JP2010037467A - エステル型デンドリマー - Google Patents
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Abstract
【課題】粘度が低く、水酸基と反応するような物質を溶解させることができるポリエステル型デンドリマーを提供する。
【解決手段】エステル型デンドリマーは、コア分子となるジカルボン酸のカルボキシル基を起点として、特定のトリオールとジカルボン酸とが交互にエステル結合して規則的な分岐構造をなすエステル型デンドリマーであって、末端水酸基がエステル化されている。
【選択図】なし
【解決手段】エステル型デンドリマーは、コア分子となるジカルボン酸のカルボキシル基を起点として、特定のトリオールとジカルボン酸とが交互にエステル結合して規則的な分岐構造をなすエステル型デンドリマーであって、末端水酸基がエステル化されている。
【選択図】なし
Description
本発明は、末端水酸基がエステル化されたエステル型デンドリマーに関する。
近年、高度に分岐した構造を有するデンドリティック高分子が注目されている。デンドリティック高分子は、その特異な分子構造から、非晶質である、有機溶媒への溶解性が高い、粘度が極端に小さい等、線状高分子とは異なる特徴があり、様々な分野での応用が期待され、近年盛んに研究が行われている。
デンドリティック高分子には、多官能基を有するモノマーを一段階ずつ化学反応させ、規則的な分岐構造を形成させるデンドリマーと、ABx型モノマーを重縮合させて一気に分岐構造を形成する高分岐ポリマーとが知られている。この中でも、デンドリマーは、多官能基を有するモノマーを一段階ずつ化学反応させて製造するため、分子量を正確に規定することができ、単分散性に優れた高分子とすることができる。例えば、非特許文献1では、グリセロールとコハク酸からなるエステル型デンドリマーが報告されている。この合成経路を以下に示す。
また、発明者らは、グリセロールの替わりに対称型トリオールを用いたエステル型デンドリマーについてすでに開発を行なっている(特許文献1)。このエステル型デンドリマーは、対称型トリオールを用いているため合成経路において転位反応が起こらず、均質なエステル型デンドリマーを得ることができるという利点を有する。
M.A.Carnahan, M.W.Grinstaff,Macromolecules,34,7648(2001). 特開2008−81725号公報
M.A.Carnahan, M.W.Grinstaff,Macromolecules,34,7648(2001).
しかし、上記従来の末端が水酸基とされたポリエステル型デンドリマーでは、水酸基による水素結合が形成されるため、非常に粘度が高くなる。また、デンドリマーを溶媒として利用しようとした場合、水酸基と反応するような物質を溶解させることができなかった。またデンドリマーを改質剤として油溶性材料に添加しようとした場合、水酸基による親水性の高さから相溶性が悪かった。本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであり、粘度が低く、水酸基と反応するような物質を溶解させることができ、油溶性材料に溶解できるポリエステル型デンドリマーを提供することを解決すべき課題としている。
本発明のエステル型デンドリマーは、コア分子となるジカルボン酸のカルボキシル基を起点として、一般式(a)又は一般式(b)(式中R0は水素原子又は炭素数が1〜5のアルキル基を示す)で示されるトリオールとジカルボン酸とが交互にエステル結合して規則的な分岐構造をなすエステル型デンドリマーであって、末端水酸基がエステル化されていることを特徴とする。
本発明のエステル型デンドリマーでは、末端水酸基がエステル化されているため、水酸基による水素結合は形成されず、粘度が低くなる。また、デンドリマーを溶媒として利用しようとした場合、水酸基と反応するような物質であっても、水酸基がエステル化されているため、溶解させることができる。さらには、分子中に多くの酸素があるため、酸素の孤立電子対が金属イオンに配位することが期待でき、非水溶媒中におけるリガンドとして電解液等に用いることができる。
特に、一般式(b)(式中R0は水素原子又は炭素数が1〜5のアルキル基を示す)で示されるトリオールとジカルボン酸とが交互にエステル結合して規則的な分岐構造をなすエステル型デンドリマーであれば、トリオールの対称性により、合成時においてトリオールとジカルボン酸とを交互にエステル結合させる際、たとえ転位反応が起こっても、同一の化合物となるため、均質なエステル型デンドリマーを得ることができるという利点を有する。例えば、図1に示すように、トリオールとしてグリセリンを構成要素とする場合には、転位によって異性体が生ずるが、トリオールが1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)エタンの場合には、転位が起こっても同じ化合物となる。
コア分子となるジカルボン酸としては、下記一般式(c)(式中R1は炭素数0〜10のアルキレン基、炭素数0〜10のアルキレン基の炭素−炭素結合の一部が二重結合となった置換基及び炭素数0〜10のフェニレン基のいずれか)で示されるカルボン酸を用いることができる。具体的には、例えばアルキレン基の両末端にカルボキシル基が結合したジカルボン酸のコハク酸やマロン酸、炭素−炭素の二重結合を有するマレイン酸等のジカルボン酸、フェニレン基の両末端にカルボキシル基が結合したフタル酸等が挙げられる。
また、末端水酸基のエステル化を行なうためのカルボン酸としては特に限定はないが、例えば酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の飽和、あるいは不飽和の脂肪酸等が挙げられる。
なお、本発明においてデンドリマーとは、高度に分岐した規則性の高い多分岐化合物をいい、規則性の低いハイパーブランチ(hyper -branched)化合物は含まない概念である。かかるデンドリマーの種類については、その末端に官能基を有するものであれば特に限定はない。
エステル型デンドリマーの末端水酸基のエステル化は、カルボキシル基を除いた鎖長部分の炭素数が1〜30のモノカルボン酸によってなされていることが好ましい。炭素数が30を超えると、エステル化の反応性が悪くなり所望のエステルが得にくくなるからである。
一般に規則性の正しいデンドリマーの場合、コア分子と呼ばれる分子構造の中心となる多官能基化合物から、基本単位となる枝分かれ分子構造が繰り返し結合した分岐構造を有する。基本単位となる枝分かれ分子構造の規則的な繰り返しの数は世代(ジェネレーション)という概念用語で表される。この世代の数え方について一般的に広く認められた定義はないが、ここではコア分子を中心として基本単位となる枝分かれ分子構造がn回結合したデンドリマーを(n−1)世代のデンドリマーと定義する。デンドリマーの世代数が大きくなると、デンドリマーの合成経路が多工程になって複雑化するため、製造コストが高くなる。また、発明者らはデンドリマーの世代数が0世代であっても粘度が低く、十分な粘度調整剤となることを見出している。このため、世代数は第0世代〜第4世代が好ましく、第0世代〜第2世代がさらに好ましい。
以下、本発明のエステル型デンドリマーをさらに具体化した実施例1〜7について、詳細に述べる。
<第0世代のエステル型デンドリマーの合成>
実施例1〜7は第0世代のエステル型デンドリマーであり、まず共通の中間原料となるテトラヒドロキシ化合物(3)を下式に示すルートで合成した。すなわち、cis-1,3-O-Benzylideneglycerol(1)をコア分子となるコハク酸と反応させてベンジリデン保護基で水酸基が保護されたベンジリデン保護テトラヒドロキシ化合物(2)を合成した後、ベンジリデン保護テトラヒドロキシ化合物(2)のベンジリデン保護基を脱離させてテトラヒドロキシ化合物(3)とした。そして、さらにテトラヒドロキシ化合物(3)の4つの水酸基の全てを各種のカルボン酸(実施例1では酢酸、実施例2ではプロピオン酸、実施例3では酪酸、実施例4では吉草酸、実施例5ではヘキサン酸、実施例6ではヘプタン酸、実施例7ではオクタン酸)でエステル化した。
実施例1〜7は第0世代のエステル型デンドリマーであり、まず共通の中間原料となるテトラヒドロキシ化合物(3)を下式に示すルートで合成した。すなわち、cis-1,3-O-Benzylideneglycerol(1)をコア分子となるコハク酸と反応させてベンジリデン保護基で水酸基が保護されたベンジリデン保護テトラヒドロキシ化合物(2)を合成した後、ベンジリデン保護テトラヒドロキシ化合物(2)のベンジリデン保護基を脱離させてテトラヒドロキシ化合物(3)とした。そして、さらにテトラヒドロキシ化合物(3)の4つの水酸基の全てを各種のカルボン酸(実施例1では酢酸、実施例2ではプロピオン酸、実施例3では酪酸、実施例4では吉草酸、実施例5ではヘキサン酸、実施例6ではヘプタン酸、実施例7ではオクタン酸)でエステル化した。
<テトラヒドロキシ化合物(3)の合成>
まず、実施例1〜7で合成するエステル型デンドリマーの中間原料となるテトラヒドロキシ化合物(3)を以下の方法で合成した。
cis-1,3-O-Benzylideneglycerol(1)(5.0g,27.7mmol)とコハク酸(1.55g,13.1mmol)と4-ジメチルアミノピリジン(以下「DMAP」という)(0.36g,2.9mmol)とを60mLのジクロロメタンにマグネティックスターラーで撹拌しながら溶解し、更に1-Ethyl-3-(3-dimethylaminopropyl)carbodiimide Hydrochloride(以下「WSC」という)(5.8g,30.3mmol)を加え、反応容器を窒素置換した。0℃(氷冷)で3時間撹拌した後、室温で一晩撹拌した。こうして得られた反応液を1/20Nの塩酸で3回洗浄し、次いで飽和炭酸ナトリウム水溶液100mLで2回洗浄し、さらに水100mLで1回洗浄した後、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。その後、デカンテーションで硫酸ナトリウムを除去し、減圧下で溶媒を留去させた。こうして得られた白色固体をクロロホルム/メタノール混合溶液にて再結晶精製した。析出した白色結晶を吸引濾過で取り出し、真空乾燥し、第一晶を得た。さらに濾液を溶媒留去し、得られた白色固体を繰り返し同様に再結晶精製し、第二晶〜第四晶を得た。こうして第一晶〜第四晶までの合計5.05gの白色結晶を収率90%で得た。このものの1H−NMRは次の通りであり、ベンジリデン保護基で水酸基が保護されたベンジリデン保護テトラヒドロキシ化合物(2)の構造を有すると同定された。
1H-NMR (CDCl3) δ(ppm)
2.81(s,4H,-CH 2-CH 2-),4.06〜4.14(m,4H,-CH 2-CH-CH 2-),
4.24〜4.30(m,4H,-CH 2-CH-CH 2-),4.70〜4.73(m,2H,-CH2-CH-CH2-),
5.53(s,2H,O-CH-O),7.30〜7.40(m,6H,Ph),7.47〜7.52(m,4H,Ph)
まず、実施例1〜7で合成するエステル型デンドリマーの中間原料となるテトラヒドロキシ化合物(3)を以下の方法で合成した。
cis-1,3-O-Benzylideneglycerol(1)(5.0g,27.7mmol)とコハク酸(1.55g,13.1mmol)と4-ジメチルアミノピリジン(以下「DMAP」という)(0.36g,2.9mmol)とを60mLのジクロロメタンにマグネティックスターラーで撹拌しながら溶解し、更に1-Ethyl-3-(3-dimethylaminopropyl)carbodiimide Hydrochloride(以下「WSC」という)(5.8g,30.3mmol)を加え、反応容器を窒素置換した。0℃(氷冷)で3時間撹拌した後、室温で一晩撹拌した。こうして得られた反応液を1/20Nの塩酸で3回洗浄し、次いで飽和炭酸ナトリウム水溶液100mLで2回洗浄し、さらに水100mLで1回洗浄した後、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。その後、デカンテーションで硫酸ナトリウムを除去し、減圧下で溶媒を留去させた。こうして得られた白色固体をクロロホルム/メタノール混合溶液にて再結晶精製した。析出した白色結晶を吸引濾過で取り出し、真空乾燥し、第一晶を得た。さらに濾液を溶媒留去し、得られた白色固体を繰り返し同様に再結晶精製し、第二晶〜第四晶を得た。こうして第一晶〜第四晶までの合計5.05gの白色結晶を収率90%で得た。このものの1H−NMRは次の通りであり、ベンジリデン保護基で水酸基が保護されたベンジリデン保護テトラヒドロキシ化合物(2)の構造を有すると同定された。
1H-NMR (CDCl3) δ(ppm)
2.81(s,4H,-CH 2-CH 2-),4.06〜4.14(m,4H,-CH 2-CH-CH 2-),
4.24〜4.30(m,4H,-CH 2-CH-CH 2-),4.70〜4.73(m,2H,-CH2-CH-CH2-),
5.53(s,2H,O-CH-O),7.30〜7.40(m,6H,Ph),7.47〜7.52(m,4H,Ph)
さらに、吸引栓を備えたナス型フラスコに、上記ベンジリデン保護テトラヒドロキシ化合物(2)を0.75g(1.70mmol)入れ、脱水テトラヒドロフラン12mLを加えて溶解した。次いでこの溶液に10%Pd/Cを0.15g加え、さらに、濃塩酸50μLをメタノール2mLに溶解させた溶液を20μL加えた。そして、窒素を満たしたバルーンを三方コックを介してナス型フラスコに接続し、三方コックの残った口をアスピレーターに接続した。アスピレーターでフラスコ内を減圧した後、窒素を導入する操作を3回繰り返し、フラスコ内を窒素で置換した。次に窒素バルーンを水素で満たしたバルーンと交換し、同様の操作によってフラスコ内を水素で置換した。その後、室温下、マグネティックスターラーで溶液を1.5時間激しく撹拌した。その後、吸引濾過によってPd/Cを除去し、濾液の溶媒を減圧下留去し、真空ポンプで乾燥させることにより、無色粘性液体のテトラヒドロキシ化合物(3)を定量的に得た。このものの1H−NMRは次の通りであり、上記テトラヒドロキシ化合物(3)の構造を有すると同定された。
1H-NMR(CD3OD)δ(ppm)
2.69(s,4H,-CH 2-CH 2-), 3.61〜3.73(m,8H,-CH 2-CH-CH 2-),
4.85〜4.94(m,2H,-CH2-CH-CH2-)
1H-NMR(CD3OD)δ(ppm)
2.69(s,4H,-CH 2-CH 2-), 3.61〜3.73(m,8H,-CH 2-CH-CH 2-),
4.85〜4.94(m,2H,-CH2-CH-CH2-)
以上のようにして得られたテトラヒドロキシ化合物(3)を原料とし、4つの末端水酸基全てを各種のカルボン酸でエステル化した。以下にその詳細を述べる。
(実施例1)
実施例1では、テトラヒドロキシ化合物(3)の4つの末端水酸基全てを酢酸でエステル化した酢酸エステル化デンドリマー(4)を合成した。以下にその詳細を記載する。
等圧滴下ロート、窒素バルーン及び撹拌子を備えた100 mlナスフラスコに第0世代デンドリマーであるテトラヒドロキシ化合物(3)(0.5g,1.9mmol)、DMAP
(0.11g,0.94mmol)、及びジクロロメタン(30ml)を入れた。さらに窒素雰囲気下でWSC
(2.0g,10mmol)を加え、反応容器を窒素置換した。反応容器を0℃(氷冷)とした後、等圧滴下ロートから酢酸(0.56g,9.4mmol)のジクロロメタン(6.0ml)溶液をゆっくりと滴下し、さらに0°Cで3時間撹拌し、その後室温で一晩撹拌させた。反応溶液を1/20Nの塩酸50mLで3回洗浄し、次いで飽和炭酸ナトリウム水溶液50mLで3回洗浄した。これを硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒留去、真空乾燥して0.82gの無色透明液体を得た(収率99%)。このもののスペクトル測定結果は以下のとおりであり、下記化5に示す酢酸エステル化デンドリマー(4)であると同定された。
1H-NMR (CDCl3) δ(ppm)
5.30−5.20(m,2H,Ha),4.35−4.10 (m,8H,Hb),2.67(s, 4H, Hc),2.08(s,12H, Hd)
実施例1では、テトラヒドロキシ化合物(3)の4つの末端水酸基全てを酢酸でエステル化した酢酸エステル化デンドリマー(4)を合成した。以下にその詳細を記載する。
等圧滴下ロート、窒素バルーン及び撹拌子を備えた100 mlナスフラスコに第0世代デンドリマーであるテトラヒドロキシ化合物(3)(0.5g,1.9mmol)、DMAP
(0.11g,0.94mmol)、及びジクロロメタン(30ml)を入れた。さらに窒素雰囲気下でWSC
(2.0g,10mmol)を加え、反応容器を窒素置換した。反応容器を0℃(氷冷)とした後、等圧滴下ロートから酢酸(0.56g,9.4mmol)のジクロロメタン(6.0ml)溶液をゆっくりと滴下し、さらに0°Cで3時間撹拌し、その後室温で一晩撹拌させた。反応溶液を1/20Nの塩酸50mLで3回洗浄し、次いで飽和炭酸ナトリウム水溶液50mLで3回洗浄した。これを硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒留去、真空乾燥して0.82gの無色透明液体を得た(収率99%)。このもののスペクトル測定結果は以下のとおりであり、下記化5に示す酢酸エステル化デンドリマー(4)であると同定された。
5.30−5.20(m,2H,Ha),4.35−4.10 (m,8H,Hb),2.67(s, 4H, Hc),2.08(s,12H, Hd)
(実施例2)
実施例2では、上記のテトラヒドロキシ化合物(3)の4つの末端水酸基全てをプロピオン酸でエステル化したプロピオン酸エステル化デンドリマー(5)を合成した。以下にその詳細を記載する。
等圧滴下ロート、窒素バルーン及び撹拌子を備えた200mlナスフラスコにテトラヒドロキシ化合物(3)(6.2g,23mmol)、DMAP(1.4g,12mmol)、ジクロロメタン(100ml)を入れた。さらに窒素雰囲気下でWSC(25g, 0.13 mol)を加え、反応容器を窒素置換した。反応容器を0℃(氷冷)とした後、等圧滴下ロートからプロピオン酸(8.7g,0.12mol)のジクロロメタン(15ml)溶液をゆっくりと滴下し、さらに0 °Cで3時間撹拌させ、その後室温で一晩撹拌させた。反応溶液を1/20Nの塩酸 150mLで3回洗浄した。次に溶媒をジエチルエーテル(100ml)に換え、飽和炭酸ナトリウム水溶液150mLで3回洗浄した。これを硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒留去、真空乾燥して、11.1gの無色透明液体を得た(収率98%)。このもののスペクトル測定結果は以下のとおりであり、プロピオン酸エステル化デンドリマー(5)であると同定された。
1H-NMR (CDCl3) δ(ppm)
5.30−5.20(m,2H,Ha) 4.35−4.10(m,8H,Hb) 2.65(s,4H,Hc) 2.35(q,J=7.53Hz,8H,Hd)
1.14(t,J=7.53Hz,12H,He)
実施例2では、上記のテトラヒドロキシ化合物(3)の4つの末端水酸基全てをプロピオン酸でエステル化したプロピオン酸エステル化デンドリマー(5)を合成した。以下にその詳細を記載する。
等圧滴下ロート、窒素バルーン及び撹拌子を備えた200mlナスフラスコにテトラヒドロキシ化合物(3)(6.2g,23mmol)、DMAP(1.4g,12mmol)、ジクロロメタン(100ml)を入れた。さらに窒素雰囲気下でWSC(25g, 0.13 mol)を加え、反応容器を窒素置換した。反応容器を0℃(氷冷)とした後、等圧滴下ロートからプロピオン酸(8.7g,0.12mol)のジクロロメタン(15ml)溶液をゆっくりと滴下し、さらに0 °Cで3時間撹拌させ、その後室温で一晩撹拌させた。反応溶液を1/20Nの塩酸 150mLで3回洗浄した。次に溶媒をジエチルエーテル(100ml)に換え、飽和炭酸ナトリウム水溶液150mLで3回洗浄した。これを硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒留去、真空乾燥して、11.1gの無色透明液体を得た(収率98%)。このもののスペクトル測定結果は以下のとおりであり、プロピオン酸エステル化デンドリマー(5)であると同定された。
5.30−5.20(m,2H,Ha) 4.35−4.10(m,8H,Hb) 2.65(s,4H,Hc) 2.35(q,J=7.53Hz,8H,Hd)
1.14(t,J=7.53Hz,12H,He)
(実施例3)
実施例3では、上記のテトラヒドロキシ化合物(3)の4つの末端水酸基全てを酪酸でエステル化した酪酸エステル化デンドリマー(6)を合成した。以下にその詳細を記載する。
等圧滴下ロート、窒素バルーン及び撹拌子を備えた200mlナスフラスコにテトラヒドロキシ化合物(3)(5.4 g,20mmol)、DMAP(1.2g,10mmol)、ジクロロメタン(100ml)を入れた。さらに窒素雰囲気下でWSC(21g,0.11mol)を加え、反応容器を窒素置換した。反応容器を0℃(氷冷)とした後、等圧滴下ロートから酪酸(9.0g,0.10mol)のジクロロメタン(15ml)溶液をゆっくりと滴下し、さらに0°Cで3時間撹拌させ、その後室温で一晩撹拌させた。反応溶液を1/20Nの塩酸150mLで3回洗浄した。次に溶媒をジエチルエーテル (100ml)に換え、飽和炭酸ナトリウム水溶液150mLで3回洗浄した。これを硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒留去、真空乾燥して、10.9gの薄黄色液体を得た(収率100%)。このもののスペクトル測定結果は以下のとおりであり、酪酸エステル化デンドリマー(6)であると同定された。
1H-NMR (CDCl3) δ(ppm)
5.30−5.20(m,2H,Ha) 4.38−4.10(m,8H,Hb) 2.65(s,4H,Hc) 2.31(t,J=7.44Hz,8H,Hd)
1.65(q,J =7.41Hz,8H,He) 0.95(t,J =7.44 Hz,12H,Hf)
実施例3では、上記のテトラヒドロキシ化合物(3)の4つの末端水酸基全てを酪酸でエステル化した酪酸エステル化デンドリマー(6)を合成した。以下にその詳細を記載する。
等圧滴下ロート、窒素バルーン及び撹拌子を備えた200mlナスフラスコにテトラヒドロキシ化合物(3)(5.4 g,20mmol)、DMAP(1.2g,10mmol)、ジクロロメタン(100ml)を入れた。さらに窒素雰囲気下でWSC(21g,0.11mol)を加え、反応容器を窒素置換した。反応容器を0℃(氷冷)とした後、等圧滴下ロートから酪酸(9.0g,0.10mol)のジクロロメタン(15ml)溶液をゆっくりと滴下し、さらに0°Cで3時間撹拌させ、その後室温で一晩撹拌させた。反応溶液を1/20Nの塩酸150mLで3回洗浄した。次に溶媒をジエチルエーテル (100ml)に換え、飽和炭酸ナトリウム水溶液150mLで3回洗浄した。これを硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒留去、真空乾燥して、10.9gの薄黄色液体を得た(収率100%)。このもののスペクトル測定結果は以下のとおりであり、酪酸エステル化デンドリマー(6)であると同定された。
5.30−5.20(m,2H,Ha) 4.38−4.10(m,8H,Hb) 2.65(s,4H,Hc) 2.31(t,J=7.44Hz,8H,Hd)
1.65(q,J =7.41Hz,8H,He) 0.95(t,J =7.44 Hz,12H,Hf)
(実施例4)
実施例4では、上記のテトラヒドロキシ化合物(3)の4つの末端水酸基全てを吉草酸でエステル化した吉草酸エステル化デンドリマー(7)を合成した。以下にその詳細を記載する。
等圧滴下ロート、窒素バルーン及び撹拌子を備えた200mlナスフラスコにテトラヒドロキシ化合物(3)(6.2g,23mmol)、DMAP(1.4g,12mmol)、ジクロロメタン(100ml)を入れた。さらに窒素雰囲気下でWSC(25g,0.13mol)を加え、反応容器を窒素置換した。反応容器を0℃ (氷冷)とした後、等圧滴下ロートから吉草酸(12g,0.12mol)のジクロロメタン(15ml)溶液をゆっくりと滴下し、さらに0°Cで3時間撹拌させ、その後室温で一晩撹拌させた。反応溶液を1/20Nの塩酸150mLで3回洗浄した。次に溶媒をジエチルエーテル (100ml)に換え、飽和炭酸ナトリウム水溶液150mLで3回洗浄した。これを硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒留去、真空乾燥して13.9gの薄黄色液体を得た(収率100%)。このもののスペクトル測定結果は以下のとおりであり、吉草酸エステル化デンドリマー(7)であると同定された。
1H-NMR (CDCl3) δ(ppm)
5.30−5.23(m,2H,Ha) 4.38−4.10(m,8H,Hb) 2.65 (s,4H,Hc) 2.33(t,J=7.53Hz,8H,Hd)
1.70−1.55 (m,8H,He) 1.43−1.35(m,8H,Hf) 0.92(t,J =7.26Hz,12H, Hg)
実施例4では、上記のテトラヒドロキシ化合物(3)の4つの末端水酸基全てを吉草酸でエステル化した吉草酸エステル化デンドリマー(7)を合成した。以下にその詳細を記載する。
等圧滴下ロート、窒素バルーン及び撹拌子を備えた200mlナスフラスコにテトラヒドロキシ化合物(3)(6.2g,23mmol)、DMAP(1.4g,12mmol)、ジクロロメタン(100ml)を入れた。さらに窒素雰囲気下でWSC(25g,0.13mol)を加え、反応容器を窒素置換した。反応容器を0℃ (氷冷)とした後、等圧滴下ロートから吉草酸(12g,0.12mol)のジクロロメタン(15ml)溶液をゆっくりと滴下し、さらに0°Cで3時間撹拌させ、その後室温で一晩撹拌させた。反応溶液を1/20Nの塩酸150mLで3回洗浄した。次に溶媒をジエチルエーテル (100ml)に換え、飽和炭酸ナトリウム水溶液150mLで3回洗浄した。これを硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒留去、真空乾燥して13.9gの薄黄色液体を得た(収率100%)。このもののスペクトル測定結果は以下のとおりであり、吉草酸エステル化デンドリマー(7)であると同定された。
5.30−5.23(m,2H,Ha) 4.38−4.10(m,8H,Hb) 2.65 (s,4H,Hc) 2.33(t,J=7.53Hz,8H,Hd)
1.70−1.55 (m,8H,He) 1.43−1.35(m,8H,Hf) 0.92(t,J =7.26Hz,12H, Hg)
(実施例5)
実施例5では、上記のテトラヒドロキシ化合物(3)の4つの末端水酸基全てをヘキサン酸でエステル化したヘキサン酸エステル化デンドリマー(8)を合成した。以下にその詳細を記載する。
等圧滴下ロート、窒素バルーンと撹拌子を備えた100 mlナスフラスコにテトラヒドロキシ化合物(3)(2.0g,7.5mmol)、DMAP(0.46g,3.8mmol)、ジクロロメタン(50ml)を入れた。さらに窒素雰囲気下でWSC(7.9g,41mmol)を加え、反応容器を窒素置換した。反応容器を0℃(氷冷)とした後、等圧滴下ロートからヘキサン酸(4.4g,38mmol)のジクロロメタン(6.0ml)溶液をゆっくりと滴下し、さらに0°Cで3時間撹拌させ、その後室温で一晩撹拌させた。反応溶液を1/20Nの塩酸100mLで3回洗浄した。次に溶媒をジエチルエーテル(80ml)に換え、飽和炭酸ナトリウム水溶液100mLで3回洗浄した。これを硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒留去、真空乾燥して4.94gの無色透明液体を得た(収率100%)。このもののスペクトル測定結果は以下のとおりであり、ヘキサン酸エステル化デンドリマー(8)であると同定された。
1H-NMR (CDCl3) δ(ppm)
5.30−5.20(m,2H,Ha) 4.38−4.10(m,8H,Hb) 2.65(s,4H,Hc) 2.32(t,J=7.53Hz,8H,Hd)
1.70−1.55(m,8H,He) 1.35−1.25(m,16H,Hf) 0.90(t,J=6.89Hz,12H,Hg)
実施例5では、上記のテトラヒドロキシ化合物(3)の4つの末端水酸基全てをヘキサン酸でエステル化したヘキサン酸エステル化デンドリマー(8)を合成した。以下にその詳細を記載する。
等圧滴下ロート、窒素バルーンと撹拌子を備えた100 mlナスフラスコにテトラヒドロキシ化合物(3)(2.0g,7.5mmol)、DMAP(0.46g,3.8mmol)、ジクロロメタン(50ml)を入れた。さらに窒素雰囲気下でWSC(7.9g,41mmol)を加え、反応容器を窒素置換した。反応容器を0℃(氷冷)とした後、等圧滴下ロートからヘキサン酸(4.4g,38mmol)のジクロロメタン(6.0ml)溶液をゆっくりと滴下し、さらに0°Cで3時間撹拌させ、その後室温で一晩撹拌させた。反応溶液を1/20Nの塩酸100mLで3回洗浄した。次に溶媒をジエチルエーテル(80ml)に換え、飽和炭酸ナトリウム水溶液100mLで3回洗浄した。これを硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒留去、真空乾燥して4.94gの無色透明液体を得た(収率100%)。このもののスペクトル測定結果は以下のとおりであり、ヘキサン酸エステル化デンドリマー(8)であると同定された。
5.30−5.20(m,2H,Ha) 4.38−4.10(m,8H,Hb) 2.65(s,4H,Hc) 2.32(t,J=7.53Hz,8H,Hd)
1.70−1.55(m,8H,He) 1.35−1.25(m,16H,Hf) 0.90(t,J=6.89Hz,12H,Hg)
(実施例6)
実施例6では、上記のテトラヒドロキシ化合物(3)の4つの末端水酸基全てをヘプタン酸でエステル化したヘプタン酸エステル化デンドリマー(9)を合成した。以下にその詳細を記載する。
等圧滴下ロート、窒素バルーン及び撹拌子を備えた100 mlナスフラスコにテトラヒドロキシ化合物(3)(2.0g,7.5mmol)、DMAP(0.46g,3.8mmol)、ジクロロメタン(50ml)を入れた。さらに窒素雰囲気下でWSC(7.9g,41mmol)を加え、反応容器を窒素置換した。反応容器を0℃(氷冷)とした後、等圧滴下ロートからヘプタン酸(4.9g,38mmol)のジクロロメタン(6.0ml)溶液をゆっくりと滴下し、さらに0°Cで3時間撹拌させ、その後室温で一晩撹拌させた。反応溶液を1/20Nの塩酸100mLで3回洗浄した。次に溶媒をジエチルエーテル(80ml)に換え、飽和炭酸ナトリウム水溶液100mLで3回洗浄した。これを硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒留去、真空乾燥して5.36gの白色粘性固体を得た(収率100%)。このもののスペクトル測定結果は以下のとおりであり、ヘプタン酸エステル化デンドリマー(9)であると同定された。
1H-NMR (CDCl3) δ(ppm)
5.30−5.20(m,2H,Ha) 4.35−4.10(m,8H,Hb) 2.65(s,4H,Hc) 2.32(t,J=7.53Hz,8H,Hd)
1.70−1.55 (m, 8H, He) 1.40−1.25(m,24H,Hf) 0.89(t,J= 6.80Hz,12H,Hg)
実施例6では、上記のテトラヒドロキシ化合物(3)の4つの末端水酸基全てをヘプタン酸でエステル化したヘプタン酸エステル化デンドリマー(9)を合成した。以下にその詳細を記載する。
等圧滴下ロート、窒素バルーン及び撹拌子を備えた100 mlナスフラスコにテトラヒドロキシ化合物(3)(2.0g,7.5mmol)、DMAP(0.46g,3.8mmol)、ジクロロメタン(50ml)を入れた。さらに窒素雰囲気下でWSC(7.9g,41mmol)を加え、反応容器を窒素置換した。反応容器を0℃(氷冷)とした後、等圧滴下ロートからヘプタン酸(4.9g,38mmol)のジクロロメタン(6.0ml)溶液をゆっくりと滴下し、さらに0°Cで3時間撹拌させ、その後室温で一晩撹拌させた。反応溶液を1/20Nの塩酸100mLで3回洗浄した。次に溶媒をジエチルエーテル(80ml)に換え、飽和炭酸ナトリウム水溶液100mLで3回洗浄した。これを硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒留去、真空乾燥して5.36gの白色粘性固体を得た(収率100%)。このもののスペクトル測定結果は以下のとおりであり、ヘプタン酸エステル化デンドリマー(9)であると同定された。
5.30−5.20(m,2H,Ha) 4.35−4.10(m,8H,Hb) 2.65(s,4H,Hc) 2.32(t,J=7.53Hz,8H,Hd)
1.70−1.55 (m, 8H, He) 1.40−1.25(m,24H,Hf) 0.89(t,J= 6.80Hz,12H,Hg)
(実施例7)
実施例7では、上記のテトラヒドロキシ化合物(3)の4つの末端水酸基全てをオクタン酸でエステル化したオクタン酸エステル化デンドリマー(10)を合成した。以下にその詳細を記載する。
等圧滴下ロート、窒素バルーン及び撹拌子を備えた100mlナスフラスコにテトラヒドロキシ化合物(3)(1.6g,5.8mmol)、DMAP(0.30g,2.5mmol)、ジクロロメタン(50ml)を入れた。さらに窒素雰囲気下でWSC(5.2g,27mmol)を加え、反応容器を窒素置換した。反応容器を0℃(氷冷)とした後、等圧滴下ロートからオクタン酸(3.5g,25mmol)のジクロロメタン(6.0ml)溶液をゆっくりと滴下し、さらに0°Cで3時間撹拌させ、その後室温で一晩撹拌させた。反応溶液を1/20Nの塩酸100mLで3回洗浄した。次に溶媒をジエチルエーテル(80ml)に換え、飽和炭酸ナトリウム水溶液50mLで3回洗浄した。これを硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒留去、真空乾燥して4.20gの白色固体を得た(収率94%)。このもののスペクトル測定結果は以下のとおりであり、オクタン酸エステル化デンドリマー(10)であると同定した。
1H-NMR (CDCl3) δ(ppm)
5.30−5.20(m,2H,Ha) 4.40−4.10(m,8H,Hb) 2.65(s,4H,Hc) 2.32(t,J=
7.53Hz,8H,Hd)
1.68−1.55(m,8H,He) 1.50−1.25(m,32H,Hf) 0.88(t,J= 6.80Hz,12H,Hg)
実施例7では、上記のテトラヒドロキシ化合物(3)の4つの末端水酸基全てをオクタン酸でエステル化したオクタン酸エステル化デンドリマー(10)を合成した。以下にその詳細を記載する。
等圧滴下ロート、窒素バルーン及び撹拌子を備えた100mlナスフラスコにテトラヒドロキシ化合物(3)(1.6g,5.8mmol)、DMAP(0.30g,2.5mmol)、ジクロロメタン(50ml)を入れた。さらに窒素雰囲気下でWSC(5.2g,27mmol)を加え、反応容器を窒素置換した。反応容器を0℃(氷冷)とした後、等圧滴下ロートからオクタン酸(3.5g,25mmol)のジクロロメタン(6.0ml)溶液をゆっくりと滴下し、さらに0°Cで3時間撹拌させ、その後室温で一晩撹拌させた。反応溶液を1/20Nの塩酸100mLで3回洗浄した。次に溶媒をジエチルエーテル(80ml)に換え、飽和炭酸ナトリウム水溶液50mLで3回洗浄した。これを硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒留去、真空乾燥して4.20gの白色固体を得た(収率94%)。このもののスペクトル測定結果は以下のとおりであり、オクタン酸エステル化デンドリマー(10)であると同定した。
5.30−5.20(m,2H,Ha) 4.40−4.10(m,8H,Hb) 2.65(s,4H,Hc) 2.32(t,J=
7.53Hz,8H,Hd)
1.68−1.55(m,8H,He) 1.50−1.25(m,32H,Hf) 0.88(t,J= 6.80Hz,12H,Hg)
以上のようにして合成された実施例1〜7のエステル型デンドリマーは、エステル化されているため、水酸基による水素結合は形成されず、粘度が低くなる。更に水酸基がなく油溶性となることから、塗料やコーティング分野での改質剤、粘度調整剤等として溶解させて用いることができる。また、デンドリマーを溶媒として利用しようとした場合、水酸基と反応するような物質であっても、水酸基がエステル化されているため、疎水性物質の溶媒として用いることができる。さらには、分子中に多くの酸素があるため、酸素の孤立電子対が金属イオンに配位することが期待でき、非水溶媒中におけるリガンドとして電解液等に用いることができる。
また、上記実施例1〜7は中間原料としてテトラヒドロキシ化合物(3)を用いており、構成要素としてのトリオールはグリセリンであるが、このグリセリンに替えて1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)エタンをトリオールとする中間原料を用いることもできる。以下にその中間原料の合成方法を述べる。
すなわち、ジムロート冷却器、Dean-Stark水分離器及びマグネティックスターラーを装備した200
mlナスフラスコに5.00g(47.1mmol)のベンズアルデヒド、5.77g
(48.0mmol)の1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)エタン、0.08g(0.48mmol)のp-トルエンスルホン酸、及び50 mlのトルエンを取り、4時間加熱還流攪拌した。反応終了後、反応混合物にジエチルエーテルを加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、淡黄色透明オイルを得た。クロロホルム / ヘキサンで再結晶することにより白色固体としてベンジリデン保護トリオール誘導体(11)を9.51g(収率97%)得た。ベンジリデン保護トリオール誘導体(11)はcis体とtrans体が5.8:1の混合物であった。
1H-NMR (CDCl3,δppm)
cis体:7.53〜7.46 (m, 2H, Ph-)、7.41〜7.33 (m, 3H, Ph-)、5.44 (s, 1H, -O-CH(Ph)-O-)、4.06 (d, J = 11.88 Hz, 2H, -O-CH 2 -C(Me)(CH2OH)-CH 2 -O-)、3.91 (d, J = 5.61 Hz, 2H, -CH 2 -OH)、3.66 (d, J = 11.88 Hz, 2H, -O-CH 2 -C(Me)(CH2OH)-CH 2 -O-)、1.76 (t, J = 5.61 Hz, 1H, -OH)、0.81 (s, 3H, -Me)
trans体:7.53〜7.46 (m, 2H, Ph-)、7.41〜7.33 (m, 3H, Ph-)、5.42 (s, 1H, -O-CH(Ph)-O-)、3.92 (d, J = 11.22 Hz, 2H, -O-CH 2 -C(Me)(CH2OH)-CH 2 -O-)、3.84 (d, J = 10.89 Hz, 2H, -O-CH 2 -C(Me)(CH2OH)-CH 2 -O-)、3.41 (d, J = 5.27 Hz, 2H, -CH 2 -OH)、1.46 (t, J = 5.28 Hz, 1H, -OH)、1.31 (s, 3H, -Me)
mlナスフラスコに5.00g(47.1mmol)のベンズアルデヒド、5.77g
(48.0mmol)の1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)エタン、0.08g(0.48mmol)のp-トルエンスルホン酸、及び50 mlのトルエンを取り、4時間加熱還流攪拌した。反応終了後、反応混合物にジエチルエーテルを加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、淡黄色透明オイルを得た。クロロホルム / ヘキサンで再結晶することにより白色固体としてベンジリデン保護トリオール誘導体(11)を9.51g(収率97%)得た。ベンジリデン保護トリオール誘導体(11)はcis体とtrans体が5.8:1の混合物であった。
1H-NMR (CDCl3,δppm)
cis体:7.53〜7.46 (m, 2H, Ph-)、7.41〜7.33 (m, 3H, Ph-)、5.44 (s, 1H, -O-CH(Ph)-O-)、4.06 (d, J = 11.88 Hz, 2H, -O-CH 2 -C(Me)(CH2OH)-CH 2 -O-)、3.91 (d, J = 5.61 Hz, 2H, -CH 2 -OH)、3.66 (d, J = 11.88 Hz, 2H, -O-CH 2 -C(Me)(CH2OH)-CH 2 -O-)、1.76 (t, J = 5.61 Hz, 1H, -OH)、0.81 (s, 3H, -Me)
trans体:7.53〜7.46 (m, 2H, Ph-)、7.41〜7.33 (m, 3H, Ph-)、5.42 (s, 1H, -O-CH(Ph)-O-)、3.92 (d, J = 11.22 Hz, 2H, -O-CH 2 -C(Me)(CH2OH)-CH 2 -O-)、3.84 (d, J = 10.89 Hz, 2H, -O-CH 2 -C(Me)(CH2OH)-CH 2 -O-)、3.41 (d, J = 5.27 Hz, 2H, -CH 2 -OH)、1.46 (t, J = 5.28 Hz, 1H, -OH)、1.31 (s, 3H, -Me)
<コア分子修飾工程>
次に、ベンジリデン保護トリオール誘導体(11)とコハク酸とを反応させて、ベンジリデン保護基で水酸基が保護されたベンジリデン保護テトラヒドロキシ化合物(12)を得た(下記反応式参照)。
次に、ベンジリデン保護トリオール誘導体(11)とコハク酸とを反応させて、ベンジリデン保護基で水酸基が保護されたベンジリデン保護テトラヒドロキシ化合物(12)を得た(下記反応式参照)。
すなわち、ベンジリデン保護トリオール誘導体(11)(3.02g,14.5mmol)と、コハク酸(0.9g,7.6mmol)とDMAP (0.18g,1.5mmol)を60mLのジクロロメタンにマグネティックスターラーにて撹拌しながら溶解し、さらに、WSC (3.05g,15.9mmol)を加え、反応容器を窒素置換した。0℃(氷冷)で3時間撹拌した後、室温で一晩撹拌した。反応液を1/20Nの塩酸で3回洗浄し、次いで飽和炭酸ナトリウム水溶液100mLで2回洗浄し、さらに水100mLで1回洗浄した後、有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。その後、デカンテーションで硫酸ナトリウムを除去し、減圧下で溶媒を留去させた。こうして得られた白色固体をクロロホルム/メタノール混合溶液にて再結晶精製した。析出した白色結晶を吸引濾過で取り出し、真空乾燥し、第一晶を得た。さらに濾液を溶媒留去し、得られた白色固体を繰り返し同様に再結晶精製し、第二晶〜第四晶を得た。更に残留物をシリカゲルカラムクロマトで精製し、合計3.1gの白色結晶からなるベンジリデン保護テトラヒドロキシ化合物(12)を収率87.0%で得た。(11)がcis,transの混合物であった為、生成した(12)は両末端がcis体のもの、一方がcis体でもう一方がtrans体のもの、両末端がtrans体のものの3種の混合物として得られた。各晶で明確に立体異性体を分けることはできず、cis-cis体が主成分で、次いでcis-trans体、trans-trans体の順であった。
1H-NMR (CDCl3,δppm)
cis-cis体:7.57〜7.42 (m, 4H, Ph-)、7.41〜7.30 (m, 6H, Ph-)、5.4122 (s, 2H, -O-CH(Ph)-O-)、4.40 (s, 4H, -CH 2 -OCOCH2CH2COO-CH 2 -)、
4.04 (d, J = 11.94 Hz,4H, -O-CH 2 -C(Me)(CH2COO-)-CH 2 -O-)、3.65 (d, J = 11.94 Hz, 4H, -O-CH 2 -C(Me)(CH2COO-)-CH 2 -O-)、2.69 (s, 4H, -OCO-CH 2 CH 2 -COO-)、0.79 (s, 6H, -Me)
cis-trans体:7.57〜7.42 (m, 4H, Ph-)、7.41〜7.30 (m, 6H, Ph-)、
5.4263 (s, 1H, -O-CH(Ph)-O-,cis or trans)、5.3951 (s, 1H, -O-CH(Ph)-O-, cis or trans)、4.05 (d, J = 11.94 Hz, 2H, -O-CH 2 -C(Me)(CH2COO-)-CH 2 -O-,cis)、3.67 (d, J = 11.94 Hz, 2H, -O-CH 2 -C(Me)(CH2COO-)-CH 2-O-,cis)、3.89〜3.83 (m, 4H, -O-CH 2 -C(Me)(CH2COO-)-CH 2 -O-,trans)、
2.69 (s, 4H, -OCO-CH 2 CH 2 -COO-)、1.33 (s, 3H, -Me, trans)、0.82 (s, 3H, -Me, cis)
trans-trans体:7.57〜7.42 (m, 4H, Ph-)、7.41〜7.30 (m, 6H, Ph-)、5.4153 (s, 2H, -O-CH(Ph)-O-)、3.91〜3.84 (m, 8H, -O-CH 2 -C(Me)(CH2COO-)-CH 2 -O-)、2.69 (s, 4H, -OCO-CH 2 CH 2 -COO-)、1.34 (s, 6H, -Me)
1H-NMR (CDCl3,δppm)
cis-cis体:7.57〜7.42 (m, 4H, Ph-)、7.41〜7.30 (m, 6H, Ph-)、5.4122 (s, 2H, -O-CH(Ph)-O-)、4.40 (s, 4H, -CH 2 -OCOCH2CH2COO-CH 2 -)、
4.04 (d, J = 11.94 Hz,4H, -O-CH 2 -C(Me)(CH2COO-)-CH 2 -O-)、3.65 (d, J = 11.94 Hz, 4H, -O-CH 2 -C(Me)(CH2COO-)-CH 2 -O-)、2.69 (s, 4H, -OCO-CH 2 CH 2 -COO-)、0.79 (s, 6H, -Me)
cis-trans体:7.57〜7.42 (m, 4H, Ph-)、7.41〜7.30 (m, 6H, Ph-)、
5.4263 (s, 1H, -O-CH(Ph)-O-,cis or trans)、5.3951 (s, 1H, -O-CH(Ph)-O-, cis or trans)、4.05 (d, J = 11.94 Hz, 2H, -O-CH 2 -C(Me)(CH2COO-)-CH 2 -O-,cis)、3.67 (d, J = 11.94 Hz, 2H, -O-CH 2 -C(Me)(CH2COO-)-CH 2-O-,cis)、3.89〜3.83 (m, 4H, -O-CH 2 -C(Me)(CH2COO-)-CH 2 -O-,trans)、
2.69 (s, 4H, -OCO-CH 2 CH 2 -COO-)、1.33 (s, 3H, -Me, trans)、0.82 (s, 3H, -Me, cis)
trans-trans体:7.57〜7.42 (m, 4H, Ph-)、7.41〜7.30 (m, 6H, Ph-)、5.4153 (s, 2H, -O-CH(Ph)-O-)、3.91〜3.84 (m, 8H, -O-CH 2 -C(Me)(CH2COO-)-CH 2 -O-)、2.69 (s, 4H, -OCO-CH 2 CH 2 -COO-)、1.34 (s, 6H, -Me)
<コア分子脱保護工程>
こうして得られたベンジリデン保護テトラヒドロキシ化合物(12)からベンジリデン保護基を脱離させてテトラヒドロキシ化合物(13)を得た。
すなわち、吸引栓を備えたナス型フラスコに、ベンジリデン保護テトラヒドロキシ化合物(12)を0.25g(0.50mmol)入れ、脱水テトラヒドロフラン10mLを加えて溶解した。次いでこの溶液に10%Pd/Cを0.05g加え、さらに、濃塩酸50μLをメタノール2mLに溶解させた溶液を20μL加えた。そして、窒素を満たしたバルーンを三方コックを介してナス型フラスコに接続し、三方コックの残った口をアスピレーターに接続した。アスピレーターでフラスコ内を減圧した後、窒素を導入する操作を3回繰り返し、フラスコ内を窒素で置換した。次に窒素バルーンを水素で満たしたバルーンと交換し、同様の操作によってフラスコ内を水素で置換した。その後、室温下、マグネティックスターラーで溶液を1.5時間激しく撹拌した。その後、吸引濾過によってPd/Cを除去し、濾液の溶媒を減圧下留去し、真空ポンプで乾燥させることにより、白色固体のテトラヒドロキシ化合物(13)を定量的に得た。1H-NMRは以下の通りであり、芳香族プロトンが消失している事からベンジリデン保護基が脱離している事が容易に確認できた。このものは、4種類のプロトンしか示さない非常に単純なスペクトルとなった。以下にそのデータを示す。
1H-NMR (CD3OD,δppm)
4.01(s,4H)、3.45〜3.43(m,8H)、2.65(s,4H)、0.90(s,6H)
こうして得られたベンジリデン保護テトラヒドロキシ化合物(12)からベンジリデン保護基を脱離させてテトラヒドロキシ化合物(13)を得た。
1H-NMR (CD3OD,δppm)
4.01(s,4H)、3.45〜3.43(m,8H)、2.65(s,4H)、0.90(s,6H)
上記のようにして得られたテトラヒドロキシ化合物(13)を中間原料とし、4つの水酸基を上記と同様の方法によりエステル化することにより、本発明のエステル型デンドリマーを得ることができる。
<第N世代のエステル型デンドリマーの合成>
上記実施例1〜7のエステル型デンドリマーは第0世代のエステル型デンドリマーであったが、さらに分岐を延ばした第N世代のエステル型デンドリマーは、次のようにして合成することができる。すなわち、図2に示すように、上記実施例における中間原料となったテトラヒドロキシ化合物(3)とベンジリデン保護コハク酸モノエステル(14)とのエステル化反応によってベンジリデン保護化合物(15)とする。さらに脱保護とベンジリデン保護コハク酸モノエステル(14)によるエステル化を繰り返すことにより、樹枝状に分子鎖が繋がり、末端に水酸基を有するデンドリマー(例えば第3世代のデンドリマー(16))を得る。こうして得られたデンドリマーを原料とし、実施例1〜7と同様にDMAPとWSCを触媒として、カルボン酸と反応させて、第N世代のエステル型デンドリマーを得ることができる。
上記実施例1〜7のエステル型デンドリマーは第0世代のエステル型デンドリマーであったが、さらに分岐を延ばした第N世代のエステル型デンドリマーは、次のようにして合成することができる。すなわち、図2に示すように、上記実施例における中間原料となったテトラヒドロキシ化合物(3)とベンジリデン保護コハク酸モノエステル(14)とのエステル化反応によってベンジリデン保護化合物(15)とする。さらに脱保護とベンジリデン保護コハク酸モノエステル(14)によるエステル化を繰り返すことにより、樹枝状に分子鎖が繋がり、末端に水酸基を有するデンドリマー(例えば第3世代のデンドリマー(16))を得る。こうして得られたデンドリマーを原料とし、実施例1〜7と同様にDMAPとWSCを触媒として、カルボン酸と反応させて、第N世代のエステル型デンドリマーを得ることができる。
本発明のエステル型デンドリマーは、末端に水酸基が存在しないため、水酸基による水素結合が形成されずに粘度が低くなる。また水酸基がなく油溶性物質とすることができる。この性質を利用して、塗料やコーティング分野での改質剤、粘度調整剤等に用いることができる。また、デンドリマーを溶媒として利用しようとした場合、水酸基と反応するような物質であっても、水酸基がエステル化されているため、疎水性物質の溶媒として用いることができる。さらには、分子中に多くの酸素があるため、酸素の孤立電子対が金属イオンに配位することが期待でき、非水溶媒中におけるリガンドとして電解液等に用いることができる。
Claims (4)
- 前記エステル型デンドリマーの末端水酸基のエステル化はカルボキシル基を除いた鎖長部分の炭素数が1〜30のモノカルボン酸によってなされていることを特徴とする請求項1記載のエステル型デンドリマー。
- デンドリマーの繰り返しの分子構造の数を示す世代数は第0世代〜第4世代であることを特徴とする請求項1又は2記載のエステル型デンドリマー。
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US20200369594A1 (en) * | 2018-02-16 | 2020-11-26 | Carnot3, Llc | Compounds comprising short-chain fatty acid moieties and compositions and methods thereof |
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2008
- 2008-08-06 JP JP2008203585A patent/JP2010037467A/ja active Pending
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EP3752606A4 (en) * | 2018-02-16 | 2021-11-24 | Carnot, LLC | COMPOUNDS WITH SHORT CHAIN FATTY ACID COMPONENTS AND COMPOSITIONS AND METHODS FOR THEREFORE |
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