JP2010048291A - トルクコンバータ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】このトルクコンバータは、ステータブレーキ8と、油圧作動式のロックアップクラッチ10と、を備えている。ステータブレーキ8はステータ7の回転を制動する。また、ステータブレーキ8に冷却油を供給するステータブレーキ冷却油供給回路9が設けられ、さらに、ブレーキ冷却油供給回路9とは独立して設けられ、ロックアップクラッチに作動油を供給するロックアップ作動油供給回路11が設けられている。
【選択図】図1
Description
図1は本発明の一実施形態が採用されたトルクコンバータ1の縦断面図である。トルクコンバータ1は、エンジンのクランクシャフトからトランスミッションの入力シャフト2にトルクを伝達するための装置である。図1の左側に図示しないエンジンが配置され、図1の右側に図示しないトランスミッションが配置されている。図1に示すO−Oがトルクコンバータ1の回転軸である。
フロントカバー4は、円板状の部材であって、内周端にはセンターボス14が溶接により固定されている。センターボス14は、軸方向に延びる円筒形状の部材であり、クランクシャフト(図示せず)の中心孔内に挿入されるものである。
インペラー5は、主に、インペラーシェル18と、その内側に固定された複数のインペラーブレード19と、インペラーシェル18の内周部に固定されたインペラーハブ20と、から構成されている。そして、インペラーシェル18の外周側先端部が、前述のように、フロントカバー4に溶接されている。また、インペラーハブ20はトランスミッション側に延びる筒状部を有している。
タービン6は流体室内でインペラー5に対して軸方向に対向して配置されている。タービン6は、主に、タービンシェル22と、そのインペラー側の面に固定された複数のタービンブレード23と、タービンシェル22の内周縁に固定されたタービンハブ24と、から構成されている。タービンシェル22とタービンハブ24とは複数のリベット25によって固定されている。
ステータ7は、インペラー5の内周部とタービン6の内周部との間に配置され、タービン6からインペラー5に戻る作動油の流れを整流するための機構である。ステータ7は樹脂やアルミ合金等で鋳造により一体に形成されている。ステータ7は、主に、環状のステータシェル30と、ステータシェル30の外周面に設けられた複数のステータブレード31と、を有している。ステータシェル30は、ステータブレーキ8を介して筒状の固定シャフト33に支持されている。固定シャフト33は入力シャフト2の外周面とインペラーハブ20の内周面との間を延びて形成されている。
ステータブレーキ8は、ステータ7の内周側に配置されており、ステータ7の回転を制動するためのものである。このステータブレーキ8は、油圧作動式のクラッチブレーキであって、図2に詳細に示すように、ブレーキケース35と、ブレーキケース35の内部に配置された多板型のブレーキディスク部36と、ブレーキディスク部36を押圧するピストン37と、ブレーキディスク部36の内周側に配置されて固定シャフト33に連結されたブレーキ固定部材38と、を有している。
ブレーキケース35は、図2に示すように、円板状の縦壁部35aと、縦壁部35aの外周部からトランスミッション側に延びて形成された外筒状部35bと、縦壁部35aの内周部からトランスミッション側に延びて形成された内筒状部35cと、を備えている。
ブレーキディスク部36は、軸方向に互いに交互に配置されたそれぞれ複数のドリブンプレート48(この例では4枚)及びディスク49(この例では3枚)を有している。
ピストン37はブレーキディスク部36のドリブンプレート48及びディスク49を互いに押圧するための押圧部37aを外周部に有している。この押圧部37aには作動油(冷却用潤滑油)を外周側に逃がすための溝が半径方向に沿って形成されている。また、ピストン37の内周部には、軸方向においてトランスミッション側に延びる筒状の支持部37bが形成されている。この支持部37bはブレーキケース35の内筒状部35cの外周面に軸方向に移動自在に支持されている。なお、ピストン37とブレーキケース35との間は、ピストンの外周部及びブレーキケース35の内筒状部35cの外周部に設けられた2つのシール部材によりシールされている。
ブレーキ固定部材38は、円板状の縦壁部38aと、縦壁部38aの外周部から軸方向においてエンジン側に延びる外筒状部38bと、縦壁部38aの内周部から軸方向においてトランスミッション側に延びる内筒状部38cと、を有している。
ロックアップクラッチ10は、油圧作動式で多板型のクラッチであり、フロントカバー4とタービン6との間に配置され、フロントカバー4からタービン6に動力を直接伝達するものである。このロックアップクラッチ10は、図1から明らかなように、径方向においてステータブレーキ8とずれた位置に配置されており、横方向に並べて配置されているわけではない。このような配置によって、互いに干渉を避けることができ、軸方向寸法の短縮化が図られている。また、ロックアップクラッチ10は、図3に示すように、入力側部材54と、クラッチ部55と、ピストン56と、ピストン56を支持する支持部材57と、出力側部材58と、出力側部材58からの出力を受けるダンパー部59と、を有している。
入力側部材54は、回転軸と同軸の中心軸を有する筒状の部材であって、一端がフロントカバー4に溶接等によって固定されている。また、入力側部材54には軸方向に延びる複数のスリットが形成されている。
クラッチ部55は、軸方向に互いに交互に配置されたそれぞれ複数のドリブンプレート62(この例では3枚)及びクラッチディスク63(この例では2枚)を有している。ドリブンプレート62は、外周部に複数の歯が形成されたリング状の部材であり、この外周部に形成された歯が入力側部材54のスリットに軸方向に移動自在に噛み合っている。なお、3枚のドリブンプレート62のうち、もっともトランスミッション側に配置されているドリブンプレートは他のドリブンプレートに比較して厚みが厚く形成されており、他の2枚のドリブンプレートについては同じ厚みに形成されている。クラッチディスク63は両面に摩擦部材であるフェーシングが貼付されたリング状の部材である。このクラッチディスク63の内周部には、複数の歯が形成されている。
ピストン56はクラッチ部55のドリブンプレート62及びクラッチディスク63を互いに押圧するための押圧部56aを外周部に有している。また、ピストン56の内周部には、軸方向においてトランスミッション側に延びる筒状の支持部56bが形成されている。
支持部材57は、ピストン56を支持する部材であり、径方向に延びる概略円板状の本体部57aと、本体部57aの外周部に形成された外筒状部57bと、本体部57aの内周部に形成された内筒状部57cと、を有している。本体部57aはその大半がフロントカバー4との間に隙間を有しているが、その一部57dはフロントカバー4に溶接等により固定されている。また、外筒状部57bは、トランスミッション側に延びて形成されており、ピストン56の支持部56bがこの外筒状部57bに移動自在に支持されている。さらに、内筒状部57cは、トランスミッション側に延びて形成されており、この内筒状部57cはタービンフランジ24の第1筒状部24bの外周面に支持されている。
出力側部材58は、回転軸と同軸の中心軸を有する筒状部材であり、筒状本体部58aと、筒状本体部58aのトランスミッション側の端部において外方に延びて形成されたフランジ部58bと、を有する。筒状本体部58aの外周面には軸方向に延びる複数の歯が形成されており、この歯にクラッチディスク63の内周部に形成された歯が軸方向移動自在に噛み合っている。
ダンパー部59は、内周部がリベット66により出力側部材58に固定された入力プレート67と、タービンシェル22に固定された出力プレート68と、入力プレート67と出力プレート68とを弾性的に連結する複数のトーションスプリング69と、を有している。
ブレーキ冷却油供給回路9は、ステータブレーキ8に冷却のための油を供給するための回路である。なお、ここでは、流体室に供給される作動油を、ステータブレーキ8を通すことによって、ステータブレーキ8を冷却するようにしている。すなわち、トルクコンバータの流体室に作動油を供給する回路がブレーキ冷却油供給回路としても機能しており、作動油が冷却油として機能している。
ステータブレーキ8を作動させるための回路は、図2に示すように、タービンハブ24の第2筒状部24cに形成された貫通孔88と、ブレーキケース35の内筒状部35cに形成された貫通孔89と、によって形成されている。すなわち、ステータブレーキ8をオン(ディスクを押圧)させるために、貫通孔88,89を介してブレーキケース35とピストン37との間に作動油が供給され、またステータブレーキ8をオフ(ディスクの押圧解除)させるために、同じ経路(貫通孔88,89)を介して作動油が排出される。なお、タービンハブ24の第2筒状部24cにおいて、貫通孔88の軸方向両側にはシール部材が設けられている。
ロックアップクラッチ10を駆動するための回路11は、図3に示すように、タービンハブ24の第1筒状部24bとフロントカバー4との間の通路90と、支持部材57とフロントカバー4との間の通路91と、によって形成されている。すなわち、ロックアップクラッチ10をオンさせるために、通路90,91を介してフロントカバー4とピストン56との間に作動油が供給され、またロックアップクラッチ10をオフさせるために、同じ通路90,91を介して作動油が排出される。
ロックアップクラッチ10がオフ(ロックアップ解除)されているときには、フロントカバー4とタービン6との間のトルク伝達は、インペラー5とタービン6との間の流体伝達によって行われている。インペラー5がエンジンによって回転させられると、作動油は遠心力によってインペラー5からタービン6へと流れる。インペラー5からタービン6へ流れてきた作動油はタービン6を回転させた後にステータ7を通過する。ステータ7を通過する際には、ステータブレード31に衝突した作動油はブレードによって向きを変えられ、インペラー5へと戻される。
前記実施形態では、ロックアップクラッチが多板型の場合を説明したが、単板型のクラッチであっても本発明を同様に適用することができる。
2 トランスミッションの入力シャフト
4 フロントカバー
5 インペラー
6 タービン
7 ステータ
8 ステータブレーキ
9 ブレーキ冷却油供給回路
10 ロックアップクラッチ
11 ロックアップ作動油供給回路
Claims (5)
- エンジンからのトルクを流体によってトランスミッション側に伝達するためのトルクコンバータであって、
前記エンジンからのトルクが入力されるフロントカバーと、
前記フロントカバーに接続され、前記フロントカバーとともに流体室を構成するインペラーと、
前記インペラーに対向して配置され、前記トランスミッションにトルクを出力可能なタービンと、
前記インペラーとタービンの内周部間に配置され、前記タービンから前記インペラーに流れる流体の流れを整流するためのステータと、
前記ステータの回転を制動するためのステータブレーキと、
前記ステータブレーキに冷却油を供給するブレーキ冷却油供給回路と、
前記フロントカバーと前記タービンとの間に配置され、前記フロントカバーから前記タービンに動力を直接伝達するための油圧作動式のロックアップクラッチと、
前記冷却油供給回路とは独立して設けられ、前記ロックアップクラッチにクラッチ作動油を供給するためのロックアップ作動油供給回路と、
を備えたトルクコンバータ。 - 前記ステータブレーキは複数のクラッチ板を有する油圧式ブレーキ装置であり、
前記ロックアップクラッチは前記ステータブレーキより径方向外側に配置されている、請求項1に記載のトルクコンバータ。 - 前記ブレーキ冷却油供給回路は、ブレーキ冷却油を前記ステータブレーキの内周側から外周側に向かって供給する、請求項2に記載のトルクコンバータ。
- 前記ブレーキ冷却油は前記ステータブレーキの内周側から前記流体室に供給されるトルクコンバータの作動油である、請求項3に記載のトルクコンバータ。
- 前記ロックアップ作動油供給回路は、前記クラッチ作動油を前記ロックアップクラッチの内周側から供給するとともに供給流路と同流路を通して排出する、請求項1に記載のトルクコンバータ。
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