JP2010043225A - 末端変性ポリカーボネートおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、イソソルビド含有ポリカーボネートは、酸素原子を多く含み、PC−Aなどのエーテル部分を持たないジオールから得られるポリカーボネートに比べて極性が高い。そのため、イソソルビド含有ポリカーボネートはPC−Aに比べて吸湿性が高く、吸湿による成形品の寸法安定性の低下および湿熱時における耐熱性低下を引き起こし易いという欠点を有する。またイソソルビド含有ポリカーボネートは、表面エネルギーが低く、成形品が汚れ易く、磨耗に弱いという欠点を有する。この表面エネルギーは水に対する接触角で評価できる。
で表される末端基を主鎖に対して0.01〜7モル%含有する末端変性ポリカーボネートである。
で表されるヒドロキシ化合物(D成分)を反応させることを特徴とする末端変性ポリカーボネートの製造方法である。
〈末端変性ポリカーボネート〉
(主鎖)
本発明の末端変性ポリカーボネートは、主鎖が下記式(1)で表される繰り返し単位を含んで成る。即ち、主鎖中の下記式(1)で表される繰り返し単位の含有量は、50モル%以上95モル%未満、好ましくは55モル%以上90モル%以下である。
本発明の末端変性ポリカーボネートは、0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液の20℃における比粘度が0.2〜0.5、好ましくは0.2〜0.45、より好ましくは0.22〜0.4である。比粘度が0.2より低くなると得られた成形品に充分な機械強度を持たせることが困難となる。また比粘度が0.5より高くなると末端基の割合が必然的に下がり、充分な末端変性効果が発現できないばかりでなく、溶融流動性が高くなりすぎて、成形に必要な融解温度が分解温度より高くなり好ましくない。
本発明の末端変性ポリカーボネートは、下記式(2)または(3)で表される末端基を含有する。
本発明の末端変性ポリカーボネートの水に対する接触角は、好ましくは70〜180°、より好ましくは72〜180°の範囲である。水に対する接触角が上記範囲であると、防汚性、摩耗耐性、離型性という点で好ましい。
本発明の末端変性ポリカーボネートの23℃、24時間後の吸水率は、好ましくは0.75%以下、より好ましくは0.7%以下である。吸水率が上記範囲であると、耐湿熱性、低寸法変化率という点で好ましい。
本発明の末端変性ポリカーボネートは、下記式(5)
エーテルジオール(A成分)は、イソソルビド、イソマンニド、イソイディッドであることが好ましい。これら糖質由来のエーテルジオールは、自然界のバイオマスからも得られる物質で、再生可能資源と呼ばれるものの1つである。イソソルビドは、でんぷんから得られるD−グルコースを水添した後、脱水して製造することができる。その他のエーテルジオールについても、出発物質を除いて同様の反応により得られる。A成分は、イソソルビド(1,4;3,6−ジアンヒドロ−D−ソルビトール)であることが特に好ましい。イソソルビドはでんぷんなどから簡単に作ることができるエーテルジオールであり資源として豊富に入手することができる上、イソマンニドやイソイディッドと比べても製造の容易さ、性質、用途の幅広さの全てにおいて優れている。
本発明の末端変性ポリカーボネートは、上記式(1)で表されるエーテルジオール(A成分)から形成されるカーボネート構成単位以外に、該A成分以外のジオールおよび/またはジフェノール化合物(B成分)から形成されるカーボネート構成単位を5モル%以上50モル%以下含有する。好ましくは10モル%以上45モル%以下含有する。
これらのエーテルジオールは単独または二種以上組み合わせて用いてもよい。
aおよびbはそれぞれ1〜4の整数である。
これらのビスフェノール類は単独または二種以上組み合わせて用いてもよい。
炭酸ジエステル(C成分)として、置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール基、アラルキル基あるいは炭素数1〜4のアルキル基などの炭酸ジエステルが挙げられる。具体的にはジフェニルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネートなどが挙げられる。なかでもジフェニルカーボネートが好ましい。
下記式(6)または(7)で表されるヒドロキシ化合物(D成分)において、R1、X、a、R2、R3、R4、R5、R6、b、cは、式(2)および(3)と同じである。ヒドロキシ化合物(D成分)は単独でまたは2種以上混合して使用してもよい。2種類以上使用する場合は、式(6)または(7)で表されるヒドロキシ化合物(D成分)とそれ以外のヒドロキシ化合物とを組み合わせて使用してもよい。ヒドロキシ化合物(D成分)により、ポリカーボネートの耐熱性、熱安定性、成形加工性、耐吸水性が向上する。
反応温度は、エーテルジオールの分解を抑え、着色が少なく高粘度の樹脂を得るために、できるだけ低温の条件を用いることが好ましいが、重合反応を適切に進める為には重合温度は180〜280℃の範囲であることが好ましく、より好ましくは180〜270℃の範囲である。
また、重合速度を速めるために重合触媒を用いることができる。重合触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、二価フェノールのナトリウム塩、二価フェノールのカリウム塩等のアルカリ金属化合物が挙げられる。また水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属化合物が挙げられる。
本発明の末端変性ポリカーボネートには、触媒失活剤を添加することもできる。触媒失活剤としては、公知の触媒失活剤を用いることができる。なかでもスルホン酸のアンモニウム塩、ホスホニウム塩が好ましい。さらにドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩等のドデシルベンゼンスルホン酸のアンモニウム塩、ホスホニウム塩が好ましい。パラトルエンスルホン酸テトラブチルアンモニウム塩等のパラトルエンスルホン酸のアンモニウム塩、ホスホニウム塩が好ましい。またスルホン酸のエステルとしてベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸ブチル、ベンゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン酸フェニル、パラトルエンスルホン酸メチル、パラトルエンスルホン酸エチル、パラトルエンスルホン酸ブチル、パラトルエンスルホン酸オクチル、パラトルエンスルホン酸フェニル等が好ましく用いられる。なかでもドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩が最も好ましく使用される。これらの触媒失活剤の使用量は、アルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物より選ばれた重合触媒1モル当たり、好ましくは0.5〜50モル、より好ましくは0.5〜10モル、さらに好ましくは0.8〜5モルの割合である。
本発明の末端変性ポリカーボネートは、不活性溶媒中で、ピリジン等の酸結合剤の存在下にエーテルジオール(A成分)、該エーテルジオール以外のジオールおよび/またはジフェノール化合物(B成分)とホスゲン(E成分)とを反応させ製造することができる。即ち本発明の末端変性ポリカーボネートは、下記式(5)
酸結合剤は、ピリジン、キノリンおよびジメチルアニリンからなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましい。酸結合剤として特にピリジンが好適である。酸結合剤の使用量は、ホスゲン(E成分)1モルに対して、好ましくは2〜100モル、より好ましくは2〜50モルである。
不活性溶媒として、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。なかでも塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が好ましい。塩化メチレンが最も好ましい。反応温度は、好ましくは0〜40℃、より好ましくは5〜30℃である。反応時間は、通常数分〜数日間、好ましくは10分間〜5時間である。
本発明は、上記末端変性ポリカーボネートからなるフィルムなどの成形品を包含する。フィルムは光学用に用いることができる。
本発明のフィルムは、本発明の末端変性ポリカーボネートを溶媒に溶解させた溶液を流延する溶液キャスト法、本発明の末端変性ポリカーボネートをそのまま溶融させて流延する溶融製膜法で製造することができる。
1.010<R(450)/R(550)<1.070 (i)
を満足することが好ましく、下記式(ii)
1.010<R(450)/R(550)<1.060 (ii)
を満足することがより好ましい。
Δn<0.3 (iii)
を満足することが好ましく、下記式(iv)
Δn<0.25 (iv)
を満足することがより好ましい。下限は特に限定されず0(零)より大きい範囲であればよい。
100nm<R(550)<2000nm ・・・(1)
かつ膜厚が10〜150μmである位相差フィルムが挙げられる。ここで位相差Rとは下記式(5)で定義されるものであり、フィルムに垂直方向に透過する光の位相の遅れを表す特性である。
R=(nx−ny)×d ・・・(5)
[式中、nxはフィルム面内の遅相軸(最も屈折率が高い軸)の屈折率のことであり、nyはフィルム面内でnxと垂直方向の屈折率であり、dは膜厚である。]
0nm<R(550)<150nm ・・・(2)
100nm<Rth(550)<400nm ・・・(3)
(式中、Rth(550)は波長550nmにおける膜厚方向の位相差値であり、下記式(4)によって定義されるものである。
Rth={(nx+ny)/2−nz}×d ・・・(4)
(式中、nx、nyはフィルム面内のx軸、y軸の、nzはx軸およびy軸に垂直な厚み方向の屈折率であり、dはフィルムの膜厚である。)
かつ膜厚が10〜150μmである請求項1に記載の位相差フィルムも挙げられる。
上述したΔnの範囲を満足する特性を持つ本発明の樹脂を用いたフィルムは、延伸後の位相差が発現し易く、位相差制御性が良好であり工業的にも好適である。
本発明の光学用フィルムは、光弾性定数が低く、位相差の発現性および位相差制御性が良好で、視野角特性に優れ、かつ耐熱性および熱安定性に優れる。
ペレットを塩化メチレンに溶解、濃度を0.7g/dLとして、温度20℃にて、オストワルド粘度計(装置名:RIGO AUTO VISCOSIMETER TYPE VMR−0525・PC)を使用して測定した。なお、比粘度ηspは下記式から求めた。
ηsp=t/to−1
t :試料溶液のフロータイム
to :溶媒のみのフロータイム
JEOL製JNM−AL400を用いてペレットの重クロロホルム溶液中における1H−NMRを測定し、主鎖カーボネート構成単位由来の特定プロトンと末端ヒドロキシ化合物由来の特定プロトンとの積分比から末端変性基含有率を求めた。なお末端変性基含有率は主鎖カーボネート構成単位に対する末端ヒドロキシ化合物の割合(モル%)である。
ペレットを用いてTA Instruments社製 DSC (型式 DSC2910)により測定した。
ペレットを用いてTA Instruments社製 TGA (型式 TGA2950)により測定した。
5
ペレットを日本製鋼所(株)製 JSWJ−75EIIIを用いて射出成形を行い、厚み2mmの成形板の形状を目視にて評価した(金型温度:70〜90℃、成形温度:220〜260℃)。
成形加工性
○;濁り、割れ、ヒケ、分解によるシルバーなどが見られない。
×;濁り、割れ、ヒケ、分解によるシルバーなどが見られる。
2mm厚の成形板を協和界面科学(株)製 滴下式接触角計を用いて純水に対する接触角を測定した。
フィルムの膜厚は、(株)ミツトヨ製の膜厚測定計で測定した。
幅1cm、長さ6cmのフィルムを準備し、このフィルムの無荷重状態の位相差、1N、2N、3N荷重時の波長550nmの光の位相差を日本分光(株)製分光エリプソメーター「M220」で測定し(位相差)×(フィルム幅)/(荷重)を計算することにより求めた。
日本電色工業(株)製濁度計NDH−2000型を用いて測定した。
日本分光(株)製分光エリプソメーター「M220」により、波長450nmおよび波長550nmで測定した。位相差値はフィルム面に対して垂直入射光線に対する位相差値を測定した。
日本分光(株)製分光エリプソメーターM220を使用し、光線波長550nmで測定した。面内位相差値Rは、入射光線がフィルム面に垂直な状態で測定したものである。膜厚方向位相差値Rthは、入射光線とフィルム面との角度を少しずつ変えそれぞれの角度での位相差値を測定し、公知の屈折率楕円体の式でカーブフィッティングすることにより三次元屈折率であるnx、ny、nzを求め、Rth={(nx+ny)/2−nz}×d に代入することにより求めた。なおその際、フィルムの平均屈折率が必要となるが、別にアッベ屈折計((株)アタゴ社製商品名「アッベ屈折計2−T」を用いて測定した。
イソソルビド731重量部(5.00モル)とジフェニルカーボネート2206重量部(10.30モル)と2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1141重量部(5.00モル)とステアリルアルコール81重量部(0.30モル)とを反応器に入れ、重合触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを1.0重量部(ジフェニルカーボネート成分1モルに対して1×10−4モル)、および水酸化ナトリウムを0.9×10−3重量部(ジフェニルカーボネート成分1モルに対して0.2×10−6モル)仕込んで窒素雰囲気下180℃で溶融した。
イソソルビド906重量部(6.20モル)と2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン868重量部(3.80モル)とペンタデシルフェノール122重量部(0.40モル)とを温度計、撹拌機付き反応器に仕込み、窒素置換した後、あらかじめよく乾燥したピリジン8900重量部、塩化メチレン32700重量部を加え溶解した。撹拌下20℃でホスゲン1420重量部(14.30モル)を100分要して吹込んだ。ホスゲン吹込み終了後、約20分間そのまま撹拌して反応を終了した。反応終了後生成物を塩化メチレンで希釈し、ピリジンを塩酸で中和除去後、導電率がイオン交換水と殆ど同じになるまで繰り返し水洗し、その後塩化メチレンを蒸発してパウダーを得た。得られたパウダーを溶融押出してストランドを切断しペレットを得た。このペレットは比粘度が0.27であった。その他の評価結果については表1に示した。
イソソルビド1242重量部(8.50モル)と1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン402重量部(1.5モル)とジフェニルカーボネート2185重量部(10.20モル)と1−ヘキサノール61重量部(0.60モル)とを使用した以外は実施例1と同様に重合させてペレットを得た。得られたペレットは比粘度が0.32であった。その他の評価結果については表1に示した。
イソソルビド1374重量部(9.4モル)と1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン196重量部(0.6モル)とジフェニルカーボネート2164重量部(10.10モル)と下記式(16)
イソソルビド1242重量部(8.50モル)と2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン405重量部(1.5モル)とジフェニルカーボネート2164重量部(10.10モル)と4−ヒドロキシ安息香酸−4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11−ヘプタデカフルオロウンデシルエステル(下記式(17))
イソソルビド1023重量部(7.00モル)と1,3−プロパンジオール228重量部(3.00モル)とジフェニルカーボネート2185重量部(10.20モル)とステアリルアルコール81重量部(0.30モル)とした以外は実施例1と同様に重合させてペレットを得た。このペレットは比粘度が0.31であった。その他の評価結果については表1に示した。
イソソルビド1374重量部(9.40モル)と1,4−シクロヘキサンジメタノール85重量部(0.60モル)とジフェニルカーボネート2185重量部(10.20モル)とペンタデシルフェノール122重量部(0.4モル)とを使用した以外は実施例1と同様に重合させてペレットを得た。このペレットは比粘度が0.31であった。その他の評価結果については表1に示した。
イソソルビド1461重量部(10モル)とジフェニルカーボネート2142重量部(10モル)とを反応器に入れ、重合触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを1.0重量部(ジフェニルカーボネート成分1モルに対して1×10−4モル)、および2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン二ナトリウム塩を5.4×10−3重量部(ジフェニルカーボネート成分1モルに対して0.2×10−6モル)仕込んで窒素雰囲気下180℃で溶融した。
イソソルビド1608重量部(11モル)とジフェニルカーボネート2474重量部(11.55モル)と3―ペンタデシルフェノール268重量部(0.88モル)とした以外は実施例1と同様に重合させてペレットを得た。このペレットは比粘度が0.16、末端変性基含有率は9.1重量%であった。その他の評価結果については表1に示した。
イソソルビド1366重量部(9.35モル)と1,6−ヘキサンジオール195重量部(1.65モル)とジフェニルカーボネート2356重量部(11モル)とを反応器に入れ、重合触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを1.0重量部(ジフェニルカーボネート成分1モルに対して1×10−4モル)、および2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン二ナトリウム塩を5.4×10−3重量部(ジフェニルカーボネート成分1モルに対して0.2×10−6モル)仕込んで窒素雰囲気下180℃で溶融した。
実施例7で得られた末端変性ポリカーボネート樹脂をKZW15−30MGフィルム成形装置((株)テクノベル製)およびKYA−2H−6 ロール温調機((株)加藤理機製作所製)を用いて溶融製膜フィルムを得た。押出し機シリンダー温度は220℃〜260℃の範囲内に保持し、ロール温度は140〜160℃にて行った。得られたフィルムの物性を表2に示した。
ビスフェノールAからなるポリカーボネート樹脂である帝人化成(株)製パンライト(登録商標)L1225を用いて、KZW15−30MGフィルム成形装置((株)テクノベル製)およびKYA−2H−6 ロール温調機((株)加藤理機製作所製)を用いて溶融製膜フィルムを得た。押出し機シリンダー温度は260℃〜300℃の範囲内に保持し、ロール温度は140〜160℃にて行った。得られたフィルムの物性を表2に示した。実施例7のポリカーボネートフィルムと比べて光弾性定数が高く、また位相差値の波長分散が大きいことが分かる。
実施例8で得た未延伸の末端変性ポリカーボネートフィルムを、延伸機を用いて延伸温度150〜160℃で3通りの延伸倍率にて1軸延伸を行い、延伸フィルムを得た。これらの延伸フィルムの位相差値およびその波長分散の物性を表3に示した。
実施例8で得た未延伸の末端変性ポリカーボネートフィルムを、バッチ式同時2軸延伸機を用いて、同時2軸延伸を行った。倍率は一方向が1.3倍、もう一方向が1.4倍、延伸温度は140℃で行った。得られた2軸配向フィルムについて、物性を表4に示した。
比較例4で得たポリカーボネートフィルムを、延伸機を用いて延伸温度120℃で2通りの延伸倍率にて1軸延伸を行い、延伸フィルムを得た。これらの延伸フィルムの位相差値およびその波長分散の物性を表3に示した。実施例9〜11の末端変性ポリカーボネートフィルムと比べて、延伸後の位相差が発現し難く、また位相差値の波長分散が大きく、位相差制御性に劣ることが分かる。
Claims (17)
- 主鎖が下記式(1)
で表される末端基を主鎖に対して0.01〜7モル%含有する末端変性ポリカーボネート。 - 式(2)または(3)で表される末端基を主鎖に対して0.05〜7モル%含有する請求項1記載の末端変性ポリカーボネート。
- 23℃、24時間後の吸水率が、0.75%以下である請求項1記載の末端変性ポリカーボネート。
- 式(1)で表される繰り返し単位が、イソソルビド(1,4;3,6−ジアンヒドロ−D−ソルビトール)由来の単位である請求項1記載の末端変性ポリカーボネート。
- 式(2)または(3)で表される末端基が、生物起源物質由来である請求項1記載の末端変性ポリカーボネート。
- 下記式(5)
で表されるヒドロキシ化合物(D成分)を反応させることを特徴とする末端変性ポリカーボネートの製造方法。 - 炭酸ジエステル(C成分)の量が、該エーテルジオール(A成分)と該エーテルジオール以外のジオールおよび/またはジフェノール化合物(B成分)との合計に対して、モル比率(C成分/(A成分+B成分))で1.05〜0.97である請求項6記載の製造方法。
- 重合触媒の存在下、エーテルジオール(A成分)、該エーテルジオール以外のジオールおよび/またはジフェノール化合物(B成分)、炭酸ジエステル(C成分)およびヒドロキシ化合物(D成分)を、常圧で加熱反応させ、次いで減圧下、180℃〜280℃の温度で加熱しながら溶融重縮合させる請求項6記載の製造方法。
- 重合触媒として、含窒素塩基性化合物、アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物を使用する、請求項6記載の製造方法。
- エーテルジオール(C成分)が、イソソルビド(1,4;3,6−ジアンヒドロ−D−ソルビトール)である請求項6記載の製造方法。
- ヒドロキシ化合物(D成分)が、生物起源物質由来である請求項6記載の製造方法。
- 下記式(5)
で表されるヒドロキシ化合物(D成分)を反応させることを特徴とする末端変性ポリカーボネートの製造方法。 - 酸結合剤が、ピリジン、キノリンおよびジメチルアニリンからなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項12記載の製造方法。
- エーテルジオール(A成分)が、イソソルビド(1,4;3,6−ジアンヒドロ−D−ソルビトール)である請求項12記載の製造方法。
- ヒドロキシ化合物(D成分)が、生物起源物質由来である請求項12記載の製造方法。
- 請求項1記載の末端変性ポリカーボネートからなる成形品。
- フィルムである請求項16記載の成形品。
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