JP2010048730A - 欠陥検査方法及びその装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】被検査対象物上の欠陥を検査する欠陥検査方法であって、前記被検査対象物を所定の光学条件で照射して前記被検査対象物のパターンの画像データを取得する工程と、前記画像データから算出される特徴量に基づいて形成されるしきい値面関数のパラメータを決定する工程と、前記パラメータに基づいて形成された前記しきい値面関数を用いて、前記被検査対象物上の欠陥を検出する工程と、を有し、前記パラメータを決定する工程では、任意のパラメータを設定した前記しきい値面関数を用いて前記被検査対象物上の欠陥候補を抽出する工程と、前記工程により抽出された前記欠陥候補に関する欠陥情報の教示に基づき、前記しきい値面関数のパラメータを自動的に更新する工程と、を有することを特徴とする欠陥検査方法。
【選択図】図1
Description
従来の欠陥検査では、周辺回路部20−2は隣接するチップの対応する位置、例えば図2(a)の領域22と領域23等での画像の明るさ(輝度値)を比較し、その差がしきい値よりも大きい部分を欠陥として検出する。以下、このような検査をチップ比較と記載する。メモリマット部20−1はメモリマット部内の隣接するセルの画像の明るさを比較し、同様にその差がしきい値よりも大きい部分を欠陥として検出する。以下、このような検査をセル比較と記載する。
また、膜厚の違いによる明るさの違いは、図2に示した配列チップのうち、ウェハ内の特定チップ間でのみ生じる場合や、チップ内の特定のパターンでのみ生じる場合があるが、これらのローカルなエリアにしきい値を合わせてしまうと全体の検査感度を著しく低下させることになる。さらに、ローカルなエリア毎の明るさの違いに応じてしきい値を設定するのは、操作が煩雑となり、ユーザにとって好ましくない。
また、感度を阻害する要因として、パターンの太さのばらつきを起因とするチップ間の明るさの違いがある。従来の明るさによる比較検査では、このような明るさばらつきがある場合、検査時のノイズとなる。
(1)被検査対象物上の欠陥を検査する欠陥検査方法であって、前記被検査対象物を所定の光学条件で照射して前記被検査対象物のパターンの画像データを取得する工程と、前記画像データから算出される特徴量に基づいて形成されるしきい値面関数のパラメータを決定する工程と、前記パラメータを決定する工程により決定されたパラメータに基づいて形成された前記しきい値面関数を用いて、前記被検査対象物上の欠陥を検出する工程と、を有し、前記パラメータを決定する工程では、任意のパラメータを設定した前記しきい値面関数を用いて前記被検査対象物上の欠陥候補を抽出する工程と、前記欠陥候補を抽出する工程により抽出された前記欠陥候補に関する欠陥情報の教示に基づき、前記しきい値面関数のパラメータを自動的に更新する工程と、を有することを特徴とする欠陥検査方法である。
(2)(1)記載の欠陥検査方法であって、前記パラメータを自動的に更新する工程では、前記欠陥候補が非欠陥であることのみを教示して、前記しきい値面関数のパラメータを自動的に更新することを特徴とする欠陥検査方法である。
散乱光3aおよび3bは、各々照明部15aおよび15bに対応して発生する散乱光分布を指す。照明部15aによる照明光の光学条件と照明部15bによる照明光の光学条件が異なれば、各々によって発生する散乱光3aと散乱光3bは互いに異なる。本明細書において、ある照明光によって発生した散乱光の光学的性質およびその特徴を、その散乱光の散乱光分布と呼ぶ。散乱光分布とは、より具体的には、散乱光の出射位置・出射方位・出射角度に対する、強度・振幅・位相・偏光・波長・コヒーレンシ等の光学パラメータ値の分布を指す。
本発明に係る検査装置は、検査対象物(半導体ウエハ11)に対して照明光を斜方から照射する複数の照明部15a,15bと、半導体ウエハ11からの垂直方向への散乱光を結像させる検出光学系(上方検出系)16と、結像された光学像を受光し、画像信号に変換する検出部17と、得られた画像信号を格納するメモリ2と、画像処理部18と、全体制御部19とを適宜含んで構成される。半導体ウエハ11はXY平面内の移動及び回転とZ方向への移動が可能なステージ(X-Y-Z-θステージ)12に搭載され、X-Y-Z-θステージ12はメカニカルコントローラ13により駆動される。このとき、半導体ウエハ11をX-Y-Z-θステージ12に搭載し、該X-Y-Z-θステージ12を水平方向に移動させながら被検査対象物上の異物からの散乱光を検出することで、検出結果を二次元画像として得る。
照明部15a,15bの照明光源は、レーザを用いても、ランプを用いてもよい。また、照明光源の波長の光は短波長であってもよく、また、広帯域の波長の光(白色光)であってもよい。短波長の光を用いる場合、検出する画像の分解能を上げる(微細な欠陥を検出する)ために、紫外領域の波長の光(Ultra Violet Light:UV光)を用いることもできる。レーザを光源として用いる場合、それが単波長のレーザである場合には、可干渉性を低減する手段(図示していない)を照明部15a,15bに備えることも可能である。
ここで、被検査対象物である半導体ウエハ11は、図2に示すように、メモリマット部20−1と周辺回路部20−2を有する同一パターンのチップ20が多数、規則的に並んでいる。全体制御部19では半導体ウエハ11をX-Y-Z-θステージ12により連続的に移動させ、これに同期して、順次、チップの像を検出部17より取り込み、検出画像に対し、規則的に配列されたチップの同じ位置、例えば図2(a)の検出画像の領域23に対し、領域21、22、24、25のデジタル画像信号を参照画像とし、検出画像と参照画像との間で特徴量を比較し、欠陥を抽出する。
半導体ウエハ11は前述の通り同一パターンが規則的に形成されており、図2(a)に示した領域21乃至25の画像は本来、同一であるべきだが、実際には画像間で明るさが異なっている。図4では、検出画像41、参照画像42およびこれらの画像の差について説明する。検出画像41と参照画像42との差画像43は、検出画像41と隣接するチップの対応する領域の参照画像42の明るさの差を表している。明るさの差が大きい画素ほど明るく表される。半導体ウエハ11は多層膜でできており、チップ間の膜厚の違いに起因して、画像間には大きな明るさの違いが生じているが、これは正常であって検出する必要はない。すなわち、正常パターンノイズである。従来の比較検査は対応する画素間で明るさを比較し、輝度差があらかじめ設定されたしきい値より大きい画素を欠陥候補として検出するが、差画像43のような検出する必要のないノイズを検出しないようにしきい値を高く設定すると、輝度差の小さい欠陥を見逃してしまう。
このため、本発明では、明るさの差だけでは判別できない欠陥と正常パターンノイズについて、図5(b)に示すように、複数の特徴量A,B,Cを用い、多次元特徴空間において、多角形しきい値面関数56からはずれる画素を欠陥とすることにより、ノイズを抑制し、欠陥のみを検出可能とする。ここで、多次元特徴空間において、はずれ画素を特定するためのしきい値面関数は、図5(b)の多角形しきい値面関数56のように正常パターンノイズを包含するように設定する必要がある。また、多角形しきい値面関数56設定の基準となる微小欠陥はノイズに埋没しており、欠陥の出方を確認しながらしきい値を手動で設定するのも困難である。そこで、本発明では、大多数を占め、特定しやすい正常パターン領域や正常パターンノイズを教示することにより、欠陥を検出するための多角形しきい値面関数56を自動生成する。以下にその処理の流れを説明する。
まず検査対象となる検出画像31と対応する参照画像32(ここでは、隣接するチップの像として図2の22を用いる。)間の位置ずれ量を検出し、位置合わせを行う(step303)。位置ずれ量の検出は一方の画像をずらしながら、他方の画像との間で輝度差の二乗和が最小になるずれ量を求める、もしくは、正規化相関係数が最大となるずれ量を求める方法等が一般的である。
次に、位置合わせを行った検出画像31の各画素に対して、参照画像32の対応する画素との間で特徴量を演算する(step304)。特徴量は、その画素の特徴を表すものであればよい。その一例としては、(1)明るさ、(2)コントラスト、(3)濃淡差、(4)近傍画素の明るさ分散値、(5)相関係数、(6)近傍画素との明るさの増減、(7)2次微分値等がある。これらの特徴量の一例は、検出画像の各点の明るさをf(x,y)、対応する参照画像の明るさをg(x,y)とすると以下の式で表される。
明るさ; f(x,y)、もしくは {f(x,y)+g(x,y)}/2 (式1)
コントラスト;max{f(x,y)、f(x+1,y)、f(x,y+1)、f(x+1,y+1)}−
min{f(x,y)、f(x+1,y)、f(x,y+1)、f(x+1,y+1)} (式2)
濃淡差; f(x,y)−g(x,y) (式3)
分散; [Σ{f(x+i,y+j)2}−{Σf(x+i,y+j)}2/M]/(M-1) i、j=-1,0,1 M=9 (式4)
特徴量としては、上記(1)〜(7)の他に様々なノイズや欠陥種の特性を表すものを用いることができる。
そして、これらの特徴量のうち、いくつか、あるいは全ての特徴量を軸とする空間に各画素をプロットすることにより特徴空間を形成する(step305)。この特徴空間上に(後述する)任意のパラメータを設定したしきい値面関数を形成し(step306)、特徴空間を構成する各画素のうちしきい値面関数の外側にプロットされる画素、すなわち特徴的にはずれ値となる画素を欠陥候補として検出する(step307)。
ここで、半導体ウエハ11の画像は図3に示したX-Y-Z-θステージ12の移動に伴い連続的に得られるため、特定単位の小画像に分割して、欠陥候補検出処理を行う。このため、欠陥候補検出部18−2は複数のプロセッサで構成される。そして、分割した各チップの対応する位置の小画像のセットを同一プロセッサに入力し、各プロセッサは並列に処理を実行する。
まず、しきい値面関数の設定に用いる検査チップを設定する(step71)。しきい値面関数設定の際は、処理時間短縮のために被検査対象領域(図7(a)の黒塗り部分)を限定してもよいし、しきい値面関数の高精度化のために領域限定をせずに全チップ(半導体ウエハの全面)を検査対象としてもよい。
次に適当なしきい値面関数のパラメータ若しくはデフォルトで設定してあるしきい値面関数のパラメータで、検査対象物71について図6で示した欠陥候補検出処理を実行する(step72)。ここで、欠陥候補の検出は単なる明るさの比較による処理でも構わない。これをテスト検査と呼ぶ。
ユーザはテスト検査で検出した欠陥候補の像を観察し、欠陥か非欠陥かを確認する(step73)。確認は、本発明による装置の照明光学系で得られる像でもよいし、電子線による像といった別の検出系によるものでもよく、欠陥と非欠陥の区別がつくものならいずれでもよい。また、本発明では、欠陥候補検出処理を実行すると、検出画像より欠陥候補となる画素とその周辺部の小画像、及び参照画像より対応する位置の小画像がセットで切り出され、欠陥候補画像として、保存されるので、その像を確認してもよい。そして、確認した欠陥候補に基づく欠陥情報を教示する(step74)。ここで欠陥情報とは、欠陥候補として抽出された画素が、非欠陥又は欠陥のいずれであるかの情報であり、ユーザは任意個の欠陥候補についてそれが欠陥であるか非欠陥であるかを欠陥情報とした教示データを教示する。
教示データに基づき、非欠陥を検出しないようなしきい値面関数の演算を自動的に実行させ(step75)、演算されたしきい値面関数を用いて、被検査対象物について図6で示した欠陥候補検出処理(テスト検査)を実行する(step76)。
適当なパラメータで欠陥候補検出処理を行うと、検出される欠陥候補の大半が非欠陥である可能性が高いため、基本的には非欠陥のみを指定するが、欠陥が含まれていれば、欠陥を教示することも可能である。検出される欠陥候補に対し、step73乃至step76を非欠陥が欠陥候補として検出されなくなるまで繰返し、パラメータを自動的に更新することで、しきい値面関数のパラメータが決定する。そして、決定したパラメータに基づいて形成されたしきい値面関数を用いて、全チップ(半導体ウエハ全面)に対し欠陥候補検出処理を行う(step77)。
画面81は、半導体ウエハ上の欠陥候補の位置を示す欠陥マップ82、検出された欠陥候補の寸法等、全ての特徴量等を表示する欠陥リスト83、欠陥マップ82又は欠陥リスト83から選択した欠陥候補画像(欠陥部、参照部、差画像等)とその特徴量を表示する個々の欠陥表示画面84、別の照明光学系による観察像表示画面85、各欠陥候補が非欠陥(正常)であるか欠陥であるかを教示する教示ボタン86、しきい値面関数を自動的に更新するしきい値面関数設定ボタン87を適宜有して構成される。
欠陥マップ82では、テスト検査の被検査対象物が明るく示され(ここでは中央の5チップ)、検出された欠陥がその上にプロットされる。個々の欠陥表示画面84は、欠陥マップ82、もしくは欠陥リスト83上の欠陥を個々にマウスで指定することで欠陥候補画像(欠陥部、参照部、差画像等)とその特徴量が表示される。教示ボタン86は、ユーザが個々の欠陥候補画面84、別照明光学系による観察像表示画面85を観察しながら、欠陥候補が欠陥か非欠陥かの教示を行う際に用いる。また、画面88は、ユーザが教示ボタン86をマウスで選択し、順次、欠陥候補を指定し欠陥か非欠陥を数点から数十点の欠陥について、順次教示する際に用いる。教示が終了した時点で、しきい値面関数設定ボタン87を選択すると、しきい値面関数の演算を行う。
また、非欠陥画素の特徴がパラメトリックな分布モデルを仮定できない場合の一例としては、1クラスSVM(Support Vector Machine)の手法等を適用することもできる。これは、教示された非欠陥画素からなる特徴空間を、密度空間に写像する。そして、密度空間の原点と非欠陥画素の分布を分離する最大マージンを持つ超平面をしきい値面関数とする識別関数φを計算する(式は省略)。
以上のような識別関数を算出することにより、特徴空間において、教示された非欠陥画素の分布を囲む包絡線をしきい値面関数として算出する。図7で説明したとおり、非欠陥画素の教示を追加していくことにより、しきい値面関数のパラメータは更新される。ユーザは非欠陥が欠陥候補として検出されなくなるまで教示によるしきい値面関数のパラメータの更新を繰り返す。テスト検査で、所望の欠陥が見つかった場合には、図8の画面88のメニューにおいて、欠陥と教示してもよい。なお、これらの教示は図3に示す教示データ設定部18−5を介して行われる。
更に本発明では、図1の欠陥候補検出部18−2において、検出する様々な種類の欠陥候補の中から、所望の欠陥種のみを抽出することも可能である。装置の高感度化が進むと検出される欠陥数、欠陥種も膨大になり、ユーザが真に見つけたい欠陥が大量の不要な欠陥に埋没して見つけられない可能性が出てくる。このため、大量に検出される不要な欠陥を不要(非欠陥)と教示することにより、それ以外のもの、すなわち、真に必要な欠陥を抽出する。本処理を図3で示した欠陥抽出部18−3で行う。
ユーザは、検出された欠陥候補画像を任意個(数点)観察し、非欠陥画素を教示する(step92)。教示の仕方は図8に示した通りである。ここでも欠陥と非欠陥の両方を教示してもよい。欠陥抽出部18−3では、非欠陥と教示された欠陥候補画像から、これらを検出しないためのしきい値面関数を設定する(step93)。そして、検出された全欠陥候補に対して、特徴量を算出し(step94)、各欠陥候補が特徴空間上で、算出されたしきい値面関数の内側にある(すなわち非欠陥である)か、しきい値面関数の外側にある(すなわち欠陥である)か、を判定し(step95)、外側にあるもののみを抽出して、全体制御部19へ出力し、最終的な検査結果としてマップ表示する(step96)。
演算方法は、上述の式5、6に従ってもよいし、1クラスSVMに従うことも可能である。欠陥抽出部18−3のしきい値面関数の設定は、図7で示したテスト検査による欠陥候補検出部のしきい値面設定と同じタイミングで行ってもよく、図7のstep77の全チップ(全面)検査後には、ユーザ所望の欠陥のみが検出される。また、欠陥候補の全画像を保存すれば、全チップ検査の結果を見ながら、欠陥候補の教示を追加し、しきい値面関数を高精度に設定し直し、欠陥抽出部18−3の欠陥抽出処理をチューニングすることも可能である。
ここで、図1で示した欠陥抽出部18−3において、欠陥候補画像から特徴量の演算を行い、欠陥抽出を行う例を述べたが、欠陥候補検出部18−2にて、欠陥候補を抽出する際に全ての特徴量をあらかじめ算出して保持しておき、欠陥抽出部18−3では、それらの特徴量を用いて欠陥抽出を行うことも可能である。また、欠陥抽出部18−3は複数のプロセッサで構成され、欠陥候補画像に対する欠陥か非欠陥かの判定を並列で実行する。
ここで、検出光学系16と検出光学系130の画像が時系列に撮像されたものであれば、検出画像161aと161bの位置ずれ量も同様に算出する(step1603)。そして、検出光学系16と130の画像の位置関係を加味して、対象画素の特徴量全て、あるいは、いくつかを選択し、特徴空間を形成する(step1604)。特徴量は前述の(1)明るさ、(2)コントラスト、(3)濃淡差、(4)近傍画素の明るさ分散値、(5)相関係数、(6)近傍画素との明るさの増減、(7)2次微分値等を、それぞれの画像のセットから算出する。加えて、各画像の明るさそのもの(検出画像161a、参照画像161a’、検出画像161b、参照画像161b’)も特徴量とする。また、各検出系の画像を統合して、例えば、検出画像161aと161b、参照画像161a’と161b’の平均値から(1)〜(7)の特徴量を求める等でも構わない。ここで、特徴量として、検出画像161aと参照画像161a’で算出した明るさ平均Baと、検出画像161bと参照画像161b’で算出した明るさ平均Bbの2つを選択する例を説明する。検出画像161aに対する検出画像161bの位置のずれが(x1、y1)であった場合、検出光学系16から算出した各画素(x,y)の特徴量 Ba(x,y)に対する、検出光学系130から算出した特徴量はBb(x+x1,y+y1)である。このため、特徴空間は、X値をBa(x,y)、Y値をBb(x+x1,y+y1)として、 2次元空間に教示された全画素の値をプロットして生成する。そして、この2次元空間内で教示データの分布を囲むしきい値面関数を演算する(step1605)。
上記に説明したように、本発明では異なる検出光学系で受光して得られた複数の画像信号を1つのプロセッサに入力し、欠陥判定処理を行う。2つの異なる検出光学系の画像は当然のことながら散乱光の分布状態が異なり、処理をして検出される欠陥種も一部で異なるため、異なる検出光学系から得られた情報を統合して欠陥の検出を行うことにより、より多様な欠陥種の顕在化が可能となる。
以上のように、本発明の各実施例で説明した検査装置によれば、画像処理部による欠陥判定処理は、欠陥候補検出部と、欠陥抽出部とを適宜有し、それぞれが複数のプロセッサで構成され、並列処理を行う。欠陥候補検出部は、ユーザがテスト検査時に、比較的入手の容易な非欠陥を教示すると、教示されたデータと特徴的に異なる画素を検出する。これにより、複雑な条件設定を必要とせずに、複数の特徴量を用いた高精度な欠陥候補の検出が可能となる。また、同一の繰返しパターンで形成されるメモリマット部の一部を正常領域と教示すると、メモリマット部における特徴的なはずれ画素を検出する。これにより、膜厚の違いによる見え方が他のチップとは大きく異なるウェハの端のチップにある欠陥や、各チップの同じ位置に発生するシステマティック欠陥といった、チップの比較では検出困難な欠陥の検出が可能となる。
また、検出された欠陥候補から、不要な欠陥をユーザが教示すると、教示された欠陥候補と特徴的に異なる欠陥候補のみを抽出する。これにより、複雑な条件設定を必要とせずに、不要な欠陥に埋没したユーザが所望する重要欠陥を抽出することが可能となる。
これらの処理は、複数の異なる検出光学系の画像を統合して実行することも可能である。これにより、多様な欠陥を高感度に検出することが可能となる。チップの比較による欠陥判定処理として、本例では、参照画像は隣接するチップの画像(図2の領域22)として、比較検査を行う例を示したが、参照画像は、複数のチップ(図2の領域21、領域22、領域24、領域25)の平均値等から1つ生成するのもかまわないし、領域23と領域21、領域23と領域22、・・・、領域23と領域25といったように1対1の比較を複数領域で行い、全ての比較結果を統計的に処理し、欠陥を検出することも本方式の発明の範囲である。
また、CMP等平坦化プロセス後のパターンの膜厚の微妙な違いや、照明光の短波長化により比較するチップ間に大きな明るさの違いがあっても、本発明により、20nm〜90nm欠陥の検出が可能となる。
さらに、SiO2をはじめ、SiOF、BSG、SiOB、多孔質シリア膜、等の無機絶縁膜や、メチル基含有SiO2、MSQ、ポリイミド系膜、パレリン系膜、テフロン(登録商標)系膜、アモルファスカーボン膜等の有機絶縁膜といったlow k膜の検査において、屈折率分布の膜内ばらつきによる局所的な明るさの違いがあっても、本発明により、20nm〜90nm欠陥の検出が可能となる。
検査対象は半導体ウエハに限られるわけではなく、画像の比較により欠陥検出が行われているものであれば、例えばTFT基板、ホトマスク、プリント板等でも適用可能である。
Claims (10)
- 被検査対象物上の欠陥を検査する欠陥検査方法であって、
前記被検査対象物を所定の光学条件で照射して前記被検査対象物のパターンの画像データを取得する工程と、
前記画像データから算出される特徴量に基づいて形成されるしきい値面関数のパラメータを決定する工程と、
前記パラメータを決定する工程により決定されたパラメータに基づいて形成された前記しきい値面関数を用いて、前記被検査対象物上の欠陥を検出する工程と、
を有し、
前記パラメータを決定する工程では、
任意のパラメータを設定した前記しきい値面関数を用いて前記被検査対象物上の欠陥候補を抽出する工程と、
前記欠陥候補を抽出する工程により抽出された前記欠陥候補に関する欠陥情報の教示に基づき、前記しきい値面関数のパラメータを自動的に更新する工程と、
を有することを特徴とする欠陥検査方法。 - 請求項1記載の欠陥検査方法であって、
前記パラメータを自動的に更新する工程では、前記欠陥候補が非欠陥であることのみを教示して、前記しきい値面関数のパラメータを自動的に更新することを特徴とする欠陥検査方法。 - 請求項1記載の欠陥検査方法であって、
前記パラメータを自動的に更新する工程では、前記欠陥候補が非欠陥又は欠陥のいずれであるかを教示して、前記しきい値面関数のパラメータを自動的に更新することを特徴とする欠陥検査方法。 - 請求項1乃至3のいずれかに記載の欠陥検査方法であって、
前記パラメータを自動的に更新する工程では、非欠陥であると教示された前記欠陥候補を包含するように前記しきい値面関数のパラメータを更新することを特徴とする欠陥検査方法。 - 請求項1乃至4のいずれかに記載の欠陥検査方法であって、
前記欠陥候補を抽出する工程では、前記画像データから算出される特徴量が、前記しきい値面関数の内側又は外側のいずれの側に存在するかにより、欠陥候補を抽出することを特徴とする欠陥検査方法。 - 請求項1乃至5のいずれかに記載の欠陥検査方法であって、
前記パラメータを決定する工程では、前記欠陥候補を抽出する工程と前記パラメータを自動的に更新する工程とを繰り返すことにより、前記しきい値面関数のパラメータを決定することを特徴とする欠陥検査方法。 - 請求項1乃至6のいずれかに記載の欠陥検査方法であって、
前記パラメータを決定する工程では、複数種の特徴量に基づいて前記パラメータを決定することを特徴とする欠陥検査方法。 - 請求項7記載の欠陥検査方法であって、
前記パラメータを決定する工程では、ユーザが任意に設定した前記複数種の特徴量に基づいてパラメータを決定することを特徴とする欠陥検査方法。 - 被検査対象物上の欠陥を検査する欠陥検査方法であって、
前記被検査対象物を所定の光学条件で照射して前記被検査対象物のパターンの画像データを取得する工程と、
前記画像データから算出される特徴量に基づいて形成される第一しきい値面関数のパラメータを決定する工程と、
前記第一しきい値面関数のパラメータを決定する工程により決定されたパラメータに基づいて形成された前記第一しきい値面関数を用いて、前記被検査対象物上の全面の欠陥候補を検出する全面検査工程と、
前記全面検査工程により検出された前記欠陥候補の近傍画素データから算出される特徴量に基づいて形成される第二しきい値面関数のパラメータを決定する工程と、
前記第二しきい値面関数のパラメータを決定する工程により決定されたパラメータに基づいて形成された前記第二しきい値面関数を用いて、前記欠陥候補のうち、所望の欠陥のみを抽出して前記被検査対象物上の欠陥を検査する工程とを有し、
前記第一しきい値面関数のパラメータを決定する工程では、
任意のパラメータを設定した第一しきい値面関数を用いて前記被検査対象物上の欠陥候補を検出する工程と、
前記欠陥候補を検出する工程により検出された欠陥候補に関する欠陥情報の教示に基づき前記第一しきい値面関数のパラメータを自動的に更新する工程とを有し、
前記第二しきい値面関数のパラメータを決定する工程では、
任意のパラメータを設定した第二しきい値面関数を用いて、前記欠陥候補から非欠陥以外のものを欠陥として抽出する工程と、
前記欠陥候補から欠陥を抽出する工程とにより抽出された欠陥に関する欠陥情報の教示に基づき前記第二しきい値面関数のパラメータを自動的に更新する工程とを有することを特徴とする欠陥検査方法。 - 被検査対象物上の欠陥を検査する欠陥検査装置であって、
所定の照明条件で前記被検査対象物を照射する照明部と、
前記被検査対象物からの散乱光を検出する検出光学系と、
前記検出光学系で検出された散乱光に基づく画像信号から算出される特徴量に基づいて形成されるしきい値面関数のパラメータを決定し、前記決定されたパラメータに基づいて形成された前記しきい値面関数を用いて前記被検査対象物上の欠陥を検出する画像処理部とを有し、
前記画像処理部は、
任意のパラメータを設定した前記しきい値面関数を用いて前記被検査対象物上の欠陥候補を抽出し、前記欠陥候補に関する欠陥情報の教示に基づき、前記しきい値面関数のパラメータを自動的に更新して前記しきい値面関数のパラメータを決定する欠陥候補検出部を有することを特徴とする欠陥検査装置。
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