JP2010049160A - 着色硬化性組成物、カラーフィルタ、その製造方法、及び液晶表示素子 - Google Patents

着色硬化性組成物、カラーフィルタ、その製造方法、及び液晶表示素子 Download PDF

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Abstract

【課題】g線及びh線に対する露光感度が高く、且つ、現像除去性に優れ、線幅にバラつきのない着色パターンを形成し得る着色硬化性組成物を提供すること。
【解決手段】(A)顔料と、(B)酸価が250〜350mgKOH/gのバインダーポリマーと、(C)重合性化合物と、(D)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、増感色素、及び連鎖移動剤を含む重合開始系と、を含有することを特徴とする着色硬化性組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、着色硬化性組成物、該着色硬化性組成物を用いて形成された着色パターンを有するカラーフィルタ、及びその製造方法、並びに、液晶表示素子に関する。
近年、カラーフィルタは、液晶表示素子(LCD)用途においてモニターのみならずテレビ(TV)へと用途が拡大する傾向にある。この用途拡大の傾向に伴い、カラーフィルタには、色度、コントラストなどにおいて高度の色特性が要求されるに至っている。また、イメージセンサ(固体撮像素子)用途のカラーフィルタにおいても、同様に色むらの低減、色分解能の向上など色特性の高いものが求められるようになっており、また、高精細化も望まれている。
このようなカラーフィルタは、通常、有機顔料や無機顔料を分散させた顔料分散液、多官能モノマー、重合開始剤、アルカリ可溶性樹脂、及びその他の成分を含有して着色硬化性組成物とし、これを用いてフォトリソ法などにより着色パターンやブラックマトリクスを形成することで製造されている(例えば、特許文献1、2参照)。
カラーフィルタのコストダウン策の一つとして、減価償却が進んだ既存の設備を組み合わせて使用し、製造コスト(設備コスト)を下げるといった動きがある。その例としては、主としてg線及びh線による露光が行われる露光装置(以下、「gh線露光装置」)と、バッチ式現像装置と、を組み合わせる方法がある。
しかしながら、単に、従来の着色硬化性組成物を、このgh線露光装置とバッチ式現像装置とを組み合わせに適用した場合には、得られる着色パターンに線幅のばらつきが顕著に現れるといった問題を抱えていた。
特開2005−316449号公報 特開2008−122789号公報
即ち、本発明は、上記の背景技術に鑑みなされたものであり、以下に示す目的を達成することを課題とする。
本発明の目的は、g線及びh線に対する露光感度が高く、且つ、現像除去性に優れ、線幅にバラつきのない着色パターンを形成し得る着色硬化性組成物を提供することである。
また、本発明の他の目的は、線幅にバラつきのない着色パターンを有するカラーフィルタ、その製造方法、及び該カラーフィルタを備えた液晶表示素子を提供することにある。
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
本発明の着色硬化性組成物は、(A)顔料と、(B)酸価が150〜200mgKOH/gのバインダーポリマーと、(C)重合性化合物と、(D)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、増感色素、及び連鎖移動剤を含む重合開始系と、を含有することを特徴とする。
本発明において、(D)重合開始系において、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、増感色素、及び連鎖移動剤の含有比率が、ヘキサアリールビイミダゾール化合物/増感色素/連鎖移動剤=20〜40/30〜60/20〜40(質量比)であることが好ましい態様である。
本発明のカラーフィルタは、基板上に、本発明の着色硬化性組成物を用いて形成されたパターンを有することを特徴とする。
また、本発明のカラーフィルタの製造方法は、基板上に、本発明の着色硬化性組成物を用い、塗布工程、主としてg線及びh線を用いて露光する露光工程、並びにバッチ式現像装置による現像工程をこの順に行うことで着色パターンを形成することを特徴とする。
更に、本発明の液晶表示素子は、本発明のカラーフィルタを搭載することを特徴とする。
gh線露光装置はi線が除去されていることから、従来の着色硬化性組成物では感度が低く、硬化が不十分となり、露光領域に対して所望の線幅が得られ難い。また、バッチ式現像装置は、現像液を循環して使用しているため、その廃液が少ないといった長所があるものの、現像液の活性がその使用状況によって、低下し易いといった問題もある。特に、gh線露光装置により露光された着色硬化性組成物は、硬化性が低い領域が存在することから、現像液の活性の影響を受け易く、線幅のばらつきが大きくなるものと思われる。
本発明の着色硬化性組成物は、(A)〜(D)成分を含有することで、g線及びh線に対する感度が向上し、また、現像液により脱離除去される構成とすることができる。その結果、本発明の着色硬化性組成物をgh線露光装置により露光した場合には、硬化が十分で、露光領域に対して所望の線幅が得られることから、その後、バッチ式現像装置にて現像しても現像液の活性の影響を受け難い。また、現像の際には、未露光領域の着色硬化性組成物が脱離除去されることから、バッチ式現像装置内の現像液の活性を変化させ難く、この点からも、所望の線幅の着色パターンを形成する上で、非常に有用である。
以上のことから、本発明の着色硬化性組成物によれば、線幅にバラつきのない着色パターンを形成することが可能となる。
本発明によれば、g線及びh線に対する露光感度が高く、且つ、現像除去性に優れ、線幅にバラつきのない着色パターンを形成し得る着色硬化性組成物を提供することができる。そのため、この着色硬化性組成物は、gh線露光装置とバッチ式現像装置とを組み合わせた製造ラインに好適である。
また、本発明によれば、線幅にバラつきのない着色パターンを有するカラーフィルタ、その製造方法、及び該カラーフィルタを備えた液晶表示素子を提供することができる。
以下、本発明の詳細について説明する。
<着色硬化性組成物>
本発明の着色硬化性組成物は、(A)顔料と、(B)酸価が150〜200mgKOH/gのバインダーポリマーと、(C)重合性化合物と、(D)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、増感色素、及び連鎖移動剤を含む重合開始系と、を含有することを特徴とする。
以下、(A)〜(D)成分について、詳細に説明する。
〔(A)顔料〕
本発明で用いる顔料としては、従来公知の種々の無機顔料又は有機顔料を適宜選択して用いることができる。
顔料の粒子サイズとしては、本発明の着色硬化性組成物が好適に用いられるカラーフィルタが、高透過率であることが好ましいこと等を考慮すると、有機顔料が好ましく、また、なるべく粒子サイズの小さいものを使用することが好ましい。本発明の着色硬化性組成物のハンドリング性を考慮すると、顔料の平均1次粒子径としては、100nm以下が好ましく、30nm以下がより好ましく、5〜25nmが最も好ましい。該粒径が前記範囲内であると、透過率が高く、色特性が良好であると共に、高いコントラストのカラーフィルタを形成するのに有効である。平均1次粒子径は、SEMあるいはTEMで観察し、粒子が凝集していない部分で粒子サイズを100個計測し、平均値を算出することによって求める。
前記無機顔料としては、金属酸化物、金属錯塩等で示される金属化合物を挙げることができ、具体的には、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモン等の金属酸化物、及び前記金属の複合酸化物を挙げることができる。
前記有機顔料としては、例えば、
C.I.Pigment Red 1,2,3,4,5,6,7,9,10,14,17,22,23,31,38,41,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,52:1,52:2,53:1,57:1,60:1,63:1,66,67,81:1,81:2,81:3,83,88,90,105,112,119,122,123,144,146,149,150,155,166,168,169,170,171,172,175,176,177,178,179,184,185,187,188,190,200,202,206,207,208,209,210,216,220,224,226,242,246,254,255,264,270,272,279、
C.I.Pigment Yellow 1,2,3,4,5,6,10,11,12,13,14,15,16,17,18,20,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,42,43,53,55,60,61,62,63,65,73,74,77,81,83,86,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,115,116,117,118,119,120,123,125,126,127,128,129,137,138,139,147,148,150,151,152,153,154,155,156,161,162,164,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,182,185,187,188,193,194,199,213,214、
C.I.Pigment Orange 2,5,13,16,17:1,31,34,36,38,43,46,48,49,51,52,55,59,60,61,62,64,71,73、
C.I. Pigment Green 7,10,36,37、
C.I.Pigment Blue 1,2,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,22,60,64,66,79,79のCl置換基をOHに変更したもの,80、
C.I.Pigment Violet 1,19,23,27,32,37,42、
C.I.Pigment Brown 25,28、
C.I.Pigment Black 1,7等を挙げることができる。
これらの中で好ましく用いることができる顔料として、以下のものを挙げることができる。但し、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
C.I.Pigment Yellow 11,24,108,109,110,138,139,150,151,154,167,180,185、
C.I.Pigment Orange 36,71、
C.I.Pigment Red 122,150,171,175,177,209,224,242,254,255,264、
C.I.Pigment Violet 19,23,32、
C.I.Pigment Blue 15:1,15:3,15:6,16,22,60,66、
C.I.Pigment Green 7,36,37、
C.I.Pigment Black 1,7
−顔料の調合(色合わせ)−
着色剤としての有機顔料は、単独で用いることできるが、色純度を上げるため種々組合せて用いることができる。組合せの具体例を以下に示す。
例えば、赤の顔料として、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料を単独で用いてもよいが、それらの少なくとも1種と、ジスアゾ系黄色顔料、イソインドリン系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料、又は、ペリレン系赤色顔料、アントラキノン系赤色顔料、ジケトピロロピロール系赤色顔料と、の混合を行ってもよい。例えば、アントラキノン系顔料としては、C.I.ピグメント・レッド177が挙げられ、ペリレン系顔料としては、C.I.ピグメント・レッド155、C.I.ピグメント・レッド224が挙げられ、ジケトピロロピロール系顔料としては、C.I.ピグメント・レッド254が挙げられ、色再現性の点で、C.I.ピグメント・イエロー83、C.I.ピグメント・イエロー139、又はC.I.ピグメント・レッド177との混合が好ましい。
また、赤色顔料と他顔料との質量比は、100:5〜100:80が好ましい。100:5未満では400nmから500nmの光透過率を抑えることが困難で色純度を上げることができない場合がある。また、100:80を超えると発色力が下がる場合がある。特に、上記質量比としては、100:10〜100:65の範囲が最適である。なお、赤色顔料同士の組み合わせの場合は、色度に併せて調整することができる。
また、緑の顔料としては、ハロゲン化フタロシアニン系顔料を単独で用いてもよいが、これと、ジスアゾ系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料、アゾメチン系黄色顔料、若しくはイソインドリン系黄色顔料と、の混合を行ってもよい。例えば、このような例としては、C.I.ピグメント・グリーン7,36,37と、C.I.ピグメント・イエロー83、C.I.ピグメント・イエロー138、C.I.ピグメント・イエロー139、C.I.ピグメント・イエロー150、C.I.ピグメント・イエロー180、又はC.I.ピグメント・イエロー185との混合が好ましい。
緑顔料と黄色顔料との質量比は、100:5〜100:200が好ましい。上記質量比が100:5未満では400〜450nmの光透過率を抑えることが困難となり色純度を上げることができない場合がある。また、100:200を越えると主波長が長波長寄りになりNTSC目標色相からのずれが大きくなる場合がある。上記質量比としては100:20〜100:150の範囲が特に好ましい。
青の顔料としては、フタロシアニン系顔料を単独で用いてもよいが、これとジオキサジン系紫色顔料との混合を行ってもよい。特に好適な例として、C.I.ピグメント・ブルー15:6とC.I.ピグメント・バイオレット23との混合を挙げることができる。
青色顔料と紫色顔料との質量比は、100:0〜100:100が好ましく、より好ましくは100:70以下である。
また、ブラックマトリックス用途に好適な顔料としては、カーボンブラック、グラファイト、チタンブラック、酸化鉄、酸化チタン単独又は混合を用いることができ、カーボンブラックとチタンブ
ラックとの組合せが好ましい。
また、カーボンブラックとチタンブラックとの質量比は、100:0〜100:60の範囲が好ましい。100:61以上では、分散安定性が低下する場合がある。
−顔料の微細化−
本発明において、必要に応じて、微細でかつ整粒化された有機顔料を用いることができる。顔料の微細化は、顔料と水溶性有機溶剤と水溶性無機塩類と共に高粘度な液状組成物を調製し、この液状組成物を用いて顔料を摩砕する方法により行われる(ソルトミリング法)。
水溶性有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、イソブタノール、n−ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテール、ジエチレングリコールモノエチルエーテール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレンゴリコールモノメチルエーテルアセテート等を挙げることができる。しかし少量用いることで顔料に吸着して、廃水中に流失しないならばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、アニリン、ピリジン、キノリン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘササン、ハロゲン化炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等を用いても良く、また必要に応じて2種類以上の溶剤を混合して使用してもよい。
本発明において水溶性無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、硫酸ナトリウム等が挙げられる。
水溶性無機塩の使用量は顔料の1〜50倍質量であり、多い方が摩砕効果はあるが、より好ましい量は生産性の点で1〜10倍質量で、更に水分が1%以下であることが好ましい。
水溶性有機溶剤の使用量は、顔料に対して50質量%から300質量%の範囲であり、好ましくは100質量%から200質量%の範囲である。
上記の各成分を用いて液状組成物を調製した後、湿式粉砕装置により顔料の微細化が行われる。ここで、湿式粉砕装置の運転条件については特に制限はないが粉砕メディアによる磨砕を効果的に進行させるため、装置がニーダーの場合の運転条件は、装置内のブレードの回転数は、10〜200rpmが好ましく、また、2軸の回転比が相対的に大きいほうが摩砕効果が大きいため、好ましい。また、運転時間は乾式粉砕時間と併せて1時間〜8時間が好ましく、装置の内温は50〜150℃が好ましい。また、粉砕メディアである水溶性無機塩は、粉砕粒度が5〜50μmで粒子径の分布がシャープで、且つ、球形が好ましい。
(顔料分散液)
本発明において、(A)着色剤として顔料を用いる場合には、予め調製された顔料分散液を用いて、本発明の着色硬化性組成物を調製することが好ましい。
顔料分散液中の顔料の含有量としては、該組成物の全固形分(質量)に対して、10〜60質量%が好ましく、15〜50質量%がより好ましい。顔料の含有量が前記範囲内であると、色濃度が充分で優れた色特性を確保するのに有効である。
−分散剤−
本発明における顔料分散液は、分散剤の少なくとも1種を含有することが好ましい。この分散剤の含有により、顔料の分散性を向上させることができる。
分散剤としては、例えば、公知の顔料分散剤や界面活性剤を適宜選択して用いることができる。
具体的には、多くの種類の化合物を使用可能であり、例えば、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社化学工業(株)製)、W001(裕商(株)社製)等のカチオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤;W004、W005、W017(裕商(株)社製)等のアニオン系界面活性剤;EFKA−46、EFKA−47、EFKA−47EA、EFKAポリマー100、EFKAポリマー400、EFKAポリマー401、EFKAポリマー450(いずれもチバ・スペシャルテイケミカル社製)、ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100(いずれもサンノプコ社製)等の高分子分散剤;ソルスパース3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、24000、26000、28000などの各種ソルスパース分散剤(日本ルーブリゾール(株)社製);アデカプルロニックL31,F38,L42,L44,L61,L64,F68,L72,P95,F77,P84,F87、P94,L101,P103,F108、L121、P−123(旭電化(株)製)及びイソネットS−20(三洋化成(株)製)、Disperbyk 101,103,106,108,109,111,112,116,130,140,142,162,163,164,166,167,170,171,174,176,180,182,2000,2001,2050,2150(ビックケミー(株)社製)が挙げられる。その他、アクリル系共重合体など、分子末端若しくは側鎖に極性基を有するオリゴマー若しくはポリマーが挙げられる。
分散剤の顔料分散液中における含有量としては、既述の顔料の質量に対して、1〜100質量%が好ましく、3〜70質量%がより好ましい。
−顔料誘導体−
本発明における顔料分散液は、必要に応じて、顔料誘導体が添加される。分散剤と親和性のある部分、或いは、極性基が導入された顔料誘導体を顔料表面に吸着させ、これを分散剤の吸着点として用いることで、顔料を微細な粒子として顔料分散液中又は着色硬化性組成物中に分散させ、その再凝集を防止することができる。その結果、この着色硬化性組成物は、コントラストが高く、透明性に優れたカラーフィルタを形成する際に好ましく用いることができる。
顔料誘導体は、具体的には有機顔料を母体骨格とし、側鎖に酸性基や塩基性基、芳香族基を置換基として導入した化合物である。有機顔料は、具体的には、キナクリドン系顔料、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、キノフタロン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノリン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ベンゾイミダゾロン顔料等が挙げられる。一般に、色素と呼ばれていないナフタレン系、アントラキノン系、トリアジン系、キノリン系等の淡黄色の芳香族多環化合物も含まれる。
顔料誘導体としては、特開平11−49974号公報、特開平11−189732号公報、特開平10−245501号公報、特開2006−265528号公報、特開平8−295810号公報、特開平11−199796号公報、特開2005−234478号公報、特開2003−240938号公報、特開2001−356210号公報等に記載されているものを使用することができる。
顔料誘導体の顔料分散液中における含有量としては、顔料の質量に対して、1〜30質量%が好ましく、3〜20質量%がより好ましい。該含有量が前記範囲内であると、粘度を低く抑えながら、分散を良好に行なえると共に分散後の分散安定性を向上させることができ、透過率が高く優れた色特性が得られ、カラーフィルタを作製するときには良好な色特性を有する高コントラストに構成することができる。
−分散方法−
顔料の分散方法としては、例えば、顔料と分散剤を混合してホモジナイザー等で予め分散しておいたものを、ジルコニアビーズ等を用いたビーズ分散機(例えばGETZMANN社製のディスパーマット)等を用いて微分散させる方法が用いられる。
分散時間としては、3〜6時間程度が好適である。
本発明の着色硬化性組成物中の(A)顔料の含有量は、全固形分に対して、30〜45質量%が好ましく、35〜45質量%がより好ましく、37〜45質量%が更に好ましい。
顔料の含有量が上記範囲であると、色濃度が充分で優れた色特性を確保するのに有効である。
〔(B)酸価が150〜200mgKOH/gのバインダーポリマー〕
本発明の着色硬化性組成物は、(B)酸価が150〜200mgKOH/gのバインダーポリマー(以下、適宜、「高酸価バインダー」と称する。)を含有する。このバインダーポリマーの酸価は、160〜185mgKOH/gの範囲が好ましくは、160〜175mgKOH/gの範囲がより好ましい。
本発明における高酸価バインダーは、線状有機高分子重合体であって、分子(好ましくは、アクリル系共重合体、スチレン系共重合体を主鎖とする分子)中に、前記の酸価を満たす量の酸基を有するアルカリ可溶性樹脂の中から、適宜、選択することができる。
本発明における高酸価バインダー中の酸基としては、特に制限はないが、スルホン酸基、燐酸基、カルボン酸基、フェノール基、スルホンアミド基等が挙げられ、特に好ましい酸基は、カルボン酸基である。
本発明における高酸価バインダー(線状有機高分子重合体)としては、カルボン酸基を側鎖に有するポリマーが好ましい。
このようなカルボン酸基を側鎖に有するポリマーとしては、特に(メタ)アクリル酸と、これと共重合可能な他の単量体との共重合体が好適である。ここで(メタ)アクリル酸はアクリル酸とメタクリル酸を合わせた総称であり、以下も同様に(メタ)アクリレートはアクリレートとメタクリレートの総称である。
前記(メタ)アクリル酸と共重合可能な他の単量体としては、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、ビニル化合物などが挙げられる。ここで、アルキル基及びアリール基の水素原子は、置換基で置換されていてもよい。
前記アルキル(メタ)アクリレート及びアリール(メタ)アクリレートの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
また、前記ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、グリシジルメタクリレート、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N−ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、CH=CR、CH=C(R)(COOR)〔ここで、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表し、Rは炭素数6〜10の芳香族炭化水素環を表し、Rは炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜12のアラルキル基を表す。〕、等を挙げることができる。
これら共重合可能な他の単量体は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
好ましい共重合可能な他の単量体は、CH=CR、CH=C(R)(COOR)、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、及びスチレンから選択される少なくとも1種であり、特に好ましくは、ベンジル(メタ)アクリレートである。
つまり、本発明における高酸価バインダーとしては、特に、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体が好適である。
本発明における高酸価バインダーの分子量は、重量平均分子量で5,000以上30,000以下が好ましく、更に好ましくは5,000以上20,000以下であり、最適には5,000以上10,000以下である。
以下、本発明における高酸価バインダーの具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2010049160
本発明の着色硬化性組成物における(C)高酸価バインダーの含有量は、全固形分に対し、5〜20質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましく、5〜10質量%であることが更に好ましい。
〔(C)重合性化合物〕
本発明の着色硬化性組成物は、(C)重合性化合物の少なくとも一種を含有する。
重合性化合物は、後述の(D)重合開始系からの活性種の作用を受けて重合硬化するものである。
重合性化合物としては、常圧下で沸点が100℃以上であり、且つ、少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する化合物が好ましく、中でも、4官能以上のアクリレート化合物がより好ましい。
常圧下で沸点が100℃以上であり、且つ、少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する化合物としては、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の単官能のアクリレートやメタアクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化したもの、ペンタエリスリトール又はジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート化したもの、特公昭48−41708号公報、特公昭50−6034号公報、特開昭51−37193号公報に記載のウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号公報、特公昭49−43191号公報、特公昭52−30490号公報に記載のポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタアクリレートが挙げられる。
さらに、日本接着協会誌Vol.20、No.7、300〜308頁に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用できる。
また、特開平10−62986号公報に一般式(1)及び(2)としてその具体例と共に記載の、前記多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化した化合物も用いることができる。
中でも、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、若しくはこれらの混合物、又はこれらのアクリロイル基が、エチレングリコール、プロピレングリコール残基を介している構造が好ましい。これらのオリゴマータイプも使用される。
重合性化合物は、一種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
着色硬化性組成物中の(C)重合性化合物の含有量としては、全固形量中、5〜50質量%であることが好ましく、7〜40質量%であることがより好ましく、10〜35質量%であることが更に好ましい。
〔(D)重合開始系〕
本発明の着色硬化性組成物は、(D)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、増感色素、及び連鎖移動剤を含む重合開始系を含有する。
以下、この重合開始系を構成する各成分について説明する。
(ヘキサアリールビイミダゾール化合物)
本発明において、ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、特公平6−29285号公報、米国特許第3,479,185号、同第4,311,783号、同第4,622,286号等の各明細書に記載の種々の化合物、具体的には、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル))4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイジダゾール、2,2’−ビス(o,o’−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
中でも、高感度であるの点から、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、が好ましい。
ヘキサアリールビイミダゾール化合物の本発明の着色硬化性組成物は中における含有量としては、該組成物の全固形分に対して、20〜40質量%が好ましく、より好ましくは25〜35質量%である。
なお、本発明の着色硬化性組成物は、その効果を損なわない範囲において、ヘキサアリールビイミダゾール化合物に加え、従来公知の光重合開始剤を併用してもよい。その際、併用しうる光重合開始剤としては、特に制限されない。
(増感色素)
本発明における(D)重合開始系には増感色素が含まれる。この増感色素が吸収しうる波長の露光により前記ヘキサアリールビイミダゾール化合物のラジカル発生反応や、それによる重合性化合物の重合反応が促進されるものである。
このような増感色素としては、gh線に対して感度を有するものが好ましく用いられる。具体的には、公知の分光増感色素又は染料、又は光を吸収して光重合開始剤と相互作用する染料又は顔料が挙げられる。
(分光増感色素又は染料)
本発明に用いられる増感色素として好ましい分光増感色素又は染料は、多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えば、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、フタロシアニン類(例えば、フタロシアニン、メタルフタロシアニン)、ポルフィリン類(例えば、テトラフェニルポルフィリン、中心金属置換ポルフィリン)、クロロフィル類(例えば、クロロフィル、クロロフィリン、中心金属置換クロロフィル)、金属錯体(例えば、下記化合物)、アントラキノン類、(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)等が挙げられる。
Figure 2010049160
より好ましい分光増感色素又は染料の例を以下に例示する。
特公平37−13034号公報に記載のスチリル系色素;特開昭62−143044号公報に記載の陽イオン染料;特公昭59−24147号公報記載のキノキサリニウム塩;特開昭64−33104号公報記載の新メチレンブルー化合物;特開昭64−56767号公報記載のアントラキノン類;特開平2−1714号公報記載のベンゾキサンテン染料;特開平2−226148号公報及び特開平2−226149号公報記載のアクリジン類;特公昭40−28499号公報記載のピリリウム塩類;特公昭46−42363号公報記載のシアニン類;特開平2−63053号記載のベンゾフラン色素;特開平2−85858号公報、特開平2−216154号公報の共役ケトン色素;特開昭57−10605号公報記載の色素;特公平2−30321号公報記載のアゾシンナミリデン誘導体;特開平1−287105号公報記載のシアニン系色素;特開昭62−31844号公報、特開昭62−31848号公報、特開昭62−143043号公報記載のキサンテン系色素;特公昭59−28325号公報記載のアミノスチリルケトン;特開平2−179643号公報記載の色素;特開平2−244050号公報記載のメロシアニン色素;特公昭59−28326号公報記載のメロシアニン色素;特開昭59−89303号公報記載のメロシアニン色素;特開平8−129257号公報記載のメロシアニン色素;特開平8−334897号公報記載のベンゾピラン系色素が挙げられる。
(350〜450nmに極大吸収波長を有する色素)
増感色素の他の好ましい態様として、以下の化合物群に属しており、且つ、350〜450nmに極大吸収波長を有する色素が挙げられる。
例えば、多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えば、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)が挙げられる。
更に好ましい増感色素の例としては、下記一般式(XIV)〜(XVIII)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2010049160
(一般式(XIV)中、Aは硫黄原子又は−NR60−を表し、R60はアルキル基又はアリール基を表し、L01は隣接するA及び炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R61及びR62はそれぞれ独立に水素原子又は1価の非金属原子団を表し、R61及びR62は互いに結合して、色素の酸性核を形成してもよい。Wは酸素原子又は硫黄原子を表す。)
以下に、一般式(XIV)で表される化合物の好ましい具体例〔(F−1)〜(F−5)〕を示す。
Figure 2010049160
Figure 2010049160
(一般式(XV)中、Ar及びArはそれぞれ独立にアリール基を表し、−L02−による結合を介して連結している。ここで−L02−は−O−又は−S−を表す。また、Wは一般式(XIV)に示したものと同義である。)
一般式(XV)で表される化合物の好ましい例としては、以下のもの〔(F−6)〜(F−8)〕が挙げられる。
Figure 2010049160
Figure 2010049160
(一般式(XVI)中、Aは硫黄原子又は−NR69−を表し、L03は隣接するA及び炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R63、R64、R65、R66、R67、及びR68はそれぞれ独立に1価の非金属原子団の基を表し、R69はアルキル基又はアリール基を表す。)
一般式(XVI)で表される化合物の好ましい例としては、以下のもの〔(F−9)〜(F−11)〕が挙げられる。
Figure 2010049160
Figure 2010049160
(一般式(XVII)中、A及びAはそれぞれ独立に−S−、又は−NR73−を表し、R73は置換若しくは非置換のアルキル基、又は置換若しくは非置換のアリール基を表し、L04及びL05はそれぞれ独立に、隣接するA、A及び炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R71及びR72はそれぞれ独立に1価の非金属原子団であり、互いに結合して脂肪族性又は芳香族性の環を形成することもできる。)
一般式(XVII)で表される化合物の好ましい例としては、以下のもの〔(F−12)〜(F−15)〕が挙げられる。
Figure 2010049160
また、そのほかに、本発明に用いられる好適な増感色素として、下記一般式(XVIII)で表されるものが挙げられる。
Figure 2010049160
(一般式(XVIII)中、Aは置換基を有してもよい、芳香族環又はヘテロ環を表し、Xは酸素原子、硫黄原子、又は−N(R74)−を表し、Yは酸素原子、硫黄原子、又は=N(R74)を表す。R74、R75、及びR76は、それぞれ独立に、水素原子、又は1価の非金属原子団を表し、AとR74、R75、R76とは、それぞれ互いに結合して、脂肪族性又は芳香族性の環を形成することができる。)
ここで、R74、R75、R76が1価の非金属原子団を表すとき、好ましくは、置換若しくは無置換の、アルキル基又はアリール基を表す。
次に、R74、R75、R76の好ましい例について具体的に述べる。好ましいアルキル基の例としては、炭素原子数が1から20までの直鎖状、分岐状、及び環状のアルキル基を挙げることができ、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル基を挙げることができる。これらの中では、炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状、並びに炭素原子数5から10までの環状のアルキル基がより好ましい。
置換アルキル基の置換基としては、水素を除く1価の非金属原子団の基が用いられ、好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルオキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N−アルキルウレイド基、N,N−ジアルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N,N−ジアリールウレイド基、N−アルキル−N−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N−アルキル−N−アルキルウレイド基、N−アルキル−N−アリールウレイド基、N,N−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N,N−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N−アリール−N−アルキルウレイド基、N−アリール−N−アリールウレイド基、N,N−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N,N−ジアリール−N−アリールウレイド基、N−アルキル−N−アリール−N−アルキルウレイド基、N−アルキル−N−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SOH)及びその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスホノ基(−PO)及びその共役塩基基(以下、ホスホナト基と称す)、ジアルキルホスホノ基(−PO(alkyl))、ジアリールホスホノ基(−PO(aryl))、アルキルアリールホスホノ基(−PO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノ基(−POH(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスホナト基と称す)、モノアリールホスホノ基(−POH(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスホナト基と称す)、ホスホノオキシ基(−OPO)及びその共役塩基基(以後、ホスホナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスホノオキシ基(−OPO(alkyl))、ジアリールホスホノオキシ基(−OPO(aryl))、アルキルアリールホスホノオキシ基(−OPO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノオキシ基(−OPOH(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスホナトオキシ基と称す)、モノアリールホスホノオキシ基(−OPOH(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスホナトオキシ基と称す)、シアノ基、ニトロ基、アリール基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基、シリル基が挙げられる。
これらの置換基における、アルキル基の具体例としては、前述のアルキル基が挙げられ、これらは更に置換基を有していてもよい。
また、アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシフェニルカルボニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバモイルフェニル基、フェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスホノフェニル基、ホスホナトフェニル基等を挙げることができる。
ヘテロアリール基としては、窒素、酸素、硫黄原子の少なくとも一つを含有する単環、又は多環芳香族環から誘導される基が用いられ、特に好ましいヘテロアリール基中のヘテロアリール環の例としては、例えば、チオフェン、チアスレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサジン、ピロール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドリジン、インドイール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キナゾリン、シノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナンスリン、アクリジン、ペリミジン、フェナンスロリン、フタラジン、フェナルザジン、フェノキサジン、フラザン、フェノキサジン等が挙げられ、これらは、更にベンゾ縮環してもよく、また置換基を有していてもよい。
また、アルケニル基の例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル基、2−クロロ−1−エテニル基、等が挙げられ、アルキニル基の例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。アシル基(GCO−)におけるGとしては、水素、並びに上記のアルキル基、アリール基を挙げることができる。これら置換基のうち、更により好ましいものとしてはハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、アシルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、アシルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、スルホ基、スルホナト基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスホノ基、ホスホナト基、ジアルキルホスフォノ基、ジアリールホスフォノ基、モノアルキルホスフォノ基、アルキルホスホナト基、モノアリールホスフォノ基、アリールホスホナト基、ホスホノオキシ基、ホスホナトオキシ基、アリール基、アルケニル基、アルキリデン基(メチレン基等)が挙げられる。
一方、置換アルキル基におけるアルキレン基としては前述の炭素数1から20までのアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の有機残基としたものを挙げることができ、好ましくは炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状並びに炭素原子数5から10までの環状のアルキレン基を挙げることができる。
上記置換基とアルキレン基を組み合わせることにより得られるR74、R75、又はR76として好ましい置換アルキル基の具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、トリルチオメチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキソエチル基、2−オキソプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルメチル基、スルホブチル基、スルホナトプロピル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルプロピル基、N−メチル−N−(ホスホノフェニル)スルファモイルオクチル基、ホスホノブチル基、ホスホナトヘキシル基、ジエチルホスホノブチル基、ジフェニルホスホノプロピル基、メチルホスホノブチル基、メチルホスホナトブチル基、トリルホスホノヘキシル基、トリルホスホナトヘキシル基、ホスホノオキシプロピル基、ホスホナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、等を挙げることができる。
74、R75、又はR76として好ましいアリール基の具体例としては、1個から3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したものを挙げることができ、具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、を挙げることができ、これらのなかでは、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。
74、R75、又はR76として好ましい置換アリール基の具体例としては、前述のアリール基の環形成炭素原子上に置換基として、(水素原子以外の)1価の非金属原子団の基を有するものが用いられる。好ましい置換基の例としては前述のアルキル基、置換アルキル基、並びに、先に置換アルキル基における置換基として示したものを挙げることができる。このような、置換アリール基の好ましい具体例としては、ビフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基、クロロメチルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、メトキシエトキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、メチルチオフェニル基、トリルチオフェニル基、エチルアミノフェニル基、ジエチルアミノフェニル基、モルホリノフェニル基、アセチルオキシフェニル基、ベンゾイルオキシフェニル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシフェニル基、N−フェニルカルバモイルオキシフェニル基、アセチルアミノフェニル基、N−メチルベンゾイルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、アリルオキシカルボニルフェニル基、クロロフェノキシカルボニルフェニル基、カルバモイルフェニル基、N−メチルカルバモイルフェニル基、N,N−ジプロピルカルバモイルフェニル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルフェニル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、スルファモイルフェニル基、N−エチルスルファモイルフェニル基、N,N−ジプロピルスルファモイルフェニル基、N−トリルスルファモイルフェニル基、N−メチル−N−(ホスホノフェニル)スルファモイルフェニル基、ホスホノフェニル基、ホスホナトフェニル基、ジエチルホスホノフェニル基、ジフェニルホスホノフェニル基、メチルホスホノフェニル基、メチルホスホナトフェニル基、トリルホスホノフェニル基、トリルホスホナトフェニル基、アリルフェニル基、1−プロペニルメチルフェニル基、2−ブテニルフェニル基、2−メチルアリルフェニル基、2−メチルプロペニルフェニル基、2−プロピニルフェニル基、2−ブチニルフェニル基、3−ブチニルフェニル基、等を挙げることができる。
なお、R75、及びR76の更に好ましい例としては、置換若しくは無置換のアルキル基が挙げられる。また、R74の更に好ましい例としては、置換若しくは無置換のアリール基が挙げられる。その理由は定かではないが、このような置換基を有することで、光吸収により生じる電子励起状態と開始剤化合物との相互作用が特に大きくなり、開始剤化合物のラジカル、酸又は塩基を発生させる効率が向上するためと推定される。
次に、一般式(XVIII)におけるAについて説明する。Aは置換基を有してもよい、芳香族環又はヘテロ環を表し、置換基を有してもよい、芳香族環又はヘテロ環の具体例としては、一般式(XVIII)におけるR74、R75、又はR76についての前述の説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
中でも、好ましいAとしては、アルコキシ基、チオアルキル基、アミノ基を有するアリール基が挙げられ、特に好ましいAとしてはアミノ基を有するアリール基が挙げられる。
次に、一般式(XVIII)におけるYについて説明する。Yは、一般式(XVIII)中の含窒素複素環に二重結合を介して直結する非金属原子又は非金属原子団であり、酸素原子、硫黄原子、又は=N(R74)を表す。なお、Yが=N(R74)である場合、このR74とR75とが互いに結合して環を形成していてもよい。
また、一般式(XVIII)におけるXは、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R74)−を表す。
次に、本発明に用いられる一般式(XVIII)で表される化合物の好ましい態様である、下記一般式(XVIII−1)で表される化合物について説明する。
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上記一般式(XVIII−1)中、Aは置換基を有してもよい、芳香族環又はヘテロ環を表し、Xは酸素原子、硫黄原子、又は−N(R74)−を表す。R74、R77、R78は、それぞれ独立に、水素原子又は、1価の非金属原子団であり、AとR74、R77、R78は、それぞれ互いに、脂肪族性又は芳香族性の環を形成するために結合することができる。Arは、置換基を有する、芳香族環又はヘテロ環を表す。但し、Ar骨格上の置換基は、そのハメット値の総和が0より大きいことを要する。ここでハメット値の総和が0より大きいとは、1つの置換基を有し、その置換基のハメット値が0より大きいものであってもよく、複数の置換基を有し、それらの置換基におけるハメット値の総和が0より大きいものであってもよい。
一般式(XVIII−1)中、A及びR74は一般式(XVIII)におけるものと同義であり、R77は一般式(XVIII)におけるR75と、R78は一般式(XVIII)におけるR76と同義である。また、Arは、置換基を有する、芳香族環又はヘテロ環を表し、一般式(XVIII)におけるAと同義である。
ただし、一般式(XVIII−1)におけるArに導入可能な置換基としては、ハメット値の総和が0以上であることが必須であり、そのような置換基の例としては、トリフルオロメチル基、カルボニル基、エステル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、スルホキシド基、アミド基、カルボキシル基等を挙げることができる。これら置換基のハメット値を以下に示す。トリフルオロメチル基(−CF、m:0.43、p:0.54)、カルボニル基(例えば−COHm:0.36、p:0.43)、エステル基(−COOCH、m:0.37、p:0.45)、ハロゲン原子(例えばCl、m:0.37、p:0.23)、シアノ基(−CN、m:0.56、p:0.66)、スルホキシド基(例えば−SOCH、m:0.52、p:0.45)、アミド基(例えば−NHCOCH、m:0.21、p:0.00)、カルボキシル基(−COOH、m:0.37、p:0.45)等が挙げられる。かっこ内は、その置換基のアリール骨格における導入位置と、そのハメット値を表し、(m:0.50)とは、当該置換基がメタ位に導入された時のハメット値が0.50であることを示す。このうち、Arの好ましい例としては置換基を有するフェニル基を挙げることができ、Ar骨格上の好ましい置換基としてはエステル基、シアノ基が挙げられる。置換の位置としてはAr骨格上のオルト位に位置していることが特に好ましい。
以下に、本発明に係る一般式(XVIII)で表される増感色素の好ましい具体例〔(D1)〜(D124)〕を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、酸性核と塩基性核を結ぶ2重結合による異性体については明らかでなく、本発明はどちらかの異性体に限定されるものでもない。
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本発明に適用可能な前記増感色素の中でも、前記一般式(XVIII)で表される化合物が、深部硬化性の観点から好ましい。
上記の増感色素に関しては、本発明の着色硬化性組成物の特性を改良する目的で、以下のような種々の化学修飾を行うことが可能である。例えば、増感色素と、付加重合性化合物構造(例えば、アクリロイル基やメタクリロイル基)とを、共有結合、イオン結合、水素結合等の方法により結合させることで、架橋硬化膜の高強度化や、架橋硬化膜からの色素の不要な析出抑制効果向上を得ることができる。
増感色素の含有量は、着色硬化性組成物の全固形分に対し、0.01〜20質量%が好ましく、より好ましくは、0.01〜10質量%であり、更に好ましくは0.1〜5質量%である。
(連鎖移動剤)
本発明における(D)重合開始系には連鎖移動剤が含まれる。
用いられる連鎖移動剤は、水素供与性化合物であることが好ましく、このような水素供与性化合物の例としては、アミン類、例えば、M.R.Sanderら著「Journal of Polymer Society」第10巻3173頁(1972)、特公昭44−20189号公報、特開昭51−82102号公報、特開昭52−134692号公報、特開昭59−138205号公報、特開昭60−84305号公報、特開昭62−18537号公報、特開昭64−33104号公報、Research Disclosure 33825号記載の化合物等が挙げられ、具体的には、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等が挙げられる。
水素供与性化合物の別の例としては、チオール及びスルフィド類、例えば、特開昭53−702号公報、特公昭55−500806号公報、特開平5−142772号公報記載のチオール化合物、特開昭56−75643号公報のジスルフィド化合物等が挙げられ、具体的には、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリン、β−メルカプトナフタレン等が挙げられる。
また、水素供与性化合物の更に別の例としては、アミノ酸化合物(例、N−フェニルグリシン等)、特公昭48−42965号公報記載の有機金属化合物(例、トリブチル錫アセテート等)、特公昭55−34414号公報記載の水素供与体、特開平6−308727号公報記載のイオウ化合物(例、トリチアン等)等が挙げられる。
これら連鎖移動剤(水素供与性化合物)の含有量は、重合成長速度と連鎖移動のバランスによる硬化速度の向上の観点から、着色硬化性組成物の全固形分の質量に対し、0.1〜30質量%の範囲が好ましく、1〜25質量%の範囲がより好ましく、0.5〜20質量%の範囲が更に好ましい。
本発明における(D)重合開始系では、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、増感色素、及び連鎖移動剤の含有比率が、ヘキサアリールビイミダゾール化合物/増感色素/連鎖移動剤=20〜40/30〜60/20〜40(質量比)であることが好ましく、ヘキサアリールビイミダゾール化合物/増感色素/連鎖移動剤=25〜35/35〜45/25〜35(質量比)であることがより好ましく、ヘキサアリールビイミダゾール化合物/増感色素/連鎖移動剤=30〜35/35〜40/30〜35(質量比)であることが更に好ましい。
これらの割合で各成分を使用することで、gh線に対する露光感度が高まり、露光領域に応じた精度の高い線幅の着色パターンが得られ易くなる。
〔その他の成分〕
以下、本発明の着色硬化性組成物は、前述の(A)〜(D)成分以外に、界面活性剤、溶剤等の成分を含んでいてもよい。
以下、本発明の着色硬化性組成物に添加しうる他の成分について説明する。
[界面活性剤]
本発明の着色硬化性組成物には、塗布する際のレオロジーの観点や、塗布膜の膜厚均一性の観点から、適切な界面活性剤を含有させることが好ましい。特に、本発明の着色硬化性組成物において、高純度カラーフィルタ等の作製のために顔料濃度を増大させた場合に、有効である。
用いられる界面活性剤としては、特開2003−337424号公報、特開平11−133600号公報に開示されている界面活性剤が、好適なものとして挙げられる。
塗布性を向上するための界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤等が添加される。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレングリコール類、ポリオキシプロピレングリコール類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、ポリオキシプロピレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシプロピレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、モノグリセリドアルキルエステル類などのノニオン系界面活性剤が好ましい。
具体的には、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール類;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシプロピレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリスチリル化エーテル、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−プロピレンポリスチリル化エーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアリールエーテル類;ポリオキシエチレンジラウレート、ポリオキシエチレンジステアレートなどのポリオキシアルキレンジアルキルエステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類などのノニオン系界面活性剤がある。
これらの具体例は例えばアデカプルロニックシリーズ、アデカノールシリーズイ、テトロニックシリーズ(以上ADEKA株製)、エマルゲンシリーズ、レオドールシリーズ(以上花王(株)製)、エレミノールシリーズ、ノニポールシリーズ、オクタポールシリーズ、ドデカポールシリーズ、ニューポールシリーズ(以上三洋化成(株)製)、パイオニンシリーズ(以上竹本油脂(株)製)、ニッサンノニオンシリーズ(以上日本油脂(株)製)などである。これらの市販されているものが適宜使用できる。
好ましいHLB値は8〜20、更に好ましくは10〜17である。
フッ素系界面活性剤としては、末端、主鎖および側鎖の少なくともいずれかの部位にフルオロアルキルまたはフルオロアルキレン基を有する化合物を好適に用いることができる。
具体的市販品としては、例えば、メガファックF142D、同F172、同F173、同F176、同F177、同F183、同780、同781、同R30、同R08(大日本インキ(株)製)、フロラードFC−135、同FC−170C、同FC−430、同FC−431(住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−112、同S−113、同S−131、同S−141、同S−145、同S−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(旭硝子(株)製)、エフトップEF351、同352、同801、同802(JEMCO(株)製)などである。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、トーレシリコーンDC3PA、同DC7PA、同SH11PA、同SH21PA、同SH28PA、同SH29PA、同SH30PA、同SH−190、同SH−193、同SZ−6032、同SF−8428、同DC−57、同DC−190(以上、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)、TSF−4440、TSF−4300、TSF−4445、TSF−4446、TSF−4460、TSF−4452(以上、GE東芝シリコーン(株)製)等を挙げることができる。
これらの界面活性剤は、着色硬化性組成物の100質量部に対して、好ましくは5質量部以下、より好ましくは2質量部以下で用いられる。界面活性剤の量が5質量部以下の場合は、塗布乾燥での表面あれが生じ難く、平滑性が悪化し難くなる。
[溶剤]
本発明の着色硬化性組成物は、溶剤を含有することが好ましい。
用いられる溶剤としては、エステル類、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、アルキルエステル類、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル;3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチルなどの3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類、例えば、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル;2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピルなどの2−オキシプロピオン酸アルキルエステル類、例えば、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル;
ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールn−ブチルエーテルアテセート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテルアセテート、プロピレンカーボネート、ジエチレングリコールモノブチルエ−テルアセテート、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテルアセテート、トリアセチン、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテルアセテート等;並びにエーテル類、例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート等;ケトン類、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等;芳香族炭化水素類、例えば、トルエン、キシレシ等が挙げられる。
上記のうち、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチテルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ブチレングリコールジアセテート等が好適である。溶剤は、一種単独で用いる以外に2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[熱重合成分]
本発明の着色硬化性組成物には、皮膜の強度を上げるために、熱重合成分を含有させることも有効である。熱重合成分としては、エポキシ化合物が好ましい。
エポキシ化合物は、ビスフェノールA型、クレゾールノボラック型、ビフェニル型、脂環式エポキシ化合物などのエポキシ環を分子中に2個以上有する化合物である。
例えば、ビスフェノールA型としては、エポトートYD−115、YD−118T、YD−127、YD−128、YD−134、YD−8125、YD−7011R、ZX−1059、YDF−8170、YDF−170など(以上、東都化成製)、デナコールEX−1101、EX−1102、EX−1103など(以上、ナガセ化成製)、プラクセルGL−61、GL−62、G101、G102(以上、ダイセル化学製)の他に、これらの類似のビスフェノールF型、ビスフェノールS型も挙げることができる。また、Ebecryl3700、3701、600(以上、ダイセルユーシービー製)などのエポキシアクリレートも使用可能である。
クレゾールノボラック型としては、エピクロンN−695など(以上、大日本インキ化学工業製)、エポトートYDPN−638、YDPN−701、YDPN−702、YDPN−703、YDPN−704など(以上、東都化成製)、デナコールEM−125など(以上、ナガセ化成製)、ビフェニル型としては、3,5,3’,5’−テトラメチル−4,4’ジグリシジルビフェニルなど、脂環式エポキシ化合物としては、セロキサイド2021、2081、2083、2085、エポリードGT−301、GT−302、GT−401、GT−403、EHPE−3150(以上、ダイセル化学製)、サントートST−3000、ST−4000、ST−5080、ST−5100など(以上、東都化成製)などを挙げることができる。また、1,1,2,2−テトラキス(p−グリシジルオキシフェニル)エタン、トリス(p−グリシジルオキシフェニル)メタン、トリグリシジルトリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、o−フタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、他に、アミン型エポキシ樹脂であるエポトートYH−434、YH−434L、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の骨格中にダイマー酸を変性したグリシジルエステル等も使用できる。
[その他の添加剤]
本発明の着色硬化性組成物には、更に目的に応じて、公知のレベリング剤、消泡剤、可塑剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防かび剤、帯電防止剤、磁性体、導電材料などを添加してもよい。また、保存時の重合を防止する目的で、熱重合防止剤を添加してもよいし、基板との密着性を向上させるために、密着向上剤を添加することもできる。
前記熱重合防止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。
熱重合防止剤の添加量は、本発明の着色硬化性組成物の全質量に対して約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。
また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で着色感光性組成物層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.5質量%〜約10質量%が好ましい。
前記密着向上剤としては、シラン系カップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。
シラン系カップリング剤としては、例えば、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、アミノシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビスアリルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、フェニルトリメトキシシラン、N−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、(メタクリロキシメチル)メチルジエトキシシラン、(アクリロキシメチル)メチルジメトキシシラン、等が挙げられる。中でも、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、が好ましく、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが最も好ましい。
密着向上剤の添加量は、本発明の着色硬化性組成物の全固形分中、0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましい。
〔着色硬化性組成物の調製〕
本発明の着色硬化性組成物は、(A)顔料を含有する顔料分散液、(B)高酸価バインダー、(C)重合性化合物、(D)重合開始系、及び、必要に応じて他の成分を(好ましくは溶剤と共に)混合し、各種の混合機や分散機を用いて混合分散することによって調製することができる。
なお、混合分散する工程(混合分散工程)は、混練分散とそれに続けて行なう微分散処理とで構成されるのが好ましいが、混練分散を省略することも可能である。また、混練、分散工程に使用する顔料は、前述のように、予めソルトミリング法等によって粒子サイズを微細化しておくことが好ましい。ソルトミリングの方法は特許3130217、特表2003−504480などで公知である。また、ビルドアップ法によって形成した微粒子の顔料も用いることができる。
本発明の着色硬化性組成物の調製方法の一例を以下に示す。
顔料と水溶性有機溶剤と水溶性無機塩類との混合物を、二本ロール、三本ロール、ボールミル、トロンミル、ディスパー、ニーダー、コニーダー、ホモジナイザー、ブレンダー、単軸若しくは2軸の押出機等の混練機を用いて、強い剪断力を与えながら顔料を摩砕した後、この混合物を水中に投入し、攪拌機等でスラリー状とする。次いで、このスラリーをろ過、水洗し、水溶性有機溶剤と水溶性無機塩を除去した後、乾燥し、微細化された顔料が得られる。なお、この顔料を微細化する処理は省くことも可能である。
顔料と分散剤及び/又は顔料誘導体と溶剤とでビーズ分散を行なう。主として、縦型若しくは横型のサンドグラインダー、ピンミル、スリットミル、超音波分散機等を使用し、0.01〜1mmの粒径のガラス、ジルコニア等でできたビーズで微分散処理し、顔料分散液を得る。
なお、混練、分散についての詳細は、T.C.Patton著”Paint Flow and Pigment Dispersion”(1964年 John Wiley and Sons社刊)等に記載されている。
そして、上記のようにして得られた顔料分散液に、(B)高酸価バインダー、(C)重合性化合物、(D)重合開始系、及び任意の成分を添加した後、混合分散工程を経ることによって、本発明の着色硬化性組成物を得ることができる。
<カラーフィルタ、及びその製造方法>
本発明のカラーフィルタは、基板上に、前述の本発明の着色硬化性組成物により形成された着色パターンを有することを特徴とする。
また、本発明のカラーフィルタの製造方法は、基板上に、前述の本発明の着色硬化性組成物を用い、塗布工程、主としてg線及びh線を用いて露光する露光工程、並びにバッチ式現像装置による現像工程をこの順に行うことで着色パターンを形成すること特徴とする。
以下、本発明のカラーフィルタについて、その製造方法(本発明のカラーフィルタの製造方法)を通じて詳述する。
本発明のカラーフィルタの製造方法としては、まず、本発明の着色硬化性組成物を、直接又は他の層を介して基板上に、塗布する。この工程により、基板上に光硬化性の塗布膜が形成された後、この塗布膜に対し、所定のマスクパターンを介して露光を行う。露光後、未硬化部を現像液で現像除去することによって、着色パターンが形成される。このような工程を繰り返すことで、基板上には各色(3色或いは4色)の画素部(着色パターン)が形成され、カラーフィルタを得ることができる。
以下、各工程について詳細に説明する。
(塗布工程)
本工程で、基板上に、本発明の着色硬化性組成物を塗布する工程である。
本工程に用いうる基板としては、例えば、液晶表示素子等に用いられるソーダガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラス及びこれらに透明導電膜を付着させたものや、撮像素子等に用いられる光電変換素子基板、例えばシリコーン基板等や、相補性金属酸化膜半導体(CMOS)等が挙げられる。これらの基板は、各画素を隔離するブラックストライプが形成されている場合もある。
また、これらの基板上には、必要により、上部の層との密着改良、物質の拡散防止或いは、基板表面の平坦化のために下塗り層(他の層)を設けてもよい。
基板上への本発明の着色硬化性組成物の塗布する方法としては、スリットコート法、インクジェット法、回転塗布、流延塗布、ロール塗布、スクリーン印刷法等の各種の塗布方法を適用することができる。
着色硬化性組成物の塗布膜厚(プリベーク処理後)としては、0.1〜10μmが好ましく、0.2〜5μmがより好ましく、0.2〜3μmが更に好ましい。
基板上に形成された塗布膜には、乾燥(プリベーク)が施される。このプリベークは、ホットプレート、オーブン等で50℃〜140℃の温度で10〜300秒で行うことができる。
(露光工程)
本工程では、前記塗布工程にて、基板上に光硬化性の塗布膜が形成された後、この塗布膜に対し、所定のマスクパターンを介して露光を行う。
本工程では、光硬化性の塗布膜に対し、所定のマスクパターンを介して露光を行うことで、光照射された塗布膜部分だけを硬化させることができる。
露光に際して用いることができる放射線としては、主としてg線及びh線が用いられる。ここで、「主としてg線及びh線を用いて露光する」とは、g線及びh線の割合がエネルギー量基準で全体の50%以上であることを意味する。
露光装置としては、このg線及びh線を主として照射しうるものを用いることが好ましい。例えば、超高圧水銀灯において、i線をカットしたものを光源として用いればよい。
露光の際の照射量は5〜1500mJ/cmが好ましく10〜1000mJ/cmがより好ましく、10〜500mJ/cmが最も好ましい。
製造するカラーフィルタが液晶表示素子用である場合は、上記範囲の中で5〜200mJ/cmが好ましく10〜150mJ/cmがより好ましく、10〜100mJ/cmが最も好ましい。また、製造するカラーフィルタが固体撮像素子用である場合は、上記範囲の中で30〜1500mJ/cmが好ましく50〜1000mJ/cmがより好ましく、80〜500mJ/cmが最も好ましい。
(現像工程)
次いで、現像処理を行うことにより、露光工程における未露光部分が現像液に溶出し、光硬化した部分だけが残る。
本発明における現像工程では、バッチ式現像装置が用いられる。まず、このバッチ式現像装置について、図面を参照して、説明する。
図1は、バッチ式現像装置の一例を示す概略模式図である。
図1において、露光工程を経た基板は、供給部から装置内へと搬入され、搬送室、プリウェット室、現像室、搬送室、リンス室、搬送室、エアーナイフ室を順次経て、搬出部から排出される。
ここで、現像室内部の現像液はラインXを経て現像タンクへと移動し、また、現像液タンク中の現像液はラインYを経て現像室内部へと移動する。つまり、このラインX及びラインYにより現像液は現像室と現像液タンクとを循環することとなる。バッチ式現像装置においては、一定時間、新液(未使用の現像液)の供給がなく、このラインX及びラインYを用いた完全な循環式にて現像が行われる。なお、一定時間経過後は、循環していた現像液は全量廃液となり、全液が新たに新液へとバッチごと交換される。
上記のようなバッチ式の現像工程では、一定時間、新液の供給がなされないため、現像処理を行う基板の枚数が増えれば増えるほど、現像液の活性は低下する。
これに対し、現像液の活性の低下に応じて、新液が予備タンクから供給される方式(カスケード式)もある。
バッチ式とカスケード式とを比較すると、同じ枚数の基板を処理した場合、バッチ式の方が現像液の活性の低下が早く起こるため、現像時に処理ムラ(線幅のバラつき、現像残渣の発生など)が発生しやすい。
本発明のカラーフィルタの製造方法では、基板上の光硬化性の塗布膜の形成に着色硬化性組成物を用いており、この塗布膜は未露光部が現像液に対して脱離除去される特徴と有している。そのため、現像工程にバッチ式現像装置を用いた場合であっても、現像液の活性を変化させ難いことから、上記のような現像時の処理ムラの発生を低減させることが可能となり、非常に有効な組合せとなる。
以下、図1に示されるバッチ式現像装置の要部について詳細に説明する。なお、図1は、バッチ式現像装置の一例を示すものであって、本発明に用いるバッチ式現像装置は図中に記載の構成に限定されるものではない。
図1中のプリウェット室は、基板の被現像面が現像液に触れる前に、被現像面を予め水等で湿らせる場所であって、被現像面を湿らせることで、現像むらを防ぐことが可能となる。
次に、図1中の現像室について説明する。この現像室では、現像液を露光工程を経た基板の被現像面に接触させることが必要である。図1中の現像室では、現像液がスプレーから基板の被現像面に向かって供給され、また、このスプレーが揺動する方式が採用されているが、本発明ではこの方式に限定されず、従来公知の如何なる現像方式を使用してもよい。現像方式としては、デイップ方式、シャワー方式、スプレー方式などが挙げられ、これにスウィング方式、スピン方式、超音波方式などを組み合わせてもよい。また、基板を傾斜させて現像することもできる。
また、図1中の現像室中には、水をカーテン状にした区域が設けられている。この区域を基板が通過することで、リンス室での水洗前に余剰の現像液を除去し、現像を停止させることができる。なお、水をカーテン状にした区域の代わりに、空気を高圧でカーテン状に吐出させる区域を設けたり、又は、液切り用ローラーを使う方法などによって、余剰の現像液を除去することもできる。また、現像後の基板を高速で回転させて、余剰の現像液を遠心力で吹き飛ばす方法も可能であり、これらの方法を組み合わせてもよい。
図1中のリンス室では、基板の被現像面及び裏面に、スプレーノズル等を用いて水洗水を噴射して、基板の被現像面に残存する現像液及び未硬化の塗布膜を除去する。
また、図1中のエアーナイフ室では、ドライエアーを基板の被現像面及び裏面に当てることで、当該被現像面及び裏面水分を除去する。なお、エアーナイフの代わりに、スピンドライ、水きりロール等で水分を除去することもできる。
次に、上述のようなバッチ式現像装置を用いた現像工程で用いる現像液について説明する。
現像液としては、本発明の着色硬化性組成物の塗布膜の未硬化部を溶解する一方、硬化部を溶解しないものであれば、いずれのものも用いることができる。具体的には、アルカリ性の水溶液を用いることができる。
現像温度としては、通常20〜30℃であり、現像時間は20〜90秒である。
前記アルカリ性の水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−7−ウンデセン等のアルカリ性化合物を、濃度が0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜1質量%となるように純水で希釈したアルカリ性水溶液が現像液として好ましく使用される。
なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合には、一般に、現像後、純水にて洗浄(リンス)が行われる。
現像工程後、余剰の現像液を洗浄除去し、乾燥を施した後に加熱処理(ポストベーク)を行う。
ポストベークは、硬化を完全なものとするための現像後の加熱処理であり、通常100〜240℃の熱硬化処理を行う。基板がガラス基板又はシリコーン基板の場合は上記温度範囲の中でも200〜240℃が好ましい。
このポストベーク処理は、現像後の塗布膜を、上記条件になるようにホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式或いはバッチ式で行うことができる。
以上説明した、塗布工程、露光工程、及び現像工程(更に、必要により加熱処理)を所望の色相数だけ繰り返すことにより、所望の色相よりなるカラーフィルタ(本発明のカラーフィルタ)が作製される。
<液晶表示素子>
本発明の液晶表示素子は、本発明のカラーフィルタを備えてなるものである。
より具体的には、カラーフィルタの内面側に配向膜を形成し、電極基板と対向させ、間隙部に液晶を満たして密封することにより、本発明の液晶表示素子であるパネルが得られる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその趣旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
[実施例1]
≪赤色硬化性組成物の調製≫
下記RED組成Aの各成分を3000rpmの条件でホモジナイザーを用いて1時間撹拌した。得られた混合溶液を、0.1mmジルコニアビーズを用いたビーズ分散機(商品名:ディスパーマット、GETZMANN社製)にて4時間微分散処理を施し、顔料分散液を得た。
−RED組成A(顔料分散液)−
・C.I.ピグメント・レッド 254 100部
・C.I.ピグメント・レッド 177 40部
・分散剤:EFKA−46(EFKA社製) 14部
・樹脂溶液 60部
(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、モル比:80/10/10、重量平均分子量:10000、溶剤:プロピレングリコールメチルエーテルアセテート60%、樹脂固形分濃度:40%)
・溶剤:プロピレングリコールメチルエーテルアセテート 933部
−RED組成B(着色硬化性組成物)−
・上記RED組成A(顔料分散液) 100部
・エポキシ樹脂(商品名:エピクロンN−695、大日本インキ化学工業製) 2部
・高酸価バインダー 7部
(ベンジルメタクリレート/アクリル酸共重合体=60/40[質量比]、酸価:167、重量平均分子量:9000のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分:50質量%))
・重合性化合物(ペンタエリスリトールトリアクリレート) 4部
・ヘキサアリールビイミダゾール化合物)2,2’−ビス(O−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール) 0.9部
・増感色素(下記構造の特開2008−9323に記載の化合物7) 1.1部
・連鎖移動剤:メルカプトベンズイミダゾール 0.9部
・重合禁止剤:p−メトキシフェノール 0.002部
・フッソ系界面活性剤 0.04部
(商品名:Megafac R30 大日本インキ化学工業製)
・溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 24部
Figure 2010049160
上記RED組成Bを混合撹拌し、赤色硬化性組成物からなる塗布液を得た。
[実施例2]
≪緑色硬化性組成物の調製≫
下記GREEN組成Aの各成分を3000rpmの条件でホモジナイザーを用いて1時間撹拌した。得られた混合溶液を、0.1mmジルコニアビーズを用いたビーズ分散機(商品名:ディスパーマット、GETZMANN社製)にて4時間微分散処理を施し、顔料分散液を得た。
−GREEN組成A(顔料分散液)−
・Pigment Green 36(SEM観察での平均粒子径19nm) 11部
・Pigment Yellow150(SEM観察での平均粒子径22nm) 7部
・フタロシアニン誘導体(ソルスパース5000、日本ルーブリゾール社製) 5部
・分散剤 3部
(商品名:Disperbyk−161、ビックケミー社製 30%溶液)
・アルカリ可溶性樹脂 4部
(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体=75/25[質量比]、酸価:91、重量平均分子量Mw:5000のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分:50質量%))
・溶剤:3−エトキシプロピオン酸メチルエーテルアセテート 70部
−GREEN組成B(着色硬化性組成物)−
・上記GREEN組成A(顔料分散液) 100部
・エポキシ樹脂(商品名:エピクロンN−695、大日本インキ化学工業製) 2部
・高酸価バインダー 5部
(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体=60/40[質量比]共重合体、酸価:160、重量平均分子量Mw:6000のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分:50質量%))
・重合性化合物(ジペンタエリスリトールペンタ・ヘキサアクリレート) 8部
・ヘキサアリールビイミダゾール化合物(2,2’−ビス(O−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール) 1.1部
・増感色素(前記構造の化合物7) 1.4部
・連鎖移動剤(メルカプトベンズイミダゾール) 1.1部
・重合禁止剤(p−メトキシフェノール) 0.004部
・フッソ系界面活性剤 0.04部
(商品名:Megafac F781−F 大日本インキ化学工業製)
・ノニオン系界面活性剤(商品名:パイオニンD6112W 花王製) 0.4部
・溶剤(3−エトキシプロピオン酸メチルエーテルアセテート) 35部
上記GREEN組成Bを混合撹拌し、緑色硬化性組成物からなる塗布液を得た。
[比較例1]
≪赤色硬化性組成物の調製≫
・上記RED組成A(顔料分散液)(顔料濃度15質量%) 150部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 15部
・4−{o−ブロモ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニル)アミノフェニル}2,6−ジ(トリクロロメチル)−S−トリアジン 3.2部
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 8部
(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=70/30(モル比)、酸価:113、重量平均分子量:9,000、50%PGMEA溶液)
・ハイドロキノンモノメチルエーテル 0.005部
・PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 100部
上記組成に従い、実施例1と同様にして比較例1の赤色硬化性組成物を調製した。
[比較例2]
≪赤色硬化性組成物の調製≫
・上記RED組成A(顔料分散液)(顔料濃度15質量%) 150部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 15部
・イルガキュア369 2.4部
・ミヒラーズケトン 0.8部
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 8部
(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=70/30(モル比)、酸価:113、重量平均分子量:9,000、50%PGMEA溶液)
・ハイドロキノンモノメチルエーテル 0.005部
・PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 100部
上記組成に従い、実施例1と同様にして比較例2の赤色硬化性組成物を調製した。
[比較例3]
≪赤色硬化性組成物の調製≫
・上記RED組成A(顔料分散液)(顔料濃度15質量%) 150部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 15部
・2,2’−ビス(O−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール 2.0部
・ミヒラーズケトン 0.6部
・メルカプトベンゾチアゾール 0.6部
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 8部
(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=70/30(モル比)、酸価:113、重量平均分子量:9,000、50%PGMEA溶液)
・ハイドロキノンモノメチルエーテル 0.005部
・PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 100部
上記組成に従い、実施例1と同様にして比較例3の赤色硬化性組成物を調製した。
〔評価〕
<1.塗布工程>
上記のようにして得られた各着色硬化性組成物をレジスト溶液として、550mm×650mmのガラス基板に下記条件でスリット塗布した後、10分間そのままの状態で待機させ、真空乾燥とプレベーク(prebake)(100℃80秒)を施して着色硬化性組成物の塗布膜を形成した。
(スリット塗布条件)
塗布ヘッド先端の開口部の間隙:50μm
塗布速度:100mm/秒
基板と塗布ヘッドとのクリヤランス:150μm
塗布厚(乾燥厚):2μm
塗布温度:23℃
<2.露光、現像>
その後、2.5kwの超高圧水銀灯のi線をカットし、主としてg線及びh線を照射しうる形態としてものを用い、塗布膜を、線幅20μmのテスト用フォトマスクを用いてパターン状に露光した。
露光後、塗布膜の全面を有機系現像液(商品名:CDK−1、(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)の10%水溶液で覆い、90秒間静止した。
<3.加熱処理>
静止後、純水をシャワー状に噴射して現像液を洗い流し、露光及び現像工程が終了した塗布膜を220℃のオーブンにて10分加熱した(ポストベーク)。これにより、ガラス基板上に着色パターンを有するカラーフィルタを得た。
<4−1.gh露光感度の評価>
前述の露光工程において、露光量を200mJ/cmとして露光を行い、その後、現像、及びポストベークを行った。ポストベーク後の着色パターンについて光学顕微鏡およびSEM写真観察により通常の方法で確認し、パターン欠陥が発生しているか否かを観察し、gh露光感度の指標とした。
評価基準は以下の通りである。
○:パターン欠損がまったく観察されなかった。
×:パターン欠損が著しく観察された。
<4−2.現像液劣化の評価>
使用後の現像液を用いた現像工程を経た場合の現像性について、露光工程において、光が照射されなかった領域(未露光部)の残渣の有無を、光学顕微鏡およびSEM写真観察により通常の方法で観察し、未使用の現像液での結果と比較し、残渣発生変化の有無にて現像液劣化を評価した。ここで、使用後の現像液とは、例えば、現像液量が170Lである場合に、550mm×650mmの基板上に、前記<1.塗布工程>のような着色硬化性組成物の塗布膜を形成してなるものを、30枚を処理した程度の液をいう。
評価基準は以下の通りである。
○:現像液劣化がない
×:現像液劣化がある
現像に使用した現像液(即ち、使用後の現像液)を再び使用して現像した際に、未使用の現像液では発生の無かった箇所での残渣(現像遅延)発生の有無にて現像液劣化を評価した。使用後の現像液にて残渣(現像遅延)が発生していないものは現像液劣化がない、残渣(現像遅延)が発生しているものについては現像液劣化があるという基準に基づいて評価を行った。
<4−3.線幅バラつきの評価>
上記の使用後の現像液を用いた現像工程を経て得られたカラーフィルタの着色パターンのパターン線幅について、光学顕微鏡観察により基板内の10点を計測した。
評価基準は以下のとおりである。
○:10点すべての線幅が20μ±1μmの範囲内である。
×:1点以上の線幅が20μ±1μmの範囲内にない。
上述の評価結果を下記表1に示す。
Figure 2010049160
上記表1に明らかなように、(A)〜(D)成分を含む実施例1及び実施例2の着色硬化性組成物は、g線及びh線の露光感度が高く、また、現像液を劣化させ難いことが分かる。また、実施例1及び実施例2の着色硬化性組成物を用いて得られたカラーフィルタでは、着色パターンのパターン線幅のバラつきがないことが分かる。
本発明に適用しうるバッチ式現像装置の一例を示す概略模式図である。

Claims (5)

  1. (A)顔料と、(B)酸価が150〜200mgKOH/gのバインダーポリマーと、(C)重合性化合物と、(D)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、増感色素、及び連鎖移動剤を含む重合開始系と、を含有することを特徴とする着色硬化性組成物。
  2. 前記(D)重合開始系において、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、増感色素、及び連鎖移動剤の含有比率が、ヘキサアリールビイミダゾール化合物/増感色素/連鎖移動剤=20〜40/30〜60/20〜40(質量比)であることを特徴とする請求項1に記載の着色硬化性組成物。
  3. 基板上に、請求項1又は請求項2に記載の着色硬化性組成物を用いて形成されたパターンを有することを特徴とするカラーフィルタ。
  4. 基板上に、請求項1又は請求項2に記載の着色硬化性組成物を用い、塗布工程、主としてg線及びh線を用いて露光する露光工程、並びにバッチ式現像装置による現像工程をこの順に行うことで着色パターンを形成することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
  5. 請求項3に記載のカラーフィルタを搭載することを特徴とする液晶表示素子。
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