以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係る情報処理装置の外観が示されている。この電子機器はバッテリ駆動可能な携帯型パーソナルコンピュータ10として実現されている。
図1は、コンピュータ10のディスプレイユニットを開いた状態における斜視図である。本コンピュータ10は、コンピュータ本体11と、ディスプレイユニット12とから構成される。ディスプレイユニット12には、LCD(Liquid Crystal Display)17から構成される表示装置が組み込まれており、そのLCD17の表示画面はディスプレイユニット12のほぼ中央に位置されている。また、ディスプレイユニット12内部には、アンテナ1、アンテナ2、アンテナ3、及び混合分配器123が設けられている。アンテナ1、アンテナ2、アンテナ3は、それぞれ異なる無線通信方式に対応するアンテナである。各アンテナは、そのアンテナに対応する無線通信方式で用いられる周波数帯域をカバーするように構成されている。アンテナ1、アンテナ2、及びアンテナ3は、それぞれケーブル1A、ケーブル2A、ケーブル3Aを介して混合分配器123の対応するポート(アンテナ端子)へ接続されている。
ディスプレイユニット12は、コンピュータ本体11にヒンジ部18を介して回動自在に取り付けられている。ヒンジ部18はコンピュータ本体11にディスプレイユニット12を連結する連結部である。すなわち、ディスプレイユニット12は、コンピュータ本体11の後端部に配置されたヒンジ部18によって支持されている。ディスプレイユニット12は、コンピュータ本体11に対してコンピュータ本体11の上面が露出される開放位置とコンピュータ本体11の上面がディスプレイユニット12によって覆われる閉塞位置との間をヒンジ部18によって回動自在に取り付けられている。
コンピュータ本体11は薄い箱形の筐体を有するベースユニットであり、その上面にはキーボード13、本コンピュータ10をパワーオン/パワーオフするためのパワーボタン14、およびタッチパッド16などが配置されている。また、コンピュータ本体11内部には、各種電子部品が設けられたシステム基板(マザーボードとも云う)、混合分配器124、無線通信モジュール126、無線通信モジュール127、及び無線通信モジュール128が設けられている。
無線通信モジュール126は、例えば、Bluetooth(登録商標)のような無線通信方式に従って外部デバイスとの無線通信を実行する無線通信モジュールである。無線通信モジュール126は、例えば、システム基板上に設けられたバススロットに接続される。Bluetooth(BT)においては、2.4GHz〜2.5GHzの周波数帯域が用いられる。無線通信モジュール126がBluetooth規格に従った無線通信を実行する無線通信モジュール(BTモジュール)として実現されている場合には、無線通信モジュール126は、2.4GHz〜2.5GHzの周波数帯域内に属する無線信号を用いて無線通信を実行する。無線通信モジュール126は、同軸ケーブルのようなケーブル1Bを介して混合分配器124の対応するポート(アンテナ端子)に接続される。
無線通信モジュール127は、例えば、無線LAN(WLAN)のような無線通信方式に従って外部デバイスとの無線通信を実行する無線通信モジュールである。無線通信モジュール127は、例えば、システム基板上に設けられたバススロットに接続される。無線LAN(WLAN)においては、例えば、2.4GHz〜5.74GHzの周波数帯域が用いられる。無線通信モジュール127が無線LAN(WLAN)規格に従った無線通信を実行する無線通信モジュール(WLANモジュール)として実現されている場合には、無線通信モジュール127は、2.4GHz〜5.74GHzの周波数帯域内に属する無線信号を用いて無線通信を実行する。無線通信モジュール127は、同軸ケーブルのようなケーブル2Bを介して混合分配器124の対応するポート(アンテナ端子)に接続される。
無線通信モジュール128は、例えば、第3世代移動通信方式(3G)に従って外部デバイスとの無線通信を実行する無線通信モジュールである。無線通信モジュール128は、例えば、システム基板上に設けられたバススロットに接続される。第3世代移動通信方式(3G)においては、例えば、1.92GHz〜2.17GHzの周波数帯域が用いられる。無線通信モジュール128が第3世代移動通信方式(3G)に従った無線通信を実行する無線通信モジュール(3Gモジュール)として実現されている場合には、無線通信モジュール128は、1.92GHz〜2.17GHzの周波数帯域内に属する無線信号を用いて無線通信を実行する。無線通信モジュール128は、同軸ケーブルのようなケーブル3Bを介して混合分配器124の対応するポート(アンテナ端子)に接続される。
無線通信モジュール126、無線通信モジュール127、及び無線通信モジュール128は、それぞれアンテナ1、アンテナ2、アンテナ3を用いて無線通信を行う。アンテナ1は2.4GHz〜2.5GHzの周波数帯域をカバーし、アンテナ2は2.4GHz〜5.74GHzの周波数帯域をカバーし、アンテナ3は1.92GHz〜2.17GHzの周波数帯域をカバーする。以下では、無線通信モジュールとこれに対応するアンテナとの組(例えば、無線通信モジュール126とアンテナ1)を無線サブシステムという。
アンテナ1〜3の搭載位置は、例えば、ディスプレイユニット12内の上端部である。アンテナ1〜3をディスプレイユニット12内の上端部に設けることにより、無線通信モジュール126、無線通信モジュール127、及び無線通信モジュール128の各々は、アンテナ1〜3が比較的高い位置に配置されている状態で外部デバイスとの無線通信を実行することができる。
ディスプレイユニット12内部の混合分配器123は、一本のケーブル301を介してコンピュータ本体11内部の混合分配器124に接続される。ディスプレイユニット12内部の混合分配器123とコンピュータ本体11内部の混合分配器124との間の信号の送受信は、一本のケーブル301を介して実行される。ケーブル301はヒンジ部18内部の空間を通される。ケーブル301は例えば、同軸ケーブルである。ケーブル301は、ヒンジ部18を介してコンピュータ本体11からディスプレイユニット12に導出される。
以下では、無線通信モジュール126〜128から出力され、アンテナ1〜3を用いてパーソナルコンピュータ10の外部へ送信される無線信号を送信信号、アンテナ1〜3によりパーソナルコンピュータ10の外部から受信され、無線通信モジュール126〜128へ入力される無線信号を受信信号という。
ディスプレイユニット12内部の混合分配器123は、アンテナ1、アンテナ2、及びアンテナ3それぞれから入力された受信信号を混合し、混合された受信信号をケーブル301を介してコンピュータ本体11内部の混合分配器124へ出力する。コンピュータ本体11内部の混合分配器124は、ディスプレイユニット12内部の混合分配器123からケーブル301を介して入力される混合された受信信号を、無線通信モジュール126、無線通信モジュール127、及び無線通信モジュール128へ分配する。
また、コンピュータ本体11内部の混合分配器124は、無線通信モジュール126、無線通信モジュール127、及び無線通信モジュール128それぞれから入力された送信信号を混合し、混合した信号をケーブル301を介してディスプレイユニット12内部の混合分配器123へ出力する。ディスプレイユニット12内部の混合分配器123は、コンピュータ本体11内部の混合分配器124からケーブル301を介して入力される混合された送信信号を、アンテナ1、アンテナ2、及びアンテナ3へ分配する。
次に、図2を参照して、本コンピュータ10のシステム構成について説明する。
本コンピュータ10は、CPU111、ノースブリッジ112、主メモリ113、グラフィックスコントローラ114、サウスブリッジ119、BIOS−ROM120、ハードディスクドライブ(HDD)121、光ディスクドライブ(ODD)122、混合分配器123、124、無線通信モジュール126、無線通信モジュール127、無線通信モジュール128、エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)125、およびアンテナ1〜3等を備えている。
CPU111は本コンピュータ10の動作を制御するプロセッサであり、ハードディスクドライブ(HDD)121から主メモリ113にロードされる、オペレーティングシステム(OS)および各種アプリケーションプログラムを実行する。またCPU111は、BIOS−ROM120に格納されたシステムBIOS(Basic Input Output System)も実行する。システムBIOSはハードウェア制御のためのプログラムである。
ノースブリッジ112は、CPU111のローカルバスとサウスブリッジ119との間を接続するブリッジデバイスである。またノースブリッジ112は、AGP(Accelerated Graphics Port)バスなどを介してグラフィクスコントローラ114との通信を実行する機能も有している。
グラフィクスコントローラ114は、本コンピュータ10のディスプレイモニタとして使用されるLCD17を制御する表示コントローラである。
サウスブリッジ119は各種I/Oデバイスを制御するブリッジデバイスである。サウスブリッジ119には、USB(Universal Serial Bus)のようなバス201を介して無線通信モジュール126が接続されている。また、サウスブリッジ119には、PCIバスまたはPCI Expressバスのようなバス202を介して無線通信モジュール127が接続され、さらに、PCIバスまたはPCI Expressバスのようなバス203を介して無線通信モジュール128が接続されている。
無線通信モジュール126、無線通信モジュール127、及び無線通信モジュール128は、それぞれケーブル1B、ケーブル2B、ケーブル3Bを介して混合分配器124へ接続される。すなわち、無線通信モジュール126、無線通信モジュール127、及び無線通信モジュール128の各々は無線信号(RF信号)を送受するためのアンテナ端子を有している。無線通信モジュール126のアンテナ端子はケーブル1Bを介して混合分配器124に接続され、無線通信モジュール127のアンテナ端子はケーブル2Bを介して混合分配器124に接続され、無線通信モジュール128のアンテナ端子はケーブル3Bを介して混合分配器124に接続される。
混合分配器124は、混合分配器123へケーブル301を介して接続される。混合分配器123には、アンテナ1、アンテナ2、及びアンテナ3が、それぞれケーブル1A、ケーブル2A、ケーブル3Aを介して接続されている。
エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)125は、電力管理のためのエンベデッドコントローラと、キーボード(KB)13およびタッチパッド16を制御するためのキーボードコントローラとが集積された1チップマイクロコンピュータである。
次に、図3を参照して、無線通信における各部の動作について説明する。
まず、無線通信モジュール126〜128から信号を送信する場合について説明する。
無線通信モジュール(BTモジュール)126、無線通信モジュール(WLANモジュール)127、及び無線通信モジュール(3Gモジュール)128は、それぞれBluetooth(BT)、無線LAN(WLAN)、第3世代移動体通信(3G)の規格に基づく送信信号を出力する。
無線通信モジュール126により出力された送信信号は、ケーブル1Bを介して混合分配器124へ入力される。無線通信モジュール127により出力された送信信号は、ケーブル2Bを介して混合分配器124へ入力される。また、無線通信モジュール128により出力された送信信号は、ケーブル3Bを介して混合分配器124へ入力される。
混合分配器124は、入力された各送信信号の無線周波数(無線伝送帯域)を、それぞれ異なる帯域の中間周波数に変換(コンバート)する。つまり、混合分配器124は、無線周波数である各送信信号を、送信信号間で干渉が生じない周波数である中間周波数の送信信号に変換する。そして、混合分配器124は、周波数変換された各送信信号を混合して、混合した送信信号をケーブル301を介して混合分配器123へ出力する。
混合分配器123は、混合分配器124から受け取った混合された送信信号を分離する。混合分配器123は、分離したそれぞれの送信信号を、中間周波数から無線周波数へ変換(ディコンバート)する。つまり、混合分配器123は、混合分配器124から受け取った送信信号から、無線通信モジュール126〜128それぞれが出力した送信信号を復元する。そして、混合分配器123は、アンテナ1、アンテナ2、及びアンテナ3に対して、それぞれBTモジュール126による送信信号、WLANモジュール127による送信信号、3Gモジュール128による送信信号を出力する。
次に、アンテナ1〜3により信号を受信する場合について説明する。
アンテナ1、アンテナ2、及びアンテナ3は、それぞれBluetooth(BT)、無線LAN(WLAN)、第3世代移動体通信(3G)の規格に基づく受信信号を受信する。
アンテナ1から出力された受信信号は、ケーブル1Aを介して混合分配器123へ入力される。アンテナ2から出力された受信信号は、ケーブル2Aを介して混合分配器123へ入力される。また、アンテナ3から出力された受信信号は、ケーブル3Aを介して混合分配器123へ入力される。
混合分配器123は、入力された各受信信号の無線周波数(無線伝送帯域)を、それぞれ異なる帯域の中間周波数に変換(コンバート)する。つまり、混合分配器123は、無線周波数である各受信信号を、受信信号間で干渉が生じない周波数である中間周波数の受信信号に変換する。そして、混合分配器123は、周波数変換された各受信信号を混合して、混合した受信信号をケーブル301を介して混合分配器124へ出力する。
混合分配器124は、混合分配器123から受け取った混合された受信信号を分離する。混合分配器124は、分離したそれぞれの受信信号を、中間周波数から元の無線周波数へ変換(ディコンバート)する。つまり、混合分配器124は、混合分配器123から受け取った受信信号から、アンテナ1〜3それぞれが出力した受信信号を復元する。そして、混合分配器124は、BTモジュール126、WLANモジュール127、3Gモジュール128に対して、それぞれアンテナ1による受信信号、アンテナ2による受信信号、アンテナ3による受信信号を出力する。
なお、コンピュータ10に、例えば、UWB(ultra wideband)の規格に基づく無線通信のための無線通信モジュール129、及びアンテナ4をさらに設けることもできる。その場合、無線通信モジュール129を混合分配器124へ接続し、アンテナ4を混合分配器123へ接続する。本実施形態ではこのような接続を行うだけで、より多くの種類の無線通信機能をコンピュータ10へ容易に搭載することができる。
また、混合分配器123又は混合分配器124により周波数変換する無線通信モジュールそれぞれの無線信号は、ある無線信号の周波数帯域の少なくとも一部が、別の無線信号の周波数帯域と重なる関係にある。そして、混合分配器123又は混合分配器124は、少なくともいずれかの無線信号を、周波数帯域が重ならないように決められた所定の周波数帯域に変換する。例えば、BTモジュール126の無線信号の2.4GHz〜2.5GHzの周波数帯域と、WLANモジュール127の無線信号の2.4GHz〜5.74GHzの周波数帯域とは、一部が重なっている。そこで、混合分配器123又は混合分配器124は、例えば、BTモジュール126の無線信号を、WLANモジュール127の無線信号の周波数帯域とは重ならない2.2GHz〜2.3GHzの周波数帯域にダウンコンバートする。
また、必ずしもBTモジュール126、WLANモジュール127、3Gモジュール128の全ての無線信号(受信信号、送信信号)をそれぞれ中間周波数に変換する必要はない。例えば、BTモジュール126に対応する無線信号(受信信号、送信信号)の周波数のみを、WLANモジュール127および3Gモジュール128それぞれに対応する無線信号の周波数帯域と重ならない所定の周波数帯域に変換してもよい。
各無線通信モジュールとその無線通信モジュールに対応する対応するアンテナとの間のケーブル長が長くなるほど、ケーブルを介して伝送される無線信号のロス、いわゆるケーブルロス、は大きくなる。したがって、混合分配器124は、図3に示されているように、本体11内の後端部近傍の位置、具体的にはケーブル18が挿入されたヒンジ部18の近傍の位置に配置することが好ましい。図3に示されているように、ケーブル18が本体11内の後端部の左端側に設けられたヒンジ部18に挿入されている場合には、混合分配器123は、例えば、ディスプレイユニット12内の左端部近傍の位置に配置される。
図4は、ディスプレイユニット12内に設けられた混合分配器123により、送信信号及び受信信号が周波数変換される例を示している。図4は、混合分配器123の一部を示し、乗算器(ミキサとも云う)とローパスフィルタ(LPF)とからなる周波数変換器412a、乗算器(ミキサとも云う)とハイパスフィルタ(HPF)とからなる周波数変換器412b、及び局部発振器として機能する電圧制御発信器(VLO:voltage controlled oscillator)413から構成されている。ここでは、送信信号及び受信信号は、例えばBluetooth規格に基づく無線信号であるものとする。
まず、混合分配器123が、アンテナ1により受信された、周波数帯が2400〜2490MHzである受信信号を周波数変換する例について説明する。
周波数変換器412aの乗算器は、アンテナ1から入力された2400〜2490MHzの受信信号にVCO413から入力された200MHzの信号を乗じる(ミキシング)。この結果、2600〜2690MHzのサイドバンド周波数の信号及び2200〜2290MHzのサイドバンド周波数の信号が生成される。そして、周波数変換器412aのLPFは、これら2つのサイドバンド周波数の信号をフィルタリングして、低周波側の2200〜2290MHzの信号を抽出する。
上述の処理により、混合分配器123は、2400〜2490MHzの受信信号を2200〜2290MHzの信号へ周波数変換する。2200〜2290MHzの周波数帯域は、無線LANの周波数帯域、および3Gの周波数帯域のどちらにも重ならない周波数帯域である。
次に、混合分配器123が、コンピュータ本体11側の混合分配器124において周波数変換された、周波数帯が2200〜2290MHzである送信信号を周波数変換する例について説明する。
周波数変換器412bの乗算器は、混合分配器124において周波数変換された2200〜2290MHzの送信信号にVCO413から入力された200MHzの信号を乗じる(ミキシング)。この結果、2400〜2490MHzのサイドバンド周波数の信号及び2000〜2090MHzのサイドバンド周波数の信号が生成される。そして、周波数変換器412bのHPFは、これら2つのサイドバンド周波数の信号をフィルタリングして、高周波側の2400〜2490MHzの信号を抽出する。
上述の処理により、混合分配器123は、2200〜2290MHzの送信信号を2400〜2490MHzの信号へ周波数変換する。
図5は、コンピュータ本体11内に設けられた混合分配器124により、送信信号及び受信信号が周波数変換される例を示している。図5は、混合分配器124の一部を示し、乗算器とハイパスフィルタ(HPF)とからなる周波数変換器511a、乗算器とローパスフィルタ(LPF)とからなる周波数変換器511b、及び電圧制御発信器(VCO:voltage controlled oscillator)512から構成されている。ここでは、送信信号及び受信信号は、例えばBluetooth規格に基づく無線信号であるものとする。
まず、混合分配器124が、ディスプレイユニット12側の混合分配器123において周波数変換された、周波数帯が2200〜2290MHzである受信信号を周波数変換する例について説明する。
周波数変換器511aの乗算器は、混合分配器123において周波数変換された2200〜2290MHzの受信信号にVCO512から入力された200MHzの信号を乗じる(ミキシング)。この結果、2400〜2490MHzのサイドバンド周波数の信号及び2000〜2090MHzのサイドバンド周波数の信号が生成される。そして、周波数変換器412bのHPFは、これら2つのサイドバンド周波数の信号をフィルタリングして、高周波側の2400〜2490MHzの信号を抽出する。
上述の処理により、混合分配器124は、2200〜2290MHzの受信信号を2400〜2490MHzの信号へ周波数変換する。
次に、混合分配器124が、無線通信モジュール126から入力された、周波数帯が2400〜2490MHzである送信信号を周波数変換する例について説明する。
周波数変換器511bの乗算器は、無線通信モジュール126から入力された2400〜2490MHzの送信信号にVCO512から入力された200MHzの信号を乗じる(ミキシング)。この結果、2600〜2690MHzのサイドバンド周波数の信号及び2200〜2290MHzのサイドバンド周波数の信号が生成される。そして、周波数変換器511bのLPFは、これら2つのサイドバンド周波数の信号をフィルタリングして、低周波側の2200〜2290MHzの信号を抽出する。
上述の処理により、混合分配器123は、2400〜2490MHzの送信信号を2200〜2290MHzの信号へ周波数変換する。
図6及び図7はそれぞれ、ディスプレイユニット12側の混合分配器123を構成する回路とコンピュータ本体11側の混合分配器124を構成する回路とを示している。
図6に示すディスプレイユニット12側の混合分配器123には、無線通信モジュールとこれに対応するアンテナとからなる無線サブシステム毎に、信号に対して周波数変換、混合・分配、増幅する信号処理回路が設けられている。なお、図6では2つの無線サブシステムに対応する2つの信号処理回路の例が示されているが、他の無線サブシステムがある場合には、他の無線サブシステムそれぞれに対応する同様の信号処理モジュール回路が追加される。
以下では、図6に示す信号処理モジュール回路41を参照して、信号に対して周波数変換、混合・分配、増幅する回路について説明する。回路41は、無線通信モジュール126とアンテナ1とからなる無線サブシステムによる送受信信号に対して処理を施す。
回路41は、バンドパスフィルタ(BPF)410a、410b、414、アンプ411a、411b、センサ416、周波数変換器412a、412b、電圧制御発信器(VCO)413、ミキサ415、及び2つのスイッチ417から構成される。
バンドパスフィルタ(BPF)410a、アンプ411a、および周波数変換器412aは、受信回路として機能する。この受信回路は、アンテナ1から入力されるBluetooth(BT)の周波数帯域の受信信号を上述の2200〜2290MHzの周波数帯域の受信信号に変換する機能を有している。バンドパスフィルタ(BPF)410b、アンプ411b、および周波数変換器412bは、送信回路として機能する。この送信回路は、ケーブル301から入力される2200〜2290MHzの周波数帯域の送信信号をBluetooth(BT)の周波数帯域の送信信号に変換する機能を有している。
2つのスイッチ417の内、アンテナ1側に位置する一方のスイッチ417は、受信回路および送信回路の一方をアンテナ1に結合するスイッチである。また、他方のスイッチ417は、受信回路および送信回路の一方をケーブル301に結合するスイッチである。
センサ416は、ケーブル301から入力される2200〜2290MHzの送信信号の強度を検出し、検出された強度が所定値よりも大きい場合、2つのスイッチ417を制御することによって、アンテナ1およびケーブル301の各々に結合されるべき回路を、受信回路から送信回路に切り換える。
以下、回路41の具体的な動作例について説明する。
まず、ケーブル301から混合された送信信号が入力される場合、すなわち、コンピュータ本体11側の混合分配器124によって複数の無線サブシステムの送信信号が混合された信号が入力される場合、BPF414は、混合された送信信号から、回路41で処理される目的の周波数成分(2200〜2290MHz)の送信信号を抽出する。
スイッチ417は、抽出された送信信号が入力されると、受信側(図6中、上側)から送信側(図6中、下側)へ回路の接続を切り替える。この切り替えには、受信信号の信号強度よりも送信信号の信号強度の方が高いという性質を利用している。すなわち、センサ416により送信信号の信号強度(具体的には、回路41とケーブル301との間で入出力される2200〜2290MHzの周波数帯域の信号の信号強度)が観測される。例えばあるしきい値よりも信号強度が強いことがセンサ416によって検出された場合に、センサ416からのスイッチ切り替え信号により、2つのスイッチ417は接続を受信側から送信側に切り替える。
周波数変換器412bは、上述のように、VCO413から入力された信号を用い、スイッチ417を介して入力された送信信号の周波数を中間周波数から無線周波数へ変換する。中間周波数には、無線サブシステム間で干渉が生じない周波数値が、無線サブシステム毎に予め決定されている。したがって、VCO413は、予め決定された中間周波数の値に応じた周波数f1の局部発振信号を生成する。また、VCO413ではなくPLL(phase locked loop)を用い、PLLによって局部発振信号の周波数を決定してもよい。
アンプ411bは、アンテナ1へ出力される送信信号を増幅する。すなわち、アンプ411bは、ケーブルを介して信号を伝送する際の減衰であるケーブルロスを補正するため、周波数変換した送信信号を増幅する。
BPF410bは、増幅した送信信号から必要な周波数成分の送信信号を抽出する。つまり、BPF410bは、増幅した送信信号から不要な周波数成分の信号をカットする。
以上の処理により、混合分配器123は、ケーブル301から入力される混合された送信信号から、アンテナ1による送信に要する周波数の送信信号を生成し、生成した送信信号をアンテナ1へ出力することができる。なお、各スイッチ417は、上記の処理終了後、送信側から受信側へ切り替えられる。つまり、各スイッチ417は通常、受信側に接続されている状態にある。
次に、受信信号に対する処理について説明する。
アンテナ1からケーブル1Aを介して受信信号が入力される場合、受信信号は、受信側(図6中、上側)に接続された状態にあるスイッチ417を通り、BPF410aへ入力される。BPF410aは、受信信号から必要な周波数成分の受信信号を抽出する。
アンプ411aは、アンテナ1から入力される受信信号を増幅する。すなわち、ケーブルを介して信号を伝送する際の減衰であるケーブルロスを補正するため、アンプ411aは、BPF410aによって抽出した受信信号を増幅する。
信号処理回路41,42,…の各々には、対応する送信信号および受信信号を増幅するためのアンプが内蔵されている。これらアンプの増幅率は、信号処理回路41,42,…毎に異なっている。各信号処理回路においては、送受信信号に対する増幅率は、その信号処理回路に対応する無線通信モジュールとアンテナとの間の総ケーブル長に応じて、決定されている。無線通信モジュール126,127,128それぞれからディスプレイユニット12内部の混合分配器123までの距離は、ほぼ同一にすることができる。一方、混合分配器123とアンテナ1,2,3それぞれとの間の距離は、アンテナ毎に異なる。
例えば、図3に示すアンテナ配置例においては、混合分配器123とアンテナ1との間の距離よりも、混合分配器123とアンテナ2との間の距離の方が長い。したがって、混合分配器123とアンテナ2との間を接続するケーブル2Aのケーブル長は、混合分配器123とアンテナ1との間を接続するケーブル1Aのケーブル長よりも長い。この場合、信号処理回路42内に設けられたアンプ421a,421bの各々の増幅率は、信号処理回路41内に設けられたアンプ411a,411bの各々の増幅率よりも高く設定すればよい。
図6の信号処理回路41内の周波数変換器412aは、上述のように、VCO413から入力された信号を用い、スイッチ417を介して入力された受信信号の周波数を無線周波数から中間周波数へ変換する。中間周波数には、無線サブシステム間で干渉が生じない周波数値が、無線サブシステム毎に予め決定されている。したがって、VCO413は、予め決定された中間周波数の値に応じた周波数f1の局部発振信号を生成する。また、VCO413ではなくPLLを用い、PLLによって周波数を決定してもよい。
ミキサ415は、周波数変換した受信信号と回路42等の他の回路により処理された受信信号とを混合し、一本のケーブル301へ出力する。
以上の処理により、混合分配器123は、アンテナ1から入力される受信信号から、ケーブル301による伝送に要する周波数の受信信号を生成し、生成した受信信号をケーブル301へ出力することができる。
図6において、回路42、及び追加される他の無線サブシステムに対する回路も、入力される送受信信号に対して、上述の処理と同様の処理を実行する。すなわち、回路42、及び追加される他の無線サブシステムに対する回路の各々は、回路41と同様の回路構成を有している。
図7に示すコンピュータ本体11側の混合分配器124にも、無線通信モジュールとこれに対応するアンテナとからなる無線サブシステム毎に、信号に対して周波数変換、混合・分配、増幅する信号処理回路が設けられている。なお、図7では2つの無線サブシステムに対応する信号処理回路の例が示されているが、他の無線サブシステムがある場合には、他の無線サブシステムそれぞれに対応する同様の回路が追加される。したがって、ディスプレイユニット12側の混合分配器123は、一本のケーブル301から入力される混合された送信信号を複数のアンテナそれぞれに分配すること、及び複数のアンテナそれぞれから入力される受信信号を混合して一本のケーブル301へ出力することができる。
以下では、図7に示す信号処理回路51を参照して、信号に対して周波数変換、混合・分配、増幅する回路について説明する。回路51は、無線通信モジュール126とアンテナ1とからなる無線サブシステムによる送受信信号に対する処理を施す。
回路51は、バンドパスフィルタ(BPF)510、513、センサ514、周波数変換器511a、511b、電圧制御発信器(VCO)512、ミキサ516、及び2つのスイッチ515から構成される。周波数変換器511aおよびバンドパスフィルタ(BPF)510は、受信回路として機能する。この受信回路は、ケーブル301から入力される上述の2200〜2290MHzの周波数帯域の受信信号をBluetooth(BT)の周波数帯域の送信信号に変換する機能を有している。周波数変換器511bは無線通信モジュール126から出力されるBluetooth(BT)の周波数帯域の送信信号をケーブル301に出力する送信回路内に設けられる。2つのスイッチ515の内、ケーブル301側に位置する一方のスイッチ515は、受信回路および送信回路の一方をケーブル301に結合するスイッチである。また、他方のスイッチ515は、受信回路および送信回路の一方を無線通信モジュール126に結合するスイッチである。
センサ514は、無線通信モジュール126からの送信信号の強度を検出し、検出された強度が所定値よりも大きい場合、2つのスイッチ515を制御することによって、ケーブル301および無線通信モジュール126の各々に結合されるべき回路を、受信回路から送信回路に切り換える。
以下、回路51の具体的な動作例について説明する。
まず、無線通信モジュール126からケーブル1Bを介して送信信号が入力される場合、スイッチ515は、受信側(図7中、上側)から送信側(図7中、下側)へ回路の接続を切り替える。この切り替えには、受信信号の信号強度よりも送信信号の信号強度の方が高いという性質を利用している。すなわち、センサ515により送信信号の信号強度(具体的には、無線通信モジュール126と回路51との間で入出力される2400〜2490MHzの周波数帯域の信号の信号強度)が観測される。例えばあるしきい値よりも信号強度が強いことがセンサ515によって検出された場合に、センサ515からのスイッチ切り替え信号により、2つのスイッチ515は接続を受信側から送信側に切り替える。
周波数変換器511bは、上述したように、VCO512から入力された信号を用い、スイッチ515を介して入力された送信信号の周波数を無線周波数から中間周波数へ変換する。中間周波数には、無線サブシステム間で干渉が生じない周波数値が、無線サブシステム毎に予め決定されている。したがって、VCO512は、予め決定された中間周波数の値に応じた周波数f1の信号を生成する。また、VCO512ではなくPLLを用い、PLLによって周波数を決定してもよい。
ミキサ516は、周波数変換した送信信号と回路52等の他の回路により処理された送信信号とを混合し、一本のケーブル301へ出力する。
以上の処理により、混合分配器124は、無線通信モジュール126から入力される送信信号から、ケーブル301による伝送に要する周波数の送信信号を生成し、生成した送信信号をケーブル301へ出力することができる。なお、スイッチ515は、上記の処理終了後、スイッチを送信側から受信側へ切り替える。
次に、ケーブル301から混合された受信信号が入力される場合、すなわち、ディスプレイユニット12側の混合分配器123によって複数の無線サブシステムの受信信号が混合された信号が入力される場合、BPF510は、回路51で処理する周波数成分の受信信号を抽出する。抽出された受信信号は、受信側(図7中、上側)に接続された状態にあるスイッチ515を通り、周波数変換器511aへ入力される。
周波数変換器511aは、上述したように、VCO512から入力された信号を用い、スイッチ515を介して入力された受信信号の周波数を中間周波数から無線周波数へ変換する。中間周波数には、無線サブシステム間で干渉が生じない周波数値が、無線サブシステム毎に予め決定されている。したがって、VCO512は、予め決定された中間周波数の値に応じた周波数f1の信号を生成する。また、VCO512ではなくPLLを用い、PLLによって周波数を決定してもよい。
BPF513は、周波数変換した受信信号から必要な周波数成分の受信信号を抽出し、抽出した受信信号を無線通信モジュール126へ出力する。
以上の処理により、混合分配器124は、ケーブル301から入力される混合された受信信号から、無線通信モジュール126に入力すべき周波数の受信信号を生成し、生成した受信信号を無線通信モジュール126へ出力することができる。
図7において、回路52、及び追加される他の無線サブシステムに対する回路も、入力される送受信信号に対して、上述の処理と同様の処理を実行する。したがって、コンピュータ本体11側の混合分配器124は、複数の無線通信モジュールそれぞれから入力される送信信号を混合して一本のケーブル301へ出力すること、及び一本のケーブル301から入力される混合された受信信号を複数の無線通信モジュールそれぞれに分配することができる。
上述のように、ディスプレイユニット12側の混合分配器123とコンピュータ本体11側の混合分配器124とを接続する一本のケーブル301で、複数の無線サブシステム(無線通信モジュールと対応するアンテナ)それぞれの送受信信号を同時に伝送することができる。信号を伝送するためのケーブルは、通常、無線サブシステム毎に必要であり、ヒンジ部18に通すことのできるケーブル数によって、パーソナルコンピュータ10に搭載可能な無線サブシステムの数が制限される可能性がある。本実施形態では、ヒンジ部18を通すケーブルを一本にすることで、多くの無線サブシステムをパーソナルコンピュータ10に搭載することができる。また、ケーブルが一本であるため、ヒンジ部18自体の小型化を図ることも可能である。さらに、ヒンジ部18付近におけるケーブルの破損の可能性を低減することもできる。
また、混合分配器123及び混合分配器124では、上述したように、一本のケーブル301のみで複数の送信信号及び受信信号を伝送するために、送信信号及び受信信号を無線周波数から中間周波数へ変換する処理を行っている。この周波数変換処理は、信号間の干渉を回避することを目的としているため、各信号の無線周波数が干渉する値でなければ、周波数変換処理を行わずに、無線周波数の信号をそのまま伝送してもよい。また例えば、3つの信号のうち、干渉する2つの信号を無線周波数から中間周波数に変換し、残りの1つの信号は、無線周波数のまま伝送する方法を用いてもよい。なお、混合分配器123及び混合分配器124では、それぞれセンサ416、センサ515により観測した信号強度を用いて、送信信号を処理する送信回路と受信信号を処理する受信回路とを切り替えている。これにより、混合分配器123及び混合分配器124外にある無線通信モジュール等による制御を要することなく、送受信信号を一本のケーブルで伝送することができる。
混合分配器123及び混合分配器124ではさらに、上述したように、ケーブルを介して信号を伝送する際の減衰であるケーブルロスを補正する。ケーブルロスに起因する信号の減衰を補正することで、通信到達距離や受信感度等に基づく通信性能(送受信性能)を向上させることができる。したがって、ケーブル長が長い場合にも目的の性能を達成でき、キャリア認証試験等をパスすることができる。また、ケーブル長に関わらず、無線通信モジュール及びアンテナを、コンピュータ本体11内及びディスプレイユニット12内に自由に配置することができる。
図8は、無線通信モジュールから無線信号を送信する場合の送信処理の手順を示すフローチャートである。
まず、無線通信モジュール#1、#2、#3はそれぞれ、コンピュータ本体11側の混合分配器124へ無線周波数の送信信号#1、送信信号#2、及び送信信号#3を出力する(ステップS101)。ここで、無線周波数は、無線通信モジュールとこれに対応するアンテナとからなる無線サブシステム毎の無線通信方式に用いられる信号の周波数である。
次に、コンピュータ本体11側の混合分配器124は、無線周波数の送信信号#1、及び送信信号#2を中間周波数に変換する(ステップS102)。ここでは、送信信号#1、送信信号#2、及び送信信号#3が、互いに重複した周波数帯域の無線周波数であるため、送信信号#1と送信信号#2とを無線周波数から中間周波数に変換して、三つの送信信号の周波数が重複することを回避する。これにより三つの送信信号を、一本のケーブルで同時に伝送することができる。
コンピュータ本体11側の混合分配器124は、変換した中間周波数の送信信号#1、及び送信信号#2、並びに無線周波数の送信信号#3を混合する(ステップS103)。混合された送信信号は、ケーブル301に出力され、ディスプレイユニット12側の混合分配器123へ伝送される。
ディスプレイユニット12側の混合分配器123は、混合された送信信号を分離する(ステップS104)。すなわち、ディスプレイユニット12側の混合分配器123は、混合された送信信号から、中間周波数の送信信号#1、及び送信信号#2、並びに無線周波数の送信信号#3それぞれを抽出する。ディスプレイユニット12側の混合分配器123は、抽出した送信信号のうち、中間周波数の送信信号#1、及び送信信号#2を無線周波数に変換する(ステップS105)。そして、混合分配器123は、無線周波数の送信信号#1、送信信号#2、及び送信信号#3をそれぞれ、アンテナ#1、アンテナ#2、アンテナ#3へ出力する(ステップS106)。
以上の処理により、複数の無線通信モジュールそれぞれから出力された無線周波数の送信信号を、各無線通信モジュールに対応するアンテナへ、一本のケーブルを介して伝送することができる。
図9は、アンテナから無線信号を受信した場合の受信処理の手順を示すフローチャートである。
まず、アンテナ#1、アンテナ#2、及びアンテナ#3は、それぞれ受信した無線周波数の受信信号#1、受信信号#2、及び受信信号#3をディスプレイユニット12側の混合分配器123へ出力する(ステップS201)。
次に、ディスプレイユニット12側の混合分配器123は、無線周波数の受信信号#1、及び受信信号#2を中間周波数に変換する(ステップS202)。ここでは、受信信号#1、受信信号#2、及び受信信号#3が、互いに重複した周波数帯域の無線周波数であるため、受信信号#1と受信信号#2とを無線周波数から中間周波数に変換して、三つの受信信号の周波数が重複することを回避する。これにより三つの受信信号を、一本のケーブルで同時に伝送することができる。
ディスプレイユニット12側の混合分配器123は、変換した中間周波数の受信信号#1、及び受信信号#2、並びに無線周波数の受信信号#3を混合する(ステップS203)。混合された受信信号は、ケーブル301に出力され、コンピュータ本体11側の混合分配器124へ伝送される。
コンピュータ本体11側の混合分配器124は、混合された受信信号を分離する(ステップS204)。すなわち、コンピュータ本体11側の混合分配器124は、混合された受信信号から、中間周波数の受信信号#1、及び受信信号#2、並びに無線周波数の受信信号#3のそれぞれを抽出する。コンピュータ本体11側の混合分配器124は、抽出した受信信号のうち、中間周波数の受信信号#1、及び受信信号#2を無線周波数に変換する(ステップS205)。そして、混合分配器124は、無線周波数の受信信号#1、受信信号#2、及び受信信号#3をそれぞれ、無線通信モジュール#1、無線通信モジュール#2、無線通信モジュール#3へ出力する(ステップS206)。
以上の処理により、複数のアンテナそれぞれにより受信された無線周波数の受信信号を、各アンテナに対応する無線通信モジュールへ、一本のケーブルを介して伝送することができる。
図10及び図11に示すフローチャートを参照して、図9のフローチャートに示した送信処理の手順のうち、コンピュータ本体11側の混合分配器124、及びディスプレイユニット12側の混合分配器123による処理の手順をそれぞれ説明する。
図10は、コンピュータ本体11側の混合分配器124による送信処理の手順を示すフローチャートである。
まず、混合分配器124は、各無線通信モジュールから無線周波数の送信信号が入力されると、スイッチを送信側に切り替える(ステップS301)。すなわち、混合分配器124の回路は、受信処理を実行するための回路から送信処理を実行するための回路へ接続が切り替えられる。
次に、混合分配器124は、各無線通信モジュールから入力された無線周波数の送信信号を、それぞれ中間周波数へ変換する(ステップS302)。そして、混合分配器124内に設けられたBPFは、中間周波数に変換された送信信号から必要な周波数成分の信号を抽出する(ステップS303)。混合分配器124は、各無線通信モジュールに対応する送信信号を混合して、混合した送信信号をケーブル301へ出力する(ステップS304)。
混合分配器124へ入力される送信信号に対する処理が完了すると、混合分配器124はスイッチを送信側から受信側へ切り替える(ステップS305)。
図11は、ディスプレイユニット12側の混合分配器123による送信処理の手順を示すフローチャートである。
まず、混合分配器123に設けられたBPFは、ケーブル301から入力される混合された送信信号から必要な周波数成分の信号を抽出する(ステップS401)。次に、混合分配器123は、各無線通信モジュールから無線周波数の送信信号が入力されると、スイッチを送信側に切り替える(ステップS402)。すなわち、混合分配器123の回路は、受信処理を実行するための回路から送信処理を実行するための回路へ接続が切り替えられる。
混合分配器123は、抽出された中間周波数の送信信号を無線周波数へ変換する(ステップS403)。そして、混合分配器123に設けられたアンプは、送信信号のケーブルロスを補正するため、送信信号を増幅する(ステップS404)。混合分配器123に設けられた別のBPFは、増幅された送信信号から必要な周波数成分の信号を抽出する(ステップS405)。混合分配器123は、抽出した送信信号をアンテナへ出力する(ステップS406)。
混合分配器123へ入力される送信信号に対する処理が完了すると、混合分配器123はスイッチを送信側から受信側へ切り替える(ステップS407)。
図12及び図13に示すフローチャートを参照して、図10のフローチャートに示した受信処理の手順のうち、ディスプレイユニット12側の混合分配器123、及びコンピュータ本体11側の混合分配器124による処理の手順をそれぞれ説明する。
図12は、ディスプレイユニット12側の混合分配器123による受信処理の手順を示すフローチャートである。
まず、混合分配器123に設けられたBPFは、アンテナから入力された無線周波数の受信信号から必要な周波数成分の信号を抽出する(ステップS501)。次に、混合分配器123に設けられたアンプは、抽出された受信信号のケーブルロスを補正するため、抽出された受信信号を増幅する(ステップS502)。そして、混合分配器123は、増幅した受信信号を無線周波数から中間周波数へ変換する(ステップS503)。
混合分配器123に設けられた別のBPFは、変換した受信信号から必要な周波数成分の信号を抽出する(ステップS504)。混合分配器123は、各アンテナに対応する受信信号を混合して、混合した受信信号をケーブル301へ出力する(ステップS505)。
図13は、コンピュータ本体11側の混合分配器124による受信処理の手順を示すフローチャートである。
まず、混合分配器124に設けられたBPFは、ケーブル301から入力する混合された受信信号から必要な周波数成分の信号を抽出する(ステップS601)。次に、混合分配器124は、抽出した受信信号を中間周波数から無線周波数へ変換する(ステップS602)。そして、混合分配器124に設けられた別のBPFは、変換した受信信号から必要な周波数成分の信号を抽出する(ステップS603)。混合分配器124は、抽出した受信信号を各無線通信モジュールへ出力する(ステップS604)。
以上説明したように、本実施形態によれば、複数種の無線通信方式による送受信信号を、一本のケーブルで同時に伝送することができる。複数種の無線通信方式による送受信信号は、ケーブルの両端に設けられる二つの混合分配器により、混合、分配される。一方の混合分配器は、無線通信モジュール又はアンテナから入力された複数の無線周波数の信号を周波数帯域が重複しない中間周波数にそれぞれ変換し、これら変換した信号をケーブルへ出力する。また、他方の混合分配器は、ケーブルから入力される混合された中間周波数の信号を分離し、無線周波数に変換して、無線通信モジュール又はアンテナへ出力する。したがって、無線通信モジュール及びアンテナに新たな機能を加えることなく、送受信信号を一本のケーブルで同時に伝送することができる。なお、混合分配器は、無線周波数の送受信信号の周波数帯域が重複しない場合には、送受信信号を中間周波数に変換せず、無線周波数のまま混合し、伝送することも可能である。また、混合分配器は、無線周波数の送受信信号の周波数帯域が重複する場合であっても、すべての送受信信号を中間周波数に変換する必要はない。例えば、周波数帯域が重複する三種類の信号がある場合に、うち二つの信号を中間周波数に変換することで周波数帯域の重複を回避できれば、残りの一つの信号は無線周波数のまま混合し、伝送してもよい。
また、無線信号の周波数変換は、無線信号間の周波数帯域の重複を回避できれば、ダウンコンバートとアップコンバートのいずれであってもよい。すなわち、図8の送信処理において、ステップS102のダウンコンバートをアップコンバートにして、ステップS105のアップコンバートをダウンコンバートにしてもよい。同様に、図9の受信処理において、ステップS202のダウンコンバートをアップコンバートにし、ステップS205のアップコンバートをダウンコンバートにしてもよい。例えば、周波数帯域が重複する三種類の信号がある場合には、一つの信号をダウンコンバートし、別の一つの信号をアップコンバートして、三つの信号間の周波数帯域の重複を回避し、残りの一つの信号は無線周波数のままで、三つの信号を混合し、伝送してもよい。
また、混合分配器は送受信信号の信号強度を増幅する機能を持ち、ケーブルを介した伝送に起因する送受信信号の減衰を補正することができる。これは、異なる種類の無線通信方式間での送受信信号強度の補正だけでなく、ダイバシティ方式による通信の際に設けられる同一の無線通信方式の二つのアンテナ間で、受信信号を補正する場合にも用いられる。すなわち、二つのアンテナから無線通信モジュールまでを接続するための総ケーブル長が、アンテナ毎に異なることに起因する受信信号の減衰を補正することで、より安定した電波状態にあるアンテナを正しく選択することができる。
また本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。