JP2010046583A - 排気浄化フィルタ及びこの排気浄化フィルタを使用した内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

排気浄化フィルタ及びこの排気浄化フィルタを使用した内燃機関の排気浄化装置 Download PDF

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Abstract

【課題】クラックの発生を防止し、かつ、圧力損失も低減できる排気浄化フィルタ、及びこの排気浄化フィルタを使用した内燃機関の排気浄化装置を提供すること。
【解決手段】DPF5は、排気が通過する複数の多孔質壁51と、これら多孔質壁51により区画形成されるとともに、排気の流路となる複数の上流側セル52及び下流側セル53と、を備える。多孔質壁51の平均壁厚は、250μm未満であり、熱衝撃温度差は、500℃以上である。また、多孔質壁51は、チタン酸アルミニウム、コーディェライト、及びリチウムアルミニウムシリケートよりなる群から選ばれる少なくとも1種の酸化物を質量比で50%以上含む。
【選択図】図2

Description

本発明は、排気浄化フィルタ及びこの排気浄化フィルタを使用した内燃機関の排気浄化装置に関し、特に、内燃機関の排気中のパティキュレートを捕集するものに関する。
内燃機関の排気系にパティキュレートを捕集する排気浄化フィルタを設け、パティキュレートの排出量を低減する技術は広く用いられている。近年では、排気浄化フィルタとして所謂ウォールフロー型のフィルタが主として用いられている。このウォールフロー型の排気浄化フィルタは、多孔質壁により、排気の流路となる複数のセルを区画形成し、この多孔質壁でパティキュレートを捕捉する。
排気浄化フィルタにパティキュレートが堆積すると、このフィルタにおける圧力損失が増加してしまい、結果として内燃機関の出力が低下したり、燃費が悪化したりする。このため、排気浄化フィルタに堆積したパティキュレートを適宜、除去する必要がある。排気浄化フィルタに堆積したパティキュレートを除去する際には、例えば、排気浄化フィルタの上流に設けられた触媒コンバータで燃料を燃焼させ、排気温度を上昇することにより、排気浄化フィルタの温度をパティキュレートの燃焼温度まで昇温する。なお、このようにして堆積したパティキュレートを燃焼させる処理を、以下ではフィルタ再生処理という。
ところで、フィルタ再生処理を実行した場合、多孔質壁に大きな温度差が生じると、熱応力によりクラックが発生する。そこで、このようなクラックの発生を抑制する技術が複数提案されている。
例えば特許文献1には、コーディェライトやチタン酸アルミニウムなどの耐熱衝撃性に優れた材料を多孔質壁の材料として用いることにより、クラックの発生を抑制する排気浄化フィルタが示されている。
この他、例えば特許文献2には、複数のセルで1つのセグメントを構成し、さらにこのセグメントを接合材により複数個接合することにより排気浄化フィルタを構成した、所謂セグメント構造を有する排気浄化フィルタが提案されている。この排気浄化フィルタによれば、多孔質壁の材料として、上述のコーディェライトやチタン酸アルミニウムなどよりも耐熱衝撃性の劣るシリコンカーバイド(SiC)を用いつつ、クラックの発生を抑制することができる。
特開2008−137872号公報 特表2004−511335号公報
図7は、ウォールフロー型の排気浄化フィルタにおける圧力損失と多孔質壁の壁厚との関係を示す図である。この図7は、排気浄化フィルタの全セル数及び全体の体積を変えずに、壁厚のみを変化させた場合における圧力損失の変化を示す図である。
壁厚を厚くすると、排気が多孔質壁を通過する際における抵抗が大きくなり、また、セルの体積すなわち排気の流路体積が減少する。このため、図7に示すように、壁厚が厚くなるに従い、圧力損失が大きくなってしまう。
排気浄化フィルタにおける圧力損失が大きくなると、内燃機関の最高出力が低下したり、燃費が悪化したりする虞がある。また、排気浄化フィルタにおける圧力損失が大きくなると、内燃機関の負荷が増加する。この場合、内燃機関の負荷の増加に伴うエミッションの悪化を防止するために、排気浄化装置にかかる負担も増加する。
また、排気浄化フィルタにおける圧力損失が大きくなると、フィルタ再生処理の実行時において排気の偏流が生じてしまい、結果としてパティキュレートの燃え残りが生じ易くなる。これは、以下のような理由による。
排気浄化フィルタに堆積したパティキュレートは、フィルタの温度がパティキュレートの燃焼温度に達してから燃焼し始める。しかしながら、実際には、排気浄化フィルタの全部分において均一に昇温することはなく、中心部分などの温まり易い部分から先に燃焼温度に到達するため、この温まり易い部分に堆積したパティキュレートから燃焼し始める。また、パティキュレートが燃焼すると、燃焼した部分では圧力損失が低下するため、この燃焼した部分を通過する排気の割合が増加する。一方、燃焼していない部分を通過する排気の割合は減少するため、この部分に堆積したパティキュレートと、排気中の酸化性物質との接触が減ってしまい、パティキュレートの燃え残りが生じ易くなってしまう。以上のような排気の偏流を起因としたパティキュレートの燃え残りは、排気浄化フィルタにおける圧力損失が大きいほど顕著になると考えられる。
このように、圧力損失が大きくなると様々な課題が発生するため、排気浄化フィルタの多孔質壁の壁厚は、可能な限り薄く形成されることが好ましい。
一方、壁厚を薄くすると、以下のような課題が生じると考えられる。
例えば、フィルタ再生処理を実行している間にアイドリング運転に戻った場合、排気の酸素濃度が急激に上昇し、さらに排気の流量も急激に低下する。この場合、燃焼していたパティキュレートの潜熱により、多孔質壁の温度が上昇する。ここで壁厚が薄いと、その熱容量も小さいため、多孔質壁の温度が局所的に、急激に上昇してしまい、大きな温度差が発生し、この温度差に伴う熱応力により多孔質壁にクラックが発生する虞がある。
このため、従来、提案されているウォールフロー型の排気浄化フィルタの多孔質壁では、少なくとも250μm以上の壁厚が確保されている。
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、クラックの発生を防止し、かつ、圧力損失も低減できる排気浄化フィルタ、及びこの排気浄化フィルタを使用した内燃機関の排気浄化装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、排気が通過する複数の多孔質壁(51)と、これら多孔質壁により区画形成されるとともに、排気の流路となる複数の上流側セル(52)及び下流側セル(53)と、を備えた排気浄化フィルタ(5)であって、前記多孔質壁の平均壁厚は、250μm未満であり、前記多孔質壁の熱衝撃温度差は、500℃以上であることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の排気浄化フィルタであって、前記多孔質壁は、酸化物を含むことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の排気浄化フィルタであって、前記多孔質壁の平均気孔径は、水銀ポロシメトリ法による計測で6μmから20μmの範囲内に含まれることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3の何れかに記載の排気浄化フィルタであって、前記多孔質壁に形成された複数の気孔のうち80%以上の気孔は、平均気孔径を中心として±8μmの範囲内に含まれることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1から4の何れかに記載の排気浄化フィルタであって、前記多孔質壁は、チタン酸アルミニウム、コーディェライト、及びリチウムアルミニウムシリケートよりなる群から選ばれる少なくとも1種を質量比で50%以上含み、前記多孔質壁の気孔率は、65%未満であることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、内燃機関(1)の排気通路(3)に設けられ、排気中のパティキュレートを捕集する排気浄化フィルタ(5)と、当該排気浄化フィルタを再生するフィルタ再生手段(7,71)と、を備える内燃機関の排気浄化装置(9)であって、請求項1から5の何れかに記載の排気浄化フィルタを使用し、前記フィルタ再生手段は、前記排気浄化フィルタに堆積したパティキュレートの堆積量が1L当たり4g以上となってから、前記排気浄化フィルタを再生することを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、内燃機関(1)の排気通路(3)に設けられ、排気中のパティキュレートを捕集する排気浄化フィルタ(5)と、当該排気浄化フィルタを再生するフィルタ再生手段(7,71)と、を備える内燃機関の排気浄化装置(9)であって、前記排気浄化フィルタとして請求項1から4の何れかに記載の排気浄化フィルタを使用し、前記多孔質壁(51)は、チタン酸アルミニウムを質量比で50%以上含み、前記フィルタ再生手段は、前記排気浄化フィルタに堆積したパティキュレートの堆積量が1L当たり10g以上となってから、前記排気浄化フィルタを再生することを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、排気浄化フィルタの多孔質壁の平均壁厚を250μm未満にし、さらにその熱衝撃温度差を500℃以上にした。ここで、排気が通過する多孔質壁の平均壁厚を250μm未満にすることにより、従来の排気浄化フィルタと比較して圧力損失を小さくすることができる。これにより、内燃機関の最高出力の低下、燃費の悪化、内燃機関の負荷の増加、エミッションの悪化に伴う排気浄化装置にかかる負担の増加、及びパティキュレートの燃え残りの発生などといった、排気浄化フィルタの圧力損失の増加に起因した上述のような課題を回避することができる。
また、多孔質壁の熱衝撃温度差を500℃以上とすることにより、上述のようにパティキュレートの潜熱で多孔質壁に急激に大きな温度差が生じた場合であっても、クラックが発生するのを防止することができる。
ところで、このようにクラックが発生するのを防止するためには、多孔質壁の材料として、本願発明のように耐熱衝撃性に優れたものを用いずに、例えばシリコンカーバイド(SiC)などの熱伝導性に優れたものを用いることも考えられる。すなわち、熱伝導性に優れたものを用い、大きな温度差が生じるのを防止することで、クラックの発生を防止することも考えられる。
しかしながら、以下のような理由により、単に熱伝導性に優れた材料を用いるだけではクラックの発生を防止することは難しい。例えば、フィルタ再生処理が終了した後、内燃機関がアイドル運転に移行した場合、排気浄化フィルタは、冷えた排気にさらされることとなる。この際、高温の多孔質壁が冷えた排気にさらされることにより、クラックが発生する場合がある。つまり、熱伝導性に優れた材料を用いることにより、多孔質壁の温度むらを要因としたクラックの発生を防ぐことはできるものの、このように排気の温度と多孔質壁の温度との間に大きな差が生じた場合には、クラックが発生するおそれがある。
これに対して本願発明では、熱衝撃温度差が500℃以上であるものを用いることにより、このように、冷めた排気にさらされた場合であっても、クラックが発生するのを防止することができる。
請求項2に記載の発明によれば、酸化物を含む多孔質壁を用いることにより、耐熱衝撃性に優れた多孔質壁を形成することができる。これにより、クラックの発生をより確実に防止できる。
請求項3に記載の発明によれば、多孔質壁の平均気孔径は、6μmから20μmの範囲内に含まれる。例えば、平均気孔径が6μm未満であると、排気浄化フィルタの圧力損失が増加してしまう虞がある。一方、平均気孔径が20μm以上であると、パティキュレートの捕集性能が低下する虞がある。したがって、本発明によれば、排気浄化フィルタによるパティキュレートの捕集性能を損なうことなく、圧力損失を小さくすることができる。
請求項4に記載の発明によれば、多孔質壁に形成された複数の気孔のうち80%以上の気孔は、平均気孔径を中心として±8μmの範囲内に含まれる。例えば、多孔質壁に形成された気孔のうち平均気孔径の±8μmの範囲内に含まれるものが80%未満である場合、すなわち気孔径のばらつきが大きい場合、気孔径の大きい部分に排気が偏流してしまう。フィルタ再生処理を実行する際に、排気に偏流が生じると、パティキュレートが燃焼しにくい部分ができてしまい、結果としてフィルタ再生処理にかかる時間が長くなる虞がある。本発明によれば、このような排気の偏流を防止することで、フィルタ再生処理にかかる時間が不必要に長くなるのを防止することができる。
請求項5に記載の発明によれば、耐熱衝撃性に優れたチタン酸アルミニウム、コーディェライト、リチウムアルミニウムシリケートの少なくとも何れかを質量比で50%以上含む。またさらに、多孔質壁の気孔率を65%未満とすることにより、クラックの発生をより確実に防止できる。
請求項6に記載の発明によれば、内燃機関から排出された排気中のパティキュレートを排気浄化フィルタで捕集し、堆積したパティキュレートの堆積量が1L当たり4g以上となってから、この排気浄化フィルタを再生する。これにより、排気浄化フィルタに十分な量のパティキュレートを堆積させてから、まとめて再生することができる。したがって、排気浄化フィルタを再生する回数を低減し、また再生にかかる燃料の消費を低減することができる。
また、排気浄化フィルタとして、平均壁厚が250μm未満であり、かつ、その熱衝撃温度差が500℃以上の多孔質壁を備えるものを用いることにより、このように多くの量のパティキュレートをまとめて再生した場合であっても、多孔質壁にクラックが発生するのを防止することができる。
請求項7に記載の発明によれば、内燃機関から排出された排気中のパティキュレートを排気浄化フィルタで捕集し、堆積したパティキュレートの堆積量が1L当たり10g以上となってから、この排気浄化フィルタを再生する。これにより、排気浄化フィルタに十分な量のパティキュレートを堆積させてから、まとめて再生することができる。したがって、排気浄化フィルタを再生する回数を低減し、また再生にかかる燃料の消費を低減することができる。
また、排気浄化フィルタとして、平均壁厚が250μm未満であり、かつ、その熱衝撃温度差が500℃以上の多孔質壁を備えるものを用いることにより、このように多くの量のパティキュレートをまとめて再生した場合であっても、多孔質壁にクラックが発生するのを防止することができる。
ところで、パティキュレートが燃焼すると、その温度が1200℃を超える場合がある。この場合、多孔質壁の温度がその融点を超えてしまい、溶損する虞がある。本発明によれば、多孔質壁の材料として、耐熱衝撃性に優れかつ融点の高いチタン酸アルミニウムを用いることにより、熱応力によるクラックの発生を防止しつつ、パティキュレートの燃焼熱による溶損を防止することができる。
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る排気浄化フィルタ5及びこの排気浄化フィルタ5を使用した内燃機関1の排気浄化装置9の構成を示す図である。
内燃機関(以下、単に「エンジン」という)1は、各気筒内に燃料を直接噴射するディーゼルエンジンであり、各気筒には燃料噴射弁11が設けられている。これら燃料噴射弁11は、電子制御ユニット(以下、「ECU」という)7により電気的に接続されており、燃料噴射弁11の開弁時間及び閉弁時間は、ECU7により制御される。
また、エンジン1には、吸気が流通する吸気管2と、排気が流通する排気管3とが設けられている。吸気管2は、エンジン1の各気筒の吸気ポートに接続されている。排気管3は、エンジン1の各気筒の排気ポートに接続されている。
吸気管2内には、加圧された空気を冷却するためのインタークーラや、吸入空気量を制御するスロットル弁が設けられている。スロットル弁は、アクチュエータを介してECU7に接続されており、その開度はECU7により電磁的に制御される。
排気管3には、エンジン1から排出された排気を浄化する排気浄化装置9が設けられる。より具体的には、排気管3には、上流側から下流側へ向かって順に、触媒コンバータ4と、排気浄化フィルタとしての粒子状物質捕集装置(以下「DPF」(Diesel Particulate Filter)という)5と、NOx浄化装置6とが設けられている。
触媒コンバータ4は、三元触媒を内蔵し、この触媒と排気との反応により排気を浄化するとともに、排気を昇温する。より具体的には、触媒コンバータ4は、触媒として作用する白金(Pt)、パラジウム(Pd)、及びロジウム(Rh)を、アルミナ(Al)担体に担持させたものに、セリアを加えた三元触媒を内蔵する。この触媒コンバータ4は、排気と触媒の反応により発生する熱で排気を昇温させる。なお、触媒コンバータ4が担持する触媒としては、三元触媒に限らず酸化触媒を用いてもよい。
DPF5は、排気管3を流通する排気を濾過することにより、排気中のパティキュレートを捕集する。
図2は、DPF5の構成を示す断面図である。
DPF5は、ハニカム状であり、排気が流れる方向に沿って延びる複数の多孔質壁51と、これら多孔質壁51により区画形成され、排気の流路となる上流側セル52及び下流側セル53とを備えた、所謂ウォールフロー型の排気浄化フィルタである。
図2に示すように、上流側セル52と下流側セル53とは交互に配置される。
上流側セル52の下流側には、上流側セル52の内部からDPF5の下流側へ排気が流出するのを防止する下流側目封じ54が設けられている。また、下流側セル53の上流側には、DPF5の上流側から下流側セル53の内部へ排気が流入するのを防止する上流側目封じ55が設けられている。また、多孔質壁51には、複数の気孔が形成されており、排気が通過可能となっている。
すなわち、エンジン1から排出されDPF5内へ流入する排気は、先ず、上流側セル52内に流入し、多孔質壁51を通過して、下流側セル53内へ流入し、DPF5外へ流出する。ここで、排気が多孔質壁51を通過する際、多孔質壁51の上流側の面、及び、多孔質壁51内に形成された孔には、排気中に含まれるパティキュレートが堆積する。
ここで、多孔質壁51の好ましい形態について説明する。
先ず、多孔質壁51を構成する材料としては、具体的には、チタン酸アルミニウム、コーディェライト、及びリチウムアルミニウムシリケートなどの酸化物を含む群から選ばれる少なくとも1種を、質量比で50%以上含むことが好ましい。
特に、これら酸化物の中でもチタン酸アルミニウムは最も融点が高いため、多孔質壁51はチタン酸アルミニウムを質量比で50%以上含むことが好ましい。また、この場合、チタン酸アルミニウムの800℃〜1200℃における熱分解を防止するために、アルカリ土類金属や鉄などの遷移金属酸化物をドープしてもよい。
多孔質壁51の平均壁厚は、250μm未満であることが好ましい。
多孔質壁51の熱衝撃温度差は、500℃以上であることが好ましい。ここで、熱衝撃温度差とは、JIS法R1676により定められた「ファインセラミックス多孔体の熱衝撃試験方法」に基づいて行われたテストにより定められる量である。
多孔質壁51の気孔率、すなわち、多孔質壁51のうち気孔が占める割合は、65%未満であることが好ましい。
多孔質壁51の平均気孔径、すなわち、多孔質壁51に形成された複数の気孔の径の平均値は、水銀ポロシメトリ法による計測で、6μmから20μmの範囲内に含まれることが好ましい。
また、多孔質壁51において排気の偏流を防止するために、多孔質壁51に形成された複数の気孔のうち80%以上の気孔は、平均気孔径を中心として±8μmの範囲内に含まれることが好ましい。すなわち、多孔質壁51に形成された気孔径の平均気孔径を中心としたばらつきは、小さい方が好ましい。
図1に戻って、DPF5には、その上流側と下流側との差圧を検出し、検出信号をECU7に送信する差圧センサ8が設けられている。
NOx浄化装置6は、エンジン1から排出される排気の空燃比がリーンである時には、排気中のNOxを捕捉し、排気の空燃比がリッチである時には、捕捉したNOxを還元することにより、排気中のNOxを浄化する。
ECU7は、各種センサからの入力信号波形を整形し、電圧レベルを所定のレベルに修正し、アナログ信号値をデジタル信号値に変換するなどの機能を有する入力回路と、中央演算処理ユニット(以下「CPU」という)とを備える。この他、ECU7は、CPUで実行される各種演算プログラム及び演算結果などを記憶する記憶回路と、エンジン1の燃料噴射弁11などに制御信号を出力する出力回路とを備える。
また、ECU7は、これら入力回路、CPU、記憶回路、及び出力回路などのハードウェアの構成により機能する複数の制御ブロックを備える。具体的には、ECU7は、フィルタ再生処理実行部71を備える。
フィルタ再生処理実行部71は、DPF5に堆積したパティキュレートを燃焼させるフィルタ再生処理を適宜実行する。より具体的には、このフィルタ再生処理は、例えば、ポスト噴射を実行して、DPF5の上流側に設けられた触媒コンバータ4で燃料を燃焼し、排気温度を上昇させる。ここで、排気温度を上昇させるとともに、DPF5の多孔質壁51の温度をパティキュレートの燃焼温度(600℃)まで昇温することにより、堆積したパティキュレートを燃焼する。このポスト噴射は、エンジン1の燃料噴射弁11により、排気工程において行われる燃料噴射である。
このようなフィルタ再生処理の実行時期は、例えば、フィルタ再生処理の実行にかかる燃料の消費量、DPF5にパティキュレートが堆積することによる圧力損失の低下、及びDPF5の耐熱衝撃性などに応じて、適切に設定される。
より具体的には、上述のような構成の多孔質壁51を用いた場合、DPF5に堆積したパティキュレートの堆積量が1L当たり4g以上となってから、フィルタ再生処理を実行することが好ましい。後に耐熱衝撃性試験(1)において詳述するように、パティキュレートの堆積量が1L当たり4g以上となってからフィルタ再生処理を実行しても、DPF5にクラックや溶損が発生することは無い。
また特に、多孔質壁51として、チタン酸アルミニウムを質量比で50%以上含むものを用いた場合、DPF5に堆積したパティキュレートの堆積量が、1L当たり10g以上となってから、フィルタ再生処理を実行することが好ましい。後に耐熱衝撃性試験(2)において詳述するように、パティキュレートの堆積量が1L当たり10g以上となってからフィルタ再生処理を実行しても、DPF5にクラックや溶損が発生することは無い。
また、フィルタ再生処理実行部71は、差圧センサ8からの出力に基づいてDPF5におけるパティキュレートの堆積量を推定し、推定したパティキュレートの堆積量が所定値を超えたことに応じて、フィルタ再生処理を実行する。
以上詳述したように、本実施形態のDPF5によれば、DPF5の多孔質壁51の平均壁厚を250μm未満にし、さらにその熱衝撃温度差を500℃以上にした。ここで、排気が通過する多孔質壁51の平均壁厚を250μm未満にすることにより、従来のDPFと比較して圧力損失を小さくすることができる。これにより、エンジン1の最高出力の低下、燃費の悪化、エンジン1の負荷の増加、エミッションの悪化に伴うNOx浄化装置6にかかる負担の増加、及びDPF5におけるパティキュレートの燃え残りの発生などといった、DPF5の圧力損失の増加に起因した課題を回避することができる。
また、多孔質壁51の熱衝撃温度差を500℃以上とすることにより、パティキュレートの潜熱で多孔質壁51に急激に大きな温度差が生じた場合であっても、クラックが発生するのを防止することができる。
図3は、パティキュレートの堆積量と圧力損失と関係を示す図である。図3において、実線は、本実施形態のDPF5におけるパティキュレートの堆積量と圧力損失との関係を示し、破線は、従来のDPFにおけるパティキュレートの堆積量と圧力損失との関係を示す。ここで、従来のDPFとは、多孔質壁の平均壁厚が本実施形態のものよりも厚いものを示す。
図3に示すように、パティキュレートの堆積量が増加すると、圧力損失も増加する。ここで、パティキュレートの未燃部分(堆積量Q)における圧力損失と、パティキュレートの既燃部分(堆積量0)における圧力損失との差について、本実施形態のDPF5と従来のDPFについて比較する。
上述のように、圧力損失が大きいと排気の偏流が生じ易いため、パティキュレートの燃え残りが生じ易くなる。しかしながら、図3に示すように、本実施形態のDPF5における未燃部分と既燃部分の圧力損失差P1´−P1は、従来のDPFにおける未燃部分と既燃部分の圧力損失差P2´−P2よりも小さい。したがって、本実施形態のDPF5は、従来のDPFと比較して、フィルタ再生処理時における排気の偏流が小さく、パティキュレートの燃え残りが生じにくいと言える。このため、フィルタ再生処理にかかる時間を短縮し、また再生処理にかかる燃料の消費も低減することができる。
本実施形態のDPF5によれば、酸化物を含む多孔質壁51を用いることにより、耐熱衝撃性に優れた多孔質壁51を形成することができる。これにより、クラックの発生をより確実に防止できる。
本実施形態のDPF5によれば、多孔質壁51の平均気孔径は、6μmから20μmの範囲内に含まれる。例えば、平均気孔径が6μm未満であると、排気浄化フィルタの圧力損失が増加してしまう虞がある。一方、平均気孔径が20μm以上であると、パティキュレートの捕集性能が低下する虞がある。したがって、本実施形態によれば、DPF5によるパティキュレートの捕集性能を損なうことなく、圧力損失を小さくすることができる。
本実施形態のDPF5によれば、多孔質壁51に形成された複数の気孔のうち80%以上の気孔は、平均気孔径を中心として±8μmの範囲内に含まれる。例えば、多孔質壁51に形成された気孔のうち平均気孔径の±8μmの範囲内に含まれるものが80%未満である場合、すなわち気孔径のばらつきが大きい場合、気孔径の大きい部分に排気が偏流してしまう。
フィルタ再生処理を実行する際に、排気に偏流が生じると、パティキュレートが燃焼しにくい部分ができてしまい、結果としてフィルタ再生処理にかかる時間が長くなる虞がある。本実施形態のDPF5によれば、このような排気の偏流を防止することで、フィルタ再生処理にかかる時間が不必要に長くなるのを防止することができる。
本実施形態のDPF5によれば、耐熱衝撃性に優れたチタン酸アルミニウム、コーディェライト、リチウムアルミニウムシリケートの少なくとも何れかを質量比で50%以上含む。またさらに、多孔質壁の気孔率を65%未満とすることにより、クラックの発生をより確実に防止できる。
本実施形態のエンジン1の排気浄化装置9によれば、エンジン1から排出された排気中のパティキュレートをDPF5で捕集し、堆積したパティキュレートの堆積量が1L当たり4g以上となってから、このDPF5を再生する。これにより、DPF5に十分な量のパティキュレートを堆積させてから、まとめて再生することができる。したがって、DPF5を再生する回数を低減し、また再生にかかる燃料の消費を低減することができる。
また、DPF5として、平均壁厚が250μm未満であり、かつ、その熱衝撃温度差が500℃以上の多孔質壁51を備えるものを用いることにより、このように多くの量のパティキュレートをまとめて再生した場合であっても、多孔質壁51にクラックが発生するのを防止することができる。
本実施形態のエンジン1の排気浄化装置9によれば、エンジン1から排出された排気中のパティキュレートをDPF5で捕集し、堆積したパティキュレートの堆積量が1L当たり10g以上となってから、このDPF5を再生する。これにより、DPF5に十分な量のパティキュレートを堆積させてから、まとめて再生することができる。したがって、DPF5を再生する回数を低減し、また再生にかかる燃料の消費を低減することができる。
また、排気浄化フィルタとして、平均壁厚が250μm未満であり、かつ、その熱衝撃温度差が500℃以上の多孔質壁51を備えるものを用いることにより、このように多くの量のパティキュレートをまとめて再生した場合であっても、多孔質壁51にクラックが発生するのを防止することができる。
ところで、パティキュレートが燃焼すると、その温度が1200℃を超える場合がある。この場合、多孔質壁51の温度がその融点を超えてしまい、溶損する虞がある。本実施形態のDPF5によれば、多孔質壁51の材料として、耐熱衝撃性に優れかつ融点の高いチタン酸アルミニウムを用いることにより、熱応力によるクラックの発生を防止しつつ、パティキュレートの燃焼熱による溶損を防止することができる。
以下では、上記実施形態のDPF及びこのDPFを使用したエンジンの排気浄化装置の効果を検証するために行った各種の試験について説明する。
[圧損差比較試験]
圧損差比較試験では、DPFの多孔質壁の壁厚と、DPFの圧力損失との関係について検証する。
この圧損差比較試験では、図4に示すような試験装置100に試験対象となるDPF104をセットし、このDPF104の上流側の圧力xと、下流側の圧力yとの差、すなわち圧損差x−yを測定する。
具体的には、先ず、インジェクタから燃料を供給してエンジン101を運転し、DPF104に31gのパティキュレートを堆積させる。
次に、燃料を供給せずにモータリング状態でエンジン101を運転し、DPF104の上流側の温度が50℃の状態で、毎分1200Lの空気をDPF104に供給する。さらにこの状態で、上流側圧力センサ105によりDPF104の上流側の圧力xを計測し、下流側圧力センサ106により下流側の圧力yを計測し、さらにこの結果から圧損差x−yを算出する。
この試験において、エンジン101には、排気量2.2Lのディーゼルエンジンを用いた。また、DPF104には、直径143.7mm、長さ152.3mmの円筒状のウォールフロー型のものを用いた。
また、この圧損差比較試験では、下記表に示すような構成の多孔質壁を備えた実施例1のDPFと、比較例1のDPFとに対して、上記手順の試験を行った。ここで、実施例1と、その比較対象となる比較例1とでは、壁厚のみが異なり、その他の構成は全て同じものとする。
Figure 2010046583
圧損差比較試験の結果を、下記表に示す。
Figure 2010046583
この表に示すように、実施例1の圧損差は、比較例1の圧損差よりも小さい。すなわち、実施例1のDPFの圧力損失は、比較例1のDPFの圧力損失よりも小さい。したがって、多孔質壁の壁厚を薄くすることにより、圧力損失を小さくできることが確認された。これは主に、壁厚を薄くすることにより、DPFの排気の流路断面積が大きくなったためであると考えられる。
[再生効率比較試験(1)]
再生効率比較試験(1)では、DPFの多孔質壁の壁厚と、DPFの再生効率との関係について検証する。
この再生効率比較試験(1)では、図5に示す試験装置110に試験対象となるDPF114をセットし、フィルタ再生処理を実行した後、DPFの再生効率を算出する。
具体的には、先ず、31gのパティキュレートが堆積したDPF114を準備する。
次にこのDPF114を、試験装置110にセットし、さらにエンジン回転数1500rpm、及び出力11kWのもとでエンジン111を定常運転する。運転を開始してエンジン111の暖機が完了した後、ポスト噴射により軽油を噴射し、フィルタ再生処理を実行する。このフィルタ再生処理では、一気筒一工程当たり6mgの軽油を噴射する。
次に、DPF114の中央の温度を温度センサ117で計測し、この温度が600℃に達してから20分間にわたってこの状態を維持した後、軽油の供給を停止するとともに、モータリング状態でエンジン111を運転し、エンジン111を冷却する。
次に、下記式に基づいて、DPF114の再生効率を算出する。
Figure 2010046583
ここで、エンジン111には、排気量2.2Lのディーゼルエンジンを用いた。また、DPF114には、直径143.7mm、長さ152.3mmの円筒状のウォールフロー型のものを用いた。
また、この再生効率比較試験(1)では、下記表に示すような構成の多孔質壁を備えた実施例1のDPFと、比較例1のDPFとに対して、上記手順の試験を行った。ここで、実施例1と、その比較対象となる比較例1とでは、壁厚のみが異なり、その他の構成は全て同じものとする。
Figure 2010046583
再生効率比較試験(1)の結果を下記表に示す。
Figure 2010046583
この表に示すように、実施例1の再生効率は、比較例1の再生効率よりも高い。したがって、多孔質壁の壁厚を薄くすることにより、再生効率を高くできることが確認された。これは主に、壁厚を薄くすることにより、圧力損失が小さくなったためであると考えられる。
[耐熱衝撃性比較試験(1)]
耐熱衝撃性比較試験(1)では、DPFの多孔質壁に用いる材料と、DPFの耐熱衝撃性との関係を検証する。
この耐熱衝撃性比較試験(1)では、図6に示すような試験装置120に試験対象となるDPF124をセットし、DPF124の耐熱衝撃性を検証する。
具体的には、先ず、排気量2.2Lのディーゼルエンジンを、2500rpm及び110Nmのもとで定常運転し、ここで排出されたパティキュレートをDPF124に、3.9g/L(0.18g)堆積させる。
次に、パティキュレートを堆積させたDPF124を、試験装置120の加熱炉121内にセットする。
次に、この加熱炉121内において窒素雰囲気下でDPF124を650℃まで昇温し、その後、酸素21%及び窒素79%で構成された混合ガスをモデルガス用ボンベ125から供給し、DPF124に堆積したパティキュレートを燃焼させた。また、パティキュレートを燃焼させている間、温度センサ123によりDPFの下流側中心部の最高到達温度を計測した。
次に、DPF124を加熱炉121から取り出し、クラックや溶損の有無を目視にて確認した。
ここで、DPF124には、直径が34mm及び長さが40mmであり、その容積が46ccのウォールフロー型のものを用いた。
また、この耐熱衝撃性比較試験(1)では、下記表に示す構成の多孔質壁を備えた実施例1及び実施例2のDPFと、比較例2のDPFとに対して、上記手順の試験を行った。ここで、実施例1及び実施例2と、その比較対象となる比較例2とでは、多孔質壁の材料の他、融点、気孔率、及び平均気孔径が異なる。
Figure 2010046583
耐熱衝撃性比較試験(1)の結果を、下記表に示す。
Figure 2010046583
Figure 2010046583
この表に示すように、最高到達温度は、比較例2が最も低い。これは、比較例2のシリコンカーバイドの熱伝導率が最も高く、DPF全体が均一に昇温したためである。また、実施例1と実施例2を比較すると、実施例2の最高到達温度は、実施例1の最高到達温度よりも高い。これは、実施例1のチタン酸アルミニウムよりも実施例2のコーディェライトの熱伝導率の方が低いためであり、また、実施例1よりも実施例2の熱容量が小さいためであると考えられる。
また、外観を比較すると、比較例2のみクラックの発生が確認され、実施例1及び実施例2はクラック及び溶損ともに確認されなかった。このように、比較例2は最高到達温度が最も小さいが、クラックが発生した。これは、シリコンカーバイドが実施例1のチタン酸アルミニウムや実施例2のコーディェライトと比較して、耐熱衝撃性に劣るからであると考えられる。
以上のように、4g/L程度のパティキュレートが堆積した状態からフィルタ再生を実行した場合、耐熱衝撃性に優れたコーディェライトやチタン酸アルミニウムを用いることにより、壁厚が200μmであっても、クラックや溶損などが発生することなく再生できることが確認された。
[耐熱衝撃性比較試験(2)]
耐熱衝撃性比較試験(2)では、DPFの多孔質壁に用いる材料と、DPFの耐熱衝撃性との関係を検証する。
この耐熱衝撃性比較試験(2)では、上述の耐熱衝撃性比較試験(1)と同様に、図6に示すような試験装置120に試験対象となるDPF124をセットし、DPF124の耐熱衝撃性を検証する。
具体的には、先ず、排気量2.2Lのディーゼルエンジンを、2500rpm及び110Nmのもとで定常運転し、ここで排出されたパティキュレートをDPF124に、10.9g/L(0.5g)堆積させる。
次に、パティキュレートが堆積したDPF124を、試験装置120の加熱炉121内にセットする。
次に、この加熱炉121内において窒素雰囲気下でDPF124を650℃まで昇温し、その後、酸素21%及び窒素79%で構成された混合ガスをモデルガス用ボンベ125から供給し、DPF124に堆積したパティキュレートを燃焼させた。また、パティキュレートを燃焼させている間、温度センサ123によりDPFの下流側中心部の最高到達温度を計測した。
次に、DPF124を加熱炉121から取り出し、クラックや溶損の有無を目視にて確認した。
また、この耐熱衝撃性比較試験(2)では、下記表に示すように、上述の耐熱衝撃性比較試験(1)と同じ構成の実施例1及び実施例2のDPFと、比較例2のDPFとに対して、上記手順の試験を行った。
Figure 2010046583
耐熱衝撃性比較試験(2)の結果を、下記表に示す。
Figure 2010046583
Figure 2010046583
この表に示すように、最高到達温度は、比較例2が最も低い。これは、比較例2のシリコンカーバイドの熱伝導量が最も高く、DPF全体が均一に昇温したためである。また、実施例1と実施例2を比較すると、実施例2の最高到達温度は、実施例1の最高到達温度よりも高い。これは、実施例1のチタン酸アルミニウムよりも実施例2のコーディェライトの熱伝導率の方が低いためであり、また、実施例1よりも実施例2の熱容量が小さいためであると考えられる。
また、外観を比較すると、熱衝撃温度差が小さい比較例2のみクラックの発生が確認され、実施例1及び実施例2ではクラックの発生は確認されなかった。これは、比較例2で用いたシリコンカーバイドが、実施例1及び実施例2で使用したチタン酸アルミニウムやコーディェライトよりも耐熱衝撃性に劣るからであると考えられる。
また、この耐熱衝撃性比較試験(2)では、上述の耐熱衝撃性比較試験(1)よりも多くのパティキュレートを堆積した状態でパティキュレートを燃焼する。このため、耐熱衝撃性比較試験(2)では、耐熱衝撃性比較試験(1)よりも最高到達温度が高く、また、DPFはより長時間に亘って高温に加熱される。このため、コーディェライトを用いた実施例2では溶損した部分が確認されたが、コーディェライトよりも融点の高いチタン酸アルミニウムを用いた実施例1では、クラック及び溶損ともに確認されなかった。
以上のように、10g/L程度のパティキュレートが堆積した状態からフィルタ再生を実行した場合、耐熱衝撃性に優れ、かつその融点が高いチタン酸アルミニウムを用いることにより、壁厚が200μmであっても、クラックや溶損などを発生することなく再生することができることが確認された。
[再生効率比較試験(2)]
再生効率比較試験(2)では、DPFの気孔径の分布と、DPFの再生効率との関係について検証する。
この再生効率比較試験(2)では、上述の再生効率比較試験(1)と同様にしてDPFの再生効率を算出する。その具体的な手順は、上述の再生効率比較試験(1)と同様であり、詳細な説明を省略する。
また、この再生効率比較試験(2)では、下記表に示すような構成の多孔質壁を備えた実施例1のDPFと実施例3のDPFとに対して、上記手順の試験を行った。実施例1と実施例3を比較すると、実施例1の気孔径は、実施例3の気孔径よりもばらつきが少ない。なお、実施例1と実施例3とでは、気孔径の平均気孔径を中心とした分布のみが異なり、その他の構成は全て同じものとする。
Figure 2010046583
再生効率比較試験(2)の結果を、下記表に示す。
Figure 2010046583
この表に示すように、実施例1の再生効率は、実施例3の再生効率よりも高い。したがって、多孔質壁に形成された気孔径の、平均気孔径を中心としたばらつきを小さくすることにより、再生効率を高くできることが確認された。
なお本発明は上述した実施形態に限るものではなく、種々の変形が可能である。
例えば、DPFの多孔質壁を担体として、この担体の上流側の面に触媒を担持させてもよい。これにより、フィルタ再生処理の実行時において、パティキュレートの燃焼反応を促進することができる。
上記実施形態では、差圧センサ8からの出力によりDPF5におけるパティキュレートの堆積量を推定し、推定した堆積量が所定値を超えたことに応じてフィルタ再生処理を実行したが、これに限らない。例えば、パティキュレートの堆積量を推定せずに、所定時間ごとに定期的にフィルタ再生処理を実行してもよい。
また本発明は、クランク軸を鉛直方向とした船外機などのような船舶推進用エンジンなどの排気浄化フィルタ、及びこの排気浄化フィルタを使用した排気浄化装置にも適用が可能である。
本発明の一実施形態に係るDPF及びこのDPFを使用したエンジンの排気浄化装置の構成を示す図である。 DPFの構成を示す断面図である。 パティキュレートの堆積量と圧力損失との関係を示す図である。 試験装置の構成を示す図である。 試験装置の構成を示す図である。 試験装置の構成を示す図である。 ウォールフロー型の排気浄化フィルタにおける圧力損失と多孔質壁の壁厚との関係を示す図である。
符号の説明
1…エンジン(内燃機関)
3…排気管(排気通路)
5…DPF(排気浄化フィルタ)
51…多孔質壁
52…上流側セル
53…下流側セル
7…ECU
71…フィルタ再生処理実行部(フィルタ再生手段)

Claims (7)

  1. 排気が通過する複数の多孔質壁と、これら多孔質壁により区画形成されるとともに、排気の流路となる複数の上流側セル及び下流側セルと、を備えた排気浄化フィルタであって、
    前記多孔質壁の平均壁厚は、250μm未満であり、
    前記多孔質壁の熱衝撃温度差は、500℃以上であることを特徴とする排気浄化フィルタ。
  2. 前記多孔質壁は、酸化物を含むことを特徴とする請求項1に記載の排気浄化フィルタ。
  3. 前記多孔質壁の平均気孔径は、水銀ポロシメトリ法による計測で6μmから20μmの範囲内に含まれることを特徴とする請求項1又は2に記載の排気浄化フィルタ。
  4. 前記多孔質壁に形成された複数の気孔のうち80%以上の気孔は、平均気孔径を中心として±8μmの範囲内に含まれることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の排気浄化フィルタ。
  5. 前記多孔質壁は、チタン酸アルミニウム、コーディェライト、及びリチウムアルミニウムシリケートよりなる群から選ばれる少なくとも1種を質量比で50%以上含み、
    前記多孔質壁の気孔率は、65%未満であることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の排気浄化フィルタ。
  6. 内燃機関の排気通路に設けられ、排気中のパティキュレートを捕集する排気浄化フィルタと、
    当該排気浄化フィルタを再生するフィルタ再生手段と、を備える内燃機関の排気浄化装置であって、
    請求項1から5の何れかに記載の排気浄化フィルタを使用し、
    前記フィルタ再生手段は、前記排気浄化フィルタに堆積したパティキュレートの堆積量が1L当たり4g以上となってから、前記排気浄化フィルタを再生することを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
  7. 内燃機関の排気通路に設けられ、排気中のパティキュレートを捕集する排気浄化フィルタと、
    当該排気浄化フィルタを再生するフィルタ再生手段と、を備える内燃機関の排気浄化装置であって、
    前記排気浄化フィルタとして請求項1から4の何れかに記載の排気浄化フィルタを使用し、
    前記多孔質壁は、チタン酸アルミニウムを質量比で50%以上含み、
    前記フィルタ再生手段は、前記排気浄化フィルタに堆積したパティキュレートの堆積量が1L当たり10g以上となってから、前記排気浄化フィルタを再生することを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
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