JP2010045863A - スピーカ用振動板およびそれを備えたスピーカ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】スピーカ振動板として熱可塑性材料を用いた場合に、成形性を大きく変えずに耐熱性とのバランスを取り、良好な内部損失が得られるようにする。
【解決手段】ポリエステルフィルムより成る基材22と、基材22の両面に形成されるポリイミド系樹脂より成る表層21及び裏層23と、の3層構造を備え、3層構造の基材22、表層21及び裏層23の厚みの設定は、3層構造のスピーカ用振動板の温度上昇時の弾性率に基づいて設定される。
【選択図】図2

Description

本発明は、音響信号を再生できるようにしたスピーカ用振動板およびそれを備えたスピーカ装置に関する。
従来、高域を受け持つツィータ用スピーカ振動板は、周波数特性を良好にする目的で、第1の設計アプローチとして弾性率の大きい音響振動板材料を用いたものがある。これにより、弾性率の大きい音響振動板材料自体の物理的特性により分割振動を起こす周波数をできる限り高域に移すことができる。
このため、スピーカ振動板の音響振動板材料としては、シリコンカーバイド(SiC)、カーボングラファイト、酸化チタン等のセラミック材料が用いられる。また、この他に、アルミニウム、チタニウム等の金属材料が用いられている。
第2の設計アプローチとしてスピーカ振動板の形状、構造を工夫するものがある。これにより、弾性率の比較的小さい音響振動板材料を用いたものであっても、スピーカ振動板の形状、構造の工夫により第1の設計アプローチで得られる弾性率と同程度の弾性率を確保することができる。このため、分割振動を起こす周波数をできる限り高域に移すことができる。このように、分割振動周波数を高くするために、以上の手段が採用されている。
また、ポリイミド発泡体を用いたスピーカ振動板を形成する技術が提案されている。この技術は、所定厚さのブロック状に形成した被成形体であるポリイミド発泡体を金型によって、加熱加圧するものである (特許文献1参照)。これによれば、軽量(低密度)で、耐環境性に優れ、内部損失が高い特性を有すると共に、形成が容易で形状設計自由度の高いスピーカ振動板が得られる。
特開2002−374593号公報
ここで、スピーカ振動板の動作特性に内部損失がある。この内部損失は、音のエネルギーを吸収する度合いを示す値である。セラミック材料や金属材料によるスピーカ振動板は、内部損失が0.01以下と非常に小さいものとなる。
このため、分割振動を生じる周波数帯域での音圧特性は、分割振動の影響によりピーク及びディップの発生帯域が鋭いものとなる。しかも、このピーク及びディップの発生値が大きなものとなってしまうという不都合がある。
また、内部損失が比較的大きな材料を用いることにより、ピーク及びディップの発生を抑えることができる。これに加えて、スピーカ振動板の形状の見直しにより高域まで音響信号を再生できる手法が採られている。
この方法では、音響性能を発揮するためには振動板材料を所定の形状に成形、保持できることが重要である。内部損失が比較的な大きな材料としては高分子材料を用いることが多い。しかし、高分子材料のうちで特に熱可塑性材料では成形しやすさと耐熱性は相反する結果となってしまうという不都合がある。
ここで、熱可塑性材料の特有の特性にガラス転移点がある。このガラス転移点は、材料の性質が硬軟変化する温度の境界点を示す値である。ガラス転移点を超えると材料は軟化して液状となる。
スピーカ振動板材料としてガラス転移点が比較的低い、例えばポリエチレンテレフタレート(以下PET)を用いることが考えられる。PETを用いると、初期動作時は良好な音響特性を得ることができる。しかし、長時間の動作を行うとボビンコイルから発生した熱がPETに伝わる。これにより、初期のPETの形状が保てなくなり所定の音響特性が得られなくなってしまう。このため、耐入力が限定される。
また、ガラス転移点が比較的高い材料を用いる方法も考えられる。例えばポリイミドを用いると、成形温度をガラス転移点以上とすることが必要となる。このため、成型時に昇温・冷却時間がかかることから生産性が劣る。結果として振動板の費用が増加してしまう問題となる。また、フィルム自体もPET等に比べて高価である。さらに内部損失の点ではPET材料よりも低く、金属材料の特性に近づくことでピーク及びディップの発生が大きくなる不都合が出てくる。
また、上述した特許文献1に記載の技術のように、スピーカ振動板の材料としてポリイミド単体を用いた場合には、成型温度が300℃と高いため、製造工程が複雑となる。また、内部損失が低くなるため必要な動作特性が得られない。さらに、均一のポリイミド発泡体の生成が困難であるという不都合がある。
そこで、本発明は、スピーカ振動板として熱可塑性材料を用いた場合に、成形性を大きく変えずに耐熱性とのバランス取り、しかも必要な内部損失と滑らかな周波数特性が得られるスピーカ振動板を提供することを目的とするものである。
本発明は、上記目的を達成するために、本発明は、熱可塑性高分子材料より成る樹脂製のスピーカ振動板の樹脂の構成が3層構造であり、3層構造の基材にポリエステルフィルムを用い、3層構造の表層及び裏層にポリイミド系樹脂を用いたものである。
本発明では、成形性が良好なポリエステルフィルムに、耐熱性が良好なポリイミドをコーティングした材料を用いたので、耐熱性の向上を行いながら周波数特性を滑らかにする。
このとき、3層構造の基材、3層構造の表層及び裏層の厚みの設定は、3層構造のスピーカ振動板の成型時の製造工程、成型温度に基づいて設定される。また、スピーカ振動板の動作時の内部損失、周波数特性に基づいて設定される。また、スピーカ振動板の温度上昇時の弾性率に基づいて設定される。
また、3層構造の表層及び裏層に用いるポリイミド系樹脂は、ポリイミド又はポリエーテルイミドであり、ポリエステルフィルムは、ポリエチレンテレフタレート又はポリブチレンテレフタレートが適用される。
実験によれば、3層構造の基材、3層構造の表層及び裏層の厚みの最適値は、3層構造の全厚みが50ミクロン(μm)のとき、3層構造の基材のポリエステルフィルムの厚みが38ミクロン(μm)であり、3層構造の表層及び裏層のポリイミド系樹脂の厚みがそれぞれ6ミクロン(μm)である。
以上説明したように、本発明の振動板を使用したスピーカは、3層構造の基材にポリエステルフィルムを用い、3層構造の表層及び裏層にポリイミド系樹脂を用いたものである。これにより、耐熱性を向上させることができるので、耐入力の向上と同時に、成形性も良好となるという効果を奏する。
従って、温度上昇時にスピーカ振動板の形状が保持できる。このため、スピーカ振動板の動作時に必要な内部損失が得られ、周波数特性についても滑らかで良好となるという効果が得られる。
本発明の一実施の形態によるスピーカ装置のスピーカ振動部分の説明図である。 スピーカ振動板の断面図である。 スピーカ振動板のコーンの最適厚みを示す図である。 ポリイミド(PI)コートによるポリエチレンテレフタレート(PET)の特性を示す図である。 成型、動作可能及び熱変形の温度を示す図である。 PETフィルムの内部損失と周波数の関係を示す図である。 PETフィルムのスピーカ振動板を用いたスピーカ装置の周波数特性を示す図である。 PIコートPETフィルムの内部損失と周波数の関係を示す図である。 PIコートPETフィルムのスピーカ振動板を用いたスピーカ装置の周波数特性を示す図である。 PETフィルムのスピーカ振動板及びPIコートPETフィルムのスピーカ振動板の貯蔵弾性率とボイスコイル温度の関係を示す図である。 他のスピーカ振動板の断面図である。 他のスピーカ振動板のコーンの最適厚みを示す図である。
以下、本発明の一実施の形態を、図1〜12を参照して詳しく説明する。
図1は、スピーカ装置のスピーカ振動部分の説明図である。図1のようにスピーカ振動部分を備えてスピーカユニットが構成される。
図1において、スピーカ振動板1となるコーンは、動きやすくするために薄く成形でき、軽くて丈夫であることが必要である。しかも周波数特性の山谷や過渡特性を減らすために、内部損失と呼ばれる適度の損失を与えるようなものでなければならない。
すなわち、この内部損失は、スピーカ振動板1から発音される音のエネルギーを吸収する度合いを示している。スピーカ振動板1の動作特性として、一定の内部損失が必要とされている。
このスピーカ装置の磁気回路は、ドーナツ形状のマグネット6と、鉄等の磁性材料から成る第1及び第2の磁気ヨークと、磁気空隙(ギャップ)とを含んで構成される。この第1の磁気ヨークは、円柱状のセンターポール4とこのセンターポール4に対して直交する円板状のフランジ5とからなっている。
この第2の磁気ヨークは、プレート9と呼ばれているものである。プレート9は、その内径がセンターポール4の外周径よりも、磁気空隙の分だけ大きい径とされたドーナツ形状とされている。そして、マグネット6の内周中空部及びプレート9の内周中空部内にセンターポール4が挿入される。
この状態で、フランジ5の上面とプレート9の下面とにより、このマグネット6が挟まれて取り付けられている。このフランジ5の上面及びプレート9の下面とマグネット6との接触部は接着剤により接着されている。
このスピーカ振動板1は、ドーム部2とエッジ部3とから構成される。すなわち、ドーム部2は中央部に位置し、断面形状が略円弧状をなしている。またエッジ部3は、連結部を介して、このドーム部2の外周側に位置する。ドーム部2とエッジ部3とは一体に形成されている。
そして、このスピーカ振動板1のドーム部2の内周縁部分に非導電体で構成される円筒状のボイスコイルボビン8の上端部を接着剤により接着固定する。これと共にこのボイスコイルボビン8の所定位置に巻装されたボイスコイル7を、プレート9とセンターポール4との間の磁気空隙に挿入するように配置する。更にこのスピーカ振動板1のエッジ部3の外周端部を、スピーカフレーム10に接着剤により接着固定するようにする。
この図1に示すようなスピーカ装置においては、ボイスコイル7に音響信号を供給することにより、このボイスコイル7に電流が流れる。そこで、ボイスコイル7に流れる電流と磁気空隙の磁束との電磁誘導相互作用により、このスピーカ振動板1が振動して放音する。
図2は、スピーカ振動板の断面図である。図2は、図1に示したスピーカ振動板1の一部拡大した断面図を示している。
図2において、熱可塑性高分子材料より成る樹脂製のスピーカ振動板の樹脂の構成が3層構造としている。具体的には、3層構造の基材には、ポリエチレンテレフタレート(PET)層22のポリエステルフィルムを用いている。
そして、3層構造の表層及び裏層にポリイミド(PI)層21,23のコーティングフィルムを用いている。すなわち、基材となるポリエチレンテレフタレート(PET)層22のポリエステルフィルムの両面にポリイミド(PI)層21,23のコーティングフィルムが薄膜状にコーティングされている。
このように、基材にポリエチレンテレフタレート(PET)層22のポリエステルフィルムを用いるのは、製造工程におけるポリエチレンテレフタレート(PET)の成形性が良好なためである。また、表層及び裏層にポリイミド(PI)層21,23のコーティングフィルムを用いているのは、温度上昇時におけるポリイミド(PI)の耐熱性が良好なためである。
このように、ポリエチレンテレフタレート(PET)層22のポリエステルフィルムに、ポリイミド(PI)層21,23のコーティングフィルムをコーティングした材料をスピーカ振動板に用いた。このため、耐熱性の向上を行いながら、ポリエチレンテレフタレート(PET)の内部損失の特性に近づけることができる。また、周波数特性を滑らかにすることができる。
このとき、3層構造のスピーカ用振動板の成型時の製造工程が、ポリエステルフィルム単体のスピーカ振動板の製造工程と同じ工程になるように、3層構造の基材、3層構造の表層及び裏層の厚みが設定される。
また、3層構造のスピーカ用振動板の成型時の成型温度が、ポリエステルフィルム単体のスピーカ振動板の成型温度と同じ温度になるように、3層構造の基材、3層構造の表層及び裏層の厚みが設定される。
また、3層構造のスピーカ用振動板の動作時の内部損失が、ポリエステルフィルム単体のスピーカ振動板の内部損失の特性の近傍の特性を有するように、3層構造の基材、3層構造の表層及び裏層の厚みが設定される。
また、3層構造のスピーカ用振動板の動作時の周波数特性が、ポリエステルフィルム単体のスピーカ振動板の周波数特性よりもピーク及びディップが低下する特性を有するように、3層構造の基材、3層構造の表層及び裏層の厚みが設定される。
また、3層構造のスピーカ用振動板の温度上昇時の弾性率が、ポリエステルフィルム単体のスピーカ振動板の弾性率が低下する温度上昇時においても比較的高い弾性率を維持する特性を有するように、3層構造の基材、3層構造の表層及び裏層の厚みが設定される。
また、3層構造の表層及び裏層に用いるコーティングフィルムはポリイミド系樹脂であればよい。例えば、コーティングフィルムとしてポリイミド(PI)又はポリエーテルイミド(PEI)が適用される。また、ポリエステルフィルムとしてポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリブチレンテレフタレート(PBT)が適用される。
以下に、本発明の実施の形態を具体的な実験結果に基づいて説明する。
スピーカ装置は前述した図1に示した構成となるように組み立てを行った。
スピーカ振動板は一定の形状となるように成形を行った。スピーカ振動板の成形方法としてはプレス成型、圧空成型等が挙げられる。いずれの成型方法でも、成型温度で熱した金型を使用し、形状を保持したまま徐々に冷却を行う。これにより、スピーカ振動板の形状を得ることができる。この形状は、予め定められた仕様に適合する形状を示すものである。
図3は、スピーカ振動板のコーンの最適厚みを示す図である。
図3において、3層構造の部材31の最適厚み32の値が実験により判明した。これは、基材としてポリエチレンテレフタレート(PET)層34を用い、3層構造の表層及び裏層のコーティングフィルムとしてポリイミド(PI)層35を用いたときの最適値である。
すなわち、3層構造のコーン全体33の全厚みが50μmのときが最適であった。このとき、3層構造の基材のポリエチレンテレフタレート(PET)層34の厚みが38μmのときが最適であった。また、3層構造の表層及び裏層のポリイミド(PI)層35の厚みがそれぞれ6μmのときが最適であった。
このような最適厚みとなるようなスピーカ振動板の特性について以下に説明する。
図4は、ポリイミド(PI)コートによるポリエチレンテレフタレート(PET)の特性を示す図である。
図4において、ポリイミド(PI)コートによるポリエチレンテレフタレート(PET)の特性には、成型時42の特性、動作時45の特性及び温度変形時48の特性がある。
まず、成型時42の特性には、成型温度43と製造工程44とがある。ここで、成型温度43は、ポリエチレンテレフタレート(PET)と同じ温度となる。また、製造工程44は、ポリエチレンテレフタレート(PET)と同じ製造工程となる。
次に、動作時45の特性には、内部損失46と周波数特性47とがある。ここで、内部損失46は、ポリエチレンテレフタレート(PET)の特性に近づいた特性となる。近づいた特性とは、必要な程度まで内部損失46が得られるような特性を示す。また、周波数特性47は、ポリエチレンテレフタレート(PET)よりもピーク及びディップが低下する特性となる。
そして、温度変形時48の特性には、形状維持49と耐熱性50とがある。ここで、形状維持49は、100時間一定温度下で形状を保持することができる特性となる。また、耐熱性50は、軟化してからの軟化の度合いが軟化しづらくなる特性となる。
図5は、成型、動作可能及び熱変形の温度を示す図である。
図5において、例えば、成型時の成型領域51では、温度はガラス転移点となるT3〜比較的高い温度のT4までで示す成型温度範囲54となる。この成型温度範囲54は成型が容易となるような温度範囲である。従って、この成型温度範囲54の温度に適応した部材及び厚さが要求される。
また、通常の動作可能領域52では、温度は比較的低い温度のT1〜ガラス転移点となるT3までで示す動作可能温度範囲55となる。この動作可能温度範囲55は必要な動作特性が得られるような温度範囲である。従って、この動作可能温度範囲55の温度に適応した部材及び厚さが要求される。
そして、熱変形領域53では、温度はガラス転移点となるT3〜比較的高い温度のT4までで示す熱変形温度範囲56となる。この熱変形温度範囲56は温度上昇時にも形状を維持して耐熱性が得られるような温度範囲である。従って、この熱変形温度範囲56に温度に適応した部材及び厚さが要求される。
以下に、スピーカ振動板の材料として2つのフィルム部材を用いて動作特性について評価を行った。第1のフィルム部材はポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(50μm厚)単体である。以下、第1のフィルム部材をPETフィルムという。
また、第2のフィルム部材はポリイミド(PI)をコーティングしたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(50μm厚)である。以下、第2のフィルム部材をPIコートPETフィルムという。
以下に、PETフィルム、PIコートPETフィルムの内部損失と周波数の関係をそれぞれ対比して示す。
まず、PETフィルムの内部損失と周波数の関係を示す。
図6は、PETフィルムの内部損失と周波数の関係を示す図である。図6では内部損失は相対値で示している。
図6において、点61では周波数170[Hz]のとき内部損失は0.02である。点62では周波数1000[Hz]のとき内部損失は0.025である。点63では周波数3000[Hz]のとき内部損失は0.03である。点64では周波数5600[Hz]のとき内部損失は0.035である。
また、点65では周波数9500[Hz]のとき内部損失は0.04である。点66では周波数15000[Hz]のとき内部損失は0.043である。点67では周波数20000[Hz]のとき内部損失は0.043である。点68では周波数26000[Hz]のとき内部損失は0.06である。
このPETフィルムの内部損失の特性では、スピーカ振動板の動作に必要な内部損失が得られている。
図7は、PETフィルムのスピーカ振動板を用いたスピーカ装置の周波数特性を示す図である。図7では常温(20〜25℃)における特性を示している。
図7において、周波数2k[Hz]のときディップ71が発生している。周波数5k[Hz]のときもディップ72が発生している。周波数6k[Hz]のときはピーク73が発生している。さらに、周波数25k[Hz]のときピーク74が発生している。周波数30k[Hz]のときにはディップ75が発生している。
このPETフィルムの周波数特性では、スピーカ振動板の動作に必要な滑らかな周波数特性が得られていない。
図8は、PIコートPETフィルムの内部損失と周波数の関係を示す図である。図8でも内部損失は相対値で示している。
図8において、点81では周波数170[Hz]のとき内部損失は0.02である。点81は図6に示した点61に対応するものであり、必要な内部損失が得られている。
点82では周波数900[Hz]のとき内部損失は0.019である。点82は図6に示した点62に対応するものであり、必要な内部損失が得られていない。しかし、点62に近い内部損失が得られている。
点83では周波数2600[Hz]のとき内部損失は0.022である。点83は図6に示した点63に対応するものであり、必要な内部損失が得られていない。しかし、点63に近い内部損失が得られている。
点84では周波数5000[Hz]のとき内部損失は0.025である。点84は図6に示した点64に対応するものであり、必要な内部損失が得られていない。しかし、点64に近い内部損失が得られている。
また、点85では周波数9000[Hz]のとき内部損失は0.026である。点85は図6に示した点65に対応するものであり、必要な内部損失が得られていない。しかし、点65に近い内部損失が得られている。
点86では周波数14000[Hz]のとき内部損失は0.03である。点86は図6に示した点66に対応するものであり、必要な内部損失が得られていない。しかし、点66に近い内部損失が得られている。
点87では周波数18000[Hz]のとき内部損失は0.032である。点87は図6に示した点67に対応するものであり、必要な内部損失が得られていない。しかし、点67に近い内部損失が得られている。
点88では周波数25000[Hz]のとき内部損失は0.026である。点88は図6に示した点68に対応するものであり、必要な内部損失が得られていない。
また、点89では周波数30000[Hz]のとき内部損失は0.046である。点90では周波数38000[Hz]のとき内部損失は0.048である。点91では周波数56000[Hz]のとき内部損失は0.042である。点92では周波数66000[Hz]のとき内部損失は0.03である。
このPIコートPETフィルムの内部損失の特性では、高域の帯域においてはスピーカ振動板の動作に必要な内部損失が得られている。
図9は、PIコートPETフィルムのスピーカ振動板を用いたスピーカ装置の周波数特性を示す図である。図9では常温(20〜25℃)における特性を示している。
図9において、周波数2k[Hz]のときディップ93は滑らかに解消している。ディップ93は図7に示したディップ71に対応するものである。
周波数5k[Hz]のときはディップ94が低下している。ディップ94は図7に示したディップ72に対応するものである。
周波数6k[Hz]のときはピーク95が発生している。ピーク95は図7に示したピーク73に対応するものである。
さらに、周波数25k[Hz]のときピーク96は滑らかに解消している。ピーク96は図7に示したピーク74に対応するものである。
周波数30k[Hz]のときにはディップ97は滑らかに解消している。ディップ97は図7に示したディップ75に対応するものである。
このPIコートPETフィルムの周波数特性では、スピーカ振動板の動作に必要な滑らかな周波数特性が得られている。
上述したように、図8に示したPIコートPETフィルムは図6に示したPETフィルムと比べて、内部損失の値が若干低下している。しかし、PIコートPETフィルムによる内部損失の値はPETフィルムによる内部損失の値に近い値となっていることがわかる。
そこで、両フィルムをスピーカ振動板に用いたスピーカ装置として組み立てて、実際の放音時にどのような影響を及ぼすかを図7及び図9の周波数特性で確認している。
これによると図9に示したPIコートPETフィルムでは周波数特性上のピークやディップが図7に示したPETフィルムのピークやディップに比べて小さくなっていることがわかる。従って、PIコートPETフィルムによる周波数特性はPETフィルムに比べて滑らかな特性になっていることがわかる。
上述した実験例の検討に用いたスピーカ振動板は、図1に提示したような外形25mm、厚み0.05mm厚のバランスドーム型振動板である。図1に示したように、プレス成形にて、所定の形状とした。ボイスコイルはφ13、ポリイミドボビンを使用し、ボイスコイルワイヤーはφ0.07を使用、インピーダンスは6Ωとなるように巻き数を調整してある。
振動板に使用したフィルムは、ポリイミドを両面にコーティングしてあるPIコートPETフィルムを用いた。
このようにプレス成形されたPIコートPETフィルムを用いたスピーカ振動板を用いて周波数測定を行った。この結果、PIコートPETフィルムを用いたスピーカ振動板では、比較品の単体PETフィルム品と比べて、ピーク及びディップの値及び幅が減少している。また、ピーク及びディップの発生数についても減少している。これより、本実施の形態例による効果が発生していることを示している。
図10は、PETフィルムのスピーカ振動板及びPIコートPETフィルムのスピーカ振動板の貯蔵弾性率(複素弾性率の実数部分)とボイスコイル温度の関係を示す図である。
図10では、PETフィルムのスピーカ振動板及びPIコートPETフィルムのスピーカ振動板について、動的粘弾性の測定を行い、得られた複素弾性率からその貯蔵弾性率の温度依存性を測定している。すなわち、振動板の一端にある振動をかけたときに他端に伝わる弾性的応答の程度を温度変化毎に測定している。
図10において、140℃までの温度範囲が通常使用範囲である。この範囲で一定値以上の貯蔵弾性率が要求される。ここでは、例えば、700〜800[MPa]程度の貯蔵弾性率が要求される。しかし、さらに温度上昇することを考慮すると、140℃〜175℃までの温度範囲でも上述の貯蔵弾性率を確保したい。
PETフィルム101のスピーカ振動板を用いた場合、140℃までの温度範囲では、700〜800[MPa]程度の貯蔵弾性率が得られる。しかし、150℃〜175℃までの温度範囲では、600〜450[MPa]程度の貯蔵弾性率しか得られない。
そこで、PIコートPETフィルム102のスピーカ振動板を用いた場合、100℃〜140℃までの温度範囲では、PETフィルム101よりも低いものの700〜800[MPa]程度の貯蔵弾性率が得られる。さらに、150℃〜175℃までの温度範囲では、PETフィルム101では低下する特性を700〜650[MPa]程度の貯蔵弾性率まで持ち上げることができる。
この結果、100℃〜140℃までの温度範囲ではPIコートPETフィルム102の方が柔らかいが、150℃を超えてからはPETフィルム101よりも弾性率の低下が少なくなっている。これにより、ポリイミドコーティングによる耐熱性の向上の効果が現れていることが分かる。
さらに、PIコートPETフィルム102のスピーカ振動板を用いて耐久試験を行った。試験条件は次の通りである。入力:130W(6Ω換算)、時間:100h、信号:DIN2ノイズ(ランダムノイズ信号)の条件下である。
本試験条件でのボイスコイル温度は最大140℃である。試験終了後PIコートPETフィルム102のスピーカ振動板は初期の形状を保っており問題が無かったが、比較品である通常のPETフィルム101を用いたものでは初期の形状を維持できず、平らに変形していた。動的粘弾性の結果と合わせて、耐熱性向上の効果により、従来よりも耐入力性の向上の効果が表れていることが分かった。
また、以下に、他の実施の形態を説明する。
図11は、他のスピーカ振動板の断面図である。図11は、図1に示したスピーカ振動板1の一部拡大した断面図を示している。
図11において、熱可塑性高分子材料より成る樹脂製のスピーカ振動板の樹脂の構成が3層構造としている。具体的には、3層構造の基材には、ポリブチレンテレフタレート(PBT)層112のポリエステルフィルムを用いている。
そして、3層構造の表層及び裏層にポリエーテルイミド(PEI)層111,113のコーティングフィルムを用いている。すなわち、基材となるポリブチレンテレフタレート(PBT)層112のポリエステルフィルムの両面にポリエーテルイミド(PEI)層111,113のコーティングフィルムが薄膜状にコーティングされている。
このように、基材にポリブチレンテレフタレート(PBT)層112のポリエステルフィルムを用いるのは、製造工程におけるポリブチレンテレフタレート(PBT)の成形性が良好なためである。また、表層及び裏層にポリエーテルイミド(PEI)層111,113のコーティングフィルムを用いているのは、温度上昇時におけるポリエーテルイミド(PEI)の耐熱性が良好なためである。
このように、ポリブチレンテレフタレート(PBT)層112のポリエステルフィルムに、ポリエーテルイミド(PEI)層111,113のコーティングフィルムをコーティングした材料をスピーカ振動板に用いた。このため、耐熱性の向上を行いながら、ポリブチレンテレフタレート(PBT)の内部損失の特性に近づけることができる。また、周波数特性を滑らかにすることができる。
図12は、他のスピーカ振動板のコーンの最適厚みを示す図である。
図12において、3層構造の部材121の最適厚み122の値が実験により判明した。これは、基材としてポリブチレンテレフタレート(PBT)層124を用い、3層構造の表層及び裏層のコーティングフィルムとしてポリエーテルイミド(PEI)層125を用いたときの最適値である。
すなわち、3層構造のコーン全体123の全厚みが50μmのときが最適であった。このとき、3層構造の基材のポリブチレンテレフタレート(PBT)層124の厚みが38μmのときが最適であった。また、3層構造の表層及び裏層のポリエーテルイミド(PEI)層125の厚みがそれぞれ6μmのときが最適であった。
図11、図12に示した他のスピーカ振動板を用いた場合でも、上述した実施の形態と同様の動作特性を得ることができる。
上述した本実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、適宜、変更しうることはいうまでもない。
1…スピーカ振動板、2…ドーム部、3…エッジ部、4…センターポール、5…フランジ、6…マグネット、7…ボイスコイル、8…ボビン、9…プレート、10…フレーム、21,23…ポリイミド(PI)層、22…ポリエチレンテレフタレート(PET)層、31…部材、32…最適厚み、33…コーン全体、34…ポリエチレンテレフタレート(PET)層、35…ポリイミド(PI)層、41…PIコートPETフィルムの特性、42…成型時、43…成型温度、44…製造工程、45…動作時、46…内部損失、47…周波数特性、48…温度変形時、49…形状維持、50…耐熱性

Claims (8)

  1. 熱可塑性高分子材料より成る樹脂製のスピーカ用振動板において、
    上記樹脂の構成が3層構造であり、
    上記3層構造の基材にポリエステルフィルムを用い、
    上記3層構造の表層及び裏層にポリイミド系樹脂を用い、
    上記3層構造の基材、表層及び裏層の厚みの設定は、上記3層構造のスピーカ用振動板の温度上昇時の弾性率に基づいて設定される
    スピーカ用振動板。
  2. 上記3層構造のスピーカ用振動板の弾性率が、上記3層構造のスピーカ用振動板の全厚みと同じ厚みのポリエステルフィルム単体のスピーカ用振動板の弾性率と同じ値となる温度以上の温度領域において、
    上記3層構造のスピーカ用振動板の温度上昇に対する弾性率の低下の割合が、上記ポリエステルフィルム単体のスピーカ用振動板の温度上昇に対する弾性率の低下の割合と比べて緩やかとなるように、上記3層構造の基材、表層及び裏層の厚みが設定される請求項に記載のスピーカ用振動板。
  3. 上記3層構造の基材、表層及び裏層の厚みは、100℃以上140℃以下の温度範囲で700MPa以上、150℃以上175℃以下の温度範囲で650MPa以上の貯蔵弾性率を有するように設定される請求項1又は2に記載のスピーカ用振動板。
  4. 上記ポリエステルフィルムとして、ポリエチレンテレフタレート又はポリブチレンテレフタレートを用い、
    上記ポリイミド系樹脂として、ポリイミド又はポリエーテルイミドを用いる請求項1〜3のいずれかに記載のスピーカ用振動板。
  5. 上記3層構造の基材のポリエステルフィルムの厚みが38μmであり、
    上記3層構造の表層及び裏層のポリイミド系樹脂の厚みがそれぞれ6μmである請求項4に記載のスピーカ用振動板。
  6. 熱可塑性高分子材料より成る樹脂製の振動板を備えたスピーカ装置において、
    上記振動板は、ポリエステルフィルムより成る基材と、前記基材の両面に形成されるポリイミド系樹脂より成る表層及び裏層と、の3層構造を備え、
    上記3層構造の基材、表層及び裏層の厚みの設定は、上記3層構造のスピーカ用振動板の温度上昇時の弾性率に基づいて設定される
    スピーカ装置。
  7. 上記スピーカ用振動板の、上記3層構造のスピーカ用振動板の弾性率が、上記3層構造のスピーカ用振動板の全厚みと同じ厚みのポリエステルフィルム単体のスピーカ用振動板の弾性率と同じ値となる温度以上の温度領域において、
    上記3層構造のスピーカ用振動板の温度上昇に対する弾性率の低下の割合が、上記ポリエステルフィルム単体のスピーカ用振動板の温度上昇に対する弾性率の低下の割合と比べて緩やかとなるように、上記3層構造の基材、表層及び裏層の厚みが設定される請求項6に記載のスピーカ装置。
  8. 上記スピーカ用振動板の、上記3層構造の基材、表層及び裏層の厚みは、100℃以上140℃以下の温度範囲で700MPa以上、150℃以上175℃以下の温度範囲で650MPa以上の貯蔵弾性率を有するように設定される請求項6又は7に記載のスピーカ装置。
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