JP2010031799A - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】PM層の欠落によるエミッションの悪化を抑制する。
【解決手段】DPF225を備えるエンジン200を有するエンジンシステム10において、ECU100は、PM層修復制御を実行する。当該制御においては、DPF225に堆積したPMの強制再生時に、PMを大粒径化するための、主として燃焼形態を拡散燃焼に移行させるPM層修復処理が実行される。この際、強制再生が正常終了したか途中終了したかによりPM層修復処理の実行時間は可変となる。PM層修復処理により、PMの粒子径が大径化し、PM粒子がフィルタ担体225aの細孔を通過することなく当該細孔及びフィルタ担体225a表面で堆積する。このため、強制再生により欠落したPM層が可及的速やかに修復され、微小径のPMが大気放出されることによるエミッションの悪化が抑制される。
【選択図】図4

Description

本発明は、PMの捕捉及び再生が可能な、例えばDPF(Diesel Particulate Filter)等を備えた内燃機関の排気浄化装置の技術分野に関する。
この種の装置として、フィルタにPM層を形成させるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された内燃機関の排気浄化装置(以下、「従来の技術」と称する)によれば、フィルタの温度と内燃機関の機関運転状態とに基づいて内燃機関の運転を制御することにより、PMの堆積量を所定範囲内とすることが可能であるとされている。
尚、燃料噴射圧を低くすることで排出されるPM量を増やし、PMにナノPMを吸着させる技術も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、アイドル中に低圧力の燃料噴射を間欠的に行うことで、ナノPMの排出を防ぐ提案もなされている(例えば、特許文献3参照)。
更に、PMを帯電させ、PM同士を衝突させることにより凝集した後、PM再生を行う技術も提案されている(例えば、特許文献4参照)。
特開2004−76684号公報 特開2007−51598号公報 特開2006−250030号公報 特開2001−41024号公報
従来の技術は、フィルタにおけるPMの堆積量をコントロールすることがある程度は可能であり、その点において、フィルタの目詰まり及びPMの捕集率低下等を抑制することは可能である。然るに、フィルタにおけるPM再生速度を精細に制御することは少なくとも容易でなく、またPM排出量を増加させるための機関運転条件の変更にも限界があるから、少なくとも実践的にみれば、一時的にせよフィルタからPM層が消失する、或いはPM層がフィルタの一部において欠落する可能性は、少なくとも無視し得る程度には低くない。
ここで、PMの粒子径は、一般的にフィルタに形成される細孔の径よりも小さいことが多く、一時的にせよ、また一部であるにせよPM層が欠落していると、フィルタを通過して外界に放出されるPMの粒子数は、飛躍的に増加する。ところが、このような粒子数の増加を回避すべく従来の技術を適用し、機関から排出されるPMの量を増やしたところで、上述したようにPMはフィルタを通過し得るから大きな効果が得られない。即ち、従来の技術には、フィルタからPM層が欠落することが考慮されておらず、エミッションが一時的にしろ悪化しかねないという技術的な問題点がある。
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、エミッションの悪化を好適に抑制し得る内燃機関の排気浄化装置を提供することを課題とする。
上述した課題を解決するため、本発明に係る内燃機関の排気浄化装置は、内燃機関の排気系に設置され、排気に含まれるPM(Particulate Matter:粒子状物質)を捕捉し且つ該捕捉されたPMを堆積させることによりPM層を形成可能なフィルタと、該フィルタにおける前記PM層の形成を促進可能な促進手段と、前記PM層の形成状態を特定する特定手段と、前記特定された形成状態に基づいて、前記PM層の形成が促進されるように前記促進手段に対し所定の促進制御を実行する制御手段とを具備することを特徴とする。
本発明に係る「内燃機関」とは、一又は複数の気筒を有し、当該気筒の各々における燃焼室において、例えばガソリン、軽油或いは各種アルコール等の燃料、又は当該燃料を含む混合気の爆発或いは燃焼に伴って生じる力を、例えばピストン、コネクティングロッド及びクランク軸等の物理的な又は機械的な伝達経路を経て駆動力として取り出すことが可能に構成された機関を包括する概念であり、例えば2サイクル或いは4サイクルレシプロエンジン等を指す。特に、本発明に係る内燃機関は、好適な一形態として、軽油を燃料とし、例えば気筒内に吸入される気体(以下、適宜「吸気」と称する)が圧縮される過程等において(例えば、圧縮端等において)燃料が噴射され、当該燃料が高温高圧の気筒内で自着火して燃焼を生じる、或いは、吸気と燃料との混合気が気筒内で圧縮される過程において高温高圧の気筒内で自着火して燃焼を生じる、例えばディーゼルエンジン等の圧縮自着火式内燃機関として構成される。
この内燃機関の排気系には、燃焼室における燃焼の過程において、未燃状態の個体炭素粒子(例えば、スート(煤))、或いはそれに適宜HC、特に粘着性のSOF(Solvable Organic Fraction)等が付着すること等によって生成される各種の粒子状物質等を包括する概念としてのPMを捕捉可能な、例えばセラミックウォールフロー型、メタルフロースルー型又はメタルウォールフロー型等の諸形態を採り得るDPF等のフィルタが備わる。このフィルタは、如何なる形態を採るにせよ、捕捉したPMを堆積させることにより、PMが層状に堆積してなるPM層を形成可能に構成される。
好適な一形態として、フィルタが、排気の入口側と出口側で互い違いに目封じされた複数の通路を有するハニカム状の担体を備えた、所謂ウォールフロー型のDPFである場合、排気中のPMは、当該ハニカム状の担体において排気の流れる方向(以下、適宜「排気流れ方向」と略称する)に形成される複数の通路相互間を隔絶する壁体に阻まれ(排気自体は、壁体部に形成される細孔を介して隣接する通路へ流れる)、当該壁体部に濾し取られる形で捕捉される。PM層は、この捕捉されたPMが、フィルタ表面及び当該フィルタ表面に近い細孔部に堆積することにより形成される。PM層が形成されて以降は、本来壁体部の細孔を通過し得る程度に粒子径の小さいPMも、このPM層に阻まれる形で濾し取られ、PM層の形成が進行する。いずれにせよフィルタの作用により、PMの排出量は、少なくともフィルタを有さぬ場合と較べて幾らかなり低減される。
フィルタ上に形成されるPM層は、このように言わばPMの自己捕集能を有するため、PM層がフィルタ上に、少なくとも実践上不足のない程度に形成されている場合(尚、PM層は、PMがフィルタ面と接触して堆積することにより形成されるから、定常的にみれば、PM層の形成されていない領域は、少なくともPMが接触しない領域と等価であって、即ち、PM層の形成を必要としない領域である)、フィルタにおけるPMの捕集率は、少なくとも予め期待される範囲を実践上問題となる程度に逸脱することはない。一方で、フィルタは、その役割上排気経路に設置されるから、PM層の形成が必要以上に進行すると、所謂目詰まりによる圧力損失が内燃機関の動力性能を低下させかねない。また、PM層の形成が必要以上に進行すると、PM層を形成するPMが排気中の酸素或いは酸化剤と接触し難くなり、再生速度が低下することがある。或いは、PM層の形成が必要以上に進行すると、PMの再生時に燃焼が急速に拡散して、フィルタ担体の熔損を生じかねない。このため、フィルタにおけるPMの再生は、少なくともこの種の不具合が実践上問題となる程度に顕在化する以前に実行される。
この際、例えばフィルタに酸化触媒が担持されていれば、当該DPFにおいてPMの酸化燃焼が促され、PMの捕捉及び再生(端的には酸化燃焼)がDPF自体で行われる。また、DPFの排気流れ方向上流側に酸化触媒が別体として配置されていてもよく、その場合、当該酸化触媒により排気中のNOから酸化力が良好なNOが生成され、当該NOによってDPFに捕捉されたPM(この場合、好適な一形態として、PM中のSOFは酸化触媒により酸化され得、捕捉されるPMは主としてスートとなり得る)の再生が促進される。また、例えば排気温度或いはフィルタ温度等が、PMの再生が開始される温度を超える運転領域、或いはそのような運転領域における運転が継続した場合には、この種の酸化触媒を有しておらずとも、DPFに捕捉されたPMの再生が好適に促進される。
一方で、PMの再生は、例えば車両の走行条件等により排気温度やDPF温度が所定の反応開始温度(フィルタの構成や構造等に応じて可変である)となって生じる自然再生であれ、例えばポスト噴射や燃料の排気添加等により排気温度やフィルタ温度を強制的に高温化させてなされる強制再生であれ、その進行速度を精細に制御することは少なくとも容易ではない。従って、PMの再生がなされた場合、フィルタにおいてPM層が、一時的にせよ、その少なくとも一部の領域において欠落(尚、ここで規定される「欠落」とは、消失、欠損、崩落及び剥離等を包括する概念である)することがある。また、このような各種状況において生じるPMの再生の有無によらず、例えば何らかの物理衝撃や物理振動等によっても、一時的にせよPM層の欠落が生じることがある。即ち、現実的にみれば、フィルタにおいてPM層は一時的であるにせよ欠落し易く、少なくともその欠落自体を回避することには実践上の困難が伴い得る。
ここで特に、フィルタが、この種の自己捕集能を有するPM層を有さずともPMを実践上問題無く捕集し得る場合には、この種の欠落が生じたところで問題はない(この場合、PM層自体の必要性が低下する)が、通常、PMの粒子径はフィルタに形成される細孔の径に対し小さく、PM層が十分に形成されていない領域では、相当数のPMがフィルタを通過してしまう。とりわけ、内燃機関の平常時の燃焼形態として、燃料と吸気とを燃焼以前に十分に混合することによる予混合燃焼が支配的である場合には、拡散燃焼が支配的である場合と較べてPMの粒子径が小さく、フィルタを通過するPMの粒子数は相対的に多くなる。この種の粒子径の小さいPMを、PM層を介することなく捕捉可能なフィルタは、上述した圧損による影響を考えた場合には、実現可能であるか否かは別として少なくとも現実的には採用が難しい。従って、この種のフィルタを有する内燃機関では、PM層の欠落に起因する、PMの放出量の増大を抑制する必要が生じる。
そこで、本発明に係る内燃機関の排気浄化装置によれば、その動作時には、例えばECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る特定手段により、PM層の形成状態が特定される。ここで、本発明に係る「形成状態」とは、形成されているか否かといった二値的状態及びどの程度形成されているか否かといった段階的又は連続的且つ定量的状態を含み、その厚さや密度等の分布をも含む概念である。
また、本発明に係る「特定」とは、特定対象(ここでは、形成状態)又は特定対象と相関する物理量、制御量又は指標値等を所定の検出手段を介して直接的に又は間接的に検出すること、当該検出手段を介して直接的に又は間接的に検出された特定対象と相関する物理量、制御量又は指標値に基づいて予め然るべき記憶手段等に記憶されたマップ等から該当値を選択すること、この種の特定対象と相関する物理量、制御量若しくは指標値又は該当値等から、予め設定されたアルゴリズムや計算式に従って導出又は推定すること、或いはこのように検出、選択、導出又は推定された各種の値を、例えば電気信号等の形で単に取得すること等を包括する広い概念である。係る概念に鑑みれば、特定手段によりなされる「PM層の形成状態を特定する」とは、例えば、フィルタにおけるPMの堆積量(ここで言う「堆積量」とは、排気中のPM濃度、PM層の厚さ、PM層の密度、PM層におけるPMの粒子数或いはPM層の重さ等を含む概念である)を然るべき検出手段を介して取得する、車両や内燃機関の現時点の運転条件又は過去の運転条件の履歴等からPM層が如何なる厚さで、また如何なる分布で、更には如何なる密度で形成されているか等を推定する、フィルタの前後差圧(排気流れ方向におけるフィルタの上下流側の差圧)からPM層が如何なる厚さで、また如何なる分布で、更には如何なる密度で形成されているかを推定する、PMの再生の有無を参照する、強制再生にせよ自然再生にせよPMの再生がどの程度の期間継続したかを算出する、等の各種態様を好適に含み得る。
一方、本発明に係る内燃機関の排気浄化装置によれば、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る制御手段により、この特定された形成状態に基づいて、PM層の形成が促進されるように、促進手段に対し所定の促進制御が実行される。尚、「促進されるように」とは、この種の促進制御がなされない場合と比較してPM層の形成に要する時間を幾らかなり短縮化することを目標とすることを指す。
ここで、本発明に係る「促進手段」とは、フィルタにおけるPM層の形成を促進可能な、例えば物理的、機械的又は電気的な手段を包括する概念であり、PM層の形成を促進することを主目的として設置される、言わば用途特化型の手段を含みつつ、内燃機関に通常備わる(即ち、主用途としてPM層の形成以外の用途を有する)手段を好適に含む概念である。即ち、促進手段は、それ自体がPM層の形成を促進可能であるものを含みつつ、好適な一形態として、物理的、機械的又は電気的な駆動制御(即ち、促進制御の一例)を受けて、結果としてPM層の形成を促進可能な手段を採り得る趣旨である。
このため、本発明に係る内燃機関の排気浄化装置によれば、一時的にせよ部分的にせよ、また、強制再生に起因するにせよ、自然再生に起因するにせよ、物理衝撃や物理振動に起因するにせよ、或いは不測の事態に起因するにせよ、フィルタからPM層が欠落した場合等において、フィルタを通過して大気中に放出されるPMの量を可及的に抑制することが可能となり、エミッションの悪化を可及的に抑制することが可能となるのである。
補足すると、本発明は、燃焼室からのPMの排出量をコントロールしてPM層を所望の厚さに制御する等といった、一時的にせよ又一部の領域であるにせよフィルタからPM層が欠落した状態においては実践上さしたる効果が得られ難い技術思想とは本質的に異なっており、予めPM層が、強制再生に起因するか、自然再生に起因するか、物理衝撃や物理振動によるものか、或いは不測の事態によるものか等の別なく欠落し得る点を念頭におき、特定されるPM層の形成状態に基づいて、PM層の形成(好適な一形態としては、フィルタが実践上問題無い(予め想定又は期待される範囲の)PM捕集能を回復する程度のPM層の形成)に要する時間を二値的に、段階的に又は連続的に短縮化する(形成速度を二値的に、段階的に又は連続的に上昇させる)ことを可能とするものであり、一時的にせよ微小粒子径のPMが大量に放出されることによるエミッションの悪化を好適に抑制し得る点において、これらの技術思想に対し明らかに有利であることは明白である。
更に補足すれば、本発明は、迅速にPM層の修復を図ることに主眼が置かれており、またPM層が実践上十分に形成されている限りにおいてPMの捕集能が担保される点に鑑みれば、特定手段に要求されるPM層の形成状態に係る特定精度は決して高くはない。極端な場合、特定される形成状態とは、PM層が欠落しているか否かを判別可能な程度であってよい。従って、然るべき演算手段等を利用して負荷の高い演算処理を行わずとも、本発明に係る本質的な効果は十分に担保される。
本発明に係る内燃機関の排気浄化装置の一の態様では、前記特定された形成状態に基づいて、前記フィルタから前記PM層の少なくとも一部が欠落しているか否かを判別する第1判別手段を更に具備し、前記制御手段は、前記PM層の少なくとも一部が欠落している旨が判別された場合に前記促進制御を実行する。
この態様によれば、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る第1判別手段により、PM層の少なくとも一部が欠落しているか否かが判別され、PM層の少なくとも一部が欠落している旨が判別された場合に促進制御が実行される。従って、例えばPMの強制再生直後や過剰な高温環境下での自己再生直後等、PM層の全てが消失しかねない状況や、短時間のみ自然再生が生じる等してPM層の一部が欠落しかねない状況、或いはその他各種の要因により少なくとも実践上不具合が顕在化し得る程度にPM層の欠落が生じている状況等において、効率的にPM層を回復させることが可能となる。
本発明に係る内燃機関の排気浄化装置の他の態様では、前記特定手段は、前記形成状態として前記PMの堆積量、前記フィルタの前後差圧、前記PMの再生の度合い及び前記内燃機関の負荷変化の度合いのうち少なくとも一部を特定する。
この態様によれば、特定手段が、上述した形成状態として、フィルタにおけるPMの堆積量、フィルタの前後差圧、PMの再生の度合い(例えば、再生速度、再生時間又はフィルタ温度等であってもよい)及び内燃機関の負荷変化の度合い(例えば、減速度(負の加速度)或いはアクセル開度等により代替されてもよい、また実現象としては、前述のフィルタ前後差圧としても現れ得る)のうち少なくとも一部を特定する。これらは、直接的に検出されるにせよ、間接的に検出されるにせよ、代替値により推定されるにせよ(上述したように、いずれも特定の概念の範疇である)、夫々PM層の形成状態を好適に表し得る又はPM層の形成状態の推定に供し得る物理量或いは指標値として好適であり、制御手段による促進制御が効率的になされ得る。
特に、上記第1判別手段が、この種の物理量又は指標値を参照値として利用した場合、例えば、PMの堆積量が固定又は可変な基準値以上である場合、フィルタの前後差圧が固定又は可変な基準値以上である場合、PMの再生が長時間継続している若しくは高温下でなされている場合、或いは過度な減速度が生じてPM層に衝撃波が晒された場合等に、PM層が欠落している旨の判別を比較的簡便に下し得るため実践上有益である。また、補足すると、本発明に係る促進制御の実行要否を規定し得るPM層の形成状態は、好適には、少なくともPM層の欠落の有無を判別可能とする程度の特定精度を有していればよく、PM層を所望の層厚に制御する等、PMの堆積量、PM層の分布、或いは再生速度等を時間軸上で連続して高精度に推定する必要が生じる制御と較べて、処理負荷を著しく軽減し得る点において顕著に効果的である。
尚、この態様では、前記特定手段は、前記PMの堆積量及び前記PMの再生の度合いを少なくとも特定してもよい。
PMの再生の度合いは、PMの再生が継続している限り幾らかなりPM層の減少が進行し得る点に鑑みれば、無論それ自体がPM層の形成状態を表し得るが、定性的には、PM層が厚い程PM層が欠落するまでに要する時間が長くなるから、PMの堆積量(例えば、PM層の厚さや密度)の大小を考慮することにより、PM層の形成状態がより正確に特定され得る。従って、この場合、促進制御がより効率的に実行され得る。
尚、この態様では、前記特定手段は、前記PMの堆積量及び前記フィルタの前後差圧及び前記負荷変化の度合いを少なくとも特定してもよい。
例えば、車両に過度な減速度が生じた場合(例えば、急制動時)等には、内燃機関の負荷が過渡的に減少し(即ち、負荷変化の度合いが大きくなり)、フィルタの上流側に一時的に生じる負圧の衝撃波(圧力波)によりPM層が欠落することがある。従って、この種の過度な減速度を規定し得る指標値としての負荷変化の度合いや前後差圧により、PM層の形成状態は好適に特定され得るが、PM層が厚い程PM層が欠落するまでに要する時間が長くなる点に鑑みれば、PMの再生の度合いと同様に、PMの堆積量(例えば、PM層の厚さや密度)の大小が考慮された場合には、PM層の形成状態がより正確に表され得る。
本発明に係る内燃機関の排気浄化装置の他の態様では、前記制御手段は、前記促進制御を所定時間実行する。
この態様によれば、促進制御が、例えば、予め実験的に、経験的に、理論的に又はシミュレーション等に基づいて、少なくとも実践的に不足ない程度にPM層を修復させ得る時間等として規定されてなる所定時間実行されるため、制御手段の制御上の負荷を低減することが可能である。尚、「所定時間」とは、必ずしも固定値でなくてもよく、例えば、特定された形成状態に応じて二値的、段階的又は連続的に可変な値であってもよい。
本発明に係る内燃機関の排気浄化装置の他の態様では、前記促進制御の実行期間において前記特定された形成状態に基づいて前記PM層が修復されたか否かを判別する第2判別手段を更に具備し、前記制御手段は、前記PM層が修復された旨が判別された場合に前記促進制御を終了する。
この態様によれば、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る第2判別手段により、促進制御の実行期間において、PM層が修復されたか否かが判別され、PM層が修復された場合には促進制御が終了せしめられるため、促進制御を効率的且つ効果的に実行することが可能となる。
本発明に係る内燃機関の排気浄化装置の他の態様では、前記フィルタにおいて前記PMの再生がなされているか否かを判別する第3判別手段を更に具備し、前記制御手段は、前記PMの再生がなされている旨が判別された場合に、前記促進制御の実行を制限する。
この態様によれば、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る第3判別手段により、PMの再生がなされているか否かが判別され、PMの再生がなされている場合には、促進制御の実行が制限される。ここで、「制限する」とは、好適な一形態として禁止することを含み、少なくとも何ら制限がなされない場合と比較してPM層の形成を遅延させることを含む趣旨である。PMの再生がなされている場合、PM層の形成を促進させたところでPM層を構成するPMが再生されることとなり、促進制御が無駄になされかねないため、この種の制限がなされることによる実践上の利益が大となる。
本発明に係る内燃機関の排気浄化装置の他の態様では、前記促進手段は、前記PMの粒子径を増大させることが可能であり、前記制御手段は、前記促進制御において前記PMの粒子径を増大させる。
この態様によれば、促進制御の実行期間において、促進手段を介してPMの粒子径が増大せしめられるため、PM粒子がフィルタの細孔を通過し難くなり、PM層の形成が好適に促進される。また、この際、PMの粒子径が、例えば燃料中のSOF等により、或いは燃焼室内を浮遊する過程で互いに衝突すること等により相互に結合する固体炭素の数に支配的に左右される点に鑑みれば、粒子径の増大は、一義的に粒子数の減少を招く。従って、このようにPMの粒子径を増大させた場合には、PM層の形成を促進することにより、フィルタを通過するPMの粒子数を減少させる効果が得られ、実践上極めて有益である。
ここで、PMの粒子径を増大させるための措置としては、燃料の着火遅れ期間の短縮化(尚、短縮の基準は、好適な一形態として、PM層の形成を促進する必要のない平常時の着火遅れ期間である)が有効である。着火遅れ期間が短縮化されると、吸気(EGRの有無にかかわらず、少なくとも吸入空気を含む)と燃料との予混合が相対的に不十分となって、予混合燃焼の割合が低下し、燃焼形態は相対的に拡散燃焼に近くなる。拡散燃焼の割合が増加すると、酸素不足の領域が増加して(局所的に酸素不足の領域が形成されることを意味し、全体として空燃比は必ずしも変化する必要はない)、酸素不足の状態で加熱され水素が離脱してなる炭素粒子(フリーカーボン)が発生する。それに加え、着火遅れ期間が短縮化されると、筒内温度が比較的高温に保たれるため、これらフリーカーボン同士が結合し成長して大粒径のPMが生成され易くなるのである。
従って、PMの粒子径を増大させることが可能な促進手段の構成としては、制御上、拡散燃焼の割合を増加させ得る構成や、着火遅れ期間の短縮化を図り得る構成が好適であり、例えば、促進手段は、燃焼室内に燃料を噴射するための噴射手段、吸気量を調整可能なスロットルバルブ等の吸気量調整手段、例えば排気ポート、排気マニホールド及び排気管等を適宜に含み得る概念としての排気系から、排気の一部を、不活性のCOを多量に含むEGR(Exhaust Gas Recirculation)ガスとして、例えば吸気ポート、吸気マニホールド及び吸気管等を適宜に含み得る概念としての吸気系に、直接若しくは間接的に、又はEGRバルブ等、EGRガスの循環量(以下、適宜「EGR量」と略称する)を制御可能な弁体、弁機構、弁装置又は弁システム或いはそれに類する機構等の状態に応じて限定的に循環供給することが可能に構成されたEGR装置、圧縮比を変化させることが可能な圧縮比可変装置(例えば、可変動弁装置等)或いは燃焼室内の温度(以下、「燃焼温度」と称する)を上昇させることが可能な加熱手段等の形態を有していてもよい。
尚、この態様では、前記促進手段は、前記PMに燃料を付着させることにより前記PMの粒子径を増大させることが可能に構成されており、前記制御手段は、前記促進制御において前記PMに燃料を付着させてもよい。
PMの粒子径は、必ずしも燃焼形態の制御により増大させられる必要はない。PMを形成する固体炭素同士を結合せしめる要素としては、燃料中のSOFが有効であり、例えば、排気に燃料添加を行う、或いは燃料のポスト噴射を行う等の措置を講じることによって、フィルタに到達する以前にPMの粒子径を増大させることは可能である。この場合、促進手段は、排気経路に設置された燃料添加弁等の形態を採ってもよい。
本発明に係る内燃機関の排気浄化装置の他の態様では、前記促進手段は、前記排気の流速を変化させることが可能であり、前記制御手段は、前記促進制御において前記流速を低下させる。
排気の流速が低下すれば、PMはフィルタを通過し難くなる。このため、PMが堆積し易くなって、PM層の修復に要する時間が相対的に短縮される。とりわけ、吸気量を絞ること等によって排気の流速を低下させた場合、筒内の吸気量自体が減少するため、PMの粒子数自体が減少する。このため、PM層の修復がなされている期間におけるPMのフィルタ通過量が減少し、より効果的である。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
<発明の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の好適な各種実施形態について説明する。
<実施形態の構成>
始めに、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係るエンジンシステム10の構成について説明する。ここに、図1は、エンジンシステム10の構成を概念的に表してなる概略構成図である。
図1において、エンジンシステム10は、図示せぬ車両に搭載され、ECU100及びエンジン200を備える。
ECU100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を備え、エンジン200の動作全体を制御することが可能に構成された電子制御ユニットであり、本発明に係る「特定手段」、「制御手段」及び「第1判別手段」の一例である。ECU100は、ROMに格納される制御プログラムに従って、後述するPM層修復制御を実行することが可能に構成されている。
尚、ECU100は、本発明に係る「特定手段」、「制御手段」及び「第1判別手段」の一例として機能するように構成された一体の電子制御ユニットであり、これら各手段に係る動作は、全てECU100によって実行されるように構成されている。但し、本発明に係るこれら各手段の物理的、機械的及び電気的な構成はこれに限定されるものではなく、例えばこれら各手段は、複数のECU、各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成されていてもよい。
エンジン200は、軽油を燃料とする、本発明に係る「内燃機関」の一例たる直列4気筒ディーゼルエンジンである。エンジン200の概略について説明すると、エンジン200は、シリンダブロック201に4本のシリンダ202が並列配置された構成を有している。そして、各気筒内において燃料を含む混合気が圧縮自着火した際に生じる力が、不図示のピストンを紙面と垂直な方向に往復運動させ、更にコネクティングロッドを介してピストンに連結されるクランクシャフト(いずれも不図示)の回転運動に変換される構成となっている。以下に、エンジン200の要部構成を、その動作の一部と共に説明する。尚、本実施形態に係るエンジン200は、シリンダ202が図1において紙面と垂直な方向に4本並列してなる直列4気筒ディーゼルエンジンであるが、個々のシリンダ202の構成は相互に等しいため、ここでは一のシリンダ202についてのみ説明することとする。
シリンダ202内における混合気の燃焼に際し、エアフィルタを介して外部から吸入された空気たる吸入空気は、吸気管203に導かれる。吸気管203には、吸入空気の量を調節可能なスロットルバルブ204が配設されている。このスロットルバルブ204は、ECU100と電気的に接続され且つECU100により上位に制御されるスロットルバルブモータ(不図示)から供給される駆動力により回転可能に構成された回転弁であり、スロットルバルブ204を境にした吸気管203の上流部分と下流部分とをほぼ遮断する全閉位置から、ほぼ全面的に連通させる全開位置まで、その回転位置が連続的に制御される構成となっている。
吸気管203は、吸気マニホールド205と連通しており、この吸気マニホールド205を介して更に、各シリンダに設けられた吸気ポート206に連通している。一方、吸気管203に導かれる吸入空気は、スロットルバルブ204の下流側の合流位置において、後述するEGRガスと混合され、吸気ポート206とシリンダ内部とを連通させることが可能に構成された不図示の吸気バルブの開弁時にシリンダ202内に吸気として吸入される構成となっている。シリンダ202内には、筒内直噴型のユニットインジェクタ207から燃料たる軽油が噴射される構成となっており、噴射された燃料が各シリンダ内部で、当該吸気と混合され、上述した混合気となる。
尚、詳細は省略するが、燃料は、不図示の燃料タンクに貯留されている。この燃料タンクに貯留される燃料は、不図示のフィードポンプの作用により燃料タンクから汲み出され、不図示の低圧配管を介して公知の各種態様を採り得高圧ポンプ(不図示)に圧送される構成となっている。この高圧ポンプは、コモンレール208に対し、燃料を供給することが可能に構成されている。
コモンレール208は、ECU100と電気的に接続され、上流側(即ち、高圧ポンプ側)から供給される高圧燃料をECU100により設定される目標レール圧まで蓄積することが可能に構成された、高圧貯留手段である。尚、コモンレール208には、レール圧を検出することが可能なレール圧センサ及びレール圧が上限値を超えないように蓄積される燃料量を制限するプレッシャリミッタ等が配設されるが、ここではその図示を省略することとする。前述したユニットインジェクタ207は、シリンダ202毎に搭載されており、夫々が高圧デリバリ209を介してコモンレール208に接続されている。
ここで、ユニットインジェクタ207の構成について補足すると、ユニットインジェクタ207は、ECU100から供給される指令に基づいて作動する電磁弁と、この電磁弁への通電時に燃料を噴射するノズル(いずれも不図示)とを備える。当該電磁弁は、コモンレール208の高圧燃料が印加される圧力室と、当該圧力室に接続された低圧側の低圧通路との間の連通状態を制御することが可能に構成されており、通電時に当該加圧室と低圧通路とを連通させると共に、通電停止時に当該加圧室と低圧通路とを相互に遮断する。
一方、ノズルは、噴孔を開閉するニードルを内蔵し、圧力室の燃料圧力がニードルを閉弁方向(噴孔を閉じる方向)に付勢している。従って、電磁弁への通電により加圧室と低圧通路とが連通し、圧力室の燃料圧力が低下すると、ニードルがノズル内を上昇して開弁する(噴孔を開く)ことにより、コモンレール208より供給された高圧燃料を噴孔より噴射することが可能に構成される。また、電磁弁への通電停止により加圧室と低圧通路とが相互に遮断されて圧力室の燃料圧力が上昇すると、ニードルがノズル内を下降して閉弁することにより、噴射が終了する構成となっている。
尚、燃料は、個々のシリンダ202において、ユニットインジェクタ207を介し、目標噴射量に相当する燃料が、燃焼室内の急激な温度上昇を防止するための、或いは燃料と吸気とを十分に予混合するための単数又は複数のパイロット噴射と、目標噴射量とパイロット噴射量との差分に相当する主噴射とに分割して噴射される構成となっている。
上述した混合気は、圧縮工程において自着火して燃焼し、燃焼済みガスとして、或いは一部未燃の混合気として、吸気バルブの開閉に連動して開閉する排気バルブ(不図示)の開弁時に排気ポート210を介して排気マニホールド211に導かれる構成となっている。この排気マニホールド211は、排気管212に連通しており、排気の大部分は、この排気管212に導かれる構成となっている。
一方、排気管212には、タービンハウジング213に収容される形でタービン214が設置されている。タービン214は、排気管212に導かれた排気の圧力(即ち、排気圧)により所定の回転軸を中心として回転可能に構成されている。このタービン214の回転軸は、コンプレッサハウジング216に収容される形で吸気管203に設置されたコンプレッサ215と共有されており、タービン214が排気圧により回転すると、コンプレッサ215も当該回転軸を中心として回転する構成となっている。
コンプレッサ215は、吸気管203に導かれる吸入空気を、その回転に伴う圧力により上述した吸気マニホールド205へ圧送供給することが可能に構成されており、このコンプレッサ215による吸入空気の圧送効果により、所謂過給が実現される構成となっている。即ち、タービン214とコンプレッサ215とにより、一種のターボチャージャが構成されている。尚、コンプレッサ215と吸気マニホールド205との間には、インタークーラが設置され、過給された吸入空気を冷却することによって過給効率が向上せしめられてもよい。
尚、吸気管203におけるコンプレッサ215の上流側には、エアフローメータ217が配設されている。エアフローメータ217は、吸気管203に導かれる吸入空気の量(吸入空気量)を検出する装置であり、所謂ホットワイヤー式と称される形態が採用されている。尚、エアフローメータ217の近傍に、吸気温センサが設置され、エアフローメータ217による吸入空気量の検出精度の向上が図られる構成であってもよい。
排気マニホールド211には、排気管212とは別にEGR通路218が連通している。EGR通路218は、排気マニホールド211と吸気管203とを連通させる金属製且つ中空の管状部材であり、上述した合流位置において吸気管203と連通する構成となっている。EGR通路218は、その一部の区間においてEGRクーラ220が設置された冷却通路219とEGRクーラ220が設置されないバイパス通路221とに分岐している。
EGRクーラ220は、EGR通路218に設けられた冷却装置である。EGRクーラ220は、外周部にエンジン200の冷却水配管が張り巡らされた金属製且つ中空の管状部材であり、EGRパイプ218に導かれ冷却通路219を介してEGRクーラ220を通過するEGRガスは、この冷却水との熱交換により冷却され、下流側(即ち、吸気管203側)へ導かれる構成となっている。EGRクーラ220には、夫々が上述したウォータジャケットに連通するインレットパイプ及びアウトレットパイプ接続されている。この際、冷却水は、インレットパイプから当該冷却水配管に流入し、アウトレットパイプを介して当該冷却水配管の外に排出される。排出された冷却水は、エンジン200の冷却水循環系に還流され、所定の経路を経て再びインレットパイプから供給される。上述したバイパス通路221は、少なくともこのEGRクーラ220をバイパスするように構成されている。
切り換えバルブ222は、EGR通路218とバイパス通路221との分岐部位に設置された開閉可能な弁体と、当該弁体を駆動する駆動装置を含むバルブ機構である。切り換えバルブ222の弁体は、当該駆動装置により開閉状態が連続的に変化するように構成されており、当該開閉状態に応じて、冷却通路219とバイパス通路221との間のEGRガスの流量比率を制御することが可能に構成されている。切り換えバルブ222の駆動装置は、ECU100と電気的に接続されており、切り換えバルブ222の弁体の開閉状態は、ECU100により上位に制御される構成となっている。
EGRバルブ223は、冷却通路219とバイパス通路221との合流位置下流側(吸気管203側)においてEGR通路218に設置された開閉可能な弁体と、当該弁体を駆動する駆動装置を含むバルブ機構である。EGRバルブ223の弁体は、当該駆動装置により開閉状態が連続的に変化するように構成されており、当該開閉状態に応じて、EGR通路218を流れるEGRガスの流量、即ち、EGR量を制御することが可能に構成されている。EGRバルブ223の駆動装置は、ECU100と電気的に接続されており、EGRバルブ223の弁体の開閉状態は、ECU100により上位に制御される構成となっている。EGR通路218、冷却通路219、EGRクーラ220、バイパス通路221、切り換えバルブ222及びEGRバルブ223は、全体として、EGR装置の一例を構成している。尚、以下の説明において、これら全体を総称する場合には適宜「EGR装置」なる言葉を使用することとする。
排気管212におけるタービン214の下流側には、酸化触媒224及びDPF225が設置されている。
酸化触媒224は、排気中のCO、HC(主としてSOF)及びNO等を酸化することが可能に構成された触媒コンバータである。
DPF225は、排気中のPMを捕捉可能に構成された、本発明に係る「フィルタ」の一例たるフィルタである。DPF225は、金属製の筐体に、コージェライトやSiC等のセラミック製フィルタ担体225a(後述)が収容された構造を有する。ここで、図2を参照し、DPF225の詳細な構成について説明する。ここに、図2は、排気の流れに沿った方向におけるDPF225の模式的な断面図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符合を付してその説明を適宜省略することとする。
図2において、DPF225は、排気の流れる方向に伸長し且つ排気の流れる方向と垂直な断面がハニカム状をなす複数の排気通路を有するフィルタ担体225aを備えている。この排気通路は、排気の入口側と出口側とのうち一方が、相互に隣接しないように互い違いに目封じされており、所謂セラミックウォールフロー型のフィルタ構造を有している。このような構成において、DPF225に図示矢線として表す排気が流入すると、目封じされていない方の排気通路から排気が流入し、図示極小矢線に示す如く、出口側が開放された排気通路へ移動した後に、下流側が目封じされていない排気通路より排出される。この際、後述するPM層によって、排気中のPMが濾し取られ、排気が浄化される構成となっている。
図1に戻り、排気管212には、排気温センサ226、上流側圧力センサ227、下流側圧力センサ228、温度センサ229及びPM濃度センサ230の、各センサ群が配設されている。
排気温センサ226は、酸化触媒224の上流側に設置された温度センサであり、酸化触媒224の上流側における排気温Texを検出することが可能に構成されている。上流側圧力センサ227は、DPF225上流側の排気圧Pdpf1を検出可能な圧力センサである。下流側圧力センサ228は、DPF225下流側の排気圧Pdpf2を検出可能な圧力センサである。温度センサ229は、DPF225のフィルタ担体225aの代表部位の温度を、DPF温度Tdpfとして検出可能に構成された温度センサである。PM濃度センサ230は、DPF225下流側に設置され、DPF下流の排気中におけるPM濃度Dpmを検出可能に構成されたセンサである。これら各種センサは、各々がECU100と電気的に接続されており、当該各々により検出される各指標値(排気温Tex、排気圧Pdpf1、Pdpf2、Tdpf及びDpm)は、ECU100により一定又は不定の周期で参照される構成となっている。
排気管212には、燃料添加弁231が配設されている。燃料添加弁231は、燃料の供給ラインと連通した噴射弁であり、排気管212内に燃料を直接供給することが可能に構成されている。燃料添加弁231は、ECU100と電気的に接続されており、その動作がECU100により上位に制御される構成となっている。
<実施形態の動作>
<PM層修復制御の概要>
始めに、図3を参照し、DPF225によるPMの捕捉機能について説明する。ここに、図3は、図2における点線枠Aの模式的拡大図である。尚、同図において、図2と重複する箇所には同一の符合を付してその説明を適宜省略することとする。
図3(a)において、フィルタ担体225aは、その基材たるセラミックが焼成される過程において、内部に細孔が形成されている。排気は、この細孔を通過して隣接する排気通路へ移動する。一方、細孔の径は、微小径のPM(例えば、ナノメートルオーダのPM)よりも大きく、初期状態(PM強制再生が完了した直後の状態を含む)においては、この種の微小径のPMを捕捉することができない。ここで、排気が通過する過程において、フィルタ担体225aの表面には、一部細孔部に浸潤する形で、経時的にPM層225bが形成される。PM層225bは、比較的粒子径の大きい(即ち、粒子径が細孔径よりも大きい)PMが堆積して形成されたPMの層である。このPM層225bは、自己捕集能を有しており、上述した微小径のPMの一部を捕捉することができる。
一方、PM層225がフィルタ担体225aに過剰に形成されると、排気抵抗が大きくなって圧力損失が増大し、エンジン200の動力性能が低下する。このため、ECU100は、所定間隔(PM層におけるPM堆積量が所定量に到達したと推定される時点)で、PM強制再生用のポスト噴射(即ち、強制再生用の燃料を、当該燃料が排気管212を流れる過程で燃焼するように、通常の主噴射時期以降に噴射すること)を実行し、排気温度を上昇させる。PM層225を構成するPMは、粒子径はさておき、主として燃焼室内部に浮遊するフリーカーボンの凝集体及びそれらをコーティングする燃料(HC)中のSOF等(燃料中の金属アッシュやサルフェート等も微量に含む)から構成されており、このように排気温度が上昇し、DPF225の温度が上昇すると、排気中の酸素或いは酸化剤により酸化燃焼を開始する。この際、このようなPMの酸化燃焼反応が開始されるDPF温度は、DPFの構成により様々であり、例えば、酸化触媒がフィルタ担体に担持されている場合には400℃前後、担持されていない場合には600℃前後、またDPFの前段に本実施形態の如く酸化触媒が設置されている場合には、酸化触媒において酸化能を強いNO2の生成が促進されることに起因して、例えば250℃前後でPMの酸化燃焼が開始される。
また、このようにDPF温度が反応開始温度に到達することによりPMの再生が開始される点に鑑みれば、エンジン200の運転条件によっては、例えば、高負荷運転が長期にわたって継続した場合等に、排気温度が上昇してDPF温度が上昇し、上述したPM強制再生と同等の現象が自然と生じることがある。また、本実施形態のように、酸化触媒を前段に備える構成では、反応開始温度が低いことに起因して、PMの捕捉と再生とが連続的に行われる、CRT(Continuous Re-generation Trap)と称されるPMの連続再生が可能である。これがPMの自然再生であり、このような自然再生が生じた場合には、ECU100側で特段の処理を行わずともPMの再生が行われ得る。但し、DPFがいずれの形態を採るにせよ、元よりガソリンエンジンに対して燃焼温度の低いディーゼルエンジンでは、DPF温度が、この種の反応開始温度以上の温度領域にある期間は長くなく、実質的には上述したPM強制再生が少なからず実施される。
ここで、PMの再生が完了する、或いはある程度継続すると、PM層225bはその全て或いは一部が消失する。図3(b)には、このようにPM層225bの一部が消失し、図3(a)におけるPM層225bが、PM層225b1とPM層225b2とに分割された状態が示される。
このようにPM層225bの少なくとも一部が消失した場合、元よりフィルタ担体225aの細孔径よりも粒子径が小さい微小径のPMは、図示破線の経路を辿る等してフィルタ単体225aを通過し、車両外へ排出され、エミッションを悪化させる要因となる。そこで、この種のエミッションの悪化を可及的に回避するため、ECU100は、通常の燃焼制御とは異なる処理ルーチンで、PM層修復制御を実行している。
<PM層修復制御の詳細>
ここで、図4を参照し、PM層修復制御の詳細について説明する。ここに、図4は、PM層修復制御のフローチャートである。
図4において、ECU100は、PMの強制再生が開始されたか否かを判別する(ステップS101)。強制再生が開始されていない場合(ステップS101:NO)、処理はステップS101に戻される。強制再生が開始された場合(ステップS101:YES)、ECU100は、強制再生が正常に終了したか否かを判別する(ステップS102)。ここで、「正常に終了した」とは、強制再生が予め設定された実行時間(強制再生は、DPF225に堆積したPMの量が所定値を超えたと判断される場合に実施されるため、強制再生の実行時間は固定値である)継続して実行されたことを意味する。
強制再生が正常終了した場合(ステップS102)、処理はステップS103に移行され、PM層修復処理が実行される。一方、強制再生が正常終了しない場合(ステップS102:NO)、ECU100は更に、強制再生が途中終了したか否か(即ち、上記実行時間が経過する以前に終了したか否か)が判別される(ステップS104)。強制再生が継続中である場合(ステップS104:NO)、処理はステップS102に戻される。
強制再生が途中終了した場合(ステップS104:YES)、ECU100は更に、DPF温度Tdpfが基準値Tdpfthよりも高いか否かを判別する(ステップS105)。この基準値Tdpfthは、DPF225の構成により定まる上述した反応開始温度に対応する値であり、本実施形態では、概ね250℃前後に設定されている(無論、一例であり、例えば酸化触媒224を有さない構成であれば、基準値は600℃前後であってもよい)。
DPF温度Tdpfが基準値Tdpfth以下である場合(ステップS105:NO)、処理はステップS101に戻される。即ち、この場合、DPF225におけるPMの再生は、PM層225bの少なくとも一部を消失させる(実践的にみて十分なPM捕集能を有さない程度にPM層225bの厚さが減少した状態を含む)程度にはPMの再生が進行していないものとして、PM層225bの修復はなされない。
一方、DPF温度Tdpfが基準値Tdpfthよりも高い場合(ステップS105:YES)、ECU100は、処理をステップS106に移行し、PM層修復処理を実行する。ステップS103又はステップS106によりPM層修復処理が実行されると、処理はステップS101に戻され、一連の処理が繰り返される。
ここで、PM層修復処理について説明する。
PM層225bの少なくとも一部が消失した場合、微小径のPMはフィルタ担体225aの細孔部を通過する。ここで、エンジン200の通常の燃焼形態は、燃料と吸気との予混合(着火以前の混合)を促進させてなる予混合燃焼が支配的である。予混合燃焼が支配的である場合、燃料分子の近傍に十分な量の酸素分子が存在し、燃焼時に燃料分子から水素が離脱した後にも周囲に酸素が存在する。従って、水素が離脱した後のフリーカーボンの酸化燃焼も進行する。このため、予混合燃焼が支配的である場合、燃焼室内に浮遊するフリーカーボンの量及び密度は相対的に低く抑えられ、総体的に見れば(即ち、PM層が十分に形成されている定常状態で見れば)エミッションの悪化が抑制され好適である。
ところが、このように予混合燃焼が支配的となる場合、フリーカーボンが凝集することにより生成されるスート(煤)の粒子の集合確率及び衝突確率が低下するため粒子径の大きなPMの成長が進行せず、PM層225bの一部が消失している場合には、DPF225をすり抜けて大気中に放出されるPMの粒子数が増加してしまう。そこで、PM層修復処理では、このようにPM層225bを修復する目的から、拡散燃焼の割合を増加させる各種の処理が実行される。
拡散燃焼では、燃料分子の近傍領域は部分的に酸素不足であり、フリーカーボンの酸化燃焼が進行しない。このため、気筒内部のフリーカーボンの量及び密度が増加して、集合確率及び衝突確率が増加する。その結果、フリーカーボン同士が結合し、これらが連鎖してなる粒子径の大きなPMの生成が促進される。PMの粒子径が大きくなれば、PM層225bに生じた穴(即ち、PM層の欠落部分)を通過するPMの割合が減少し、PMがフィルタ担体表面、或いは細孔表層部において捕捉され易くなる。その結果、PM層の形成が、少なくとも燃焼形態として予混合燃焼が支配的である通常時と較べて促進されるのである。
PM層修復処理としては、このように粒子径の大きなPMを生成させることが可能である限りにおいて、多様な形態を採ることができる。本実施形態では、これらのうち、(1)噴射制御による着火遅れ期間の短縮化、(2)圧縮端温度の上昇による着火遅れ期間の短縮化、(3)空燃比のリッチ化による拡散燃焼の促進及び(4)燃料の予混合阻害について説明する。
(1)噴射制御による着火遅れ期間の短縮化
エンジン200の噴射制御において、燃料はパイロット噴射と主噴射とに分割して噴射される。この際、通常の噴射制御においては、燃焼主体となる主噴射燃料の噴射時期は、所謂リタード制御により遅角された状態にあり、より具体的には圧縮端よりも遅角側に設定されている。このため、主噴射燃料の着火は、圧縮端付近で燃料が噴射される場合と較べて遅延し、着火遅れ期間は総じて長くなる。その結果、燃料の予混合が促進され、予混合燃焼が支配的となる。
その点に着目し、(1)の制御形態が採用される場合、ECU100は、インジェクタ207を駆動制御して、主噴射時期を進角側に設定する。主噴射時期が進角側に設定され、例えば圧縮端或いは圧縮端近傍(この場合、好適には圧縮端よりも進角側)に設定されると、噴射時点での筒内温度が高いため、主噴射燃料は通常の噴射制御と較べて早期に着火する。このため、混合気の予混合は総じて進行せず、燃焼形態として拡散燃焼が支配的となって、上述したように粒子径の大きなPMの成長が促進されるのである。
尚、同様の効果は、パイロットインタバル(パイロット噴射と主噴射との間隔)の短縮、或いはパイロット噴射量の増量によっても実現可能である。前者の場合、言わば火種となるパイロット噴射燃料と主噴射燃料との物理的位置が接近するため、主噴射燃料の着火が促進され、着火遅れ期間が短縮化される。また後者の場合、パイロット噴射による筒内温度の上昇が促進されるため、主噴射燃料の着火が促進され、着火遅れ期間が短縮化される。着火遅れ期間を短縮化するための制御としては、これらのいずれが採用されてもよく、またこれらが複合して実行されてもよい。
(2)圧縮端温度の上昇による着火遅れ期間の短縮化
主噴射燃料の着火遅れ期間を短縮するための手法は、上述した噴射制御に限定されない。(2)の制御形態が採用される場合、圧縮端温度が上昇せしめられ、筒内温度の上昇が図られる。筒内温度が上昇することにより、主噴射燃料は着火し易くなり、着火遅れ期間が短縮化される。
圧縮端温度を上昇させる場合、ECU100は、例えば、切り替えバルブ222を駆動制御して、EGRガスの供給経路をバイパス通路221側へ切り替える。この場合、EGRガスの冷却は停止するから、冷却通路219を通過するよりも高温の状態でEGRガスが吸気系に還流せしめられる。その結果、吸気の温度が上昇して、圧縮端温度が上昇する。
尚、同様の効果は、圧縮比の増大或いは吸気加熱によっても実現可能である。前者の場合、例えば、図1において不図示の可変圧縮比機構等を介して、例えば気筒容積或いはピストンの行程長を変更することにより、圧縮比を増大させることができる。また、VVT(Variable Valve Timing)等、図1において不図示の可変動弁装置の駆動制御によっても、圧縮比を増大させることが可能である。後者の場合、PTCヒータ等、図1において不図示の吸気加熱装置の駆動制御により吸気を加熱することで、上記EGRガスの作用と同様に圧縮端温度を増加させることが可能である。着火遅れ期間を短縮化するための制御としては、これらのいずれが採用されてもよく、またこれらが複合して実行されてもよい。また、上記(1)の制御形態との協調がなされてもよい。
(3)空燃比のリッチ化による拡散燃焼の促進
着火遅れ期間を短縮化する以外にも、大粒径のPMの生成を促進することは可能である。(3)の制御形態においては、空燃比のリッチ化が図られる。空燃比がリッチ化(少なくとも、通常の燃焼形態における空燃比よりもリッチ側の空燃比が採用されることを指す)されると、気筒内の酸素濃度が相対的に減少するため、固体炭素の酸化燃焼がより阻害され、粒子径の大きなPMの成長が促進される。
空燃比のリッチ化を図る場合、ECU100は、EGRバルブ223を駆動制御して、EGR率を上昇させる。EGR率が上昇すると、吸気におけるEGRガスの割合が増加して、吸気中の酸素濃度が低下する。その結果、空燃比はリッチ側に変化して、燃料の不完全燃焼が生じ易くなり、PMが大粒径化し易くなるのである。
尚、同様の効果は、吸入空気量を減少させることによっても実現可能である。吸入空気量を減少させる場合、ECU100は、例えばスロットルバルブ204を閉弁側に駆動する。スロットルバルブ204が閉弁側へ駆動されることによって、吸入空気量自体が減少して、結果的に気筒内に吸入される吸気における酸素濃度が低下する。この場合は特に、負荷の低下に伴って排気の流速が低下し、排気中のPMがDPF225に捕捉され易くなるため、より効果的である。また、タービン214に流入する排気の量を調整可能な、例えばVN(Variable Nozzle)等の調量手段が備わる場合、ECU100は、係る調量手段を閉鎖側へ駆動して、タービン214への排気の流入を制限してもよい。この場合、タービン214の回転速度が低下して過給圧が低下し、結果的に吸入空気量が減少する。空燃比をリッチ化するための制御としては、これらのいずれが採用されてもよく、またこれらが複合して実行されてもよい。また、上記(1)及び(2)の制御形態との協調がなされてもよい。
(4)燃料の予混合阻害
燃料の予混合が阻害される場合、気筒内の吸気は、全体としての空燃比が変化しなくても、燃料が偏在した相対的に空燃比リッチの領域と、空気が過多な相対的に空燃比リーンの領域との成層状態となる。このため、係る空燃比が相対的にリッチな領域においては、炭素の酸化燃焼が進行し難くなり、大粒径のPMが生じ易くなる。
このように燃料の予混合を阻害するに際し、ECU100は、例えば、インジェクタ207或いはコモンレール208の駆動制御を介して、燃料の噴射圧を低下させる。燃料の噴射圧が低下すると、主噴射燃料が偏在し易くなり、予混合の進行が緩慢となる。また、吸気ポート206に、スワールコントロールバルブ等、吸気の旋回流を形成可能な手段が備わる場合、吸気旋回流(スワール流)の流速を低下させる(端的には、スワールコントロールバルブを開弁側に制御する)ことにより、気筒内部における吸気と燃料との混合を緩慢にしてもよい。このように空燃比を局所的にリッチ化するための制御としては、これらのいずれが採用されてもよく、またこれらが複合して実行されてもよい。また、上記(1)乃至(3)の制御形態との協調がなされてもよい。
以上例示したように、PMの大粒径化を促進する制御態様としてはエンジン200に備わる、インジェクタ207、コモンレール208、EGRバルブ223、切り替えバルブ222及びスロットルバルブ204等(これらは、いずれもが本発明に係る「促進手段」の一例である)を使用するだけでも、上記各種の駆動制御(尚、上述した各種制御形態は、夫々が本発明に係る「促進制御」の一例である)が存在し、図1に図示しない、スワールコントロールバルブ、VN、VVT、圧縮比可変機構及び吸気加熱装置等を備える場合には、更に多様化する。これらは、いずれもが、PMの大粒径化に特化して設置されるものでなく、PMの大粒径化を図るに際し、コストの増加は生じない。
ここで、ステップS103とステップS106とでは、各制御の実行時間が異なっており、強制再生が正常終了した際になされるステップS103ではPM層修復処理の実行時間がTa、強制再生が途中終了した際になされるステップS106ではPM層修復処理の実行時間がTb(Tb<Ta)に設定される。即ち、強制再生が正常終了した際には、より長い期間についてPM層修復処理が実行される。PM層修復処理の実行時間は、定性的な傾向としては、PM層225bの欠落の度合い(PM層が全て消失したか、或いは一部が消失したか等)に応じて可変であり、少なくとも実践上不具合が生じない(例えば、燃焼形態を通常時に復帰させ微小径のPMが増加しても、エミッションの悪化が顕在化しない)程度にPM層225bを修復し得る時間として、予め実験的に、経験的に、理論的に又はシミュレーション等に基づいて決定されている。
このように、本実施形態によれば、PM層225bの少なくとも一部がPMの強制再生により消失したとしても、DPF225のフィルタ担体225aに形成される細孔部を通過し難い大粒径のPMの生成を促進するためのPM層修復処理が実行される。このため、消失したPM層225bを可及的に早期に修復させることが可能であり、PM層225bの消失部分からフィルタを通過する小粒径のPMによるエミッションの悪化が可及的に抑制されるのである。
<第2実施形態>
次に、図5を参照し、本発明の第2実施形態に係るPM層修復制御について説明する。ここに、図5は、本発明の第2実施形態に係るPM層修復制御のフローチャートである。尚、同図において、図4と重複する箇所には同一の符合を付してその説明を適宜省略することとする。
図5において、PMの強制再生が開始された場合、ECU100は、強制再生が終了したか否かを判別する(ステップS201)。ここでは、正常終了であっても途中終了であっても、単に強制再生が終了したか否かが判別される。強制再生が終了してない場合(ステップS201:NO)、ステップS201が繰り返し実行され処理が実質的に待機状態に制御されると共に、強制再生が終了すると(ステップS201:YES)、ECU100は、排気圧Pdpf1と排気圧Pdpf2との差圧であるDPF前後差圧ΔP(即ち、本発明に係る「フィルタ前後差圧」の一例である)が、初期値ΔP0未満であるか否かを判別する(ステップS202)。
ここで初期値ΔP0とは、PM層225bが全く形成されていない状態でのDPF前後差圧ΔPの値と典型値であり、DPF225の構成及び構造により定まる固有の排気抵抗に支配的に依存する値となる。このため、初期値ΔP0は、予め実験的に求められ、固定値としてROMに格納されている。DPF前後差圧ΔP0が初期値ΔP0未満である場合(ステップS202:YES)、ECU100は、PM層225bが全て消失している場合に対応するPM層修復処理を実行する(ステップS103)。
一方、DPF前後差圧ΔP0が初期値ΔP0以上である場合(ステップS202:NO)、ECU100は更に、DPF前後差圧ΔPが基準値ΔPth未満であるか否かを判別する(ステップS203)。ここで、基準値ΔPthは、PM層225bが、少なくとも実践上不具合が顕在化し得る微小径のPMを通過が生じない程度に形成されている状態でのDPF前後差圧ΔPの値であり、予め実験的に求められ、ROMに固定値として格納されている。
ECU100は、DPF前後差圧ΔPが基準値ΔPth以上である場合(ステップS203:NO)、強制再生によるPM層225bの消失は生じていないものとして、処理をステップS101に戻し、DPF前後差圧ΔPが基準値ΔPth未満である場合には(ステップS203:YES)、強制再生によりPM層225bの一部が消失したものと判断して、実行時間TbでPM層修復処理を実行する(ステップS106)。
このように、本実施形態によれば、DPF前後差圧ΔPを、本発明に係る「PM層の形成状態」の一例として特定し、PM層225bの欠落の程度を判別することが可能となっており、第1実施形態と較べて、よりDPF225の実情に即した(即ち、強制再生時間を判断基準とするよりも、少なくともDPF225に経時的に生じる変化や劣化を顕著に反映し得る)判断が可能となっている。
<第3実施形態>
次に、図6を参照し、本発明の第3実施形態に係るPM層修復制御について説明する。ここに、図6は、本発明の第3実施形態に係るPM層修復制御のフローチャートである。尚、同図において、図5と重複する箇所には同一の符合を付してその説明を適宜省略することとする。
図6において、PMの強制再生が終了した旨が判別された場合(ステップS201:YES)、ECU100は、強制再生中にPM濃度Dpmが増加したか否かを判別する(ステップS301)。ここで、PM層225bが実践上問題なく形成されている場合、PM濃度Dpmは、概ね安定に推移する。一方で、PM層225bに消失が生じている場合、微小径のPMが細孔部を通過することによりPM濃度Dpmが増加する。従って、PM濃度が増加したか否かに基づいて、PM層225bを修復すべきか否かの判別を簡便に行うことが可能となる。尚、増加したか否かに係る増加量の判断基準値は、予め実験的に、経験的に、理論的に又はシミュレーション等に基づいて、通常生じ得るPM濃度の変化をPM層の消失として誤判別することなく且つ可及的にPM層の消失が検出可能となるように、可及的に小さい値に設定されている。
強制再生中にPM濃度Dpmが増加していない場合(ステップS301:NO)、ECU100は、PM層225bの消失が生じていないものとして処理をステップS101に戻すと共に、強制再生中にPM濃度Dpmが増加した場合には(ステップS301:YES)、実行時間TaでPM層修復処理を実行する(ステップS103)。
このように、本実施形態によれば、PM濃度Dpmを、本発明に係る「PM層の形成状態」の一例として特定し、PM層225bの消失の有無を判別することが可能となっており、第1実施形態と較べて、よりDPF225の実情に即した判断が可能となっている。
<第4実施形態>
次に、図7を参照し、本発明の第4実施形態に係るPM層修復制御について説明する。ここに、図7は、本発明の第4実施形態に係るPM層修復制御のフローチャートである。尚、同図において、図4と重複する箇所には同一の符合を付してその説明を適宜省略することとする。
図7において、ECU100は、車両が減速運転されたか否かを判別する(ステップS401)。減速運転されたか否かは、例えば、エアフローメータ217により検出される吸入空気量(即ち、実負荷を規定する指標値)、或いはアクセル開度センサ(図1には不図示)により検出されるアクセル開度、ブレーキペダル(図1には不図示)の操作量又は車両の前後加速度を検出可能な加速度センサが備わる場合には、係る加速度センサの出力値等に基づいて判別可能である。本実施形態では、エアフローメータ217により検出される吸入空気量に基づいて算出されるエンジン200の負荷変化量に基づいて係る減速運転の有無が判別される。より具体的には、減速運転時には、エンジン200の負荷が軽負荷側へ変化するため、負荷変化量は、負側の値を採る。ステップS401では、負荷変化量の符合が負であれば、減速運転がなされた旨の判別がなされる。
減速運転がなされていない場合(ステップS401:NO)、ECU100は、ステップS401を繰り返し実行し、処理を実質的に待機状態に制御すると共に、減速運転がなされた場合(ステップS401:YES)、負荷変化量の判断基準値が設定される(ステップS402)。
ここで、減速運転或いは減速操作によって負荷変化が生じると、DPF225の上流側が一時的に負圧となって、DPF225は負圧の衝撃波に晒される。この負圧の衝撃波は、DPF225上に形成されたPM層225bを物理衝撃により崩落させる場合がある。一方で、このような負荷変化により物理衝撃が生じたところで、このような衝撃は一時的なものであり、その時点のPM層225bの形成状態によっては、一部崩落が生じるにせよPM層225bの厚さは十分に担保される可能性もある。そこで、ステップS402では、その時点のPM層225bの厚さが推定され、係る推定されたPM層の厚さに基づいて、実践上不具合を顕在化させ得るPM層の崩落が生じているか否かを規定する判断基準値が可変に設定されるのである。
ステップS402において、ECU100は、PM濃度Dpmと排気流量(エンジン200に排気流量センサが備わる場合には、センサ値を利用してもよく、本実施形態では、機関回転速度NEと過給圧とに基づいて算出される)との積を時間積分することにより、PM層225bの厚さを推定する。PM層の厚さが推定されると、ECU100は、この推定値に基づいて事前に適合されたマップを参照し、予めマップに格納された判断基準値の中から一の値を選択的に取得する。このようにして負荷変化量の判断基準値が設定される。
ECU100は、負荷変化量が設定された判断基準値未満である場合(ステップS403:NO)、今回の減速運転或いは減速操作によるPM層225bの崩落は生じていないものとして、処理をステップS401に戻すと共に、負荷変化量が設定された判断基準値以上である場合には(ステップS403:YES)、実行時間TaでPM層修復処理を実行する(ステップS103)。
このように、本実施形態によれば、車両の減速時に一時的に生じるPM層の崩落(消失というよりは、崩落であり、これもまた本発明に係る「欠落」の一例である)を検出し、PM層225bを効率的に修復することが可能となる。このため、上記第1乃至第3実施形態に係る強制再生処理時に対応する制御と共に、エンジン200のエミッションの悪化を効率的に抑制し得る。
<第5実施形態>
次に、図8を参照し、本発明の第5実施形態に係るPM層修復制御について説明する。ここに、図8は、本発明の第5実施形態に係るPM層修復制御のフローチャートである。尚、同図において、図7と重複する箇所には同一の符合を付してその説明を適宜省略することとする。
図8において、ECU100は、車両が減速運転された場合(ステップS401:YES)、DPF前後差圧ΔPを参照し、係るDPF前後差圧ΔPが低下したか否かを判別する(ステップS501)。ここで、上述した衝撃波によりPM層225bの一部が崩落した場合、DPF前後差圧ΔPは低下する。このため、DPF前後差圧ΔPにより、減速時のPM層の崩落を好適に検出することが可能となる。
DPF前後差圧ΔPが低下していない(誤差の範囲に属する低下に影響されないように、基準値は設定されているものとする)場合(ステップS501:NO)、ECU100は、PM層225bの崩落が生じていない旨の判断の下、処理をステップS401に戻すと共に、DPF前後差圧ΔPが低下している場合(ステップS501:YES)、PM層修復処理を実行する(ステップS103)。
このように、本実施形態によれば、負荷変化量の判断基準値を設定せずとも、DPF前後差圧ΔPに基づいて、減速運転時の一時的なPM層の崩落の有無を判別することが可能となり好適である。
<第6実施形態>
次に、図9を参照し、本発明の第6実施形態に係るPM層修復制御について説明する。ここに、図9は、本発明の第6実施形態に係るPM層修復制御のフローチャートである。尚、同図において、図7と重複する箇所には同一の符合を付してその説明を適宜省略することとする。
図9において、減速運転がなされた場合(ステップS401:YES)、ECU100は、PM濃度Dpmが増加したか否かを判別する(ステップS601)。ここで、上述した衝撃波によりPM層225bの一部が崩落した場合、PM濃度Dpmは増加する。このため、PM濃度Dpmにより、減速時のPM層の崩落を好適に検出することが可能となる。
PM濃度Dpmが増加していない(誤差の範囲に属する低下に影響されないように、基準値は設定されているものとする)場合(ステップS601:NO)、ECU100は、PM層225bの崩落が生じていない旨の判断の下、処理をステップS401に戻すと共に、PM濃度Dpmが増加している場合(ステップS601:YES)、PM層修復処理を実行する(ステップS602)。
ここで、ステップS602に係るPM層修復処理とは、既に述べた各種の制御形態に準じたものであるが、本実施形態では、その実行時間が上記各実施形態と異なっている。即ち、ECU100は、PM濃度Dpmが定常値に復帰したか否かを判別する(ステップS603)。ここで、定常値とは、DPF225に十分なPM層225bが形成されている場合のPM濃度Dpmの値であり、予め実験的に、経験的に、理論的に又はシミュレーション等に基づいて、固定値又は一定の範囲を有する値として設定されている。
PM濃度Dpmが定常値に復帰しない場合(ステップS603:NO)、ECU100は、PM層修復処理によるPM層の修復が未だ十分に完了していない旨の判断の下、PM層修復処理を継続すると共に、PM濃度Dpmが定常値に復帰した場合には(ステップS603:YES)、PM層修復制御を終了する(ステップS604)。
本実施形態によれば、負荷変化量の判断基準値を設定せずとも、PM濃度Dpmに基づいて、減速運転時の一時的なPM層の崩落の有無を判別することが可能となり好適である。また、PM層修復処理の実行時間が可変であり、PM層225bが十分に修復した後にPM層修復処理が終了されるため、PM層225bが確実に修復され好適である。
<第7実施形態>
次に、図10を参照し、本発明の第7実施形態に係るPM層修復制御について説明する。ここに、図10は、本発明の第7実施形態に係るPM層修復制御のフローチャートである。尚、同図において、図4と重複する箇所には同一の符合を付してその説明を適宜省略することとする。
図10において、ECU100は、PMの自然再生時間の判断基準値を設定する(ステップS701)。ここで、PMの自然再生は、既に述べたように車両の運転履歴を受け、DPF温度TdpfがPMの酸化燃焼反応の開始温度に到達することにより、特別な制御を介することなく自然と発生する現象である。従って、係る自然再生が長時間継続すれば、強制再生と同等のPM再生効果が得られる反面、極短い期間のみPMが再生されるに過ぎない場合もなる。このため、PMの自然再生によるPM層225bの形成状態の変化を判断するに際しては、係る自然再生の継続時間が重要となる。そこで、本実施形態では、PM層修復処理の実行要否を規定する自然再生時間の判断基準値が設定される。
ここで特に、この判断基準値の設定に際しては、第4実施形態のステップS402と同様に、その時点のPM層225bの厚さが推定され、係る推定されたPM層の厚さに基づいて、実践上不具合を顕在化させ得るPM層の崩落が生じているか否かを規定するものとして、判断基準値が可変に設定される。
自然再生時間の判断基準値が設定されると、ECU100は、PMの自然再生時間を推定し、係る推定された自然再生時間が先に設定された判断基準値以上であるか否かを判別する(ステップS702)。ここで、自然再生時間は、DPF225に加えられた熱負荷に比例する。このため、ECU100は、排気温度Tex(即ち、エンジン負荷に対応する)及び空燃比(即ち、酸素量に対応する。尚、図1には不図示であるが、通常のエンジンには備わっている)に基づいて熱負荷の指標値を算出し、係る算出された熱負荷の指標値から、自然再生時間を推定する。無論、係る指標値が所定値に到達しない場合、自然再生自体が生じないものとして、自然再生時間はゼロとなる。
ECU100は、自然再生時間が判断基準値未満である(自然再生が生じていない旨を含む)場合(ステップS702:NO)、PM層225bの修復は必要ないものとして処理をステップS701に戻すと共に、自然再生時間が判断基準値以上である場合(ステップS702:YES)、自然再生が終了したか否かを判別する(ステップS703)。自然再生が終了していない場合(ステップS703:NO)PM層修復処理を実行したところで、大粒径化されたPMもまた酸化燃焼してしまい、実質的に意味がないため、処理は一時的に待機され、自然再生が終了した場合(ステップS703:YES)、PM層修復処理が実行される(ステップS103)。
このように、本実施形態によれば、PMの自然再生によりPM層225bの一部が消失したとしても、PM層修復処理が効率的に実行されることによって、PM層225bが迅速に修復され、エミッションの悪化が可及的に抑制される。
尚、ステップS701に係る判断基準値の設定に際しては、更に、PMの自然再生中にDPF225に流入するPMの量を考慮して判断基準値を補正してもよい。即ち、DPF225に流入するPM量を、先に述べたPM層の厚さと同様に、PM濃度Dpmと排気流量との積を積分することにより推定し、自然再生中にPM層が幾らかなり形成されることを考慮して補正するのである。この場合、より効率的にPM層修復処理を実行し得るため好適である。
また、本実施形態に係るPM層修復制御も、強制再生時及び減速時の制御と同様に、判断基準値に基づいた判断を、DPF前後差圧ΔP或いはPM濃度Dpmに基づいた判断に代替させてもよい。或いは、このように判断基準値や各種指標値に基づいた判断処理自体を省略し、自然再生の実行時には所定時間(例えば、上述した実行時間Ta)、PM層修復処理が実行されるようにしてもよい。いずれにせよ、PM層225bの修復によるエミッションの悪化に重点を置く限りにおいて、PM層修復制御の具体的態様は、多種多様である。
ここで、図11を参照し、上述した各種実施形態の効果について説明する。ここに、図11は、PM層修復処理の実行前後におけるDPF225下流のPM粒子数の変化特性を例示する模式図である。
図11において、図11(a)、図11(b)及び図11(c)が、夫々PMの強制再生時(第1乃至第3実施形態)、減速運転時(第4乃至第6実施形態)、及びPMの自然再生時(第7実施形態)に対応している。
図11(a)においては、各実施形態に係る制御を適用した場合のPM粒子数の特性が図示PRF_1(実線参照)として表され、比較例として、強制再生前後において通常の燃焼制御を継続して実行した場合の特性が図示PRF_ref1(破線参照)として表される。
図から明らかなように、本発明によれば、強制再生時に一時的にPM粒子数が増大したとして、PM層修復処理の効果により、係るPM粒子数の増大は可及的に短時間で収束する。これに対し、比較例では、微小径のPMによりPM層が形成されるまでの長期にわたって、PM粒子数の増大傾向は継続し、図11(a)を参照すれば粒子数にして約1000倍程度のPMが、DPF225に捕捉されることなく放出される。即ち、本発明は、比較例に対し明らかに優れている。
尚、このような本発明の優位性は、比較例として、通常の燃焼制御においてPMの排出量を増加させたところで実質的には何ら変わりない。微小径のPMをどれだけ排出しようが、それらはフィルタ担体225aの細孔を通過して車外に排出されるに過ぎないからである。
図11(b)においては、各実施形態に係る制御を適用した場合のPM粒子数の特性が図示PRF_2(実線参照)として表され、比較例として、強制再生前後において通常の燃焼制御を継続して実行した場合の特性が図示PRF_ref2(破線参照)として表される。
図から明らかなように、本発明によれば、車両の減速時にPM層の崩落が生じ、一時的にPM粒子数が増大したとして、PM層修復処理の効果により、係るPM粒子数の増大は可及的に短時間で収束する。これに対し、比較例では、微小径のPMによりPM層が形成されるまでの長期にわたって、PM粒子数の増大傾向は継続し、図11(b)を参照すれば粒子数にして約1000倍程度のPMが、DPF225に捕捉されることなく放出される。即ち、本発明は、比較例に対し明らかに優れている。
図11(c)においては、各実施形態に係る制御を適用した場合のPM粒子数の特性が図示PRF_3(実線参照)として表され、比較例として、強制再生前後において通常の燃焼制御を継続して実行した場合の特性が図示PRF_ref3(破線参照)として表される。
図から明らかなように、本発明によれば、PMの自然再生時にPM層の消失が生じ、一時的にPM粒子数が増大したとして、PM層修復処理の効果により、係るPM粒子数の増大は可及的に短時間で収束する。これに対し、比較例では、微小径のPMによりPM層が形成されるまでの長期にわたって、PM粒子数の増大傾向は継続し、図11(c)を参照すれば粒子数にして約1000倍程度のPMが、DPF225に捕捉されることなく放出される。即ち、本発明は、比較例に対し明らかに優れている。
以上各実施形態において説明したように、本発明は、燃焼室からのPMの排出量をコントロールしてPM層を所望の厚さに制御する等といった、一時的にせよ又一部の領域であるにせよDPF225からPM層225bが欠落した状態においては実践上さしたる効果を得られ難い技術思想とは本質的に異なっており、予めPM層225bが、強制再生に起因するか、自然再生に起因するか、物理衝撃や物理振動によるものか、或いは不測の事態によるものか等の別なく欠落し得る点を念頭におき、特定されるPM層の形成状態(PM濃度Dpm、DPF前後差圧ΔP、強制再生時間、自然再生時間、負荷変化量或いはPM層の厚さ等)に基づいて、PM層の形成(好適な一形態としては、DPF225が実践上問題無い(予め想定又は期待される範囲の)PM捕集能を回復する程度のPM層の形成)に要する時間を二値的に、段階的に又は連続的に短縮化する(上記各種実施形態では二値的である)ことを可能とするものであり、一時的にせよ微小粒子径のPMが大量に放出されることによるエミッションの悪化を、可及的速やかに収束させ得る点において、これらの技術思想に対し明らかに有利であることは明白である。
尚、上記各種実施形態においては、PM層修復処理として、上記(1)乃至(4)の制御形態が適宜実行されるものとしたが、PM層の修復を、大粒径化したPMにより行う点については同様であるとして、その手法は必ずしもこれらに限定されない。例えば、ECU100は、PM層修復処理の少なくとも一部として、燃料添加弁231の開弁制御を実行し、排気管212に未燃の燃料を添加してもよい。この場合、燃焼室から排出される排気に含まれるPMが微小径であっても、これらがDPF225に到達する過程において、燃料中のSOFにより相互に連結することが可能であり、大粒径のPMを生成することが可能となる。同様の趣旨として、ECU100は、燃料のポスト噴射を実行してもよい。この場合、ポスト噴射に係る噴射時期は、PMの強制再生時よりも遅角側(即ち、筒内温度が、燃料の燃焼を生じない程度に低下した後に相当する時期)に設定されてよい。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う内燃機関の排気浄化装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本発明の第1実施形態に係るエンジンシステムの構成を概念的に表してなる概略構成図である。 図2は、排気の流れに沿った方向におけるDPFの模式的な断面図である。 図2における点線枠の模式的拡大図である ECUにより実行されるPM層修復制御のフローチャートである。 本発明の第2実施形態に係り、ECUにより実行されるPM層修復制御のフローチャートである。 本発明の第3実施形態に係り、ECUにより実行されるPM層修復制御のフローチャートである。 本発明の第4実施形態に係り、ECUにより実行されるPM層修復制御のフローチャートである。 本発明の第5実施形態に係り、ECUにより実行されるPM層修復制御のフローチャートである。 本発明の第6実施形態に係り、ECUにより実行されるPM層修復制御のフローチャートである。 本発明の第7実施形態に係り、ECUにより実行されるPM層修復制御のフローチャートである。 PM層修復処理の実行前後におけるDPF下流のPM粒子数の変化特性を例示する模式図である。
符号の説明
10…エンジンシステム、100…ECU、200…エンジン、203…吸気管、205…吸気マニホールド、211…排気マニホールド、217…エアフローメータ、218…EGR通路、223…EGRバルブ、224…酸化触媒、225…DPF、226…排気温センサ、227…上流側圧力センサ、228…下流側圧力センサ、229…温度センサ、230…PM濃度センサ、231…燃料添加弁。

Claims (11)

  1. 内燃機関の排気系に設置され、排気に含まれるPM(Particulate Matter:粒子状物質)を捕捉し且つ該捕捉されたPMを堆積させることによりPM層を形成可能なフィルタと、
    該フィルタにおける前記PM層の形成を促進可能な促進手段と、
    前記PM層の形成状態を特定する特定手段と、
    前記特定された形成状態に基づいて、前記PM層の形成が促進されるように前記促進手段に対し所定の促進制御を実行する制御手段と
    を具備することを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
  2. 前記特定された形成状態に基づいて、前記フィルタから前記PM層の少なくとも一部が欠落しているか否かを判別する第1判別手段を更に具備し、
    前記制御手段は、前記PM層の少なくとも一部が欠落している旨が判別された場合に前記促進制御を実行する
    ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  3. 前記特定手段は、前記形成状態として前記PMの堆積量、前記フィルタの前後差圧、前記PMの再生の度合い及び前記内燃機関の負荷変化の度合いのうち少なくとも一部を特定する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  4. 前記特定手段は、前記PMの堆積量及び前記PMの再生の度合いを少なくとも特定する
    ことを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  5. 前記特定手段は、前記PMの堆積量及び前記フィルタの前後差圧及び前記負荷変化の度合いを少なくとも特定する
    ことを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  6. 前記制御手段は、前記促進制御を所定時間実行する
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  7. 前記促進制御の実行期間において前記特定された形成状態に基づいて前記PM層が修復されたか否かを判別する第2判別手段を更に具備し、
    前記制御手段は、前記PM層が修復された旨が判別された場合に前記促進制御を終了する
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  8. 前記フィルタにおいて前記PMの再生がなされているか否かを判別する第3判別手段を更に具備し、
    前記制御手段は、前記PMの再生がなされている旨が判別された場合に、前記促進制御の実行を制限する
    ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  9. 前記促進手段は、前記PMの粒子径を増大させることが可能であり、
    前記制御手段は、前記促進制御において前記PMの粒子径を増大させる
    ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  10. 前記促進手段は、前記PMに燃料を付着させることにより前記PMの粒子径を増大させることが可能に構成されており、
    前記制御手段は、前記促進制御において前記PMに燃料を付着させる
    ことを特徴とする請求項9に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  11. 前記促進手段は、前記排気の流速を変化させることが可能であり、
    前記制御手段は、前記促進制御において前記流速を低下させる
    ことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の内燃機関の排気浄化装置。
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