以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態に係る電子機器の構成を説明する。本電子機器は、例えばコンピュータ10として実現されている。このコンピュータ10は携帯型パーソナルコンピュータのような携帯型情報処理装置である。このコンピュータ10は、本体11と、この本体11に取り付けられたディスプレイユニット12とから構成されている。ディスプレイユニット12には、液晶表示装置(LCD)121が内蔵されている。本体11の上面上には、キーボード13、電源ボタン14、タッチパッド16等が配置されている。
このコンピュータ10は、外部機器20との無線通信を実行する機能を有している。外部機器20は、例えば、コンピュータ10の機能を拡張するための拡張ユニットであるワイヤレスドッキングステーションとして実現されている。コンピュータ10は、外部機器20に無線接続することにより、外部機器20に接続された様々な周辺デバイスを使用することができる。また、コンピュータ10は、Digital Visual Interface(DVI)信号のようなデジタルビデオ信号を無線信号によって外部機器20に伝送することにより、外部機器20に接続された表示装置(DVIモニタデバイス)に画面イメージを表示することができる。コンピュータ10と外部機器20との間の無線通信は、例えば、無線LANと比較して高速な近距離無線通信方式であるUWB(Ultra Wideband)を用いて実行される。
UWB規格においては、3.1GHzから10.6GHz程度までの周波数帯域内に割れ当てられた14個の周波数チャネルが規定されている。しかし、国や地域によっては使用可能な周波数範囲が制限されている。例えば日本においては、UWB通信で使用可能な周波数帯域は例えば3.4GHzから4.8GHzまでであり、この3.4GHzから4.8GHzまでの周波数帯域内に割り当てられた3つの周波数チャネルが使用可能である。したがって、オフィスのようなある場所において、すでに3つの周波数チャネルが使用されていたならば、未使用周波数チャネルがないので、その場所においては新たなUWB通信を開始することはできなくなる。
本実施形態のコンピュータ10は、未使用周波数チャネルが不足しているような状況、あるいは電波干渉が発生しているような状況においても、外部機器20との通信を実行できるようにするために、外部機器20との通信モードを、無線通信モードと有線通信モードとの間で切り替えるハイブリッド無線通信機能を有している。すなわち、コンピュータ10と外部機器20との間の通信においては、通常は、無線接続が用いられるが、無線接続を使えない場合、或いは、ユーザが有線接続を希望した場合には、コンピュータ10と外部機器20との間の通信は有線接続を用いて実行することができる。本実施形態においては、無線通信モードと有線通信モードのどちらにおいても、同じ無線信号(RF信号)が用いられる。すなわち、有線通信モードにおいては、無線通信モードで用いられる無線信号が、コンピュータ10と外部機器20との間を接続するケーブル1を介して伝送される。
上述のハイブリッド無線通信機能を実現するために、コンピュータ10は、無線通信部31、RFスイッチ部32、無線通信アンテナ33、有線伝送線34、制御部35を備えている。
無線通信部31は、UWB規格のような近距離無線通信方式に従って無線通信を実行する。この無線通信部31は、複数の周波数チャンネル(例えば3つの周波数チャネル)の中から選択された周波数チャネルを用いて、外部機器20との無線通信を実行する。使用すべき周波数チャネルの選択は、例えばユーザが予め指定しておくことができる。また、3つの周波数チャネルの中から未使用の周波数チャネルを選択し、その周波数チャネルを使用すべき周波数チャネルとして選択してもよい。
無線通信部31は、無線信号(RF信号)を送受信するための高周波回路(RF回路)を備えている。高周波回路の無線信号入出力ポートは、通常は、コンピュータ10に設けられた無線通信アンテナ33に直接的に接続されるが、本実施形態では、高周波回路の無線信号入出力ポートにはRFスイッチ部32が接続されている。
RFスイッチ部32は、無線通信部31内の高周波回路の無線信号入出力ポートを、無線通信アンテナ33と、外部機器20に接続されたケーブル1との一方に結合するスイッチ部である。無線通信モードにおいては、高周波回路の無線信号入出力ポートは、RFスイッチ部32によって無線通信アンテナ33に接続される。一方、有線通信モードにおいては、高周波回路の無線信号入出力ポートは、RFスイッチ部32によって有線ポートに接続される。具体的には、コンピュータ10には、ケーブル1が接続されるコネクタ15と、このコネクタ15に接続された有線伝送線34とが設けられており、有線通信モードにおいては、高周波回路の無線信号入出力ポートは、RFスイッチ部32、有線伝送線34、およびコネクタ15を介してケーブル1に接続される。
制御部35は、RFスイッチ部32を制御して、外部機器との通信モードを、無線通信アンテナ33を介して外部機器20と無線通信部31との間で無線信号を送受信する無線通信モードと、ケーブル1を介して外部機器20と無線通信部31との間で無線信号を送受信する有線通信モードとの間で切り替える。
制御部35は、複数の周波数チャネルの中に未使用周波数チャネルが存在しない場合、または外部機器20との通信が無線通信モードで実行されている期間中に電波干渉の発生が検出された場合、コンピュータ10にケーブル1を接続すべきこと、つまりコンピュータ10と外部機器20とをケーブル1を介して接続すべきこと、をユーザに促すメッセージをLCD121の表示画面上に表示する。そして、コンピュータ10にケーブル1が接続された後に、制御部35は、RFスイッチ部31を制御してRFスイッチ部31の接続先を無線通信アンテナ33から有線ポートに切り替え、これによって外部機器との通信モードを有線通信モードに設定する。
なお、すでにコンピュータ10にケーブル1が接続されている場合には、通信モードを即座に有線通信モードに切り替えてもよい。また、通信開始時等に、コンピュータ10にケーブル1が接続されているか否かを判別し、コンピュータ10にケーブル1が接続されている場合には有線通信モードを無線通信モードよりも優先的に使用するようにしてもよい。また、コンピュータ10にケーブル1が接続されている場合であっても、無線通信モードを使用することもできる。この場合、有線通信モードまたは無線通信モードのどちらを使用するかはユーザが選択することができる。
本実施形態においては、有線通信は、無線通信に使った無線信号(変調波)と同じ無線信号(変調波)を用いて実行される。これにより、無線通信部31を無線通信と有線通信とに共用することができ、有線通信専用の新たな回路を設ける不要がないため、ローコスト化を図ることができる。ケーブル1による無線信号の伝送損失は約10db〜20dbである。一方、空中における無線信号の伝送損失は約10db〜40dbである。このように、ケーブル1による無線信号の伝送損失は空中における無線信号の伝送損失の範囲内であるので、無線通信部31は、有線通信モードおよび無線通信モードのどちらにおいても、同じ変調・復調動作を行うだけで、外部機器20との通信を正常に行うことができる。
ケーブル1としては、例えば、同軸ケーブルを使用することができる。また、ケーブル1として、外部機器20から出力される電力をコンピュータ10に供給するための電源ケーブルを使用してもよい。電源ケーブルを使用することにより、通信専用のケーブルを接続するためのコネクタ等を設ける必要がなくなり、さらにローコスト化を図ることができる。
外部機器20も、コンピュータ10と同様のハイブリッド無線通信機能を有している。すなわち、外部機器20は、無線通信部41、RFスイッチ部42、無線通信アンテナ43、有線伝送線44、および制御部35を備えている。
無線通信部41は、コンピュータ10の無線通信部31と同じ、UWB規格のような近距離無線通信方式に従って無線通信を実行する。この無線通信部41は、複数の周波数チャンネル(例えば3つの周波数チャネル)の中から選択された周波数チャネルを用いて、コンピュータ10との無線通信を実行する。使用すべき周波数チャネルの選択は、例えばユーザが予め指定しておくことができる。また、無線通信部41は、コンピュータ10からの指示に従って、使用すべき周波数チャネルを選択/変更することもできる。
無線通信部41は、無線信号(RF信号)を送受信するための高周波回路(RF回路)を備えている。高周波回路の無線信号入出力ポートは、通常は、外部機器20に設けられた無線通信アンテナ43に直接的に接続されるが、本実施形態では、高周波回路の無線信号入出力ポートにはRFスイッチ部42が接続されている。
RFスイッチ部42は、無線通信部41内の高周波回路の無線信号入出力ポートを、無線通信アンテナ43と、外部機器20から導出されるケーブル1との一方に結合するスイッチ部である。無線通信モードにおいては、高周波回路の無線信号入出力ポートは、RFスイッチ部42によって無線通信アンテナ43に接続される。一方、有線通信モードにおいては、高周波回路の無線信号入出力ポートは、RFスイッチ部42によって有線ポートに接続される。具体的には、外部機器20には、ケーブル1が接続されるコネクタ21と、このコネクタ21に接続された有線伝送線44とが設けられており、有線通信モードにおいては、高周波回路の無線信号入出力ポートは、RFスイッチ部42、有線伝送線44、およびコネクタ21を介してケーブル1に接続される。
制御部45は、RFスイッチ部42を制御して、コンピュータ10との通信モードを、無線通信アンテナ43を介してコンピュータ10と無線通信部41との間で無線信号を送受信する無線通信モードと、ケーブル1を介してコンピュータ10と無線通信部41との間で無線信号を送受信する有線通信モードとの間で切り替える。
制御部45は、例えば、現在使用中の通信モードにおけるパケットエラーレートを監視し、パケットエラーレートが基準値を超えた場合に、RFスイッチ部42を制御して、使用すべき通信モードを別の通信モードに切り替える。これにより、コンピュータ10において使用される通信モードの切り替えに追従するように、外部機器20において使用される通信モードを切り替えることができる。
図2には、ケーブル1として電源ケーブルを使用した場合に対応するコンピュータ10および外部機器20それぞれの構成の例が示されている。
コンピュータ10は、キャパシタ51と、フィルタ(Band Rejection Filter; BRF)52とを備えている。RFスイッチ部32は、キャパシタ51を介して、電源ケーブル1内の電源線に結合されている。具体的には、RFスイッチ部32は、コネクタ15を介して電源ケーブル1内の電源線に結合される、コンピュータ10内部の電源線に接続されている。キャパシタ51は、無線通信部31によって送受信される無線信号の周波数帯域(例えば、3.1GHz〜5.2Ghz)に対応する信号成分を通過する。このキャパシタ51は、無線通信部31から送信される無線信号を電源ケーブル1内の電源線に重畳する機能、および電源ケーブル1内の電源線から無線信号を抽出する機能を有する。このキャパシタ51により、電源ケーブル1を介して送受信される無線信号の周波数特性を改善することができる。
フィルタ(Band Rejection Filter; BRF)52は、電源ケーブル1を介して伝送される無線信号がコンピュータ10内の電源回路53に入り込むことを防止するためのフィルタ回路である。このフィルタ(Band Rejection Filter; BRF)52は、無線通信部31によって送受信される無線信号の周波数帯域(例えば、3.1GHz〜5.2Ghz)に対応する信号成分の通過を防止する。このフィルタ(Band Rejection Filter; BRF)52は、パターンフィルタ又はチョークコイルから構成され得る。このフィルタ(Band Rejection Filter; BRF)52は、キャパシタ51と共同して、スプリッタとして機能する。
電源回路53は、電源ケーブル1を介して外部機器20から供給される電力から、コンピュータ10内の各コンポーネルに供給すべき動作電力を生成する。
無線通信部31は1つの独立した無線モジュールとして実現されており、この無線モジュールにはRF部311と上述のRFスイッチ部32とが内蔵されている。RF部311は上述の高周波回路であり、例えば、UWBの物理層に対応するハードウェア(PHY)と、MAC層に対応するハードウェア(MAC)とから構成されている。RF部311の無線信号入出力ポートは、無線通信部31内の信号配線を介してRFスイッチ部32に接続されている。
外部機器20は、キャパシタ61と、フィルタ(BRF)62とを備えている。RFスイッチ部42は、キャパシタ61を介して、電源ケーブル1内の電源線に結合されている。具体的には、RFスイッチ部42は、外部機器20内の電源線に接続されている。
キャパシタ61は、無線通信部41によって送受信される無線信号の周波数帯域(例えば、3.1GHz〜5.2Ghz)に対応する信号成分を通過する。このキャパシタ61は、無線通信部41から送信される無線信号を電源ケーブル1内の電源線に重畳する機能、および電源ケーブル1内の電源線から無線信号を抽出する機能を有する。このキャパシタ61により、電源ケーブル1を介して送受信される無線信号の周波数特性を改善することができる。
フィルタ(BRF)62は、電源ケーブル1を介して伝送される無線信号が外部機器20内の電源回路63に入り込むことを防止するためのフィルタ回路である。このフィルタ(BRF)62は、無線通信部41によって送受信される無線信号の周波数帯域(例えば、3.1GHz〜5.2Ghz)に対応する信号成分の通過を防止する。このフィルタ(Band Rejection Filter; BRF)62は、パターンフィルタ又はチョークコイルから構成され得る。このフィルタ(Band Rejection Filter; BRF)62は、キャパシタ61と共同して、スプリッタとして機能する。
電源回路63は、外部電源(AC電源)から、コンピュータ10に供給すべき電力(DC電源)、および外部機器20内の各コンポーネントに供給すべき動作電力(DC電源)を生成する。
無線通信部41は1つの独立した無線モジュールとして実現されており、この無線モジュールにはRF部411と上述のRFスイッチ部42とが内蔵されている。RF部411は上述の高周波回路であり、例えば、UWBの物理層に対応するハードウェア(PHY)と、MAC層に対応するハードウェア(MAC)とから構成されている。RF部411の無線信号入出力ポートは、無線通信部41内の信号配線を介してRFスイッチ部42に接続されている。
次に、図3を参照して、コンピュータ10のシステム構成例を説明する。図3のシステム構成は、ケーブル1として電源ケーブルを使用する場合に対応している。
コンピュータ10は、上述の無線通信部31、RFスイッチ部32、キャパシタ51、フィルタ52、電源回路53に加え、CPU211、ノースブリッジ212、主メモリ213、表示コントローラ214、サウスブリッジ215、BIOS−ROM216、不揮発性ストレージデバイスとしてのハードディスクドライブ(HDD)217、エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)218、およびビデオ信号出力部219等を備えている。
CPU211はコンピュータ10の動作を制御するプロセッサであり、ハードディスクドライブ(HDD)217から主メモリ213にロードされる、オペレーティングシステム(OS)および各種アプリケーション/ユーティリティプログラムを実行する。アプリケーション/ユーティリティプログラムには、通信制御プログラムが含まれている。この通信制御プログラムは、無線通信部31を制御するためのプログラムである。この通信制御プログラムを実行することにより、CPU211は、上述の制御部35として機能する。
またCPU111は、BIOS−ROM216に格納されたBIOS(Basic Input Output System)も実行する。BIOSはハードウェア制御のためのプログラムである。
ノースブリッジ212は、CPU211のローカルバスとサウスブリッジ215との間を接続するブリッジデバイスである。またノースブリッジ212は、表示コントローラ214との通信を実行する機能も有している。
表示コントローラ214は、コンピュータ10のディスプレイモニタとして使用されるLCD(Liquid Crystal Display)121を制御するグラフィクスコントローラである。この表示コントローラ214は、LCD124の表示画面に表示すべき画面イメージを形成するビデオ信号を生成する。この表示コントローラ214によって生成されたビデオ信号はLCD124に送られる。また、表示コントローラ214は、LCD124に送出されるビデオ信号を、ビデオ信号出力部219に送出することもできる。
ビデオ信号出力部219は、表示コントローラ214からのビデオ信号をDVIフォーマットのような所定フォーマットのデジタルビデオ信号に変換し、そのデジタルビデオ信号を出力する。このデジタルビデオ信号は無線通信部31に送られる。なお、表示コントローラ214内に、DVI信号のようなデジタルビデオ信号を制制する機能を設けても良い。この場合には、表示コントローラ214が、デジタルビデオ信号を出力するビデオ信号出力部として機能する。
サウスブリッジ215は各種I/Oデバイスを制御するブリッジデバイスである。サウスブリッジ215には、USBコントローラ301などが内蔵されている。
無線通信部31はサウスブリッジ215に接続されており、通信制御プログラムの制御の下、USBコントローラ301からのUSB信号をUWBフォーマットのような所定フォーマットの信号(UWB信号)に変換し、その変換された信号に対応する無線信号(すなわち、USB信号によって変調された無線信号)を外部機器20に送信することができる。無線通信モードにおいては、UWB信号によって変調された無線信号が無線通信アンテナ33を介して外部機器20に伝送され、また有線通信モードにおいてはUWB信号によって変調された無線信号がケーブル1を介して外部機器20に伝送される。
さらに、無線通信部31は、ビデオ信号出力部219にも接続されており、ビデオ信号出力部219から出力されるデジタルビデオ信号(DVI信号)をUWBフォーマットのような所定フォーマットの信号(UWB信号)に変換し、その変換された信号に対応する無線信号(すなわち、デジタルビデオ信号によって変調された無線信号)を外部機器20に送信することができる。無線通信モードにおいては、デジタルビデオ信号によって変調された無線信号が無線通信アンテナ33を介して外部機器20に伝送され、また有線通信モードにおいてはデジタルビデオ信号によって変調された無線信号がケーブル1を介して外部機器20に伝送される。
無線通信部31は上述したように1つの独立した無線モジュールとして実現されており、上述のRFスイッチ部32は当該無線モジュール内に実装することができる。RFスイッチ部32の制御は、例えば、無線通信部31に設けられた汎用I/Oポート(GPIO)を介して実行することが出来る。図3においては、サウスブリッジ215から出力される制御信号CONTによってRFスイッチ部32を制御する例が示されている。これに限らず、例えば、EC/KBC218からRFスイッチ部32に制御信号CONTを供給するようにしてもよい。また、コンピュータ10に設けられたボタンスイッチの操作に応じてRFスイッチ部32に供給される制御信号CONTをオン/オフすることにより、RFスイッチ部32をユーザによる手動操作によって制御することもできる。
EC/KBC218は、電力管理のためのエンベデッドコントローラと、キーボード(KB)13およびタッチパッド16を制御するためのキーボードコントローラとが集積された1チップマイクロコンピュータである。
次に、図4を参照して、ワイヤレスドッキングステーション(拡張ユニット)として機能する外部機器20のシステム構成の例を説明する。図4のシステム構成は、ケーブル1として電源ケーブルを使用する場合に対応している。
外部機器20は、上述の無線通信部41、RFスイッチ部42、キャパシタ61、フィルタ62、電源回路63に加え、ハブ(HUB)70,DVIコネクタ71、USBコネクタ72,73を備えている。
無線通信部41は上述したように1つの独立した無線モジュールとして実現されており、上述のRFスイッチ部42は当該無線モジュール内に実装することができる。RFスイッチ部42の制御は、例えば、無線通信部41に設けられた汎用I/Oポート(GPIO)を介して実行することが出来る。図4においては、制御部45から出力される制御信号CONTによってRFスイッチ部42を制御する例が示されている。これに限らず、例えば、外部機器20に設けられたボタンスイッチの操作に応じてRFスイッチ部42に供給される制御信号CONTをオン/オフすることにより、RFスイッチ部42を手動によって制御することもできる。
ビデオコネクタ71は外部表示装置を接続するためのコネクタであり、無線通信部41によってコンピュータ10から受信されたデジタルビデオ信号を外部表示装置に出力する。ビデオコネクタ71から出力されるビデオ信号のフォーマットは特に制限されない。例えば、RGB信号をビデオコネクタ71から出力することが必要であれば、無線通信部41によって受信されたデジタルビデオ信号をDVI信号からRGB信号に変換する回路をビデオコネクタ71の前段に設ければよい。
USBコネクタ72,73の各々は、外部のUSBデバイスを接続するためのコネクタである。これらUSBコネクタ72,73はハブ70を介して無線通信部41に接続されている。USBコネクタ72,73に接続されるUSBデバイスの各々と、コンピュータ10内のUSBコントローラ301との間のデータ伝送は、無線通信部31と無線通信部41との間のデータ通信を経由して、実行される。
次に、図5のフローチャートを参照して、CPU211によって実行される通信制御処理の手順を説明する。
CPU211は、まず、無線通信モードで外部機器20との通信を開始する(ステップS11)。このステップS11では、CPU211は、RFスイッチ部32を制御して、無線通信部31内のRF部311の無線信号入出力ポートを無線アンテナ33に接続し、これによって無線通信部31と外部機器20との間の無線通信を開始する。
そして、CPU211は、未使用周波数チャネルが存在するか否かを判別する(ステップS12)。このステップS12では、例えば、無線通信部31は複数の周波数チャネルそれぞれをスキャンし、CPU211は、そのスキャン結果に基づいて、未使用周波数チャネルが存在するか否かを判別する。
未使用周波数チャネルが存在しない場合(ステップS12のYES)、CPU211は、コンピュータ10と外部機器20との間をケーブル(例えば電源ケーブル)を介して接続すべきことをユーザに促すメッセージをLCD121の表示画面上に表示する(ステップS13)。そして、CPU211は、OSまたはBIOSと共同して、コンピュータ10にケーブル1が接続されたか否かを判別する(ステップS14)。
コンピュータ10にケーブル1が接続されたならば(ステップS14のYES)、CPU211は、RFスイッチ部32を制御して、無線通信部31のRF部311の接続先を有線ポートに切り替え、これによって外部機器20との通信モードを有線通信モードに設定する(ステップS15)。この結果、無線通信部31は、外部機器20との通信を、有線通信モードで実行する(ステップS16)。ステップS16では、無線信号は、ケーブル1を介してコンピュータ10と外部機器20との間で送受信される。
未使用周波数チャネルが存在する場合(ステップS12のYES)には、CPU211は、OSまたはBIOSと共同して、コンピュータ10にケーブル1が接続されているか否かを判別する(ステップS17)。コンピュータ10にケーブル1が接続されていないならば(ステップS17のNO)、CPU211は、無線通信モードでの通信を継続して実行する。一方、コンピュータ10にケーブル1が接続されているならば(ステップS17のYES)、CPU211は、ユーザ設定に応じて、使用すべき通信モードを決定するユーザ設定処理を実行する(ステップS18)。
ステップS18では、CPU211は、ユーザによって予め指定された、有線通信モードおよび無線通信モードのいずれを優先させるかを示す切り替え設定情報を参照し、使用すべき通信モードを決定する。具体的には、ステップS18では、CPU211は、図6のフローチャートに示す手順を実行する。まず、切り替え設定情報が有線通信モードおよび無線通信モードのいずれを示すかを判定する(ステップS21)。切り替え設定情報が無線通信モードを示すならば、CPU211は、無線通信モードでの通信を継続して実行する。一方、切り替え設定情報が有線通信モードを示すならば、CPU211は、RFスイッチ部32を制御して、無線通信部31のRF部311の接続先を有線ポートに切り替え、これによって外部機器20との通信モードを有線通信モードに設定する(ステップS22)。この結果、無線通信部31は、外部機器20との通信を、有線通信モードで実行する(ステップS23)。ステップS23では、無線信号は、ケーブル1を介してコンピュータ10と外部機器20との間で送受信される。
無線通信モードで外部機器20との通信が実行されている期間中においては、CPU211は、ステップS12において、パケットエラー率等に基づいて電波干渉の発生の有無を判別する。電波干渉の発生が検出されたならば(ステップS12のYES)、CPU211は、有線通信モードへの切り替えを行うために、上述のステップS13以降の処理を実行する。
図7は、ケーブル1として電源ケーブルを使用した場合に対応するコンピュータ10および外部機器20それぞれの構成の別の例が示されている。
図7においては、コンピュータ10では、RFスイッチ部32は、図2のキャパシタ51の代わりに、第1および第2の2つのアンテナA1,A2を介して、電源ケーブル1の電源線に接続されている。これら2つのアンテナA1,A2は、無線通信アンテナ33’と同じ周波数特性を有しており、例えば、3.1GHz〜5.2Ghzの周波数帯域をカバーする。これら2つのアンテナA1,A2は、無線通信部31から送信される無線信号を電源ケーブル1内の電源線に重畳するため、そして電源ケーブル1内の電源線から無線信号を抽出するために用いられる。これら2つのアンテナA1,A2を用いることにより、電源ケーブル1を介して送受信される無線信号の周波数特性を、無線通信アンテナ33を介して送受信される無線信号の周波数特性と同じにすることができる。
本実施形態では、これら2つのアンテナA1,A2は、電波が外部に漏れないようにするために、さらにはコンピュータ内の他の電子部品に対するノイズの混入を防止するために、コンピュータ10内に設けられたプリント回路基板内部に形成されている。この場合、コンピュータ10には、第1のアンテナA1と、この第1のアンテナA1から離間し且つ第1のアンテナA1に対向して配置された第2のアンテナA2とが内部に形成されたプリント回路基板が設けられる。RFスイッチ部32は、プリント回路基板上の第1のコネクタを介して第1のアンテナA1に接続される。またプリント回路基板内の第2のアンテナA2はプリント回路基板上の第2のコネクタを介して電源ケーブル1内の電源線に接続される。
外部機器20においても、RFスイッチ部42は、図2のキャパシタ61の代わりに、第1および第2の2つのアンテナB1,B2を介して、電源ケーブル1の電源線に接続されている。
図8は、コンピュータ10内に設けられるアンテナ内蔵プリント回路基板の構成例を示している。
このプリント回路基板は複数の配線層を有する多層配線基板であり、このプリント回路基板の配線層(レイヤー1)には、第1のアンテナA1に接続される第1のコネクタ(アンテナA1コネクタ)と、第2のアンテナA2に接続される第2のコネクタ(アンテナA2コネクタ)とが設けられている。第1のアンテナA1は、内層、例えばレイヤー2に形成されており、第2のアンテナA2は、別の内層、例えばレイヤー5に形成されている。第1のアンテナA1と第2のアンテナA2との間には貫通孔が設けられおり、第1のアンテナA1と第2のアンテナA2は貫通孔を介して互いに対向している。
図9は、コンピュータ10内に設けられるアンテナ内蔵プリント回路基板の別の構成例を示している。
このプリント回路基板は複数の配線層を有する多層配線基板であり、このプリント回路基板の配線層(レイヤー1)には、第1のアンテナA1に接続される第1のコネクタ(アンテナA1コネクタ)と、第2のアンテナA2に接続される第2のコネクタ(アンテナA2コネクタ)とが設けられている。第1のアンテナA1は、内層、例えばレイヤー3に形成されており、第2のアンテナA2も、同じ内層、例えばレイヤー3に形成されている。第1のアンテナA1と第2のアンテナA2は互いに対向している。
なお、外部機器20のアンテナB1,B2についても、図8または図9に示したように、プリント回路基板内に内蔵することができる。
図10は、ケーブル1として電源ケーブルを使用した場合に対応するコンピュータ10および外部機器20それぞれの構成のさらに別の例が示されている。
図10においては、コンピュータ10は図2で説明した構成と同じであるが、外部機器20は、UWBのような近距離無線通信システムに対応する周波数帯域の使用が禁止された仕向地に対応する構成を有している。すなわち、図10の外部機器20においては、無線通信部41が実装されているものの、無線通信アンテナは設けられておらず、無線通信部41は常に有線通信モードで通信を実行する。
図11は、ケーブル1として電源ケーブルを使用した場合に対応するコンピュータ10および外部機器20それぞれの構成のさらに別の例が示されている。
図11においては、外部機器20は図2で説明した構成と同じであるが、コンピュータ10は、UWBのような近距離無線通信システムに対応する周波数帯域の使用が禁止された仕向地に対応する構成を有している。すなわち、図11のコンピュータ10においては、無線通信部31が実装されているものの、無線通信アンテナは設けられておらず、無線通信部31は常に有線通信モードで通信を実行する。
図12は、ケーブル1として電源ケーブルを使用した場合に対応するコンピュータ10および外部機器20それぞれの構成のさらに別の例が示されている。
コンピュータ10においては、2つの無線通信アンテナ33、33’が設けられている。無線通信モードにおいては、これら2つの無線通信アンテナ33、33’はダイバーシティアンテナとして機能する。
有線通信モードでは、無線通信部31のRF部311は、RFスイッチ部32、第1のアンテナA1、第2のアンテナA2を介して、電源ケーブル1の電源線に接続され、電源ケーブル1を介して無線信号を送受信する。
外部機器20においても、2つの無線通信アンテナ43、43’が設けられている。無線通信モードにおいては、これら2つの無線通信アンテナ43、43’はダイバーシティアンテナとして機能する。
有線通信モードでは、無線通信部41のRF部411は、RFスイッチ部42、第1のアンテナB1、第2のアンテナB2を介して、電源ケーブル1の電源線に接続され、電源ケーブル1を介して無線信号を送受信する。
図13は、ケーブル1として電源ケーブルとは異なる専用の通信ケーブルを使用する場合に対応するコンピュータ10および外部機器20それぞれの構成の例が示されている。
図13において、500は有線通信モードで用いられる通信専用のケーブルを示している。コンピュータ10においては、有線通信モードでは、RFスイッチ部32はケーブル500に接続される。外部機器20においては、有線通信モードでは、RFスイッチ部42はケーブル500に接続される。
図14は、ケーブル1として電源ケーブルとは異なる専用の通信ケーブルを使用する場合に対応するコンピュータ10および外部機器20それぞれの構成の別の例が示されている。
コンピュータ10および外部機器20の各々は、UWBのような近距離無線通信システムに対応する周波数帯域の使用が禁止された仕向地に対応する構成を有している。すなわち、図14のコンピュータ10においては、無線通信部31が実装されているものの、無線通信アンテナは設けられておらず、無線通信部31は常に有線通信モードで通信を実行する。有線通信モードでは、無線通信部31は、ケーブル500を介して無線信号を送受する。
図14の外部機器20においても、無線通信部41が実装されているものの、無線通信アンテナは設けられておらず、無線通信部41は常に有線通信モードで通信を実行する。有線通信モードでは、無線通信部41は、ケーブル500を介して無線信号を送受信する。
以上のように、本実施形態のコンピュータによれば、無線通信部31の出力段にRFスイッチ部32が設けられており、外部機器20との通信モードは、無線通信アンテナ33を介して外部機器20と無線通信部31との間で無線信号を送受信する無線通信モードと、外部機器20とコンピュータ10との間を接続するケーブル1を介して外部機器20と無線通信部31との間で無線信号を送受信する有線通信モードとの間で切り替えることができる。したがって、使用可能な周波数チャネルの不足や、電波干渉等によって無線通信が出来ない場合であっても、無線通信モードと同じ無線信号を用いて、外部機器20との通信を行うことが出来る。無線通信部31は無線通信モードと有線通信モードの双方で共用されるため、有線通信用の特別な回路を設けることなく、無線通信が実行できない状況においても外部機器20との通信を実行することができる。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。