車輪駆動力を正確に求めることができず、路面摩擦係数を精度良く推定できない。
そこで、本発明は、かかる従来例の有する不都合を改善し、差動制限機構付きの差動装置を備えた車両において、左右夫々の駆動輪がスリップしていると否とに拘わらず路面摩擦係数を推定し得る路面摩擦係数推定装置を提供することを、その目的とする。
上記目的を達成する為、請求項1記載の発明では、差動制限機構付き差動装置を備えた車両の路面摩擦係数推定装置において、その差動制限機構付き差動装置への入力トルクを推定する差動装置入力トルク推定手段と、その差動制限機構付き差動装置への入力トルク及び同一車軸上の左右夫々の駆動輪の角速度に応じた当該各駆動輪への入力トルクを推定する駆動輪入力トルク推定手段と、その駆動輪への入力トルク及び当該駆動輪の慣性トルクに基づいて当該駆動輪の車輪駆動力を推定する車輪駆動力推定手段と、その駆動輪の車輪駆動力及び当該駆動輪の車輪接地荷重に基づいて当該駆動輪が接地している路面の路面摩擦係数を推定する路面摩擦係数推定手段と、を備えている。
この請求項1記載の路面摩擦係数推定装置は、差動制限機構付き差動装置への入力トルクと各駆動輪の角速度に基づいて当該各駆動輪への入力トルクの推定を行う。これが為、その各駆動輪への入力トルクは、その各駆動輪が何れもスリップしていないときに精度良く推定される。従って、この路面摩擦係数推定装置は、各駆動輪が何れもスリップしていないときに当該各駆動輪の路面摩擦係数を精度良く推定することができる。
ここで、その駆動輪入力トルク推定手段は、請求項2記載の発明の如く、差動制限機構付き差動装置への入力トルク及び同一車軸上の左右夫々の駆動輪の角速度の差の時間による積分値に基づいて当該各駆動輪への入力トルクの推定を行うよう構成すると共に、その各駆動輪がスリップしていない状態のときで且つ当該各駆動輪間の角速度の差が殆ど無い状態のときに差動制限機構付き差動装置への入力トルクに基づいて当該各駆動輪への入力トルクの推定を行うよう構成することが好ましい。
各駆動輪の角速度の差の時間による積分値には、その角速度の演算誤差や角速度を得る為の車輪速センサの検出信号に乗ったノイズ成分が蓄積されている。この請求項2記載の路面摩擦係数推定装置は、走行時間の経過に伴い蓄積された演算誤差等を適切な時期に取り除いて、積分演算に伴う各駆動輪への入力トルクの推定値のずれをリセットする。これが為、この路面摩擦係数推定装置においては、走行時間が経過しても各駆動輪に係る路面摩擦係数の推定精度が低下しなくなる。
本発明に係る路面摩擦係数推定装置は、差動制限機構付き差動装置を備えている車両において、各駆動輪が何れもスリップしていないときに各駆動輪への入力トルクの推定を精度良く行うことができるので、その各駆動輪に係る路面摩擦係数の精度の良い推定が可能になる。従って、車両においては、その精度の良い路面摩擦係数の推定値を用いることによって、アンチロック・ブレーキ・システムやトラクション・コントロール・システムなどにおける制御性を向上させることができる。
以下に、本発明に係る路面摩擦係数推定装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
[実施例1]
本発明に係る路面摩擦係数推定装置の実施例1を図1から図3に基づいて説明する。
本実施例1の路面摩擦係数推定装置は、車両に搭載した電子制御装置(ECU)1の制御機能の1つとして用意されているものとする。その電子制御装置1は、図示しないCPU(中央演算処理装置),所定の制御プログラム等を予め記憶しているROM(Read Only Memory),そのCPUの演算結果を一時記憶するRAM(Random Access Memory),予め用意された情報等を記憶するバックアップRAM等で構成されている。
最初に、この路面摩擦係数推定装置が適用される車両についての説明を行う。ここでは、図1,2に示す如く、動力源10と差動制限機構付き差動装置20とを備え、その差動制限機構付き差動装置20を介した車輪駆動力Ftl,Ftrが後輪WRL,WRRに伝えられる後輪駆動車を例として挙げる。
その動力源10としては、図示しないバッテリや発電機からの電力で動力を発生させる図1に示す電動機10A、燃料(炭化水素系燃料やアルコール燃料)等を用いて動力を発生させる図2に示す内燃機関等の原動機10Bなどが考えられる。
動力源10として電動機10Aを用いる場合、その電動機10Aの出力軸10Aは、差動制限機構付き差動装置20の入力側に接続する。つまり、この電動機10Aの出力トルクは、差動制限機構付き差動装置20に直接入力される。
その差動制限機構付き差動装置20は、入力トルクをファイナルギア(つまり最終減速比γdef)で下げて、車両後側の左右夫々の車軸31RL,31RRに配分する。その夫々の車軸31RL,31RRは、駆動輪としての左右夫々の後輪WRL,WRRに各々繋がっており、その夫々の後輪WRL,WRRに車輪駆動力Ftl,Ftrを伝える。
ここで、この差動装置20には、差動に制限をかける差動制限機構が備えられている。これが為、例えば、その後輪WRL,WRRの内の一方が路面摩擦係数の低い路面(以下、「低μ路」という。)に乗ってスリップした場合、この差動制限機構付き差動装置20は、所定のバイアス比γb(>1)で後輪WRL,WRRの車輪駆動力配分を変える。その際、低μ路側の車輪の車輪駆動力を「Ftlow」、路面摩擦係数の高い路面(以下、「高μ路」という。)側の車輪の車輪駆動力を「Fthigh」とすると、高μ路側の車輪の車輪駆動力Fthighは、低μ路側の車輪の車輪駆動力Ftlowに対してバイアス比γbの大きさの分だけ大きくなる(Fthigh=γb×Ftlow)。
一方、動力源10として原動機10Bを用いる場合、車両には、図2に示す如く、その原動機10Bの回転数(出力トルク)を所定又は所望の変速比で変えて出力する変速機40を設ける。その変速機40については、手動変速機であるのか自動変速機であるのか、また、有段であるのか無段であるのかを問わない。この場合、上述した差動制限機構付き差動装置20に入力されるのは、プロペラシャフト41を介した変速機40の出力トルクである。尚、その変速機40は、動力源10が電動機10Aの場合でも、その電動機10Aの回転数を下げる為に搭載してもよい。この際には、その変速機40の出力トルクが差動制限機構付き差動装置20に入力される。
本実施例1の電子制御装置1には、走行中の路面の路面摩擦係数を推定する路面摩擦係数推定手段を設けている。この路面摩擦係数推定手段は、左右夫々の駆動輪が接地している路面の路面摩擦係数μl,μrの推定を行うものであり、ここでは夫々の後輪WRL,WRRにおける路面摩擦係数μl,μrを推定する。ここで、左側後輪WRLにおける車輪駆動力と車輪接地荷重を「Ftl」、「Nl」とし、右側後輪WRRにおける車輪駆動力と車輪接地荷重を「Ftr」、「Nr」とすると、その路面摩擦係数μl,μrは、各々下記の式1,2のように表すことができる。
Figure 2010038194
Figure 2010038194
路面摩擦係数推定手段にはその式1,2を用いて路面摩擦係数μl,μrの推定を行わせるのであるが、その為には、その式1,2における左右夫々の後輪WRL,WRRの車輪駆動力Ftl,Ftrと車輪接地荷重Nl,Nrを求めなければならない。従って、本実施例1の電子制御装置1には、その車輪駆動力Ftl,Ftrの推定を行う車輪駆動力推定手段と、その車輪接地荷重Nl,Nrの検出又は推定を行う車輪接地荷重演算手段と、を設ける。
[車輪駆動力Ftl,Ftr]
車輪駆動力Ftl,Ftrは、同一車軸上の左右夫々の駆動輪(後輪WRL,WRR)における駆動トルクTtl,Ttrと車輪半径rとを用いて各々求めることができる。その駆動トルクTtl,Ttrは、左右夫々の後輪WRL,WRRに車軸31RL,31RRを介して各々入力される入力トルクTtinl,Ttinrから各後輪WRL,WRRの慣性トルクIt・αtl,It・αtrを夫々除したものであり、下記の式3,4のように表される。その「It」は各後輪WRL,WRRの慣性モーメントを示しており、「αtl,αtr」は各後輪WRL,WRRの角加速度を示している。
Figure 2010038194
Figure 2010038194
従って、車輪駆動力推定手段は、下記の式5,6を用いて左右夫々の後輪WRL,WRRの車輪駆動力Ftl,Ftrを求める。
Figure 2010038194
Figure 2010038194
その車輪駆動力Ftl,Ftrを求める際、この車輪駆動力推定手段は、左右夫々の後輪WRL,WRRへの入力トルクTtinl,Ttinrとその各後輪WRL,WRRの角加速度αtl,αtrの情報を取得する。本実施例1の電子制御装置1には、その入力トルクTtinl,Ttinrの推定を行う駆動輪入力トルク推定手段と、その角加速度αtl,αtrの検出又は推定を行う駆動輪角加速度演算手段と、を設けておく。尚、慣性モーメントItや車輪半径rについては、車輪固有の不変の値であり、予め車輪駆動力Ftl,Ftrの演算式(式5,6)に代入されているものとする。
先ず、その駆動輪入力トルク推定手段には、左右夫々の後輪WRL,WRRへの入力トルクTtinl,Ttinrを下記の式7,8によって求めさせる。
Figure 2010038194
Figure 2010038194
ここで、その夫々の入力トルクTtinl,Ttinrとは、左右夫々の車軸31RL,31RRで発生している発生トルクTdl,Tdrと同じである。これが為、その入力トルクTtinl,Ttinrの演算式(式7,8)は、下記の式9〜11から導き出した夫々の車軸31RL,31RRでの発生トルクTdl,Tdrの演算式と同じものになる。
Figure 2010038194
Figure 2010038194
Figure 2010038194
その式9,10は、差動制限機構付き差動装置20において差動がついていないと仮定した際の演算式であって、左右夫々の車軸31RL,31RRでの発生トルクTdl,Tdrと、その各車軸31RL,31RRの捩れ剛性kl,krと、差動制限機構付き差動装置20における各車軸31RL,31RRへの夫々の出力軸の角速度ωdと、左右夫々の後輪WRL,WRRの角速度ωtl,ωtrと、の関係について車軸31RL,31RR毎に表したものである。また、式11は、差動制限機構付き差動装置20への入力トルクTdefinと、左右夫々の車軸31RL,31RRでの発生トルクTdl,Tdrと、の関係について表した演算式である。この式11の「γdef」は、差動制限機構付き差動装置20の最終減速比について示している。
駆動輪入力トルク推定手段は、左右夫々の後輪WRL,WRRへの入力トルクTtinl,Ttinrを式7,8から求める際、差動制限機構付き差動装置20への入力トルクTdefinとその各後輪WRL,WRRの角速度ωtl,ωtrの情報を取得する。本実施例1の電子制御装置1には、その入力トルクTdefinの推定を行う差動装置入力トルク推定手段と、その角速度ωtl,ωtrの検出を行う駆動輪角速度演算手段と、を設けておく。尚、左右夫々の車軸31RL,31RRの捩れ剛性kl,krについては、その車軸31RL,31RR固有の不変の値であり、また、差動制限機構付き差動装置20の最終減速比γdefについては、その差動装置20固有の不変の値である。これが為、その捩れ剛性kl,krと最終減速比γdefについては、予め各後輪WRL,WRRへの入力トルクTtinl,Ttinrの演算式(式7,8)に代入されているものとする。
ここで、差動制限機構付き差動装置20への入力トルクTdefinとは、動力源10が電動機10Aであるのか原動機10Bであるのかによって異なる。
例えば、動力源10が電動機10Aの場合、この電動機10Aの出力トルクTmoutが差動制限機構付き差動装置20への入力トルクTdefinになる。これが為、この場合の入力トルクTdefinは、下記の式12に示すように、電動機10Aで発生している電動機発生トルクTmから電動機10Aの慣性トルクIm・αmを減じたものと同じ大きさになる。その「Im」は電動機10Aの慣性モーメントを示しており、「αm」は電動機10Aの角加速度を示している。
Figure 2010038194
その慣性モーメントImは、電動機10A固有の不変の値であり、予めその入力トルクTdefinの演算式(式12)に代入されているものとする。従って、差動装置入力トルク推定手段は、その入力トルクTdefinを求める際に、その電動機発生トルクTmと角加速度αmの情報を取得する。例えば、電動機発生トルクTmについては、電子制御装置1の電動機制御手段が電動機10Aに対して送信した制御指令の情報を利用すればよい。また、角加速度αmについては、電動機制御手段が電動機10Aに対して送信した回転数に関する制御指令の情報を利用すればよい。つまり、その回転数から電動機10Aの出力軸10Aにおける角速度ωmを導くことができるので、角加速度αmは、その角速度ωmの時間による微分値として推定させればよい。更に、この角加速度αmは、その角速度ωmについて検出する電動機角速度検出手段(例えば回転角センサや回転速度センサなど)を有しているならば、その検出値を利用して推定させてもよく、それ自体を検出する電動機角加速度検出手段(例えば角加速度センサなど)を有しているならば、その検出値を利用して求めさせてもよい。
また、動力源10が原動機10B(例えば内燃機関)の場合、変速機40の出力トルクTtroutを差動制限機構付き差動装置20への入力トルクTdefinに置き換えて考えることができる。これが為、この場合の入力トルクTdefinは、下記の式13に示すように、内燃機関の出力トルクTeから内燃機関の慣性トルクIe・αeを減じたものに変速機40の変速比γtrを乗算した大きさとなる。その「Ie」は内燃機関の出力軸(つまりクランクシャフト)における慣性モーメントを示しており、「αe」はその出力軸における角加速度を示している。
Figure 2010038194
その慣性モーメントIeは、内燃機関固有の不変の値であり、予めその入力トルクTdefinの演算式(式13)に代入されているものとする。従って、差動装置入力トルク推定手段は、その入力トルクTdefinを求める際に、その出力トルクTeと角加速度αeと変速比γtrの情報を取得する。例えば、出力トルクTeについては、内燃機関の運転条件(吸入空気量、機関回転数や空燃比など)を利用し、実験値に基づくマップデータに照らし合わせて求めさせればよい。また、角加速度αeについては、クランク角センサの検出値から角速度ωeを求め、これを時間で微分して求めさせればよい。また、変速比γtrについては、例えば、変速機40のシフトポジションセンサ42によって変速段の情報を把握し、その変速段に該当する変速比γtrの情報を取得させればよい。
続いて、上述した駆動輪角加速度演算手段と駆動輪角速度演算手段についての説明を行う。
その駆動輪角加速度演算手段は、左右夫々の後輪WRL,WRRの角加速度αtl,αtrを求める。その各後輪WRL,WRRの角加速度αtl,αtrは、各後輪WRL,WRRの角速度ωtl,ωtrについて検出する電動機角速度検出手段(例えば回転角センサや車輪速センサ等の回転速度センサなど)の検出値を利用して推定させればよい。ここでは、図1,2に示すように、各車輪WFL,WFR,WRL,WRRに車輪速センサ51FL,51FR,51RL,51RRを設けているので、これを利用する。この場合、駆動輪角加速度演算手段は、その角速度ωtl,ωtrの時間による微分値として角加速度αtl,αtrの推定を行う。また、その角加速度αtl,αtrは、それ自体を検出する駆動輪角加速度検出手段(例えば角加速度センサなど)を有しているならば、その検出値を利用して求めさせてもよい。
駆動輪角速度演算手段は、左右夫々の後輪WRL,WRRの角速度ωtl,ωtrを求める。その各後輪WRL,WRRの角速度ωtl,ωtrは、上述した電動機角速度検出手段(ここでは各後輪WRL,WRRの車輪速センサ51RL,51RR)の検出値を利用して求めさせればよい。
ここで、左右夫々の後輪WRL,WRRにおいては、入力され得る最大限の入力トルク(以下、「最大入力トルク」という。)Ttinmaxと最小限の入力トルク(以下、「最小入力トルク」という。)Ttinminが決まっている。つまり、その各後輪WRL,WRRへの入力トルクTtinl,Ttinrは、その最大入力トルクTtinmaxを超えて大きくなることはなく、また、その最小入力トルクTtinminよりも小さくなることはない。これが為、本実施例1の駆動輪入力トルク推定手段には、その最大入力トルクTtinmaxと最小入力トルクTtinminを演算させ、正確な各後輪WRL,WRRへの入力トルクTtinl,Ttinrを推定させることにする。その最大入力トルクTtinmaxと最小入力トルクTtinminは、差動制限機構付き差動装置20のバイアス比γbによって各々下記の式14,15のように定まる。
Figure 2010038194
Figure 2010038194
駆動輪入力トルク推定手段は、その最大入力トルクTtinmaxと最小入力トルクTtinminを求める際に、差動制限機構付き差動装置20への入力トルクTdefinの情報を取得する。尚、その差動制限機構付き差動装置20における最終減速比γdefやバイアス比γbは、この差動装置20固有の不変の値であり、予めその最大入力トルクTtinmaxと最小入力トルクTtinminの演算式(式14,15)に代入されているものとする。
[車輪接地荷重Nl,Nr]
車輪接地荷重Nl,Nrは、例えば左右夫々の後輪WRL,WRRに荷重計等の荷重検出手段(図示略)を設けることによって検出可能である。また、車輪接地荷重演算手段には、車両の諸元情報(車両重量、車両の前軸荷重、車両の後軸荷重、車両重心位置、ホイールベース、後輪WRL,WRRのトレッド幅)と、車両前後加速度センサ61によって検出された車両前後加速度と、車両横加速度センサ62によって検出された車両横加速度、とを用いて車輪接地荷重Nl,Nrの推定を行わせてもよい。
以下、本実施例1の路面摩擦係数推定装置による路面摩擦係数推定動作について図3のフローチャートに基づき説明する。
最初に、電子制御装置1は、その差動装置入力トルク推定手段によって差動制限機構付き差動装置20への入力トルクTdefinを推定する(ステップST5)。その差動装置入力トルク推定手段は、動力源10として電動機10Aが搭載されている車両であれば、その電動機10Aの電動機発生トルクTmと角加速度αmの情報を取得し、これらを上記式12に代入して入力トルクTdefinを求める。また、その動力源10として内燃機関が搭載されている車両であるならば、この差動装置入力トルク推定手段は、その内燃機関の出力トルクTe及び角加速度αe並びに変速機40の変速比γtrの情報を取得し、これらを上記式13に代入して入力トルクTdefinを求める。
また、この電子制御装置1は、その駆動輪入力トルク推定手段によって左右夫々の駆動輪(後輪WRL,WRR)への入力トルクTtinl,Ttinrを推定する(ステップST10)。その駆動輪入力トルク推定手段は、差動制限機構付き差動装置20への入力トルクTdefinとその各駆動輪(後輪WRL,WRR)の角速度ωtl,ωtrの情報を取得し、これらを駆動輪毎に上記式7,8に代入して入力トルクTtinl,Ttinrを求める。その入力トルクTdefinについては、上記ステップST5で求められたものを差動装置入力トルク推定手段から受け取る。また、角速度ωtl,ωtrについては、上述した駆動輪角速度演算手段が各駆動輪(後輪WRL,WRR)の車輪速センサ51RL,51RRの検出信号から演算したものを受け取る。
また、この駆動輪入力トルク推定手段は、その各駆動輪(後輪WRL,WRR)における最大入力トルクTtinmaxと最小入力トルクTtinminを演算する(ステップST15)。この駆動輪入力トルク推定手段は、差動制限機構付き差動装置20への入力トルクTdefinの情報を取得し、これを上記式14,15に代入して最大入力トルクTtinmaxと最小入力トルクTtinminを求める。
続いて、この駆動輪入力トルク推定手段は、夫々の駆動輪(後輪WRL,WRR)毎に最終的な各駆動輪(後輪WRL,WRR)への入力トルクTtinj(j=l,r)の値を定める。
先ず、駆動輪入力トルク推定手段は、上記ステップST10で求めた入力トルクTtinj(j=l,r)と上記ステップST15で求めた最大入力トルクTtinmaxを比較する(ステップST20)。
このステップST20で入力トルクTtinj(j=l,r)が最大入力トルクTtinmaxよりも小さいと判断された場合、駆動輪入力トルク推定手段は、その入力トルクTtinj(j=l,r)と上記ステップST15で求めた最小入力トルクTtinminの比較を行う(ステップST25)。
そして、この駆動輪入力トルク推定手段は、そのステップST25で入力トルクTtinj(j=l,r)が最小入力トルクTtinminよりも大きいと判断した場合、そのステップST10で求められた入力トルクTtinj(j=l,r)を最終的な入力トルクTtinj(j=l,r)として定める(ステップST30)。
また、この駆動輪入力トルク推定手段は、上記ステップST20で入力トルクTtinj(j=l,r)が最大入力トルクTtinmax以上であると判断した場合、その最大入力トルクTtinmaxを最終的な入力トルクTtinj(j=l,r)として定める(ステップST35)。また、この駆動輪入力トルク推定手段は、上記ステップST25で入力トルクTtinj(j=l,r)が最小入力トルクTtinmin以下であると判断した場合、その最小入力トルクTtinminを最終的な入力トルクTtinj(j=l,r)として定める(ステップST40)。
本実施例1の電子制御装置1は、そのようにして最終的な左右夫々の駆動輪(後輪WRL,WRR)への入力トルクTtinl,Ttinrを求めた後、その車輪駆動力推定手段によって各駆動輪(後輪WRL,WRR)の車輪駆動力Ftl,Ftrを各々推定する(ステップST45)。その車輪駆動力推定手段は、各駆動輪(後輪WRL,WRR)への入力トルクTtinl,Ttinrとその各駆動輪(後輪WRL,WRR)の角加速度αtl,αtrの情報を取得し、これらを上記式5,6に代入して車輪駆動力Ftl,Ftrを求める。その入力トルクTtinl,Ttinrについては、上記ステップST30,ST35又はST40で定められたものを駆動輪入力トルク推定手段から受け取る。また、角加速度αtl,αtrについては、上述した駆動輪角加速度演算手段が例えば各駆動輪(後輪WRL,WRR)の角速度ωtl,ωtrを夫々に時間で微分したものを受け取る。
また、この電子制御装置1は、その車輪接地荷重演算手段によって左右夫々の駆動輪(後輪WRL,WRR)における車輪接地荷重Nl,Nrを推定する(ステップST50)。その車輪接地荷重演算手段は、上述した車両の諸元情報(車両重量や車両の前軸荷重等)と車両前後加速度の情報と車両横加速度の情報とを用いて車輪接地荷重Nl,Nrの推定を行う。
そして、この電子制御装置1は、その路面摩擦係数推定手段によって、左右夫々の駆動輪(後輪WRL,WRR)が接地している路面における各々の路面摩擦係数μl,μrの推定を行う(ステップST55)。その路面摩擦係数推定手段は、上記ステップST45で求めた車輪駆動力Ftl,Ftrと上記ステップST50で求めた車輪接地荷重Nl,Nrを各々上記式1,2に代入して、各駆動輪(後輪WRL,WRR)の接地している路面の路面摩擦係数μl,μrを求める。
このように、本実施例1の路面摩擦係数推定装置は、上述した式1,2,5〜8からも明らかなように、差動制限機構付き差動装置20への入力トルクTdefinと、各駆動輪(後輪WRL,WRR)の角速度ωtl,ωtrと、その各駆動輪(後輪WRL,WRR)の角加速度αtl,αtrと、その各駆動輪(後輪WRL,WRR)における車輪接地荷重Nl,Nrと、を求めることによって、各駆動輪(後輪WRL,WRR)の接地している路面の路面摩擦係数μl,μrの推定が可能になる。その際、この路面摩擦係数推定装置は、差動制限機構付き差動装置20への入力トルクTdefinと各駆動輪(後輪WRL,WRR)の角速度ωtl,ωtrの差の積分値に基づいて、その各駆動輪(後輪WRL,WRR)への入力トルクTtinl,Ttinrの推定を行う。これが為、この路面摩擦係数推定装置は、各駆動輪が何れもスリップしていないときに、その入力トルクTtinl,Ttinrを精度良く推定することができる。ここで、その差動制限機構付き差動装置20への入力トルクTdefinは、差動装置が差動制限機構付きであると否とに拘わらず同一の値となり、上述した演算処理によって精度良く推定できる。また、各駆動輪(後輪WRL,WRR)の角速度ωtl,ωtrや角加速度αtl,αtrは、差動装置が差動制限機構付きであると否とに拘わらず、既存の車輪速センサ等を利用して精度良く求めることができる。また、各駆動輪(後輪WRL,WRR)における車輪接地荷重Nl,Nrは、差動装置が差動制限機構付きであると否とに拘わらず、上述したようにして精度良く推定し得る。従って、ここで例示している車両のように差動制限機構付き差動装置20を備えている場合に、各駆動輪が何れもスリップしていなくても、この路面摩擦係数推定装置は、駆動輪(後輪WRL,WRR)毎の路面摩擦係数μl,μrを精度良く推定することができる。つまり、この路面摩擦係数推定装置は、差動制限機構付き差動装置20を備えた車両において、夫々の駆動輪がスリップしていると否とに拘わらず、精度の良い路面摩擦係数μl,μrの推定が可能になる。このことから、車両においては、その精度の良い路面摩擦係数μl,μrの推定値を用いることによって、アンチロック・ブレーキ・システムやトラクション・コントロール・システムなどにおける制御性が向上する。
[実施例2]
次に、本発明に係る路面摩擦係数推定装置の実施例2を図1,図2及び図4に基づいて説明する。
前述した実施例1の路面摩擦係数推定装置は、左右夫々の駆動輪(後輪WRL,WRR)への入力トルクTtinl,Ttinrを推定する際に、式7,8に示す如く、各駆動輪(後輪WRL,WRR)間の車輪速差(即ち角速度ωtl,ωtrの差)の時間による積分値を用いている。かかる積分演算は、その角速度ωtl,ωtrの演算誤差や車輪速センサ51RL,51RRの検出信号に乗ったノイズ成分を蓄積させる。これが為、実施例1の路面摩擦係数推定装置においては、走行時間の経過と共にその蓄積が大きくなって入力トルクTtinl,Ttinrの推定値が大きくずれていき、結果として各駆動輪(後輪WRL,WRR)の接地している路面における路面摩擦係数μl,μrの推定精度が低下していく虞がある。
そこで、本実施例2の路面摩擦係数推定装置は、その路面摩擦係数μl,μrの推定精度の低下を抑えるべく構成する。本実施例2においても、その路面摩擦係数推定装置の適用対象としては、実施例1と同様の図1や図2に示す後輪駆動車を例示する。
具体的に、本実施例2の路面摩擦係数推定装置においては、左右夫々の駆動輪(後輪WRL,WRR)への入力トルクTtinl,Ttinrの推定値をリセットさせる所定の条件(以下、「駆動輪入力トルクリセット条件」という。)を設定し、その駆動輪入力トルクリセット条件が成立した際に、その入力トルクTtinl,Ttinrの推定値をリセットして、改めてその入力トルクTtinl,Ttinrの推定を行わせるようにする。
その駆動輪入力トルクリセット条件が成立するときとは、各駆動輪(後輪WRL,WRR)がスリップしていない状態のとき(例えばアクセルオフの状態で走行しているときや停車に近いほど低速走行しているとき)で、且つ、その各駆動輪(後輪WRL,WRR)間の車輪速差(角速度ωtl,ωtrの差)が殆ど無い状態のとき(例えば各駆動輪が同じ大きさの路面摩擦係数の路面上で直進走行しているとき)のことである。つまり、かかる状態のときには式7,8における積分項(車輪速差(角速度ωtl,ωtrの差)の時間による積分値)を無視できるので、ここでは、かかる状態のときを駆動輪入力トルクリセット条件が成立したときと定める。本実施例2においては、差動制限機構付き差動装置20への入力トルクTdefinが小さく、且つ、各駆動輪(後輪WRL,WRR)の角速度ωtl,ωtrの差が小さいときを駆動輪入力トルクリセット条件が成立したときに設定する。
以下、本実施例2の路面摩擦係数推定装置による路面摩擦係数推定動作について図4のフローチャートを用いながら説明する。
最初に、差動装置入力トルク推定手段は、実施例1のときと同様にして差動制限機構付き差動装置20への入力トルクTdefinを推定する(ステップST5)。
そして、本実施例2の駆動輪入力トルク推定手段は、駆動輪入力トルクリセット条件が成立しているのか否かの判定を行う(ステップST6)。このステップST6においては、差動制限機構付き差動装置20への入力トルクTdefinの絶対値が所定の閾値Aよりも小さいのか否かを判定させると共に、左右夫々の駆動輪(後輪WRL,WRR)の角速度ωtl,ωtrの差の絶対値が所定の閾値Bよりも小さいのか否かを判定させる。その閾値A,Bは、0に近い正の値であって、車両毎に実験やシミュレーションを行って設定しておく。ここでは、その入力トルクTdefinの絶対値が所定の閾値Aよりも小さく、且つ、その角速度ωtl,ωtrの差の絶対値が所定の閾値Bよりも小さいときに、駆動輪入力トルクリセット条件が成立していると判定させる。
この駆動輪入力トルク推定手段は、駆動輪入力トルクリセット条件が不成立と判定した場合、この各駆動輪(後輪WRL,WRR)に係る路面摩擦係数μl,μrの推定演算処理が駆動輪入力トルクリセット条件不成立との判定後に初めて行われるものであるのか否かの判定を行う(ステップST7)。
このステップST7で初回の推定演算処理であると判定された場合、駆動輪入力トルク推定手段は、駆動輪入力トルクリセット条件不成立後の初回の推定演算処理時における各駆動輪(後輪WRL,WRR)への入力トルクTtinl,Ttinrを推定する(ステップST8)。このときの駆動輪入力トルク推定手段は、上記式7,8における積分項を0にした下記の式16,17を用いて入力トルクTtinl,Ttinrの推定を行う。
Figure 2010038194
Figure 2010038194
この場合、駆動輪入力トルク推定手段は、その入力トルクTtinl,Ttinrを推定した後、実施例1と同様にステップST15に進む。従って、その後、その入力トルクTtinl,Ttinrが最大入力トルクTtinmaxよりも小さく且つ最小入力トルクTtinminよりも大きければ、路面摩擦係数推定手段は、その入力トルクTtinl,Ttinrに基づいた路面摩擦係数μl,μrを推定する。
一方、上記ステップST7で2回目以降の推定演算処理であると判定された場合、駆動輪入力トルク推定手段は、上記式7,8を用いた通常時の各駆動輪(後輪WRL,WRR)への入力トルクTtinl,Ttinrの推定演算を実施例1と同様にして行う(ステップST10)。このステップST10の推定演算の後は実施例1のステップST15以降と同じなので、これ以降の説明は省略する。
また、上記ステップST6で駆動輪入力トルクリセット条件が成立したと判定された場合、駆動輪入力トルク推定手段は、各駆動輪(後輪WRL,WRR)への入力トルクTtinl,Ttinrの推定値をリセットさせるべく、駆動輪入力トルクリセット条件成立時の各駆動輪(後輪WRL,WRR)への入力トルクTtinl,Ttinrの推定を行う(ステップST9)。その駆動輪入力トルクリセット条件成立時には、差動制限機構付き差動装置20への入力トルクTdefinの絶対値が閾値Aよりも小さく、且つ、各駆動輪(後輪WRL,WRR)の角速度ωtl,ωtrの差の絶対値が閾値Bよりも小さくなっているので、各駆動輪への入力トルクTtinl,Ttinrが略同じ大きさになっていると考えられる。これが為、このステップST9での駆動輪入力トルク推定手段は、積分項の無い下記の式18,19を用いて入力トルクTtinl,Ttinrの推定を行う。これにより、その入力トルクTtinl,Ttinrは、角速度ωtl,ωtrの演算誤差や車輪速センサ51RL,51RRの検出信号に乗ったノイズ成分の蓄積が取り除かれたものになる。つまり、ここでは、積分演算に伴う入力トルクTtinl,Ttinrの推定値のずれがリセットされる。
Figure 2010038194
Figure 2010038194
この場合、駆動輪入力トルク推定手段は、その入力トルクTtinl,Ttinrを推定した後、ステップST45に進んで各駆動輪(後輪WRL,WRR)の車輪駆動力Ftl,Ftrの推定を行う。従って、その後、路面摩擦係数推定手段は、そのリセットされた入力トルクTtinl,Ttinrに応じた路面摩擦係数μl,μrを推定する。
このように、本実施例2の路面摩擦係数推定装置は、実施例1と同様に、差動制限機構付き差動装置20を備えた車両において、夫々の駆動輪がスリップしていると否とに拘わらず、精度の良い各駆動輪に係る路面摩擦係数μl,μrの推定が可能になる。また、この路面摩擦係数推定装置は、適切な時期に積分演算に伴う入力トルクTtinl,Ttinrの推定値のずれをリセットさせるので、走行時間が経過しても各駆動輪に係る路面摩擦係数μl,μrの推定精度が低下しなくなる。つまり、本実施例2の路面摩擦係数推定装置は、実施例1によって向上した各駆動輪に係る路面摩擦係数μl,μrの推定精度を良好な状態のまま維持することができるようになる。従って、本実施例2の車両においては、その精度の良い路面摩擦係数μl,μrの推定値を用いることによって、アンチロック・ブレーキ・システムやトラクション・コントロール・システムなどにおける制御性を向上させ続けることができる。
ところで、上述した各実施例1,2では路面摩擦係数推定装置の適用対象として後輪駆動車を例に挙げたが、その適用対象は、前輪駆動車であってもよい。この場合には、上述した例示の後輪WRL,WRRを前輪WFL,WFRに置き換えて考えればよく、これによって同様の効果を得ることができる。
また、その適用対象は、四輪駆動車であってもよい。その四輪駆動車としては、動力源10の出力トルクを前輪WFL,WFRと後輪WRL,WRRに分配するトランスファーを備えたもの、前輪WFL,WFR側と後輪WRL,WRR側とに個別に動力源10を備えたもの(例えば前輪WFL,WFRを原動機10Bで駆動させると共に後輪WRL,WRRを電動機10Aで駆動させる車両)などが考えられる。その何れの場合においても前輪WFL,WFRと後輪WRL,WRRの夫々の差動装置に入力される入力トルクを明確に推定できるならば、路面摩擦係数推定装置は、その四輪駆動車において上述した例示と同様の効果を得ることができる。例えば、前者の四輪駆動車の場合には、その夫々の差動装置に入力される入力トルクがトランスファーの分配比に基づいて推定できる。また、後者の四輪駆動車の場合、夫々の差動装置に入力される入力トルクは、上述した例示の推定を前輪WFL,WFRと後輪WRL,WRRとで個別に行って求めればよい。
以上のように、本発明に係る路面摩擦係数推定装置は、差動制限機構付きの差動装置を備えた車両において、左右夫々の駆動輪がスリップしていると否とに拘わらず路面摩擦係数を推定させる技術に有用である。
本発明に係る路面摩擦係数推定装置の適用対象となる車両の一例を示す図である。 本発明に係る路面摩擦係数推定装置の適用対象となる車両の他の例を示す図である。 実施例1の路面摩擦係数推定装置の路面摩擦係数推定動作について説明するフローチャートである。 実施例2の路面摩擦係数推定装置の路面摩擦係数推定動作について説明するフローチャートである。
符号の説明
1 電子制御装置(ECU)
10 動力源
10A 電動機
10B 原動機
20 差動制限機構付き差動装置
31RL,31RR 車軸
40 変速機
41 プロペラシャフト
42 シフトポジションセンサ
51FL,51FR,51RL,51RR 車輪速センサ
61 車両前後加速度センサ
62 車両横加速度センサ
FL,WFR,WRL,WRR 車輪

Claims (2)

  1. 差動制限機構付き差動装置を備えた車両の路面摩擦係数推定装置であって、
    前記差動制限機構付き差動装置への入力トルクを推定する差動装置入力トルク推定手段と、
    前記差動制限機構付き差動装置への入力トルク及び同一車軸上の左右夫々の駆動輪の角速度に応じた当該各駆動輪への入力トルクを推定する駆動輪入力トルク推定手段と、
    前記駆動輪への入力トルク及び当該駆動輪の慣性トルクに基づいて当該駆動輪の車輪駆動力を推定する車輪駆動力推定手段と、
    前記駆動輪の車輪駆動力及び当該駆動輪の車輪接地荷重に基づいて当該駆動輪が接地している路面の路面摩擦係数を推定する路面摩擦係数推定手段と、
    を備えたことを特徴とする路面摩擦係数推定装置。
  2. 前記駆動輪入力トルク推定手段は、前記差動制限機構付き差動装置への入力トルク及び同一車軸上の左右夫々の駆動輪の角速度の差の時間による積分値に基づいて当該各駆動輪への入力トルクの推定を行うよう構成すると共に、該各駆動輪がスリップしていない状態のときで且つ当該各駆動輪間の角速度の差が殆ど無い状態のときに前記差動制限機構付き差動装置への入力トルクに基づいて当該各駆動輪への入力トルクの推定を行うよう構成したことを特徴とする請求項1記載の路面摩擦係数推定装置。
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