JP2010047948A - 補強用斜め材及びその補強用斜め材の施工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な構成により外力の方向性に影響されない補強用斜め材を実現するとともに、簡便に形成可能な座屈拘束形の補強用斜め材を提供し、さらに補強用斜め材としての所期の剛性と耐力を簡便に得られる施工方法を提供する。
【解決手段】柱や梁などで形成される四辺形の構面に対して斜めに設置されるブレース材等の補強用斜め材として、細長い平板を螺旋状に捩って形成した捩り板2を用いる。また、その捩り板2に対して座屈拘束管を外嵌することにより、座屈拘束形の補強用斜め材として使用してもよい。さらに、捩り板2の捩りピッチの大きさにより斜め材としての剛性を調整することにより、補強用斜め材としての所期の剛性と耐力をより簡便に実現できる。
【選択図】図2

Description

本発明は、柱や梁などで形成される四辺形の構面に対して強度や剛性を高めるために対角上に設置されるブレース材や、隅部を挟んで斜めに設置される隅部補強材などの補強用斜め材に関する。
この種の補強用斜め材としては、各種の断面形状からなる棒状の鋼材が使用されている。また、芯材として平鋼やH形鋼あるいは波形鋼板を用い、それらの芯材に対して座屈拘束材を付設することにより、圧縮方向に対しても機能し得るように構成した補強用斜め材も知られている(特許文献1)。
特開2008−150842号公報
ところで、この種のブレース等の補強用斜め材は、当該適用場所に適応し得る剛性や耐力を備えることが当然必要である。しかしながら、その剛性が大きすぎると、地震力等の外力が作用した場合に、外力が斜め材に集中して作用し、柱脚部などの斜め材の端部を固着した部分に大きな引抜き力が作用する結果になり、その引抜き力に対抗するための構造に大きな費用がかかるという問題があった。また、斜め材の剛性を小さくするには断面を小さくすればよいが、同時に引張耐力も小さくなるため、耐力不足に陥るという問題がある。この場合には高強度の材料を使用する必要が生じ、所期の剛性と耐力を備えるバランスのよい斜め材を用意するには、複数の断面形状と材料との組合わせからなる多種の斜め材を揃える必要があった。このように、ブレース等の補強用斜め材を設置する場合に、当該適用場所に最適の斜め材を使用するには、多種の形態の斜め材を用意しておく必要があり、その製造にも大きな労力を必要とし、コストアップの原因にもなっていた。さらに、斜め材の断面形状が円形以外の場合には、作用する外力の方向性によって応力状態に変動が生じるため、性能上厄介な問題もあった。また、芯材に対して座屈拘束材を付設する座屈拘束形の補強用斜め材の場合には、その座屈拘束機能の確保のために座屈拘束材がある程度大きくなることから、芯材と座屈拘束材との間隙部に設置するスペーサや充填材によって部品点数が増え、製造コストも嵩むという問題があった。
本発明は、以上のような従来の技術的状況に鑑み、簡単な構成により外力の方向性に影響されない補強用斜め材を提供するとともに、簡便に形成可能な座屈拘束形の補強用斜め材を実現し、さらに補強用斜め材としての所期の剛性と耐力を簡便に得られる施工方法を提供することを目的とする。
本発明では、前記課題を解決するため、柱や梁などで形成される四辺形の構面に対して斜めに設置されるブレース材等の補強用斜め材を、細長い平板を螺旋状に捩って形成した捩り板から構成するという技術手段を採用した(請求項1)。本発明によれば、螺旋状の捩り板の軸線の曲げ変形には方向性がないことから、外力の方向性の影響を解消できる。本補強用斜め材の設置に際しては、前記捩り板の両端部の平板部を介して固着するように構成してもよい(請求項2)。また、前記捩り板に対して座屈拘束管を外嵌することにより、座屈拘束形の補強用斜め材として提供することも可能である(請求項3)。さらに、前記捩り板の捩りピッチの大きさにより斜め材としての剛性を調整することにより、補強用斜め材としての所期の剛性と耐力をより簡便に実現することも可能である(請求項4)。
本発明によれば、次の効果を実現することができる。
(1)補強用斜め材として螺旋状の捩り板を採用したので、外力の方向性による影響を解消でき、どの方向の外力に対しても所期の性能を発揮させることができる。
(2)前記捩り板の両端部に平板部を設けて固着するように構成すれば、設置作業の簡便化に有効である。
(3)螺旋状の捩り板に対して座屈拘束管を外嵌することにより、座屈拘束形の補強用斜め材を形成するように構成したので、捩り板と座屈拘束管の内面とを螺旋状に緩く線接触させるようにすれば、従来のスペーサや充填材を省略して部品点数や製造コストの低減を図ることが可能である。
(4)またその場合、捩り板と座屈拘束管の内面との螺旋状の緩い線接触によって座屈拘束管の外嵌作業が比較的容易である。特に、捩り板と座屈拘束管との間に螺旋方向の回転を加えると、前記外嵌作業を更に簡便化できる。
(5)前記捩り板の捩りピッチの大きさにより斜め材としての剛性を調整できるので、所期の剛性と耐力を備える補強用斜め材をより簡便に実現することができる。
本発明は、柱や梁などで形成される四辺形の構面に対して強度や剛性を高めるために対角上に設置されるブレース材や、隅部を挟んで斜めに設置される隅部補強材などの補強用斜め材として、鉄骨造や木造建築物などに広く適用することが可能である。また、その補強用斜め材としての形態に関しては、そのまま引張材として用いてもよく、座屈拘束管を外嵌して座屈拘束形として用いてもよい。補強用斜め材を構成する平板状の断面形状については、当該適用場所において斜め材に作用する負荷条件などとの関係から決定され、その板厚や幅、あるいは材料の選定などは設計的事項である。因みに、前記平板の表面や裏面は、必ずしも平坦な平面に限られる必要はなく、例えば幅方向の中央部の板厚を若干厚く形成した緩やかな曲面状のものや、逆に中央部が若干薄く形成されたものなど、幅方向の板厚に変化を加えたものなどの使用も可能である。とりわけ、補強用斜め材を構成する平板の板厚や幅及び材料が同じであっても、捩りピッチを変えることにより剛性を調整することが可能な点で特徴を有する。すなわち、前記平板の板厚や幅及び材料が一定であっても、例えば捩りピッチを縮小すると、捩りの影響を大きく受けて引張力に対する長手方向の変形量が大きくなり、引張剛性が縮小されることになる。逆に、捩りピッチを拡大すると、捩りの影響が縮小されて引張力に対する長手方向の変形量が小さくなり、引張剛性が拡大されることになる。つまり、この関係を活用することにより、補強用斜め材を構成する平板の断面形状や材料に関する種々の形態を揃えなくとも、捩りピッチを変えて剛性を調整することにより、当該適用場所に適応した補強用斜め材の提供が可能になる。なお、補強用斜め材に座屈拘束管を外嵌して座屈拘束形として用いる場合には、補強用斜め材を座屈拘束管の内面と螺旋状に緩く線接触させることにより、従来のようにスペーサや充填材を用いることなく、簡便かつ安定的にアンボンド状態を実現することができる。なお、補強用斜め材と座屈拘束管との間のアンボンド状態を阻害しないように、それらの両者間に相対的な位置関係を保持するための保持手段を付設してもよい。
以下、本発明の実施例に関して説明する。図1は本発明の実施例に係る補強用斜め材を例示した正面図であり、図2はその斜視図である。図示のように、本実施例に係る補強用斜め材1では、細長い平板状の鋼板を螺旋状に捩って捩り板2を形成し、その捩り板2の両端部に平板部3,4を形成して、それらの平板部3,4を介して当該適用場所の固定位置に固着するように構成した場合を示した。なお、図中、5,6は平板部3,4に形成したボルトなどの固着部材の挿通孔である。また、Pは捩り板2の捩りピッチを例示したものである。
図3は本発明の他の実施例に係る補強用斜め材を例示した正面図であり、図4はその斜視図である。図示のように、本実施例に係る補強用斜め材7では、細長い平板状の鋼板を螺旋状に捩って形成した前記捩り板2に対して、鋼管等からなる座屈拘束管8を外嵌することにより、圧縮方向にも機能し得る座屈拘束形として構成した場合を示した。なお、前記実施例と同様に、捩り板2の両端部に平板部3,4を形成し、それらの平板部3,4を介して当該適用場所の固定位置に固着するように構成している。
図5は前記捩り板2の捩りピッチPを変えた場合の荷重と変形(伸び)の関係を示した特性図である。本特性図はFEM解析に基づいて作成したものであり、断面形状が30×6mmの矩形で全長が600mmからなる捩りのない平板状の比較例Aに対して、前記断面形状を変えることなく螺旋状の捩りを加え、その捩りピッチPをPa:150mm、Pb:75mm、Pc:37.5mmに変化させた場合の捩り板2の特性に関する変化を示したものである。因みに、比較例Bは、板厚を半分にした30×3mmの矩形断面で捩りのない平板状の場合の特性を示したものである。しかして、この特性図によれば、同一断面の材料でも、捩りピッチPを変化させることにより、剛性を調整できることが判る。しかも、その場合の降伏耐力の変動は比較的少なく、実用的な対応が充分可能な範囲内である。つまり、素材の断面形状を変えることなく、捩りピッチPのみを変化させることによって捩り板2の剛性を調整することが可能であり、これを活用して前記補強用斜め材1,7の所期の剛性と耐力を実現しようというのが、本発明の一つの特徴でもある。
次に本発明の実施例に係る前記補強用斜め材1,7の実施形態に関して説明する。なお、以下の図6〜図9を用いた実施形態に関する説明においては、前記捩り板2に座屈拘束管8を外嵌して座屈拘束形として構成した前記補強用斜め材7を適用した場合を例にして説明したが、これに限らず前記補強用斜め材7に替えて座屈拘束管8を使用しない前記補強用斜め材1を同様に適用し得ることはいうまでもない。また、鉄骨造や木造の建築物など建築構造の種類に関わらず広く適用し得ることもいうまでもない。しかして、図6は第1の実施形態を例示した正面図であり、図7はその斜視図である。図示のように、この第1形態は、両側の柱材9,10と梁材11及び前記柱材9,10が立脚する基礎部や下方の梁材によって形成される四辺形の構面に対して2本の補強用斜め材7を適用した場合を示したものである。それらの補強用斜め材7は、柱材9,10のそれぞれの下部と梁材11の中央部に設けた固定部12〜14に対して、前記補強用斜め材7を構成する捩り板2の両端部に形成した平板部3,4を介して固着される。
図8は第2の実施形態を例示した正面図である。この第2実施形態は、柱材15あるいは柱材16と梁材17及び前記柱材15,16が立脚する基礎部や下方の梁材によって形成される四辺形の構面に対して、それぞれ対角上に補強用斜め材7を適用した場合を示したものである。また、図9は第3の実施形態を例示した正面図である。この第3実施形態は、両側の柱材18,19と梁材20及び土台21によって形成される四辺形の構面に対して、それらの柱材18あるいは柱材19と梁材20とを連結した隅部を挟んで斜めに短尺の補強用斜め材7を適用することにより補強した場合を示したものである。
本発明の実施例に係る補強用斜め材を例示した正面図である。 同補強用斜め材を示した斜視図である。 本発明の他の実施例に係る補強用斜め材を例示した正面図である。 同補強用斜め材を示した斜視図である。 捩り板の捩りピッチPを変えた場合の荷重と変形の関係を示した特性図である。 本発明の第1実施形態を例示した正面図である。 同第1実施形態を示した斜視図である。 本発明の第2実施形態を例示した正面図である。 本発明の第3実施形態を例示した正面図である。
符号の説明
1:補強用斜め材、2:捩り板、3,4:平板部、5,6:挿通孔、7:補強用斜め材、8:座屈拘束管、9,10:柱材、11:梁材、12〜14:固定部、15,16:柱材、17:梁材、18,19:柱材、20:梁材、21:土台、P:捩りピッチ

Claims (4)

  1. 柱や梁などで形成される四辺形の構面に対して斜めに設置されるブレース材等の補強用斜め材であって、細長い平板を螺旋状に捩って形成した捩り板から構成したことを特徴とする補強用斜め材。
  2. 前記捩り板の両端部の平板部を介して固着するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の補強用斜め材。
  3. 前記捩り板に対して座屈拘束管を外嵌したことを特徴とする請求項1又は2に記載の補強用斜め材。
  4. 柱や梁などで形成される四辺形の構面に対して斜めに設置されるブレース材等の補強用斜め材を細長い平板を螺旋状に捩って形成した捩り板から構成し、その捩り板の捩りピッチの大きさにより補強用斜め材としての剛性を調整することを特徴とする補強用斜め材の施工方法。
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JP2018162602A (ja) * 2017-03-27 2018-10-18 新日鐵住金株式会社 接合金物および壁の接合構造

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