JP2010040376A - コネクタ - Google Patents

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Abstract

【課題】両ハウジングが正しい嵌合状態にあることを保証する。
【解決手段】第2ハウジング40には、装着完了位置へ向かう過程で第1、第2ハウジング10、40の嵌合動作を助勢するスライダ70が装着されている。第2ハウジング40にはパネル90の取付孔91の口縁に弾性的に係止されるロック部47が撓み可能に設けられている。装着完了位置に至ったスライダ70によって両ハウジング10、40が正規嵌合された後、ロック部47による係止作用によって第2ハウジング40が第1ハウジング10とともにパネル90に取り付けられる。スライダ70は、装着完了位置においてロック部47と対応位置してロック部47の撓み動作を許容する逃がし部82と、装着完了位置に向かう過程においてロック部47と干渉することでロック部47の撓み動作を規制する干渉部81とを有している。
【選択図】図2

Description

本発明は、コネクタに関する。
特許文献1に記載のコネクタは、パネルに取り付けられるコネクタであって、互いに嵌合可能な第1、第2ハウジングと、第2ハウジングに対して初期位置と完了位置との間を回動可能に装着されて、両ハウジングの嵌合動作を助勢するレバーとを備えている。第1ハウジングにはロック部が撓み可能に設けられており、このロック部がパネルに形成された取付孔の口縁に弾性的に係止されることにより、第1ハウジングがパネルの取付孔に内嵌状態で取り付けられる。こうして待受状態にある第1ハウジングに対して第2ハウジングが浅く嵌合され、その状態でレバーが完了位置へ向けて回動されることにより、両ハウジングが互いに正規嵌合されるようになっている。
特開2007−194081公報
ところで、上記のコネクタにおいては、パネルの存在によってレバーの回動操作を行い難い等という事情もあって、レバーが完了位置に至っていないにも関わらず、レバーの回動操作を終えてしまう可能性がある。このため、両ハウジングが正しく嵌合されないばかりか、それに気付かないおそれがある。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、両ハウジングが正しい嵌合状態にあることを保証することを目的とする。
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、互いに嵌合可能な第1、第2ハウジングと、前記第2ハウジングに対して移動可能に装着され、装着完了位置へ向かう過程で前記両ハウジングの嵌合動作を助勢する嵌合補助部材とを備え、前記第2ハウジングには被取付部に弾性的に係止されるロック部が撓み可能に設けられ、前記装着完了位置に至った前記嵌合補助部材によって前記両ハウジングが正規嵌合された後、前記ロック部による係止作用によって前記第2ハウジングが前記第1ハウジングとともに前記被取付部に取り付けられるコネクタであって、前記嵌合補助部材は、前記装着完了位置において前記ロック部と対応位置して前記ロック部の撓み動作を許容する逃がし部と、前記装着完了位置に向かう過程において前記ロック部と干渉することで前記ロック部の撓み動作を規制する干渉部とを有している構成としたところに特徴を有する。
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記嵌合補助部材は、前記第1ハウジングに設けられたカムフォロアと係合可能なカム溝を有し、前記装着完了位置へと移動されるに伴い、前記カム溝と前記カムフォロアとの係合によるカム作用によって前記両ハウジングを嵌合状態とするスライダからなり、前記被取付部は、前記両ハウジングを内嵌可能な取付孔を有するパネルからなり、前記スライダの移動方向が、前記両ハウジングの嵌合方向と交差する方向であって、前記パネルの板面方向と平行な向きに設定されているところに特徴を有する。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載のものにおいて、前記スライダには前記カム溝を有するカム板が設けられ、前記逃がし部は、前記カム板をその板厚を減ずる方向に切り欠いて形成されているところに特徴を有する。
<請求項1の発明>
嵌合補助部材が装着完了位置に至ると、第1、第2ハウジングが正規嵌合されるとともに、逃がし部によってロック部の撓み動作が許容される。この状態でロック部が被取付部に弾性的に係止されると、上記の正規嵌合された両ハウジングが被取付部に正しく取り付けられることとなる。一方、作業者の勘違い等によって嵌合補助部材が装着完了位置より手前に留め置かれると、両ハウジングが正規嵌合されない半嵌合状態になるとともに、干渉部がロック部と干渉してロック部の撓み動作が規制される。このため、ロック部が被取付部との係止状態を実現し得ず、ひいては上記の半嵌合状態にある両ハウジングの被取付部への取り付けが阻止される。つまり、両ハウジングの被取付部への取り付けの可否によって、両ハウジングが正規嵌合状態にあるのか否かがわかり、両ハウジングが半嵌合状態のまま放置される事態を回避できる。
<請求項2の発明>
スライダの移動方向が両ハウジングの嵌合方向と交差する方向であってパネルの板面方向と平行な向きに設定されているため、スライダがパネルから大きく出っ張ることがなく、周囲との干渉を回避できる。
<請求項3の発明>
逃がし部がカム板をその板厚を減ずる方向に切り欠いて形成されているから、スライダが板厚方向に大型となるのを回避でき、ひいては第2ハウジング及び取付孔の大型化を回避できる。
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図13によって説明する。本実施形態に係るコネクタは、パネル取付型コネクタを例示するものであって、互いに嵌合可能な合成樹脂製の第1、第2ハウジング10、40と、第2ハウジング40に移動可能に組み付けられる同じく合成樹脂製のスライダ70とを備えている。第2ハウジング40は単一の雄側ハウジングとして構成され、第1ハウジング10は複数の雌側ハウジングとして構成されている。なお、以下の説明において前後方向については両ハウジング10、40の互いの嵌合面側を前方とする。
第2ハウジング40は、図1、図7及び図8に示すように、雄型端子金具(図示せず)を収容可能な縦長角ブロック状のハウジング本体41と、ハウジング本体41の前端周縁から前方へ突出する縦長角筒状のフード部42とからなる。フード部42内には雄型端子金具のタブが突出状態で配置され、ハウジング本体41の後面には雄型端子金具に接続された電線W1が引き出されている(図2を参照)。第2ハウジング40には第1ハウジング10を嵌合して収容可能な複数(詳細には2つ)の収容部43が縦並びで設けられている。フード部42の高さ方向略中央部には、上下の各収容部43間を仕切る仕切壁44が略水平に架設されている。
ハウジング本体41の外面の前端でかつフード部42の外面の後端(つまりハウジング本体41とフード部42との境界部位)からは縦長円環状のフランジ部45が全周に亘って張り出して設けられている。フランジ部45の外周縁部には、ハウジング本体41及びそこから引き出された電線W1を覆うブーツ状の形態をなすゴム製のグロメット46が後方から被せ付けられている(図2を参照)。また、フランジ部45の前面には、高さ方向略中央部でかつフード部42を挟んだ左右両側の位置に、パネル90に形成された取付孔91の口縁に弾性的に係止可能な一対のロック部47が設けられている。ロック部47は、フランジ部45の前面から前方へ向けて真直ぐ延びるロック本体48と、ロック本体48の先端部から外向きに突出するロック爪49とからなり、ロック本体48が幅方向(内外方向)に撓み変形可能とされ、ロック爪49が取付孔91の口縁における被係止面94に抜け止め状態で当接可能とされている。
パネル90の取付孔91は、第2ハウジング40をスライダ70とともに収容可能な大きさをもって縦長矩形状に開口する主孔93と、主孔93の両側縁の高さ方向略中央部に切り欠いて設けられて前方からロック部47が進入可能な矩形状をなす一対の副孔92とからなる。上記の被係止面94は、パネル90の裏面側における副孔92の口縁部に構成されている。
フード部42の両側外面は、スライダ70のカム板72(後述する)が摺動可能に装着される取付面50とされている。フード部42の取付面50の前端には高さ方向の全長に亘って延びる一対の前側張出部51が設けられ、取付面50の後端寄りには同じく高さ方向の全長に亘って延びる一対の後側張出部52が設けられている。前側張出部51はフード部42の前端開口縁を構成しつつカム板72の板厚分だけ外向きに張り出す縦長の板状をなしている。これに対して後側張出部52は、カム板72の板厚より小さい張出量をもって前側張出部51と平行に配置される外側張出片53と、その先端部から後方へ向けて突出する後側張出片54とからなり、全体として断面Lの字で縦長の板状をなしている。前側張出部51はカム板72の前端に摺動可能とされ、後側張出部52はカム板72の内面に形成されたガイド溝73(後述する)の溝面に摺動可能とされている。なお、後側張出部52は、前後方向についてロック部47と重なる位置にあるものの、撓み変形されるロック部47と干渉することはない。
フード部42における各収容部43の両側壁には、それぞれ第1ハウジング10のカムフォロア21(後述する)が進入可能な一対ずつの進入溝55が前後方向に延びるとともにフード部42の前端開口縁に開口して形成されている。この進入溝55は、取付面50に連通しつつ前側張出部51を前後方向(板厚方向)に貫通する形態をなしている。また、フード部42における各収容部43の両側内面には、それぞれ第1ハウジング10の嵌合動作を案内可能な一対の案内リブ56が前後方向に延びて形成されている。上段の収容部43における案内リブ56は高さ方向中央より上方に形成され、下段の収容部43における案内リブ56は高さ方向中央より下方に形成されている。さらに、各収容部43には、それぞれ第1ハウジング10が正逆反転した状態で嵌合されるのを防止する誤結防止リブ57が設けられている。上段の収容部43における誤結防止リブ57は仕切壁44の上面の幅方向中央より一側寄りに立ち上げ形成され、下段の収容部43における誤結防止リブ57はフード部42の下壁上面の同じく幅方向中央より一側寄りに立ち上げ形成されている。なお、案内リブ56及び誤結防止リブ57はいずれもフード部42の前後方向途中から奥端にかけて形成されている。
第1ハウジング10は、図1、図9〜図11に示すように、全体として角ブロック状をなし、その内部に、幅方向に複数列でかつ高さ方向に複数段のキャビティ11が前後に貫通して形成されている。各キャビティ11には後方から電線W2の端末に接続された雌型端子金具(図示せず)が収容され、第1、第2ハウジング10、40が正規嵌合されるに伴って各雌型端子金具が対応する雄型端子金具と導通接続されるようになっている。各キャビティ11のうち、幅方向の両側に位置する両側キャビティ群12には大型の雌型端子金具が挿入可能とされ、幅方向の中間に位置する中間キャビティ群13には小型の雌型端子金具が挿入可能とされている。第1ハウジング10には、リテーナ30が装着可能な装着孔14が両側面及び下面の3面に開口して形成されている。第1ハウジング10の後部の外面には前部の外面から一段落ちた形態の凹所15が形成されており、凹所15の底面に装着孔14の開口が臨んでいる。凹所15の底面の両側には仮係止部16と本係止部17とが高さ方向に並んで設けられている。装着孔14は、各キャビティ11に通じる深さをもって形成され、両側キャビティ群12と対応する両側装着孔18と中間キャビティ群13と対応する中間装着孔19とからなる。図11に示すように、両側装着孔18と中間装着孔19とは前後方向について相互の形成位置を異にしており、中間装着孔19のほうが両側装着孔18よりも前方に位置するように構成されている。かかる装着孔14の位置ずれ構造により、装着孔14が3方向に開放されるという事情があっても、第1ハウジング10の強度が格別低下しなくて済むようになっている。また、第1ハウジング10の下面には、その前端から中間装着孔19の一側端にかけて前後方向に延びるスリット状の誤結防止受溝20が設けられている。第1ハウジング10の各収容部43への嵌合時に、第1ハウジング10が正規の挿入姿勢をとっていれば、誤結防止受溝20に誤結防止リブ57が挿入可能とされている。
リテーナ30は合成樹脂製であって、仮係止位置と本係止位置とに移動可能とされ、仮係止位置では仮係止部16に係止保持され、本係止位置では本係止部17に係止保持されるようになっている。そして、リテーナ30は、図1に示すように、基板31と、その幅方向両端から立ち上がる一対の側板32と、基板31の上面に突設される格子状の保持部33とによって構成されている。保持部33には、各キャビティ11と対応する位置毎に抜止突部34が形成されている。また、保持部33は、両側装着孔18内に進入する両側保持部35と、中間装着孔19内に進入する中間保持部36とからなり、中間保持部36が両側保持部35より前方に位置し、かつ両側保持部35より高背とされている。
第1ハウジング10の両側面には、幅方向略中央部でかつ高さ方向略中央部に、一対のカムフォロア21が突設されている。カムフォロア21は円柱状をなし、第1、第2ハウジング10、40の嵌合過程で進入溝55内に進入するとともにスライダ70のカム溝75(後述する)と係合するようになっている。
また、第1ハウジング10の両側面には、案内リブ56を受け入れ可能なリブ受溝22が前後方向に延びて設けられている。リブ受溝22の前端は第1ハウジング10の前端に開口し、リブ受溝22の後端は装着孔14の側面開口の前端に臨んでいる。図9に示すように、上段の収容部43に嵌合可能な第1ハウジング10におけるリブ受溝22はカムフォロア21より上方に設置され、図10に示すように、下段の収容部43に嵌合可能な第1ハウジング10におけるリブ受溝22はカムフォロア21より下方に設置されている。これにより、上下両段の収容部43のそれぞれに対応する第1ハウジング10のみが嵌合可能とされ(図5を参照)、下段の収容部43に嵌合されるべき第1ハウジング10が誤って上段の収容部43に嵌合されたり、上段の収容部43に嵌合されるべき第1ハウジング10が誤って下段の収容部43に嵌合されたりすることがないようにしてある。なお、上下の各第1ハウジング10のうち、リブ受溝22を除く部分は同一の形状をもった共通構造とされている。
続いてスライダ70について説明すると、スライダ70は、図1、図12及び図13に示すように、操作板71と、その幅方向の両端から立ち上がる一対のカム板72とによって門型に構成され、第2ハウジング40のフード部42に下方から跨ぐようにして装着可能とされている。かかるスライダ70は、フード部42に浅く嵌合されることで操作板71がフード部42の下壁から離れて位置する初期位置と、フード部42に深く嵌合されることで操作板71がフード部42の下壁下面に当接可能に位置する装着完了位置とに直進状に移動可能とされている。スライダ70の移動方向は、第1、第2ハウジング10、40の嵌合方向とは直交する方向である、各第1ハウジング10の並列方向、つまり第2ハウジング40の高さ方向であって、パネル90の板面方向と平行な向きに設定されている。なお、本実施形態における初期位置は任意位置とされ、定位置として設定されているわけではない。もちろん、第2ハウジング40に仮止手段を設けることで、スライダ70が初期位置に留め置かれる構成としてもよい。
カム板72の板厚寸法は、操作板71の板厚寸法にほぼ等しく、前側張出部51の張出量にほぼ等しい。各カム板72の内面の後端寄りには、一対のガイド溝73が高さ方向の全長に亘って凹み形成されている。ガイド溝73は後側張出部52を嵌合可能な断面Lの字の形状をなし、後側張出片54を受容する部位が前方へ張り出す規制片74とされている。ガイド溝73の溝面に後側張出部52が摺動することにより、スライダ70の移動操作が案内されるとともに、第1、第2ハウジング10、40の嵌合に伴って発生する嵌合力によってカム板72が外側に開き変形するのが規制片74で阻止されるようになっている。
また、各カム板72の内面には、ガイド溝73より前方に、各第1ハウジング10のカムフォロア21のそれぞれに対して装着完了位置への移動方向の手前側から順に係合可能な一対のカム溝75が凹み形成されている。このカム溝75は、各カム板72において各第1ハウジング10のカムフォロア21によって共有される単一の共通溝とされている。詳しくはカム溝75は、図12に示すように、ガイド溝73と同様に有底であって、カム板72の上端に開口して高さ方向に短く延びる導入部76と、導入部76の下端から斜め下後方に所定の勾配をもって延びるカム本体部77と、カム本体部77の下端から下方へ向けて高さ方向に真直ぐ延びる遊び部78とからなる。遊び部78は、カム本体部77の2倍以上の長さをもって構成されている。カム本体部77ではカムフォロア21との間にカム作用が発揮されて、第1、第2ハウジング10、40が低嵌合力で嵌合可能とされ、遊び部78には先に嵌合されて役割を終えたカムフォロア21が進入して逃されるようになっている。なお、カム溝75の溝幅は、入り口の誘い込み部79を除いて同幅であって進入溝55の溝幅にほぼ等しく、カムフォロア21の直径にほぼ等しい。
各カム板72は、第2ハウジング40の取付面50への装着によってロック部47の撓み空間に進入可能とされている。各カム板72の外面の後端部には、スライダ70が初期位置から装着完了位置へと移動する過程でロック部47とその撓み方向で摺接する干渉部81が高さ方向に沿って設けられている。干渉部81は、その前方に位置する各カム板72の一般外面と面一で連続する形態であって、特有の構造をもってはいない。一方、各カム板72の外面の後端部には、スライダ70が装着完了位置に至った状態でロック部47とその撓み動作を許容しつつ対応する逃がし部82が切り欠いて設けられている。逃がし部82は、カム板72をその外側から板厚方向に切除してなり、ロック部47を内嵌可能な矩形状に開口されている。逃がし部82の略前半部はガイド溝73に通じて板厚方向に貫通されており、逃がし部82の略後半部は規制片74によってその底部が区画されている。
次に、本実施形態の作用を説明する。
まず、第2ハウジング40に雄型端子金具を挿入するとともに、第1ハウジング10に雌型端子金具を挿入する。第1ハウジング10については装着孔14にリテーナ30を装着し、抜止突部34によって雌型端子金具の抜け止めを行うようにする。続いて、第2ハウジング40のフード部42の進入溝55内に前方から第1ハウジング10のカムフォロア21を進入させ、フード部42の各収容部43に第1ハウジング10を挿入する。第1ハウジング10が正規姿勢をとっていれば、誤結防止受溝20に誤結防止リブ57が嵌合状態で進入し、第1ハウジング10が各収容部43に円滑に挿入される。一方、第1ハウジング10が正逆反転姿勢をとっていれば、誤結防止リブ57が第1ハウジング10の壁面(前面又は後面)に突き当たって第1ハウジング10の各収容部43への挿入動作が規制される。また、第1ハウジング10が本来とは異なる収容部43に挿入されようとすると、リブ受溝22と案内リブ56が対応しないため、上記同様、第1ハウジング10の各収容部43への挿入動作が規制される。これにより、収容部43に対する各第1ハウジング10の誤嵌合が確実に防止される。
そして、各収容部43に第1ハウジング10が浅く嵌合されると、図4に示すように、第1ハウジング10が収容部43内における図示しない仮保持部によって仮止めされ、第1ハウジング10のそれ以上の挿入動作がいったん規制される。この仮止位置は、カムフォロア21がカム溝75の入り口に進入可能に対応する位置とされ、図示する場合は進入溝55の前後方向略中央部とされている。仮保持部は、例えば、進入溝55の溝縁においてカムフォロア21と干渉可能に形成された小突起によって構成されている。
上記の状態から、操作板71を摘みつつスライダ70を装着完了位置へ向けて押し込む。すると、スライダ70の移動方向の手前に位置する下段(先行)の第1ハウジング10におけるカムフォロア21がスライダ70のカム溝75内に進入し、スライダ70の移動に伴ってカムフォロア21が導入部76からカム本体部77へと移行する。カムフォロア21が進入溝55を移動するとともにカム本体部77を移動することにより、下段(先行)の第1ハウジング10が収容部43の奥側へ引き寄せられる。そして、カムフォロア21が進入溝55の奥端に到達するとともに、カム本体部77の終端に到達すると、下段(先行)の第1ハウジング10が対応する収容部43に正規深さで嵌合され、同時に、雌型端子金具が雄型端子金具と正規深さで導通接続される。このとき、スライダ70は全ストロークの概ね半分を通過する位置にある。
さらにスライダ70を装着完了位置へ向けて押し込むと、図3に示すように、今度は上段(後行)の第1ハウジング10におけるカムフォロア21がカム溝75内に進入する。こうしてスライダ70が装着完了位置に至ると、上記同様、カムフォロア21とカム本体部77とによるカム作用によって上段(後行)の第1ハウジング10が対応する収容部43に正規深さで嵌合される。上段(後行)の第1ハウジング10の移動過程では、下段(先行)の第1ハウジング10におけるカムフォロア21が遊び部78を相対的に下向きに移動する一方で、第1ハウジング10自体は定位置に留め置かれる。上段(後行)の第1ハウジング10が正規嵌合された状態では、図2に示すように、上段(後方)の第1ハウジング10におけるカムフォロア21が遊び部78の始端に位置するとともに、下段(先行)の第1ハウジング10におけるカムフォロア21が遊び部78の終端に位置する。これにより、各第1ハウジング10が時間差をおいて順次収容部43に嵌合されることとなる。
ところで、上記スライダ70の装着完了位置への移動過程では、図3及び図6に示すように、スライダ70のカム板72における干渉部81がロック部47の撓み空間に進入して、ロック部47と摺接可能に対応位置することで、ロック部47の撓み動作が規制される。この場合、ロック部47は干渉部81と当接して撓み変形された状態にある。その後、スライダ70が装着完了位置に至ると、図2及び図5に示すように、スライダ70のカム板72における逃がし部82がロック部47と対応位置してロック部47の撓み空間が開放され、ロック部47の撓み動作が許容される。この場合、ロック部47は逃がし部82内に一部進入して自然状態にある。
上記により両ハウジング10、40が嵌合された状態で、パネル90の取付孔91に対してその表面側から第2ハウジング40を第1ハウジング10ともども挿入する。第1、第2ハウジング10、40の取付孔91への挿入過程では、ロック爪49が副孔92の孔縁と干渉して、ロック部47が逃がし部82内(内向き)に撓み変形される。第2ハウジング40が取付孔91に正規深さで内嵌されると、ロック爪49が取付孔91を通過するとともにロック部47が弾性的に復元して、ロック爪49が取付孔91の被係止面94に当接し、もって第2ハウジング40が第1ハウジング10ともども取付孔91に抜け止め状態で取り付けられる。このとき、スライダ70の後端部は取付孔91内に部分的に入り込んでいる。またこのとき、グロメット46の前端開口縁がパネル90の表面に密着して、第2ハウジング40内の防水性が確保される。
一方、スライダ70が装着完了位置に至る手前の位置で留め置かれ、各第1ハウジング10のうち少なくとも上段の第1ハウジング10が正規嵌合されていない半嵌合状態にある場合には、干渉部81によってロック部47の撓み動作が規制されるため、ロック爪49が副孔92を通過することができず、ロック部47が被係止面94に係止不能とされ、ひいては第2ハウジング40のパネル90への取り付けが規制される。したがって、この状態を確認することにより、スライダ70が装着完了位置に至っておらず、第1、第2ハウジング10、40が半嵌合状態にあることがわかる。なお、過度の押し込み力の付与により、万一、ロック爪49が副孔92を通過しても、第2ハウジング40のフード部42の下面から浮き上がった位置にある操作板71がパネル90の表面側に突き当たり、第2ハウジング40の取付孔91への挿入動作が規制されるため、これをもってしても第1、第2ハウジング10、40が半嵌合状態にあることがわかる。
以上説明したように本実施形態によれば、干渉部81がロック部47の撓み動作を規制することにより、第2ハウジング40のパネル90への取り付けが阻止されるから、第1、第2ハウジング10、40が半嵌合状態にあることが確実にわかり、第1、第2ハウジング10、40が半嵌合状態のまま放置される事態を回避できる。この結果、両ハウジング10、40が正規の嵌合状態にあることが保証される。
また、スライダ70の移動方向がパネル90の板面方向と平行な向きに設定されているから、スライダ70がパネル90から大きく出っ張ることがなく、パネル90周辺部品との干渉を回避できる。
また、逃がし部82がカム板72をその板厚を減ずる方向に切り欠いて形成されているから、スライダ70が板厚方向に大型となるのを回避でき、ひいては第2ハウジング40の大型化を回避できるとともに、この第2ハウジング40を内嵌する取付孔91の大型化をも回避できる。
さらに、第2ハウジング40に対してスライダ70が第1ハウジング10の並列方向に移動することにより、カム溝75が各カムフォロア21と順次係合し、それによって各第1ハウジング10が第2ハウジング40に時間差をおいて嵌合されるから、各第1ハウジング10が一斉に嵌合される場合に比べ、全体として嵌合力が低減される。また、各カムフォロア21に対して共通のカム溝75が形成されているに過ぎないから、各カムフォロア21に対して個別のカム溝が形成されている場合に比べてカム溝の個数を減らすことができ、スライダ70の構成が簡素化される。
さらに、下段(先行)の第1ハウジング10がその嵌合動作を終了した後、上段(後行)の第1ハウジング10がその嵌合動作を開始するから、両第1ハウジング10の嵌合タイミングが重なることがなく、嵌合力がよりいっそう低減される。また、遊び部78の設定によって先行のカムフォロア21を容易に逃がすことが可能となる。
さらに、第2ハウジング40に仮保持部が設けられることにより、第1ハウジング10がスライダ70と係合可能な位置に仮止めされるから、スライダ70の移動操作の円滑性が確保される。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)スライダの代わりに、回動式、てこ式、又はラックピニオン式のレバーを用いて、第1、第2ハウジングの嵌合動作を助勢する構成であってもよい。
(2)干渉部がカム板の外面において高さ方向にリブ状に突出して形成され、逃がし部がこの干渉部の途中部位を切除して形成されてもよい。
(3)第2ハウジングがパネルではなく機器のブラケットに取り付けられるものであってもよい。
(4)ロック部は、スライダの装着完了位置への移動過程で干渉部と対応する位置にあっても自然状態に保たれいて、多少の撓み動作が許容されるものであってもよい。
(5)逃がし部は、規制片をも切除してカム板を完全に貫通する形態であってもよく、またガイド溝とは非連通とされる有底溝であってもよい。
(6)先行の第1ハウジングがその嵌合動作を終了する前に、後行の第1ハウジングがその嵌合動作を開始するように、カム溝を形成してもよい。
(7)第1ハウジングが3つ以上設けられ、第2ハウジングがこれら第1ハウジングの全てを収容可能に構成されていてもよい。
(8)第1ハウジングが雄側ハウジングとされ、第2ハウジングが雌側ハウジングとされてもよい。
本発明の実施形態1に係るコネクタの分解斜視図である。 パネルに取り付けられたコネクタの要部破断側面図である。 スライダを装着完了位置へ向けて押し込む途中におけるコネクタの要部破断側面図である。 スライダを組み付ける前の状態におけるコネクタの要部破断側面図である。 スライダを装着完了位置に組み付けた状態におけるコネクタの縦断面図である。 スライダを装着完了位置に至る手間に留め置いた状態におけるコネクタの縦断面図である。 第2ハウジングの側面図である。 第2ハウジングの正面図である。 上段の第1ハウジングの背面図である。 下段の第1ハウジングの背面図である。 第1ハウジングの底面図である。 スライダの側断面図である。 スライダの平面図である。
符号の説明
10…第1ハウジング
21…カムフォロア(係合受部)
40…第2ハウジング
43…収容部
45…フランジ部
47…ロック部
70…スライダ(嵌合補助部材)
72…カム板
75…カム溝(係合部)
81…干渉部
82…逃がし部
90…パネル(被取付部)
91…取付孔

Claims (3)

  1. 互いに嵌合可能な第1、第2ハウジングと、前記第2ハウジングに対して移動可能に装着され、装着完了位置へ向かう過程で前記両ハウジングの嵌合動作を助勢する嵌合補助部材とを備え、前記第2ハウジングには被取付部に弾性的に係止されるロック部が撓み可能に設けられ、前記装着完了位置に至った前記嵌合補助部材によって前記両ハウジングが正規嵌合された後、前記ロック部による係止作用によって前記第2ハウジングが前記第1ハウジングとともに前記被取付部に取り付けられるコネクタであって、
    前記嵌合補助部材は、前記装着完了位置において前記ロック部と対応位置して前記ロック部の撓み動作を許容する逃がし部と、前記装着完了位置に向かう過程において前記ロック部と干渉することで前記ロック部の撓み動作を規制する干渉部とを有していることを特徴とするコネクタ。
  2. 前記嵌合補助部材は、前記第1ハウジングに設けられたカムフォロアと係合可能なカム溝を有し、前記装着完了位置へと移動されるに伴い、前記カム溝と前記カムフォロアとの係合によるカム作用によって前記両ハウジングを嵌合状態とするスライダからなり、前記被取付部は、前記両ハウジングを内嵌可能な取付孔を有するパネルからなり、
    前記スライダの移動方向が、前記両ハウジングの嵌合方向と交差する方向であって、前記パネルの板面方向と平行な向きに設定されている請求項1記載のコネクタ。
  3. 前記スライダには前記カム溝を有するカム板が設けられ、前記逃がし部は、前記カム板をその板厚を減ずる方向に切り欠いて形成されている請求項2記載のコネクタ。
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JP2015069836A (ja) * 2013-09-30 2015-04-13 住友電装株式会社 パネル取付型コネクタ

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