JP2010043226A - 粘着シート - Google Patents

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Abstract

【課題】
粘着力の相違する粘着部を有し、再資源化に適する粘着シートを提供する。
【解決手段】
基紙の少なくとも一方の面に粘着領域を有し、この粘着領域が被覆シートによって被覆されている粘着シートであって、前記粘着領域が、離解性粘着剤による粘着部と、離解性粘着剤と非離解性粘着剤との混合粘着剤による粘着部とを有し、かつ、それら粘着部の粘着力が相違している粘着シートにより解決される。
【選択図】図1

Description

本発明は、粘着部を有する粘着シートに関する。
表裏面の一部又は全部に粘着領域を有する粘着シートは、帳簿やノート等に貼付して用いるインデックスシール、所望の対象物に貼付して用いるシール(タック紙)、付箋、封筒の封止部、隠蔽性はがきなど種々の用途に用いられている。
したがって、粘着シートは、かかる多様な用途に対応すべく粘着領域において粘着力の相違する部分を適宜配設した設計が望まれる。
他方、近年、パルプ資源の有効利用を図るため紙製品のリサイクルが積極的に行われている。紙製品の一種である粘着シートにおいても、リサイクルが望まれるが、従来の粘着シートは、用いられている粘着剤がパルプの離解性を阻害するため、リサイクルの妨げとなっている。
例えば、付録としてインデックスシールやキャラクターシール等が綴られている雑誌、カタログは、リサイクルするにあたりこれらを除去する煩雑な操作が必要となっていた。
近年では、環境に配慮した離解性の極めて高い離解性粘着剤が開発され、これを利用した粘着シートも知られているが、かかる離解性粘着剤は、粘着力が弱く使用条件が限られる、再剥離性がない、などの欠点があり、上述のように粘着領域について粘着力の相違する部分を設けるなどの自由な設計を行えるようなものではない。
特開平11−246828 特開2004−271667 特願2007−089725
そこで、本発明の主たる課題は、粘着力が相違する複数の粘着部を有しつつ、再資源化に適する粘着シートを提供することにある。
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
基紙の少なくとも一方の面に粘着領域を有し、この粘着領域が被覆シートによって被覆されている粘着シートであって、
前記粘着シートは、離解性試験における残渣量が50mg未満であるとともに、
前記粘着領域が、離解性粘着剤による粘着部と、仮性粘着剤と非離解性粘着剤との混合粘着剤による粘着部とを有し、かつ、それら粘着部の粘着力が相違している、
ことを特徴とする粘着シート。
<請求項2記載の発明>
少なくとも一つの粘着部が、JIS Z 0237の10に規定される180度引きはがし粘着力測定方により測定される粘着力が、8.5N/25mm以上の強粘着性である請求項1記載の粘着シート。
<請求項3記載の発明>
前記非全離解性の粘着剤は、再剥離性粘着剤である請求項1記載の粘着シート。
<請求項4記載の発明>
少なくとも一つの粘着部が、再剥離及び再粘着性を有し、かつ、JIS Z 0237の10に規定される180度引きはがし粘着力測定方により測定される粘着力が3N/25mm以上である請求項1又は3記載の粘着シート。
<請求項5記載の発明>
基紙及び被覆シートが水解性又はアルカリ離解性である請求項1記載の粘着シート。
<請求項6記載の発明>
粘着部の一部又は全部は、糊殺し処理がされている請求項1〜5の何れか1項に記載の粘着シート。
以上の本発明によれば、粘着力が相違する複数の粘着部からなる粘着領域を有しつつ、再資源化に適する粘着シートが提供される。
次いで、本発明の実施形態を図面を参照しながら以下に詳述する。
『第1の実施の形態』
第1の実施の形態は、書籍のページ縁から延出させて見出しを付けるためのインデックスシールと、繰り返し着脱できる付箋として利用できるチェックシールとが、形成されている粘着シートである(以下、この粘着シートをシール製品X1という)。
図1にこのシール製品X1の平面図、図2に、図1のII−II断面図を示す。
このシール製品X1は、基紙1の一方面に粘着剤層2を配してなる粘着領域を有する粘着基紙と、この粘着基紙の前記粘着領域形成面を保護する剥離可能な被覆シート3とで主に構成されている。
粘着基紙1には、ミシン目線、ハーフスリット線、スリット線等からなる切断補助線Lにより、複数のインデックスシール部1i,1i…と複数のチェックシール部1c,1c…とが形成されており、これらが個別に被覆シート3から剥離可能となっている。
なお、インデックスシール部1i,1i…及びチェックシール部1c,1c…の形状は特に限定されないが、本形態では代表的な形状として、インデックスシール部1iは正方形に近い長方形形状とし、チェックシール部1c長細の長方形形状としている。
一方、粘着剤層2は、基紙1の片面の全部に形成されているわけではなく、前記インデックスシール部1i及び前記チェックシール部1cの一部のみにかかるように配されている。
従って、インデックスシール部1i及びチェックシール部1cは、それぞれ粘着剤層2が配されている粘着部2Hi,2Lcと、粘着剤層が配されていない非粘着部2N,2Nを有する。
そして、本形態のシール製品X1では、インデックスシール部1iにかかる粘着部2Hと、チェックシール部1cにかかる粘着部2Lの粘着力は相違している。
インデックスシール部1iの粘着部2Hiは、インデックスシールとしての用途を達成すべく比較的強い粘着力とされ、一方のチェックシール部1cの粘着部2Lcは、インデックスシールに要求される再接着、再剥離を達成すべく比較的弱い粘着力とされている。
すなわち、インデックスシール部1iの粘着部2Hiは相対的に強い強粘着部2Hからなり、チェックシール部1cの粘着部2Lcは相対的に弱い粘着力の弱粘着部2Lからなる。
本形態のシール製品X1は、このように着力の相違する部分を有するように構成されているとともに、さらに、特徴的に、離解性試験における残渣量が50mg未満となるように構成される。より好適には、全離解性となるように構成される。
シール製品全体としての残渣量を50mg未満とすることで、雑誌、カタログ等にシール製品が綴じこまれていても、分別せずに古紙回収可能とすることも可能となり、再資源化が容易となる。なお、全離解性とは、シール製品を構成する基紙、被覆シート、粘着剤の全が、製紙会社の古紙処理工程で使用される弱アルカリ液中(0.025重量%の水酸化ナトリウム溶液)で完全離解することである。
ここで、離解性試験について説明すると、本発明における離解性試験とは、以下の(1)〜(4)の項目に従って行われる試験である。
(1)試料の調整:シール製品を被覆シートを剥離することなく、30mm×30mm±3mm に裁断し、5.00g±0.05gを秤量し、上質紙(秤量64g)を30mm×30mm±3mm に裁断したものの45.00g±0.05g と合わせて1回の試験試料とする。なお、各試料の調整はJIS P 8111の標準状態(温度23℃±1℃、湿度50%±2%)においておこない、シール製品、上質紙共に標準状態に12 時間以上保持したものを使用する。前記上質紙はその50.00g±0.05g を試料として、本試験と同様な操作を行ったときスクリーンプレート上にほとんど残渣を認めないものを使用する。
(2)使用試験器具等:標準離解機は、JIS P 8220付属書A に規定のものを使用する。フラットスクリーンは、市販の試験用フラットスクリーン及びスクリーンプレートを使用する。スクリーンボックスの大きさ254mm×304mm、高さ220mmでゲートの調節によってスクリーンボックス内の水位を100mm に調整・維持する構造を有し、毎分690〜700回、3.2mm上下に振動するダイヤフラムをスクリーンプレートの下に備えた振動スクリーンを用いる。スクリーンプレートは、試験機に付属する6 カットスクリーンプレートを使用する。用水は、井戸水、水道水など清澄なものを使用する。アルカリ溶液は、水酸化ナトリウム50.0g を溶解して1000ml としたものを用いる。
(3)試験操作:まず、30℃±2℃の用水2000ml±10mlにアルカリ溶液10ml±1mlを加え、標準離解機の離解槽に入れる。ただちに試料を加え、離解槽に蓋をして離解機の回転を起動させ、離解機の回転を20分間±5 秒間継続した後、回転を止める。
次いで、フラットスクリーンに規定のスクリーンプレートをセットし、規定の水位となし、通水量が10リットル毎分となるように調整した後、クリーンを起動し、離解した試料スラリーをスクリーン内に投入する。離解槽はよく洗浄し、洗液はスクリーン内に加える。
次いで、スクリーン振動及び通水を、試料スラリーの最初の投入から7分間±10秒間継続した後、通水及び振動を停止し、スクリーンの廃水栓を開放して、スクリーン槽内に残る残渣をスクリーンプレート上に集める。槽壁に残る残渣は洗瓶の水流を利用してスクリーン上に集めるのがよく、水道などの多量な水の使用は好ましくない。
次いで、スクリーンプレート上の残渣を安全カミソリの刃を利用して集め、予め乾燥、秤量したアルミホイール製カップに回収し、そのアルミホイール製カップを105℃±5℃に調整した乾燥器中で恒量となるまで乾燥し秤量する。乾燥時間は概ね、温風循環型恒温槽を使用すれば2時間で十分である。
乾燥後に、アルミホイール製カップの重量を1mg単位まで秤量する。
以上の操作を3組の試料について繰り返す。
(4)計算:残渣量は、試料の入ったアルミホイール製カップの重量から予め測っておいたアルミホイール製カップの乾燥重量を差し引いた値を1mg単位で表す。
他方、本形態のシール製品X1では、上記の離解試験における残渣量や全離解性を達成可能としつつ弱粘着部2L及び強粘着部2Hといった粘着部の相違する部分を形成すべく、粘着剤として、離解性粘着剤と、離解性粘着剤と非離解性粘着剤とを混合した粘着剤(明細書中において混合粘着剤ともいう場合がある)とが用いられる。すなわち、一般的に粘着力の弱い離解性粘着剤を用いて弱粘着部2Lを形成し、離解性粘着剤に対してこれよりも粘着性の高い非離解性粘着剤を混合してその接着力を高めた粘着剤を用いて強粘着部2Hを形成している。
ここで、本発明における離解性粘着剤とは、業界においては上記離解試験において残渣量50gm未満を達成可能であるものと解されており、離解性、全離解性と称して市販される粘着剤である。本発明においてもかかる粘着剤を用いうる。このような離解性粘着剤としては、好適な具体例として、東亜合成株式会社製:アロンタック RP―275が例示できる。
また、特に好適な具体例を、組成で例示すると、(a)炭素数が4〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル50〜90重量%と、(b)アルコキシアルキル(メタ)アクリレート5〜45重量%と、(c)(メタ)アクリル酸5〜15重量%、及び(d)その他の共重合モノマー0〜30重量%とを塩基性リン酸塩の存在下で乳化重合させて得られた共重合体の水分散液に対して、該共重合体中のカルボキシル基の50〜120モル%に相当する量の、沸点が約220℃以上の第三級アミノアルコールを添加してなる粘着剤組成物が例示できる。
なお、前記(a)〜(d)からなる共重合体100重量部当たりHLBが9〜18の非イオン性界面活性剤を5〜40重量部、及び、脂肪酸石鹸を0.2〜3重量部添加して成る粘着剤組成物であることが好ましい。
前記(a)成分の炭素数が4〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル等が挙げられる。この(a)成分は粘着力と内部凝集力を与える成分であり、粘着剤中に少なくとも50重量%含有されることが必要である。
また、(b)成分のアルコキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシプロピル等が挙げられる。
(c)成分の(メタ)アクリル酸はそのカルボキシル基を第三級アミノアルコールによって中和して粘着剤に水離解性を付与する作用をするものであり、少なくとも5重量%は必要である。
(d)成分のその他の共重合モノマーとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、酢酸ビニル、スチレン、(メタ)アクリル酸のカプロラクトン付加物、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリルニトリル、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
他方、非離解性粘着剤とは、業界において離解性と示されていない、アルカリ溶解性、水解性が低い一般的な粘着剤を意味する。概ね、この非離解性粘着剤のみが使用されているシール製品では上記離解性試験における残渣量は100mg以上となる。
かかる非離解性粘着剤を例示すれば、東亜合成株式会社製:アロンタック HV―C7559が例示できる。
本発明では、上述の離解性粘着及び混合粘着剤を用い、これらを適宜配置することで、粘着領域に粘着力の相違する粘着部が形成でき、しかも上記解離性を達成できる。
ここで、混合粘着剤の使用については、本発明者らにより、上述の離解性粘着剤に対して、粘着性の高い非全離解性粘着剤を混合すると、「離解性」を有しつつ高い粘着力を発現させることが可能であることを知見したことに基づく。
この本発明者らの知見によれば、驚くべきことに、極めて離解性の低い粘着剤、概ね上記離解製試験における残渣量が500mgとなるような粘着剤であっても、比較的少量の離解性の粘着剤と混合すると離解性を有することとなり、その混合して得られる粘着剤は、一般的に離解性と称してリサイクル用途に使用されている離解性粘着剤よりも、極めて高い粘着力を発揮するものとなることが明らかとなった。本発明はこの知見に基づく。
この混合粘着剤の離解性については、当該混合の粘着剤による粘着剤層が水に触れたときに全離解性粘着剤の部分が溶解することで、非全離解性部分が分断されつつ水と接触されるようになって極めて大きな水との接触面積となるとともに、非全離解性粘着剤のみで粘着剤層が形成されている場合と比較して、格段に溶解時間が短縮されることによると考えられる。
このような、混合粘着剤の溶解性の確保は、種類にもよるが、離解性粘着剤:非離解性粘着剤の比率が20%以上含有されていれば、離解性試験において50mg未満を達成することができる。
そして、本発明では、このように混合粘着剤を用いることで、これまで離解性粘着剤のみでは困難であった、JIS Z 0237の10に規定される180度引きはがし粘着力測定方により測定される粘着力を、好ましく8.5N/25mm以上とすることができる。
そして、本形態におけるシール製品においては、より好ましくは、弱粘着部2L及び強粘着部2Hの粘着力は、JIS Z 0237の10にある180度引きはがし粘着力の測定で、被着体をSUS板とした時に、それぞれ1.5〜5N/25mm、7.5〜30N/25mmとなるようにすることができ、さらに好ましく、それぞれ2.5〜4N/25mm、10〜20N/25mmとなるようにすることができ、このように設計するのがよい。
なお、各粘着剤には、例えば、無機・有機顔料、ワックス類など、全離解性等を阻害しない物質であれば適宜混合して、粘着力を調節することができる。特に、本発明では、全離解性でありながら、高い粘着力を得ることが可能であることから、微粒子充填剤などの混合によって、再剥離、再接着性を有するものとすることができる。
従って、本発明においては、粘着力の相違する複数の粘着部2H,2Lを形成するにあたっては、例えば、上記のようにして粘着力を適宜設計した離解性の粘着剤の中から、粘着力の相違する適宜複数の粘着剤を選択し、それらを粘着基紙のベースとなる基紙1の所望の位置に配することで達成することができる。
また、図示しないが、各粘着剤を基紙1に塗布等した後、それに重ねて糊殺し剤あるいは離型剤を網点印刷等の方法により、塗布・印刷して所望の範囲の粘着力を適宜調整するようにしてもよい。
粘着剤の塗工は、エアナイフコーター、ロールコーター、ブレードコーター、ロッドメタリングコーター、コンマコーター、カーテンコーター等の各種既知の塗工機を使用することができる。粘着剤を印刷する場合は、凸版印刷機、グラビア印刷機(凹版印刷機)、スクリーン印刷機、オフセット印刷機等の各種既知の印刷機を使用することができる。
印刷機を使用すると、粘着剤層の厚さが特に均一になる。また、印刷機を使用する方法は、模様印刷、ベタ印刷等によって粘着剤の種類や量、分布(粘着剤層2を形成する部位)を、容易にかつ迅速に変更することができるとの利点もある。さらに、弱粘着部2Lと強粘着部2Hとを、1パスで印刷形成することができる印刷機を使用すれば、生産速度が向上する。
各粘着剤部2H,2Lの厚さは、特に限定されないが、双方に差がないのが適する。双方とも通常5〜50μm、好ましくは10〜30μmである。粘着部の目付け量は、用いる粘着剤の種類により適宜変更可能であるが、固形分質量で、5〜50g/m2、好ましくは10〜30g/m2である。
糊殺し層を形成する場合に用いる糊殺し剤は、特に限定されないが、水又はアルカリと反応して塊を形成するものは避けるのがよい。残渣量を50mg未満にし難くなる。用いうる糊殺し剤としては、原料成分として、例えば、一般に使用されている印刷インキ、ニス等を例示することができる。特に水性のものがよい。
糊殺し層の形成方法も、特に限定されず、粘着剤層と同様、塗工、印刷等によることができる。ただし、糊殺し層は、被覆シート3の表面に形成しておき、被覆シートを粘着剤層2L,2Hの裏面に貼り合わせるのにともなって、糊殺し層が粘着剤層2L,2Hの裏面に転移し、もって形成される形態によることもできる。
他方、上記粘着基紙のベースとなる粘着剤付与前の基紙1は、特に限定されないが、再利用性に優れる水解性、アルカリ離解性を示すものが用いられる。
クラフト紙、上質紙、グラシン紙、パーチメント紙、レーヨン紙、コート紙等を使用することができる。環境保護の観点から各種再生紙を使用してもよい。樹脂フィルムがラミネートされた紙等は避けるのがよい。残渣量を50mg未満にし難くなる。
基紙1の大きさ、形状、厚さ、坪量等は特に限定されない。形状は、例えば、円形状、方形状、任意形状等にすることができる。また、厚さは、上質紙であれば、通常30〜250μm、好ましくは50〜150μmとすることができる。さらに、坪量は、通常30〜200g/m2、好ましくは50〜120g/m2とすることができる。
他方、本形態における被覆シートは、剥離性を有する。被覆シート3は、紙、織物等の上面(表面)、すなわち粘着剤層側の面に、離型剤等を塗布すること等によって剥離処理を施したものが好適である。水解性・アルカリ離解性を示さない、プラスチックフィルム等は用いない。残渣量を50mg未満にし難くなる。
離型剤の構成成分としては、既知の材料を用いることができるが、水又はアルカリと反応して塊を形成するものは避けるのがよい。残渣量を50mg未満にし難くなる。用いうる離型剤としては、シリコーン、長鎖アルキルポリマー、ポリオレフィン、アルキド樹脂、フッ素化合物等を例示することができる。
離型剤の塗布方法としては、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロッドメタリングコーター、カーテンコーター、ロールコーター等の従来各種塗工機による塗工を採用できる。より好ましくは、模様印刷あるいはベタ印刷によって離型剤の塗布量や塗布分布を適宜調整することが容易なオフセット印刷、グラビア印刷(凹版印刷)、凸版印刷等各種印刷による印刷塗工である。
剥離剤の目付け量は、用いる剥離剤の種類により適宜変更可能であるが、固形分質量で通常0.1〜10g/m2である。
また、被覆シート3の厚さも特に限定されず、通常30〜150μm、好ましくは40〜100μmとすることができる。
『第2の実施の形態』
第2の実施の形態は、親展情報等を隠蔽した状態で郵送するために用いられる隠蔽式葉書等に用いられる情報隠蔽用シートである。
図3は、本形態の情報隠蔽用シートX2の正面図である。図4は、そのIV−IV断面図である。
この情報隠蔽用シートX2は、基紙11の一方面に粘着剤層12が配された粘着基紙と、粘着剤層形成面を被覆する被覆シート13とで主に構成されている。
被覆シート13は、粘着基紙と同形状かつ同じ大きさであり、粘着基紙の周縁からはみ出ることなく、粘着基紙に貼合されている。
粘着剤層12は、被覆シート13が粘着基紙から剥離可能な程度の粘着力の剥離可能粘着部12Lと、非剥離とされている非剥離粘着部12Hとを有する。
非剥離粘着部12Hは基紙11の左右半分の一方側に、剥離可能粘着部12Lは他方側にそれぞれ配されている。
被覆シート13は、剥離可能粘着部12Lと非剥離粘着部12Hと接する間の境界位置にミシン目、スリット等による切断補助線Lが形成されており、この切断補助線Lにより、被覆シート13は非剥離粘着部12Hに接する部分のみを残して剥離可能粘着部12Lに接する部分のみを切り離して分離除去することが可能とされている。
他方、剥離可能粘着部12Lは、周縁部12Leと中央部12Lcとでさらに粘着力が相違しており、特に中央部12Lcは再剥離性を有する粘着部となっている。
各粘着部の好適な粘着力は、非剥離粘着部、剥離可能粘着部の周縁部で15〜60N/50mm、好ましくは20〜40N/50mm、剥離可能粘着部の中央部で2〜10N/50mm、好ましくは3〜8N/50mm程度である。
このように、情報隠蔽シートX2もまた、粘着力の相違する部分を有するように構成されている。そして、さらに離解性試験における残渣量が50mg未満となるように構成されている。より好適には、全離解性となるように構成される。
情報隠蔽シートX2全体としての残渣量を50mg未満とすることで、再資源化が容易となる。さらに、全離解性とすると、分別せずに古紙回収可能とすることも可能となる。
なお、全離解性とは、情報隠蔽シートX2を構成する基紙、被覆シート、粘着剤の全が、製紙会社の古紙処理工程で使用される弱アルカリ液中(0.025重量%の水酸化ナトリウム溶液)で完全離解することである。
他方、本形態の情報隠蔽用シートX2では、上記の離解試験における残渣量や全離解性を達成可能としつつ非剥離粘着部12H、剥離可能粘着部12L、さらにその中央部12Lcを再剥離性にすべく、粘着剤として離解性粘着剤と混合粘着剤が用いられる。
本形態では、非剥離粘着部12H及び剥離可能粘着部12Lの周縁部12Leを離解性粘着剤により形成し、剥離可能粘着部12Lの中央部12Lcに再剥離性を付与すべく混合粘着部を用い形成している。
ここで、混合粘着剤の使用による再剥離性ついて説明すると、本発明者らは上述のとおり、上記離解性粘着剤に対して、粘着性の高い非全離解性粘着剤を混合すると、「離解性」を有しつつ高い粘着力を発現させることが可能であることを知見した。
さらに、本発明者は、離解性粘着剤に対して、極めて離解性の低い再剥離粘着剤を混合すると、離解性を有することとなるとともに、その混合して得られる粘着剤に再剥離性が維持されることを知見した。本発明はこの知見に基づく。
従って、本形態においては、混合粘着剤を用いることで、中央部12Lcに離解性かつ再剥離性が付与されるのである。
離解性粘着剤の例としては、第1の実施の形態で示したものと同様であるが、再剥離性の粘着剤としては、一般的な再剥離性の粘着剤が利用可能であるが、具体例を例示すると、サイデン化学社製:ATR−179などが挙げられる。
ここで、本形態においては、粘着力の弱い離解粘着剤を用いながらも、非剥離の粘着部12Hを形成しているが、このように構成するにあたっては、例えば、被覆シートの当該粘着部に対面する部位について離型処理を施さない、或いは離型性を低下させるなど、被覆シートの設計により対応することが可能である。
なお、その他、本形態においては、その他の粘着剤の付与方法や被覆シートの素材や剥離性の付与の方法、基紙の素材等、及び離解性試験の方法、全離解性の意味は、第1の実施の形態と同様であるので説明は省略する。ただし、本形態の情報隠蔽用シートX2を、特に隠蔽式葉書として用いるのであれば、基紙の坪量は、70〜200g/m2に、被覆シートの坪量は、30〜150g/m2に、粘着剤層の目付量は10〜30とするのがよい。
他方、本形態の被覆シート13の非剥離性粘着部12Hと接する残存部には、隠蔽情報記入部13Aが形成されている。
この隠蔽情報記入部13Aは、例えば、親展情報や金融機関に関する情報等の隠蔽情報を記載する箇所を指定するための文字・枠等であり、オフセット印刷、グラビア印刷等によって適宜の枠線、文字、図形等を印刷して設ける。
また、被覆シート13の残存部の縁部には、近接する二本の平行なスリット線13s,13sを配することで、部分的に層間剥離しやくした易剥離部13Hが形成されている。
このような構成の本形態の情報隠蔽用シートX2の使用方法は、まず、プリンタ等によって情報隠蔽用シートX2の隠蔽情報記入部13A等の適宜の箇所にそれぞれ情報を印字・印刷する。
プリンタ等による必要情報の印字・印刷を終えたならば、図5、6に示すように、前記被覆シート13の剥離可能粘着部12Lと接する部分を切断補助線Lで切断しつつ剥離して分離除去し、剥離可能粘着部12Lを露出させる。
次いで、図7に断面図で示すように、露出された剥離可能粘着部12Lを折り、被覆シート13の残存部に重ね合わせて、被覆シート13の残存部と剥離可能粘着部12Lとを粘着させる。
このとき剥離可能粘着部12Lの中央部は再剥離可能に粘着される。それとともに、隠蔽情報記入部13Aが被覆され隠蔽される。
後に、隠蔽情報記入部13Aに記入された隠蔽情報を読み取る際には、剥離可能粘着部を被覆シート13から再剥離する。なお、図8及び9に示すように、被覆シート13の易剥離部13Hが剥離可能粘着部周縁に粘着されて層間剥離され、被覆シート13に剥離痕16が形成される。
『第3の実施の形態』
第3の実施の形態は、連続帳票型の情報記録用粘着シートである。図10〜図12に、本形態の情報記録用粘着シートX3を示す。
この情報記録用粘着シートX3は、表面に情報が記録される基紙21と、この基紙21の裏面に設けられた基紙21を被着体に貼り付ける粘着剤層22と、この粘着剤層22の裏面を覆う被覆シート23とで主になる。
本形態において、基紙21は、横長の長方形状になっている。基紙21の幅方向中央部には、ミシン目線、ハーフスリット線等からなる切断補助線L1が、前後方向に沿って形成されている。この切断補助線L1によって、一方が剥離不能片21Aに、他方が発送控片21Bに区画されている。
また、剥離不能片21Aの中央部には、横長の長方形状に、ミシン目線、ハーフスリット線等からなる切断補助線L2が形成されている。この切断補助線L2によって、内側が剥離可能片21aに、外側が剥離不能片21a’に区画されている。
剥離可能片21aには宛名等の個人情報25が、発送控片21Bには図示しない発送控等の情報が、剥離不能片21Aには図示しないその他の情報が、それぞれ記録される。この記録の方法は、特に限定されず、インパクトプリント等の印刷機によって、特に近年ではレーザープリントによって、行うことができる。
なお、基紙21の幅方向両側端部にも、ミシン目線、ハーフスリット線等からなる切断補助線L3、L3が、前後方向に沿って形成されている。各切断補助線L3より側方は、マージナル片24とされている。各マージナル片24には、前後方向に複数の真円形状のマージナル孔24A,24A…が形成されている。このように、本情報記録用粘着シート3は、連続帳票型とされている。
一方、粘着剤層22は、剥離可能片21aの裏面及び剥離不能片21a’の裏面のいずれにも設けられている。そして、剥離可能片21aの裏面における粘着剤層22Lは、第2の実施の形態で説明したのと同様の混合粘着剤を用いて再剥離可能な粘着力とされ、剥離不能片21a’の裏面における粘着剤層22Hは離解性粘着剤が用いられている。
剥離可能片21aの裏面における粘着剤層22Lは、再剥離可能であるため剥離可能片21aは、被着体100から剥離可能である。また、粘着力が相対的に弱くとも、粘着剤層22Lが設けられていることに変わりはない。
したがって、剥離可能片21a(基紙21)と被覆シート23とが乖離して両シート21A(21),23間に空気が入るというようなことはなく、記録適性には優れる。
さらに、この剥離可能片21a周辺の剥離不能片21a’の裏面における粘着剤層22Hは、再剥離性を有さないので剥離不能片21a’は、被着体100から実質的に剥離不能である。したがって、剥離不能片21a’で囲まれる剥離可能片21aが、運送中に剥がれてしまうといったおそれはない。
本形態において、発送控片21Bの裏面には、粘着剤層が設けられていない。発送控片21Bは、発送控等の情報が記録された後、切断補助線L1で切断され、被着体100に貼り付けられることなく、そのまま保存されるためである。ただし、印刷適性の向上という観点からは、発送控片21Bの裏面にも、適宜粘着剤層を設けることができる。
本形態においては、剥離可能片21a裏面の粘着剤層22Lの粘着力を再剥離可能に、剥離可能片21a周辺の剥離不能片21a’の裏面における粘着剤層22Hの非剥離性にするにあたって、第2の実施の形態と同様に離解性粘着剤と、混合粘着剤により形成する。
他方、情報記録用粘着シートX3もまた、このように粘着力の相違する部分を有するとともに、離解性試験における残渣量が50mg未満となるように構成される。より好適には、全離解性となるように構成される。
情報記録用粘着シートX3全体としての残渣量を50mg未満とすることで、別せずに古紙回収可能とすることも可能となり、再資源化が容易となる。なお、全離解性とは、情報記録用粘着シートX3を構成する基紙、被覆シート、粘着剤の全が、製紙会社の古紙処理工程で使用される弱アルカリ液中(0.025重量%の水酸化ナトリウム溶液)で完全離解することである。
なお、粘着部の形成に利用可能な粘着剤の種類、粘着力の相違する複数の粘着部を配置方法、被覆シートの素材や剥離性の付与の方法、基紙の素材等、及び離解性試験の方法等は、第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同様であるので説明は省略する。
次いで、この本形態の情報記録用粘着シートX3の使用方法を説明すると、まず、図12に示すように、被覆シート23を剥離して粘着剤層22を露出させ、この粘着剤層22を利用して基紙21を段ボール箱等の被着体100に貼り付ける。
この状態において、運送品等を受け取った荷受人等は、被着体100を廃棄するにあたり、基紙21の剥離可能片21aを被着体100から剥離する。
本形態の情報記録用粘着シートX3は、この作業がきわめて容易に行うことができるため、荷受人等は、被着体を廃棄するにあたり、宛名等の個人情報25が記録された剥離可能片21aを被着体から剥離して、個人情報の流出を防止できるメリットを享受できる。
一方、本形態のように、剥離可能片21aが長方形状等の略方形状とされている場合においては、隅部の1つ49がコーナーをカットされていると、好ましいものとなる。このコーナーカット隅部49に、指や突起物等を差し込むことで、剥離可能片21aを容易に剥離することができる。
<試験例1>
次いで、本発明にかかる粘着剤の粘着性及び離解性について試験したので、非離解性粘着剤の結果とともに表1に示す。
Figure 2010043226
本試験に用いた、混合粘着剤の組成、物性は、表1に示されるとおり、非離解性粘着剤として東亞合成株式会社性 アロンタック HV−C 7559、離解性粘着剤として東亞合成株式会社性、アロンタック RP−275を用いた。
また、各例にかかる基紙は、JIS P 8124 坪量81.4g/m2の上質紙を用いた。離解試験においては、被覆シートとして、一方面が剥離剤によって離型処理された剥離紙(シノムラ化学社製:STS64BOH)を用いた。
試験方法は、粘着力(SUS粘着力、保持力、ボールタック)は、JIS Z 0237に基づいて測定し、残渣性は、上述の離解試験にしたがって行なった。
表1の結果から明らかなように、本発明にかかる混合粘着剤は、十分な離解性を示しているともに、非離解性粘着剤の配合割合の増加に応じて、粘着力が向上している。
そして、特には、比較例1として示される非離解性粘着剤のみの使用したシートの離解試験の残渣量が295.3mgと極めて多いのに対して、実施例7として示される、この非離解性粘着剤に対して重量比で80:20となるように比較的少量の離解性粘着剤を混合した混合粘着剤の使用したシートの離解試験の残渣量が3mgと、格段に残渣量が低下している点には着目すべきところである。
すなわち、本発明の混合粘着剤を用いることで、きわめて高い離解性と、粘着性とが両立できることが示された。
<試験例2>
次いで、試験例2として、混合粘着剤に用いる非離解性粘着剤として、再剥離性を有する粘着剤を用いた本発明にかかる混合粘着剤について試験したので、その非離解性粘着剤の結果とともに表2に示す。
Figure 2010043226
なお、本試験例においては、非離解性の再剥離性粘着剤として、サイデン化学社製のATR−179を用い、混合粘着剤における配合比率は、表2に示すとおりである。
また、基紙、剥離紙、離解性粘着剤、再剥離性の試験方法以外については、上記<試験例1>と同様である。
再剥離性については、再剥離性の有無を確認する要領で評価した。
表2の結果から明らかなように、本発明にかかる混合粘着剤は、十分な離解性を示しているともに、非離解性粘着剤の配合割合の増加に応じて、粘着力が向上している。また、十分な再剥離性を示している。
従って、試験例1と同様に、本発明の混合粘着剤を用いることで、きわめて高い離解性と、粘着性とが両立でき、さらに再剥離性をも得られることが示された。
本発明は、被着物に対して粘着するタックシール、親展情報やクレジットカード番号等不特定人には知られたくない情報を記入して特定機関や会社に郵送するための隠蔽式葉書、支給金額を記載して給与受取人に渡す給料明細書等に利用可能である。
第1の実施の形態のシール製品の平面図である。 そのII−II断面図である。 第2の実施の形態の情報隠蔽シートの平面図である。 そのIV−IV断面図である。 その情報隠蔽シートの使用態様を説明するための第1の平面図である。 そのVI−VI断面図である。 その情報隠蔽シートの使用態様を説明するための断面図である。 その情報隠蔽シートの使用態様を説明するための第2の平面図である。 そのIX−IX断面図である。 第3の実施の形態の情報記録用粘着シートの平面図である。 そのA−A断面図である。 その使用方法を説明するための断面図である。
符号の説明
1、11、21…基紙、1i…インデックスシール部、1c…チェックシール部、2、12、22…粘着剤層(粘着剤層)、2L,2Li,12L,22L…弱粘着部、2H,2Hi,12H,22H…強粘着部、21a…剥離可能片、21a’…剥離不能片、L〜L3,13s…切断補助線,スリット線、49…コーナーカット隅部、X1…シール製品、X2…情報隠蔽シート、X3…情報記録用粘着シート。

Claims (6)

  1. 基紙の少なくとも一方の面に粘着領域を有し、この粘着領域が被覆シートによって被覆されている粘着シートであって、
    前記粘着シートは、離解性試験における残渣量が50mg未満であるとともに、
    前記粘着領域が、離解性粘着剤による粘着部と、離解性粘着剤と非離解性粘着剤との混合粘着剤による粘着部とを有し、かつ、それら粘着部の粘着力が相違している、
    ことを特徴とする粘着シート。
  2. 少なくとも一つの粘着部が、JIS Z 0237の10に規定される180度引きはがし粘着力測定方により測定される粘着力が、8.5N/25mm以上の強粘着性である請求項1記載の粘着シート。
  3. 前記非全離解性の粘着剤は、再剥離性粘着剤である請求項1記載の粘着シート。
  4. 少なくとも一つの粘着部が、再剥離及び再粘着性を有し、かつ、JIS Z 0237の10に規定される180度引きはがし粘着力測定方により測定される粘着力が3N/25mm以上である請求項1又は3記載の粘着シート。
  5. 基紙及び被覆シートが水解性又はアルカリ離解性である請求項1記載の粘着シート。
  6. 粘着部の一部又は全部は、糊殺し処理がされている請求項1〜5の何れか1項に記載の粘着シート。
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