JP2024057682A - 粘着剤組成物および粘着シート - Google Patents

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JP2024057682A JP2022164486A JP2022164486A JP2024057682A JP 2024057682 A JP2024057682 A JP 2024057682A JP 2022164486 A JP2022164486 A JP 2022164486A JP 2022164486 A JP2022164486 A JP 2022164486A JP 2024057682 A JP2024057682 A JP 2024057682A
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Tatsuya Watanabe
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Abstract

【課題】高極性被着体と低極性被着体のどちらに対しても良好な粘着物性を示し、かつ、フィルム基材を用いた場合でも高いアルカリ剥離性を示す粘着剤および粘着シートの提供。【解決手段】本発明の課題は、アクリル共重合体(A)と界面活性剤(B)を含み、アクリル共重合体(A)は、塩基性物質(C)、炭素数4~12のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(a1)およびカルボキシル基を有する(メタ)アクリレート(a2)を含む混合物の乳化重合物であり、界面活性剤(B)はアニオン性界面活性剤およびHLB値が10以上のノニオン性界面活性剤のうち少なくともいずれか一方を含み、界面活性剤(B)の含有率が、アクリル共重合体(A)100質量%に対し、1~20質量%であることを特徴とする粘着剤組成物によって解決される。【選択図】なし

Description

本発明は、粘着剤組成物及び粘着シートに関する。
近年、プラスチックフィルムを原料とするパッケージ、プラスチックボトル、その他プラスチック製品を含む一般廃棄物または産業廃棄物の排出量は増加の一途を辿り、廃棄物の処理は重要な環境問題となっている。
上記プラスチック製品としては、プラスチックフィルムを使用した食品包装パッケージ等が挙げられ、このような食品包装パッケージには、粘着剤層を含むシートが貼付され、積層体となっている場合がある。このような複層構成の食品包装パッケージは、異種の材料が複数混合しているため、このままではマテリアルリサイクルができないという問題がある。こうした課題の解決のため、アルカリ水溶液で処理することで、食品包装パッケージから容易に剥離が可能である粘着剤が開発されている。
例えば、特許文献1では、アルキル(メタ)アクリレートとカルボキシル基を有する長鎖の(メタ)アクリレートを一定量含み、反応性界面活性剤を添加した水に分散させ共重合させる、アルカリ水溶性粘着剤の製造方法が開示されている。
特許文献2では、特定のモノマーを含むアクリル共重合体10~60質量部と特定の構造を持つ界面活性剤40~90質量部含有し、さらに金属キレート化合物を含む水性粘着剤組成物であって、そのpHが2~5であることにより、アルカリ性水溶液に対する溶解性または分散性に優れた水性粘着剤組成物が開示されている。
特開平06-145624号公報 特開平06-041505号公報
しかしながら、文献1または2記載のアルカリ剥離性粘着剤は、容器包装の多くを占めるポリオレフィン系の低極性被着体に対する物性は想定されておらず、低極性被着体に対して、粘着力、保持力といった粘着物性とアルカリ剥離性を高いレベルで両立できるものはなかった。
また、基材が紙であるとアルカリ処理時に細かく分散してしまい、被着体である食品包装パッケージの分離回収時に紙が混入しやすく、ペレタイズの際に再生樹脂中に紙が混入し物性低下を招く可能性がある。このことから近年リサイクルをより容易にするために、基材を紙から、被着体と同様のフィルム基材に変える動きがある。紙基材と比較してフィルム基材は基材側からアルカリ水溶液が浸透しないため、アルカリ処理液を用いた剥離の難易度が高い。これらの課題を解決するため、粘着剤組成物により高いアルカリ剥離性が求められている。
本発明は、高極性被着体と低極性被着体のどちらに対しても良好な粘着物性を示し、かつ、フィルム基材を用いた場合でも高いアルカリ剥離性を示す粘着剤および粘着シートの提供を目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明に至った。
すなわち、第1の発明は、アクリル共重合体(A)と界面活性剤(B)を含み、アクリル共重合体(A)は、塩基性物質(C)、炭素数4~12のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(a1)およびカルボキシル基を有する(メタ)アクリレート(a2)を含む混合物の乳化重合物であり、界面活性剤(B)はアニオン性界面活性剤およびHLB値が10以上のノニオン性界面活性剤のうち少なくともいずれか一方を含み、界面活性剤(B)の含有率が、アクリル共重合体(A)100質量%に対し、1~20質量%であることを特徴とする粘着剤組成物に関する。
第2の発明は、前記塩基性物質(C)の含有率が、カルボキシル基を有する(メタ)アクリレート(a2)中のカルボキシル基の全モル数100モル%に対して、20~90モル%である前記粘着剤組成物に関する。
第3の発明は、前記カルボキシル基を有する(メタ)アクリレート(a2)の含有率が、モノマー混合物100質量%中、0.1~10質量%である前記粘着剤組成物に関する。
第4の発明は、前記粘着剤組成物から形成してなる粘着剤層と基材とを有する、粘着シートに関する。
本発明により、高極性被着体と低極性被着体のどちらに対しても良好な粘着物性を示し、かつ、フィルム基材を用いた場合でも高いアルカリ剥離性を示す粘着剤および粘着シートを提供できる。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本発明の趣旨に合致する限り、他の実施形態も本発明の範疇に含まれることは言うまでもない。また、本明細書において「~」を用いて特定される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値の範囲として含むものとする。
本発明について詳細に説明する前に用語を定義する。(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及びメタクリル酸を含む。(メタ)アクリレートは、アクリレート及びメタクリレートを含む。モノマーはエチレン性不飽和二重結合を有する単量体である。
尚、本明細書では、炭素数4~12のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(a1)、カルボキシル基を有する(メタ)アクリレート(a2)をそれぞれ(メタ)アクリレート(a1)、(メタ)アクリレート(a2)と称することがある。
本明細書中に出てくる各種成分は特に注釈しない限り、それぞれ独立に1種単独で、あるいは2種以上を混合して用いてもよい。
≪粘着剤組成物≫
本発明の粘着剤組成物は、アクリル共重合体(A)と界面活性剤(B)を含み、アクリル共重合体(A)は、塩基性物質(C)、炭素数4~12のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(a1)およびカルボキシル基を有する(メタ)アクリレート(a2)を含む混合物の乳化重合物であり、界面活性剤(B)はアニオン性界面活性剤およびHLB値が10以上のノニオン性界面活性剤のうち少なくともいずれか一方を含み、界面活性剤(B)の含有率が、アクリル共重合体(A)100質量%に対し、1~20質量%であることを特徴とする。
塩基性物質(C)の存在下でモノマー混合物を共重合することで、共重合前にカルボキシル基を有する(メタ)アクリレート(a2)が塩基性物質(C)で一部または全部中和され、カルボキシル基を有する(メタ)アクリレート(a2)由来の成分の一部が水相中に移行し、エマルション粒子とは別に、カルボキシル基を有する(メタ)アクリレート(a2)由来の成分を多く含む、水溶性の高い共重合体が水相中で生成する。その結果、高極性被着体と低極性被着体のどちらに対しても良好な粘着物性を維持しつつ、アルカリ剥離性を向上することができる。さらに、界面活性剤(B)を含むことでアルカリ剥離性をより向上させることができ、フィルム基材を用いた場合でも高いアルカリ剥離性を示す粘着剤および粘着シートを得ることができる。
<アクリル共重合体(A)>
アクリル共重合体(A)は、塩基性物質(C)の存在下、炭素数4~12のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(a1)およびカルボキシル基を有する(メタ)アクリレート(a2)を必須モノマーとして含むモノマー混合物を共重合してなる共重合体である。
<アクリル共重合体(A)の製造>
アクリル共重合体(A)は、乳化重合によって製造される。
本発明で乳化重合は、例えばモノマーをエマルションに調製してから合成する方法(プレエマルション法)が好ましい。乳化重合は、乳化重合の場にプレエマルションの全量を仕込み反応を行う方法、または乳化重合の場にプレエマルションの一部を仕込み、反応開始後にプレエマルションの残量を分割添加あるいは滴下する方法等公知の方法で反応できる。
アクリル共重合体(A)のエマルション粒子の平均粒子径は、50~400nmであることが好ましく、100~300nmであることがより好ましい。50~400nmであることで粘着シートとした際の耐水性がより良好となる。
分散粒子の平均粒子径は、動的光散乱型装置「Nanоtrack Wave(マイクロトラック・ベル(株)社製)」で測定した際の、累積50%粒子径の体積平均径である。
[(メタ)アクリレート(a1)]
(メタ)アクリレート(a1)は、炭素数4~12のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートである。
(メタ)アクリレート(a1)としては、例えば、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、粘着力と保持力の両立の観点でn-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましい。
(メタ)アクリレート(a1)の含有率は、モノマー混合物100質量%中に60~99質量%使用することが好ましく、70~98質量%がより好ましい。60~99質量%使用することで、粘着力と保持力の両立がより容易になる。
[(メタ)アクリレート(a2)]
(メタ)アクリレート(a2)は、カルボキシル基を有する(メタ)アクリレートである。
(メタ)アクリレート(a2)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、β-カルボキシエチルアクリレート、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、2-アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸等が挙げられる。粘着力と保持力の両立やコストの観点で(メタ)アクリル酸が好ましい。
(メタ)アクリレート(a2)の含有率は、モノマー混合物100質量%中に0.1~10質量%であることが好ましく、1~5質量%がより好ましい。0.1~10質量%使用することで、低極性被着体に対する粘着力とアルカリ剥離性の両立がより容易になる。
[その他モノマー(a3)]
共重合体(A)は、(メタ)アクリレート(a1)や(メタ)アクリレート(a2)以外の、その他モノマー(a3)を含んでも良い。
その他モノマー(a3)としては、例えば、(メタ)アクリレート(a1)以外のアルキル(メタ)アクリレート、エチレングリコール鎖またはプロピレングリコール鎖を有する(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、3-(トリメトキシシリル)プロピル(メタ)アクリレート、3-(トリエトキシシリル)プロピル(メタ)アクリレート、3-(メチルジメトキシシリル)プロピル(メタ)アクリレート、3-(メチルジエトキシシリル)プロピル(メタ)アクリレート、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等の自己架橋性モノマー、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート、1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサン、等のエポキシ基含有モノマー、アミノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有モノマー、(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー、N-シクロヘキシルマレイミド、N-イソプロピルマレイミド、N-ラウリルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-メチルイタコンイミド、N-エチルイタコンイミド、N- ブチルイタコンイミド、N-オクチルイタコンイミド、N-2-エチルヘキシルイタコンイミド、N-シクロヘキシルイタコンイミド、N-ラウリルイタコンイミド、N-(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N-(メタ)アクリロイル-6-オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N-(メタ)アクリロイル-8-オキシオクタメチレンスクシンイミド等のイミド基含有モノマー、酢酸ビニル、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル等のその他ビニルモノマー、等が挙げられる。
(メタ)アクリレート(a1)以外のアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-オクタデシル(メタ)アクリレート及びイソオクタデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エチレングリコール鎖またはプロピレングリコール鎖を有する(メタ)アクリレートとしては、メトキシ(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、等が挙げられる。
水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートや、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリルレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートなどのグリコールモノ(メタ)アクリレート、等が挙げられる。
その他モノマー(a3)の含有率は、モノマー混合物100質量%中、20質量%以下であることが好ましい。20%以下に抑えることで、粘着物性とアルカリ剥離性の両立がより容易となる。
[塩基性物質(C)]
塩基性物質(C)は、(メタ)アクリレート(a2)を一部または全て中和する目的で使用される。
塩基性物質(C)は、特に限定されず、無機塩基性物質あるいは有機塩基性物質を、単独で、もしくは両者を併用できる。
無機塩基性物質としては、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。有機塩基性物質としては、例えば、モノエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、メチルプロパノールアミン、トリエチルアミン等が挙げられる。これらの中でも、粘着物性とアルカリ剥離性の両立の観点でアンモニアを使用することが好ましい。
塩基性物質(C)の含有率は、カルボキシル基を有する(メタ)アクリレート(a2)中のカルボキシル基の全モル数100モル%に対して、20~90モル%使用することが好ましく、50~80モル%使用することがより好ましい。20~90モル%使用することで、高極性被着体と低極性被着体に対する粘着物性とアルカリ剥離性の両立がより容易になる。
[界面活性剤(D)]
乳化重合には、乳化剤として界面活性剤(D)を用いることができる。乳化重合で使用する界面活性剤(D)は、アニオン性界面活性剤およびノニオン性界面活性剤から適宜選択することが好ましい。また、界面活性剤(D)はラジカル重合性の官能基を有する反応性界面活性剤であってもよいし、ラジカル重合性の官能基を有さない非反応性界面活性剤であってもよく、両者を併用することもできる。なお、乳化重合で使用する界面活性剤(D)は粘着剤組成物に配合する後述の界面活性剤(B)と同一であっても良く、異なっても良い。
反応性界面活性剤は、分子内にラジカル重合可能な不飽和二重結合を1個以上有するアニオン性の界面活性剤である。例えば、不飽和二重結合を有するスルホコハク酸エステル系界面活性剤、不飽和二重結合を有するアルキルフェノールエーテル系界面活性剤等が挙げられる。
非反応性アニオン性界面活性剤は、例えば、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸塩、ステアリン酸ナトリウム等の高級脂肪酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルアリールスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩等が挙げられる。
非反応性ノニオン性界面活性剤は、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類; ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル等のポリオキシ多環フェニルエーテル類;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。界面活性剤は、単独または2種類以上使用できる。
前記界面活性剤のなかでも、良好な重合安定性が得られるため反応性または非反応性のアニオン性界面活性剤を使用するのが好ましい。界面活性剤はモノマー混合物100質量部に対して0.5~3質量部使用することが好ましい。0.5~3質量部使用することで、重合時の発泡や凝集物の発生を抑制し、重合安定性を確保することができる。
[重合開始剤]
乳化重合には重合開始剤が使用される。重合開始剤は水溶性、油溶性の何れでも良いが、油溶性開始剤を用いる際はあらかじめ水混和性溶剤に溶解させて用いることが必要である。したがって、このような所作が不要な水溶性重合開始剤を使用することが好ましい。
水溶性重合開始剤は、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、4,4’-アゾビス-4-シアノバレリックアシッドのアンモニウム(アミン)塩、2,2’-アゾビス(2-メチルアミドオキシム)ジヒドロクロライド、2,2’-アゾビス(2-メチルブタンアミドオキシム)ジヒドロクロライドテトラヒドレ-ト、2,2’-アゾビス{2-メチル-N-〔1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル〕-プロピオンアミド}、2,2’-アゾビス〔2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-プロピオンアミド〕等が挙げられる。これらの中でも、過硫酸カリウムおよび過硫酸ナトリウムが好ましい。
水溶性重合開始剤は、モノマー混合物100質量部に対して、0.01~1.0質量部を使用することが好ましく、0.02~0.5質量部がより好ましい。0.01~1.0質量部であることで重合反応性をより向上できる。
さらに水溶性重合開始剤は、レドックス系重合開始剤(酸化剤と還元剤を併用する)を使用することができる。酸化剤は、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過酸化水素、t-ブチルハイドロパ-オキサイド、ベンゾイルパ-オキサイド、キュメンハイドロパ-オキサイド、p-メタンハイドロパ-オキサイド等が挙げられる。また、還元剤は、例えば亜硫酸ナトリウム、酸性亜硫酸ナトリウム、ロンガリット、アスコルビン酸等が挙げられる。
レドックス系重合開始剤は、酸化剤と還元剤をそれぞれモノマー混合物100質量部に対して、0.01~1.0質量部を使用することが好ましく、0.02~0.5質量部がより好ましい。0.01~1.0質量部であることで重合反応性をより向上できる。
[緩衝剤]
乳化重合の際、必要に応じてpHを調整するため、緩衝剤を使用できる。緩衝剤としては、乳化重合の反応溶液のpH緩衝作用を有するものであれば特に制限されない。緩衝剤は、例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸一カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、蟻酸ナトリウム、ギ酸アンモニウム、クエン酸三ナトリウム等が挙げられる。
緩衝剤は、モノマー混合物100質量部に対して、5質量部未満使用することが好ましく、3質量部未満がより好ましい。
[連鎖移動剤]
乳化重合の際、粘着力や保持力を調整するため、必要に応じて連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤は、例えばチオール基や水酸基を有する化合物が一般に知られている。チオール基を有する化合物としては、例えばラウリルメルカプタン、2-メルカプトエチルアルコール、ドデシルメルカプタン、およびメルカプトコハク酸等のメルカプタン、メルカプトプロピオン酸n-ブチル、およびメルカプトプロピオン酸オクチル等のメルカプトプロピオン酸アルキル、メルカプトプロピオン酸メトキシブチル等のメルカプトプロピオン酸アルコキシアルキル等が挙げられる。また、メチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール(IPA)、t-ブチルアルコール、およびベンジルアルコール等のアルコールも挙げられる。連鎖移動剤は、単独または2種類以上併用できる。
連鎖移動剤は、モノマー混合物100質量部に対して0.01~7.5質量部が好ましい。
<界面活性剤(B)>
界面活性剤(B)は、アニオン性界面活性剤およびHLB値が10以上のノニオン性界面活性剤うち少なくともいずれか一方を含む。
界面活性剤(B)をアクリル共重合体(A)に添加することにより、アルカリ剥離性をより向上させることができ、フィルム基材を用いた場合でも高いアルカリ剥離性を示す粘着剤および粘着シートを得ることができる。
本発明において、乳化重合に使用する界面活性活性剤(D)と界面活性剤(B)は同一であっても異なっていてもよいが、アルカリ剥離性を高めるためには、界面活性剤(B)をアクリル共重合体(A)へ添加することが必要である。
アルカリ剥離性向上の効果が発現するメカニズムについて説明する。
界面活性剤(B)をアクリル共重合体(A)へ添加することにより、本願発明の粘着剤組成物は界面活性剤(B)がフリーで水相中に溶解する状態となる。本願発明の粘着剤組成物からなる粘着層を有する粘着シートをアルカリ処理液に浸漬することで、界面活性剤(B)がアルカリ処理液に溶解し、アルカリ処理液の表面張力が低下することで、粘着剤層へ浸透しやすくなり、アルカリ剥離性が向上すると考えられる。
一方、乳化重合に用いる界面活性剤(D)は、エマルション粒子形成に使用され、界面活性剤の疎水部が粒子に取り込まれている状態となるため、界面活性剤(B)を含まない粘着剤組成物の場合はアルカリ処理液へ溶解しづらく、アルカリ剥離性向上への寄与は小さい。
乳化重合時に多量の界面活性剤(D)を使用することでフリーの状態の界面活性剤は増加するが、重合時に発泡しやすくなり凝集物は発生しやすく、重合安定性に問題が生じてしまう。重合中の発泡を抑制するために消泡剤を併用すると、疎水性モノマーの挙動に悪影響を及ぼすため、消泡剤併用系でも重合安定性に問題が生じる。
HLB値とは界面活性剤の水及び油への親和性に関する指標値であり、親水基を持たない物質のHLB値を0、親水基のみを有する物質のHLB値を20として等分したものである。HLBの概念は1949年にAtlas Powder Companyのウィリアム・グリフィンによって提唱され、計算によって決定する方法がいくつか提案されているが、本発明においてHLB値は、グリフィン法により次式から求めることができる。
式) HLB=20×[(界面活性剤中に含まれる親水基の分子量)/(界面活性剤の
分子量)]
界面活性剤(B)の含有率は、アクリル共重合体(A)100質量%に対し、1~20質量%であり、2~10質量%であることがより好ましい。1~20質量%使用することで、粘着物性とアルカリ剥離性の両立がより容易になる。
アニオン性界面活性剤は、例えば、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸塩、ステアリン酸ナトリウム等の高級脂肪酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルアリールスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩、モノアルキルスルホコハク酸ジナトリウム塩、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム等のアルキルスルホコハク酸塩が挙げられる。
アニオン性界面活性剤の中でも、アルキレンオキサイド構造を持つポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩やポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩、およびアルキルスルホコハク酸塩が好ましい。特に、アルキレンオキサイド構造を持つポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩やポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩が好ましい。
アルキレンオキサイド構造の繰り返し単位が10~80であることが好ましい。アルキレンオキサイド構造の繰り返し単位が10~80であることにより、より高いアルカリ剥離性を実現できる。
アルキルスルホコハク酸塩としては、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムが好ましく、アルキル基は炭素数4~12であることが好ましい。炭素数4~12のアルキル鎖を持つジアルキルスルホコハク酸ナトリウムを使用することにより、より高いアルカリ剥離性を実現できる。
ノニオン性界面活性剤としては、HLB値が10以上であれば特に制限されないが、好ましくは、アルキレンオキサイドが付加したアルキレンオキサイド付加物である。より好ましくは、活性水素を有するアルコール類にアルキレンオキサイドを付加して得られる化合物(アルコール系ノニオン性界面活性剤)、アミン類にアルキレンオキサイドを付加して得られる化合物(アミン系ノニオン性界面活性剤)、若しくは脂肪酸類にアルキレンオキサイドを付加して得られる化合物(脂肪酸系ノニオン性界面活性剤)である。上記付加は、ランダム付加又はブロック付加のいずれであってもよい。
アルコール系ノニオン性界面活性剤としては、例えば、総炭素数8~24の第1級若しくは第2級アルコールのアルキレンオキサイド付加物、又は、総炭素数8~12のアルキルフェノールのアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。上記総炭素数8~24の第1級若しくは第2級アルコールは、飽和若しくは不飽和のいずれであってもよい。
上記総炭素数8~24の第1級若しくは第2級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ドデシルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール、リグノセリルアルコール、ミリスチルアルコール等が挙げられる。
また、アルコール類に付加するアルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドが挙げられ、エチレンオキサイドを必須とするのが好ましい。
アミン系ノニオン性界面活性剤としては、総炭素数8~36の飽和又は不飽和の第1級又は第2級アミンのアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。アミンとしては、2-エチルヘキシルアミン、ジ2-エチルヘキシルアミン、ラウリルアミン、ジラウリルアミン、テトラデシルアミン、ジテトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ジヘキサデシルアミン、ステアリルアミン、ジステアリルアミン、オレイルアミン、ジオレイルアミン等が挙げられる。
脂肪酸系ノニオン性界面活性剤としては、構造は特に制限されないが、例えば、総炭素数10~24の高級脂肪酸のアルキレンオキサイド付加物や、前記した総炭素数が10~24の飽和若しくは不飽和の高級脂肪酸とグリセリンとのエステルからなる油脂、さらには、前記した油脂と2~10の多価アルコールとの混合物のアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。上記総炭素数10~24の高級脂肪酸は、飽和若しくは不飽和のいずれであってもよい。
上記総炭素数10~24の高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘニン酸等の飽和高級脂肪酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸、リシノール酸等の不飽和高級脂肪酸、が挙げられる。2~10価の多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、ソルビトール、ソルビタン、ショ糖等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤のHLB値は10以上であることが必須条件であり、12以上であることがより好ましい。HLB値が10以上であることにより、より高いアルカリ剥離性を実現できる。
[その他添加剤]
本発明の粘着剤組成物はさらに、任意成分として、中和剤、レベリング剤、防腐剤、消泡剤、増粘剤、および顔料分散体などの公知の添加剤を配合することができる。
中和剤の配合量は、アクリル系共重合体のpHを調整するため、アクリル系共重合体100質量部に対して0.1~5質量部配合することが好ましい。0.1~5質量部の配合により、アクリル系共重合体のpHを調整でき、アクリル系共重合体の貯蔵安定性が高まる。
レベリング剤の配合量は、アクリル系共重合体100質量部に対して0.01~0.9質量部配合することが好ましい。0.01質量部以上配合することにより、塗工時のレベリング性が向上し、ハジキや収縮を抑えることができる。0.9量部以下に配合することにより、粘着剤層を形成した際の粘着力の低下を抑えることができる。
防腐剤の配合量は、アクリル系共重合体100質量部に対して0.1~1質量部配合することが好ましい。0.1質量部以上配合することにより、水性粘着剤の腐敗や菌発生を抑えることができる。1質量部以下に配合することにより、粘着剤層を形成した際の粘着力の低下を抑えることができる。
消泡剤の配合量は、アクリル系共重合体100質量部に対して0.1~1質量部配合することが好ましい。0.1質量部以上配合することにより、水性粘着剤の塗工時の泡立ちを抑え、泡立ちによるハジキを抑えることができる。1質量部以下に配合することにより、粘着剤層を形成した際の粘着力の低下を抑えることができる。
増粘剤の配合量は、アクリル系共重合体100質量部に対して0.1~5質量部配合することが好ましい。0.1質量部以上配合することにより、水性粘着剤を増粘させることができ、塗工時の収縮やハジキを抑えることができる。5質量部以下に配合することにより、粘着剤層を形成した際の粘着力の低下を抑えることができる。
顔料分散体は、粘着剤層に隠ぺい性や発色性が必要な場合に用いる。顔料分散体の配合量は、アクリル系共重合体100質量部に対して0.1~5質量部配合することが好ましい。0.1質量部以上配合することにより、粘着剤層の隠ぺい性や発色性を高めることができる。5質量部以下に配合することにより、粘着剤層を形成した際の粘着力の低下を抑えることができる。
また、本発明の粘着剤組成物は粘着力調整のために、適当な粘着付与剤、例えば、ロジン樹脂、フェノール樹脂、ポリテルペン、アセチレン樹脂、石油系炭化水素樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、合成ゴム、天然ゴム等を適当量添加することができる。
さらに、可塑剤、充填剤、シランカップリング剤なども添加しても良い。
加えて、本発明の粘着剤組成物中の各共重合体の分散粒子を粒子間架橋させるため、任意の架橋剤を配合しても良く、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、酸化亜鉛などの金属化合物が使用できる。また、水酸基を有する(メタ)アクリレートを用いた場合は、イソシアネート化合物、チタンやジルコニウムなどのアルコキシド化合物等を用いる事ができる。
≪粘着シート≫
粘着シートは、前記粘着剤組成物から形成されてなる粘着剤層と基材を有する。粘着剤層の膜厚は、5~30μmであることが好ましい。5~30μmとすることで、粘着力と保持力、アルカリ剥離性の両立がより容易となる。
粘着シートは、後述する粘着剤組成物を基材上に塗工し、乾燥することで形成できる。または、後述する粘着剤組成物を剥離ライナー上に塗工し、乾燥して粘着剤層を形成した後、基材を貼り合わせることで形成できる。
<基材>
基材は、紙、プラスチック、ゴム、発泡体、繊維、不織布、ガラス、金属、木材等が挙げられる。これらの中でも紙、プラスチックが好ましい。また、プラスチックを使用することで、粘着シートの耐水性を向上させることができる。紙の基材としては、例えば、上質紙、コート紙、感熱紙等が使用できる。また紙にサイズ剤を定着させる方法により酸性紙、中性紙がある。プラスチックの基材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリイミド等がある。基材は、単一素材または積層体であっても良い。又、前記基材は、裏面(粘着剤層を直接貼り合わせた面の反対面)に剥離処理、または帯電防止処理をすることができる。基材の厚さは、一般的に10μm~200μmであり、20μm~80μmが好ましい。
<剥離ライナー>
剥離ライナー(セパレータと称されることもある)としては、従来公知のものを特に限定なく用いることができる。例えば、フッ素樹脂やシリコーン樹脂等の剥離剤によって適当な基材(例えば、グラシン紙、クラフト紙、クレーコート紙、ポリエチレン等の樹脂フィルムをラミネートした紙、ポリビニルアルコールやアクリル系共重合体等の樹脂をコートした紙)の少なくとも一方の面を処理してなる剥離ライナーを好ましく使用することができる。
<塗工方式>
塗工の方式は、公知の手法を用いることができ、コンマコーター、リバースコーター、スロットダイコーター、リップコーター、グラビアチャンバーコーター、カーテンコーター等の各種公知のコーティング装置により、基材もしくは剥離性ライナー上に塗布し、乾燥されることによって、本発明の粘着シートを得ることができる。また、その際剥離ライナーなどに粘着剤組成物を塗布した後、80℃~120℃で乾燥することが好ましい。乾燥温度を80℃以上とすることで、適当な時間で粘着シートを得ることができ、120℃以下とすることで、基材または剥離ライナーの熱劣化を防止することができる。
以下に、実施例をもって本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、実施例で「部」とあるのは「質量部」を、「%」とあるのは「質量%」を意味する。
また、表中の配合量は、質量部であり、水以外に関しては不揮発分換算値である。尚、表中の空欄は配合していないことを表す。
<アクリル系共重合体の製造>
[製造例1](共重合体(A-1)の製造)
(メタ)アクリレート(a1)として2-エチルヘキシルアクリレート88部、その他アクリレート(a3)としてメチルメタクリレート10部、(メタ)アクリレート(a2)としてアクリル酸2部に、連鎖移動剤としてチオグリコール酸オクチル0.05部を溶解した。さらに、界面活性剤(D)としてニューコール707SF(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩の水溶液、有効成分30%、日本乳化剤社製)1.75部、塩基性化合物(C)として25%アンモニア水0.38部((メタ)アクリレート(a2)のモル数に対して80モル%)、重合開始剤として5%過硫酸カリウム水溶液0.3部をイオン交換水35部に溶解してから加えて攪拌し乳化物を得た。これを滴下ロートに入れた。
撹拌機、冷却管、温度計および上記滴下ロートを取り付けた4つ口フラスコに、界面活性剤(D)としてニューコール707SFを0.25部、脱イオン水を70部仕込み、フラスコ内部の空気を窒素ガスで置換し、撹拌しながら内温を80℃まで昇温し、5%過硫酸カリウム水溶液0.1部を添加した。10分後、上記滴下ロートから上記乳化物を3時間かけて滴下した。
内温を80℃に保ったまま、さらに撹拌しながら80℃にて4時間熟成した後冷却し、共重合体(A-1)を得た。
[製造例2~22](共重合体(A-2~21、A’-1~2)の製造)
モノマー、塩基性化合物(C)、連鎖移動剤、界面活性剤(D)の種類及び配合量を表1記載に変えた以外は、[製造例1]と同様にして、共重合体(A-2~21、A’-1~2)を得た。
表1の略号を以下に記載する。
2EHA:2-エチルヘキシルアクリレート
BA:n-ブチルアクリレート
MMA:メチルメタクリレート
MAA:メタクリル酸
AA:アクリル酸
S-710:JNC社製、サイラエースS-710(3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート)
707SF:日本乳化剤社製、ニューコール707SF(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩の水溶液、有効成分30%)
KH-10:第一工業製薬社製、アクアロンKH-10((ポリオキシエチレン-1-(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩)
E105:花王社製、エマルゲン105(ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル、HLB値9.7)
<粘着剤組成物の製造>
[実施例1]
共重合体(A-1)100部に対し、界面活性剤(B)として、エマルゲン130K(花王社製、ノニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB値18.1)、消泡剤としてアデカネートB-940(ADEKA社製)0.3部、防腐剤としてレバナックスFX-360(昌栄化学社製)0.05部を加え、さらにアルカリ増粘剤及びアンモニア水によりpH調整(堀場製作所 pHメーター D-52にて測定)及び粘度調製を行い、pH8.0、粘度5,000mPa(BL型粘度計♯4-60rpm)の粘着剤組成物を得た。
得られた粘着剤組成物を、乾燥後の塗布量が15g/mになるようにコンマコーターを使用して剥離ライナー上に塗工し、100℃の乾燥オーブンで120秒間乾燥した後、基材として厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムと貼り合わせて粘着シートを得た。
[実施例2~39、比較例1~4]
アクリル共重合体(A)、界面活性剤(B)、基材、粘着剤組成物の乾燥後の塗布量を表2記載に変えた以外は、[実施例1]と同様にして、粘着剤組成物および粘着シートを得た。
≪粘着シートの評価≫
得られた粘着シートを以下の方法で評価した。結果を表2に示す。
(1)粘着力
(1-1)対SUS粘着力
得られた粘着シートを幅25mm・縦100mmの大きさに準備した。23℃、相対湿度50%(以下、23℃-50%RH)雰囲気下、前記粘着シートから剥離ライナーを剥がして露出した粘着剤層をステンレス(SUS)板(SUS304鋼板、360番研磨)に貼り付け、2kgロールで1往復圧着した。24時間放置した後に引張試験機を用いて180度方向に300mm/分の速度で引き剥がす180°ピール試験において粘着力を測定し、下記の評価基準に基づいて評価を行った。(JIS Z 0237:2000に準拠)
A:「粘着力が10N以上であり、非常に良好。」
B:「粘着力が8N以上10N未満であり、良好。」
C:「粘着力が4N以上8N未満であり、実用可。」
D:「粘着力が4N未満であり、実用不可。」
(1-2)対PP粘着力
ステンレス(SUS)をポリプロピレン(PP)板(昭和電工マテリアルズ社製、PP-N-BN)に変更した以外は上記同様にして粘着力を測定し、下記の評価基準に基づいて評価を行った。
A:「粘着力が10N以上であり、非常に良好。」
B:「粘着力が8N以上10N未満であり、良好。」
C:「粘着力が4N以上8N未満であり、実用可。」
D:「粘着力が4N未満であり、実用不可。」
(2)保持力
得られた粘着シートを幅25mm・長さ100mmの大きさに切り取り試料とした。次いで23℃-50%RH雰囲気下、JIS Z 0237に準拠して、試料から剥離ライナーを剥がし、露出した粘着剤層の先端部幅25mm・長さ25mm部分を研磨したステンレス(SUS)板(SUS304鋼板、360番研磨)に貼着し、2kgロールで1往復圧着した後、40℃雰囲気で1kgの荷重をかけ、落下するまでの秒数を測定した。評価基準を以下に示す。
A:「7万秒経過しても落下せず、非常に良好。」
B:「落下するまでの秒数は5万秒以上7万秒未満であり、良好。」
C:「落下するまでの秒数は1万秒以上5万秒未満であり、実用可。」
D:「落下するまでの秒数は1万秒未満であり、実用不可。」
(3)アルカリ剥離性
得られた粘着シートの剥離シートを剥がし、市販のOPSフィルム(150μm)に貼り付け、長さ10mm×幅10mmの大きさの試験片を10枚用意した。次いで2%水酸化ナトリウム水溶液100gを80℃に加熱し、撹拌した状態で、試験片10枚を投入し、投入から、試験片10枚全てについて、粘着シートがOPSフィルムから剥離するまでの時間を測定した。評価基準を以下に示す。
A:「2分未満で剥離、非常に良好。」
B:「2分以上10分未満で剥離、良好。」
C:「10分以上30分未満で剥離、実用可。」
D:「30分経過しても剥離しない、実用不可。」
表2~4の略号を以下に記載する。
B-1:エマルゲン106;花王社製、ノニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテル、HLB値10.5
B-2:エマルゲン109P;花王社製、ノニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテル、HLB値13.6
B-3:エマルゲン130K;花王社製、ノニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレン(41)ラウリルエーテル、HLB値18.1
B-4:アニオン性界面活性剤、下記式(1)中のm=11、n=8

・・・式(1)
B-5:アニオン性界面活性剤、上記式(1)中のm=11、n=20
B-6:アニオン性界面活性剤、上記式(1)中のm=11、n=60
PET:ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み50μm
感熱紙:リコー社製、150LA-1(紙厚82±9μm)
B-7:ペレックスOT-P:花王社製、アニオン性界面活性剤、2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム
B’-1:エマルゲン102KG;花王社製、ノニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル、HLB値6.3
表2~4に示すように本発明の粘着シートは、高極性被着体と低極性被着体のどちらに対しても良好な粘着物性を示し、かつ、フィルム基材を用いた場合でも高いアルカリ剥離性を示すことが確認できた。これに対し、比較例の粘着シートでは、いずれかの項目が不良となっており、実用上問題があり、実用不可であることが分かる。

Claims (4)

  1. アクリル共重合体(A)と界面活性剤(B)を含み、
    アクリル共重合体(A)は、塩基性物質(C)、炭素数4~12のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(a1)、および、カルボキシル基を有する(メタ)アクリレート(a2)を含む混合物の乳化重合物であり、
    界面活性剤(B)はアニオン性界面活性剤およびHLB値が10以上のノニオン性界面活性剤のうち少なくともいずれか一方を含み、
    界面活性剤(B)の含有率が、アクリル共重合体(A)100質量%に対し、1~20質量%であることを特徴とする粘着剤組成物。
  2. 前記塩基性物質(C)の含有率が、カルボキシル基を有する(メタ)アクリレート(a2)中のカルボキシル基の全モル数100モル%に対して、20~90モル%である請求項1記載の粘着剤組成物。
  3. 前記カルボキシル基を有する(メタ)アクリレート(a2)の含有率が、モノマー混合物100質量%中、0.1~10質量%である請求項1記載の粘着剤組成物。
  4. 請求項1~3いずれか1項記載の粘着剤組成物から形成してなる粘着剤層と基材とを有する粘着シート。
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