JP2010037473A - 顔料分散体、カラーフィルター用着色組成物、カラーフィルター、液晶表示装置および有機elディスプレイ - Google Patents

顔料分散体、カラーフィルター用着色組成物、カラーフィルター、液晶表示装置および有機elディスプレイ Download PDF

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Abstract

【課題】 画像形成性に優れたシアン色顔料分散体およびカラーフィルター用着色組成物、ならびにこれを用いてなるカラーフィルター、液晶表示装置、有機ELパネル等を提供する。
【解決手段】 顔料、溶剤および分散剤を含有してなる顔料分散体において、該顔料が、緑色顔料、C.I.ピグメント・ブルー15:6および特定の顔料Yを含有し、
顔料Yの含有量が、緑色顔料、C.I.ピグメント・ブルー15:6および顔料Yの合計に対し、重量分率で5〜50重量%であり、かつ
C.I.ピグメント・ブルー15:6に対する緑色顔料の割合が、重量分率で0.2〜2.3である顔料分散液、およびその用途。
【選択図】 なし

Description

本発明は、顔料分散体、カラーフィルター用着色組成物およびその用途に関する。更に詳しくは、青色・黄色・緑色顔料を混合してなるシアン色顔料分散体、この顔料分散体を用いて調製したカラーフィルター用着色組成物と、これを用いて形成された画素を有するカラーフィルター、及び、このカラーフィルターを備えた液晶表示装置および有機ELディスプレイに関する。
カラーフィルターは、液晶ディスプレー(以下、「液晶表示装置」、「LCD」ともいう。)に不可欠な構成部品である。この液晶ディスプレーは非常にコンパクトであり、性能面でもこれまでのCRTディスプレイと同等以上であり、テレビ画面、パソコン画面およびその他の表示装置としてCRTディスプレイから液晶ディスプレイに置き換わりつつある。
液晶ディスプレイ(LCD)のカラー画像の形成は、カラーフィルターを通過した光がそのままカラーフィルターを構成する各画素の色に着色されて、それらの色の光が合成されてカラー画像を形成する。そして、現在一般的にはRGBの三色の画素でカラー画像を形成している。即ち、CIE色度図上において、RGBの三色の比率を変えてRGBの三角形の範囲にある色の再現を図っている。従って、このRGBの三色で表される三角形の外側の色については再現できないことになる。
また近年では、液晶表示装置の普及に伴なって、その用途も各種モニターやTVに広がっており、色再現性に対する更なる向上が要求されるようになってきている。この要求に応えるために、色再現領域が広がったカラーフィルターの提供が求められている。特に、TV用途にあっては、従来よりも色再現領域の拡大が求められていた。
明るく良好な色再現領域を実現するために、RGB各色のx、y、YのCIE標識値を特定し、また、顔料の選択、混合比率、粒度、レジスト中の顔料の配合比率で実現する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、CIE色度図におけるx,y値が特定範囲にある水溶性染料、特定の分光特性を有する水溶性染料を含有することにより色再現領域が広く、透過率の高いカラーフィルタをインクジェット法で得る方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、ヘキサフルオロプロペン構造を有するフッ素系化合物を界面活性剤として用い、かつRGBのCIE色度図を特定した色純度がよく保存安定性がよい塗膜を形成する方法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
再生画像の色再現性を拡大する試みは、例えば、カラー写真フィルムのネガフィルム用感光層として、シアン層、マゼンタ層、イエロー層以外に更に、第4層を設けて、被写体を直接肉眼で観察する色調により近い色調にしようとしたり、また、インクジェットプリンタで6色から7色の多色印刷にして、色再現を高めようとしている。
このように、前記何れの方法においてもTV用LCDの為のカラーフィルタの色再現領域としては不充分であり、更なる色再現性に優れたLCD用カラーフィルタが求められていた。
また上述した諸問題は、今後広く使用されていくであろう有機ELディスプレイにおいても同様であり、色再現性の向上は当該ディスプレイにおいても解決すべき問題であった

特開平10−186124号公報 特開平11−158431号公報 特開2001−139848号公報 特開2005−49791号公報
これに対し、例えば特許文献4には、青色・黄色・緑色顔料を特定の割合で混合することによりシアン色組成物を調製し、RGB3色の画素に加えて、これを用いてなるシアン色画素を設けることにより、色再現性の向上したカラーフィルターを提供できる旨、記載されている。しかし、この文献中に開示されている例によると、緑色顔料を比較的多く使用しているため、所望の色を実現するためには組成物中に含まれる顔料濃度が高くなり、画像形成性が低下する傾向があった。
微細な画像を精度よく形成するには、組成物中の顔料濃度は高すぎないことが望ましい。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、比較的少ない顔料濃度で所望のシアン色を実現するには、青色・黄色・緑色顔料を混合する際に、黄色顔料の種類と量を特定範囲に制御し、かつ、むしろ緑色顔料に対して青色顔料を多く使用することが効果的であることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
[1]顔料、溶剤および分散剤を含有してなる顔料分散体において、該顔料が、緑色顔料、C.I.ピグメント・ブルー15:6および以下の定義にてあらわされる顔料Yを含有し、
顔料Yの含有量が、緑色顔料、C.I.ピグメント・ブルー15:6および顔料Yの合計に対し、重量分率で5〜50重量%であり、かつ
C.I.ピグメント・ブルー15:6に対する緑色顔料の割合が、重量分率で0.2〜2.3である、顔料分散体。
<顔料Y>
下記一般式(I)
Figure 2010037473
で表されるアゾバルビツール酸のニッケルとの1:1錯体又はその互換異性体、或いはこれらの化合物に他の化合物が挿入されてなる化合物。
[2]緑色顔料が、C.I.ピグメントグリーン7および/またはC.I.ピグメントグリーン36を含む、前記[1]記載の顔料分散体。
[3]分散剤が、側鎖に4級アンモニウム塩基を有するAブロックと、4級アンモニウム塩基を有さないBブロックとからなる、A−Bブロック共重合体及び/又はB−A−Bブロック共重合体を含有する、前記[1]または[2]記載の顔料分散体。
[4]前記[1]〜[3]のいずれか一つに記載の顔料分散体、およびバインダー樹脂を含有してなるカラーフィルター用着色組成物。
[5]さらに、光重合開始系および/または熱重合開始剤を含有してなる、前記[4]記載のカラーフィルター用着色組成物。
[6]赤色画素、青色画素、緑色画素、および前記[4]または[5]記載のカラーフィルター用着色組成物を用いて形成した画素を有するカラーフィルター。
[7]前記[6]記載のカラーフィルターを用いてなる液晶表示装置。
[8]前記[6]記載のカラーフィルターを用いてなる有機ELディスプレイ。
本発明によると、黄色顔料の種類と量を特定範囲に制御し、かつ青色顔料(C.I.ピグメントブルー15:6)に対する緑色顔料の量を特定の範囲に制御することにより、カラーフィルターの色再現性向上に効果的なシアン色画素を、少ない総顔料量で形成しうる着色組成物、及びこれに用いられる顔料分散体を得ることができる。
また本発明のカラーフィルター用着色組成物は、比較的低い顔料濃度で、所望のシアン色を実現できることから、画像形成性、現像性などに優れ、コントラストが高く、色濃度が高い画素が得られ、色再現性に優れた高品質なカラーフィルターおよび液晶表示装置を容易に作製することができる。
以下に、本発明の構成要件等について詳細に説明するが、これらは本発明の実施態様の一例であり、これらの内容に限定されるものではない。
尚、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリレート」等は、「アクリル及び/又はメタクリル」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」等を意味するものとし、例えば「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」を意味するものとする。また「全固形分」とは、顔料分散体または着色組成物に含まれる、溶剤成分以外の全成分を意味するものとする。
本発明において、重量平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)をさす。
また本発明において、「アミン価」とは、特に断りのない限り有効固形分換算のアミン価を表し、分散剤の固形分1gあたりの塩基量と当量のKOHの重量で表される値である。なお測定方法については後述する。
[1]顔料分散体の構成成分
以下に本発明の顔料分散体の各構成成分を説明する。本発明に係る顔料分散体は、顔料、溶剤及び分散剤を必須成分とし、更に要すれば、上記成分以外の他の添加物等が配合されていてもよい。
以下、各構成成分を説明する。
[1−1]顔料:
本発明の顔料分散剤に使用される顔料としては、緑色顔料、C.I.ピグメントブルー15:6、および以下の定義にて表される顔料Yが挙げられる。
<顔料Y>
下記一般式(I)
Figure 2010037473
で表されるアゾバルビツール酸のニッケルとの1:1錯体又はその互換異性体(以下、単に「アゾニッケル錯体化合物」と称す)、或いはこれらの化合物に他の化合物が挿入されてなる化合物。
アゾニッケル錯体化合物に挿入される化合物としては、メラミンまたはメラミン誘導体が好ましく、中でも特に下記一般式(IX)で表される化合物が好ましい。
Figure 2010037473
式中、R21、R22およびR23は各々独立に、水素原子、または水酸基で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。R21ないしR23としては、いずれも水素原子である場合が最も好ましい。
前記アゾニッケル錯体化合物(ホスト化合物)の結晶格子中に挿入される、いわゆるゲスト化合物である前記一般式(IX)で表される化合物の量は、ホスト化合物に対して、通常5〜200重量%、好ましくは5〜120重量%であり、より好ましくは10〜100重量%である。なお、挿入されている前記一般式(IX)で表される化合物の量は、溶剤などで洗出不可能であり、元素分析値から算出することができる。前記一般式(IX)で表される化合物は、ホスト化合物に含まれるニッケル1原子に対し、2分子含有されていることが、特に好ましい。
このような化合物は、例えば特開2005−325350号公報等に記載の方法にて製造することができる。
本発明における顔料Yに該当する化合物としては、C.I.ピグメントイエロー150などが挙げられる。顔料Yは、1種類を単独で使用しても、複数種併用してもよい。
緑色顔料としては、特に制限は無いがC.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン7、臭素化フタロシアニン等が挙げられる。
中でも好ましくはC.I.ピグメントグリーン7またはC.I.ピグメントグリーン36、高コントラストである点からより好ましくはC.I.ピグメントグリーン36が挙げられる。緑色顔料は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
臭素化亜鉛フタロシアニン顔料としては、フタロシアニン骨格が有する16個の水素原子を臭素原子乃至塩素原子で置換したものが挙げられる。中でも1分子中に臭素原子を平均13個以上含有する臭素化亜鉛フタロシアニンが好ましい。更には、1分子中に臭素原子を13〜16個有し、且つ1分子中に塩素を含まないか又は平均3個以下有する臭素化亜鉛フタロシアニンが好ましく、特に1分子中に臭素原子を平均14〜16個有し、且つ1分子中に塩素原子を含まないか又は平均2個以下有する臭素化亜鉛フタロシアニンが好ましい。
顔料の平均一次粒径は、通常0.2μm以下、好ましくは0.15μm以下、より好ましくは0.08μm以下であり、また通常0.005μm以上である。平均一次粒径が大きすぎると、消偏特性が悪化してコントラストが不十分となり、ひどい場合には透過率が低下するといった、根本的な色特性を劣化させる懸念や、粗粒を形成して、突起異物によるカラーフィルターの歩留り低下や、プロセスフィルターの閉塞の原因になる等、生産上の問題が生じる場合があり、逆に小さすぎると、比表面積が増大することによる分散安定性不良や、顔料が分子状態に近づくことによる耐熱、耐光性の悪化などの問題が生じるおそれがある。
なお顔料の微粒化に際しては、ソルベントソルトミリングのような手法が好適に用いられる。
顔料の平均一次粒径は次の方法で求めることができる。まず、顔料をクロロホルム中に超音波分散し、コロジオン膜貼り付けメッシュ上に滴下して、乾燥させ、透過電子顕微鏡(TEM)観察により、顔料の一次粒子像を得る。
次に、個々の顔料粒子の粒径を、同じ面積となる円の直径に換算した面積円相当径として、複数個の顔料粒子についてそれぞれ粒径を求めた後、下式の計算式の通り個数平均値を計算し平均粒径を求める。
個々の顔料粒子の粒径:X,X,X,X,・・・X,・・・X
平均粒径 = ΣX/m
なお、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の青色顔料や黄色顔料を含有していてもよい。併用しうる顔料として、例えば黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー(P.Y.)1、1:1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、126、127、128、129、138、139、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、199、200、202、203、204、205、206、207、208、213,214,215等が挙げられる。これらは1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
これらの黄色顔料の平均一次粒子径は、通常0.2μm以下、好ましくは0.1μm以下より好ましくは0.04μm以下である。
併用しうる青色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79を挙げることができる。これらの内、好ましくは15、15:1、15:2、15:3、15:4、または16である。
また青色顔料、黄色顔料および緑色顔料以外の顔料を含有していてもよいが、好ましくはこれら3色の顔料のみ含有する顔料分散体であり、より好ましくは緑色顔料、C.I.ピグメントブルー15:6、および顔料Yのみ含有する顔料分散体である。本発明の顔料分散体に含まれるC.I.ピグメントブルー15:6、顔料Yおよび緑色顔料の合計量は、総顔料量の50重量%以上であることが好ましく、80重量%以上であることがより好ましく、最も好ましくは、実質的にその他の顔料を含有しない顔料分散体である。
本発明の顔料分散体における顔料Yの含有量は、緑色顔料、C.I.ピグメント・ブルー15:6および顔料Yの合計に対し、重量分率で2〜50重量%であり、好ましくは17〜37重量%、より好ましくは22から32重量%である。黄色顔料が多すぎると、所望のシアン色が得られなくなる。また少なすぎる場合にも、輝度が低下したり、所望のシアン色が得られなくなったり、当該色を得るために必要な顔料の総量が増大するため、画像形成性が著しく低下する。
本発明の顔料分散体におけるC.I.ピグメントブルー15:6に対する緑色顔料の割合は、重量分率で0.2〜2.3であり、好ましくは0.4〜1.0、より、好ましくは0.5〜0.9である。
緑色顔料が多すぎると、所望のシアン色を得るために必要な顔料量が多くなるため、顔料分散体やこれを用いてなる着色組成物中の顔料濃度が高くなり、画像形成性が低下する傾向がある。逆に緑色顔料が少なすぎると、輝度(Y値)が低下するという問題が生じる傾向がある。
本発明の顔料分散体における顔料総量の含有割合は、全固形分中、通常40重量%以上、好ましくは50重量%以上であり、また通常80重量%以下、好ましくは70重量%以下である。顔料分散体中の顔料の割合が少なすぎると、高濃度色の再現が困難になる傾向があり、また多すぎると顔料分散が困難になる場合がある。
また本発明のカラーフィルター用着色組成物における顔料の含有割合は、全固形分中、通常10重量%以上、好ましくは15重量%以上、又、通常60重量%以下、好ましくは50重量%以下である。
着色組成物における顔料の割合が少な過ぎると、色濃度に対する膜厚が大きくなり過ぎて、液晶セル化の際のギャップ制御等に悪影響を及ぼす可能性がある。一方で、逆に顔料の割合が多過ぎると、十分な画像形成性が得られなくなることがある。
[1−2]溶剤:
本発明の顔料分散体や後述する着色組成物は、溶剤を必須成分とする。溶剤は、顔料分散体や着色組成物に含まれる各成分を溶解または分散させ、粘度を調節する機能を有する。
溶剤は、本発明の顔料分散液や後述する着色組成物において、顔料、分散剤のほか、場合により配合した上記以外の成分などを溶解又は分散させ、粘度を調節する機能を有する。かかる溶剤としては、各成分を溶解または分散させることができるものであればよい。
このような溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、メトキシメチルペンタノール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテルのようなグリコールモノアルキルエーテル類;
エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレン
グリコールジメチルエーテルのようなグリコールジアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテートのようなグリコールアルキルエーテルアセテート類;
エチレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサノールジアセテートなどのグリコールジアセテート類;
シクロヘキサノールアセテートなどのアルキルアセテート類;
アミルエーテル、プロピルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ジアミルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジヘキシルエーテルのようなエーテル類;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルアミルケトン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルノニルケトン、メトキシメチルペンタノンのようなケトン類;
エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、メトキシメチルペンタノール、グリセリン、ベンジルアルコールのような1価又は多価アルコール類;
n−ペンタン、n−オクタン、ジイソブチレン、n−ヘキサン、ヘキセン、イソプレン、ジペンテン、ドデカンのような脂肪族炭化水素類;
シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキセン、ビシクロヘキシルのような脂環式炭化水素類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンのような芳香族炭化水素類;
アミルホルメート、エチルホルメート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸アミル、メチルイソブチレート、エチレングリコールアセテート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、イソ酪酸メチル、エチルカプリレート、ブチルステアレート、エチルベンゾエート、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトンのような鎖状又は環状エステル類;
3−メトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸のようなアルコキシカルボン酸類;
ブチルクロライド、アミルクロライドのようなハロゲン化炭化水素類;
メトキシメチルペンタノンのようなエーテルケトン類;
アセトニトリル、ベンゾニトリルのようなニトリル類等が挙げられる。
上記に該当する市販の溶剤としては、ミネラルスピリット、バルソル#2、アプコ#18ソルベント、アプコシンナー、ソーカルソルベントNo.1及びNo.2、ソルベッソ#150、シェルTS28 ソルベント、カルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、メチ
ルセロソルブアセテート、ジグライム(いずれも商品名)などが挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
フォトリソグラフィー法にてカラーフィルターの画素を形成する場合、溶剤としては沸点が100〜200℃(圧力1013.25[hPa]条件下。以下、沸点に関しては全て同様。)の範囲のものを選択するのが好ましい。より好ましくは120〜170℃の沸点をもつものである。
上記溶剤中、塗布性、表面張力などのバランスが良く、組成物中の構成成分の溶解度が比較的高い点からは、グリコールアルキルエーテルアセテート類が好ましい。
また、グリコールアルキルエーテルアセテート類は、単独で使用してもよいが、他の溶剤を併用してもよい。併用する溶剤として、特に好ましいのはグリコールモノアルキルエーテル類である。中でも、特に組成物中の構成成分の溶解性からプロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましい。なお、グリコールモノアルキルエーテル類は極性が高く、添加量が多すぎると顔料が凝集しやすく、後に得られる着色組成物の粘度が上がっていくなどの保存安定性が低下する傾向があるので、溶剤中のグリコールモノアルキルエーテル類の割合は5重量%〜30重量%が好ましく、5重量%〜20重量%がより好ましい。
また、最近の大型基板等に対応したスリットコート方式への適正という観点からは、150℃以上の沸点をもつ溶剤を併用することも好ましい。このような高沸点の溶剤を併用することにより、着色組成物は乾きにくくなるが、急激に乾燥することによる顔料分散液の相互関係の破壊を起こし難くする効果がある。高沸点溶剤の含有量は、溶剤に対して3重量%〜50重量%が好ましく、5重量%〜40重量%がより好ましく、5重量%〜30重量%が特に好ましい。高沸点溶剤の量が少なすぎると、例えばスリットノズル先端で色材成分などが析出・固化して異物欠陥を惹き起こす可能性があり、また多すぎると組成物の乾燥温度が遅くなり、後述するカラーフィルター製造工程における、減圧乾燥プロセスのタクト不良や、プリベークのピン跡といった問題を惹き起こすことが懸念される。
なお沸点150℃以上の溶剤が、グリコールアルキルエーテルアセテート類であっても、またグリコールアルキルエーテル類であってもよく、この場合は、沸点150℃以上の溶剤を別途含有させなくてもかまわない。
インクジェット法にてカラーフィルターの画素を形成する場合、溶剤としては、沸点が、通常130℃以上300℃以下であり、好ましくは、150℃以上280℃以下である。沸点が低すぎると、得られる塗膜の均一性が不良になる傾向がある。逆に沸点が高すぎると、後述するように、硬化性樹脂組成物の乾燥抑制の効果は高いが、熱焼成後においても塗膜中に残留溶剤が多く存在し、品質上の不具合を生じたり、真空乾燥などでの乾燥時間が長くなり、タクトタイムを増大させるなどの不具合を生じたりする場合がある。
また、溶剤の蒸気圧は、得られる塗膜の均一性の観点から、通常10mmHg以下、より好ましくは5mmHg以下、さらに好ましくは1mmHg以下のものが使用できる。
なお、インクジェット法によるカラーフィルター製造において、ノズルから発せられるインクは数〜数十pLと非常に微細であるため、ノズル口周辺あるいは画素バンク内に着弾する前に、溶剤が蒸発してインクが濃縮・乾固する傾向がある。これを回避するためには溶剤の沸点は高い方が好ましく、具体的には、沸点180℃以上の溶剤を含むことが好ましい。より好ましくは、沸点が200℃以上、特に好ましくは沸点が220℃以上である溶剤を含有する。また、沸点180℃以上である高沸点溶剤は、顔料分散液および/またはカラーフィルター用着色組成物に含まれる全溶剤中、50重量%以上であることが好ましく、70重量%以上がより好ましく、90重量%以上が最も好ましい。高沸点溶剤が50重量%未満である場合には、液滴からの溶剤の蒸発防止効果が十分に発揮されないおそれがある。
好ましい高沸点溶剤として、例えば前述の各種溶剤の中ではジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサノールジアセテート、トリアセチンなどが挙げられる。
さらに、顔料分散液や着色組成物の粘度調整や固形分の溶解度調整のためには、沸点が180℃より低い溶剤を一部含有することも効果的である。このような溶剤としては、低粘度で溶解性が高く、低表面張力であるような溶剤が好ましく、エーテル類、エステル類やケトン類などが好ましい。中でも特に、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、シクロヘキサノールアセテートなどが好ましい。
一方、溶剤がアルコール類を含有すると、インクジェット法における吐出安定性が劣化する場合がある。よって、アルコール類は全溶剤中20重量%以下とすることが好ましく、10重量%以下がより好ましく、5重量%以下が特に好ましい。
本発明の顔料分散体や着色組成物において、溶剤の含有割合に特に制限はないが、その上限は通常99重量%とする。溶剤が99重量%を超える場合は、溶剤を除く各成分の濃度が小さくなり過ぎて、塗布膜を形成するには不適当となるおそれがある。一方、溶剤含有割合の下限値は、塗布に適した粘性等を考慮して、通常75重量%、好ましくは80重量%、更に好ましくは82重量%である。
[1−3]分散剤
本発明の顔料分散体や着色組成物は、さらに分散剤を含有することが好ましい。分散剤の種類は、本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、側鎖に4級アンモニウム塩基を有するAブロックと、4級アンモニウム塩基を有さないBブロックとからなる、A−Bブロック共重合体及び/又はB−A−Bブロック共重合体が好ましい。
(F−1)側鎖に4級アンモニウム塩基を有するAブロックと、4級アンモニウム塩基を有さないBブロックとからなる、A−Bブロック共重合体及び/又はB−A−Bブロック共重合体
側鎖に4級アンモニウム塩基を有するAブロックと、4級アンモニウム塩基を有さないBブロックとからなる、A−Bブロック共重合体及び/又はB−A−Bブロック共重合体(以下、単に「アクリル系ブロック共重合体」と称する)は、前述した緑色顔料、C.I.ピグメント・ブルー15:6および顔料Yを極めて効率よく分散しうる点で好ましい。その理由は明らかではないが、分子配列が制御されていることにより、分散剤が顔料に吸着する際に障害となる構造が少ないためと推察される。
アクリル系ブロック共重合体を構成するAブロックは、4級アンモニウム塩基を有する。
4級アンモニウム塩基は、好ましくは−N+313233・Z(但し、R31
、R32及びR33は、各々独立に、水素原子、又は置換されていてもよい環状若しくは鎖状の炭化水素基を表す。或いは、R31、R32及びR33のうち2つ以上が互いに結合して、環状構造を形成していてもよい。Zは、対アニオンを表す。)で表わされる4級アンモニウム塩基を有する。この4級アンモニウム塩基は、直接主鎖に結合していてもよいが、2価の連結基を介して主鎖に結合していてもよい。
−N+313233・Zにおいて、R31、R32及びR33のうち2つ以上
が互いに結合して形成する環状構造としては、例えば5〜7員環の含窒素複素環単環又はこれらが2個縮合してなる縮合環が挙げられる。該含窒素複素環は芳香性を有さないものが好ましく、飽和環であればより好ましい。具体的には、例えば下記のものが挙げられる。
Figure 2010037473
上記式中、RはR31、R32、及びR33のうち何れかの基を表す。
これらの環状構造は、更に置換基を有していてもよい。
−N+313233におけるR31、R32、R33としては、それぞれ独立に
、より好ましいのは、置換基を有していてもよい炭素数1〜3のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基、又は置換基を有していてもよいベンジル基である。
4級アンモニウム塩基を有するAブロックとしては、下記一般式(VII)で表わされる
部分構造を含有するものが好ましい。
Figure 2010037473
上記一般式(VII)中、R31、R32、R33は各々独立に、水素原子、又は置換さ
れていてもよい環状若しくは鎖状の炭化水素基を表す。或いは、R31、R32、及びR33のうち2つ以上が互いに結合して、環状構造を形成していてもよい。R34は、水素原子又はメチル基を表す。Xは、2価の連結基を表し、Zは、対アニオンを表す。
一般式(VII)において、R31、R32、R33の炭化水素基は、それぞれ独立して
、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20の芳香族基を有する置換基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ベンジル基、フェニル基等を挙げることができる。中でもメチル基、エチル基、プロピル基、ベンジル基が好ましい。
一般式(VII)において、2価の連結基Xとしては、例えば、炭素数1〜10のアル
キレン基、アリーレン基、−CONH−R35−、−COO−R36−(但し、R35及びR36は、それぞれ独立に、直接結合、炭素数1〜10のアルキレン基、又は炭素数1〜10のエーテル基(−R37−O−R38−:R37及びR38は、各々独立にアルキレン基)を表わす。)等が挙げられ、好ましくは−COO−R36−である。
また、対アニオンのZとしては、Cl-、Br-、I-、ClO4 -、BF4 -、CH3COO-、PF6 -等が挙げられる。
なお、アクリル系ブロック共重合体は、Aブロック中に、本発明の特徴である前記分散剤と同様の3級アミノ基を若干有していてもよい。これは、3級アミノ基の4級化反応が完全に完了していない場合に残るものであり、そのアミン価は、通常10mgKOH/g以下程度である。
ここで、分散剤のアミン価(有効固形分換算)とは、分散剤試料中の溶剤を除いた固形分1gあたりの塩基量と当量のKOHの重量で表し、次の方法により測定する。100mLのビーカーに分散剤試料の0.5〜1.5gを精秤し、50mLの酢酸で溶解する。pH電極を備えた自動滴定装置を使って、この溶液を0.1mol/L HCLO4酢酸溶液にて中和滴定する。滴定pH曲線の変曲点を滴定終点とし次式によりアミン価を求める。
アミン価 [mgKOH/g]=(561×V)/(W×S)
(但し、W:分散剤試料秤取量[g]、V:滴定終点での滴定量[mL]、S:分散剤試料の固形分濃度[wt%]である。)
上記の如き特定の4級アンモニウム塩基を含有する部分構造は、1つのAブロック中に2種以上含有されていてもよい。その場合、2種以上の4級アンモニウム塩基含有部分構造は、該Aブロック中においてランダム共重合又はブロック共重合の何れの態様で含有されていてもよい。また、該4級アンモニウム塩基を含有しない部分構造が、Aブロック中に含まれていてもよく、該部分構造の例としては、後述の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー由来の部分構造等が挙げられる。かかる4級アンモニウム塩基を含まない部分構造の、Aブロック中の含有量は、好ましくは0〜50重量%、より好ましくは0〜20重量%であるが、かかる4級アンモニウム塩基非含有部分構造はAブロック中に含まれないことが最も好ましい。
一方、分散剤のブロック共重合体を構成するBブロックとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系モノマー;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エチルアクリル酸グリシジルなどの(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;(メタ)アクリル酸クロライドなどの(メタ)アクリル酸塩系モノマー;酢酸ビニル系モノマー;アリルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル系モノマーなどのコモノマーを共重合させたポリマー構造が挙げられる。
Bブロックは、特に下記一般式(VIII)で表される、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー由来の部分構造であることが好ましい。
Figure 2010037473
(一般式(VIII)中、R39は、水素原子又はメチル基を表す。R40は、置換基を有していてもよい環状又は鎖状のアルキル基、置換基を有していてもよいアリル基、又は置換基を有していてもよいアラルキル基を表す。)
上記(メタ)アクリル酸エステル系モノマー由来の部分構造は、1つのBブロック中に2種以上含有されていてもよい。もちろん該Bブロックは、更にこれら以外の部分構造を含有していてもよい。2種以上のモノマー由来の部分構造が、4級アンモニウム塩基を含有しないBブロック中に存在する場合、各部分構造は該Bブロック中においてランダム共重合又はブロック共重合の何れの態様で含有されていてもよい。Bブロック中に上記(メタ)アクリル酸エステル系モノマー由来の部分構造以外の部分構成を含有する場合、当該(メタ)アクリル酸エステル系モノマー以外の部分構造の、Bブロック中の含有量は、好ましくは0〜99重量%、より好ましくは0〜85重量%である。
このようなアクリル系ブロック共重合体は、例えば特開2002−31713号公報に記載の方法に準じて重合することができる。
また、このブロック共重合体の酸価は、該酸価の元となる酸性基の有無及び種類にもよるが、一般に低い方が好ましく、通常100mgKOH/g以下であり、その分子量は、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で通常1000以上、100,000以下の範囲である。ブロック共重合体の分子量が小さすぎると分散安定性が低下し、大きすぎると現像性、解像性が低下する傾向にある。
本発明においては、上述のものと同様の構造を有する市販のアクリル系ブロック共重合体を適用することもできる。
本発明の顔料分散体および着色組成物は、上述の(F−1)以外の分散剤を含有していても良く、そのような分散剤の例としては、例えば(F−2):窒素原子を含有するグラフト共重合体、(F−3):ウレタン樹脂分散剤などが挙げられる。本発明に使用される分散剤としては、これらの中でも(F−1)が特に好ましい。
(F−2):窒素原子を含有するグラフト共重合体
窒素原子を含有するグラフト共重合体としては、主鎖に窒素原子を含有する繰り返し単位を有するものが好ましい。中でも、式(II)で表される繰り返し単位または/及び式(III)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
Figure 2010037473
式中、R51は炭素数1〜5のアルキレン基を表し、Aは水素原子または下記式(IV)〜(VI)のいずれかを表す。
式(II)中、R51は、メチレン、エチレン、プロピレン等の直鎖状または分岐状の炭素数1〜5のアルキレン基を表し、好ましくは炭素数2〜3であり、更に好ましくはエチレン基である。Aは水素原子または下記式(IV)〜(VI)のいずれかを表すが、好ましくは式(IV)である。
Figure 2010037473
式(III)中、R51、Aは、式(II)のR51、Aと同義である。
Figure 2010037473
式(IV)中、W1は炭素数2〜10の直鎖状または分岐状のアルキレン基を表し、中で
もブチレン、ペンチレン、ヘキシレン等の炭素数4〜7のアルキレン基が好ましい。pは1〜20の整数を表し、好ましくは5〜10の整数である。
Figure 2010037473
式(V)中、Y1は2価の連結基を表し、中でもエチレン、プロピレン等の炭素数1〜4のアルキレン基、又はエチレンオキシ、プロピレンオキシ等の炭素数1〜4のアルキレンオキシ基が好ましい。W2はエチレン、プロピレン、ブチレン等の直鎖状または分岐状の
炭素数2〜10のアルキレン基を表し、中でもエチレン、プロピレン等の炭素数2〜3のアルキレン基が好ましい。Y2は水素原子または−CO−R52(R52はエチル、プロ
ピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル等の炭素数1〜10のアルキル基を表し、中でもエチル、プロピル、ブチル、ペンチル等の炭素数2〜5のアルキル基が好ましい。)を表す。qは、1〜20の整数を表し、好ましくは5〜10の整数である。
Figure 2010037473
式(VI)中、W3は炭素数1〜50のアルキル基または水酸基を1〜5有する炭素数1
〜50のヒドロキシアルキル基を表し、中でもステアリル等の炭素数10〜20のアルキル基、モノヒドロキシステアリル等の水酸基を1〜2個有する炭素数10〜20のヒドロキシアルキル基が好ましい。
当該グラフト共重合体における式(II)または(III)で表される繰り返し単位の含有
率は、高い方が好ましく、通常50モル%以上であり、好ましくは70モル%以上である。式(II)で表される繰り返し単位と、式(III)で表される繰り返し単位の、両方を併
有してもよく、その含有比率に特に制限は無いが、式(II)の繰り返し単位を多く含有していた方が好ましい。式(II)または式(III)で表される繰り返し単位の合計数は、1
分子中に通常1〜100、好ましくは10〜70、更に好ましくは20〜50である。
また、式(II)及び式(III)以外の繰り返し単位を含んでいてもよく、他の繰り返し
単位としては、例えばアルキレン基、アルキレンオキシ基などが例示できる。本発明のグラフト共重合体は、その末端が−NH2及び−R51−NH2(R51は、前記R51と同義)のものが好ましい。
尚、当該グラフト共重合体は、主鎖が直鎖状であっても分岐していてもよい。
当該グラフト共重合体のアミン価は、通常5〜100mgKOH/gであり、好ましくは10〜70mgKOH/gであり、更に好ましくは15〜40mgKOH/g以下である。アミン価が低すぎると分散安定性が低下し、粘度が不安定になることがあり、逆に高すぎると残渣が増加したり、液晶パネルを形成した後の電気特性が低下することがある。
上記分散剤のGPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は、3000〜100000が好ましく、5000〜50000が特に好ましい。重量平均分子量が3000未満であると、顔料の凝集を防ぐことができず、高粘度化ないしはゲル化してしまうことがあり、100000を超えるとそれ自体が高粘度となり、また有機溶媒への溶解性が不足する場合がある。
上記分散剤の合成方法は、公知の方法が採用でき、例えば特公昭63−30057号公報に記載の方法を用いることができる。
本発明においては、上述のものと同様の構造を有する市販のグラフト共重合体を適用することもできる。
(F−3):ウレタン樹脂分散剤
ウレタン樹脂分散剤としては、ポリイソシアネート化合物と、同一分子内に水酸基を1個又は2個有する化合物と、同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物とを反応させることによって得られるウレタン樹脂が特に好ましい。
上記ポリイソシアネート化合物の例としては、パラフェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンメチ
ルエステルジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、ω,ω′−ジイソシネートジメチルシクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート;キシリレンジイソシアネート、α,α,α′,α′−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート;リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニルメタン)、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート等のトリイソシアネート;及び、これらの3量体、水付加物、並びにこれらのポリオール付加物等が挙げられる。ポリイソシアネートとして好ましいのは有機ジイソシアネートの三量体で、最も好ましいのはトリレンジイソシアネートの三量体とイソホロンジイソシアネートの三量体であり、これらを単独で用いても、複数種併用してもよい。
イソシアネートの三量体の製造方法としては、前記ポリイソシアネート類を適当な三量化触媒、例えば第3級アミン類、ホスフィン類、アルコキシド類、金属酸化物、カルボン酸塩類等を用いてイソシアネート基の部分的な三量化を行い、触媒毒の添加により三量化を停止させた後、未反応のポリイソシアネートを溶剤抽出、薄膜蒸留により除去して目的のイソシアヌレート基含有ポリイソシアネートを得る方法が挙げられる。
上記同一分子内に水酸基を1個又は2個有する化合物としては、ポリエーテルグリコール、ポリエステルグリコール、ポリカーボネートグリコール、ポリオレフィングリコール等、又はこれらの化合物の片末端水酸基が炭素数1〜25のアルキル基でアルコキシ化されたもの、若しくはこれら2種類以上の混合物が挙げられる。
ポリエーテルグリコールとしては、ポリエーテルジオール、ポリエーテルエステルジオール、又はこれら2種類以上の混合物が挙げられる。ポリエーテルジオールとしては、アルキレンオキシドを単独又は共重合させて得られるもの、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン−プロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシヘキサメチレングリコール、ポリオキシオクタメチレングリコール、又はそれらの2種以上の混合物が挙げられる。ポリエーテルエステルジオールとしては、エーテル基含有ジオール若しくは他のグリコールとの混合物をジカルボン酸又はそれらの無水物と反応させるか、ポリエステルグリコールにアルキレンオキシドを反応させることによって得られるもの、例えば、ポリ(ポリオキシテトラメチレン)アジペート等が挙げられる。ポリエーテルグリコールとして最も好ましいのは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、又はこれらの化合物の片末端水酸基が炭素数1〜25のアルキル基でアルコキシ化された化合物である。
ポリエステルグリコールとしては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸等のジカルボン酸類又はそれらの無水物と、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジーオル、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、1,8−オクタメチレングリコール、2−メチル−1,8−オクタメチレングリコール、1,9−ノナンジオール等の脂肪族グリコール;ビスヒドロキ
シメチルシクロヘキサン等の脂環族グリコール;キシリレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の芳香族グリコール;N−メチルジエタノールアミン等のN−アルキルジアルカノールアミン等のジオール類と、を重縮合させて得られたもの、例えば、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリエチレン/プロピレンアジペート等、又は前記ジオール類若しくは炭素数1〜25の1価アルコールを開始剤として用いて得られるポリラクトンジオールあるいはポリラクトンモノオール、例えば、ポリカプロラクトングリコール、ポリメチルバレロラクトン、又はこれらの2種以上の混合物が挙げられる。ポリエステルグリコールとして最も好ましいのは、ポリカプロラクトングリコール又は炭素数1〜25のアルコールを開始剤としたポリカプロラクトン、より具体的には、モノオールにε−カプロラクトンを開環付加重合して得られる化合物である。
ポリカーボネートグリコールとしては、ポリ(1,6−ヘキシレン)カーボネート、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレン)カーボネート等が挙げられる。
又、ポリオレフィングリコールとしては、ポリブタジエングリコール、水素添加型ポリブタジエングリコール、水素添加型ポリイソプレングリコール等が挙げられる。
これらの同一分子内に水酸基を1個又は2個有する化合物のうち、特にポリエーテルグリコールとポリエステルグリコールが好ましい。尚、同一分子内に水酸基を1個又は2個有する化合物の数平均分子量は、通常300〜10,000、好ましくは500〜6,000、更に好ましくは1,000〜4,000である。
上記同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物において、活性水素、即ち、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子に直接結合している水素原子としては、水酸基、アミノ基、チオール基等の官能基中の水素原子が挙げられ、中でもアミノ基、特に1級のアミノ基の水素原子が好ましい。又、3級アミノ基としては、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、n−ブチル等の炭素数1〜4のアルキル基を有するジアルキルアミノ基や、該ジアルキルアミノ基が連結してヘテロ環構造を形成している基、より具体的には、イミダゾール環、又はトリアゾール環が挙げられるが、中でもジメチルアミノ基及びイミダゾール環が分散安定性に優れるため好ましい。
このような同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物を例示するならば、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジプロピル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジブチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジプロピルエチレンジアミン、N,N−ジブチルエチレンジアミン、N,N−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、N,N−ジエチル−1,4−ブタンジアミン、N,N−ジプロピル−1,4−ブタンジアミン、N,N−ジブチル−1,4−ブタンジアミン等か挙げられる。
又、3級アミノ基が窒素含有ヘテロ環であるものとして、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、インドール環、カルバゾール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾチアジアゾール環等の窒素原子含有ヘテロ5員環;ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、アクリジン環、イソキノリン環等の窒素原子含有ヘテロ6員環が挙げられる。これらのイミダゾール環と1級アミノ基を有する化合物を具体的に例示するならば、1−(3−アミノプロピル)イミダゾール、ヒスチジン、2−アミノイミダゾール、1−(2−アミノエチル)イミダゾール等が挙げられる。又、トリアゾール環と1級アミノ基を有する化合物を具体的に例示するならば、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、5−(2−アミノ−5−クロロフェニル)−3−フェニル−1H−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−4H−1,2,4−トリアゾール−
3,5−ジオール、3−アミノ−5−フェニル−1H−1,3,4−トリアゾール、5−アミノ−1,4−ジフェニル−1,2,3−トリアゾール、3−アミノ−1−ベンジル−1H−2,4−トリアゾール等が挙げられる。これらの中でも、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、1−(3−アミノプロピル)イミダゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール等が好ましい。
これらのウレタン樹脂分散剤原料の好ましい使用比率は、ポリイソシアネート化合物100重量部に対し、同一分子内に水酸基を1個又は2個有する化合物が、通常10〜200重量部、好ましくは20〜190重量部、更に好ましくは30〜180重量部、同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物が、通常0.2〜25重量部、好ましくは0.3〜24重量部である。
又、ウレタン樹脂分散剤の製造は、ウレタン樹脂製造の公知の方法に従って行われる。製造する際の溶媒としては、通常、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸セロソルブ等のエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素類;ダイアセトンアルコール、イソプロパノール、第二ブタノール、第三ブタノール等の一部のアルコール類;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキサイド等の非プロトン性極性溶媒等が用いられる。又、製造する際の触媒としては、通常のウレタン化反応触媒が用いられる。例えば、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジブチルチンジオクトエート、スタナスオクトエート等の錫系;鉄アセチルアセトナート、塩化第二鉄等の鉄系;トリエチルアミン、トリエチレンジアミン等の3級アミン系等が挙げられる。
又、同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物の導入量は、反応後の化合物のアミン価で1〜100mgKOH/gの範囲に制御するのが好ましく、より好ましくは5〜80mgKOH/gの範囲であり、更に好ましくは10〜60mgKOH/gの範囲である。アミン価が上記範囲以下であると分散能力が低下する傾向があり、又、上記範囲を超えると現像性が低下しやすくなる。尚、以上の反応で分散剤にイソシアネート基が残存する場合には、更にアルコールやアミノ化合物でイソシアネート基を潰すと分散剤の経時安定性が高くなるので好ましい。
尚、これらウレタン樹脂分散剤のGPCで測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量は、通常1,000〜200,000、好ましくは2,000〜100,000、より好ましくは3,000〜50,000の範囲である。分子量1,000以下では分散性及び分散安定性が劣り、200,000以上では溶解性が低下し分散性が劣ると同時に反応の制御が困難となる。
本発明の顔料分散体および着色組成物に用いられる分散剤は、上術の各種分散剤以外のものであってもよい。
例えば、ポリエチレンイミン系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレンジエステル系分散剤、ポリエーーテルリン酸系、ポリエステルリン酸系、ソルビタン脂肪族エステル系分散剤、脂肪族変性ポリエステル系分散剤等を挙げることができる。
このような分散剤の具体例としては、EFKA(エフカーケミカルズビーブイ(EFKA)社製)、Disperbyk(ビックケミー社製)、ディスパロン(楠本化成社製)、SOLSPERSE(ルーブリゾール社製)、KP(信越化学工業社製)、ポリフロー(共栄社化学社製)、アジスパー(味の素社製)等のシリーズ名で市販のものの中から適
宜選択して使用すればよい。これらの分散剤は1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を併用してもよい。
本発明の顔料分散体、および着色組成物における分散剤の含有割合は、顔料に対して、通常95重量%以下、好ましくは65重量%以下、更に好ましくは50重量%以下であり、また、通常1重量%以上、好ましくは3重量%以上、特に好ましくは5重量%以上である。分散剤の含有割合が少なすぎると、顔料への吸着が不足し、凝集を防ぐことができず、高粘度化ないしゲル化してしまうことがあるため、分散安定性が悪化し、再凝集や増粘等の問題が発生する可能性がある。逆に多すぎると、相対的に顔料の割合が減るため、着色力が低くなり、色濃度に対して膜厚が厚くなりすぎて、カラーフィルターに用いた場合、液晶セル化工程でのセルギャップ制御不良が出ることがある。
[1−4]分散助剤
本発明に係る顔料分散体には、顔料の分散性の向上、分散安定性の向上のために分散助剤として顔料誘導体等を添加しても良い。顔料誘導体としてはアゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンツイミダゾロン系、キノフタロン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、ジオキサジン系、アントラキノン系、インダンスレン系、ペリレン系、ペリノン系、ジケトピロロピロール系、ジオキサジン系顔料等の誘導体が挙げられる。
顔料誘導体の置換基としてはスルホン酸基、スルホンアミド基及びその4級塩、フタルイミドメチル基、ジアルキルアミノアルキル基、水酸基、カルボキシル基、アミド基等が顔料骨格に直接またはアルキル基、アリール基、複素環基等を介して結合したものが挙げられ、好ましくはスルホンアミド基及びその4級塩、スルホン酸基が挙げられ、より好ましくは スルホン酸基である。またこれら置換基は一つの顔料骨格に複数置換していても
良いし、置換数の異なる化合物の混合物でも良い。
顔料誘導体の具体例としてはアゾ顔料のスルホン酸誘導体、フタロシアニン顔料のスルホン酸誘導体、キノフタロン顔料のスルホン酸誘導体、イソインドリン顔料のスルホン酸誘導体、アントラキノン顔料のスルホン酸誘導体、キナクリドン顔料のスルホン酸誘導体、ジケトピロロピロール顔料のスルホン酸誘導体、ジオキサジン顔料のスルホン酸誘導体等が挙げられる。
中でも好ましくは、本発明の顔料分散体および着色組成物の色相との干渉が少ない顔料の誘導体が好ましく、より好ましくはピグメントイエロー138のスルホン酸誘導体、ピグメントイエロー139のスルホン酸誘導体、ピグメントブルー15のスルホン酸誘導体である。
顔料誘導体の添加量は、顔料に対して通常0.1重量%以上、また、通常30重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下である。添加量が少ないとその効果が発揮されず、逆に添加量が多過ぎると分散性、分散安定性がかえって悪くなるためである。
[1−5]分散樹脂
本発明に係る顔料分散体は、後述するバインダー樹脂から選ばれた樹脂の一部または全部を含有していてもよい。具体的には、後述する顔料分散体の調製における分散処理工程において、前述の分散剤とともにバインダー樹脂を含有させることにより、該バインダー樹脂は、分散剤との相乗効果で分散安定性に寄与し、結果として分散剤の添加量を減らせる可能性があるため好ましい。このように、分散処理工程に使用される樹脂を、分散樹脂と称することがある。
[2]着色組成物
本発明の着色組成物は、少なくとも前述した顔料分散体および後述するバインダー樹脂を含有していればよく、これら以外の成分としては、カラーフィルタ形成材料として使用できるものであれば、特に制限無く使用できる。例えば、特開昭60−184202号公報などに記載されたいわゆるリフトオフ方式のカラーフィルタ製造工程に用いる熱着色組成物、特開2004−220036号公報などに記載されたインクジェット方式のカラーフィルタ製造工程に用いる熱着色組成物、後述する光重合性樹脂組成物など、いずれのタイプの樹脂組成物であってもよい。着色組成物が光重合性組成物である場合には、光重合開始剤系を必須成分とする。
以下、本発明の着色組成物が光重合性樹脂組成物である場合を例に、詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[2−1]バインダー樹脂
バインダー樹脂としては、前述したように、どのような手段により硬化する着色組成物とするかにより、好ましい樹脂は異なる。光重合性樹脂組成物の場合、バインダー樹脂としては、例えば特開平7−207211号、特開平8−259876号、特開平10−300922号、特開平11−140144号、特開平11−174224号、特開2000−56118号、特開2003−233179号などの各公報等に記載される公知の高分子化合物を使用することができるが、好ましくは
[2−1−1]:エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られる、アルカリ可溶性樹脂
[2−1−2]:主鎖にカルボキシル基を含有する直鎖状アルカリ可溶性樹脂
[2−1−3]:前記カルボキシル基含有樹脂のカルボキシル基部分に、エポキシ基含有不飽和化合物を付加させた樹脂
[2−1−4]:(メタ)アクリル系樹脂
[2−1−5]:カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂
等が挙げられる。以下、これら各樹脂について説明する。
[2−1−1]:エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られるアルカリ可溶性樹脂
特に好ましい樹脂の一つとして、「エポキシ基含有(メタ)アクリレート5〜90モル%と、他のラジカル重合性単量体10〜95モル%との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の10〜100モル%に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは該付加反応により生じた水酸基の10〜100モル%に多塩基酸無水物を付加させて得られるアルカリ可溶性樹脂」が挙げられる。
そのエポキシ基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等が例示できる。中でもグリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。これらのエポキシ基含有(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと共重合させる他のラジカル重合性単量体としては、下記一般式(1)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートが好ましい。
Figure 2010037473
式(1)中、R1〜R6は各々独立して、水素原子、又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、R7及びR8は各々独立して、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、又は連結して環を形成していてもよい。
式(1)において、R7とR8が連結して形成される環は、脂肪族環であるのが好ましく、飽和又は不飽和の何れでもよく、又、炭素数が5〜6であるのが好ましい。
中でも、一般式(1)で表される構造としては、下記式(1a)、(1b)、又は(1c)で表さ れる構造が好ましい。
バインダー樹脂にこれらの構造を導入することによって、本発明の着色組成物をカラーフィルターや液晶表示素子に使用する場合に、該着色組成物の耐熱性を向上させたり、該着色組成物を用いて形成された画素の強度を増すことが可能である。
尚、一般式(1)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
Figure 2010037473
前記一般式(1)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートとしては、当該構造を有する限り公知の各種のものが使用できるが、特に下記一般式(2)で表されるものが好ましい。
Figure 2010037473
式(2)中、R9は水素原子又はメチル基を示し、R10は前記一般式(1)の構造を示す。
前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体において、前記一般式(1) で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートに由来す
る繰返し単位は、「他のラジカル重合性単量体」に由来する繰返し単位中、5〜90モル%含有するものが好ましく、10〜70モル%含有するものが更に好ましく、15〜50モル%含有するものが特に好ましい。
尚、前記一般式(1)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレート以外の、「他のラジカル重合性単量体」としては、特に限定されるものではない。具体的には、例えば、スチレン、スチレンのα−、o−、m−、p−アルキル、ニトロ、シアノ、アミド、エステル誘導体等のビニル芳香族類;ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸−iso−プロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−sec−ブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−
エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボロニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸プロパギル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ナフチル、(メタ)アクリル酸アントラセニル、(メタ)アクリル酸アントラニノニル、(メタ)アクリル酸ピペロニル、(メタ)アクリル酸サリチル、(メタ)アクリル酸フリル、(メタ)アクリル酸フルフリル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフリル、(メタ)アクリル酸ピラニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェネチル、(メタ)アクリル酸クレジル、(メタ)アクリル酸−1,1,1−トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオルエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロ−n−プロピル、(メタ)アクリル酸パーフルオロ−iso−プロピル、(メタ)アクリル酸トリフェニルメチル、(メタ)アクリル酸クミル、(メタ)アクリル酸3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジプロピルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジ−iso−プロピルアミド、(メタ)アクリル酸アントラセニルアミド等の(メタ)アクリル酸アミド;(メタ)アクリル酸アニリド、(メタ)アクリロイルニトリル、アクロレイン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、酢酸ビニル等のビニル化合物類;シトラコン酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等の不飽和ジカルボン酸ジエステル類;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド等のモノマレイミド類;N−(メタ)アクリロイルフタルイミド等が挙げられる。
これら「他のラジカル重合性単量体」の中で、着色組成物に優れた耐熱性及び強度を付与させるためには、スチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、及びモノマレイミドから選択された少なくとも一種を使用することが有効である。特に「他のラジカル重合性単量体」に由来する繰返し単位中、これらスチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、及びモノマレイミドから選択された少なくとも一種に由来する繰返し単位の含有割合が、1〜70モル%であるものが好ましく、3〜50モル%であるものが更に好ましい。
尚、前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、前記他のラジカル重合性単量体との共重合反応には、公知の溶液重合法が適用される。使用する溶剤はラジカル重合に不活性なものであれば特に限定されるものではなく、通常用いられている有機溶剤を使用することができる。
その溶剤の具体例としては、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート等のジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類等の酢酸エステル類;エチレングリコールジアルキルエーテル類;メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール等のジエチレングリコールジアルキルエーテル類;トリエチレングリコールジアルキルエーテル類;プロピレングリコールジアルキルエーテル類;ジプロピレングリコールジアルキルエーテル類;1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、オクタン、デカン等の炭化水素類;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤;乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等の乳酸エステル類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。これらの溶
剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの溶剤の使用量は得られる共重合体100重量部に対し、通常30〜1000重量部、好ましくは50〜800重量部である。溶剤の使用量がこの範囲外では共重合体の分子量の制御が困難となる。
又、共重合反応に使用されるラジカル重合開始剤は、ラジカル重合を開始できるものであれば特に限定されるものではなく、通常用いられている有機過酸化物触媒やアゾ化合物触媒を使用することができる。その有機過酸化物触媒としては、公知のケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアリルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネートに分類されるものが挙げられる。その具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシル−3、3−イソプロピルヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジクミルヒドロパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、イソブチルパーオキサイド、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等が挙げられる。又、アゾ化合物触媒としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスカルボンアミド等が挙げられる。これらの中から、重合温度に応じて、適当な半減期のラジカル重合開始剤が1種又は2種以上使用される。ラジカル重合開始剤の使用量は、共重合反応に使用される単量体の合計100重量部に対して、0.5〜20重量部、好ましくは1〜10重量部である。
共重合反応は、共重合反応に使用される単量体及びラジカル重合開始剤を溶剤に溶解し、攪拌しながら昇温して行ってもよいし、ラジカル重合開始剤を添加した単量体を、昇温、攪拌した溶剤中に滴下して行ってもよい。又、溶剤中にラジカル重合開始剤を添加し昇温した中に単量体を滴下してもよい。反応条件は目標とする分子量に応じて自由に変えることができる。
本発明において、前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと前記他のラジカル重合性単量体との共重合体としては、エポキシ基含有(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位5〜90モル%と、他のラジカル重合性単量体に由来する繰返し単位10〜95モル%と、からなるものが好ましく、前者20〜80モル%と、後者80〜20モル%とからなるものが更に好ましく、前者30〜70モル%と、後者70〜30モル%とからなるものが特に好ましい。
エポキシ基含有(メタ)アクリレートが少なすぎると、後述する重合性成分及びアルカリ可溶性成分の付加量が不十分となるおそれがあり、一方、エポキシ基含有(メタ)アクリレートが多すぎて、他のラジカル重合性単量体が少なすぎると、耐熱性や強度が不十分となる可能性がある。
続いて、エポキシ樹脂含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体のエポキシ基部分に、不飽和一塩基酸(重合性成分)と、多塩基酸無水物(アルカリ可溶性成分)とを反応させる。
エポキシ基に付加させる不飽和一塩基酸としては、公知のものを使用することができ、例えば、エチレン性不飽和二重結合を有する不飽和カルボン酸が挙げられる。
具体例としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸、α−位がハロアルキル基、アルコキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基などで置換された(メタ)アクリル酸等のモノカルボン酸等が挙げられる。中でも好ましくは(メタ)アクリル酸である。これらの1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
このような成分を付加させることにより、本発明で用いるバインダー樹脂に重合性を付与することができる。
これらの不飽和一塩基酸は、通常、前記共重合体が有するエポキシ基の10〜100モル%に付加させるが、好ましくは30〜100モル%、より好ましくは50〜100モル%に付加させる。不飽和一塩基酸の付加割合が少なすぎると、着色組成物の経時安定性等に関して、残存エポキシ基による悪影響が懸念される。尚、共重合体のエポキシ基に不飽和一塩基酸を付加させる方法としては、公知の方法を採用することができる。
更に、共重合体のエポキシ基に不飽和一塩基酸を付加させたときに生じる水酸基に付加させる多塩基酸無水物としては、公知のものが使用できる。
例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸等の二塩基酸無水物;無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の三塩基以上の酸の無水物が挙げられる。中でも、テトラヒドロ無水フタル酸、及び/又は無水コハク酸が好ましい。これらの多塩基酸無水物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
このような成分を付加させることにより、本発明で用いるバインダー樹脂にアルカリ可溶性を付与することができる。
これらの多塩基酸無水物は、通常、前記共重合体が有するエポキシ基に、不飽和一塩基酸を付加させることにより生じる水酸基の10〜100モル%に付加させるが、好ましくは20〜90モル%、より好ましくは30〜80モル%に付加させる。この付加割合が多すぎると、現像時の残膜率が低下するおそれがあり、少なすぎると溶解性が不十分となる可能性がある。尚、当該水酸基に多塩基酸無水物を付加させる方法としては、公知の方法を採用することができる。
更に、光感度を向上させるために、前述の多塩基酸無水物を付加させた後、生成したカルボキシル基の一部にグリシジル(メタ)アクリレートや重合性不飽和基を有するグリシジルエーテル化合物を付加させてもよい。
また、現像性を向上させるために、生成したカルボキシル基の一部に、重合性不飽和基を有さないグリシジルエーテル化合物を付加させてもよい。
又、この両方を付加させてもよい。
重合性不飽和基を有さないグリシジルエーテル化合物の具体例としては、フェニル基やアルキル基を有するグリシジルエーテル化合物等が挙げられる。市販品として、例えば、ナガセ化成工業社製の商品名「デナコールEX−111」、「デナコールEX−121」、「デナコールEX−141」、「デナコールEX−145」、「デナコールEX−146」、「デナコールEX−171」、「デナコールEX−192」等がある。
尚、このような樹脂の構造に関しては、例えば特開平8−297366号公報や特開2001−89533号公報に記載されており、既に公知である。
上述のバインダー樹脂の、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、3000〜100000が好ましく、5000〜50000が特に好ましい。分子量が3000未満であると、耐熱性や膜強度に劣る可能性があり、100000を超える
と現像液に対する溶解性が不足する傾向がある。又、分子量分布の目安として、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の比は、2.0〜5.0が好ましい。
[2−1−2]:主鎖にカルボキシル基を含有する直鎖状アルカリ可溶性樹脂
主鎖にカルボキシル基を含有する直鎖状アルカリ可溶性樹脂としては、カルボキシル基を有していれば特に限定されず、通常、カルボキシル基を含有する重合性単量体を重合して得られる。
カルボキシル基含有重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルフタル酸等のビニル系単量体;アクリル酸にε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類を付加させたものである単量体;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートにコハク酸、マレイン酸、フタル酸、或いはそれらの無水物等の酸或いは無水物を付加させた単量体等が挙げられる。これらは複数種使用してもよい。
中でも好ましいのは、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸であり、更に好ましいのは、(メタ)アクリル酸である。
又、主鎖にカルボキシル基を含有する直鎖状アルカリ可溶性樹脂は、上記のカルボキシル基含有重合性単量体に、カルボキシル基を有さない他の重合性単量体を共重合させてもよい。
他の重合性単量体としては、特に限定されないが、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン及びその誘導体等のビニル芳香族類;N−ビニルピロリドン等のビニル化合物類;N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−ベンジルマレイミド等のN−置換マレイミド類;ポリメチル(メタ)アクリレートマクロモノマー、ポリスチレンマクロモノマー、ポリ2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートマクロモノマー、ポリエチレングリコールマクロモノマー、ポリプロピレングリコールマクロモノマー、ポリカプロラクトンマクロモノマー等のマクロモノマー類等が挙げられる。これらは複数種併用してもよい。
特に好ましいのは、スチレン、メチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−フェニルマレイミドである。
主鎖にカルボキシル基を含有する直鎖状アルカリ可溶性樹脂は、さらに水酸基を有していてもよい。水酸基含有単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらを上述の各種単量体と共重合させることにより、カルボキシル基および水酸基を有する樹脂を得ることができる。
主鎖にカルボキシル基を含有する直鎖状アルカリ可溶性樹脂として、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸と、メチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルマレイミド等の水酸基を含まない重合性単量体と、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有単量体との共重合体;(メタ)アクリル酸と、メチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体;(メタ)アクリル酸とスチレンとの共重合体;(メタ)アクリル酸とスチレンとα−メチルスチレンとの共重合体;(メタ)アクリル酸とシクロヘキシルマレイミドとの共重合体等が挙げられる。
顔料分散性に優れる点からは、特にベンジル(メタ)アクリレートを含む共重合体樹脂が好ましい。
本発明における主鎖にカルボキシル基を含有する直鎖状アルカリ可溶性樹脂の酸価は、通常30〜500KOHmg/g、好ましくは40〜350KOHmg/g、さらに好ましくは50〜300KOHmg/gである。
また、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は、通常2000〜80000、好ましくは3000〜50000、さらに好ましくは4000〜30000である。重量平均分子量が小さすぎると、着色組成物の安定性に劣る傾向があり、大きすぎると、後述するカラーフィルターや液晶表示装置に使用する場合に、現像液に対する溶解性が悪化する傾向がある。
[2−1−3]:[2−1−2]に記載した樹脂のカルボキシル基部分に、エポキシ基含有不飽和化合物を付加させた樹脂
前記、主鎖にカルボキシル基を含有する直鎖状アルカリ可溶性樹脂の、カルボキシル基部分にエポキシ基含有不飽和化合物を付加させた樹脂も特に好ましい。
エポキシ基含有不飽和化合物としては、分子内にエチレン性不飽和基及びエポキシ基を有するものであれば特に限定されるものではない。
例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、グリシジル−α−エチルアクリレート、クロトニルグリシジルエーテル、(イソ)クロトン酸グリシジルエーテル、N−(3,5−ジメチル−4−グリシジル)ベンジルアクリルアミド、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等の非環式エポキシ基含有不飽和化合物も挙げることができるが、耐熱性や、後述する顔料の分散性の観点から、脂環式エポキシ基含有不飽和化合物が好ましい。
ここで、脂環式エポキシ基含有不飽和化合物としては、その脂環式エポキシ基として、例えば、2,3−エポキシシクロペンチル基、3,4−エポキシシクロヘキシル基、7,8−エポキシ〔トリシクロ[5.2.1.0]デシ−2−イル〕基等が挙げられる。又、エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基に由来するものであるのが好まし
く、好適な脂環式エポキシ基含有不飽和化合物としては、下記一般式(3a)〜(3m)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2010037473
式(3a)〜(3m)中、R11は水素原子又はメチル基を、R12はアルキレン基を、R13は2
価の炭化水素基をそれぞれ示し、nは1〜10の整数である。
一般式(3a)〜(3m)における、R12のアルキレン基は、炭素数1〜10であるものが好ましい。具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が例示できるが、好ましくはメチレン基、エチレン基、プロピレン基である。又、R13の炭化水素基としては、炭素数が1〜10であるものが好ましく、アルキレン基、フェニレン基等が挙げられる。
これらの脂環式エポキシ基含有不飽和化合物は、1種類を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
中でも、一般式(3c)で表される化合物が好ましく、3,4−エポキシシクロヘキシル
メチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
前記[2−1−2]記載の樹脂のカルボキシル基部分に、前記エポキシ基含有不飽和化合物を付加させるには、公知の手法を用いることができる。例えば、カルボキシル基含有樹脂とエポキシ基含有不飽和化合物とを、トリエチルアミン、ベンジルメチルアミン等の3級アミン;ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩;ピリジン、トリフェニルホスフィン等の触媒の存在下、有機溶剤中、反応温度50〜150℃で数時間〜数十時間反応させることにより、樹脂のカルボキシル基にエポキシ基含有不飽和化合物を導入することができる。
エポキシ基含有不飽和化合物を導入したカルボキシル基含有樹脂の酸価は、通常10〜200KOHmg/g、好ましくは20〜150KOHmg/g、より好ましくは30〜150KOHmg/gである。
又、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は、通常2000〜100000、好ましくは4000〜50000、更に好ましくは5000〜30000である。
[2−1−4]:(メタ)アクリル系樹脂
(メタ)アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸エステルを単量体成分とし、これらを重合してなるポリマーをいう。好ましい(メタ)アクリル系樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸及びベンジル(メタ)アクリレートを含む単量体成分を重合してなるポリマー、及び下記一般式(4)及び/又は(5)で示される化合物を必須とする単量体成分を重合してなるポリマー、を挙げることができる。
Figure 2010037473
式(4)中、R1aおよびR2aは、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基を表す。
Figure 2010037473
式(5)中、R1bは水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表し、L3
2価の連結基又は直接結合を表し、Xは下記式(6)で示される基又は置換されていてもよいアダマンチル基を示す。L3は下記式(6)におけるR3b又はR4bと結合して環を形
成してもよい。
Figure 2010037473
式(6)中、R2b、R3b、R4bはそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、アミノ基、又は有機基を表し、L1、L2は2価の連結基を表し、L1、L2および上記式(5)におけるL3の2以上が互いに結合し、環を形成してもよい。
[2−1−4a]:(メタ)アクリル酸及びベンジル(メタ)アクリレートを含む単量体成分を重合してなるポリマー
(メタ)アクリル酸及びベンジル(メタ)アクリレートを含む単量体成分を重合してなるポリマーは、顔料との親和性が高いという点で、好ましく用いられる。
単量体成分中における前記(メタ)アクリル酸及びベンジル(メタ)アクリレートの割合は、特に制限されないが、全単量体成分中(メタ)アクリル酸は、通常10〜90重量%、好ましくは15〜80重量%、さらに好ましくは20〜70重量%である。また、ベンジル(メタ)アクリレートは、全単量体成分中、通常5〜90重量%、好ましくは15〜80重量%、さらに好ましくは20〜70重量%である。(メタ)アクリル酸の量が多すぎると、現像の際、塗膜表面が荒れやすくなり、少なすぎると、現像不可能になる場合がある。また、ベンジル(メタ)アクリレートの量は、多すぎても少なすぎても、分散が困難になる傾向がある。
[2−1−4b]:一般式(4)及び/又は(5)で示される化合物を必須とする単量体成分を重合してなるポリマー
まず、一般式(4)の化合物について説明する。
一般式(4)で表されるエーテルダイマーにおいて、R1aおよびR2aで表される置換基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基としては、特に制限はないが、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、t−アミル、ステアリル、ラウリル、2−エチルヘキシル等の直鎖状または分岐状のアル

キル基;フェニル等のアリール基;シクロヘキシル、t−ブチルシクロヘキシル、ジシクロペンタジエニル、トリシクロデカニル、イソボルニル、アダマンチル、2−メチル−2−アダマンチル等の脂環式基;1−メトキシエチル、1−エトキシエチル等のアルコキシで置換されたアルキル基;ベンジル等のアリール基で置換されたアルキル基;等が挙げられる。これらの中でも特に、メチル、エチル、シクロヘキシル、ベンジル等のような酸や熱で脱離しにくい1級または2級炭素の置換基が耐熱性の点で好ましい。なお、R1aおよびR2aは、同種の置換基であってもよいし、異なる置換基であってもよい。
前記エーテルダイマーの具体例としては、例えば、ジメチル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(n−プロピル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソプロピル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(n−ブチル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソブチル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−ブチル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−アミル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ステアリル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ラウリル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(2−エチルヘキシル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(1−メトキシエチル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(1−エトキシエチル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジベンジル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジフェニル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジシクロヘキシル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−ブチルシクロヘキシル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ジシクロペンタジエニル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(トリシクロデカニル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソボルニル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジアダマンチル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(2−メチル−2−アダマンチル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート等が挙げられる。これらの中でも特に、ジメチル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジシクロヘキシル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジベンジル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエートが好ましい。これらエーテルダイマーは、1種のみ単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
前記アクリル系樹脂を得る際の、単量体成分中における前記エーテルダイマーの割合は、特に制限されないが、全単量体成分中、通常2〜60重量%、好ましくは5〜55重量%、さらに好ましくは5〜50重量%である。エーテルダイマーの量が多すぎると、重合の際、低分子量のものを得ることが困難になったり、あるいはゲル化し易くなったりするおそれがあり、一方、少なすぎると、透明性や耐熱性などの塗膜性能が不充分となるおそれがある。
続いて、一般式(5)の化合物について説明する。
一般式(5)中、R1bは、好ましくは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基を表し、さらに好ましくは水素原子、メチル基である。
また、一般式(6)中、R2b、R3b、R4bの有機基としては、それぞれ独立に、例えばアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルコキシ基、ア
ルキルチオ基、アシル基、カルボキシル基、又はアシルオキシ基等が挙げられ、好ましくは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜18のシクロアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数3〜18のシクロアルケニル基、炭素数1〜15のアルコキシ基、炭素数1〜15のアルキルチオ基、炭素数1〜15のアシル基、炭素数1のカルボキシル基、又は炭素数1〜15のアシルオキシ基であり、更に好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数3〜15のシクロアルキル基である。
2b、R3b、R4bの中で好ましい置換基としては、水素原子、水酸基、炭素数1〜10のアルキル基である。
1、L2は2価の連結基、L3は2価の連結基又は直接結合であれば特に限定を受けな
いが、少なくともL1又はL2のどちらかは炭素数1以上の連結基であるのが好ましい。また、L1、L2、L3はそれぞれ独立に、直接結合、炭素数1〜15のアルキレン、−O−
0−、−S−、−C(=O)−、炭素数1〜15のアルケニレン、フェニレン、あるいはそれらの組み合わせが好ましい。
1、L2、L3の好ましい組合せとしては、L3は直接結合、炭素数1〜5のアルキレン、又はR3bあるいはR4bと結合して形成する環であり、L1、L2は炭素数1〜5のアルキレンである。
また、一般式(6)の好ましいものとしては、下記一般式(7)で示される化合物を挙げることができる。
Figure 2010037473
式(7)中、R2b、R3b、R4b、L1、L2は、式(6)におけると同義であり、R5b、R6bはそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、アミノ基、又は有機基を表わす。
一般式(7)中、R5b、R6bの有機基としては、それぞれ独立に、例えばアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アシル基、カルボキシル基、又はアシルオキシ基等が挙げられ、好ましくは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜18のシクロアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数3〜18のシクロアルケニル基、炭素数1〜15のアルコキシ基、炭素数1〜15のアルキルチオ基、炭素数1〜15のアシル基、炭素数1のカルボキシル基、又は炭素数1〜15のアシルオキシ基であり、更に好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数3〜15のシクロアルキル基である。
5b、R6bの中で好ましい置換基としては、水素原子、水酸基、炭素数1〜10のアルキル基である。
また、R1bのアルキル基、R2b、R3b、R4b、の各有機基、L1、L2、L3の2価の連 結基、Xのアダマンチル基は、それぞれ独立して置換基を有していてよく、具体的には以下の置換基を挙げることができる。
ハロゲン原子;水酸基;ニトロ基;シアノ基;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、アミル基、t−アミル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、t−オクチル基等の炭素数1〜18の直鎖又は分岐のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等の炭素数3〜18のシクロアルキル基;ビニル基、プロペニル基、ヘキセニル基等の炭素数2〜18の直鎖又は分岐のアルケニル基;シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の炭素数3〜18のシクロアルケニル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、アミルオキシ基、t−アミルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、t−オクチルオキシ基等の炭素数1〜18の直鎖又は分岐のアルコキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、s−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、アミルチオ基、t−アミルチオ基、n−ヘキシルチオ基、n−ヘプチルチオ基、n−オクチルチオ基、t−オクチルチオ基等の炭素数1〜18の直鎖又は分岐のアルキルチオ基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基等の炭素数6〜18のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等の炭素数7〜18のアラルキル基;ビニルオキシ基、プロペニルオキシ基、ヘキセニルオキシ基等の炭素数2〜18の直鎖又は分岐のアルケニルオキシ基;ビニルチオ基、プロペニルチオ基、ヘキセニルチオ基等の炭素数2〜18の直鎖又は分岐のアルケニルチオ基;−COR17で表されるアシル基;カルボキシル基;−OCOR18で表されるアシルオキシ基;−NR1920で表されるアミノ基;−NHCOR21で表されるアシルアミノ基;−NHCOOR22で表されるカーバメート基;−CONR2324で表されるカルバモイル基;−COOR25で表されるカルボン酸エステル基;−SO3NR2627
表されるスルファモイル基;−SO328で表されるスルホン酸エステル基;2−チエニ
ル基、2−ピリジル基、フリル基、オキサゾリル基、ベンゾキサゾリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、モルホリノ基、ピロリジニル基、テトラヒドロチオフェンジオキサイド基等の飽和もしくは不飽和の複素環基;トリメチルシリル基などのトリアルキルシリル基等。
なお、R17〜R28は、それぞれ水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、または置換基を有していてもよいアラルキル基を表す。
また、上記置換基の位置関係は特に限定されず、複数の置換基を有する場合、同種でも異なっていてもよい。
一般式(5)で表される化合物の具体例としては下記が挙げられる。
Figure 2010037473
Figure 2010037473
本発明に係る[2−1−4b]のポリマーを構成する単量体成分中、一般式(5)の割合は、特に制限されないが、通常は全単量体成分中0.5〜60重量%、好ましくは1〜55重量%、さらに好ましくは5〜50重量%である。多すぎると、分散剤として使用する場合、分散体の分散安定性が低下するおそれがあり、一方、少なすぎると、地汚れ適性が低下するおそれがある。
本発明における[2−1−4]の(メタ)アクリル系樹脂は、[2−1−4a]および[2
−1−4b]で述べたポリマーを含め、いずれも酸基を有することが好ましい。酸基を有
することにより、得られる着色組成物が、酸基とエポキシ基が反応してエステル結合を形成する架橋反応(以下、酸−エポキシ硬化と略する)により硬化が可能な着色組成物、あるいは未硬化部をアルカリ現像液で顕像可能な組成物、とすることができる。前記酸基と
しては、特に制限されないが、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、カルボン酸無水物基等が挙げられる。これら酸基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
(メタ)アクリル系樹脂に酸基を導入するには、例えば、酸基を有するモノマーおよび/または「重合後に酸基を付与しうるモノマー」(以下「酸基を導入するための単量体」と称することもある。)を、単量体成分として使用すればよい。なお「重合後に酸基を付与しうるモノマー」を単量体成分として使用する場合には、重合後に、後述するような酸基を付与するための処理が必要となる。
前記酸基を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸やイタコン酸等のカルボキシル基を有するモノマー;N−ヒドロキシフェニルマレイミド等のフェノール性水酸基を有するモノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等のカルボン酸無水物基を有するモノマー等が挙げられるが、これらの中でも特に、(メタ)アクリル酸が好ましい。
前記重合後に酸基を付与しうるモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するモノマー;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有するモノマー;2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基を有するモノマー等が挙げられる。
これら酸基を導入するための単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
(メタ)アクリル系樹脂を得る際の単量体成分が、前記酸基を導入するための単量体をも含む場合、その含有割合は特に制限されないが、通常は全単量体成分中5〜70重量%、好ましくは10〜60重量%である。
また[2−1−4](メタ)アクリル系樹脂は、ラジカル重合性二重結合を有するものであってもよい。
前記(メタ)アクリル系樹脂にラジカル重合性二重結合を導入するには、例えば「重合後にラジカル重合性二重結合を付与しうるモノマー」(以下「ラジカル重合性二重結合を導入するための単量体」と称することもある。)を、単量体成分として重合した後に、後述するようなラジカル重合性二重結合を付与するための処理を行えばよい。
重合後にラジカル重合性二重結合を付与しうるモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸等のカルボキシル基を有するモノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等のカルボン酸無水物基を有するモノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、o−(またはm−、またはp−)ビニルベンジルグリシジルエーテル等のエポキシ基を有するモノマー等が挙げられる。これらラジカル重合性二重結合を導入するための単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
[2−1−4]の(メタ)アクリル系樹脂を得る際の単量体成分が、前記ラジカル重合性二重結合を導入するための単量体をも含む場合、その含有割合は特に制限されないが、通常は全単量体成分中5〜70重量%、好ましくは10〜60重量%である。
本発明の(メタ)アクリル系樹脂が、[2−1−4a]の項で説明した、前記一般式(4)の化合物を必須の単量体成分とするポリマーである場合、エポキシ基を有することが好ましい。
エポキシ基を導入するには、例えば、エポキシ基を有するモノマー(以下「エポキシ基を導入するための単量体」と称することもある。)を、単量体成分として重合すればよい。
前記エポキシ基を有するモノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、o−(またはm−、またはp−)ビニルベンジルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらエポキシ基を導入するための単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
[2−1−4]の(メタ)アクリル系樹脂を得る際の単量体成分が、前記エポキシ基を導入するための単量体をも含む場合、その含有割合は特に制限されないが、通常は全単量体成分中5〜70重量%、好ましくは10〜60重量%であるのがよい。
[2−1−4]の(メタ)アクリル系樹脂を得る際の単量体成分は、上記必須の単量体成分のほかに、必要に応じて、他の共重合可能なモノマーを含んでいてもよい。
他の共重合可能なモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸メチル2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−置換マレイミド類;ブタジエン、イソプレン等のブタジエンまたは置換ブタジエン化合物;エチレン、プロピレン、塩化ビニル、アクリロニトリル等のエチレンまたは置換エチレン化合物;酢酸ビニル等のビニルエステル類等が挙げられる。
これらの中でも、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、スチレンが、透明性が良好で、耐熱性を損ないにくい点で好ましい。これら共重合可能な他のモノマーは、1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。
また、特に(メタ)アクリル系樹脂の一部または全部を、後述するように分散剤として用いる場合は、(メタ)アクリル酸ベンジルを用いることが好ましく、その含有量は、通常全単量体成分中1〜70重量%、好ましくは5〜60重量%であるのがよい。
前記(メタ)アクリル系樹脂を得る際の単量体成分が、前記共重合可能な他のモノマーをも含む場合、その含有割合は特に制限されないが、95重量%以下が好ましく、85重量%以下がより好ましい。
次に、[2−1−4]の(メタ)アクリル系樹脂の製造方法(重合方法)について説明する。
前記単量体成分の重合方法に特に制限はなく、従来公知の各種方法を採用することができるが、特に、溶液重合法によることが好ましい。なお、重合温度や重合濃度(重合濃度=[単量体成分の全重量/(単量体成分の全重量+溶媒重量)]×100とする)は、使用する単量体成分の種類や比率、目標とするポリマーの分子量によって異なる。重合温度に関しては、好ましくは40〜150℃、さらに好ましくは重合温度60〜130℃である。また重合濃度に関しては、好ましくは重合濃度5〜50%、さらに好ましくは10〜40%である。
また、重合時に溶媒を用いる場合には、通常のラジカル重合反応で使用される溶媒を用いればよい。具体的には、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等のエステル類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−
ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類;トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;クロロホルム;ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これら溶媒は、1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。
前記単量体成分を重合する際には、必要に応じて、重合開始剤を使用してもよい。重合開始剤に特に制限は無いが、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の有機過酸化物;2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1′−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等のアゾ化合物が挙げられる。これら重合開始剤は、1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。
なお、開始剤の使用量は、用いる単量体の組み合わせや、反応条件、目標とするポリマーの分子量等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、ゲル化することなく重量平均分子量が数千〜数万のポリマーを得ることができる点で、通常は全単量体成分に対して0.1〜15重量%、より好ましくは0.5〜10重量%である。
また分子量調整のために、連鎖移動剤を添加してもよい。連鎖移動剤としては、例えば、n−ドデシルメルカプタン、メルカプト酢酸、メルカプト酢酸メチル等のメルカプタン系連鎖移動剤、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられるが、好ましくは、連鎖移動効果が高く、残存モノマーを低減でき、入手も容易な、n−ドデシルメルカプタン、メルカプト酢酸がよい。連鎖移動剤を使用する場合、その使用量は、用いる単量体の組み合わせや、反応条件、目標とするポリマーの分子量等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、ゲル化することなく重量平均分子量が数千〜数万のポリマーを得ることができる点で、通常は全単量体成分に対して0.1〜15重量%、より好ましくは0.5〜10重量%である。
なお、一般式(4)の化合物を必須の単量体成分として使用する場合、前記重合反応においては、エーテルダイマーの環化反応が同時に進行するものと考えられるが、このときのエーテルダイマーの環化率は必ずしも100モル%である必要はない。
前記アクリル系樹脂を得る際に、単量体成分として、前述した酸基を付与しうるモノマーを用いることにより酸基を導入する場合、重合後に酸基を付与するための処理を行う必要がある。該処理は、用いるモノマーの種類によって異なるが、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのような水酸基を有するモノマーを用いた場合には、コハク酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、マレイン酸無水物等の酸無水物を付加させればよい。グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有するモノマーを用いた場合には、N−メチルアミノ安息香酸、N−メチルアミノフェノール等のアミノ基と酸基を有する化合物を付加させるか、もしくは、まず(メタ)アクリル酸のような酸を付加させ、結果生じた水酸基に、コハク酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、マレイン酸無水物等の酸無水物を付加させればよい。2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基を有するモノマーを用いた場合には、例えば、2−ヒドロキシ酪酸等の水酸基と酸基を有する化合物を付加させればよい。
前記[2−1−4](メタ)アクリル系樹脂を得る際に、単量体成分として、前述したラジカル重合性二重結合を付与しうるモノマーを用いることによりラジカル重合性二重結合を導入する場合、重合後にラジカル重合性二重結合を付与するための処理を行う必要がある。
該処理は、用いるモノマーの種類によって異なるが、例えば、(メタ)アクリル酸やイタコン酸等のカルボキシル基を有するモノマーを用いた場合には、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、o−(またはm−、またはp−)ビニルベンジルグリシジルエーテル等の、エポキシ基とラジカル重合性二重結合とを有する化合物を付加させればよい。無水マレイン酸や無水イタコン酸等のカルボン酸無水物基を有するモノマーを用いた場合には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の、水酸基とラジカル重合性二重結合とを有する化合物を付加させればよい。グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、o−(またはm−、またはp−)ビニルベンジルグリシジルエーテル等の、エポキシ基を有するモノマーを用いた場合には、(メタ)アクリル酸等の酸基とラジカル重合性二重結合とを有する化合物を付加させればよい。
本発明の[2−1−4](メタ)アクリル系樹脂の重量平均分子量は、特に制限されないが、好ましくはGPCにて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が2000〜200000、より好ましくは4000〜100000である。重量平均分子量が200000を超える場合、高粘度となりすぎ塗膜を形成しにくくなる場合があり、一方2000未満であると、十分な耐熱性を発現しにくくなる傾向がある。
前記(メタ)アクリル系樹脂が酸基を有する場合、好ましい酸価は30〜500mgKOH/g、より好ましくは50〜400mgKOH/gである。酸価が30mgKOH/g未満の場合、アルカリ現像に適用することが難しくなる場合があり、500mgKOH/gを超える場合、高粘度となりすぎ塗膜を形成しにくくなる傾向がある。
尚、前記(メタ)アクリル系樹脂成分のうち、一般式(4)で示される化合物を必須の単量体成分とするポリマーは、それ自体公知の化合物であり、例えば、特開2004−300203号公報及び特開2004−300204号公報に記載の化合物を挙げることが出来る。
[2−1−5]:カルボキシル基を有するエポキシアクリレート樹脂
エポキシアクリレート樹脂は、エポキシ樹脂にα,β−不飽和モノカルボン酸又はエステル部分にカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルを付加させ、さらに、多塩基酸無水物を反応させることにより合成される。かかる反応生成物は化学構造上、実質的にエポキシ基を有さず、かつ「アクリレート」に限定されるものではないが、エポキシ樹脂が原料であり、かつ「アクリレート」が代表例であるので、慣用に従いこのように命名したものである。
原料となるエポキシ樹脂として、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂(例えば、油化シェルエポキシ社製の「エピコート828」、「エピコート1001」、「エピコート1002」、「エピコート1004」等)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のアルコール性水酸基とエピクロルヒドリンの反応により得られるエポキシ樹脂(例えば、日本化薬社製の「NER−1302」(エポキシ当量323,軟化点76℃))、ビスフェノールF型樹脂(例えば、油化シェルエポキシ社製の「エピコート807」、「EP−4001」、「EP−4002」、「EP−4004等」)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂のアルコール性水酸基とエピクロルヒドリンの反応により得られるエポキシ樹脂(例えば、日本化薬社製の「NER−7406」(エポキシ当量350,軟化点66℃))、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニルグリシジルエーテル(例えば、油化シェルエポキシ社製の「YX−4000」)、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(例えば、日本化薬社製の「EPPN−201」、油化シェルエポキシ社製の「EP−152」、「EP−154」、ダウケミカル社製の「DEN−438」)、(o,m,p−)クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(例えば、日本化薬社製の「EOCN−102S」、「EOCN−1020」、「EOCN−104S」)、トリグリシジルイソシアヌレート(例えば、日
産化学社製の「TEPIC」)、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂(例えば、日本化薬社製の「EPPN−501」、「EPN−502」、「EPPN−503」)、フルオレンエポキシ樹脂(例えば、新日鐵化学社製のカルドエポキシ樹脂「ESF−300」)、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製の「セロキサイド2021P」、「セロキサイドEHPE」)、ジシクロペンタジエンとフェノールの反応によるフェノール樹脂をグリシジル化したジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(例えば、日本化薬社製の「XD−1000」、大日本インキ社製の「EXA−7200」、日本化薬社製の「NC−3000」、「NC−7300」)、および下記構造式で示されるエポキシ樹脂(特開平4−355450公報参照)、等を好適に用いることができる。
Figure 2010037473
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂の他の例としては共重合型エポキシ樹脂が挙げられる。共重合型エポキシ樹脂としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルメチルシクロヘキセンオキサイド、ビニルシクロヘキセンオキサイドなど(以下「共重合型エポキシ樹脂の第1成分」と称す。)とこれら以外の1官能エチレン性不飽和基含有化合物(以下、「共重合型エポキシ樹脂の第2成分」と称す。)、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、スチレン、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、α−メチルスチレン、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、下記一般式(8)で表される化合物から選ばれる1種又は2種以上、とを反応させて得られた共重合体が挙げられる。
Figure 2010037473
式(8)中、R61は水素又はエチル基、R62は水素又は炭素数1〜6のアルキル基を示し、rは2〜10の整数である。
一般式(8)の化合物としては、例えば、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモ
ノ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート;メトキシジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、等のアルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記共重合型エポキシ樹脂の分子量は約1000〜200000が好ましい。また、上記共重合型エポキシ樹脂の第1成分の使用量は、上記共重合型エポキシ樹脂の第2成分に対して好ましくは10重量%以上、特に好ましくは20重量%以上であり、好ましくは70重量%以下、特に好ましくは50重量%以下である。
このような共重合型エポキシ樹脂としては、具体的には日本油脂社製の「CP−15」、「CP−30」、「CP−50」、「CP−20SA」、「CP−510SA」、「CP−50S」、「CP−50M」、「CP−20MA」等が例示される。
原料エポキシ樹脂の分子量は、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量として、通常200〜20万、好ましくは300〜100000の範囲である。重量平均分子量が上記範囲未満であると被膜形成性に問題を生じる場合が多く、逆に、上記範囲を越えた樹脂ではα,β−不飽和モノカルボン酸の付加反応時にゲル化が起こりやすく製造が困難となるおそれがある。
α,β−不飽和モノカルボン酸としては、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられ、好ましくは、アクリル酸及びメタクリル酸であり、特にアクリル酸が反応性に富むため好ましい。
エステル部分にカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルとしては、アクリル酸−2−サクシノイルオキシエチル、アクリル酸−2−マレイノイルオキシエチル、アクリル酸−2−フタロイルオキシエチル、アクリル酸−2−ヘキサヒドロフタロイルオキシエチル、メタクリル酸−2−サクシノイルオキシエチル、メタクリル酸−2−マレイノイルオキシエチル、メタクリル酸−2−フタロイルオキシエチル、メタクリル酸−2−ヘキサヒドロフタロイルオキシエチル、クロトン酸−2−サクシノイルオキシエチル等が挙げられ、好ましくは、アクリル酸−2−マレイノイルオキシエチル及びアクリル酸−2−フタロイルオキシエチルであり、特にアクリル酸−2−マレイノイルオキシエチルが好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
α,β−不飽和モノカルボン酸又はそのエステルとエポキシ樹脂との付加反応は、公知の手法を用いることができ、例えば、エステル化触媒存在下、50〜150℃の温度で反応させることにより実施することができる。エステル化触媒としてはトリエチルアミン、トリメチルアミン、ベンジルジメチルアミン、ベンジルジエチルアミン等の3級アミン;テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩等を用いることができる。
α,β−不飽和モノカルボン酸又はそのエステルの使用量は、原料エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対し0.5〜1.2当量の範囲が好ましく、さらに好ましくは0.7〜1.1当量の範囲である。α,β−不飽和モノカルボン酸又はそのエステルの使用量が少ないと不飽和基の導入量が不足し、引き続く多塩基酸無水物との反応も不十分となる。また、多量のエポキシ基が残存することも有利ではない。一方、該使用量が多いとα,β−不飽和モノカルボン酸又はそのエステルが未反応物として残存する。いずれの場合も硬化特性が悪化する傾向が認められる。
α,β−不飽和カルボン酸又はそのエステルが付加したエポキシ樹脂に、更に付加させる多塩基酸無水物としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ピロメリット酸、無
水トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられ、好ましくは、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物であり、特に好ましい化合物は、無水テトラヒドロフタル酸及びビフェニルテトラカルボン酸二無水物である。これらは1種を単独で用いてもよく、

2種以上を併用してもよい。
多塩基酸無水物の付加反応に関しても公知の手法を用いることができ、α,β−不飽和カルボン酸又はそのエステルの付加反応と同様な条件下で継続反応させることにより実施することができる。
多塩基酸無水物の付加量は、生成するエポキシアクリレート樹脂の酸価が10〜150mg−KOH/gの範囲となるような量が好ましく、更に20〜140mg−KOH/gの範囲が特に好ましい。樹脂の酸価が小さすぎるとアルカリ現像性に乏しくなり、また、樹脂の酸価が大きすぎると硬化性能に劣る傾向が認められる。
その他、カルボキシル基を有するエポキシアクリレート樹脂としては、例えば特開平6−49174号公報記載のナフタレン含有樹脂;特開2003−89716、特開2003−165830、特開2005−325331、特開2001−354735号公報記載のフルオレン含有樹脂;特開2005−126674、特開2005−55814、特開2004−295084号公報等に記載の樹脂を挙げることができる。
また、市販のカルボキシル基を有するエポキシアクリレート樹脂を用いることもでき、市販品としては例えばダイセル社製の「ACA−200M」等を挙げることが出来る。
バインダー樹脂としては、また、例えば特開2005−154708号公報などに記載のアクリル系のバインダーも用いることができる。
上述した各種バインダー樹脂のうち、特に好ましいのは、[2−1−1]:「エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られるアルカリ可溶性樹脂」である。
本発明におけるバインダー樹脂としては、前述の各種バインダー樹脂のうち1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また前述の各種バインダー樹脂は、特に前述の分散剤等との併用による相乗効果により、分散安定性に寄与し、結果として分散剤の添加量を減少させることができるため、現像性が向上した、具体的には例えば、基板上の非画像部に未溶解物が残存することなく基板との密着性に優れた、高濃度の色画素を形成し得るといった効果を奏し、好ましい。
具体的には、バインダー樹脂の一部を前述の分散剤や分散助剤などとともに、後述する分散処理工程に使用する。この時、バインダー樹脂は、顔料分散体中の顔料全量に対して5〜200重量%程度使用することが好ましく、10〜100重量%程度使用することがより好ましい。
このように、分散処理工程に使用するバインダー樹脂(分散樹脂)としては、前述した各種樹脂を使用することができるが、特に[2−1−2]:主鎖にカルボキシル基を含有する直鎖状アルカリ可溶性樹脂、または[2−1−4]:(メタ)アクリル系樹脂(特に記一般式(4)で表される化合物を必須とするモノマー成分を重合してなるポリマー)が好ましく、[2−1−2]:主鎖にカルボキシル基を含有する直鎖状アルカリ可溶性樹脂
が最も好ましい。
分散剤とともに分散処理工程に使用する場合、そのバインダー樹脂の酸価は10mgKOH/g以上が好ましく、30mgKOH/g以上がより好ましく、50mgKOH/g以上が最も好ましく、また500mgKOH/g以下が好ましく、300mgKOH/g以下がより好ましく、250mgKOH/g以下が最も好ましい。酸価が高すぎると、高粘度となり合成が困難になる傾向があり、また低すぎるとアルカリ現像に適用することが難しくなるおそれがある。
また、分散剤とともに分散処理工程に使用する場合、そのバインダー樹脂のGPCにて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は、1000以上が好ましく、1500以上がより好ましく、2000以上が最も好ましく、また30000以下が好ましく、20000以下がより好ましく、10000以下が最も好ましい。分子量が大きすぎると、アルカリ現像に適用することが困難になる傾向があり、また分子量が小さすぎると、分散安定性が低下するおそれがある。
本発明の着色組成物において、バインダー樹脂の含有割合は、全固形分中、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上であり、又、通常80重量%以下、好ましくは60重量%以下である。バインダー樹脂の含有量がこの範囲よりも少ないと、膜が脆くなり、基板への密着性が低下することがある。逆に、この範囲よりも多いと、露光部への現像液の浸透性が高くなり、画素の表面平滑性や感度が悪化する場合がある。
[2−2]その他の固形分
本発明のカラーフィルター用着色組成物には、更に、必要に応じ上記成分以外の固形分を配合できる。このような成分としては、光重合性モノマー、光重合開始系、熱重合開始剤、有機カルボン酸、有機カルボン酸無水物、界面活性剤、熱重合防止剤、可塑剤、保存安定剤、表面保護剤、密着向上剤、現像改良剤、染料等が挙げられる。
[2−2−1]光重合性モノマー
光重合性モノマーは、重合可能な低分子化合物であれば特に制限はないが、エチレン性二重結合を少なくとも1つ有する付加重合可能な化合物(以下、「エチレン性化合物」と称す)が好ましい。エチレン性化合物とは、本発明の着色組成物が活性光線の照射を受けた場合、後述の光重合開始系の作用により付加重合し、硬化するようなエチレン性二重結合を有する化合物である。なお、本発明における単量体は、いわゆる高分子物質に相対する概念を意味し、狭義の単量体以外に二量体、三量体、オリゴマーも含有する概念を意味する。
エチレン性化合物としては、例えば、不飽和カルボン酸、それとモノヒドロキシ化合物とのエステル、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル、芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル、不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び前述の脂肪族ポリヒドロキシ化合物、芳香族ポリヒドロキシ化合物等の多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステル、ポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリロイル含有ヒドロキシ化合物とを反応させたウレタン骨格を有するエチレン性化合物等が挙げられる。
脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペン
タアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、グリセロールアクリレート等のアクリル酸エステルが挙げられる。また、これらアクリレートのアクリル酸部分を、メタクリル酸部分に代えたメタクリル酸エステル、イタコン酸部分に代えたイタコン酸エステル、クロトン酸部分に代えたクロトン酸エステル、又は、マレイン酸部分に代えたマレイン酸エステル等が挙げられる。
芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、ハイドロキノンジアクリレート、ハイドロキノンジメタクリレート、レゾルシンジアクリレート、レゾルシンジメタクリレート、ピロガロールトリアクリレート等が挙げられる。
不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステルは、必ずしも単一物ではなく、混合物であっても良い。代表例としては、アクリル酸、フタル酸及びエチレングリコールの縮合物、アクリル酸、マレイン酸及びジエチレングリコールの縮合物、メタクリル酸、テレフタル酸及びペンタエリスリトールの縮合物、アクリル酸、アジピン酸、ブタンジオール及びグリセリンの縮合物等が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物とを反応させたウレタン骨格を有するエチレン性化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート;トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート等と、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシ(1,1,1−トリアクリロイルオキシメチル)プロパン、3−ヒドロキシ(1,1,1−トリメタクリロイルオキシメチル)プロパン等の(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物との反応物が挙げられる。
その他、本発明に用いられるエチレン性化合物の例としては、エチレンビスアクリルアミド等のアクリルアミド類;フタル酸ジアリル等のアリルエステル類;ジビニルフタレート等のビニル基含有化合物等も有用である。
また、エチレン性化合物は酸価を有するモノマーであってもよい。酸価を有するモノマーとしては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルであり、脂肪族ポリヒドロキシ化合物の未反応のヒドロキシル基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を持たせた多官能モノマーが好ましく、特に好ましくは、このエステルにおいて、脂肪族ポリヒドロキシ化合物がペンタエリスリトール及び/又はジペンタエリスリトールであるものである。
これらのモノマーは1種を単独で用いても良いが、製造上、単一の化合物を用いることは難しいことから、2種以上を混合して用いても良い。また、必要に応じてモノマーとして酸基を有しない多官能モノマーと酸基を有する多官能モノマーを併用しても良い。
酸基を有する多官能モノマーの好ましい酸価としては、0.1〜40mg−KOH/gであり、特に好ましくは5〜30mg−KOH/gである。多官能モノマーの酸価が低すぎると現像溶解特性が落ち、高すぎると製造や取扱いが困難になり光重合性能が落ち、画素の表面平滑性等の硬化性が劣るものとなる。従って、異なる酸基の多官能モノマーを2種以上併用する場合、或いは酸基を有しない多官能モノマーを併用する場合、全体の多官能モノマーとしての酸基が上記範囲に入るように調整することが必須である。
本発明において、より好ましい酸基を有する多官能モノマーは、東亞合成(株)製TO1382として市販されているジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートのコハク酸エステルを主成分とする混合物である。この多官能モノマーの他の多官能モノマーを組
み合わせて使用することもできる。
これらのエチレン性化合物の配合率は、本発明の着色組成物の全固形分中、通常0重量%以上、好ましくは5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上であり、通常80重量%以下、好ましくは70重量%以下、更に好ましくは50重量%以下、特に好ましくは40重量%以下である。また、色材に対する比率は、通常0重量%以上、好ましくは5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上、特に好ましくは20重量%以上であり、通常200重量%以下、好ましくは100重量%以下、更に好ましくは80重量%以下である。
[2−2−2]光重合開始系および/又は熱重合開始剤
本発明の着色組成物は、塗膜を硬化させる目的で、光重合開始系および/又は熱重合開始剤を含むことが好ましいが、硬化の方法は上記開始剤によるもの以外でもよい。
特に、本発明の着色組成物が、バインダー樹脂としてエチレン性C=C二重結合を有する樹脂を含む場合や、光重合性モノマー成分としてエチレン性化合物を含む場合には、光を直接吸収し、又は光増感されて分解反応又は水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する光重合開始系および/又は熱によって重合活性ラジカルを発生する熱重合開始系を、着色組成物に配合するのが好ましい。なお、本発明において光重合開始系は、光重合開始剤に重合加速剤、増感色素などの付加剤が併用されている混合物を意味する。
[光重合開始系]
本発明の着色組成物は、さらに光重合開始系を含有していてもよい。光重合開始系は、通常、光重合開始剤、及び必要に応じて添加される増感色素、重合加速剤等の付加剤の混合物として用いられ、光を直接吸収し、或いは光増感されて分解反応又は水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する成分である。
光重合開始系を構成する光重合開始剤としては、例えば、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号各公報等に記載のチタノセン誘導体類;特開平10−300922号、特開平11−174224号、特開2000−56118号各公報等に記載されるヘキサアリールビイミダゾール誘導体類;特開平10−39503号公報等に記載のハロメチル化オキサジアゾール誘導体類、ハロメチル−s−トリアジン誘導体類、N−フェニルグリシン等のN−アリール−α−アミノ酸類、N−アリール−α−アミノ酸塩類、N−アリール−α−アミノ酸エステル類等のラジカル活性剤、α- アミノアルキルフェノン誘導体類;特開2000−80068号公報等に記載のオキシムエステル系誘導体類等が挙げられる。
具体的には、例えば、チタノセン誘導体類としては、ジシクロペンタジエニルチタニウムジクロライド、ジシクロペンタジエニルチタニウムビスフェニル、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1一イル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムジ(2,6−ジフルオロフェニ−1−イル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムジ(2,4−ジフルオロフェニ−1−イル)、ジ(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル)、ジ(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムビス(2,6−ジフルオロフェニ−1−イル)、ジシクロペンタジエニルチタニウム〔2,6−ジ−フルオロ−3−(ピロ−1−イル)−フェニ−1−イル〕等が挙げられる。
又、ビイミダゾール誘導体類としては、2−(2’−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダソール2量体、2−(2’−クロロフェニル)−4,5−ビス(3’−メト
キシフェニル)イミダゾール2量体、2−(2’−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(2’−メトキシフエニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、(4’−メトキシフエニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体等が挙げられる。
又、ハロメチル化オキサジアゾール誘導体類としては、2−トリクロロメチル−5−(2’−ベンゾフリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−〔β−(2’−ベンゾフリル)ビニル〕−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−〔β−(2’−(6''−ベンゾフリル)ビニル)〕−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5一フリル−1,3,4−オキサジアゾール等が挙げられる。
又、ハロメチル化トリアジン誘導体類としては、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシカルボニルナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等が挙げられる。
又、α−アミノアルキルフェノン誘導体類としては、2−メチル−1〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、4−ジメチルアミノエチ ルベンゾエ−ト、4−ジメチルアミノイソアミルベンゾエ−ト、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−エチルヘキシル−1,4−ジメチルアミノベンゾエート、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノ ン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等が挙げられる。
又、オキシムエステル系誘導体類としては、1,2−オクタンジオン、1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕、2−(o−ベンゾイルオキシム)、エタノン、1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕、1−(o−アセチルオキシム)等が挙げられる。
その他に、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキノン誘導体類;ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体類;2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、α−ヒドロキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル−(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチル−(4’−メチルチオフェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン、1,1,1−トリクロロメチル−(p一ブチルフェニル)ケトン等のアセトフェノン誘導体類;チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体類;p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体類;9−フェニルアクリジン、9−(pメトキシフェニル)アクリジン等のアクリジン誘導体類;9,10−ジメチルベンズフェナジン等のフェナジン誘導体類;ベンズ
アンスロン等のアンスロン誘導体類等も挙げられる。
これら光重合開始剤の中では、α−アミノアルキルフェノン誘導体類およびチオキサントン誘導体類がより好ましい。
必要に応じて用いられる重合加速剤としては、例えば、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等のN,N−ジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル類;2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール等の複素環を有するメルカプト化合物;又は脂肪族多官能メルカプト化合物等のメルカプト化合物類等が挙げられる。
これらの光重合開始剤及び重合加速剤は、それぞれ1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の着色着色組成物において、これらの光重合開始剤及び重合加速剤の合計の含有割合は、全固形分中、通常0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、又、通常40重量%以下、好ましくは30重量%以下である。この含有割合が著しく低いと露光光線に対する感度が低下する原因となることがあり、反対に著しく高いと未露光部分の現像液に対する溶解性が低下し、現像不良を誘起したり、開始剤そのものの影響で輝度が低下することがある。
又、必要に応じて感度を高める目的で、増感色素が用いられる。増感色素は、画像露光光源の波長に応じて、適切なものが用いられるが、例えば特開平4−221958号、特開平4−219756号各公報等に記載のキサンテン系色素;特開平3−239703号、特開平5−289335号各公報等に記載の複素環を有するクマリン系色素;特開平3−239703号、特開平5−289335号各公報等に記載の3−ケトクマリン系色素;特開平6−19240号公報等に記載のピロメテン系色素;特開昭47−2528号、特開昭54−155292号、特公昭45−37377号、特開昭48−84183号、特開昭52−112681号、特開昭58−15503号、特開昭60−88005号、特開昭59−56403号、特開平2−69号、特開昭57−168088号、特開平5−107761号、特開平5−210240号、特開平4−288818号各公報等に記載のジアルキルアミノベンゼン骨格を有する色素等を挙げることができる。
これらの増感色素のうち好ましいものは、アミノ基含有増感色素であり、更に好ましいものは、アミノ基及びフェニル基を同一分子内に有する化合物である。特に、好ましいのは、例えば、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−アミノベンゾフェノン、4−アミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4−ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾ〔4,5〕ベンゾオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾ〔6,7〕ベンゾオキサゾール、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンズイミダゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンズイミダゾール、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−チアジアゾール、(p−ジメチルアミノフェニル)ピリジン、(p−ジエチルアミノフェニル)ピリジン、(p−ジメチルアミノフェニル)キノリン、(p−ジエチルアミノフェニル)キノリン、(p−ジメチルアミノフェニル)ピリミジン、(p−ジエチルアミノフェニル)ピリミジン等のp−ジアルキルアミノフェニル基含有化合物等である。このうち最も好ましいものは、4,4’−ジアルキルアミノベンゾフェノンである。増感色素もまた1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の着色組成物において、これらの増感色素の含有割合は、全固形分中、通常0重量%以上、好ましくは0.2重量%以上、更に好ましくは0.5重量%以上、又、通常20重量%以下、好ましくは15重量%以下、更に好ましくは10重量%以下の範囲である。
この含有割合が著しく低いと、露光光線に対する感度が低下する原因となることがあり、反対に著しく高いと、未露光部分の現像液に対する溶解性が低下し、現像不良を誘起することがある。
[熱重合開始系]
本発明で用いられる熱重合開始剤の具体例としては、アゾ系化合物、有機過酸化物および過酸化水素等を挙げることができる。これらのうち、アゾ系化合物が好適に用いられる。
アゾ系化合物としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキセン−1−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド(2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル)、2,2−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−エチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(ジメチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(ジメチル−2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンテン)等を挙げることができ、これらのうちでも、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等が好ましい。
有機過酸化物としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ジ−t−ブチル、クメンハイドロパーオキシド等が挙げられる。具体的には、ジイソブチリルパーオキシド、クミルパーオキシネオデカノエート、ジ−n−プロピルパーオキシジカルボネート、ジイソプロピルパーオキシジカルボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカルボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカルボネート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカルボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカルボネート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、ジメトキシブチルパーオキシジカルボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジ−n−オクタノイルパーオキシド、ジラウロイルパーオキシド、ジステアロイルパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジサッキニックアシドパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカルボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(3−メチルベンゾイ
ルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカルボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキシド、ジ−t−ヘキシルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキシド、p−メンタンハイドロパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、t−ブチルハイドロパーオキシド、t−ブチルトリメチルシリルパーオキシド、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、ジ(3−メチルベンゾイル)パーオキシドとベンゾイル(3−メチルベンゾイル)パーオキシドとジベンゾイルパーオキシドの混合物等を挙げることができる。
なお、前述した光重合開始剤のうち、例えばα−アミノアルキルフェノン系化合物などのように、熱重合開始剤としても働くものがある。そのため、熱重合開始剤として、光重合開始剤の例として挙げた中から選択した化合物を使用してもよい。
これらの熱重合開始剤類は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱重合開始剤の割合が少な過ぎると膜の硬化が不十分となる可能性があり、カラーフィルターとしての耐久性が不足する場合がある。多過ぎると熱収縮の度合が大きくなり、熱硬化後にヒビ割れ、クラックの発生が起こる可能性がある。また、保存安定性が低下する傾向が見られる。従って、本発明の着色組成物の全固形分中0〜30重量%、特に0〜20重量%の範囲で選ぶのが好ましい。
[2−2−3]有機カルボン酸、有機カルボン酸無水物
本発明の着色組成物は、分子量1000以下の有機カルボン酸および/または有機カルボン酸無水物を含有していてもよい。
有機カルボン酸化合物としては、具体的には、脂肪族カルボン酸または芳香族カルボン酸が挙げられる。脂肪族カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、グリコール酸、アクリル酸、メタクリル酸などのモノカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキセンジカルボン酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、フマル酸などのジカルボン酸、トリカルバリル酸、アコニット酸などのトリカルボン酸などが挙げられる。また、芳香族カルボン酸としては、安息香酸、フタル酸などのフェニル基に直接カルボキシル基が結合したカルボン酸、およびフェニル基から炭素結合を介してカルボキシル基が結合したカルボン酸類が挙げられる。これらの中では、特に分子量600以下、とりわけ分子量50〜500のもの、具体的には、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、イタコン酸が好ましい。
有機カルボン酸無水物としては、脂肪族カルボン酸無水物、芳香族カルボン酸無水物が挙げられ、具体的には無水酢酸、無水トリクロロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、無水グルタル酸、無水1,2−シクロヘキセンジカルボン酸、無水n−オクタデシルコハク酸、無水5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸などの脂肪族カルボン酸無水物が挙げられる。芳香族カルボン酸無水物としては、無水フタル酸、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、無水ナフタル酸などが挙げられる。これらの中では、特に分子量600以下、とりわけ分子量50〜500のもの、具体的には無水マレイン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸が好ましい。
これらの有機カルボン酸及び/又は有機カルボン酸無水物の添加量は、通常、全固形分中0.01〜10重量%、好ましくは0.03〜5重量%、より好ましくは0.05〜3重量%の範囲である。
これら分子量1000以下の有機カルボン酸及び/又は有機カルボン酸無水物を添加することによって、高いパターン密着性を保ちながら、着色組成物の未溶解物の残存をより一層低減することが可能である。
[2−2−4]界面活性剤
界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、非イオン系、両性界面活性剤等、各種のものを用いることができるが、諸特性に悪影響を及ぼす可能性が低い点で、非イオン系界面活性剤を用いるのが好ましい。界面活性剤の濃度範囲としては、全組成物量に対して通常0.001重量%以上、好ましくは0.005重量%以上、更に好ましくは0.01重量%以上、最も好ましくは0.03重量%以上、また、通常10重量%以下、好ましくは1重量%以下、更に好ましくは0.5重量%以下、最も好ましくは0.3重量%以下の範囲が用いられる。
[2−2−5]熱重合防止剤
熱重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ピロガロール、カテコール、2,6−t−ブチル−p−クレゾール、β−ナフトール等が用いられる。熱重合防止剤の配合量は、組成物の全固形分に対し0重量%以上、3重量%以下の範囲であることが好ましい。
[2−2−6]可塑剤
可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等が用いられる。これら可塑剤の配合量は、組成物の全固形分に対し、通常10重量%以下の範囲であることが好ましい。
[3]着色組成物の調製
次に、本発明に係る着色組成物(以下、レジストと称することがある)を調製する方法を説明する。
まず、顔料、溶剤および分散剤とを各所定量秤量し、分散処理工程において、緑色顔料、C.I.ピグメント・ブルー15:6および顔料Yを含有するシアン色顔料を分散させて顔料分散体を調製する。この分散処理工程では、ペイントコンディショナー、サンドグラインダー、ボールミル、ロールミル、ストーンミル、ジェットミル、ホモジナイザーなどを使用することができる。この分散処理を行なうことによって色材が微粒子化されるため、着色組成物の塗布特性が向上し、製品のカラーフィルタ基板における画素の透過率が向上する。
顔料を分散処理する際には、上述の通り、分散助剤又は分散樹脂などを適宜併用するのが好ましい。
又、顔料としては上述の緑色顔料、C.I.ピグメント・ブルー15:6および顔料Yを含有するシアン色顔料を含有することが必須ではあるが、本発明の効果を損なわない範囲で、調色用に他の顔料と混合して分散を行ってもよい。
サンドグラインダーを用いて分散処理を行なう場合は、0.1から数mm径のガラスビーズ、又は、ジルコニアビーズを用いるのが好ましい。分散処理する際の温度は、通常0℃以上、好ましくは室温以上、また、通常100℃以下、好ましくは80℃以下の範囲に
設定する。なお、分散時間は、顔料分散体の組成、及びサンドグラインダーの装置の大きさなどにより適正時間が異なるため、適宜調整する必要がある。
上記分散処理によって得られた顔料分散体に、溶剤、バインダー樹脂、場合によっては、所定量の光重合性モノマー、光重合開始剤系成分や熱重合開始系成分、及び上記以外の成分などを混合し、均一な分散溶液とすることにより着色組成物を得る。なお、分散処理工程及び混合の各工程においては、微細なゴミが混入することがあるため、得られた顔料分散体をフィルターなどによって、ろ過処理することが好ましい。
[4]カラーフィルタの製造
次に、本発明に係るカラーフィルタについて説明する。
本発明の着色組成物は、通常、すべての構成成分が溶剤中に溶解或いは分散された状態である。これが基板上へ供給され、カラーフィルターや液晶表示装置、有機ELディスプレイなどの構成部材が形成される。
以下、本発明の着色組成物の応用例として、カラーフィルターの画素としての応用、及びそれらを用いた液晶表示装置(パネル)および有機ELディスプレイについて、説明する。
[カラーフィルターの画素]
カラーフィルターの画素は、後述するように様々な方法で形成することができる。ここでは光重合性の着色組成物を使用してフォトリソグラフィ法にて形成する場合を例に、詳細に説明するが、製造方法はこれに限定されるものではない。
カラーフィルターの透明基板としては、透明で適度の強度があれば、その材質は特に限定されるものではない。材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂;ポリスルホン系樹脂等の熱可塑性樹脂製シート;エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂シート;又は各種ガラス等が挙げられる。この中でも、耐熱性の観点からガラス、耐熱性樹脂が好ましい。これらの透明基板には、接着性等の表面物性の改良のため、必要に応じ、コロナ放電処理やオゾン処理等の表面処理、シランカップリング剤やウレタン系樹脂等の各種樹脂等による薄膜形成処理等を行なってもよい。透明基板の厚さは、通常0.05mm以上、好ましくは0.1mm以上、又、通常10mm以下、好ましくは7mm以下の範囲とされる。又、各種樹脂による薄膜形成処理を行なう場合、その膜厚は、通常0.01μm以上、好ましくは0.05μm以上、又、通常10μm以下、好ましくは5μm以下の範囲である。
上述の透明基板上にブラックマトリックスを設け、更に通常は赤色、緑色、青色の画素画像を形成することにより、カラーフィルターを作製することができる。本発明のカラーフィルタにおいては、これらに加えて、本発明の着色組成物を用いて形成されたシアン色画素を有することにより、従来のカラーフィルタより色再現性を向上させることができる。
ブラックマトリックスは、遮光金属薄膜、又は本発明の着色組成物を利用して、透明基板上に形成される。
その遮光金属材料としては、金属クロム、酸化クロム、窒化クロム等のクロム化合物、ニッケルとタングステン合金等が用いられ、これらを複数層状に積層させたものであってもよい。これらの遮光金属薄膜は、一般にスパッタリング法によって形成され、ポジ型フォトレジストにより、膜状に所望のパターンを形成する。
クロムに対しては硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸及び/又は硝酸とを混合し
たエッチング液を用い、その他の材料に対しては、材料に応じたエッチング液を用いて蝕刻され、最後にポジ型フォトレジストを専用の剥離剤で剥離することによって、ブラックマトリックスを形成することができる。この場合、先ず、蒸着又はスパッタリング法等により、透明基板上にこれら金属又は金属・金属酸化物の薄膜を形成する。次いで、この薄膜上にポジ型フォトレジスト用樹脂組成物の塗布膜を形成する。次いで、ストライプ、モザイク、トライアングル等の繰り返しパターンを有するフォトマスクを用いて、塗布膜を露光・現像し、画像を形成する。その後、この塗布膜にエッチング処理を施してブラックマトリックスを形成することができる。
また、黒色顔料を含有する光重合性組成物を使用して、ブラックマトリックスを形成してもよい。例えば、カーボンブラック、黒鉛、鉄黒、チタンブラック等の黒色顔料を単独又は複数、もしくは、無機又は有機の顔料の中から適宜選択される赤色、緑色、青色等の顔料を混合して得られる黒色顔料を含有する光重合性組成物を使用し、後述する赤色、緑色、青色およびシアン色の画素画像を形成する方法と同様にして、ブラックマトリックスを形成することができる。
黒色の光重合性組成物に関しては透明基板上に、赤色、緑色、青色及びシアン色の着色組成物に関しては、透明基板上に形成された樹脂ブラックマトリックス形成面上、又は、クロム化合物その他の遮光金属材料を用いて形成された金属ブラックマトリックス形成面上に、塗布、加熱乾燥、画像露光、現像及び熱硬化の各処理を経て、各色の画素画像が形成される。
ブラックマトリックスを設けた透明基板上に、赤色、緑色、青色及びシアン色のうち一色の色材を含有する着色組成物を塗布し、乾燥した後、塗布膜の上にフォトマスクを重ね、このフォトマスクを介して画像露光、現像、必要に応じて熱硬化又は光硬化により画素画像を形成させ、着色層を作成する。この操作を、赤色、緑色、青色及びシアン色の少なくとも四色の着色組成物について各々行うことによって、カラーフィルター画像を形成することができる。本発明では、シアン色画素の形成に、上述してきた本発明の着色組成物を使用する。
着色組成物の基板への供給方法としては、従来公知の方法、例えば、スピナー法、ワイヤーバー法、フローコート法、スリット・アンド・スピン法、ダイコート法、ロールコート法、スプレーコート法等が挙げられる。中でも、スリット・アンド・スピン法、及びダイコート法が好ましい。
スリット・アンド・スピン法、及びダイコート法による塗布条件は、着色組成物の組成や、作製するカラーフィルターの種類等によって適宜選択すればよい。例えば、両方法のいずれにおいても、ノズル先端のリップ幅は50〜500μmとし、ノズル先端と基板面との間隔は30〜300μmとするのが好ましい。
ダイコート法によれば、塗布膜の厚さを調節するためには、リップの走行速度、及びリップからの液状の樹脂組成物の吐出量を調整すればよく、スリット・アンド・スピン法によれば、主にスリット塗布後のスピン回転数および回転時間によって調整すればよい。
塗布膜の厚さは、厚過ぎるとパターン現像が困難となるとともに、液晶セル化工程でのギャップ調整が困難となることがある一方で、薄過ぎると顔料濃度を高めることが困難となり、所望の色発現が不可能となることがある。塗布膜の厚さは、乾燥後の膜厚として、通常0.2μm以上、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは0.8μm以上、又、通常20μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下の範囲である。
基板に着色組成物を塗布した後の塗布膜の乾燥は、ホットプレート、IRオーブン、コ
ンベクションオーブンを使用した乾燥法によるのが好ましい。通常は、予備乾燥の後、再度加熱させて乾燥させる。予備乾燥の条件は、前記溶剤成分の種類、使用する乾燥機の性能等に応じて適宜選択することができる。乾燥温度及び乾燥時間は、溶剤成分の種類、使用する乾燥機の性能等に応じて選択されるが、具体的には、乾燥温度は通常40℃以上、好ましくは50℃以上、又、通常80℃以下、好ましくは70℃以下の範囲であり、乾燥時間は通常15秒以上、好ましくは30秒以上、又、通常5分間以下、好ましくは3分間以下の範囲である。又、再加熱乾燥の温度条件は、予備乾燥温度より高い温度が好ましく、具体的には、通常50℃以上、好ましくは70℃以上、又、通常200℃以下、好ましくは160℃以下、特に好ましくは130℃以下の範囲である。又、乾燥時間は、加熱温度にもよるが、通常10秒以上、好ましくは15秒以上、又、通常10分以下、好ましくは5分以下の範囲とするのが好ましい。乾燥温度は、高いほど透明基板に対する接着性が向上するが、高過ぎるとバインダー樹脂が分解し、熱重合を誘発して現像不良を生ずる場合がある。尚、この塗布膜の乾燥工程としては、温度を高めず減圧チャンバー内で乾燥を行なう減圧乾燥法を用いてもよい。
画像露光は、着色組成物の塗布膜上に、ネガのマトリックスパターンを重ね、このマスクパターンを介し、紫外線又は可視光線の光源を照射して行う。この際、必要に応じ、酸素による光重合性層の感度の低下を防ぐため、光重合性層上にポリビニルアルコール層等の酸素遮断層を形成した後に露光を行ってもよい。上記の画像露光に使用される光源は、特に限定されるものではない。光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、蛍光ランプ等のランプ光源;アルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウムレーザー、半導体レーザー等のレーザー光源等が挙げられる。特定の波長の光を照射して使用する場合には、光学フィルターを利用することもできる。
カラーフィルターは、着色組成物の塗布膜に対し、上記の光源によって画像露光を行なった後、有機溶剤、又は、界面活性剤とアルカリ性化合物とを含む水溶液を用いて現像を行うことによって、基板上に画像を形成して作製することができる。この水溶液には、更に有機溶剤、緩衝剤、錯化剤、染料又は顔料を含ませることができる。
ここで、アルカリ性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、メタ珪酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、燐酸カリウム、燐酸水素ナトリウム、燐酸水素カリウム、燐酸二水素ナトリウム、燐酸二水素カリウム、水酸化アンモニウム等の無機アルカリ性化合物;モノ−・ジ−・又はトリ−エタノールアミン、モノ−・ジ−・又はトリ−メチルアミン、モノ−・ジ−・又はトリ−エチルアミン、モノ−・又はジ−イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノ−・ジ−・又はトリ−イソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリン等の有機アルカリ性化合物が挙げられる。これらのアルカリ性化合物は、2種以上の混合物であってもよい。
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、モノグリセリドアルキルエステル類等のノニオン系界面活性剤;アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アルキルスルホン酸塩類、スルホコハク酸エステル塩類等のアニオン性界面活性剤;アルキルベタイン類、アミノ酸類等の両性界面活性剤が挙げられる。
有機溶剤としては、例えば、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、プロピレングリコール、ジアセトン
アルコール等が挙げられる。有機溶剤は、単独でも水溶液と併用して使用できる。
現像処理の条件には特に制限はないが、現像温度は通常10℃以上、中でも15℃以上、更には20℃以上、又、通常50℃以下、中でも45℃以下、更には40℃以下の範囲が好ましい。
現像方法は、浸漬現像法、スプレー現像法、ブラシ現像法、超音波現像法等の何れかの方法によることができる。
現像の後のカラーフィルターには、熱硬化処理を施す。この際の熱硬化処理条件は、温度は通常100℃以上、好ましくは150℃以上、又、通常280℃以下、好ましくは250℃以下の範囲で選ばれ、時間は5分間以上、60分間以下の範囲で選ばれる。これら一連の工程を経て、一色のパターニング画像形成は終了する。この工程を順次繰り返し、ブラック、赤色、緑色、青色及びシアン色をパターニングし、カラーフィルターを形成する。尚、5色のパターニングの順番は、上記した順番に限定されるものではない。
尚、本発明におけるカラーフィルターは、上記した作製方法の他に、(1)溶剤、色材、バインダー樹脂としてのポリイミド系樹脂を含む着色組成物を、基板に塗布し、エッチング法により画素画像を形成する方法によっても作製することができる。又、(2)色材を含む着色組成物を着色インキとして用い、印刷機によって、透明基板上に直接画素画像を形成する方法、(3)色材を含む着色組成物を電着液として用い、基板をこの電着液に浸漬させ所定パターンにされたITO電極上に、着色膜を析出させる方法、更に、(4)色材を含む着色組成物を塗布したフィルムを、透明基板に貼りつけて剥離し、画像露光、現像し画素画像を形成する方法、(5)色材を含む着色組成物を着色インキとして用い、インクジェットプリンターにより画素画像を形成する方法、等によっても作製することができる。カラーフィルターの作製方法は、本発明の着色組成物の組成に応じ、これに適した方法が採用される。
更に、本発明のカラーフィルターを液晶表示装置に使用する場合には、このままの状態で画像上にITO等の透明電極を形成して、カラーディスプレー、液晶表示装置等の部品の一部として使用されるが、表面平滑性や耐久性を高めるため、必要に応じ、画像上にポリアミド、ポリイミド等のトップコート層を設けることもできる。又、一部、平面配向型駆動方式(IPSモード)等の用途においては、透明電極を形成しないこともある。
又、垂直配向型駆動方式(MVAモード)では、リブを形成することもある。又、ビーズ散布型スペーサに代わり、フォトリソによる柱構造(フォトスペーサー)を形成することもある。
[液晶表示装置(パネル)]
本発明に係る液晶表示装置は、例えば、上述したカラーフィルター(以降、「カラーフィルター基板」と称することがある)と、薄膜トランジスタ(TFT)による駆動基板とを、液晶層を介して対向した構造により構成することができる。より具体的には、配向膜材料を塗布し配向処理を施したカラーフィルター基板と、同じくTFT駆動基板とを、周辺シール材を介して貼り合わせ、その空隙に液晶材料を注入することで、液晶表示装置とすることができる。
本発明に係る液晶表示装置は、通常、上記本発明に係るカラーフィルター上に配向膜を形成し、この配向膜上にスペーサを散布した後、対向基板と貼り合わせて液晶セルを形成し、形成した液晶セルに液晶を注入し、対向電極に結線して作製される。
配向膜は、ポリイミド等の樹脂膜が好適である。配向膜の形成には、通常、グラビア印刷法及び/又はフレキソ印刷法が採用され、配向膜の厚さは数10nmとされる。熱焼成によって配向膜の硬化処理を行った後、紫外線の照射やラビング布による処理によって表面処理し、液晶の傾きを調整しうる表面状態に加工される。
スペーサは、対向基板とのギャップ(隙間)に応じた大きさのものが用いられ、通常2〜8μmのものが好適である。カラーフィルター基板上に、フォトリソグラフィ法によって透明樹脂膜のフォトスペーサー(PS)を形成し、これをスペーサの代わりに活用することもできる。
対向基板としては、通常、アレイ基板が用いられ、特にTFT(薄膜トランジスタ)基板が好適である。又、対向基板との貼り合わせのギャップは、液晶パネルの用途によって異なるが、通常2μm以上、8μm以下の範囲で選ばれる。対向基板と貼り合わせた後、液晶注入口以外の部分は、エポキシ樹脂等のシール材によって封止する。シール材は、UV照射及び/又は加熱することによって硬化させ、液晶セル周辺がシールされる。
周辺をシールされた液晶セルは、パネル単位に切断した後、真空チャンバー内で減圧とし、上記液晶注入口を液晶に浸漬した後、チャンバー内をリークすることによって、液晶を液晶セル内に注入する。液晶セル内の減圧度は、通常1×10-2Pa以上、好ましくは1×10-3以上、又、通常1×10-7Pa以下、好ましくは1×10-6Pa以下の範囲である。又、減圧時に液晶セルを加温するのが好ましく、加温温度は通常30℃以上、好ましくは50℃以上、又、通常100℃以下、好ましくは90℃以下の範囲である。減圧時の加温保持は、通常10分間以上、60分間以下の範囲とされ、その後、液晶中に浸漬される。
液晶を注入した液晶セルは、液晶注入口をUV硬化樹脂を硬化させて封止することによって、液晶表示装置が完成する。尚、液晶の種類には特に制限がなく、芳香族系、脂肪族系、多環状化合物等、従来から知られている液晶であって、リオトロピック液晶、サーモトロピック液晶等の何れでもよい。サーモトロピック液晶には、ネマティック液晶、スメスティック液晶及びコレステリック液晶等が知られているが、何れであってもよい。
[有機ELディスプレイ]
本発明のカラーフィルターを用いて有機ELディスプレイを作成する場合、例えば図1に示すように、カラーフィルター上に有機保護層30および無機酸化膜40を介して有機発光体500を積層することによって多色の有機EL素子を作製することができる。有機発光体500の積層方法としては、カラーフィルター上面へ透明陽極50、正孔注入層51、正孔輸送層52、発光層53、電子注入層54、および陰極55を逐次形成していく方法や、別基板上へ形成した有機発光体500を無機酸化膜40上に貼り合わせる方法などが挙げられる。このようにして作製された有機EL素子100は、パッシブ駆動方式の有機ELディスプレイにもアクティブ駆動方式の有機ELディスプレイにも適用可能である。
次に、製造例、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
[合成例1:バインダー樹脂−1の合成]
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート114.0重量部を500mlの4つ口フラスコに入れ、窒素バブリングを行いながら85℃まで昇温した。これにベンジルメタクリレート96.8重量部、メタクリル酸33.3重量部、2,2‘−アゾビス(イソブチロニトリル) 9.85重量部をプロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセタート96.45重量部に溶解し、4時間かけて滴下した。滴下後反応液を85℃に保ったままさらに2時間攪拌し、その後窒素バブリングを止めて100℃に昇温し1時間攪拌した。得られたバインダ樹脂の重量平均分子量は8000、酸価175mgKOH/gであった。
[合成例2:バインダー樹脂−2の合成]
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート145重量部を窒素置換しながら攪拌し、120℃に昇温した。ここにスチレン10重量部、グリシジルメタクリレート85.2重量部およびトリシクロデカン骨格を有するモノアクリレート(日立化成社製FA−513M)66重量部を滴下し、および2.2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル8.47重量部を3時間かけて滴下し、更に90℃で2時間攪拌し続けた。次に反応容器内を空気置換に変え、アクリル酸43.2重量部にトリスジメチルアミノメチルフェノール0.7重量部およびハイドロキノン0.12重量部を投入し、100℃で12時間反応を続けた。その後、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)28.5重量部、トリエチルアミン0.7重量部を加え、100℃3.5時間反応させた。こうして得られたバインダ樹脂のGPCにより測定した重量平均分子量Mwは約8400 酸価33mgKOH/gであった。
[合成例3:顔料Yの製造]
1モルのジアゾバルビツール酸を8リットルの90℃熱水中で1モルのバルビツール酸とKOH滴定下にpH5で反応させ、これに2モルのメラミンを加えた。pHを塩酸で5に調整し、1モルの40%濃度塩化ニッケル溶液を滴加した。90℃で1時間反応させた後に、pHをKOHで5に調整した。反応液のpHをその後塩酸で3.2に調整し、熱処理を98℃で8時間実施した。
その後pHをKOHで5に調整し、顔料を吸引濾紙上で単離し、洗浄し、減圧乾燥オーブン中80℃で乾燥させた後、標準実験室ミルで約2分間すり砕き、顔料Y1を得た。
[顔料分散体1〜5の調製−1]
下記表−1および以下の説明に示す種類および重量部の顔料、分散剤、分散樹脂および溶剤を混合し、該混合物の2.3重量倍の0.5mm径ジルコニアビーズとともにステンレス容器に充填し、ペイントシェイカーにて6時間分散させ、顔料分散体を調製した。なお、表−1中、溶剤以外はいずれも固形分換算での量を表す。
Figure 2010037473
なお、表−1および表−2記載の各成分については、以下の通りである。
「G36」:C.I.ピグメントグリーン36
「顔料Y」:合成例3にて得られた「顔料Y1」
「B15:6」:C.I.ピグメントブルー15:6
「G7」:C.I.ピグメントグリーン7
「Disperbyk 2000」:ビックケミー社製、高分子分散剤。親溶媒性を有するAブロックと、窒素原子含有官能基を有するBブロックからなるメタクリル系ABブロック共重合体。窒素原子含有官能基(吸着基)が主に下記構造
Figure 2010037473
であり、アミン価(有効固形分換算)が約10mgKOH/gである、主鎖がメタクリル酸であるブロック共重合体。
「PGMEA」:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
「PGME」:プロピレングリコールモノメチルエーテル
[実施例1]
予め、「分散体−1」18.1重量部、および「分散体−2」17.2重量部を混合し、膜厚2.8μmに形成した画素のYxy表色系における色度が(x, y)=(0.117, 0.469)、Y値=17.9となるよう、シアン色顔料分散体を調製した。これに、表−2記載のバインダー樹脂、光重合性モノマー、光重合開始系、界面活性剤及び溶剤を加え、固形分濃度が23重量%となるよう調製・混合し、表−2記載の組成であるカラーフィルター用シアン色組成物(レジスト)を得た。なお加える溶剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)及びプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)であり、組成物の固形分濃度が上述の値になり、かつ組成物に含まれる(PGMEA):(PGME)=9:1(重量比)となるように加えた。
得られたレジストにおける顔料濃度は、全固形分に対し19.9重量%であった。
このレジストを用いて着色組成物塗布基板を作成し、後述する方法にてその色度を測定した。結果を表−2に示す。
[実施例2]
「分散体−1」の代わりに「分散体−4」を用いた以外は実施例1と同様に、シアン色顔料分散体およびカラーフィルター用シアン色組成物(レジスト)を得た。
このレジストを用いて着色組成物塗布基板を作成し、実施例1と同様にその色度を測定した。結果を表−2に示す。
[比較例1]
予め、「分散体−2」13.5重量部、および「分散体−3」60.6重量部を混合し、実施例1と同様に、シアン色顔料分散体およびカラーフィルター用シアン色組成物(レジスト)調製した。得られたレジストにおける顔料濃度は、全固形分に対し42.5重量%であった。
このレジストを用い、実施例2と同様に色度を測定した。結果を表−2に示す。
Figure 2010037473
なお、表−2記載の各成分については、以下の通りである。
「DPHA」:商品名、日本化薬(株)製。ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート。
「TO1382」:商品名、東亞合成(株)製。ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートのコハク酸エステルを主成分とする混合物。
「BI」:2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール
「I−907」:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名「Irgacure 907」。(2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン)
「2−MBI」:2−メルカプトベンゾイミダゾール
「DETX−S」:日本化薬社製「KAYACURE DETX−S」(2,4−ジエチルチオキサントン)
「F475」:商品名、大日本インキ化学工業社製。フッ素系界面活性剤
これら以外は、表−1におけると同義である。
<色度測定>
50mm角、厚さ0.7mmのガラス基板(旭硝子社製、AN100)上に、上記着色組成物をスピンコーターで塗布した後、80℃で3分間乾燥した。次いで、2kW高圧水銀灯により、300mJ/cm2の露光量で全面露光処理を行った。その後、現像処理を、0 .1重量%炭酸ナトリウム水溶液を使用し、現像液温度23℃で現像を行った。ついで、
3kg/cm2の水圧で30秒間スプレー水洗処理を行い着色組成物塗布基板を作成した
。その後、温度230℃で、30分間の熱硬化処理を行った。
こうして得られた塗布基板について、日立製作所製分光光度計U−3310により透過スペクトルを測定した。C光源にて算出した色度を表−2に示す。実施例1および2のいずれも、比較例1に比べて高いY値(輝度)を示すことがわかる。
[実施例3〜8および比較例2〜5]
「ランベルト ベーア」の法則(溶液の濃度が吸光度に比例する)に基づくCCM(コンピューター・カラー・マッチング)により、レジスト中の全固形分に対する顔料濃度を計算した。予め、各種顔料の顔料濃度毎の透過スペクトルデータをデータベースに入力しておき、所望の色度(本実施例および比較例では(x, y)=(0.117, 0.469))と、使用する顔料の種類を入力することにより、必要な顔料の配合量とY値が計算され、出力される。
このシステムに対し、
・緑色顔料としてC.I.ピグメントグリーン7、36および58から選ばれた少なくとも1種、
・顔料Y1(前記合成例3にて得られたもの)、および
・C.I.ピグメントブルー15:6
を含有すること、および膜厚2.8μmの乾燥塗布膜を形成した場合に達成する色度として上述した色度を入力し、各顔料の必要な量および達成させるY値を出力させた。結果を以下の表−3に示す。
Figure 2010037473
実施例2と実施例4、および実施例1と実施例6につき、各色顔料濃度、全顔料濃度、およびY値の値がほぼ一致していることから値が実測値にごく近い値であると考えられる。
上記表−3から分かるように、本発明にて規定した割合で、緑色顔料、特定の黄色顔料および青色顔料を含有する組成物を用いることにより、低い総顔料濃度でありながら、美しいシアン色のカラーフィルター用画素を提供しうる着色組成物、およびこのような着色組成物を好適に提供しうる顔料分散体を得ることができる。
本発明は、次のように有用な効果を奏し、その産業上の利用価値は極めて大である。
(1)本発明に係る顔料分散体は、従来より低い顔料濃度にて、求めるシアン色を実現できる。
(2)本発明に係る顔料分散体を用いて調製した着色組成物は、従来のシアン色着色組成物より顔料濃度が低いため、画像形成性に優れる。
(3)従来のRGB色画素に加えて、本発明の着色組成物を用いて形成されたシアン色画素を有することにより、色再現性の広いカラーフィルターおよび液晶表示装置を得ることができる。
本発明のシアン色カラーフィルターを備えた有機EL素子の断面概略図の一例である。
符号の説明
10 透明支持基板
50 透明陽極
52 正孔輸送層
53 発光層
54 電子輸送層
55 陰極
100 有機EL素子
20 シアン色カラーフィルター
30 有機保護層
40 無機酸化膜
500 有機発光体
51 正孔注入層
54 電子注入層

Claims (8)

  1. 顔料、溶剤および分散剤を含有してなる顔料分散体において、該顔料が、緑色顔料、C.I.ピグメント・ブルー15:6、および以下の定義にてあらわされる顔料Yを含有し、
    顔料Yの含有量が、緑色顔料、C.I.ピグメント・ブルー15:6および顔料Yの合計に対し、重量分率で5〜50重量%であり、かつ
    C.I.ピグメント・ブルー15:6に対する緑色顔料の割合が、重量分率で0.2〜2.3である、顔料分散体。
    <顔料Y>
    下記一般式(I)
    Figure 2010037473
    で表されるアゾバルビツール酸のニッケルとの1:1錯体又はその互換異性体、或いはこれらの化合物に他の化合物が挿入されてなる化合物。
  2. 緑色顔料が、C.I.ピグメントグリーン7および/またはC.I.ピグメントグリーン36を含む、請求項1記載の顔料分散体。
  3. 分散剤が、側鎖に4級アンモニウム塩基を有するAブロックと、4級アンモニウム塩基を有さないBブロックとからなる、A−Bブロック共重合体及び/又はB−A−Bブロック共重合体を含有する、請求項1または2記載の顔料分散体。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の顔料分散体、およびバインダー樹脂を含有してなるカラーフィルター用着色組成物。
  5. さらに、光重合開始系および/または熱重合開始剤を含有してなる、請求項4記載のカラーフィルター用着色組成物。
  6. 赤色画素、青色画素、緑色画素、および請求項4または5記載のカラーフィルター用着色組成物を用いて形成した画素を有するカラーフィルター。
  7. 請求項6記載のカラーフィルターを用いてなる液晶表示装置。
  8. 請求項6記載のカラーフィルターを用いてなる有機ELディスプレイ。
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