JP2024053186A - 基材の分離回収方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】支持体、粘着剤層および基材の順に積層された積層体から効率的に基材を分離回収する方法を提供すること。【解決手段】上記課題は、支持体、粘着剤層および基材の順に積層された積層体から基材を分離回収する方法であって、前記支持体が、ガーレー式透気度が10~1000秒/100mlである不織布または通気性フィルムであり、前記積層体を脱離液に浸漬して粘着剤層から基材を脱離させる工程を含み、前記脱離液の25℃におけるpHが13.3以上であり、かつ25℃で測定した、1000m秒時における前記脱離液の動的表面張力が60mN/m以下であることを特徴とする基材の分離回収方法により解決することができる。【選択図】なし

Description

本発明は、粘着剤層と支持体を有する粘着シートと基材とを貼り合わせた積層体からの基材の分離回収方法に関する。
近年、プラスチックフィルムを原料とするパッケージ、プラスチックボトル、その他プラスチック製品を含む一般廃棄物または産業廃棄物の排出量は増加の一途を辿り、廃棄物の処理は重要な環境問題となっている。
上記プラスチック製品としては、プラスチックフィルムを使用した食品包装パッケージ等が挙げられ、このような食品包装パッケージには、粘着剤層を含むシートが貼付され、積層体となっている場合がある。このような複層構成の食品包装パッケージは、異種の材料が複数混合しているため、このままではマテリアルリサイクルができないという問題がある。
このような複層構成の包装材のマテリアルリサイクルについて、例えば、特許文献1には、支持体として水解性又はアルカリ離解性の基紙を用い、この基紙の少なくとも一方の面に粘着領域を有する粘着シートが開示されている。また、特許文献2には、商品やその容器に貼り付けられるアルカリ剥離可能なフィルムラベルが開示されている。
特開2010-043226号公報 特開2003―241669号公報
しかしながら、特許文献1においては、基紙を離解性試験した際の残渣量が50mg未満、好適には全離解性とされているものの、離解したパルプと基材としてのプラスチックフィルム片とをフィルターにて濾別しようとした際に、濾過圧によりパルプ分散物がフィルム片同士を凝集させてしまい、フィルターを詰まらせてしまうという問題があった。この問題についてはフィルター洗浄機能を有する濾過装置の導入で解決できる可能性があるものの初期投資費用が高くなる他、パルプ成分は結局のところ廃棄せねばならない為、リサイクル効率としては低いものとなってしまう。
また、値札シールなどが食品用トレーやパックなどのプラスチック包装材に用いられる際には、チルド保存時や冷凍から冷蔵に保存環境を変更する際に生じる霜や結露が存在している状態でも十分な粘着力を維持する必要があり、つまり耐水粘着力が必要となるが、特許文献2に記載されているようなフィルムラベルでは、アルカリ剥離時にアルカリ処理液が端部の粘着剤露出部からしか作用できないために、粘着剤のアルカリ剥離性を上げる必要がある。そうすると粘着剤の親水性を高める必要が生じ、耐水粘着力との両立が困難となるという問題があった。
したがって本発明の課題は、アルカリ剥離性と耐水粘着力が両立された粘着シートと基材とを貼り合わせた積層体から効率的に基材を分離回収する方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は下記[1]~[3]に関する。
[1]支持体、粘着剤層および基材の順に積層された積層体から基材を分離回収する方法であって、
前記支持体が、ガーレー式透気度が10~1000秒/100mlである不織布または通気性フィルムであり、
前記積層体を脱離液に浸漬して粘着剤層から基材を脱離させる工程を含み、
前記脱離液の25℃におけるpHが13.3以上であり、
かつ25℃で測定した、1000m秒時における前記脱離液の動的表面張力が60mN/m以下であることを特徴とする、
基材の分離回収方法。
[2]前記粘着剤層が、アクリル系共重合体を含む粘着剤層であり、前記アクリル系共重合体はカルボキシル基を有する(メタ)アクリレートを含有するモノマー混合物の共重合体であり、前記アクリル系共重合体の酸価が0.1~100mgKOH/gである[1]に記載の基材の分離回収方法。
また、本発明の実施態様は、粘着剤層の塗布量が10~30g/mであることを特徴とする[1]または[2]に記載の基材の分離回収方法。
本発明により、アルカリ剥離性と耐水粘着力が両立された粘着シートと基材とを貼り合わせた積層体から効率的に基材を分離回収する方法を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本発明の趣旨に合致する限り、他の実施形態も本発明の範疇に含まれることは言うまでもない。また、本明細書において「~」を用いて特定される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値の範囲として含むものとする。
本発明について詳細に説明する前に用語を定義する。(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及びメタクリル酸を含む。(メタ)アクリレートは、アクリレート及びメタクリレートを含む。モノマーはエチレン性不飽和二重結合を有する単量体である。
本明細書中に出てくる各種成分は特に注釈しない限り、それぞれ独立に1種単独で、あるいは2種以上を混合して用いてもよい。
本発明は、粘着剤層とガーレー式透気度が10~1000秒/100mlである不織布または通気性フィルムを支持体として有する粘着シートと、基材とを貼り合わせた積層体を、25℃におけるpHが13.3以上であり25℃、1000m秒時の動的表面張力が60mN/m以下である脱離液に浸漬して基材を脱離させる工程を含む、積層体からの基材の分離回収方法である。
≪積層体≫
本発明に用いる積層体は、支持体、粘着剤層および基材の順に積層されたものである。積層体の製造方法に特に制限はなく、従来公知の方法で製造できる。例えば、粘着剤層と支持体を有する粘着シートと基材とを貼り合わせることで製造することができる。
<粘着シート>
粘着シートは、後述する粘着剤組成物を支持体上に塗工し、乾燥することで形成できる。または、後述する粘着剤組成物を剥離ライナー上に塗工し、乾燥して粘着剤層を形成した後、支持体を貼り合わせることで形成できる。当該支持体はガーレー式透気度が10~1000秒/100mlの不織布または通気性フィルムである。ガーレー式透気度が1000秒/100ml以下の支持体を用いることで積層体中の支持体への脱離液の浸透性を向上させ粘着層と脱離液の接触面積を向上させて脱離効率を向上させることが可能となる。更なる脱離効率の向上の為にガーレー式透気度は100秒/100ml以下であることが好ましい。
また、当該支持体のガーレー式透気度を10秒/100ml以上とすることで粘着シートの耐水粘着力が維持され、霜や結露が生じた際の水浸漬剥離を防止することが可能となる。
耐水粘着力は、例えば実施例に記載の方法で評価できる。この方法で測定された耐水粘着力としては300gf/25mm以上であることが必要であり、350gf/25mm以上であることが好ましく、450gf/25mm以上であることが最も好ましい。
ガーレー式透気度はJIS P8117:2009に記載の方法で測定される。また、ISO透気度または王研式透気度からJIS P8117:2009に記載の方法でガーレー式透気度に換算することも可能である。
(支持体)
本発明の支持体の素材は特に限定されない。たとえばポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系、ポリアミド系等の石油系素材の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができるが、再生繊維や天然繊維は本発明の脱離剤中に微分散されてしまい濾別に不具合を起こし得る為、石油系素材が好ましい。支持体として不織布を用いる場合、加工法としてはスパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、エアスルー法、ニードルパンチ法等を用いることができる。支持体として通気性フィルムを用いる場合は延伸法等を用いることができる。
不織布はその透気度を調整する為に目止め剤と複合化させることができる。複合化の方法は特に限定されず、ロールコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、スプレーなどの塗工方法、サイズプレス、ディップなどの含浸方法等が挙げられるが、脱離性の観点から塗工が好ましい。
不織布と前記目止め剤を複合化させる場合、脱離性の観点から目止め剤の酸価は20mgKOH/g以上であることが好ましく25mgKOH/g以上であることがより好ましい。
不織布はその透気度を調整するためにカレンダー処理をすることができる。カレンダー処理は適宜オンマシンやオフマシンで用いられ、加圧装置の形態や加圧ニップのカス、加温等、通常のカレンダー処理装置に準じて適宜調節される。
[剥離ライナー]
剥離ライナー(セパレータと称されることもある。)としては、従来公知のものを特に限定なく用いることができる。例えば、フッ素樹脂やシリコーン樹脂等の剥離剤によって適当な基材(例えば、グラシン紙、クラフト紙、クレーコート紙、ポリエチレン等の樹脂フィルムをラミネートした紙、ポリビニルアルコールやアクリル系共重合体等の樹脂をコートした紙) の少なくとも一方の面を処理してなる剥離ライナーを好ましく使用することができる。
[塗工方式]
塗工の方式は、公知の手法を用いることができ、コンマコーター、リバースコーター、スロットダイコーター、リップコーター、グラビアチャンバーコーター、カーテンコーター等の各種公知のコーティング装置により、支持体もしくは剥離性ライナー上に塗布し、乾燥されることによって、本発明の粘着シートを得ることができる。また、その際剥離ライナーなどに粘着剤組成物を塗布した後、80℃~120℃で乾燥することが好ましい。乾燥温度を80℃以上とすることで、適当な時間で粘着シートを得ることができ、120℃以下とすることで、支持体または剥離ライナーの熱劣化を防止することができる。
粘着剤層の塗布量は耐水粘着性と脱離性の両立の観点から10~30g/mであることが好ましい。10g/m以上である方が耐水粘着性を確保しやすく、30g/m以下である方が脱離性を確保しやすい。
また、本発明における粘着シートは、180°ピール試験において、粘着力が3N以上であることが、再剥離しない食品包装パッケージ用途として好ましい。
180°ピール試験方法は、次の通りである。粘着剤層と支持体を含むシートを幅25mm・縦100mmの大きさに準備し、23℃、相対湿度50%雰囲気下、前記粘着シートから剥離性シートを剥がして露出した粘着剤層を基材に貼り付け、2kgロールで1往復圧着する。24時間放置した後に引張試験機を用いて180度方向に300mm/分の速度で引き剥がす。
(粘着剤層)
本発明における粘着剤層は、脱離液による溶解・剥離等により基材を分離する役割を担う。粘着剤層は、粘着剤組成物から形成され、粘着剤組成物に含まれる樹脂としては、例えば、アクリル系共重合体、ウレタン系共重合体、ポリエステル系共重合体、ポリアミド系共重合体等が挙げられるが、アクリル系共重合体を含むことが好ましい。
((アクリル系共重合体))
アクリル系共重合体は、(メタ)アクリレートのモノマー混合物を重合した共重合体である。(メタ)アクリレートのモノマーとしては、カルボキシル基を有する(メタ)アクリレート、アルキル基を有する(メタ)アクリレート、エチレングリコール鎖またはプロピレングリコール鎖を有する(メタ)アクリレートおよび水酸基を有する(メタ)アクリレート等が挙げられ、脱離性の観点からカルボキシル基を有する(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。
また、アクリル系共重合体の酸価は、0.1~100mgKOH/gであることが好ましい。アクリル系共重合体の酸価が0.1~100mgKOH/gであることで、耐水粘着性と脱離性の両立がより容易になる。
[カルボキシル基を有する(メタ)アクリレート]
カルボキシル基を有する(メタ)アクリレートは、例えば(メタ)アクリル酸、β-カルボキシエチルアクリレート、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、2-アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸等が挙げられる。粘着性能とコストの面から(メタ)アクリル酸の使用が好ましい。
[アルキル基を有する(メタ)アクリレート]
アルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
[エチレングリコール鎖またはプロピレングリコール鎖を有する(メタ)アクリレート]
エチレングリコール鎖またはプロピレングリコール鎖を有する(メタ)アクリレートとしては、メトキシ(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、等が挙げられる。
[水酸基を有する(メタ)アクリレート]
水酸基を有する(メタ)アクリレートは、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートや、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリルレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートなどのグリコールモノ(メタ)アクリレート、等が挙げられる。
[その他モノマー]
上記以外のモノマーも(メタ)アクリレートモノマーと共重合性のあるものであれば使用できる。その他モノマーとしては、例えば、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、3-(トリメトキシシリル)プロピル(メタ)アクリレート、3-(トリエトキシシリル)プロピル(メタ)アクリレート、3-(メチルジメトキシシリル)プロピル(メタ)アクリレート、3-(メチルジエトキシシリル)プロピル(メタ)アクリレート、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等の自己架橋性モノマー、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート、1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサン、等のエポキシ基含有モノマー、アミノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有モノマー、(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー、N-シクロヘキシルマレイミド、N-イソプロピルマレイミド、N-ラウリルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-メチルイタコンイミド、N-エチルイタコンイミド、N- ブチルイタコンイミド、N-オクチルイタコンイミド、N-2-エチルヘキシルイタコンイミド、N-シクロヘキシルイタコンイミド、N-ラウリルイタコンイミド、N-(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N-(メタ)アクリロイル-6-オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N-(メタ)アクリロイル-8-オキシオクタメチレンスクシンイミド等のイミド基含有モノマー、酢酸ビニル、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル等のその他ビニルモノマー、等が挙げられる。
((アクリル系共重合体の製造))
アクリル系共重合体は、(メタ)アクリレートのモノマー混合物を重合した共重合体である。重合の方法は、溶液重合や乳化重合等、通常の重合法が挙げられる。
[乳化重合での製造]
アクリル系共重合体は、例えば、乳化重合にて得ることができる。
まずモノマーを混合し、均一な混合溶液とする。この混合溶液はそのままで重合に供しても良いし、水および界面活性剤の一部又は全量を加えて攪拌し、乳化液とした後に重合に供しても良い。
これらの混合溶液又は乳化液を調製後、重合開始剤の存在下で重合を行うが、その方法としては混合溶液又は乳化液を全量反応容器に仕込んで重合を開始しても良く、一部を反応容器に仕込んで重合を開始した後にさらに数回に分けて分割添加しても良く、一部を反応容器に仕込んで重合を開始した後に残りを連続滴下しても良く、あるいはあらかじめ水および必要に応じて界面活性剤の一部又は全量を反応容器に仕込んでおき、全量を連続滴下しても良い。混合溶液を用いて重合する場合にはあらかじめ反応容器に界面活性剤の全量および水の一部又は全量を仕込んでおくことが好ましい。
重合開始剤の添加方法としては、あらかじめ全量を反応容器に仕込んでおいても良く、昇温後に全量を添加しても良く、一部を反応容器に仕込んでおき重合を開始した後にさらに数回に分けて分割添加しても良く、一部を反応容器に仕込んでおき重合を開始した後に残りを連続滴下しても良く、あるいは全量を連続滴下しても良い。重合開始剤を分割添加又は連続滴下する場合には、単独で反応容器内に分割添加又は連続滴下しても良く、混合溶液又は乳化液と混合された状態にて分割添加または連続滴下されても良い。なおこれらの手法により重合開始剤を添加した後、反応率を高める目的で1回又は2回以上重合開始剤を追加添加しても良い。このようにして、本発明のアクリル系共重合体を得ることができる。
乳化重合で使用する界面活性剤は、アニオン性界面活性剤およびノニオン性界面活性剤から適宜選択することが好ましい。また、界面活性剤はラジカル重合性の官能基を有する反応性界面活性剤であってもよいし、ラジカル重合性の官能基を有さない非反応性界面活性剤であってもよく、両者を併用することもできる。
界面活性剤の中で、反応性界面活性剤は、分子内にラジカル重合可能な不飽和二重結合を1個以上有するアニオン性の界面活性剤である。例えば、スルホコハク酸エステル系界面活性剤、アルキルフェノールエーテル系界面活性剤等が挙げられる。
非反応性アニオン性界面活性剤は、例えば、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸塩、ステアリン酸ナトリウム等の高級脂肪酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルアリールスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩等が挙げられる。
非反応性ノニオン性界面活性剤は、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類; ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル等のポリオキシ多環フェニルエーテル類;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。界面活性剤は、単独または2種類以上使用できる。
前記界面活性剤のなかでも、良好な重合安定性が得られるため反応性または非反応性のアニオン性界面活性剤を使用するのが好ましい。界面活性剤はモノマー混合物100質量部に対して0.5~3質量部使用することが好ましい。
乳化重合には重合開始剤が使用される。重合開始剤は水溶性、油溶性の何れでも良いが、油溶性開始剤を用いる際はあらかじめ水混和性溶剤に溶解させて用いることが必要であり、このような所作が不要な水溶性重合開始剤を使用することが好ましい。
水溶性重合開始剤は、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、4,4’-アゾビス-4-シアノバレリックアシッドのアンモニウム(アミン)塩、2,2’-アゾビス(2-メチルアミドオキシム)ジヒドロクロライド、2,2’-アゾビス(2-メチルブタンアミドオキシム)ジヒドロクロライドテトラヒドレ-ト、2,2’-アゾビス{2-メチル-N-〔1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル〕-プロピオンアミド}、2,2’-アゾビス〔2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-プロピオンアミド〕等が挙げられる。これらの中でも、過硫酸カリウムおよび過硫酸ナトリウムが好ましい。
水溶性重合開始剤は、モノマー混合物100質量部に対して、0.01~1.0質量部を使用することが好ましく、0.02~0.5質量部がより好ましい。0.01~1.0質量部であることで重合反応性をより向上できる。
さらに水溶性重合開始剤は、レドックス系重合開始剤(酸化剤と還元剤を併用する)を使用することができる。酸化剤は、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過酸化水素、t-ブチルハイドロパ-オキサイド、ベンゾイルパ-オキサイド、キュメンハイドロパ-オキサイド、p-メタンハイドロパ-オキサイド等が挙げられる。また、還元剤は、例えば亜硫酸ナトリウム、酸性亜硫酸ナトリウム、ロンガリット、アスコルビン酸等が挙げられる。
レドックス系重合開始剤は、酸化剤と還元剤をそれぞれモノマー混合物100質量部に対して、0.01~1.0質量部を使用することが好ましく、0.02~0.5質量部がより好ましい。0.01~1.0質量部であることで重合反応性より向上できる。
乳化重合の際、必要に応じてpHを調整するため、緩衝剤を使用できる。緩衝剤としては、乳化重合の反応溶液のpH緩衝作用を有するものであれば特に制限されない。緩衝剤は、例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸一カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、蟻酸ナトリウム、ギ酸アンモニウム、クエン酸三ナトリウム等が挙げられる。
緩衝剤は、モノマー混合物100質量部に対して、5質量部未満使用することが好ましく、3質量部未満がより好ましい。
乳化重合の際、分子量を調整するため、必要に応じて連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤は、例えばチオール基や水酸基を有する化合物が一般に知られている。チオール基を有する化合物としては、例えばラウリルメルカプタン、2-メルカプトエチルアルコール、ドデシルメルカプタン、およびメルカプトコハク酸等のメルカプタン、メルカプトプロピオン酸n-ブチル、およびメルカプトプロピオン酸オクチル等のメルカプトプロピオン酸アルキル、メルカプトプロピオン酸メトキシブチル等のメルカプトプロピオン酸アルコキシアルキル等が挙げられる。また、メチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール(IPA)、t-ブチルアルコール、およびベンジルアルコール等のアルコールも挙げられる。連鎖移動剤は、単独または2種類以上併用できる。
連鎖移動剤は、モノマー混合物100質量部に対して0.01~7.5質量部が好ましく、0.03~3.0質量部がより好ましい。
さらに、任意成分として中和剤、レベリング剤、防腐剤、消泡剤、増粘剤、および顔料分散体などの公知の添加剤を配合することができる。
中和剤の配合量は、アクリル系共重合体のpHを調整するため、アクリル系共重合体100質量部に対して0.1~5質量部配合することが好ましい。0.1~5質量部の配合により、アクリル系共重合体のpHを調整でき、アクリル系共重合体の貯蔵安定性が高まる。
レベリング剤の配合量は、アクリル系共重合体100質量部に対して0.1~1質量部配合することが好ましい。0.1質量部以上配合することにより、塗工時のレベリング性が向上し、ハジキや収縮を抑えることができる。1質量部以下に配合することにより、粘着剤層を形成した際の粘着力と再剥離性の低下を抑えることができる。
防腐剤の配合量は、アクリル系共重合体100質量部に対して0.1~1質量部配合することが好ましい。0.1質量部以上配合することにより、水性粘着剤の腐敗や菌発生を抑えることができる。1質量部以下に配合することにより、粘着剤層を形成した際の粘着力と再剥離性の低下を抑えることができる。
消泡剤の配合量は、アクリル系共重合体100質量部に対して0.1~1質量部配合することが好ましい。0.1質量部以上配合することにより、水性粘着剤の塗工時の泡立ちを抑え、泡立ちによるハジキを抑えることができる。1質量部以下に配合することにより、粘着剤層を形成した際の粘着力と再剥離性の低下を抑えることができる。
増粘剤の配合量は、アクリル系共重合体100質量部に対して0.1~5質量部配合することが好ましい。0.1質量部以上配合することにより、水性粘着剤を増粘させることができ、塗工時の収縮やハジキを抑えることができる。5質量部以下に配合することにより、粘着剤層を形成した際の粘着力と再剥離性の低下を抑えることができる。
顔料分散体は、粘着剤層に隠ぺい性や発色性が必要な場合に用いる。顔料分散体の配合量は、アクリル系共重合体100質量部に対して0.1~5質量部配合することが好ましい。0.1質量部以上配合することにより、粘着剤層の隠ぺい性や発色性を高めることができる。5質量部以下に配合することにより、粘着剤層を形成した際の粘着力と再剥離性の低下を抑えることができる。
[溶液重合での製造]
アクリル系共重合体は、モノマー混合物に重合開始剤を加え、溶液重合することでも得ることができる。前記溶液重合に使用する溶剤は、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、キシレン、ヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール、n-プロパノール、及びイソプロパノール等が好ましく、酢酸エチルがより好ましい。
溶液重合は、モノマー混合物100質量部に対して重合開始剤を0.001~1質量部程度加えて重合を行うことが好ましい。通常、重合は、窒素気流下で、50℃~90℃程度の温度で6時間~20時間行うことができる。また、重合の際、連鎖移動剤を使用して共重合体の分子量を適宜調整することができる。
溶液重合で用いられる連鎖移動剤は、例えばn-ドデシルメルカプタン、メルカプトイソブチルアルコール、メルカプト酢酸、2-メルカプトエタノール、チオグリコール酸、チオグルコール酸2-エチルヘキシル、2,3-ジメルカプト-1-プロパノール、グリシジルメルカプタン、α-メチルスチレンダイマー、四塩化炭素、クロロホルム、及びハイドロキノン等が挙げられる。連鎖移動剤は、モノマー混合物100質量部に対して0.01~1質量部程度を使用できる。
溶液重合で用いられる重合開始剤は、アゾ系化合物及び有機過酸化物が一般的である。
アゾ系化合物は、例えば2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリック酸)、2,2’-アゾビス(2-ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、及び2,2’-アゾビス(2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン)等が挙げられる。
有機過酸化物は、例えば過酸化ベンゾイル、t-ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2-エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド等が挙げられる。
[硬化剤]
本発明における粘着剤層は、さらに硬化剤を含むことができる。硬化剤は、例えば、チタンキレート化合物、アルミキレート化合物、ジルコニウムキレート化合物、酸化亜鉛、アジリジン系化合物、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、カルボジイミド系化合物、ヒドラジド系化合物等が挙げられる。硬化剤は、単独または2種類以上併用できる。
硬化剤は、アクリル系共重合体100質量部に対して0.01~10質量部配合することが好ましく、0.03~8質量部がより好ましい。0.01~10質量部の配合により、基材との密着性および凝集力がより向上する。
[粘着付与樹脂]
本発明における粘着剤層は、さらに粘着付与樹脂を含んでもよい。粘着付与樹脂は、例えば、ロジン系粘着付与樹脂、合成炭化水素系粘着付与樹脂、テルペン系粘着付与樹脂、テルペンフェノール系粘着付与樹脂、またはこれらを用いたエマルション型が挙げられる。これらの粘着付与樹脂を含むことで、耐水粘着力をより向上できる。
ロジン系粘着付与樹脂は、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジンの未変性ロジンをアルコールなどでエステル化したロジンエステルや、未変性ロジンを変性した不均化ロジン、重合ロジン、水添ロジンなどの変性ロジン、これら変性ロジンをさらにアルコールなどでエステル化した不均化ロジンエステル、重合ロジンエステル、水添ロジンエステルなどの変性ロジンエステル、未変性ロジンにフェノールを付加したロジンフェノール等が好ましい。これらの中でも粘着力及び透明性がより向上するためロジンエステル、及び変性ロジンエステルが好ましい。なお、ロジンエステル及び変性ロジンエステルには、エステル化に用いたアルコールなどの水酸基の一部が未反応で残存している場合もある。エステル化に用いるアルコールは、メタノールなどの単官能アルコール、エチレングリコールなどの2官能アルコール、グリセリンなどの3官能アルコール、及びペンタエリスリトールなどの4官能アルコールが挙げられるが、アクリル系共重合体との相溶性を考慮すると3官能以下のアルコールが好ましい。
合成炭化水素系粘着剤付与樹脂は、例えば、クマロン系樹脂、クマロンインデン系樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂、フェノール系樹脂、石油系樹脂等が挙げられる。
粘着付与樹脂の軟化点は、0~160℃が好ましく、0~120℃がより好ましく、0~100℃がさらに好ましい。粘着付与樹脂の軟化点が0~160℃であることで粘着物性と脱離性の両立が容易となる。なお、軟化点は、JISK5902に規定されている乾球法にしたがって測定した軟化温度である。
粘着付与樹脂は共重合体(A)100質量部に対して10~50質量部使用することが好ましく、15~40質量部がより好ましい。粘着付与樹脂を10~50質量部用いることで耐水粘着力と脱離性の両立が容易となる。
<基材>
積層体構成する基材としては例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、セロハン等の樹脂材料からなるプラスチックフィルム、ポリエチレン不織布、ポリエステル不織布、ビニロン不織布等が挙げられる。前記基材は、単独または複数の積層体であっても良い。また、前記基材上には、商品名等の表示や装飾、美観を付与するための印刷層や、当該印刷層を保護したり、光沢などの意匠性を付与したりするためのオーバーコート層を設けてもよい。脱離性や分離回収後のリサイクル性の観点から、印刷層やオーバーコート層は含まないことが好ましい。
本発明において「脱離」とは、粘着剤層が脱離液により溶解又は膨潤し剥離することにより、基材が積層体から脱離することを指し、粘着剤層が溶解して基材が脱離する場合と、粘着剤層が溶解しなくとも、中和・膨潤等により剥離し、基材が脱離する場合、の両方の形態を含む。
本発明は、脱離後の基材を、リサイクル基材・再生基材として得ることを目的としているため、基材から、粘着剤層等をできる限り多く除去した態様が好適である。具体的には、粘着剤層100質量%のうち、面積や膜厚方向において少なくとも50質量%以上が脱離していることが好ましい。より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上が脱離している態様が好ましい。
脱離液に浸漬し、基材を脱離させた後の基材回収工程は、比重差分離やサイズ分離など支持材や基材の材質に合わせて自由に選択することができる。
≪脱離液≫
脱離液は、25℃、1000m秒時の動的表面張力が60mN/m以下であることで支持体の孔への浸透性が向上して粘着剤層との接触面積が増す。また、脱離液の25℃におけるpHを13.3以上とすることで粘着剤層を膨潤または溶解させることができ、基材からの剥離を促進できるため、支持体と基材の分離効率が向上する。
脱離液は25℃で測定した、1000m秒時における前記脱離液の動的表面張力が60mN/m以下で、かつ25℃におけるpHが13.3以上であれば良く、環境面及び回収された基材を用いた再生材料の性状維持の観点から、水溶液が好ましい。これらの脱離液は加温されていてもよい。
[動的表面張力調整剤]
動的表面張力低下させる為には任意の動的表面張力調整剤が用いられ、好ましくは界面活性剤が用いられる。
界面活性剤の種類としては、例えば、ノニオン性、アニオン性、カチオン性、両性が挙げられ、要求特性に応じて適宜好適な種類、配合量を選択して使用することができる。脱離性や発泡性の観点から、ノニオン性界面活性剤およびアニオン性界面活性剤のうち少なくともいずれか一方を含むことが好ましい。
また、界面活性剤は、アルキレンオキサイド(以下、AOともいう)を付加した構造であることで、脱離性や再付着性が良好となるため好ましい。
(ノニオン性界面活性剤)
ノニオン性界面活性剤としては、動的表面張力低下能を有していれば特に制限されないが、好ましくは、アルキレンオキサイドが付加したアルキレンオキサイド付加物である。より好ましくは、活性水素を有するアルコール類にアルキレンオキサイドを付加して得られる化合物(アルコール系ノニオン性界面活性剤)、アミン類にアルキレンオキサイドを付加して得られる化合物(アミン系ノニオン性界面活性剤)、若しくは脂肪酸類にアルキレンオキサイドを付加して得られる化合物(脂肪酸系ノニオン性界面活性剤)である。上記付加は、ランダム付加又はブロック付加のいずれであってもよい。また、アルキレンオキサイドの炭素数は、好ましくは炭素数2~4である。
〔アルコール系ノニオン性界面活性剤〕
アルコール系ノニオン性界面活性剤としては、例えば、総炭素数8~24の第1級若しくは第2級アルコールのアルキレンオキサイド付加物、又は、総炭素数8~12のアルキルフェノールのアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。上記総炭素数8~24の第1級若しくは第2級アルコールは、飽和若しくは不飽和のいずれであってもよい。
上記総炭素数8~24の第1級若しくは第2級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ドデシルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール、リグノセリルアルコール、ミリスチルアルコール等が挙げられる。
また、アルコール類に付加するアルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドが挙げられ、エチレンオキサイドを必須とするのが好ましい。アルキレンオキサイドの付加モル数は、アルコール類又はアルキルフェノール1モルに対し、好ましくは1~100モル、より好ましくは2~50モルである。上記範囲であると、特に脱離性に優れるため好ましい。
〔アミン系ノニオン性界面活性剤〕
アミン系ノニオン性界面活性剤としては、総炭素数8~36の飽和又は不飽和の第1級又は第2級アミンのアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。アミンとしては、2-エチルヘキシルアミン、ジ2-エチルヘキシルアミン、ラウリルアミン、ジラウリルアミン、テトラデシルアミン、ジテトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ジヘキサデシルアミン、ステアリルアミン、ジステアリルアミン、オレイルアミン、ジオレイルアミン等が挙げられる。また、アルキレンオキサイドの種類及び付加モル数は上述する〔アルコール系ノニオン性界面活性剤〕の項の記載と同様である。
〔脂肪酸系ノニオン性界面活性剤〕
脂肪酸系ノニオン性界面活性剤としては、構造は特に制限されないが、例えば、総炭素数10~24の高級脂肪酸のアルキレンオキサイド付加物や、前記した総炭素数が10~24の飽和若しくは不飽和の高級脂肪酸とグリセリンとのエステルからなる油脂、さらには、前記した油脂と2~10の多価アルコールとの混合物のアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。上記総炭素数10~24の高級脂肪酸は、飽和若しくは不飽和のいずれであってもよい。
上記総炭素数10~24の高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘニン酸等の飽和高級脂肪酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸、リシノール酸等の不飽和高級脂肪酸、が挙げられる。2~10価の多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、ソルビトール、ソルビタン、ショ糖等が挙げられる。アルキレンオキサイドの種類及び付加モル数は、上述する〔アルコール系ノニオン性界面活性剤〕の項の記載と同様である。
(アニオン性界面活性剤)
アニオン性界面活性剤として好ましくは非石鹸系であり、例えば、スルホン酸系アニオン性界面活性剤、硫酸エステル系アニオン性界面活性剤、カルボン酸系アニオン性界面活性剤、リン酸エステル系アニオン性界面活性剤が挙げられる。
〔スルホン酸系アニオン性界面活性剤〕
上記スルホン酸系アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸、アルキルメチルタウリン、スルホコハク酸ジエステル、スルホン酸のアルキレンオキサイド付加物、およびこれらの塩が挙げられる。具体例としては、ヘキサンスルホン酸、オクタンスルホン酸、デカンスルホン酸、ドデカンスルホン酸、トルエンスルホン酸、クメンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジニトロベンゼンスルホン酸、およびラウリルドデシルフェニルエーテルジスルホン酸等を用いることができる。
〔硫酸エステル系アニオン性界面活性剤〕
上記硫酸エステル系アニオン性界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル(アルキルエーテル硫酸エステル)、硫酸エステルのアルキレンオキサイド付加物、及びこれらの塩が挙げられる。具体例としては、ラウリル硫酸、ミリスチル硫酸、およびポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸等を用いることができる。
〔カルボン酸系アニオン性界面活性剤〕
上記カルボン酸系アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルカルボン酸、アルキルベンゼンカルボン酸、カルボン酸のアルキレンオキサイド付加物、及びこれらの塩が挙げられる。具体例としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸、およびポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸等を用いることができる。
〔リン酸エステル系アニオン性界面活性剤〕
上記リン酸エステル系アニオン性界面活性剤としては、例えば、リン酸エステル(アルキルエーテルリン酸エステル)、リン酸エステルのアルキレンオキサイド付加物、及びこれらの塩が挙げられる。具体例としては、オクチルリン酸エステル、ラウリルリン酸エステル、トリデシルリン酸エステル、ミリスチルリン酸エステル、セチルリン酸エステル、ステアリルリン酸エステル、ポリオキシエチレンオクチルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル等を用いることができる。
アニオン性界面活性剤は、炭素数2~24のアルキル基又は炭素数2~24のアルケニル基を有することが好ましく、より好ましくは、炭素数8~18のアルキル基を有するものである。当該アルキル基又は当該アルケニル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
アニオン性界面活性剤がアルキレンオキサイド付加物である場合、該アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドが挙げられ、エチレンオキサイドが好ましい。アルキレンオキサイドの付加モル数は、アルコール類又はアルキルフェノール1モルに対し、好ましくは1~12モル、より好ましくは1~8モルである。上記範囲であると、特に脱離性に優れるため好ましい。
上述するアニオン性界面活性剤を構成する塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等の金属塩が挙げられる。これらの塩は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でもアニオン性界面活性剤として好ましくは、脱離性及び再付着性の観点から、スルホン酸塩タイプ、リン酸塩タイプであり、より好ましくは、アルキルスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩等である。
(カチオン性界面活性剤)
カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類が挙げられる。具体的にはステアリルアミンアセテート、トリメチルヤシアンモニウムクロリド、トリメチル牛脂アンモニウムクロリド、ジメチルジオレイルアンモニウムクロリド、メチルオレイルジエタノールクロリド、テトラメチルアンモニウムクロリド、ラウリルピリジニウムクロリド、ラウリルピリジニウムブロマイド、ラウリルピリジニウムジサルフェート、セチルピリジニウムブロマイド、4-アルキルメルカプトピリジン、ポリ(ビニルピリジン)-ドデシルブロマイド、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリド等を用いることができる。
(両性界面活性剤)
両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、イミダゾリン誘導体が挙げられる。
これらの動的表面張力調整剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。脱離液中の界面活性剤の含有量は、脱離液の全質量を基準として、好ましくは0.1~10質量%の範囲であり、より好ましくは0.25~5質量%の範囲であり、最も好ましくは0.5~1質量%である。0.1質量%以上であると脱離性に優れるため好ましく、発泡の観点で10質量%以下であることが好ましい。
[塩基性化合物]
本発明に用いる脱離液は25℃におけるpHを13.3以上であるため、塩基性化合物を含む必要がある。
上記塩基性化合物は特に制限されず、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH))、アンモニア、水酸化バリウム(Ba(OH))、炭酸ナトリウム(NaCO)が好適に用いられる。より好ましくは水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムのうち少なくともいずれか1種である。
[消泡剤]
動的表面張力調整剤添加時の発泡を抑制するために、脱離液に消泡剤を加えても良い。消泡剤は、シリコーン系化合物と非シリコーン系化合物が挙げられる。
(シリコーン系化合物)
上記シリコーン系化合物としては、例えば、エマルション型、自己乳化型、オイル型、オイルコンパウンド型、溶剤型が挙げられる。
エマルション型は、シリコーンオイルコンパウンドを活性剤で乳化させてO/W型のエマルションとしたシリコーン系消泡剤であり、例えば、信越化学工業製の「KM-89」、「KM-98」、旭化成ワッカーシリコーン製の「FC2913」、「SILFOAM SE47」、ビックケミー・ジャパン製の「BYK-015」、「BYK-1640」、エボニック・ジャパン製の「TEGO Foamex 1488」が挙げられる。
自己乳化型は、水で希釈、混合することでエマルション状態となる有効成分100%のシリコーン系消泡剤であり、例えば、信越化学工業製の「KS-540」、「X-50-1176」、旭化成ワッカーシリコーン製の「SILFOAM SD670」、「SILFOAM SD850」が挙げられる。
オイル型は、溶剤や添加剤を含まない100%シリコーンオイルの消泡剤であり、例えば、信越化学工業製の「KM-89」、「KM-98」、旭化成ワッカーシリコーン製「AK350」、「AK12500」、ビックケミー・ジャパン製の「BYK-1770」が挙げられる。
オイルコンパウンド型とは、シリコーンオイルにシリカ粒子を配合したシリコーン系消泡剤であり、例えば、信越化学工業製の「KM-89」、「KM-98」、旭化成ワッカーシリコーン製「SILFOAM SC370」、「PULPSIL22274VP」、ビックケミー・ジャパン製の「BYK-017」、「BYK-018」が挙げられる。
溶剤型は、シリコーンオイルを溶剤に溶解させたシリコーン系消泡剤であり、例えば、信越化学工業製の「KM-89」、「KM-98」、ビックケミー・ジャパン製の「BYK-019」、「BYK-025」が挙げられる。
(非シリコーン系化合物)
上記非シリコーン系化合物としては、例えば、脂肪酸エステル系化合物、ウレア樹脂系化合物、パラフィン系化合物、ポリオキシアルキレングリコール系化合物、アクリルエステル共重合物、エステル系重合物、エーテル系重合物、アミド系重合物、ミネラルオイルの乳化タイプ、ポリシロキサンアダクト、フッ素系化合物、ビニル系重合物、アセチレンアルコール、アクリル系共重合体、特殊ビニル系ポリマー、エチレングリコール、高級アルコール(オクチルアルコール、シクロヘキサノール等)が挙げられる。
消泡剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。脱離液中の消泡剤の含有量は、脱離液の全質量を基準として、好ましくは0.01~5質量%の範囲であり、より好ましくは0.03~3質量%の範囲である。0.01質量%以上であると消泡性に優れ、5質量%以下であると脱離後に基材表面に残りにくく洗浄性に優れる。
耐アルカリ性が良好であり、動的表面張力調整剤と組み合わせたときに、脱離性や再付着性を低下させにくいという観点から、消泡剤として好ましくは、エマルション型シリコーン系化合物、自己乳化型シリコーン系化合物、及び非シリコーン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
≪分離回収方法≫
脱離工程後の分離回収方法は特に限定されない。例えば、支持体と基材が同一素材である場合はこれらを分離せずに洗浄工程や乾燥工程を経て回収しても良い。支持体と基材が異種素材である場合は、再生材の用途によっては分離せずに回収しても良いし、単一素材を得る場合には比重分離や近赤外線検知とエアジェットを組み合わせた公知の分離方法により分離してから必要に応じて洗浄工程や乾燥工程を経て回収しても良い。
脱離液は、積層体の端部分から浸透して粘着剤層に接触し、溶解又は膨潤することで、基材と粘着剤層を分離する。したがって効率的に脱離工程を進めるために、積層体は、裁断又は粉砕され、脱離液に浸漬する際に、断面に粘着剤層が露出している状態であることが好ましい。このような場合、より短時間で基材を脱離することができる。
積層体を浸漬する時の脱離液の温度は、好ましくは25~100℃、より好ましくは40~90、特に好ましくは50~80℃の範囲である。脱離液への浸漬時間は、好ましくは1分間~24時間、より好ましくは3分間~6時間、好ましくは5分間~4時間の範囲である。脱離液の使用量は、積層体の質量に対して、好ましくは5~10万倍量、より好ましくは10~1万倍の範囲であり、脱離効率を向上させるために、脱離液の撹拌又は循環等を行うことが好ましい。回転速度は、好ましくは80~5000rpm、より好ましくは80~4000rpmである。
積層体から、基材を脱離し回収した後、得られた基材を水洗・乾燥する工程を経て、必要に応じ支持体と基材を分離してリサイクル基材を得ることができる。基材の表面における粘着剤層と支持体を有する粘着シートの除去率は、脱離前の粘着シートの面積に対して、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上である。
以下に、実施例をもって本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、実施例で「部」とあるのは「質量部」を、「%」とあるのは「質量%」を意味する。
また、表中の配合量は、質量部であり、水、溶剤以外は、不揮発分換算値である。尚、表中の空欄は配合していないことを表す。
なお、アクリル系共重合体の酸価の測定は、次の方法により行なった。
<酸価の測定>
共栓三角フラスコ中にアクリル系共重合体1gを精密に量り採り、水またはトルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解した後、0.1N-アルコール性水酸化カリウム溶液にて滴定した。酸価(単位:mgKOH/g)は次式により求めた。なお、酸価は乾燥した試料の数値とした。
酸価={(5.61×a×F)/S}/(不揮発分濃度/100)
S:試料の採取量(g)
a:0.1N-アルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.1N-アルコール性水酸化カリウム溶液のファクター
<粘着剤組成物の製造>
[製造例1-1](粘着剤組成物(A-1)の製造)
n-ブチルアクリレート85部、メタクリル酸15部に、連鎖移動剤としてtert-ドデシルメルカプタン0.1部を溶解した。さらに、アニオン系界面活性剤としてニューコール707SF(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩の水溶液、有効成分30%、日本乳化剤社製)6.7部、開始剤として5%過硫酸アンモニウム水溶液5.6部をイオン交換水35部に溶解してから加えて攪拌し乳化物を得た。これを滴下ロートに入れた。
撹拌機、冷却管、温度計および上記滴下ロートを取り付けた4つ口フラスコに、脱イオ
ン水を72.5部仕込み、フラスコ内部の空気を窒素ガスで置換し、撹拌しながら内温を80℃まで昇温し、5%過硫酸アンモニウム水溶液2.4部を添加した。5分後、上記滴下ロートから上記乳化物を3時間かけて滴下した。
内温を80℃に保ったまま、さらに撹拌しながら80℃にて4時間熟成した後冷却し、アクリル共重合体水分散液を得た。この水分散液に消泡剤としてアデカネートB-940(ADEKA社製)0.3部、レベリング剤としてぺレックスOT-P(花王社製)0.2部、防腐剤としてレバナックスFX-360(昌栄化学社製)0.05部を加え、さらにアルカリ増粘剤及びアンモニア水によりpH調整(堀場製作所 pHメーター D-52にて測定)及び粘度調整を行い、pH8.0、粘度2,000mPa(BL型粘度計♯4-12rpm)の粘着剤組成物(A-1)を得た。
[製造例1-2](粘着剤組成物(A-2)の製造)
モノマー、界面活性剤、開始剤の種類及び配合量を表1記載に変えた以外は、[製造例1-1]と同様にして、粘着剤組成物(A-2)を得た。
[製造例1-3](粘着剤組成物(A-3)の製造)
撹拌機、冷却管、温度計および上記滴下ロートを取り付けた4つ口フラスコに、窒素雰囲気下、n-ブチルアクリレート94.9部、2-ヒドロキシエチルアクリレート0.1部、アクリル酸5部、酢酸エチル100部、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.015部を仕込んだ。撹拌しながら加熱を行い重合反応の開始を確認して還流温度で2時間反応した。次いで、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.005部を反応溶液に添加し6時間反応を継続した。その後、反応容器を冷却し酢酸エチル130部を加え、アクリル共重合体溶液を得た。製造例3-3の粘着シート作成の直前に硬化剤としてアルミキレートA(川研ファインケミカル社製、アルミニウムトリスアセチルアセトネート)を0.5部配合し、更に溶剤として酢酸エチルを加えて不揮発分30%に調整して粘着剤組成物(A-3)を得た。
[製造例1-4、5](粘着剤組成物(A-4、5)の製造)
モノマー、開始剤、硬化剤の種類及び配合量を表1記載に変えた以外は、[製造例1-3]と同様にして、粘着剤組成物(A-4~5)を得た。但し硬化剤は製造例3-4~5の粘着シート作成の直前に配合した。
表1の略号を以下に記載する。
2EHA:2-エチルヘキシルアクリレート
BA:n-ブチルアクリレート
MA:メチルアクリレート
MMA:メチルメタクリレート
HEA:2-ヒドロキシエチルアクリレート
MAA:メタクリル酸
AA:アクリル酸
707SF;日本乳化剤社製、ニューコール707SF(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩の水溶液、有効成分30%)
KH-10:第一工業製薬社製、アクアロンKH-10((ポリオキシエチレン-1-(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩)
APS:過硫酸アンモニウム
AIBN:2,2’-アゾビスイソブチロニトリル
アルミキレートA:川研ファインケミカル社製、アルミキレートA(アルミニウムトリスアセチルアセトネート)
TDI/TMP:トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体(不揮発分37.5%)
<支持体>
[製造例2-1](支持体(B-2)の製造)
攪拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器(反応槽)に、水237.8部、ぺレックスOT-P(花王社製ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 有効成分70%)0.86部を仕込んだ。別途、メチルメタクリレート69.5部、n-ブチルアクリレート18.0部、メタクリル酸12.5部、t-ドデシルメルカプタン3.0部、ぺレックスOT-P 2.01部、水65.8部をあらかじめ混合、撹拌して一段目に滴下するエチレン性不飽和単量体の乳化液(一段目の滴下槽)を調製した。反応容器の内温を80℃に昇温して窒素置換を十分行った後、開始剤として過硫酸カリウムの5%水溶液12.1部を添加して乳化重合を開始した。内温を80℃に保ちながら一段目に滴下するエチレン性不飽和単量体の乳化液と過硫酸カリウムの5%水溶液5.5部を2時間かけて滴下した。滴下完了後、2時間反応させ、80℃に温度を保ったまま、25%アンモニア水を9.9部添加して中和した。続いて、メチルアクリレート50.0部、n-ブチルアクリレート102.0部をあらかじめ混合して調製した二段目のエチレン性不飽和単量体溶液(二段目の滴下槽)と過硫酸アンモニウムの10%水溶液24.2部を2時間かけて滴下した。滴下完了後、80℃を維持して更に3時間反応させ、樹脂微粒子の水性分散体を得た。得られた樹脂微粒子の酸価は31.2mgKOH/gであった。これに更に水を添加して不揮発分を40%に調整し、不織布用目止め剤を得た。
日本バイリーン株式会社製ポリエチレンテレフタレート不織布MF-90(支持体(B-1)、ガーレー式透気度0.1秒)を、金属ロールと弾性ロールとからなる加圧ニップ装置を用いて金属ロールの表面温度195℃、ニップ圧力100kN/m、処理速度10m/minでカレンダー処理後、前記目止め剤を乾燥後の塗布量が3g/mとなるようにグラビアコーターで塗工し、80℃120秒間風乾した。得られた目止め処理ポリエチレン不織布(支持体(B-2))のガーレー式透気度は15秒/100mlであった。
[製造例2-2](支持体(B-3)の製造)
高密度ポリエチレンポリマー(メルトマスフローレイト(以下、「MFR」とする)=0.8)とHFC冷媒R32から成る溶液を高温高圧条件から、ノズルより低温低圧域に吐出し溶剤をフラッシュさせて、金網状に堆積させ、フィブリル化網状繊維とした後、138℃のフェルトカレンダーで接触時間5秒にて両面処理し、ポリエチレン不織布を得た。得られた不織布(支持体(B―3))のガーレー式透気度は4秒/100mlであった。
なお、MFRはJIS K7210-1:2014に準じて温度230℃、荷重2.16kgf(21.2N)で測定した。
[製造例2-3](支持体(B-4)の製造)
製造例2-1で得られた目止め剤を製造例2-2で得た支持体B-3に対し乾燥後の塗布量が3g/mとなるようにグラビアコーターで塗工し、80℃120秒間風乾した。得られた目止め処理ポリエチレン不織布(支持体(B-4))のガーレー式透気度は11秒/100mlであった。
[製造例2-4](支持体(B-6)の製造)
製造例2-1で得られた目止め剤を旭・デュポンフラッシュスパンプロダクツ株式会社製ポリエチレン不織布タイベック1-73B(支持体(B-5)、ガーレー式透気度22秒/100ml)に対し乾燥後の塗布量が3g/mとなるようにグラビアコーターで塗工し、80℃120秒間風乾した。得られた目止め処理ポリエチレン不織布(支持体(B-6))のガーレー式透気度は45秒/100mlであった。
[製造例2-5](支持体(B-7)の製造)
支持体(B-5)を、金属ロールと弾性ロールとからなる加圧ニップ装置を用いて金属ロールの表面温度130℃、ニップ圧力100kN/m、処理速度10m/minでカレンダー処理した。得られた不織布(支持体(B-7))のガーレー式透気度は150秒/100mlであった。
[製造例2-6](支持体(B-8)の製造)
支持体(B-5)を、金属ロールと弾性ロールとからなる加圧ニップ装置を用いて金属ロールの表面温度140℃、ニップ圧力100kN/m、処理速度5m/minでカレンダー処理した。得られた不織布(支持体(B-8))のガーレー式透気度は500秒/100mlであった。
[製造例2-7](支持体(B-10)の製造)
三井化学株式会社製ポリプロピレン不織布シンテックス(支持体(B-9)、ガーレー式透気度 180秒/100ml)を金属ロールと弾性ロールとからなる加圧ニップ装置を用いて金属ロールの表面温度130℃、ニップ圧力100kN/m、処理速度10m/minでカレンダー処理した。得られた不織布(支持体(B-10))のガーレー式透気度は450秒/100mlであった。
[製造例2-8](支持体(B-11)の製造)
製造例2-1で得られた目止め剤を支持体(B-9)乾燥後の塗布量が3g/mとなるようにグラビアコーターで塗工し、80℃120秒間風乾した。得られた不織布(支持体(B-11))のガーレー式透気度は720秒/100mlであった。
[製造例2-9](支持体(B-12)の製造)
ポリプロピレン樹脂として住友化学株式会社製FS2016 94.6部およびサンアロマー株式会社製HMS-PP 5部と、β晶核剤としてN,N’-ジシクロヘキシル-2,6-ナフタレンジカルボキシアミド(新日本理化株式会社製NU-100)0.2部、滑り剤として架橋PMMA粒子(株式会社日本触媒製エポスターMA1002)を0.2部、添加混合し、二軸押出機に供給して200℃で溶融混合した後、ガット状に押出し、20℃の水槽に通して冷却してチップカッターで3mm長にカットした後、100℃で2時間乾燥した。次に、200℃に加熱された押出機に供給して溶融し、Tダイ口金内を通してシート状に押出成形し、表面温度120℃に加熱されたキャストドラム上に密着させ、非ドラム面側より120℃の熱風を吹き付けて冷却固化し、未延伸フィルムを作製した。該未延伸フィルムを100℃に加熱保持されたオーブンに導いて予熱後、MD方向に6倍延伸し、40℃のロールで冷却した。続いて、MD方向に延伸したフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、125℃に加熱した雰囲気中でTD方向に9倍延伸後(面積倍率:縦延伸倍率×横延伸倍率=54倍)、引き続き微多孔ポリプロピレンフィルムの結晶配向を完了させて平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内にて150℃で横方向5%の弛緩熱処理を行い、均一に徐冷後、室温まで冷却して微多孔ポリプロピレンフィルム(支持体(B-12))を得た。得られた支持体(B-12)のガーレー式透気度は80秒/100mlであった。
[製造例2-10](支持体(B-13)の製造)
製造例2-1で得られた目止め剤を支持体(B-7)に対し乾燥後の塗布量が3g/mとなるようにグラビアコーターで塗工し、80℃120秒間風乾した。得られた不織布(支持体(B-13))のガーレー式透気度は1300秒/100mlであった。
各支持体のガーレー式透気度について、表2にまとめる。

<粘着シートの製造>
[製造例3-1](粘着シート(C-1)の製造)
粘着剤組成物(A-1)を、コンマコーターを使用して剥離性シート上に塗工し、100℃の乾燥オーブンで120秒間乾燥した後、支持体(B-5)と貼り合わせて粘着シート(C-1)を得た。粘着剤の塗布量は26.2g/mであった。
[製造例3-2~21](粘着シート(C-2~21)の製造)
組成および配合量を表3記載の通りに変更した以外は[製造例3-1]と同様にして、粘着シート(C-2~21)を得た。ただし、支持体(B-1)、(B-5)、(B-9)、(B-14)および支持体(B-15)の内容は以下の通りである。
支持体(B-1):日本バイリーン株式会社製ポリエチレンテレフタレート不織布MF-90(支持体(B-1)、ガーレー式透気度0.1秒/100ml)
支持体(B-5):旭・デュポンフラッシュスパンプロダクツ株式会社製ポリエチレン不織布タイベック1-73B(支持体(B-5)、ガーレー式透気度22秒/100ml)
支持体(B-9):三井化学株式会社製ポリプロピレン不織布シンテックス(支持体(B-9)、ガーレー式透気度 180秒/100ml)
支持体(B-14): 市販グラシン紙(ガーレー式透気度 15秒/100ml)
支持体(B-15): 市販ポリエチレンフィルム(厚み25μm、ガーレー式透気度 1300秒/100ml以上)
<脱離液の製造>
[製造例4-1](脱離液(D-1)の製造)
界面活性剤として花王株式会社製エマルゲンA-60 0.25部、水酸化ナトリウム2部、水97.75部を配合し、ディスパーで撹拌して、脱離液(D-1)を得た。
[製造例4-2~18](脱離液(D-2~18)の製造)
組成および配合量を表4記載の通りに変更した以外は[製造例4-1]と同様にして、脱離液(D-2~18)を得た。
表4中、リポカード16-29はライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製であり、その他の界面活性剤は花王株式会社製である。
[実施例1]
下記の方法で、積層体の作製および脱離性評価を実施した。また、積層体の耐水粘着力の測定も行なった。
[積層体の製造]
23℃、相対湿度50%雰囲気下、製造例3-1で製造した各粘着シート(C-1)を25mm×100mmに切り出し、剥離性シートを剥がして露出した粘着剤層を基材(ポリエチレンフィルム、30mm×120mm、厚み50μm)に貼り付け、2kgロールで1往復圧着することで、積層体を得た。
[耐水粘着力]
積層体から粘着シートの端部25mm×20mmを剥がしてから約10mmを内側に折り曲げて粘着層同士を貼り付けた。これをイオン交換水に浸水して20分後にイオン交換水からサンプルを取り出し、表面の水を切った後に基材側をSUS板で補強してJIS Z 0237:2009に準拠して粘着力を測定し、得られた値を耐水粘着力とした。
耐水粘着力が、300gf/25mm以上でれば、霜や結露が生じた際の水浸漬剥離を防止することが可能と判断した。
(脱離性評価)
1000mLのステンレスビーカーに、脱離液(D-4)を400g、前記積層体を1cm×1cmの大きさに切り出したサンプル12gを入れ、80℃、2000rpmの条件で撹拌した。処理液面付近に浮いている脱離後の基材を掬い取り、水洗、乾燥させることで基材を分離回収した。
分離回収試験において、撹拌開始15分、30分、1時間経過時に、各々基材を10枚回収し、水洗・乾燥した。基材の表裏3ヶ所、計30ヶ所について、FT-IRを用いて接着剤の吸収ピークの有無を確認し、以下の基準で評価した。
A(非常に優れている):撹拌開始15分後に回収した基材において、粘着剤層の吸収ピークが確認された箇所が5ヶ所未満。
B(優れている):撹拌開始30分後に回収した基材において、初めて、粘着剤層の吸収ピークが確認された箇所が5ヶ所未満となる。
C(実用可能):撹拌開始1時間後に回収した基材において、初めて、粘着剤層の吸収ピークが確認された箇所が5ヶ所未満となる。
D(実用不可):撹拌開始1時間後に回収した基材において、粘着剤層の吸収ピークが確認された箇所が6ヶ所以上。
[実施例2~34、比較例1~8]
積層体の基材と粘着シート、および脱離液を表5記載のものに変更した以外は実施例1と同様にして分離回収試験を行い、脱離性評価を実施した。但し比較例3において支持体と基材の区別は厚さで判断した。
比較例2については撹拌開始15分後に回収した10枚の基材において、粘着剤層の吸収ピークが1ヶ所も確認されなかったが、支持体であるグラシン紙が脱離液中に分散してしまい水洗に時間を要したため実用的でないと判断した。比較例7、8は耐水粘着力測定の際、測定開始前に剥離してしまうレベルであったため、脱離性試験は実施できなかった。
表5の基材について以下に記載する。
PET:ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み200μm
PE:ポリエチレンフィルム、厚み50μm
PP:ポリプロピレンフィルム、厚み50μm
上記の評価結果より、本発明の積層体分離回収方法であれば耐水粘着力を有する粘着シートと基材とを貼り合わせた積層体から効率的に基材を分離回収することが可能である。

Claims (3)

  1. 支持体、粘着剤層および基材の順に積層された積層体から基材を分離回収する方法であって、
    前記支持体が、ガーレー式透気度が10~1000秒/100mlである不織布または通気性フィルムであり、
    前記積層体を脱離液に浸漬して粘着剤層から基材を脱離させる工程を含み、
    前記脱離液の25℃におけるpHが13.3以上であり、
    かつ25℃で測定した、1000m秒時における前記脱離液の動的表面張力が60mN/m以下であることを特徴とする、
    基材の分離回収方法。
  2. 前記粘着剤層が、アクリル系共重合体を含む粘着剤層であり、前記アクリル系共重合体はカルボキシル基を有する(メタ)アクリレートを含有するモノマー混合物の共重合体であり、前記アクリル系共重合体の酸価が0.1~100mgKOH/gである、請求項1に記載の基材の分離回収方法。
  3. 粘着剤層の塗布量が10~30g/mであることを特徴とする請求項1または2に記載の基材の分離回収方法。
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