JP2010042019A - マーカー遺伝子 - Google Patents
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Abstract
【課題】腎毒性の迅速かつ正確な読み取方法の提供。
【解決手段】同定された12個の遺伝子、即ち、カルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGF、クラステリン、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼB、ポドシン、アルファ−2uおよびC4遺伝子の発現レベル測定、腎毒性の処置に使用する候補薬剤を同定するための方法、腎臓疾患の処置の有効性および開示された遺伝子の配列を含む腎臓に特異的なベクターをモニターするための方法、ならびに腎臓の機能を含む生物学的プロセスに関連する候補遺伝子を同定する方法。
【選択図】なし
【解決手段】同定された12個の遺伝子、即ち、カルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGF、クラステリン、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼB、ポドシン、アルファ−2uおよびC4遺伝子の発現レベル測定、腎毒性の処置に使用する候補薬剤を同定するための方法、腎臓疾患の処置の有効性および開示された遺伝子の配列を含む腎臓に特異的なベクターをモニターするための方法、ならびに腎臓の機能を含む生物学的プロセスに関連する候補遺伝子を同定する方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、腎障害、即ち、腎臓の疾患、損傷もしくは毒性、のモニタリング、予後、診断および/もしくは処置のための方法に、腎毒性を診断するためのキットに関する。特に、本発明は、腎障害を決定するためのおよび/または腎障害に対する種々の処置の有効性を選択することもしくはモニタリングを助けるための遺伝子発現分析の使用に関する。
異質化合物もしくは薬物に対する個体の応答に関与するDNA/RNAレベルにおける遺伝的およびゲノム的要素の研究は、予防的もしくは治療的な処置のための安全な薬剤(たとえば、薬物)の選択を許容する。本発明のマーカーの発現に刺激的なもしくは阻害的な影響を有する薬剤またはモジュレーターを個体内でモニターして、患者における毒性を評価することができる。治療剤の代謝における相違は、薬理学的に活性な薬物の用量および血中濃度の間の関係を変えることにより重篤な毒性もしくは治療失敗に至り得る。そのようなゲノム薬理学をさらに使用して、適切な投与量および治療レジメンを決定することができる。したがって、個体における本発明のマーカーの発現のレベルを測定して、それにより個体の治療的なもしくは予防的な処置のための適切な安全な薬剤(複数を含む)を選択することができる。
薬理遺伝学は、個体における薬物の処理および作用の変動に因る薬物の有効性もしくは毒性の臨床的に顕著な変動を取り扱う。たとえば、Linder MW, Clin Chem 1997, Vol 43 (2): 254-266を参照されたい。一般に、二つのタイプの薬理遺伝学的条件を区別することができる。薬物が身体に作用する様式を変える単一の要素として伝達される遺伝的条件は、“改変薬物作用”と言われる。身体が薬物に作用する様式を変える単一の要素として伝達される遺伝的条件は、“改変薬物代謝”と言われる。これらの薬理遺伝学的条件は、まれな欠損としてもしくは共通の多形性としてのいずれかで起こり得る。
個体におけるマーカーの発現のレベル、もしくは機能のレベル、を測定して、それにより個体の治療的なもしくは予防的な処置のための適切な薬剤を選択することができる。この知識は、投薬もしくは薬物の選択に適用するとき、副作用もしくは治療の失敗を避けることができて、かくして対象をマーカーの発現のモジュレーターで処置するときに、治療的なもしくは予防的な有効性を増強することができる。
カルビンジンD−28kは、大きなEF−ハンドファミリーのカルシウム結合タンパク質のメンバーである。それは、全てのクラスの脊椎動物の中におよび広範囲の組織の中に存在する。カルビンジンD−28kは、細胞を通してカルシウムの拡散を容易にして、イオン化したカルシウムを有毒なレベル以下に保持する細胞内カルシウム緩衝剤として働くところのカルシウム輸送分子として機能すると仮定されている(Feher JJ, Am J Physiol 1983, Vol 44: C303-C307)。
数人の研究者が、腎臓内でカルビンジンD−28kの最高量は、遠位尿細管の中に局在して、それは、カルシウム吸収の部位としての遠位尿細管の役割と相関することを示してきている(Rhoten WB, et al., Anat Rec 1990, Vol 227: 145-151; Borke JL, et al., Am J Physiol (Renal Fluid Electrolyte Physio)1989, Vol 257: F842- F849 26.)。さらに、年齢と共に減少するカルビンジンD−28kの発現は、腸および腎臓中のCa++輸送の年齢に関係する減少に寄与し得ることが示されてきている(Armbrecht HJ, et al., Endocrinology 1989, Vol 125: 2950-2956)。ラットの腎のカルビンジンD−28kタンパク質のシクロスポリンAで誘導される減少は、そのmRNAの減少の結果であることが文献に報告されている(Grenet O, et al., Biochem Pharmacol 1998, Vol 55 (7): 1131-1133; Grenet O,et al., Biochem Pharmacol 2000; Vol 59 (3): 267-272)。この陳述は、カルビンジンD−28kのmRNAレベルを、タンパク質のレベルを反映する、PCRによりモニターすることができることを意味する(Steiner S, et al., Biochem Pharmacol 1996, Vol 51 (3): 253-258)。これらの観察は、カルビンジンD−28kが、腎臓の中で起こる再吸収プロセスにおいて重要な役割を有するという仮説を確認する。
腎臓損傷分子−1(KIM−1)は、細胞外、6−システイン免疫グロブリンドメインを含有するタイプ1膜タンパク質である。KIM−1のmRNAおよびタンパク質は、正常な腎臓中で低レベルで発現しているが、虚血後の腎臓中では劇的に増加する。KIM−1は、再成性の、脱分化された近位尿細管表皮細胞へ局在して、間質細胞の中には存在しない。KIM−1は、虚血後の腎臓への多形本質および機能の回復に結び付けられている(Ichimura T, et al., J Biol Chem 1998, Vol 273: 4135-4142)。
分泌リンタンパク質1(SPP1)としてまた知られる、オステオポンチン(OPN)は、アルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)細胞接着モチーフを含有する分泌された、高酸性かつグリコシル化されたリンタンパク質である。OPNは、骨芽細胞の中に当初同定されてきていて、水酸化リン灰石に結合して、骨の再吸収、無機質化および石灰化において主要な役割を演じる能力を有することが立証された(Reinholt FP, et al., Proc Natl Acad Sci U. S. A. 1990, Vol 87: 4473-4475)。それは、石灰化アテローム硬化性病巣中に局在すると後で示されて、平滑筋細胞のカルシウム沈着の阻害に関与すると信じられた(Wada T, et al., Circ Res 1999, Vol 84: 166-178)。さらに,高いOPNの発現は、ビタミンD3活性型により調節されると示されたし(Noda M, et al., Proc Natl Acad Sci U. S. A. 1990, Vol 87: 9995-9999)、そしてOPNは、高い細胞代謝回転を持つ組織中に見出されてきている。OPNの上向き調節が、腎損傷の幾つかのモデルで立証されてきていて、組織の再モデル化および修復における可能な役割を示唆する(Persy VP, et al., Kidney Int 1999, Vol 56 (2): 601-611)。オステオポンチンは、シュウ酸カルシウム尿結石の主要成分であるとまた見出された(Kohri K, et al., Biochem Biophys Res Commun 1992, Vol 184: 859-864)。さらに、OPNは、尿結石の形成を起こしやすいラットにおいて遠位尿細管細胞の中で高度に発現される(Kohri K, et al., J Biol Chem 1993, Vol 268: 15180-15184)。これらのデータは、オステオポンチンが尿結石の形成に関与するという仮説に至る(Kohri K, et al., J Biol Chem 1993, Vol 268: 15180-15184)。
表皮成長因子(EGF)は、細胞成長、分化および急性期応答を仲介することができる分子のクラスに属する小さいポリペプチドである。EGFのmRNAは、唾液腺および腎臓の細胞中で主として転写される。急性腎不全の種々の実験的に誘導された型において、腎臓のEGFについてmRNAおよびタンパク質のレベルは顕著に低下して、長期間低値にとどまる(Price PM, et al., Am J Physiol 1995, Vol 268 (4 Pt 2): F664-670)。EGFは重要な表皮の分裂促進因子である。加えて、EGF受容体のレベルは、正常なラットの腎臓繊維芽細胞の密度依存性成長調節において中心的役割を演ずると知られている(Lahaye DH, et al., FEBS Lett 1999, Vol 446 (2-3): 256-260)。EGFは、急性腎損傷後の内因性組織修復に関与する。この成長因子は、実験的急性腎不全を持つ実験動物に外部から与えられたときには、腎機能の回復および尿細管の本質の解剖学的回復とともに加速する(Wang S and Hirschberg R, Nephrol Dial Transplant 1997, Vol 12 (8): 1560-1563)。さらに、EGFは、腎臓への虚血性損傷後の腎臓の尿細管の再生に(Di Paolo S, et al., Nephrol Dial Transplant 1997, Vol 12: 2687-2693)および薬物誘発性腎毒性後の腎組織修復に(Morin NJ, et al., Am J Physiol 1992, Vol 263:F806-F811)、主要な役割を演ずると信じられている。EGFの発現レベルは、慢性拒絶もしくは薬物誘発性腎毒性を患う腎移植患者において顕著に減少されると示されてきている(Di Paolo S, et al., Nephrol Dial Transplant 1997, Vol 12: 2687-2693)。加えて、シクロスポリンA(CsA)処置に続く腎臓中のEGF発現の減少が報告されてきている(Deng JT, et al., Transplant Proc 1994, Vol 26 (5): 2842-2844; Yang CW, et al., Kindey Int 2001, Vol 60: 847-857)。
テストステロン−抑圧前立腺メッセージ2(TRPM−2)としてまた知られる、クラステリンは、組織損傷および/もしくはリモデリングの時に、腎臓を含む、多くの器官中で誘発される広布の分泌グリコタンパク質であり、そして表皮管の尿細管腔中に見出されてきている(Jenne DE and Tschopp J, Trends Biochem Sci 1992, Vol 14: 154-159)。それは、精液の成熟化、アポリポタンパク質A−1との高密度リポタンパク質複合体を形成することによる脂質輸送、膜のリモデリング、補体カスケードの阻害、神経変性およびアポトーシスに関与すると信じられている(Han B. H. , et al., Nat Med 2001, Vol 7: 338-343; Wong P, et al., J Biol Chem 1993, Vol 268, 5021-5031; Wong P, et al., Eur J Biochem 1994, Vol 331: 917-925)。クラステリンは、C5b−7に結合して膜攻撃複合体、C5b−9、の発生を阻害するところの可溶性補体調節タンパク質である。クラステリンの糸球体沈着は、C5b−9および免疫沈着に関連するヒトのならびに実験的な膜性腎症において観察されてきている(Yamada K, et al., Kidney Int 2001, Vol 59(1) : 137-146)。クラステリンは、さもなければ腎障害により混乱させられる細胞相互作用を保存することが推測されている(Silkensen JR, et al., J Am Soc Nephrol 1997, Vol 8 (2): 302-305)。さらに、CsAはラットの腎臓においてクラステリンmRNAレベルを増加することが報告されている(DarbyIA, et al., Exp Nephrol 1995 Vol 3 (4): 234-239)。
ヒトの中でリポカリン2(LCN2)もしくは好中球ゼラチナーゼ関連のリポカリン(NGAL)としてまた知られる、アルファ−2uグロブリン関係のタンパク質(アルファ−2u)は、好中球の顆粒体に保存されて、好中球ゼラチナーゼに関連する(Kjeldsen L, et al., J Biol Chem 1993, Vol 268: 10425-10432)。それは、小さい親油性物質に結合して、炎症および胚形成に役割を有すると信じられている(Bundgaard JR, et al., Biochem Biophys Res Commun 1994, Vol 202: 1468-1475; Cowland JB and Borregaard N, Genomics 1997, Vol 45: 17-23; Zerega B, et al., Eur J Cell Biol 2000, Vol 79,165-172)。
補体成分4(C4)は、腎臓の尿細管表皮細胞により構成的に発現されて、間質性炎症を調整することに関与する(Welch TR, et al., Clin Immunol 2001, Vol 101,366-370)。その発現の減少は、全身性紅斑性狼瘡を持つ患者において増加した腎臓病の活性と関連してきている(Ho A, et al., Arthritis Rheum 2001, Vol 44: 2350-2357)。
血管内皮成長因子(VEGF)は、血管新生を促進し、血管の浸透性を増加し、単球に対する走化性として役立と知られて、そして糖尿病、傷の治癒、炎症応答および組織のリモデリングに役割を有する(Benjamin LE, Am J Pathol 2001, Vol 158: 1181-1184)。
溶質担体ファミリー21メンバーa4(SLC21A4)としてまた知られる、腎臓特異的な有機陰イオン輸送体−K1(OAT−K1)は、ヒトの溶質担体ファミリー21メンバーa3(SLC21A3)に相同性を有する。OAT−K1は、腎臓の尿細管の側底膜の中に発現されて、血液から薬物の腎クリアランスに関与する(Saito H, et al., J Biol Chem 1996, Vol 271: 20719-20725)。
アルドラーゼAは、フルクトース‐1,6‐二リン酸のグリセラルデヒド3‐リン酸への変換を触媒する。それは、発生胚および成人の筋肉の中に見出されて、成人の肝臓、腎臓および腸の中で抑制される。アルドラーゼA欠損は、ミオパシーおよび溶血性貧血と関連してきている(Kishi H, et al., Proc Natl Acad Sci U. S. A. 1987, Vol 84: 8623-8627; Kreuder J, et al., N Engt J Med1996, Vol 334: 1100-1104)。
アルドラーゼBは、アルドラーゼAと同様な機能を有して、両方のアイソザイムは異なる遺伝子によりコード化される。しかしながら、アルドラーゼAと異なり、アルドラーゼBは、成人の肝臓、腎臓および腸の中で発現される。アルドラーゼBの欠損は、腎臓の尿細管アシドーシスおよび遺伝性フルクトース不耐症に連鎖してきて(Cross NC, et al., Cell 1988, Vol 53: 881- 885; Kranhold JF, et al., Science 1969, Vol 165: 402-403; Mass RE, et al., Am J Med Sci 1966, Vol 251: 516-523)、アルドラーゼBは腎毒性に役割を有し得ることを示す。
PDCN、SRN1、ネフローゼ2、特発症としてまた知られる、ポドシンは、腎臓の足細胞の中で発現されるタンパク質であって、血管の浸透性の調節に役割を演じて、血漿膜および細胞骨格との間のリンカーとして多分作用する。それは、胎児および成熟の腎臓の糸球体の足細胞の中で殆ど独占的に発現される。足細胞タンパク質、たとえばポドシン、の変異は、先天性分節性巣状糸球体硬化症をもたらして(Komatsuda A, et al., Ren Fail. 2003, Vol 25(1) : 87-93)、ステロイド−耐性ネフローゼ症候群の中で主として結びつけられる。
上のマーカーの幾らかは腎障害と関連すると仮想されるが、これらのマーカーは投薬の選択のためのもしくは薬物の選択のためのまたは腎障害を決定するための診断として単独でもしくは組合せて実際には使用されてきていないで、発現のそれらのレベルは、種々の腎障害の状態に決して相関されてきていない。
腎障害の分野においては、しかしながら、治療的なもしくは予防的な処置のための適切な薬剤の選出、個体の薬剤応答性表現型の予測および副作用もしくは治療の失敗を避けるために投薬もしくは薬剤の選択を許容する必要がある。
シクロスポリンA(CsA;Neoral[登録商標])は、移植片拒絶の予防のために過去15年の間で器官移植に使用された折り紙付きの免疫抑制剤の一つであってきた。しかしながら、CsAは、腎臓移植患者において急性の同種移植腎障害に至る腎毒性を誘発すると示されてきている。CsA−誘発腎毒性は以下のイベント:腎臓中でレニンの増加した濃度(Masson J, et al., Kidney Int Suppl 1991, Vol 32, S28-S32)、遠位曲尿細管上皮中でTGFベータの発現(Langham RG, et al., Transplantation 2001, Vol 72: 1826-1829)、血管の平滑筋細胞中で増加した細胞内カルシウム(Masson J, et al., Kidney Int Suppl 1991, Vol 32, S28-S32)、増加したプロスタサイクリン放出(Oriji GK, Prostaglandins Leukot Essent Fatty Acids 1999, Vol 61,119-123)、および腎臓中における増加したトロンボキサン生産(Gonzalez-Correa JA, et al. Thromb Res 1996, Vol 81: 367- 381)、の組合せにより引き起こされると信じられている。
(本発明の概要)
本発明は、個体の中で腎毒性を測定する方法であって、(a)個体から身体の試料を得ること、(b)身体の試料から、カルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGF、クラステリン、アルファ−2u、C4、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼBおよびポドシンの中で選択される一つもしくはそれ以上の遺伝子に対応する遺伝子発現のレベルを測定すること、ならびに(c)第一のセットの値を腎毒性を受けていない個体の身体の試料において工程(b)に対するのと同じ遺伝子(複数を含む)についてかつ同一の条件下において評価された遺伝子発現のレベルに対応する第二のセットの値と比較することの工程を含んでなるが、そこでは、カルビンジンD−28k、EGF、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼBおよび/もしくはポドシンの遺伝子発現について第二値よりさらに低い第一値は、工程(a)の個体が腎毒性を持っているか、発症しているかもしくは感受性である指標であり、ならびに/またはそこでは、KIM−1、OPN、EGF、クラステリン、アルファ−2uおよび/もしくはC4の遺伝子発現について第二値よりさらに大きい第一値は、個体が腎毒性を持っているか、発症しているかもしくは感受性である指標である、方法に関する。
本発明のもう一つの態様によると、個体は、シクロスポリン、シスプラチン、タクロリムス、アミノグリコシド、スルホンアミドもしくはトリメタジオンのような細胞毒性薬剤での処置下にある。
本発明は、個体の中で腎毒性を測定する方法であって、(a)個体から身体の試料を得ること、(b)身体の試料から、カルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGF、クラステリン、アルファ−2u、C4、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼBおよびポドシンの中で選択される一つもしくはそれ以上の遺伝子に対応する遺伝子発現のレベルを測定すること、ならびに(c)第一のセットの値を腎毒性を受けていない個体の身体の試料において工程(b)に対するのと同じ遺伝子(複数を含む)についてかつ同一の条件下において評価された遺伝子発現のレベルに対応する第二のセットの値と比較することの工程を含んでなるが、そこでは、カルビンジンD−28k、EGF、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼBおよび/もしくはポドシンの遺伝子発現について第二値よりさらに低い第一値は、工程(a)の個体が腎毒性を持っているか、発症しているかもしくは感受性である指標であり、ならびに/またはそこでは、KIM−1、OPN、EGF、クラステリン、アルファ−2uおよび/もしくはC4の遺伝子発現について第二値よりさらに大きい第一値は、個体が腎毒性を持っているか、発症しているかもしくは感受性である指標である、方法に関する。
本発明のもう一つの態様によると、個体は、シクロスポリン、シスプラチン、タクロリムス、アミノグリコシド、スルホンアミドもしくはトリメタジオンのような細胞毒性薬剤での処置下にある。
本発明はさらに、個体における腎毒性が、腎毒性に対して薬学的に許容される薬剤で処置された個体から得られる身体の試料について本発明の工程(a)、(b)および(c)を実施する工程を含む療法に応答するかどうかを決定して、薬物療法に対する個体の応答性を決定するのに使用する試験をカバーする。
本発明はさらに、個体における腎毒性が、腎毒性に対して薬学的に許容される薬剤で処置された個体から得られた身体の試料について本発明の工程(a)、(b)および(c)を実施する工程を含む療法処置に応答するかどうかを決定して、薬物療法に対する個体の応答性を決定するのに使用するもう一つの試験をカバーする。
もう一つの態様において、本発明は、個体における腎毒性を処置する方法であって、一つもしくはそれ以上の遺伝子の合成、発現もしくは活性を腎臓において調整する調整物質または遺伝子のカルビンジンD−28k、EGF、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼB、ポドシン、アルファ−2uおよび/もしくはC4のグループの遺伝子発現生成物の治療的に有効な量を当該個体に、腎毒性の少なくとも一つの症状が改善されるように、投与する工程を含む、方法をカバーする。
本発明のもう一つの態様によると、個体は、シクロスポリン、シスプラチン、タクロリムス、アミノグリコシド、スルホンアミドもしくはトリメタジオンのような細胞毒性薬剤での処置下にある。
本発明のもう一つの態様によると、個体は、シクロスポリン、シスプラチン、タクロリムス、アミノグリコシド、スルホンアミドもしくはトリメタジオンのような細胞毒性薬剤での処置下にある。
さらなる態様において、本発明は、腎毒性の処置に使用する候補薬剤を確認するための方法であって、(a)毒性を受けている腎臓の組織の試料を候補薬剤と接触させること、(b)腎臓の組織から、カルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGF、クラステリン、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼB、ポドシン、アルファ−2uおよびC4の中で選択される一つもしくはそれ以上の遺伝子に対応する遺伝子発現のレベルを測定して、第一のセットの値を得ること、ならびに(c)第一のセットの値を候補薬剤により誘発されていない腎毒性を受けている腎臓の組織において工程(b)に対するのと同じ遺伝子(複数を含む)についてかつ同一の条件下において評価された遺伝子発現のレベルに対応する第二のセットの値と比較することの工程を含んでなるが、そこでは、カルビンジンD−28k、EGF、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼBおよび/もしくはポドシンの遺伝子発現について第二値より実質的にさらに大きい第一値は、候補薬剤が腎毒性の症状を改善している指標であり、ならびに/またはそこでは、KIM−1、OPN、クラステリン、アルファ−2uおよび/もしくはC4の遺伝子発現について第二値より実質的にさらに低い第一値は、候補薬剤が腎毒性の症状を改善している指標である、方法をカバーする。
さらなる態様において、本発明は、腎毒性を引き起こさないかもしくは誘発しない候補薬剤を同定するための方法であって、(a)毒性を受けていない腎臓の組織の試料を候補薬剤と接触させること、(b)腎臓の組織から、カルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGF、クラステリン、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼB、ポドシン、アルファ−2uおよびC4の中で選択される一つもしくはそれ以上の遺伝子に対応する遺伝子発現のレベルを測定して、第一のセットの値を得ること、ならびに(c)第一のセットの値(複数を含む)を腎毒性を受けていない腎臓の組織において工程(b)に対するのと同じ遺伝子(複数を含む)についてかつ同一の条件下において評価された遺伝子発現のレベルに対応する第二のセットの値と比較することの工程を含んでなるが、そこでは、カルビンジンD−28k、EGF、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼBおよび/もしくはポドシンの遺伝子発現について第二値と同一であるかもしくはさらに高い第一値は、候補薬剤が腎毒性を引き起こさないかもしくは誘発しない指標であり、ならびに/またはそこでは、KIM−1、OPN、クラステリン、アルファ−2uおよび/もしくはC4の遺伝子発現について第二値と同一であるかもしくはさらに低い第一値は、候補薬剤が腎毒性を引き起こさないかもしくは誘発しない指標である、方法をカバーする。
さらなる態様において、本発明は、二つの薬物候補の腎細胞毒性の潜在能力を比較するための方法であって、(a)毒性を受けていない腎臓の組織の試料を第一の薬物候補と接触させて、腎臓の組織から、カルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGF、クラステリン、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼB、ポドシン、アルファ−2uおよびC4の中で選択される一つもしくはそれ以上の遺伝子に対応する遺伝子発現のレベルを測定して、第一のセットの値を得ること、(b)毒性を受けていない腎臓の組織の試料を第二の薬物候補と接触させて、腎臓の組織から、カルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGF、クラステリン、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼB、ポドシン、アルファ−2uおよびC4の中で選択される一つもしくはそれ以上の遺伝子に対応する遺伝子発現(複数を含む)のレベル(複数を含む)を測定して、第二のセットの値を得ること、ならびに(c)第一のセットの値を第二のセットの値と比較することの工程を含んでなるが、そこでは、もし第一値がカルビンジンD−28k、EGF、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼBおよび/もしくはポドシンの遺伝子発現について第二値より実質的にさらに大きいならば、これは第二の薬物候補が第一の薬物候補より腎臓に対して細胞毒性がより少ない指標であり、ならびに/またはそこでは、もし第一値がKIM−1、OPN、クラステリン、アルファ−2uおよび/もしくはC4の遺伝子発現について第二値より実質的にさらに低いならば、これは第二の薬物候補が第一の薬物候補より腎臓に対して細胞毒性がより少ない指標である、方法をカバーする。
もう一つの態様において、本発明は、遺伝子がカルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGF、クラステリン、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼB、ポドシン、アルファ−2uおよびC4から選ばれる、遺伝子の中の多形性の腎毒性の診断のための使用を提供する。
さらなる態様において、本発明は、カルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGF、クラステリン、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼB、ポドシン、アルファ−2uおよびC4の中で選択される一つもしくはそれ以上のマーカー遺伝子に対応する遺伝子発現のレベルを測定する手段を含む、個体において腎毒性を診断するためのキットをカバーする。
本発明の他の態様において、個体は細胞毒性薬剤での処置下にある。
本発明の他の態様において、個体は細胞毒性薬剤での処置下にある。
本発明の最後の態様は、腎臓機能、腎毒性および/もしくは腎障害を含む生物学的プロセスに関連する候補遺伝子を同定する方法であって、a)少なくとも一つの数値Iを得るためのアルゴリズムの入力として、カルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGF、クラステリン、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼB、ポドシン、アルファ−2uおよびC4の中で選択される少なくとも一つのマーカーの遺伝子発現のレベルを使用すること;ならびに(b)(a)で得られた少なくとも一つの数値Iを候補遺伝子について得られた数値IIと比較することを含んでなる、方法をカバーする。
(発明の詳細な説明)
本明細書で使用される際には、表現“腎毒性”もしくは“腎臓損傷”または同様に“腎障害”とは全て、数多くの疾病もしくは障害のプロセスにより誘発され得るところの、急な(急性)かもしくは経時的にゆっくりと低下する(慢性)かのどちらかの腎の即ち腎臓の不全もしくは機能障害を意味するものとして、それには、急性の腎毒性について:敗血症(感染)、ショック、外傷、腎結石、腎臓感染、薬物毒性、毒もしくは毒素、またはヨード化コントラスト染料で注射後(副作用);および慢性の腎毒性について:長年の高血圧、糖尿病、うっ血性心不全、狼瘡もしくは鎌状赤血球貧血が(限定するものではないが)含まれる。腎不全の両方の型は、命にかかわる代謝障害をもたらす。
本明細書で使用される際には、表現“腎毒性”もしくは“腎臓損傷”または同様に“腎障害”とは全て、数多くの疾病もしくは障害のプロセスにより誘発され得るところの、急な(急性)かもしくは経時的にゆっくりと低下する(慢性)かのどちらかの腎の即ち腎臓の不全もしくは機能障害を意味するものとして、それには、急性の腎毒性について:敗血症(感染)、ショック、外傷、腎結石、腎臓感染、薬物毒性、毒もしくは毒素、またはヨード化コントラスト染料で注射後(副作用);および慢性の腎毒性について:長年の高血圧、糖尿病、うっ血性心不全、狼瘡もしくは鎌状赤血球貧血が(限定するものではないが)含まれる。腎不全の両方の型は、命にかかわる代謝障害をもたらす。
表現“身体の試料”には、好ましくは腎臓の、生検材料、ならびに、たとえば、血液、血漿、血清、リンパ液、脳脊髄液、のう包液、腹水、尿、便および胆汁のような任意の体液が、限定するものではないが、含まれるものとする。本発明の一つの利点は、一つのマーカーを、血漿のような、体液中で特に良くモニターできることである。たとえば、クラステリンの発現レベルを血漿中で特に良く測定することができる。
本明細書で使用される際には、用語“個体”とは、ヒトの個体、動物または個体の集団もしくはプールを意味するものとする。
本明細書で使用される際には、用語“個体”とは、ヒトの個体、動物または個体の集団もしくはプールを意味するものとする。
本明細書で使用される際には、用語“候補薬剤”もしくは“薬物候補”は、タンパク質もしくはそのフラグメント、抗体、小分子の阻害剤もしくはアゴニスト、核酸分子、たとえば、アンチセンスヌクレオチド、リボザイム、二重鎖RNA,有機および無機の化合物等のような天然のまたは合成の分子であり得る。
絶対値で表現されるmRNAの発現レベルは、標準曲線にしたがって計算される、与えられた遺伝子についての分子数を表す。定量的測定を実施するためには、cDNA(標準)の系列希釈が、正確なmRNAの定量化に必要な標準曲線を構築するためにそれぞれの実験に含まれる。絶対値(分子数)は、標準曲線からの外挿後に得られる。
本明細書で使用される際には、“カルビンジンD−28k”、“KIM−1”、“OPN”、“EGF”、“クラステリン”、“VEGF”、“OAT−K1”、“アルドラーゼA”、“アルドラーゼB”、“ポドシンン”、“アルファ−2u”もしくは“C4”として呼ばれるそれぞれのマーカーは、表1で下で同定されるマーカーに実質的に同様なところの、遺伝子もしくは遺伝子生成物(mRNAおよびタンパク質を含んで)を包含する。
最も広い意味において、用語“実質的に同様な”は、ヌクレオチド配列に関して本明細書で使用される際には、参照のヌクレオチド配列に対応するヌクレオチド配列を意味するが、そこでは、対応する配列は、たとえば、ポリペプチド機能に影響しないアミノ酸での変化のみが起こる、参照のヌクレオチド配列によりコード化されたポリペプチドと実質的に同じ構造および機能を有するポリペプチドをコード化する。望ましくは、実質的に同様なヌクレオチド配列は、参照ヌクレオチド配列によりコード化されたポリペプチドをコード化する。実質的に同様なヌクレオチド配列および参照ヌクレオチド配列の間の同一性の百分率は、望ましくは少なくとも80%、さらに望ましくは少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、なおさらに好ましくは少なくとも99%である。配列の比較は、Smith-Waterman配列アラインメントアルゴリズム(たとえば、Waterman, M. S. 「コンピュータ生化学入門:地図、配列およびゲノム。」 Chapman & Hall. London: 1995.ISBN 0-412-99391-0を参照)を用いて行われる。localSプログラム、1.16版、を以下のパラメターと共に使用する:マッチ:1、ミスマッチ罰:0.33、オープン−ギャップ罰:2、引き伸ばし−ギャップ罰:2。
参照ヌクレオチド配列に“実質的に同様な”ヌクレオチド配列はまた、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO4、1mM EDTAの中で50℃での2X SSC、0.1%SDS中での洗浄と共に50℃で、さらに望ましくは、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO4、1mM EDTAの中で50℃での1X SSC、0.1%SDS中での洗浄と共に50℃で、なおさらに望ましくは、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO4、1mM EDTAの中で50℃での0.5X SSC、0.1%SDS中での洗浄と共に50℃で、好ましくは、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO4、1mM EDTAの中で50℃での0.1X SSC、0.1%SDS中での洗浄と共に50℃で、さらに好ましくは、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO4、1mM EDTAの中で65℃での0.1X SSC、0.1%SDS中での洗浄と共に50℃で、参照ヌクレオチド配列にハイブリダイズすることができて、なお機能的に同等な遺伝子生産物をコード化する。
本発明は、一緒にもしくは単独で、腎毒性のマーカーとしてあるかまたは使用されることができるところの複数のマーカー(カルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGF、クラステリン、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼB、ポドシン、アルファ−2uおよびC4)を提供する。特に有用な実施態様において、複数のこれらのマーカーを選択しかつそれらのmRNA発現を同時にモニターして、種々の態様に使用するための発現プロフィールを提供することができる。
本方法の好ましい実施態様において、カルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGF、クラステリン、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼB、ポドシン、アルファ−2uおよびC4の中で選択される少なくとも2もしくは3個、または少なくとも5もしくは7個、または少なくとも9,10,11もしくは12個のマーカーを、それらの遺伝子発現プロフィールの決定に使用することができる。
それぞれのマーカーを異なる腎臓病理学的所見に連結することができるので、特に腎臓病理学に連結するようなマーカーの遺伝子発現プロフィールを同定することが可能である。たとえば、カルビンジンD−28kのmRNAレベルは、無機質化についてのカルシウム撹乱予測変数のための初期マーカーとして使用される。KIM−1のmRNAレベルは、一般の腎臓傷害のためのマーカーである。OPNのmRNAレベルは、腎毒性にしばしば関連するマクロファージの浸潤のための初期マーカーでありかつ腎臓損傷の際の組織リモデリングのためのマーカーである。EGFのmRNAレベルは、一般の腎毒性のための初期マーカーである。クラステリンのmRNAレベルは、免疫仲介の腎毒性のための初期マーカーである。
本方法のさらに好ましい実施態様において、mRNA発現は、ノーザンブロット分析、逆転写PCR、リアルタイム定量的PCR、NASBA、TMAもしくは任意の他の利用可能な増幅技術からなる群から選択される技法により身体の試料もしくは腎臓組織の中で評価される。
本方法のもう一つの好ましい実施態様において、遺伝子発現のレベルを、遺伝子発現生生物に対応するタンパク質の存在を検出することによりこれに代えて評価することができる。
本方法のもう一つの好ましい実施態様において、遺伝子発現のレベルを、遺伝子発現生生物に対応するタンパク質の存在を検出することによりこれに代えて評価することができる。
カルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGF、クラステリン、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼB、ポドシン、アルファ−2uおよびC4について本発明(下記参照)において絶対値で表現されるmRNAの発現レベルは、殆どの集団のタイプもしくは種の中に一般的に見出されることに留意しなければならない。しかしながら、これらの値はそれぞれの集団のタイプもしくは種について多分変わり得る。それ故に、その上でもしくは下で、適宜、腎毒性症状を見出すことができるところの、腎毒性を受けていない標的とされた集団のタイプもしくは種について標準の遺伝子発現のレベルをそれぞれのマーカーについて再び測定することが必要であり得る。
本発明の第一の特別な態様において、個体において腎毒性を測定する方法が提供されるが、工程は、(a)個体から身体の試料を得ること、(b)身体の試料から、カルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGFおよびクラステリンの中で選択される一つもしくはそれ以上の遺伝子に対応する遺伝子発現のレベルを測定して、第一のセットの値を得ること、ならびに(c)第一のセットの値を腎毒性を受けていない個体の身体の試料において工程(b)に対するのと同じ遺伝子(複数を含む)についてかつ同一の条件下において評価された、遺伝子発現のレベルに対応する第二のセットの値と比較することより成り、そこでは、カルビンジンD−28kおよび/もしくはEGFの遺伝子発現について第二値よりさらに低い第一値は、工程(a)の個体が腎毒性を持っているか、発症しているかもしくは感受性である指標であり、ならびに/またはそこでは、KIM−1、オステオポンチンおよび/もしくはクラステリンの遺伝子発現について第二値よりさらに大きい第一値は、工程(a)の個体が腎毒性を持っているか、発症しているかもしくは感受性である指標である。
本発明のもう一つの態様において、個体において腎毒性を測定する方法が提供されるが、工程は、(a)個体から身体の試料を得ること、(b)身体の試料から、アルファ−2uグロブリン関係のタンパク質(アルファ−2u)、補体成分4(C4)、血管内皮成長因子(VEGF)、腎臓特異的な有機陰イオン輸送体−K1(OAT−K1)、アルドラーゼA、アルドラーゼBおよびポドシンの中で選択される一つもしくはそれ以上の遺伝子に対応する遺伝子発現のレベルを測定して、第一のセットの値を得ること、ならびに(c)第一のセットの値を腎毒性を受けていない個体の身体の試料において工程(b)に対するのと同じ遺伝子(複数を含む)についてかつ同一の条件下において評価された遺伝子発現のレベルに対応する第二のセットの値と比較することを含んでなるが、そこでは、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼBおよび/もしくはポドシンの遺伝子発現について第二値よりさらに低い第一値は、工程(a)の個体が腎毒性を持っているか、発症しているかもしくは感受性である指標であり、ならびに/またはそこでは、アルファ−2uおよび/もしくはC4の遺伝子発現について第二値よりさらに大きい第一値は、個体が腎毒性を持っているか、発症しているかもしくは感受性である指標である。
本発明のさらなる態様は、細胞毒性薬剤での処置下にある個体において腎毒性を測定する方法であって、(a)個体から身体の試料を得ること、(b)身体の試料から、カルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGF、クラステリン、アルファ−2u、C4、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼBおよびポドシンの中で選択される一つもしくはそれ以上の遺伝子に対応する遺伝子発現のレベルを測定して、第一のセットの値を得ること、ならびに(c)第一のセットの値を腎毒性を受けていない個体の身体の試料において工程(b)に対するのと同じ遺伝子(複数を含む)についてかつ同一の条件下において評価された遺伝子発現のレベルに対応する第二のセットの値と比較することを含んでなるが、そこでは、カルビンジンD−28k、EGF、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼBおよび/もしくはポドシンの遺伝子発現について第二値よりさらに低い第一値は、工程(a)の個体が腎毒性を持っているか、発症しているかもしくは感受性である指標であり、ならびに/またはそこでは、KIM−1、OPN、クラステリン、アルファ−2uおよび/もしくはC4の遺伝子発現について第二値よりさらに大きい第一値は、個体が腎毒性を持っているか、発症しているかもしくは感受性である指標である、方法を提供する。細胞毒性薬剤は、腎臓に対して既知の毒性を有する任意の分子であり、そして、シクロスポリン、シスプラチン、アミノグリコシド、スルホンアミド、タクロリムス、トリメタジオン等:を含む多くの例から有利に選択され得る。シクロスポリンは、たとえば、W099/18120およびにWO 03/033527に記述されるように、シクロスポリンAもしくはISAtx247のような免疫抑制シクロスポリンであり得る。
絶対値で測定されるようなmRNAの発現レベルは、カルビンジンD−28k、EGF、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼBおよび/もしくはポドシンについては1.0E+06未満であり得て、そしてそれは、KIM−1、オステオポンチン、クラステリン、アルファ−2uおよび/もしくはC4については1.0E+06以上であり得る。発現レベルは、カルビンジンD−28k、EGF、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼBおよび/もしくはポドシンについては1.0E+07未満もしくは1.0E+08未満であり得、ならびに/またはKIM−1、オステオポンチン、クラステリン、アルファ−2uおよび/もしくはC4については1.0E+07以上または1.0E+08以上であり得る。これらの値は、或るマーカー遺伝子についてまたあり得て、そして集団のタイプもしくは種に依存して、mRNAの発現レベルは、1.0E+09以上もしくは未満であり得る。
そのような方法の好ましい実施態様において、5.30E+08未満でカルビンジンD−28kの、1.50E+07以上でKIM−1の、2.80E+08未満でEGFの、1.40E+08以上でオステオポンチンの、1.90E+09以上でクラステリンのおよび/もしくは3.00E+06未満でポドシンの、工程(a)の個体の身体の試料の中におけるmRNAの発現レベルは、そのような個体が腎毒性を持っているか、発症しているかもしくは感受性であることを示すが、そこではmRNAの発現は絶対値で測定される。しかしながら、これらの値はそれぞれの集団のタイプもしくは種について多分変わり得る。それ故に、その上でもしくは下で、適宜、腎毒性症状を見出すことができるところの、腎毒性を受けていないところの標的とされた集団のタイプもしくは種について標準の遺伝子発現のレベルをそれぞれのマーカーについて再び測定することが必要であり得る。
mRNAの発現レベルはまた、カルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGF、クラステリン、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼB、ポドシン、アルファ−2uおよびC4について相対値で測定され得る。しかしながら、これらの値はそれぞれの集団のタイプもしくは種について変わり得る。それ故に、腎毒性を受けていないところの標的とされた集団のタイプもしくは種について標準の遺伝子発現のレベルをそれぞれのマーカーについて再び測定することが必要であり得る。それは、EGF、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼBおよび/もしくはポドシンについてmRNAの発現値が、KIM−1、OPN、EGF、クラステリン、アルファ−2uおよび/もしくはC4についてより少なくとも2倍さらに低い、ならびに/または少なくとも2倍さらに大きいときに、個体は腎毒性を持っているか、発症しているかもしくは感受性であることであり得る。発現は、EGF、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼBおよび/もしくはポドシンについて5倍さらに低く、ならびに/またはKIM−1、OPN、クラステリン、アルファ−2uおよび/もしくはC4について5倍さらに大きくあり得る。発現はまた、腎毒性を受けていない個体の身体の試料の中の発現に比較するときに、それぞれ10、20、30、40、50もしくは60倍さらに低いかまたはさらに大きいかであり得る。
そのような方法の好ましい実施態様において、第一の値は、第二の値よりEGFについて少なくとも4倍さらに低く、VEGFについて少なくとも2倍さらに低く、OAT−K1について少なくとも2倍さらに低く、アルドラーゼAについて少なくとも20倍さらに低くおよび/もしくはアルドラーゼBについて少なくとも2倍さらに低く、ならびに/または第一の値は、第二の値よりKIM−1について少なくとも20倍さらに大きく、OPNについて少なくとも3倍さらに大きく、クラステリンについて少なくとも7倍さらに大きく、アルファ−2uについて少なくとも50倍さらに大きくおよび/もしくはC4について少なくとも3倍さらに大きくて、そのような個体は腎毒性を持っているか、発症しているかもしくは感受性であることを示す。
本発明のもう一つの実施態様において、第一の値は、第二の値よりEGFについて少なくとも4.5倍さらに低く、VEGFについて少なくとも2.6倍さらに低く、OAT−K1について少なくとも2.3倍さらに低く、アルドラーゼAについて少なくとも26倍さらに低くおよび/もしくはアルドラーゼBについて少なくとも2.1倍さらに低く、ならびに/または第一の値は、第二の値よりKIM−1について少なくとも26倍さらに大きく、OPNについて少なくとも3.9倍さらに大きく、クラステリンについて少なくとも7.6倍さらに大きく、アルファ−2uについて少なくとも60倍さらに大きくおよび/もしくはC4について少なくとも3.3倍さらに大きくて、そのような個体は腎毒性を持っているか、発症しているかもしくは感受性であることを示す。
本発明のもう一つの特別な態様において、一つもしくは複数のこれらのマーカーの発現プロフィールは、腎毒性における薬物の応答性の分子的根拠を検査するためのおよび腎毒性を処置する薬物の有効性もしくは腎臓上のそれらの副作用を評価するための貴重な分子的道具を提供することができた。細胞が薬物もしくは他の活性分子との接触のような、種々の修飾状態に暴露される間にベースラインプロフィールからの発現プロフィールの変化は、そのような効果の指標として使用されることができる。
それ故に、本発明は、患者における腎毒性が、腎毒性に対して薬学的に許容される薬剤で処置された個体および腎毒性を受けていない個体からそれぞれ得られた身体の試料について上の方法の工程(a)、(b)および(c)を実施する工程を含んでなる治療に応答するかどうかを決定すること、ならびに薬物療法に対する応答性を決定することに使用するための試験を提供する。
本発明のマーカーの発現のレベルへの薬剤(たとえば、薬物化合物)の影響をモニターすることを、臨床試験において有利に応用することができる。たとえば、マーカーの発現に影響するべき薬剤の有効性を、腎臓の疾患もしくは毒性に対する処置を受けている対象の臨床試験においてモニターすることができる。好ましい実施態様において、本発明は、薬剤(たとえば、アゴニスト、アンタゴニスト、ペプチド擬似体、タンパク質、ペプチド、核酸、小分子もしくは他の薬物候補)での対象の処置の有効性をモニターするための方法であって、(i)薬剤の投与に先立って対象から投与前試料を得ること;(ii)投与前試料の中で本発明の一つもしくはそれ以上の選択されたマーカーの発現のレベルを検出すること;(iii)対象から一つもしくはそれ以上の投与後試料を得ること;(iv)投与後試料の中でマーカー(複数を含む)の発現のレベルを検出すること;(v)投与前試料の中のマーカー(複数を含む)の発現のレベルを投与後の一つもしくは複数の試料の中のマーカー(複数を含む)の発現のレベルと比較すること;および(vi)したがって薬剤の対象への投与を代えること:の工程を含んでなる、方法を提供する。たとえば、薬剤の修飾された投与は、検出されるよりさらに高いレベルへマーカー(複数を含む)の発現を増加させるために、即ち、薬剤の有効性を増加させるために望ましい可能性がある。これに代えて、薬剤の増加された/減少された投与は、それぞれ、薬剤の有効性を増加させる/減少させるために望ましい可能性がある。
本発明のもう一つの特別な態様において、腎障害もしくは腎毒性を有するかまたは有する危険性にある対象を処置する予防的なおよび治療的な方法の両方のための方法が提供される。予防的な薬剤の投与は、腎障害に特徴的な症状の発現に先立って、腎障害の発症がその進行で予防されるかもしくは遅延されるように、起こり得る。適当な治療薬剤の例には、限定するものではないが、下でさらに詳細に記述されるように、アンチセンスヌクレオチド、リボザイム、二重鎖RNA、リガンド、小分子およびアンタゴニストが含まれる。
特別な実施態様において、本発明は、個体における腎毒性を処置するかもしくは予防する方法であって、当該個体に、腎臓において一つもしくはそれ以上の遺伝子の合成、発現もしくは活性を調整する調整化合物または遺伝子のカルビンジンD−28k、KIM−1,OPN、EGF、および/もしくはクラステリンのグループの遺伝子発現生成物の治療的に有効な量を、腎毒性の少なくとも一つの症状が改善されるように、投与する工程を含む、方法を提供する。
もう一つの態様において、本発明は、個体における腎毒性を処置する方法であって、当該個体に、腎臓において一つもしくはそれ以上の遺伝子の合成、発現もしくは活性を調整する調整化合物または遺伝子のVEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼB、ポドシン、アルファ−2uおよび/もしくはC4のグループの遺伝子発現生成物の治療的に有効な量を、腎毒性の少なくとも一つの症状が改善されるように、投与する工程を含む、方法を提供する。
本発明のさらなる態様にしたがって、細胞毒性薬剤での処置下にある個体における腎毒性を処置する方法であって、当該個体に、腎臓において一つもしくはそれ以上の遺伝子の合成、発現もしくは活性を調整する調整化合物または遺伝子のカルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGF、クラステリン、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼB、ポドシン、アルファ−2uおよび/もしくはC4のグループの遺伝子発現生成物の治療的に有効な量を、腎毒性の少なくとも一つの症状が改善されるように、投与する工程を含む、方法が提供される。細胞毒性薬剤は、シクロスポリン、シスプラチン、タクロリムス、アミノグリコシド、スルホンアミドおよびトリメタジオンの中で好ましく選択される。
本発明の特別な実施態様において、5.30E+08以上でカルビンジンD−28kの、1.50E+07未満でKIM−1の、2.80E+08以上でEGFの、1.40E+08未満でオステオポンチンの、1.90E+09未満でクラステリンのおよび/もしくは3.00E+06以上でポドシンの、調整化合物での処置後の個体の身体の試料の中における遺伝子のmRNA発現は、腎毒性の少なくとも一つの症状が改善されていることを示すが、そこでは、遺伝子のmRNA発現は絶対値で測定される。しかしながら、これらの値はそれぞれの集団のタイプもしくは種について多分変わり得る。
もう一つの特別な実施態様において、EGFについて4倍未満の、VEGFについて2倍未満の、OAT−K1について2倍未満の、アルドラーゼAについて20倍未満のおよび/もしくはアルドラーゼBについて2倍未満の、調整化合物での処置後の個体の身体の試料の中で測定された遺伝子発現の抑制、ならびに/またはKIM−1について20倍未満の、OPNについて3倍未満の、クラステリンについて7倍未満の、アルファ−2uについて50倍未満のおよび/もしくはC4について3倍未満の、遺伝子発現の誘発は、腎毒性の少なくとも一つの症状が改善されていることを示す。しかしながら、これらの値はそれぞれの集団のタイプもしくは種について多分変わり得る。
本発明のもう一つの特別な態様において、マーカーの示差発現のお蔭で、これらのマーカーを利用して、患者における特定の薬物処置が腎臓に有毒でないであろうかどうかの予測の確実性を増強することが可能である。それ故に、本発明は、腎毒性の処置に使用する候補薬剤を同定するための方法であって、(a)毒性を受けている腎臓の組織の試料を候補薬剤と接触させること、(b)腎臓の組織から、カルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGFおよびクラステリンの中で選択される一つもしくはそれ以上の遺伝子に対応する遺伝子発現のレベルを測定して、第一のセットの値を得ること、ならびに(c)第一のセットの値を候補薬剤により誘発されていない腎毒性を受けている腎臓の組織において工程(b)に対するのと同じ遺伝子(複数を含む)についてかつ同一の条件下において評価された、遺伝子発現のレベルに対応する第二のセットの値と比較することの工程を含んでなるが、そこでは、カルビンジンD−28kおよび/もしくはEGFの遺伝子発現について第二値と実質的に同一かもしくはさらに大きい第一値は、候補薬剤が腎毒性の症状を改善している指標であり、ならびに/またはそこでは、KIM−1、オステオポンチンおよび/もしくはクラステリンの遺伝子発現について第二値と実質的に同一かもしくはさらに低い第一値は、候補薬剤が腎毒性の症状を改善している指標である、方法を提供する。
本発明のもう一つの特別な態様において、腎毒性の処置に使用する候補薬剤を同定するための方法であって、(a)毒性を受けている腎臓の組織の試料を候補薬剤と接触させること、(b)腎臓の組織から、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼB、ポドシン、アルファ−2uおよびC4の中で選択される一つもしくはそれ以上の遺伝子に対応する遺伝子発現のレベルを測定して、第一のセットの値を得ること、ならびに(c)第一のセットの値を候補薬剤により誘発されていない腎毒性を受けている腎臓の組織において工程(b)に対するのと同じ遺伝子(複数を含む)についてかつ同一の条件下において評価された遺伝子発現のレベルに対応する第二のセットの値と比較することの工程を含んでなるが、そこでは、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼBおよび/もしくはポドシンの遺伝子発現について第二値より実質的にさらに大きい第一値は、候補薬剤が腎毒性の症状を改善している指標であり、ならびに/またはそこでは、アルファ−2uおよび/もしくはC4の遺伝子発現について第二値より実質的にさらに低い第一値は、候補薬剤が腎毒性の症状を改善している指標である、方法が提供される。
好ましい実施態様において、5.30E+08以上でカルビンジンD−28kの、1.50E+07未満でKIM−1の、2.80E+08以上でEGFの、1.40E+08未満でオステオポンチンの、1.90E+09未満でクラステリンのおよび/もしくは3.00E+06以上でポドシンの、毒性を受けている腎臓組織の中におけるmRNA遺伝子発現は、候補薬剤が腎毒性を改善している指標であるが、そこでは、mRNA遺伝子発現は絶対値で測定される。しかしながら、これらの値はそれぞれの集団のタイプもしくは種について多分変わり得る。
もう一つの好ましい実施態様において、EGFについて4倍未満の、VEGFについて2倍未満の、OAT−K1について2倍未満の、アルドラーゼAについて20倍未満のおよび/もしくはアルドラーゼBについて2倍未満の、遺伝子発現の抑制、ならびに/またはKIM−1について20倍未満の、OPNについて3倍未満の、クラステリンについて7倍未満の、アルファ−2uについて50倍未満のおよび/もしくはC4について3倍未満の、遺伝子発現の誘発は、候補薬剤が腎毒性を改善している指標である。
本発明のもう一つの特別な態様において、腎毒性を引き起こさないかもしくは誘発しない候補薬剤を同定するための方法であって、(a)毒性を受けていない腎臓の組織の試料を候補薬剤と接触させること、(b)腎臓の組織から、カルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGFおよびクラステリンの中で選択される一つもしくはそれ以上の遺伝子に対応する遺伝子発現のレベルを測定して、第一のセットの値を得ること、ならびに(c)第一のセットの値を腎毒性を受けていない腎臓の組織において工程(b)に対するのと同じ遺伝子(複数を含む)についてかつ同一の条件下において評価された遺伝子発現のレベルに対応する第二のセットの値と比較すること:の工程を含んでなるが、そこでは、カルビンジンD−28kおよび/もしくはEGFの遺伝子発現について第二値と実質的に同一であるかもしくはさらに高い第一値は、候補薬剤が腎毒性を引き起こさないかもしくは誘発しない指標であり、ならびに/またはそこでは、KIM−1、オステオポンチンおよび/もしくはクラステリンの遺伝子発現について第二値と実質的に同一であるかもしくはさらに低い第一値は、候補薬剤が腎毒性を引き起こさないかもしくは誘発しない指標である、方法が提供される。
本発明のもう一つの特別な態様において、腎毒性を引き起こさないかもしくは誘発しない候補薬剤を同定するための方法であって、(a)毒性を受けていない腎臓の組織の試料を候補薬剤と接触させること、(b)腎臓の組織から、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼB、ポドシン、アルファ−2uおよびC4の中で選択される一つもしくはそれ以上の遺伝子に対応する遺伝子発現のレベルを測定して、第一のセットの値を得ること、ならびに(c)第一のセットの値を腎毒性を受けていない腎臓の組織において工程(b)に対するのと同じ遺伝子(複数を含む)についてかつ同一の条件下において評価された遺伝子発現のレベルに対応する第二のセットの値と比較すること:の工程を含んでなるが、そこでは、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼBおよび/もしくはポドシンの遺伝子発現について第二値と同一であるかもしくはさらに高い第一値は、候補薬剤が腎毒性を引き起こさないかもしくは誘発しない指標であり、ならびに/またはそこでは、アルファ−2uおよび/もしくはC4の遺伝子発現について第二値と同一であるかもしくはさらに低い第一値は、候補薬剤が腎毒性を引き起こさないかもしくは誘発しない指標である、方法が提供される。
好ましい実施態様において、5.30E+08以上でカルビンジンD−28kの、1.50E+07未満でKIM−1の、2.80E+08以上でEGFの、1.40E+08未満でオステオポンチンの、1.90E+09未満でクラステリンのおよび/もしくは3.00E+06以上でポドシンの、毒性を受けていない腎臓組織の中において測定されたmRNA発現レベルは、候補薬剤が引き起こさないかもしくは誘発しない指標であるが、そこでは、mRNA発現は絶対値で測定される。しかしながら、これらの値はそれぞれの集団のタイプもしくは種について多分変わり得る。しかしながら、値はそれぞれの集団のタイプもしくは種について多分変わり得る。
本発明のもう一つの好ましい実施態様にしたがって、EGFについて4倍未満の、VEGFについて2倍未満の、OAT−K1について2倍未満の、アルドラーゼAについて20倍未満のおよび/もしくはアルドラーゼBについて2倍未満の、遺伝子発現の抑制、ならびに/またはKIM−1について20倍未満の、OPNについて3倍未満の、クラステリンについて7倍未満の、アルファ−2uについて50倍未満のおよび/もしくはC4について3倍未満の、遺伝子発現の誘発は、候補薬剤が腎毒性を引き起こさないかもしくは誘発しない指標である。これらの値はそれぞれの集団のタイプもしくは種についてまた変わり得る。
本発明のもう一つの特別な態様において、二つの薬物候補の腎臓の細胞毒性の潜在能力を比較するための方法であって、(a)毒性を受けていない腎臓の組織の試料を第一の薬物候補と接触させて、腎臓の組織から、カルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGFおよびクラステリンの中で選択される一つもしくはそれ以上の遺伝子に対応する遺伝子発現(複数を含む)のレベル(複数を含む)を測定して、第一のセットの値を得ること、(b)毒性を受けていない腎臓の組織の試料を第二の薬物候補と接触させて、腎臓の組織から、カルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGFおよびクラステリンの中で選択される一つもしくはそれ以上の遺伝子に対応する遺伝子発現(複数を含む)のレベル(複数を含む)を測定して、第二のセットの値を得ること、ならびに(c)第一のセットの値を第二のセットの値と比較すること:の工程を含んでなるが、そこでは、もし第一値がカルビンジンD−28kおよび/もしくはEGFの遺伝子発現(複数を含む)について第二値より実質的にさらに低いならば、これは第二の薬物候補が第二の薬物候補より腎臓に対して細胞毒性がより少ない指標であり、ならびに/またはそこでは、もし第一値がKIM−1、オステオポンチンおよび/もしくはクラステリンの遺伝子発現(複数を含む)について第二値より実質的にさらに高いならば、これは第二の薬物候補が第二の薬物候補より腎臓に対して細胞毒性がより少ない指標である、方法が提供される。
本発明のさらなる特別な態様において、本発明は、二つの薬物候補の腎臓の細胞毒性の潜在能力を比較するための方法であって、(a)毒性を受けていない腎臓の組織の試料を第一の薬物候補と接触させて、腎臓の組織から、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼB、ポドシン、アルファ−2uおよびC4の中で選択される一つもしくはそれ以上の遺伝子に対応する遺伝子発現のレベルを測定して、第一のセットの値を得ること、(b)毒性を受けていない腎臓の組織の試料を第二の薬物候補と接触させて、腎臓の組織から、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼB、ポドシン、アルファ−2uおよびC4の中で選択される一つもしくはそれ以上の遺伝子に対応する遺伝子発現(複数を含む)のレベル(複数を含む)を測定して、第二のセットの値を得ること、ならびに(c)第一のセットの値を第二のセットの値と比較することの工程を含んでなるが、そこでは、もし第一値がVEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼBおよび/もしくはポドシンの遺伝子発現について第二値より実質的にさらに低いならば、これは第二の薬物候補が第二の薬物候補より腎臓に対して細胞毒性がより少ない指標であり、ならびに/またはそこでは、もし第一値がアルファ−2uおよび/もしくはC4の遺伝子発現について第二値より実質的にさらに高いならば、これは第二の薬物候補が第二の薬物候補より腎臓に対して細胞毒性がより少ない指標である、方法が提供される。
上の方法、即ち、(i)候補薬剤を同定するための、(ii)二つの薬物候補の腎臓の細胞毒性の潜在能力を比較するためのおよび(iii)腎毒性を引き起こさないかもしくは誘発しない候補薬剤を同定するための、方法の一つの特別な利点は、それらをインビトロで実施できることである。使用される腎臓組織は、細胞毒性薬剤と接触されてきている培養された腎臓組織もしくは細胞から好ましく得られる。腎臓組織は、腎毒性を受けている個体の腎臓の試料であり得るが、これは、そのような方法の広範なインビトロ適用を制限し得る。
培養された腎臓組織もしくは細胞は、好ましくは腎臓の、ヒトの細胞のおよび組織の障害を擬似するインビボの動物モデルに有利に基づき得る。それはまた、たとえば、ヒト腎臓上皮性293T細胞もしくはヒトの胎児腎臓細胞系のような腎臓細胞の単一または収集であり得る。細胞毒性薬剤は、腎臓に対して既知の毒性を有する任意の分子であり得て、そして、シクロスポリン、シスプラチン、アミノグリコシド、スルホンアミド、タクロリムス、トリメタジオン等:を含む多くの例から有利に選択され得る。腎臓は、その機能的性質のために、薬物の腎毒性作用を特に受けやすいが、それらの性質には、a)大量の毒素を運ぶ、高容積の腎臓の血流;(b)毒素の相互作用もしくは摂取を可能にする、糸球体もしくは尿細管の上皮のどちらかにおいて、薬物と接触する大きい区域;(c)細胞の摂取を仲介する特異的伝達機構を提供するところの、腎臓の活性物質を伝達する能力;d)腎臓の尿細管の中で起こりかつ非毒性の親物質から毒性の代謝物にいたり得る、薬物分解;e)吸収されない生成物の尿中のおよび間質性の濃度を増加させ得る、腎臓の濃縮機構;f)摂動を受けるところの、正常な機能に必要である尿細管細胞の高い代謝速度、が含まれる。
シクロスポリン(たとえば、Neoral[登録商標])の濃度は、インビトロの研究の場合には10E−11〜10E−5の範囲にあり得る。しかしながら、これらの値はそれぞれの集団の細胞タイプもしくは培養条件について多分変わり得る。
シクロスポリン(たとえば、Neoral[登録商標])の濃度は、インビトロの研究の場合には10E−11〜10E−5の範囲にあり得る。しかしながら、これらの値はそれぞれの集団の細胞タイプもしくは培養条件について多分変わり得る。
本発明のさらなる特別な態様は、カルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGF、クラステリン、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼB、ポドシン、アルファ−2uおよびC4の中で選択される一つもしくはそれ以上のマーカー遺伝子に対応する遺伝子発現のレベルを測定する手段を含む、個体において腎毒性を診断するためのキットを提供する。
好ましい実施態様は、細胞毒性薬剤での処置下にある個体において腎毒性を診断するためのキットを提供する。シクロスポリン、シスプラチン、タクロリムス、アミノグリコシド、スルホンアミドおよび/もしくはトリメタジオンが好ましくは細胞毒性薬剤である。
好ましい実施態様は、細胞毒性薬剤での処置下にある個体において腎毒性を診断するためのキットを提供する。シクロスポリン、シスプラチン、タクロリムス、アミノグリコシド、スルホンアミドおよび/もしくはトリメタジオンが好ましくは細胞毒性薬剤である。
本発明の特別な実施態様において、カルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGF、クラステリン、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼB、ポドシン、アルファ−2uおよびC4の中で選択される少なくとも2もしくは3個の遺伝子の遺伝子発現のレベルを測定することができる、キットが提供される。
好ましい実施態様において、遺伝子発現のレベルを測定するための手段は、マーカー遺伝子に特異的なオリゴヌクレオチドを含む。特に好ましいのは、ノーザンブロット分析、逆転写PCR、リアルタイム定量的PCR、分岐したDNA、核酸配列ベースの増幅(NASBA)、転写仲介の増幅、リボヌクレアーゼ保護アッセイおよびマイクロアレイから選択される方法である。
もう一つの特別な実施態様は、遺伝子発現のレベルを測定するための手段が、カルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGF、クラステリン、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼB、ポドシン、アルファ−2uおよびC4の中で選択されるマーカー遺伝子によりコード化されるタンパク質に特異的な少なくとも一つの抗体を含む、キットを提供する。抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化もしくはキメラ抗体、および抗体フラグメントのマーカーへの結合のために十分な生物学的に機能性の抗体フラグメントの中で好ましく選択される。特に好ましいのは、遺伝子発現のレベルを測定するための免疫アッセイ方法である。
本発明のもう一つの好ましい実施態様において、個体の身体の試料を得るための手段をさらに含む、キットが提供される。特に好ましい実施態様は、遺伝子発現のレベルを測定するための手段および個体の身体の試料を含有するために適当な容器をさらに含む。もう一つの好ましい実施態様において、キットは、使用およびキットの結果の解釈のための取扱い説明書をさらに含む。
測定方法
マーカー(カルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGF、クラステリン、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼB、ポドシン、アルファ−2uおよびC4)から得られるmRNA転写体のレベルを検出するための特に有用な方法は、標識化したmRNAのオリゴヌクレオチドの規則アレーへのハイブリダイゼーションを伴う。そのような方法は、複数のこれらの遺伝子の転写のレベルを同時に測定して、遺伝子発現のプロフィールもしくはパターンを作成することを許容する。対象から得られた試料から誘導される遺伝子発現プロフィールを、もう一つの実施態様において、疾患の無い対象から得られた試料から誘導される遺伝子発現プロフィールと比較することができて、それにより対象が腎臓の疾患もしくは毒性を有するかまたは発症する危険性にあるかどうかを決定することができる。
マーカー(カルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGF、クラステリン、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼB、ポドシン、アルファ−2uおよびC4)から得られるmRNA転写体のレベルを検出するための特に有用な方法は、標識化したmRNAのオリゴヌクレオチドの規則アレーへのハイブリダイゼーションを伴う。そのような方法は、複数のこれらの遺伝子の転写のレベルを同時に測定して、遺伝子発現のプロフィールもしくはパターンを作成することを許容する。対象から得られた試料から誘導される遺伝子発現プロフィールを、もう一つの実施態様において、疾患の無い対象から得られた試料から誘導される遺伝子発現プロフィールと比較することができて、それにより対象が腎臓の疾患もしくは毒性を有するかまたは発症する危険性にあるかどうかを決定することができる。
マーカー(カルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGF、クラステリン、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼB、ポドシン、アルファ−2uおよびC4)の遺伝子発現を、RT−PCR、高処理技術、を用いるキットの型で好ましく評価することができる:周知の技術のRT−PCR反応は、AmpliTaq Gold DNAポリメラーゼの5'ヌクレアーゼ活性を活用して、PCRの間にTaqManプローブを開裂する。プローブは、5'−レポーター染料および3'−失活剤染料を持つオリゴヌクレオチド(通常は約20マー)から成る。FAM(6−カルボキシフルオレセイン)のような、蛍光レポーター染料は、オリゴヌクレオチドの5'末端に共有的に連結される。レポーターは、3'末端に位置するリンカーの腕を介して付着されたTAMRA(6−カルボキシ‐N,N,N',N'‐テトラメチルローダミン)により失活される。
それぞれのマーカー(カルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGF、クラステリン、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼB、ポドシン、アルファ−2uおよびC4)について用いられるオリゴヌクレオチドのプローブは、そのようなマーカーの遺伝子のヌクレオチド配列から誘導されねばならないが、適切なオリゴヌクレオチド配列の選択は、いまや当業者にとって標準的日常技術の事である。以下の表1は、ヒト、ラットおよび/もしくはマウスにおけるマーカー配列のためのGenbankデータベースの種々のアクセスコードを示す。
正常のおよび疾患の両方の細胞により分泌されるところのマーカー(カルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGF、クラステリン、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼB、ポドシン、アルファ−2uおよびC4)のタンパク質発現はまた分析され得て、本発明の方法において価値がある。上澄み液を単離することができて、そしてMWT−COフィルターを用いて、タンパク質の混合物を簡単にすることができる。次いで、タンパク質をトリプシンで消化することができる。次いで、トリプチックペプチドをミクロキャピラリーHPLCカラム上に負荷し得るが、そこではそれらが分離されて、特注の電子スプレーイオン化源を通して、直接にイオントラップ質量分析計の中に溶出される。傾斜の全体を通して、配列データを、既に断片化されてきているものを動的に排除する一方で、カラムから溶出する四つの最強度のイオン(ペプチド)の断片化を通して獲得することができる。この方法で、試料中のおよそ50〜200の異なるタンパク質に対応して、多重スキャンからの配列データを得ることができる。これらのデータを、Ms-Tagのような相関分析ツールを用いてデータベースに対して検索して、上澄み液中のマーカーのタンパク質発現を同定する。
マーカーによりコード化されたタンパク質の発現をまた、検出可能なように標識化されているか、もしくは引き続いて標識化され得るところのプローブにより検出することができる。一般的には、プローブは、発現されたタンパク質を認識する抗体である。
マーカーによりコード化されたタンパク質の発現をまた、検出可能なように標識化されているか、もしくは引き続いて標識化され得るところのプローブにより検出することができる。一般的には、プローブは、発現されたタンパク質を認識する抗体である。
本明細書で使用される際には、用語抗体には、限定するものではないが、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化もしくはキメラ抗体、および抗体フラグメントのタンパク質への結合のために十分な生物学的に機能性の抗体フラグメントが含まれる。
次いで、試料中で既知のタンパク質が発現される程度を上述の抗体を利用する免疫アッセイ方法により測定する。そのような免疫アッセイ方法には、限定するものではないが、ドットブロティング、ウエスタンブロッティング、競合的および非競合的タンパク質結合アッセイ、酵素結合免疫ソルベントアッセイ(ELISA)、免疫組織化学、蛍光活性化細胞選別(FACS)、ならびに普通に使用されかつ科学および特許の文献に広く記載されている他のものが含まれて、そして多くは商業的に使用される。
これに代えて、マーカータンパク質(カルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGF、クラステリン、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼB、ポドシン、アルファ−2uおよびC4)を、二次元のゲル電気泳動システムにより分離することができる。二次元のゲル電気泳動は当分野で周知であって、典型的に一次元に沿う等電点電気泳動に続く二次元に沿うSDS−PAGE電気泳動を伴う。ここで得られる電気泳動図を、質量分析技法、ウエスターンブロティングならびにポリクローナルおよびモノクローナル抗体を用いる免疫ブロット分析、ならびに内部およびN−末端ミクロ−シークエンシングを含む、数多くの技法により分析することができる。
薬物スクリーニング方法
上述の薬物スクリーニング方法に加えて、無細胞アッセイをまた使用して、マーカー(カルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGF、クラステリン、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼB、ポドシン、アルファ−2uおよびC4)によりコード化されるタンパク質と相互作用する能力のある化合物を同定して、タンパク質もしくはその結合パートナーを変えることができる。無細胞アッセイをまた使用して、コード化されたタンパク質および標的ペプチドのようなその結合パートナーとの間の相互作用を調整する化合物を同定することができる。
上述の薬物スクリーニング方法に加えて、無細胞アッセイをまた使用して、マーカー(カルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGF、クラステリン、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼB、ポドシン、アルファ−2uおよびC4)によりコード化されるタンパク質と相互作用する能力のある化合物を同定して、タンパク質もしくはその結合パートナーを変えることができる。無細胞アッセイをまた使用して、コード化されたタンパク質および標的ペプチドのようなその結合パートナーとの間の相互作用を調整する化合物を同定することができる。
一つの実施態様において、そのような化合物を同定するための無細胞アッセイは、マーカータンパク質(カルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGF、クラステリン、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼB、ポドシン、アルファ−2uおよびC4)および結合パートナー、たとえば、生物学的に不活性な標的ペプチド、もしくは小分子の存在下もしくは不在下における試験化合物または試験化合物のライブラリーを含有する反応混合物を含む。分子間の相互作用をまた、表面プラスモン共鳴、光学的現象、を検出するところのリアルタイムBIA(生体分子相互作用分析、Pharmacia Biosensor(AB))を用いることにより評価することができる。タンパク質およびその結合パートナーとの間の複合体の形成を、放射標識、蛍光的標識もしくは酵素的標識のタンパク質もしくはその結合パートナーのような検出可能な標識タンパク質を使用して、免疫アッセイによりもしくはクロマトグラフ的検出により検出することができる。
転写体アレー
本発明の好ましい実施態様において、“オリゴヌクレオチドアレイ”(本明細書ではまた“マイクロアレイ”と呼ばれる)を使用する。マイクロアレイを、細胞における転写状態を分析するために、そして特に腎臓の細胞の転写状態を測定するために使用することができる。
本発明の好ましい実施態様において、“オリゴヌクレオチドアレイ”(本明細書ではまた“マイクロアレイ”と呼ばれる)を使用する。マイクロアレイを、細胞における転写状態を分析するために、そして特に腎臓の細胞の転写状態を測定するために使用することができる。
一つの実施態様において、転写体アレイは、細胞中に存在するmRNA転写体を表わす検出可能な標識ポリヌクレオチド(たとえば、全体の細胞mRNAもしくは標識cRNAから合成された蛍光的標識cDNA)をマイクロアレイにハイブリダイズすることにより製造される。本発明のマイクロアレイは、少なくとも一つのマーカー遺伝子(カルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGF、クラステリン、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼB、ポドシン、アルファ−2uおよびC4)の生成物のための結合(たとえば、ハイブリダイゼーション)部位の整列アレイを持つ表面である。マイクロアレイは数多くの方式で作成されることができる。しかしながら、製造されたマイクロアレイは特定の特色を共有する:アレイは再生可能であり、与えられたアレイの複数のコピーを製造してかつ容易にお互いに比較することを許容する。好ましくは、マイクロアレイは小さく、通常は5cm2、より小さく、そしてそれらは結合(たとえば、核酸ハイブリダイゼーション)の条件下では安定である材料から作成される。マイクロアレイ中の与えられた結合部位もしくはユニークなセットの結合部位は、細胞中で単一の遺伝子の生成物に特異的に結合するであろう。特異的なmRNA当り二つ以上の物理的結合部位(以後“部位”)があるけれども、理解しやすいように、下の考察は、単一の部位があることを想定する。特異的な実施態様において、それぞれの位置において既知の配列を持つ固定された核酸を含有する位置的にアドレスできるアレイが使用される。
細胞のRNAに相補的なcDNAが作成されて、適当なハイブリダイゼーション条件下でマイクロアレイにハイブリダイズされるときには、特定の遺伝子に対応するアレイ中の部位へのハイブリダイゼーションのレベルは、その遺伝子から転写されたmRNAの細胞中での優勢を反映するであろう。たとえば、全体の細胞mRNAに相補的な検出可能な標識(たとえば、蛍光体)のcDNAもしくはcRNAがマイクロアレイにハイブリダイズされるときには、細胞中で転写されない遺伝子 (たとえば、遺伝子の生成物に特異的に結合する能力がある) に対応するアレイ上の部位は、殆どか全く無いシグナル(たとえば、蛍光性シグナル)を有して、コード化されたmRNAが優勢である遺伝子は比較的強いシグナルを有するであろう。
データベース
本発明はまた、本発明(表1)で示されるマーカーのセットの少なくとも一つについての遺伝子発現プロフィールを含むデータベースを作成する方法を提供する。たとえば、それぞれのマーカーについての遺伝子発現プロフィールを、単独でもしくは組合せて、特定の腎臓の疾患もしくは毒性を同定するマーカープロフィールの標準化表示のためのデータ処理システムが集約されるように、デジタル保存媒体の中に保存することができる。
本発明はまた、本発明(表1)で示されるマーカーのセットの少なくとも一つについての遺伝子発現プロフィールを含むデータベースを作成する方法を提供する。たとえば、それぞれのマーカーについての遺伝子発現プロフィールを、単独でもしくは組合せて、特定の腎臓の疾患もしくは毒性を同定するマーカープロフィールの標準化表示のためのデータ処理システムが集約されるように、デジタル保存媒体の中に保存することができる。
本発明の分析方法を履行するためのこれに代わるコンピュータシステムおよび方法は当業者にとって明らかであるであろうし、そして添付の請求項内に含まれるものとする。特に、添付の請求項は、当業者にとって容易に明らかであろう本発明の方法を履行するためのこれに代わるプログラム構造を含むものとする。
本発明の一つの態様は、腎臓機能、腎毒性および/もしくは腎障害を含む生物学的プロセスに関連した候補遺伝子を同定する方法であって、a)少なくとも一つの数値Iを得るためのアルゴリズムの入力として、カルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGF、クラステリン、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼB、ポドシン、アルファ−2uおよびC4の中で選択される少なくとも一つのマーカーの遺伝子発現のレベルを使用すること;ならびに(b)a)で得られた少なくとも一つの数値Iを候補遺伝子について得られた数値IIと比較することを含んでなる、方法を提供する。好ましくは、方法は、もし工程(b)で得られた数値Iが予め定められた関係において数値IIと相関するならば、候補遺伝子が生物学的プロセスと関連する、工程(c)をさらに含む。本発明の特別な実施態様において、予め定められた関係は1もしくはそれより大である。本発明のもう一つの実施態様において、予め定められた関係は1もしくはそれより小である。
もう一つの特別な実施態様によると、カルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGF、クラステリン、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼB、ポドシン、アルファ−2uおよびC4の中で選択される少なくとも一つのマーカーの遺伝子発現のレベルは、腎臓組織、血液もしくは尿のような個体の少なくとも一つの身体の試料からまたは腎臓の細胞系から得られる。少なくとも一つの身体の試料は、好ましい実施態様において、腎臓組織および血液のような二つもしくはそれ以上の異なる身体の試料である。特に好ましい実施態様において、身体の試料もしくは細胞系は、細胞毒性薬剤と接触してきている。好ましくは、そのような細胞毒性薬剤は、シクロスポリン、シスプラチン、タクロリムス、アミノグリコシド、スルホンアミドおよびトリメタジオンの中で選択される。
本発明の特別な実施態様において、方法はコンピュータで実施可能な方法である。
本発明の特別な実施態様において、方法はコンピュータで実施可能な方法である。
アンチセンス分子
もう一つの実施態様では、標的RNA(好ましくはmRNA)の種の活性、特異的にはその翻訳速度を、アンチセンス核酸の制御可能な応用によって制御可能的に阻害することができる。本明細書で使用される際には、“アンチセンス”核酸とは、コード化および/もしくは非−コード化領域への或る配列相補性のお蔭で、標的RNAの配列‐特異的な(たとえば、非−ポリA)部分、たとえばその翻訳開始領域、へハイブリダイズする能力のある核酸を指す。本発明のアンチセンス核酸は、制御可能な様式で細胞に直接投与することができるところの、もしくは標的RNAの翻訳を摂動するに十分な制御可能な量において、外因性の導入された配列の翻訳によって細胞内的に生産することができるところの、二本鎖もしくは一本鎖の、RNAもしくはDNAまたはそれらの修飾体もしくは誘導体であるところのオリゴヌクレオチドであり得る。
好ましくは、アンチセンス核酸は少なくとも6個のヌクレオチドを持って、好ましくはオリゴヌクレオチド(6〜約200個のオリゴヌクレオチドの範囲にある)である。
もう一つの実施態様では、標的RNA(好ましくはmRNA)の種の活性、特異的にはその翻訳速度を、アンチセンス核酸の制御可能な応用によって制御可能的に阻害することができる。本明細書で使用される際には、“アンチセンス”核酸とは、コード化および/もしくは非−コード化領域への或る配列相補性のお蔭で、標的RNAの配列‐特異的な(たとえば、非−ポリA)部分、たとえばその翻訳開始領域、へハイブリダイズする能力のある核酸を指す。本発明のアンチセンス核酸は、制御可能な様式で細胞に直接投与することができるところの、もしくは標的RNAの翻訳を摂動するに十分な制御可能な量において、外因性の導入された配列の翻訳によって細胞内的に生産することができるところの、二本鎖もしくは一本鎖の、RNAもしくはDNAまたはそれらの修飾体もしくは誘導体であるところのオリゴヌクレオチドであり得る。
好ましくは、アンチセンス核酸は少なくとも6個のヌクレオチドを持って、好ましくはオリゴヌクレオチド(6〜約200個のオリゴヌクレオチドの範囲にある)である。
上で考察したように、アンチセンスヌクレオチドを、説明された遺伝子を発現する細胞に、種々の技法、たとえば、アンチセンスヌクレオチドをリポソーム中へ取り込ませる、腎臓組織部位の中へ直接に注入すること、により、細胞表面上に発現された受容体もしくは抗原と特異的に結合するペプチドまたは抗体にアンチセンスヌクレオチドを連結することにより腎臓細胞へ標的化されるところの修飾されたアンチセンスヌクレオチドを投与することにより、インビボで送達することができる。
しかしながら、上述の送達方法では、内因性mRNAの翻訳を阻害するのに十分な細胞内濃度を達成することは困難であり得る。したがって、これに代わる実施態様においては、アンチセンスヌクレオチド配列を含む核酸を、プロモーター、即ち、特異的な遺伝子の転写を開始するために必要とされるDNA配列、の転写的制御下に置いて、発現構築物を形成する。本発明のアンチセンス核酸は、外因性の配列からの転写によって細胞内に制御可能的に発現される。もし発現が、高レベルであるように制御されるならば、飽和の摂動もしくは修飾が結果的に生じる。
結論として、アンチセンス核酸を慣例的にデザインして、本明細書に引用されるマーカー遺伝子(カルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGF、クラステリン、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼB、ポドシン、アルファ−2uおよびC4)を含む実質上任意のmRNA配列も標的にすることができ、そして細胞は、有効かつ制御可能なもしくは飽和する量のアンチセンス核酸が発現されるように、そのようなアンチセンス配列をコード化する核酸と慣例的に形質転換されるかまたはそれに暴露される。したがって、細胞中で実質上任意のRNA種の翻訳は、修飾されるかもしくは摂動されることができる。
小分子薬物もしくはリガンド
これに加えて、マーカータンパク質(カルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGF、クラステリン、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼB、ポドシン、アルファ−2uおよびC4)の活性を、外因性の薬物もしくはリガンドへの暴露により、制御されたまたは飽和する様式で修飾するかまたは摂動することができる。本発明の方法は、腎臓障害を処置するための種々の薬物の有用性を試験することもしくは確認することにしばしば応用されるので、薬物暴露は、細胞の構成要素、mRNAおよび発現されたタンパク質の両方、を修飾する/摂動する重要な方法である。
これに加えて、マーカータンパク質(カルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGF、クラステリン、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼB、ポドシン、アルファ−2uおよびC4)の活性を、外因性の薬物もしくはリガンドへの暴露により、制御されたまたは飽和する様式で修飾するかまたは摂動することができる。本発明の方法は、腎臓障害を処置するための種々の薬物の有用性を試験することもしくは確認することにしばしば応用されるので、薬物暴露は、細胞の構成要素、mRNAおよび発現されたタンパク質の両方、を修飾する/摂動する重要な方法である。
好ましい場合においては、細胞中で唯一つのマーカーと相互作用し、その活性を増強するかもしくは低減するかのいずれかで、その一つのマーカータンパク質のみの活性を変えるところ薬物が知られている。種々の量のその薬物への細胞の段階的な暴露は、それによってそのマーカータンパク質を入力として有するネットワークモデルの段階的な摂動を引き起こす。飽和的な暴露は修飾/摂動を飽和することを引き起こす。
抗体およびアンタゴニスト
用語“アンタゴニスト”とは、遺伝子によってコード化されたタンパク質に結合されるとき、その活性を阻害するところの分子を指す。アンタゴニストには、限定するものではないが、ぺプチド、タンパク質、炭水化物および小分子が含まれ得る。
用語“アンタゴニスト”とは、遺伝子によってコード化されたタンパク質に結合されるとき、その活性を阻害するところの分子を指す。アンタゴニストには、限定するものではないが、ぺプチド、タンパク質、炭水化物および小分子が含まれ得る。
特に有用な実施態様では、アンタゴニストはマーカー(カルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGF、クラステリン、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼB、ポドシン、アルファ−2uおよびC4)について特異的な抗体である。抗体は単独で治療のエフェクターとして作用し得るかもしくはそれは他の細胞を補充して、細胞死を実際に効果的にする。
処置様式
アンチセンスヌクレオチドでの処置の場合には、方法は、上の表1で同定された少なくとも一つのマーカーから誘導されたアンチセンスヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子の治療的に有効な量を投与することを含むが、そこでは、アンチセンスヌクレオチドは、少なくとも一つの遺伝子の転写/翻訳を変化させる能力を有する。
アンチセンスヌクレオチドでの処置の場合には、方法は、上の表1で同定された少なくとも一つのマーカーから誘導されたアンチセンスヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子の治療的に有効な量を投与することを含むが、そこでは、アンチセンスヌクレオチドは、少なくとも一つの遺伝子の転写/翻訳を変化させる能力を有する。
アンタゴニストでの処置の場合には、方法は、上の表1で同定された少なくとも一つのマーカーによりコード化されるタンパク質を阻害するかもしくは活性化するところの、治療的に有効な量のアンタゴニストを対象に投与することを含む。
アンチセンスヌクレオチド、リボザイムをコード化しているヌクレオチド配列、二本鎖RNAもしくはアンタゴニストを含む単離された核酸分子の“治療的に有効な量”とは、腎臓の疾患もしくは毒性を処置するためのこれらの治療剤の一つの十分な量を指す。治療的に有効な量の決定は、多分に当業者の能力範囲内である。任意の治療薬について、治療的に有効な用量を、たとえば、腫瘍細胞の、細胞培養アッセイにおいてまたは動物モデル、普通はラット、マウス、ウサギ、イヌもしくはブタ、においてのいずれかで最初に推定することができる。また、動物モデルを用いて、適切な濃度範囲および投与経路を決定し得る。次いで、そのような情報を用いて、ヒトにおける投与について有用な用量および経路を決定することができる。
治療の有効性および毒性を、細胞培養系もしくは実験動物における標準的な薬学的手順、たとえば、ED50(集団の50%において治療的に有効な用量)およびLD50(集団の50%にとって致死的な用量)、によって決定し得る。有毒なおよび治療的な効果の間の用量比が治療指標であり、それを,LD50/ED50比として表することができる。大きな治療指標を示すところのアンチセンスヌクレオチド、リボザイム、二本鎖RNAおよびアンタゴニストが好ましい。細胞培養アッセイおよび動物試験から得られたデータは、ヒトで使用するための投与量の範囲を処方するのに用いられる。そのような組成で含有される投与量は、好ましくは、ほとんどもしくはまったく無い毒性を持つED50を含むところの循環濃度の範囲内である。投与量は、この範囲内で、使用される剤型、患者の感受性、および投薬経路に依存して変化する。
正確な投与量は、処置を必要とする対象に関係する要素と照らして、開業医によって決定されるであろう。用量および用法を調整して、活性部分の十分なレベルを提供するかもしくは望ましい効果を維持する。考慮に入れ得る要素には、病状の重症度、対象の全身的健康、対象の年齢、体重および性、食事、投与の時間および頻度、薬物の組合せ(複数を含む)、反応感受性、ならびに治療に対する寛容/応答が含まれる。
通常の投与量は、0.1〜100,000マイクログラムから、約1gの全投与量まで、投与経路に依存して変動し得る。特定の投与量および送達方法に関するガイダンスは、文献中に提供され、当分野の開業医に一般的に利用可能である。当業者は、ヌクレオチドについてはアンタゴニストについてよりは異なる処方を使用するであろう。
治療的な適用については、アンチセンスヌクレオチド、リボザイムをコード化するヌクレオチド配列、二本鎖RNA(リポソーム中に取り込まれているかもしくはウイルスベクター中に含有されているかどうか)および抗体は、好ましくは、一つもしくはそれ以上の薬学的に許容される担体との組合せで治療剤を含有する、医薬組成物として投与される。組成物は、単独または、限定するものではないが、生理食塩液、緩衝化された生理食塩液、デキストロースおよび水を含む、任意の無菌の生体適合性担体中で投与し得るところの安定化化合物のような、少なくとも一つの他の薬剤との組合せで、投与され得る。組成物は患者に、単独にまたは他の薬剤、薬物もしくはホルモンとの組合せで、投与され得る。
医薬組成物は、限定するものではないが、経口、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、骨髄内、髄腔内、心室内、経皮的、皮下的、腹腔内、経鼻的、経腸的、局所的、舌下的もしくは直腸の手段を含む、数多くの経路によって投与され得る。活性成分に加えて、これらの医薬組成物は、活性化合物を薬学的に用いられ得るところの製剤へ加工することを促進する、添加物および補助剤を含む適当な薬学的に許容される担体を含有し得る。
経口投与のための医薬組成物を、当分野において周知である薬学的に許容される担体を経口投与に適当な投与量で用いて処方することができる。そのような担体は、医薬組成物が、患者による摂取のために、錠剤、ピル、糖剤、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤等として、処方されることを可能にする。
本明細書中で引用される全ての文献は、出典明示により、あたかもそれぞれの文献または特許もしくは特許出願が、特異的かつ個別に全ての目的について全体的な出典明示により本明細書の一部とするのと同じ程度に、全体的なおよび全ての目的の出典明示により本明細書の一部とする。加えて、本明細書で引用される全てのGenBankアクセス番号は、出典明示により、あたかもそれぞれのそのような番号が、特異的かつ個別に全ての目的について全体的な出典明示により本明細書の一部とすると同程度に、全体的なおよび全ての目的の出典明示により本明細書の一部とする。
本発明は、本発明の個別の態様の単独の例示として意図されているところの本出願で説明される特定の実施態様によって、限定されるものではない。本発明の多くの変形例および変動例は、当業者には明白であろうように、その精神および範囲から逸脱することなくなされることができる。本発明の範囲内で機能的に同等な方法および装置は、本明細書中で列挙されたものに加えて、前述の説明および付随する図面から当業者には明白であろう。そのような変形例および変動例は、添付の請求項の範囲内に該当するものとする。本発明は、そのような請求項が権利を与えられている同等物の全範囲と共に、添付の請求項によってのみ、限定されるべきである。
本発明を実施するには、分子生物学、微生物学および組み替えDNAにおける多くの従来の技法が用いられる。これらの技法は周知であり、たとえば、「分子生物学における現行のプロトコール」、Volumes I, II, and III, 1997 (F. M. Ausubel ed. ); Sambrook et al., 1989, 「分子クローン化:実験室マニュアル、第2版」、Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N. Y.;「DNA クローン化:実用的アプローチ」、Volumes I and II, 1985(D. N. Glover ed.);「オリゴヌクレチド合成」、1984 (M. L. Gait ed. );「核酸ハイブリダイゼーション」、1985, (Hames and Higgins); 「転写および翻訳」、1984 (Hames and Higgins eds. );「動物細胞培養」、1986 (R. 1. Freshney ed.);「固定化細胞および酵素」、1986 (IRL Press); Perbal, 1984、「分子クローン化への実用的ガイド」;シリーズ、「酵素学での方法」(Academic Press, Inc);「哺乳動物細胞のための遺伝子転移ベクター」、1987 (J. H. Miller and M. P. Calos eds., Cold Spring Harbor Laboratory);ならびに「酵素学での方法」 Vol. 154 and Vol. 155 (それぞれ、WuおよびGrossman、ならびにWu編集,)の中で説明される。
実験1
ラット腎臓検体は、シクロスポリンA(CsA:Neoral[登録商標])を含む免疫抑制剤についての毒性および有効性のマーカーを同定するために実施された二週間のインビボ試験から得られた。CsAは臨床的応用の点だけでなく、また研究モデルの点でも免疫抑制のための参照化合物である。CsAは、T細胞活性化後の初期イベントを阻害し、幾つかのサイトカインの転写活性化を遮断する。
ラット腎臓検体は、シクロスポリンA(CsA:Neoral[登録商標])を含む免疫抑制剤についての毒性および有効性のマーカーを同定するために実施された二週間のインビボ試験から得られた。CsAは臨床的応用の点だけでなく、また研究モデルの点でも免疫抑制のための参照化合物である。CsAは、T細胞活性化後の初期イベントを阻害し、幾つかのサイトカインの転写活性化を遮断する。
腎臓は、毒性の主な標的として、研究されて、RNA発現の変化が、Affimetrixからの高密度DNA−アレイシステムを用いて全ての群でモニターされた。試験の生存に関係する部分は、以下の通りに実施された。
実験動物
実験動物
本試験に適用されたCsA濃度は:
群:1:対照;2:処置。
試験項目:Neoral[登録商標]‐Sandimmun (CsA):投与量(mg/kg):5;容積‐投与量(mL/kg):5。
処置期間後、ラットの腎臓を採集して、全RNAを抽出した。全RNAは、製造元の取扱い説明書にしたがい、TRIzol試薬(Life Technologies)を用いて、凍結腎臓から抽出された。全RNAは、λ=260nm(A260nm)における吸光度によって定量されて、純度は、比率A260nm/A280nmによって推定された。純度は、変性ゲル電気泳動によって確認された。RNAは、分析まで−80℃で保存された。
群:1:対照;2:処置。
試験項目:Neoral[登録商標]‐Sandimmun (CsA):投与量(mg/kg):5;容積‐投与量(mL/kg):5。
処置期間後、ラットの腎臓を採集して、全RNAを抽出した。全RNAは、製造元の取扱い説明書にしたがい、TRIzol試薬(Life Technologies)を用いて、凍結腎臓から抽出された。全RNAは、λ=260nm(A260nm)における吸光度によって定量されて、純度は、比率A260nm/A280nmによって推定された。純度は、変性ゲル電気泳動によって確認された。RNAは、分析まで−80℃で保存された。
良質の全RNAを用いて、二本鎖cDNAをSuperscript Choice System(Life Technologies)を用いて合成した。次いで、cDNAをインビトロで転写して(MEGAscript[登録商標]T7 Kit, Ambion)、ビオチン標識cRNAを形成した。次に、標識cRNAの12〜15μgを、プローブアレイに45℃にて16時間ハイブリダイズした。次いで、アレイを、EukGE-WS2プロトコル(Affimetrix)にしたがって洗浄して、ストレプトアビジン‐フィコエリトリン結合体(Molecular Probes)の10μ/mlで染色した。シグナルは、2mg/mlアセチル化BSA(Life technologies)、100mM MES、1M[Na+]、0.05%Tween20、0.005%Antiofoam(Sigma)、0.1mg/mlヤギIgGおよび0.5mg/mlビオチン化抗体で増幅されかつストレプトアビジンで再染色された抗体であった。洗浄後、アレイをGene Array[登録商標]スキャナー(Affimetrix)で二回走査した。
ゲノミックスのデータの採掘後にかつそれぞれの群で用いられた実験条件下で、幾つかの遺伝子がそれぞれのプローブアレイ上で、>2倍で示差的に発現されていることが見い出され、リアルタイムPCRでの確認のために選択された。GeneSpring[登録商標]ソフトウェアーを用いて、処置群における発現レベルを比較し、クラスタ化アルゴリズムを用いて遺伝子を選別した。これらの計算は、それらの発現変動にしたがって遺伝子を分離して、類似の変動パターンを共有する遺伝子をグループ化する(階層型クラスタリング、K-平均クラスタリング)。それはまた、特定の群における発現レベルの分布を全体的な分布と比較して、与えられた群が全体的な分布に属すべき確率を計算する。それについての発現変化が病理学的格付けと相関するところの遺伝子が選択された。五個の遺伝子マーカー、カルビンジン−D28k、KIM−1、OPN、EGFおよびクラステリン、が本薬剤での処置後に、DNA−アレイ上に観察された特異的なプロフィールの部分を構成する。
クラステリンは、この遺伝子の産物が分泌タンパク質であるので、マーカーとして特に興味が持たれ得る。クラステリンのタンパク質レベルは、非腎毒性化合物(A)および三つの腎毒性化合物(B、C、D;表3)での処置後にこれらの動物の血清検体のウエスタンブロット分析によって確認されるように、実際に増加された。
図1は、腎臓の尿細管好塩基球増加症に連結する遺伝子マーカー(カルビンジン−D28k、KIM−1、OPN、EGFおよびクラステリン)の発現変化(倍率変動)の進展を表す。比較のため、本明細書で説明される新規遺伝子マーカー(カルビンジン−D28k、KIM−1、OPN、EGFおよびクラステリン)がさらに多く影響を受けて、それ故にさらに密接に腎毒性と関係付けられ、そして結果としてさらに関連性がありかつ有用であることを立証するために、クレアチニン分泌(古典的なマーカー)の進展を図2に示す。
実験2
非臨床試験を、ラットに14日間および42日間投与するときの試験化合物(TC1)の毒性効果を確立するために開始した。試験は、試験化合物の潜在的腎毒性を評価するように設計された。
非臨床試験を、ラットに14日間および42日間投与するときの試験化合物(TC1)の毒性効果を確立するために開始した。試験は、試験化合物の潜在的腎毒性を評価するように設計された。
試験化合物を、シクロスポリンA(CsA:Neoral[登録商標])Placebo Microemulsion Preconcentrate中の溶液として、IGS Wister Hannover [Crl:WI(Glx/BRL/Han)IGS BR]ラット(N=5/性/群)に、20mg/kg/日、60mg/kg/日の用量で14日間および10mg/kg/日、25mg/kg/日の用量で42日間、経口的に強制飼養により投与した。追加群のラット(雄)は、ビークル(CsA(Neoral[登録商標]) Placebo Microemulsion Preconcentrate)を、5mL/kgの同等な投与容積で与えられて、対照として役立てられた。投薬の開始時では、動物はおよそ8週齢であった。腎臓の検体を検死日に採集した。
PCRによりモニターされたのは、一緒にもしくは単独で腎毒性のマーカーとして用いられ、それ故に試験化合物の腎毒性の評価を許容するところの本発明で説明される遺伝子(カルビンジン−D28k、KIM−1、OPN、EGFおよびクラステリン)であった。
本発明で説明される遺伝子(カルビンジン−D28k、KIM−1、OPN、EGFおよびクラステリン)の発現をモニターすることにもっぱら基づいて、腎臓顕微鏡スライドグラスの病理学的検査に先立って、試験化合物がCsA(20mg/日)よりもさらに低い腎毒性ではあるが、五つの遺伝子マーカーの発現によって立証されるように腎臓に対して若干損傷を与えることを結論付けることができた。しかしながら、腎毒性は、CsA発現プロフィールとの比較の後、試験化合物に特異的であるように思われた。さらに、10mg/kg/日の用量での42日間の処置後に、本発明で説明される遺伝子(カルビンジン−D28k、KIM−1、OPN、EGFおよびクラステリン)についての遺伝子発現プロフィールは、顕著な腎毒性を示さなかった(図3)。図中で、“倍率‐変化対対照”は、それぞれの対照群における本発明で説明される遺伝子(カルビンジン−D28k、KIM−1、OPN、EGFおよびクラステリン)についての分子数で除した処置群における本発明で説明される遺伝子(カルビンジン−D28k、KIM−1、OPN、EGFおよびクラステリン)についての分子数を表す。
これらの結論は、後の段階で確認されて、本発明で説明される遺伝子(カルビンジン−D28k、KIM−1、OPN、EGFおよびクラステリン)の発現をモニターすることによってなされる予測の妥当性を証明した。試験化合物の腎毒性は、(本発明で説明される遺伝子(カルビンジン−D28k、KIM−1、OPN、EGFおよびクラステリン)をモニターすることにより、先に予測されるようなCsA−誘発化腎毒性とは異なるところの)尿細管細胞質空胞化であると特徴付けられた。
実験3
ラットは、毎日1回、経口強制飼養により、5もしくは20mg/kg/日のシクロスポリンA誘導体(TC3)で処置された。次いで、腎臓を採取し、表4に列記されるようなプライマー配列を用いてポドシン発現をリアルタイム定量的PCR分析によって測定した。表5は、TC3で処置されたラットにおけるポドシン遺伝子の発現を示す。
ラットは、毎日1回、経口強制飼養により、5もしくは20mg/kg/日のシクロスポリンA誘導体(TC3)で処置された。次いで、腎臓を採取し、表4に列記されるようなプライマー配列を用いてポドシン発現をリアルタイム定量的PCR分析によって測定した。表5は、TC3で処置されたラットにおけるポドシン遺伝子の発現を示す。
実験4
(a)シクロスポリンA(CsA:Neoral[登録商標])により引き起こされる薬物‐誘発化腎毒性の機序を研究するためのならびに(b)腎毒性の潜在的な初期マーカーとしての特異的な遺伝子(およびそれらのタンパク質生成物)を同定するかもしれない遺伝子発現パターンを同定するための努力の中で、2週間のラット試験をシクロスポリンAを用いて実施した。雄性ラット(Crl:Wist Han系統)を、毎日1回、経口強制飼養により5もしくは20mg/kg/日のいずれかのシクロスポリンAで処置した。次いで、腎臓を採取して、全RNAを、製造元の取扱い説明書にしたがってTRIzol試薬(Life Technologies)を用いて凍結組織から抽出した。全RNAは、λ=260nm(A260nm)における吸光度によって定量され、純度は比率A260nm/A280nmによって推定された。純度は、変性ゲル電気泳動によって確認された。RNAは、分析まで−80℃で保存された。RNAを、Superscript Choice System (Life Technologies)を用いて逆転写した。次いで、DNAを、インビトロで転写して(MEGAscript[登録商標]T7キット、Ambion)、ビオチン標識cRNAを生成した。次に、標識cRNAを、GeneChip[登録商標]プローブアレイ(ラットアレイRU34A)にハイブリダイズした。プローブアレイへのハイブリダイゼーション、洗浄、染色およびスキャンニングを、製造元の取扱い説明書にしたがって行った。RNA発現プロフィールを、Affimetrix RU34Aラット遺伝子チップを用いて分析した。
(a)シクロスポリンA(CsA:Neoral[登録商標])により引き起こされる薬物‐誘発化腎毒性の機序を研究するためのならびに(b)腎毒性の潜在的な初期マーカーとしての特異的な遺伝子(およびそれらのタンパク質生成物)を同定するかもしれない遺伝子発現パターンを同定するための努力の中で、2週間のラット試験をシクロスポリンAを用いて実施した。雄性ラット(Crl:Wist Han系統)を、毎日1回、経口強制飼養により5もしくは20mg/kg/日のいずれかのシクロスポリンAで処置した。次いで、腎臓を採取して、全RNAを、製造元の取扱い説明書にしたがってTRIzol試薬(Life Technologies)を用いて凍結組織から抽出した。全RNAは、λ=260nm(A260nm)における吸光度によって定量され、純度は比率A260nm/A280nmによって推定された。純度は、変性ゲル電気泳動によって確認された。RNAは、分析まで−80℃で保存された。RNAを、Superscript Choice System (Life Technologies)を用いて逆転写した。次いで、DNAを、インビトロで転写して(MEGAscript[登録商標]T7キット、Ambion)、ビオチン標識cRNAを生成した。次に、標識cRNAを、GeneChip[登録商標]プローブアレイ(ラットアレイRU34A)にハイブリダイズした。プローブアレイへのハイブリダイゼーション、洗浄、染色およびスキャンニングを、製造元の取扱い説明書にしたがって行った。RNA発現プロフィールを、Affimetrix RU34Aラット遺伝子チップを用いて分析した。
発現プロフィール分析を、Compare and GeneChip Analysisプログラムを用いて実施された。Compare analysisを、アルゴリズム1、平均シグナル対平均シグナル、を用いて実施して、±2.5倍もしくはそれ以上の比率を有した遺伝子を列記した。統計分析を、SigmaStat 2.03を用いて実施した。負の値を有する全ての生の平均差異値を1に調整した。表6に列記された遺伝子については、異なる処置群の中での全体的差異は統計的に有意(p<0.001)であった。
シクロスポリンA(CsA)処置によって上向き調節される遺伝子
腎臓損傷分子(KIM−1)
CsA20mg/kg/日の処置によって有意に上向き調節されると見出された一つの遺伝子は、腎臓損傷分子(KIM−1)(プローブセットAF035963_at)であった。表6で示されるように、KIM−1の発現は、CsA20mg/kg/日で処置されたラットで、対照ラットと比較して26−倍誘発された(p<0.001)。CsA5mg/kg/日で処置されたラットでは、KIM−1の誘発はなにも検出されなかった。CsA(5mg)と比較したCsA(20mg)によるKIM−1発現の変化は、統計的に有意である(p<0.004)。
腎臓損傷分子(KIM−1)
CsA20mg/kg/日の処置によって有意に上向き調節されると見出された一つの遺伝子は、腎臓損傷分子(KIM−1)(プローブセットAF035963_at)であった。表6で示されるように、KIM−1の発現は、CsA20mg/kg/日で処置されたラットで、対照ラットと比較して26−倍誘発された(p<0.001)。CsA5mg/kg/日で処置されたラットでは、KIM−1の誘発はなにも検出されなかった。CsA(5mg)と比較したCsA(20mg)によるKIM−1発現の変化は、統計的に有意である(p<0.004)。
オステオポンチン(OPN)
CsA20mg/kg/日の処置によって有意に上向き調節されると見出された第二番目の遺伝子は、オステオポンチン(OPN)(プローブセットM14656_at)であった。表6で示されるように、オステオポンチンの発現は、CsA20mg/kg/日で処置されたラットで、対照ラットと比較して3.9−倍誘発された(p<0.001)。CsA5mg/kg/日で処置されたラットでは、オステオポンチンの誘発はなにも検出されなかった。CsA(20mg)と比較したCsA(5mg)によるオステオポンチン発現の変化は、統計的に有意である(p<0.001)。
CsA20mg/kg/日の処置によって有意に上向き調節されると見出された第二番目の遺伝子は、オステオポンチン(OPN)(プローブセットM14656_at)であった。表6で示されるように、オステオポンチンの発現は、CsA20mg/kg/日で処置されたラットで、対照ラットと比較して3.9−倍誘発された(p<0.001)。CsA5mg/kg/日で処置されたラットでは、オステオポンチンの誘発はなにも検出されなかった。CsA(20mg)と比較したCsA(5mg)によるオステオポンチン発現の変化は、統計的に有意である(p<0.001)。
クラステリン/テストステロン‐抑圧前立腺メッセージ2(TRPM‐2)
CsA20mg/kg/日の処置によって有意に上向き調節されると見出された第三番目の遺伝子は、テストステロン‐抑圧前立腺メッセージ2(TRPM‐2)としてまた知られる、クラステリン(プローブセットM64733mRNA_s_atあった。クラステリンの発現は、CsA20mg/kg/日で処置されたラットで、対照ラットと比較して7.6−倍誘発された(表6;p<0.001)。CsA5mg/kg/日で処置されたラットでは、クラステリンの誘発はなにも検出されなかった。CsA(20mg)と比較したCsA(5mg)によるクラステリン発現の変化は、統計的に有意である(p<0.001)。
CsA20mg/kg/日の処置によって有意に上向き調節されると見出された第三番目の遺伝子は、テストステロン‐抑圧前立腺メッセージ2(TRPM‐2)としてまた知られる、クラステリン(プローブセットM64733mRNA_s_atあった。クラステリンの発現は、CsA20mg/kg/日で処置されたラットで、対照ラットと比較して7.6−倍誘発された(表6;p<0.001)。CsA5mg/kg/日で処置されたラットでは、クラステリンの誘発はなにも検出されなかった。CsA(20mg)と比較したCsA(5mg)によるクラステリン発現の変化は、統計的に有意である(p<0.001)。
アルファ−2uグロブリン関係のタンパク質(アルファ‐2u)
CsA20mg/kg/日の処置によって有意に上向き調節されると見出された第四番目の遺伝子は、ヒトにおけるリポカリン2(LCN2)もしくは好中球ゼラチナーゼ関連のリポカリン(NGAL)としてまた知られる、アルファ−2uグロブリン関係のタンパク質(アルファ‐2u)(プローブセットrc_AA946503_at)であった。アルファ‐2uの発現は、CsA20mg/kg/日で処置されたラットで、対照ラットと比較して60−倍誘発された(表6;p<0.001)。CsA5mg/kg/日で処置されたラットでは、アルファ‐2uの誘発はなにも検出されなかった。対照およびCsA(5mg)と比較したCsA(20mg)によるアルファ‐2u発現の変化は、統計的に有意である(p<0.001)。
CsA20mg/kg/日の処置によって有意に上向き調節されると見出された第四番目の遺伝子は、ヒトにおけるリポカリン2(LCN2)もしくは好中球ゼラチナーゼ関連のリポカリン(NGAL)としてまた知られる、アルファ−2uグロブリン関係のタンパク質(アルファ‐2u)(プローブセットrc_AA946503_at)であった。アルファ‐2uの発現は、CsA20mg/kg/日で処置されたラットで、対照ラットと比較して60−倍誘発された(表6;p<0.001)。CsA5mg/kg/日で処置されたラットでは、アルファ‐2uの誘発はなにも検出されなかった。対照およびCsA(5mg)と比較したCsA(20mg)によるアルファ‐2u発現の変化は、統計的に有意である(p<0.001)。
補体成分4(C4)
CsA20mg/kg/日の処置によって有意に上向き調節されると見出された第五番目の遺伝子は、補体成分4(C4)(プローブセットU42179_at)であった。C4は、CsA20mg/kg/日で処置されたラットで、対照ラットと比較して3.3−倍誘発された(表6;p<0.001)。CsA5mg/kg/日で処置されたラットでは、C4の有意な誘発はなにも検出されなかった。CsA(20mg)と比較したCsA(5mg)によるC4発現の変化は、統計的に有意である(p<0.001)。
CsA20mg/kg/日の処置によって有意に上向き調節されると見出された第五番目の遺伝子は、補体成分4(C4)(プローブセットU42179_at)であった。C4は、CsA20mg/kg/日で処置されたラットで、対照ラットと比較して3.3−倍誘発された(表6;p<0.001)。CsA5mg/kg/日で処置されたラットでは、C4の有意な誘発はなにも検出されなかった。CsA(20mg)と比較したCsA(5mg)によるC4発現の変化は、統計的に有意である(p<0.001)。
シクロスポリンA(CsA)処置によって下方調御される遺伝子
表皮成長因子(EGF)
CsA20mg/kg/日の処置によって有意に下方調御されると見出された一つの遺伝子は、表皮成長因子(EGF)(プローブセットX12748cds_s_at)であった。CsA20mg/kg/日で処置されたラットは、対照ラットと比較して4.5−倍少ないEGF発現を示した(表6、p<0.001)。CsA5mg/kg/日で処置されたラットでは、EGF発現の有意な変化はなにも検出されなかった。CsA(5mg)と比較したCsA(20mg)によるEGF発現の変化は、統計的に有意である(p<0.004)。
表皮成長因子(EGF)
CsA20mg/kg/日の処置によって有意に下方調御されると見出された一つの遺伝子は、表皮成長因子(EGF)(プローブセットX12748cds_s_at)であった。CsA20mg/kg/日で処置されたラットは、対照ラットと比較して4.5−倍少ないEGF発現を示した(表6、p<0.001)。CsA5mg/kg/日で処置されたラットでは、EGF発現の有意な変化はなにも検出されなかった。CsA(5mg)と比較したCsA(20mg)によるEGF発現の変化は、統計的に有意である(p<0.004)。
血管内皮成長因子(VEGF)
CsA20mg/kg/日の処置によって有意に下方調御されると見出された第二番目の遺伝子は、血管内皮成長因子(VEGF)(プローブセットrc_AA850734_at)であった。VEGFは、CsA20mg/kg/日で処置されたラットでは、対照ラットと比較して2.6−倍抑圧された(表6、p<0.001)。CsA5mg/kg/日で処置されたラットでは、VEGF抑圧の有意な変化はなにも検出されなかった。CsA(5mg)と比較したCsA(20mg)によるVEGF発現の変化は、統計的に有意である(p<0.001)。
CsA20mg/kg/日の処置によって有意に下方調御されると見出された第二番目の遺伝子は、血管内皮成長因子(VEGF)(プローブセットrc_AA850734_at)であった。VEGFは、CsA20mg/kg/日で処置されたラットでは、対照ラットと比較して2.6−倍抑圧された(表6、p<0.001)。CsA5mg/kg/日で処置されたラットでは、VEGF抑圧の有意な変化はなにも検出されなかった。CsA(5mg)と比較したCsA(20mg)によるVEGF発現の変化は、統計的に有意である(p<0.001)。
腎臓特異的な有機陰イオン輸送体‐K1(OAT‐K1)
CsA20mg/kg/日の処置によって有意に下方調御されると見出された第三番目の遺伝子は、溶質担体ファミリー21メンバーa4(SLC21A4)としてまた知られる、腎臓特異的な有機陰イオン輸送体‐K1(OAT‐K1)であった。OAT‐K1の発現は、CsA20mg/kg/日で処置されたラットでは、対照ラットと比較して2.3−倍抑圧された(表6、p<0.001)。CsA5mg/kg/日で処置されたラットでは、OAT‐K1発現の有意な変化はなにも検出されなかった。CsA(5mg)と比較したCsA(20mg)によるVOAT‐K1発現の変化は、統計的に有意である(p<0.019)。
CsA20mg/kg/日の処置によって有意に下方調御されると見出された第三番目の遺伝子は、溶質担体ファミリー21メンバーa4(SLC21A4)としてまた知られる、腎臓特異的な有機陰イオン輸送体‐K1(OAT‐K1)であった。OAT‐K1の発現は、CsA20mg/kg/日で処置されたラットでは、対照ラットと比較して2.3−倍抑圧された(表6、p<0.001)。CsA5mg/kg/日で処置されたラットでは、OAT‐K1発現の有意な変化はなにも検出されなかった。CsA(5mg)と比較したCsA(20mg)によるVOAT‐K1発現の変化は、統計的に有意である(p<0.019)。
アルドラーゼA
CsA20mg/kg/日の処置によって有意に下方調御されると見出された第四番目の遺伝子は、アルドラーゼA(プローブセットU20643_at)であった。アルドラーゼAの発現は、CsA20mg/kg/日で処置されたラットでは、対照ラットと比較して26−倍抑圧された(表6、p<0.001)。CsA5mg/kg/日で処置されたラットでは、アルドラーゼA発現の有意な変化はなにも検出されなかった。CsA(5mg)と比較したCsA(20mg)によるアルドラーゼA発現の変化は、統計的に有意である(p<=0.042)。
CsA20mg/kg/日の処置によって有意に下方調御されると見出された第四番目の遺伝子は、アルドラーゼA(プローブセットU20643_at)であった。アルドラーゼAの発現は、CsA20mg/kg/日で処置されたラットでは、対照ラットと比較して26−倍抑圧された(表6、p<0.001)。CsA5mg/kg/日で処置されたラットでは、アルドラーゼA発現の有意な変化はなにも検出されなかった。CsA(5mg)と比較したCsA(20mg)によるアルドラーゼA発現の変化は、統計的に有意である(p<=0.042)。
アルドラーゼB
CsA20mg/kg/日の処置によって有意に下方調御されると見出された第五番目の遺伝子は、アルドラーゼB(プローブセットX02284_at)であった。アルドラーゼBの発現は、CsA20mg/kg/日で処置されたラットでは、対照ラットと比較して2.1−倍抑圧された(表6、p<0.001)。CsA5mg/kg/日で処置されたラットでは、OAT‐K1発現の有意な変化はなにも検出されなかった。CsA(5mg)と比較したCsA(20mg)によるアルドラーゼB発現の変化は、統計的に有意である(p<=0.001)。
CsA20mg/kg/日の処置によって有意に下方調御されると見出された第五番目の遺伝子は、アルドラーゼB(プローブセットX02284_at)であった。アルドラーゼBの発現は、CsA20mg/kg/日で処置されたラットでは、対照ラットと比較して2.1−倍抑圧された(表6、p<0.001)。CsA5mg/kg/日で処置されたラットでは、OAT‐K1発現の有意な変化はなにも検出されなかった。CsA(5mg)と比較したCsA(20mg)によるアルドラーゼB発現の変化は、統計的に有意である(p<=0.001)。
Claims (12)
- 個体において腎毒性を測定する方法であって、
(a)個体から身体の試料を得ること、
(b)身体の試料からカルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGFおよびクラステリンの中で選択される一つもしくはそれ以上の遺伝子に対応する遺伝子発現のレベルを測定して、第一のセットの値を得ること、ならびに
(c)第一のセットの値を腎毒性を受けていない個体の身体の試料において工程(b)に対するのと同じ遺伝子(複数を含む)についてかつ同一の条件下において評価された遺伝子発現のレベルに対応する第二のセットの値と比較すること:を含んでなるが、そこではカルビンジンD−28kおよび/もしくはEGFの遺伝子発現について第二値よりさらに低い第一値は工程(a)の個体が腎毒性を持っているか、発症しているかもしくは感受性である指標であり、ならびに/またはそこではKIM−1、オステオポンチンおよび/もしくはクラステリンの遺伝子発現について第二値よりさらに大きい第一値は個体が腎毒性を持っているか、発症しているかもしくは感受性である指標である、方法。 - 個体において腎毒性を測定する方法であって、
(a)個体から身体の試料を得ること、
(b)身体の試料からアルファ−2uグロブリン関係のタンパク質(アルファ−2u)、補体成分4(C4)、血管内皮成長因子(VEGF)、腎臓特異的な有機陰イオン輸送体−K1(OAT−K1)、アルドラーゼA、アルドラーゼBおよびポドシンの中で選択される一つもしくはそれ以上の遺伝子に対応する遺伝子発現のレベルを測定して、第一のセットの値を得ること、ならびに
(c)第一のセットの値を腎毒性を受けていない個体の身体の試料において工程(b)に対するのと同じ遺伝子(複数を含む)についてかつ同一の条件下において評価された遺伝子発現のレベルに対応する第二のセットの値と比較すること:を含んでなるが、そこではVEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼBおよび/もしくはポドシンの遺伝子発現について第二値よりさらに低い第一値は工程(a)の個体が腎毒性を持っているか、発症しているかもしくは感受性である指標であり、ならびに/またはそこではアルファ−2uおよび/もしくはC4の遺伝子発現について第二値よりさらに大きい第一値は個体が腎毒性を持っているか、発症しているかもしくは感受性である指標である、方法。 - 細胞毒性薬剤での処置下にある個体において腎毒性を測定する方法であって、
(a)個体から身体の試料を得ること、
(b)身体の試料からカルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGF、クラステリン、アルファ−2u、C4、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼBおよびポドシンの中で選択される一つもしくはそれ以上の遺伝子に対応する遺伝子発現のレベルを測定して、第一のセットの値を得ること、ならびに
(c)第一のセットの値を腎毒性を受けていない個体の身体の試料において工程(b)に対するのと同じ遺伝子(複数を含む)についてかつ同一の条件下において評価された遺伝子発現のレベルに対応する第二のセットの値と比較すること:を含んでなるが、そこではカルビンジンD−28k、EGF、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼBおよび/もしくはポドシンの遺伝子発現について第二値よりさらに低い第一値は工程(a)の個体が腎毒性を持っているか、発症しているかもしくは感受性である指標であり、ならびに/またはそこでは、KIM−1、OPN、クラステリン、アルファ−2uおよび/もしくはC4の遺伝子発現について第二値よりさらに大きい第一値は個体が腎毒性を持っているか、発症しているかもしくは感受性である指標である、方法。 - 腎毒性の少なくとも一つの症状が改善されるように、腎臓において一つもしくはそれ以上の遺伝子の合成、発現もしくは活性を調整する調整化合物または遺伝子のカルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGFおよび/もしくはクラステリンのグループの遺伝子発現生成物の治療的に有効な量を含む、腎毒性処置剤。
- 腎毒性の少なくとも一つの症状が改善されるように、腎臓において一つもしくはそれ以上の遺伝子の合成、発現もしくは活性を調整する調整化合物または遺伝子のVEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼB、ポドシン、アルファ−2uおよび/もしくはC4のグループの遺伝子発現生成物の治療的に有効な量を含む、腎毒性処置剤。
- 腎毒性の少なくとも一つの症状が改善されるように、腎臓において一つもしくはそれ以上の遺伝子の合成、発現もしくは活性を調整する調整化合物または遺伝子のカルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGF、クラステリン、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼB、ポドシン、アルファ−2uおよび/もしくはC4のグループの遺伝子発現生成物の治療的に有効な量を含む、細胞毒性薬剤の処置下にある個体の腎毒性処置剤。
- 腎毒性の処置に使用する候補薬剤を同定するための方法であって、
(a)毒性を受けている腎臓の組織の試料を候補薬剤と接触させること、
(b)腎臓の組織から、カルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGFおよびクラステリンの中で選択される一つもしくはそれ以上の遺伝子に対応する遺伝子発現のレベルを測定して、第一のセットの値を得ること、ならびに
(c)第一のセットの値を候補薬剤により誘発されていない腎毒性を受けている腎臓の組織において工程(b)に対するのと同じ遺伝子(複数を含む)についてかつ同一の条件下において評価された遺伝子発現のレベルに対応する第二のセットの値と比較すること:の工程を含んでなるがそこではカルビンジンD−28kおよび/もしくはEGFの遺伝子発現について第二値よりさらに大きい第一値は候補薬剤が腎毒性の症状を改善している指標であり、ならびに/またはそこではKIM−1、オステオポンチン、および/もしくはクラステリンの遺伝子発現について第二値よりさらに低い第一値は、候補薬剤が腎毒性の症状を改善している指標である、方法。 - 腎毒性を引き起こさないかもしくは誘発しない候補薬剤を同定するための方法であって、
(a)毒性を受けていない腎臓の組織の試料を候補薬剤と接触させること、
(b)腎臓の組織からカルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGFおよびクラステリンの中で選択される一つもしくはそれ以上の遺伝子に対応する遺伝子発現のレベルを測定して、第一のセットの値を得ること、
ならびに(c)第一のセットの値を腎毒性を受けていない腎臓の組織において工程(b)に対するのと同じ遺伝子(複数を含む)についてかつ同一の条件下において評価された遺伝子発現のレベルに対応する第二のセットの値と比較すること:の工程を含んでなるが、そこではカルビンジンD−28kおよび/もしくはEGFの遺伝子発現について第二値と同一であるかもしくはさらに高い第一値は、候補薬剤が腎毒性を引き起こさないかもしくは誘発しない指標であり、ならびに/またはそこではKIM−1、オステオポンチンおよび/もしくはクラステリンの遺伝子発現について第二値と同一であるかもしくはさらに低い第一値は、候補薬剤が腎毒性を引き起こさないかもしくは誘発しない指標である、方法。 - 腎毒性を引き起こさないかもしくは誘発しない候補薬剤を同定するための方法であって、
(a)毒性を受けていない腎臓の組織の試料を候補薬剤と接触させること、
(b)腎臓の組織からVEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼB、ポドシン、アルファ−2uおよびC4の中で選択される一つもしくはそれ以上の遺伝子に対応する遺伝子発現のレベルを測定して、第一のセットの値を得ること、ならびに
(c)第一のセットの値を腎毒性を受けていない腎臓の組織において工程(b)に対するのと同じ遺伝子(複数を含む)についてかつ同一の条件下において評価された遺伝子発現のレベルに対応する第二のセットの値と比較すること:の工程を含んでなるが、そこではVEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼBおよび/もしくはポドシンの遺伝子発現について第二値と同一であるかもしくはさらに高い第一値は候補薬剤が腎毒性を引き起こさないかもしくは誘発しない指標であり、ならびに/またはそこではアルファ−2uおよび/もしくはC4の遺伝子発現について第二値と同一であるかもしくはさらに低い第一値は候補薬剤が腎毒性を引き起こさないかもしくは誘発しない指標である、方法。 - 二つの薬物候補の腎臓の細胞毒性の潜在能力を比較するための方法であって、
(a)毒性を受けていない腎臓の組織の試料を第一の薬物候補と接触させて、腎臓の組織から、カルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGFおよびクラステリンの中で選択される一つもしくはそれ以上の遺伝子に対応する遺伝子発現のレベルを測定して、第一のセットの値を得ること、ならびに
(b)毒性を受けていない腎臓の組織の試料を第二の薬物候補と接触させて、腎臓の組織から、カルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGFおよびクラステリンの中で選択される一つもしくはそれ以上の遺伝子に対応する遺伝子発現(複数を含む)のレベル(複数を含む)を測定して、第二のセットの値を得ること、ならびに
(c)第一のセットの値を第二のセットの値と比較すること:の工程を含んでなるがそこではもし第一値がカルビンジンD−28kおよび/もしくはEGFの遺伝子発現(複数を含む)について第二値よりさらに低いならばこれは第二の薬物候補が第二の薬物候補より腎臓に対して細胞毒性がより少ない指標であり、ならびに/またはそこではもし第一値がKIM−1、オステオポンチンおよび/もしくはクラステリンの遺伝子発現について第二値よりさらに高いならばこれは第二の薬物候補が第二の薬物候補より腎臓に対して細胞毒性がより少ない指標である方法。 - 二つの薬物候補の腎臓の細胞毒性の潜在能力を比較するための方法であって、
(a)毒性を受けていない腎臓の組織の試料を第一の薬物候補と接触させて、腎臓の組織から、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼB、ポドシン、アルファ−2uおよびC4の中で選択される一つもしくはそれ以上の遺伝子に対応する遺伝子発現のレベルを測定して、第一のセットの値を得ること、ならびに
(b)毒性を受けていない腎臓の組織の試料を第二の薬物候補と接触させて、腎臓の組織から、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼB、ポドシン、アルファ−2uおよびC4の中で選択される一つもしくはそれ以上の遺伝子に対応する遺伝子発現(複数を含む)のレベル(複数を含む)を測定して、第二のセットの値を得ること、ならびに
(c)第一のセットの値を第二のセットの値と比較すること:の工程を含んでなるが、そこではもし第一値がVEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼBおよび/もしくはポドシンの遺伝子発現について第二値よりさらに低いならば、これは第二の薬物候補が第二の薬物候補より腎臓に対して細胞毒性がより少ない指標であり、ならびに/またはそこではもし第一値がアルファ−2uおよび/もしくはC4の遺伝子発現について第二値よりさらに高いならばこれは第二の薬物候補が第二の薬物候補より腎臓に対して細胞毒性がより少ない指標である、方法。 - 腎臓機能、腎毒性および/もしくは腎障害を含む生物学的プロセスに関連する候補遺伝子を同定する方法であって、
(a)少なくとも一つの数値Iを得るためのアルゴリズムの入力としてカルビンジンD−28k、KIM−1、OPN、EGF、クラステリン、VEGF、OAT−K1、アルドラーゼA、アルドラーゼB、ポドシン、アルファ−2uおよびC4の中で選択される少なくとも一つのマーカーの遺伝子発現のレベルを使用すること;ならびに
(b)(a)で得られた少なくとも一つの数値Iを候補遺伝子について得られた数値IIと比較すること:を含んでなる、方法。
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