JP2010037366A - 顔料複合化中空粒子の製造方法 - Google Patents

顔料複合化中空粒子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】塗料、インク、トナー等に配合され、空隙率が高く且つ隠蔽性の高い着色剤として好適な顔料複合化中空粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、顔料粒子と、重合性を有する不飽和化合物(I)と、顔料粒子及び重合性不飽和化合物(I)に対して親和性を有する親和剤とを接触状態で含む水系分散体において、重合性不飽和化合物を重合し、上記顔料粒子及び重合体を備える第1複合粒子を含有する第1エマルションを製造する第1重合工程と、第1エマルションと、重合性を有する架橋性不飽和化合物と、重合性を有する水溶性不飽和化合物とを含む混合物において、架橋性不飽和化合物及び水溶性不飽和化合物を重合する第2重合工程と、を備え、上記顔料粒子が重合体相に分散されてなる複合粒子であり、且つ、この複合粒子の内部に少なくとも1つの空隙が形成された顔料複合化中空粒子を製造する方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、塗料、インク、トナー等に配合され、空隙率が高く且つ隠蔽性の高い着色剤として好適な顔料複合化中空粒子の製造方法に関する。
従来、塗料、インク等は、樹脂、着色剤等を混合することにより製造されている。しかしながら、塗膜等とした場合の隠蔽性が十分ではないことから、着色剤を、重合体からなる殻で包んでなる着色剤含有重合体粒子、重合体及び着色剤を含む殻を備える着色中空重合体粒子等が使用されるようになってきた。
特許文献1には、ラジカル重合性の水溶性単量体と、ラジカル重合性の非水溶性単量体とを含有する単量体群を、水溶性重合開始剤を用いて、着色性化合物の存在下でラジカル重合する、着色中空重合体粒子の製造方法、並びに、ラジカル重合性の水溶性単量体及びラジカル重合性の非水溶性単量体からなる群から選ばれる少なくとも一種と、着色性化合物とを予め反応させて、ラジカル重合性の着色性化合物を得た後、ラジカル重合性の水溶性単量体とラジカル重合性の非水溶性単量体とを、水溶性重合開始剤を用いて、ラジカル重合する、着色中空重合体粒子の製造方法が開示されている。
特開2007−291359号公報
特許文献1に記載された方法による着色中空ポリマー粒子は、着色性化合物の含有割合が低く、隠蔽性が十分ではなかった。
本発明は、空隙率が高く且つ形状保持性に優れ、隠蔽性の高い着色剤として好適な顔料複合化中空粒子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の通りである。
[1]顔料粒子と、重合性を有する不飽和化合物(I)と、顔料粒子及び重合性不飽和化合物(I)に対して親和性を有する親和剤と、を接触状態で含む水系分散体において、重合性不飽和化合物(I)を重合し、上記顔料粒子及び重合体を備える第1複合粒子を含有する第1エマルションを製造する第1重合工程と、
上記第1エマルションと、重合性を有する架橋性不飽和化合物、及び、重合性を有する水溶性不飽和化合物を含む重合性不飽和化合物(II)とを含有する混合物において、重合性不飽和化合物(II)を重合する第2重合工程と、
を備え、上記顔料粒子が重合体相に分散されてなり、且つ、その内部に少なくとも1つの空間部が形成された顔料複合化中空粒子を製造することを特徴とする、顔料複合化中空粒子の製造方法。
[2]上記1に記載の顔料複合化中空粒子の製造方法であって、
顔料粒子を、水を含む水系媒体に分散させてなる分散体(A)と、上記親和剤を、水を含む水系媒体に分散させてなる分散体(B)とを混合し、顔料粒子及び上記親和剤が接触した第1複合物を含む第1混合液を調製する第1工程と、
上記第1混合液と、重合性を有する不飽和化合物(I)とを混合し、上記第1複合物及び重合性不飽和化合物(I)が接触した第2複合物を含む第2混合液を調製する第2工程と、
上記第2混合液における重合性不飽和化合物(I)を重合し、上記顔料粒子及び重合体を備える第1複合粒子を含有する第1エマルションを製造する第3工程と、
上記第1エマルションと、重合性を有する架橋性不飽和化合物、及び、重合性を有する水溶性不飽和化合物を含む重合性不飽和化合物(II)とを含有する混合物において、重合性不飽和化合物(II)を重合する第4工程と、
を備え、上記顔料粒子が重合体相に分散されてなり、且つ、その内部に少なくとも1つの空間部が形成された顔料複合化中空粒子を製造することを特徴とする、顔料複合化中空粒子の製造方法。
[3]上記親和剤は、水に対する溶解度が0.025質量%以下であり、且つ、分子量が5,000以下の有機化合物である上記1又は2に記載の顔料複合化中空粒子の製造方法。
[4]上記親和剤が重合開始剤である上記1乃至3のいずれかに記載の顔料複合化中空粒子の製造方法。
[5]上記分散体(B)において、上記親和剤は、顔料粒子よりも小さい粒径で分散されている上記2乃至4のいずれかに記載の顔料複合化中空粒子の製造方法。
[6]上記顔料複合化中空粒子の平均粒子径が20nm〜100μmである上記1乃至5のいずれかに記載の顔料複合化中空粒子の製造方法。
本発明によれば、空隙率が高く且つ形状保持性に優れ、隠蔽性の高い着色剤として好適な顔料複合化中空粒子を効率よく製造することができる。また、顔料粒子と、親和剤と、重合性不飽和化合物(I)とを接触状態とした場合、その液滴の粒子径の多分散度を小さくすることができ、第1重合工程による第1複合粒子の粒度分布の不均一化を抑制することができ、第2重合工程により得られる顔料複合化中空粒子の粒径がより均一となる。
以下、本発明を詳細に説明する。本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルを、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートを、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びメタクリロイルを意味する。また、「平均粒子径」は、透過型電子顕微鏡を用いて観察される顔料粒子等の測定対象粒子における長径を粒子径とし、観察視野中に存在する50個の粒子について測定された粒子径の平均値をいう。
本発明の顔料複合化中空粒子の製造方法は、顔料粒子と、重合性を有する不飽和化合物(I)(以下、「重合性不飽和化合物(I)」ともいう。)と、顔料粒子及び重合性不飽和化合物(I)に対して親和性を有する親和剤と、を接触状態で含む水系分散体において、この重合性不飽和化合物(I)を重合し、上記顔料粒子及び重合体を備える第1複合粒子を含有する第1エマルションを製造する第1重合工程と、上記第1エマルションと、重合性を有する架橋性不飽和化合物、及び、重合性を有する水溶性不飽和化合物を含む重合性不飽和化合物(II)とを含有する混合物において、重合性不飽和化合物(II)を重合する第2重合工程と、を備え、上記顔料粒子が重合体相に分散されてなり、且つ、その内部に少なくとも1つの空間部が形成された顔料複合化中空粒子を製造することを特徴とする、顔料複合化中空粒子の製造方法である。
第1重合工程は、顔料粒子と、重合性不飽和化合物(I)と、親和剤とを接触状態で含む水系分散体において、重合性不飽和化合物(I)を重合し、上記顔料粒子及び重合体を備える第1複合粒子を含有する第1エマルションを製造する工程である。
上記水系分散体は、水を、通常、1質量%以上含む水系媒体において、顔料粒子と、親和剤と、重合性不飽和化合物(I)とが接触状態で分散されて含まれる液体である。
上記水系媒体は、水のみであってよいし、水と有機溶剤との混合媒体であってもよい。後者の場合、有機溶剤としては、イソプロピルアルコール、メタノール、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記水系分散体に含まれる顔料粒子は、水及び有機溶剤に溶解しない有色物質からなる粒子である。この有色化合物は、有機化合物(有機顔料)及び無機化合物(無機顔料)のいずれでもよい。有機顔料としては、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料;フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料;染料レーキ、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、蛍光顔料等が挙げられる。これらのうち、多環式顔料が好ましい。また、無機顔料としては、酸化チタン、カーボンブラック、べんがら、カドミウムレッド、モリブデンオレンジ、黄色酸化鉄、黄鉛、チタンイエロー、クロムグリーン、酸化クロム、コバルトブルー、マンガンバイオレット等が挙げられる。
上記顔料粒子は、有機顔料からなる粒子であってよいし、無機顔料からなる粒子であってもよい。また、両者を組み合わせて用いてもよい。
上記顔料粒子の平均粒子径は、第1重合工程において形成される重合体相において高い分散性が得られることから、好ましくは1μm以下、より好ましくは10nm〜500nm、更に好ましくは20nm〜100nmである。上記平均粒子径が小さすぎると、水系分散体における分散性が十分でなく、上記重合体相における分散性も低下する場合がある。一方、上記平均粒子径が大きすぎると、水系分散体において沈殿する場合や、上記重合体相に取り込まれない場合がある。
上記水系分散体に含まれる親和剤は、顔料粒子を構成する物質、及び、後述する重合性不飽和化合物(I)に対して親和性を有する材料である。尚、「親和性を有する」とは、両者間に相容性があること、並びに/又は、親和剤及び重合性不飽和化合物(I)のいずれか一方が他方を溶解すること、を意味する。また、上記重合性不飽和化合物(I)が複数の化合物からなる場合には、少なくとも1つの化合物が上記作用を有すればよい。
上記親和剤における性質として、25℃の水に対する溶解度が好ましくは0.025質量%以下、より好ましくは0.02質量%以下、更に好ましくは0.01質量%以下である。上記溶解度が低いほど、顔料粒子、重合性不飽和化合物(I)及び親和剤の接触効率が高い状態とすることができ、その結果、第1重合工程により、顔料粒子が重合体に微分散された第1複合粒子を得ることができ、最終的に、空隙率が高く且つ隠蔽性の高い着色剤として好適な顔料複合化中空粒子を得ることができる。
また、上記親和剤の分子量は、好ましくは5,000以下、より好ましくは500〜1,000である。
上記親和剤は、固体でも液体でもよいが、好ましくは液体である。液体の親和剤を用いると、顔料粒子と、親和剤と、重合性不飽和化合物(I)とを接触状態とした場合、その液滴の粒子径の多分散度を小さくすることができ、第1重合工程による第1複合粒子の粒度分布の不均一化を抑制することができ、第2重合工程により得られる顔料複合化中空粒子の粒径がより均一となる。
上記親和剤としては、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド(液体)、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド等の重合開始剤;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、1−クロロドデカン、アジピン酸ジオクチル、メタクリル酸ステアリル等が挙げられる。これらの親和剤は、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、上記親和剤のうち、重合開始剤が好ましい。
上記水系分散体に含有される親和剤の含有量は、上記顔料粒子100質量部に対して、好ましくは10〜20質量部、より好ましくは5〜10質量部、更に好ましくは1〜3質量部である。上記含有量とすることにより、顔料粒子と、親和剤と、重合性不飽和化合物(I)とを効率よく接触状態とすることができる。
また、上記第1重合工程において用いられる水系分散体に含まれる、重合性不飽和化合物(I)は、架橋性及び非架橋性のいずれでもよく、また、これらを組み合わせてもよい
非架橋性の不飽和化合物としては、芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、シアン化ビニル化合物、不飽和酸、ビニルエステル化合物、ビニルエーテル化合物等が挙げられる。下記に例示される化合物は、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、tert−ブトキシスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ハロゲン化スチレン等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−メチルペンチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸n−オクタデシル、(メタ)アクリル酸シクロへキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物の他、アミノ基、ヒドロキシル基、アルコキシル基、シアノ基等の官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物を用いることができる。
アミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノメチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノメチル、(メタ)アクリル酸2−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−(ジ−n−プロピルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸2−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸2−ジエチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ジ−n−プロピルアミノ)プロピル、(メタ)アクリル酸3−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸3−ジエチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸3−(ジ−n−プロピルアミノ)プロピル等が挙げられる。
ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールのモノ(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
アルコキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(n−プロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(n−ブトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−(n−プロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(n−ブトキシ)プロピル等が挙げられる。
シアノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、(メタ)アクリル酸シアノメチル、(メタ)アクリル酸1−シアノエチル、(メタ)アクリル酸2−シアノエチル、(メタ)アクリル酸1−シアノプロピル、(メタ)アクリル酸2−シアノプロピル、(メタ)アクリル酸3−シアノプロピル、(メタ)アクリル酸4−シアノブチル、(メタ)アクリル酸6−シアノヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチル−6−シアノヘキシル、(メタ)アクリル酸8−シアノオクチル等が挙げられる。
シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル等が挙げられる。
不飽和酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸等が挙げられる。
ビニルエステル化合物としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が挙げられる。
ビニルエーテル化合物としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニル−n−ブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテル等が挙げられる。
他の非架橋性化合物としては、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド化合物;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン含有不飽和化合物;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の共役ジエン化合物;1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン等の非共役ジエン化合物;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸β−メチルグリシジル、(メタ)アクリル酸β−エチルグリシジル、(メタ)アクリル酸3−メチル−3,4−エポキシブチル、(メタ)アクリル酸3−エチル−3,4−エポキシブチル、(メタ)アクリル酸4−メチル−4,5−エポキシペンチル、(メタ)アクリル酸2,3−エポキシシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、2−ビニルシクロヘキセンオキサイド、3−ビニルシクロヘキセンオキサイド、4−ビニルシクロヘキセンオキサイド、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有不飽和化合物;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系化合物;スチレンスルホン酸、α−メチルスチレンスルホン酸及びこれらの塩;3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、3−アクリロキシ−1−ヒドロキシプロパン−2−スルホン酸、3−メタクリロキシ−1−ヒドロキシプロパン−2−スルホン酸、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−ブテンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、ビニルフェニルメタンスルホン酸、イソアミレンスルホン酸、2−メチル−1,3−ブタジエン−1−スルホン酸等が挙げられる。
また、架橋性の不飽和化合物としては、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、エチレンジ(メタ)アクリレート、ジエチレンジ(メタ)アクリレート、トリエチレンジ(メタ)アクリレート、プロピレンジ(メタ)アクリレート、ジプロピレンジ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート等が挙げられる。これらの化合物は、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記水系分散体に含有される重合性不飽和化合物(I)の好ましい例は、下記に示される。
(1)非架橋性の不飽和化合物のみを用いる態様
(2)非架橋性の不飽和化合物と、架橋性の不飽和化合物とを併用する態様
上記態様(1)及び(2)において、非架橋性の不飽和化合物としては、芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物等の疎水性化合物が好ましく、芳香族ビニル化合物を含むことが特に好ましい。尚、非架橋性の不飽和化合物に含まれる芳香族ビニル化合物の含有量は、通常、1〜100質量%、好ましくは30〜100質量%である。
また、上記態様(2)において、架橋性の不飽和化合物としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート及びトリメチロールプロパントリメタクリレートが好ましい。尚、上記態様(2)において、非架橋性の不飽和化合物、及び、架橋性の不飽和化合物の含有割合は、両者の合計を100質量%とした場合、それぞれ、通常、80〜99.99質量%及び0.01〜20質量%、好ましくは95〜99.5質量%及び0.05〜5質量%である。上記含有割合とすることにより、第1重合工程による第1複合粒子の粒度分布の不均一化を抑制することができ、第2重合工程により得られる顔料複合化中空粒子の粒径がより均一となる。
上記水系分散体に含有される重合性不飽和化合物(I)の含有量は、上記顔料粒子100質量部に対して、好ましくは15〜5,000質量部、より好ましくは50〜3,000質量部、更に好ましくは100〜1,000質量部である。上記含有量とすることにより、第1重合工程により、顔料粒子が重合体に微分散された第1複合粒子を得ることができる。
上記水系分散体は、顔料粒子と、親和剤と、重合性不飽和化合物(I)とを接触状態で含んでおり、好ましくは、これらが液滴となって、水系媒体において分散している。この接触状態としては、(i)親和剤を介して顔料粒子及び重合性不飽和化合物(I)が一体化している態様、(ii)顔料粒子と、親和剤及び重合性不飽和化合物(I)の混合物とが接触している態様、等が考えられる。上記液滴の平均径は、通常、10nm〜100μmである。
上記成分が接触状態にある水系分散体を調製する方法は、特に限定されない。水系媒体と、他の全ての原料成分とを混合した後、撹拌して水系分散体を調製してよいし、水系媒体以外の原料成分を分割し、複数の水系分散体を調製する方法において、水系媒体の一部と、他の原料成分の一部とを混合及び撹拌して、複数の水系分散体を調製し、これらの水系分散体を混合及び撹拌して水系分散体を調製してもよい。
本発明においては、後者が好ましく、顔料粒子を含む分散体と、親和剤を含む分散体とを調製した後、これらの分散体と、重合性不飽和化合物(I)とを混合及び撹拌することが好ましい。
尚、原料成分の混合に用いる装置としては、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテーター、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー、高圧ホモジナイザー(マイクロフルイダイザー、ナノマイザー等)等が挙げられる。これらの装置のうち、強い剪断力を与えて顔料粒子の凝集単位を小さくし、分散性に優れた水系分散体を調製できることから、高圧ホモジナイザーが好ましい。
尚、上記水系分散体を調製するに際して、上記各成分以外に、分散剤、乳化剤、安定剤等を併用してもよい。
分散剤としては、高級脂肪酸塩、ポリカルボン酸、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
上記水系分散体の調製に際して、分散剤を用いる場合、その使用量は、上記顔料粒子100質量部に対して、好ましくは50質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。
乳化剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤を用いることができる。これらは、単独であるいは組み合わせて用いてもよい。
アニオン性界面活性剤としては、高級アルコールの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、ポリエチレングリコールアルキルエーテルの硫酸エステル等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリエチレングリコールのアルキルエステル、アルキルエーテル及びアルキルフェニルエーテル等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アニオン部分として、カルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩又はリン酸エステル塩を、カチオン部分として、アミン塩又は第4級アンモニウム塩を有する化合物、例えば、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン等のベタイン型化合物;ラウリル−β−アラニン、ステアリル−β−アラニン、ラウリルジ(アミノエチル)グリシン、オクチルジ(アミノエチル)グリシン等のアミノ酸型化合物等が挙げられる。
上記水系分散体の調製に際して、乳化剤を用いる場合、その使用量は、上記重合性不飽和化合物(I)100質量部に対して、好ましくは1〜15質量部、より好ましくは2〜10質量部、更に好ましくは3〜5質量部である。
上記第1重合工程における、重合性不飽和化合物(I)の重合は、重合開始剤を用いて行われる。上記親和剤が重合開始剤である場合には、水系分散体に対して、別途、重合開始剤を配合してよいし、配合しなくてもよい。一方、上記親和剤が重合開始剤でない場合には、重合開始剤を配合する必要がある。
重合開始剤を配合する場合には、上記親和剤の作用を有さない重合開始剤が用いられ、油溶性重合開始剤及び水溶性重合開始剤のいずれでもよい。
油溶性重合開始剤としては、過酸化クミル、過酸化tert−ブチル、過酸化プロピオニル、過酸化ベンゾイル、過酸化クロロベンゾイル、過酸化ジクロロベンゾイル、過酸化ブロモメチルベンゾイル、過酸化ラウロイル、パーオキシ炭酸ジイソプロピル、1−フェニル−2−メチルプロピル−1−ハイドロパーオキサイド、過トリフェニル酢酸−tert−ブチルハイドロパーオキサイド、過蟻酸tert−ブチル、過酢酸tert−ブチル、過安息香酸tert−ブチル、過フェニル酢酸tert−ブチル、過メトキシ酢酸tert−ブチル、過N−(3−トルイル)パルミチン酸tert−ブチル等の過酸化物;2,2’−アゾビスプロパン、2,2’−ジクロロ−2,2’−アゾビスプロパン、2,2’−アゾビスイソブタン、2,2’−アゾビスイソブチルアミン、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルプロピオン酸メチル、2,2’−ジクロロ−2,2’−アゾビスブタン、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、1,1’−アゾビス(1−メチルブチロニトリル−3−スルホン酸ナトリウム)、2−(4−メチルフェニルアゾ)−2−メチルマロノジニトリル、3,5−ジヒドロキシメチルフェニルアゾ−2−メチルマロノジニトリル、2−(4−ブロモフェニルアゾ)−2−アリルマロノジニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルバレロニトリル、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸ジメチル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビスシクロへキサンニトリル、2,2’−アゾビス−2−プロピルブチロニトリル、1,1’−アゾビス−1−クロロフェニルエタン、1,1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、1,1’−アゾビスシクロヘキサンニトリル、2,2’−アゾビス−2−プロピルブチロニトリル、1,1’−アゾビス−1−クロロフェニルエタン、1,1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、1,1’−アゾビス−1−シクロヘプタンカルボニトリル、1,1’−アゾビス−1−フェニルエタン、1,1’−アゾビスクメン、4−ニトロフェニルアゾベンジルシアノ酢酸エチル、フェニルアゾジフェニルメタン、フェニルアゾトリフェニルメタン、4−ニトロフェニルアゾトリフェニルメタン、1,1’−アゾビス−1,2−ジフェニルエタン、ポリ(ビスフェノールA−4,4’−アゾビス−4−シアノペンタノエート)、ポリ(テトラエチレングリコール−2,2’−アゾビスイソブチレート)等のアゾ化合物等が挙げられる。
水溶性重合開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)硝酸塩、ビスコハク酸パーオキサイド、ビスグルタル酸パーオキサイド等が挙げられる。また、過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルパーベンゾエート、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;過酸化水素等からなる酸化剤、及び、亜硫酸水素ナトリウム等の亜硫酸水素塩;硫酸第一鉄、塩化第一鉄等の二価の鉄塩;N,N−ジメチルアニリン、フェニルモルホリン等のアミン化合物;ナフテン酸コバルト、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸銅等のナフテン酸金属塩等からなる還元剤の組み合わせであるレドックス系重合開始剤を用いることもできる。
上記親和剤が重合開始剤でない場合に、別途、配合される重合開始剤の使用量は、上記重合性不飽和化合物(I)100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.5〜5質量部、更に好ましくは1〜3質量部である。
尚、上記重合開始剤は、通常、顔料粒子等の混合撹拌を行った後に配合され、第1エマルションを製造するための水系分散体とされるが、顔料粒子等とともに混合撹拌してもよい。後者の場合、撹拌により水温が上昇しない条件下で行われる。
また、上記水系分散体は、連鎖移動剤(分子量調節剤)を含有してもよく、その配合方法は、上記重合開始剤と同じである。
連鎖移動剤としては、tert−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、tert−ヘキシルメルカプタン等のメルカプタン化合物;臭化エチレン等のハロゲン系化合物等が挙げられる。
上記連鎖移動剤を用いる場合、その使用量は、上記重合性不飽和化合物(I)100質量部に対して、好ましくは0.05〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部、更に好ましくは1〜3質量部である。
上記第1重合工程においては、通常、水系分散体を撹拌しながら、重合性不飽和化合物(I)が重合される。これにより、親和剤が重合開始剤であった場合、及び、親和剤が重合開始剤でなかった場合、のいずれにおいても、水を媒体とし、この水中に、重合性不飽和化合物(I)により形成された重合体の中に顔料粒子が分散されてなる第1複合粒子を含む第1エマルションを得る。重合温度は、重合開始剤の種類により選択されるが、通常、20℃〜90℃、好ましくは30℃〜85℃である。また、重合時間は、通常、1〜12時間、好ましくは3〜10時間である。
上記第1複合粒子の平均粒子径は、好ましくは10nm〜99μm、より好ましくは30nm〜50μm、更に好ましくは50nm〜10μmであり、重合前における、顔料粒子と、親和剤と、重合性不飽和化合物(I)とを含む液滴の平均径よりも大きくなっている。上記平均粒子径が大きすぎると、最終的に得られる顔料複合化中空粒子における中空(空間部)が安定して形成されない場合がある。
上記第1複合粒子における重合体及び顔料粒子の含有割合について、重合体100質量部に対して、顔料粒子の含有量が、好ましくは3〜80質量部、より好ましくは5〜60質量部、更に好ましくは10〜50質量部である。
また、上記第1複合粒子における重合体の重量平均分子量(以下、「Mw」ともいう。)は、好ましくは10,000以下である。尚、このMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
次に、第2重合工程は、上記第1エマルションと、重合性を有する架橋性不飽和化合物、及び、重合性を有する水溶性不飽和化合物を含む重合性不飽和化合物(II)とを含有する混合物(以下、「中空粒子用混合物」という。)において、この重合性不飽和化合物(II)を重合する工程である。但し、上記架橋性不飽和化合物は、水溶性ではなく、疎水性である。
上記架橋性不飽和化合物としては、上記第1重合工程において用いられる「架橋性の不飽和化合物」を適用することができる。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。架橋点間分子量が短くなり、架橋密度を向上させられることから、好ましい化合物は、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート及びトリメチロールプロパントリメタクリレートである。
また、上記水溶性不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル等のヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物;(メタ)アクリル酸2−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−ジエチルアミノエチル等のアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド化合物;(メタ)アクリル酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和酸;ギ酸ビニル、酢酸ビニル等のビニルエステル化合物;スチレンスルホン酸の塩(Na塩)等が挙げられる。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記重合性不飽和化合物(II)は、架橋性不飽和化合物及び水溶性不飽和化合物からなるものであってよいし、架橋性不飽和化合物、水溶性不飽和化合物、並びに、上記架橋性不飽和化合物及び上記水溶性不飽和化合物と共重合可能な他の重合性化合物、からなるものであってもよい。通常は、後者である。尚、他の重合性化合物は、疎水性であり且つ非架橋性の不飽和化合物であり、上記第1重合工程において用いられる「非架橋性の不飽和化合物のうちの水溶性不飽和化合物以外の重合性化合物」を適用することができる。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、他の重合性化合物としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物、芳香族ビニル化合物等が好ましい。
上記好ましい重合性不飽和化合物(II)を構成する、架橋性不飽和化合物、水溶性不飽和化合物、及び、他の重合性化合物の含有割合は、これらの合計を100質量%とした場合、それぞれ、通常、0.01〜20質量%、5〜80質量%及び0.1〜15質量%、好ましくは0.05〜20質量%、10〜70質量%及び1〜10質量%である。上記含有割合とすることにより、第2重合工程を円滑に進めることができ、空隙率の高い空間部(中空)を有する顔料複合化中空粒子を効率よく製造することができる。
上記中空粒子用混合物は、上記第1エマルション、及び、上記重合性不飽和化合物(II)を混合することにより、調製することができる。必要に応じて、水等を添加してもよい。上記第1エマルション、及び、上記重合性不飽和化合物(II)の使用量について、上記第1エマルションに含有される第1複合粒子100質量部に対して、重合性不飽和化合物(II)の使用量が、好ましくは40〜1,000質量部、より好ましくは50〜500質量部、更に好ましくは100〜300質量部となるように、適宜、選択される。上記割合で用いることにより、顔料複合化中空粒子を効率よく製造することができる。尚、上記重合性不飽和化合物(II)の使用量が少なすぎると、最終的に得られる顔料複合化中空粒子における中空(空間部)が形成されない場合がある。一方、上記重合性不飽和化合物(II)の使用量が多すぎると、最終的に得られる顔料複合化中空粒子における中空(空間部)が安定して形成されない場合がある。
上記中空粒子用混合物の調製方法及びそのための装置は、特に限定されない。調製方法としては、上記第1エマルションに、上記重合性不飽和化合物(II)を、一括添加してから、又は、連続添加しながら、又は、分割添加しながら、撹拌する方法等が挙げられる。また、分割添加する場合には、架橋性不飽和化合物等の疎水性化合物、及び、水溶性不飽和化合物の順に添加してよいし、水溶性不飽和化合物、及び、疎水性化合物の順に添加してもよい。混合装置は、特に限定されない。
上記中空粒子用混合物は、上記第1エマルション、及び、上記重合性不飽和化合物(II)を含有する混合物であることから、少なくとも、第1複合粒子と、上記重合性不飽和化合物(II)と、水とを含有する。この中空粒子用混合物においては、上記架橋性不飽和化合物等の疎水性化合物は、通常、上記第1複合粒子に吸収されており、この第1複合粒子が膨潤状態となっている。
上記第2重合工程における、重合性不飽和化合物(II)の重合は、重合開始剤を用いて行われる。この重合開始剤は、油溶性重合開始剤及び水溶性重合開始剤のいずれでもよく、また、併用してもよいが、空隙率の高い空間部(中空)を有する顔料複合化中空粒子を製造できることから、水溶性重合開始剤を含むことが好ましい。尚、重合開始剤は、上記第1重合工程において用いられる「重合開始剤」を適用することができる。
上記重合開始剤の使用量は、上記重合性不飽和化合物(II)100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.5〜5質量部、更に好ましくは1〜3質量部である。
また、上記中空粒子用混合物は、連鎖移動剤(分子量調節剤)を含有してもよい。
上記第2重合工程においては、通常、中空粒子用混合物を撹拌しながら、重合性不飽和化合物(II)が重合される。重合が進行するにつれて、重合性不飽和化合物(II)により膨潤した第1複合粒子が収縮し、その内部に空間部(中空)を形成し、同時に、第1複合粒子の表面に重合性不飽和化合物(II)による共重合体からなる膜が形成され、顔料複合化中空粒子を含むエマルションを得ることができる。重合温度は、重合開始剤の種類により選択されるが、通常、20℃〜90℃、好ましくは30℃〜85℃である。また、重合時間は、通常、1〜12時間、好ましくは3〜10時間である。
上記顔料複合化中空粒子を構成する重合体及び顔料粒子の含有割合については、上記重合体100質量部に対して、顔料粒子の含有量が、通常、3〜60質量部、好ましくは5〜50質量部、より好ましくは10〜40質量部である。
また、上記重合体は、上記第1重合工程において使用された重合性不飽和化合物(I)に由来する構造単位と、上記第2重合工程において使用された重合性不飽和化合物(II)に由来する構造単位とを含む。即ち、上記重合体は、好ましくは、架橋性不飽和化合物に由来する構造単位(以下、「構造単位(a)」という。)、水溶性不飽和化合物に由来する構造単位(以下、「構造単位(b)」という。)、及び、疎水性の非架橋性不飽和化合物に由来する構造単位(以下、「構造単位(c)」という。)からなる重合体である。
上記の構造単位(a)、構造単位(b)及び構造単位(c)の含有量は、これらの合計を100質量%としたとき、それぞれ、好ましくは0.01〜20質量%、5〜80質量%及び0.1〜15質量%、より好ましくは0.05〜20質量%、10〜70質量%及び1〜10質量%である。上記構成であると、割れ又は潰れがなく、機械的強度に優れる。
上記顔料複合化中空粒子は、上記のように、顔料粒子が重合体相に分散されてなり、且つ、その内部に少なくとも1つの空間部が形成された中空粒子であって、重合体相を構成する重合体と、重合体相において均一に分散された顔料粒子とを含む外壁が、球体、楕円球体、多面体、あるいは、それらの変形体等の外形形状を反映する粒状体であり、且つ、それ自身で顔料粒子の色が反映された粒状体である。上記顔料複合化中空粒子の平均粒子径は、好ましくは20nm〜100μm、より好ましくは30nm〜50μm、更に好ましくは50nm〜10μmである。また、上記顔料複合化中空粒子の表面は、平滑な曲面、凹凸面等である。
上記空間部の形状は、特に限定されず、球体、楕円球体、多面体、直線体、曲線体、あるいは、これらの組み合わせ又は変形体等とすることができる。従って、上記空間部に面する内壁面も、平滑な平面、曲面、凹凸面等とすることができる。
上記空間部の数は、1つであってもよく、複数であってもよい。更に、複数の空間部が形成されている場合、連続していてもよい。
上記顔料複合化中空粒子の形態は、以下に例示される。
(1)1つの空間部のみを有する複合粒子。
(2)複数の空間部を有し、互いに孤立している複合粒子。
(3)複数の空間部を有し、互いに線状空間等で連通している複合粒子。
この態様(3)の顔料複合化中空粒子としては、内部に3次元網目状等の連通孔を有する複合粒子等が挙げられる。
上記顔料複合化中空粒子において、中空粒子全体(中空粒子の外形)の体積に対する、全ての空間部の総体積の割合、即ち、空隙率は、好ましくは5〜90体積%、より好ましくは5〜70体積%、更に好ましくは7〜60体積%とすることができる。空隙率が上記のように高くても、機械的強度が低下することなく、即ち、形状保持性に優れ、隠蔽性に優れた着色剤として有用である。上記割合が5体積%未満であると、少なくとも1つの空間部が形成された粒子、即ち、中空又は多孔質の粒子であるメリットが失われるおそれがある。一方、90体積%を超えると、十分な強度が得られ難く、割れたり、潰れたりする粒子が多くなるおそれがある。
本明細書において、上記空隙率は、透過型電子顕微鏡(「H−7650」、日立ハイテクノジー社製)によって観察される粒子を任意に10個選択し、これらの粒子について、下記式(1)によって算出した値である。
[(全空間部の総体積)/{4π(中空粒子の外径/2)/3}]×100 (1)
尚、上記空間部が1つのみであり、且つ、形状が球状体である場合には、上記空隙率は、下記式(2)により算出することができる。
{(空隙の内径)/(中空粒子の外径)}×100 (2)
本発明における他の顔料複合化中空粒子の製造方法は、顔料粒子を、水を含む水系媒体に分散させてなる分散体(A)と、上記親和剤を、水を含む水系媒体に分散させてなる分散体(B)とを混合し、顔料粒子及び親和剤が接触した第1複合物を含む第1混合液を調製する第1工程と、上記第1混合液と、重合性を有する不飽和化合物(I)とを混合し、上記第1複合物及び重合性不飽和化合物(I)が接触した第2複合物を含む第2混合液を調製する第2工程と、上記第2混合液における重合性不飽和化合物(I)を重合し、上記顔料粒子及び重合体を備える第1複合粒子を含有する第1エマルションを製造する第3工程と、上記第1エマルションと、重合性を有する架橋性不飽和化合物、及び、重合性を有する水溶性不飽和化合物を含む重合性不飽和化合物(II)とを含有する混合物において、重合性不飽和化合物(II)を重合する第4工程とを備え、上記顔料粒子が重合体相に分散されてなり、且つ、その内部に少なくとも1つの空間部が形成された顔料複合化中空粒子を製造することを特徴とする。
上記第1工程は、顔料粒子を、水を含む水系媒体に分散させてなる分散体(A)と、親和剤を、水を含む水系媒体に分散させてなる分散体(B)とを混合し、顔料粒子及び親和剤が接触した第1複合物を含む第1混合液を調製する工程である。この第1工程で用いられる顔料粒子及び親和剤は、上記説明が適用される。
上記分散体(A)は、顔料粒子を、水を含む水系媒体に分散させてなる分散体である。水系媒体は、水のみであってよいし、水と有機溶剤との混合媒体であってもよい。後者の場合、有機溶剤としては、イソプロピルアルコール、メタノール、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記分散体(A)は、顔料粒子及び水系媒体以外に、上記の分散剤、乳化剤、安定剤等を含有してもよい。
上記分散剤を用いる場合、その使用量は、上記顔料粒子100質量部に対して、好ましくは1〜15質量部、より好ましくは2〜10質量部、更に好ましくは3〜5質量部である。
また、上記乳化剤を用いる場合、その使用量は、上記顔料粒子100質量部に対して、好ましくは1〜15質量部、より好ましくは2〜10質量部、更に好ましくは3〜5質量部である。
上記分散体(A)の調製方法は、特に限定されないが、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテーター、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー、高圧ホモジナイザー(マイクロフルイダイザー、ナノマイザー等)等の混合装置を用いることが好ましい。これらの装置のうち、強い剪断力を与えて顔料粒子の凝集単位を小さくし、分散性に優れた分散体(A)を調製できることから、高圧ホモジナイザーが好ましい。この高圧ホモジナイザーを用いる場合、好ましい剪断力は、70MPa以上であり、より好ましくは100MPa以上である。
上記分散体(B)は、親和剤を、水を含む水系媒体に分散させてなる分散体である。水系媒体は、水のみであってよいし、水と有機溶剤との混合媒体であってもよい。後者の場合、有機溶剤としては、イソプロピルアルコール、メタノール、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。尚、上記分散体(B)に含まれる水系媒体の構成は、上記分散体(A)に含まれる水系媒体の構成と同一であってよいし、異なってもよい。
上記分散体(B)において、上記親和剤は、上記水系媒体に分散されており、好ましくは、上記分散体(A)に含まれる顔料粒子よりも小さい粒径を有している。これにより、第1工程において、分散体(A)及び分散体(B)を混合したときに、顔料粒子により多くの親和剤を吸着させて、効率よく第1複合物を作製することができ、また、第2工程において、重合性不飽和化合物(I)を混合させたときに、この化合物(I)が円滑に第1複合物に吸収する。そして、第3工程において得られる第1複合粒子に含まれる顔料粒子の分布をより均一なものとすることができる。
上記分散体(B)は、親和剤及び水系媒体以外に、上記の分散剤、乳化剤等を含有してもよい。
上記分散体(B)の調製方法は、特に限定されないが、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテーター、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー、高圧ホモジナイザー(マイクロフルイダイザー、ナノマイザー等)等の混合装置を用いることが好ましい。これらの装置のうち、超音波ホモジナイザーが好ましい。
上記第1工程において、分散体(A)及び分散体(B)が混合され、顔料粒子及び親和剤が接触した第1複合物を含む第1混合液が調製されるが、その調製方法は、特に限定されない。分散体(A)及び分散体(B)を一括して混合してよいし、分散体(A)及び分散体(B)のいずれか一方に、他方を連続して又は分割(間欠を含む)して添加しながら混合してもよい。混合装置は、分散体(A)及び分散体(B)の調製に用いたものと同様とすることができる。
上記第1工程により得られる第1混合液に含まれる第1複合物は、水系媒体に分散している。この第1複合物において、顔料粒子及び親和剤が接触しており、その平均粒子径は、好ましくは10nm〜100μm、より好ましくは100nm〜10μmである。
上記第2工程は、上記第1混合液と、重合性を有する不飽和化合物(I)とを混合し、上記第1複合物及び重合性不飽和化合物(I)が接触した第2複合物を含む第2混合液を調製する工程である。この第2工程で用いられる重合性不飽和化合物(I)は、上記説明が適用される。
上記第2工程において、第1混合液及び重合性不飽和化合物(I)が混合され、上記第1複合物及び重合性不飽和化合物(I)が接触した第2複合物を含む第2混合液が調製されるが、その調製方法は、特に限定されない。第1混合液及び重合性不飽和化合物(I)を一括して混合してよいし、第1混合液及び重合性不飽和化合物(I)のいずれか一方に、他方を連続して又は分割(間欠を含む)して添加しながら混合してもよい。尚、重合性不飽和化合物(I)の使用方法としては、この重合性不飽和化合物(I)をそのまま用いてよいし、この重合性不飽和化合物(I)を有機溶媒に溶解させてなる溶液を用いてもよい。混合装置は、分散体(A)及び分散体(B)の調製に用いたものと同様とすることができる。
上記第1混合液及び上記重合性不飽和化合物(I)の混合に際して、上記第1混合液に含有される親和剤が重合開始剤である場合には、上記重合性不飽和化合物(I)の重合が開始されないように、即ち、混合液の温度が高くならないように混合条件を選択することが好ましい。
上記第2工程により得られる第2混合液に含まれる第2複合物は、上記第1複合物及び重合性不飽和化合物(I)が、即ち、顔料粒子、親和剤及び重合性不飽和化合物(I)が、接触状態にある複合体であり、水系媒体に分散している。この第2複合物の平均粒子径は、好ましくは10nm〜100μm、より好ましくは100nm〜10μmである。
上記第3工程は、上記第2混合液における重合性不飽和化合物(I)を重合し、上記顔料粒子及び重合体を備える第1複合粒子を含有する第1エマルションを製造する工程である。この第3工程は、前述の製造方法における第1重合工程をそのまま適用することができる。
上記第4工程は、第1エマルションと、重合性を有する架橋性不飽和化合物、及び、重合性を有する水溶性不飽和化合物を含む重合性不飽和化合物(II)とを含有する混合物において、重合性不飽和化合物(II)を重合する工程である。この第4工程は、前述の製造方法における第1重合工程をそのまま適用することができる。
上記第1〜第4工程を順次、備える製造方法によって、前述の構成を有する顔料複合化中空粒子を効率よく製造することができる。
本発明の製造方法によって得られた顔料複合化中空粒子は、塗料、インク、トナー等の構成成分として好適である。
以下、本発明を、実施例を用いて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。尚、実施例及び比較例における「部」及び「%」は、特に断らない限り、質量基準である。
1.顔料粒子を含む分散体の調製
1−1.β型銅フタロシアニン(β−CuPc)の分散体(A−1)
β−CuPc(商品名「Blue15:3」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)50部と、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(乳化剤)の25%水溶液2部と、安定剤(商品名「JONCRYL 6030」、30%水溶液、BASF Japan Ltd社製)15部と、蒸留水200部とを混合し、撹拌した後、コーレス分散機を用い、回転数5,000rpmで30分間分散させ、第1分散体を得た。次いで、この第1分散体を、高圧ホモジナイザー(商品名「マイクロフルイダイザーM110Y」、みづほ工業社製)を用いて、70MPaの圧力で分散し、この操作を5回行うことで、分散体(A−1)を得た。この分散体(A−1)における顔料粒子の平均粒子径は、500nmであった。
1−2.縮合アゾ顔料の分散体(A−2)
上記β−CuPcに代えて、黄色顔料(商品名「Yellow 93」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を用いた以外は、上記1−1と同様にして、分散体(A−2)を得た。この分散体(A−2)における顔料粒子の平均粒子径は、600nmであった。
1−3.縮合アゾ顔料の分散体(A−3)
上記β−CuPcに代えて、赤色顔料(商品名「Red 144」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を用いた以外は、上記1−1と同様にして、分散体(A−3)を得た。この分散体(A−3)における顔料粒子の平均粒子径は、800nmであった。
1−4.カーボンブラックの分散体(A−4)
カーボンブラック(商品名「#2650」、三菱化学社製)50部と、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(乳化剤)25%水溶液2部と、上記安定剤15部と、トルエン30部と、蒸留水170部とを用いた以外は、上記1−1と同様にして、分散体(A−4)を得た。この分散体(A−4)における顔料粒子の平均粒子径は、300nmであった。
Figure 2010037366
2.親和剤を含む分散体の調製
親和剤として、水(25℃)に対する溶解度が0.01%であり、分子量が314.47であるジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド(商品名「PEROYL 355」、日本油脂社製)を用いた。この化合物は、重合開始剤としての作用を有する。
親和剤3部と、ラウリル硫酸ナトリウム3部と、蒸留水100部とを混合し、撹拌した後、超音波ホモジナイザー(SMT,Comtany社製)を用いて、10分間の微分散処理を行い、油滴の粒径が0.5μm以下の親和剤含有分散体(B)を得た。
3.顔料複合化中空粒子の製造及び評価
実施例1
顔料含有分散体(A−1)267部と、親和剤含有分散体(B)106部とを、容積2リットルのガラス製セパラブルフラスコに入れ、40℃で1時間混合し、水系分散体(S1)を得た。
その後、この水系分散体(S1)と、スチレン50部と、tert−ドデシルメルカプタン(連鎖移動剤)1部と、蒸留水480部とを、セパラブルフラスコに入れて、40℃で1時間混合し、水系分散体(S2)を得た。
次に、水系分散体(S2)を80℃まで昇温し、この温度で重合を3時間行い、顔料がスチレンの重合体の中に含まれるシード粒子(第1複合粒子)を含み、且つ、シード粒子の固形分濃度が11.5%である水系分散体(S3)を得た。このシード粒子の平均粒子径は150nmであった。
その後、上記シード粒子170部と、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム25%水溶液2部と安定剤(商品名「JONCRYL 6030」、30%水溶液、BASF Japan Ltd社製)1部と、蒸留水100部と、メタクリル酸メチル16.5部と、ジビニルベンゼン12部と、メタクリル酸1.5部とを、容積2リットルのガラス製セパラブルフラスコに入れ、40℃で1時間混合し、水系分散体(S4)を得た。
次に、水系分散体(S4)に、過硫酸カリウム10部(3%水溶液)を添加し、70℃で3時間重合を行い、顔料複合化中空粒子を含み、且つ、顔料複合化中空粒子の固形分濃度が15.6%である水系分散体(S5)を得た。この顔料複合化中空粒子の平均粒子径は280nmであり、中空部の体積率は28%であった。また、マクベス濃度計による光学濃度(以下、「OD値」という。)は1.9であった(表2参照)。
実施例2
顔料含有分散体(A−2)267部と、親和剤含有分散体(B)106部とを、容積2リットルのガラス製セパラブルフラスコに入れ、40℃で1時間混合し、水系分散体(S1)を得た。その後、この水系分散体(S1)と、スチレン50部と、tert−ドデシルメルカプタン(連鎖移動剤)1部と、蒸留水480部とを、セパラブルフラスコに入れ、40℃で1時間混合し、水系分散体(S2)を得た。
次に、水系分散体(S2)を80℃まで昇温し、この温度で重合を3時間行い、顔料がスチレンの重合体の中に含まれるシード粒子(第1複合粒子)を含み、且つ、シード粒子の固形分濃度が11.8%である水系分散体(S3)を得た。このシード粒子の平均粒子径は130nmであった。
その後、上記シード粒子170部と、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム25%水溶液2部と、安定剤(商品名「JONCRYL 6030」、30%水溶液、BASF Japan Ltd社製)1部と、蒸留水100部と、メタクリル酸メチル16.5部と、ジビニルベンゼン12部と、メタクリル酸1.5部とを、容積2リットルのガラス製セパラブルフラスコに入れ、40℃で1時間混合し、水系分散体(S4)を得た。
次に、水系分散体(S4)に、過硫酸カリウム10部を添加し、70℃で3時間重合を行い、顔料複合化中空粒子を含み、且つ、顔料複合化中空粒子の固形分濃度が15.5%である水系分散体(S5)を得た。この顔料複合化中空粒子の平均粒子径は260nmであり、中空部の体積率は20%であった。また、マクベス濃度計によるOD値は1.8であった(表2参照)。
実施例3
顔料含有分散体(A−2)に代えて、顔料含有分散体(A−3)を用いた以外は、実施例2と同様にして、顔料複合化中空粒子を含む水系分散体(S5)を得た。
尚、水系分散体(S3)におけるシード粒子の固形分濃度は12.0%であり、シード粒子の平均粒子径は160nmであった。
また、水系分散体(S5)における顔料複合化中空粒子の固形分濃度は15.3%であり、顔料複合化中空粒子の平均粒子径は300nm、中空部の体積率は25%であった。また、マクベス濃度計によるOD値は1.6であった(表2参照)。
実施例4
顔料含有分散体(A−2)に代えて、顔料含有分散体(A−4)を用いた以外は、実施例2と同様にして、顔料複合化中空粒子を含む水系分散体(S5)を得た。
尚、水系分散体(S3)におけるシード粒子の固形分濃度は11.0%であり、シード粒子の平均粒子径は180nmであった。
また、水系分散体(S5)における顔料複合化中空粒子の固形分濃度は15.0%であり、顔料複合化中空粒子の平均粒子径は320nm、中空部の体積率は30%であった。また、マクベス濃度計によるOD値は2.2であった(表2参照)。
Figure 2010037366
比較例1
顔料含有分散体(A−1)267部と、蒸留水103部と、アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤)3部とを、容積2リットルのガラス製セパラブルフラスコに入れ、40℃で1時間混合し、水系分散体(S1’)を得た。その後、この水系分散体(S1’)と、スチレン50部と、tert−ドデシルメルカプタン(連鎖移動剤)1部と、蒸留水480部とを、セパラブルフラスコに入れ、40℃で1時間混合し、水系分散体(S2’)を得た。
次に、水系分散体(S2’)を80℃まで昇温し、この温度で重合を3時間行い、顔料がスチレンの重合体の中に含まれるシード粒子を含み、且つ、シード粒子の固形分濃度が11.1%である水系分散体(S3’)を得た。このシード粒子の平均粒子径は160nmであった。
その後、上記シード粒子170部と、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(25%水溶液)2部と安定剤(商品名「JONCRYL 6030」、30%水溶液、BASF Japan Ltd社製)1部と、蒸留水100部と、メタクリル酸メチル16.5部と、ジビニルベンゼン12部と、メタクリル酸1.5部とを、容積2リットルのガラス製セパラブルフラスコに入れ、40℃で1時間混合し、水系分散体(S4’)を得た。
次に、水系分散体(S4’)に、過硫酸カリウム10部を添加し、70℃で3時間重合を行い、顔料複合化粒子の固形分濃度が15.2%である水系分散体(S5’)を得た。この顔料複合化粒子の平均粒子径は220nmであり、中空部は確認されなかった。また、マクベス濃度計によるOD値は0.9であった(表3参照)。
比較例2
水系分散体(S4)の製造に際して、ジビニルベンゼンを使用しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、水系分散体(S5)を得た。
尚、水系分散体(S3)におけるシード粒子の固形分濃度は11.1%であり、シード粒子の平均粒子径は160nmであった。
また、水系分散体(S5)における顔料複合化粒子の固形分濃度は15.2%であり、顔料複合化粒子の平均粒子径は310nmであり、中空部は確認されなかった。また、マクベス濃度計によるOD値は0.8であった(表3参照)。
比較例3
アゾビスイソブチロニトリルに代えて、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(商品名「パーブチルO」、日本油脂社製)を用いた以外は、比較例1と同様にして、重合等を行った。
水系分散体(S3’)におけるシード粒子の固形分濃度は11.1%であり、この水系分散体(S3’)に含まれるシード粒子の平均粒子径は160nmであった。また、最終的に得られた水系分散体(S5’)における顔料複合化粒子の固形分濃度は15.0%であり、顔料複合化粒子の平均粒子径は180nmであり、中空部の体積率は5%であった。また、マクベス濃度計によるOD値は0.95であった(表3参照)。
Figure 2010037366
本発明の製造方法によって得られた顔料複合化中空粒子は、塗料、インク、トナー等の構成成分として好適である。

Claims (6)

  1. 顔料粒子と、重合性を有する不飽和化合物(I)と、該顔料粒子及び該重合性不飽和化合物(I)に対して親和性を有する親和剤と、を接触状態で含む水系分散体において、該重合性不飽和化合物(I)を重合し、上記顔料粒子及び重合体を備える第1複合粒子を含有する第1エマルションを製造する第1重合工程と、
    上記第1エマルションと、重合性を有する架橋性不飽和化合物、及び、重合性を有する水溶性不飽和化合物を含む重合性不飽和化合物(II)とを含有する混合物において、該重合性不飽和化合物(II)を重合する第2重合工程と、
    を備え、上記顔料粒子が重合体相に分散されてなり、且つ、その内部に少なくとも1つの空間部が形成された顔料複合化中空粒子を製造することを特徴とする、顔料複合化中空粒子の製造方法。
  2. 請求項1に記載の顔料複合化中空粒子の製造方法であって、
    顔料粒子を、水を含む水系媒体に分散させてなる分散体(A)と、上記親和剤を、水を含む水系媒体に分散させてなる分散体(B)とを混合し、顔料粒子及び上記親和剤が接触した第1複合物を含む第1混合液を調製する第1工程と、
    上記第1混合液と、重合性を有する不飽和化合物(I)とを混合し、上記第1複合物及び該重合性不飽和化合物(I)が接触した第2複合物を含む第2混合液を調製する第2工程と、
    上記第2混合液における重合性不飽和化合物(I)を重合し、上記顔料粒子及び重合体を備える第1複合粒子を含有する第1エマルションを製造する第3工程と、
    上記第1エマルションと、重合性を有する架橋性不飽和化合物、及び、重合性を有する水溶性不飽和化合物を含む重合性不飽和化合物(II)とを含有する混合物において、該重合性不飽和化合物(II)を重合する第4工程と、
    を備え、上記顔料粒子が重合体相に分散されてなり、且つ、その内部に少なくとも1つの空間部が形成された顔料複合化中空粒子を製造することを特徴とする、顔料複合化中空粒子の製造方法。
  3. 上記親和剤は、水に対する溶解度が0.025質量%以下であり、且つ、分子量が5,000以下の有機化合物である請求項1又は2に記載の顔料複合化中空粒子の製造方法。
  4. 上記親和剤が重合開始剤である請求項1乃至3のいずれかに記載の顔料複合化中空粒子の製造方法。
  5. 上記分散体(B)において、上記親和剤は、上記顔料粒子よりも小さい粒径で分散されている請求項2乃至4のいずれかに記載の顔料複合化中空粒子の製造方法。
  6. 上記顔料複合化中空粒子の平均粒子径が20nm〜100μmである請求項1乃至5のいずれかに記載の顔料複合化中空粒子の製造方法。
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