JP2005529603A - 糖尿病を予防、治療、および診断するための組成物および方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、糖尿病を予防、治療、および診断するための方法および組成物を提供する。

Description

関連出願の相互参照
本願は、2002年6月13日に出願された米国仮特許出願番号60/388716号(これはすべての目的のために参照として組み入れられる)に対する優先権の利益を主張する。
発明の分野
本発明は、糖尿病を予防、治療、および診断するための方法および組成物に関する。
発明の背景
タンパク質分解は、タンパク質の機能および運命を調節するために細胞が利用する遍在性のメカニズムである。従って、同定されたプロテアーゼの数は多い。プロテアーゼが広範な生理学的プロセスにおいて果たす機能についての認識は大きくなりつつある。プロテアーゼは、組織損傷および感染に対して保護する防御メカニズムにおいて役割を果たすこと(例えば、血液凝固のタンパク質分解性カスケード、フィブリン溶解、および補体系)、プロホルモンおよびチモーゲンのタンパク質分解性活性化を通して調節エレメントとして作用すること、細胞外マトリックスの破壊を誘導すること、組織のターンオーバーおよび再組織化を制御すること、ならびに、リソソームにおいてタンパク質分解を可能にすることが見い出されてきた。
プロテアーゼは、タンパク質基質およびペプチド基質においてペプチド結合の触媒的切断の一般的メカニズムを共有する加水分解酵素である。プロテアーゼは4つの主要なグループに分類される:セリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、およびメタロプロテアーゼである。セリンプロテアーゼの例には、トリプシン、キモトリプシン、エンテロキナーゼ、血清補体、血清凝固因子が挙げられる(Vindigni、Combinatorial & High Throughput Screening, 2139 (1999))。
システインプロテアーゼは2つのスーパーファミリーにグループ化され得る:インターロイキン1β転換酵素(ICE)に関連する酵素のファミリーおよびパパインスーパーファミリーである。ICEは炎症およびプログラムされた細胞死において役割を果たす。パパインファミリーのシステインプロテアーゼは、大部分リソソームに局在し、システインカテプシンを含む。これらの酵素は、大部分、リソソームに侵入するエンドサイトーシスされたタンパク質および内因性タンパク質の末端の消化のためのメディエーターと見なされてきた(Chapmanら、Annu. Rev. Physiol., 59:63 (1997); McGrath, Annu. Rev. Biophys. Biolmol. Struct., 28:181 (1999); Buhlingら、Cellular Peptidases in Immune Function and Diseases(LangnerおよびAnsorge編)241-254頁; Turkら、EMBO. J., 20:4629 (2001))。
アスパラギン酸プロテアーゼには、カテプシンD、ガストリシン、ペプシン、およびレニンが挙げられる。結合組織再構築には、細胞外マトリックスの分解、およびしばしば再合成が含まれる。ECMの修飾は、創傷治癒、血管形成、排卵、胚形成、および成長板再構築を含む多くの生物学的事象の重要な構成要素である。ECMは、コラーゲン、ゼラチン、エラスチン、プロテオグリカン、フィブロネクチン、ラミニン、および種々のタンパク質からなり、その結果、いくつかのプロテアーゼがそれを分解するために必要とされる。このような酵素の最も顕著なグループはマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)であり、これにはコラゲナーゼ、ゼラチナーゼ、ストロメライシン、およびマトリリシンが含まれる。
生理学的な観点から必要であるのに加えて、プロテアーゼは、周囲の細胞環境に対して潜在的に危険であり、それゆえに、それらの活性はそれぞれの細胞または組織によって正確に制御されなくてはならない。プロテアーゼの制御は、通常、プロ-プロテアーゼの発現または分泌または活性の調節によって、成熟酵素の分解によって、およびそれらのタンパク質分解活性の阻害によって達成される。プロテアーゼ阻害物質は、小さなものからそれらの標的酵素よりもはるかに大きい、巨大な高分子構造までのサイズの範囲である、多くの異なる構造を取る。非常に広い特異性を有するα2-マクログロブリンを除いて、プロテアーゼ阻害物質は、それらが阻害するプロテアーゼの型に非常に特異的である。
少なくとも4つの別個のセリンプロテアーゼ阻害物質のファミリーが哺乳動物において知られている:セルピン型、Kazal型、Kunitz型、およびロイコ-プロテアーゼ型である(Otlewskiら、Acta Biochem. Polonica, 46:531 (1999))。多くのセルピンはセリンプロテアーゼに対する特異性を有する血清タンパク質であり、その触媒活性は血液凝固およびフィブリン溶解のようなプロセスを制御する。
Kunitz型プロテアーゼ阻害物質は、通常、1つまたはそれ以上の阻害ドメインを有する低分子量タンパク質であり、凝血におけるようなタンパク質分解反応のカスケードを制御する必要性が存在する場合に特に重要であり得る。
Kazal阻害物質は、Kunitz型ファミリーと酷似して、3つのジスルフィド結合によって維持されたそれらの構造を用いて機能する。最も広く研究されているKazalファミリーメンバーはオバムコイドであり、これは、6つまでのKazal型ドメインを含むトリ卵白プロテアーゼ阻害物質であり、トリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ、およびスブチリシンを阻害する。
ロイコプロテアーゼ阻害物質は一般的に低分子量であり、各々が4つの保存性ジスルフィドを含む2つの阻害性ドメインからなる。ロイコプロテアーゼ阻害物質は、ほぼ確実に、肺において好中球から放出されるエラスターゼを含む粘膜表面を損傷させ得るプロテアーゼの活性を制御するために働く。
システインプロテアーゼの阻害物質は、大部分2つのファミリー:シスタチンおよびキニノーゲンにグループ化され得る。シスタチンスーパーファミリーは2つの別個のファミリーにグループ化され得る。第1のファミリーであるステフィンは、ジスルフィド結合および炭水化物を欠くタンパク質である。ステフィンには、シスタチンAおよびシスタチンBが含まれる。第2のファミリーは2つのジスルフィド結合を有し、シスタチンC、シスタチンD、シスタチンS、シスタチンSN、シスタチンSA、およびサルコシスタチンAを含む。
キニノーゲンは血漿糖タンパク質であり、9個までのジスルフィド結合を有する。シスタチンは、植物酵素パパイン、パパイヤプロテアーゼIII、および哺乳動物酵素ジペプチジルペプチダーゼI(カテプシンC)、ならびにリソソームのカテプシンB、カテプシンH、およびカテプシンLのようなシステインプロテアーゼの活性を阻害する。MMPの不活性化をもたらす主要なメカニズムは、2つのクラスの阻害物質、α2-マクログロブリンまたはメタロプロテアーゼの組織阻害物質(TIMP)への結合を通してである(Robertsら、Critical Rev. Euk. Gene Exp., 5:385 (1995))。
すべての公知のプロテアーゼ阻害物質は、立体障害を通してプロテアーゼ触媒中心への基質の接近を妨害する。プロテイン阻害物質と標的プロテアーゼとの間のこの相互作用を媒介するドメインが記載されている。多くの場合において、特異的阻害物質ファミリーのすべてのメンバーは、同じクラスの標的プロテアーゼに対して指向される。ほんのわずかのみのプロテアーゼ阻害物質が、異なるクラスからのプロテアーゼに対して同時に働く二重活性を示す。1つの例は、規範的な基質様様式でセリンプロテアーゼの活性部位に結合することが見い出されているKAZALドメインである。プロトタイプKAZAL阻害物質は、すべての動物において存在するようである膵臓分泌性トリプシン阻害物質である。KAZAL阻害物質は3つのジスルフィドによって維持されるそれらの構造を用いて機能する。サイログロブリン-1反復は種々の異なる機能のタンパク質において見い出される。この反復は、タンパク質分解性の分解の制御に関与すると考えられている(Guncarら、EMBO J., 18, 793-803 (1999))。このドメインは通常6つの保存性システインを含む。これらは、3つのジスルフィド架橋を形成する。サイログロブリン-1反復ドメインは、プロテアーゼに結合しかつこれを阻害することを通してIGFBP-4の分解を阻害することによってIGFの増殖刺激効果を阻害する大きなタンパク質のファミリーを表すIGFBP中にも見い出される(Fowlkesら、Endocrinol., 138:2280 (1997))。Kunitz型阻害ドメインは、3つのジスルフィド結合を形成する6つのシステイン残基の保存性配置によって特徴付けられる。
糖尿病は2つの臨床的な症候群である、1型糖尿病および2型糖尿病に分けられ得る。1型すなわちインスリン依存性糖尿病(IDDM)は、インスリンを産生する膵臓のランゲルハンス島におけるβ細胞の広範な喪失によって特徴付けられる慢性自己免疫疾患である。これらの細胞が進行性に破壊されるにつれて、分泌されるインスリンの量が減少し、分泌されるインスリンの量が正常血糖(正常な血液グルコースレベル)のために必要とされるレベルより下に下がった場合に、最終的に高血糖(異常に高いレベルの血液中グルコース)をもたらす。この免疫応答のための正確なトリガーは未知であるが、IDDMの患者は膵臓β細胞において発現されたタンパク質に対する高レベルの抗体を有する。しかし、これらの高レベルの抗体を有するすべての患者がIDDMを発症するわけではない。
2型糖尿病(非インスリン依存性糖尿病(NIDDM)ともいわれる)は、筋肉細胞、脂肪細胞、および肝細胞がインスリンに対して正常に応答することに失敗する場合に発症する。この応答することの失敗(インスリン抵抗性と呼ばれる)は、これらの細胞上のインスリンレセプターの数の減少、または細胞内でのシグナル伝達経路の機能不全、あるいはこれらの両方に起因し得る。このβ細胞は、初期にインスリンアウトプットの増加によるこのインスリン抵抗性を補償する。長期間にわたり、これらの細胞は正常なグルコースレベルを維持するための十分なインスリンを産生することができなくなり、このことは2型糖尿病への進行を示す。
2型糖尿病は、遺伝的なリスク要因および後天的なリスク要因(高脂肪食、運動不足、および加齢を含む)の組み合わせによって生じる。全世界規模で、2型糖尿病は蔓延しており、肥満および座りがちのライフスタイルの増加、西洋風の食習慣の広範囲な採用、ならびに多くの国における人口の一般的な高齢化によって後押しされている。1985年において、全世界で3000万人が糖尿病であったと見積もられた--2000年までに、この数字は5倍増加し、1億5400万人までと見積もられた。糖尿病を有するヒトの数は現在から2025年までの間に2倍の約3億人までになると予測されている。
2型糖尿病はグルコース代謝および脂質代謝の欠損によって特徴付けられる複雑な疾患である。代表的には、絶食血漿グルコースレベル、脂肪酸レベル、およびトリグリセリドレベルの増加、ならびにHDL/LDL比の減少を含む多くの代謝的パラメーターの変動が存在する。上記に議論したように、根底にある糖尿病の主要な原因の1つは末梢組織(主に筋肉および脂肪)におけるインスリン抵抗性の増加であると考えられている。本発明はこの問題および他の問題に取り組む。
発明の要旨
本発明は、平滑筋結合タンパク質-2(SMAP-2)に関連する組成物および方法を提供する。例えば、本発明は、糖尿病または前糖尿病の個体を治療するための薬剤を同定するための方法を提供する。いくつかの実施態様において、この方法は以下の工程を含む:(i)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、または配列番号:9をコードする核酸にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によってコードされるポリペプチドを含む溶液と薬剤を接触させる工程;(ii)上記ポリペプチドの発現もしくは活性を減少させる薬剤または上記ポリペプチドに結合する薬剤を選択する工程;および(iii)細胞中でのインスリン感受性を調節する能力について該選択された薬剤を試験し、それによって細胞中でのインスリン感受性を調節することができる薬剤を同定する工程。
いくつかの実施態様において、この方法は、ポリペプチドの発現を減少させる薬剤を選択する工程を含む。いくつかの実施態様において、この方法は、ポリペプチドの活性を減少させる薬剤を選択する工程を含む。いくつかの実施態様において、この方法は、ポリペプチドに結合する薬剤を選択する工程を含む。
いくつかの実施態様において、接触させる工程はインビトロで実行される。いくつかの実施態様において、試験する工程は、動物に薬剤を投与する工程、およびインスリン感受性の調節について上記動物を試験する工程を含む。いくつかの実施態様において、動物は投与の前にインスリン抵抗性を示す。
いくつかの実施態様において、試験する工程は、ポリペプチドを発現する細胞を薬剤と接触させる工程、およびインスリン感受性の調節について上記細胞を試験する工程を含む。いくつかの実施態様において、試験する工程は、薬剤に接触されていない細胞と比較して、細胞中でグルコースの取り込みを増加させる薬剤を選択する工程を含む。いくつかの実施態様において、試験する工程は、薬剤に接触されていない細胞と比較して、細胞中でGLUT4移行を増加させる薬剤を選択させる工程を含む。
いくつかの実施態様において、細胞は脂肪細胞、心臓細胞、または骨格筋細胞である。いくつかの実施態様において、細胞はヒト細胞である。
いくつかの実施態様において、アミノ酸配列は配列番号:2を含む。いくつかの実施態様において、アミノ酸配列は配列番号:4を含む。いくつかの実施態様において、アミノ酸配列は配列番号:6を含む。いくつかの実施態様において、アミノ酸配列は配列番号:9を含む。
いくつかの実施態様において、薬剤は抗体である。いくつかの実施態様において、抗体はモノクローナル抗体である。いくつかの実施態様において、薬剤はアンチセンスポリヌクレオチドである。
いくつかの実施態様において、試験する工程は細胞のグルコースの取り込みを試験する工程を含む。いくつかの実施態様において、試験する工程は細胞中のGLUT4移行を試験する工程を含む。
本発明はまた、糖尿病または前糖尿病の動物を治療するための方法を提供する。いくつかの実施態様において、この方法は、以下の工程によって同定される薬剤の治療的有効量を動物に投与する工程を含む:(i)配列番号:2をコードする核酸にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によってコードされるポリペプチドを含む溶液と薬剤を接触させる工程;(ii)上記ポリペプチドの発現もしくは活性を減少させる薬剤または上記ポリペプチドに結合する薬剤を選択する工程;および(iii)細胞中でのインスリン感受性を調節する能力について上記選択された薬剤を試験する工程。
いくつかの実施態様において、薬剤は抗体である。いくつかの実施態様において、抗体はモノクローナル抗体である。いくつかの実施態様において、薬剤はアンチセンスポリヌクレオチドである。いくつかの実施態様において、動物はヒトである。
いくつかの実施態様において、この方法は、配列番号:2に特異的に結合する薬剤の治療的有効量を動物に投与する工程を含む。いくつかの実施態様において、薬剤はポリペプチドである。いくつかの実施態様において、薬剤は抗体である。いくつかの実施態様において、抗体はモノクローナル抗体である。いくつかの実施態様において、動物はヒトである。いくつかの実施態様において、薬剤はアンチセンスポリヌクレオチドである。
本発明はまた、糖尿病または前糖尿病の個体を診断する方法を提供する。いくつかの実施態様において、この方法は、配列番号:2をコードする核酸にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によってコードされるポリペプチドのレベルを個体からの試料中で検出する工程を包含し、ここで、痩せた人におけるポリペプチドのレベルまたは上記個体からの以前の試料におけるポリペプチドのレベルと比較して、試料中のポリペプチドのレベルの増加は、上記個体が糖尿病または前糖尿病であることを示す。
いくつかの実施態様において、個体は2型糖尿病を有する。いくつかの実施態様において、個体は前糖尿病である。いくつかの実施態様において、試料は血液試料、尿試料、または組織試料である。
いくつかの実施態様において、検出する工程は、試料をポリペプチドに特異的に結合する抗体に接触させる工程を含む。
いくつかの実施態様において、この方法は、配列番号:2をコードする核酸にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリペプチドのレベルを個体からの試料中で検出する工程を包含し、ここで、痩せた人におけるポリヌクレオチドのレベルまたは上記個体からの以前の試料のポリヌクレオチドのレベルと比較して、試料中のポリヌクレオチドのレベルの増加は、上記個体が糖尿病または前糖尿病であることを示す。いくつかの実施態様において、検出する段階は、配列番号:2をコードする核酸にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするmRNAを定量する工程を含む。いくつかの実施態様において、mRNAは逆転写され、かつポリメラーゼ連鎖反応において増幅される。いくつかの実施態様において、試料は血液試料、尿試料、または組織試料である。
本発明はまた、1つまたは2つのEFカルシウム結合ハンド(配列番号:2のアミノ酸351〜379位および配列番号:2のアミノ酸388〜416位)、Kazalドメイン(配列番号:2のアミノ酸40〜84位)、および/または2つのサイログロブリン-1反復ドメイン(配列番号:2のアミノ酸90〜153位および配列番号:2のアミノ酸216〜281位)を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む単離された核酸を提供する。いくつかの実施態様において、このポリペプチドは配列番号:2に示されるようなポリペプチドである。いくつかの実施態様において、このポリヌクレオチドは配列番号:1である。
本発明はまた、配列番号:2に示されるようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む核酸に作動可能に連結された異種プロモーターを含む発現カセットを提供する。
本発明はまた、配列番号:2に示されるようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む核酸でトランスフェクトされた宿主細胞を提供する。いくつかの実施態様において、この宿主細胞はヒト細胞である。いくつかの実施態様において、この宿主細胞は細菌である。
本発明はまた、1つまたは2つのEFカルシウム結合ハンド(配列番号:2のアミノ酸351〜379位および配列番号:2のアミノ酸388〜416位)、Kazalドメイン(配列番号:2のアミノ酸40〜84位)、および/または2つのサイログロブリン-1反復ドメイン(配列番号:2のアミノ酸90〜153位および配列番号:2のアミノ酸216〜281位)を含む単離されたポリペプチドを提供する。いくつかの実施態様において、このポリペプチドは配列番号:2を含む。
本発明はまた、異種ポリヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーターを含む発現カセットを提供し、ここで、上記プロモーターは配列番号:10または配列番号:11を含む。いくつかの実施態様において、この発現カセットはポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施態様において、このポリペプチドはレポーター遺伝子産物である。
本発明はまた、異種ポリヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーターを含む発現カセットを含む細胞を提供し、ここで、上記プロモーターは配列番号:10または配列番号:11を含む。
本発明はまた、筋肉細胞中でポリヌクレオチドを発現する方法を提供する。いくつかの実施態様において、この方法は、異種ポリヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーターを含む発現カセットを導入する工程を包含し、ここで、上記プロモーターは、配列番号:10または配列番号:11を含む。
定義
「インスリン感受性」とは、細胞におけるグルコースの取り込みに対するインスリンの効果をいう。感受性は、生物体レベル、組織レベル、または細胞レベルで決定され得る。例えば、グルコース抵抗性試験後の血液または尿のグルコースレベルはインスリン感受性を示す。インスリン感受性を測定する他の方法には、例えば、グルコースの取り込みの測定(例えば、Garcia de Herreros, A.およびBirnbaum, M.J.、 J. Biol. Chem., 264, 19994-19999 (1989); Klip, A.、Li, G.、およびLogan, W.J.、Am. J. Physiol. 247, E291-296 (1984)を参照されたい)、組織(例えば骨格筋)へのグルコース注入速度(GINF)の測定(例えば、Ludvikら、J. Clin. Invest. 100:2354 (1997); Friasら、Diabates Care 23:64, (2000)を参照されたい)、およびインスリンに応答したGLUT4移行(例えば、本明細書中に記載されるようなもの)の感受性の測定が挙げられる。
「糖尿病に対する素因」とは、人が糖尿病を発症する高いリスクがある場合にその人に存在する。多くのリスク要因が当業者に知られており、これらには、遺伝的要因(例えば、平均的な集団におけるよりも糖尿病の高い発症を生じる対立遺伝子を有すること、または糖尿病の親もしくは兄弟を持っていること);太りすぎ(例えば、肥満度指数(BMI)が25kg/m2以上);習慣性肉体的不活発;人種/民族性(例えば、アフリカ系アメリカ人、ヒスパニック系アメリカ人、ネイティブアメリカン、アジア系アメリカ人、太平洋信託統治諸島の住民);以前に同定された、絶食グルコース障害またはグルコース耐性の障害;高血圧(例えば、成人において140/90mmHg以上);35mg/dl以上のHDLコレステロール;250mg/dl以上のトリグリセリドレベル;妊娠糖尿病もしくは9ポンドを超える新生児の出産;および/または多嚢胞性卵巣症候群が含まれる。例えば、「Report of the Expert Committee on the Diagnosis and Classification of Diabetes Mellitus」および「Screening for Diabetes」Diabetes Care 25(1): S5-S24 (2002)を参照されたい。
「痩せた個体」は、患者からの試料と比較するために使用される場合、110mg/dl未満の絶食血液グルコースレベルまたは140mg/dlの2時間PGの読み取りを有する成人をいう。「絶食」とは少なくとも8時間カロリー摂取がないことをいう。「2時間PG」は、患者を水に溶解した75gの無水グルコースの当量を含むグルコース負荷にチャレンジした後の、血液グルコースのレベルをいう。全体の試験は、一般的には、経口グルコース耐性試験(OGTT)といわれる。例えば、Diabete Care、補遺2002、 American Diabetes Association: Clinical Practice Recommendations 2002を参照されたい。痩せた個体におけるポリペプチドのレベルは、単一の個体からの読み取りであり得るが、代表的には、痩せた個体の群からの統計的な関連した平均値である。痩せた個体におけるポリペプチドのレベルは、例えば、コンピュータプログラムにおける値として表され得る。
「前糖尿病個体」とは、患者からの試料と比較して使用される場合、110mg/dlより上であるが126mg/dl未満である絶食血液グルコースレベル、または140mg/dlより上であるが200mg/dl未満である2時間PGの読み取りを有する成体をいう。「糖尿病個体」とは、患者からの試料と比較して使用される場合、126mg/dlより上の絶食血液グルコースレベル、または200mg/dlより上の2時間PGの読み取りを有する成体をいう。
本発明の「SMAP-2核酸」または「SMAP-2ポリヌクレオチド」は、SMAP-2ポリペプチドをコードする遺伝子のサブ配列または全長ポリヌクレオチド配列である。本発明の典型的なSMAP-2核酸には、配列番号:1、3、5、7、および8と実質的に同一の配列が含まれる。ヒトSMAP-2をコードするいくつかのヌクレオチド配列は、Genbankに寄託されている(例えば、アクセッション番号AB014737およびAB014730)。SMAP-2のマウスオルトログ(分泌型モジュラーカルシウム結合タンパク質-2(Secreted Modular Calcium-Binding Protein-2)(SMOC-2)と呼ばれる)をコードするヌクレオチド配列はAJ249901のアクセッション番号でGenbankに寄託されている。
ヒトSMAP-2をコードするヌクレオチド配列は、アクセッション番号AB014730でGenbankに寄託されており、21位で開始し1361位の終止コドンで終了するオープンリーディングフレームを有する。配列番号:3もまた参照されたい。AB014730のヌクレオチド21〜83はシグナルペプチドをコードし、ヌクレオチド138〜272はKazalドメインをコードし、ヌクレオチド288〜479および666〜863は2つのサイログロブリン-1反復ドメインをコードし、ならびにヌクレオチド1071〜1157および1182〜1268は2つのEFハンドドメインをコードする。
「SMAP-2ポリペプチド」または「SMAP-2」とは、プロテアーゼ阻害物質であり、かつ配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、および配列番号:9、ならびに配列番号:7によってコードされるポリペプチドと実質的に同一のポリペプチドまたはそのフラグメントをいう。SMAP-2配列の構成成分には、例えば、搬出シグナル配列(配列番号:2のアミノ酸1〜21)、1つまたは2つのEFカルシウム結合ハンド(配列番号:2のアミノ酸351〜379およびアミノ酸388〜416)(Kawasaki, HおよびKretsinger R.H. Protein Profile, 2, 297-490 (1995); Kawasakiら、Biometals 11, 277-295 (1998))、Kasalドメイン(配列番号:2のアミノ酸40〜84)(Luら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 98, 1410-1415 (2001))、および2つのサイログロブリン-1反復ドメイン(配列番号:2のアミノ酸90〜153およびアミノ酸216〜281)(Molinaら、Eur. J. Biochem., 240:125-133 (1996); Fowlkesら、Endocrinol., 138:2280-2285 (1997))が含まれ得る。サイログロブリン-1反復ドメインのコンセンサス配列は配列類似性サーチに由来している。サイログロブリン-1反復ドメインは2つの高度に保存性のモチーフ、QCおよびCWCVを含む保存性残基の中心コアを含むことが見いだされている(Molinaら、Eur. J. Biochem. 240:125-133 (1996))。
「SMAP-2活性」とは、第2のポリペプチドに結合するSMAP-2ポリペプチドの能力をいう。いくつかの場合において、第2のタンパク質はプロテアーゼであり、SMAP-2のプロテアーゼへの結合は、そのプロテアーゼの活性を阻害する。プロテアーゼ活性、およびそれゆえにプロテアーゼ活性の阻害は、プロテアーゼの存在下で時間の経過とともに切断されるプロテアーゼ基質の量を決定することによって測定され得る。阻害は、SMAP-2の存在下および非存在下におけるプロテアーゼのタンパク質切断活性を決定することによって測定され得る。しかし、SMAP-2活性はプロテアーゼ阻害に限定されない。SMAP-2活性は、シグナル伝達を調節する他の型のタンパク質-タンパク質相互作用を含み得る。例えば、プロテアーゼ阻害以外の方法によってシグナル伝達を調節するプロテアーゼ阻害物質を記載する、Hoegyら、J. Biol. Chem. 276(5):3203-3214 (2001) を参照されたい。
SMAP-2活性はまた、SMAP-2の存在下または非存在下で細胞のインスリン感受性をモニターすることによって間接的に測定され得る。例えば、SMAP-2の活性は、脂肪細胞のような細胞中でSMAP-2を発現させること、ならびにGLUT4移行および/またはグルコースの取り込みをモニターすることによって分析され得る。このような分子または他のSMAP-2修飾物質を用いる処理に応答したGLUT4移行の変化は、SMAP-2活性の変化の測定を提供する。相対的なSMAP-2活性は、脂肪細胞におけるGLUT4移行および/またはグルコースの取り込みの阻害に比例する。
「SMAP-2のアゴニスト」とは、SMAP-2と結合する、SMAP-2の活性または発現を賦活する、増加させる、活性化する、促進させる、増強する、作用物質のことを指す。
「SMAP-2のアンタゴニスト」とは、SMAP-2と結合する、SMAP-2の賦活を部分的もしくは完全に阻止する、活性化を減少させる、妨げる、遅らせる、その活性もしくは発現を不活性化する、感受性を低下させる、またはダウンレギュレートする、作用物質のことを指す。
「抗体」とは、分析物(抗原)と特異的に結合してそれを認識する、1つまたは複数の免疫グロブリン遺伝子によって実質的にコードされるポリペプチドまたはその断片のことを指す。一般に認められている免疫グロブリン遺伝子には、κ、λ、α、γ、δ、εおよびμ定常領域遺伝子のほか、極めて多数の免疫グロブリン可変領域遺伝子が含まれる。軽鎖はκまたはλのいずれかに分類される。重鎖はγ、μ、α、δまたはεに分類され、これによってそれぞれIgG、IgM、IgA、IgDおよびIgBという免疫グロブリンのクラスが規定される。
典型的な免疫グロブリン(抗体)の構造単位は四量体から構成される。各四量体は2つの同一なポリペプチド鎖の対から構成され、それぞれの対は1つの「軽鎖」(約25kDa)および1つの「重鎖」(約50〜70kDa)を有する。各鎖のN末端には、抗原認識を主に担う約100〜110アミノ酸またはそれ以上のアミノ酸からなる可変領域が定められている。可変軽鎖(VL)および可変重鎖(VH)という用語はそれぞれ、これらの軽鎖および重鎖のことを指す。
抗体は、例えば、完全な免疫グロブリン、または種々のペプチダーゼによる消化によって生じる、詳細に特徴づけられているさまざまな断片として存在する。すなわち、例えばペプシンは、ヒンジ領域のジスルフィド結合の下方で抗体を切断し、ジスルフィド結合によってVH-CH1と連結した軽鎖であるFabの二量体、F(ab)'を生成する。ヒンジ領域のジスルフィド結合を切断するためにF(ab)'を穏和な条件下で還元し、それによってF(ab)'二量体をFab'単量体に変換することもできる。Fab'単量体は本質的にはヒンジ領域の一部を伴うFabである(Paul(編)「Fundamental Immunology」第3版、Raven Press, NY (1993)を参照されたい)。さまざまな抗体断片が完全抗体の消化の見地から定義されているが、当業者は、このような断片を化学的または組換えDNA法を用いてデノボ合成しうることを理解すると考えられる。このため、本明細書で用いる抗体という用語には、抗体全体の改変によって生じる抗体断片、または組換えDNA法を用いてデノボ合成されたもの(例えば、一本鎖Fv)も含まれる。
「ペプチド模倣物(peptidomimetic)」および「模倣物(mimetic)」という用語は、本発明のSMAP-2アンタゴニスト、またはSMAP-2アゴニストと実質的に同じ構造的および機能的な特徴を有する合成化合物のことを指す。ペプチド類似体は一般に、テンプレートペプチドと類似した特性を備えた非ペプチド薬として製薬産業で用いられている。この種の非ペプチド化合物は「ペプチド模倣物(peptide mimetic)」または「ペプチド模倣物(peptidemimetic)」と呼ばれる(Fauchere, J. Adv. Drug Res. 15: 29 (1986);VeberおよびFreidinger、TINS p. 392 (1985);およびEvansら、J. Med. Chem. 30: 1229 (1987)、これらは参照として本明細書に組み入れられる)。治療的に有用なペプチドと構造的に類似したペプチド模倣物を用いることで、同等または向上した治療効果または予防効果が得られる可能性がある。一般に、ペプチド模倣物は、SMAP-2ポリペプチドアンタゴニストのような、模範ポリペプチド(すなわち、生物活性または薬理活性を有するポリペプチド)と構造的に類似しているが、CH2NH-、-CH2S、-CH2-CH2-、-CH=CH-(シスおよびトランス)、-COCH2-、-CH(OH)CH2-およびCH2SO-などからなる群より選択される連鎖によって随意に置換された1つまたは複数のペプチド連鎖を有する。模倣物は合成性で非天然性のアミノ酸類似体からすべて構成されてもよく、または、一部が天然ペプチドアミノ酸で一部が非天然性のアミノ酸類似体であるキメラ分子であってもよい。模倣物はまた、天然アミノ酸の保存的置換物の任意の量を、このような置換が模倣物の構造および/または活性を実質的に変化させない限り、包含しうる。例えば、模倣物組成物は、それがSMAP-2またはSMAP-2アゴニストもしくはアンタゴニストの結合活性もしくは他の活性を達成することができるならば、本発明の範囲に含まれる。
「遺伝子」という用語は、ポリペプチド鎖の産生に関与するDNAのセグメントのことを意味する;これには、コード領域(リーダーおよびトレーラー)の前および後の領域、さらには個々のコードセグメント(エクソン)の間の介在配列(イントロン)も含まれる。
「単離された」という用語は、核酸またはタンパク質に適用される場合、核酸またはタンパク質が、天然の状態でそれに付随する他の細胞成分を本質的に含まないことを表す。これは均一な状態にあることが好ましいが、乾燥していても水溶液中にあってもよい。純度および均一性は通常、ポリアクリルアミドゲル電気泳動または高速液体クロマトグラフィーなどの分析化学の技術を用いて決定される。調製物中に存在する最も多数を占める種であるタンパク質は、実質的に精製されている。特に、単離された遺伝子は、その遺伝子に隣接して目的の遺伝子以外のタンパク質をコードするオープンリーディングフレームから分離されている。「精製された」という用語は、核酸またはタンパク質が、電気泳動ゲル中に本質的には1つのバンドを生じることを表す。これは詳細には、核酸またはタンパク質の純度が、少なくとも85%、より好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%であることを意味する。
本明細書中で使用される場合、用語「核酸」および「ポリヌクレオチド」は交換可能に使用される。用語「ポリヌクレオチド」の使用にはオリゴヌクレオチド(すなわち、短いポリヌクレオチド)が含まれる。この用語はまた、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、および天然に存在する改変体をいい、また、合成核酸および/または天然には存在しない核酸(すなわち、核酸アナログまたは修飾されたバックボーン残基もしくは連結を含む)をいい得、例えば、非限定的に、ホスホロチオエート、ホスホルアミデート、メチルホスホネート、キラル-メチルホスホネート、2-O-メチルリボヌクレオチド、ペプチド核酸(PNA)などのようなものである。別に指示しない限り、個々の核酸配列には、明示的に指定された配列のほかに、保存的に改変されたそのバリアント(例えば、縮重コドン置換物)および相補的配列が暗黙的に含まれる。詳細には、縮重コドン置換は、1つまたは複数の選択した(またはすべての)コドンの第3の位置が、混合塩基および/またはデオキシイノシン残基によって置換された配列を生じさせることによって行いうる(Batzerら、Nucleic Acids Res. 19: 5081 (1991);Ohtsukaら、J. Biol. Chem. 260: 2605-2608 (1985);およびCassolら(1992);Rossoliniら、Mol. Cell. Probes 8: 91-98 (1994))。核酸という用語は、遺伝子、cDNA、および遺伝子によってコードされるmRNAと互換的に用いられる。
「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」という用語は、本明細書において、アミノ酸残基の重合体を指す目的で互換的に用いられる。これらの用語は、天然アミノ酸重合体および非天然アミノ酸重合体のほか、1つまたは複数のアミノ酸残基が対応する天然アミノ酸の人工的な化学的模倣物であるアミノ酸重合体に対しても適用される。本明細書で用いる場合、これらの用語には、アミノ酸残基が共有ペプチド結合によって連結された、完全長タンパク質(すなわち、抗原)を含む任意の長さのアミノ酸鎖が含まれる。
「アミノ酸」という用語は、天然アミノ酸および合成アミノ酸のほか、天然のアミノ酸と類似した様式で機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸模倣物のことも指す。天然のアミノ酸とは、遺伝暗号によってコードされるもののほか、その後に修飾されたアミノ酸、例えばヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタミン酸およびO-ホスホセリンなどののこともいう。アミノ酸類似体とは、天然のアミノ酸と同じ基本的な化学構造を有する、すなわち、水素、カルボキシル基、アミノ基およびR基と結合したα炭素を有する化合物、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムのことを指す。この種の類似体は、改変されたR基(例えば、ノルロイシン)または改変されたペプチド骨格を有するが、天然アミノ酸と同じ基本的な化学構造を保持している。「アミノ酸模倣物」とは、アミノ酸の一般的な化学構造とは異なる構造を有するものの天然アミノ酸と類似した様式で機能する化合物のことを指す。
本明細書ではアミノ酸を、一般的に知られた三文字記号、またはIUPAC-IUBの生化学物質命名委員会(Biochemical Nomenclature Commission)が推奨している一文字記号のいずれかによって参照する。ヌクレオチドも同じく、一般的に認められている一文字記号によって参照する。
「保存的に改変されたバリアント」は、アミノ酸配列および核酸配列の両方に対して適用される。個々の核酸配列に関して、「保存的に改変されたバリアント」とは、同一もしくは本質的に同一なアミノ酸配列をコードする核酸のことを指し、または、核酸がアミノ酸配列をコードしない場合には本質的に同一な配列のことを指す。遺伝暗号の縮重性のために、任意のタンパク質は多数の機能的に同一な核酸によってコードされうる。例えば、コドンGCA、GCC、GCGおよびGCUはすべてアラニンというアミノ酸をコードする。このため、コドンによってアラニンが指定されるあらゆる位置で、コードされるポリペプチドを変化させずに、そのコドンを対応する上記のコドンのいずれかに変化させることができる。このような核酸変形物は「サイレント変形物」であり、保存的に改変された変形物の一種である。何らかのポリペプチドをコードする本明細書のあらゆる核酸配列は、その核酸のあらゆる可能なサイレント変形物についても述べている。当業者は、核酸内の各コドン(通常はメチオニンに対する唯一のコドンであるAUG、および通常はトリプトファンに対する唯一のコドンであるTGGを除く)を改変して、機能的に同一な分子を作製しうることを理解すると考えられる。したがって、ポリペプチドをコードする核酸の各々のサイレント変形物は、記載する各配列に黙示的に含まれる。
アミノ酸配列に関して、当業者は、コードされる配列中の単一のアミノ酸または少数のアミノ酸が改変、付加または除去される、核酸、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の配列に対する個々の置換物、欠失物または付加物が、改変によってアミノ酸が化学的に類似したアミノ酸に置換されるような「保存的に改変されたバリアント」であることを理解すると考えられる。機能的に類似したアミノ酸が得られる保存的置換の表も当技術分野で周知である。このような保存的に改変されたバリアントは、本発明の多型バリアント、種間相同体および対立遺伝子に加わるものであり、それらが除外されるわけではない。
以下の8つの群はそれぞれ、互いに保存的なアミノ酸を含む:
1)アラニン(A)、グリシン(G);
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
4)アルギニン(R)、リジン(K);
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);
7)セリン(S)、トレオニン(T);および
8)システイン(C)、メチオニン(M)
(例えば、Creighton、「タンパク質(Proteins)」(1984)を参照されたい)。
「配列一致率(percentage of sequence identity)」は、最適なアラインメントがなされた2つの配列を比較域(comparison window)にわたって比較することによって決定され、この際、比較域中のポリヌクレオチド配列の一部分は、2つの配列の最適なアラインメントのために、参照配列(これは付加も欠失も含まない)と比較して付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含んでよい。この率は、両方の配列に同一の核酸塩基または残基が存在する位置の数を決定して一致する位置の数を求め、一致した位置の数を比較域における位置の総数で除算し、その結果に100を掛けて配列一致率を求めることによって算出される。
2つまたはそれ以上の核酸またはポリペプチド配列の文脈において、「同一である」または「一致」率という用語は、一定の比較域にわたって、または以下の配列比較アルゴリズムの1つを用いるかもしくは手作業によるアラインメントおよび目視検査によって指定された領域にわたって、最大の対応関係が得られるように比較およびアラインメントを行った場合に、同じである、または同じアミノ酸残基もしくはヌクレオチドが指定された比率である(すなわち、指定された領域にわたって、または、指定されない場合は全配列にわたって、60%の同一性、選択的には65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%の同一性)、2つまたはそれ以上の配列または部分配列のことを指す。このような配列を「実質的に同一である」と言う。この定義は、被験配列の相補物のことも指す。同様に「実質的に相補的な」ポリヌクレオチドは、指定された領域にわたって、または、指定されない場合は全配列にわたって、少なくとも60%相補的、選択的には65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%相補的である。選択的には、同一性または相補性は、少なくとも約50ヌクレオチド長の領域にわたって、またはより好ましくは100〜500ヌクレオチド長もしくは1000ヌクレオチド長またはそれ以上の領域にわたって存在する。
2つまたはそれ以上のポリペプチド配列の文脈において、「類似性」または「類似」率という用語は、一定の比較域にわたって、または以下の配列比較アルゴリズムの1つを用いるかもしくは手作業によるアラインメントおよび目視検査によって指定された領域にわたって、最大の対応関係が得られるように比較およびアラインメントを行った場合に、同じである、または上に定義した8種の保存的アミノ酸置換の定義による類似性のあるアミノ酸残基が指定された比率である(すなわち、指定された領域にわたって、または、指定されない場合は全配列にわたって、60%、選択的には65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%の類似性)、2つまたはそれ以上の配列または部分配列のことを指す。このような配列を「実質的に類似している」と言う。選択的には、この同一性は、少なくとも約50ヌクレオチド長の領域にわたって、またはより好ましくは少なくとも約100、200、300、400、500アミノ酸長または1000もしくはそれ以上のアミノ酸長の領域にわたって存在する。
配列比較のためには、1つの配列を、被験配列と比較するための参照配列として用いることが一般的である。配列比較アルゴリズムを用いる場合には、被験配列および参照配列をコンピュータに入力し、必要に応じて部分配列の座標を指定して、配列アルゴリズムプログラムのパラメーターを指定する。デフォールトのプログラムパラメーターを用いることもでき、別のパラメーターを指定することもできる。続いて、プログラムのパラメーターに基づいて、参照配列に対する被験配列の配列一致率または類似率を配列比較アルゴリズムで計算する。
本明細書で用いる「比較域(comparison window)」は、2つの配列の最適なアラインメントを行った後に、ある配列を同じ数の連続した位置を持つ参照配列と比較しうるような、20〜600個、通常は約50〜約200個、より一般的には約100〜約150個からなる群から選択される数の連続した位置のいずれか1つの区域に対する言及を含んでいる。比較のための配列のアラインメントの方法は当技術分野で周知である。比較のための配列の最適なアラインメントは、SmithおよびWaterman (1970) Adv. Appl. Math. 2: 482cの局所的相同性アルゴリズムにより、NeedlemanおよびWunsch (1970) J. Mol. Biol. 48: 443の相同性アラインメントアルゴリズムにより、PearsonおよびLipman (1988) Proc. Nat'l. Acad. Sci.USA 85: 2444の類似性検索法により、これらのアルゴリズムのコンピュータ・インプリメンテーション(Wisconsin Genetics Software Package(Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, WI)のGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA)により、または手作業によるアラインメントおよび目視検査によって行うことができる(例えば、Ausubelら、「Current Protocols in Molecular Biology」(1995年補遺)を参照されたい)。
有用なアルゴリズムの一例がPILEUPである。PILEUPは漸進的な対形式のアラインメントを用いて一群の関連配列から多数の配列アラインメントを作成し、関連性および配列一致率を提示する。これはアラインメントを作成するために用いたクラスター化の関係を示す樹状図またはデンドログラムのプロットも行う。PILEUPは、FengおよびDoolittle、J. Mol. Evol. 35: 351-360 (1987)の漸進的アラインメント法を単純化したものを用いている。用いている方法は、HigginsおよびSharp、CABIOS 5: 151-153 (1989)と類似している。このプログラムは、それぞれ最大長が5,000ヌクレオチドまたはアミノ酸である最大300個の配列のアラインメントを行うことができる。最も類似した2つの配列の対形式のアラインメントから多数のアラインメント手順が始まり、アラインメントされた2つの配列のクラスターが作成される。続いてこのクラスターを、次に最も関連性の高い配列、またはアラインメントされた配列のクラスターに対してアラインメントを行う。2つの配列クラスターは、個々の2つの配列の対形式のアラインメントを単純に拡張することによってアラインメントを行う。最終的なアラインメントは、一連の漸進的な対形式のアラインメントを行うことによって得られる。このプログラムは、配列を比較する領域に関して特定の配列およびそのアミノ酸またはヌクレオチド座標を指定することにより、ならびにプログラムパラメーターを指定することによって実行される。PILEUPを用いる場合には、以下のパラメーターを用いて参照配列を他の被験配列と比較して、配列一致率を決定する:デフォールトのギャップウェイト(gap weight)(3.00)、デフォールトのギャップ長ウェイト(gap length weight)(0.10)および重み付けエンドギャップ(weighted end gap)。PILEUPは、GCC配列解析ソフトウエアパッケージ、例えば、バージョン7.0(Devereauxら (1984)、Nuc. Acids Res. 12: 387-395)から入手可能である。
配列一致率および配列類似性の決定のために適した1つのアルゴリズムの別の例が、BLASTおよびBLAST 2.0アルゴリズムであり、それぞれAltschulら、Nuc. Acids Res. 25: 3389-3402 (1977)およびAltschulら、J. Mol. Biol. 215: 403-410 (1990)に記載されている。BLAST解析を行うためのソフトウエアは米国国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)(http://www.ncbi.n1m.nih.gov/)に公開されている。このアルゴリズムでは、データベース配列中の同じ長さのワードと整列化した場合に何らかの正値の閾値スコアTと一致する、またはそれを満たす、長さWの短いワードを検索配列中に同定することにより、高スコアの配列ペア(HSP)をまず同定する。Tは近隣ワードスコア閾値と呼ばれる(Altschulら、前記)。これらの初期の近隣ワードでのヒットは、それらを含む長いHSPを見いだすための検索を開始する源となる。ワードの検索は、累積アラインメントスコアが増加する限り、各配列の両方向に対して延長される。累積スコアは、ヌクレオチド配列の場合にはパラメーターM(一致する残基対に関する報酬スコア;常に>0)およびN(ミスマッチ残基に関するペナルティスコア;常に<0)を用いて算出する。アミノ酸配列の場合には、累積スコアの算出にスコア行列を用いる。各方向へのワード検索の延長は以下の場合に停止する:累積アラインメントスコアが最大達成値に比べて量Xより低くなった場合:1つもしくは複数の負スコアの残基アラインメントの蓄積のために累積スコアがゼロまたはそれ未満になった場合;または配列のいずれかの端に達した場合。BLASTアルゴリズムのパラメーターであるW、TおよびXは整列化の感度および速度を決定する。BLASTNプログラムは(ヌクレオチド配列の場合)、デフォールトとしてワード長(W)11、期待値(E)10、M=5、N=-4および両ストランドの比較を用いる。アミノ酸配列の場合、BLASTPプログラムはデフォールトとしてワード長3および期待値(E)10、ならびにBLOSUM62スコア行列(HenikoffおよびHenikoff、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915 (1989)を参照)のアラインメント(B)50、期待値(E)10、M=5、N=-4および両ストランドの比較を用いる。
BLASTアルゴリズムは、2つの配列の間の類似性に関する統計分析も行う(例えば、KahnおよびAltschul (1993)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 5873-5787を参照)。BLASTアルゴリズムによって得られる類似性の指標の1つは最小合計確率(smallest sum probability)(P(N))であり、これは2つのヌクレオチド配列またはアミノ酸配列の間の一致が偶然に起こる確率の指標となる。例えば、ある核酸は、被験核酸と参照核酸との比較による最小合計確率が約0.2未満、より好ましくは約0.01未満、最も好ましくは約0.001未満の場合に、参照配列と類似しているとみなされる。
2つの核酸配列またはポリペプチドが実質的に同一であるという指標の1つは、以下に述べるように、第1の核酸によってコードされるポリペプチドが、第2の核酸によってコードされるポリペプチドに対して産生された抗体と免疫学的に交差反応することである。したがって、例えば、2つのペプチドが保存的置換のみの点で異なる場合、ポリペプチドは一般に第2のポリペプチドと実質的に同一である。2つの核酸配列が実質的に同一であるというもう1つの指標は、以下に述べるように、2つの分子またはその相補物がストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズすることである。2つの核酸配列が実質的に同一であるというさらにもう1つの指標は、配列の増幅に同じプライマーを用いうることである。
「選択的に(または特異的に)ハイブリダイズする」という語句は、ある分子の結合、二重鎖形成またはハイブリダイゼーションが、その配列が複合混合物(例えば、全細胞またはライブラリーのDNAまたはRNA)中に存在する場合に、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で特定のヌクレオチド配列のみに対して起こることを指す。
「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」という語句は、一般的には核酸の複合混合物において、プローブがその標的部分配列とハイブリダイズするが、他の配列とはハイブリダイズしないと考えられる条件のことを指す。ストリンジェントな条件は配列依存的であり、環境が異なれば異なると考えられる。配列が長いほど高い温度で特異的にハイブリダイズすると考えられる。核酸のハイブリダイゼーションに関する詳細な手引きは、Tijssen、「Techniques in Biochemistry and Molecular Biology-Hybridization with Nucleic Probes」、「Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid assays」(1993)に記載がある。一般に、ストリンジェントな条件は、規定のイオン強度およびpHでの特定の配列の融点(T)よりも約5〜10℃低くなるように選択する。Tは、標的に対して相補的なプローブの50%が平衡状態で標的配列とハイブリダイズする温度(規定のイオン強度、pHおよび核酸濃度の下で)である(標的配列が過剰に存在するため、Tでは平衡状態でプローブの50%が占有される)。ストリンジェントな条件は、塩濃度がナトリウムイオン濃度で約1.0M未満、一般的にはナトリウムイオン(または他の塩の)濃度で約0.01〜1.0M、pH7.0〜8.3であり、温度は短いプローブ(例えば、10〜50ヌクレオチド)に関しては少なくとも約30℃であって、(例えば、50ヌクレオチドを上回るもの)に関しては少なくとも約60℃であると考えられる。ストリンジェントな条件は、ホルムアミドなどの脱安定剤の添加によっても得られる。選択的または特異的なハイブリダイゼーションの場合、陽性シグナルはバックグラウンド値の少なくとも2倍、選択的にはバックグラウンドでのハイブリダイゼーションの10倍である。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の例としては以下のものが考えられる:50%ホルムアミド、5×SSCおよび1%SDS、42℃でインキュベートを行い、または5×SSC、1%SDS、65℃でインキュベートを行い、その上で0.2×SSCおよび0.1%SDS、55℃、60℃、または65℃で洗浄する。このような洗浄は5、15、30、60、120分またはさらに多くの分数にわたって行いうる。
ストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズしない核酸も、それらをコードするポリペプチドが実質的に同一であれば、やはり実質的に同一である。これは例えば、遺伝暗号によって許容される最大のコドン縮重性を用いて生じた核酸のコピーの場合に起こる。このような場合には、核酸は一般に、中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする。「中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」の例には、40%ホルムアミド、1M NaCl、1%SDS、37℃の緩衝液中でのハイブリダイゼーション、および1×SSC、45℃での洗浄が含まれる。このような洗浄は、5、15、30、60、120分またはさらに多くの分数にわたって行いうる。陽性のハイブリダイゼーションは、バックグラウンドの少なくとも2倍である。代替的なハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件を用いて同様に厳密な条件が得られることを、当業者は容易に認識すると考えられる。
「をコードする核酸配列」という語句は、rRNA、tRNAなどの構造RNA、または特定のタンパク質もしくはペプチドの一次アミノ酸配列、またはトランス作用性調節因子の結合部位に関する配列情報を含む核酸のことを指す。この語句には特に、特定の宿主細胞におけるコドン選好性に適合するように導入しうる、1つまたは複数の天然配列の縮重コドン(すなわち、単一のアミノ酸をコードする複数種のコドン)が含まれる。
細胞、核酸、タンパク質またはベクターなどに言及して用いる場合、「組換え」という用語は、細胞、核酸、タンパク質またはベクターが、異種核酸もしくはタンパク質の導入または天然の核酸またはタンパク質の改変によって改変されたこと、または細胞がそのように改変された細胞に由来することを意味する。このため、例えば、組換え細胞は、天然型(非組換え型)の細胞に認められない遺伝子を発現する、または、通常であれば異常発現される、低発現される、もしくは全く発現されないような天然遺伝子を発現する。
核酸の部分に言及して用いる場合、「異種」という用語は、核酸が、自然下ではお互いに同じ関係では認められない2つまたはそれ以上の部分配列を含むことを意味する。例えば、核酸は一般に、例えば、1つの源からのプロモーターおよび別の源からのコード領域というように、関連のない遺伝子に由来する2つまたはそれ以上の配列が新たな機能的核酸を生じるように配置された形で、組換え法によって産生される。同様に、異種タンパク質とは、タンパク質が、自然下ではお互いに同じ関係では認められない2つまたはそれ以上の部分配列を含むことを意味する(例えば、融合タンパク質)。
「発現ベクター」とは、宿主細胞内での特定の核酸の転写を許容する一連の指定された核酸配列を有する、組換え法または合成によって作製された核酸構築物のことである。発現ベクターはプラスミド、ウイルスまたは核酸断片の部分であってもよい。発現ベクターは、プロモーターと機能的に結合した転写用の核酸を含むことが一般的である。
「抗体と特異的に(もしくは選択的に)結合する」または「との特異的な(もしくは選択的な)免疫反応性がある」という語句は、タンパク質またはペプチドについて言及する場合、タンパク質および他の生体物質の不均一な集団の存在下でそのタンパク質の存在を決定づける結合反応のことを指す。すなわち、指示されたイムノアッセイ条件下で、指定された抗体は試料中に存在するある特定のタンパク質と結合し、他のタンパク質とは有効な量では結合しない。このような条件下での抗体に対する特異的結合には、特定のタンパク質に対する特異性の点から選択された抗体が必要と思われる。例えば、本発明のいずれかのポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列を有するタンパク質に対して産生された抗体を選択して、そのタンパク質とは特異的に免疫反応し、多型バリアントを除く他のタンパク質とは反応しない抗体を得ることができる。特定の抗体に対する特異的な免疫反応性のある抗原を選択するためには、さまざまなイムノアッセイ形式を用いうる。例えば、フローサイトメトリーおよびFACS分析または免疫組織化学が、あるタンパク質と特異的に免疫反応するモノクローナル抗体を選択するためにルーチン的に用いられている。特異的免疫反応性の決定に用いうるイムノアッセイの形式および条件の記載については、例えば、HarlowおよびLane、「Antibodies, Laboratory Manual」、Cold Spring Harbor Publications, NY (1988)を参照されたい。通常、特異的または選択的な反応は、バックグラウンドの信号または雑音の少なくとも2倍であると考えられ、より一般的にはバックグラウンドの10〜100倍を上回ると考えられる。
SMAP-2の発現またはSMAP-2活性の「阻害物質」「活性化物質」および「修飾物質」は、SMAP-2の発現またはSMAP-2活性に関するインビトロおよびインビボでのアッセイ法を用いて同定された、それぞれ阻害性、活性化性または修飾性の分子、例えば、リガンド、アゴニスト、アンタゴニストならびにそれらの相同体および模倣物を指して用いられる。「修飾物質」という用語には阻害物質および活性化物質が含まれる。阻害物質とは、例えば、SMAP-2の発現を阻害する、またはSMAP-2と結合する、賦活もしくはプロテアーゼ阻害活性を部分的もしくは完全に阻止する、SMAP-2の活性を低下させる、妨げる、活性化を遅らせる、不活性化する、感受性を低下させる、もしくは活性をダウンレギュレートする作用物質、例えばアンタゴニストのことである。活性化物質とは、例えば、SMAP-2の発現を誘導もしくは活性化する、またはSMAP-2と結合する、それを賦活する、増加させる、開口させる、活性化する、促進する、活性化もしくはプロテアーゼ阻害活性を増強する、感受性を高める、もしくはその活性をアップレギュレートする作用物質、例えばアゴニストのことである。修飾物質には、天然および合成性のリガンド、アンタゴニストならびにアゴニスト(例えば、アゴニストまたはアンタゴニストのいずれかとして機能する低分子量化学分子、抗体など)が含まれる。阻害物質および活性化物質に関するこの種のアッセイ法には、例えば、修飾性化合物と推定されるものをSMAP-2発現細胞に対して適用した後に、上記のように、SMAP-2活性に対する機能的な影響を判定することが含まれる。影響の程度を検討するには、活性化物質、阻害物質または修飾物質の候補によって処理したSMAP-2を含む試料またはアッセイ物を、阻害物質、活性化物質または修飾物質を含まない対照試料と比較する。対照試料(阻害物質で処理していないもの)をSMAP-2の相対活性値100%と指定する。SMAP-2の阻害は、SMAP-2の活性値が対照に比して約80%、選択的には50%または25%、10%、5%、または1%である場合に達成される。SMAP-2の活性化は、SMAP-2の活性値が対照に比して110%、選択的には150%、選択的には200%、300%、400%、500%または1000〜3000%またはそれ以上の高さである場合に達成される。
発明の詳細な説明
1. 緒言
本発明は、驚くべきことに、SMAP-2と呼ばれるプロテアーゼ阻害物質が糖尿病患者中でアップレギュレートされるということを実証する。SMAP-2は、糖尿病の細胞および組織(例えば、脂肪細胞および骨格筋を含む)においてインスリン感受性を調節する。少なくとも4種のヒトSMAP-2の改変体が本明細書中で提供される(配列番号:2、4、および6、ならびに配列番号:7によってコードされるポリペプチド)。さらに、SMOC-2と名付けられたマウスオルトログが配列番号:9として提供される。
エレクトロポレーションまたはアデノウイルスのいずれかによる3T3-L1脂肪細胞中でのヒトSMAP-2の過剰発現は、インスリンによって刺激されたGLUT4移行およびグルコースの取り込みを阻害する。従って、糖尿病骨格筋におけるSMAP-2の過剰発現は、その組織のグルコースを処理する能力を減少させる。
SMAP-2は、アンタゴニストによる阻害のための標的を提供する。このようなアンタゴニストは、糖尿病患者および前糖尿病個体を治療するために有用である。いくつかの実施態様において、SMAP-2アンタゴニストを用いる処理は、骨格筋および/または脂肪細胞におけるグルコースの取り込みを増加させる。SMAP-2の発現レベルの検出は、糖尿病または前糖尿病の個体の診断のために有用である
II. 本発明を用いる使用のための一般的な組換え核酸方法
本発明の多数の実施態様において、関心対象のSMAP-2をコードする核酸が組換え方法を使用して単離およびクローニングされる。このような実施態様は、例えば、タンパク質発現のため、またはSMAP-2ポリペプチド(例えば、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:9、および、配列番号:7によってコードされるポリペプチド)に由来する改変体、誘導体、発現カセット、もしくは他の配列の生成の間に、SMAP-2ポリヌクレオチド(例えば、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、および配列番号:8)を単離するために、遺伝子発現をモニターするために、異なる種におけるSMAP-2配列の単離もしくは検出のため、患者における診断目的のため、例えば、SMAP-2における変異を検出するため、または核酸の発現レベルもしくはポリペプチドを検出するために使用される。いくつかの実施態様において、本発明のポリペプチドをコードする配列は、異種プロモーターに作動可能に連結される。1つの実施態様において、本発明の核酸は、例えば、ヒト、マウス、ラットなどを含む任意の動物からである。
A.一般的な組換え核酸方法
本発明は、組換え遺伝学の分野におけるルーチン的な技術に依拠している。本発明における一般的な使用方法を開示している基本的なテキストには、Sambrookら、「Molecular Cloning、Laboratory Manual」(第3版、2001);Kriegler、「Gene Transfer and Expression:A Laboratory Manual」(1990);および「Current Protocols in Molecular Biology」(Ausubelら編、1994)が含まれる。
核酸の場合、サイズはキロベース(kb)または塩基対(bp)のいずれかによって表す。これらは、アガロースゲルまたはアクリルアミドゲルでの電気泳動、配列が決定された核酸、または公表されたDNA配列から得られる推定値である。タンパク質の場合、サイズはキロダルトン(kDa)またはアミノ酸残基数によって表す。タンパク質のサイズは、ゲル電気泳動、配列が決定されたタンパク質、導き出されたアミノ酸配列、または公表されたタンパク質配列から推定される。
市販されていないオリゴヌクレオチドは、Beaucage & Caruthers, Tetrahedron Letts. 22: 1859-1862 (1981)によって最初に記載された固相ホスホロアミダイドトリエステル法に従って、Van Devanterら、Nucleic Acid Res. 12: 6159-6168 (1984)に記載された自動合成装置を用いて化学合成することができる。オリゴヌクレオチドの精製は、未変性アクリルアミドゲル電気泳動、またはPearson & Reanier, J. Chrom. 255: 137-149 (1983)に記載された陰イオン交換HPLCによって行う。
クローニングされた遺伝子および合成オリゴヌクレオチドの配列は、例えば、Wallaceら、Gene 16: 21-26 (1981)による二本鎖テンプレートのシークエンシング用の連鎖停止法などを用いたクローニングの後に確認することができる。
B.所望のタンパク質をコードするヌクレオチド配列の単離のためのクローニング法
一般に、主題タンパク質をコードする核酸は、cDNAまたはゲノムDNAをコードするように作製されたDNA配列ライブラリーからクローニングされる。特定の配列の位置はオリゴヌクレオチドプローブとハイブリダイズさせることによって決定可能であり、後者の配列は本明細書に開示された配列から導くことができる。本明細書に開示された配列はまた、PCRプライマー用の基準となる上に、SMAP-2特異的プローブを単離するのに適した領域を規定する。または、配列を発現ライブラリー中にクローニングする場合には、発現された組換えタンパク質を、目的のポリペプチド(本明細書に開示されたものを含む)に対して作製された抗血清または精製抗体を用いて免疫学的に検出することもできる。
ゲノムライブラリーおよびcDNAライブラリーの作製およびスクリーニングのための方法は当業者に周知である(例えば、GublerおよびHoffman、Gene 25: 263-269 (1983);BentonおよびDavis、Science, 196: 180-182 (1977);およびSambrook、前記を参照されたい)。心臓細胞および大網細胞(omental cell)はSMAP-2 RNAを単離するのに適した細胞の一例である。
簡潔に述べると、cDNAライブラリーを作製するためには、mRNAを豊富に含む源を選択する必要がある。続いて、mRNAをcDNAにし、組換えベクター中に連結した上で、増殖、スクリーニングおよびクローニングのために組換え宿主にトランスフェクトする。ゲノムライブラリーの場合には、DNAを組織または細胞から抽出し、機械的剪断または酵素消化のいずれかにより、好ましくは約5〜100kbの断片を得る。続いて勾配遠心によって断片を望ましくないサイズのものから分離し、バクテリオファージλベクター中に構築する。これらのベクターおよびファージのパッケージングをインビトロで行い、組換えファージをプラークハイブリダイゼーションによって分析する。コロニーハイブリダイゼーションは、Grunsteinら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 72: 3961-3965 (1975)に一般的に記載された通りに行う。
代替的な1つの方法では、合成オリゴヌクレオチドプライマーの使用とmRNAまたはDNAテンプレートの増幅とを組み合わせる。適したプライマーは、本明細書に開示された特定のSMAP-2配列から設計することができる。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法では、目的のタンパク質をコードする核酸を、mRNA、cDNA、ゲノムライブラリーまたはcDNAライブラリーから直接増幅する。制限酵素部位をプライマーに組み入れることができる。ポリメラーゼ連鎖反応または他のインビトロ増幅法は、例えば、特定のタンパク質をクローニングして前駆タンパク質を発現させるため、生理的試料中の本発明のSMAP-2ポリペプチドをコードするmRNAの存在を検出するためのプローブとして用いるための核酸を合成するため、核酸シークエンシングのため、またはその他の目的のためにも有用と思われる(米国特許第4,683,195号および第4,683,202号を参照)。PCR反応によって増幅された遺伝子はアガロースゲルから精製し、適したベクター中にクローニングすることができる。
本発明のポリペプチドをコードする遺伝子を哺乳動物組織から同定するために適切なプライマーおよびプローブは、本明細書で提供する配列から導くことができる。PCRの一般的な概説については、Innisら、「PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications」、Academic Press、San Diego (1990)を参照されたい。
合成オリゴヌクレオチドを遺伝子の構築に用いることができる。これは、遺伝子のセンス鎖および非センス鎖の両方に相当する、通常は長さ40〜120bpの一連の重複オリゴヌクレオチドを用いて行われる。続いて、これらのDNA断片のアニーリング、連結およびクローニングを行う。
本発明のSMAP-2ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、発現のために哺乳動物細胞への形質転換導入を行う前に、中間ベクター中にクローニングすることができる。これらの中間ベクターは原核生物ベクターまたはシャトルベクターであることが一般的である。タンパク質は、当業者に周知の標準的な方法を用いて原核生物または真核生物に発現させることもできる。
III. 本発明のタンパク質の精製
天然に存在するかまたは組換えのいずれかのSMAP-2が機能アッセイにおける使用のために精製され得る。天然に存在するSMAP-2は、例えば、心臓、大網組織、またはSMAP-2オルトログの任意の他の供給源から精製され得る。組換えポリペプチドは、任意の適切な発現系から精製され得る。
硫酸アンモニウムなどの物質による選択的沈殿、カラムクロマトグラフィー、免疫精製法などを含む標準的な技術により、本発明のポリペプチドを実質的に純粋になるまで精製することもできる(例えば、Scopes, 「Protein Purification: Principles and Practice」(1982);米国特許第4,673,641号;Ausubelら、前記;およびSambrookら、前記を参照)。
組換えポリペプチドを精製する場合にはさまざまな方法を用いうる。例えば、分子接着特性が立証されているタンパク質をSMAP-2と可逆的に融合させることができる。適切なリガンドを用いて、いずれかのタンパク質を精製カラムに選択的に吸着させ、次にそれをカラムから比較的純粋な形で遊離させることができる。続いて、酵素活性によって融合タンパク質を分離することができる。イムノアフィニティーカラムを用いてポリペプチドを精製することも可能である。
A.組換え細菌からのタンパク質の精製
組換えタンパク質を形質転換細菌によって大量に発現させる場合に(通常はプロモーター誘導による、ただし発現は構成性でもよい)、タンパク質が不溶性凝集物を形成することがある。タンパク質封入体の精製に適したプロトコールがいくつかある。例えば、凝集タンパク質(本明細書では以後、封入体と称する)の精製には一般に、通常は約100〜150μg/mlリソソームおよび0.1%ノニデットP-40(非イオン性界面活性剤)を含む緩衝液中でのインキュベーションによる(ただし、これには限定されない)細菌細胞の破壊により、封入体の抽出、分離および/または精製が行われる。細胞浮遊液はPolytronグラインダー(Brinkman Instruments, Westbury, NY)を用いて破砕することができる。または、細胞を氷上で超音波処理することもできる。細菌を可溶化する代替的な方法は、Sambrookら、前記およびAusubelら、前記に記載されており、当業者には明らかであると考えられる。
細胞浮遊液を一般的には遠心し、封入体を含むペレットを、封入体を溶解させることはないが洗浄は行える緩衝液、例えば、20mM Tris-HCl(pH 7.2)、1mM EDTA、150mM NaClおよび2%Triton-X 100(非イオン性界面活性剤)中に再懸濁する。できるだけ多くの壊死細胞片を除去するために、洗浄の段階を繰り返すことが必要なこともある。封入体の残りのペレットを、適切な緩衝液(例えば、20mMリン酸ナトリウム、pH 6.8、150mM NaCl)中に再懸濁してもよい。その他の適切な緩衝液は当業者に明らかであると考えられる。
洗浄段階の後に、強力な水素受容体であり、かつ強力な水素供与体でもある溶媒(またはこれらの特性の一方をそれぞれが有する溶媒の組み合わせ)の添加によって封入体を可溶化する。続いて、封入体を形成したタンパク質を、適合性のある緩衝液による希釈または透析によって再生させることができる。適した溶媒には、尿素(約4M〜約8M)、ホルムアミド(容積/容積比で少なくとも約80%)および塩酸グアニジン(約4M〜約8M)が含まれる。凝集体形成性タンパク質を可溶化しうるいくつかの溶媒、例えばSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)および70%ギ酸は、タンパク質が非可逆的に変性し、免疫原性および/または活性がなくなる恐れがあるため、この手順に用いるには適していない。塩酸グアニジンおよび類似の薬剤は変性剤であるが、この変性は非可逆的ではなく、変性剤を除去(例えば、透析による)または希釈すると再生が起こり、目的の免疫学的および/または生物学的に活性のあるタンパク質が再構成される。可溶化の後には、標準的な分離法により、タンパク質を他の細菌タンパク質から分離することができる。
または、ポリペプチドを細菌の周辺質から精製することも可能である。タンパク質が細菌の周辺質に輸出された時点で、細菌の周辺質画分を低温浸透圧ショック、さらには当技術分野で知られた他の方法によって単離することができる(Ausubelら、前記を参照)。周辺質から組換えタンパク質を単離するためには、細菌細胞に遠心処理を行ってペレット化する。このペレットを20%スクロースを含む緩衝液中に再懸濁する。細胞を可溶化するためには、細菌を遠心し、氷冷した5mM MgSO4中にペレットを再懸濁して、氷浴中に約10分間おく。この細胞浮遊液を遠心し、上清をデカントして回収する。上清中に存在する組換えタンパク質は、当業者に知られた標準的な分離法によって宿主タンパク質から分離することができる。
B.昆虫細胞からのタンパク質の精製
タンパク質を、例えばFernandezおよびHoeffler、「Gene Expression Systems」(1999)に記載されたような真核生物遺伝子発現系から精製することもできる。いくつかの態様において、バキュロウイルス発現系は本発明のタンパク質を単離するために用いられる。組換えバキュロウイルスは一般に、バキュロウイルスのポリへドロンコード配列を、発現させようとする遺伝子(例えば、SMAP-2ポリヌクレオチド)で置き換えることによって作製される。ポリへドロン遺伝子を欠くウイルスは特有のプラーク形態を有しているため、認識が容易である。いくつかの態様において、組換えバキュロウイルスは目的のポリヌクレオチドを、ポリヌクレオチドがポリへドロンプロモーターと機能的に結合するように、導入ベクター(例えば、pUCをベースとするベクター)中にまずクローニングすることによって作製される。導入ベクターを野生型DNAとともに昆虫細胞(例えば、Sf9細胞、Sf21細胞またはBT1-TN-5B1-4細胞)にトランスフェクトして、野生型ウイルスDNA中のポリへドロン遺伝子と目的のポリヌクレオチドとの相同組換えおよび置換を生じさせる。続いてウイルスを生じさせ、プラークを精製することができる。昆虫細胞のウイルス感染によってタンパク質発現が起こる。発現されたタンパク質は、分泌される場合には細胞上清から収集でき、細胞内にある場合には細胞可溶化物から収集できる。例えば、Ausubelら、およびFernandezおよびHoeffler、前記を参照されたい。
C.タンパク質を精製するための標準的なタンパク質分離法
1.溶解性による分別
しばしば最初の工程として、さらにタンパク質混合物が複合体である場合には、最初に塩分別を行うことにより、不要な宿主細胞タンパク質(または細胞培養液に由来するタンパク質)の多くを目的の組換えタンパク質から分離することができる。好ましい塩は、例えば硫酸アンモニウムでありうる。硫酸アンモニウムは、タンパク質混合物中の水の量を効果的に減らすことによってタンパク質を沈殿させる。そこでタンパク質は溶解性の点から沈殿する。タンパク質の疎水性が高いほど、より低い硫酸アンモニウム濃度で沈殿する可能性が高い。典型的なプロトコールでは、タンパク質溶液に硫酸アンモニウム飽和溶液を添加し、その結果、硫酸アンモニウム濃度が20〜30%となるようにする。これによって最も疎水性の高いタンパク質が沈殿すると考えられる。次に沈殿物を廃棄し(目的のタンパク質が疎水性でない場合)、硫酸アンモニウムを上清に添加し、目的のタンパク質が沈殿することが知られた濃度にする。続いて、沈殿物を緩衝液に溶解し、必要であれば過剰な塩を透析または透析濾過によって除去する。低温エタノール沈殿法などの、タンパク質の溶解性に依拠するその他の方法も当業者に知られており、複合タンパク質混合物の分別に用いることができる。
2.サイズの差に基づく濾過
算出された分子量に基づき、種々の孔径の膜(例えば、Amicon社またはMillipore社の膜)を通過させる限外濾過を用いて、それよりもサイズが大きいまたは小さいタンパク質を単離することができる。第1の工程として、分子量カットオフ値が目的のタンパク質の分子量よりも低い孔径の膜を通してタンパク質混合物の限外濾過を行う。続いて、限外濾過後の保持物質に、分子量カットオフ値が目的のタンパク質の分子量よりも高い膜に対する限外濾過を行う。組換えタンパク質はこの膜を通過して濾液に入ると考えられる。続いて、以下に述べるように濾液のクロマトグラフィーを行うことができる。
3.カラムクロマトグラフィー
目的のタンパク質を、そのサイズ、正味の表面電荷、疎水性および異種分子に対する親和性に基づいて他のタンパク質から分離することもできる。さらに、タンパク質に対して産生された抗体をカラム基質に結合させて、タンパク質の免疫精製を行うこともできる。これらの方法はすべて当技術分野で周知である。
赤血球凝集素(HA)、FLAG、Xpress、Myc、ヘキサヒスチジン(His)、およびグルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)などのような様々なアフィニティータグに対して産生された抗体を用いたイムノアフィニティークロマトグラフィーは、ポリペプチドを精製するために用いることができる。Hisタグもある金属(例えば、Ni)のキレート剤として作用し、従って、その金属もHis含有ポリペプチドを精製するために用いることができる。精製後、タグは任意で、特異的なタンパク質分解酵素により除去される。
クロマトグラフィー法を任意の規模で、しかもさまざまな製造者(例えば、Pharmacia Biotech)による装置を用いて行えることは、当業者には明らかであると考えられる。
IV.本発明のポリヌクレオチドの検出
当業者は、SMAP-2ポリヌクレオチドの発現の検出には多くの用途があることを認識すると考えられる。例えば、本明細書で考察するように、患者におけるSMAP-2レベルの検出は、糖尿病を、または糖尿病の病的な影響の少なくともいくつかに対する素因を診断するために有用である。さらに、遺伝子発現の検出はSMAP-2発現の修飾物質を同定するのに有用である。
核酸ハイブリダイゼーション法を用いた特定のDNAおよびRNAのさまざまな測定方法が当業者に知られている(Sambrook、前記を参照)。いくつかの方法は電気泳動分離を用いるが(例えば、DNAの検出のためのサザンブロット法、およびRNAの検出のためのノーザンブロット法)、DNAおよびRNAの測定を電気泳動分離を用いずに行うこともできる(例えば、ドットブロットによる)。ゲノムDNA(例えば、ヒトからのもの)のサザンブロット法は、本発明のSMAP-2ポリペプチドに影響を及ぼす遺伝的障害の存在を検出するための制限断片長多型(RFLP)に関するスクリーニングに用いることができる。
核酸ハイブリダイゼーションの形式の選択は特に重要ではない。さまざまな核酸ハイブリダイゼーション形式が当業者に知られている。例えば、一般的な形式にはサンドイッチアッセイ法および競合アッセイ法または置換(displacement)アッセイ法が含まれる。ハイブリダイゼーション法の概論は、HamesおよびHiggins、「Nucleic Acid Hybridization, A Practical Approach」、IRL Press (1985);GallおよびPardue、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 63: 378-383 (1969);ならびにJohnら、Nature, 223: 582-587 (1969)に記載されている。
ハイブリダイゼーション複合体の検出には、シグナルを生成する複合体が、標的とプローブポリヌクレオチドまたは核酸との二重鎖と結合する必要があると思われる。一般に、この種の結合は、リガンド結合プローブとシグナルが結合したアンチリガンド(anti-ligand)との間のような、リガンドとアンチリガンドとの相互作用によって生じる。シグナル生成複合体の結合は、超音波エネルギーに対する曝露による促進にも容易に適用しうる。
標識により、ハイブリダイゼーション複合体の間接的な検出も可能となる。例えば、標識がハプテンまたは抗原である場合には、抗体を用いることによって試料を検出しうる。これらの系において、シグナルは、蛍光分子もしくは酵素分子が抗体と結合することにより、または場合によっては放射性標識との結合によって生成される(例えば、Tijssen, 「Practice and Theory of Enzyme Immunoassays」、「Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology」、Burdonおよびvan Knippenberg編、Elsevier (1985)、pp. 9-20を参照)。
プローブは一般に、同位体、発色団、発光団(lumiphore)、色素体の場合のように直接標識されるか、後にストレプトアビジン複合体が結合するビオチンの場合のように間接的に標識される。このため、本発明のアッセイ法に用いられる検出可能な標識は、一次標識(標識が直接検出可能な因子を含むか、直接検出可能な因子を生成する場合)でも二次標識(免疫学的標識において一般的なように、検出される標識が一次標識と結合する場合)でもよい。一般に、標識されたシグナル核酸がハイブリダイゼーションの検出に用いられる。相補的核酸またはシグナル核酸は、ハイブリダイズしたポリヌクレオチドの存在の検出に通常用いられるいくつかの方法の任意の1つによって標識しうる。最も一般的な検出方法は、H、125I、35S、14Cまたは32Pで標識したプローブなどを用いるオートラジオグラフィーの使用である。
他の標識には、例えば、標識された抗体と結合するリガンド、蛍光団、化学発光物質、酵素、および、標識されたリガンドに対する特異的な結合対のメンバーとして作用する抗体が含まれる。標識、標識手順および標識の検出に関する手引きは、PolakおよびVan Noorden、「Introduction to Immunocytochemistry」第2版、Springer Verlag、NY (1997);ならびにMolecular Probes, Inc.によって刊行された総合的なハンドブックおよびカタログであるHaugland「Handbook of Fluoroscent Probes and Research Chemicals」(1996)に記載されている。
一般には、検出用試薬の標識の検出には、特定のプローブまたはプローブの組み合わせを観測する検出器を用いる。典型的な検出器は、分光光度計、光電管および光ダイオード、顕微鏡、シンチレーションカウンター、カメラ、フィルムなど、さらにはそれらの組み合わせを含む。適した検出器の例は、当業者に知られたさまざまな販売元から広く入手可能である。一般的には、結合した標識部分(labeling moiety)を含む基質の光学画像を以後のコンピュータ解析のためにデジタル化する。
例えばRNAの量は、検出試薬の結合によって固体支持体に固定された標識の量を定量することによって測定される。一般に、インキュベーション中に修飾物質が存在することにより、固体支持体と結合した標識の量は、修飾物質を含まない対照インキュベーションと比べて、または個々の反応の種類に対して確立されたベースラインと比べて、増加または減少すると考えられる。標識の検出および定量のための手段は当業者に周知である。
いくつかの態様においては、標的核酸またはプローブを固体支持体に対して固定化する。本発明のアッセイ法に用いるのに適した固体支持体は当業者に周知である。本明細書で用いる場合、固体支持体とは、実質的に固定された配置にある材料のマトリックスのことである。
さまざまな自動化固相アッセイ法も適している。例えば、Affymetrix, Inc.(Santa Clara, CA)から入手しうる超大規模固定化ポリマーアレイ(VLSIPS(商標))すなわち、ジーンチップまたはマイクロアレイを、同一の調節経路に関与する複数の遺伝子の発現レベルの変化を同時に検出するために用いることができる。Tijssen、前記.、Fodorら (1991) Science, 251: 767-777;Sheldonら (1993) Clinical Chemistry 39(4) : 718-719およびKozalら (1996) Nature Medicine 2(7): 753-759を参照されたい。同様に、スポットされたcDNAアレイ(ナイロン、ガラス、または他の固体支持体に結合するcDNA配列アレイ)もまた、多数の遺伝子の発現をモニターするために用いることができる。
通常、アレイの構成要素は、各構成要素が基板上の指定された位置に存在するような秩序立った様式で構成されている。アレイの構成要素は基板上の指定された位置にあるため、ハイブリダイゼーションのパターンおよび強度(この両者によって一意的な発現プロファイルが生成される)を特定の遺伝子の発現レベルに関して解釈ことができ、特定の疾患もしくは状態または治療と関連づけることができる。例えば、Schenaら、Science 270: 467-470 (1995)および(Lockhartら、Nature Biotech. 14: 1675-1680 (1996))を参照されたい。
ハイブリダイゼーションの特異性は、特異性-対照ポリヌクレオチド配列と、試料に既知の量を添加した特異性-対照ポリヌクレオチドプローブのハイブリダイゼーションを比較することによって評価しうる。特異性-対照標的ポリヌクレオチドには、対応するポリヌクレオチド配列に比して1つまたは複数の配列ミスマッチがあってもよい。この方式により、相補的な標的ポリヌクレオチドのみがポリヌクレオチド配列とハイブリダイズするか、それともミスマッチのあるハイブリッド二重鎖が形成されるかが判定される。
ハイブリダイゼーション反応は、絶対的または示差的なハイブリダイゼーション形式で行うことができる。絶対的なハイブリダイゼーション形式では、1つの試料由来のポリヌクレオチドプローブをマイクロアレイ形式にある配列とハイブリダイズさせ、ハイブリダイゼーション複合体の形成後に検出された信号を試料中のポリヌクレオチドプローブのレベルと相関づける。示差的なハイブリダイゼーション形式では、2つの生物試料における遺伝子セットの発現の差異を分析する。示差的ハイブリダイゼーションのためには、両方の生物試料からポリヌクレオチドプローブを調製し、異なる標識部分(labeling moiety)を用いて標識する。2種類の標識ポリヌクレオチドプローブの混合物をマイクロアレイに添加する。続いてマイクロアレイを、2種類の異なる標識からの発光を個別に検出しうる条件下で検査する。両方の生物試料に由来する実質的に同数のポリヌクレオチドプローブとハイブリダイズさせたマイクロアレイ中の配列は、異なる複合蛍光を発する(Shalonら、国際公開公報第95/35505号)。いくつかの態様において、標識は識別可能な発光スペクトルを有する蛍光性標識、例えばCy3およびCy5蛍光団である。
ハイブリダイゼーション後に、ハイブリダイズしなかった核酸を除去するためにマイクロアレイを洗浄し、ハイブリダイズしうるアレイ構成要素とポリヌクレオチドプローブとの複合体形成を検出する。複合体形成の検出のための方法は当業者に周知である。いくつかの態様においては、ポリヌクレオチドプローブを蛍光性標識で標識し、複合体形成を示す蛍光のレベルおよびパターンの測定は、共焦点蛍光顕微鏡などの蛍光顕微鏡によって行われる。
示差的ハイブリダイゼーション実験では、2種類またはそれ以上の異なる生物試料からのポリヌクレオチドプローブを、発光波長の異なる2種類またはそれ以上の異なる蛍光性標識によって標識する。蛍光シグナルは、特定の波長を検出するように設定した異なる光電子倍増管を用いて検出する。2つまたはそれ以上の試料におけるポリヌクレオチドプローブの相対量/発現レベルを求める。
通常、複数のマイクロアレイを同様の試験条件下で用いる場合には、ハイブリダイゼーション強度のばらつきを考慮に入れるためにマイクロアレイの蛍光強度を標準化することができる。いくつかの態様において、個々のポリヌクレオチドプローブ/標的複合体のハイブリダイゼーション強度は、各マイクロアレイ上に含まれる内部標準化対照から得られた強度を用いて標準化される。
核酸の検出は例えば、二重鎖核酸と特異的に結合する標識された検出用部分(例えば、RNA-DNA二重鎖に対して特異的な抗体)を用いて行いうる。1つの例では、抗体が酵素と結合した、DNA-RNAヘテロ二重鎖を認識する抗体を用いる(通常、組換えまたは共有化学結合による)。抗体は、酵素がその基質と反応して検出可能な生成物が生じた場合に検出される。Coutleeら(1989) Analytical Biochemistry 181: 153-162;Bogulavski (1986)ら、J. Immunol. Methods 89: 123-130;Prooijen-Knegt (1982) Exp. Cell Res. 141:397-407;Rudkin (1976) Nature 265: 472-473、Stollar (1970) PNAS 65: 993-1000;Ballard (1982) Mol. Immunol. 19: 793-799;PisetskyおよびCaster (1982) Mol. Immunol. 19:645-650;Viscidiら(1988) J Clin. Microbial. 41: 199-209;ならびにKineyら(1989) J. Clin. Microbiol. 27: 6-12は、ホモ二重鎖およびヘテロ二重鎖を含むRNA二重鎖に対する抗体を記載している。DNA:RNAハイブリッドに対して特異的な抗体を含むキットは、例えば、Digene Diagnostics, Inc.(Beltsville, MD)から入手可能である。
入手可能な抗体に加えて、当業者は、核酸二重鎖に対して特異的な抗体を既存の技術を用いて容易に作製することができ、または商業的もしくは公的に入手可能な抗体を改変することもできる。以上に言及した技術に加えて、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を作製するための一般的な方法が当業者に知られている(例えば、Paul(編)、「Fundamental Immunology, Third Edition」Raven Press, Ltd., NY (1993);Coligan, 「Current Protocols in Immunology」、Wiley/Greene, NY (1991);HarlowおよびLane、「Antibodies: A Laboratory Manual」Cold Spring Harbor Press, NY (1989);Stitesら(編)「Basic and Clinical Immunology」(第4版)Lange Medical Publications, Los Altos, CAおよびそこに引用された参考文献;Goding、「Monoclonal Antibodies: Principles and Practice」(第2版)Academic Press, New York, NY, (1986);ならびにKohlerおよびMilstein、Nature 256: 495-497 (1975)を参照されたい)。抗体調製のために適した他の技術には、ファージベクターまたは類似のベクターにおける組換え抗体ライブラリーの選択が含まれる(例えば、Huseら、Science 246: 1275-1281 (1989);およびWardら、Nature 341: 544-546 (1989)を参照)。特異的なモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体ならびに抗血清は、通常、少なくとも約0.1μMのK、好ましくは少なくとも約0.01μMまたはそれ未満、最も一般的かつ好ましくは0.001μMまたはそれ未満のKで結合すると考えられる。
本発明に用いられる核酸は、陽性プローブでも陰性プローブでもよい。陽性プローブはその標的と結合し、二重鎖形成の存在が標的の存在の証拠となる。陰性プローブは疑われる標的とは結合せず、二重鎖形成が存在しないことが標的の存在の証拠となる。例えば、野生型特異的な核酸プローブまたはPCRプライマーの使用は、目的のヌクレオチド配列のみが存在する場合、アッセイ試料における陰性プローブとして役立ちうる。
ハイブリダイゼーションアッセイ法の感度を、検出しようとする標的核酸を増加させる核酸増幅システムを用いることによって高めることもできる。このようなシステムの例には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)システムおよびリガーゼ連鎖反応(LCR)システムが含まれる。当技術分野で最近記載されているその他の方法には、核酸配列に基づく増幅(NASBA, Cangene, Mississauga, Ontario)およびQ Betaレプリカーゼシステムがある。これらのシステムは、選択した配列が存在する場合にのみPCRプライマーまたはLCRプライマーが伸長または連結するように設計されている場合、変異体を直接同定するために用いうる。または、選択した配列を、例えば非特異的なPCRプライマーを用いて全体的に増幅し、増幅された標的領域をその後、変異の指標となる特定の配列に対して検索することもできる。Taqmanおよび分子ビーコンプローブを含む様々な検出プローブを増幅反応産物を、例えば即時にモニターするために用いることができることが理解される。
本発明の核酸の発現レベルを決定するための代替的な手段の一つは、インサイチューハイブリダイゼーションである。インサイチューハイブリダイゼーションアッセイ法はよく知られており、Angererら、Methods Enzymol. 152: 649-660 (1987)に概論が記載されている。インサイチューハイブリダイゼーションアッセイ法では、細胞、好ましくは小脳または海馬由来のヒト細胞を固体支持体、一般的にはスライドグラスに対して固定する。DNAを検索しようとする場合には、細胞を熱またはアルカリによって変性させる。続いて細胞を、標識された特異的プローブのアニーリングを可能にする中程度の温度のハイブリダイゼーション溶液と接触させる。プローブは放射性同位体または蛍光レポーターによって標識することが好ましい。
一塩基多型(SNP)解析も、SMAP-2遺伝子の対立遺伝子間の違いを検出するために有用である。SMAP-2と関連のあるSNPは、例えば患者におけるSMAP-2関連疾患(例えば糖尿病またはそのような疾患の素因)の診断に有用である。例えば、ある個体がSMAP-2関連SNPの少なくとも1つの対立遺伝子を有していれば、その個体はそれらの疾患の1つまたは複数に対する素因を持つ可能性が高い。個体が疾患関連SMAP-2のSNPに関してホモ接合性であれば、その個体のSMAP-2関連疾患(例えば糖尿病)に対する素因は特に大きい。いくつかの態様において、SMAP-2関連疾患に関連するSNPは、SMAP-2をコードするポリヌクレオチドの300,000塩基対;200,000塩基対;100,000塩基対;75,000塩基対;50,000塩基対;10,000塩基対;5,000塩基対;2,000塩基対;または1,000塩基対の範囲内に位置する。
Taqmanまたは分子ビーコンを用いるアッセイ法(例えば、米国特許第5,210,015号;同第5,487,972号;Tyagiら、Nature Biotechnology 14: 303 (1996);および国際公開公報第95/13399号)などを含むさまざまなリアルタイムPCR法は、SNPの有無を観測するために有用である。そのほかのSNP検出法には、例えば、DNAシークエンシング、ハイブリダイゼーションによるシークエンシング、ドットブロット法、オリゴヌクレオチドアレイ(DNAチップ)ハイブリダイゼーション分析が含まれ、または例えば、米国特許第6,177,249号;Landegrenら、Genome Research, 8: 769-776 (1998);Botsteinら、Am J Human Genetics 32: 314-331 (1980);Meyersら、Methods in Enzymology 155: 501-527 (1987);Keenら、Trends in Genetics 7: 5 (1991);Myersら、Science 230: 1242-1246 (1985);およびKwokら、Genomics 23: 138144 (1994)に記載されている。
V.SMAP-2の免疫学的検出
核酸ハイブリダイゼーション技術を用いたSMAP-2遺伝子および遺伝子発現の検出のほかに、イムノアッセイ法を用いてSMAP-2ポリペプチドを検出することも可能である。イムノアッセイ法を用いて、SMAP-2を定性的または定量的に分析することができる。適用可能な技術に関する一般的な概要は、HarlowおよびLane、「Antibodies: A Laboratory Manual」(1988)に記載がある。当業者は、検出目的に有用な抗体が治療薬としても有用であること(すなわち、SMAP-2アンタゴニスト)を認識すると考えられる。
A.標的タンパク質または他の免疫原に対する抗体
目的のタンパク質または他の免疫原と特異的に反応するポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の作製のための方法は当業者に知られている(例えば、Coligan、前記;HarlowおよびLane、前記;Stitesら、前記およびそれに引用された参考文献;Goding、前記;ならびにKohlerおよびMilstein、Nature, 256: 495-497 (1975)を参照されたい)。このような技術には、ファージベクターまたは類似のベクターにおける組換え抗体のライブラリーからの抗体の選択による抗体の調製が含まれる(例えば、Huseら、前記;およびWardら、前記を参照のこと)。例えば、イムノアッセイ法に用いるための抗血清を作製するためには、本明細書の記載のように、目的のタンパク質またはその抗原性断片を単離する。例えば、組換えタンパク質を形質転換細胞系において産生させる。マウスまたはウサギの近交系に対して、フロイントアジュバントなどの標準的アジュバントおよび標準的な免疫処置プロトコールを用いてタンパク質の免疫処置を行う。または、本明細書に開示するSMAP-2配列に由来する合成ペプチドは、担体タンパク質と結合させ、かつ免疫原として用いられる。
ポリクローナル血清を収集し、イムノアッセイ法、例えば、固体支持体上に固定した免疫原を用いる固相イムノアッセイ法において、免疫原に対する力価測定を行う。力価が10またはそれ以上であるポリクローナル抗血清を選択し、競合結合イムノアッセイ法を用いて、非SMAP-2タンパク質、または場合によっては他の相同タンパク質との交差反応性を調べる。特異的なポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体は通常、少なくとも約0.1mMのK、より一般的には少なくとも約1μM、好ましくは少なくとも約0.1μMまたはそれ未満、最も好ましくは0.01μMまたはそれ未満のKで結合すると考えられる。
免疫原を含む本発明の多くのタンパク質を、目的のタンパク質と特異的または選択的に反応する抗体の作製に用いることができる。組換えタンパク質は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体の作製のために好ましい免疫原である。天然のタンパク質を純粋または不純な状態で用いてもよい。本明細書に記載したタンパク質配列を用いて作製した合成ペプチドを、そのタンパク質に対する抗体の作製のための免疫原として用いることもできる。組換えタンパク質を真核細胞または原核細胞において発現させ、上に一般的に述べた通りに精製することができる。続いて、抗体を産生しうる動物の体内にその生成物を注入する。タンパク質を測定するためのイムノアッセイ法に後で用いるために、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体のいずれを作製してもよい。
ポリクローナル抗体の作製方法は当業者に周知である。簡潔に述べると、免疫原、好ましくは精製タンパク質をアジュバントと混合した上で、動物に免疫処置を行う。検査採血を行い、SMAP-2に対する反応性の力価を測定することにより、免疫原調製物に対する動物の免疫応答を観測する。免疫原に対して適切な高い力価を持つ抗体が得られた時点で、動物から血液を採取し、抗血清を調製する。必要に応じて、タンパク質に反応する抗体を濃縮するために抗血清をさらに分画することもできる(HarlowおよびLane、前記を参照)。
モノクローナル抗体は、当業者によく知られた種々の技術によって入手しうる。通常は、望ましい抗原による免疫処置を受けた動物から得た脾細胞を、一般的には骨髄腫細胞との融合によって不死化させる(KohlerおよびMilstein、Eur. J. Immunol. 6: 511-519 (1976)を参照)。代替的な不死化の方法には、エプスタイン-バーウイルス、癌遺伝子もしくはレトロウイルスによる形質転換、または当技術分野で周知の他の方法が含まれる。単一の不死化細胞から生じたクローンを抗原に対する望ましい特異性および親和性に関してスクリーニングし、このような細胞によって産生されるモノクローナル抗体の収量を、脊椎動物宿主の腹腔内への注射を含む種々の技術によって高めることもできる。または、Huseら、Science 246: 1275-1281 (1989)に概要が示された一般的なプロトコールに従ってヒトB細胞由来のDNAライブラリーをスクリーニングすることにより、モノクローナル抗体またはその結合性断片をコードするDNA配列を単離することもできる。
標的免疫原に特異的な抗体がひとたび得られれば、臨床医が利用しうる定性的および定量的な結果が得られる種々のイムノアッセイ法によってその免疫原を測定することができる。免疫学的手順およびイムノアッセイ手順の概説については、Stites、前記を参照されたい。さらに、本発明のイムノアッセイ法を、Maggio, 「Enzyme Immunoassay」、CRC Press, Boca Raton, Florida (1980);Tijssen、前記;ならびにHarlowおよびLane、前記に詳細に概説がなされた複数の方式のうち任意の形式で行うこともできる。
ヒト試料中の標的タンパク質を測定するためのイムノアッセイ法に、タンパク質(例えば、SMAP-2)またはその断片に対して産生されたポリクローナル抗血清を用いてもよい。この抗血清は非SMAP-2タンパク質に対する交差反応性が低くなるように選択し、イムノアッセイ法に用いる前にこの種の交差反応性を免疫吸着によって除去する。
B.免疫学的結合アッセイ法
いくつかの態様において、目的のタンパク質は、よく知られたさまざまな免疫学的結合アッセイ法のうち任意のものを用いて検出および/または定量化される(例えば、米国特許第4,366,241号;第4,376,110号;第4,517,288号;および第4,837,168号を参照)。一般的なイムノアッセイ法の概説については、Asai,「Methods in Cell Biology Volume 37: Antibodies in Cell Biology」、Academic Press, Inc. NY (1993);Stites、前記を参照されたい。免疫学的結合アッセイ法(またはイムノアッセイ法)には一般に、分析物(SMAP-2、またはその抗原性部分配列)と特異的に結合し、しばしばそれを固定化する「捕捉剤(capture agent)」が用いられる。捕捉剤は分析物と特異的に結合する部分(moiety)である。好ましい態様において、捕捉剤は、例えば、本発明のSMAP-2ポリペプチドと特異的に結合する抗体である。抗体(例えば、抗SMAP-2抗体)を、当業者に周知の数多くの手段および上記の手段のうち任意のものを用いて作製してもよい。
イムノアッセイ法には、捕捉剤および分析物によって形成された複合体と特異的に結合し、それを標識する標識剤(labeling agent)もしばしば用いられる。標識剤はそれ自体が抗体/抗原複合体を含む部分の1つであってもよい。または、標識剤が、抗体/タンパク質複合体と特異的に結合する、別の抗体などの第3の部分であってもよい。
一つの態様において、標識剤は、標識を有する第2の抗体である。または、第2の抗体は標識を有しておらず、その代わりに、第2の抗体の由来となった種の抗体に対して特異的な標識された第3の抗体が結合していてもよい。第2の抗体は、酵素標識ストレプトアビジンなどの第3の標識分子が特異的に結合しうる、ビオチンなどの標識可能な部分によって修飾することができる。
免疫グロブリン定常領域と特異的に結合しうるプロテインAまたはプロテインGなどの他のタンパク質を標識剤としても用いてもよい。これらのタンパク質は、連鎖球菌の細胞壁の通常の構成要素である。それらは、さまざまな種に由来する免疫グロブリン定常領域に対して強い非免疫原性反応性を示す(例えば、概論については、Kronvalら、J. Immunol. 111: 1401-1406 (1973);およびAkerstromら、J. Immunol. 135: 2589-2542 (1985)を参照)。
アッセイ全体を通じて、試薬の各々の組み合わせを用いた後には、インキュベーションおよび/または洗浄の工程が必要と思われる。インキュベーションの工程は、約5秒から数時間、例えば約5分から約24時間の範囲でさまざまでありうる。インキュベーション時間は、アッセイ形式、分析物、溶液の容積、濃度などに依存すると考えられる。通常、アッセイは室温で行うが、10℃〜40℃といった一定範囲の温度で行うこともできる。
1.非競合アッセイ形式
組織試料から目的のタンパク質または分析物を検出するためのイムノアッセイ法は競合的でも非競合的でもよい。非競合イムノアッセイ法は、捕捉されたタンパク質または分析物の量を直接測定するアッセイ法である。例えば、1つの好ましい「サンドイッチ」アッセイ法では、捕捉剤(例えば、SMAP-2抗体)を、それを固定化するための固体基質に対して直接結合させることができる。続いて、これらの固定化された抗体は、被験試料中に存在するSMAP-2を捕捉する。このようにして固定化されたSMAP-2に対して、次に、標識を有する第2の抗SMAP-2抗体などの標識剤を結合させる。または、第2の抗体には標識がなく、その代わりに、第2の抗体の由来となった種の抗体に対して特異的な第3の抗体をそれと結合させてもよい。第2の抗体は、酵素標識ストレプトアビジンなどの第3の標識分子が特異的に結合しうる、ビオチンなどの標識可能な部分によって修飾することができる。
2.競合アッセイ形式
競合アッセイ法では、試料中に存在するタンパク質または分析物によって特異的捕捉剤(例えば、SMAP-2に対する抗体)から解離した(競合に敗れた)、添加した(外因性の)タンパク質または分析物(すなわち、目的のSMAP-2)の量を測定することにより、試料中に存在するタンパク質または分析物の量を間接的に測定する。抗体と結合したSMAP-2の量は、試料中に存在する免疫原の濃度と反比例する。1つの特に好ましい態様では、抗体を固体基質上に固定化する。分析物の量は、標識された分析対象分子を用意することによって検出しうる。標識に、例えば放射性標識のほかに、抗体などの検出試薬によって認識されうるペプチドまたはその他のタグ標識も含まれうることは、認識されている。
競合結合形式のイムノアッセイ法を、交差反応性の決定に用いることもできる。例えば、本明細書に提供する配列によってコードされるタンパク質を、固体支持体上に固定化することができる。タンパク質をアッセイ系に添加し、固定化された抗原に対する抗血清の結合と競合する。上記のタンパク質が、固定化されたタンパク質に対する抗血清の結合と競合する能力を、本明細書に提供するいずれかの配列によってコードされるタンパク質のものと比較する。上記のタンパク質に関する交差反応性の比率を、標準的な計算を用いて算出する。上に挙げた添加したタンパク質のそれぞれとの交差反応性が10%未満であるような抗血清を選択してプールする。交差反応性のある抗体は、選択的には、例えば近縁性の低いホモログといった考慮されたタンパク質による免疫吸着により、プールした抗血清から除去される。
免疫吸着がなされてプールされた抗血清は次に、おそらく本発明のタンパク質であると考えられる第2のタンパク質を、免疫原タンパク質と比較するために、上記の競合結合イムノアッセイ法に用いられる。この比較を行うためには、この2つのタンパク質を広範囲の濃度にわたって互いにアッセイし、抗血清と固定されたタンパク質との結合の50%を抑制するのに必要な各タンパク質の量を決定する。必要な第2のタンパク質の量が、必要な本明細書の蛋白質によって部分的にコードされるタンパク質の量の10分の1未満であれば、第2のタンパク質は標的タンパク質からなる免疫原に対して産生された抗体と特異的に結合するといわれる。
3.その他のアッセイ形式
特に好ましい態様においては、ウエスタンブロット(イムノブロット)分析が、試料中の本発明のSMAP-2の存在を検出および定量化するために用いられる。この技術は一般に、試料のタンパク質を分子量に基づいてゲル電気泳動によって分離し、分離されたタンパク質を適した固体支持体(ニトロセルロースフィルター、ナイロンフィルターまたは誘導体化ナイロンフィルターなど)に移行させた上で、目的のタンパク質と特異的に結合する抗体とともに試料をインキュベートすることを含む。例えば、抗SMAP-2抗体は、固体支持体上のSMAP-2と特異的に結合する。これらの抗体を直接標識してもよく、または、目的のタンパク質と特異的に結合する標識抗体(例えば、標識したヒツジ抗マウス抗体)を用いて後に検出してもよい。
その他のアッセイ形式には、特定の分子(例えば、抗体)と結合し、封入された試薬またはマーカーを放出するように設計されたリポソームを用いるリポソームイムノアッセイ法(LIA)が含まれる。続いて、放出された化学物質を標準的な技術に従って検出する(Monroeら、Amer. Clin. Prod. Rev. 5: 34-41 (1986)を参照)。
4.標識
アッセイ法に用いる特定の標識または検出可能基は、アッセイ法に用いる抗体の特異的結合に大きな妨げとならない限り、本発明の特に重要な面ではない。検出可能基は、検出可能な物理的または化学的特性を有する任意の物質でありうる。このような検出可能な標識はイムノアッセイ法の分野では十分に開発されており、通常、このような方法に有用なほとんどすべての標識を本発明に適用することができる。すなわち、標識は、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電子的、工学的または化学的な手段によって検出可能な任意の組成物である。本発明において有用な標識には、磁気ビーズ(例えば、Dynabeads(商標))、蛍光色素(例えば、フルオレセイン、イソチオシアネート、テキサスレッド、ローダミンなど)、放射性標識(例えば、H、125I、35S、14Cまたは32P)、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、およびELISAに一般に用いられる他のもの)、およびコロイド金または着色ガラスまたはプラスチックビーズ(例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックスなど)などの比色定量用標識が含まれる。
標識を、当技術分野で周知の方法に従って、アッセイ法の望ましい構成要素に直接的または間接的に結合させてもよい。以上に示した通り、非常にさまざまな標識を用いることができ、標識の選択は必要な感度、化合物との結合の容易さ、安定性の必要条件、用いうる装置、および廃棄への対応に依存する。
非放射性標識はしばしば間接的な手段によって結合させる。酵素または蛍光団との結合などにより、分子をシグナル生成化合物と直接結合させることもできる。種々の酵素および蛍光化合物を本発明の方法に用いることができ、これらは当業者に周知である(用いうるさまざまな標識システムまたはシグナル生成システムの概説については、例えば、米国特許第4,391,904号を参照されたい)。
標識の検出手段は当業者に周知である。すなわち、例えば、標識が放射性標識であれば、検出のための手段には、シンチレーションカウンターまたはオートラジオグラフィーの場合の写真フィルムが含まれる。標識が蛍光標識であれば、適切な波長の光で蛍光色素を励起させ、その結果生じた蛍光を検出することによってそれを検出しうる。蛍光は、肉眼的に、写真フィルムにより、電荷結合素子(CCD)または光電子増倍管などの電子検出装置の使用によって検出しうる。同様に、酵素標識は、酵素に対する適切な基質を提供し、その結果得られた反応生成物を検出することにより検出することができる。さらに、単純な比色定量標識は、標識に伴う色を単に観察することによって検出しうる。すなわち、種々の試験紙アッセイ法において、結合した金はしばしば薄赤色に見え、一方、種々の結合ビーズはビーズの色に見える。
いくつかのアッセイ形式には、標識成分を用いる必要がない。例えば、凝集アッセイ法を用いて標識抗体の存在を検出することができる。この場合には、標的抗体を含む試料により、抗原をコーティングした粒子を凝集させる。この形式では、どの成分も標識する必要はなく、単純な肉眼検査によって標的抗体の存在が検出される。
VI.SMAP-2の修飾物質の同定
SMAP-2の修飾物質、すなわちSMAP-2活性、またはSMAP-2ポリペプチドもしくはポリヌクレオチドの発現に対するアゴニストまたはアンタゴニストは、糖尿病を含むさまざまなヒト疾患の治療に有用である。例えば、SMAP-2アンタゴニストの投与は、糖尿病の患者またはインスリン抵抗性のある個体を治療し、糖尿病の進行を防ぎ、それによって糖尿病に関連する症状を防ぐために用いうる。
A.SMAP-2を調節する作用物質
SMAP-2の修飾物質としての試験を行う作用物質は、ポリペプチド、糖、核酸または脂質などの任意の低分子化合物または生物的実体でよい。一般に、被験化合物は低分子化合物およびペプチドであると考えられる。本質的にはあらゆる化合物を、本発明のアッセイ法における修飾物質またはリガンドの候補として用いることができるが、水性溶液または有機溶液(特にDMSOをベースとするもの)中に溶解しうる化合物を用いることが最も多い。アッセイ法は、アッセイ法の工程を自動化し、任意の好都合な源から化合物をアッセイ法に提供し、一般にはそれを平行して稼働させることにより(例えば、自動化アッセイ法でのマイクロタイタープレート上でのマイクロタイター形式による)、大規模化学ライブラリーをスクリーニングするように設計する。修飾物質には、SMAP-2mRNAのレベルを低下させるように設計された作用物質(例えば、アンチセンス分子、リボザイム、DNAザイム(DNAzyme)、短鎖抑制性RNA(small inhibitory RNA)など)またはmRNAからの翻訳のレベルを低下させるように設計された作用物質(例えば、mRNA分子上の翻訳開始配列または他の配列に対して相補的なアンチセンス分子などの翻訳遮断物質)も含まれる。化合物の供給元が、Sigma社(St. Louis, MO)、Aldrich社(St. Louis, MO)、Sigma-Aldrich社(St. Louis, MO)、Fluka Chemika-Biochemica Analytika社(Buchs, Switzerland)などを含め、数多くあることは知られているであろう。
いくつかの態様において、ハイスループットスクリーニング方法は、数多くの治療的化合物の候補(修飾性化合物の候補)を含むコンビナトリアル化学ライブラリーまたはペプチドリガンドライブラリーを提供することを含む。続いて、このような「コンビナトリアル化学ライブラリー」または「リガンドライブラリー」を、望ましい特徴的な活性を示すライブラリーのメンバー(特定の化学種またはサブクラス)を同定するために、本明細書に記載するような1つまたは複数のアッセイ法においてスクリーニングする。このようにして同定された化合物は、通常の「リード化合物」として役立ち、またはそれ自体を治療薬の候補もしくは実際の治療薬として用いることができる。
コンビナトリアル化学ライブラリーは、試薬などの化学的「構成単位(building block)」を数多く組み合わせることにより、化学合成または生物的合成によって生成された多様な化合物からなる集成物である。例えば、ポリペプチドライブラリーなどの直鎖状コンビナトリアル化学ライブラリーは、一群の構成化学単位(アミノ酸)を所定の化合物の長さ(すなわち、ポリペプチド化合物におけるアミノ酸の数)に関して考えられるすべてのやり方で組み合わせることによって生成される。構成化学単位のこのようなコンビナトリアル混合により、何百万もの化合物を合成することができる。
コンビナトリアル化学ライブラリーの作製およびスクリーニングは当業者に周知である。このようなコンビナトリアル化学ライブラリーには、ペプチドライブラリー(例えば、米国特許第5,010,175号、Furka, Int. J. Pept. Prot. Res. 37: 487-493 (1991)およびHoughtonら、Nature 354: 84-88 (1991)を参照)が非制限的に含まれる。多様性のある化学物質ライブラリーを作製するためにその他の化学物質を用いることもできる。このような化学物質には、ぺプトイド(例えば、国際公開公報第91/19735号)、コード化ペプチド(例えば、国際公開公報第93/20242号)、ランダムバイオオリゴマー(例えば、国際公開公報第92/00091号)、ベンゾジアゼピン(例えば、米国特許第5,288,514号)、ヒダントイン、ベンゾジアゼピンおよびジペプチドなどのダイバーソマー(diversomer)(Hobbsら、Proc. Nat. Acad. Sci. USA 90: 6909-6913 (1993))、ビニル性ポリペプチド(Hagiharaら、J. Amer. Chem. Soc. 114: 6568 (1992))、グルコーススカフォールディングを有する非ペプチド性ペプチド模倣物(Hirschmannら、J. Amer. Chem. Soc. 114: 9217-9218 (1992))、低分子化合物ライブラリーの類似の有機合成(Chenら、J. Amer. Chem. Soc. 116: 2661 (1994))、オリゴカルバメート(Choら、Science 261: 1303 (1993))、および/またはペプチジルホスホネート(Campbellら、J. Org. Chem. 59: 658 (1994))、核酸ライブラリー(Ausubel、BergerおよびSambrook、いずれも前記、を参照)、ペプチド核酸ライブラリー(例えば、米国特許第5,539,083号を参照)、抗体ライブラリー(例えば、Vaughnら、Nature Biotechnology, 14(3): 309-314 (1996)および国際特許出願番号PCT/US96/10287を参照)、炭水化物ライブラリー(例えば、Liangら、Science, 274: 1520-1522 (1996)および米国特許第5,593,853号を参照)、有機低分子ライブラリー(例えば、ベンゾジアゼピン、Baum C&EN, Jan 18, p.33(1993);イソプレノイド、米国特許第5,569,588号;チアゾリジノンおよびメタチアザノン、米国特許第5,549,974号;ピロリジン、米国特許第5,525,735号および第5,519,134号;モルホリノ化合物、米国特許第5,506,337号;ベンゾジアゼピン、米国特許第5,288,514号などを参照)が非制限的に含まれる。
コンビナトリアルライブラリーの作製用の装置は市販されている(例えば、357 MPS, 390 MPS, Advanced Chem Tech, Louisville KY, Symphony, Rainin, Woburn, MA, 433A Applied Biosystems, Foster City, CA, 9050 Plus, Millipore, Bedford, MAを参照)。加えて、数多くのコンビナトリアルライブラリーがそれ自体、市販されている(例えば、ComGenex, Princeton, N.J., Tripos, Inc., St. Louis, MO, 3D Pharmaceuticals, Exton, PA, Martek Biosciences, Columbia, MDなど)。
上記に記載されるように、本発明はまた、SMAP-2関連条件を検出、診断、および治療するためのアンチセンス分子を提供する。アンチセンス化合物には、リボザイム、外部ガイド配列(EGS)オリゴヌクレオチド(オリゴザイム)、および標的核酸にハイブリダイズしかつその発現を調節する他の短い触媒RNAまたは触媒オリゴヌクレオチドが含まれる。アンチセンス分子はSMAP-2核酸(例えば、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、または配列番号:8)の連続する配列に実質的に相補的である。本発明のアンチセンスポリヌクレオチドは、天然に存在するSMAP-2核酸および合成SMAP-2核酸に特異的にハイブリダイズするそれらの能力によって特徴付けられ、上流エレメント、隣接エレメント、非コードエレメント、および転写制御エレメント、プレmRNA、mRNA、cDNAなどのいずれかが含まれる。本発明のアンチセンスポリヌクレオチドは、代表的には、少なくとも7ヌクレオチド、8ヌクレオチド、9ヌクレオチド、10ヌクレオチド、11ヌクレオチド、12ヌクレオチド、13ヌクレオチド、14ヌクレオチド、15ヌクレオチド、もしくは18ヌクレオチドの長さ、少なくとも20ヌクレオチド、30ヌクレオチド、40ヌクレオチド、50ヌクレオチド、70ヌクレオチド、100ヌクレオチドの長さ、または全長SMAP-2 mRNAである。
特定の実施態様において、アンチセンス配列は、標的配列に正確に相補的である。しかし、アンチセンスポリヌクレオチドはまた、SMAP-2 RNAまたはその遺伝子に対応する関連した標的配列への特異的結合がポリヌクレオチドの機能特性として保持される限り、ヌクレオチドの置換、付加、欠失、転位(transition)、転移(transposition)、または修飾、または、他の核酸配列もしくは非核酸部分を含み得る。
以下のようなバックボーンアナログを含むアンチセンスポリヌクレオチドまたはその混合物が提供される:ホスホジエステル、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、メチルホスホネート、ホスホルアミデート、アルキルホスホトリエステル、スルファメート、3'-チオアセタール、メチレン(メチルイミノ)、3'-N-カルバメート、モルホリノカルバメート、キラル-メチルホスホネート、短鎖アルキルまたはシクロアルキル糖間連結を有するヌクレオチド、短鎖ヘテロ原子またはヘテロ環式糖間(「バックボーン」)結合、またはCH2-NH-O-CH2、CH2-N(CH3)-OCH2、CH2-O-N(CH3)-CH2、CH2-N(CH3)-N(CH3)-CH2、およびO-N(CH3)-CH2-CH2バックボーン(ここでホスホジエステルはO-P-O-CH2である)。モルホリノバックボーン構造を有するオリゴヌクレオチドもまた、有用である(米国特許第5,034,506号)。
いかなる特定のメカニズムにも限定されることを意図することなく、アンチセンスポリヌクレオチドは、センスSMAP-2 mRNAに結合し、かつその翻訳に干渉すると考えられている。あるいは、アンチセンス分子は、SMAP-2 mRNAを、ヌクレアーゼ消化に対して感受性にし得、転写を阻害し得、プロセシング、局在化、もしくはさもなくばRNA前駆体(「プレmRNA」)を阻害し得、SMAP-2遺伝子からのmRNAの転写を抑制し得、またはいくつかの他のメカニズムを通して作用し得る。しかし、アンチセンス分子がそれによってSMAP-2発現を減少させる特定のメカニズムは決定的ではない。
B. SMAP-2の修飾物質についてのスクリーニングの方法
多数の異なるスクリーニングプロトコールが、細胞(ヒト細胞のような哺乳動物細胞を含む)中のSMAP-2の発現または活性のレベルを調節する薬剤を同定するために使用され得る。一般的な用語において、スクリーニング方法は、例えば、SMAP-2ポリペプチドに結合すること、SMAP-2がプロテアーゼに結合することを妨害すること、SMAP-2との阻害物質もしくは活性化物質の結合を増加させること、またはSMAP-2の発現を活性化もしくは阻害することによって、SMAP-2の活性を調節する薬剤を同定するために、複数の薬剤をスクリーニングする工程を含む。
1. SMAP-2結合アッセイ
そのようにして同定された薬剤の少なくともいくつかがおそらくSMAP-2の修飾物質であるので、SMAP-2に結合し得る薬剤の能力についてのスクリーニングによって予備的なスクリーニングが行われ得る。例えば、SMAP-2と相互作用する内因性タンパク質を同定するための結合アッセイもまた有用である。例えば、抗体、レセプター、プロテアーゼ、またはSMAP-2を結合する他の分子が結合アッセイにおいて同定され得る。
結合アッセイ法は通常、SMAP-2タンパク質を1つまたは複数の被験作用物質と接触させ、タンパク質および被験作用物質が結合複合体を形成するのに十分な時間をおくことを含む。形成された結合複合体は、確立されたさまざまな分析技術のうち任意のものを用いて検出することができる。タンパク質結合アッセイ法には、共沈、非変性SDS-ポリアクリルアミドゲル上での共移動、ウエスタンブロット上での共移動を測定する方法(例えば、Bennet, J.P.およびYamamura, H.I. (1985)「Neurotransmitter、Hormone or Drug Receptor Binding Methods」、「Neurotransmitter Receptor Binding」(Yamamura, H. I.ら編)中、pp. 61-89を参照)が非制限的に含まれる。他の結合アッセイ法には、SMAP-2と結合した分子または標識基質の置換を同定するための質量分析法またはNMR法の使用が含まれる。この種のアッセイ法に用いるSMAP-2タンパク質は、自然下で発現されたものでもクローニングされたものでも合成されたものでもよい。
さらに、酵母ツーハイブリッド法(例えば、Bartel, P. L.ら、Methods Enzymol, 254: 241 (1995)を参照)を、宿主細胞内で一緒に発現された場合に相互作用または結合を行うポリペプチドまたはその他の分子を同定するために用いることもできる。
2. SMAP-2活性
SMAP-2およびその対立遺伝子および多型バリアントはプロテアーゼ阻害物質である。SMAP-2ポリペプチドの活性は、機能的効果、化学的効果、および物理的効果を決定するための種々のインビトロアッセイおよびインビボアッセイを使用して(例えば、プロテアーゼ活性を阻害するSMAP-2の能力を測定して、またはSMAP-2の調節もしくはインスリン感受性の効果を測定することによって)、評価され得る。例えば、候補SMAP-2修飾物質は、インスリンに応答してグルコースを取り込むことができるSMAP-2発現細胞を含む混合物に加えられ得る。このようなアッセイは、SMAP-2の阻害物質および活性化物質について試験するために使用され得る。このような導入活性の修飾物質は、細胞内シグナル伝達を制御するためおよび糖尿病を治療するために有用である。
このアッセイのSMAP-2は、配列番号:2、4、6、9の配列もしくはサブ配列を有するポリペプチド、配列番号:7によってコードされるポリペプチド、または保存的に修飾されたその改変体から選択され得る。あるいは、このアッセイのSMAP-2は真核生物由来である。一般的に、オルトログのSMAP-2配列は配列番号:2、4、6、または9と実質的に同一である。選択的に、このアッセイのポリペプチドは、1つまたはそれ以上のSMAP-2のドメイン、例えば、搬出シグナル配列、1つまたは2つのEFカルシウム結合ハンド、Kazalドメインおよび1つまたは2つのサイログロブリン-1反復ドメインなどを含むSMAP-2のフラグメントを含む。SMAP-2またはそのドメインのいずれかが、本明細書中に記載されるアッセイにおいて使用されるキメラタンパク質を作製するために異種タンパク質に共有結合され得る。
SMAP-2活性の修飾物質は、上記のように、組換えかまたは天然に存在するかのいずれかのSMAP-2ポリペプチドを使用して、試験される。タンパク質は単離され得、細胞中で発現され得、組織または動物中で発現され得、組換えまたは天然に存在し得るかのいずれかである。例えば、組織切片、解離した細胞は、例えばSMAP-2を発現する組織、形質転換細胞、または膜からのものが使用され得る。調節は、本明細書中に記載されるインビトロアッセイまたはインビボアッセイの1つを使用して試験される。さらに、関心対象のタンパク質のプロテアーゼ結合ドメインが、修飾物質結合についてアッセイするために可溶性反応または固体状態反応においてインビトロで使用され得る。
細胞のインスリン感受性は、何度も決定され得る。例えば、GLUT4移行は、細胞に対する候補SMAP-2修飾物質の効果をモニターするために使用され得る。GLUT4移行は、原形質膜と結合したGLUT4の量をモニターすることによって決定され得る。例えば、刺激の後で、原形質膜画分は単離され得、その画分中のGLUT4の量が測定され得る。例えば、Songら、J. Biol. Chem. 276:34651 (2001)を参照されたい。あるいは、GLUT4-myc融合物がGLUT4の局在をモニターするために使用され得る。
グルコース輸送アッセイもまた、SMAP-2活性に対する薬剤の効果を測定するために使用され得る。例えば、SMAP-2と相互作用し、かつグルコースの取り込みを増加させる薬剤が、さらなる研究のために選択され得る。
強力なSMAP-2の阻害物質または活性化物質で処理された試料またはアッセイは、調節の程度を試験するために、試験化合物なしの対照試料と比較される。対照試料(活性化物質または阻害物質を用いて処理されていない)は、SMAP-2活性の相対値100が割り当てられる。SMAP-2活性の値が、対照に対して約90%、選択的に50%、選択的に25-0%であるとき、SMAP-2の阻害が達成される。SMAP-2活性の値が、対照に対して110%、選択的に150%、200%、300%、400%、500%、または1000-2000%であるとき、SMAP-2の活性化が達成される。
3.発現アッセイ法
SMAP-2の発現を調節する化合物のスクリーニングも提供される。スクリーニング法は、被験化合物がSMAP-2を発現する1つまたは複数の細胞と接触させた後に、SMAP-2の発現の増加または減少(転写物もしくは翻訳産物のどちらか)を検出する細胞を用いたアッセイ法を行うことを含む。アッセイ法は、SMAP-2を発現する任意の細胞を用いて行うことができる。。
SMAP-2の発現はさまざまなやり方で検出することができる。以下で述べるように、細胞内でのSMAP-2の発現レベルは、SMAP-2の転写物(またはそれに由来する相補的核酸)と特異的にハイブリダイズするプローブを用いて、細胞内で発現されるmRNAを検索することによって決定しうる。プローブ検索は、細胞を可溶化してノーザンブロット法を行うことによって、または細胞を可溶化せずにインサイチューハイブリダイゼーション法を用いることによって実施しうる。または、SMAP-2と特異的に結合する抗体を用いて細胞可溶化物を検索する免疫学的な方法を用いて、SMAP-2タンパク質を検出することもできる。
別の細胞系アッセイ法に、標準的なレポーター遺伝子アッセイ法により細胞を用いて行われるレポーターアッセイ法が挙げられる。これらのアッセイ法は、SMAP-2を発現する、または発現しない細胞において行うことができる。これらのアッセイ法のある種のものは、検出可能な産物をコードするレポーター遺伝子と機能的に結合したSMAP-2プロモーター(例えば、配列番号:10または配列番号:11を含む)を含む異種核酸構築物を用いて行われる。さまざまなレポーター遺伝子を利用しうる。いくつかのレポーターは内在性に検出可能である。この種のレポーターの例には、蛍光検出器を用いて検出しうる蛍光を発するルシフェラーゼおよび緑色蛍光タンパク質が含まれる。別のレポーターは検出可能な生成物を生じる。この種のレポーターはしばしば酵素である。酵素レポーターの例には、β-グルクロニダーゼ、CAT(クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ;AltonおよびVapnek (1979) Nature 282: 864-869)、ルシフェラーゼ、β-ガラクトシダーゼおよびアルカリホスファターゼ(Tohら (1980) Eur. J. Biochem. 182: 231-238;およびHallら (1983) J. Mol. Appl. Gen. 2: 101)が非制限的に含まれる。
これらのアッセイ法では、レポーター構築物を有する細胞を被験化合物と接触させる。プロモーター発現の変化は、検出可能なレポーターのレベルを検出することによって観測される。さまざまな種類のSMAP-2修飾物質をこのアッセイ法で同定することができる。例えば、プロモーターをそれとの結合によって阻害する、転写因子もしくは他の調節因子との結合によってプロモーターを阻害する、そのプロモーターと結合する、またはプロモーターを阻害する分子を生成するカスケードを誘発する被験化合物を同定することができる。同様に、例えば、プロモーターをそれとの結合によって活性化する、転写因子もしくは他の調節因子との結合によってプロモーターを活性化する、そのプロモーターと結合する、またはプロモーターを活性化する分子を生成するカスケードを誘発する被験化合物を同定することもできる。
発現または活性のレベルはベースライン値との比較が可能である。ベースライン値は、対照試料に関する値、または対照集団(例えば、本明細書に記載された痩せた個体)もしくは細胞(例えば、SMAP-2修飾物質に曝露されない組織培養細胞)に関するSMAP-2発現レベルを代表する統計値であってよい。陰性対照として、SMAP-2を発現しない細胞に関する発現レベルを決定することもできる。この種の細胞は一般に、他の点では実質的に被験細胞と遺伝的に同一である。
レポーターアッセイ法にはさまざまな異なる種類の細胞を用いうる。内因性SMAP-2を発現する細胞は、例えば心臓細胞、脂肪細胞、および骨格筋(例えばL6)細胞である。SMAP-2を内因的に発現しない細胞は原核細胞または真核細胞でありうる。真核細胞は、組換え核酸構築物を有する細胞の作製に通常用いられる細胞のうち任意のものでよい。例となる真核細胞には、酵母、ならびにHEK293、HepG2、COS、CHOおよびHeLa細胞株などの種々の高等真核細胞が含まれる。
観測された活性に信頼性があることを確認するためには、レポーター構築物を含まない細胞を用いた同時並行反応を行うこと、またはレポーター構築物を有する細胞を被験化合物と接触させないことを含め、さまざまな対照をおくことができる。化合物を以下のようにさらに確証することもできる。
4. 確証
前記のスクリーニング方法のいずれかによって最初に同定される薬剤は、見かけの活性を確証するためにさらに試験され得る。好ましくは、このような研究は、適切な動物モデルを用いて行われる。このような方法の基本的形式には、最初のスクリーニングの間に同定されたリード化合物を、ヒトの代わりのモデルとして働く動物に投与する工程、次いで、SMAP-2が実際に調節されるか否かを決定する工程が包含される。化合物の効果は、正常な動物、糖尿病動物または食餌で誘導されたインスリン抵抗性動物において評価され得る。候補SMAP-2修飾物質の投与に応答した血液グルコースおよびインスリンレベルが決定され得る。確証研究において利用される動物モデルは一般的に任意の種の哺乳動物である。適切な動物の特定の例には、霊長類、マウス、およびラットが含まれるがこれらに限定されない。例えば、糖尿病の一遺伝子性モデル(例えば、ob/obマウスおよびdb/dbマウス、ZuckerラットおよびZucker糖尿病脂肪性ラットなど)または糖尿病の多遺伝子性モデル(例えば、OLETFラット、GKラット、NSYマウス、およびKKマウス)が、糖尿病動物またはインスリン抵抗性動物におけるSMAP-2調節を確証するために有用であり得る。さらに、ヒトSMAP-2を発現するトランスジェニック動物が、薬物候補をさらに確証するために使用され得る。
C.固相および溶質のハイスループットアッセイ法
本発明のハイスループットアッセイ法では、最大で数千種もの異なる修飾物質またはリガンドを1日でスクリーニングすることが可能である。詳細には、マイクロタイタープレートの各ウェルを、選択した修飾物質の候補に対して別々のアッセイ法を実行するために用い、または、濃度もしくはインキュベーション時間の影響を観察しようとする場合には、単一の修飾物質を試験するためにウェルを5〜10個ずつ用いることができる。このため、1枚の標準的なマイクロタイタープレートで、約100種(例えば、96種)の修飾物質をアッセイすることが可能である。1536穴のウェルプレートを用いれば、1枚のプレートで約100〜約1500種の異なる化合物をアッセイすることができる。1日当たり数枚の異なるプレートをアッセイできれば、本発明の統合システムを用いて最大で約6,000〜20,000種類またはそれ以上の異なる化合物をアッセイ法でスクリーニングすることが可能である。さらに、試薬操作のためのマイクロ流体(microfluidic)アプローチを用いることができる。
目的の分子(例えばSMAP-2)を、共有結合またはタグを介した結合などの非共有結合により、直接的または間接的に固体成分に結合させることができる。タグは種々の成分のうち任意のものでよい。一般的には、タグと結合する分子(タグ結合剤)を固体支持体に固定し、タグの付いた目的の分子(例えば、SMAP-2)を、タグとタグ結合剤との相互作用によって固体支持体に結合させる。
文献中に詳細に記載された既知の分子相互作用に基づき、さまざまなタグおよびタグ結合剤のうち任意のものを用いることができる。例えば、ビオチン、プロテインAまたはプロテインGのようにタグが天然の結合剤を有する場合には、それを適切なタグ結合剤(アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラビジン、免疫グロブリンのFc領域、ポリ-Hisなど)との結合に用いることができる。ビオチンなどの天然の結合剤を備えた分子に対する抗体も広く入手可能であり、適切なタグ結合剤についても同様である;例えば、SIGMA Immunochemicals 1998年カタログ、SIGMA, St. Louis MOを参照されたい)。
同様に、任意のハプテン性化合物または抗原性化合物を適切な抗体と組み合わせて用いて、タグ/タグ結合剤の対を形成させることもできる。数千種もの特異抗体が市販されており、ほかにも多くの抗体が文献中に記載されている。例えば、1つの一般的な構成において、タグは第1の抗体であり、タグ結合剤は第1の抗体を認識する第2の抗体である。抗体-抗原相互作用以外に、細胞膜受容体のアゴニストおよびアンタゴニストなどの受容体-リガンド相互作用もタグおよびタグ結合剤の対として適している(例えば、トランスフェリン、c-kit、ウイルス受容体リガンド、サイトカイン受容体、ケモカイン受容体、インターロイキン受容体、免疫グロブリン受容体および抗体、カドヘリンファミリー、インテグリンファミリー、セレクチンファミリーなどの細胞受容体-リガンド相互作用;例えば、Pigott & power, 「Adhesion Molecule Facts Book 1」 (1993)を参照されたい)。同様に、毒素および毒液、ウイルスエピトープ、ホルモン(例えば、オピエート、ステロイドなど)、細胞内受容体(例えば、ステロイド、甲状腺ホルモン、レチノイドおよびビタミンD;ペプチドを含む、種々の低分子リガンドの作用を媒介するもの)、薬剤、レクチン、糖、核酸(直鎖状重合体および環状重合体の両方の形態)、オリゴ糖、タンパク質、リン脂質および抗体は、いずれも種々の細胞受容体と相互作用しうる。
ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレア、ポリアミド、ポリエチレンイミン、ポリアリールスルフィド、ポリシロキサン、ポリイミドおよびポリアセテートなどの合成重合体も適切なタグまたはタグ結合剤を形成しうる。その他の多くのタグ/タグ結合剤の対も本明細書に記載のアッセイ法に有用であり、これは本開示を吟味することによって当業者には明らかであると考えられる。
ペプチド、ポリエーテルなどの一般的なリンカーもタグとして有用であり、これには約5-200アミノ酸のポリgly配列などのポリペプチド配列が含まれる。このような柔軟性のあるリンカーは当業者に周知である。例えば、ポリ(エチレングリコール)リンカーは、Shearwater Polymers, Inc(Huntsville, Alabama)から販売されている。選択的には、これらのリンカーはアミド結合、スルフヒドリル結合またはヘテロ官能性結合を有する。
タグ結合剤を、現在用いうる種々の方法のうち任意のものを用いて、固体基質に固定する。固体基質は一般に、タグ結合剤の一部と反応する化学基を表面に固定させる化学試薬に基質の全体または一部を曝露させることにより、誘導体化または官能性付与が行われる。例えば、比較的長い連鎖部分を付着させるのに適した基には、アミン基、ヒドロキシル基、チオール基およびカルボキシル基が含まれると考えられる。ガラス表面などの種々の表面に官能性を付与するためには、アミノアルキルシランおよびヒドロキシアルキルシランを用いることができる。このような固相バイオポリマーアレイの構築は文献に詳細に記載されている(例えば、Merrifield, J. Am. Chem. Soc. 85: 2149-2154 (1963)(ペプチドなどの固相合成を記載している);Geysenら、J. Immun. Meth. 102: 259-274 (1987)(ピン上での固相成分の合成を記載している);FrankおよびDoring、Tetrahedron 44: 60316040 (1988)(セルロースディスク上での種々のペプチド配列の合成を記載している);Fodorら、Science, 251: 767-777 (1991);Sheldonら、Clinical Chemistiy 39(4):718-719 (1993);ならびにKozalら、Nature Medicine 2(7): 753759 (1996)(いずれも固体基質に固定したバイオポリマーのアレイを記載している)を参照されたい。タグ結合剤を基質に固定する非化学的アプローチには、加熱、UV照射による架橋などの他の一般的な方法が含まれる。
本発明は、SMAP-2の発現または活性を変化させうる化合物をハイスループット形式で同定するためのインビトロアッセイ法を提供する。アッセイ系が高度に均一であるため、修飾物質の候補を含まない反応における細胞のSMAP-2活性を測定する対照反応を随意に選択してもよい。このような随意選択的な対照反応は、アッセイ法の信頼性を高めうる。記載するアッセイ形式のそれぞれについて、修飾物質を含まない「修飾物質なしの」対照反応により、結合活性のバックグラウンドレベルが得られる。
いくつかのアッセイ法においては、陽性対照を用いることが望ましいと考えられる。少なくとも2種類の陽性対照が適している。第1に、本発明のSMAP-2の既知の活性化物質を1つのアッセイ試料とインキュベートすることができ、SMAP-2の発現レベルまたは活性の上昇に起因する結果としての信号の増加を本明細書に記載の方法に従って決定する。第2に、SMAP-2の既知の阻害物質を添加し、SMAP-2の発現または活性に関する結果としての信号の低下を同様に検出することができる。通常であればSMAP-2の既知の修飾物質の存在によって引き起こされる上昇または存在を阻害する修飾物質を見つけ出すために、修飾物質を活性化物質または阻害物質と組み合わせてもよいことは理解されると考えられる。
VII.組成物、キット、および統合システム
本発明は、本発明のSMAP-2ポリペプチドをコードする核酸、またはSMAP-2タンパク質、抗SMAP-2抗体などを用いて本明細書に記載したアッセイ法を実施するための組成物、キットおよび統合システムを提供する。
本発明は、固相アッセイ法に用いるためのアッセイ組成物を提供する;このような組成物は、例えば、SMAP-2をコードする1つまたは複数の核酸が固体支持体上に固定化されたもの、および標識試薬を含みうる。それぞれの場合に、アッセイ組成物は、ハイブリダイゼーションのために望ましい別の試薬も含みうる。本発明のSMAP-2の発現または活性に対する修飾物質をアッセイ組成物に含めることもできる。
本発明はまた、本発明のアッセイ法を行うためのキットも提供する。本キットは一般に、SMAP-2と、またはSMAP-2ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列と特異的に結合する抗体、およびプローブの存在を検出するための標識を含む。本キットは本発明のSMAP-2ポリペプチドをコードする少なくとも一つのポリヌクレオチド配列を含みうる。キットは上記の組成物のいずれかを含むことができ、選択的にはさらに、本発明のSMAP-2ポリペプチドをコードする遺伝子の発現に対する、または本発明のSMAP-2ポリペプチドの活性に対する影響に関してハイスループットアッセイ方法を行うための指示書といった別の構成要素、1つまたは複数の容器または区画(例えば、プローブ、標識などを保持するための)、SMAP-2ポリペプチドの発現または活性の対照修飾物質、キットの成分を混合するためのロボット型アーマチュアなども含む。
本発明はまた、本発明のSMAP-2ポリペプチドの発現または活性に対する影響に関する、修飾物質の候補のハイスループットスクリーニングのための統合システムも提供する。本システムは、液体を源から目的地まで移動させるためのロボット型アーマチュア、ロボット型アーマチュアを制御するための制御装置、標識検出器、標識検出を記録するデータ記憶装置、および、反応混合物を有するウェルを含むマイクロタイターディッシュ、または固定された核酸もしくは固定化部分を含む基質などのアッセイ成分を含みうる。
さまざまなロボット型液体輸送システムが入手可能であり、または既存の構成部品を用いて容易に製造することもできる。例えば、Microlab 2200(Hamilton;Reno, NV)ピペット操作ステーション(pipetting station)を用いるZymate XP(Zymark Corporation;Hopkinton, MA)自動化ロボットを用いて、並列的な試料を96ウェルマイクロタイタープレートに移し、複数の同時並列的な結合アッセイ法を設定することができる。
カメラまたはその他の記録装置(例えば、光ダイオードおよびデータ記憶装置)によって観測された(および、選択的には記録された)光学画像は、選択的にはさらに、本明細書における態様のいずれかにより、例えば、画像のデジタル化ならびにコンピュータ上での画像の記録および分析などによって処理される。PC(Intel x86またはPentiumチップ互換のDOS(登録商標)、OS2(登録商標)WINDOWS(登録商標)、WINDOWS NT(登録商標)、WINDOWS95(登録商標)、WINDOWS98(登録商標)、またはWINDOWS2000(登録商標)ベースのコンピュータ)、MACINTOSH(登録商標)またはUNIX(登録商標)ベースの(例えば、SUN(登録商標)ワークステーション)コンピュータなどを用いて、デジタル化されたビデオ画像またはデジタル化された光学画像のデジタル化、保存および分析を行うための、さまざまな市販の周辺機器およびソフトエアソフトウエアが入手可能である。
従来のシステムの一つは、標本野からの光を、当技術分野で一般的に用いられる、冷却した電荷結合素子(CCD)カメラに伝える。CCDカメラは画像素子(ピクセル)のアレイを含んでいる。標本からの光はCCD上で画像化される。標本の領域(例えば、生体重合体のアレイ上の個々のハイブリダイゼーション部位)に対応する個別のピクセルがサンプリングされ、各位置に関して光強度の読み取り値が得られる。速度を高めるために多数のピクセルが並列的に処理される。本発明の装置および方法は、蛍光顕微鏡法または暗視野顕微鏡法などにより、任意の試料を観測するために容易に用いられる。
VIII.投与および薬学的組成物
SMAP-2の修飾物質(例えば、アンタゴニスト(SMAP-2特異的抗体を含む)、またはアゴニスト)は、インビボでのSMAP-2活性の修飾のために、哺乳動物対象に対して直接投与することができる。投与は、修飾性化合物を導入して、治療しようとする組織に最終的に接触させるために通常用いられる任意の経路によるもので、当技術分野において周知である。個々の化合物の投与には複数の経路を用いることができるが、ある特定の経路によって別の経路よりも即時的かつより効果的な反応が得られることがしばしばである。
本発明の薬学的組成物は、薬学的に許容される担体を含みうる。薬学的に許容される担体は、一部には、投与する個々の組成物、さらには組成物の投与に用いる個々の方法によって決まる。したがって、本発明の薬学的組成物には適した製剤が広範囲にわたって存在する(例えば、「Remington 's Pharmaceutical Sciences」第17版、1985)を参照のこと)。
SMAP-2の発現または活性に対する修飾物質(例えば、アゴニストまたはアンタゴニスト)は、単独で、または他の適した成分と組み合わせて、注射用またはポンプ装置での使用のために調製することができる。ポンプ装置(「インスリンポンプ」としても知られる)は、インスリンを患者に投与するために一般的に用いられており、このため、本発明の組成物を含むように適合させることは容易である。インスリンポンプの製造元には、Animas、DisetronicおよびMiniMedが含まれる。
SMAP-2の発現または活性に対する修飾物質(例えば、アゴニストまたはアンタゴニスト)は、単独で、または他の適した成分と組み合わせて吸入によって投与するためのエアロゾル製剤(すなわち、それらは「噴霧」することが可能である)の形にすることができる。エアロゾル製剤は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素などの加圧された許容される噴霧剤中に配合することができる。
投与のために適した製剤には、水性および非水性の溶液、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、および製剤を等張化する溶質を含みうる等張滅菌溶液、ならびに懸濁化剤、溶解補助剤、濃稠化剤、安定剤および保存料を含みうる水性および非水性の滅菌懸濁液が含まれる。本発明の実践に際しては、組成物を例えば経口的、鼻腔内、局所的、静脈内、腹腔内、膀胱内または髄腔内に投与することができる。化合物の製剤は単位用量または複数回の用量がアンプルまたはバイアルなどの容器内に密封された形式で提供することができる。溶液および懸濁液は、以前に記載された種類の滅菌粉末、顆粒および錠剤から調製することができる。修飾物質を調製済みの食品または薬剤の一部として投与することもできる。
患者に投与する用量は、本発明の状況においては、一定期間にわたって対象において有益な反応を誘導するのに十分である必要がある。用量は、用いる個々の修飾物質の有効性、対象の年齢、体重、身体活動性および食事内容を含むさまざまな要因、他の薬剤との併用の可能性、ならびに糖尿病症例の重症度に応じて決まると考えられる。修飾物質の一日投与量は、既知のインスリン組成物の場合と同様のやり方で、当業者により、個々の患者について決定することが推奨される。また、用量の程度は、個々の対象における特定の化合物またはベクターの投与に伴う何らかの有害な副作用の存在、性質および程度によっても決まると考えられる。
投与する修飾物質の有効量を決定する際に、医師は修飾因子の循環血漿中レベル、修飾物質の毒性および抗修飾物質抗体の産生を評価すると思われる。一般に、修飾物質当量としての用量は、一般的な対象の場合、約1ng/kg〜10mg/kgの範囲である。
投与に関しては、本発明のSMAP-2修飾物質を、修飾物質のLD-50、および修飾物質の種々の濃度での副作用を対象の体重および全般的健康状態に当てはめることによって決定される速度で投与することができる。投与は単回投与または分割投与によって行える。
本発明の化合物(例えば、SMAP-2特異的抗体)を、所望の標的療法に応じた1つまたは複数の別の薬剤と併用して効果的に用いることもできる(例えば、Turner, N.ら、Prog. Drug Res. (1998) 51: 33-94;Haffher, S., Diabetes Care (1998) 21: 160-178;およびDeFronzo, R.ら(編)、「Diabetes Reviews」(1997) Vol.5, No.4を参照)。数多くの試験で、経口薬との併用療法の有益性が検討されている(例えば、Mahier, R., J. Clin. Endocrinol. Metab. (1999) 84: 1165-71;United Kingdom Prospective Diabetes Study Group: UKPDS 28、Diabetes Care (1998) 21: 87-92;Bardin, C. W.(編)、「Current Therapy In Endocrinology and Metabolism」第6版(Mosby-Year Book, Inc., St. Louis, MO. 1997);Chiasson, J.ら、Ann. Intern. Med. (1994) 121: 928-935;Coniff, R.ら、Am. Ther. (1997) 19: 16-26;Coniff, R.ら、Am. J. Med. (1995) 98: 443-451;およびIwamoto, Y.ら、Diabet. Med. (1996) 13365-370;Kwiterovich, P., Am. J. Cardiol (1998) 82 (12A): 3U-17Uを参照されたい)。これらの試験により、疾患の中でも特に糖尿病は、治療レジメンに第2の薬剤を加えることによってさらに改善されうることが示されている。併用療法には、本発明のSMAP-2修飾物質および1つまたは複数の別の薬剤を含む単一の医薬製剤の投与のほかに、SMAP-2修飾物質および別個の医薬製剤としての各々の薬剤の投与も含まれる。例えば、SMAP-2修飾物質およびチアゾリジンジオンを錠剤もしくはカプセル剤などの単一の経口投与用組成物としてヒト対象に投与することができ、または各々の薬剤を別個の経口投与用製剤として投与することもできる。別個の投与製剤を用いる場合には、SMAP-2修飾物質および1つまたは複数の別の薬剤を、本質的には同じ時に(すなわち、同時に)投与することができ、または別個に時間をずらして(すなわち、逐次的に)投与することもできる。併用療法にはこれらのレジメンのすべてが含まれるものと解釈される。
併用療法の1つの例は、前糖尿病の個体(例えば、2型糖尿病への進行を防ぐ)または糖尿病の個体を治療する(もしくは糖尿病およびそれに関連した症状、合併症および障害を治療する)場合にみられ、この場合には、SMAP-2修飾物質を例えば以下のものと効果的に併用することができる:スルホニル尿素(クロルプロパミド、トルブタミド、アセトヘキサミド、トラザミド、グリブリド、グリクラジド、グリナーゼ、グリメピリドおよびグリピジドなど)、ビグアナイド系薬剤(メトホルミンなど)、PPARβδアゴニスト、PPARγのリガンドまたはアゴニスト、例えばチアゾリジノン(シグリタゾン、ピオグリタゾン(例えば、米国特許第6,218,409号を参照)、トログリタゾンおよびロシグリタゾン(例えば、米国特許第5,859,037号を参照)など);クロフィブラート、ジェムフィブロジル、フェノフィブラート、シブロフィブラート、およびベザフィブラートなどのPPARαのアゴニスト、デヒドロエピアンドロステロン(DHEAまたはその抱合硫酸エステルであるDHEA-504とも呼ばれる);アンチグルココルチコイド;TNFα阻害剤;α-グルコシダーゼ阻害剤(アカルボース、ミグリトールおよびボグリボース)、アミリンおよびアミリン誘導体(プラムリンチド(pramlintide)など(米国特許第5,902,726号;第5,124,314号;第5,175,145号および第6,143,718号、第6,136,784号も参照のこと))、インスリン分泌促進物質(レパグリニド、グリキドンおよびナテグリニド(米国特許第6,251,856号;第6,251,865号;第6,221,633号;第6,174,856号も参照のこと))、およびインスリン。
X. 糖尿病の診断
本発明はまた、糖尿病または少なくともいくつかの糖尿病の病理の素因を診断する方法を提供する。診断は、個体の遺伝子型の決定(例えば、SNPを有する)、および糖尿病または他のSMAP-2に関連する疾患の発生と関連を有することが知られている対立遺伝子を有する遺伝子型の比較を含み得る。代替的には、診断はまた、患者においてSMAP-2(タンパク質または転写物)のレベルを決定する工程、ならびに、次いでベースラインまたは範囲に対してそのレベルを比較する工程を含む。代表的には、ベースラインの値は、健常(例えば、痩せた)人におけるSMAP-2を表す。痩せた個体におけるポリペプチドのレベルは単一の個体からの読み取りであり得るが、代表的には、痩せた個体の群からの統計的な関連した平均値である。痩せた個体におけるポリペプチドのレベルは、例えば、コンピュータプログラムにおける値によって表され得る。
上記に議論したように、ベースライン範囲からのSMAP-2のレベルの変動(例えば、高いレベル)は、患者が糖尿病であるか、または少なくともいくつかの糖尿病の病理を発症するリスクがあるか(例えば、前糖尿病)のいずれかであることを示す。いくつかの実施態様において、SMAP-2のレベルは、患者からの血液、尿、または組織試料を取ること、および任意の数の検出方法(例えば、本明細書中で議論される方法)を使用して試料中のSMAP-2の量が測定されることによって測定される。例えば、絶食または食餌を与えた場合の血液または尿のレベルが試験され得る。
いくつかの実施態様において、ベースラインレベルおよび個体からの痩せ試料におけるレベル、または同じ個体からの少なくとも2つの試料は、少なくとも、約5%、10%、20%、50%、75%、100%、150%、200%、300%、400%、500%、1000%またはそれ以上異なる。いくつかの実施態様において、個体からの試料は、ベースラインレベルと比較して、上記に列挙したパーセンテージの少なくとも1つによってより大きい。いくつかの実施態様において、個体からの試料は、ベースラインレベルと比較して、上記に列挙したパーセンテージの少なくとも1つによってより低い。
いくつかの実施態様において、SMAP-2のレベルは、抗糖尿病治療剤(例えば、チアゾリジンジオン、メトホルミン、スルホニルウレア、および他の標準的な治療剤)の有効性をモニターするために使用される。いくつかの実施態様において、SMAP-2の活性または発現は、臨床的な有効性の代理マーカーとしての抗糖尿病治療剤を用いる糖尿病患者または前糖尿病患者の治療の前後で測定される。例えば、より大きなSMAP-2の発現または活性の減少は、より大きな有効性を示す。
グルコース耐性試験はまた、SMAP-2のレベルに対するグルコースレベルの効果を検出するために使用され得る。グルコース耐性試験において、標準的な経口グルコース負荷に耐える患者の能力は、グルコースレベルについて血清試料および尿試料を評価することによって評価される。血液試料はグルコースが摂取される前に取られ、グルコースは口から与えられ、そして血液および尿のグルコースレベルは設定された間隔でグルコース摂取の後に試験される。SMAP-2レベルもまた決定され得る。このような試験はまた、SMAP-2修飾物質の存在下および非存在下で実行され得る。同様に、食事耐性試験もまた、SMAP-2のレベルに対する食物の効果を検出するために使用され得る。
実施例
以下の実施例は、例証のために提供されるものであって、特許請求の範囲を限定するものではない。
Affymetrix Genechip(商標)によって決定されたヒト組織におけるSMAP-2の発現レベル
Genechipアレイに、骨格筋、心臓、大網脂肪および皮下(SubQ)脂肪、脳、腎臓、肝臓、肺、小腸(Sm.I)、胸腺、および膵臓を含む種々のヒト組織から調製されるcRNAをハイブリダイズさせた。図1は、これらの組織におけるSMAP-2について得られた平均差スコアを示す。SMAP-2は、Affymetrixソフトウェアによって、骨格筋、心臓、大網、およびSubQ組織に存在し、他のすべての組織には存在しないと判定された。各々の組織についての平均差スコアは:骨格筋-32、心臓-652、大網脂肪-762、および皮下脂肪-171であった。
ノーザンブロットによって決定されたインスリン応答性組織におけるSMAP-2の発現
種々のヒト組織に由来する複数の組織のノーザンブロットをSMAP2プローブでハイブリダイズさせた。これらの組織には、心臓(He)、脳(Br)、胎盤(Pl)、肺(Lu)、肝臓(Liv)、骨格筋(SkM)、腎臓(Ki)、および膵臓(Pan)が含まれる。図2は、SMAP-2が、最も高いレベルが心臓および骨格筋において観察された、制限されたヒト組織発現パターンを有することを実証する。
Affymetrix Genechip(商標)によって決定されたヒト糖尿病骨格筋におけるSMAP-2のアップレギュレーション
Genechipアレイに、一晩絶食後(基礎レベル)または5時間高インスリン性-正常血糖クランプ(クランプ)後に得られた、痩せ(n=17)、肥満(n=16)、および糖尿病(n=19)の骨格筋から調製されたcRNAでハイブリダイズさせた。図3に示されるように、SMAP-2遺伝子発現は、糖尿病被験体(糖尿病)において4.15倍アップレギュレートされ、痩せの正常値(痩せ)と比較した場合に統計学的に有意であった(スチューデントt-検定、p値<0.028)。平均差スコア±標準誤差は:痩せ基礎レベル117.8±48.7;痩せクランプ108.8±41.1;肥満基礎レベル85.7±43.8;肥満クランプ122.1±51.3;糖尿病基礎レベル488.5±149.7および糖尿病クランプ167.3±54.1であった。従って、SMAP-2はヒト糖尿病骨格筋においてアップレギュレートされる遺伝子であるようである。
ヒト糖尿病骨格筋におけるSMAP-2発現レベルのアップレギュレーションの定量的PCRによる再確認
ヒト糖尿病骨格筋におけるSMAP-2のアップレギュレーションを、定量的PCRを用いて再確認した。PCRプライマーおよびTaqmanプローブをPerkin ElmerのPrimer Expressソフトウェア(バージョン1.5)を使用して設計した。手短に述べると、プライマーを80-120ヌクレオチド長のアンプリコンを産生するように選択する。ヒトSMAP-2にのみハイブリダイズするプライマーおよびプローブを使用することによって特異性を得る。
Figure 2005529603
図4に示されるように、SMAP-2レベルは、痩せと比較した場合に、肥満および糖尿病基礎レベルの骨格筋においてそれぞれ1.47倍および1.83倍アップレギュレートされた。相対的な発現レベルは定量的PCRによって決定された。
糖尿病のマウス遺伝モデルにおけるSMOC-2のアップレギュレーション
SMOC2の発現レベルをdb/dbマウスにおいて決定した。PCRプライマーをPerkin ElmerのPrimer Expressソフトウェア(バージョン1.5)を使用して設計した。手短に述べると、プライマーを80-120ヌクレオチド長のアンプリコンを産生するように選択する。マウスSMOC-2にのみハイブリダイズするプライマーを使用することによって特異性を得る。
Figure 2005529603
db/dbマウスは糖尿病についての一遺伝子性モデルである。SMOC-2は、正常なヘテロ接合体db/+と比較した場合に、db/dbマウスから単離された骨格筋において1.53倍アップレギュレートされ、p値は<0.001であった。図5を参照されたい。平均相対的発現レベル±標準誤差(n=5)は、定量的PCRによって決定された場合に、正常db/+マウスから調製された、精巣上体脂肪(脂肪)からで1.16±0.085、心臓(心臓)からで0.98±0.012、および骨格筋(骨格筋)からで0.92±0.077であり、ならびに、糖尿病db/dbマウスから調製された、精巣上体脂肪からで1.32±0.203、心臓からで1.29±0.093、および骨格筋からで1.41±0.04である。脂肪組織から調製された試料においては、SMOC-2発現レベルへの効果は観察されなかった。
マウス3T3-L1脂肪細胞からのSMAP-2の分泌
マウス3T3-L1脂肪細胞からのSMAP-2の分泌もまた分析した。3T3-L1脂肪細胞(分化後5-8日)を、トリプシンを用いてプレートから取り外し、PBSで2回洗浄し、そして20×106細胞/mlの濃度でPBS中に再懸濁した。細胞を、300μgの対照LacZ、または野生型SMAP-2プラスミドDNAおよびeGFP-GLUT4をコードするDNA 50μgのいずれかを用いてエレクトロポレーションした。エレクトロポレーション後、細胞を、24ウェルプレートまたはカバーガラスのいずれかの上に再配置し、10%FBSを含むDMEM中で36時間インキュベートした。36時間後、培養上清を細胞から分離した。図6を参照されたい。1mlの上清(M)または100μgの全細胞抽出物(C)を免疫沈殿させ、エピトープタグ抗V5抗体を用いてイムノブロットした。標準分子量マーカー(KDa)を図6の左に示す。「++」標識は、イムノブロット上でポジティブ対照として使用した組換えSMAP-2のアリコートを示す。
複数のバンドが抗V5抗体によって認められた。SMAP-2は、約50kDaで泳動されることが予測され、おそらくSMAP-2のグリコシル化型を表すより移動度の大きいタンパク質を伴っていた。
マウス3T3-L1脂肪細胞における野生型SMAP-2の過剰発現によるGLUT4移行の阻害
SMAP-2発現に応答するGLUT4移行もまた分析した。マウス3T3-L1脂肪細胞を上記のようにエレクトロポレーションした。図7は、3T3-L1脂肪細胞における、対照(基礎レベル)、または1nMもしくは10nMインスリン刺激後の代表的なGLUT4.eGFP移行を示す。3回の別々の実験を示し、GLUT4.eGFP発現細胞の%として表現して、これはインスリンに応答した原形質膜へのGLUT4.eGFPの移行を示し、およびV5エピトープタグ化SMAP-2を同時染色した。GLUT4.eGFPの%±SEは、LacZでは4±2(基礎レベル)、53±10(1nMインスリン)、および67±5(10nMインスリン)、ならびに野生型SMAP-2を発現する細胞においては4±2(基礎レベル)、10±1(1nMインスリン、pv<0.046)、および20±6(10nMインスリン、pv<0.0003)であった。
結論として、SMAP-2の発現は、インスリンに応答してGLUT4.eGFPの移行を強力に阻害した。
SMAP-2の過剰発現は、3T3-L1脂肪細胞における、インスリンによって刺激されたグルコースの取り込みを阻害する
3T3-L1脂肪細胞に、対照eGFPアデノウイルス(eGFP)または野生型SMAP-2アデノウイルス(SMAP-2)のいずれかを、100または200のいずれかの感染多重度(MOI)で感染させた。一晩のインキュベーション後、細胞を、基礎レベル、0.1nM、1nM、または10nMで30分間インスリンで刺激した(INS)。脂肪細胞を、[3H]2-デオキシ-グルコース(2-DOG)の取り込みの測定によってグルコース輸送活性について正確にアッセイした。各アッセイを3連で行った。結果を図8および表1(下記)に示す。データは、100に設定されたeGFP基礎レベルと比較した場合の、2-DOGの取り込みにおける倍数変化として提示される(n=3)。
粗計数(raw counts)は以下の通りである:
Figure 2005529603
(表1) インスリンの倍数変化が、グルコースの取り込みから決定されるような対照eGFPアデノウイルスに対してグルコースの取り込みの増加を誘導した。グループを比較するためにスチューデントt-検定を使用した。p≦0.05の値は有意であると見なされた。
Figure 2005529603
高スループットスクリーニングのためのSMAP-2プロモーターに基づくアッセイ
SMAP2の発現を調節し得る化合物についてスクリーニングするための高スループットアッセイの例を確立した。第6染色体上の220kbを含むヒトSMAP2ゲノム配列のバイオインフォマティックス分析は、転写開始部位が開始コドンの約320bp上流である可能性が高いことを示唆した。SMAP2プロモーターの開始コドンの1.2kbゲノム領域上流に焦点を当てると、ヒトとマウス間で55%の配列同一性が存在し、この領域がプロモーターとして機能する本質的な転写調節エレメントを有し得ることを示唆する。本発明者らは、pGL3ルシフェラーゼレポーターベクターの上流にこの1.2kbヒトSMAP2プロモーター領域をクローニングし、従って、細胞に基づくアッセイにおいてSMAP2プロモーターの影響下でルシフェラーゼの発現をさせた。
C2C12、L6、CHO K1、または293Tのいずれかの細胞株を、96ウェルプレート形式で、対照(pGL3バックグラウンド)またはSMAP2プロモーター(pGL3 SMAP2プロモーター)の制御下でのルシフェラーゼレポーターおよびβガラクトシダーゼの発現を駆動する内部対照pcDNA4 His-max-lac Zで一過性にトランスフェクトした。トランスフェクトの24時間後、細胞をルシフェラーゼアッセイおよびβガラクトシダーゼアッセイの両方のために処理した。これらのアッセイを3連で行った。これらの細胞株中のSMAP2レポーターの相対的ルシフェラーゼ活性(ルシフェラーゼ活性/βガラクトシダーゼ活性)を以下の表に示す。対照pGLバックグラウンドと比較して、調べられたSMAP2プロモーターは、試験された異なる細胞型において強力なプロモーター活性を含む。SMAP2プロモーターもまた、明らかに、L6細胞において最も強力な活性のレベルを有する、細胞型特異的調節に供される。
Figure 2005529603
本明細書中に記載される実施例および実施態様は例示目的のみのためであること、ならびに、それを考慮した種々の改変および変更が当業者に示唆され、本願の精神および範囲、および添付の特許請求の範囲に含まれることが理解される。本明細書中に引用されるすべての刊行物、特許、および特許出願は、すべての目的のためにそれらの全体が参照として本明細書に組み入れられる。
配列表
配列番号:1-SMAP-2オープンリーディングフレーム
Figure 2005529603
配列番号:2-SMAP-2ポリペプチド
Figure 2005529603
配列番号:3
AB014730 SMAP-2のホモサピエンス(Homo sapiens)mRNA、完全cds
Figure 2005529603
配列番号:4 AB014730ポリペプチド
Figure 2005529603
配列番号:5
AB014737 SMAP-2BのホモサピエンスmRNA、完全cds
Figure 2005529603
配列番号:6 AB014737ポリペプチド
Figure 2005529603
配列番号:7
AX073674.1|AX073674 PCT 国際公開公報第0104264号からの配列8
Figure 2005529603
配列番号:8
AJ249901.1|MMU249901 分泌型モジュラーカルシウム結合タンパク質2(smoc2遺伝子)のマウス(Mus musclus)mRNA
Figure 2005529603
配列番号:9
マウスSMOC2のアミノ酸配列
Figure 2005529603
配列番号:10
1.2kb SMAP-2ヒトプロモーター
Figure 2005529603
配列番号:11
マウスSMAP2プロモーター
Figure 2005529603
種々のヒト組織におけるSMAP-2の発現レベルを示す棒グラフである。 SMAP-2プローブでハイブリダイズした、市販のヒトの複数の組織のノーザンブロットを図示する。 ヒト糖尿病骨格筋におけるSMAP-2遺伝子発現のアップレギュレーションを示す棒グラフである。 ヒト骨格筋における定量的PCRによって決定されるようなSMAP-2の発現を示す棒グラフである。 マウスdb/db骨格筋におけるSMOC-2遺伝子発現のアップレギュレーションを示す棒グラフである。 脂肪細胞からのSMAP-2の分泌を示すウェスタンブロットである。標準分子量マーカー(KDa)を図6の左側に示す。「++」標識はイムノブロット上のポジティブ対照として使用される組換えSMAP-2のアリコートを示す。 SMAP-2の過剰発現がマウス脂肪細胞中でインスリン刺激されたGLUT4移行を阻害することを実証する棒グラフである。 GFP対照(eGFP)または、100もしくは200MOIでのSMAP-2のいずれかを発現するアデノウイルスで感染させた細胞中でのグルコースの取り込みを図示する棒グラフである。 ヒトSMAP2タンパク質とマウスSMAP2タンパク質との間のアミノ酸アラインメントを図示する。ヒトSMAP-2ショートは配列番号:4である。ヒトSMAP-2ロングは配列番号:6である。マウスSMAP-2は配列番号:9である。
【配列表】
Figure 2005529603
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Claims (55)

  1. 糖尿病または前糖尿病の個体を治療するための薬剤を同定するための方法であって、以下の工程を含む方法:
    (i)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、または配列番号:9をコードする核酸にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によってコードされるポリペプチドを含む溶液と薬剤を接触させる工程;
    (ii)ポリペプチドの発現もしくは活性を減少させる薬剤または該ポリペプチドに結合する薬剤を選択する工程;および
    (iii)選択された薬剤を、細胞中でのインスリン感受性を調節する能力について試験し、それによって細胞中でのインスリン感受性を調節することができる薬剤を同定する工程。
  2. ポリペプチドの発現を減少させる薬剤を選択する工程を含む、請求項1記載の方法。
  3. ポリペプチドの活性を減少させる薬剤を選択する工程を含む、請求項1記載の方法。
  4. ポリペプチドに結合する薬剤を選択する工程を含む、請求項1記載の方法。
  5. 接触させる工程がインビトロで実行される、請求項1記載の方法。
  6. 試験する工程が、動物に薬剤を投与する工程、およびインスリン感受性の調節について動物を試験する工程を含む、請求項1記載の方法。
  7. 動物が投与の前にインスリン抵抗性を示す、請求項6記載の方法。
  8. 試験する工程が、ポリペプチドを発現する細胞を薬剤と接触させる工程、およびインスリン感受性の調節について細胞を試験する工程を含む、請求項1記載の方法。
  9. 試験する工程が、薬剤と接触させていない細胞と比較して、細胞中のグルコースの取り込みを増加させる薬剤を選択する工程を含む、請求項8記載の方法。
  10. 試験する工程が、薬剤と接触させていない細胞と比較して、細胞中のGLUT4移行を増加させる薬剤を選択する工程を含む、請求項8記載の方法。
  11. 細胞が脂肪細胞、心臓細胞、または骨格筋細胞である、請求項1記載の方法。
  12. 細胞がヒト細胞である、請求項1記載の方法。
  13. アミノ酸配列が配列番号:2を含む、請求項1記載の方法。
  14. アミノ酸配列が配列番号:4を含む、請求項1記載の方法。
  15. アミノ酸配列が配列番号:6を含む、請求項1記載の方法。
  16. アミノ酸配列が配列番号:9を含む、請求項1記載の方法。
  17. 薬剤が抗体である、請求項1記載の方法。
  18. 抗体がモノクローナル抗体である、請求項17記載の方法。
  19. 薬剤がアンチセンスポリヌクレオチドである、請求項1記載の方法。
  20. 試験する工程が細胞のグルコースの取り込みを試験する工程を含む、請求項1記載の方法。
  21. 試験する工程が細胞中のGLUT4移行を試験する工程を含む、請求項1記載の方法。
  22. 請求項1記載の方法によって同定された薬剤の治療的有効量を動物に投与する工程を含む、糖尿病または前糖尿病の動物を治療する方法。
  23. 薬剤が抗体である、請求項22記載の方法。
  24. 抗体がモノクローナル抗体である、請求項23記載の方法。
  25. 薬剤がアンチセンスポリヌクレオチドである、請求項22記載の方法。
  26. 動物がヒトである、請求項23記載の方法。
  27. 配列番号:2に特異的に結合する薬剤の治療的有効量を動物に投与する工程を含む、糖尿病または前糖尿病の動物を治療する方法。
  28. 薬剤がポリペプチドである、請求項27記載の方法。
  29. 薬剤が抗体である、請求項27記載の方法。
  30. 抗体がモノクローナル抗体である、請求項29記載の方法。
  31. 薬剤がアンチセンスポリヌクレオチドである、請求項27記載の方法。
  32. 動物がヒトである、請求項27記載の方法。
  33. 配列番号:2をコードする核酸にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によってコードされるポリペプチドのレベルを、個体からの試料中で検出する工程を含む、糖尿病または前糖尿病の個体を診断する方法であって、
    痩せた人におけるポリペプチドのレベル、または個体からの以前の試料におけるポリペプチドのレベルと比較して、試料中のポリペプチドのレベルが増加すれば、個体が糖尿病または前糖尿病であることを示す、方法。
  34. 個体が2型糖尿病を有する、請求項27記載の方法。
  35. 個体が前糖尿病である、請求項27記載の方法。
  36. 試料が血液試料、尿試料、または組織試料である、請求項33記載の方法。
  37. 検出する工程が、試料をポリペプチドに特異的に結合する抗体に接触させる工程を含む、請求項33記載の方法。
  38. 配列番号:2をコードする核酸にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドのレベルを、個体からの試料中で検出する工程を含む、2型糖尿病を有するか、または前糖尿病である個体を診断する方法であって、
    痩せた人におけるポリヌクレオチドのレベル、または個体からの以前の試料のポリヌクレオチドのレベルと比較して、試料中のポリヌクレオチドのレベルが増加すれば、個体が糖尿病または前糖尿病であることを示す、方法。
  39. 検出する段階が、配列番号:2をコードする核酸にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするmRNAを定量する工程を含む、請求項38記載の方法。
  40. mRNAが逆転写され、かつポリメラーゼ連鎖反応で増幅される、請求項39記載の方法。
  41. 試料が血液試料、尿試料、または組織試料である、請求項38記載の方法。
  42. 配列番号:2のアミノ酸351〜379位
    配列番号:2のアミノ酸388〜416位
    配列番号:2のアミノ酸40〜84位
    配列番号:2のアミノ酸90〜153位;および/または
    配列番号:2のアミノ酸216〜281位
    を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、単離された核酸。
  43. ポリペプチドが配列番号:2を含む、請求項42記載の核酸。
  44. ポリヌクレオチドが配列番号:1である、請求項42記載の核酸。
  45. 請求項42記載の核酸に作動可能に連結された異種プロモーターを含む発現カセット。
  46. 請求項42記載の核酸でトランスフェクトされた宿主細胞。
  47. ヒト細胞である、請求項46記載の宿主細胞。
  48. 細菌である、請求項46記載の宿主細胞。
  49. 配列番号:2のアミノ酸351〜379位
    配列番号:2のアミノ酸388〜416位
    配列番号:2のアミノ酸40〜84位
    配列番号:2のアミノ酸90〜153位;および/または
    配列番号:2のアミノ酸216〜281位
    を含む、単離されたポリペプチド。
  50. 配列番号:2を含む、請求項49記載のポリペプチド。
  51. 異種ポリヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーターを含む発現カセットであって、プロモーターが配列番号:10または配列番号:11を含む、発現カセット。
  52. ポリヌクレオチドがポリペプチドをコードする、請求項51記載の発現カセット。
  53. ポリペプチドがレポーター遺伝子産物である、請求項51記載の発現カセット。
  54. 請求項51記載の発現カセットを含む細胞。
  55. 異種ポリヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーターを含む発現カセットを導入する工程を含む、筋肉細胞中でポリヌクレオチドを発現する方法であって、プロモーターが配列番号:10または配列番号:11を含む、方法。
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