JP2010043379A - 保護帽 - Google Patents

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正 関
Katsunori Nishijima
克典 西嶋
Tetsuya Ochiai
哲也 落合
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Abstract

【課題】保護帽において、耐熱性をより向上させることである。
【解決手段】頭の上部を覆う保護帽10であって、略半球殻状に形成された保護帽本体12と、保護帽本体12の内面に設けられ、衝撃を吸収する衝撃吸収ライナ14と、を備え、衝撃吸収ライナ14は、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体で形成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、保護帽に係り、特に、頭の上部を覆う保護帽に関する。
人の頭の上部を覆うヘルメット等の保護帽は、例えば、頭部を覆う帽体と、頭部の衝撃を抑える衝撃吸収ライナと、ハンモックとヘッドバンドと環ひも等を有する着装体と、あごひもと、を含んで構成されている。そして、屋外や高温環境下等で使用される保護帽には、保護帽装着者の頭部のムレ対策や熱中症対策等のために、遮熱性能を有する保護帽が使用されている。このような遮熱性能を有する保護帽は、例えば従来の帽体に遮熱性塗料を塗装することにより製造されている。
特許文献1には、太陽光が放つ赤外線を遮蔽し、炎天下におけるヘルメット内部の温度上昇を抑えることができるヘルメットが開示され、ヘルメットの外表面に赤外線遮蔽機能を有するポリウレタン樹脂系塗料を塗装することが示されている。
特開2006−2298号公報
ところで、保護帽に使用されている衝撃吸収ライナは、一般的に、発泡スチロール材や発泡ポリエチレン材等の衝撃吸収性を有する発泡材で形成されている。このような保護帽を輻射熱の多い熱職場等で使用すると、保護帽の帽体温度が輻射熱により上昇し、発泡スチロール材や発泡ポリエチレン材で形成された衝撃吸収ライナの耐熱温度を超える場合がある。
また、上述したように、遮熱性塗料が塗装された保護帽でも保護帽装着中に衝撃等により塗膜が帽体から剥離し、保護帽の遮熱性が低下する場合がある。このような場合には、保護帽の帽体温度が輻射熱により上昇し、衝撃吸収ライナの耐熱温度を超える可能性がある。
ここで、発泡スチロール材や発泡ポリエチレン材等はその耐熱温度を超えて熱曝露されると熱収縮するため、衝撃吸収ライナの衝撃吸収性能が低下する場合がある。その結果、輻射熱の多い熱職場では保護帽を使用できない可能性がある。
そこで本発明の目的は、より耐熱特性を向上させた保護帽を提供することである。
本発明に係る保護帽は、頭の上部を覆う保護帽であって、略半球殻状に形成された保護帽本体と、前記保護帽本体の内側に設けられ、衝撃を吸収する衝撃吸収ライナと、を備え、前記衝撃吸収ライナは、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体で形成されることを特徴とする。
本発明に係る保護帽において、前記ポリ乳酸系樹脂発泡成形体は、150℃での加熱寸法変化率が5%未満であることが好ましい。
本発明に係る保護帽において、前記ポリ乳酸系樹脂発泡成形体は、発泡体密度が0.04g/cm以上0.2g/cm以下であることが好ましい。
上記構成における保護帽によれば、衝撃吸収ライナが発泡スチロール材や発泡ポリエチレン材より耐熱性を有するポリ乳酸系樹脂発泡成形体で形成されるので、保護帽の耐熱特性をより向上させることができる。
以下に、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、保護帽10の構成を示す断面図である。保護帽10は、略半球殻状に形成された保護帽本体12と、保護帽本体12の内側の内周面に装着される衝撃吸収ライナ14と、保護帽本体12に取り付けられる保護帽内装体(図示せず)と、を含んで構成される。
保護帽本体12は、略半球殻状に形成され、合成樹脂材料または繊維強化複合材料(FRP)等で形成される。合成樹脂材料には、例えば、ポリカーボネート樹脂や、アクリロニトリルーブタジエンースチレン共重合樹脂(ABS樹脂)等が用いられる。繊維強化複合材料には、例えば、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂をガラス繊維等の強化繊維で強化した繊維強化複合材料が用いられる。保護帽本体12の成形には、一般的な熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂の樹脂成形方法や、一般的な繊維強化複合材料の成形方法が用いられる。
衝撃吸収ライナ14は、保護帽本体12の内側に装着され、頭部への衝撃を吸収する機能を有している。衝撃吸収ライナ14は、発泡スチロール材や発泡ポリエチレン材より耐熱温度の高いポリ乳酸系樹脂発泡材で形成される。
まず、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体を構成するポリ乳酸系樹脂について説明する。
ポリ乳酸系樹脂発泡成形体を構成するポリ乳酸系樹脂は、化1の化学式で示されるように、D−乳酸及びL−乳酸をモノマーとして共重合させるか、D−乳酸又はL−乳酸の何れか一方をモノマーとして重合させるか、或いは、D−ラクチド、L−ラクチド及びDL−ラクチドからなる群より選ばれた一又は二以上のラクチドを開環重合させることによって得ることができ、何れのポリ乳酸系樹脂であってもよい。
Figure 2010043379
ポリ乳酸系樹脂を製造するに際して、モノマーとしてD体とL体とを併用した場合においてD体若しくはL体のうちの少ない方の光学異性体の割合が5モル%未満である場合、又は、モノマーとしてD体若しくはL体のうちの何れか一方の光学異性体のみを用いた場合、即ち、上記ポリ乳酸系樹脂が、その構成モノマー成分としてD体及びL体の双方の光学異性体を含有し且つD体又はL体のうちの少ない方の光学異性体の含有量が5モル%未満であるか、或いは、構成モノマー成分としてD体又はL体のうちの何れか一方の光学異性体のみを含有している場合は、得られるポリ乳酸系樹脂は、その結晶性が高くなる一方、モノマーとしてD体とL体とを併用した場合においてD体又はL体のうちの少ない方の割合が5モル%以上である時は、少ない方の光学異性体が増加するにしたがって、得られるポリ乳酸系樹脂は、その結晶性が低くなり、やがて非結晶となる。
従って、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体では、耐熱性に優れたものとするために、構成モノマー成分としてD体及びL体の双方の光学異性体を含有し且つD体又はL体のうちの少ない方の光学異性体の含有量が5モル%未満であるポリ乳酸系樹脂か、或いは、構成モノマー成分としてD体又はL体のうちの何れか一方の光学異性体のみを含有しているポリ乳酸系樹脂を用いることが好ましい。
構成モノマー成分としてD体及びL体を含有するポリ乳酸系樹脂は、D体又はL体のうちの何れか少ない方の光学異性体の割合が少なくなればなる程、ポリ乳酸系樹脂は、その結晶性のみならず融点も上昇する。従って、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の耐熱性も向上し、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体は高い温度であってもその形態を維持することができる。
次に、上記ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の成形方法について説明する。
ポリ乳酸系樹脂発泡成形体は、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を型内発泡成形して得られるが、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子は押出発泡によって製造されたものであることが好ましい。はじめに、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の成形に用いられるポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造方法について説明する。
先ず、上述したポリ乳酸系樹脂を押出機に供給して発泡剤の存在下にて溶融混練した後、押出機の先端に取り付けた金型から押出発泡させる。この押出発泡させて得られたポリ乳酸系樹脂押出発泡体の形態は、特に限定されず、ストランド状、シート状などが挙げられるが、ストランド状が好ましい。これらのポリ乳酸系樹脂押出発泡体を粒子状に切断することでポリ乳酸系樹脂発泡粒子が得られる。
発泡剤としては、従来から汎用されているものが用いられ、例えば、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、ヒドラゾイルジカルボンアミド、重炭酸ナトリウムなどの化学発泡剤;プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ヘキサンなどの飽和脂肪族炭化水素、ジメチルエーテルなどのエーテル類、塩化メチル、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン、モノクロロジフルオロメタンなどのフロン、二酸化炭素、窒素などの物理発泡剤などが挙げられ、ジメチルエーテル、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、二酸化炭素が好ましく、プロパン、ノルマルブタン、イソブタンがより好ましく、ノルマルブタン、イソブタンが特に好ましい。なお、発泡剤は単独で用いられてもよいし、二種以上が併用されてもよい。
押出機に供給される発泡剤量としては、少ないと、ポリ乳酸系樹脂押出発泡体を所望発泡倍率まで発泡させることができないことがある一方、多いと、発泡剤が可塑剤として作用することから溶融状態のポリ乳酸系樹脂の粘弾性が低下し過ぎて発泡性が低下し良好なポリ乳酸系樹脂発泡押出発泡体を得ることができない場合或いはポリ乳酸系樹脂押出発泡体の発泡倍率が高過ぎる場合があるので、ポリ乳酸系樹脂100重量部に対して0.1〜5重量部が好ましく、0.2〜4重量部がより好ましく、0.3〜3重量部が特に好ましい。
押出機には気泡調整剤が添加されることが好ましいが、気泡調整剤の多くは、ポリ乳酸系樹脂押出発泡体の結晶核剤として作用するため、ポリ乳酸系樹脂の結晶化を促進しない気泡調整剤を用いることが好ましく、このような気泡調整剤としては、ポリテトラフルオロエチレン粉末、アクリル樹脂で変性されたポリテトラフルオロエチレン粉末が好ましい。そして、ポリテトラフルオロエチレン粉末、及び、アクリル樹脂で変性されたポリテトラフルオロエチレン粉末は、ポリ乳酸系樹脂の結晶化を殆ど促進することなく、ポリ乳酸系樹脂押出発泡体の気泡の微細化を図ることができる。
押出機に供給される気泡調整剤の量としては、少ないと、ポリ乳酸系樹脂押出発泡体の気泡が粗大となり、最終的に得られるポリ乳酸系樹脂発泡成形体の外観が低下することがある一方、多いと、ポリ乳酸系樹脂を押出発泡させる際に破泡を生じてポリ乳酸系樹脂押出発泡体の独立気泡率が低下することがあるので、ポリ乳酸系樹脂100重量部に対して0.01〜3重量部が好ましく、0.05〜2重量部がより好ましく、0.1〜1重量部が特に好ましい。
押出機には、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の物性を損なわない範囲内において、着色剤、滑剤、劣化防止剤、帯電防止剤、難燃剤などの添加剤を添加してもよい。
押出機としては、従来から汎用されている押出機であれば、特に限定されず、例えば、単軸押出機、二軸押出機、複数の押出機を連結させたタンデム型の押出機を用いることができ、タンデム型の押出機を用いることが好ましい。
そして、押出機内において発泡剤と共に溶融混練されて発泡剤が分散されたポリ乳酸系樹脂は、押出機の先端に取り付けられた金型から押し出されると直ちに発泡してポリ乳酸系樹脂押出発泡体となる。
押出機に取り付ける金型としては、特に限定されないが、ポリ乳酸系樹脂を押出発泡させて均一微細な気泡を形成できる金型が好ましく、このような金型としては、ノズル金型が好ましく、ノズルを複数有するマルチノズル金型がより好ましい。
マルチノズル金型のノズルの出口直径は、小さいと、押出圧力が高くなりすぎて押出発泡が困難となることがある一方、大きいと、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の径が大きくなって金型への充填性が低下するので、0.2〜2mmが好ましく、0.3〜1.6mmがより好ましく、0.4〜1.2mmが特に好ましい。
そして、押出機から押出発泡されたポリ乳酸系樹脂押出発泡体を冷却して、ポリ乳酸系樹脂押出発泡体の結晶化が進行するのを抑制する。
ポリ乳酸系樹脂押出発泡体の冷却方法としては、押出発泡されたポリ乳酸系樹脂押出発泡体の結晶化度の上昇を速やかに停止できる方法が好ましく、具体的には、押出機から押出発泡されたポリ乳酸系樹脂押出発泡体を水面に浮かせて冷却する方法、押出機から押出発泡されたポリ乳酸系樹脂押出発泡体に水などを霧状に吹き付ける方法、低温に温度調節された冷却板上に、押出機から押出発泡されたポリ乳酸系樹脂押出発泡体を接触させることによって冷却させる方法、押出機から押出発泡された押出発泡体に冷風などの冷却された気体を吹き付ける方法などが挙げられる。なお、ポリ乳酸系樹脂押出発泡体を水面に浮かせて冷却する場合は、水温は0〜45℃に調整することが好ましい。
ポリ乳酸系樹脂押出発泡体を粒子状に切断する切断機としては、ペレタイザやホットカット機などが用いられ、又、切断機の切断方法としては、ドラムカッタ式やファンカッタ式があるが、ポリ乳酸系樹脂押出発泡体の切断時にポリ乳酸系樹脂押出発泡体に割れや欠けが発生しにくいことから、ファンカッタ式の切断方法を用いることが好ましい。なお、上記では、ポリ乳酸系樹脂押出発泡体の冷却後に、ポリ乳酸系樹脂押出発泡体を切断する場合を説明したが、押出機から押出発泡させると同時にポリ乳酸系樹脂押出発泡体を切断して粒子状とした後に、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を冷却するようにしてもよい。
このようにして得られたポリ乳酸系樹脂発泡粒子の嵩密度は、小さいと、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の連続気泡率が上昇して、型内発泡成形における発泡時にポリ乳酸系樹脂発泡粒子に必要な発泡力を付与することができない虞れがある一方、大きいと、得られるポリ乳酸系樹脂発泡粒子の気泡が不均一となって、型内発泡成形時におけるポリ乳酸系樹脂発泡粒子の発泡性が不充分となることがあるので、0.04〜0.3g/cmが好ましい。
なお、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の嵩密度は、JIS K6911:1995年「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準拠して測定されたものをいう。即ち、JIS K6911に準拠した見掛け密度測定器を用いて測定し、数1の式に基づいてポリ乳酸系樹脂発泡粒子の嵩密度が測定される。
Figure 2010043379
ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の粒子径は、小さいと、型内発泡成形時にポリ乳酸系樹脂発泡粒子の発泡性が低下することがある一方、大きいと、型内発泡成形時に金型内へのポリ乳酸系樹脂発泡粒子の充填性が低下することがあるので、1.0〜5.0mmが好ましく、2.0〜4.0mmがより好ましい。
ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の結晶化度は、高いと、型内発泡成形時にポリ乳酸系樹脂発泡粒子同士の融着性が低下することがあるので、30%未満が好ましく、3〜28%がより好ましく、5〜26%が特に好ましい。
ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の結晶化度は、示差走査熱量計(DSC)を用いてJIS K7121に記載の測定方法に準拠して5℃/分の昇温速度にて昇温しながら測定された1mg当たりの発熱量及び1mg当たりの融解熱量に基づいて数2の式により算出することができる。
Figure 2010043379
このように、得られるポリ乳酸系樹脂発泡粒子の結晶化度を30%未満に調整することによって、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の融着性を確保し、型内発泡成形時におけるポリ乳酸系樹脂発泡粒子同士の融着性を良好なものとすることができる。
次に、このポリ乳酸系樹脂発泡粒子を用いて型内発泡成形し、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体を成形する方法について説明する。
まず、上記のポリ乳酸系樹脂発泡粒子から更に高発泡倍率に発泡したポリ乳酸系樹脂発泡粒子を製造する。具体的には、上記ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を圧力容器内に供給し、この圧力容器内にガスを圧入してポリ乳酸系樹脂発泡粒子にガスを含浸させて、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子に高い発泡性を付与し、この発泡性を付与されたポリ乳酸系樹脂発泡粒子を攪拌しながら60〜80℃の熱風で加熱することで更に高発泡倍率に発泡したポリ乳酸系樹脂発泡粒子が得られる。なお、上記ガスとしては、例えば、二酸化炭素、窒素、空気などが挙げられ、二酸化炭素が好ましい。
ポリ乳酸系樹脂発泡粒子にガスを含浸させる際のガス圧は、低いと、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子に充分な発泡性を付与させることができない一方、高いと、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の発泡性が向上し過ぎて、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を加熱、発泡させた際に破泡を生じる虞れがあるので、ゲージ圧0.5〜3MPaが好ましく、ゲージ圧1.0〜2.0MPaがより好ましい。
ポリ乳酸系樹脂発泡粒子にガスを含浸させる時間は、1時間以上が好ましく、2時間以上がより好ましい。又、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子にガスを含浸させる温度は、0〜40℃が好ましく、10〜30℃がより好ましい。
又、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の加熱に際して、水蒸気や水分を多く含んだ熱風を用いると、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の結晶化度が上昇し易く、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の型内発泡成形時に、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子同士の融着性が低下する虞れがあるため好ましくない。
そして、このようにして得られた高発泡倍率のポリ乳酸系樹脂発泡粒子を雌雄金型間に形成され且つ密閉し得ないキャビティ内に充填して加熱し、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を発泡させることによって、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を発泡させて発泡粒子同士をそれらの発泡圧によって互いに融着一体化させると共にポリ乳酸系樹脂の結晶化度を上昇させて、融着性及び耐熱性に優れた所望形状を有するポリ乳酸系樹脂発泡成形体を得ることができる。
なお、金型内に充填した高発泡倍率のポリ乳酸系樹脂発泡粒子の加熱媒体としては、特に限定されず、水蒸気の他に、熱風、温水などが挙げられるが、60〜100℃の水を用いることが好ましい。これは、水は、液体状であって比熱が大きいことから、温度が低くても金型内のポリ乳酸系樹脂発泡粒子に発泡に必要な高い熱量を充分に付与することができるからである。
金型内に充填した高発泡倍率のポリ乳酸系樹脂発泡粒子に60〜100℃の水を供給してポリ乳酸系樹脂発泡粒子を加熱する方法としては、特に限定されず、例えば、(1)従来から用いられている型内発泡成形機において水蒸気の代わりに60〜100℃の水を金型内に供給する方法、(2)ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を充填した金型を60〜100℃の水中に浸漬してポリ乳酸系樹脂発泡粒子に水を供給する方法などが挙げられ、複雑な形状の金型であっても金型全体、即ち、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を全体的に均一に加熱、発泡させることができることから、上記(2)の方法が好ましい。
金型内に充填した高発泡倍率のポリ乳酸系樹脂発泡粒子の加熱された水による加熱時間は、短いと、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の加熱が不充分となってポリ乳酸系樹脂発泡粒子同士の熱融着が不充分となり、或いは、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の結晶化度が充分に上昇せず、得られるポリ乳酸系樹脂発泡成形体の耐熱性が低下することがある一方、長いと、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の生産性が低下するので、20秒〜1時間が好ましい。
60〜100℃の水で高発泡倍率のポリ乳酸系樹脂発泡粒子を加熱して型内発泡成形を行った後、金型内に形成されたポリ乳酸系樹脂発泡成形体を冷却した上で金型を開放して所望形状を有するポリ乳酸系樹脂発泡成形体を得ることができる。
得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体の結晶化度は、低いと、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の耐熱性が低下する一方、高いと、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体が脆くなることがあるので、好ましくは40〜65%、より好ましくは45〜64%、特に好ましくは50〜63%となるように型内発泡成形条件を調整するのがよい。なお、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の結晶化度の測定方法は、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の結晶化度の測定方法と同様であるのでその説明を省略する。
ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の融着率は、60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。なお、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の融着率は、下記の要領で測定されたものをいう。先ず、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の表面に一対の長辺の中心同士を結ぶ直線に沿ってカッターナイフで深さ約3mmの切り込み線を入れた後、この切り込み線に沿って発泡成形体を手で二分割し、その破断面における発泡粒子について、粒子内で破断している粒子の数(a)と、粒子同士の境界面で破断している粒子の数(b)とを数え、数3の式に代入して融着率(%)が求められる。
Figure 2010043379
なお、型内発泡成形するにあたっては、得られたポリ乳酸系樹脂発泡粒子に更にガスを含浸させてもよい。このようなガスとしては、例えば、二酸化炭素、窒素、空気などが用いられ、二酸化炭素が好ましい。ポリ乳酸系樹脂発泡粒子にガスを含浸させてポリ乳酸系樹脂発泡粒子の発泡性を向上させることにより、型内発泡成形時におけるポリ乳酸系樹脂発泡粒子同士の融着性が向上し、得られるポリ乳酸系樹脂発泡成形体は更に優れた機械的強度を有する。
ポリ乳酸系樹脂発泡粒子にガスを含浸させる際のガス圧は、低いと、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子に充分にガスを含浸させることができず、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の発泡力を充分に向上させることができない一方、高いと、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の発泡力が向上し過ぎて、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を発泡させた際に破泡を生じ或いは型内発泡成形時の冷却時間が延びる虞れがあるので、0.2〜2.0MPaが好ましく、0.5〜1.0MPaがより好ましい。
ポリ乳酸系樹脂発泡粒子にガスを含浸させる時間は、1時間以上が好ましく、2時間以上がより好ましい。又、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子にガスを含浸させる温度は、0〜40℃が好ましく、10〜30℃がより好ましい。 ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の150℃での加熱寸法変化率は、5%未満であることが好ましく、1%未満であることがより好ましい。
ポリ乳酸系樹脂発泡成形体における150℃での加熱寸法変化率は、JIS K6767に準拠して測定されたものをいう。具体的には、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体を、JIS K7100に規定された標準温湿度状態、即ち、23℃、相対湿度50%に維持された恒温恒湿室内に24時間に亘って放置した後、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体から縦150mm×横150mmで、厚さは発泡成形体の厚みのままの試験片を切り出す。
次に、上記試験片の上面中央部に、3本の直線を50mm間隔で互いに平行な状態に縦方向に沿って描くと共に、3本の直線を50mm間隔で互いに平行な状態に横方向に沿って描く。そして、試験片の上面中央部に描いた6本の直線の長さを測定し、6本の直線の長さの相加平均値を算出し、加熱前寸法L1 とする。
しかる後、上記試験片を150℃に保持した熱風循環式乾燥機内に水平状態に放置して22時間に亘って加熱した後に熱風循環式乾燥機から取り出し、続いて、試験片をJIS K7100に規定された標準温湿度状態、即ち、23℃、相対湿度50%に維持された恒温恒湿室内に1時間に亘って放置する。
次に、上記試験片の上面中央部に描いた6本の直線の長さを測定し、6本の直線の長さの相加平均値を算出し、加熱後寸法L2 とし、数4の式に基づいて、150℃での加熱寸法変化率を算出する。
Figure 2010043379
衝撃吸収ライナ14は、発泡体密度が0.04g/cm以上0.2g/cm以下のポリ乳酸系樹脂発泡成形体で形成されることが好ましい。更に、衝撃吸収ライナ14は、発泡体密度が0.125g/cm以上0.2g/cm以下のポリ乳酸系樹脂発泡成形体で形成されることがより好ましい。なお、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の発泡体密度は、JIS K6767:1999「発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の測定」に記載の方法で測定されたものをいう。 ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の発泡体密度が0.2g/cm以下であるのは、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の密度が0.2g/cmより高い場合には、衝撃吸収ライナ14の重量が大きくなり保護帽10が重くなるからである。
また、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の発泡体密度が0.04g/cm以上であるのは、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の発泡体密度が0.04g/cmより低くなると、衝撃吸収ライナ14の耐貫通性が低下するからである。ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の発泡倍率(発泡倍率=樹脂密度/発泡体密度)が大きくなるほど発泡体密度が小さくなるため、例えば、労働安全衛生法の保護帽の規格で規定されている耐貫通性能に示されるように、円錐状ストライカを所定高さから自由落下させたときの貫通深さは、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の発泡倍率が大きくなるほど深くなる。そのため、発泡体密度が0.04g/cm以上のポリ乳酸系樹脂発泡成形体で衝撃吸収ライナ14を成形することにより、現行品と略同程度の衝撃吸収ライナ14の耐貫通性能を得ることができる。
このように衝撃吸収ライナ14は、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子(発泡ビーズ)を衝撃吸収ライナ14の形状に型内発泡成形して得られる。これ以外にも、例えば、ブロック状のポリ乳酸系樹脂発泡成形体を衝撃吸収ライナ14の形状に切削加工することにより形成されてもよい。また、衝撃吸収ライナ14は、ブロック状のポリ乳酸系樹脂発泡成形体から所定形状に切り出された複数の部品を接着剤等で接着して形成されてもよい。
以上、上記構成によれば、頭の上部を覆う保護帽であって、略半球殻状に形成された保護帽本体と、保護帽本体の内側に設けられ、衝撃を吸収する衝撃吸収ライナと、を備え、衝撃吸収ライナは、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体で形成されているので、発泡スチロール材や発泡ポリエチレン材で成形された衝撃吸収ライナより耐熱性がより向上する。そして、衝撃吸収ライナの高温曝露による加熱寸法安定性と衝撃吸収特性とが向上することにより、保護帽の耐熱特性をより向上させることができる。
上記構成によれば、衝撃吸収ライナに150℃での加熱寸法変化率が5%未満のポリ乳酸系樹脂発泡成形体を用いることにより、衝撃吸収ライナの耐熱性をより向上させることができる。
上記構成によれば、衝撃吸収ライナに発泡体密度が0.04g/cm以上0.2g/cm以下のポリ乳酸系樹脂発泡成形体を用いることにより、衝撃吸収ライナの軽量化と耐貫通性能とを満足させることができる。
(実施例)
2種類の保護帽を製造し、保護帽に装着された衝撃吸収ライナの耐熱特性を評価した。
実施例1における保護帽の製造方法について説明する。まず、繊維強化複合材料を用いて保護帽本体を成形した。繊維プリフォームには、ガラスロービングからカッタで所定長さに切断したガラス短繊維を用いて略半球殻状に形成されたガラス繊維プリフォームを使用した。ガラス繊維プリフォームに含浸する樹脂組成物には、熱硬化性樹脂と、硬化剤と、遮熱材料と、内部離型剤と、顔料と、をミキサで攪拌混合してペースト状に調製されたものを使用した。次に、樹脂組成物が含浸されたガラス繊維プリフォームを金型の上型と下型とで挟んで熱プレス機により熱プレスした。加熱硬化後、金型の上型と下型とを外して、樹脂硬化した保護帽本体を取り出した。
次に、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体で衝撃吸収ライナを形成した。
(ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造)
一段目となる口径50mmの単軸押出機と二段目となる口径65mmの単軸押出機とを接続管を介して接続してなるタンデム型の押出機を用意した。
そして、上記タンデム型の押出機の一段目の押出機に、結晶性のポリ乳酸系樹脂(ユニチカ社製 商品名「TERRAMAC HV−6200」、融点:167.4℃、D体比率:1.5重量%、L体比率:98.5重量%、)100重量部及び気泡調整剤としてポリテトラフルオロエチレン粉末(旭硝子社製 商品名「フルオンL169J」)0.1重量部を供給して220℃にて溶融混練した。
続いて、第一押出機の途中から、イソブタン35重量%及びノルマルブタン65重量%からなるブタンをポリ乳酸系樹脂100重量部に対して0.7重量部となるように溶融状態のポリ乳酸系樹脂に圧入して、ポリ乳酸系樹脂中に均一に分散させた。
しかる後、溶融状態のポリ乳酸系樹脂を一段目の押出機から接続管を介して二段目の押出機に連続的に供給した。溶融状態のポリ乳酸系樹脂を二段目の押出機にて樹脂温度200℃に冷却した後、二段目の押出機の先端に取り付けたマルチノズル金型の各ノズルから押出発泡させてストランド状のポリ乳酸系樹脂押出発泡体を製造した。
続いて、ストランド状のポリ乳酸系樹脂押出発泡体を冷却水槽内の水面上に浮かせて冷却した。なお、冷却水槽内の水温は、20℃であった。
なお、マルチノズル金型は、出口直径が1.0mmのノズルが15個、配設されており、ランド部の長さは7mmであった。又、マルチノズル金型のノズルから押出発泡させた際の樹脂温度は、二段目の押出機の先端部と金型との間にブレーカープレートを挿入し、このブレーカープレートの中心部に熱電対を挿入することによって測定した。 そして、ストランド状のポリ乳酸系樹脂押出発泡体を充分に水切りした後、このポリ乳酸系樹脂押出発泡体をファンカッタ式のペレタイザーを用いて切断してポリ乳酸系樹脂発泡粒子を得た。なお、得られたポリ乳酸系樹脂発泡粒子は、その嵩密度が0.17g/cm3 で、長さが平均3.5mm、直径が平均2.3mmで、結晶化度は17.2%であった。
(ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の製造)
得られたポリ乳酸系樹脂発泡粒子を10リットルの圧力容器内に入れ密閉し、この圧力容器内に二酸化炭素を1.0MPaの圧力にて圧入して25℃にて6時間に亘って放置してポリ乳酸系樹脂発泡粒子に二酸化炭素を含浸させた。
次いで、圧力容器から、二酸化炭素を含浸させたポリ乳酸系樹脂発泡粒子を取り出し、直ちに攪拌機付きの除湿熱風乾燥機に供給し、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を攪拌しながら65℃の熱風で180秒間に亘って加熱して発泡させて、高発泡倍率のポリ乳酸系樹脂発泡粒子を得た。なお、得られた高発泡倍率のポリ乳酸系樹脂発泡粒子は、その嵩密度が0.048g/cm3 で、結晶化度は18.2%であった。
次に、高発泡倍率のポリ乳酸系樹脂発泡粒子を10リットルの圧力容器内に入れ密閉し、この圧力容器内に二酸化炭素を0.5MPaの圧力にて圧入して25℃にて2時間に亘って放置してポリ乳酸系樹脂発泡粒子に二酸化炭素を含浸させた。
続いて、圧力容器から、与圧されたポリ乳酸系樹脂発泡粒子を取り出し、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子をアルミニウム製の雌雄金型間に形成された衝撃吸収ライナ形状のキャビティ内に充填した。又、金型に、この金型のキャビティ内と金型外部とを連通させるために、直径が10mmの円形状の供給口を30mm間隔毎に合計146個、形成した。なお、各供給口には、開口幅が0.8mmの格子部を設けてあり、金型内に充填したポリ乳酸系樹脂発泡粒子がこの供給口を通じて金型外に流出しないように形成されている一方、金型の供給口を通じて金型外からキャビティ内に水を円滑に供給することができるように構成された。
そして、加熱水槽内に95℃に維持された水を溜め、この加熱水槽内の水中にポリ乳酸系樹脂発泡粒子を充填した金型を完全に5分間に亘って浸漬して、金型の供給口を通じて金型のキャビティ内のポリ乳酸系樹脂発泡粒子に加熱された水を供給し、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を加熱、発泡させてポリ乳酸系樹脂発泡粒子同士を熱融着して一体化させた。
次に、加熱水槽内から金型を取り出した。そして、別の冷却水槽に20℃に維持された水を溜め、この冷却水槽内に金型を完全に5分間に亘って浸漬して、金型内のポリ乳酸系樹脂発泡成形体を冷却した。
金型を冷却水槽から取り出して金型を開放して、衝撃吸収ライナ形状に成形されたポリ乳酸系樹脂発泡成形体を得た。
このポリ乳酸系樹脂発泡成形体を40℃の恒温室にて24時間乾燥した後に発泡体密度を測定したところ、0.048g/cm3 であった。また、このポリ乳酸系樹脂発泡成形体の結晶化度は50%であった。
次に、繊維強化複合材料で形成された保護帽本体に、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体で形成された衝撃吸収ライナを装着して実施例1の保護帽を製造した。
なお、上記の型内発泡成形と同様の要領で、縦300mm×横400mm×厚み30mmの直方体形状のキャビティを有する金型を用いてポリ乳酸系樹脂発泡成形体を得た。このポリ乳酸系樹脂発泡成形体を40℃の恒温室にて24時間乾燥した後にJIS K6767に記載の方法で発泡体密度を測定したところ、0.048g/cmであった。また、このポリ乳酸系樹脂発泡成形体の結晶化度は50%であった。このポリ乳酸系樹脂発泡成形体を用いて、150℃での加熱寸法変化率をJIS K6767に準拠して測定したところ、1.9%であった。
比較例1における保護帽の製造方法について説明する。保護帽本体を、実施例1における保護帽本体と同様にして成形した。次に、発泡スチロール材で衝撃吸収ライナを成形した。発泡スチロール材には、発泡体の見掛け密度が0.033g/cm3のものを使用した。そして、繊維強化複合材料で形成された保護帽本体に、発泡スチロール材で形成された衝撃吸収ライナを装着して比較例1の保護帽を製造した。
なお、発泡スチロール材で150℃での加熱寸法変化率をJIS K6767に準拠して測定したところ、大きく収縮変形し元の形状を留めていなかった。
次に、実施例1の保護帽と、比較例1の保護帽とにおいて、衝撃吸収ライナの耐熱特性を評価した。衝撃吸収ライナの耐熱特性評価は、加熱寸法安定性試験と、熱曝露後の衝撃吸収性能試験とにより行われた。試験用供試体は、前記の型内発泡成形と同様の要領で作成した、縦300mm×横400mm×厚み30mmの直方体形状のポリ乳酸系樹脂発泡成形体から発泡スチロールカッタで縦方向70mm、横方向70mm、厚み方向30mmの直方体形状に切り出して作成された。
加熱寸法安定性試験は、試験用供試体を50℃と100℃の2温度条件で熱曝露することにより行われた。熱曝露は、50℃または100℃に加熱された雰囲気式加熱炉に試験用供試体を2時間保持して行われた。加熱前の試験用供試体の寸法(縦方向、横方向、厚み方向)と、熱曝露後の試験用供試体の寸法(縦方向、横方向、厚み方向)とを測定し、加熱前後における寸法変化を求めた。
図2は、加熱寸法安定性試験結果を示す図である。高温(50℃)の熱曝露試験では、実施例1及び比較例1の保護帽に用いた衝撃吸収ライナには寸法変化がみられなかった。高温(100℃)の熱曝露試験では、比較例1の保護帽に用いた衝撃吸収ライナにおいて、縦方向の寸法が70mmから66mmに収縮し、横方向の寸法が70mmから65mmに収縮し、厚み方向の寸法が30mmから27mmに収縮した。これに対して、実施例1の保護帽に用いた衝撃吸収ライナでは寸法変化がみられなかった。この加熱寸法安定性試験結果から、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体で形成された衝撃吸収ライナは、発泡スチロール材で形成された衝撃吸収ライナより優れた加熱寸法安定性を有していることがわかった。
次に、衝撃吸収性能試験について説明する。衝撃吸収性能試験は、労働安全衛生法の保護帽の規格における衝撃吸収性能評価試験に準じて行われた。図3は、衝撃吸収性能評価試験方法を示す図である。試験用供試体20を高温処理(50℃、100℃)した後、人頭模型22に配置し、重量が5kgで、直径127mmの衝撃面を有する鋼製の平面形ストライカ24を、試験用供試体20における鉛直方向上方の所定のストライカ落下高さ(L)から自由落下させて最大衝撃値を計測した。なお、高温曝露条件で曝露した後、3分間以内に平面形ストライカ24を試験用供試体20に落下させて試験終了するように行った。なお、熱曝露は、加熱寸法安定性試験と同様にして、50℃または100℃に加熱された雰囲気式加熱炉に試験用供試体を2時間保持して行われた。
衝撃吸収性能試験の試験用供試体は、加熱寸法安定性試験と同様に、前記の型内発泡成形と同様の要領で作成した、縦300mm×横400mm×厚み30mmの直方体形状のポリ乳酸系樹脂発泡成形体から発泡スチロールカッタで縦方向70mm、横方向70mm、厚み方向30mmの直方体形状に切り出して作成された。
図4は、衝撃吸収性能試験結果を示す図である。比較例1の保護帽に用いた衝撃吸収ライナの最大衝撃値は、室温試験(L=500mm)で2.1kNであり、室温試験(L=750mm)で3.0kNであり、室温試験(L=1000mm)で6.3kNであり、高温試験(50℃、L=1000mm)で5.6kNであり、高温試験(100℃、L=1000mm)で7.4kNであった。これに対して、実施例1の保護帽に用いた衝撃吸収ライナの最大衝撃値は、室温試験(L=750mm)で4.3kNであり、室温試験(L=1000mm)で4.5kNであり、高温試験(50℃、L=1000mm)で4.4kNであり、高温試験(100℃、L=1000mm)で3.8kNであった。
比較例1の保護帽に用いた衝撃吸収ライナでは、高温(50℃、100℃)に熱曝露された試験用供試体の最大衝撃値は、熱曝露されていない供試体の最大衝撃値より大きくなり、熱曝露されることにより衝撃吸収性能が低下した。これに対して、実施例1の保護帽に用いた衝撃吸収ライナでは、高温(50℃、100℃)に熱曝露された試験用供試体の最大衝撃値は、熱曝露されていない試験用供試体の最大衝撃値と略同じか小さくなり、熱曝露の影響はみられなかった。この試験結果から、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体で形成された衝撃吸収ライナは、発泡スチロール材で形成された衝撃吸収ライナより、100℃で熱曝露された場合でも優れた衝撃吸収性能を有していることがわかった。
本発明の実施の形態において、保護帽の構成を示す断面図である。 本発明の実施の形態において、加熱寸法安定性試験結果を示す図である。 本発明の実施の形態において、衝撃吸収性能評価試験方法を示す図である。 本発明の実施の形態において、衝撃吸収性能評価試験結果を示す図である。
符号の説明
10 保護帽
12 保護帽本体
14 衝撃吸収ライナ
20 試験用供試体
22 人頭模型
24 平面形ストライカ

Claims (3)

  1. 頭の上部を覆う保護帽であって、
    略半球殻状に形成された保護帽本体と、
    前記保護帽本体の内側に設けられ、衝撃を吸収する衝撃吸収ライナと、
    を備え、
    前記衝撃吸収ライナは、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体で形成されることを特徴とする保護帽。
  2. 請求項1に記載の保護帽であって、
    前記ポリ乳酸系樹脂発泡成形体は、150℃での加熱寸法変化率が5%未満であることを特徴とする保護帽。
  3. 請求項1または2に記載の保護帽であって、
    前記ポリ乳酸系樹脂発泡成形体は、発泡体密度が0.04g/cm以上0.2g/cm以下であることを特徴とする保護帽。
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